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特許7470358相互扶助活動支援システム、相互扶助活動支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】相互扶助活動支援システム、相互扶助活動支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20240411BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240411BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q50/26
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019197661
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021071880
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】金子 満
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-096242(JP,A)
【文献】特開2011-175595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のグループに所属するメンバーが、資源を提供する提供者及び前記資源の提供を受ける被提供者になることにより行われる相互扶助活動を支援する相互扶助活動支援システムであって、
前記資源と、前記資源の提供に対して還元されるポイントの基準値と、前記基準値に対してポイントを増減させる変数の値とを、対応付けて記憶する第1の記憶部と、
前記メンバーに付与される合計ポイントを記憶する第2の記憶部と、
前記資源の提供の完了後に、前記第1の記憶部に前記資源に対応付けて記憶された前記基準値を前記変数の値に応じて増減させて今回のポイントを算出し、前記提供者となったメンバーが有する合計ポイントに前記今回のポイントを加算して前記第2の記憶部に記憶するとともに、前記被提供者となったメンバーが有する合計ポイントから前記今回のポイントを減算して前記第2の記憶部に記憶するポイント管理部と、
前記資源の価値に関する情報に基づいて、前記第1の記憶部に記憶される前記変数の値を決定する変数決定部と、
を備える相互扶助活動支援システム。
【請求項2】
前記変数には、前記被提供者に提供された資源の評価に関する第1の変数が含まれ、
前記被提供者による前記資源の提供の評価結果を示す情報を、前記資源の価値に関する情報として入力する第1の入力部を備え、
前記変数決定部は、
前記被提供者による前記資源の提供の評価が良好になるにつれて、前記今回のポイントが増えるように前記第1の変数の値を決定する、
請求項1に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項3】
前記変数には、前記グループが属する地域の行政における前記資源の重要度に関する第2の変数が含まれ、
前記行政において決定された前記資源の重要度を示す情報を、前記資源の価値に関する情報として入力する第2の入力部を備え、
前記変数決定部は、
前記行政に関する前記資源の重要度が高くなるにつれて、前記今回のポイントが増えるように前記第2の変数の値を決定する、
請求項1又は2に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項4】
前記変数には、前記グループにおける前記資源の重要度に関する第3の変数が含まれ、
前記グループにおける前記資源の重要度を示す情報を、前記資源の価値に関する情報として入力する第3の入力部を備え、
前記変数決定部は、
前記グループにおける前記資源の重要度が高くなるにつれて、前記今回のポイントが増えるように前記第3の変数の値を決定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項5】
前記変数には、前記提供者及び前記被提供者の組み合わせが同一である前記資源の提供に関する第4の変数が含まれ、
前記提供者及び前記被提供者の組み合わせが同一である前記資源の提供が行われた回数をカウントする回数カウント部と、
前記回数カウント部でカウントされた回数を記憶する第3の記憶部と、
を備え、
前記変数決定部は、
前記提供者及び被提供者が同一である前記資源の提供の回数が増えるにつれて前記今回のポイントが減るように前記第4の変数の値を決定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項6】
前記変数には、前記資源の提供の実績に基づく第5の変数が含まれ、
前記変数決定部は、
前記資源の実績が多くなるにつれて前記今回のポイントが増えるように前記第5の変数の値を決定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項7】
前記メンバーに付与された合計ポイントには、金銭と交換不能な名誉ポイントが含まれ、
前記ポイント管理部は、
前記名誉ポイントと名誉特典とを交換する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項8】
前記メンバーに付与された合計ポイントには、金銭と交換可能な可換ポイントが含まれ、
前記ポイント管理部は、
前記可換ポイントと特典とを交換する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項9】
前記ポイント管理部は、
前記メンバーが前記グループに支払った金銭に応じて、前記メンバーの合算ポイントの初期値を決定する、
請求項8に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項10】
前記資源には、物品又は不動産が含まれる、
請求項1から9のいずれか一項に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項11】
前記資源には、サービスが含まれる、
請求項1から10のいずれか一項に記載の相互扶助活動支援システム。
【請求項12】
コンピュータが行う相互扶助活動支援方法であって、
特定のグループに所属するメンバーが、資源を提供する提供者及び前記資源の提供を受ける被提供者になることにより行われる相互扶助活動を支援する相互扶助活動支援方法であって、
前記資源の価値に関する情報に基づいて、前記資源に対応する変数の値を決定する変数決定ステップと、
前記資源の提供の完了後に、前記資源に対応する基準値を前記資源に対応する変数の値に応じて増減させて今回のポイントを算出し、前記提供者となったメンバーが有する合計ポイントに前記今回のポイントを加算するとともに、前記被提供者となったメンバーが有する合計ポイントから前記今回のポイントを減算するポイント管理ステップと、
を含む相互扶助活動支援方法。
【請求項13】
特定のグループに所属するメンバーが、資源を提供する提供者及び前記資源の提供を受ける被提供者になることにより行われる相互扶助活動を支援するコンピュータを、
前記資源と、前記資源の提供に対して還元されるポイントの基準値と、前記基準値に対してポイントを増減させる変数の値とを、対応付けて記憶する第1の記憶部、
前記メンバーに付与される合計ポイントを記憶する第2の記憶部、
前記資源の提供の完了後に、前記第1の記憶部に前記資源に対応付けて記憶された前記基準値を前記変数の値に応じて増減させて今回のポイントを算出し、前記提供者となったメンバーが有する合計ポイントに前記今回のポイントを加算して前記第2の記憶部に記憶するとともに、前記被提供者となったメンバーが有する合計ポイントから前記今回のポイントを減算して前記第2の記憶部に記憶するポイント管理部、
前記資源の価値に関する情報に基づいて、前記第1の記憶部に記憶される前記変数の値を決定する変数決定部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互扶助活動支援システム、相互扶助活動支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コミュニティ内で行われる何かしらの活動に対して、提供者から需要者にポイントを付与したり、ポイントを別のサービスに利用したりするシステムが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。また、近年、「ソサエティ5.0」が注目されている。これは、日本が提唱する未来社会のコンセプトであり、5年ごとに改定されている科学技術基本法の第5期(2016年度から2020年度の範囲)でキャッチフレーズとして登場している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-32175号公報
【文献】特開2011-242935号公報
【文献】特開2003-337874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
「ソサエティ5.0」が注目されるなか、地域住民の親睦や共通の利益の促進を担ってきた地域の自治会の弱体化が社会問題となっている。
【0005】
本発明は、上記実情の下になされたものであり、相互扶助機能をより活性化させることができる相互扶助活動支援システム、相互扶助活動支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る相互扶助活動支援システムは、
特定のグループに所属するメンバーが、資源を提供する提供者及び前記資源の提供を受ける被提供者になることにより行われる相互扶助活動を支援する相互扶助活動支援システムであって、
前記資源と、前記資源の提供に対して還元されるポイントの基準値と、前記基準値に対してポイントを増減させる変数の値とを、対応付けて記憶する第1の記憶部と、
前記メンバーに付与される合計ポイントを記憶する第2の記憶部と、
前記資源の提供の完了後に、前記第1の記憶部に前記資源に対応付けて記憶された前記基準値を前記変数の値に応じて増減させて今回のポイントを算出し、前記提供者となったメンバーが有する合計ポイントに前記今回のポイントを加算して前記第2の記憶部に記憶するとともに、前記被提供者となったメンバーが有する合計ポイントから前記今回のポイントを減算して前記第2の記憶部に記憶するポイント管理部と、
前記資源の価値に関する情報に基づいて、前記第1の記憶部に記憶される前記変数の値を決定する変数決定部と、
を備える。
【0007】
この場合、前記変数には、前記被提供者に提供された資源の評価に関する第1の変数が含まれ、
前記被提供者による前記資源の提供の評価結果を示す情報を、前記資源の価値に関する情報として入力する第1の入力部を備え、
前記変数決定部は、
前記被提供者による前記資源の提供の評価が良好になるにつれて、前記今回のポイントが増えるように前記第1の変数の値を決定する、
こととしてもよい。
【0008】
前記変数には、前記グループが属する地域の行政における前記資源の重要度に関する第2の変数が含まれ、
前記行政において決定された前記資源の重要度を示す情報を、前記資源の価値に関する情報として入力する第2の入力部を備え、
前記変数決定部は、
前記行政に関する前記資源の重要度が高くなるにつれて、前記今回のポイントが増えるように前記第2の変数の値を決定する、
こととしてもよい。
【0009】
前記変数には、前記グループにおける前記資源の重要度に関する第3の変数が含まれ、
前記グループにおける前記資源の重要度を示す情報を、前記資源の価値に関する情報として入力する第3の入力部を備え、
前記変数決定部は、
前記グループにおける前記資源の重要度が高くなるにつれて、前記今回のポイントが増えるように前記第3の変数の値を決定する、
こととしてもよい。
【0010】
前記変数には、前記提供者及び前記被提供者の組み合わせが同一である前記資源の提供に関する第4の変数が含まれ、
前記提供者及び前記被提供者の組み合わせが同一である前記資源の提供が行われた回数をカウントする回数カウント部と、
前記回数カウント部でカウントされた回数を記憶する第3の記憶部と、
を備え、
前記変数決定部は、
前記提供者及び被提供者が同一である前記資源の提供の回数が増えるにつれて前記今回のポイントが減るように前記第4の変数の値を決定する、
こととしてもよい。
【0011】
前記変数には、前記資源の提供の実績に基づく第5の変数が含まれ、
前記変数決定部は、
前記資源の実績が多くなるにつれて前記今回のポイントが増えるように前記第5の変数の値を決定する、
こととしてもよい。
【0012】
前記メンバーに付与された合計ポイントには、金銭と交換不能な名誉ポイントが含まれ、
前記ポイント管理部は、
前記名誉ポイントと名誉特典とを交換する、
こととしてもよい。
【0013】
前記メンバーに付与された合計ポイントには、金銭と交換可能な可換ポイントが含まれ、
前記ポイント管理部は、
前記可換ポイントと特典とを交換する、
こととしてもよい。
【0014】
前記ポイント管理部は、
前記メンバーが前記グループに支払った金銭に応じて、前記メンバーの合算ポイントの初期値を決定する、
こととしてもよい。
【0015】
前記資源には、物品又は不動産が含まれる、
こととしてもよい。
【0016】
前記資源には、サービスが含まれる、
こととしてもよい。
【0017】
本発明の第2の観点に係る相互扶助活動支援方法は、
コンピュータが行う相互扶助活動支援方法であって、
特定のグループに所属するメンバーが、資源を提供する提供者及び前記資源の提供を受ける被提供者になることにより行われる相互扶助活動を支援する相互扶助活動支援方法であって、
前記資源の価値に関する情報に基づいて、前記資源に対応する変数の値を決定する変数決定ステップと、
前記資源の提供の完了後に、前記資源に対応する基準値を前記資源に対応する変数の値に応じて増減させて今回のポイントを算出し、前記提供者となったメンバーが有する合計ポイントに前記今回のポイントを加算するとともに、前記被提供者となったメンバーが有する合計ポイントから前記今回のポイントを減算するポイント管理ステップと、
を含む。
【0018】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
特定のグループに所属するメンバーが、資源を提供する提供者及び前記資源の提供を受ける被提供者になることにより行われる相互扶助活動を支援するコンピュータを、
前記資源と、前記資源の提供に対して還元されるポイントの基準値と、前記基準値に対してポイントを増減させる変数の値とを、対応付けて記憶する第1の記憶部、
前記メンバーに付与される合計ポイントを記憶する第2の記憶部、
前記資源の提供の完了後に、前記第1の記憶部に前記資源に対応付けて記憶された前記基準値を前記変数の値に応じて増減させて今回のポイントを算出し、前記提供者となったメンバーが有する合計ポイントに前記今回のポイントを加算して前記第2の記憶部に記憶するとともに、前記被提供者となったメンバーが有する合計ポイントから前記今回のポイントを減算して前記第2の記憶部に記憶するポイント管理部、
前記資源の価値に関する情報に基づいて、前記第1の記憶部に記憶される前記変数の値を決定する変数決定部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、提供された資源の価値を数値化し、数値化された価値に応じて提供者に提供されるポイントを増減させることができるので、より価値の高い資源を提供しようとするインセンティブを生じさせることができる。この結果、資源を提供する提供者及び資源の提供を受ける被提供者になることにより行われる相互扶助機能をより活性化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】自治会における活動を示す模式図である。
図2】本発明の実施の形態に係る相互扶助活動支援システムを実現するクライアントサーバシステムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る相互扶助活動支援システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る相互扶助活動支援システムのハードウエア構成を示すブロック図である。
図5】前処理を示すフローチャートである。
図6】資源のテーブルが設定される様子を示す模式図である。
図7】第3の変数を決める方法を示す図である。
図8】ポイントを初期化する様子を示す図である。
図9】メイン処理を示すフローチャートである。
図10】資源設定処理を示す模式図である。
図11】マッチング処理を示す模式図である。
図12】提供完了処理を示すフローチャートである。
図13】変数更新処理を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。全図において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号が付されている。
【0022】
図1に示すように、特定のグループとしての自治会1は、ある地域に居住する住民によって構成されている。図1には、住民であるメンバーとしてメンバーa~dが示されている。メンバーa~dは、自治会1において、様々な活動を行っている。例えば、メンバーaは、草刈りなどの労働を提供可能であり、メンバーbは、空き家を提供可能であり、メンバーcは、自治会の役職を勤めることが可能であり、メンバーdは現金を提供することが可能である。
【0023】
また、地元企業2は、自治会1に物、現金、施設などを提供可能である。さらに、自治会1のある地域の自治体である行政機関3は、自治会1に施設の提供が可能である。以下では、これらメンバーa~d、地元企業2及び行政機関3によって提供されるものを、以下では資源ともいう。このように、資源には、物品、不動産及びサービスが含まれる。
【0024】
自治会に所属するメンバーa~d又は他のメンバーは、これら資源の提供を受けることが可能である。例えば、メンバーaには、日用品が提供され、メンバーbには、くじの抽選券が提供され、メンバーcには、名誉が与えられ、メンバーdは、預かり保育の提供を受けることができる。このように、自治会1では、所属するメンバーが、資源を提供する提供者及び資源の提供を受ける被提供者になって相互扶助活動が行われている。
【0025】
本実施の形態に係る相互扶助活動支援システム5は、このように、自治会1に所属するメンバーが、資源を提供する提供者及び資源の提供を受ける被提供者になることにより行われる自治会1の相互扶助活動を支援する。この相互扶助活動支援システム5は、資源を提供したメンバーに対してポイントを付与し、そのポイントを合算するとともに、そのポイントを利用して、資源の提供を受けられるようにする。この相互扶助活動支援システムは、ポイントの管理を行うことにより、相互扶助活動を促進する。本実施の形態に係る相互扶助活動支援システム5は、自治会1において重要とされる資源の提供についてはポイントが増えることを特徴としている。
【0026】
図2に示すように、本実施の形態に係る相互扶助活動支援システム5は、サーバコンピュータ6を中心に構成される。サーバコンピュータ6は、通信ネットワーク7を介して複数の通信端末8A,8B,8Cと通信可能に接続されている。通信端末8Aは、それぞれ自治会1に属するメンバーa,b,c,…が操作する端末である。また、地元企業2が有する通信端末8B及び行政機関3が有する通信端末8Cも、通信ネットワーク7を介してサーバコンピュータ6と通信可能に接続されている。
【0027】
図3に示すように、相互扶助活動支援システム5は、第1の記憶部11と、第2の記憶部12と、第3の記憶部13と、第4の記憶部14と、第5の記憶部15と、ポイント管理部20と、変数決定部21と、情報入出力部22と、回数カウント部23と、を備える。
【0028】
第1の記憶部11は、提供される資源と、資源の提供に対して還元されるポイントの基準値r,pと、基準値r,pに対してポイントを増減させる変数α,β,γ,δ,εの値と、資源の提供者及び被提供者とを、対応付けて記憶する。例えば、資源Aに対応して、基準値r1、基準値p1、第1の変数αの値α1、第2の変数βの値β1、第3の変数γの値γ1、第4の変数δの値δ1、第5の変数εの値ε1、提供者であるメンバーa、被提供者であるメンバーcが登録されている。また、資源Bに対応して、基準値r2、基準値p2、第1の変数αの値α2、第2の変数βの値β2、第3の変数γの値γ2、第4の変数δの値δ2、第5の変数εの値ε2、提供者であるメンバーb、被提供者であるメンバーdが登録されている。
【0029】
ここで、基準値rは、金銭と交換可能な可換ポイントの基準値を表している。この値は、資源を提供した提供者に付与される。可換ポイントは、物又はサービスとの交換や特典を得ることが可能な金銭的価値を有している。基準値rは、資源の市場価値に基づいて定めることができる。また、1ポイントの価値は、例えば1円と等価とすることができる。
【0030】
また、基準値pは、金銭と交換不能な名誉ポイントの基準値を表している。この値は、資源を提供した提供者に対して付与される。名誉ポイントは、物品、サービスとの交換が不可能であり、金銭的価値を有しておらず、得られるのは自治会1に貢献したという名誉のみである。
【0031】
第1の変数αは、被提供者に提供された資源の評価に関する変数である。第1の変数αの値は、1を基準とし、被提供者による資源の評価が良ければ1を上回り、評価が悪ければ1を下回るように設定される。
【0032】
第2の変数βは、自治会1が属する地域の行政機関3における資源の重要度に関する変数である。なお、重要度が高いということは、すなわち優先順位が高いという意味も含んでいる。第2の変数βの値は、1を基準とし、行政において決定された資源の重要度が高ければ1を上回り、評価が悪ければ1を下回るように設定される。
【0033】
第3の変数γは、自治会1における資源の重要度に関する変数である。第3の変数γの値は、1を基準とし、自治会1で決定された資源の重要度が高ければ1を上回り、低ければ1を下回るように設定される。
【0034】
第4の変数δは、提供者及び被提供者が同一のメンバーである資源の提供に関する変数である。第4の変数δの値は、1を基準とし、提供者及び被提供者が同一のメンバーである資源の提供が行われる回数が大きくなるにつれて大きくなるように設定される。
【0035】
第5の変数εは、資源の提供の実績に基づく変数である。第5の変数εの値は、1を基準とし、資源の提供の回数が多くなれば、1より大きくなるように設定される。
【0036】
第2の記憶部12は、メンバーに付与される合計ポイントを記憶する。例えば、メンバーaの合計ポイント(可換)として、Σarが記憶され、合計ポイント(名誉)として、Σapが記憶される。また、メンバーbの合計ポイント(可換)として、Σbrが記憶され、合計ポイント(名誉)として、Σbpが記憶される。
【0037】
第3の記憶部13は、提供者及び被提供者の組み合わせが同一である資源の提供が行われた回数を記憶する。例えば、提供者がメンバーaであり、被提供者がメンバーbである資源の提供が行われた回数が5回であれば、その回数5が第3の記憶部13により記憶される。この回数は、提供者及び被提供者の組み合わせ毎に記憶される。
【0038】
第4の記憶部14は、資源A,B,…と、基準値r、基準値pの初期値と、第2の変数βの値と、第3の変数γの値と、を記憶する。
【0039】
第5の記憶部15は、可換ポイントと交換可能な特典とを対応付けた情報が記憶される。さらに、第5の記憶部15は、名誉ポイントと交換可能な特典とを対応付けた情報が記憶される。
【0040】
ポイント管理部20は、資源の提供の完了後に、第1の記憶部11に資源に対応付けて記憶された基準値r,pを変数α~εの値に応じて増減させて今回のポイントを算出する。ポイント管理部20は、提供者となったメンバーが有する合計ポイントに今回のポイントを加算して第2の記憶部12に記憶するとともに、被提供者となったメンバーが有する合計ポイントから今回のポイントを減算して第2の記憶部12に記憶する。
【0041】
また、ポイント管理部20は、メンバーが自治会1に支払った金銭(会費)に応じて、第2の記憶部12に記憶されるメンバーの合算ポイントの初期値を決定する。さらに、ポイント管理部20は、第5の記憶部15に記憶されたポイント交換情報に基づいて、可換ポイントと特典とを交換し、名誉ポイントと名誉特典とを交換する。特典には、各種抽選券が含まれ、名誉特典には、賞状、メダル、授与式での表彰などが含まれる。
【0042】
変数決定部21は、資源の価値に関する情報に基づいて、第1の記憶部11に記憶される変数(第1の変数α、第2の変数β、第3の変数γ、第4の変数δ、第5の変数ε)の値を決定する。例えば、変数決定部21は、被提供者による資源の提供の評価が良好になるにつれて、今回のポイントが増えるように第1の変数αの値を決定する。また、変数決定部21は、行政に関する資源の重要度が高くなるにつれて、今回のポイントが増えるように第2の変数βの値を決定する。さらに、変数決定部21は、自治会1における資源の重要度が高くなるにつれて、今回のポイントが増えるように第3の変数γの数値を決定する。
【0043】
さらに、変数決定部21は、提供者及び被提供者が同一である資源の提供の回数が増えるにつれて今回のポイントが減るように第4の変数δの値を決定する。また、変数決定部21は、資源の提供の実績(回数)が多くなるにつれて、今回のポイントが増えるように第5の変数εの値を決定する。
【0044】
情報入出力部22は、通信端末8A,8B,8Cとの間で情報の入出力を行う。例えば、情報入出力部22は、通信端末8A,8B,8Cから資源の価値に関する情報を入力する。情報入出力部22は、通信端末8Aから、被提供者による資源の提供の評価結果を示す情報を、資源の価値に関する情報として入力する第1の入力部として動作する。また、情報入出力部22は、行政において決定された資源の重要度を示す情報を、資源の価値に関する情報として入力する第2の入力部として動作する。さらに、情報入出力部22は、自治会1における資源の重要度を示す情報を、資源の価値に関する情報として入力する第3の入力部として動作する。入力された情報は、変数決定部21における変数α~εの値の決定に用いられる。
【0045】
回数カウント部23は、提供者及び被提供者の組み合わせが同一である資源の提供が行われた回数をカウントする。第3の記憶部13は、回数カウント部23でカウントされた回数を記憶する。
【0046】
図4には、相互扶助活動支援システム5(サーバコンピュータ6)のハードウエア構成が示されている。図4に示すように、相互扶助活動支援システム5は、CPU(Central Processing Unit)30と、メモリ31と、外部記憶部32と、操作部33と、表示部34と、通信インターフェイス(I/F)35と、を備える。相互扶助活動支援システム5の各構成要素は、内部バス40を介して接続されている。
【0047】
CPU30は、ソフトウエアプログラム(以下、単に「プログラム」とする)を実行するプロセッサ(演算装置)である。メモリ31には、外部記憶部32からプログラム39が読み込まれ、CPU30は、メモリ31に格納されたプログラム39を実行することにより、情報処理、演算処理を行う。
【0048】
メモリ31は、例えばRAM(Random Access Memory)である。メモリ31には、CPU30によって実行されるプログラム39が格納される他、CPU30によりプログラム39の実行で必要なデータ、プログラム39の実行の結果生成されるデータが記憶される。
【0049】
外部記憶部32は、例えばハードディスク等である。外部記憶部32は、CPU30により実行されるプログラム39が記憶される。また、持ち運び可能なUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体50にはプログラム39が記憶されている。外部記憶部32には、記録媒体50から転送されたプログラム39が記憶されている。
【0050】
操作部33は、オペレータが操作可能なマンマシンインターフェイスである。操作部33としては、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、カメラ、マイクロホン等がある。CPU30は、操作部33の操作入力に従って動作する。
【0051】
表示部34は、画像を表示するディスプレイである。表示部34は、CPU30から出力された画像信号を、表示部34に出力する。これにより、表示部34には、その画像信号に基づく画像が表示される。タッチパネルの場合は、操作部33と表示部34とは一体化している。
【0052】
通信インターフェイス35は、外部機器と通信を行うための通信インターフェイスである。通信インターフェイス35は、通信ネットワーク7の入出力インターフェイスである。
【0053】
図1に示す相互扶助活動支援システム5の各種構成要素は、CPU30がプログラム39を実行することにより、その機能が実現される。すなわち、ポイント管理部20、変数決定部21、情報入出力部22及び回数カウント部23の機能は、CPU30によるプログラム39の実行により実現される。また、第1の記憶部11~第5の記憶部15は、外部記憶部32により実現される。そのため、図3では、CPU30内にポイント管理部20、変数決定部21、情報入出力部22及び回数カウント部23が組み込まれ、外部記憶部32内に、第1の記憶部11~第5の記憶部15が組み込まれるように図示されている。ただし、情報入出力部22は、CPU30の制御の下、通信インターフェイス35が稼働することにより、その機能が実現される。
【0054】
次に、本実施の形態に係る相互扶助活動支援システム5の動作について説明する。
【0055】
まず、運用を開始するための前処理について説明する。この前処理では、図5に示すように、相互扶助活動支援システム5は、準備処理を行う(ステップS1)。ここでは、図6に示すように、情報入出力部22は、行政機関3の通信端末8Cから送られた行政において決定された資源の重要度を示す情報を入力する。資源の重要度は、行政機関3で予め定められている。変数決定部21は、第4の記憶部14に記憶された基準値r,p、及び第2の変数βの値を設定する。ここで、設定される資源Aは、第1の記憶部11に記憶される資源A1に対応する(図3参照)。また、資源Bは、第1の記憶部11に記憶される資源B1に対応する(図3参照)。
【0056】
次に、相互扶助活動支援システム5は、自治会1のメンバーに対するアンケート処理を行う(ステップS2)。このアンケート処理のアンケートの内容には、例えば、提供される資源として、育児に関するものを重視するか、高齢者に関するものを重視するか、健康に関するものを重視するか、などの質問が含まれる。情報入出力部22は、自治会1の各メンバーにアンケート調査を行って、その結果を収集する。
【0057】
アンケートの結果は、自治会1における資源の重要度を示す情報となる。例えば、育児を重視するメンバーが多ければ、育児に関する資源の重要度が大きくなる。図7に示すように、育児に関する資源について、育児を重視するメンバーの比率と第3の変数γとのグラフを規定する。変数決定部21は、アンケートの結果から育児を重視するメンバーの比率を求め、その比率に対応するグラフ上の値を、第3の変数γとして決定する。決定された第3の変数γは、第4の記憶部14に記憶される。他の要素、高齢者に関する資源、健康に関する資源等についてもアンケートの結果が収集され、そのアンケートの結果に基づいて、自治会1における資源の重要度が数値化され、第3の変数γの初期値が設定される。すなわち、このようにして、資源A,B,…の基準値r、p、第2の変数βの値,第3の変数γの値の設定が完了する。
【0058】
図5に戻り、次に、相互扶助活動支援システム5は、ポイント初期化を行う(ステップS3)。ここでは、図8に示すように、情報入出力部22は、自治会1においてシステムの管理者である特別な権限を有するメンバーの通信端末8Aから送られてきたデータを入力する。このデータは、例えば、自治会1のメンバーa,b,…の収められた会費の納付状態等のデータである。ポイント管理部20は、このデータに基づいて、自治会1のメンバーa,b,…の合計ポイント(可換)、合計ポイント(名誉)の初期値を算出し、第2の記憶部12に記憶する。すなわち、ポイント管理部20は、メンバーの自治会1に支払った金銭に応じて、メンバーの合算ポイントの初期値を決定する。
【0059】
上述の前処理が完了すると、システム運用が開始される。図9に示すように、まず、相互扶助活動支援システム5は、情報入出力部22に情報が入力されるまで待つ(ステップS10;No)。その後、情報が入力されると(ステップS10;Yes)、ステップS11~S14において、入力された情報の内容の判定を行う。
【0060】
入力された情報が提供者受付である場合には(ステップS11;Yes)、相互扶助活動支援システム5は、資源設定処理を行う(ステップS21)。この資源設定処理は、自治会1のメンバーが提供可能な資源を、設定登録する処理である。資源設定処理では、図10に示すように、通信端末8Aから提供者として提供可能な資源が第1の記憶部11に設定される。情報入出力部22は、通信端末8Aから提供者と、提供される資源の内容との情報を入力し、第1の記憶部11に登録する。例えば、提供者であるメンバーaの通信端末8Aから、資源A1の情報が入力され、第1の記憶部11に登録される。
【0061】
ポイント管理部20は、提供される資源の内容と、第4の記憶部14に記憶された資源の内容とを照らし合わせ、内容が一致する資源の基準値r,pを読み出して、第1の記憶部11に記憶する。例えば、資源Aは、資源A1と同一であるため、第4の記憶部14から資源Aに対応する基準値r1,p1が読み出され、第1の記憶部11のA1に対応する基準値r,pとして格納される。また、変数決定部21は、第4の記憶部14から資源Aに対応する第2の変数βの値β1と、第3の変数γの値γ1とを読み出して、第1の記憶部11に登録する。メンバ-bによる資源B1の登録も同様にして行われる。図9に戻り、資源設定処理が終了した後は、再び情報入力待ちとなる(ステップS10;No)。
【0062】
さらに、入力された情報が、被提供者受付である場合には(ステップS12;Yes)、相互扶助活動支援システム5は、マッチング処理を行う(ステップS22)。マッチング処理は、資源の提供を希望するメンバーが、登録された提供可能な資源の中から希望する資源を選択する処理である。
【0063】
マッチング処理では、図11に示すように、情報入出力部22は、通信端末8A(例えばメンバーcの端末)から要求があると、第1の記憶部11に記憶された現在提供可能な資源に関する情報と、第2の記憶部12に記憶された自身の合計ポイント(可換)、合計ポイント(名誉)(メンバーbであればΣbr,Σbp)とを、その通信端末8Aに送信する。メンバーは、資源のリストと、合計ポイントとを見て、提供を希望する資源を選択する。通信端末8A(メンバーb)において、希望の資源が選択されると、その情報が情報入出力部22に入力される。情報入出力部22は、選択された資源に対応する提供者(例えばメンバーa)の通信端末8Aに通知する。これにより、資源の提供を受ける被提供者が定まり、被提供者(例えばメンバーb)が第1の記憶部11に設定される。これにより、マッチング処理が終了する。図9に戻り、マッチング処理終了後は、再び情報入力待ちとなる(ステップS10;No)。
【0064】
通知を受けた提供者は、被提供者に対して資源を提供する。これにより、例えば、図1に示すように、メンバーaは、日用品を受け取り、メンバーdは、預かり保育のサービスを受けることができる。
【0065】
資源の提供が完了すると、被提供者の通信端末8Aから、相互扶助活動支援システム5へ提供完了通知が送られる。入力された情報が、提供完了通知である場合(ステップS13;Yes)、相互扶助活動支援システム5は、提供完了処理を行う(ステップS23)。提供完了処理では、図12に示すように、相互扶助活動支援システム5は、第1の変数αの値を決定する(ステップS31)。ここで、まず、情報入出力部22は、被提供者による資源の提供の評価結果を示す情報を、資源の価値に関する情報として入力する。提供完了通知には、その資源の提供に対する被提供者の評価(例えば5段階評価)が含まれている。変数決定部21は、被提供者による資源の提供の評価が良好になるにつれて、今回のポイントが増えるように第1の変数αの値を決定する。例えば、評価を5段階とし、評価が3の場合は、第1の変数αの値を1とし、評価が5の場合は、1.5、評価が1の場合は、0.5とすることができる。
【0066】
続いて、相互扶助活動支援システム5は、第4の変数δの値を設定する(ステップS32)。具体的には、変数決定部21は、第4の記憶部14に記憶された提供者及び被提供者の組み合わせが同一である資源の提供が行われた回数を参照し、提供者及び被提供者の組み合わせが同一である資源の提供の回数が増えるにつれて今回のポイントが減るように第4の変数δの値を決定する。例えば、回数が10回以上となった場合には、1回増えるごとに、第4の変数δの値を0.1ずつ引き下げるようにすることができる。
【0067】
続いて、相互扶助活動支援システム5は、第5の変数εの値を設定する(ステップS33)。具体的には、変数決定部21は、第1の記憶部11を参照して、資源の提供のこれまでの実績(回数)に応じて、今回のポイントが増えるように第5の変数εの値を決定する。例えば、第1の記憶部11にこれまでの同種の資源が提供された回数が5回である場合には、第5の変数εを、1.05とすることができる。
【0068】
続いて、ポイント管理部20は、今回のポイントを算出する(ステップS34)。具体的には、ポイントの基準値r1又はp1に各種変数α1~ε1を乗算して、今回ポイントを算出する。小数点以下は切り捨てとしてもよいし、四捨五入、切り上げとしてもよい。
今回ポイント(可換)=r1×α1×β1×γ1×δ1×ε1
今回ポイント(名誉)=p1×α1×β1×γ1×δ1×ε1
なお、今回ポイント(名誉)については、基準値で固定されていてもよい。
【0069】
続いて、ポイント管理部20は、算出された今回ポイントを、提供者の合計ポイントに加算するとともに、今回ポイントを、被提供者の合計ポイントから減算して、第2の記憶部12に記憶する(ステップS35)。これにより、第2の記憶部12に記憶されるメンバーの合計ポイントが更新され、提供完了処理が終了する。図9に戻り、提供完了処理の終了後は、再び情報入力待ちとなる(ステップS10;No)。
【0070】
入力された情報が変数更新を示す場合には(ステップS14;Yes)、相互扶助活動支援システム5は、変数更新処理を行う(ステップS24)。情報入出力部22は、通信端末8A,8Cから送られた情報を入力する。変数決定部21は、入力された情報に基づいて、第2の変数β又は第3の変数γの値を決定し、これを更新する。
【0071】
図13に示すように、例えば、情報入出力部22は、行政において決定された資源の重要度を示す情報を、資源の価値に関する情報として入力する。変数決定部21は、行政に関する資源の重要度が高くなるにつれて、その資源に対応する第2の変数βの値が高くなるように決定する。また、情報入出力部22は、自治会1における資源の重要度を示す情報を、資源の価値に関する情報として入力する。変数決定部21は、自治会1における資源の重要度が高くなるにつれて、今回のポイントが増えるように第3の変数γの値を決定する。変数決定部21は、第4の記憶部14の対応する資源の第2の変数βの値、第3の変数γの値を決定した値に更新する。なお、ここで、第1の変数α、第4の変数δ、第5の変数εを算出する算出式を変更するようにしてもよいし、基準値r,pを更新するようにしてもよい。以降は、更新された変数の値、算出式で、第1の変数αから第5の変数εの値の計算が行われる。図9に戻り、変数更新処理終了後は、再び情報入力待ちとなる(ステップS10;No)。
【0072】
ステップS11~S14の判定が否定された場合、相互扶助活動支援システム5は、ポイント交換処理を行う(ステップS25)。ポイント管理部20は、第5の記憶部15に記憶されたポイント交換情報を参照して、第2の記憶部12に記憶された各メンバーの合計ポイント(可換)、合計ポイント(名誉)に基づいて、ポイント交換を行う。例えば、ポイント管理部20は、名誉ポイントが所定レベルに達したメンバーに名誉特典を与える。また、ポイント管理部20は、可換ポイントが所定レベルに達したメンバーに特典を与える。例えば、図1に示すように、メンバーbは、抽選券を受け取ることができ、メンバーcは、名誉を得ることができる。
【0073】
図9に示す、資源設定処理(ステップS21)、マッチング処理(ステップS22)、提供完了処理(ステップS23)、変数更新処理(ステップS24)、ポイント交換処理(ステップS25)は、繰り返し行われる。これにより、相互扶助活動支援システム5が運用され、自治会1において有用な資源の提供が促進される。
【0074】
本実施の形態では、資源設定処理(ステップS21)、変数更新処理(ステップS24)、図12に示すステップS31~S33が変数決定ステップに対応する。また、図12に示すステップS34、S35が、ポイント管理ステップに対応する。
【0075】
なお、資源設定処理等に並列する処理として、メンバーが支払った現金に応じて第2の記憶部12に記憶されたメンバーの合計ポイントを増やす処理を組み込むようにしてもよい。また、行政機関3により、新たな資源のリストを第4の記憶部14に追加する登録を組み込んでもよい。
【0076】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、提供された資源の価値を数値化し、数値化された価値に応じて提供者に提供されるポイントを増減させることができるので、より価値の高い資源を提供しようとするインセンティブを生じさせることができる。この結果、資源を提供する提供者及び資源の提供を受ける被提供者になることにより行われる相互扶助機能をより活性化させることができる。相互扶助機能が活性化すれば、自治会1の活動が活発になってその機能不全も解消されるので、地方創生の足掛かりとなることが期待される。
【0077】
本実施の形態によれば、行政機関3又は自治会1が重要視する資源に対してはポイントが高くなり、それほど重要視しない資源に対しては、ポイントを低くするなど、自治会1の特色に合わせたポイント制を採用することが可能となる。なお、本実施の形態では、自治会1でアンケートを行って、重要度の高い資源を数値化するようにしたが、資源の重要度の決定方法は、これには限定されない。例えば、自治会1の役員会等で資源の重要度を決定するようにしてもよい。
【0078】
また、被提供者の評価が高かった資源については、ポイントを高くすることにより、資源の利用が促進される。本実施の形態では、被提供者の評価を提供完了通知を含めることとしたが、様々な方法で被提供者の評価を取得することができる。例えば、資源の提供の完了後に、自治会1の役員が、聞き取り調査をするようにしてもよい。
【0079】
さらに、本実施の形態では、提供者及び被提供者の組み合わせが同一である資源の提供について回数が増えれば増えるほどポイントを少なくしている。このようにすれば、提供者及び被提供者が共謀して資源の提供を多数行うことによりポイントを不当に稼ぐことを防ぐことができる。
【0080】
さらに、同種の資源の提供の実績が多くなればなるほど、獲得できるポイントを多くしている。これにより、需要の大きい資源の提供を増やすインセンティブを発生させることができる。この他、資源ごとに需要がどの程度あるかをアンケート調査等によって求め、その需要の大きさに応じて変数の値を決定するようにしてもよい。なお、この場合、提供者及び被提供者の組み合わせが同一である資源の提供については、複数回あっても1回とするようにしてもよい。
【0081】
変数の決定方法は、上述したものには限られない。本発明は、その算出方法には限定されない。例えば、アンケートなどのグループにおける資源の価値を表す情報に基づいて、統計処理、機械学習、深層学習を行って、自治会1における資源の重要度を決定し、変数の値を決定するようにしてもよい。機械学習、深層学習では、他の自治会1で運用されたシステムの運用結果を学習した学習マシンで、資源の重要度を求め、変数の値を決定するようにしてもよい。
【0082】
なお、本実施の形態では、金銭と交換可能な可換ポイントだけでなく、名誉特典が得られる名誉ポイントも貯めることができる。これにより、物又はサービスの提供を必要としないメンバーにも、システムの利用を促すことが可能となる。
【0083】
なお、地元企業2が法人として自治会1のメンバーになってもよい。この場合でも、名誉ポイントの獲得により、名誉特典を得ることが可能である。
【0084】
上記実施の形態では、特定のグループを自治会1とした例について説明した。しかしながら、これには限られない。例えば、学校のPTA、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)、会社、学校など、様々なコミュニティで、相互扶助活動支援システム5を適用することができる。
【0085】
また、上記実施の形態では、基準値に変数を乗算してポイントを求めたが、これには限られない。例えば、基準値に変数の値を加算して合計ポイントを求めるようにしてもよい。
【0086】
資源としては、この他、不用品、リサイクル品、食品、買い物代行、物品の貸与、剪定、見守り、土地、イベントの手伝い、講師、インストラクターの派遣、専門的知識の供与、アドバイスなどでもよい。コミュニティに有用なものであれば、資源に特に制限はない。
【0087】
相互扶助活動支援システム5の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する相互扶助活動支援システム5を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで相互扶助活動支援システム5を構成してもよい。
【0088】
相互扶助活動支援システム5の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0089】
搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)にコンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0090】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、特定のグループにおける相互扶助活動を行うのに適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 自治会、2 地元企業、3 行政機関、5 相互扶助活動支援システム、6 サーバコンピュータ、7 通信ネットワーク、8A,8B,8C 通信端末、11 第1の記憶部、12 第2の記憶部、13 第3の記憶部、14 第4の記憶部、15 第5の記憶部、20 ポイント管理部、21 変数決定部、22 情報入出力部、23 回数カウント部、24 カウント交換部、30 CPU、31 メモリ、32 外部記憶部、33 操作部、34 表示部、35 通信インターフェイス(I/F)、39 プログラム、40 内部バス、50 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13