(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】容器、乾燥装置、およびセルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法
(51)【国際特許分類】
F26B 5/06 20060101AFI20240411BHJP
C08B 1/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F26B5/06
C08B1/00
(21)【出願番号】P 2020131636
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000149310
【氏名又は名称】株式会社大川原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【氏名又は名称】倉澤 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【氏名又は名称】八木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】杉本 隼人
(72)【発明者】
【氏名】保崎 有香
(72)【発明者】
【氏名】山賀 徹志
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/073845(WO,A1)
【文献】特開2001-000805(JP,A)
【文献】特開2000-051622(JP,A)
【文献】特開2015-105366(JP,A)
【文献】特開2016-196534(JP,A)
【文献】特開2013-253137(JP,A)
【文献】特開2001-026664(JP,A)
【文献】特開2016-210893(JP,A)
【文献】特開昭63-279072(JP,A)
【文献】特開2020-041142(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109273707(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101941690(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0140531(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にブライン液を貯留する本体部と、
前記本体部の外周を覆い、熱媒体が供給されるジャケットと、
前記本体部に貯留されたブライン液に、液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液を供給する供給口とを備え、
前記本体部は、熱媒体が前記ジャケットに供給されることで前記ブライン液を冷却可能なものであ
り、
前記供給口と前記本体部に貯留されたブライン液とは相対的な位置関係を変化させながら該ブライン液に前記CNF分散液が供給されるものであることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記供給口が、前記ブライン液中に供給した前記CNF分散液の単位質量当りの表面積が0.20m
2
/kg以上になるように該CNF分散液を供給するものであることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
内部にブライン液を貯留する本体部と、
前記本体部の外周を覆い、熱媒体が供給されるジャケットと、
前記本体部に貯留されたブライン液に、液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液を供給する供給口
とを備え、
前記本体部は、熱媒体が前記ジャケットに供給されることで前記ブライン液を冷却可能なものであり、
さらに、
前記CNF分散液を前記本体部の内部で凍結させたCNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥を開始する乾燥手段と、
前記本体部の内部で前記ブライン液を濾過し前記CNF分散液凍結物を該本体部の内部に残す濾材とを備えたことを特徴とする乾燥装置。
【請求項4】
前記濾材は、前記CNF分散液が凍結するまで前記CNF分散液と接触しない位置に配置されたものであることを特徴とする請求項3記載の
乾燥装置。
【請求項5】
液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液をブライン液によって凍結させCNF分散液凍結物を得る凍結工程と、
前記CNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥を開始する乾燥工程と、
前記凍結工程が完了した後であって前記乾燥工程を開始する前に、前記ブライン液を濾過することで、該ブライン液を該CNF分散液凍結物から分離する分離工程とを有することを特徴とするセルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法。
【請求項6】
液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液を供給口から、本体部に貯留したブライン液に供給し、該CNF分散液を該ブライン液によって凍結させCNF分散液凍結物を得る凍結工程と、
前記CNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥を開始する乾燥工程とを備え、
前記凍結工程は、前記供給口と前記本体部に貯留されたブライン液との相対的な位置関係を変化させながら該ブライン液に前記CNF分散液を供給する工程であることを特徴とするセルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却に用いられる容器、その容器を備えた乾燥装置、およびセルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースナノファイバー(以下、CNFという場合がある)は、極細の繊維状物質であり、直径が3nm以上50nm以下であってアスペクト比(繊維長/繊維幅)が100以上のものが知られている。このCNFは、液体への分散性に優れることから、食品、化粧品、医療品、または塗料等の分野への応用が期待されている。
【0003】
液体中にCNFが分散したCNF分散液を乾燥させたCNFの乾燥物は、繊維状のCNF間に水素結合が形成され凝集しやすい。CNFでは、一旦、凝集が生じてしまうと、水を加えても、乾燥前の分散性等の諸特性を復元することが困難になる。このため、CNFは、液体中にCNFが分散したCNF分散液として製造され、乾燥させずに分散状態のまま各種用途に使用されている。液体としては水が多用されている。特に断りの無い限りはCNF分散液の液体成分は水である。
【0004】
ところが、CNF分散液を安定させるためには、CNFに対して数倍から数百倍の質量の液体が必要であり、腐敗防止、保存スペースの確保、保存および輸送コストの増大等、種々の問題がある。この問題を解決するために、CNF分散液中の水分を蒸発させてCNFを濃縮させる技術(例えば、特許文献1等)が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載された技術は、水分の蒸発温度が20℃~40℃になる程度に減圧した状態でCNF分散液にマイクロ波を照射し、CNF分散液中の水分を蒸発させる技術である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、CNFの濃度が10質量%程度の濃縮しかできず、90質量%もの水分が依然として残っている。これは、CNFの凝集を抑えながらCNF分散液中の水分を蒸発させることがいかに難しいかの現れであり、特許文献1の技術では、乾燥物を得るには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、CNF分散液中の水分を蒸発させるには、真空凍結乾燥が好ましいとの推測に至ったが、CNF分散液を凍結させるにあたりCNFの凝集が問題になる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、CNFの凝集を抑えながらCNF分散液を凍結させることができる容器、その容器を備えた乾燥装置、およびセルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を解決する本発明の容器は、
内部にブライン液を貯留する本体部と、
前記本体部の外周を覆い、熱媒体が供給されるジャケットと、
前記本体部に貯留されたブライン液に、液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液を供給する供給口とを備え、
前記本体部は、熱媒体が前記ジャケットに供給されることで前記ブライン液を冷却可能なものであり、
前記供給口と前記本体部に貯留されたブライン液とは相対的な位置関係を変化させながら該ブライン液に前記CNF分散液が供給されるものであることを特徴とする。
なお、
前記供給口が、前記ブライン液中に供給した前記CNF分散液の単位質量当りの表面積が0.20m
2
/kg以上になるように該CNF分散液を供給するものであることを特徴としてもよい。
上記目的を解決する本発明の乾燥装置は、
内部にブライン液を貯留する本体部と、
前記本体部の外周を覆い、熱媒体が供給されるジャケットと、
前記本体部に貯留されたブライン液に、液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液を供給する供給口とを備え、
前記本体部は、熱媒体が前記ジャケットに供給されることで前記ブライン液を冷却可能なものであり、
さらに、
前記CNF分散液を前記本体部の内部で凍結させたCNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥を開始する乾燥手段と、
前記本体部の内部で前記ブライン液を濾過し前記CNF分散液凍結物を該本体部の内部に残す濾材とを備えたことを特徴とする。
なお、
前記濾材は、前記CNF分散液が凍結するまで前記CNF分散液と接触しない位置に配置されたものであることを特徴としてもよい。
上記目的を解決する本発明の第一のセルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法は、
液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液をブライン液によって凍結させCNF分散液凍結物を得る凍結工程と、
前記CNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥を開始する乾燥工程と、
前記凍結工程が完了した後であって前記乾燥工程を開始する前に、前記ブライン液を濾過することで、該ブライン液を該CNF分散液凍結物から分離する分離工程とを有することを特徴とする。
上記目的を解決する本発明の第二のセルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法は、
液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液を供給口から、本体部に貯留したブライン液に供給し、該CNF分散液を該ブライン液によって凍結させCNF分散液凍結物を得る凍結工程と、
前記CNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥を開始する乾燥工程とを備え、
前記凍結工程は、前記供給口と前記本体部に貯留されたブライン液との相対的な位置関係を変化させながら該ブライン液に前記CNF分散液を供給する工程であることを特徴とする。
【0011】
また、
内部にブライン液を貯留する本体部と、
前記本体部の外周を覆い、熱媒体が供給されるジャケットとを備え、
前記本体部は、熱媒体が前記ジャケットに供給されることで前記ブライン液を冷却可能なものであることを特徴とする容器であってもよい。
ここにいうブライン液とは、前記液体すなわちCNF分散液の液体成分よりも凝固点が低い液体のことをいう(以下、同じ)。
【0012】
例えば、水にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液をゆっくりと凍結させた場合は、水は異物を排除しながら純水な氷として凍結するため氷晶が大きく成長し、排除され濃縮された分散液中でCNFが凝集してしまうと考えられる。一方、本発明の容器によれば、前記CNF分散液が前記ブライン液によってごく短時間に凍結され、ナノサイズ又はミクロンサイズの氷晶になり、CNF同士が接近し、凝集する前に凍結・固定化されるため、CNFの凝集が抑えられる。
【0013】
また、
前記本体部が、揮発性のブライン液を貯留するものであることを特徴としてもよい。
【0014】
前記ブライン液が揮発性のものであり、且つ、前記液体よりも低沸点であることで、ブライン液を除去した後にブライン液が仮に残っていても、そのブライン液は乾燥工程で水分と一緒に乾燥、蒸発して無くなる。
【0015】
また、
前記本体部に貯留されたブライン液に、液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液を供給する供給口を備えたことを特徴としてもよい。
【0016】
なお、前記液体は水であってもよいし、CNFを凝集せずに分散させ、ブライン液のより急速に凍結し得るものであれば水以外の液体であってもよい。例えば、水と凝固点が異なる液体であってもよいし、水に添加物が添加された液体であってもよい。もちろん該添加物は、セルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法を実施することで気化する物質であることが好ましいが、乾燥されたCNFの利用・用途の妨げにならない成分であればこの限りでない。
【0017】
さらに、
前記供給口と前記本体部に貯留されたブライン液とは相対的な位置関係を変化させながら該ブライン液に前記CNF分散液が供給されるものであることを特徴としてもよい。
【0018】
例えば、前記供給口が、移動しながら前記CNF分散液を供給するものであってもよいし、前記供給口は固定され、前記本体部が回転、揺動、あるいは振動している状態で該CNF分散液が供給されてもよいし、前記供給口も前記本体部も移動することで前記位置関係を変化させながら該CNF分散液が供給されてもよい。
【0019】
こうすることで、前記CNF分散液が前記ブライン液中で一箇所に集まらないようにすることができ、該CNF分散液と該ブライン液とが効率的に熱伝達されて凍結時間がより短くなり好ましい。
【0020】
なお、前記ブライン液に前記CNF分散液が供給される全期間にわたって、前記位置関係を変化させながら該CNF分散液が供給される態様であってもよいし、前記ブライン液に前記CNF分散液が供給される部分的な期間に限って、該位置関係を変化させながら該CNF分散液が供給される(例えば、間欠的に供給される)態様であってもよい。
【0021】
また、
前記供給口が、前記ブライン液中に供給した前記CNF分散液の単位質量当りの表面積が0.20m2/kg以上になるように該CNF分散液を供給するものであることを特徴としてもよい。
【0022】
前記ブライン液中に供給した前記CNF分散液の単位質量当りの表面積が0.20m2/kg未満であると、供給した該CNF分散液と該ブライン液との熱伝達の効率が低くなりすぎて、短時間のうちの凍結が難しくなる。
【0023】
なお、前記ブライン液中に供給した該CNF分散液の形状に限定はなく、球状、紐状、円筒状、滴状、螺旋状、貝殻状、蝶状、薄板状等であってもよい。また、CNF分散液は、前記ブライン液中に供給された時の形状のまま凍結するので、得られる乾燥したCNFのその後の利用における利便性に配慮して、凍結時の形状を選択するのが好ましい。
【0024】
また、
前記供給口を備えた前記容器と、
前記CNF分散液を前記本体部の内部で凍結させたCNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥を開始する乾燥手段とを備えたことを特徴とする乾燥装置であってもよい。
【0025】
ここにいう乾燥とは、液体濃度を低下させてのセルロースナノファイバーを濃縮する濃縮操作も含む(以下、同じ)。
【0026】
本発明の乾燥装置によれば、凝集が抑えられ状態で凍結されたCNF分散液凍結物を、その凍結状態のまま乾燥させることで、凝集が抑えられたCNFの乾燥物が得られる。
【0027】
また、
前記本体部の内部で前記ブライン液を濾過し前記CNF分散液凍結物を該本体部の内部に残す濾材を備えたことを特徴としてもよい。
【0028】
前記CNF分散液中の水分を蒸発させてCNFを濃縮させる技術として、t-ブタノール等の水よりも高温で凍結する溶剤を投入し、水をその溶剤で置換した上で凍結乾燥を行う技術が知られている。この技術では、水が上記溶剤に置換されるため、一見すると水素結合が形成されず凝集が抑えられるように思える。
【0029】
しかしながら、CNFは表面積が非常に大きく、水との親和性が高いため、水との完全な置換(分離)が困難であり、少量の水が残って、水素結合が形成され凝集してしまうことが避けられない。また、上記溶剤と置換するには、混合と遠心分離を相当回繰り返す必要があり、操作が煩雑になって必要機器も増える。
【0030】
また、水溶性高分子等の乾燥助剤を添加して乾燥を行う技術も知られているが、乾燥助剤は乾燥したCNFに残留してしまうため、乾燥助剤が許容される用途に限定されてしまい、普及の妨げになる。
【0031】
一方、前記ブライン液は、濾過によって、乾燥物への残留が問題にならない程度にまで容易に除去することができる。
【0032】
なお、前記濾材は、前記本体部の内部に配置されたものであってもよいし、該本体部の内部に出し入れ自在なものであってもよい。また、濾材を有する濾過装置が前記本体部に外付けされた態様であってもよい。
【0033】
また、
前記濾材は、前記CNF分散液が凍結するまで前記CNF分散液と接触しない位置に配置されたものであることを特徴としてもよい。
【0034】
例えば、前記供給口は、前記ブライン液の液面よりも上方に設けられたものであり、前記濾材は、前記ブライン液を貯留する前記本体部の底部に配置されたものであり、該供給口から供給された前記CNF分散液は前記底部に到達する前に凍結することで、前記濾材が該CNF分散液と接触しない態様であってもよい。また、前記本体部が上下反転可能なものであり、前記濾材は、前記供給口から前記CNF分散液が供給されている間は前記ブライン液の液面よりも上方(前記本体部の上部)に配置され、該濾材が該CNF分散液と接触せず、該CNF分散液の供給が終了した後(供給された該CNF分散液の全てが凍結した後)に、前記本体部が上下反転し、該濾材は、該ブライン液の液面よりも下方(前記本体部の下部)に配置される態様であってもよい。あるいは、前記濾材が前記本体部の内部に出し入れ自在なものであり、前記濾材は、前記供給口から前記CNF分散液が供給されている間は該本体部の内部から取り出され、該濾材が該CNF分散液と接触せず、該CNF分散液の供給が終了した後(供給された該CNF分散液の全てが凍結した後)に、該濾材が該本体部の内部に入れられ、該濾材は、該ブライン液の液面よりも下方(前記本体部の下部)に配置される態様であってもよい。
【0035】
前記濾材が、前記CNF分散液と接触しない位置に配置されていることで、CNF分散液が凍結する前に濾材をすり抜けたり、濾材中でCNF分散液が凍結して濾過の妨げになることを防ぐことができる。
また、
前記本体部は、前記CNF分散液凍結物の乾燥中に、回転、揺動、あるいは振動するものであることを特徴としてもよい。
【0036】
前記CNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥させる技術として棚式真空凍結乾燥技術が知られているが、棚式真空凍結乾燥機に用いる多数のトレイにはCNF分散液を数十mmの厚さで充填するため、手間がかかる。また、CNF分散液が充填されたトレイは、昇華熱が与えられる棚の上に載置され、CNF分散液は凍結されてCNF分散液凍結物になる。その後、トレイの下面から加熱され、トレイの上面側になる表面側の一面のみが被処理物の蒸発面としての露出面になり、この一面からのみ昇華した水蒸気が抜ける。乾燥が進み、氷晶が昇華することで蒸発面が下がっていくと、氷晶がなくなった微細な隙間を水蒸気が通る際の圧力差(抵抗)で氷晶の温度が上昇してしまう。さらに、蒸発面までの伝熱抵抗によっても氷晶の温度が上昇してしまう。このため、氷晶の凍結状態を維持するため昇華熱の温度(加熱温度)を低くしなければならず、乾燥に時間がかかる。
【0037】
以上説明した棚式真空凍結乾燥は被処理物を動かすことのない静的な乾燥であるといえる。一方、前記本体部が、前記CNF分散液凍結物の乾燥中に、回転、揺動、あるいは振動する乾燥装置における乾燥は動的な乾燥であるといえる。この動的な乾燥では、被処理物の表面全体が水蒸気を逃がすことができる露出面となり、上記圧力差(抵抗)が小さくなる。また、様々な方向から昇華熱が与えられることから、伝熱抵抗も問題になりにくい。これらのことから、昇華熱の温度(加熱温度)を高くすることができ、乾燥時間が短くなる。
【0038】
また、
液体中にセルロースナノファイバーが分散したCNF分散液をブライン液によって凍結させCNF分散液凍結物を得る凍結工程と、
前記CNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥を開始する乾燥工程とを有することを特徴とするセルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法であってもよい。
【0039】
この製造方法によれば、前記凍結工程において、前記CNF分散液が前記ブライン液によって短時間のうちに凍結されることでCNFの凝集が抑えられ、前記乾燥工程において、この凍結状態のままCNF分散液凍結物を乾燥させることで、凝集が抑えられたCNFの乾燥物が得られる。
【0040】
なお、前記凍結工程は、乾燥工程に使用する容器とは別の容器中のブライン液中でCNF分散液を凍結させる工程であってもよい。
【0041】
また、前記液体は水であってもよいし、CNFを凝集せずに分散させ、ブライン液のより急速に凍結し得るものであれば水以外の液体であってもよい。例えば、水と凝固点が異なる液体であってもよいし、水に添加物が添加された液体であってもよい。もちろん該添加物は、セルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法を実施することで気化する物質であることが好ましいが、乾燥されたCNFの利用・用途の妨げにならない成分であればこの限りでない。
【0042】
また、
前記凍結工程が完了した後であって前記乾燥工程を開始する前に、前記ブライン液を濾過することで、該ブライン液を該CNF分散液凍結物から分離する分離工程を有することを特徴としてもよい。
【0043】
前記分離工程によって、前記ブライン液は、乾燥工程での残留が問題にならない程度にまで容易に除去することができ、分離したブライン液は再利用することが可能であり、また、続く乾燥工程をより効率的に行うことができる。
また、
前記凍結工程が、揮発性のブライン液を用いる工程であることを特徴としてもよい。
【0044】
前記乾燥工程において、前記ブライン液が乾燥して無くなる。
【0045】
また、
前記乾燥工程が、前記CNF分散液凍結物を動かしながら該CNF分散液凍結物を乾燥させる工程であることを特徴としてもよい。
【0046】
この乾燥工程における乾燥は、動的な乾燥になり、加熱温度を高くすることができ、乾燥時間が短くなる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、CNFの凝集を抑えながらCNF分散液を凍結させることができる容器、その容器を備えた乾燥装置、およびセルロースナノファイバーの乾燥物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図2】CNFの乾燥物の製造方法を示すフロチャートである。
【
図3】CNF分散液が凍結した様子を模式的に示す図である。
【
図4】CNF分散液を供給している間の容器の態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態の容器を備えた乾燥装置が組み込まれた乾燥システムについて詳細に説明する。以下に説明する乾燥システムは、液体中にCNF(セルロースナノファイバー)が分散したCNF分散液を乾燥させるシステムである。
【0050】
【0051】
図1に示す乾燥システムDでは、本発明の一実施形態に相当する乾燥装置1と、濾液受容器3と、シールケース4と、コールドトラップ5と、冷凍機6を備えている。
【0052】
図1に示す乾燥装置1は、本発明の一実施形態に相当する容器10、この容器10内を減圧する真空ポンプ11、低温恒温槽20、この容器10を回転駆動するモータ12、水平方向に延在し回転中心になる供給側支持軸131と排出側支持軸132、供給側支持軸131を軸支する供給側軸受141、および排出側支持軸132を軸支する排出側軸受142を有する。真空ポンプ11は、
図1に示す乾燥システムDの下流側に設けられている。低温恒温槽20と真空ポンプ11を併せたものが乾燥手段の一例に相当する。また、供給側支持軸131とモータ12の出力軸それぞれにはスプロケット(図示省略)が備えられ、両者のスプロケットの間にチェーン15が捲回されている。この構成により、容器10は、上下反転、一方向あるいは両方向への連続回転、回転途中での静止、適宜の角度範囲での揺動することが可能である。もちろん回転や揺動時においては、その動きを妨げない様に固定配管は外されており、固定配管を必要とする工程時において該固定配管は接続される。固定配管が外された状態では、本体部100側との接続部に設けられているバルブは閉止された状態とされる。また、容器10に振動を与えるようにしてもよい。容器10の詳しい動作については後述する。
【0053】
図1に示す容器10は、初期姿勢の状態の一例である。初期姿勢の容器10は、上部が先細り状に形成された中空円筒状の本体部100と、本体部100の下端を開閉可能に塞ぐ蓋部110を有する。本体部100における先細りの先端には先端開口部101が形成されている。この先端開口部101には遮断バルブV1が接続されている。
図1に示す本体部100には、ブライン液Bが貯留されている。このブライン液Bは、CNF分散液中の液体(本実施形態では水)よりも凝固点が低い揮発性のものであって、具体的には、エタノールが用いられている。なお、エタノールに代えて、融点-30℃以下、沸点100℃未満のパラフィン類、脂環式炭化水素、アルコール類、エーテル類などの有機化合物(例えば、ヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、シクロヘキセン、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アリルアルコール、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、アセトン、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、トリエチルアミン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等)を用いてもよい。
【0054】
蓋部110の下部には濾液排出口111が形成されている。濾液排出口111に接続された管路は二股に分岐しており、一方は、濾液受容器3に接続されている。濾液排出口111と濾液受容器3との間には遮断バルブV2が設けられている。また、蓋部110と本体部100との間にはフィルタ支持材120が設けられ、このフィルタ支持材120の上面にフィルタ130が設置されている。
【0055】
さらに、
図1に示す初期姿勢の容器10の上方には、本体部100の内部に加圧ガスを供給する加圧手段102が設けられている。また、容器10には、本体部100の外周を覆うようにジャケット140が設けられている。供給側支持軸131の内部には往路1311と復路1312が形成されている。往路1311の先端はジャケット140内の、フィルタ支持材120の近傍まで配され、後端はロータリージョイント131aを用いて低温恒温槽20に接続されている。また、復路1312の先端もロータリージョイント131aを用いて低温恒温槽20に接続されており、後端はジャケット140内の、遮断バルブV1の近傍まで配されている。低温恒温槽20では、熱媒体を設定温度に保持している。熱媒体は、ブライン液Bと同じものであれば、濾液受容器3に回収されたブライン液Bを使い回しすることができる。ただし、熱媒体は、ブライン液Bとは異なる、CNF分散液中の液体よりも凝固点が低く、揮発性のものである必要はない。その熱媒体は、往路1311を通ってジャケット140に供給された後、ジャケット140から復路1312を通して回収され低温恒温槽20に戻されるといった循環を繰り返す。ジャケット14に熱媒体を循環供給することにより、本体部100を外側から調温してその内部の温度を所望の温度に調整することができる。
【0056】
一方、排出側支持軸132の内部には被乾燥物であるCNF分散液を本体部100の内部に供給する供給路1313が一例として鋼製のパイプ配管により管路が形成されている。このように、CNF分散液の供給路1313は、熱媒体が循環する往路1311及び復路1312あるいはジャケット140の温度の影響を受け難い位置に配されており、これによりCNF分散液の供給時において供給路1313内で凍結してしまうことを防いでいる。CNF分散液の供給路1313の先端になる供給口1314は、本体部100の内部で開口し、CNF分散液のその単位質量当りの表面積である比表面積が0.2m2/kg以上となる開口形状であり、開口方向はブライン液Bの液面を指向している。また、供給口1314の形状は限定されず、ブライン液B中に供給されたCNF分散液の形状が、球状、円筒状、円盤状、滴状、螺旋状、貝殻状、薄板状、蝶状、星形、薄いフレーク状、波形、ひねり形、角柱状等となる形状のものであってもよい。あるいは、供給口1314は、CNF分散液を噴霧可能なノズルを備えるものであってもよい。
【0057】
また、排出側支持軸132の内部には排出路1321も形成されている。この排出路1321は、本体部100の内部とシールケース4を連通する経路である。本体部100の内部には排気フィルタ103が設けられており、この排気フィルタ103を通過した気体が、排出路1321に入り込む。シールケース4の下流側にはコールドトラップ5が設けられ、さらに、その下流側には真空ポンプ11が設置されている。尚、上述の供給路1313は該排出路1321内を通り、排気フィルタ103の一部を適宜のシール構造を介して貫通し、供給口1314が本体部100内に臨んでいる。
【0058】
また、濾液排出口111に接続された、二股に分岐した管路の他方は、遮断バルブV3を介して排出路1321に連通している。
【0059】
続いて、
図1に示す乾燥システムDを用いて、CNF分散液を乾燥させCNFの乾燥物を製造する方法について説明する。
【0060】
図2は、CNFの乾燥物の製造方法を示すフロチャートである。
【0061】
まず、ブライン液準備工程(ステップS1)が実施される。このブライン液準備工程では、本体部100における先端開口部101の手前に設けられた遮断バルブV1を開放する。次いで、先端開口部101から、内部が空の本体部100にブライン液B(ここではエタノール)を供給する。濾液排出口111の下流に設けられた遮断バルブV2,V3は閉塞された状態である。ブライン液Bは、供給口1314及び排気フィルタ103がブライン液Bで浸らない近傍まで満たされており、後述する凍結工程が完了した段階でも浸ることのない液量である。なお、初期姿勢の容器10を上下反転し、蓋部110を開けて本体部100の内部にブライン液Bを供給し、蓋部110を閉めた後、容器10の姿勢を初期姿勢に戻してもよい。あるいは、CNF分散液を供給する供給路1313を利用して、供給路1313からブライン液Bを供給してもよい。本体部100の内部へのブライン液Bの供給が終了すると、本体部100の内部を密閉状態に保ったまま、その内部に貯留されたブライン液Bを、CNF分散液の凝固点以下になる所望の冷却温度まで冷却する。この冷却は、低温恒温槽20に上記冷却温度に応じた設定温度(例えば、-30℃)を設定し、低温恒温槽20でその設定温度まで冷却された熱媒体をジャケット14に循環供給することで行われる。
【0062】
本体部100には、本体部100の内部に貯留されたブライン液Bの温度を測定する温度計(不図示)が設けられており、ブライン液Bが上記冷却温度まで冷却されると、凍結工程(ステップS2)が実施される。この凍結工程では、CNF分散液をブライン浸漬により急速凍結する。なお、凍結工程の実施中も、上記設定温度まで冷却された熱媒体がジャケット14に循環供給され続ける。また、凍結工程の実施中は、3つの遮断バルブV1,V2,V3、加圧手段102の経路のバルブ1021はいずれも閉塞される。凍結工程では、CNF分散液の供給路1313のバルブ1315を開き、上記冷却温度まで冷却されたブライン液Bの中にCNF分散液を供給し、CNF分散液を短時間で凍結させる。CNF分散液の凍結時間は短い時間であればあるほど好ましい。CNF分散液の供給が終了した段階で供給路1313のバルブ1315は閉じられる。
【0063】
図3は、CNF分散液が凍結した様子を模式的に示す図である。ここでは、わかりやすいように、ブライン液にCNF分散液を薄い層状に流し込んだ場合に起きる凍結の様子を模式的に示す。
【0064】
図3(a)はCNF分散液を緩慢凍結(例えば、30分程度かけてゆっくりと凍結)させた場合の凍結後の状態を示す模式図であり、同図(b)はCNF分散液を急速凍結(例えば、5分程度で凍結)させた場合の凍結後の状態を示す模式図である。
【0065】
ブライン液にCNF分散液を流し込むと、まず、大部分を占める水の部分から凍結が始まり氷晶が形成される。前述の従来の棚式真空凍結乾燥機で、CNF分散液を薄い層状に流し込んで緩慢凍結させた場合には、模式的には
図3(a)に示すような大きな氷晶FSになる。白色で表した氷晶FSが大きく成長するために、広範囲に存在していたCNFは氷晶FSに追いやられて黒色で表した縦線状に集められると考えられる。
図3(a)に示す黒色の縦線はCNFが高濃度に含まれる濃厚液部RSになる。このように、緩慢凍結では、凍結時、異物を排除する性質がある水は、純粋な氷(氷晶FS)としてゆっくり大きく育ち、CNFが集まり濃厚液部RSが形成されると考えられる。
【0066】
一方、急速凍結では、急速に水が凍結する。急速に水が凍結した様子を、
図3(a)と同じ拡大倍率で模式的に表現すれば、大きな氷晶は見られず、
図3(b)に示すように一面全体に微細な氷晶が分散する模式図となる。しかしながら、丸で囲んだ部分を拡大して見れば、左下に示すように、CNF間に微細な氷晶FSが分散している。急速凍結では、氷晶FSは細かくなり、氷晶FS間の濃厚液部RFの領域も狭くなると考えられる。丸で囲んだ部分の一部をさらに拡大して見れば、右横の四角内に示すように、CNF間に微細な氷晶FSが分散し、一方、CNFは独立した繊維の状態で、固定化されている。このため、急速凍結の方が凝集が生じにくいと考えられる。
【0067】
凍結工程における、ブライン液B中へのCNF分散液の供給は、
図1に示す供給路1313の先端の開口直径2mmの円形状の供給口1314から行われる。本実施形態におけるCNF分散液は、CNFの濃度が2質量%前後であってゲル状の粘着性の強いものである。このため、供給口1314から供給されるCNF分散液の形状は、直径2mmの紐状になる。紐状のCNF分散液は、供給の仕方や本体部100を動かしたりするなどして短紐状にも長紐状にもすることができる。
【0068】
そのためCNF分散液を供給している間、モータ12を駆動させて容器10を回転あるいは揺動させてブライン液Bを流動させて、CNF分散液とブライン液Bとの熱伝達の効率を高めることが好ましい。
【0069】
図4は、CNF分散液を供給している間の容器の態様を示した図である。
【0070】
図4(a)は、容器10を回転させながら、供給口1314からCNF分散液を給液している様子を示す図である。容器10を回転することで、ブライン液Bを動かし、ブライン液Bの冷却、及びCNF分散液の凍結を促進する。CNF分散液の給液は、容器10を間欠的に回転させながら行ってもよいが、容器10の回転を停止させて行ってもよい。
【0071】
図4(b)は、容器10が振動している様子を示す図である。振動は、例えば容器10にバイブレータを取り付けることで発生させることができる。
図4(b)に示す容器10に貯留されたブライン液Bの液面は波立っている。この
図4(b)にも、フィルタ支持材120の上面に設置されたフィルタ130が示されている。
図4(b)では不図示の供給口から供給された紐状のCNF分散液は、ブライン液Bの液面から入って、底部にあるフィルタ130に到達する前に凍結する。すなわち、ブライン液Bの液面から入ったCNF分散液が、液体のままフィルタ130に到達しない程度の深さ量だけ、ブライン液Bが貯留されている。このため、フィルタ130の目がCNF分散液に分散しているCNFで詰まってしまうことが防がれている。
【0072】
図4(c)は、供給側支持軸131と排出側支持軸132を中心として容器10が揺動している様子を示す図である。容器10は、振動よりも大きく動いており、この
図4(c)では、容器10は右側に傾いた状態と左側に傾いた状態を交互に繰り返す。容器10の傾き角度が大きすぎると、ブライン液Bの液面からフィルタ130までの距離が短くなり、CNF分散液が凍結する前にフィルタ130に到達してしまうため、容器10の傾き角度は一定角度以内に抑えられている。
【0073】
容器10を回転、あるいは振動させたり揺動させることで、ブライン液B中へ供給されたCNF分散液が一箇所にかたまらずにブライン液B中に拡がり、CNF分散液とブライン液Bの接触面積が大きくなってCNF分散液の冷却が促進される。ただし、ブライン液Bが動いていることから、この場合では、ブライン液BとCNF分散液の相対速度が問題になる。ここでの相対速度は速い方が、CNF分散液が早く凍結し、好ましい。
【0074】
なお、容器10を動かさずにCNF分散液の供給口1314を動かしてもよく、容器10と供給口1341をともに動かし両者の相対的な位置関係を変化させるようにしてブライン液BにCNF分散液を供給するようにしてもよい。
【0075】
図4(d)は、初期姿勢の容器10が180度反転(上限反転)した反転姿勢の容器を示す図である。
【0076】
上述のブライン液準備工程(ステップS1)において容器10を初期姿勢から
図4(d)に示す反転姿勢にし、蓋部110を開けてブライン液Bを供給した後、反転姿勢のままブライン液Bを上記冷却温度まで冷却した上で、凍結工程を実施する。反転姿勢では、フィルタ130はブライン液Bの液面より上に配置されており、未凍結のCNF分散液がフィルタ130に接することはない。この反転姿勢でも、
図4(b)に示すように容器10を振動させたり、同図(c)に示すように容器10を揺動させることが好ましい。また、容器10を連続的に回転させながら、あるいは間欠的に回転させながらCNF分散液を供給する運転であっても構わない。CNF分散液のいずれの供給時においても、フィルタ130には凍結完了前の状態のCNF分散液が接触することはなく、また、供給口1314及び排気フィルタ103がブライン液Bで浸らない状態で凍結工程は行われる。容器10の揺動や回転を行いながら、あるいは供給口1314も動かしながらCNF分散液を供給するのは、CNF分散液を速やかに凍結完了させるためであり、ブライン液Bとの熱伝達効率の向上を目的としている。また、一か所にCNF分散液を集積させずにブライン液B中に広く散在させるためでもある。熱伝達効率は、ブライン液B中でのブライン液BとCNF分散液との相対速度として捉えることができ、ブライン液Bがジャケット140中の熱媒体により充分除熱される限りは、相対速度は速い方がより好ましい。
【0077】
ブライン液B中でCNF分散液が凍結し、CNF分散液凍結物がブライン液B中に生じると、
図1に示す様に初期姿勢の状態で分離工程(ステップS3)が実施される。容器10の回転中や、振動中や、揺動中に取り外されていた加圧手段102の配管は容器10に接続され、同じく濾液受容器3とバルブV2とを繋ぐ固定配管も容器10に接続される。なお、この分離工程の実施中も、上記設定温度まで冷却された熱媒体がジャケット14に循環供給され続ける。分離工程では、CNF分散液凍結物を生じさせたブライン液Bを濾過することで、ブライン液BをCNF分散液凍結物から分離する。濾過にあたっては、これまで閉じていた3つの遮断バルブV1,V2,V3、加圧手段102の経路のバルブ1021のうち、濾液受容器3手前の遮断バルブV2を開放し、
図1に示す加圧手段102経路のバルブ1021を開き、本体部100の内部に加圧空気を導入する。本体部100の内部では、ブライン液Bが加圧(0より大きく0.01MPaG以下の圧力が付与)され、ブライン液Bが濾過される。なお、必要に応じて、フィルタ130下方の空間を減圧するようにしてもよいし、加圧も減圧も行わずにろ過を行うようにしてもよい。固体であるCNF分散液凍結物はフィルタ130の目を通過することができず、液体であるブライン液Bのみが、フィルタ130の目を通過して濾液受容器3内へと流れ込む。濾液受容器3内に回収されたブライン液Bは再利用することができる。ブライン液Bの濾過が完了すると、本体部100の内部は、CNF分散液凍結物が残った状態になる。
【0078】
次いで、乾燥工程(ステップS4)が実施される。乾燥工程では、低温恒温槽20の設定温度を徐々に上げていき、ジャケット14に供給する熱媒体の温度を徐々に高め、CNF分散液凍結物に昇華熱を付与してCNF分散液凍結物を昇華させる。すなわち、CNF分散液凍結物を凍結させたまま乾燥を開始するが、乾燥途中にCNF分散液凍結物が融けださないように加熱温度を設定する。また、濾液排出口111と濾液受容器3の間に設けられた遮断バルブV2を閉鎖し、濾液排出口111と排出路1321の間に設けられた遮断バルブV3を開放する。さらに、真空ポンプ11を駆動し、本体部100の内部において生じた気体を吸引する。すなわち、本体部100の内部においては、CNF分散液凍結物を昇華させることによって蒸気が生じている。また、濾過後の本体部100の内部にブライン液が僅かにでも残っている場合は、本体部100の内部において生じた気体には、蒸気の他、ブライン液が気化した気体も含まれる。本体部100の内部で生じた気体は、排気フィルタ103で微粉が除去された後、排出路1321を通ってシールケース4に引き込まれる。また、この気体は、濾液排出口111からも排出路1321を通ってシールケース4に引き込まれる。シールケース4を通過した気体は、今度は、コールドトラップ5に引き込まれる。コールドトラップ5では、冷凍機6から冷媒が循環供給されており、コールドトラップ5を通過する気体は凝結され、氷になる。
【0079】
本実施形態では、本体部100の内部において生じた気体は、水蒸気であり、濾過で取り切れなかったブライン液がわずかに残っていた場合にはブライン液が気化したものも含まれるが、微量であり、通常は問題とはならない。また、脱臭など除去装置も不要である。さらに、回収した氷は廃液として処理する手間も生じない。加えて、低沸点溶剤を主体とした排気ガスではなく、水蒸気であるため、超低温対応の冷凍機は不要で一般的な冷凍機で足りる。これらのことから、本実施形態の乾燥システムDは、低コストなシステムになる。
【0080】
乾燥工程の完了は、容器10内の温度あるいは真空圧力が平衡状態になったり、コールドトラップ5の冷却温度が低下することなどにより確認され、乾燥工程の終了時には、遮断バルブV3を閉塞し、真空ポンプ11と冷凍機6を停止させる。次いで、遮断バルブV1を開放し、容器10内を大気圧に戻す。こうして、CNF分散液凍結物は乾燥され、本体部100の内部は、CNFの乾燥物が残った状態になる。
【0081】
最後に、取出工程(ステップS5)が実施され、本体部100の内部からCNFの乾燥物が取り出される。この取出工程では、本体10を反転姿勢にして先端開口部101からCNFの乾燥物を取り出してもよいし、初期姿勢のまま蓋部110を開け、フィルタ130ごとCNFの乾燥物を取り出してもよい。あるいは排出口V1から吸引させても良い。
【0082】
【0083】
図1に示す乾燥システムDにおける乾燥装置1に代えて、
図5に示す乾燥装置7を用いることもできる。この乾燥装置7は、容器本体700が
図1に示す乾燥装置1のように回転することはないが、ジャケット702を備え、容器本体700内に、攪拌機能と、挿抜可能な濾過機能を有する。すなわち、
図5に示す乾燥装置7は、円錐形の容器本体700と攪拌羽根710と濾過装置720を有する。濾過装置720は、容器本体700に対して外付けされた態様にある。容器本体700は上部が蓋体701で覆われ、熱媒体が供給されるジャケット702が周壁に設けられている。蓋体701に供給口703が固定配置され、供給バルブ704を開くことで、容器本体700内に供給口703からブライン液やCNF分散液を供給することができる。上述した実施形態と同様に本第2実施形態にも加圧ガスの経路が蓋体701に接続可能であり、排気フィルタ103を蓋体701の容器本体700内側あるいは外側に設け、その排気フィルタ103の下流に接続されるシールケース4、コールドトラップ5、真空ポンプ11、冷凍機6を備えるが、
図5では図示省略している。また、ジャケット702には低温恒温槽20から熱媒体の循環供給が行われる。
図2に示されているブライン液準備工程、凍結工程、分離工程、乾燥工程の各工程に要するバルブの大半も図示を省略しているが、これらの各工程におけるバルブの開閉動作は、本第2実施形態においても同様に行われる。
【0084】
攪拌羽根710は、例えば、螺旋リボンが、駆動軸711から放射状に突出した複数本の棒状の支え部材に支持され、容器本体700の内周壁近傍にそって周回するように配置されたものであって、駆動軸711が軸周りに回転することで回転駆動する。駆動軸711はシールされて蓋体701を貫通し、駆動装置712で駆動され、攪拌羽根710を回転させる。攪拌羽根710の回転により容器本体700内の処理材料に循環流動を生じさせる。
【0085】
濾過装置720は、フィルタ721と、そのフィルタ721が下端に取り付けられている吸引管722とから構成され、案内枠726に摺動可能に取り付けられている。吸引管722の中間部に係止部材724が取り付けられ、上端にフレキシブルチューブ725が取り付けられ、フレキシブルチューブ725と吸引のための不図示のポンプ及びバルブを介して、
図1と同様の濾液受容器3に連結されている。フィルタ721の形状としては、円筒状、円錐状、直方体状等の任意の形状のものが使用でき、特に先端は挿入時の抵抗が少ない様に尖頭型が好ましい。材質としてはろ布、金網、積層材、セラミック等処理材料の特性に応じて最適のものを使用することができる。吸引管722の内部は空洞で、フレキシブルチューブ725とフィルタ721とを連通し、ブライン液が流れるようにしている。この吸引管722へのフィルタ721の取付けは、螺合、継手、嵌合、ボルト止め等により取付け、取り外しが自在にできるようにされている。この濾過装置720では、フィルタ721が上下動する。すなわち、先端にフィルタ721が取り付けられた吸引管722は、
図5に示す矢印のように、容器本体700の内部に対して挿抜自在である。フィルタ721の上下動を案内する案内枠726は、取付部材7261と摺動部材7262とから組まれ、蓋体701に取り付けられている。この摺動部材7262に沿って、吸引管722に取り付けられた係止部材724が上下に摺動できるようにされている。一端にシール部材を設けた筒状のシール部728を蓋体701から斜め上方に伸ばして設け、シール部728内に吸引管722を貫通し、吸引管722と容器本体700内とをシールし、容器本体700内を真空でも、高圧にも維持が可能なようにして、汎用性を図っている。また、筒状のシール部728と摺動部材7262に沿って吸引管722が係止されるので、堆積している凍結物の中に挿入する際も先端のフィルタ721の位置のずれを起こさず、安定して上下動させることができる。濾過工程以外では、フィルタ721をシール部728まで引き上げて、容器本体700内の液体(例えば、ブライン液)、固体(例えば、CNF分散液凍結物や乾燥物)等に触れないようにしておくことができる。このように、フィルタ721を必要時のみ処理液(CNF分散液凍結物が沈降しているブライン液B)に浸すようにすることで、フィルタ721の目詰まりを防ぐことができる。尚、上述の支え部材は、フィルタ721及び吸引管722の挿抜の障害とならない様に配置され、攪拌羽根710の回転停止時においても挿抜の妨げにならない位置で停止する様に回転の停止は制御される。
【0086】
次いで、
図6に示す乾燥装置7の運転方法について説明する。まず、フィルタ721を最上部に移動させて、ブライン液に触れないようにする。ブライン液は、容器本体700内でジャケット702に供給された熱媒体によって-30℃にまで冷却されている。次いで、容器本体700の上部の蓋体701に設けられた供給バルブ704を開け、CNF分散液を供給口703から容器本体700の内部に供給し、供給が終了したら供給バルブ704を閉じる。必要に応じて、駆動装置712を運転して攪拌羽根710を回転させながらCNF分散液の供給を行うことでCNF分散液とブライン液Bを効率的に接触させて速やかな凍結の完了に至らせ、CNFの凝集を抑えることができる。
図5においては供給口703は蓋体701に固定配置され、蓋体701に一体的に供給口703の開口が設けられているが、容器本体700の内部に突出させて、適宜の位置にCNF分散液を落下させたり、あるいは突出させた先端にノズルを設け、ノズルからCNF分散液を分散供給することも可能である。
【0087】
続いて、濾過操作を開始するには、回転している攪拌羽根710を所定の位置で停止させ、吸引管722に取り付けた係止部材724を案内枠726の摺動部材7262に沿って摺動させて下降させ、フィルタ721を容器本体700の底部のブライン液B部に浸漬させる。次いで、容器本体700内を加圧又は吸引することでブライン液の濾過を行う。濾過を終了した後にフィルタ721は引上げられる。
【0088】
次いで、真空凍結乾燥を行う。ジャケット702に、熱媒体を供給し、徐々に昇温させる。また、
図1に示す真空ポンプ11を駆動し、容器本体700の内部において生じた気体(蒸気)を吸引する。なお、必要に応じて攪拌羽根710を回転し、CNF分散液凍結物を攪拌しながら乾燥することもできる。乾燥後に乾燥物は容器本体700底部の排出部(蓋板部)から取り出される。
【0089】
続いて、実験結果について説明する。
(CNF分散液)
以下に説明する実験では、第一工業製薬株式会社製レオクリスタ(登録商標)をCNF分散液として使用した。CNFの濃度は2.3質量%であり、高水分であるがチキソ性をもったゲル状であった。常温では色は透明であった。東機産業株式会社のTVB10形粘度計を用いて粘度測定を行った結果、20.5℃において16670mPa・sであった。なた、凝固点は-2.2℃である。
(凍結状態の確認)
以下に説明する実験では、ブライン液としてエタノールを使用した。そのブライン液を冷却後、ブライン液中にCNF分散液を投入し、凍結状態を確認した。CNF分散液は凍結すると白色に変化することが確認できた。
【0090】
また、低温恒温水槽に貯留したブライン液の冷却温度をかえて、CNF分散液を投入した。給液形状は、吐出口が開口直径2mmの円形のものを使用した。株式会社イマダ製のフォースゲージ(FB-10K)にアタッチメントA型(先尖り型)を装着し、ブライン液中でCNF分散液凍結物の硬さを測定した。結果を表1に示す。
【0091】
【0092】
フォースゲージで測定した硬さは、CNF分散液の凍結度合いを表す相対的な目安であるが、明らかに、ブライン液の冷却温度が-20℃ではやわらかく、-28℃では硬いことがわかる。1-(CNF分散液の凝固点/ブライン液の冷却温度)の式から求めた凍結率は、-20℃の場合は約89%、-28℃の場合は約92%になる。
【0093】
CNF分散液がブライン液中に投入されてから2分経過した時点では、ブライン液の冷却温度に関わらず、CNF分散液は白色に変化しており、ブライン液中にCNF分散液を投入すれば、CNF分散液は2分程度で凍結することが確認された。
【0094】
また、投入されたCNF分散液は、ブライン液中では1本の紐状体になる。ブライン液の冷却温度を-28℃にした実験では、CNF分散液をブライン液中に投入してから20秒が経過して時点で、紐状体の3箇所の直径を測定した。結果は、2.10mm、1.90mm、1.99mmであり、平均すると、2.00mmになる。このことから、CNF分散液は、ブライン液中に供給された時の形状を維持していることが確認された。
【0095】
続いて、ブライン液中に投入した上記CNF分散液の単位質量当りの表面積(比表面積(m2/kg))と、ブライン液の冷却温度と、CNF分散液の凍結状態の関係について実験を行った。結果を表2に示す。
【0096】
【0097】
CNF分散液をチューブから押し出してブライン液に供給した場合には、CNF分散液はブライン液中では紐状体になった。太さ(直径)が、2mmのチューブ、5mmのチューブ、10mmのチューブ、15mmのチューブ、20mmのチューブ、および25mmのチューブそれぞれの場合における理論計算を行い、比表面積が2.00(m2/kg)から0.16(m2/kg)の間で6通りとして示した。また、6通りの比表面積に対応する球状体の場合の径も併せて示した。
【0098】
この実験では、CNF分散液をブライン液中に供給してからCNF分散液が白色に変化するまでの時間を凍結時間として測定した。また、CNF分散液がブライン液中に供給されてから白色に変化するまでの間のCNF分散液とブライン液との相対速度も計測した。
【0099】
この実験では、CNF分散液の色が目視で透明から白色に変化した時点で凍結したとして、CNF分散液を供給してから白色に変化するまでの時間を凍結時間として測定した。また、CNF分散液がブライン液中に供給されてから、CNF分散液が白色に変化するまでの間のCNF分散液とブライン液との相対速度も計測した。
【0100】
表中の◎は、凍結時間が6分未満であり、相対速度が1m/s未満であったことを示す。○は、凍結時間が6分未満であるが相対速度が1m/s以上であったことを示す。表中の×は、相対速度を上げても凍結時間が6分以上掛かり、急速凍結できなかったことを示す。
【0101】
比表面積が大きくなればなるほどブライン液との接触面積が増え、CNF分散液の熱が奪われやすくなって凍結時間が短くなると考えられる。このため、ブライン液中に供給したCNF分散液の単位質量当りの表面積が0.2m2/kg以上になるようにCNF分散液を供給することが必要である。具体的には、CNF分散液を、紐状体として供給する場合には直径が20mm以下になるようにする必要があり、球体として供給する場合には直径が30mm以下になるようにする必要がある。また、ブライン液中に供給したCNF分散液の単位質量当りの表面積が0.4m2/kg以上になるようにCNF分散液を供給することが好ましい。具体的には、CNF分散液を、紐状体として供給する場合には直径が10mm以下になるようにすることが好ましく、球体として供給する場合には直径が15mm以下になるようにすることが好ましい。さらに、ブライン液中に供給したCNF分散液の単位質量当りの表面積が0.8m2/kg以上になるようにCNF分散液を供給することがより好ましい。具体的には、CNF分散液を、紐状体として供給する場合には直径が5mm以下になるようにすることがより好ましく、球体として供給する場合には直径が7.5mm以下になるようにすることがより好ましい。
【0102】
また、単位質量当りの表面積を大きくしやすい形状としては、星形、波形、ひねり形、薄いフレーク状、円盤状、円筒状、角柱状(四角い紐状)、薄板状等があげられる。あるいは市販の1流体ノズル等を用いてCNF分散液を圧送供給することでも可能である。
(CNFの乾燥物の製造実験)
続いて、凍結工程~排出工程の一連の実験について説明する。
【0103】
この実験では、
図1に示す乾燥システムDを使用した。低温恒温槽20から-25℃の熱媒体をジャケット140に供給した状態で、ブライン液にCNF分散液を、直径2mmの円形の供給口1314から紐状体として供給し、5分経過後、加圧濾過によってブライン液を除去した。CNF分散液が供給されたブライン液の温度は、-20℃以下であった。
【0104】
乾燥工程では、真空凍結乾燥を行った。ここでは、真空圧力を50Pa(絶対圧)としたことから水の飽和温度は-27℃になる。低温恒温槽20から-30℃の熱媒体をジャケット140に供給させた。その結果、本体部100の内部温度は-27℃以下まで低下した。その後、熱媒体の温度を徐々に上げていき、最終的には20℃まで昇温させた。本体部100の内部温度は19℃まで上昇し平衡状態になった。乾燥工程開始から終了までの時間は24時間であった。
【0105】
【0106】
図6(a)は、乾燥工程を終えた本体部100の内部を先端開口部101から撮影した写真である。この写真では、フィルタ130の外周部分にCNFの乾燥物が見える。乾燥物は、目視でも紐状であることがわかる。
【0107】
CNF分散液を短時間のうちに凍結する本実施形態の技術によれば、CNF分散液は、特に収縮等も起きずに、ブライン液中に供給された時の形状のまま凍結するため、顧客の望む形状でブライン液中に供給すればよい。
【0108】
排出工程では、乾燥物の、本体部100内壁面等への固着はほとんどなく、乾燥物は全量を取り出すことができた。
【0109】
図6(b)は、取り出した乾燥物を光学顕微鏡で50倍に拡大したときの画像である。
【0110】
図6(b)の画像でも、供給時の紐状の形状がそのまま維持されており、右端は破断させた部分であり、この部分はふわふわした多孔質であることが観察される。
【0111】
CNFは凝集が生じると、その箇所は変色したりするが、
図6(b)に示す画像には変色は見当たらない。
【0112】
また、乾燥物におけるCNFの濃度は95質量%程度であり、水分は5質量%程度しか残っておらず、十分な乾燥ができたことが確認された。
【0113】
さらに、乾燥物の再分散性(復水性)については、乾燥物の一部を採取して水に入れて薬さじで手混合することで容易に再分散することができ、ホモジナイザを用いなくとも再分散することが確認された。
【0114】
加えて、乾燥物を分散させたゲルは、元のCNF分散液と同等のチキソ性、粘性を保持している。
【0115】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【0116】
なお、以上説明した各実施形態の記載や実験例にのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や実験例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0117】
D 乾燥システム
1,7 乾燥装置
10 容器
100 本体部
700 容器本体
130,721 フィルタ
140,702 ジャケット
1314,703 供給口
11 真空ポンプ
20 低温恒温槽
3 濾液受容器
4 シールケース
5 コールドトラップ
6 冷凍機
B ブライン液