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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/22 20060101AFI20240411BHJP
   B65D 47/36 20060101ALI20240411BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D51/22 110
B65D47/36 300
B65D47/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020020240
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021123410
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 雅文
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-189331(JP,A)
【文献】特開2006-168779(JP,A)
【文献】特開2017-007729(JP,A)
【文献】特開2015-221690(JP,A)
【文献】特開2012-030849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/22
B65D 47/36
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付けられる中栓と、中栓に装着される蓋と、を備え、
中栓は、周囲が弱化部で囲まれた開口予定部を有し、蓋を中栓に装着した状態で縦軸心を中心として回転することで回転力が蓋から中栓に伝達されることにより弱化部が破断して開口予定部が中栓から離脱し、中栓に注出用の隙間が形成されるキャップであって、
開口予定部に離脱筒が設けられ、
蓋と離脱筒とに、蓋を中栓に装着した状態で縦軸心を中心として回転することにより互いに係合して回転力を伝達する係合部がそれぞれ設けられ、
容器内の内容液が通過する連通路が離脱筒の外周に形成され、
連通路に連通する通路孔が、内容物を注出するノズルの下部外周に形成され、
弱化部は、離脱筒の近傍に設けられているとともに、縦軸心に直交する水平線に対して傾斜する傾斜形状または前記水平線に対して傾斜する傾斜部を有する波形状に形成され、
中栓と蓋とは、縦軸心を中心として、互いに上下方向に相対移動しない状態で回転自在に嵌合しており、
蓋が、縦軸心を中心として、中栓に対して上下方向に移動しない状態で回転することにより、弱化部が破断されて開口が中栓に形成されるとともに離脱筒が中栓から離脱し、
注出用の隙間は、開口の周囲と離脱した離脱筒の外周との間に上下方向に形成されて、連通路に連通することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
当該キャップが取り付けられる容器は変形可能とされ、容器の内部容量が少なくなるように容器が変形された際に、当該キャップから内容物を注出するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
蓋は上方から離脱筒内に挿入される保持係合筒を有し、
係合部は離脱筒の内周と保持係合筒の外周とにそれぞれ設けられ、
保持係合筒の外周に、径方向外側に突出する凸状部が形成され、
離脱筒の内周に、径方向外側に窪む凹状部が形成され、
凸状部が凹状部に嵌まり込んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
離脱筒の外周から径方向外側に延びる横延部が中栓に設けられ、
横延部に弱化部が形成され、
横延部の外周から上方に筒状に延びて、蓋に形成された上通路筒に摺接する下通路筒が中栓に形成され、
これらの上通路筒と下通路筒とにより、内容物を内側に通す外周通路壁が形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のキャップ。
【請求項5】
蓋が、ヒンジを介して接続された蓋本体と上蓋とから構成されていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のキャップ。
【請求項6】
中栓に、蓋に形成された係止部に係止する被係止部が形成され、中栓に蓋が装着された際に、中栓と蓋とが互いに縦軸心を中心として回転自在な状態で、中栓の被係止部と蓋の係止部とが互いに係止されることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のキャッ
プ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に取り付けられるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器の口部に取り付けられるキャップは、例えば、特許文献1等に開示されている。図20に示すように、このキャップ70は、容器71の口部72に取り付けられる中栓73と、中栓73に着脱自在な蓋74と、これらの中栓73および蓋74を覆うオーバーキャップ75と、を備えている。中栓73には、周囲が弱化部76で囲まれ、いわゆるプルリングとも称せられて環状の操作部77aを有する開口予定部77が設けられている。そして、操作部77aを引き上げるなどして弱化部76を破断させて開口予定部77を中栓73から離脱させることにより、中栓73に注出口(注出用の開口部)を形成するよう構成されている。
【0003】
弱化部76は、平面視した状態では例えば円形線状とされているが、上下方向に関してはほぼ同じ位置に(すなわち、側面視して、同じ高さで水平に延びる水平線に一致するように)形成されている。また、このキャップ70では、蓋74の上部に、上方に突出するノズル78が設けられており、使用時には、ノズル78から容器71内の内容液を注出可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-30845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のキャップ70によれば、開口予定部77を開けて開封する際には、予め、オーバーキャップ75および蓋74を取り外した後、操作部77aを引き上げることにより弱化部76を破断させて開口予定部77を中栓73から離脱させ、さらにこの後、蓋74およびオーバーキャップ75を装着し直す必要があった。すなわち、上記のような従来のキャップ70では、開封する際に、多くの手間や時間がかかっていた。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、開封する際の手間や時間を最小限に抑えることができるキャップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、容器の口部に取り付けられる中栓と、中栓に装着される蓋と、を備え、中栓は、周囲が弱化部で囲まれた開口予定部を有し、蓋を中栓に装着した状態で縦軸心を中心として回転することで回転力が蓋から中栓に伝達されることにより弱化部が破断して開口予定部が中栓から離脱し、中栓に注出用の隙間が形成されるキャップであって、開口予定部に離脱筒が設けられ、蓋と離脱筒とに、蓋を中栓に装着した状態で縦軸心を中心として回転することにより互いに係合して回転力を伝達する係合部がそれぞれ設けられ、容器内の内容液が通過する連通路が離脱筒の外周に形成され、連通路に連通する通路孔が、内容物を注出するノズルの下部外周に形成され、弱化部は、離脱筒の近傍に設けられているとともに、縦軸心に直交する水平線に対して傾斜する傾斜形状または前記水平線に対して傾斜する傾斜部を有する波形状に形成され、中栓と蓋とは、縦軸心を中心として、互いに上下方向に相対移動しない状態で回転自在に嵌合しており、蓋が、縦軸心を中心として、中栓に対して上下方向に移動しない状態で回転することにより、弱化部が破断されて開口が中栓に形成されるとともに離脱筒が中栓から離脱し、注出用の隙間は、開口の周囲と離脱した離脱筒の外周との間に上下方向に形成されて、連通路に連通することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、弱化部が、縦軸心に直交する水平線に対して傾斜する傾斜形状または前記水平線に対して傾斜する傾斜部を有する波形状に形成されているので、当該キャップを開封する際には、蓋を中栓に装着した状態で縦軸心を中心として回転することにより、弱化部が周方向にずれる(異なった位置となる)だけでなく、上下方向にもずれながら破断される。これにより、蓋を中栓から予め取り外したり、開口予定部の操作部を引き上げたりしなくても、蓋を中栓に装着したままの状態で縦軸心を中心として回転するだけで弱化部を破断することができ、その際の手間や時間を最小限に抑えることができる。
【0009】
また、蓋を中栓に装着した状態で縦軸心を中心として回転して、弱化部を破断するために離脱筒を周方向にずらした状態では、中栓の弱化部が破断されて形成された開口(詳しくは開口の周囲)と、弱化部が破断されて中栓から離脱された離脱筒(詳しくは離脱筒の外周)との間の隙間を比較的小さくすることができる。したがって、例えば、単に容器を傾けただけではキャップから内容液が出ないように構成することが可能となる。
さらに、連通路に連通する通路孔をノズルの底面に設けた場合と比較して、単に容器を傾けただけではキャップから内容液が出難くなるように構成することが可能となる。
また、本発明は、当該キャップが取り付けられる容器は変形可能とされ、容器の内部容
量が少なくなるように容器が変形された際に、当該キャップから内容物を注出するよう構
成されていることを特徴とする。この構成によれば、容器の内部容量が少なくなるように
容器を変形させることにより、当該キャップから内容物を良好に注出することができる。
【0011】
また、本発明は、蓋は上方から離脱筒内に挿入される保持係合筒を有し、係合部は離脱筒の内周と保持係合筒の外周とにそれぞれ設けられ、保持係合筒の外周に、径方向外側に突出する凸状部が形成され、離脱筒の内周に、径方向外側に窪む凹状部が形成され、凸状部が凹状部に嵌まり込んでいることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、離脱筒の外周から径方向外側に延びる横延部が中栓に設けられ、横延部に弱化部が形成され、横延部の外周から上方に筒状に延びて、蓋に形成された上通路筒に摺接する下通路筒が中栓に形成され、これらの上通路筒と下通路筒とにより、内容物を内側に通す外周通路壁が形成されていることを特徴とする。この構成により、比較的簡単な構成で、内容物を内側に通す外周通路壁を良好に形成することができる。
【0013】
また、本発明は、蓋が、ヒンジを介して接続された蓋本体と上蓋とから構成されていることを特徴とする。この構成により、上蓋を開けた際でも、上蓋が蓋本体から分離せず、上蓋を閉じる操作も行い易くなって便利である。
【0014】
また、本発明は、中栓に、蓋に形成された係止部に係止する被係止部が形成され、中栓に蓋が装着された際に、中栓と蓋とが互いに縦軸心を中心として回転自在な状態で、中栓の被係止部と蓋の係止部とが互いに係止されることを特徴とする。この構成により、比較的簡単な構成で、中栓に蓋を一旦装着すると、中栓と蓋とが回転自在でありながら、中栓から蓋が離脱することを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、蓋と中栓とに、蓋を中栓に装着した状態で縦軸心を中心として回転することにより互いに係合して回転力を伝達する係合部をそれぞれ設け、弱化部を、縦軸心に直交する水平線に対して傾斜する傾斜形状または前記水平線に対して傾斜する傾斜部を有する波形状に形成することにより、蓋を中栓から予め取り外したり、開口予定部の操作部を引き上げたりしなくても、蓋を中栓に装着したままの状態で縦軸心を中心として回転するだけで弱化部を破断することができ、その際の手間や時間を最小限に抑えることができる。また、弱化部が、前記水平線に対して傾斜した傾斜形状または波形状に形成されているので、破断時に弱化部の一部に応力が集中し易くなり、比較的小さい力で破断できる利点もある。
【0016】
また、中栓と蓋とが、縦軸心を中心として、互いに上下方向に相対移動しない状態で回転自在に嵌合しており、中栓と蓋とが、縦軸心を中心として、上下方向に相対的に移動しない状態で、回転することにより、開口予定部が開封可能で、かつ、ノズルから内容物を注出可能に構成することで、中栓と蓋とを、上下方向に相対的に移動しない状態で回転するだけで、ノズルから内容物を注出することができる。
【0017】
また、当該キャップが取り付けられる容器は変形可能とされ、容器の内部容量が少なくなるように容器が変形された際に、当該キャップから内容物を注出するよう構成したり、係合部が形成されている離脱筒を設け、中栓における離脱筒の近傍に弱化部を設けたり、容器内の内容液が通過する連通路を離脱筒の外周に形成し、連通路に連通する通路孔を、内容物を注出するノズルの下部外周に形成したりすることにより、例えば、単に容器を傾けただけではキャップから内容液が出ないように構成することができ、容器の内部容量が少なくなるように容器を変形させた際に、当該キャップから内容物を良好に注出することができるよう構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態(第1の実施の形態)に係るキャップの側面図である。
図2】同キャップの縦断側面図である。
図3】同キャップの平面図である。
図4】同キャップの底面図である。
図5】同キャップの中栓の側面図である。
図6】同キャップの中栓の縦断側面図である。
図7】同キャップの中栓の平面図である。
図8】同キャップの蓋の側面図である。
図9】同キャップの蓋の縦断側面図である。
図10】同キャップの蓋の底面図である。
図11】同キャップの蓋を回転して開封した状態を示す縦断側面図である。
図12】同キャップを開封後に上蓋を開けた状態を示す縦断側面図である。
図13】同キャップを開封後に上蓋を開けた状態を示す平面図である。
図14】本発明の他の実施の形態(第2の実施の形態)に係るキャップの縦断側面図である。
図15】同キャップの蓋の縦断側面図である。
図16】同キャップの蓋の底面図である。
図17】同キャップの蓋を回転して開封した状態を示す縦断側面図である。
図18】同キャップを開封後に上蓋を開けた状態を示す縦断側面図である。
図19】同キャップを開封後に上蓋を開けた状態を示す平面図である。
図20】従来のキャップの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るキャップを、図面に基づき説明する。
図1図4などにおいて、1は、内部に内容物(内容液)が収容されている容器2に取付けられるキャップである。キャップ1は、容器2の口部3(図2参照)に取り付けられる中栓4と、中栓4に装着される蓋5と、を備えている。中栓4と蓋5とは、それぞれ、例えば合成樹脂により射出成形されるなどして一体形成されて製造されるが、これに限るものではない。なお、当該キャップ1が取り付けられる容器2としては、変形可能とされているものが好適である。
【0020】
図2図4図6などに示すように、中栓4は、容器2の口部3に取り付けられる中栓本体10と、弱化部11を介して中栓本体10から離脱可能に設けられた開口予定部12とを有している。
【0021】
図1図7などに示すように、中栓本体10には、その下部が容器2の口部3に外側から嵌り込む円筒状の外筒13と、外筒13の内周に隙間を有する状態で設けられてその下部が容器2の口部3に内側から嵌り込む円筒状の内筒14と、外筒13および内筒14のそれぞれ上端部箇所で径方向内側に延びて外筒13と内筒14などを繋ぐ上面15と、などが形成されている。また、中栓本体10における外筒13の下方には、薄肉部18を介して下方に延びるとともに径方向外側および内周側にも突出する鍔状部19が全周に形成され、容器2の使用後などに、鍔状部19に形成された薄肉部18から鍔状部19を切断することで、容器2から中栓4を外し易くするよう図られている。
【0022】
図2図6などに示すように、中栓4の開口予定部12には、その下部が弱化部11の内側から下方に有底筒状に窪む底面部22aと、弱化部11が設けられている箇所を越えて上方に筒状に延びる周壁部22bと、からなる離脱筒22が設けられている。また、離脱筒22における周壁部22bの下部には、外周側に向けて円板状に延びる横延部25が設けられているが、この横延部25は、当該キャップ1の中心となり上下に延びる縦軸心Xに直交する水平線Yに対して傾斜する傾斜形状に形成されている。そして、この横延部25における離脱筒22の近傍に、弱化部11が形成されている。なお、この実施の形態では、横延部25は、当該キャップを側面視(側面断面視)した状態で、離脱筒22の近傍の内周側領域は傾斜している一方、離脱筒22より離れた外周側領域には水平に外周側に延びるように形成されている(ただし、周方向に関しては傾斜している)。
【0023】
すなわち、弱化部11は、キャップ1の中心となり上下に延びる縦軸心Xに直交する水平線Yに対して傾斜する傾斜形状に形成されている。より詳しくは、弱化部11が、キャップ1を側面視した状態(横方向から見た状態であり、前後方向および左右方向の少なくとも一方向)で、縦軸心Xに直交する水平線Yに対して傾斜する傾斜形状に形成されている。この実施の形態では、中栓4の製造時において、弱化部11および横延部25における左右方向の一方の端部(図2図6においては右端部)が高い位置となる一方、左右方向の他方の端部(図2図6においては左端部)が低い位置となり、弱化部11における残りの部分がこれらの左右の端部の間が斜めに接続されている。なお、上記したように、弱化部11は、横延部25における離脱筒22の近傍に形成されている。
【0024】
また、この実施の形態では、開口予定部12における上下方向における高い箇所に設けられている横延部25の外周端(図2図6においては右端部)は、中栓4の上面15とほぼ同じ上下方向位置(高さ)であるが、開口予定部12における低い箇所に設けられている横延部25の外周端(図2図6においては左端部)は、中栓4の上面15よりも低い位置に設けられているので、この箇所では、後述する下通路筒16が下方まで延ばされて接続されている。
【0025】
離脱筒22の周壁部22bには、径方向内側に突出する状態で上下に延びる係合部(離脱突条リブ)23が、それぞれ周方向所定角度毎(この実施の形態では、図7に示すように、周方向90度毎)に複数形成されている。この係合部23は、蓋5に設けられている後述する保持係合筒32の外周に周方向所定角度毎(この実施の形態では周方向90度毎)に複数形成された係合部(離脱突条リブ)33(図8参照)に、蓋5が中栓4に対して周方向に回転された際に係合可能とされている。
【0026】
また、図2図6に示すように、中栓4の離脱筒22の先端部内周には径方向外側に窪む凹状部24が形成されているとともに、これに対応して、図2図8に示すように、蓋5の保持係合筒32の基部外周には径方向外側に突出する凸状部34が形成されている。
【0027】
また、図2図6図8などに示すように、中栓4(中栓本体10)には、上面15の内周端や横延部25の外周から上方かつ筒状に延びて、蓋5に形成された後述する上通路筒45に摺接する下通路筒16が形成されている。そして、これらの上通路筒45と下通路筒16とにより、内容物を内側に通す外周通路壁(連通路38の外周通路壁)が形成されている。
【0028】
さらに、図2図6に示すように、中栓4(中栓本体10)には、蓋5に形成された後述する係止部としての係止突起49aに係止する被係止部としての被係止突起17aが形成されている。例えば、この実施の形態では、中栓本体10の上面15における下通路筒16よりも外周箇所から上方かつ筒状に延びる中栓係止筒17が形成されているとともに、この中栓係止筒17の上端部から外側に突出する被係止部としての被係止突起17aが形成されている。
【0029】
図1図3図8図10などに示すように、蓋5は、ヒンジ6を介して接続された蓋本体7と上蓋8とから構成されている。蓋本体7は、略円板形状の上面板43と、この上面板43の外周から下方に筒状に延びて中栓4の鍔状部19の上面に当接する外周壁44と、上面板43における外周壁44の上端との接続部分よりも内側から下方に筒状に延びる蓋係止筒49と、上面板43における蓋係止筒49の上端との接続部分よりも内側から上方および下方に筒状に延びてその下部が中栓4の下通路筒16に摺接する上通路筒45と、上面板43よりも上方に突出した上通路筒45の上端部から径方向内側に延びる略円環形状の突出板46と、突出板46を上下に貫通して内容物を注出するノズル(注出筒)47と、ノズル47の底面位置に設けられた底面板48と、底面板48から下方に細筒状に延びる保持係合筒32などを有する。なお、突出板46は上面板43の中央箇所から上方に突出しているが、この実施の形態では、突出板46の中央箇所(すなわち、蓋本体7の中央箇所)からノズル47が上方に突出する配置とされている。
【0030】
上記したように、保持係合筒32には、その外周に周方向所定角度毎(この実施の形態では周方向90度毎)に係合部(離脱突条リブ)33(図10参照)が上下に延びる状態(図9参照)で形成されている。そして、保持係合筒32に形成された係合部33は、蓋5が中栓4に装着されて周方向に回転された際に、中栓4の開口予定部12の係合部23に係合可能とされている。また、図9図10に示すように、蓋本体7の保持係合筒32の基部外周には径方向外側に突出する凸状部34が形成され、中栓4に対して蓋5が所定位置までねじ込まれると、中栓4の凹状部24が保持係合筒32の凸状部34が嵌り込む(図2参照)ように構成されている。
【0031】
また、図2に示すように、蓋5が中栓4に装着されると、蓋本体7の上通路筒45の下部が中栓4の下通路筒16の上部に内側から摺接するよう構成されている。そして、中栓4に蓋5を装着することにより、互いに摺接する蓋本体7の上通路筒45および中栓4の下通路筒16を外周通路壁とし、互いに嵌り合った蓋本体7の保持係合筒32および中栓4の離脱筒22を内周通路壁とする、連通路38が形成される。また、図2図9に示すように、蓋本体7に設けられているノズル47の下部(底部)の外周(より詳しくは外周の一部)には、側方に貫通する通路孔47aが周方向に複数形成され、連通路38は、通路孔47aを通して、ノズル47内の空間である注出通路39に連通している。
【0032】
図2図9に示すように、蓋本体7の上通路筒45の上端部と突出板46の外周端との接続部には、外側に突出する蓋係止突起42が形成されている。また、蓋係止筒49の下部には、その下部から内側に突出する係止部としての係止突起49aが形成されている。そして、中栓4に蓋5が装着された際に、中栓4と蓋5とが互いに縦軸心Xを中心として回転自在な状態で、中栓4の被係止突起17aと蓋5の係止突起49aとが互いに係止されて、蓋5が中栓4から離脱することを阻止する(防止する)よう構成されている。なお、この実施の形態では、このように、中栓4に蓋5が装着されて、中栓4の被係止突起17aと蓋5の係止突起49aとが互いに係止された際には、蓋係止筒49の下端部が、中栓4の上面15に上方から当接して、中栓4に蓋5が装着されると、蓋5が上下にがたつくことがないように図られているが、これに限るものではない。
【0033】
図1図3図8図10などに示すように、上蓋8は、略円板形状の天面(蓋板)51と、この天面51の外周から下方に筒状に延びて上蓋8を閉じた際に蓋本体7の上面板43の外周箇所に当接する外周面52と、天面51の中央部から下方に筒状に突出して上蓋8を閉じた際にノズル47に内側から密接してシールするインナーリング(内周突条)53と、天面51におけるインナーリング53の上端との接続部分よりも外周から下方に筒状に突出して、上蓋8を閉じた際に蓋本体7の上面板43に当接するとともに、その下端部から内側に突出するように形成された係止用突起54aが、蓋本体7の蓋係止突起42に係合する閉鎖保持筒54と、外周面52におけるヒンジ6とは逆の箇所から側方(手前側)に突出して形成されて、開ける際にこの箇所に指などを引っ掛けることで上蓋8を開ける鍔(指かけとも称せられる)55と、などを有する。
【0034】
上記構成において、中栓4と蓋5とは射出成形されるなどしてそれぞれ個別に一体形成されて製造され、この後、中栓4に対して蓋5が上方から被せられて装着される。なお、蓋5は、蓋本体7に対して上蓋8が開けられた状態で製造されるが、この後、上蓋8が蓋本体7に対して閉じられた状態で、蓋5が中栓4に装着される。
【0035】
これにより、図2などに示すように、中栓4の開口予定部12が未開封の状態で、保持係合筒32の係合部33が、中栓4の開口予定部12の係合部23に係合可能とされるとともに、蓋5の保持係合筒32の凸状部34と中栓4の凹状部24とが嵌り込む。また、蓋5の上通路筒45の下部が中栓4の下通路筒16の上部に内側から摺接するとともに、蓋係止筒49の係止突起(係止部)49aと中栓4の被係止突起(係止部)17aとが係止される。このようにして蓋5が組み付けられた(装着された)中栓4が、予め内容物が入れられた容器2に(詳しくは容器2の口部3に)取り付けられ、容器2はキャップ1により密閉される。
【0036】
容器2の使用開始時には、蓋5を上下に移動させることなく、縦軸心Xを中心として回転させる。これにより、図2などに示すように、保持係合筒32の係合部33が、中栓4の開口予定部12の係合部23に係合して、蓋5からの回転力が開口予定部12に伝達され、弱化部11が破断されて開封される。
【0037】
ここで、上記構成においては、弱化部11が、当該キャップ1を側面視した状態で、図2図6などに示すように、縦軸心Xに直交する水平線Yに対して傾斜する傾斜形状に形成されているので、当該キャップ1を開封する際には、蓋5を中栓4に装着した状態で縦軸心Xを中心として回転することにより、図11に示すように、弱化部11が周方向にずれる(異なった位置となる)だけでなく、上下方向にもずれながら破断される。これにより、弱化部11が破断されて形成された開口(詳しくは開口の周囲)と、弱化部11が破断されて中栓4から離脱された離脱筒22(詳しくは離脱筒22の外周)との間に上下方向の隙間(注出用の隙間)Sができる。また、この隙間Sは、連通路38に連通する。
【0038】
したがって、従来のキャップのように、蓋を中栓から予め取り外したり、開口予定部の操作部を引き上げたりしなくても、蓋5を中栓4に装着したままの状態で縦軸心Xを中心として回転するだけで弱化部11を破断することができ、開封時の手間や時間を最小限に抑えることができる。また、弱化部11が、水平線Yに対して傾斜した傾斜形状に形成されているので、破断時に弱化部11の一部に応力が集中し易くなり、比較的小さい力で破断できる利点もある。
【0039】
また、上記構成において、内容物を注出する際には、上記のようにして開封して上蓋8を開けた(図12参照)後に、容器2を傾けるとともに、容器2の内部容量が少なくなるように容器2を変形させる(いわゆるスクイズ動作を行う)。これにより、容器2内の内容物が容器2から押し出されるとともに、内容物は、中栓4における開口の周囲と離脱筒22の外周との間の隙間Sから連通路38に導入されるとともに、ノズル47の通路孔47aを介してノズル47内に導入され、ノズル47から注出される。
【0040】
この場合に、上記構成において、中栓4に、係合部23が形成されている離脱筒22を設け、中栓4における離脱筒22の近傍に弱化部11を設けている。この構成により、蓋5を中栓4に装着した状態で縦軸心Xを中心として回転して、弱化部11を破断するために離脱筒22を周方向にずらしたままの状態では、弱化部11が破断されて形成された開口の周囲と、弱化部11が破断されて中栓4から破断された離脱筒22の外周との間の隙間Sが比較的小さくされており、例えば、単に容器2を傾けただけではキャップ1から内容液が出ないように構成している。したがって、例えば、容器2を変形させることなく、誤って倒してしまった場合には、内容物が出難いようにできる。また、上下に延びる連通路38に対して、ノズル47の通路孔47aを介して横方向に連通して、内容物を通す通路が曲がりくねっている。これによっても、容器2を変形させることなく、誤って倒してしまった場合でも、内容物が出難いようにできている。
【0041】
また、上記構成では、弱化部11を設けている横延部25の外周から上方に筒状に延びて、蓋5に形成された上通路筒45に摺接する下通路筒16を形成し、これらの上通路筒45と下通路筒16とにより、内容物を内側に通す外周通路壁を形成している。この構成により、比較的簡単な構成で、内容物を内側に通す外周通路壁を良好に形成することができる。なお、上記実施の形態では、互いに摺接されている下通路筒16の上部と上通路筒45の下部とは、下通路筒16の上部が外側に、上通路筒45の下部が内側にある状態で摺接されている場合を述べたが、これに限るものではなく、下通路筒16の上部が内側に、上通路筒45の下部が外側にある状態で摺接されるよう構成してもよい。
【0042】
また、上記構成によれば、中栓4(中栓本体10)に、蓋5に形成された上係止部としての係止突起49aに係止する被係止部としての被係止突起17aを形成し、中栓4に蓋5が装着された際に、中栓4と蓋5とが互いに縦軸心Xを中心として回転自在な状態で、中栓4の被係止突起17aと蓋5の係止突起49aとが互いに係止されるよう構成している。これにより、比較的簡単な構成で、中栓4に蓋5を一旦装着すると、中栓4と蓋5とが回転自在でありながら、中栓4から蓋5が離脱することを防止できる。なお、上記実施の形態では、蓋係止筒49の下部に、その下部から内側に突出する係止部としての係止突起49aを形成するとともに、中栓本体10の上面15から上方かつ筒状に延びる中栓係止筒17に、この中栓係止筒17の上端部から外側に突出する被係止部としての被係止突起17aを形成し、これらの被係止突起17aと係止突起49aとが、蓋5の装着時に互いに係止するよう構成した場合を述べたが、これに限るものではない。
【0043】
上記実施の形態では、内容物を注出するノズル47が、蓋本体7の中心箇所(縦軸心X)に配置されている場合を述べた。しかし、これに限るものではなく、図14図19に示すように、内容物を注出するノズル47を、ヒンジ6から離れている側(縦軸心Z)に寄せて(偏らせて)配置してもよい。この場合には、中栓4については、前記実施の形態と同じ構造のもの(図5図7参照)を用いる。また、蓋5については、図14図15などに示すように、図8図10に示す蓋5とは、ノズル47の位置だけが異なる構造の蓋5を用いる。
【0044】
この構成においても、容器2の使用開始時には、蓋5を上下に移動させることなく、縦軸心Xを中心として回転させる。これにより、図17などに示すように、中栓4の弱化部11が周方向にずれる(異なった位置となる)だけでなく、上下方向にもずれながら破断され、弱化部11が破断されて形成された開口の周囲と、弱化部11が破断されて中栓4から破断された離脱筒22の外周との間に上下方向の隙間Sができる。また、この隙間Sは、連通路38に連通する。
【0045】
したがって、従来のキャップのように、蓋を中栓から予め取り外したり、開口予定部の操作部を引き上げたりしなくても、蓋5を中栓4に装着したままの状態で縦軸心Xを中心として回転するだけで弱化部11を破断することができ、開封時の手間や時間を最小限に抑えることができる。また、弱化部11が、水平線Yに対して傾斜した傾斜形状に形成されているので、破断時に弱化部11の一部に応力が集中し易くなり、比較的小さい力で破断できる利点もある。
【0046】
また、上記構成において、内容物を注出する際には、上記のようにして開封して上蓋8を開けた(図18図19参照)後に、容器2を傾けるとともに、容器2の内部容量が少なくなるように容器2を変形させる(いわゆるスクイズ動作を行う)。これにより、容器2内の内容物が容器2から押し出されるとともに、内容物は、弱化部11が破断されて形成された開口の周囲と、弱化部11が破断されて中栓4から破断された離脱筒22の外周との間の隙間Sから連通路38に導入されるとともに、ノズル47の通路孔47aを介してノズル47内に導入され、ノズル47から注出される。
【0047】
また、上記構成によると、図15図19に示すように、平面視して、ノズル47と保持係合筒32との位置が異なるため、ノズル47の底面には連通路からの内容物が直接侵入しないように、壁部(底面壁部)47bを形成し、ノズル47の下部側方に形成されている通路孔47a(周方向に複数設けることが好ましい)を通して、内容物が屈曲されながらノズル47内に導入されるよう構成すると好適であるが、これに限るものではない。
【0048】
なお、弱化部11の水平線に対する傾きを小さくすることにより、開封時でも弱化部11間の隙間をより小さくして、さらに内容物が出難いよう図ることも可能である。しかしこれに限るものではなく、弱化部11の水平線に対する傾きが大きくなるように構成したり、横延部25の横方向の長さを大きめにするとともに、弱化部11を離脱筒22から少し離れた箇所に形成したりして、開封状態での弱化部11間の隙間Sが大きくなるように構成してもよい。
【0049】
また、上記実施の形態では、弱化部11の最も低い箇所と最も高い箇所とが平面視して180度の角度で反対側に形成されている場合を述べたが、これに限るものではない。つまり、弱化部11が側面視して波形状(縦軸心Xに直交する水平線Yに対して傾斜する傾斜部を有する波形状)など、180度よりも小さい回転角度で、最も低い箇所と最も高い箇所とが繰り返す形状としてもよく、この場合には、蓋5の回転角度が小さくても比較的多くの内容物を注出することが可能となる。また、弱化部11が、縦軸心Xに直交する水平線Yに対して傾斜する傾斜形状または前記水平線Yに対して傾斜する傾斜部を有する波形状に形成されていると、破断時に弱化部11の一部に応力が集中し易くなり、比較的小さい力で破断できる利点もある。
【符号の説明】
【0050】
1 キャップ
2 容器
3 口部
4 中栓
5 蓋
6 ヒンジ
7 蓋本体
8 上蓋
10 中栓本体
11 弱化部
12 開口予定部
16 下通路筒
17 中栓係止筒
17a 被係止突起(被係止部)
22 離脱筒
23 係合部(離脱突条リブ)
24 凹状部
25 横延部
32 保持係合筒
33 係合部(離脱突条リブ)
34 凸状部
38 連通路
39 注出通路
45 上通路筒
47 ノズル(注出筒)
47a 通路孔
48 底面板
49 蓋係止筒
49a 係止突起(係止部)
53 インナーリング
S 隙間
X 縦軸心
Y 水平線
Z 縦軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14
図15
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図19
図20