(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】廃棄物収容装置
(51)【国際特許分類】
B65F 1/00 20060101AFI20240411BHJP
B65F 1/14 20060101ALI20240411BHJP
B65F 1/04 20060101ALI20240411BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20240411BHJP
B09B 101/67 20220101ALN20240411BHJP
【FI】
B65F1/00 A
B65F1/14 Z
B65F1/04
B09B5/00
B09B101:67
(21)【出願番号】P 2020161545
(22)【出願日】2020-09-26
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591047970
【氏名又は名称】共立製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】藪野 美生
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-315507(JP,A)
【文献】特開平09-248547(JP,A)
【文献】特開2002-128202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00 - 1/16
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さを有すると共に、平面視で略長方形の上面部を備え、前記上面部の長手方向の一方寄りには投入口が形成された本体ケースと、
前記本体ケースの投入口の下方に位置するように配設される廃棄物収容部と、
前記投入口を開閉する投入口開閉体と、
前記上面部の下方に設けられ、上面開口部と下面開口部とを有し、前記長手方向に沿って移動可能に設けられた廃棄物受け入れコンテナと、
前記廃棄物受け入れコンテナの前記下面開口部を開閉する下面開閉体と、
前記投入口開閉体、前記廃棄物受け入れコンテナ及び前記下面開閉体の動作を制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、
待機状態では、前記投入口開閉体により前記投入口を閉鎖させると共に、前記廃棄物受け入れコンテナ及び前記下面開閉体を前記投入口の下方に位置させるように制御し、
廃棄物の投入時には、前記投入口開閉体を動作させて前記投入口を開口し、前記投入口を介して前記廃棄物受け入れコンテナ内に前記廃棄物が受け入れられると、前記投入口開閉体により前記投入口を閉鎖させるように制御し、
前記廃棄物受け入れコンテナ内に前記廃棄物が受け入れられた状態では、次の2つの動作モード:
前記下面開閉体が動作して前記廃棄物受け入れコンテナの前記下面開口部を開口させて前記廃棄物を前記廃棄物収容部内に収容させる第1動作モード、及び、前記廃棄物受け入れコンテナが前記長手方向に沿って他方寄りに移動し、前記下面開口部が前記下面開閉体の待機状態の位置からずれることで前記下面開口部が開口し、前記廃棄物を前記廃棄物収容部内に収容させる第2動作モードのいずれかを実行するように制御する
ことを特徴とする廃棄物収容装置。
【請求項2】
前記投入口開閉体は、前記長手方向に沿って移動可能に設けられ、前記投入口を閉塞可能な上側閉塞用板部を有して構成される請求項1記載の廃棄物収容装置。
【請求項3】
前記下面開閉体は、前記長手方向に沿って移動可能に設けられ、前記下面開口部とほぼ同じ大きさの下側閉塞用板部を有して構成される請求項1又は2記載の廃棄物収容装置。
【請求項4】
前記廃棄物収容部は、前記本体ケースの長手方向の一方寄りの端面に開口された出し入れ口から、前記長手方向に沿って前記本体ケース内に出し入れ可能に設けられている請求項1~3のいずれか1に記載の廃棄物収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの生理用品、紙おむつなどのる廃棄物を収容する廃棄物収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ごみを収容する収容容器の上部に取り外し可能に設けられると共に、上面に開口部を有するフレーム部材と、前記フレーム部材の開口部を、開閉するように設けられる蓋部材と、前記蓋部材の開閉動作に連動して回動し、蓋部材を開く際に、前記フレーム部材の開口部を閉口するように動作する受け皿とを備えたごみ箱が開示されている。蓋部材と受け皿は一体成形されており、前記受け皿には表面から裏面に貫通する複数のスリットが形成されている。また、前記蓋部材の閉鎖動作の終了時点で、受け皿が接近すると、各スリットに侵入して受け皿の裏面側から表面側に突出する複数の板部材が形成されている。
【0003】
蓋部材と受け皿が一体成形されているので、蓋部材を開けたると、受け皿がゴミの受入れ口であるフレーム部材の開口部を一時的に閉鎖する。このため、その際に外部から収容容器の内部が見えない。利用者は捨てたごみを後の利用者に見られることがないので安心してごみを捨てられる。また、後の利用者は、先の利用者が捨てたごみを見ることによる不快な思いをすることがない。
【0004】
さらに、受け皿に接着性を有するごみが貼り付いた場合でも、蓋部材を閉じる動作の際、受け皿に形成されたスリットに板部材が挿入されて受け皿の表面に突出するため、そのごみを受け皿から剥ぎとって確実に収容容器内へ収容することができる。そのため、先の利用者が捨てたごみが受け皿に貼りついたままの状態で、後の利用者に露見することがない。よって、使用済みの生理用品等の廃棄用として適している。
【0005】
その一方、特許文献1の技術では、ごみを単に収容容器内へ落下させるので、落下位置を中心としてごみが収容容器内で略山型になって収容される。そのため、収容できる空間があっても、略山形に堆積したごみの頂部付近がフレーム部材の開口部へ達すると、蓋部材を開閉動作させた際にごみの頂部付近が接して開閉動作に支障を来し、その時点でごみを回収する必要が生じる。この種のごみ箱は多数の人が使用する駅やデパートのトイレなどに設置されるため、ごみの回収等のメンテナンス作業は委託業者が行う。メンテナンス作業の容易化、低コスト化のためには、収容容器におけるごみの回収作業の時間的な間隔をできるだけ長くすることが好ましく、そのためには、収容容器におけるごみの収容率を向上させることが求められる。
【0006】
また、蓋部材と受け皿が一体となっていて、受け皿としては、ごみ、特に、使用済みの生理用品を確実に載せるためにある程度の面積が必要になると共に、上記のように、回転して落下させて収容容器に収容させる構造であるため、回収間隔を考慮した所望の収容量を確保するにあたってある程度の高さも必要で、小型化にも限度がある。
【0007】
この点に鑑み、本出願人は、特許文献2として、弾性変形するゴム部材からなる一対のローディングローラを用い、ローディングローラ間に生理用品などのごみを挟んで、摩擦力によって回転方向に引き込むようにした廃棄物収容装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4005694号公報
【文献】特開2015-117101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2の技術によれば、ローディングローラの摩擦力によって廃棄物を引き込むため、新たに引き込まれる廃棄物が、廃棄物収容部内に堆積していた先に収容された廃棄物を、当該廃棄物収容部内において未だ空いているスペースに押しやるようにして収容していく。このため、廃棄物収容部内に収容される廃棄物の密度を高めることができ、結果的に、廃棄物収容装置の小型化に資することができる。例えば、奥行き400mm、幅120mm、高さ400mm程度で、洋式トイレの脇のスペースに配置可能なものが例示されている。
【0010】
しかしながら、廃棄物を引き込むローディングローラは、一対設けられるだけであり、しかも廃棄物収容装置全体の小型化のためには、使用できるローラの直径や長さも限度がある。そのため、このようなローラを使用して1箇所から廃棄物を引き込んだだけでは、堆積していた先の廃棄物を空いているスペースに押しやるには力不足であったり、あるいは、偏りが生じたりするという問題もあった。
【0011】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、狭いスペースでも設置できるようにコンパクト化で、しかも、廃棄物収容部内における廃棄物の収容効率を向上させることを可能とする廃棄物収容装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の廃棄物収容装置は、
所定の高さを有すると共に、平面視で略長方形の上面部を備え、前記上面部の長手方向の一方寄りには投入口が形成された本体ケースと、
前記本体ケースの投入口の下方に位置するように配設される廃棄物収容部と、
前記投入口を開閉する投入口開閉体と、
前記上面部の下方に設けられ、上面開口部と下面開口部とを有し、前記長手方向に沿って移動可能に設けられた廃棄物受け入れコンテナと、
前記廃棄物受け入れコンテナの前記下面開口部を開閉する下面開閉体と、
前記投入口開閉体、前記廃棄物受け入れコンテナ及び前記下面開閉体の動作を制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、
待機状態では、前記投入口開閉体により前記投入口を閉鎖させると共に、前記廃棄物受け入れコンテナ及び前記下面開閉体を前記投入口の下方に位置させるように制御し、
廃棄物の投入時には、前記投入口開閉体を動作させて前記投入口を開口し、前記投入口を介して前記廃棄物受け入れコンテナ内に前記廃棄物が受け入れられると、前記投入口開閉体により前記投入口を閉鎖させるように制御し、
前記廃棄物受け入れコンテナ内に前記廃棄物が受け入れられた状態では、次の2つの動作モード:
前記下面開閉体が動作して前記廃棄物受け入れコンテナの前記下面開口部を開口させて前記廃棄物を前記廃棄物収容部内に収容させる第1動作モード、及び、前記廃棄物受け入れコンテナが前記長手方向に沿って他方寄りに移動し、前記下面開口部が前記下面開閉体の待機状態の位置からずれることで前記下面開口部が開口し、前記廃棄物を前記廃棄物収容部内に収容させる第2動作モードのいずれかを実行するように制御する
ことを特徴とする。
【0013】
前記投入口開閉体は、前記長手方向に沿って移動可能に設けられ、前記投入口を閉塞可能な上側閉塞用板部を有して構成されることが好ましい。
前記下面開閉体は、前記長手方向に沿って移動可能に設けられ、前記下面開口部とほぼ同じ大きさの下側閉塞用板部を有して構成されることが好ましい。
前記廃棄物収容部は、前記本体ケースの長手方向の一方寄りの端面に開口された出し入れ口から、前記長手方向に沿って前記本体ケース内に出し入れ可能に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、廃棄物受け入れコンテナは、待機状態では投入口の下方に位置している。廃棄物が投入されると、第1動作モードでは、下面開閉体によって下面開口部が開放され、廃棄物受け入れコンテナ内の廃棄物はそのまま廃棄物収容部内に落下して収容される。一方、第2動作モードでは、下面開閉体の位置は変わらず、廃棄物受け入れコンテナが移動する。それにより、下面開口部の位置が下面開閉体からずれて開放状態になると、廃棄物は廃棄物収容部内に落下する。すなわち、投入された廃棄物は、第1動作モードでは、投入口が本体ケースの長手方向一方寄りに設けられているため、廃棄物収容部において長手方向一方寄りに落下し、第2動作モードでは、廃棄物収容部において長手方向他方寄りに落下する。そのため、投入口が1箇所であるにも拘わらず、廃棄物収容部内で、廃棄物が長手方向の片側に偏って体積するということを抑制でき、廃棄物収容部内の収容スペースを有効利用できる。
【0015】
また、廃棄物受け入れコンテナが本体ケースの長手方向に沿って直線的に移動して、廃棄物を搬送し、廃棄物収容部への落下位置を振り分ける構成である。よって、本体ケースは、移動方向に所定の長さを有するものであれば、このような振り分け収容が可能であるため、幅は必要最小限とすることができる。また、振り分け収容によって収容効率を高めることができるため、高さもそれほど高いことは要求されない。よって、洋式トイレと壁との間など、スペースの狭い場所に設置するのに適している。さらに、特許文献2のような廃棄物を挟んで回転方向に押し込むためのローラが不要であり、簡易な構造とすることができ、製造コストの低減に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一の実施形態に係る廃棄物収容装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、廃棄物収容部を本体ケースから引き出した状態の斜視図である。
【
図3】
図3は、機構部の主要な構成を示した図である。
【
図5】
図5(a)~(h)は、廃棄物を収容する過程を示す説明図である。
【
図6】
図6は、機構部の他の態様に係る主要な構成を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示した実施形態に基づき本発明の廃棄物収容装置をさらに詳細に説明する。
図1及び
図2は、本発明の一の実施形態に係る廃棄物収容装置1を示した図である。これらの図に示したように、本実施形態の廃棄物収容装置1は、本体ケース10及び廃棄物収容部20を有して構成される。
【0018】
本体ケース10は、奥行き方向に所定の長さを有し、相対的に幅の狭い略箱状に形成されている。具体的には、上面部11が平面視で略長方形に形成され、その長手方向(奥行き方向)の前側が前端面12、後側が後端面13となっている。また、上面部11の反対側が底面部14となっており、上面部11、前端面12、後端面13及び底面部14を挟んで側面部15,15が設けられており、側面部15,15間は、後述の機構部30が配設される上面部11寄りの範囲を除いて空洞になっている。前端面12には、底面部14に至るまで開口された出し入れ口17が設けられており、この出し入れ口17を介して廃棄物収容部20が装填される。
【0019】
本体ケース10は、例えば、奥行き400~800mm、幅80~200mm、高さ400~800mm程度で形成される。このように、幅寸法の狭い形状とすることで、洋式トイレと壁との隙間など、狭い空間での設置にも対応できる。
【0020】
廃棄物収容部20は、上面開口の略箱状に形成され、本体ケース10と同様に奥行き方向に所定の長さを有する平面視で略長方形に形成されている。廃棄物収容部20は、上記の出し入れ口17を介して本体ケース10内に収容される。なお、廃棄物収容部20の大きさは、上記の本体ケース10に収容可能な大きさで形成される。廃棄物収容部20は、本体ケース10の前端面12に形成した出し入れ口17から本体ケース10内に出し入れ可能であるため、上記のような狭い空間に設置した場合でも、前面側から容易に出し入れでき、メンテナンス作業が行いやすい。
【0021】
ここで本体ケース10の上面部11には、投入口110が形成されている。投入口110は、上面部11の長手方向の一方寄りに、本実施形態では、前端面12寄りに形成されている。投入口110の大きさは制限されるものではないが、廃棄物(例えば、使用済み生理用品(ナプキンなど))を投入するのに十分な大きさで形成されることが好ましい。
【0022】
上面部11の下方であって、出し入れ口17から出し入れされる廃棄物収容部20の上縁部21に接触しない位置に、機構部30が設けられる。機構部30は、
図3及び
図4に示したように、投入口開閉体310、廃棄物受け入れコンテナ320、下面開閉体330及び制御部340を有して構成される。
【0023】
投入口開閉体310は、上側閉塞用板部311と支持部312を有している。上側閉塞用板部311はさらに、投入口110と同形状の外形を有し、投入口110に嵌合する嵌合部311aを有している。支持部312は、板状部材から形成され、上側閉塞用板部311の直下に配設されている。支持部312の中心付近に、ばね部材313が設けられており、該ばね部材313により上側閉塞用板部311が上方に付勢される。支持部312は、本体ケース10の長手方向に沿って移動可能に設けられ、投入口110の直下に位置すると、ばね部材313の弾性力により上側閉塞用板部311が上方に移動し、嵌合部311aが投入口110に嵌合して閉塞する。
【0024】
支持部312を本体ケース10の長手方向に沿って移動させる手段は任意である。本実施形態では、板状部材からなる支持部312の両側縁部312a,312aが、本体ケース10の側面部15,15の上面部11寄りに対向して設けた第1ガイドレール151,151に係合され、該第1ガイドレール151,151に沿って移動可能となっている。支持部312には、投入口110に対応する範囲よりも後端面13方向に延びる延長部314が設けられ、該支持部312及び延長部314の裏面側にラック316が設けられている。一方の側面部15には、第1モータ-315が取り付けられ、該第1モーター315によって回転するギヤ315aがラック316に噛み合うように設けられている。嵌合部311aが投入口110を閉塞している状態において、第1モータ-315が駆動すると、図示しない引き込み機構が動作し、ばね部材313の弾性力に抗して、上側閉塞用板部311が下降する。これにより、上側閉塞用板部311の嵌合部311aが投入口110の下方に離間する。そして、第1モーター315の駆動によりギヤ315aが回転し、噛合するラック316を本体ケース10の長手方向に沿って移動させ、それにともない、支持部312、延長部314及び上側閉塞用板部311を同方向に移動させる。
【0025】
廃棄物受け入れコンテナ320は、平面視で投入口110以上の面積を有する略直方体に形成される一方、上面及び下面いずれも開口され、上面開口部321が上面部11(投入口110)側に下面開口部322が底面部14側に位置するように設けられる。なお、廃棄物受け入れコンテナ320の周面部323には、第2モーター325が取り付けられる。
【0026】
下面開閉体330は、廃棄物受け入れコンテナ320の下面開口部322とほぼ同じ大きさを有する板状部材からなる下側閉塞用板部331を備えてなる。また、下側閉塞用板部331の下面には、第3モーター335が取り付けられている。
【0027】
廃棄物受け入れコンテナ320の周面部323の下縁部には、両側方に突出する突出片323a,323aが設けられており、また、下側閉塞用板部331にも、両側方に突出する突出片331a,331aが設けられている。これらの突出片323a,323a,331a,331aは、本体ケース10内において、それらに対応する位置に、すなわち上記の第1ガイドレール151,151よりも下方に離間した位置に、長手方向に沿って設けられる第2ガイドレール152,152に係合される。
【0028】
具体的には、第2ガイドレール152,152は、上側に、廃棄物受け入れコンテナ320の突出片323a,323aが係合する第1溝部152a,152aが設けられ、下側に、下側閉塞用板部331の突出片331a,331aが係合する第2溝部152b,152bが設けられている。
【0029】
また、一方の第2ガイドレール152,152の上部には上部ラック153となる歯が形成され、下部には下部ラック154となる歯が形成されている。上部ラック153には、廃棄物受け入れコンテナ320の第2モーター325のギヤ325aが噛み合い、下部ラック154には、下側閉塞用板部331の第3モーター335のギヤ335aが噛み合うように設けられている。これにより、第2モーター325が駆動すると、ギヤ325aを介して上部ラック153に沿って廃棄物受け入れコンテナ320が本体ケース10の長手方向に移動し、第3モーター335が駆動すると、ギヤ335aを介して下部ラック154に沿って下面閉塞用板部331が本体ケース10の長手方向に移動する。
【0030】
制御部340は、制御回路を搭載した基板341及びセンサ部342等を有して構成され、それらがカバー343で覆われて、上面部11の裏面に取り付けられる。基板341の制御回路は、上記の第1モーター315、第2モーター325及び第3モーター335の駆動を制御する。センサ部342は、本体ケース10に人の手等が所定の距離以下に近づいたことを検知するセンサ、投入口110から廃棄物Aが投入されたことを検知するセンサ等の各種センサを備えてなる。センサの種類は用途に応じて種々のものを用いることができ、人の近接や廃棄物Aの通過を検知する際には、赤外線センサ、光センサ等を用いることができ、廃棄物Aが廃棄物受け入れコンテナ320内で下側閉塞用板部331上に位置していることを検知する際には重量センサ等を用いることもできる。なお、本体ケース10に人が近接したことを検知する位置は任意であり、本体ケース10の上部にセンサを設け、手の位置を検知してもよいし、底面部14寄りにセンサを設け、人の足の位置に基づいて検知するようにしてもよい。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。
まず、待機状態では、投入口110が投入口開閉体310の上側閉塞用板部311により閉塞され、その下方に廃棄物受け入れコンテナ320及び下面開閉体330が上下方向に並んでいる(
図5(a)参照)。この状態で、例えば、使用者が投入口110付近に手をかざす。センサ部342がその接近を検知すると、制御部340の基板341の制御回路にセンサ部342から信号が送られる。次に、基板341の制御回路から第1モーター315に駆動信号が送られ、第1モーター315が駆動する。また、上記のように図示しない引き込み機構により、上側閉塞用板部311の嵌合部311aが投入口110から下方に離脱する。第1モーター315が駆動すると、ギヤ315aがラック316に対して相対回転するため、ラック316が付設されている支持部312、延長部314及び上側閉塞用板部311を、本体ケース10の長手方向に沿って後端面13方向に移動させる(
図5(b)参照)。これにより、投入口110が開放状態となる。
【0032】
投入口110が開放されると、その下方に位置する廃棄物受け入れコンテナ320の上面開口部321が該投入口110に臨んでいることになる。この時点では、廃棄物受け入れコンテナ320の下面開口部322が下面開閉体330の下側閉塞用板部331により閉鎖状態であるため、使用者が、投入口110に廃棄物Aが投入すると、当該廃棄物Aは、廃棄物受け入れコンテナ320内に受け入れられ、下面開閉体330の下側閉塞用板部331上で保持される(
図5(b)参照)。
【0033】
廃棄物Aが投入されたことがセンサ部342により検知されるとその信号が基板341の制御回路に送られ、制御回路から第1モーター315に駆動信号が送信され、投入口開閉体310の上側閉塞用板部311を前端面12方向に移動させる。投入口110付近に至ると、ばね部材313により支持部312に対して上側閉塞用板部311が上方に付勢され、投入口110に嵌合部311aが嵌合して閉鎖される(
図5(c)参照)。なお、廃棄物Aが投入されたことの検知は、例えば、投入口110の廃棄物Aの通過を検知するセンサ、下側閉塞用板部311上に廃棄物Aが載ったことを検知するセンサ等を用いて行うことができる。また、このようなセンサによる廃棄物Aを検知してから投入口110を閉鎖するのではなく、投入口110の開口後、所定時間経過すると閉鎖するような時間で制御することも可能である。
【0034】
廃棄物Aが廃棄物受け入れコンテナ320内に受け入れられ、下側閉塞用板部331上で保持された後、上記のように、投入口110が閉鎖されるため、使用者が、廃棄物収容部20内に溜まっている廃棄物を見ることを防止できる。
【0035】
投入口110が閉鎖されると、基板341の制御回路から第3モーター335に駆動信号が送られる。第3モーター335が一方向に回転すると、ギヤ335aが下部ラック154に沿って回転移動し、下面開閉体330の下側閉塞用板部331が本体ケース10の長手方向に沿って後端面13方向に移動する。これにより、廃棄物受け入れコンテナ320の下面開口部322が開放状態となる(第1動作モード)。その結果、廃棄物受け入れコンテナ320内の廃棄物Aは、その下方に位置する廃棄物収容部20内に落下して収容される(
図5(d)参照)。
【0036】
廃棄物Aが廃棄物収容部20内に落下したならば、例えば、下面開口部322の通過や廃棄物収容部20の上部付近の通過をセンサ部342のセンサにより検知したり、あるいは、下面開口部322が開放された後所定時間経過したりしたと判断されたならば、基板341の制御回路から第3モーター335に駆動信号が送られ、第3モータ-335によってギヤ335aが上記と逆方向に回転し、下部ラック154を本体ケース10の後端面13から前端面12側に移動する。これにより、下側閉塞用板部331が再び下面開口部322を閉鎖し待機状態となる(
図5(e)参照)。
【0037】
次に、再び使用者の手等の近接を検知すると、上記と同様に、上側閉塞用板部311が後端面13方向に移動し、投入口110が開放される。この使用者が廃棄物Bを投入口110から投入すると、当該廃棄物Bは、廃棄物受け入れコンテナ320内に受け入れられ、下側閉塞用板部331上で保持される(
図5(f)参照)。廃棄物Bが投入されると上側閉塞用板部311が投入口110を閉じる(
図5(g)参照)。ここまでは上記の第1動作モードと同様であるが、今回の動作モード(第2動作モード)では、下面開口部322の開口を、下側閉塞用板部331を移動させるのではなく、廃棄物受け入れコンテナ320自体を動かすことで行う。
【0038】
すなわち、廃棄物Bが廃棄物受け入れコンテナ320内に投入され、投入口110が閉じられたならば、制御部34の基板341の制御回路から第2モーター325に駆動信号が送られる。それにより、第2モーター325が駆動し、そのギヤ325aが一方向に回転して、上部ラック153に沿って本体ケース10の後端面13方向に移動する。所定量移動すると、下面開口部322が下側閉塞用板部331上からずれることになるため、相対的に、該下面開口部322が開放され、廃棄物Bは廃棄物収容部20内に落下することになる(
図5(h)参照)。廃棄物Bが廃棄物収容部20内に落下したならば、基板341の制御回路から第2モーター325に制御信号が送られ、ギヤ325aが上記と逆方向に回転し、廃棄物受け入れコンテナ320が、本体ケース10の前端面12方向に移動し、投入口110の下方であって、下側閉塞用板部331の上側である待機位置で次の廃棄物の投入を待つことになる(
図5(a)参照)。
【0039】
ここで上記の第1動作モードは、制御部340により、廃棄物受け入れコンテナ320が投入口110の下方に位置した状態で、下側閉塞用板部331が移動して、下面開口部322を開放するよう制御される動作モードであり、第1動作モードでは、廃棄物Aが、廃棄物収容部20内において投入口110の下方付近、すなわち、本体ケース10の前端面12寄りに落下する。一方、第2動作モードは、制御部340により、下側閉塞用板部331が投入口110の下方に位置した状態で、廃棄物受け入れコンテナ320が移動して下面開口部322を開放するように制御される動作モードであり、第2動作モードでは、廃棄物Bが、廃棄物収容部20内において本体ケース10の後端面13寄りに落下する。
【0040】
よって、廃棄物収容部20内に収容される廃棄物A,Bは、投入口110が前端面12寄りであっても、前端面12寄りのみに偏って収容されることがない。すなわち、奥行き方向に長い本実施形態の廃棄物収容部20において、前端面12寄りと後端面13寄りとに振り分けて収容されるため、幅の狭い設計でありながら効率よく収容できる。よって、狭い隙間に設置するのに適している。なお、第1動作モード及び第2動作モードは、1回ずつ交代するように制御する設定としてもよいが、複数回ごとに交代するように制御する設定とすることも可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、
図3及び
図4に示したように、第2ガイドレール152,152に上下方向に延びる縦方向レール156,156を連結し、そのうちの一方に縦方向ラック157を設けている。縦方向レール156,156は、側面部15,15に設けられた縦方向溝部158,158に配置される。また、一方の側面部15には、第4モーター435が固定され、そのギヤ(図示せず)が縦方向ラック157に噛合している。これにより、第4モーター435が回転すると、下面開閉体330及び廃棄物受け入れコンテナ320が上下動する。制御部340により、投入口開閉体310が開放動作した際に上昇するように制御すると、投入口110と廃棄物受け入れコンテナ320との間の隙間が小さくなり、廃棄物を投入しやすくなる。投入後は、所定の位置まで下降して、上記のように、下面開閉体330の下側閉塞用板部331を水平方向に移動させるか、廃棄物受け入れコンテナ320を水平方向に移動させるかして、廃棄物A,Bを廃棄物収容部20に落下収容させる。なお、本発明は、廃棄物A,Bを廃棄物収容部20内に振り分けて収容することを特徴とするものであり、投入口開閉体310、廃棄物受け入れコンテナ320及び下面開閉体330の水平方向の個別移動に支障を来さない限り、廃棄物受け入れコンテナ320及び下面開閉体330を上下動させる機構は必ずしも必須ではない。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、各モーター315,325,335の回転をラックアンドピニオン形式のギヤ機構で伝達して動作させているが、
図6及び
図7に示したように、ボールねじ401,402,403を用いて長手方向に直動させる構成とすることもできる。例えば、枠状の支持部312に設けたナット部317に、第1モーター315に連結されるボールねじ401を螺合し、廃棄物受け入れコンテナ320の側部に設けたナット部327に、第2モーター325に連結されるボールねじ402を螺合し、下側閉塞用板部331に設けたナット部337に、第3モーター335に連結されるボールねじ403を螺合した構成である。
【0043】
また、投入口開閉体310として、枠状の支持部312にリンク機構318を介して上側閉塞用板部311を支持して、投入口110に接近すると、リンク機構318が立ち上がって、上側閉塞用板部311の嵌合部311aが投入口110に嵌合し、離間すると、リンク機構318が傾倒し、該嵌合部311aが投入口110から離脱する構成とすることもできる。
なお、投入口開閉体310、廃棄物受け入れコンテナ320及び下面開閉体330は、それらがスライドする際のガイドレールが内側に設けられた機構収納部350に収納され、本体ケース10内の廃棄物収容部20の上部に設けられる。
【0044】
また、廃棄物収容部20内の廃棄物の収容量が所定量に至ったことを検知するセンサを設けることが好ましい。当該センサにより収容量が所定量に至ったことが検知されたならば、制御部340から管理者のコンピュータにその検知信号を送信する。それにより、適切な時期に廃棄物収容部20内の廃棄物の回収作業を行うことができる。また、故障などのエラーが生じた場合にも、その信号を管理者のコンピュータに送信することで、各種メンテナンスを効率よく行うことができる。
【0045】
本実施形態の廃棄物収容装置は、廃棄物収容部内に既に収容されている廃棄物を使用者が見ることがない構成であり、使用済みの生理用品や紙おむつなどの収容に適している。但し、コンパクトな設計でも収容効率が高いことから、それら以外のごみ等の効率のよい収容に資することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 廃棄物収容装置
10 本体ケース
11 上面部
110 投入口
12 前端面
13 後端面
20 廃棄物収容部
30 機構部
310 投入口開閉体
311 上側閉塞用板部
312 支持部
315 第1モーター
320 廃棄物受け入れコンテナ
321 上面開口部
322 下面開口部
325 第2モーター
330 下面開閉体
331 下側閉塞用板部
335 第3モーター
340 制御部
401,402,403 ボールねじ