(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ベッドサイドテーブル
(51)【国際特許分類】
A47B 23/00 20060101AFI20240411BHJP
A47B 9/20 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A47B23/00 Z
A47B9/20
(21)【出願番号】P 2020108094
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】599139442
【氏名又は名称】株式会社プラッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】渡利 祐吾
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-219020(JP,A)
【文献】特開2000-139573(JP,A)
【文献】実開昭57-057738(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 23/00
A47B 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドの側方から横臥者の前方に配置され、内側支柱と外側支柱とを相対的に上下動させることで天板を昇降させるベッドサイドテーブルにおいて、
内側支柱と外側支柱との間に
間隙を設けるとともに、その間隙に水平左回転を阻止するための阻止具と水平右回転を阻止するための阻止具とを設けて、
前記水平左回転を阻止する阻止具が水平左回転の力の作用時に外側支柱又は内側支柱に直接的又は間接的に当接して水平左回転を阻止するための左回転阻止部と、
前記水平右回転を阻止する阻止具が水平右回転の力の作用時に外側支柱又は内側支柱に直接的又は間接的に当接して水平右回転を阻止するための右回転阻止部とをそれぞれ
形成したことを特徴とするベッドサイドテーブル。
【請求項2】
前記左回転阻止部と右回転阻止部とを上下に間隔をあけて配置したことを特徴とする請求項1に記載のベッドサイドテーブル。
【請求項3】
前記左回転阻止部又は右回転阻止部に、一方の内側支柱又は外側支柱に回動自在に取付けられ、他方の外側支柱又は内側支柱に転動自在に当接される
前記阻止具としての転動輪を複数設け、転動輪と外側支柱又は内側支柱との当接によって水平左回転又は水平右回転を阻止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベッドサイドテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドの側方から横臥者の前方に配置され、内側支柱と外側支柱とを相対的に上下動させることで天板を昇降させるベッドサイドテーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
主に病院や介護施設などで使用されるベッドには、使用者が食事や読書や作業などを行うことができるように、ベッドサイドテーブルが利用されている。
【0003】
このベッドサイドテーブルでは、使用者の身体等に応じて天板を昇降させることができるようになっている。
【0004】
たとえば、特許文献1に開示されているベッドサイドテーブルでは、基台に取付けた内側支柱を天板に取付けた外側支柱に内挿し、内側支柱に対して外側支柱を上下動させることで、天板を昇降できるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来のベッドサイドテーブルでは、内側支柱を外側支柱に内挿して円滑に上下動ができるようにするために、内側支柱と外側支柱との間に隙間が形成されている。
【0007】
そのため、使用者の身体等が天板に接触した際などには、内側支柱に対して外側支柱を水平方向に左右いずれかに向けて回転させる力が作用し、天板が左右にガタついてしまい(天板が水平左回転又は水平右回転してしまい)、天板に載置した食器や書物などが落下するおそれがあり、使い心地が良好ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、ベッドの側方から横臥者の前方に配置され、内側支柱と外側支柱とを相対的に上下動させることで天板を昇降させるベッドサイドテーブルにおいて、内側支柱と外側支柱との間に間隙を設けるとともに、その間隙に水平左回転を阻止するための阻止具と水平右回転を阻止するための阻止具とを設けて、前記水平左回転を阻止する阻止具が水平左回転の力の作用時に外側支柱又は内側支柱に直接的又は間接的に当接して水平左回転を阻止するための左回転阻止部と、前記水平右回転を阻止する阻止具が水平右回転の力の作用時に外側支柱又は内側支柱に直接的又は間接的に当接して水平右回転を阻止するための右回転阻止部とをそれぞれ形成することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記左回転阻止部と右回転阻止部とを上下に間隔をあけて配置することにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記左回転阻止部又は右回転阻止部に、一方の内側支柱又は外側支柱に回動自在に取付けられ、他方の外側支柱又は内側支柱に転動自在に当接される前記阻止具としての転動輪を複数設け、転動輪と外側支柱又は内側支柱との当接によって水平左回転又は水平右回転を阻止することにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、ベッドの側方から横臥者の前方に配置され、内側支柱と外側支柱とを相対的に上下動させることで天板を昇降させるベッドサイドテーブルにおいて、内側支柱と外側支柱との間に、水平左回転を阻止するための左回転阻止部と、水平右回転を阻止するための右回転阻止部とをそれぞれ設けることにしているために、天板の左右へのガタつき(水平左回転及び水平右回転)を防ぐことができ、ベッドサイドテーブルの使い心地を良好なものとすることができる。
【0013】
特に、左回転阻止部と右回転阻止部とを上下に間隔をあけて配置した場合には、天板の上下へのガタつき(垂直上回転及び垂直下回転)をも防ぐことができるので、ベッドサイドテーブルの使い心地をより一層良好なものとすることができる。
【0014】
また、左回転阻止部又は右回転阻止部に、一方の内側支柱又は外側支柱に回動自在に取付けられ、他方の外側支柱又は内側支柱に転動自在に当接される転動輪を複数設け、転動輪と外側支柱又は内側支柱との当接によって水平左回転又は水平右回転を阻止することにした場合には、天板を円滑に昇降させることができ、これによっても、ベッドサイドテーブルの使い心地をより一層良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るベッドサイドテーブルを示す平面図(a)、側面図(b)、正面図(c)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るベッドサイドテーブルの具体的な構成について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1及び
図2に示すように、ベッドサイドテーブル1は、基台2の後部に上下に垂直に伸延する支柱3の下端部を取付け、支柱3の上端部に支持ケース4を取付け、支持ケース4の上部に前後に水平に伸延する天板5を取付けている。なお、基台2には、キャスターが取付けられており、ベッドサイドテーブル1を円滑に移動させることができ、また、支柱3側のキャスターにロック機能を設けることで、ベッドサイドテーブル1を静止させることができるようになっている。また、ベッドサイドテーブル1は、1本の支柱3の上端部に天板5を片持ち状に設けているが、これに限られず、複数(たとえば、2本)の支柱3の上端部間に天板5を設けたものでもよい。
【0018】
支柱3は、内側支柱6と外側支柱7とで上下に伸縮可能に構成されており、内部に伸縮シリンダ8を収容している。この伸縮シリンダ8は、支持ケース4の内部に収容した操作具9によって伸縮操作され、伸縮シリンダ8の伸長によって天板5を上昇させ、伸縮シリンダ8の短縮によって天板5を下降させるようになっている。
【0019】
この支柱3は、基台2の後部上側に取付けた矩形断面を有する中空状の外側支柱7の中空部に、天板5の後部下側の支持ケース4に取付けた矩形断面を有する中空状の内側支柱6を間隔をあけて内挿させている。
【0020】
内側支柱6と外側支柱7との間の間隙には、支柱3(天板5)が水平左回転(水平方向へ左向きに回転)するのを阻止するための左回転阻止部10と、支柱3(天板5)が水平右回転(水平方向へ右向きに回転)するのを阻止するための右回転阻止部11とを、上下方向に間隔をあけて設けている。ここでは、支柱3の中途部に左回転阻止部10を設けるとともに、支柱3の下端部に右回転阻止部11を設けている。
【0021】
左回転阻止部10は、
図3及び
図4(a)に示すように、内側支柱6の各外周面(前面12、左面13、後面14、右面15)の正面視で左側(平面視では、前面12の左側、左面13の後側、後面14の右側、右面15の前側)にそれぞれ転動輪16~19を回動軸20~23を介して上下に回動自在に取付けている。
【0022】
各転動輪16~19は、各外周面の正面視で左端外周面(平面視では、前面12の転動輪16の左端外周面、左面13の転動輪17の後端外周面、後面14の転動輪18の右端外周面、右面15の転動輪19の前端外周面)を外側支柱7の各内周面(前面24、左面25、後面26、右面27)の正面視で右側(平面視では、前面24の右側、左面25の前側、後面26の左側、右面27の後側)にそれぞれ当接させている。
【0023】
これにより、左回転阻止部10は、支柱3(天板5)に水平左回転(水平方向へ左向きに回転)の力(
図4(a)中に矢印で示す方向の力)が作用すると、各転動輪16~19が外側支柱7の各内周面に当接するため、支柱3(天板5)が水平左回転(水平方向へ左向きに回転)するのを阻止することができる。このように、各転動輪16~19は、内側支柱6に対して外側支柱7を円滑に昇降させる機能だけでなく、水平左回転を阻止するための阻止具としての機能を有している。
【0024】
右回転阻止部11は、
図3及び
図4(b)に示すように、内側支柱6の各外周面(前面12、左面13、後面14、右面15)の正面視で右側(平面視では、前面12の右側、左面13の前側、後面14の左側、右面15の後側)にそれぞれ転動輪28~31を回動軸32~35を介して上下に回動自在に取付けている。
【0025】
各転動輪28~31は、各外周面の正面視で右端外周面(平面視では、前面12の転動輪28の右端外周面、左面13の転動輪29の前端外周面、後面14の転動輪30の左端外周面、右面15の転動輪31の後端外周面)を外側支柱7の各内周面(前面24、左面25、後面26、右面27)の正面視で左側(平面視では、前面24の左側、左面25の後側、後面26の右側、右面27の前側)にそれぞれ当接させている。
【0026】
これにより、右回転阻止部11は、支柱3(天板5)に水平右回転(水平方向へ右向きに回転)の力(
図4(b)中に矢印で示す方向の力)が作用すると、各転動輪28~31が外側支柱7の各内周面に当接するため、支柱3(天板5)が水平右回転(水平方向へ右向きに回転)するのを阻止することができる。このように、各転動輪28~31は、内側支柱6に対して外側支柱7を円滑に昇降させる機能だけでなく、水平右回転を阻止するための阻止具としての機能を有している。
【0027】
ベッドサイドテーブル1は、以上に説明したように構成しており、ベッドの側方から横臥者の前方に配置され、内側支柱6と外側支柱7とを相対的に上下動させることで天板5を昇降させるようになっている。
【0028】
そして、上記ベッドサイドテーブル1は、、内側支柱6と外側支柱7との間に、水平左回転を阻止するための左回転阻止部10と、水平右回転を阻止するための右回転阻止部11とをそれぞれ設けた構成となっている。
【0029】
そのため、上記構成のベッドサイドテーブル1では、天板5を左右に(横臥者の前後に)回動させる力が作用しても、左回転阻止部10と右回転阻止部11とで天板5の左右へのガタつき(水平左回転及び水平右回転)を防ぐことができ、これにより、天板5から食器や書物などの落下を防止することができ、ベッドサイドテーブル1の使い心地を良好なものとすることができる。
【0030】
また、上記ベッドサイドテーブル1は、左回転阻止部10と右回転阻止部11とを上下に間隔をあけて配置した構成となっている。
【0031】
そのため、上記構成のベッドサイドテーブル1では、天板5を上下に(横臥者の上下に)回動させる力が作用しても、天板5の上下へのガタつき(垂直上回転及び垂直下回転)を上下の左回転阻止部10と右回転阻止部11とで防ぐことができ、ベッドサイドテーブル1の使い心地をより一層良好なものとすることができる。
【0032】
また、上記ベッドサイドテーブル1は、左回転阻止部10又は右回転阻止部11に、一方の内側支柱6又は外側支柱7に回動自在に取付けられ、他方の外側支柱7又は内側支柱6に転動自在に当接される転動輪16~19(28~31)を複数設け、転動輪16~19(28~31)と外側支柱7又は内側支柱6との当接によって水平左回転又は水平右回転を阻止する構成となっている。
【0033】
そのため、上記構成のベッドサイドテーブル1では、転動輪16~19(28~31)によって内側支柱6に対して外側支柱7が円滑に上下動することになり、天板5を円滑に昇降させることができ、ベッドサイドテーブル1の使い心地をより一層良好なものとすることができる。
【0034】
なお、上記ベッドサイドテーブル1では、内側支柱6を天板5側に設ける一方、外側支柱7を基台2側に設けているが、これに限られず、内側支柱6を基台2側に設けるとともに外側支柱7を天板5側に設けてもよい。また、内側支柱6及び外側支柱7は、中空矩形断面を有する場合に限られず、中空多角形断面でもよく、円形断面でもよい。
【0035】
また、左回転阻止部10や右回転阻止部11は、上下にずらして配置した場合に限られず、同一平面上に形成してもよく、支柱3に複数の左回転阻止部10や右回転阻止部11を設けてもよい。また、各左回転阻止部10や右回転阻止部11は、同一平面上に阻止具を配置した場合に限られず、上下に異なる位置に阻止具を配置してもよい。
【0036】
さらに、左回転阻止部10や右回転阻止部11の阻止具は、転動輪16~19(28~31)に限られず、弾性体等からなる部材であってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。また、阻止具は、内側支柱6に取付けて外側支柱7に当接させる場合に限られず、外側支柱7に取付けて内側支柱6に当接させてもよく、また、阻止具を内側支柱6や外側支柱7に直接的に当接させる場合に限られず、阻止具が当接する受具を介して間接的に当接させてもよい。さらに、内側支柱6や外側支柱7の多角面の全てに阻止具を設ける場合に限られず、多角面の一部に阻止具を設けてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ベッドサイドテーブル 2 基台
3 支柱 4 支持ケース
5 天板 6 内側支柱
7 外側支柱 8 伸縮シリンダ
9 操作具 10 左回転阻止部
11 右回転阻止部 12 前面
13 左面 14 後面
15 右面 16~19 転動輪
20~23 回動軸 24 前面
25 左面 26 後面
27 右面 28~31 転動輪
32~35 回動軸