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特許7470352光硬化性ウレタンゲル状体およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】光硬化性ウレタンゲル状体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/06 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
C08F299/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023552078
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2022045010
(87)【国際公開番号】W WO2023157430
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2022021407
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511175004
【氏名又は名称】大生工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】向 恭男
(72)【発明者】
【氏名】小山 厚
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-147969(JP,A)
【文献】特表2015-520242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F299
C08F290
C08G18
C08L75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤を、98.0~99.5:0.5~2.0の質量比で含む光硬化性組成物(A)と、
ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールからなるポリオール化合物、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートからなるイソシアネート化合物および水酸基付与添加剤としてのアクリレートモノマーを含む熱硬化性組成物の硬化物であって、前記アクリレートモノマーを、前記ポリオール化合物を100質量部としたときに0.5質量部以上10.0質量部以下の割合で含むポリウレタン(B)と、
を少なくとも含む光硬化性のゲル状体であり、
前記アクリレートモノマーは、ヒドロキシエチルアクリレートおよび/またはペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレートであり、
前記光硬化性組成物(A):前記ポリウレタン(B)は、質量比にて、25:75~55:45の範囲内であって、
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、残存水酸基を持たず、その重量平均分子量(Mw)は、1500以上2000以下であり、
JIS K 6253に基づくタイプE デュロメータによる硬度がE1以上E30以下であることを特徴とする光硬化性ウレタンゲル状体。
【請求項2】
前記光硬化性組成物(A):前記ポリウレタン(B)は、質量比にて、41:59~50:50の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性ウレタンゲル状体。
【請求項3】
前記光重合開始剤は、ビスアシルホスフィンオキシド系の光重合開始剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化性ウレタンゲル状体。
【請求項4】
前記ゲル状体は、JIS K 6253に基づくタイプE デュロメータによる硬度がE3以上E10以下であり、
前記ゲル状体を光硬化後に、JIS K 6253に基づくタイプE デュロメータによる硬度がE75以上となることを特徴とする請求項1又は2に光硬化性ウレタンゲル状体。
【請求項5】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤を、98.0~99.5:0.5~2.0の質量比で含む光硬化性組成物と、
ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールからなるポリオール化合物、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートからなるイソシアネート化合物および水酸基付与添加剤としてのアクリレートモノマーを少なくとも含むものであって、前記アクリレートモノマーを、前記ポリオール化合物を100質量部としたときに0.5質量部以上10.0質量部以下の割合で含む熱硬化性組成物と、
を用いて、請求項1又は2に記載の光硬化性ウレタンゲル状体を製造する方法であって、
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、残存水酸基を持たず、その重量平均分子量(Mw)は、1500以上2000以下であり、
前記アクリレートモノマーは、ヒドロキシエチルアクリレートおよび/またはペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレートであり、
前記光硬化性組成物:前記熱硬化性組成物は、質量比にて、25:75~55:45の範囲内であって、
前記熱硬化性組成物と前記光硬化性組成物とを混合する混合工程と、
前記混合工程後の混合物を熱硬化させる熱硬化工程と、
を含む光硬化性ウレタンゲル状体の製造方法。
【請求項6】
前記光硬化性組成物:前記熱硬化性組成物は、質量比にて、41:59~50:50の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の光硬化性ウレタンゲル状体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【クロスリファレンス】
【0001】
本出願は、2022年2月15日に日本国において出願された特願2022-021407に基づき優先権を主張し、当該両出願に記載された内容は、本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、光硬化性ウレタンゲル状体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタンは、ウレタン結合を有するポリマーの総称であり、発泡体、エラストマー、接着剤、塗料、バインダー、合成皮革などの様々な形態で利用されている。例えば、ポリウレタンのエラストマーは、弾性、機械的強度、耐油性、耐摩耗性、耐候性などに優れており、クッション材、自動車のシート、シーリング材、工業用ロール材、パッキン材などに用いられている。
【0004】
ポリウレタンの種類は、多岐にわたり、熱可塑性、熱硬化性または光硬化性といった特性をもつものを含む。また、ポリウレタンの製造方法としては、光硬化と熱硬化とを組み合わせたデュアル硬化によってポリマー化する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
ところで、既存の管用継手のネジ規格には、JIS、ISO、ANSI等に加え、用途に応じて並行ネジやテーパーネジ等の種類もあり、ネジ山数やねじ山の角度等が異なることがある。また、経済圏によってネジの種類が多岐に渡っており、このため、雄ネジ側と雌ネジ側の互換性がない場合には変換継手が必要となる。
【0006】
また、樹脂製のチューブ若しくはホースを配管または機械等のネジ穴に取り付ける際には、通常、カシメによる締め込みやタケノコソケット等が用いられる。より容易なチューブもしくはホース着脱を可能としたワンタッチ継手類が多用されているが、どの管用継手においても、継手とチューブの間、継手とネジ穴の間の気密性保持のために、継手自体にシール機構を設けたり、継手のネジ部にはシールテープやシール剤等を施す必要がある。また、その取り付け作業にも時間を要する。
【0007】
さらに、配管や建材の補修では、従来、破損面の凹凸や穴をパテで不陸整正しあるいは封止し、プライマー、繊維強化プラスチック(FRP)組成物のような硬化性樹脂組成物および硬化剤を調合して何層も塗布する工法が用いられている。しかし、近年では、紫外線硬化型FRPシートの登場により、補修の現場作業の大幅な簡素化が図られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-213175号公報
【文献】特開2005-120820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の変換継手は、規格の異なる雄ネジと雌ネジとの接続を可能にする便利な継手であるものの、取り付け部のスペースのひっ迫、対象物の重量増加および部品点数の増加というデメリットをもたらす。このため、接続箇所が多くなると、そのデメリットは無視できなくなる。
【0010】
また、前述のワンタッチ継手類は、チューブ若しくはホースの着脱が容易ではあるものの、ネジ接続作業においては、変換継手などと同様である。また、継手自体も最低5点以上の部品点数を要し、液体などに使用する場合は、継手内に液だまり等が生じるため、管内清掃など必要とする現場には、不向きな構造といえる。
【0011】
さらに、紫外線硬化型FRPシートは、補修の現場での原料調合の手間を減じることで複数の工程を大幅に簡素化できるものの、補修面の凹凸や穴が大きくなると、パテによる不陸整正が必要になる。
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明者は、先に挙げた特許文献1記載のデュアル硬化型のウレタン系組成物を用いることを考えたが、次のような問題から、当該組成物を使用できないと判断した。1つは、第1段目の硬化時の柔軟性の低さである。特許文献1記載のデュアル硬化型のウレタン系組成物は、第1段目の硬化(光硬化)を行った際には、多少の変形は可能なものの、柔軟性に欠けたものである。もう1つは、第2段目の硬化時の、硬度の低さである。特許文献1記載のデュアル硬化型のウレタン系組成物は、第1段目の硬化(光硬化)の後に第2段目の硬化(熱硬化)を行った際には、硬度の低いものであった。このため、特許文献1記載のデュアル硬化型のウレタン系組成物は、継手の開口部に詰めて完全硬化させる仕様や、紫外線硬化型FRPシートの代用には適さない。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、第1段目の硬化によってグミ(ガミィともいう)状であって使用面の形状に合わせた自己成形性を有し、第2段目の光硬化によって自己成形の形状を維持したまま高硬度のポリウレタンとなる光硬化性ウレタンゲル状体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体は、
多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤を含む光硬化性組成物(A)と、
ポリウレタン(B)と、
を少なくとも含む光硬化性のゲル状体であり、
前記光硬化性組成物(A):前記ポリウレタン(B)は、質量比にて、25:75~55:45の範囲内であって、
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、残存水酸基を持たないものである光硬化性ウレタンゲル状体である。
(2)別の実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体において、好ましくは、前記光硬化性組成物(A):前記ポリウレタン(B)は、質量比にて、41:59~50:50の範囲内である。
(3)別の実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体において、好ましくは、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、1500以上2000以下である。
(4)別の実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体において、好ましくは、前記光重合開始剤は、ビスアシルホスフィンオキシド系の光重合開始剤である。
(5)別の実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体において、好ましくは、前記ゲル状体は、JIS K 6253に基づくタイプE デュロメータによる硬度がE3以上E10以下であり、前記ゲル状体を光硬化後に、JIS K 6253に基づくタイプE デュロメータによる硬度がE75以上となる。
(6)上記目的を達成するための一実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体の製造方法は、
多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤を含む光硬化性組成物と、
ポリオール化合物、イソシアネート化合物および水酸基付与添加剤としてのアクリレートモノマーを少なくとも含む熱硬化性組成物と、
を用いて、上述のいずれかの光硬化性ウレタンゲル状体を製造する方法であって、
前記光硬化性組成物:前記熱硬化性組成物は、質量比にて、25:75~55:45の範囲内であって、
前記熱硬化性組成物と前記光硬化性組成物とを混合する混合工程と、
前記混合工程後の混合物を熱硬化させる熱硬化工程と、
を含む。
(7)別の実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体の製造方法において、好ましくは、前記光硬化性組成物:前記熱硬化性組成物は、質量比にて、41:59~50:50の範囲内である。
(8)別の実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体の製造方法において、好ましくは、前記アクリレートモノマーは、ヒドロキシエチルアクリレートおよび/またはペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレートである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1段目の硬化によってグミ状であって使用面の形状に合わせた自己成形性を有し、第2段目の光硬化によって自己成形の形状を維持したまま高硬度のポリウレタンとなる光硬化性ウレタンゲル状体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
1.光硬化性ウレタンゲル状体の構成
この実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体(単に、「ゲル状体」ともいう。)は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤を含む光硬化性組成物(A)と、ポリウレタン(B)と、を少なくとも含む。
【0018】
光硬化性組成物:ポリウレタンは、質量比にて、25:75~55:45の範囲内である。多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、残存水酸基を持たないオリゴマーまたはモノマーである。光硬化性組成物は、ゲル状体に光を照射すると硬化可能な組成物である。光硬化性組成物は、ゲル状体中では、未硬化状態である。一方、ポリウレタンは、ゲル状体においてポリマーを形成している。ゲル状体は、未硬化状態の光硬化性組成物が、硬化体となっているポリウレタンに含侵した状態にあり、いわゆるゲル状の半硬化体である。以下、(1)光硬化性組成物と、(2)ポリウレタンおよびその硬化前の熱硬化性組成物と、(3)その他添加剤と、について説明する。なお、本願において、「~」は、その前後の数値を含むように用いられる。
【0019】
(1)光硬化性組成物
この実施形態に係る光硬化性組成物は、少なくとも、多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤(「光開始剤」ともいう。)を含む。
(1-a)多官能ウレタン(メタ)アクリレート
多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、イソシアネート基とヒドロキシ基とを反応させたウレタン結合、およびアクリル基を有する。アクリル基は、アクリロイル基およびメタアクリロイル基(「メタクロイル基」ともいう。)の少なくとも一方である。多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、モノマーよりも、オリゴマーである方が好ましい。オリゴマーは、単量体(モノマーともいう。)の連結単位が比較的小さく、モノマーの数が2以上で1000以下程度の重合体を意味する。多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、「多官能」であるから、官能基(アクリル基、アクリロイル基)の数が2以上、好ましくは3以上のものを意味する。
【0020】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオール若しくはポリエステルポリオールと、イソシアネート化合物との反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより製造可能である。多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであっても、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートであっても良い。
【0021】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリアルキレングリコールの他、これらポリアルキレングリコールのランダム或いはブロック共重合体等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物との縮合重合物; 環状エステル(ラクトン)の開環重合物等が挙げられる。
【0022】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4-シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類、糖アルコール類を例示できる。
【0023】
多価カルボン酸又はその無水物としては、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸; 1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸; テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等を例示できる。環状エステルとしては、プロピオラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等を例示できる。
【0024】
イソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族系または芳香族系のジイソシアネートおよびポリイソシアネートの内の1以上を挙げることができる。例示的なイソシアネート化合物としては、TDI(例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI))、MDI(例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′-MDI)、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′-MDI))、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート; ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)などの脂肪族ポリイソシアネート; トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの脂環式ポリイソシアネート; 上記各ポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、または、これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの例のうち、イソシアネート化合物として、XDI、TDI、MDI、TMHDI、NDI、HXDI、H12MDI、TMXDI、HDI、IPDIおよびNBDIがより好ましく、その中でも、XDI、TDI、MDI、TMXDIおよびHDIがさらにより好ましい。
【0025】
この実施形態で使用される多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、残存水酸基を有していない。多官能ウレタン(メタ)アクリレートが水酸基を残存していると、光硬化性ウレタンゲル状体の製造の際、ゲル化を阻害しやすくなるので好ましくない。また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)については、大きな制約はないが、好ましくは1500以上2000以下、より好ましくは1500以上1800以下である。
【0026】
(1-b)光重合開始剤
光重合開始剤は、ウレタン(メタ)アクリレートとの共存下において、可視光または紫外線に代表される光の照射によりウレタン(メタ)アクリレートのラジカル重合を開始できる組成物(成分)である。光重合開始剤としては、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン化合物; ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物; ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物; チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物; 4,4’-ジメチルアミノチオキサントン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、α-アシロキシムエステル、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート(「バイアキュア55」)、2-エチルアンスラキノン等のアンスラキノン化合物; ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド化合物等の1または2以上を用いることができる。特に好ましい光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキシド化合物であって、さらに好ましい光重合開始剤は、ビスアシルホスフィンオキシド系の光重合開始剤であり、その中でも特により好ましい光重合開始剤は、ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドである。
【0027】
(2)ポリウレタンおよびその硬化前の熱硬化性組成物
(2-a)ポリウレタン
ポリウレタンは、光硬化性ウレタンゲル状体の固形物に相当するウレタン結合を有するポリマーである。ポリウレタンは、次のような熱硬化性組成物を加熱して合成可能である。
【0028】
(2-b)熱硬化性組成物
この実施形態に係る光硬化性組成物は、少なくとも、ポリオール化合物(単に、「ポリオール」ともいう。)、イソシアネート化合物(単に、「イソシアネート」ともいう。)および水酸基付与添加剤としてのアクリレートモノマーを、少なくとも含む。
【0029】
(2-b-1)ポリオール化合物
ポリオール化合物としては、2つの水酸基を含有するジオール、若しくは3以上の水酸基を含有するポリオールであれば特に限定されずに用いることができる。例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、アクリル系、ポリブタジエン系若しくはポリオレフィン系等のポリオール、カプロラクトン変性ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、エポキシ変性ポリオール、アルキド変性ポリオール、ひまし油、フッ素含有ポリオール等のポリオールを単独で用いてもよいし、これらを併用しても良い。ポリオールの重量平均分子量は、200~10000の範囲のものが好ましい。
【0030】
ここで、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチレングルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール類; エチレンジアミン等の脂肪族アミン化合物類; トルエンジアミン、ジフェニルメタンー4,4-ジアミン等の芳香族アミン化合物; エタノールアミンおよびジエタノールアミン等のようなアルカノールアミン類; のような少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料として、これにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド若しくはポリオキシテトラメチレンオキサイドに代表されるアルキレンオキサイドを付加させて得られるポリオール等が挙げられる。
【0031】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパンおよびその他の低分子ポリオールなどから選ばれる少なくとも1種と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、その他の低分子脂肪族カルボン酸およびオリゴマー酸などから選ばれる少なくとも1種との縮合重合体; プロピオンラクトンまたはバレロラクトン等の開環重合体等が挙げられる。
【0032】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール; ポリブタジエンポリオール; 水素添加されたポリブタジエンポリオール; アクリルポリオール; エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールが挙げられる。
【0033】
(2-b-2)イソシアネート化合物
例えば、上記の(1-a)多官能ウレタン(メタ)アクリレートで述べたと同様のイソシアネート化合物を用いることができる。ここでは、重複した例示を省略する。
【0034】
(2-b-3)
アクリレートモノマー
この実施形態において使用するアクリレートモノマーは、ヒドロキシ基含有アクリル酸エステルともいう。当該アクリレートモノマーは、単官能であるか多官能であるかを問わない。当該アクリレートモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、前記各(メタ)アクリレートのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート-アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリルレート、トリメチロールプロパン-酸化アルキレン付加物-ジ(メタ)アクリレート、およびそれらの2以上の組み合わせ等が挙げられる。上記アクリレートモノマーの中では、ヒドロキシエチルアクリレートおよびペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレートのいずれか1つまたは2以上の組み合わせが好ましく、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレートがさらに好ましい。なお、上記の「(メタ)アクリレート」は「メタクリレート」および/または「アクリレート」を意味する。
【0035】
(3)その他添加剤
触媒として、アミン化合物(トリエチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミンなど)、金属系触媒(ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエートなど)を用いても良い。また、上記触媒の他、可塑剤、充填剤(例えば、無機フィラー)、着色剤、安定剤、防腐剤、老化防止剤、フッ素添加剤などの公知の添加剤を加えても良い。
【0036】
2.光硬化性ウレタンゲル状体の各構成成分の好ましい量
光硬化性ウレタンゲル状体を構成する光硬化性組成物(A)とポリウレタン(B)の質量比は、25(A):75(B)~55(A):45(B)の範囲内である。より好ましい上記の質量比は、41(A):59(B)~50(A):50(B)の範囲内である。ポリウレタン(B)は、ポリオール化合物(b1)と水酸基付与添加剤としてのアクリレートモノマー(b3)との反応物と、イソシアネート化合物(b2)との重付加反応によって合成される。このため、ポリウレタン(B)の質量は、ポリオール化合物(b1)、イソシアネート化合物(b2)およびアクリレートモノマー(b3)の各質量の総和と等しいとみなすことができる。
【0037】
光硬化性組成物に含まれる多官能ウレタン(メタ)アクリレート(a1)の量は、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(a1)と光重合開始剤(a2)との総量100質量部に対して、好ましくは95.0質量部以上99.9質量部以下であり、より好ましくは97.0質量部以上99.7質量部以下、さらにより好ましくは98.0質量部以上99.5質量部以下である。光硬化性組成物に含まれる光重合開始剤(a2)の量は、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(a1)と光重合開始剤(a2)との総量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下であり、より好ましくは0.3質量部以上3.0質量部以下、さらにより好ましくは0.5質量部以上2.0質量部以下である。
【0038】
3.光硬化性ウレタンゲル状体中のポリウレタンの硬化前の各構成成分の好ましい量
ポリウレタン(B)の硬化前の各構成成分、すなわち、ポリオール化合物(b1)、イソシアネート化合物(b2)および水酸基付与添加剤であるアクリレートモノマー(b3)の好ましい量は、次の通りである。
【0039】
ポリオール化合物(b1):イソシアネート化合物(b2)は、水酸基付与添加剤を添加した状況でウレタン結合(-NH-CO-O-)が成立する割合(OH:NCO)が好ましい。すなわち、イソシアネート化合物は、水酸基付与添加剤を添加したポリオール化合物の水酸基価に対する当量比(NCO/OH)で、0.5~2.0が好ましく、0.8~1.7がより好ましい。アクリレートモノマー(b3)の量は、ポリオール化合物(b1)を100質量部としたときに、好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下、より好ましくは1.0質量部以上8.0質量部以下、さらにより好ましくは1.5質量部以上6.6質量部以下である。
【0040】
4.光硬化性ウレタンゲル状体の好ましい硬度
光硬化性ウレタンゲル状体の硬度は、JIS K 6253に基づくタイプE デュロメータによる硬度にて、好ましくは、E1以上E30以下であり、より好ましくはE3以上E10以下である。上記硬度範囲を持つ光硬化性ウレタンゲル状体は、ネジ穴に詰めて管用継手として使用する場合や、紫外線硬化型FRPシートの代用に適したものとなる。特に、ワンタッチ継手の代わりにチューブの取り付けに当該ゲル状体を使用する場合には、取り付け先のネジ穴に当該ゲル状体を詰めやすく、かつチューブを当該ゲル状体に挿入して貫通させることも容易である。また、当該ゲル状体は、適度な硬度を有し、液状化もせず、チューブおよびネジ穴とのシール性も確保できることから、管用継手の用途に適している。
【0041】
5.光硬化性ウレタンゲル状体の製造方法
この実施形態に係る光硬化性ウレタンゲル状体の製造方法では、多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤を含む光硬化性組成物と、ポリオール化合物、イソシアネート化合物および水酸基付与添加剤としてのアクリレートモノマーを少なくとも含む熱硬化性組成物と、が用いられる。当該製造方法は、熱硬化性組成物と前記光硬化性組成物とを混合する混合工程と、混合工程後の混合物を熱硬化させる熱硬化工程と、を含む。光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、25:75~55:45の範囲内である。光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、好ましくは、質量比にて、41:59~50:50の範囲内である。熱硬化性組成物に属するアクリレートモノマーは、好ましくは、ヒドロキシエチルアクリレートおよび/またはペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレートである。
【0042】
次に、より具体的かつ例示的な光硬化性ウレタンゲル状体の製造方法について説明する。
【0043】
溶媒としての脱水アセトンに、光重合開始剤を溶解する。次に、その溶解物を多官能ウレタン(メタ)アクリレートに添加する。光重合開始剤と多官能ウレタン(メタ)アクリレートと脱水アセトンの混合物は、90~100℃の温度にて加熱される。こうして、光硬化性組成物ができあがる。
一方、ポリウレタンの主剤であるポリオール化合物に水酸基付与添加剤(アクリレートモノマー)を添加し、混合する。この結果、ポリオール化合物にアクリロイル基が導入される。次に、その混合物に、硬化剤であるイソシアネート化合物を添加して攪拌する。こうして、熱硬化性組成物ができあがる。
次に、上述の光硬化性組成物と熱硬化性組成物とを攪拌混合し、加熱する。加熱温度は、熱硬化性組成物が硬化可能な温度であれば制約はないが、好ましくは80℃以上120℃以下、より好ましくは90℃以上110℃以下である。光硬化性組成物と熱硬化性組成物との混合物は、好ましくは、成形型に入れてから加熱される。こうして、光硬化性ウレタンゲル状体ができあがる。
【0044】
6.光硬化性ウレタンゲル状体を用いたポリウレタンの製造方法
光硬化性ウレタンゲル状体は、可視光または紫外線を照射可能な光照射装置を用いて硬化され、ポリウレタンとなる。成形型内で熱硬化された光硬化性ウレタンゲル状体は、成形型に入ったまま、ゲル状体の露出面から光照射され、硬化可能である。硬化深度は、深いほど好ましい。管用継手の用途としては、硬化深度は15mm若しくはそれ以上であるのが好ましい。光照射装置としては、可視光を照射可能であって、小型のものがより好ましい。
【0045】
7.ポリウレタンの好ましい硬度
光硬化性ウレタンゲル状体を硬化した後のポリウレタンの硬度は、JIS K 6253に基づくタイプE デュロメータによる硬度にて、好ましくは、E60以上E100以下(E100は測定限度)であり、より好ましくはE70以上E100以下、さらにより好ましくはE75以上E100以下である。ポリウレタンが上述の硬度であると、例えば、ネジ穴に光硬化性ウレタンゲル状体を詰めて、チューブを挿入して当該ゲル状体を光硬化させた後に、チューブおよび光硬化物が容易に抜けることなく、長時間の使用にも耐える強靭な管用継手を得ることができる。
【実施例
【0046】
次に、本発明の実施例を比較例と比較しながら説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0047】
1.原料
(1)ポリオール化合物およびイソシアネート化合物
ポリオール化合物およびイソシアネート化合物のセットには、株式会社ポリシス製のポリクリスタルPC―15(というポリオール化合物:イソシアネート化合物=23.32質量部:25.14質量部)または同社製のポリクリスタルPC―30(ポリオール化合物:イソシアネート化合物=23.46質量部:25.00質量部)を用いた。ここで、ポリオール化合物は、ポリオキシポリアルキレンポリオールである。イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート及びその誘導体である。
(2)水酸基付与添加剤
水酸基付与添加剤としてのアクリレートモノマーには、ダイセル・オルネクス株式会社製のペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート(名称:PETRA)または東京化成工業株式会社製のヒドロキシエチルアクリレート(名称:2-HEA)を用いた。
(3)多官能ウレタン(メタ)アクリレート
多官能ウレタン(メタ)アクリレートには、以下のいずれか1つを用いた。
・KRM8904(ダイセル・オルネクス株式会社製、残存水酸基なし、Mw:1800)
・EBECRYL9260(ダイセル・オルネクス株式会社製、残存水酸基なし、Mw:1500)
・EBECRYL8210(ダイセル・オルネクス株式会社製、残存水酸基あり、Mw:600)
・EBECRYL5129(ダイセル・オルネクス株式会社製、残存水酸基あり、Mw:800)
・EBECRYL4738(ダイセル・オルネクス株式会社製、残存水酸基なし、Mw:800)
・EBECRYL1290(ダイセル・オルネクス株式会社製、残存水酸基あり、Mw:1000)
(4)光重合開始剤
光重合開始剤には、IGM Resins B.V.社製(販売者:豊通ケミプラス株式会社)のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(名称:Omnirad 819)、またはChitec社製(販売者:楠本化成株式会社)のジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(名称:TPO)を用いた。
【0048】
2.硬度測定方法および合否基準
熱硬化後の光硬化性ウレタンゲル状体および光硬化後のウレタン硬化体ともに、JIS K 6253『加硫ゴムの硬さ試験方法』に基づき、タイプE デュロメータ(新潟精機株式会社製、名称:ADM―E)を用いて硬度を測定した。
光硬化性ウレタンゲル状体の硬度(「E硬度」と称する。)はE1以上E30以下を合格とし、E1未満またはE30を超える場合には不合格とした。当該硬度がE1以上E30以下の範囲だと、ネジ穴に詰めて管用継手として使用する場合や、紫外線硬化型FRPシートの代用に適したものとなる。特に、ワンタッチ継手の代わりにチューブの取り付けに当該ゲル状体を使用する場合には、取り付け先のネジ穴に当該ゲル状体を詰めやすく、かつチューブを当該ゲル状体に挿入して貫通させることも容易である。また、当該ゲル状体は、適度な硬度を有し、液状化もせず、チューブおよびネジ穴とのシール性も確保できることから、管用継手の用途に適しているからである。
また、光硬化性ウレタンゲル状体の光硬化後のウレタン硬化体のE硬度は、E60以上を合格とし、E60未満を不合格とした。E60以上の硬度にすると、一例を挙げるならば、ネジ穴に光硬化性ウレタンゲル状体を詰めて、チューブを挿入して当該ゲル状体を光硬化させた後に、チューブおよび光硬化物が容易に抜けることなく、長時間の使用にも耐える強靭な管用継手を得ることができるからである。
【0049】
3.実施例
表1に、各実施例の製造条件および硬度の評価結果を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
(実施例1)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
49.75質量部の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、0.25質量部の光重合開始剤(Omnirad 819)、48.46質量部の「ポリオール化合物とイソシアネート化合物とのセット(PC―15)」、1.54質量部の水酸基付与添加剤(PETRA)および溶媒としての0.74質量部の脱水アセトンを混合し、加熱して、光硬化性ウレタンゲル状体を作製した。ここで、1質量部は、10gである。以下の実施例および比較例における質量部も同様である。具体的な光硬化性ウレタンゲル状体の製造方法は、次の通りである。
まず、脱水アセトンに光重合開始剤を溶解し、その溶解物を多官能ウレタン(メタ)アクリレートに添加した。光重合開始剤と多官能ウレタン(メタ)アクリレートと脱水アセトンの混合物は、脱水アセトンの揮発による気泡が目視確認されなくなるまで攪拌しながら、大気中にて95℃の温度にて加熱した。
また、ポリウレタンの主剤であるポリオール化合物に水酸基付与添加剤を添加し、室温で撹拌した。その後、攪拌物に、硬化剤であるイソシアネート化合物を混合して攪拌した。主剤と硬化剤の配合比(主剤:硬化剤)は、質量比にて、おおよそ、100:108とした。
その後、上述の光重合開始剤と多官能ウレタン(メタ)アクリレートとを混合した光硬化性組成物と、水酸基付与添加剤とポリオール化合物とイソシアネート化合物とを混合して得られた熱硬化性組成物とを攪拌混合し、シリコーンレジン製の成形型に流し込み、100℃×2時間で加熱硬化させた。次に、加熱後のゲル状体を成形型から取り出し、ゲル状体の硬度を測定した。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE3であり合格となった。
次に、ゲル状体の上部から、アイリスオーヤマ株式会社製の光照射装置(型番:LWK-1300Z、可視光LEDライト使用、照度:1300lm、照射時間:120秒、詳細は表1参照。)を用いて光照射を行い、上記光硬化性ウレタンゲル状体を光硬化した。光硬化後、ゲル状体の頂面から硬化した深さ(硬化深度という。)を測定した。この結果、硬化深度は15mmであり合格となった。また、硬度はE81であり、合格となった。
【0052】
(実施例2)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
ポリオール化合物とイソシアネート化合物との混合物は、PC-15からPC-30に変更した。上記変更以外、実施例1と同条件で光硬化性ウレタンゲル状体を作製し、実施例1と同条件でゲル状体を光硬化させた。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE10であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。光硬化後の硬化体の硬度は、E94であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0053】
(実施例3)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、30:70とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表1に示す通りである。熱硬化条件およびその後の光硬化条件は、それぞれ、実施例1と同条件とした。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE6であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。光硬化後の硬化体の硬度は、E70であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0054】
(実施例4)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、35:65とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表1に示す通りである。熱硬化条件およびその後の光硬化条件は、それぞれ、実施例1と同条件とした。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE5であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。光硬化後の硬化体の硬度は、E79であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0055】
(実施例5)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、40:60とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表1に示す通りである。熱硬化条件およびその後の光硬化条件は、それぞれ、実施例1と同条件とした。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE4であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。光硬化後の硬化体の硬度は、E84であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0056】
(実施例6)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、45:55とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表1に示す通りである。熱硬化条件およびその後の光硬化条件は、それぞれ、実施例1と同条件とした。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE3であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。光硬化後の硬化体の硬度は、E85であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0057】
(実施例7)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートを、KRM8904からEBECRYL4738に変更した。上記変更以外、実施例1と同条件で光硬化性ウレタンゲル状体を作製し、実施例1と同条件でゲル状体を光硬化させた。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE1であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。光硬化後の硬化体の硬度は、E88であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0058】
(実施例8)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートを、KRM8904からEBECRYL9260に変更した。上記変更以外、実施例1と同条件で光硬化性ウレタンゲル状体を作製し、実施例1と同条件でゲル状体を光硬化させた。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE3であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。光硬化後の硬化体の硬度は、E79であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0059】
(実施例9)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
49.00質量部の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(EBECRYL9260)、1.00質量部の光重合開始剤(TPO)、49.63質量部の「ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)」、0.37質量部の水酸基付与添加剤(HEA)および溶媒としての0.74質量部の脱水アセトンを混合し、加熱して、光硬化性ウレタンゲル状体を作製した。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE3であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。その後、実施例1で使用した光照射装置よりも光出力の大きなケイエルブイ株式会社製の光照射装置(型番:ALE/1.1、光の波長:435nm)を用いて、照射強度:455mW/cm、照射時間:60秒、積算光量:27J/cmの条件下で、上記光硬化性ウレタンゲル状体の光硬化を行った。光硬化後の硬化体の硬度はE76であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0060】
(実施例10)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートを、EBECRYL9260からKRM8904に変更した。上記変更以外、実施例9と同条件で光硬化性ウレタンゲル状体を作製した。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE3であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。その後、実施例9で使用した光照射装置(型番:ALE/1.1、光の波長:435nm)を用いて、照射強度:455mW/cm、照射時間:70秒、積算光量:32J/cmの条件下で、上記光硬化性ウレタンゲル状体の光硬化を行った。光硬化後の硬化体の硬度はE84であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0061】
(実施例11)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
実施例9と同条件で光硬化性ウレタンゲル状体を作製した。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE3であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。その後、アイリスオーヤマ株式会社製の光照射装置(型番:LWK-1300Z、可視光LEDライト使用、照度:1300lm、照射時間:240秒、詳細は表1参照。)を用いて、上記光硬化性ウレタンゲル状体の光硬化を行った。光硬化後の硬化体の硬度はE73であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0062】
(実施例12)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
実施例10と同条件で光硬化性ウレタンゲル状体を作製した。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE3であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。その後、実施例11と同条件下で、上記光硬化性ウレタンゲル状体の光硬化を行った。光硬化後の硬化体の硬度はE89であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0063】
(実施例13)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、40:60とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(EBECRYL9260)、光重合開始剤(TPO)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(HEA)の各量は、表1に示す通りである。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE2であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。その後、実施例11で用いた装置を用いて表1に示す照射条件で、上記光硬化性ウレタンゲル状体の光硬化を行った。光硬化後の硬化体の硬度はE67であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0064】
(実施例14)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
実施例9と同条件で光硬化性ウレタンゲル状体を作製した。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE3であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。その後、実施例11と同条件下で、上記光硬化性ウレタンゲル状体の光硬化を行った。光硬化後の硬化体の硬度はE74であった。両硬度および硬化深度ともに合格水準であった。
【0065】
4.比較例
表2に、各比較例の製造条件および硬度の評価結果を示す。
【0066】
【表2】
【0067】
(比較例1)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、5:95とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表2に示す通りである。熱硬化条件およびその後の光硬化条件は、それぞれ、実施例1と同条件とした。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE15であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。ゲル状体は合格基準を満たしていた。しかし、光硬化後の硬化体の硬度はE38であり合格水準に至らなかった。
【0068】
(比較例2)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、10:90とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表2に示す通りである。熱硬化条件およびその後の光硬化条件は、それぞれ、実施例1と同条件とした。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE12であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。ゲル状体は合格基準を満たしていた。しかし、光硬化後の硬化体の硬度はE50であり合格水準に至らなかった。
【0069】
(比較例3)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、65:35とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表2に示す通りである。熱硬化条件は実施例1と同条件としたが、加熱しても硬化しなかった(流動性あり)。このため、その後の光照射を行わなかった。
【0070】
(比較例4)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、70:30とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表2に示す通りである。熱硬化条件は実施例1と同条件としたが、加熱しても硬化しなかった(流動性あり)。このため、その後の光照射を行わなかった。
【0071】
(比較例5)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートを、KRM8904からEBECRYL5129に変更した。上記変更以外、実施例1と同条件とした。熱硬化条件は実施例1と同条件としたが、加熱しても硬化しなかった(流動性あり)。このため、その後の光照射を行わなかった。
【0072】
(比較例6)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートを、KRM8904からEBECRYL8210に変更した。上記変更以外、実施例1と同条件とした。熱硬化条件は実施例1と同条件としたが、加熱しても硬化しなかった(流動性あり)。このため、その後の光照射を行わなかった。
【0073】
(比較例7)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、50:50とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートを、KRM8904からEBECRYL1290に変更した。上記変更以外、実施例1と同条件とした。熱硬化条件は実施例1と同条件としたが、加熱しても硬化しなかった(流動性あり)。このため、その後の光照射を行わなかった。
【0074】
(比較例8)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、55:45とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表2に示す通りである。熱硬化条件は実施例1と同条件としたが、加熱しても硬化しなかった(流動性あり)。このため、その後の光照射を行わなかった。
【0075】
(比較例9)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、60:40とした。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(KRM8904)、光重合開始剤(Omnirad 819)、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)、および水酸基付与添加剤(PETRA)の各量は、表2に示す通りである。熱硬化条件は実施例1と同条件としたが、加熱しても硬化しなかった(流動性あり)。このため、その後の光照射を行わなかった。
【0076】
(比較例10)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、20:80とした。
19.60質量部の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(EBECRYL9260)、0.40質量部の光重合開始剤(TPO)、79.41質量部の「ポリオール化合物とイソシアネート化合物の混合物(PC―15)」、0.59質量部の水酸基付与添加剤(HEA)および溶媒としての0.74質量部の脱水アセトンを混合し、実施例1と同様に加熱して、光硬化性ウレタンゲル状体を作製した。熱硬化により得られた光硬化性ウレタンゲル状体の硬度はE4であった。光硬化後の硬化深度は、実施例1と同様、15mmであった。ゲル状体は合格基準を満たしていた。その後、実施例11と同条件下で、上記光硬化性ウレタンゲル状体の光硬化を行った。しかし、光硬化後の硬化体の硬度はE51であり合格水準に至らなかった。
【0077】
(比較例11)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、70:30とした。
原料の種類を比較例10と同じ種類とし、各原料の量を表2に示すように変更した。その後、実施例1と同条件で加熱しても硬化しなかった(流動性あり)。このため、その後の光照射を行わなかった。
【0078】
(比較例12)
光硬化性組成物:熱硬化性組成物は、質量比にて、60:40とした。
原料の種類を比較例10と同じ種類とし、各原料の量を表2に示すように変更した。その後、実施例1と同条件で加熱したが、硬度はE1に至らないほど柔すぎた。このため、ゲル化体の硬度は合格水準に至らなかった。その後、比較例10と同条件で光照射を行った結果、硬化体の硬度はE83であった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えば、管用継手の他、配管や建材の補修部材として利用可能である。