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特許7470354取引支援装置、取引支援プログラム、取引支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】取引支援装置、取引支援プログラム、取引支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/018 20230101AFI20240411BHJP
【FI】
G06Q30/018
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023564079
(86)(22)【出願日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2023023140
【審査請求日】2023-12-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523393184
【氏名又は名称】株式会社ツーエスラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(72)【発明者】
【氏名】坂本 洋平
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-98204(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0131418(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2516733(KR,B1)
【文献】南研吾,Game of Silks(ゲームオブシルクス)ってどんな競馬ゲーム?特徴や仕組み、稼ぎ方を紹介,[online],2023年06月02日,p.1-12,[検索日 2023.08.29], インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20230602212506/https://mtmo.jp/silks-about/>
【文献】SILKS WHITEPAPER,[online],2021年,p.1-12,[検索日 2023.08.29], インターネット<URL:https://invest.tropicalracing.com/wp-content/uploads/2021/12/Silks-Whitepaper-121621.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の取引を支援する取引支援装置であって、
前記生体の遺伝情報を記憶する遺伝情報記憶部と、
前記遺伝情報を基に血統書またはデジタルアートを生成し、前記生体の保有者を特定するユーザIDを、前記血統書または前記デジタルアートと関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけてブロックチェーン・ネットワークに記録するNFT発行部と、
を備え
前記NFT発行部は、前記遺伝情報に含まれる塩基配列の情報をもとに、前記デジタルアートを生成する、
引支援装置。
【請求項2】
第1の生体と、第2の生体と、の形質の情報と、前記遺伝情報と、をもとに、前記第1の生体と前記第2の生体とをかけ合わせた場合の子孫の前記形質を予測する形質シミュレーション部と、
を備える、請求項1に記載の取引支援装置。
【請求項3】
前記血統書の閲覧を希望する閲覧ユーザより収益を得て前記血統書を閲覧させた場合に、前記血統書の所有者であるユーザに前記収益の一部を分配する分配部と、
を備える、請求項に記載の取引支援装置。
【請求項4】
生体の取引を支援する取引支援プログラムであって、
プロセッサに、
前記生体の遺伝情報を記憶する遺伝情報記憶ステップと、
前記遺伝情報を基に血統書またはデジタルアートを生成し、前記生体の保有者を特定するユーザIDを、前記血統書または前記デジタルアートと関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけてブロックチェーン・ネットワークに記録するNFT発行ステップと、
を実行させ
前記NFT発行ステップは、前記遺伝情報に含まれる塩基配列の情報をもとに、前記デジタルアートを生成する、
引支援プログラム。
【請求項5】
生体の取引を支援する取引支援方法であって、
プロセッサが、
前記生体の遺伝情報を記憶する遺伝情報記憶ステップと、
前記遺伝情報を基に血統書またはデジタルアートを生成し、前記生体の保有者を特定するユーザIDを、前記血統書または前記デジタルアートと関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけてブロックチェーン・ネットワークに記録するNFT発行ステップと、
を実行し、
前記NFT発行ステップは、前記遺伝情報に含まれる塩基配列の情報をもとに、前記デジタルアートを生成する、
引支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引支援装置、取引支援プログラム、取引支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝情報を特定された生体の販売方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、動物、胚、配偶子などに核酸配列等の遺伝的形質識別子が関連付けられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2009-518712号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、動物等に紐付けられた遺伝的形質識別子が正しいことを保証する仕組みがないため、ユーザが購入した動物等がその遺伝的形質を有していないことが起こりうる。
【0006】
そこで、本発明は、生体が間違いなく、紐付けられた遺伝情報を有することを保証する仕組みを有する取引を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における製品の取引支援装置は、前記生体の遺伝情報を記憶する遺伝情報記憶部と、前記遺伝情報を基に血統書とデジタルアートを生成し、前記生体の保有者を特定するユーザIDを、前記血統書と前記デジタルアートと関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけてブロックチェーン・ネットワークに記録するNFT発行部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生体が間違いなく、紐付けられた遺伝情報を有することを保証した上で取引を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る、取引支援システムを示すブロック構成図である。
図2】本実施形態に係る、サーバ装置1のハード構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る、サーバ装置1の機能構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る、ユーザ情報記憶部131に格納されるユーザ情報の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る、生体情報記憶部132に格納される生体情報の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る、遺伝情報記憶部133に格納される遺伝情報の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る、血統書記憶部134に格納される血統書情報の一例を示す図である。
図8】本実施形態に係る、血統書生成部114が生成する血統書の一例を示す図である。
図9】本実施形態に係る、アート生成部115が生成するアートの一例を示す図である。
図10】本実施形態に係る、取引支援システムの動作の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本発明の必須の構成要素であるとは限らない。
【0011】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
生体の取引を支援する取引支援装置であって、
前記生体の遺伝情報を記憶する遺伝情報記憶部と、
前記遺伝情報を基に血統書またはデジタルアートを生成し、前記生体の保有者を特定するユーザIDを、前記血統書または前記デジタルアートと関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけてブロックチェーン・ネットワークに記録するNFT発行部と、
を備えることを特徴とする取引支援装置。
[項目2]
前記NFT発行部は、前記遺伝情報に含まれる塩基配列の情報を基に、前記デジタルアートを生成する、
項目1に記載の取引支援装置。
[項目3]
第1の生体と、第2の生体と、の形質の情報と、前記遺伝情報と、をもとに、前記第1の生体と前記第2の生体とをかけ合わせた場合の子孫の前記形質を予測する形質シミュレーション部と、
を備える、項目1または2に記載の取引支援装置。
[項目4]
血統書の閲覧を希望する閲覧ユーザより収益を得て前記血統書を閲覧させた場合に、前記血統書の所有者である検査ユーザに前記収益の一部を分配する分配部と、
を備える、項目3に記載の取引支援装置。
[項目5]
生体の取引を支援する取引支援プログラムであって、
プロセッサに、
前記生体の遺伝情報を記憶する遺伝情報記憶ステップと、
前記遺伝情報を基に血統書またはデジタルアートを生成し、前記生体の保有者を特定するユーザIDを、前記血統書または前記デジタルアートと関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけてブロックチェーン・ネットワークに記録するNFT発行ステップと、
を実行させる、取引支援プログラム。
[項目6]
生体の取引を支援する取引支援方法であって、
プロセッサが、
前記生体の遺伝情報を記憶する遺伝情報記憶ステップと、
前記遺伝情報を基に血統書またはデジタルアートを生成し、前記生体の保有者を特定するユーザIDを、前記血統書または前記デジタルアートと関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけてブロックチェーン・ネットワークに記録するNFT発行ステップと、
を実行する、取引支援方法。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る取引支援システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の提供システムは、サーバ装置1を含んで構成される。サーバ装置1は、検査ユーザ端末2と、閲覧ユーザ端末3と、検査装置端末4と、通信ネットワークNWを介して通信可能に接続される。通信ネットワークNWは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0013】
サーバ装置1は、ブロックチェーン・ネットワーク(図1におけるBlockchain NW)とも通信可能に接続される。ブロックチェーン・ネットワークは、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。ブロックチェーン・ネットワークは、例えば、イーサリアムなどにより構築することができる。
【0014】
イーサリアムなどのブロックチェーン・ネットワークによって発行可能なトークン(イーサリアムトークン)としては、ファンジブルトークンと、ノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)とがある。NFTは、例えば、ブロックチェーン・ネットワークのプラットフォームであるEtheriumの「ERC721」という規格で発行されるトークン(NFT-721トークンとも呼ばれる)であって、ブロックチェーン・ネットワークに記録されるデータの単位であり、固有の識別子(NFT-ID)に基づいてデジタル製品のエディション(所有権)に対応付けられることができ、非代替性の性格を有する。NFTは、他のNFTと区別される独自の価値を有することができる。本実施形態では、一例として、NFTは、NFT-721トークンであることを想定する。NFTは、ファンジブルトークンと同様に、ブロックチェーン・ネットワーク上において取引可能である。NFTの取引履歴は、ブロックチェーン・ネットワークにおいて記録される。ブロックチェーン・ネットワークの分散台帳では、NFTの所有者(オーナー)及び所有履歴も記録される。
【0015】
図2は、サーバ装置1のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。サーバ装置1は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、通信ネットワーク2に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置105は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述するサーバ装置1の各機能部はCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、サーバ装置1の各記憶部はメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0016】
サーバ装置1は、検査装置端末4から生体の遺伝情報を受信し、生体の識別子等により関連づけられたノンファンジブルトークン(以下、「NFT」)を、ブロックチェーン・ネットワークに記録することができる。NFTは、例えば、ブロックチェーン・ネットワークのプラットフォームであるEtheriumの「ERC721」という規格で発行されるトークンであって、ブロックチェーン・ネットワークに記録されるデータの単位であり、IDに基づいてデジタル製品のエディション(所有権)に対応付けられることができ、非代替性の性格を有する。NFTはブロックチェーン上にスマートコントラクトとともに記録され、追跡可能であるため、生体の保有者、遺伝情報の検査者等の詳細及び履歴を含む取引情報を証明することができる。また、ここで、スマートコントラクトを用いることで、プラットフォーム事業者とユーザ間、または、複数のユーザ間の取引に関する契約を、第三者を介さずに自動生成し、承認及び実行をすることができる。
【0017】
==検査ユーザ端末2==
検査ユーザ端末2は、例えば生体の飼い主であって、生体の遺伝情報の検査を希望するユーザ(以下、検査ユーザと記す)が扱うコンピュータである。例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。検査ユーザは、たとえば検査ユーザ端末2で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。
【0018】
==閲覧ユーザ端末3==
閲覧ユーザ端末3は、生体の遺伝情報、血統書の閲覧を希望するユーザ(以下、閲覧ユーザと記す)が扱うコンピュータである。例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。閲覧ユーザは、たとえば閲覧ユーザ端末3で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。
【0019】
なお、検査ユーザは閲覧ユーザを兼ねていてもよい。
【0020】
==検査装置端末4==
検査装置端末4は、生体の遺伝情報の検査を行う検査装置を制御するコンピュータである。例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。検査装置端末4のユーザは、たとえば検査装置端末4で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。
【0021】
本実施例における検査装置は、生体の遺伝情報を検査する装置であってよく、例えば、DNAシーケンサ、次世代シーケンサ、DNAチップ解析装置などであってよいが、これらに限定されない。
【0022】
図3は、図1のサーバ装置1の機能ブロック構成図である。サーバ装置1は、ユーザ情報取得部111、生体情報取得部112、遺伝情報取得部113、血統書生成部114、アート生成部115、NFT発行部116、提示部116、形質シミュレーション部118、分配部119、売買支援部120の各処理部と、ユーザ情報記憶部131、生体情報記憶部132、遺伝情報記憶部133、血統書情報記憶部134、アート記憶部135の各記憶部、を備える。
【0023】
以下にユーザ情報記憶部131、生体情報記憶部132、遺伝情報記憶部133、血統書情報記憶部134、アート記憶部135、の各記憶部に記憶される情報について記載する。
【0024】
ユーザ情報記憶部131は、ユーザ情報取得部111が取得した、検査ユーザ及び閲覧ユーザに関する情報を記憶する。図4に示すように、ユーザ情報は、一例として、ユーザIDに紐づけて氏名、メールアドレス、住所、電話番号、銀行口座、ウォレットアドレス、クレジットカード情報などを含むがこれらに限定されない。
【0025】
生体情報記憶部132は、生体情報取得部112が取得した、検査ユーザが保有する生体(以下、個体と言い換えてもよい)に関する情報を記憶する。図5に示すように、生体情報は、一例として、生体IDに紐づけて生物種、品種、名前、生年月日、年齢、性別、両親、祖先、体高、体重、毛色、毛質、持病、生体の画像などの情報を含むがこれらに限定されない。
【0026】
本実施例において、生体はペットや家畜、養殖魚等であってよいがこれらに限定されない。また、検査ユーザはペットの飼い主、家畜業者、養殖業者などであってよいが、これらに限定されない。
【0027】
遺伝情報記憶部133は、遺伝情報取得部113が取得した、生体の遺伝情報に関する情報を記憶する。図6に示すように、遺伝情報は、一例として、生体IDに紐づけてゲノム情報、特定部分の塩基配列、性決定遺伝子とその近傍領域の塩基配列、SNPs、検査者の情報などを含むがこれらに限定されない。遺伝情報は、例えば、FASTAファイル、FASTQファイル、sraファイル、ab1ファイル、テキストファイルなどの形式であってよいが、これらに限定されない。
【0028】
血統書情報記憶部134は、血統書生成部114が生成した血統書の情報を記憶する。血統書情報は、図7に一例を示すように、ユーザID、または生体IDに紐づけて、生物種、品種、名前、生年月日、年齢、性別、両親、祖先、体高、体重、毛色、毛質、持病、解析ID、遺伝情報、系統樹、遺伝情報の解析者の情報、希少度、歴代保有者のユーザID、歴代保有者に譲渡された日時などを含むが、これらに限定されない。
【0029】
アート記憶部135は、アート生成部115が生成したアートを記憶する。
【0030】
本実施形態のアートは、画像、映像、音声等を含み、アート作品、キャラクタ、デジタルアイテム等(以下、コンテンツと記載する。)を含むがこれらに限定されない。また、当該アートの所有権は、複数のユーザ間で共有することが可能な性格を有する。所有権は複数のエディションとして出品(例えば、出品数100など)することができ、各々のエディションはNFT―IDと対応づけられる。閲覧ユーザが購入したアートは、他のユーザにオークション等の手法により転売可能であり、閲覧ユーザがアートの所有権を取得する度に、アートに併設されるデジタルサイネージやデジタル製品に関連するウェブページ上にユーザの名前を表示させることもできる。
【0031】
本実施形態のアートは、当該アートに紐づいた生体の所有者である検査ユーザや、当該生体を購入した閲覧ユーザに提供されてよいし、希望する第3者に提供されてもよい。閲覧ユーザは、当該生体を購入するにあたって、当該アートの購入を選択することができるようにしてもよい。
【0032】
なお、血統書情報記憶部134、アート記憶部135の全部又は一部を、ブロックチェーン・ネットワークに設けるようにして、血統書情報、アート情報の全部又は一部を分散台帳で管理するようにしてもよい。例えば、血統書記憶部134に記憶される、生体ID、遺伝情報は、ブロックチェーン・ネットワーク上に記憶され、生物種、品種などの情報は、サーバ装置1の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0033】
以下にユーザ情報取得部111、生体情報取得部112、遺伝情報取得部113、血統書生成部114、アート生成部115、NFT発行部116、提示部116、形質シミュレーション部118、分配部119、売買支援部120の各処理部の機能について記載する。
【0034】
ユーザ情報取得部111は、一例として、ネットワークNWを介して、検査ユーザ端末2または閲覧ユーザ端末3にユーザ情報に関する入力フォームを提示し、ユーザの入力をもとに、ユーザ情報を取得する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0035】
生体情報取得部112は、一例として、ネットワークNWを介して、検査ユーザ端末2に生体情報に関する入力フォームを提示し、検査ユーザの入力をもとに、生体情報を取得する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0036】
生体情報取得部112は、一例として、取得した生体の画像を、既知の画像解析技術により解析し、生物種、品種、形質を判定してもよい。また、生体情報取得部112は、画像から判定した情報と、ユーザから入力を受け付けた生体情報を突合し、当該生体情報が誤りであると判定された項目について、検査ユーザに確認を求めてもよい。
【0037】
なお、生体情報取得部112は、生体の遺伝情報の検査の要求を含んで取得してもよく、生体情報取得部112が当該要求を取得した場合、サーバ装置1を用いて事業を行う事業者は、当該要求を出した検査ユーザに対し、検査用のサンプル(例えば、尾びれの一部などの生体の一部)を取得するキット等を配送し、検査ユーザは取得したサンプルを事業者に返送することでサンプルを事業者に受け渡し、事業者、または事業者が委託する第3者が遺伝情報の検査を行えばよい。なお、遺伝情報の検査の方法は既存の手法を用いればよいため、説明は省略する。
【0038】
遺伝情報取得部113は、一例として、ネットワークNWを介して、検査装置端末4から、遺伝情報を取得する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。なお、遺伝情報取得部113は、サーバ装置1を用いて事業を行う事業者が、検査装置端末4に記憶される遺伝情報を、記憶媒体等を用いてサーバ装置1に移すことで遺伝情報を取得してもよい。また、遺伝情報取得部113は、検査ユーザが既に保有している遺伝情報を、検査ユーザ端末2から取得してもよい。
【0039】
血統書生成部114は、生体に対応する血統書を生成する。血統書生成部114は、例えば、ある生体の生体情報と、遺伝情報とをもとに、当該生体に対応する血統書を生成する。血統書生成部114が生成する血統書の例を図8に示す。
【0040】
血統書生成部114は、遺伝情報をもとに生成した図、例えば系統樹や、ジェノタイピングをプロットした図などを生成し、当該図の情報を含む血統書を生成してもよい。
【0041】
血統書生成部114は、生体の希少度を算定し、希少度の情報を含む血統書を生成してもよい。血統書生成部114は、例えば、ある生体の生体情報または遺伝情報と、固定率から希少度を算定してもよい。血統書生成部114は、例えば、ある生体に紐づく生体情報に含まれる色彩などの表現型が現れる既知の確率が固定率としてサーバ装置1に記憶されており、当該固定率の情報を希少度とすればよい。生体が、固定率が記憶されている表現型を複数持つ場合には、血統書生成部114は、それぞれの表現型に紐づく固定率を掛け合わせることにより、希少度を算定すればよい。また、遺伝情報に、特定の表現型に関わることが知られているSNPsの変異等が含まれる場合に、そのSNPsの変異が現れる確率が固定率としてサーバ装置1に記憶されており、当該固定率の情報を希少度とすればよい。生体が、固定率が記憶されているSNPsの変異を複数持つ場合には、血統書生成部114は、それぞれのSNPsの変異に紐づく固定率を掛け合わせることにより、希少度を算定すればよい。血統書生成部114は、生体情報に含まれる表現型の固定率Aと、遺伝情報に含まれる、特定の表現型に関わることが知られているSNPsの変異等の固定率Bと、をもとに、希少度を算定してもよい。この場合、血統書生成部114は、固定率Aと固定率Bをかけあわせて希少度を算定してもよいし、固定率Aまたは固定率Bに所定の係数をかけた上でそれぞれをかけあわせて希少度を算定してもよい。
【0042】
アート生成部115は、血統書の情報を元にデジタルアートを生成する。アート生成部115は、例えば、血統書のもととなった生体の生体情報と遺伝情報をもとに、アートを生成する。アート生成部が生成するアートの一例を、図9に示す。アート生成部115は、例えば、血統書のもととなった生体に紐づく生体情報に含まれる生物種、品種の情報をもとに、サーバ装置1に記憶される当該生物種、品種に対応するフレームの形に塩基を表すA、T、C、Gを並べる。アート生成部115は、当該生体に紐づく遺伝情報に含まれる、当該生体に特異的、特徴的なSNPsを含む近傍配列を元に、A、T、C、Gの色を4色に置き換えてもよいし、SNPsの位置・数、または生体情報に含まれる個体色の情報をもとに目の色や基調色を変えてもよいが、これらの方法に限定されない。
【0043】
アート生成部115は、例えば、血統書のもととなった生体の生体情報と遺伝情報をもとに、当該生体の子孫に現れる可能性がある形質をもとにしたアートを生成してもよい。
【0044】
NFT発行部116は、血統書生成部が血統書を生成した場合に、血統書に対応する(血統書の所有者(生体の所有者)を証明する)NFTを発行する。発行するNFTには、血統書を特定する情報と、当該所有者を特定する情報(ユーザID)等とが設定される。また、NFT発光部116は、アート生成部が生成したアートに対応するNFTを発行してもよい。
【0045】
NFT発行部116は、発行したNFTを、オーナーである検査ユーザのウォレットに送ることができる。
【0046】
提示部117は、血統書生成部114が生成した血統書と、アート生成部115が生成したアートを、検査ユーザに提示する。
【0047】
提示部117は、検査ユーザに血統書情報記憶部134とアート記憶部135のアクセス権を付与し、URL等を提示すればよい。
【0048】
提示部117は、血統書生成部114が生成した血統書と、アート生成部115が生成したアートを、閲覧ユーザに提示する。
【0049】
提示部117は、閲覧ユーザから特定の血統書、アートへの閲覧希望を取得する。提示部117は、閲覧ユーザから閲覧希望とともに、特定の通貨、暗号通貨等により対価を取得してもよい。提示部117は、閲覧ユーザから閲覧希望または対価を取得した場合に、血統書情報記憶部134とアート記憶部135のアクセス権を付与し、URL等を提示すればよい。
【0050】
形質シミュレーション部118は、複数の血統書の情報を元に、当該血統書のもととなる生体をかけあわせた場合の表現型の形質のシミュレーションを行う。形質シミュレーション部118は、検査ユーザ、閲覧ユーザから、例えば、2つの血統書を指定した形質シミュレーションの希望を取得する。形質シミュレーション部118は、例えば、指定を受けた血統書の情報を元に、当該血統書のもととなる生体をかけあわせた場合の表現型の形質のシミュレーションを行えばよい。
【0051】
形質シミュレーション部118は、例えば、指定を受け付けた血統書に含まれる遺伝情報をかけあわせた際に色彩、体型、体長、体高、身体的特徴等の形質がどのようなものになるかを、学術的に知られている事実を元にシミュレーションする。なお、生殖細胞の減数分裂時や、組み換えにより遺伝情報に変異が入る確率等も考慮し、シミュレーションの結果に可能性の情報を付加してもよい。形質シミュレーション部118は、当世代における生物種内の遺伝学的な血統背景(系統発生解析及びSTRUCTURE解析など)と形質情報を組み合わせて、次世代の形質をシミュレーションしてもよい。
【0052】
形質シミュレーション部118は、例えば、指定を受け付けた血統書に特殊個体(例えば、ワイルド個体と比べて色彩、体型、体長、体高等の表現型が変化している個体)の情報を含む場合に、当該表現型の原因となる遺伝子が特定され、学術的に頻度なども情報が明らかになっている場合には、その形質をシミュレーション結果とする。例えば、観賞魚の一種であるプレコのL236(インボイスネーム)は品種改良が進んでいるため、次世代における変異型の形質(特殊個体)の固定率が高く、一方、L333(インボイスネーム)は野生型の形質を依然として多く保有しているため、次世代における変異型の形質(特殊個体)の固定率が低くなる傾向があることが知られている。ただし、どのような品種であっても、選抜育種による品種改良を進めて、変異型の形質を有する固定種を作出することは可能であることから、形質シミュレーション部118は、当世代における生物種内の遺伝学的な血統背景(系統発生解析及びSTRUCTURE解析など)と形質情報を組み合わせて、次世代の形質をシミュレーション(予測)すればよい。
【0053】
形質シミュレーション部118は、例えば、指定を受け付けた血統書が特殊個体(例えば、ワイルド個体と比べて色彩、体型、体長、体高等の表現型が変化している個体)の情報を含む場合に、当該表現型の原因となる遺伝子が特定されていない場合には、例えば、親の品種、表現型(見た目等)、子供の変異個体率(固定率)などを勘案し、S/A/B/C/Dグレードの次世代が現れる可能性が高い、などのシミュレーション結果を返せばよい。
【0054】
形質シミュレーション部118は、例えば、形質シミュレーションの要望を行ったユーザから、特定の通貨、暗号通貨等により対価を取得してもよい。
【0055】
分配部119は、血統書の閲覧、形質シミュレーションにより対価を取得した場合に、閲覧の対象となった血統書、形質シミュレーションを行う対象となった血統書の所有者である検査ユーザに対し、対価の一部を分配してもよい。
【0056】
販売支援部120は、生体の販売を支援する。販売支援部120は、検査ユーザと閲覧ユーザ間でのコミュニケーションが取れるようにチャットシステムや掲示板などを備えてよい。販売支援部120は、検査ユーザ端末2から生体の販売にかかる条件(値段、引き渡し方法等)を受付け、閲覧ユーザ端末3に提示してもよい。販売支援部120は、閲覧ユーザからの生体の購入申し込みを受け付け、検査ユーザに提示をする。販売支援部120は、閲覧ユーザから購入申込を受け付ける場合に、対価の支払いを求めてもよく、当該対価から手数料を引いた金額を検査ユーザに支払えばよい。
【0057】
図10は、本実施形態の取引支援システムの動作を説明する図である。
【0058】
サーバ装置1は、検査ユーザ端末2よりユーザ情報を取得する(1001)。サーバ装置1は、検査ユーザ端末2より生体情報を取得する(1002)。検サーバ装置1は、検査装置端末4より遺伝情報を取得する(1003)。サーバ装置1は血統書を生成して記憶する(1004)。サーバ装置1はアートを生成して記憶する(1004)。サーバ装置1はNFTを発行する(1006)。サーバ装置1は血統書とアートを検査ユーザ端末2に提示してもよい。サーバ装置1は、閲覧ユーザ端末3から、血統書の閲覧要求を取得する(1007)。この時、閲覧を要求する閲覧ユーザから対価を取得してもよい。サーバ装置1は、血統書の閲覧権限を制御し、閲覧ユーザに提示する(1008)。サーバ装置1は、閲覧ユーザ端末3から、形質シミュレーションの要求を取得する(1009)。この時、閲覧を要求する閲覧ユーザから対価を取得してもよい。サーバ装置1は、形質シミュレーションをし、結果を閲覧ユーザに提示する(1010)。サーバ装置1は、血統書の閲覧要求、または形質シミュレーションの対象となった血統書を保有する検査ユーザに対し、収益を分配する(1011)。サーバ装置1は、閲覧ユーザ端末3から、生体の購入の要求を取得し、支払いの情報を取得する(1012)。サーバ装置1は、生体の購入の要求と、収益の支払いの情報を検査ユーザ端末2に提示する(1013)
【0059】
以上のようにして、本実施形態の取引支援システムによれば、血統書の改変等が行われていないことが証明された生体の購入や、当該生体とかけあわせた際の形質の予測を見た上で生体の購入を行うことができる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、サーバ装置1のCPUおよび記憶装置は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。
【0062】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、およびソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係るサーバ装置1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0063】
また、本明細書において説明した処理は、必ずしも説明した順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0064】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0065】
1 サーバ装置
2 検査ユーザ端末
3 閲覧ユーザ端末
NW ネットワーク
101 プロセッサ
102 メモリ
103 記憶装置
104 通信インタフェース
105 入力装置
106 出力装置
111 ユーザ情報取得部
112 生体情報取得部
113 遺伝情報取得部
114 血統書生成部
115 アート生成部
116 NFT発行部
117 提示部
118 形質シミュレーション部
119 分配部
120 売買支援部
131 ユーザ情報記憶部
132 生体情報記憶部
133 遺伝情報記憶部
134 血統書情報記憶部
135 アート記憶部

【要約】
【課題】生体が間違いなく、紐付けられた遺伝情報を有することを保証した上で取引を支援する。
【解決手段】生体の取引を支援する取引支援装置であって、前記生体の遺伝情報を記憶する遺伝情報記憶部と、前記遺伝情報を基に血統書またはデジタルアートを生成し、前記生体の保有者を特定するユーザIDを、前記血統書または前記デジタルアートと関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけてブロックチェーン・ネットワークに記録するNFT発行部と、を備えることを特徴とする取引支援装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10