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特許7470348土粘土及び酸化グラフェンで成長させた三次元カーボンナノチューブの作製と応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】土粘土及び酸化グラフェンで成長させた三次元カーボンナノチューブの作製と応用
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/16 20170101AFI20240411BHJP
   C01B 32/198 20170101ALI20240411BHJP
   H01G 11/36 20130101ALI20240411BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20240411BHJP
【FI】
C01B32/16
C01B32/198
H01G11/36
H01G11/86
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022150851
(22)【出願日】2022-09-22
(65)【公開番号】P2024045831
(43)【公開日】2024-04-03
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】521409238
【氏名又は名称】崑山科技大学
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】許 豪麟
(72)【発明者】
【氏名】侯 順雄
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-078956(JP,A)
【文献】特開2014-169193(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079604(WO,A1)
【文献】特開2015-078096(JP,A)
【文献】特開2019-129142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00 - 32/991
H01G 11/36
H01G 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を提供するステップS1と、
前記基板のニッケルイオン表面改質処理を行って、前記基板に少なくとも1つのニッケルイオン核種を形成するステップS2と、
水素を提供し、前記水素が前記基板を通過し、前記基板を還元温度まで加熱し、前記還元温度下で前記水素により前記ニッケルイオン核種を還元するステップS3と、
前記基板を通過する炭素源ガス及び保護ガスを提供し、前記基板を生成温度まで加熱し、前記炭素源ガスは前記ニッケルイオン核種の接触分解によって発生した炭素原子が前記ニッケルイオン核種の底部に蓄積し、カーボンナノチューブを徐々に生成するステップS4であって、前記生成温度は前記還元温度以上であることと、を含み、
前記基板はモンモリロン石であり、前記ステップS2は、
前記モンモリロン石を臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム水溶液に浸漬し、表面活性剤が嵌入した変性されたモンモリロン石を形成するステップと、
前記変性されたモンモリロン石を脱イオン水で洗浄した後に乾燥し、乾燥した前記変性されたモンモリロン石を形成するステップと、
前記乾燥した変性されたモンモリロン石を酢酸ニッケル水溶液に浸漬し、前記表面活性剤を代替し、ニッケルイオンが嵌入した改質されたモンモリロン石を形成するステップと、
前記改質されたモンモリロン石を脱イオン水で洗浄した後に乾燥し、前記改質されたモンモリロン石粉末を獲得し、前記改質されたモンモリロン石粉末は複数の前記ニッケルイオン核種を含むステップと、を含むことを特徴とする三次元カーボンナノチューブ複合構造体の作製方法。
【請求項2】
前記炭素源ガスは酸化炭素、メタン、アセチレン、エタン、エチレン、プロピレン、またはプロピンを含み、前記保護ガスは水素、窒素、アンモニア、または不活性ガスを含むことを特徴とする請求項1に記載の三次元カーボンナノチューブ複合構造体の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元カーボンナノチューブの作製方法に関し、更に詳しくは、三次元カーボンナノチューブ複合構造体及びその作製方法、並びに関連する応用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー貯蔵装置及びキャパシタ電極に用いる三次元(3D)活性材料がそのエネルギー密度、パワー密度、及び安定サイクル寿命の長さ等の優れた性能により世界的な注目を集めている。一次元(1D)と二次元(2D)構造材料とを混合及びブレンドすることによりエネルギー貯蔵に用いる3D構造材料の作製に貢献している。電気化学スーパーキャパシタ(Supercapacitors, SC)電極に用いる3D炭素材料系電極の合成及び設計の最新の進展は、通常発泡ニッケル、2D発泡グラフェン及び1D多層カーボンナノチューブ(Carbon nanotube, CNT)を主要な構造材料として使用している。
【0003】
カーボンナノチューブは最初は日本電気株式会社(Nippon Electric Company, NEC)の飯島澄男博士が1991年にアーク放電法によりフラーレン(Fullerenes)合成実験を行った際に、透過型電子顕微鏡により炭素のクラスターを観察した際に発見した。多層カーボンナノチューブを主とし、グラファイト平面が巻かれて形成される管状材料であり、それ自身の構造は単層(Single-Walled)及び多層(Multi-Walled)のカーボンナノチューブの2種類の形式に分かれる。現在このようなカーボンナノチューブの成長は、多くの場合混合合金を金属触媒として利用し、例えば、高温下で金属触媒粒子が設置された基底に炭素源ガスを送入し、CVD法によりカーボンナノチューブを生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような金属触媒(metal catalysts)を触媒として利用してカーボンナノチューブを生成する方法には、尚も多くの改善が必要な点が存在している。例えば、金属触媒はコストが高く、経済効率が見合わない。また、金属触媒は環境に悪く、環境保護意識が高まる現代において、現代人の要求を満たせなかった。なお、科学技術の進歩に伴って、貴金属及びレアメタルが大量に採掘され、各種科学技術製品に応用されるようになっており、同様に金属触媒も貴金属及びレアメタルを使用する必要があるため、資源不足に陥ると、資源争奪戦が勃発して製造コストが大幅に上昇し、且つ大量に採掘した貴金属及びレアメタルが環境汚染と破壊とを引き起こすことにもなった。
【0005】
このため、金属触媒を触媒として使用せずにカーボンナノチューブを生成する他の製造プロセスが求められており、現在産学協同で注力している課題となっていた。
【0006】
すなわち、上記目的を達成するための本発明の諸態様は、以下のとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は金属触媒を不添加で環境保護に適合する方式でカーボンナノチューブを作製し、製造コストを削減するのみならず、貴金属及びレアメタルの使用を減らし、前述の産学協同で注力している課題を克服する。
【0008】
本発明の一の目的は、三次元カーボンナノチューブ複合構造体の作製方法を提供することである。以下のステップが主に含まれる。
基板を提供するステップS1。
前記基板のニッケルイオン表面改質処理を行って、前記基板に少なくとも1つのニッケルイオン核種を形成するステップS2。
水素を提供し、前記水素が前記基板を通過し、前記基板を還元温度まで加熱し、前記還元温度下で前記水素により前記ニッケルイオン核種を還元するステップS3。
前記基板を通過する炭素源ガス及び保護ガスを提供し、前記基板を生成温度まで加熱し、前記炭素源ガスは前記ニッケルイオン核種の接触分解によって発生した炭素原子が前記ニッケルイオン核種の底部に蓄積し、カーボンナノチューブを徐々に生成するステップS4であって、前記生成温度は前記還元温度以上である。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記合金触媒基板は土粘土、モンモリロン石(MMT)及び酸化グラフェン(GO)のうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記基板はモンモリロン石であり、前記ステップS2は、前記モンモリロン石を臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム水溶液に浸漬し、表面活性剤が嵌入した変性されたモンモリロン石を形成するステップと、前記変性されたモンモリロン石を脱イオン水で洗浄した後に乾燥し、乾燥した前記変性されたモンモリロン石を形成するステップと、前記乾燥した変性されたモンモリロン石を酢酸ニッケル水溶液に浸漬し、前記表面活性剤を代替し、ニッケルイオンが嵌入した改質されたモンモリロン石を形成するステップと、前記改質されたモンモリロン石を脱イオン水で洗浄した後に乾燥し、前記改質されたモンモリロン石粉末を獲得し、前記改質されたモンモリロン石粉末は複数の前記ニッケルイオン核種を含むステップと、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記基板は酸化グラフェンであり、前記ステップS1は、複数の酸化グラフェンをゲル化するように予め処理を施し、これら前記酸化グラフェンを含有するゲルを形成するステップを含み、前記ステップS2は、これら前記酸化グラフェンを含有する前記ゲルとエチレングリコールとを混合して加熱し、ヒドロゲル溶液を作製するステップと、前記ヒドロゲル溶液を脱イオン水で洗浄し、中性ヒドロゲルを形成するステップと、前記中性ヒドロゲルを硫酸ニッケル水溶液に浸漬し、改質されたヒドロゲル溶液を形成し、且つ改質されたヒドロゲルを遠心分離させるステップと、前記改質されたヒドロゲルを冷凍乾燥し、改質されたエアロゲルを作製するステップと、前記改質されたエアロゲルを研磨し、改質された酸化グラフェン粉末を獲得し、前記改質された酸化グラフェン粉末は複数の前記ニッケルイオン核種を含有するステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記炭素源ガスは酸化炭素、メタン、アセチレン、エタン、エチレン、プロピレン、またはプロピンを含む。前記保護ガスは水素、窒素、アンモニア、または不活性ガスを含む。
【0013】
本発明の他の目的は、三次元カーボンナノチューブ複合構造体を提供することである。基板と、前記基板に設置されている少なくとも1つのニッケルイオン核種と、前記ニッケルイオン核種に連結する少なくとも1つのカーボンナノチューブと、を備えている。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記基板は土粘土、モンモリロン石(MMT)及び酸化グラフェン(GO)のうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記基板は多層状構造を含み、前記ニッケルイオン核種は前記多層状構造の層と層との間に挿入されている。
【0016】
本発明のさらなる他の目的は、作用電極を提供することである。導電性材料及びドレイン材料と、前記導電性材料及びドレイン材料に設置されている導電性接着剤と、前記導電性接着剤に設置されている複数の三次元カーボンナノチューブ複合構造体と、を備えている。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記導電性材料及びドレイン材料はITO導電性ガラス、FTO導電性ガラス、発泡ニッケルメッシュ、鉛板、耐酸性耐アルカリ性カーボンプレート、導電性高分子複合材料、またはステンレス金属材料で作製されている。前記導電性接着剤はカーボンテープ、カーボン生地、グラファイトフェルト、カーボンフェルト、グラファイト紙、カーボン紙、グラファイトブラシ、カーボンブラシ、導電性ゲル、導電性銀ペースト、または導電性高分子を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る作製方法により作製された三次元カーボンナノチューブ複合構造体によれば、以下の利点を有している。
1.本発明に係る三次元カーボンナノチューブ複合構造体の作製方法は、環境保護に適合する製造プロセスであり、製造プロセス中に金属触媒を添加せずに、三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製する。
2.本発明に係る三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製する製造プロセスは、ニッケルイオン表面改質処理方式を利用して基板にニッケルイオン核種を形成するため、製造プロセス中に貴金属及びレアメタルを触媒として使用せず、よって、経済効率に見合うように製造コストを抑制し、且つ環境に対しても優しい。
3.本発明に係る三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製する製造プロセスでは、金属触媒を添加せずに三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製するため、本発明の製造プロセスは貴金属及びレアメタルの需要を顕著に減らせる。
4.本発明により作製された三次元カーボンナノチューブ複合構造体は、一次元カーボンナノチューブ及び二次元層状基板をベース部として接合し、カーボンナノチューブ及び層状基板の導電効率を高め、電子及びイオンの両層と電子移動とを安定させ、電極の容量及びエネルギー密度を効果的に高める。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例に係る三次元カーボンナノチューブ複合構造体を示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施例に係る三次元カーボンナノチューブ複合構造体の作製方法を示すフローチャート図である。
図3】本発明の一実施例に係るニッケルイオン表面改質処理による基板を使用し、熱化学気相成長法により三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製する成長図である。
図4】本発明の一実施例に係るニッケルイオン表面改質処理による基板を使用し、熱化学気相成長法により三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製する電子顕微鏡写真である。
図5】本発明の一実施例に係る作用電極の構成素子を示す概略構成図である。
図6図6a 本発明のMCNTの作用電極の定電流充放電試験結果を示すグラフである。図6b 本発明のGCNTの作用電極の定電流充放電試験結果を示すグラフである。
図7】本発明の複合作用電極によって実行されたACインピーダンス分析を示す曲線図である。
図8図8a 本発明により作製された作用電極の電圧-1.0~1.0Vサイクリックボルタンメトリー分析曲線である。図8b 本発明により作製された作用電極の電圧0~1.0Vサイクリックボルタンメトリー分析曲線である。図8c 本発明により作製された作用電極の電圧-1.0~1.0Vサイクリックボルタンメトリー分析曲線である。図8d 本発明により作製された作用電極の電圧0~1.0Vサイクリックボルタンメトリー分析曲線である。
図9図9a 本発明のMCNTの作用電極で行ったサイクリックボルタンメトリー(CV)サイクル実験の曲線図を示す。図9b 本発明のGCNTの作用電極で行ったサイクリックボルタンメトリー(CV)サイクル実験の曲線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
本発明の実施方式は、基板11と、複数のニッケルイオン核種(Ni ion nuclear seeds)12と、複数のカーボンナノチューブ13と、を備えている三次元カーボンナノチューブ複合構造体1を提供する(図1参照)。複数のニッケルイオン核種12は前記基板11に設置され、複数のカーボンナノチューブ13はこれら前記ニッケルイオン核種12に連結されている。本実施例では、前記基板11は多層状構造であり、複数のニッケルイオン核種12は前記基板11の各層110に分布し、これら前記カーボンナノチューブ13はこれら前記ニッケルイオン核種12の触媒作用により前記基板11から各方向に向けて成長するように延伸し、このような三次元カーボンナノチューブ複合構造体1を形成している。
【0022】
ちなみに、この基板11の多層状構造は基板11自身が有する構造的特性によるものでもよく、例えば、土粘土やモンモリロン石(montmorillonite, MMT)のように自身が多層状のアルミノケイ酸塩でもよい。他の選択として、この基板11の多層状構造は複数の材料自身が堆積して形成されたものでもよく、例えば、酸化グラフェン(graphene oxide, GO)は自身がプレート状を呈するグラフェン酸化物であるため、複数のプレート状酸化グラフェンの組成物が形成する基板11は自動的に堆積して多層状構造を形成する。
【0023】
本実施例では、基板11に対しニッケルイオン表面改質処理を施し、基板11に複数のニッケルイオン核種(Ni ion nuclear seeds)12を形成する。基板11が多層状構造を備えているため、これら前記ニッケルイオン核種12が基板11の上面、下面等の外面に分布する以外、前記基板11の多層状構造の層110と層110との間に挿入されてもよい。
【0024】
本発明の他の実施方式は三次元カーボンナノチューブ複合構造体の作製方法を提供し(図2参照)、以下のステップが主に含まれる。
土粘土、モンモリロン石(MMT)及び複数の酸化グラフェン(GO)のうちの1つまたはそれらの組み合わせのような多層状構造を備えている基板を提供するステップS1。
前記基板のニッケルイオン表面改質処理を行って、前記基板に少なくとも1つのニッケルイオン核種(Ni ion nuclear seed)を形成するステップS2。
前記基板を通過する水素を提供し、前記基板を還元温度まで加熱し、前記還元温度下で前記水素により前記ニッケルイオン核種を還元するステップS3。
前記基板を通過する炭素源ガス及び保護ガスを提供し、前記基板を生成温度まで加熱し、前記炭素源ガスは前記ニッケルイオン核種の接触分解によって発生した炭素原子が前記ニッケルイオン核種の底部に蓄積し、カーボンナノチューブを徐々に生成するステップS4であって、前記生成温度は前記還元温度以上である。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記基板がモンモリロン石(MMT)である場合、前記ステップS2は以下のステップに更に細分化される。
前記モンモリロン石ミネラル粉末約2.0gを0.014Mの臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム水溶液(cetyltrimethylammonium bromide, CTAB)に浸漬して12時間攪拌し、表面活性剤が嵌入(surfactant-intercalated)した変性されたモンモリロン石を形成する。
前記変性されたモンモリロン石を脱イオン水により複数回洗浄した後に遠心分離を行い、70℃で乾燥して乾燥した前記変性されたモンモリロン石を形成する。
前記乾燥した変性されたモンモリロン石を0.025Mの酢酸ニッケル(Ni(CH3COO)2・4H2O)水溶液に浸漬して24時間攪拌した後、前記変性されたモンモリロン石にある表面活性剤化合物を代替し、且つ前記水溶液を遠心分離してリッチなニッケルイオンが嵌入した改質されたモンモリロン石を形成する。
前記改質されたモンモリロン石を脱イオン水で反復洗浄し、真空乾燥を行って薄緑色-黄色の前記改質されたモンモリロン石粉末を収集し、前記改質されたモンモリロン石粉末は複数の前記ニッケルイオン核種を含有する。
【0026】
次いで、複数の前記ニッケルイオン核種を含有する改質されたモンモリロン石粉末30.0mgを石英ボートに載置すると共に石英反応管内に移し、ステップS3を行う準備をする。まず、石英管により抽気して真空にすると共にアルゴン(Ar)ガスにより空気及び汚染物質を除去して浄化する。その後、アルゴンを水素に切り換え、ステップS3を実行し、熱化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition, CVD)によりカーボンナノチューブを作製する。まず、前記基板を通過する水素を提供し、前記基板を600℃の還元温度まで加熱して1時間還元を行った後、アルゴンを使用して10分間洗浄を行う。その後、ステップS4を実行し、総流量200sccm(mL/min)のC2H2/H2が混合された炭素源ガス及び保護ガスに切り換えて石英反応管に注入し、且つ前記基板を750℃の生成温度まで加熱し、1時間以内にカーボンナノチューブを生長させる。生長温度である750℃は還元温度である600℃よりも高い。複数のカーボンナノチューブを前記基板に形成した後、アルゴン雰囲気下で基板を室温までゆっくりと冷却し、最終的に三次元カーボンナノチューブ複合構造体として収集する。
【0027】
具体的には、この三次元カーボンナノチューブ複合構造体はモンモリロン石を基底とする二次元基板に複数のカーボンナノチューブ(CNTs)が生成されるため、この三次元カーボンナノチューブ複合構造体はモンモリロン石系カーボンナノチューブ複合材料(MCNTs)と見なすことができる。ちなみに、上述のステップS2とステップS3との間では、複数の前記ニッケルイオン核種を含有する改質されたモンモリロン石粉末を石英反応管に移すステップ、及びアルゴン(Ar)ガスを使用して浄化するステップは、機械設備を統合することによってこれらのステップを省略することができ、或いは、機械設備を分離することでこれらのステップを拡張することもできる。
【0028】
ちなみに、ステップS2において、前記モンモリロン石を臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム水溶液(CTAB)に浸漬して表面活性剤が嵌入した変性されたモンモリロン石を形成し、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムはカチオン表面活性剤であるため、モンモリロン石の中間層の間の距離を開くことで、後続の前記モンモリロン石にニッケルイオン表面改質処理を施す際に、ニッケルイオン核種(Ni ion nuclear seed)が前記変性されたモンモリロン石にある表面活性剤化合物をスムーズに代替し、リッチなニッケルイオンが嵌入した改質されたモンモリロン石が形成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数の酸化グラフェン(GO)を基板の原料として使用する場合、製造プロセスの実行を便宜にするため、ステップS1において、複数の酸化グラフェンをゲル化するように予め処理を施し、複数の酸化グラフェンのゲルを含有する形成し、これら前記酸化グラフェンを含有するゲルをステップS2に投入する。よって、前記ステップS2は以下のステップに更に細分化される。
複数の酸化グラフェンを含有するゲルにエチレングリコールを混合し、110℃で1時間加熱してヒドロゲル溶液を作製する。
ヒドロゲルが中性の特徴を表現するまで前記ヒドロゲル溶液を大量の脱イオン水で複数回洗浄し、中性ヒドロゲルを形成する。
前記中性ヒドロゲルを0.001Mの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)水溶液に浸漬し、改質されたヒドロゲル溶液を形成し、改質されたヒドロゲルを遠心分離させる。
前記改質されたヒドロゲルを24時間冷凍した後、85℃に設定された冷凍乾燥機に移して72時間以上乾燥を行い、改質されたエアロゲルを作製する。
黒色改質されたエアロゲルを研磨し、均一に改質された酸化グラフェン粉末を獲得し、前記改質された酸化グラフェン粉末は複数の前記ニッケルイオン核種を含有する。
【0030】
次いで、複数の前記ニッケルイオン核種を含有する改質された酸化グラフェン粉末30.0mgを石英ボートに載置すると共に石英反応管内に移し、ステップS3を行う準備をする。まず、石英管により抽気して真空にすると共にアルゴン(Ar)ガスを使用して空気及び汚染物質を除去して浄化する。その後、アルゴンを水素に切り換え、ステップS3を実行し、熱化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition, CVD)によりカーボンナノチューブを作製する。まず、前記基板を通過する水素を提供し、前記基板を550℃の還元温度まで加熱すると共に1時間還元した後、アルゴンにより10分間洗浄する。その後、ステップS4を実行し、総流量200sccm(mL/min)のC2H2/H2が混合された炭素源ガス及び保護ガスに切り換えて石英反応管に注入し、且つ前記基板を650℃の生成温度まで加熱し、1時間以内にカーボンナノチューブを生長させ、650℃の生長温度は550℃の還元温度よりも高い。複数のカーボンナノチューブを前記基板に形成した後、サンプルをアルゴン雰囲気下で室温までゆっくりと冷却し、最終的に三次元カーボンナノチューブ複合構造体として収集する。具体的には、この三次元カーボンナノチューブ複合構造体は酸化グラフェンを基底とする二次元基板に複数のカーボンナノチューブ(CNTs)を生成したものであり、よって、この三次元カーボンナノチューブ複合構造体は酸化グラフェン系カーボンナノチューブ複合材料(GCNTs)と見なすことができる。当然ながら、上述のステップS2とステップS3との間では、複数の前記ニッケルイオン核種を含有する改質された酸化グラフェン粉末を石英反応管に移すステップ、及びアルゴン(Ar)ガスを用いて浄化するステップは、機械設備を統合することでこれらのステップを省略することができ、或いは、機械設備を分離することでこれらのステップを拡張することができる。
【0031】
本実施例では、前記第二温度は前記第一温度以上である。好ましくは、前記保護ガスと前記炭素源ガスの堆積の混合比率は1:9とする。前記保護ガスは水素、窒素、アンモニア、または(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)のような不活性ガスを含み、好ましくは、前記保護ガスは水素とする。前記炭素源ガスは酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、アセチレン(C2H2)、エタン(C2H6)、エチレン(C2H4)、プロピレン(C3H6)、またはプロピン(C3H4)を含む。好ましい一実施例において、前記炭素源ガスはアセチレンとする。
【0032】
ちなみに、本発明は上述のニッケルイオン表面改質処理された基板から熱化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition, CVD)を利用して前記三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製する生長メカニズムを提供する(図3参照)。前記基板がモンモリロン石(MMT)である場合、イオン交換駆動力により、ニッケルイオン核種が形成する触媒粒子を自動配列すると共にモンモリロン石系体表面及び層中に自発的に嵌入し、複数のカーボンナノチューブ(CNTs)を生長させるために用いる。また、前記基板が酸化グラフェン(GO)である場合、表面官能基(例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びカルボニル基)が存在するため、ニッケルイオン核種が形成する触媒粒子を酸化グラフェン(GO)の基底層に自発的に自動配列させ、複数のカーボンナノチューブ(CNTs)を生長させるために用いる。その後、水素還元されたニッケルイオン核種への炭素源の拡散を開始させ、CVDにより温度を上昇させて共晶のモンモリロン石系カーボンナノチューブ複合材料(MCNTs)及び酸化グラフェン系カーボンナノチューブ複合材料(GCNTs)をそれぞれ形成する。
【0033】
高温下での熱分解炭素源の拡散及び共晶ニッケルイオン核種触媒粒子の根元への蓄積は、MCNTs及びGCNTsの頂部が生長していることを証明している。気相炭素源が不断で蓄積すると共に核子を徐々に上に向けて押動してカーボンナノチューブ(CNT)を形成する。本発明に係るニッケルイオン核種は重要な触媒結晶核種であり、熱CVDによりモンモリロン石(MMT)及び酸化グラフェン(GO)の表面からモンモリロン石系カーボンナノチューブ複合材料(MCNTs)及び酸化グラフェン系カーボンナノチューブ複合材料(GCNTs)をそれぞれ生長させる。
【0034】
図4aと図4bに示すように、ニッケルイオン交換処理を経たモンモリロン石(MMT)及び酸化グラフェン(GO)の原始表面形態のFESEM上面図であり、モンモリロン石(MMT)及び酸化グラフェン(GO)はその高い比表面活性により主に表面に集合し、外部に皺が寄った外観を呈している。2種類の材料をCVDによりCNT、3D lMCNTs及びGCNTsを生長させた上面図の形態をそれぞれ図4c及び図4dに示す。層状のMMT分層、GO分裂ナノシート及びCNTネットワークが明確に観察され、また、それらは略相互に捻じ曲がり、絡み合っている。3D lMCNT複合材料の内面のFESEM及びHRTEM画像を更に数倍拡大したものを図4e及び図4gにそれぞれ示す。MMT層内の炭素源の拡散が制限されるため、短い蠕虫状CNTはMMTテンプレートの表面で略ランダムな方向に生長している。また、ニッケルイオン交換結晶核種が転移して共晶ニッケルイオン挿入層触媒粒子(黄色の破線サークル)が形成され、CVD過程において高温下で触媒作用によりC2H2を熱分解するために用いられている。これは初期に集合したMMT層が分裂して分層及び剥落したMMT板層が形成され、長いCNTの生長が部分的な原因となっている。同様に、図4fに示すGCNTの生長メカニズム、条件及び環境はMCNTの生長メカニズム、条件及び環境に略相似する。CNT根基部及びMMTまたはGO基板の表面は堅固に結合されると共に透過されている。特に、GOナノシートに被覆されたCNTは垣間見ることができる。
【0035】
本発明の他の実施方式は作用電極2(図5参照)を提供し、前記作用電極2の構造の概略図を示し、前記作用電極2の構成部材の間の対応関係を説明する。前記作用電極2は導電性材料及びドレイン材料23と、導電性接着剤22と、複数の三次元カーボンナノチューブ複合構造体21と、を含んで構成される。前記導電性接着剤22は前記導電性材料及びドレイン材料23に設置され、前記複数の三次元カーボンナノチューブ複合構造体21は前記導電性接着剤22に設置され、前記導電性材料及びドレイン材料23、前記導電性接着剤22及び前記複数の三次元カーボンナノチューブ複合構造体21が圧着された後に前記作用電極2が形成される。前記導電性材料及びドレイン材料23は、例えば、ITO導電性ガラス、FTO導電性ガラス、発泡ニッケルメッシュ、鉛板、高度耐酸性耐アルカリ性カーボンプレート、導電性高分子複合材料、またはステンレス金属材料である。前記導電性接着剤22は多種類の形式の炭素材料を含み、例えば、カーボンテープ、カーボン生地、グラファイトフェルト、カーボンフェルト、グラファイト紙、カーボン紙、グラファイトブラシ、またはカーボンブラシを含む。好ましい実施例では、前記導電性接着剤がカーボンテープである。前記三次元カーボンナノチューブ複合構造体21は、例えば、前述のモンモリロン石系カーボンナノチューブ複合材料や酸化グラフェン系カーボンナノチューブ複合材料である。他の幾つかの実施例では、前記作用電極2は導電性電解質を更に備え、前記作用電極2の使用時には液体、コロイド状態、疑似固体、全固体、水溶液、高分子電解質、及びエネルギー貯蔵装置を含む前記導電性電解質を設置して使用する。
【0036】
具体的には、本発明のモンモリロン石系カーボンナノチューブ複合材料(MCNTs)及び酸化グラフェン系カーボンナノチューブ複合材料(GCNTs)が形成する作用電極に対し以下の実験及び分析を行い、その優れた性能を検証する。
<実験例1>
MCNT及びGCNTで作製された作用電極に定電流充放電(GCD)分析(図6aと図6b参照)を行い、MCNT及びGCNTで作製された作用電極の定電流充放電の分析結果図をそれぞれ示し、異なる電流密度におけるMCNT及びGCNT電極の比容量(Cs)を示す。0~0.5Vの間の電位範囲内において、各電流密度下でMCNT及びGCNT電極が収集する全てのGCD曲線は略対称となっている。大多数のGCD曲線は図中では三角形に近似する形状を呈し、且つ充電勾配は充電電流密度の低下に伴って増加している。MCNTが0.02A/gであり、GCNTが0.1及び0.2A/gである低い電流密度下でのGCD曲線は三角形とは異なる疑似矩形を呈する。図6a及び図6bからは疑似対称矩形曲線及び尖鋭な線形図を観察でき、導電性カーボンナノチューブ(CNT)及び層状モンモリロン石(MMT)または酸化グラフェン(GO)シート複合材料が電気化学二層キャパシタ(electrochemical double-layer capacitors, EDLC)に対し貢献していることが明らかとなっている。
【0037】
今回の分析結果によると、図6a及び図6bにおける矩形領域において、疑似矩形領域は略最大のCs及びエネルギー密度に達していることを示し、MCNT(510 F/g)またはGCNT(1177 F/g)を用いて実際に充電及び充填を行う。また、MCNTの電極の異なる電流密度下でのエネルギー密度値を63.8、58.0、57.5、22.5、20.3、5.56及び4.43Wh/kgと推定し、対応するハ゜ワー密度値をそれぞれ0.02、0.45、0.88、1.75、5.28、9.08及び13.4kW/kgとする。また、GCNTの電極の異なる電流密度下でのエネルキ゛ー密度値を147、90.4、28.8、31.3、18.0、14.3及び8.63Wh/kgと計算し、対応するハ゜ワー密度値をそれぞれ0.09、0.18、0.90、1.79、5.41、8.94及び13.1Wh/kgとする。よって、低い電流密度下で電解質イオン及び電子が3D構造におけるMCNT及びGCNT複合材料の拡散、伝送及び充電を増強し、EDLC貯蔵材料を形成している。このため、合成後の3D複合材料内に残留する2DのMMTテンプレート及びGOテンプレットはキャパシタの貯蔵性能に寄与して高めている。換言すれば、優れた容量及びエネルギー密度はエネルギー貯蔵の応用方面での3D lMCNT及びGCNT複合材料の潜在能力を証明している。
【0038】
<実験例2>
本実施例では、作製された作用電極に対し電気化学交流インピーダンス分光法(electrochemical AC impedance spectroscopy、EIS)による分析を行う。EISでは電池の電極の動作を計測し、材料の電子インピーダンスを分析し、交流インピーダンススペクトラムアナライザにより交流インピーダンス分析スペクトルグラフ(Nyquist plot)を取得し、これにより、電池内部に発生する可能性のある電気化学反応動力を分析する。
【0039】
図7は実施例で作製された作用電極に対し実行する交流インピーダンス分光法について説明している。図7から分かるように、ブランク電極を除き、MCNT及びGCNTで作製された電極のナイキスト(Nyquist)図は図7の高周波領域に小さい半円が表示され、電荷移動抵抗及びWarburgインピーダンスが存在することを示している。ブランク電極は低周波領域に大きい半円が表示され、且つイオンの拡散制限が出現し、低周波領域の周波数が拡散制御に依存していることを示している。GCNT及びMCNT電極のナイキスト図は高周波領域に小さい周波数に関連する半円のインピーダンス曲線が表示され、中周波領域は垂直な直線に追随している。3D活性材料を電極に接着することで、直線の勾配をブランク電極よりも更に垂直にしている。GCNT電極には更に大きな勾配が表示され、EDLC電極がより好ましい電気二重層キャパシタの動作及び高速なイオン拡散性質を有していることを示している。GCNT電極中の高速なイオン拡散はCNT及びGOシートの3D微細構造に起因し、電解質イオン遷移に用いる多孔質拡散裂け目チャンネルを有している。3D活性材料がイオンの拡散を制限すると共に電解質が透過し易い構造を改善している。
【0040】
また、等価回路図はRs、Rct及び実際の容量が並列するフェーズビット部材(CPE)を備えている。図7を参照すると、本実験例の交流インピーダンス分析中に、実施例の電池を搭載して低いRs抵抗を計測し、極めて低い電圧で駆動し、作用電極が展開して作動することを示している。本実施例の交流インピーダンス分析から分かるように、本発明の作製方法に基づいて作製された三次元カーボンナノチューブ複合構造体が低い等価直列抵抗を有し、これは三次元カーボンナノチューブ複合構造体が作用電極に形成した多孔質構造が、電解液のイオンの拡散伝導をスムーズにし、電気化学活性物質を更に導通し易くし、低いインピーダンス及び高い電気伝導率を獲得する効果を達成している。
【0041】
<実験例3>
図8(a)及び図8(c)は、実施例の作用電極により実施した電圧-1.0V乃至1.0Vのサイクリックボルタンメトリー分析曲線図を示す。本実験例のサイクリックボルタンメトリー分析において、銀/塩化銀(Ag/AgCl)を基準電極(reference electrode)とし、且つプラチナ(Pt)を補助電極(counter electrode)としているが、但しこれに限られず、3M NaOH(aq)電解液中でサイクリックボルタンメトリーのテストを行い、5、10、50、100mV/sのスキャン速度でそれぞれ実行し、実施例の作用電極の電圧が1.0Vから-1.0Vに低下した場合、及び電圧が-1.0Vから1.0Vに上昇した場合の誘導電流を計測し、その結果を図8(a)及び図8(c)に示す。図8(a)から分かるように、三次元カーボンナノチューブ複合構造体のフ゛ランク電極に容量が略発生しておらず、フ゛ランク電極の容量を無視できる。0.39Vで発生した軽微な電流の酸化ピークは水溶剤の酸化によるものである。異なるスキャン速度下で誘導電流が呈する曲線形状は相似しており、即ち、スキャン速度が5mV/sから20倍の100mV/sまで増加しても、計測された電流の曲線回路は変形しておらず、実施例の作用電極が酸化/還元の電気化学反応において可逆性を有しているほか、電気二重層キャパシタの特性も有していることを示している。
【0042】
<実験例4>
図8(b)及び図8(d)は実施例2の作用電極により実施した電圧0V乃至1.0Vのサイクリックボルタンメトリー分析の曲線図を示す。同様に銀/塩化銀(Ag/AgCl)を基準電極(reference electrode)とし、且つプラチナ(Pt)を補助電極(counter electrode)としているが、但しこれに限られず、3M NaOH(aq)電解液中でサイクリックボルタンメトリーのテストを行い、それぞれ5、10、50、100mV/sのスキャン速度で実行し、キャパシタ電極の電圧が1.0Vから0Vに低下した場合、及び電圧が0Vから1.0Vに上昇した場合の誘導電流を計測し、その結果を図8(b)及び図8(d)に示す。図8(b)及び図8(d)は実施例2の作用電極で計測した結果を示し、図8(b)及び図8(d)を参照すると、三次元カーボンナノチューブ複合構造体のブランク電極は容量が略発生しておらず、ブランク電極の容量を無視できる。前記実施例の作用電極が示す誘導電流曲線は、計測した電流の回路が矩形に近似し、実施例の作用電極が電気化学反応において電気二重層キャパシタの特性を有していることを明確に示している。一次元カーボンナノチューブ及び二次元層状MMTまたはGOテンプレートがMCNTまたはGCNT系電極内に優れた導電性を有しているため、遅いスキャン速度で電極を増強することで高い比容量(Cb)を実現し、電子、電解質、及び電極の間での伝送と拡散に寄与している。単層カーボンナノチューブと比較すると、3D lMCNT及びGCNT複合電極は電解質イオンに対し大きい層状テンプレート領域が明確に表現され、MMTまたはGOシート材が貯蔵容量の部分に対し顕著に貢献していることを示している。
【0043】
<実験例5>
本実験例では、電池に実施例の作用電極3D lMCNT及びGCNT電極を搭載し、1.0A/gの電流密度下で連続2,000回サイクリックボルタンメトリー(CV)及び定電流充放電(GCD)のサイクル実験を行った。図9は実施例で作製された3D lMCNT及びGCNT作用電極が定電流CVを誤差5%の条件でサイクルした際の比容量保持率がそれぞれ122.3%及び127.6%に達したことを説明し、本発明に係る作用電極がサイクル充放電の条件下で、本来の比容量を保持するのみならず、比容量が更に増加したことを説明している。これは作用電極と電解液との間で徐々に湿潤になった界面、及び三次元カーボンナノチューブ複合構造体が更に多くの電解質イオンが到達可能な領域を有していることに起因し、作製された複合電極材料が低いイオン抵抗を示し、電解質イオンが導電性三次元カーボンナノチューブ複合構造体において高速に遷移可能であることを示している。また、三次元カーボンナノチューブ複合電極は良好な導電性及び低い電荷移動抵抗を示し、複合電極材料と電解質との間における電荷の高速転移に更に寄与する。
【0044】
本発明に係る作製方法により作製された三次元カーボンナノチューブ複合構造体によれば、次のような利点がある。
1.本発明に係る三次元カーボンナノチューブ複合構造体の作製方法は環境保護に適合する製造プロセスであり、製造プロセス中に金属触媒を添加する必要がなく、三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製可能である。
2.本発明に係る三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製する製造プロセスは、ニッケルイオン表面改質処理方式を利用して基板にニッケルイオン核種を形成するため、製造プロセス中に貴金属及びレアメタルを触媒として使用する必要がなく、よって、製造コストを効果的に削減し、経済効率に見合い、環境に優しい。
3.本発明に係る三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製する製造プロセスは、金属触媒を添加せずに三次元カーボンナノチューブ複合構造体を作製可能であるため、本発明の製造プロセスは貴金属及びレアメタルの需要を顕著に減らすことができる。
4.本発明により作製された三次元カーボンナノチューブ複合構造体は一次元カーボンナノチューブ及び二次元層状基板をベース部として接合し、カーボンナノチューブ及び層状基板の導電効率を高め、電子及びイオンの両層と電子移動とを安定させ、電極の容量及びエネルギー密度を効果的に高めている。
【0045】
上述したように、本発明により作製された三次元カーボンナノチューブ複合構造体はスーパーキャパシタ、電気二重層キャパシタ、疑似キャパシタ、全固体キャパシタ及び関連するエネルギー貯蔵部材並びに電池セル材料が非常に高い潜在的応用価値を有している。
【0046】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 三次元カーボンナノチューブ複合構造体
11 基板
110 層
12 ニッケルイオン核種
13 カーボンナノチューブ
2 作用電極
21 三次元カーボンナノチューブ複合構造体
22 導電性接着剤
23 導電性材料及びドレイン材料
S1~S4 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9