(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】採尿済カップ管理装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/493 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
G01N33/493 B
(21)【出願番号】P 2020012438
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-12-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和1年10月3日 パシフィコ横浜で開催された日本臨床検査自動化学界第51回大会で採尿済カップ管理装置「u-TRIPS V2」を公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (2)令和1年10月25日 慶應義塾大学病院に採尿済カップ管理装置「u-TRIPS V2」を販売
(73)【特許権者】
【識別番号】591086854
【氏名又は名称】株式会社テクノメデイカ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】蒔崎 智之
(72)【発明者】
【氏名】奥山 祐衣
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/056571(WO,A1)
【文献】特開平07-234215(JP,A)
【文献】特開平01-155267(JP,A)
【文献】特開2017-044648(JP,A)
【文献】特開2018-017603(JP,A)
【文献】特開2013-096733(JP,A)
【文献】特開平01-119766(JP,A)
【文献】中国実用新案第206431135(CN,U)
【文献】特開2017-090354(JP,A)
【文献】特開平10-310223(JP,A)
【文献】特表平08-508823(JP,A)
【文献】特開2010-181384(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107084905(CN,A)
【文献】実開平06-018949(JP,U)
【文献】特開平02-251767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/493
G01N 35/00~35/10
G01N 1/00~ 1/44
G01N 5/00~ 9/36
G16Q 50/22
G16H 10/00~80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周状に複数のカップ挿入孔が形成されたカップガイド部材と、
前記カップガイド部材におけるカップ挿入孔の下方に位置する円周状のカップ通路及び前記カップガイド部材を回転させる駆動装置を備えたベース部材と、
前記ベース部材の前側に配置され、使用者が前記カップガイド部材の一つのカップ挿入孔にアクセスでき、かつ、他のカップ挿入孔を隠すような形状に形成されたフロントカバーと
を備え、
前記ベース部材のカップ通路における何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に重量センサを設け、
かつ、前記ベース部材の何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に、採尿済カップに設けられたバーコード及び/又は無線タグから患者識別情報を読み取る読取装置を設け、
さらに、ベース部材における、カップガイド部材の使用者がアクセス可能な一つのカップ挿入孔に対応する位置に第一カップ検知センサを設け、
第一カップ検知センサによりカップが検知されると、次のカップ挿入孔がカップ挿入位置にくるまでカップガイド部材を回転させるよう前記駆動装置を制御すると共に、前記重量センサ及び読取装置を用いて採尿済カップの重量測定及び患者識別情報の読取を行い、読み取った重量及び患者識別情報の紐づけを行うように構成された制御装置を備えている
ことを特徴とする採尿済カップ管理装置。
【請求項2】
前記ベース部材のカップ通路における何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に凹部を設け、該凹部に、上面がカップ通路と面一になるよう重量センサを設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項3】
前記重量センサが、前記ベース部材のカップ通路における前記使用者がアクセス可能なカップ挿入孔に対応するカップ挿入位置以外の何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項4】
前記読取装置が、前記ベース部材の前記使用者がアクセス可能なカップ挿入孔に対応するカップ挿入位置以外の何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項5】
前記フロントカバーが、カップ挿入位置においてカップ挿入孔を一つ露出させる開口部を備えている
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項6】
前記ベース部材のカップ通路が、円周状の溝部を有する
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項7】
前記カップガイド部材における各カップ挿入孔に対応する位置に、カップ挿入孔から下方に向けて延びるカップガイドが形成されている
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項8】
前記カップ挿入位置の回転方向後側に位置するカップ挿入孔に対応する位置に第二カップ検知センサを設け、
第二カップ検知センサによりカップが検知されると、前記制御装置が採尿済カップ満杯信号を出力する
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項9】
前記フロントカバーに連結され、カップガイド部材全体の上方を覆うリアカバーが前記ベース部材に設けられる
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項10】
前記カップガイド部材が円板形ターンテーブルから成る
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項11】
前記制御装置が、採尿された尿量が、所定の尿量を超えているか否かを判定する判定手段を備えている
ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項12】
採尿済カップ管理装置が、さらに、前記判定手段による判定結果を、採尿済カップを提出した患者に表示する表示装置を備えている
ことを特徴とする請求項11に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項13】
前記所定の尿量が、前記患者識別情報に予め関連付けられた医師等による指定の尿量に対応している
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項14】
前記制御装置が、前記患者識別情報に、前記重量に加えて、前記判定手段による判定結果を関連付けして記憶するように構成されている
ことを特徴とする請求項11~13の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項15】
採尿済カップ管理装置が、前記制御装置に、有線及び/又は無線で接続される上位制御装置を備え、前記制御装置が、前記上位制御装置に患者識別情報及び採尿済カップの重量を出力するように構成され、
前記上位制御装置が、採尿された尿量が、所定の尿量を超えているか否かを判定する判定手段を備えている
ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項16】
前記上位制御装置が、さらに、前記判定手段による判定結果を表示する表示装置を備えている
ことを特徴とする請求項15に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項17】
前記制御装置が、前記上位制御装置に患者識別情報及び採尿済カップの重量に加えて、採尿済カップの提出時間を出力するように構成され、
前記上位制御装置の表示装置が、前記判定結果に加えて、採尿済カップの提出時間を表示する
ことを特徴とする請求項16に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項18】
前記上位制御装置が、医師等による患者に対する採尿指示情報を患者識別情報に関連付けして有し、該採尿指示情報及び前記制御装置から入力される患者識別情報に基づいて、採尿済カップの提出の有無を判断し、その判断結果を表示するように構成されている
ことを特徴とする請求項16又は17に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項19】
前記所定の尿量が、前記患者識別情報に予め関連付けられた医師等による指定の尿量に対応している
ことを特徴とする請求項15~18の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【請求項20】
前記上位制御装置が、前記患者識別情報に、前記重量に加えて、前記判定手段による判定結果を関連付けして記憶するように構成されている
ことを特徴とする請求項15~19の何れか一項に記載の採尿済カップ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿を採取した採尿済のハルンカップを管理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院等では、尿に含まれる糖やタンパク等の量から患者の健康状態を判断するために、患者から尿を採取して、これを検査することが行われている。
前記した尿は、通常、ハルンカップと呼ばれる紙コップに患者自身がトイレで採取する。患者は、尿を採取したハルンカップを所定の提出台に置く。
ハルンカップに採取された尿は、医師や看護師や検査技師等の手作業により、又は自動分注装置により、検査項目別にスピッツと呼ばれる試験管に入れ換えられ、これらの試験管に入れられた尿に対して複数の検査が行われる。
ところで、前記ハルンカップには予め患者の氏名等が記入され、かつ、患者識別情報がバーコードの形態で印字されており、分注を行う時にハルンカップに表示された患者ID等の患者識別情報と分注後の試験管とのデータの紐付けが行われ、それにより前記分注後の試験管に入った尿の検査結果と患者との紐づけが正確に行われることになる。
しかし、患者がハルンカップに尿を採尿してから分注をする迄の間は、データによる管理が全く行われていないため、その間の管理にはまだ改善の余地があった。
出願人は、上記した課題を解決するために、患者が採尿したハルンカップを提出する段階から、患者と尿との紐づけを行うことができる尿管理システムを既に提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開番号WO2016/056571A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した尿管理システムは、上方が開放した矩形のハウジングに、上方からハルンカップを挿置可能なハルンカップ搭載部を複数設け、各ハルンカップ搭載部の下方に各々重量センサを設け、重量センサの下方に、全てのハルンカップ搭載部に挿置されたハルンカップの無線タグから情報を読み取ることができるようにアンテナが設けられた一つの読取装置を設けてなる採尿済カップ管理装置を備えており、患者が採尿済のハルンカップを上方から任意のハルンカップ搭載部に挿置することができるように構成されている。前記読取装置で、ハルンカップの無線タグから読み取られた情報に基づいて、ハルンカップ識別情報と患者識別情報との紐づけが行われる。
上記したように、従来の尿管理システムは、患者が採尿したハルンカップを提出する段階から、患者と尿との紐づけを行うことができるので、患者がハルンカップに尿を採尿してから分注をする迄の間もデータによる管理が可能になる。
しかし、上記した従来の尿管理システムの採尿済カップ管理装置は、読取装置、重量センサ及びハルンカップ搭載部を重ねて配置しているので、高さ方向の寸法が大きくなるという問題がある。特に、読取装置は、全てのハルンカップ搭載部に挿置された全てのハルンカップの無線タグから情報を読み取ることができるように構成されているためアンテナが大きくなり、高さ方向の寸法を大きくする原因になっていた。
また、上記した従来の採尿済カップ管理装置は、上方が開放され、ハルンカップ搭載部に上方からハルンカップを挿置するように構成されているので、装置の上方に、採尿済ハルンカップを持った状態で手を入れるだけの十分なスペースが必要になり、結果として、装置の設置時に上方に十分なスペースを設ける必要があり、前記したように採尿済カップ管理装置自体の高さ方向の寸法が大きいことも相俟って、設置場所が相当制限されるという問題もあった。
さらに、上記した従来の採尿済カップ管理装置は、各ハルンカップ搭載部の下方に重量センサを設ける必要があるため、重量センサの数が増えコスト高になるという問題があり、かつ、故障の原因が増えるという問題もあった。
さらにまた、従来の採尿済カップ管理装置は、上方が開放されているため、前の患者が提出した採尿済ハルンカップが完全に露出した状態になるので、プライバシーの面からも、これを改善することが望ましく、さらに、採尿済ハルンカップを誰でも触ることができるため悪戯等を防止することができないという問題も生じる。
本発明は、上記した従来の採尿済カップ管理装置の問題点を解決し、装置自体の高さ方向の寸法が小さく、設置時に上方に大きなスペースを必要とせず、さらに安価に製造することができ、かつ、プライバシーの問題にも配慮することが可能な新規な採尿済カップ管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る採尿済カップ管理装置は、円周状に複数のカップ挿入孔が形成されたカップガイド部材と、前記カップガイド部材におけるカップ挿入孔の下方に位置する円周状のカップ通路及び前記カップガイド部材を回転させる駆動装置を備えたベース部材と、前記ベース部材の前側に配置され、使用者が前記カップガイド部材の一つのカップ挿入孔にアクセスでき、かつ、他のカップ挿入孔を隠すような形状に形成されたフロントカバーとを備え、前記ベース部材のカップ通路における何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に重量センサを設け、かつ、前記ベース部材の何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に、採尿済カップに設けられたバーコード及び/又は無線タグから患者識別情報を読み取る読取装置を設け、さらに、前記カップ挿入位置に対応する位置に第一カップ検知センサを設け、第一カップ検知センサによりカップが検知されると、次のカップ挿入孔がカップ挿入位置にくるまでカップガイド部材を回転させるよう前記駆動装置を制御すると共に、前記重量センサ及び読取装置を用いて採尿済カップの重量測定及び患者識別情報の読取を行い、読み取った重量及び患者識別情報の紐づけを行うように構成された制御装置を備えていることを特徴とする。
前記ベース部材のカップ通路における何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に凹部を設け、該凹部に、上面がカップ通路と面一になるよう重量センサが設けられ得る。
また、前記重量センサは、前記ベース部材のカップ通路における前記使用者がアクセス可能なカップ挿入孔に対応するカップ挿入位置以外の何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に設けられ得る。
さらに、前記読取装置は、前記ベース部材の前記使用者がアクセス可能なカップ挿入孔に対応するカップ挿入位置以外の何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に設けられ得る。
前記フロントカバーには、カップ挿入位置においてカップ挿入孔を一つ露出させる開口部が設けられ得る。
前記ベース部材のカップ通路には、円周状の溝部が形成され得る。
前記カップガイド部材における各カップ挿入孔に対応する位置に、カップ挿入孔から下方に向けて延びるカップガイドが形成され得る。
前記カップ挿入位置の回転方向後側に位置するカップ挿入孔に対応する位置に第二カップ検知センサが設けられ得、第二カップ検知センサによりカップが検知されると、前記制御装置が採尿済カップ満杯信号を出力するように構成され得る。
前記フロントカバーに連結され、カップガイド部材全体の上方を覆うリアカバーが前記ベース部材に設けられ得る。
前記カップガイド部材は、好ましくは、円板形ターンテーブルで構成され得るが、これに限定されることなく、例えば、円周状に配置されたコンベア等で構成することもできる。
前記制御装置は、採尿された尿量が、所定の尿量を超えているか否かを判定する判定手段を有し得、この場合、採尿済カップ管理装置に、さらに、前記判定手段による判定結果を、採尿済カップを提出した患者に表示する表示装置を設けることもできる。前記所定の尿量は、前記患者識別情報に予め関連付けられた医師等による指定の尿量に対応している。さらに、この場合、前記制御装置は、前記患者識別情報に、前記重量に加えて、前記判定手段による判定結果を関連付けして記憶するように構成され得る。
また、採尿済カップ管理装置に、前記制御装置に、有線及び/又は無線で接続される上位制御装置を設け、前記制御装置が、前記上位制御装置に患者識別情報及び採尿済カップの重量を出力するように構成し、前記上位制御装置に、採尿された尿量が、所定の尿量を超えているか否かを判定する判定手段を設けることができる。この場合、前記上位制御装置は、さらに、前記判定手段による判定結果を表示する表示装置を有し得る。また、前記制御装置を、前記上位制御装置に患者識別情報及び採尿済カップの重量に加えて、採尿済カップの提出時間を出力するように構成し、前記上位制御装置の表示装置を、前記判定結果に加えて、採尿済カップの提出時間を表示するように構成してもよい。さらに、前記上位制御装置に、医師等による患者に対する採尿指示情報を患者識別情報に関連付けして記憶させ、該採尿指示情報及び前記制御装置から入力される患者識別情報に基づいて、採尿済カップの提出の有無を判断し、その判断結果を表示するように構成することもできる。前記所定の尿量は、前記患者識別情報に予め関連付けられた医師等による指定の尿量に対応している。この場合、前記上位制御装置は、前記患者識別情報に、前記重量に加えて、前記判定手段による判定結果を関連付けして記憶するように構成され得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る採尿済カップ管理装置は、円周状に複数のカップ挿入孔が形成されたカップガイド部材と、前記カップガイド部材におけるカップ挿入孔の下方に位置する円周状のカップ通路及び前記カップガイド部材を回転させる駆動装置を備えたベース部材と、前記ベース部材の前側に配置され、使用者が前記カップガイド部材の一つのカップ挿入孔にアクセスでき、かつ、他のカップ挿入孔を隠すような形状に形成されたフロントカバーとを備え、前記ベース部材のカップ通路における何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に重量センサを設け、かつ、前記ベース部材の何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に、採尿済カップに設けられたバーコード及び/又は無線タグから患者識別情報を読み取る読取装置を設け、さらに、前記カップ挿入位置に対応する位置に第一カップ検知センサを設け、第一カップ検知センサによりカップが検知されると、次のカップ挿入孔がカップ挿入位置にくるまでカップガイド部材を回転させるよう前記駆動装置を制御すると共に、前記重量センサ及び読取装置を用いて採尿済カップの重量測定及び患者識別情報の読取を行い、読み取った重量及び患者識別情報の紐づけを行うように構成された制御装置を備えており、読取装置がカップ挿入孔及び重量センサの下方に配置されていないので装置自体の高さ方向の寸法が小さくなり、カップ挿入孔が設けられたカップガイド部材を回転するように構成すると共に、フロントカバーを設けて、患者が採尿済カップを提出できる位置を装置前面に固定することによって、患者が装置の上方からでなく、装置の前方から採尿済カップを提出することが可能になるので、装置全体の高さ方向の寸法が小さくなることも相俟って、設置時に装置の上方に大きなスペースを必要とせず、さらに、重量センサを何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に設けることによって重量センサの数を少なくすることができるため装置全体のコストが下がり、重量センサの数が減ることで故障の原因も少なくなり、さらにまた、フロントカバーを使用者が前記カップガイド部材の一つのカップ挿入孔にアクセスでき、かつ、他のカップ挿入孔を隠すような形状に形成しているので、先に提出された採尿済カップを、後から提出する患者に対して隠すことが可能になり、プライバシーの問題に配慮でき、悪戯を防止することも可能になるという効果を奏する。
また、前記ベース部材のカップ通路における何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に凹部を設け、該凹部に、上面がカップ通路と面一になるよう重量センサを設けることにより、採尿済カップをスムーズに重量センサの上に載せることが可能になる。
また、前記重量センサを、前記ベース部材のカップ通路における前記使用者がアクセス可能なカップ挿入孔に対応するカップ挿入位置以外の何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に設けることにより、採尿済カップが提出された後に直ぐに次のカップ挿入孔がカップ挿入位置にくるまでカップガイド部材を回転させることが可能になり、直ぐに次の患者が採尿済カップを提出することが可能になる。
さらに、前記読取装置を、前記ベース部材の前記使用者がアクセス可能なカップ挿入孔に対応するカップ挿入位置以外の何れか一つのカップ挿入孔に対応する位置に設けることにより、採尿済カップが提出された後に直ぐに次のカップ挿入孔がカップ挿入位置にくるまでカップガイド部材を回転させることが可能になり、直ぐに次の患者が採尿済カップを提出することが可能になる。
前記フロントカバーに、カップ挿入位置においてカップ挿入孔を一つ露出させる開口部を設けることにより、使用者が前記カップガイド部材の一つのカップ挿入孔にアクセスでき、かつ、他のカップ挿入孔を隠すことが可能になる。
前記ベース部材のカップ通路に、円周状の溝部を形成することにより、万が一カップから尿がこぼれた場合でも、こぼれた尿を溝部で回収することが可能になる。また、この溝部により、採尿済カップの底面のカップ通路に対する接触面積を減らすことが可能になり、それにより、採尿済カップがカップ挿入孔に挿入された状態でカップガイド部材を回転させる時に、採尿済カップとカップ通路との間の摩擦抵抗を小さくしてカップガイド部材をスムーズに回転させることが可能になる。さらに、採尿済カップとカップ通路との間の摩擦抵抗を小さくすることにより、カップガイド部材回転時の採尿済カップの振動を抑えることができ、カップから尿がこぼれることを防止することが可能になる。
前記カップガイド部材における各カップ挿入孔に対応する位置に、カップ挿入孔から下方に向けて延びるカップガイドを形成することにより、カップガイド部材の回転時に提出された採尿済カップの姿勢を安定させることができ、振動を抑えることが可能になる。
前記カップ挿入位置の回転方向後側に位置するカップ挿入孔に対応する位置に第二カップ検知センサが設け、第二カップ検知センサによりカップが検知されると、前記制御装置が採尿済カップ満杯信号を出力するように構成することにより、該採尿済カップ管理装置に無線又は有線で接続され得る上位制御装置でカップが満杯であることを確認することが可能になる。これにより、採尿済カップ管理装置を、上位の管理室から離れた場所、例えば、各トイレ等に設置して運用することが可能になる。尚、「採尿済カップ満杯信号」は、必ずしも、採尿済カップ管理装置が完全に満杯になったことを表す信号である必要はなく、採尿済カップ管理装置が満杯になることを予告する信号であってもよい。具体的には、例えば、第二カップ検知センサをカップ挿入位置の二つ前のカップ挿入孔に対応する位置に配置することにより、採尿済カップ管理装置が完全に満杯になる前に予告信号として「採尿済カップ満杯信号」が出力されるようになる。
前記フロントカバーに連結され、カップガイド部材全体の上方を覆うリアカバーを前記ベース部材に設けることにより、設置場所を選ばすに、提出済のカップを完全に隠すことが可能になる。
前記制御装置に、採尿された尿量が、所定の尿量を超えているか否かを判定する判定手段を設けることにより、提出された採尿済カップの尿量が検査に必要な尿量に足りているか否かを確認することが可能になる。
また、採尿済カップ管理装置に、さらに、前記判定手段による判定結果を、採尿済カップを提出した患者に表示する表示装置を設けることにより、尿量が足りていない患者に、そのことを直接知らせることが可能になる。
さらに、前記制御装置を、前記患者識別情報に、前記重量に加えて、前記判定手段による判定結果を関連付けして記憶するように構成することで、尿量が足りていない患者に関する情報を管理することも可能になる。
また、採尿済カップ管理装置に、前記制御装置に有線及び/又は無線で接続される上位制御装置を設け、前記制御装置が、前記上位制御装置に患者識別情報及び採尿済カップの重量を出力するように構成し、前記上位制御装置に、採尿された尿量が、所定の尿量を超えているか否かを判定する判定手段を設けることにより、例えば、上位制御装置を検査室等に配置すれば、検査室で提出された採尿済カップの尿量が検査に必要な尿量に足りているか否かを確認することが可能になる。この場合、前記上位制御装置に、さらに、前記判定手段による判定結果を表示する表示装置を設けることで、例えば、検査室で尿量が足りていない患者を早期に特定することが可能になり、これにより、患者に対して尿の採尿し直しを早期に知らせることが可能になる。また、前記制御装置を、前記上位制御装置に患者識別情報及び採尿済カップの重量に加えて、採尿済カップの提出時間を出力するように構成し、前記上位制御装置の表示装置を、前記判定結果に加えて、採尿済カップの提出時間を表示するように構成することで、採尿済カップの提出時間を管理することが可能になる。さらに、前記上位制御装置に、医師等による患者に対する採尿指示情報を患者識別情報に関連付けして記憶させ、該採尿指示情報及び前記制御装置から入力される患者識別情報に基づいて、採尿済カップの提出の有無を判断し、その判断結果を表示するように構成することで、採尿済カップの提出し忘れ、即ち、採尿のし忘れを早期に発見して対応をすることが可能になる。また、前記上位制御装置を、前記患者識別情報に、前記重量に加えて、前記判定手段による判定結果を関連付けして記憶するように構成することにより、尿量が足りていない患者に関する情報を管理することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る採尿済カップ管理装置の分解図である。
【
図2】組立後の採尿済カップ管理装置の斜視図である。
【
図3】
図2に示した採尿済カップ管理装置を前上方から見た斜視図である。
【
図4】
図2に示した採尿済カップ管理装置を後上方から見た斜視図である。
【
図5】
図2に示した採尿済カップ管理装置を左上方から見た斜視図である。
【
図6】
図2に示した採尿済カップ管理装置の平面図である。
【
図7】
図2に示した採尿済カップ管理装置のフロントカバーを外した状態の概略平面図である。
【
図8】
図2に示した採尿済カップ管理装置にリアカバーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示す一実施例を参照しながら本発明に係る採尿済カップ管理装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る採尿済カップ管理装置の分解図であり、
図2は、組立後の採尿済カップ管理装置の斜視図であり、
図3は同採尿済カップ管理装置を前上方から見た斜視図であり、
図4は同採尿済カップ管理装置を後上方から見た斜視図であり、
図5は同採尿済カップ管理装置を左上方から見た斜視図であり、
図6は、同採尿済カップ管理装置の平面図である。また、
図7は採尿済カップ管理装置のフロントカバーを外した状態の概略平面図を示している。
【0009】
図中、符号1は採尿済カップ管理装置全体を示しており、この装置1は、ベース部材2、この実施例ではターンテーブルで構成されているカップガイド部材3及びフロントカバー4を備えている。
ベース部材2は、その中心に円筒状突起部2aが設けられており、この円形状突起部2aに、モータ等の適当な駆動装置5が設けられている。この駆動装置5の駆動軸5aにターンテーブル3を装着することができるように構成されている。駆動軸5の周囲には、カップの下部が移動できる幅の円周状カップ通路6が形成されている。カップ通路6の底面には、カップ通路6より幅狭の円周状溝部7が形成されている。前記円周状溝部7を設けることにより、採尿済カップの底面がカップ通路6に接触する面積を減らすことが可能になり、これにより、採尿済カップとカップ通路6との間の摩擦抵抗を小さくすることが可能になる。また、カップ通路6の底面は、円周状溝部7に向けてテーパー状に下がるように僅かに傾斜するように構成され得、これにより、採尿済カップの底面とカップ通路6の底面との接触面積をさらに減らすことが可能になり、かつ、万が一、採尿済カップから尿がこぼれた時にこぼれた尿が円周状溝部7に入るように構成され得る。さらに
図1に示されているように、カップ通路6には、円形状の凹部8が設けられており、この凹部8には、重量センサ9(
図7参照)が設けられている。図面には詳細に示されていないが、重量センサ9は、その上面がカップ通路6の底面と略面一になるように凹部8に配置されており、これにより、採尿済カップが重量センサ9にスムーズに載ることができるように構成されている。
【0010】
ターンテーブル3は、中心に駆動軸5aと係合する係合部10が形成されており、係合部10の周囲に円周状に適当な間隔を開けて複数のカップ挿入孔11が形成されている。この実施例では、カップ挿入孔11の数は8個であるが、カップ挿入孔11の数はターンテーブル3の大きさやカップの大きさに応じて任意に決めることができる。ターンテーブル3の底面には、各カップ挿入孔11から下方に向けて延びるカップガイド12が形成されている。カップ挿入孔11とカップガイド12の直径は、挿入する採尿済カップの直径より僅かに大きくされており、これにより、使用者が採尿済カップをカップ挿入孔11に入れた時に、採尿済カップがカップ通路6上に載るように構成されている。
【0011】
フロントカバー4は、特に
図3、
図6及び
図7を参照すると明らかなように、使用者がターンテーブルの前方中心に位置するカップ位置A(以下、このカップ位置Aをカップ挿入位置Aと称する)に対応するカップ挿入孔11にアクセスでき、かつ、他のカップ位置B~Hに対応するカップ挿入孔11を使用者から隠すように中心部分が凹まされ、この凹まされた部分に開口部4aが形成された形状に成形されており、ベース部材2の前部に立設されている。
【0012】
上記したように構成された採尿済カップ管理装置1は、平面視右方向(即ち、時計周り)にターンテーブル3が回転するように構成されている。
図1及び
図7に示すように、ベース部材2の円筒状突起部2aにおけるカップ挿入位置Aに対応する部分には、第一カップ検知センサ13が設けられ、カップ位置Hに対応する部分には、第二カップ検知センサ14が設けられている。また、
図1、
図4及び
図7に示すように、ベース部材2におけるカップ位置B(以下、このカップ位置Bをカップ計測位置Bと称する。)に対応する部分には読取装置15が設けられている。読取装置15は、採尿済カップに予め設けられたバーコード又はRFIDタグから患者識別情報を読み取る読取装置である。また、前記重量センサ9も、カップ計測位置Bに配置されている。さらにまた、ベース部材2におけるカップ挿入位置Aの前方には、人感センサ16が設けられており、この人感センサ16によって使用者がカップ挿入位置Aに手を入れているか否かを検知できるように構成されている。また、ベース部材2における前面には、患者に対して採尿済カップを提出してよいか否かを示す表示パネル17が設けられている。
上記したように構成された採尿済カップ管理装置1の各部の動作は制御装置18によって制御される。
さらに、この採尿済カップ管理装置1は、制御装置18に、有線及び/又は無線で接続される上位制御装置20を有し、この上位制御装置20は、例えば、検査室等に配置され得る。
【0013】
以下に、上記したように構成された採尿済カップ管理装置1の動作について説明していく。
始めに、ターンテーブル3における各カップ挿入孔11が、各々カップ位置A~Hに合致する位置にくるようにターンテーブル3の位置が調整される。
制御装置18は、第二カップ検知センサ14がカップを検知していない場合には、表示パネル17に採尿済カップが提出可能であることを表示させる(この実施例では、
図3における左側のマークを点灯させ、右側のマークを消灯させる)。
採尿済カップが提出可能である状態で、使用者がフロントカバー4の開口部4aに手を入れて、採尿済カップをカップ挿入位置Aにあるカップ挿入孔11に挿入すると、人感センサ16が使用者の手を検知し、第一カップ検知センサ13がカップ挿入位置Aにあるカップ挿入孔11に挿入されたカップを検知する。制御装置18は、第一カップ検知センサ13がカップを検知し、かつ、人感センサ16が使用者の手を検知しなくなると、駆動装置5を駆動して、カップ挿入位置Aにあるカップ挿入孔11がカップ計測位置Bにくるまでターンテーブル3を回転させる。これにより、空のカップ挿入孔11がカップ挿入位置Aに到達し、採尿済カップが挿入されたカップ挿入孔11がカップ計測位置Bに到達する。この時、採尿済カップがカップ計測位置Bにある重量センサ9の上に載り採尿済カップの重量が計測される。同時に、読取装置15が採尿済カップに予め設けられたバーコード又はRFIDタグから患者の識別情報を読み取り、制御装置18は重量と識別情報とを紐づけして所定の記憶手段に記憶する。この重量と識別情報とを紐づけしたデータは、採尿済カップ管理装置1に設けられたメモリに一時的に記憶された後に、有線又は無線で接続された上位制御装置20に送られてもよく、また、上位制御装置20に直接送られてもよい。また、好ましくは、制御装置は、第一カップ検知センサ13が採尿済カップを検知した時に基づいて、又は、重量センサ若しくは読取装置が重量の測定若しくは識別情報の読み取りをした時に基づいて、採尿済カップの提出時間を確定し、該提出時間を前記重量及び識別情報に紐づけするように構成され得る。
制御装置18は、採尿済カップが提出される度に(即ち、カップ挿入位置Aにあるカップ挿入孔11に採尿済カップが挿入される度に)、上記動作を繰り返し、第二カップ検知センサ14が採尿済カップを検知すると、「採尿済カップ満杯信号」を出力すると共に、表示パネル17に採尿済カップが提出不可であることを表示させる(この実施例では、
図3における左側のマークを消灯させ、右側のマークを点灯させる)。前記カップ満杯信号は、上位の管理室、例えば、検査室に送られる。管理者が採尿済カップ管理装置1から採尿済カップを回収すると、制御装置18は、表示パネル17に採尿済カップが提出可能であることを表示させ、再び、採尿済カップを提出可能な状態とする。
尚、制御装置18は、好ましくは、最初の採尿済カップが提出されてから所定の時間以上、第二カップ検知センサ14が採尿済カップを検知しない場合には、カップ回収信号を出力するように構成され得る。これにより、採尿済カップが回収されないまま放置される危険はなくなる。尚、採尿済カップの回収管理機能は、採尿済カップ管理装置1に設けずに、上位制御装置20で行うことも可能である。
上位制御装置20は、制御装置18から出力された患者識別情報及び重量に基づいて、採尿済カップの尿量が、医師等によって指定された所定の尿量を超えているか否かを判定する判定手段21を有する。具体的には、上位制御装置20は、患者識別情報に基づいて、予め患者識別情報に紐づけされた医師等によって指定された所定の尿量を呼出し、判定手段21が該所定の尿量と制御装置18から出力された尿量とを比較して、採尿済カップの尿量が、医師等によって指定された所定の尿量を超えているか否かを判定する。判定手段21による判定結果は、上位制御装置20に設けられた表示装置22、例えば、モニタに表示される。これにより、採尿済カップの尿量が検査のために足りているか否かを、検査室等で予め確認することが可能になり、必要に応じて、患者に対して採尿した尿が足りていないことを知らせることが可能になる。尚、上記に加えて、前記制御装置を、前記上位制御装置に患者識別情報及び採尿済カップの重量に加えて、採尿済カップの提出時間を出力するように構成し、前記上位制御装置の表示装置を、前記判定結果に加えて、採尿済カップの提出時間を表示するように構成することも可能であり、これにより、採尿済カップの提出時間も管理することが可能になる。さらに、前記上位制御装置に、医師等による患者に対する採尿指示情報を患者識別情報に関連付けして記憶させ、該採尿指示情報及び前記制御装置から入力される患者識別情報に基づいて、採尿済カップの提出の有無を判断し、その判断結果を表示するように構成してもよい。このように構成することにより、採尿済カップの提出し忘れを早期に発見することが可能になる。
尚、
図4に示すように、ベース部材2の背面には、ターンテーブル3の回転を一時的に停止することができる一時停止ボタン23が設けられ得る。制御装置18は、使用者等により、この一時停止ボタン23が押されると、駆動装置5を一時停止してターンテーブル3の回転を一時的に停止すると共に、表示パネル17に採尿済カップが提出不可であることを表示させる。また、制御装置18は、一時停止ボタン23が再び押されると、駆動装置5を動作可能な状態に戻し、表示パネル17に採尿済カップが提出可能であることを表示させる。このように構成することにより、使用者が採尿済カップ管理装置1の裏側から採尿済カップを回収している間に、患者が採尿済カップをカップ挿入位置Aに挿入してしまい、それにより、ターンテーブル3が回転してしまうことを防止することができる。採尿済カップ回収中に不意にターンテーブル3が回転すると、採尿済カップがターンテーブル3に当たって傾き、尿こぼれ等の問題が生じる可能性があるが、前記したように構成することにより、このような問題を解決することができる。
【0014】
上記したように構成された採尿済カップ管理装置1によれば、読取装置15がカップ挿入孔11及び重量センサ9の下方に配置されていないので装置自体の高さ方向の寸法が小さくなるという効果を奏する。
また、カップ挿入孔11が設けられたターンテーブル3を回転するように構成すると共に、フロントカバー4を設けて、患者が採尿済カップを提出できる位置を装置前面のカップ挿入位置Aに固定することによって、患者が装置の上方からでなく、装置の前方から採尿済カップを提出することが可能になるので、装置全体の高さ方向の寸法が小さくなることも相俟って、設置時に装置の上方に大きなスペースを必要としない。これにより、例えば、トイレの壁に、採尿済カップ管理装置1が丁度入る高さの開口を設け、トイレ側にカップ挿入位置Aがくるように当該開口に採尿済カップ管理装置1を設置することも可能になる。このように設置することで、管理者はトイレの裏側から必要に応じて採尿済カップを回収することができるようになる。
さらにまた、重量センサ9をカップ計測位置Bだけに設けることにより、重量センサの数を少なくすることができるため装置全体のコストが下がり、重量センサの数が減ることで故障の原因も少なくなる。
さらにまた、フロントカバー4を、使用者がカップ挿入位置Aにあるカップ挿入孔11だけにアクセスでき、かつ、他のカップ位置B~Hにあるカップ挿入孔11を隠すような形状に形成しているので、先に提出された採尿済カップを、後から提出する患者に対して隠すことが可能になり、プライバシーの問題に配慮でき、悪戯を防止することも可能になるという効果を奏する。
【0015】
上記した実施例では、最適な位置であるカップ位置Bに、重量センサ9及び読取装置15を設けているが、重量センサ9及び読取装置15を設ける位置は、最適とはいえないが、カップ挿入位置Aを含む任意の他のカップ位置に設けてもよいことは勿論である。
また、上記した実施例では、フロントカバー4のみが設けられているが、必要に応じて、
図8に示すように、前記フロントカバーに連結され、円板形ターンテーブル全体の上方を覆うリアカバーを設けることも可能である。
さらにまた、上記した実施例では、判定手段21及び表示装置22は、上位制御装置20に設けられているが、これは本実施例に限定されることなく、判定手段21及び表示装置22を、制御装置18に設けることも可能である。
また、上記した実施例では、一つの管理装置1が、その上位制御装置20に接続されている例を挙げて説明をしているが、この構成は本実施例に限定されることなく、具体的には、一つの上位制御装置20に、複数の採尿済カップ管理装置1を接続して運用することが可能である。この場合、各採尿済カップ管理装置1はトイレ等の採尿場所に配置され、上位制御装置20は検査室等に配置され得る。
さらにまた、上記した実施例では、カップガイド部材をターンテーブルで構成しているが、この構成は本実施例に限定されることなく、採尿済カップを円周状に移動させることができる構成であれば任意の構成でよく、例えば、コンベア等で構成することも可能である。
上記した実施例では、上位制御装置20が、採尿済カップの尿量が検査のために足りているか否かを判定する判定手段21を備え、患者識別情報及び採尿済カップの重量に加えて、判定手段21による判定結果、採尿済カップ提出時間及び採尿済カップの提出の有無を表示し、かつ、患者識別情報に関連付けして記憶することができるように構成されているが、患者識別情報と関連付けされた表示及び記憶されるこれらの情報は本実施例に限定されることなく、例えば、判定手段を設けずに、患者識別情報及び採尿済カップの重量に加えて、採尿済カップ提出時間及び/又は採尿済カップの提出の有無を表示して記憶するように構成することもできる。これについては、制御手段18についても同様である。
【符号の説明】
【0016】
1 採尿済カップ管理装置
2 ベース部材
2a 円筒状突起部
3 ターンテーブル(カップガイド部材)
4 フロントカバー
4a 開口部
5 駆動装置
5a 駆動軸
6 カップ通路
7 円周状溝部
8 凹部
9 重量センサ
10 係合部
11 カップ挿入孔
12 カップガイド
13 第一カップ検知センサ
14 第二カップ検知センサ
15 読取装置
16 人感センサ
17 表示パネル
18 制御装置
20 上位制御装置
21 判定手段
22 表示装置
23 一時停止ボタン
A カップ位置(カップ挿入位置)
B カップ位置(カップ計測位置)
C カップ位置
D カップ位置
E カップ位置
F カップ位置
G カップ位置
H カップ位置