(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】シートレール及びシートのシートレールへの取付方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/06 20060101AFI20240411BHJP
B60N 2/005 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B60N2/06
B60N2/005
(21)【出願番号】P 2021093307
(22)【出願日】2021-06-02
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】521241694
【氏名又は名称】江頭 慎治
(74)【代理人】
【識別番号】100223907
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】江頭 慎治
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-076540(JP,A)
【文献】特開平02-128936(JP,A)
【文献】特開2019-018711(JP,A)
【文献】特開2006-007859(JP,A)
【文献】特開2006-193010(JP,A)
【文献】特開2017-154740(JP,A)
【文献】特開平11-178677(JP,A)
【文献】特開平11-318629(JP,A)
【文献】実開平05-001344(JP,U)
【文献】実開平03-122927(JP,U)
【文献】実開昭63-034731(JP,U)
【文献】実開平02-059647(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に沿って配置されるとともに互いに離間して配置された一対の固定レール(11)と、
前記一対の固定レールのそれぞれにスライド可能に取り付けられた一対の可動レール(12)と、
鉛直方向に延在しシートのシートクッションの前部が取り付けられる一対の前側シート取付部(20a、20g)が形成され、前記一対の可動レールの前部に取り付けられた前側シート取付部材(20)と、
鉛直方向に延在し前記シートクッションの後部が取り付けられる一対の後側シート取付部(30a、30g)が形成され、前記一対の可動レールの後部に取り付けられた後側シート取付部材(30)と、を有するシートレール(100)であって、
前記前側シート取付部材は、
前記一対の前側シート取付部のそれぞれの下端に接続し、前記可動レールの上端部よりも下方の位置において幅方向であって且つ水平方向に延在し、前記前側シート取付部と直交し、幅方向について前記可動レールの外側に形成された一対の逃部(20b、20f)と、
下端が前記一対の逃部の端部に接続し、
前記逃部との接続部分から上方に向かって鉛直方向に延在し、前記逃部と直交する一対の鉛直部(20c、20e)と、
両端が前記一対の鉛直部の上端と接続し、幅方向であって且つ水平方向に延在し、前記鉛直部と直交し、下面が前記一対の可動レールの上面に取り付けられ、前記一対の鉛直部を結合するとともに、前記一対の可動レールを結合する横断部(20d)と、を更に有し、
前記前側シート取付部は、前記逃部、前記鉛直部、及び前記横断部によって前記可動レールに取り付けられて、幅方向について前記可動レールの外側に配置されていることを特徴とするシートレール。
【請求項2】
前記後側シート取付部材は、前記一対の後側シート取付部の上端に接続し、幅方向に延在し、前記一対の可動レールの後部の上面に取り付けられた一対の水平部(30b、30f)を更に有し、
前記後側シート取付部は、前記可動レールの上面よりも下方に位置する部分を有することを特徴とする請求項1に記載のシートレール。
【請求項3】
前記後側シート取付部材は、両端が前記一対の水平部に接続して、前記一対の水平部を接続する接続部(30j)を更に有し、
前記接続部には、下方に向かって凹陥した後側凹陥部(30k)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシートレール。
【請求項4】
幅方向に延在し、前記一対の固定レールの前部の下面に取り付けられ、前記一対の固定レールを結合するブラケット取付部材(40)と、
前記ブラケット取付部材の両端部に取り付けられ、ボルト穴(60c)が形成された前側ブラケット(60)と、を更に有し、
前記ブラケット取付部材には、前記一対の固定レールの間の位置において、上方に凹陥した前側凹陥部(40f)が形成されていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のシートレール。
【請求項5】
前記一対の固定レールの後部の下面に取り付けられ、取付穴(70a)が形成された一対の後側ブラケット(70)を更に有し、
前記取付穴の上側の開口部には、前記取付穴の下側に比べて内径が大きい頭部収納部(70b)が形成されていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のシートレール。
【請求項6】
前記一対の可動レールを前記一対の固定レールに対してスライド不能なロック状態と、前記一対の可動レールを前記一対の固定レールに対してスライド可能な解除状態とに切り替える一対のロック機構(13)と、
前記一対のロック機構に取り付けられたハンドルレバー(80)と、を更に有し、
前記ハンドルレバーは、前記一対のロック機構にそれぞれ取り付けられて前記ロック機構の前方に延在する一対の側部材(81、83、84)と、両端が前記一対の側部材の前方側の先端に接続されて、前記一対の側部材の前方側の先端を接続する接続部材(82)とから構成され、
前記一対の側部材の少なくともいずれか一方は、前方に位置するに従って左右方向の中心側に位置するように傾斜していることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のシートレール。
【請求項7】
シート(500)をシートレール(100)に取り付けるシートの取付方法であって、
前記シートは、シートクッション(501)と、前記シートクッションの後部に揺動可能に取り付けられたシートバック(502)と、前記シートクッションの裏面に取り付けられたベース部材(504)とを備え、
前記ベース部材は、前後方向に沿って配置されるとともに互いに対向して配置されて前部及び後部に
それぞれ一対の前部取付部(504c)と一対の後部取付部(504e)が形成された一対のサイドフレーム(504a)と、前記一対のサイドフレームの前部の内側にそれぞれ接続し、
前記一対のサイドフレームの前部の内側との接続部分から前方に延在した一対の前側支持部材(504g)と、両端が前記一対のサイドフレームの内側に取り付けられて、一対のサイドフレームを結合するフレーム接続部材(504b)とを備え、
前記シートレールは、
前後方向に沿って配置されるとともに離間して配置された一対の固定レール(11)と、
前記一対の固定レールのそれぞれにスライド可能に取り付けられた一対の可動レール(12)と、
鉛直方向に延在し一対の前記前部取付部がそれぞれ取り付けられる一対の前側シート取付部(20a、20g)と、前記一対の前側シート取付部のそれぞれの下端に接続し、前記可動レールの上端部よりも下方の位置において幅方向であって且つ水平方向に延在し、前記前側シート取付部と直交し、幅方向について前記可動レールの外側に形成された一対の逃部(20b、20f)と、下端が前記一対の逃部の端部に接続し、
前記逃部の端部との接続部分から上方に向かって鉛直方向に延在し、前記逃部と直交する一対の鉛直部(20c、20e)と、両端が前記一対の鉛直部の上端と接続し、幅方向であって且つ水平方向に延在し、前記鉛直部と直交し、下面が前記一対の可動レールの上面に取り付けられ、前記一対の鉛直部を結合するとともに、前記一対の可動レールを結合する横断部(20d)
を備え、前記前側シート取付部は、前記逃部、前記鉛直部、及び前記横断部によって前記可動レールに取り付けられて、幅方向について前記可動レールの外側に配置されている前側シート取付部材(20)と、
鉛直方向に延在し前記一対の
後部取付部が
それぞれ取り付けられる一対の後側シート取付部(30a、30g)が形成され、前記一対の可動レールの後部に取り付けられて、前記一対の可動レールを結合する後側シート取付部材(30)と、を有し、
前記シートを前記シートレールに取り付ける前に、前記シートから前記フレーム接続部材を除去し、
前記一対の前側支持部材のそれぞれを、一対の
前記前側シート取付部の内側にそれぞれ配置させたうえで取り付けて、前記シートを前記シートレールに取り付けることを特徴とするシートのシートレールへの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを例えば乗用車等の車両のフロアに取り付けるためのシートレールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるように、シートを例えば乗用車等の車両に取り付けるためのシートレールが有る。このシートレールは、車両の車室内のフロアに固定された固定レールと、この固定レールに対して移動可能に設けられた可動レールを有している。そして、可動レールの上部には、シートが取り付けられるシート固定板が取り付けられている。このようなシートレールによって、シートが車両のフロアに前後方向に移動可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるシートレールでは、シートが取り付けられるシート固定板が、可動レールの上部に取り付けられているので、シートの取り付け位置がフロアに対して高くなってしまうという問題があった。
【0005】
シートの取り付け位置がフロアに対して高くなってしまうと、乗員の頭部が車両の天井部に近接し、乗員が窮屈に感じるという問題が有った。また、ドライバーが適正なポジションをとることができず、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダルが操作し難くなったり、大腿部の座面と当接する部分が痛くなるという問題が有った。更に、乗員のフロアに対する位置が高くなるために、乗員を含めた車両の重心が高くなり、車両のローリング量やピッチング量が大きくなり、車両の操縦安定性が悪化するという問題があった。
【0006】
本発明は、より低い位置にシートを車両のフロアに取り付けることができるシートレール及びシートのシートレールへの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた、請求項1に記載のシートレールは、
前後方向に沿って配置されるとともに互いに離間して配置された一対の固定レール(11)と、
前記一対の固定レールのそれぞれにスライド可能に取り付けられた一対の可動レール(12)と、
鉛直方向に延在しシートのシートクッションの前部が取り付けられる一対の前側シート取付部(20a、20g)が形成され、前記一対の可動レールの前部に取り付けられた前側シート取付部材(20)と、
鉛直方向に延在し前記シートクッションの後部が取り付けられる一対の後側シート取付部(30a、30g)が形成され、前記一対の可動レールの後部に取り付けられた後側シート取付部材(30)と、を有するシートレール(100)であって、
前記前側シート取付部材は、
前記一対の前側シート取付部のそれぞれの下端に接続し、前記可動レールの上端部よりも下方の位置において幅方向であって且つ水平方向に延在し、前記前側シート取付部と直交し、幅方向について前記可動レールの外側に形成された一対の逃部(20b、20f)と、
下端が前記一対の逃部の端部に接続し、前記逃部との接続部分から上方に向かって鉛直方向に延在し、前記逃部と直交する一対の鉛直部(20c、20e)と、
両端が前記一対の鉛直部の上端と接続し、幅方向であって且つ水平方向に延在し、前記鉛直部と直交し、下面が前記一対の可動レールの上面に取り付けられ、前記一対の鉛直部を結合するとともに、前記一対の可動レールを結合する横断部(20d)と、を更に有し、
前記前側シート取付部は、前記逃部、前記鉛直部、及び前記横断部によって前記可動レールに取り付けられて、幅方向について前記可動レールの外側に配置されている。
【0008】
これによれば、一対の逃部が、前側シート取付部のそれぞれの下端に接続し、可動レールの上端部よりも下方の位置において幅方向に延在し、一対の前側シート取付部のそれぞれを一対の可動レールのそれぞれに取り付けている。このため、シートクッションの前部が取り付けられる前側シート取付部を固定レールの上端部よりも下方の位置に位置させることができる。この結果、シートクッションの前部をより下方に位置させることができ、ひいてはより低い位置にシートを車両のフロアに取り付けることが可能となる。
【0010】
また、横断部によって、一対の可動レールが結合させている。このため、シートレールの剛性を向上させることができ、シートレールに取り付けられたシートのがたつきを抑制することができる。
【0011】
また、逃部が、鉛直部及び横断部を介して可動レールに取り付けられているので、逃部が直接可動レールに取り付けられている構成と比較して、逃部が可動レールから剥がれ落ちしてまうことを防止することができる。つまり、乗員がシートに座って、逃部に下方の力が作用した場合には、逃部が接続している鉛直部を介して横断部に下方の力が作用するが、横断部は可動レール上に取り付けられて可動レールに支持されているので、逃部が可動レールから剥がれ落ちてしまうことを防止することができる。
【0012】
請求項2に記載のシートレールは、請求項1に記載のシートレールにおいて、
前記後側シート取付部材は、前記一対の後側シート取付部の上端に接続し、幅方向に延在し、前記一対の可動レールの後部の上面に取り付けられた一対の水平部(30b、30f)を更に有し、
前記後側シート取付部は、前記可動レールの上面よりも下方に位置する部分を有する。
【0013】
これによれば、後側シート取付部が、可動レールの上面よりも下方に位置する部分を有しているので、シートクッション後部を後側シート取付部に取り付けるための取付ボルトが挿通される取付穴を、可動レールの上面よりも下方の位置の後側シート取付部に形成することができる。このため、シートクッションの後部をより下方に位置させることができ、ひいてはより低い位置にシートを車両のフロアに取り付けることが可能となる。
【0014】
請求項3に記載のシートレールは、請求項2に記載のシートレールにおいて、
前記後側シート取付部材は、両端が前記一対の水平部に接続して、前記一対の水平部を接続する接続部(30j)を更に有し、
前記接続部には、下方に向かって凹陥した後側凹陥部(30k)が形成されている。
【0015】
これによれば、接続部が一対の水平部に接続している。このため、一対の可動レールの後部が水平部及び接続部によって接続されている。この結果、シートレールの剛性を向上させることができ、シートレールに取り付けられたシートのがたつきを抑制することができる。
【0016】
また、接続部には、下方に向かって凹陥した後側凹陥部が形成されている。このため、シートクッションの底面が接続部に当接することを抑制することができ、シートクッションのクッション性の悪化を抑制することができる。
【0017】
なお、請求項3に記載のシートレールにおいては、
前記後側凹陥部は、
前記一対の水平部よりも下方において水平方向に延在する後側干渉防止部(30d)と、
前記後側干渉防止部の両端のそれぞれに接続し、前記後側干渉防止部から離れるに従って上方に位置するように傾斜した一対の後側傾斜部(30c、30e)と、から構成されていることが好ましい。
【0018】
このように構成すれば、後側干渉防止部と水平部とを接続する部材が鉛直方向に延在する構成と比較して、後側シート取付部材の剛性を高くすることができる。このため、シートレールの剛性を向上させることができ、シートレールに取り付けられたシートのがたつきを抑制することができる。
【0019】
請求項4に記載のシートレールは、請求項1~請求項3に記載のシートレールにおいて、
幅方向に延在し、前記一対の固定レールの前部の下面に取り付けられ、前記一対の固定レールを結合するブラケット取付部材(40)と、
前記ブラケット取付部材の両端部に取り付けられ、ボルト穴(60c)が形成された前側ブラケット(60)と、を更に有し、
前記ブラケット取付部材には、前記一対の固定レールの間の位置において、上方に凹陥した前側凹陥部(40f)が形成されている。
【0020】
これによれば、ブラケット取付部材によって一対の固定部材の前部が結合されている。このため、シートレールの剛性を向上させることができ、シートレールに取り付けられたシートのがたつきを抑制することができる。
【0021】
また、ブラケット取付部材には、一対の固定レールの間の位置において、上方に凹陥した前側凹陥部が形成されている。このため、前側凹陥部の下方にフロア上に配置されたハーネスを配置させることによって、ハーネスとブラケット取付部材との干渉を防止することができる。この結果、前側ブラケットに形成されたボルト穴の位置を、よりブラケット取付部材側に位置させたとしても、ハーネスとブラケット取付部材との干渉を防止することができる。よって、前側ブラケットに形成されたボルト穴の位置を、よりブラケット取付部材側に位置させることにより、シートレールの前方部の位置をよりフロアに近接させることができ、より一層低い位置にシートを車両のフロアに取り付けることが可能となる。
【0022】
請求項4に記載の発明においては、
前記前側凹陥部は、
前記一対の固定レールの下面よりも上方に位置し、水平方向に延在する前側干渉防止部(40c)と、
前記前側干渉防止部の両端にそれぞれ接続し、前記前側干渉防止部から離れるに従って下方に位置するように傾斜した一対の前側傾斜部(40b、40d)と、から構成されていることが好ましい。
【0023】
このように構成すれば、一対の前側傾斜部が前側干渉防止部から離れるに従って下方に位置するように傾斜しているので、前側干渉防止部の両端と接続する部材が鉛直方向に延在する場合と比較して、ブラケット取付部材の剛性を高くすることができる。このため、シートレールの剛性を向上させることができ、シートレールに取り付けられたシートのがたつきを抑制することができる。
【0024】
請求項5に記載のシートレールは、請求項1~請求項4に記載のシートレールにおいて、
前記一対の固定レールの後部の下面に取り付けられ、取付穴(70a)が形成された一対の後側ブラケット(70)を更に有し、
前記取付穴の上側の開口部には、前記取付穴の下側に比べて内径が大きい頭部収納部(70b)が形成されている。
【0025】
これによれば、取付穴の上側の開口部には、取付穴の下側に比べて内径が大きい頭部収納部が形成されているので、取付穴に挿通しフロアにねじ込まれる取付ボルトの頭部を頭部収納部に収納させることができる。このため、取付ボルトの頭部の後側ブラケットの上面からの露出を防止することができる。この結果、可動レールを固定レールに対して後方にスライドさせる場合において、後側シート取付部の取付ボルトの頭部への干渉を防止することができる。よって、後側シート取付部の下端をより後側ブラケットに近接させて下方に位置させることができ、シートクッションの後部をより一層下方に位置させることができ、より一層低い位置にシートを車両のフロアに取り付けることが可能となる。
【0026】
請求項6に記載のシートレールは、請求項1~請求項5に記載のシートレールにおいて、
前記一対の可動レールを前記一対の固定レールに対してスライド不能なロック状態と、前記一対の可動レールを前記一対の固定レールに対してスライド可能な解除状態とに切り替える一対のロック機構(13)と、
前記一対のロック機構に取り付けられたハンドルレバー(80)と、を更に有し、
前記ハンドルレバーは、前記一対のロック機構にそれぞれ取り付けられて前記ロック機構の前方に延在する一対の側部材(81、83、84)と、両端が前記一対の側部材の前方側の先端に接続されて、前記一対の側部材の前方側の先端を接続する接続部材(82)とから構成され、
前記一対の側部材の少なくともいずれか一方は、前方に位置するに従って左右方向の中心側に位置するように傾斜している。
【0027】
これによれば、一対の側部材の少なくともいずれか一方は、前方に位置するに従って左右方向の中心側に位置するように傾斜しているので、一対の固定レールのうちいずれかの固定レールの前方のフロアが盛り上がっている場合であっても、フロアの盛り上がっている部分と一対の側部材のいずれか一方との干渉を防止することができる。このため、前側ブラケットに形成されたボルト穴の位置を、よりブラケット取付部材側に位置させたとしても、フロアの盛り上がっている部分と一対の側部材のいずれか一方との干渉を防止することができる。よって、前側ブラケットに形成されたボルト穴の位置を、よりブラケット取付部材側に位置させることができ、シートレールの前方部の位置をよりフロアに近接させることができ、より一層低い位置にシートを車両のフロアに取り付けることが可能となる。
【0028】
上記目的を達成するためになされた、請求項7に記載のシートのシートレールへの取付方法は、
シート(500)をシートレール(100)に取り付けるシートの取付方法であって、
前記シートは、シートクッション(501)と、前記シートクッションの後部に揺動可能に取り付けられたシートバック(502)と、前記シートクッションの裏面に取り付けられたベース部材(504)とを備え、
前記ベース部材は、前後方向に沿って配置されるとともに互いに対向して配置されて前部及び後部にそれぞれ一対の前部取付部(504c)と一対の後部取付部(504e)が形成された一対のサイドフレーム(504a)と、前記一対のサイドフレームの前部の内側にそれぞれ接続し、前記一対のサイドフレームの前部の内側との接続部分から前方に延在した一対の前側支持部材(504g)と、両端が前記一対のサイドフレームの内側に取り付けられて、一対のサイドフレームを結合するフレーム接続部材(504b)とを備え、
前記シートレールは、
前後方向に沿って配置されるとともに離間して配置された一対の固定レール(11)と、
前記一対の固定レールのそれぞれにスライド可能に取り付けられた一対の可動レール(12)と、
鉛直方向に延在し一対の前記前部取付部がそれぞれ取り付けられる一対の前側シート取付部(20a、20g)と、前記一対の前側シート取付部のそれぞれの下端に接続し、前記可動レールの上端部よりも下方の位置において幅方向であって且つ水平方向に延在し、前記前側シート取付部と直交し、幅方向について前記可動レールの外側に形成された一対の逃部(20b、20f)と、下端が前記一対の逃部の端部に接続し、前記逃部の端部との接続部分から上方に向かって鉛直方向に延在し、前記逃部と直交する一対の鉛直部(20c、20e)と、両端が前記一対の鉛直部の上端と接続し、幅方向であって且つ水平方向に延在し、前記鉛直部と直交し、下面が前記一対の可動レールの上面に取り付けられ、前記一対の鉛直部を結合するとともに、前記一対の可動レールを結合する横断部(20d)を備え、前記前側シート取付部は、前記逃部、前記鉛直部、及び前記横断部によって前記可動レールに取り付けられて、幅方向について前記可動レールの外側に配置されている前側シート取付部材(20)と、
鉛直方向に延在し前記一対の後部取付部がそれぞれ取り付けられる一対の後側シート取付部(30a、30g)が形成され、前記一対の可動レールの後部に取り付けられて、前記一対の可動レールを結合する後側シート取付部材(30)と、を有し、
前記シートを前記シートレールに取り付ける前に、前記シートから前記フレーム接続部材を除去し、
前記一対の前側支持部材のそれぞれを、一対の前記前側シート取付部の内側にそれぞれ配置させたうえで取り付けて、前記シートを前記シートレールに取り付ける。
【0029】
これによれば、シートをシートレールに取り付ける前に、フレーム接続部材を除去することにしているので、フレーム接続部材が前側シート取付部材、後側シート取付部材、可動レールと干渉することが防止することができる。このため、前側シート取付部及び後側シート取付部をより低い位置に位置させたとしても、フレーム接続部材が前側シート取付部材、後側シート取付部材、可動レールと干渉することが防止することができる。よって、前側シート取付部及び後側シート取付部をより低い位置に位置させることにより、より一層低い位置にシートを車両のフロアに取り付けることが可能となる。
【0030】
また、シートレールは、横断部によって一対の可動レールが結合されているので、一対のサイドフレームを結合するフレーム接続部材を除去したとしても、シートレールに取り付けられたシートの剛性の低下が防止される。
【0031】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態のシートレールの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態のシートレールの平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態のシートレールの底面図である。
【
図4】本発明の一実施形態のシートレールの左側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態のシートレールの正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態のシートレールの背面図である。
【
図10】シートが本発明の一実施形態のシートレールに取り付けられた状態の側面図である。
【
図11】シートがシートレールに取り付けられた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(シートレールの構造)
以下、図面を用いて、本発明に係る1の実施形態のシートレール100について説明する。なお、
図2において、紙面下方をシートレール100やこれを構成する各部材(以下、シートレール100等と省略する)の前方、紙面上方をシートレール100等の後方、紙面左方をシートレール100等の左方、紙面右方をシートレール100等の右方とする。また、
図4において、紙面下方をシートレール100等の下方、紙面上方をシートレール100等の上方、紙面左方をシートレール100等の後方、紙面右方をシートレール100等の前方とする。更に、
図5において、紙面下方をシートレール100等の下方、紙面上方をシートレール100等の上方、紙面左方をシートレール100等の左方、紙面右方をシートレール100等の右方とする。なお、シートレール100等の左右方向を、シートレール100等の幅方向とする。
【0034】
図1~
図6に示すように、シートレール100は、2つのスライド機構10、前側シート取付部材20、後側シート取付部材30、ブラケット取付部材40、補強部材50、2つの前側ブラケット60、2つの後側ブラケット70、ハンドルレバー80とから構成されている。
【0035】
2つのスライド機構10は、車両の車室内のフロアFの前後方向に沿って、フロアFの上方に配置されている。2つのスライド機構10は、左右方向に離間して互いに対向して配置されている。
【0036】
図1や
図5に示すように、スライド機構10は、固定レール11、可動レール12、ロック機構13から構成されている。可動レール12は、固定レール11内にスライド可能に収納されて、固定レール11に対して前後方向にスライド可能に取り付けられている。
【0037】
図1に示すように、一対の固定レール11は、前後方向に沿って配置されている。また、一対の固定レール11は、互いに離間して配置されている。固定レール11は、長尺のレール状に形成され、
図5に示すように、底面部11aと、この底面部11aの両側から上方に向かって形成された一対の側面部11bとから構成されている。側面部11bの上端部は、断面U字形状に側面部11bの外側に折り曲げられた被係合部11cが形成されている。
【0038】
可動レール12は、長尺のレール状に形成され、
図5に示すように、上面部12aと、上面部12aの両側から下方に向かって折り曲げ形成された一対の外面部12bと、これらの外面部12bの下端からそれぞれ内側に向かって折り曲げ形成された下面部12cと、下面部12cの先端から上方に向かって折り曲げ形成された係合部12dとから構成されている。
【0039】
図5に示すように、可動レール12の一対の係合部12dが、固定レール11の一対の被係合部11c内に挿入されて、係合部12dが被係合部11cに係合し、可動レール12が固定レール11にスライド可能に固定されている。固定レール11の底面部11aは、可動レール12の下面部12cよりも僅かに下方に突出している。
【0040】
ロック機構13は、可動レール12を固定レール11に対してスライド不能なロック状態と、可動レール12を固定レール11に対してスライド可能な解除状態とに切り替える機構である。ロック機構13は、スライド機構10の内部に設けられ、その一部が一対の可動レール12の内側に露出している。
【0041】
一対のロック機構13には、ハンドルレバー80が固定されている。
図1や
図2に示すように、ハンドルレバー80は、本実施形態では、丸棒を曲げて形成されていて、左側部材81、接続部材82、右側部材83、基部側右側部材84とから構成されている。
【0042】
図2に示すように、左側部材81は、左側のロック機構13の露出している部分に接続され、前後方向に延在している。左側部材81は、前後方向に対して前方に位置するに従ってより右側(左右方向の内側)に位置するように僅かに傾斜している。
図4に示すように、左側部材81は、前方に位置するに従って上方に位置するように、フロアFに対して傾斜している。
【0043】
図2に示すように、基部側右側部材84は、左側部材81よりも短く、右側のロック機構13の露出している部分に接続され、前後方向に延在している。右側部材83は、基部側右側部材84の前端に接続され、基部側右側部材84との接続部分から、左前方側に向かって延在している。つまり、右側部材83は、前方に位置するに従って左側(左右方向の中心側)に位置するように傾斜している。
図2に示すように、平面視した場合に、右側部材83の前後方向に対する傾斜角αは、左側部材81の前後方向に対する傾斜角βよりも大きくなっている。
【0044】
接続部材82は、その両端が左側部材81と右側部材83の前端に接続されて、左側部材81と右側部材83を接続し、左右方向に延在している。
【0045】
乗員がハンドルレバー80を上方に持ち上げると、ロック機構13が解除状態となり、可動レール12が固定レール11に対してスライド可能になる。一方で、乗員がハンドルレバー80から手を離すと、ロック機構13がロック状態となり、可動レール12が固定レール11に対して固定される。このように構成によって、乗員はハンドルレバー80を操作することによって、シートレール100に取り付けられたシート500を、車室内において前後方向の所望の位置に移動させることができる。
【0046】
図1や
図5に示すように、ブラケット取付部材40は、幅方向に延在し、一対の固定レール11の下面に取り付けられている。ブラケット取付部材40は、縦長の板を折り曲げて形成された部材である。左側から右側に向かって、ブラケット取付部材40は、左側ブラケット取付部40a、左前側傾斜部40b、前側干渉防止部40c、右前側傾斜部40d、右側ブラケット取付部40eが形成されている。
【0047】
図1や
図2に示すように、ブラケット取付部材40は、一対のスライド機構10の前部に一対のスライド機構10と直
交するように幅方向に沿って配置されている。そして、ブラケット取付部材40の左側ブラケット取付部40aと右側ブラケット取付部40eのそれぞれが、一対の固定レール11の下面部12cに溶接によって取り付けられている。このブラケット取付部材40によって、一対の固定レール11が結合されている。
【0048】
図1や
図5に示すように、左側ブラケット取付部40a及び右側ブラケット取付部40eは、縦長な板状であり、その長手方向が幅方向と一致して、フロアFと平行に延在している。
【0049】
左前側傾斜部40bは、板状であり、左側ブラケット取付部40aの右端に接続して、この接続部分から右側に延在している。左前側傾斜部40bは、右側に位置するに従って上方に位置するようにフロアFに対して傾斜している。言い換えると、左前側傾斜部40bは、前側干渉防止部40cから離れるに従って下方に位置するように傾斜している。
【0050】
右前側傾斜部40dは、板状であり、右側ブラケット取付部40eの左端に接続して、この接続部分から左側に延在している。右前側傾斜部40dは、左側に位置するに従って上方に位置するようにフロアFに対して傾斜している。言い換えると、右前側傾斜部40dは、前側干渉防止部40cから離れるに従って下方に位置するように傾斜している。
【0051】
前側干渉防止部40cは、縦長な板状であり、その長手方向が幅方向と一致されて、水平方向に延在している。前側干渉防止部40cは、一対の固定レール11の下面よりも上方に位置している。前側干渉防止部40cの左端は、左前側傾斜部40bの右端に接続している。前側干渉防止部40cの右端は、右前側傾斜部40dの左端に接続している。
【0052】
このような構成によって、ブラケット取付部材40の幅方向の一対の固定レール11間には上方に凹陥した前側凹陥部40fが形成されている。前側凹陥部40fは、前側干渉防止部40c、左前側傾斜部40b、右前側傾斜部40dとから構成されている。
【0053】
図2に示すように、ブラケット取付部材40の幅方向の両端部である左側ブラケット取付部40a及び右側ブラケット取付部40eは、一対のスライド機構10の幅方向の外側に突出している。左側ブラケット取付部40aの左側の端部及び右側ブラケット取付部40eの右側の端部のそれぞれの下面には、前側ブラケット60が溶接によって取り付けられている。
【0054】
図1や
図4に示されるように、前側ブラケット60は、前後方向の中心部が折り曲げられた板状であり、被取付部60aとボルト取付部60bとから構成されている。被取付部60aは、フロアFと並行な水平方向に延在し、その上面が左側ブラケット取付部40a及び右側ブラケット取付部40eのそれぞれの下面に溶接によって取り付けられている。
【0055】
ボルト取付部60bは、被取付部60aに対して前方に位置するに従って下方に位置するように傾斜している。ボルト取付部60bは、
図4に示すフロア傾斜部F1の形成方向と一致する方向に延在している。フロア傾斜部F1はフロアFの前方に形成され、フロアFに対して前方に位置するに従って下側に位置するように傾斜している。
図1や
図5に示すように、ボルト取付部60bにはボルト穴60cが形成されている。
図4に示すように、ボルト穴60cにはボルトBが挿通されて、このボルトBがフロア傾斜部F1に形成されたネジ穴FHにねじ込まれて、シートレール100の前部がフロア傾斜部F1に固定される。
【0056】
図1や
図5に示すように、前側シート取付部材20は、縦長の板を折り曲げて形成された部材である。左側から右側に向かって、前側シート取付部材20は、左前側シート取付部20a、左側逃部20b、左側鉛直部20c、横断部20d、右側鉛直部20e、右側逃部20f、右前側シート取付部20gから構成されている。
【0057】
図1に示すように、横断部20dは、縦長の板状であり、その長手方向が幅方向に一致して、フロアFと平行な水平方向に延在している。横断部20dの両端部の下面は、一対の可動レール12の上面部12aの前端部よりもやや後方の位置に溶接によって取り付けられている。このような構成によって、一対の可動レール12は前側シート取付部材20の横断部20dによって結合されている。横断部20dの両端はそれぞれ左側鉛直部20c及び右側鉛直部20eの上端が接続されている。
【0058】
左側鉛直部20cは、板状であり、その上端が横断部20dの左端に接続するとともに、その下端が左側逃部20bに接続している。左側鉛直部20cは、左側逃部20bとの接続部分から上方に向かって鉛直方向に延在している。言い換えると、左側鉛直部20cは、前後方向及び上下方向を含む面に延在している。左側鉛直部20cの右側面は可動レール12の外面部12bと対向して近接している。
【0059】
左側逃部20bは、板状であり、その右端が左側鉛直部20cの下端に接続している。左側逃部20bは、左側鉛直部20cと直交する方向に延在している。つまり、左側逃部20bは、フロアFと平行な水平方向に延在している。左側逃部20bは、左側鉛直部20c及び横断部20dを介して左前側シート取付部20aを可動レール12に取り付けている。
【0060】
左前側シート取付部20aは、板状であり、その下端が左側逃部20bの左端に接続している。左前側シート取付部20aは、左側逃部20bと直
交する方向に延在している。つまり、左前側シート取付部20aは、フロアFと直
交する鉛直方向に延在し、前後方向と上下方向を含む面に延在している。左前側シート取付部20a及び右前側シート取付部20gのそれぞれは、
図8に示す前部取付部504c及びサイドフレーム504aを介してシートクッション501の前部が取り付けられる。
【0061】
図1や
図4に示すように、左前側シート取付部20aには、複数の取付穴20h、20iが形成されている。本実施形態では、左前側シート取付部20aには、2つの取付穴20h、20iが、前後方向に並んで形成されている。
【0062】
図1や
図5に示すように、右側鉛直部20eは、板状であり、その上端が横断部20dの右端に接続するとともに、その下端が右側逃部20fに接続している。右側鉛直部20eは、右側逃部20fとの接続部分から上方に向かって鉛直方向に延在している。言い換えると、右側鉛直部20eは、前後方向及び上下方向を含む面に延在している。右側鉛直部20eの左側面は可動レール12の外面部12bと対向して近接している。
【0063】
右側逃部20fは、板状であり、その左端が右側鉛直部20eの下端に接続している。右側逃部20fは、右側鉛直部20eと直交する方向に延在している。つまり、右側逃部20fは、フロアFと平行な水平方向に延在している。右側逃部20fは、右側鉛直部20e及び横断部20dを介して右前側シート取付部20gを可動レール12に取り付けている。
【0064】
右前側シート取付部20gは、板状であり、その下端が右側逃部20fの左端に接続している。右前側シート取付部20gは、右側逃部20fと直交する鉛直方向に延在している。つまり、右前側シート取付部20gは、フロアFと直交する方向に延在し、前後方向と上下方向を含む面に延在している。
【0065】
図1に示すように、右前側シート取付部20gには、複数の取付穴20h、20iが形成されている。本実施形態では、右前側シート取付部20gには、2つの取付穴20h、20iが、前後方向に並んで形成されている。
【0066】
図1に示すように、後側シート取付部材30は、一対の可動レール12の後端部の上面に取り付けている。後側シート取付部材30は、縦長の板を折り曲げて形成された部材である。左側から右側に向かって、後側シート取付部材30は、左後側シート取付部30a、左側水平部30b、左後側傾斜部30c、後側干渉防止部30d、右後側傾斜部30e、右側水平部30f、右後側シート取付部30gとから構成されている。後側シート取付部材30は、一対の可動レール12の後部に溶接によって取り付けられている。
【0067】
図1に示すように、後側干渉防止部30dは、縦長の板状であり、その長手方向が幅方向に一致して、フロアFと平行な水平方向に延在している。後側干渉防止部30dは、左側水平部30b、右側水平部30f、及び可動レール12の上面よりも下方に位置している。
【0068】
左後側傾斜部30cは、板状であり、後側干渉防止部30dの左端に接続して、この後側干渉防止部30dとの接続部分から左側に延在している。左後側傾斜部30cは、左側に位置するに従って(後側干渉防止部30dから離れるに従って)上方に位置するようにフロアFに対して傾斜している。
【0069】
左側水平部30bは、縦長の板状であり、その長手方向が幅方向に一致して、フロアFと平行な水平方向に延在している。左側水平部30bは、左後側傾斜部30cの左端に接続して、この左後側傾斜部30cとの接続部分から左側に延在している。左側水平部30bの下面は、左側の可動レール12の上面部12aに溶接によって取り付けられている。左側水平部30bの左端は、左後側シート取付部30aの上端に接続している。
【0070】
左後側シート取付部30aは、板状であり、その上端が左側水平部30bの左端に接続している。左後側シート取付部30aは、左側水平部30bとの接続部から下方に、左側水平部30bと直交する方向に延在している。つまり、左後側シート取付部30aは、フロアFと直交する鉛直方向に延在し、前後方向と上下方向を含む面に延在している。左後側シート取付部30aには、取付穴30hが形成されている。左後側シート取付部30aは、可動レール12の上面よりも下方に位置する部分を有している。そして、取付穴30hは、可動レール12の上面よりも下方に位置している。
【0071】
左後側シート取付部30a及び右後側シート取付部30gは、
図8に示す後部取付部504e及びサイドフレーム504aを介してシートクッション501の後部が取り付けられる。
【0072】
図1に示すように、右後側傾斜部30eは、板状であり、後側干渉防止部30dの右端に接続して、この後側干渉防止部30dとの接続部分から右側に延在している。右後側傾斜部30eは、右側に位置するに従って(後側干渉防止部30dから離れるに従って)上方に位置するようにフロアFに対して傾斜している。
【0073】
右側水平部30fは、縦長の板状であり、その長手方向が幅方向に一致して、フロアFと平行な水平方向に延在している。右側水平部30fは、右後側傾斜部30eの右端に接続して、この右後側傾斜部30eとの接続部分から右側に延在している。右側水平部30fの下面は、右側の可動レール12の上面部12aに溶接によって取り付けられている。右側水平部30fの右端は、右後側シート取付部30gの上端に接続している。
【0074】
右後側シート取付部30gは、板状であり、その上端が右側水平部30fの右端に接続 している。右後側シート取付部30gは、右側水平部30fとの接続部から下方に、右側水平部30fと直交する方向に延在している。つまり、右後側シート取付部30gは、フロアFと直交する鉛直方向に延在し、前後方向と上下方向を含む面に延在している。右後側シート取付部30gには、取付穴30iが形成されている。右後側シート取付部30gは、可動レール12の上面よりも下方に位置する部分を有している。そして、取付穴30hは、可動レール12の上面よりも下方に位置している。
【0075】
なお、左後側傾斜部30c、後側干渉防止部30d、及び右後側傾斜部30eから左側水平部30bと右側水平部30fとを接続する接続部30jが構成されている。また、左後側傾斜部30c、後側干渉防止部30d、及び右後側傾斜部30eから、下方に向かって凹陥した後側凹陥部30kが構成されている。
【0076】
図1や
図3に示すように、後側ブラケット70は、縦長の板状であり、固定レール11の下面である底面部11aの後部に溶接によって取り付けられている。後側ブラケット70は、後方に位置するに従って、幅方向の外側に位置するように配置されている。後側ブラケット70の後端部には、取付穴70aが形成されている。
図7の(A)に示すように、取付穴70aの上側の開口部には、下側に比べて内径が大きい頭部収納部70bが形成されている。本実施形態では、頭部収納部70bは、上側に位置するに従って内径が大きくなる円錐台形状の空間である。
【0077】
図7の(B)は、シートレール100をフロアFに取り付けて、可動レール12を後方にスライドさせた状態を表した
図2のA-A断面図である。
図7の(B)や
図4に示すように、取付穴70aにはボルトBが挿通されて、このボルトBがフロアFに形成されたネジ穴FBにねじ込まれて、シートレール100の後部がフロアFに固定される。
【0078】
本実施形態では、ボルトBは、円錐台形状の頭部B1が形成された皿ボルトである。
図7の(B)に示すように、ボルトBの頭部B1は、取付穴70aの頭部収納部70b内に完全に収納されて、後側ブラケット70の上面から露出しない。このため、可動レール12が後方にスライドされた場合であっても、ボルトBの頭部B1が左後側シート取付部30aや右後側シート取付部30gに干渉しない。
【0079】
図1や
図3に示すように、補強部材50は、縦長の板状であり、その長手方向が幅方向と一致して配置されている。補強部材50の両端は、一対の後側ブラケット70の前端部上に溶接によって取り付けられている。この補強部材50によって、一対の後側ブラケット70を介して、一対の可動レール12の後端部が結合されている。
【0080】
(本実施形態のシートレールに取り付けられるシートの説明)
次に、
図8及び
図9を用いて、本実施形態のシートレール100に取り付けられるシート500について説明する。
図8に示すように、シート500は、シートクッション501、シートバック502、アジャスター機構503、ベース部材504を有している。
【0081】
シートクッション501は、乗員が座る部材である。シートバック502は、乗員の背中を支える部材である。シートクッション501は及びシートバック502は、フレームと、このフレームに取り付けられた発泡ウレタン等の柔軟部材と、この柔軟部材の表面を覆う布や皮等で構成された表皮部材等から構成されている。
【0082】
アジャスター機構503は、シートクッション501の後部に、シートバック502の下部を揺動可能に取り付ける機構である。アジャスター機構503は、操作部503aを備えている。乗員が操作部503aを操作することによって、シートバック502のシートクッション501に対する角度を調整することができる。
【0083】
ベース部材504は、 シートクッション501の裏面に取付られた金属製の部材であり、シート500をシートレール100に取り付ける部材である。
図9の(A)に示すように、ベース部材504は、一対のサイドフレーム504a、複数のフレーム接続部材504b、一対の前側支持部材504g、2つのベルト支持部材504i、ベルト部材504kとから構成されている。
【0084】
サイドフレーム504aは、板状の部材をプレス成形によって形成されたものである。一対のサイドフレーム504aは互いに対向するように前後方向に沿って配置されている。
図8に示すように、サイドフレーム504aの前方には、下方に突出した前部取付部504cが形成されている。前部取付部504cには、2つの取付ネジ穴504dが形成されている。サイドフレーム504aの後方には、下方に突出した後部取付部504eが形成されている。後部取付部504eには、1つの取付ネジ穴504fが形成されている。
【0085】
前側支持部材504gは板状の部材をプレス成形によって形成されたものである。一対の前側支持部材504gのそれぞれは、一対のサイドフレーム504aの前部の内側に接続し、この接続部分から前方に延在している。前側支持部材504gは、プレス成形によって水平方向に延在するリブ504hが形成されている。
【0086】
フレーム接続部材504bは、パイプ状又は板状であり、左右方向に沿って配置されている。複数のフレーム接続部材504bは、その両端が一対のサイドフレーム504aの内側に溶接によって取り付けられて、一対のサイドフレーム504aを接続している。
【0087】
ベルト支持部材504iは、本実施形態ではパイプ形状であり、左右方向に沿って配置されている。ベルト支持部材504iは、一対の前側支持部材504gの前部の内側に溶接によって取り付けられ、一対の前側支持部材504gの前部を接続している。また、ベルト支持部材504iは、一対のサイドフレーム504aの後部の内側に溶接によって取り付けられ、一対のサイドフレーム504aの後部を接続している。
【0088】
ベルト部材504kは、ベルト状の部材であり、その一端が前側のベルト支持部材504iに巻き付いて取り付けられ、その他端が、前側のベルト支持部材504iに巻き付いて取り付けられている。ベルト部材504kは、シートクッション501の下面を支える部材であり、ユーザがシートクッション501に座った際に、シートクッション501の下方への過剰な変形を阻止する部材である。
【0089】
(シートのシートレールへの取付方法)
以下にシート500の本実施形態のシートレール100への取付方法について説明する。
図9の(B)に示すように、シート500をシートレール100に取り付ける前に、シートレール100への干渉を防止するために、フレーム接続部材504bを除去する。
【0090】
次に、
図10に示すように、一対の前側支持部材504gのそれ
ぞれを左前側シート取付部20aと右前側シート取付部20gの内側
に配置させて、2つの取付ネジ穴504dの位置を取付穴20h、20iに一致させて、ボルトB5を取付穴20h、20iにねじ込む。また、取付ネジ穴504fの位置を取付穴30hに一致させて、ボルトB5を取付ネジ穴504fにねじ込む。このようにして、シート500がシートレール100に取り付けられる。
【0091】
(本実施形態のシートレールによる効果)
以下に、本実施形態のシートレール100による効果を記載する。
図1に示すように、左側逃部20bと右側逃部20fのそれぞれが、左前側シート取付部20aと右前側シート取付部20gのそれぞれの下端に接続している。そして、左側逃部20b及び右側逃部20fは、可動レール12の上端部よりも下方の位置において幅方向に延在し、左前側シート取付部20aと右前側シート取付部20gのそれぞれを一対の可動レール12にそれぞれ取り付けている。このため、シートクッション501の前部が取り付けられる左前側シート取付部20a及び右前側シート取付部20gを可動レール12の上端部よりも下方の位置に位置させることができる。この結果、
図10に示すように、シートクッション501の前部をより下方に位置させることができ、ひいてはより低い位置にシート500を車両のフロアFに取り付けることが可能となる。
【0092】
図1に示すように、横断部20dによって、一対の可動レール12が結合させている。このため、シートレール100の剛性を向上させることができ、シートレール100に取り付けられたシート500のがたつきを抑制することができる。
【0093】
また、左側逃部20b及び右側逃部20fのそれぞれが、左側鉛直部20c又は右側鉛直部20e及び横断部20dを介して可動レール12に取り付けられているので、左側逃部20b及び右側逃部20fが直接可動レール12に溶接によって取り付けられている構成と比較して、左側逃部20b及び右側逃部20fが可動レール12から剥がれ落ちてしまうことを防止することができる。つまり、乗員がシート500に座って、左側逃部20b及び右側逃部20fに下方の力が作用した場合には、左側逃部20b及び右側逃部20fが接続している左側鉛直部20c又は右側鉛直部20eを介して横断部20dに下方の力が作用するが、横断部20dは可動レール12上に取り付けられて可動レール12に支持されているので、左側逃部20b及び右側逃部20fが可動レール12から剥がれ落ちてしまうことを防止することができる。
【0094】
図1に示すように、左後側シート取付部30a及び右後側シート取付部30gが、可動レール12の上面よりも下方に位置する部分を有しているので、取付穴30h、30iを、可動レール12の上面よりも下方の位置の左後側シート取付部30a及び右後側シート取付部30gに形成することができる。このため、
図10に示すように、シートクッション501の後部をより下方に位置させることができ、ひいてはより低い位置にシート500を車両のフロアFに取り付けることが可能となる。
【0095】
図1に示すように、接続部30jが左側水平部30bと右側水平部30fに接続している。このため、一対の可動レール12の後部が左側水平部30b、接続部30j、及び右側水平部30fによって接続されている。この結果、シートレール100の剛性を向上させることができ、シートレール100に取り付けられたシート500のがたつきを抑制することができる。
【0096】
また、
図1に示すように、接続部30jには、下方に向かって凹陥した後側凹陥部30kが形成されている。このため、シートクッション501の底面が接続部30jに当接することを抑制することができ、シートクッション501のクッション性の悪化を抑制することができる。
【0097】
図1に示すように、左後側傾斜部30c及び右後側傾斜部30eが後側干渉防止部30dから離れるに従って上方に位置するように傾斜している。このため、後側干渉防止部30dと左側水平部30b又は右側水平部30fとを接続する部材が鉛直方向に延在する構成と比較して、後側シート取付部材30の剛性を高くすることができる。このため、シートレール100の剛性を向上させることができ、シートレール100に取り付けられたシート500のがたつきを抑制することができる。
【0098】
図1に示すように、ブラケット取付部材40によって一対の固定レール11の前部が結合されている。このため、シートレール100の剛性を向上させることができ、シートレール100に取り付けられたシート500のがたつきを抑制することができる。
【0099】
また、ブラケット取付部材40には、一対の固定レール11の間の位置において、上方に凹陥した前側凹陥部40fが形成されている。このため、
図5に示すように、前側凹陥部40fの下方にフロアF上に配置されたハーネスHを配置させることによって、ハーネスHとブラケット取付部材40との干渉を防止することができる。この結果、前側ブラケット60に形成されたボルト穴60cの位置を、よりブラケット取付部材40側に位置させたとしても、ハーネスHとブラケット取付部材40との干渉を防止することができる。よって、前側ブラケット60に形成されたボルト穴60cの位置を、よりブラケット取付部材40側に位置させることにより、シートレール100の前方部の位置をよりフロアFに近接させることができ、より一層低い位置にシート500を車両のフロアFに取り付けることが可能となる。なお、上記したハーネスHは、シート500のシートベルト着脱検出センサと、車両のECUとを電気的に接続するものであり、コルゲートチューブに覆われている。
【0100】
図1に示すように、左前側傾斜部40b及び右前側傾斜部40dが前側干渉防止部40cから離れるに従って下方に位置するように傾斜しているので、前側干渉防止部40cの両端と接続する部材が鉛直方向に延在する場合と比較して、ブラケット取付部材40の剛性を高くすることができる。このため、シートレール100の剛性を向上させることができ、シートレール100に取り付けられたシート500のがたつきを抑制することができる。
【0101】
図1や、
図7の(A)に示すように、取付穴70aの上側の開口部には、取付穴70aの下側に比べて内径が大きい頭部収納部70bが形成されている。このため、
図7の(B)に示すように、取付穴70aに挿通しフロアFに形成されたネジ穴FBにねじ込まれるボルトBの頭部B1を頭部収納部70bに収納させることができ、ボルトBの頭部B1の後側ブラケットの上面からの露出を防止することができる。この結果、
図7の(B)に示すように、可動レール12を固定レール11に対して後方にスライドさせる場合において、左後側シート取付部30a及び右後側シート取付部30gのボルトBの頭部B1への干渉を防止することができる。よって、左後側シート取付部30a及び右後側シート取付部30gの下端をより後側ブラケット70に近接させて下方に位置させることができ、シートクッション501の後部をより一層下方に位置させることができ、より一層低い位置にシート500を車両のフロアFに取り付けることが可能となる。
【0102】
図2に示すように、右側のスライド機構10の前方側のフロアは、他の部分に比べて上方に盛り上がっている盛上部F3が形成されている。なお、盛上部F3の下方には図示しない触媒が配置されている。
図2に示すように、ハンドルレバー80の右側部材83は、前方に位置するに従って左右方向の中心側に位置するように傾斜している。このため、
図2に示すように、盛上部F3と右側部材83との干渉を防止することができる。このため、前側ブラケット60に形成されたボルト穴60cの位置を、よりブラケット取付部材40側に位置させたとしても、盛上部F3とハンドルレバー80の右側部材83との干渉を防止することができる。よって、前側ブラケット60に形成されたボルト穴60cの位置を、よりブラケット取付部材40側に位置させることができ、シートレール100の前方部の位置をよりフロアFに近接させることができ、より一層低い位置にシート500を車両のフロアFに取り付けることが可能となる。
【0103】
シート500をシートレール100に取り付ける前には、
図9の(B)に示すように、シート500からフレーム接続部材504bを除去することにしている。このため、フレーム接続部材504bが、前側シート取付部材20や、後側シート取付部材30、可動レール12と干渉することが防止することができる。このため、前側シート取付部20a、20g及び後側シート取付部30a、30gをより低い位置に位置させたとしても、フレーム接続部材504bが、前側シート取付部材20や、後側シート取付部材30、可動レール12と干渉することが防止することができる。よって、前側シート取付部20a、20g及び後側シート取付部30a、30gをより低い位置に位置させることにより、より一層低い位置にシート500を車両のフロアFに取り付けることが可能となる。
【0104】
また、シートレール100は、横断部20dによって一対の可動レール12が結合されているので、一対のサイドフレーム504aを結合するフレーム接続部材504bを除去したとしても、シートレール100に取り付けられたシート500の剛性の低下が防止される。
【0105】
図11に示すように、本実施形態のシートレール100を用いれば、従来のシートレール900と比較して、シートを20-45mm低い位置にフロアFに取り付けることが可能となる。これは、上述したように、本実施形態のシートレール100では、前側シート取付部20a、20g及び後側シート取付部30a、30gを可動レール12の上端よりも低い位置に位置させているのに対して、従来のシートレール900では、前側シート取付部901及び後側シート取付部902は可動レール903の上端よりも高い位置に位置しているからである。
【0106】
(その他の実施形態)
以上説明した実施形態では、右側部材83は、左前方側に向かって延在し、前方に位置するに従って左右方向の中心側に位置するように傾斜している。左側部材81が、右前方側に向かって延在し、前方に位置するに従って左右方向の中心側に位置するように傾斜している実施形態であっても良い。或いは、右側部材83と左側部材81の両方が、前方に位置するに従って左右方向の中心側に位置するように傾斜している実施形態であっても良い。
【0107】
本実施形態のシートレール100を構成する各部材は溶接によって固定されているが、ネジ止めや接着によって固定されていても差し支えない。
【符号の説明】
【0108】
11:固定レール
12:可動レール
20:前側シート取付部材
20a:左前側シート取付部(前側シート取付部)
20b:左側逃部(逃部)
20f:右側逃部(逃部)
20g:右前側シート取付部(前側シート取付部)
30:後側シート取付部材
30a:左後側シート取付部(後側シート取付部)
30g:右後側シート取付部(後側シート取付部)
100:シートレール