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特許7470421ワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20240411BHJP
   F16D 41/12 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61H1/02 R
F16D41/12 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021025766
(22)【出願日】2021-02-21
(65)【公開番号】P2022127655
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】594140786
【氏名又は名称】株式会社徳田義肢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100169133
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】徳田 和彦
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/195906(WO,A1)
【文献】特開2012-86625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
F16D 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部品として用いられるワンウェイクラッチを備えた膝継手に於いて、
該ワンウェイクラッチは、
円筒形部品の内側に鋸刃状の形状を構成した外側ホイール部品と、
複数の略三角握飯型の可動クラッチ部品が一部円環状に配設された可動クラッチ列と、
該可動クラッチ列が嵌合する軸を複数備えたロータリーベースと、
該可動クラッチをクラッチオフ時に第一の所定位置に押圧するとともに該可動クラッチを一定の範囲内で可動とする夫々の可動クラッチに備えられ他端がロータリーベースに接するバネ部品と、
該可動クラッチをクラッチオン時に第二の所定位置に遷移させるプッシュリングと、
該プッシュリングを動かすためのトグルリンクと、
該トグルリンクの開閉を制御するロータリールーフと、
を少なくとも備え、
該ロータリールーフを上下させることでクラッチのオンオフ動作を行うワンウェイクラッチであって、
クラッチオフ時には可動クラッチ部品がバネ部品の圧力により第一の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転及びこれの逆方向となる順方向の回転の何れに対しても、略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に双方向の回転が可能となり、
クラッチオン時には可動クラッチ部品がプッシュリングの押圧により第二の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転には可動クラッチ部品が外側ホイール部品の鋸刃状の形状に衝突し、この際略三角握飯型の可動クラッチ部品の実質高さがプッシュリングと外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点との間の間隙よりも大きくなるため回転が制限され、且つ、順方向の回転に対しては略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に片方向のクラッチとして作動することを特徴とする、
ワンウェイクラッチを備えた膝継手。
【請求項2】
該略三角握飯型の可動クラッチ部品は、
三辺ある直線部分の長さが相対的に異なっており、
該第一の所定位置に於いて順方向に向いた辺の長さが他の二辺よりも長いことを特徴とする、
請求項記載のワンウェイクラッチを備えた膝継手。
【請求項3】
該トグルリンクは、
リンク機構を備え、
該ロータリールーフの上下動による力をロータリーベースの開閉方向の力に変換すると同時に、倍力機構としても作用することを特徴とする、
請求項又は記載のワンウェイクラッチを備えた膝継手。
【請求項4】
該ロータリールーフは、
モーターにより上下動を制御されることを特徴とする、
請求項乃至の何れか一に記載のワンウェイクラッチを備えた膝継手。
【請求項5】
該ロータリールーフの上下動を制御するモーターは、
電気信号により制御され、
該電気信号は、歩行練習リハビリテーション中の患者の脚の状況を把握するセンサー信号を元に計算されたタイミングで作動することを特徴とする、
請求項記載のワンウェイクラッチを備えた膝継手。
【請求項6】
該ワンウェイクラッチを備えた膝継手は、
機能拡張アタッチメントを用いて長下肢装具に固定されることを特徴とする、
請求項乃至の何れか一に記載のワンウェイクラッチを備えた膝継手。
【請求項7】
該機能拡張アタッチメントは、
機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、
該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、
アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、
リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、
該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、
機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、
機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、
機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であるものを用いたことを特徴とする、
請求項記載のワンウェイクラッチを備えた膝継手。
【請求項8】
機能部品として用いられるワンウェイクラッチを備えた膝継手を用いた長下肢装具に於いて、
該ワンウェイクラッチは、
円筒形部品の内側に鋸刃状の形状を構成した外側ホイール部品と、
複数の略三角握飯型の可動クラッチ部品が一部円環状に配設された可動クラッチ列と、
該可動クラッチ列が嵌合する軸を複数備えたロータリーベースと、
該可動クラッチをクラッチオフ時に第一の所定位置に押圧するとともに該可動クラッチを一定の範囲内で可動とする夫々の可動クラッチに備えられ他端がロータリーベースに接するバネ部品と、
該可動クラッチをクラッチオン時に第二の所定位置に遷移させるプッシュリングと、
該プッシュリングを動かすためのトグルリンクと、
該トグルリンクの開閉を制御するロータリールーフと、
を少なくとも備え、
該ロータリールーフを上下させることでクラッチのオンオフ動作を行うワンウェイクラッチであって、
クラッチオフ時には可動クラッチ部品がバネ部品の圧力により第一の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転及びこれの逆方向となる順方向の回転の何れに対しても、略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に双方向の回転が可能となり、
クラッチオン時には可動クラッチ部品がプッシュリングの押圧により第二の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転には可動クラッチ部品が外側ホイール部品の鋸刃状の形状に衝突し、この際略三角握飯型の可動クラッチ部品の実質高さがプッシュリングと外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点との間の間隙よりも大きくなるため回転が制限され、且つ、順方向の回転に対しては略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に片方向のクラッチとして作動することを特徴とする、
ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具。
【請求項9】
該略三角握飯型の可動クラッチ部品は、
三辺ある直線部分の長さが相対的に異なっており、
該第一の所定位置に於いて順方向に向いた辺の長さが他の二辺よりも長いことを特徴とする、
請求項記載のワンウェイクラッチを備えた長下肢装具。
【請求項10】
該トグルリンクは、
リンク機構を備え、
該ロータリールーフの上下動による力をロータリーベースの開閉方向の力に変換すると同時に、倍力機構としても作用することを特徴とする、
請求項又は記載のワンウェイクラッチを備えた長下肢装具。
【請求項11】
該ロータリールーフは、
モーターにより上下動を制御されることを特徴とする、
請求項乃至10の何れか一に記載のワンウェイクラッチを備えた長下肢装具。
【請求項12】
該ロータリールーフの上下動を制御するモーターは、
電気信号により制御され、
該電気信号は、歩行練習リハビリテーション中の患者の脚の状況を把握するセンサー信号を元に計算されたタイミングで作動することを特徴とする、
請求項11記載のワンウェイクラッチを備えた長下肢装具。
【請求項13】
機能部品として用いられるワンウェイクラッチに於いて、
該ワンウェイクラッチは、
円筒形部品の内側に鋸刃状の形状を構成した外側ホイール部品と、
複数の略三角握飯型の可動クラッチ部品が一部円環状に配設された可動クラッチ列と、
該可動クラッチ列が嵌合する軸を複数備えたロータリーベースと、
該可動クラッチをクラッチオフ時に第一の所定位置に押圧するとともに該可動クラッチを一定の範囲内で可動とする夫々の可動クラッチに備えられ他端がロータリーベースに接するバネ部品と、
該可動クラッチをクラッチオン時に第二の所定位置に遷移させるプッシュリングと、
該プッシュリングを動かすためのトグルリンクと、
該トグルリンクの開閉を制御するロータリールーフと、
を少なくとも備え、
該ロータリールーフを上下させることでクラッチのオンオフ動作を行うワンウェイクラッチであって、
クラッチオフ時には可動クラッチ部品がバネ部品の圧力により第一の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転及びこれの逆方向となる順方向の回転の何れに対しても、略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に双方向の回転が可能となり、
クラッチオン時には可動クラッチ部品がプッシュリングの押圧により第二の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転には可動クラッチ部品が外側ホイール部品の鋸刃状の形状に衝突し、この際略三角握飯型の可動クラッチ部品の実質高さがプッシュリングと外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点との間の間隙よりも大きくなるため回転が制限され、且つ、順方向の回転に対しては略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に片方向のクラッチとして作動することを特徴とする、
ワンウェイクラッチ。
【請求項14】
該略三角握飯型の可動クラッチ部品は、
三辺ある直線部分の長さが相対的に異なっており、
該第一の所定位置に於いて順方向に向いた辺の長さが他の二辺よりも長いことを特徴とする、
請求項13記載のワンウェイクラッチ。
【請求項15】
該トグルリンクは、
リンク機構を備え、
該ロータリールーフの上下動による力をロータリーベースの開閉方向の力に変換すると同時に、倍力機構としても作用することを特徴とする、
請求項13又は14記載のワンウェイクラッチ。
【請求項16】
該ロータリールーフは、
モーターにより上下動を制御されることを特徴とする、
請求項13乃至15の何れか一に記載のワンウェイクラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に機能拡張部品を備えた膝継手に関し、具体的には膝継手に組み込まれるワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳卒中の急性期リハビリテーションをはじめとして、長下肢装具を用いることによりリハビリテーション効率を向上させ、治療効率の向上を図る取り組みがなされている。
【0003】
脳卒中のリハビリテーションに於いては、様々な機能が必要とされ、また、リハビリテーションの進捗に伴い必要な機能も変化する。このため、長下肢装具には多くのバリエーションが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015ー217124号公報
【文献】特表2012ー525226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、脳卒中歩行練習リハビリテーションには長下肢装具が有効に用いられているが、その際に課題となるのがリハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立である。
【0006】
従来、脳卒中歩行練習リハビリテーションに用いられる長下肢装具に於いては、立脚相に於いて膝折れによる転倒事故を防ぐことを第一義とせざるを得ず、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保のために本来は遊脚相に於いて膝が屈曲して次の着地、立脚相への遷移が行われるべきところ、常に膝をロックした状態でのリハビリテーションを行っていたのが実情である。又、脳卒中リハビリテーションに於ける歩行練習にワンウェイクラッチを用いた膝継手を活用しようとしても、従来のワンウェイクラッチでは立脚相から遊脚相への移行時に通常歩行とは比較にならない強い屈曲トルクが膝継手にかかるため、クラッチが強く噛み込むため容易に解放されず、結果的に常に膝をロックした所謂「棒足歩行」でのリハビリテーションとならざるを得なかったという課題があり、結局、ほぼ常時膝をロックした状態でのリハビリテーションを行っていたのが実情である。
【0007】
従来の方法では、常に膝をロックした所謂「棒足歩行」でのリハビリテーションとなり、 代償運動の運動学習(非対称歩行パターンの学習)が生じてしまい、将来的な歩行パフォーマンスの低下(歩行寿命の低下)を招き、ひいては 生活圏の狭小化といったQOLの低下に繋がってしまっていた。本発明は、これらの課題を解決せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、脳卒中歩行練習リハビリテーションに於いてリハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立を目指すものであって、歩行練習リハビリテーション時に使用する長下肢装具へ付加する機能拡張デバイスの中核部品としてのワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法を提供するものである。
【0009】
本発明に係るワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法は、長下肢装具を用いた脳卒中歩行練習リハビリテーションに於いて卒中歩行練習リハビリテーションに於いてリハビリテーション効率の向上と正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立を実現するための機能拡張型による解決策を可能とし、 立脚相と遊脚相の切り替えによる「正常歩行」パターンの学習を可能とした。これにより、将来的な歩行パフォーマンスの維持、歩行寿命の延伸が実現され、ひいては 生活圏の維持・拡大といったQOLの向上に資することができる。
【0010】
具体的には本発明は、機能部品として用いられるワンウェイクラッチに於いて、該ワンウェイクラッチが、円筒形部品の内側に鋸刃状の形状を構成した外側ホイール部品と、複数の略三角握飯型の可動クラッチ部品が一部円環状に配設された可動クラッチ列と、該可動クラッチ列が嵌合する軸を複数備えたロータリーベースと、該可動クラッチをクラッチオフ時に第一の所定位置に押圧するとともに該可動クラッチを一定の範囲内で可動とする夫々の可動クラッチに備えられ他端がロータリーベースに接するバネ部品と、該可動クラッチをクラッチオン時に第二の所定位置に遷移させるプッシュリングと、該プッシュリングを動かすためのトグルリンクと、該トグルリンクの開閉を制御するロータリールーフと、を少なくとも備え、該ロータリールーフを上下させることでクラッチのオンオフ動作を行うワンウェイクラッチであって、クラッチオフ時には可動クラッチ部品がバネ部品の圧力により第一の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転及びこれの逆方向となる順方向の回転の何れに対しても、略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に双方向の回転が可能となり、クラッチオン時には可動クラッチ部品がプッシュリングの押圧により第二の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転には可動クラッチ部品が外側ホイール部品の鋸刃状の形状に衝突し、この際略三角握飯型の可動クラッチ部品の実質高さがプッシュリングと外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点との間の間隙よりも大きくなるため回転が制限され、且つ、順方向の回転に対しては略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に片方向のクラッチとして作動することを特徴とする、ワンウェイクラッチである。
【0011】
また本発明は、該略三角握飯型の可動クラッチ部品が、三辺ある直線部分の長さが相対的に異なっており、該第一の所定位置に於いて順方向に向いた辺の長さが他の二辺よりも長いことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、該トグルリンクがリンク機構を備え、該ロータリールーフの上下動による力をロータリーベースの開閉方向の力に変換すると同時に、倍力機構としても作用することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、該ロータリールーフがモーターにより上下動を制御されることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、機能部品として用いられるワンウェイクラッチを備えた膝継手に於いて、該ワンウェイクラッチが、円筒形部品の内側に鋸刃状の形状を構成した外側ホイール部品と、複数の略三角握飯型の可動クラッチ部品が一部円環状に配設された可動クラッチ列と、該可動クラッチ列が嵌合する軸を複数備えたロータリーベースと、該可動クラッチをクラッチオフ時に第一の所定位置に押圧するとともに該可動クラッチを一定の範囲内で可動とする夫々の可動クラッチに備えられ他端がロータリーベースに接するバネ部品と、該可動クラッチをクラッチオン時に第二の所定位置に遷移させるプッシュリングと、該プッシュリングを動かすためのトグルリンクと、該トグルリンクの開閉を制御するロータリールーフと、を少なくとも備え、該ロータリールーフを上下させることでクラッチのオンオフ動作を行うワンウェイクラッチであって、クラッチオフ時には可動クラッチ部品がバネ部品の圧力により第一の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転及びこれの逆方向となる順方向の回転の何れに対しても、略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に双方向の回転が可能となり、クラッチオン時には可動クラッチ部品がプッシュリングの押圧により第二の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転には可動クラッチ部品が外側ホイール部品の鋸刃状の形状に衝突し、この際略三角握飯型の可動クラッチ部品の実質高さがプッシュリングと外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点との間の間隙よりも大きくなるため回転が制限され、且つ、順方向の回転に対しては略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に片方向のクラッチとして作動することが可能となり、これにより立脚相に於いてはクラッチオン、遊脚相に於いてはクラッチオフとすることにより、リハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保との両立を実現することを特徴とする、ワンウェイクラッチを備えた膝継手である。
【0015】
また本発明は、該略三角握飯型の可動クラッチ部品が三辺ある直線部分の長さが相対的に異なっており、該第一の所定位置に於いて順方向に向いた辺の長さが他の二辺よりも長いことを特徴とする。
【0016】
また本発明は、該トグルリンクがリンク機構を備え、該ロータリールーフの上下動による力をロータリーベースの開閉方向の力に変換すると同時に、倍力機構としても作用することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、該ロータリールーフがモーターにより上下動を制御されることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、該ロータリールーフの上下動を制御するモーターが電気信号により制御され、該電気信号は、歩行練習リハビリテーション中の患者の脚の状況を把握するセンサー信号を元に計算されたタイミングで作動することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、該ワンウェイクラッチを備えた膝継手が機能拡張アタッチメントを用いて長下肢装具に固定されることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、該機能拡張アタッチメントが、機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であるものを用いたことを特徴とする。
【0021】
また本発明は、機能部品として用いられるワンウェイクラッチを備えた膝継手を用いた長下肢装具に於いて、該ワンウェイクラッチが、円筒形部品の内側に鋸刃状の形状を構成した外側ホイール部品と、複数の略三角握飯型の可動クラッチ部品が一部円環状に配設された可動クラッチ列と、該可動クラッチ列が嵌合する軸を複数備えたロータリーベースと、該可動クラッチをクラッチオフ時に第一の所定位置に押圧するとともに該可動クラッチを一定の範囲内で可動とする夫々の可動クラッチに備えられ他端がロータリーベースに接するバネ部品と、該可動クラッチをクラッチオン時に第二の所定位置に遷移させるプッシュリングと、該プッシュリングを動かすためのトグルリンクと、該トグルリンクの開閉を制御するロータリールーフと、を少なくとも備え、該ロータリールーフを上下させることでクラッチのオンオフ動作を行うワンウェイクラッチであって、クラッチオフ時には可動クラッチ部品がバネ部品の圧力により第一の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転及びこれの逆方向となる順方向の回転の何れに対しても、略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に双方向の回転が可能となり、クラッチオン時には可動クラッチ部品がプッシュリングの押圧により第二の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転には可動クラッチ部品が外側ホイール部品の鋸刃状の形状に衝突し、この際略三角握飯型の可動クラッチ部品の実質高さがプッシュリングと外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点との間の間隙よりも大きくなるため回転が制限され、且つ、順方向の回転に対しては略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に片方向のクラッチとして作動することが可能となり、これにより立脚相に於いてはクラッチオン、遊脚相に於いてはクラッチオフとすることにより、リハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保との両立を実現することを特徴とする、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具である。
【0022】
また本発明は、該略三角握飯型の可動クラッチ部品が、三辺ある直線部分の長さが相対的に異なっており、該第一の所定位置に於いて順方向に向いた辺の長さが他の二辺よりも長いことを特徴とする。
【0023】
また本発明は、該トグルリンクがリンク機構を備え、該ロータリールーフの上下動による力をロータリーベースの開閉方向の力に変換すると同時に、倍力機構としても作用することを特徴とする。
【0024】
また本発明は、該ロータリールーフがモーターにより上下動を制御されることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、該ロータリールーフの上下動を制御するモーターが電気信号により制御され、該電気信号は、歩行練習リハビリテーション中の患者の脚の状況を把握するセンサー信号を元に計算されたタイミングで作動することを特徴とする。
【0026】
また本発明は、該ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具に於いて、ワンウェイクラッチを備えた膝継手が、機能拡張アタッチメントを用いて長下肢装具に固定されることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、該機能拡張アタッチメントが、機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であるものを用いたことを特徴とする。
【0028】
また本発明は、機能部品として用いられるワンウェイクラッチの使用方法に於いて、該ワンウェイクラッチは膝継手或いは長下肢装具に用いられ、該ワンウェイクラッチは、円筒形部品の内側に鋸刃状の形状を構成した外側ホイール部品と、複数の略三角握飯型の可動クラッチ部品が一部円環状に配設された可動クラッチ列と、該可動クラッチ列が嵌合する軸を複数備えたロータリーベースと、該可動クラッチをクラッチオフ時に第一の所定位置に押圧するとともに該可動クラッチを一定の範囲内で可動とする夫々の可動クラッチに備えられ他端がロータリーベースに接するバネ部品と、該可動クラッチをクラッチオン時に第二の所定位置に遷移させるプッシュリングと、該プッシュリングを動かすためのトグルリンクと、該トグルリンクの開閉を制御するロータリールーフと、を少なくとも備え、該ロータリールーフを上下させることでクラッチのオンオフ動作を行うワンウェイクラッチであって、クラッチオフ時には可動クラッチ部品がバネ部品の圧力により第一の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転及びこれの逆方向となる順方向の回転の何れに対しても、略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に双方向の回転が可能となり、クラッチオン時には可動クラッチ部品がプッシュリングの押圧により第二の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転には可動クラッチ部品が外側ホイール部品の鋸刃状の形状に衝突し、この際略三角握飯型の可動クラッチ部品の実質高さがプッシュリングと外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点との間の間隙よりも大きくなるため回転が制限され、且つ、順方向の回転に対しては略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に片方向のクラッチとして作動することが可能となり、これにより膝継手或いは長下肢装具に用いられる場合に於いて、立脚相に於いてはクラッチオン、遊脚相に於いてはクラッチオフとすることにより、リハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保との両立を実現することを特徴とする、ワンウェイクラッチの使用方法である。
【0029】
また本発明は、該略三角握飯型の可動クラッチ部品が、三辺ある直線部分の長さが相対的に異なっており、該第一の所定位置に於いて順方向に向いた辺の長さが他の二辺よりも長いことを特徴とする。
【0030】
また本発明は、該トグルリンクがリンク機構を備え、該ロータリールーフの上下動による力をロータリーベースの開閉方向の力に変換すると同時に、倍力機構としても作用することを特徴とする。
【0031】
また本発明は、該ロータリールーフがモーターにより上下動を制御されることを特徴とする。
【0032】
また本発明は、該ロータリールーフの上下動を制御するモーターが電気信号により制御され、該電気信号は、歩行練習リハビリテーション中の患者の脚の状況を把握するセンサー信号を元に計算されたタイミングで作動することを特徴とする。
【0033】
また本発明は、該ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具に於いて、ワンウェイクラッチを備えた膝継手が、機能拡張アタッチメントを用いて長下肢装具に固定されることを特徴とする。
【0034】
また本発明は、該機能拡張アタッチメントが、機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であるものを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明のワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法は、簡便な構成で、長下肢装具を用いた脳卒中歩行練習リハビリテーションに於いて卒中歩行練習リハビリテーションに於いてリハビリテーション効率の向上と正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立を実現するための機能拡張型による解決策を可能とし、 立脚相と遊脚相の切り替えによる「正常歩行」パターンの学習を可能とした。これにより、将来的な歩行パフォーマンスの維持、歩行寿命の延伸が実現され、ひいては 生活圏の維持・拡大といったQOLの向上に資することができ、我が国の保健衛生に与って有効であるとともに、我が国産業の発展に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は本発明に係るワンウェイクラッチの構成例を示す概念図である。
図2図2は本発明に係るワンウェイクラッチの構成例を示す概念図である。
図3図3は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオンの場合の動作を説明する概念図である。
図4図4は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオンの場合の動作を説明する概念図である。
図5図5は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオンの場合の動作を説明する概念図である。
図6図6は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオンの場合の動作を説明する概念図である。
図7図7は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオフの場合の動作を説明する概念図である。
図8図8は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオフの場合の動作を説明する概念図である。
図9図9は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオフの場合の動作を説明する概念図である。
図10図10は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオフの場合の動作を説明する概念図である。
図11図11は、本発明に係るワンウェイクラッチのオンオフ動作を説明する概念図である。
図12図12は本発明に係るワンウェイクラッチを備えた膝継手の構成例を示す概念図である。
図13図13は、本発明に係るワンウェイクラッチを備えた膝継手を用いた長下肢装具の構成例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、機能部品として用いられるワンウェイクラッチに於いて、該ワンウェイクラッチが、円筒形部品の内側に鋸刃状の形状を構成した外側ホイール部品と、複数の略三角握飯型の可動クラッチ部品が一部円環状に配設された可動クラッチ列と、該可動クラッチ列が嵌合する軸を複数備えたロータリーベースと、該可動クラッチをクラッチオフ時に第一の所定位置に押圧するとともに該可動クラッチを一定の範囲内で可動とする夫々の可動クラッチに備えられ他端がロータリーベースに接するバネ部品と、該可動クラッチをクラッチオン時に第二の所定位置に遷移させるプッシュリングと、該プッシュリングを動かすためのトグルリンクと、該トグルリンクの開閉を制御するロータリールーフと、を少なくとも備え、該ロータリールーフを上下させることでクラッチのオンオフ動作を行うワンウェイクラッチであって、クラッチオフ時には可動クラッチ部品がバネ部品の圧力により第一の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転及びこれの逆方向となる順方向の回転の何れに対しても、略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に双方向の回転が可能となり、クラッチオン時には可動クラッチ部品がプッシュリングの押圧により第二の所定位置に当初存在し、逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転には可動クラッチ部品が外側ホイール部品の鋸刃状の形状に衝突し、この際略三角握飯型の可動クラッチ部品の実質高さがプッシュリングと外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点との間の間隙よりも大きくなるため回転が制限され、且つ、順方向の回転に対しては略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に片方向のクラッチとして作動することを特徴とする、ワンウェイクラッチであり、係るワンウェイクラッチを備えた膝継手であり、係るワンウェイクラッチを備えた膝継手を用いた長下肢装具であり、それらの使用方法である。
【0038】
従来用いられているワンウェイクラッチは、本発明に係るワンウェイクラッチのクラッチオン時の機能のみが実現されているものであった。ここで、発明者らは長下肢装具を用いた脳卒中歩行練習リハビリテーション及びそのために必要な機器について鋭意研究を重ねてきたのであるが、この中で、特に脳卒中リハビリテーションに於ける歩行練習にワンウェイクラッチを用いた膝継手を活用しようとしても、従来のワンウェイクラッチでは立脚相から遊脚相への移行時に通常歩行とは比較にならない強い屈曲トルクが膝継手にかかるため、クラッチが強く噛み込むため容易に解放されず、結果的に常に膝をロックした所謂「棒足歩行」でのリハビリテーションとならざるを得なかったという課題に直面した。そこで、発明者らは、ワンウェイクラッチに於ける噛み込みによる機能不全を解消し、クラッチ機能を適宜切り替えることができる新たなワンウェイクラッチを研究し、本発明に至ったのである。
【0039】
脳卒中歩行練習リハビリテーションには長下肢装具が有効に用いられているが、その際に課題となるのがリハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立である。
【0040】
従来、脳卒中歩行練習リハビリテーションに用いられる長下肢装具に於いては、立脚相に於いて膝折れによる転倒事故を防ぐことを第一義とせざるを得ず、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保のために本来は遊脚相に於いて膝が屈曲して次の着地、立脚相への遷移が行われるべきところ、常に膝をロックした状態でのリハビリテーションを行っていたのが実情である。又、特に脳卒中リハビリテーションに於ける歩行練習にワンウェイクラッチを用いた膝継手を活用しようとしても、従来のワンウェイクラッチでは立脚相から遊脚相への移行時に通常歩行とは比較にならない強い屈曲トルクが膝継手にかかるため、クラッチが強く噛み込むため容易に解放されず、結果的に常に膝をロックした所謂「棒足歩行」でのリハビリテーションとならざるを得なかった。
【0041】
従来の方法では、前記の通り「棒足歩行」でのリハビリテーションとなり、 代償運動の運動学習(非対称歩行パターンの学習)が生じてしまい、将来的な歩行パフォーマンスの低下(歩行寿命の低下)を招き、ひいては 生活圏の狭小化といったQOLの低下に繋がってしまっていた。本発明は、これらの課題を解決せんとするものである。
【0042】
本発明は、脳卒中歩行練習リハビリテーションに於いてリハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立を目指すものであって、歩行練習リハビリテーション時に使用する長下肢装具へ付加する機能拡張デバイスの中核部品としてのワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法を提供するものである。
【0043】
本発明に係るワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法は、長下肢装具を用いた脳卒中歩行練習リハビリテーションに於いて卒中歩行練習リハビリテーションに於いてリハビリテーション効率の向上と正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立を実現するための機能拡張型による解決策を可能とし、 立脚相と遊脚相の切り替えによる「正常歩行」パターンの学習を可能とした。具体的には、本発明に係るワンウェイクラッチを膝継手に応用することにより、立脚相から遊脚相への移行時に通常歩行とは比較にならない強い屈曲トルクが膝継手にかかったとしても、本発明に係るワンウェイクラッチの機能によりクラッチオフ状態に遷移させることで容易にクラッチの噛み込みを解放することができ、スムーズな立脚相/遊脚相間の移行が実現され、正常歩行パターンの学習の実現に有効であった。これにより、将来的な歩行パフォーマンスの維持、歩行寿命の延伸が実現され、ひいては 生活圏の維持・拡大といったQOLの向上に資することができる。
【0044】
また本発明は、該略三角握飯型の可動クラッチ部品が、三辺ある直線部分の長さが相対的に異なっており、該第一の所定位置に於いて順方向に向いた辺の長さが他の二辺よりも長いことを特徴とする。係る構成とすることによって、本発明に係るワンウェイクラッチはクラッチオフ時には双方向の回転が可能となり、クラッチオン時にはワンウェイクラッチとして機能することが可能となった。
【0045】
また本発明は、該トグルリンクがリンク機構を備え、該ロータリールーフの上下動による力をロータリーベースの開閉方向の力に変換すると同時に、倍力機構としても作用することを特徴とする。また本発明は、該ロータリールーフがモーターにより上下動を制御されることを特徴とする。これにより、モーターとしてトルクの小さいサーボモーター等を使用しても十分にワンウェイクラッチ機能のオンオフを制御することが可能となった。
【0046】
ここで、従来からの方法として膝継手の機能を全て電気的に実現しようとする試みがなされているが、この場合は非常に煩雑な制御機構を要するだけでなく、立脚相における膝折れ防止、安全確保のためには非常に大きなトルクを発生するモーターを使用する必要があり、スペース、重量、コストの何れの面でも非常に大きな負担となり、さらには患者がこれを装着することも非常に困難な、大掛かりな装置にならざるを得なかった。本発明は、このデメリットを解消する一助となる。
【0047】
また本発明は、該ワンウェイクラッチを備えた膝継手が機能拡張アタッチメントを備え、又、該ワンウェイクラッチを備えた膝継手が機能拡張アタッチメントを用いて長下肢装具に固定されることを特徴とする。
【0048】
該機能拡張アタッチメントは、発明者が特願2020ー144640に於いて開示した技術であって、機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であるものを用いたことを特徴とする。
【0049】
係る機能拡張アタッチメントを用いることにより、安全を確保しつつワンタッチで長下肢装具に着脱できる、ワンウェイクラッチを備えた膝継手が実現され、リハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保との両立を実現することが可能となった。
【実施例1】
【0050】
以下、ワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法につき、実施例に基づいて説明する。まず、本発明に係る特に膝継手或いは長下肢装具に用いられるワンウェイクラッチの構成について説明する。図1は、本発明に係るワンウェイクラッチの構成例を示す概念図である。
【0051】
本発明に係るワンウェイクラッチは、円筒形部品の内側に鋸刃状の形状を構成した外側ホイール部品1と、複数の略三角握飯型の可動クラッチ部品が一部円環状に配設された可動クラッチ列2と、該可動クラッチ列が嵌合する軸を複数備えたロータリーベース3と、該可動クラッチをクラッチオフ時に第一の所定位置に押圧する夫々の可動クラッチに備えられ他端がロータリーベースに接するバネ部品と、該可動クラッチをクラッチオン時に第二の所定位置にバネ部品の圧力に抗して遷移させるプッシュリング4と、該プッシュリングを動かすためのトグルリンク5と、該トグルリンクの開閉を制御するロータリールーフ6と、を少なくとも備え、該ロータリールーフを上下させることでクラッチのオンオフ動作を行うワンウェイクラッチである。
【0052】
図2は、本発明に係るワンウェイクラッチの構成例を示す概念図である。本図は平面図(断面図)であり、ロータリールーフ6は記載されていないが、それ以外の主たる要素の構成が示されている。可動クラッチ列2は2群に分割されて配置されており、プッシュリング4によりクラッチのオンオフが制御される。
【0053】
図3乃至図6は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオンの場合の動作を説明する概念図である。図3に於いて、ロータリールーフ6が回転して押し込まれることにより、トグルリンク5を介してプッシュリング4が外側に遷移し、可動クラッチ列2の配されたプッシュリング4と外側ホイール部品1との間隙が狭くなる(図4)。この状態になると、図5で示されるように逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転には可動クラッチ部品が外側ホイール部品の鋸刃状の形状に衝突し、この際略三角握飯型の可動クラッチ部品の実質高さがプッシュリングと外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点との間の間隙よりも大きくなるため回転が制限されるようになる。しかし、図6で示されるように順方向の回転に対しては略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に片方向のクラッチとして作動する。
【0054】
図7乃至図10は、本発明に係るワンウェイクラッチの、ワンウェイクラッチがオフの場合の動作を説明する概念図である。図7に於いて、ロータリールーフ6が逆回転して上方に戻ることにより、トグルリンク5を介してプッシュリング4が内側に遷移し、可動クラッチ列2の配されたプッシュリング4と外側ホイール部品1との間隙が広くなる(図8)。この状態になると、図9及び図10に示されるように逆方向(外側ホイール部品の鋸刃状の形状に対向する方向)の回転及びこれの逆方向となる順方向の回転の何れに対しても、略三角握飯型の可動クラッチ部品の外側最高点が外側ホイール部品の鋸刃状の形状の最低点より高くなるものの、バネ部品による許容作動範囲が存在するため鋸刃状の形状の先端をクリアして回転が許容され、結果的に双方向の回転が可能となる。
【0055】
図11は、本発明に係るワンウェイクラッチのオンオフ動作を説明する概念図である。このように、モーターの回転によりロータリールーフ6が上下することにより、トグルリンク5を介してプッシュリング4が遷移し、オンオフ動作が可能となっている。
【0056】
このように、本発明は、簡便な構成でワンウェイクラッチの機能のオンオフが可能となり、これを脳卒中歩行練習リハビリテーションに用いられる長下肢装具に設置される膝継手及び長下肢装具に用いることにより、脳卒中歩行練習リハビリテーションに於いてリハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立を実現することができる。
【実施例2】
【0057】
以下、本発明に係るワンウェイクラッチを備えた膝継手の実施の例について説明する。図12は、本発明に係るワンウェイクラッチを備えた膝継手の構成例を示す概念図である。本発明に係るンウェイクラッチ部品7の両側に、機能拡張アタッチメント8が備えられ、着脱可能な膝継手を構成している。
【実施例3】
【0058】
以下、本発明に係るワンウェイクラッチを備えた膝継手を用いた長下肢装具の実施の例について説明する。図13は、本発明に係るワンウェイクラッチを備えた膝継手を用いた長下肢装具の構成例を示す概念図である。本発明に係るンウェイクラッチ部品7の両側に、機能拡張アタッチメント8が備えられた着脱可能な膝継手を用いて、長下肢装具を機能拡張し、脳卒中歩行練習リハビリテーションに於いてリハビリテーション効率の向上及び正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立を実現した。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のワンウェイクラッチ、ワンウェイクラッチを備えた膝継手、ワンウェイクラッチを備えた長下肢装具及びワンウェイクラッチの使用方法は、簡便な構成で、長下肢装具を用いた脳卒中歩行練習リハビリテーションに於いて卒中歩行練習リハビリテーションに於いてリハビリテーション効率の向上と正常歩行パターンの学習の実現に必要な自由度と、歩行練習リハビリテーション中の安全性の確保の両立を実現するための機能拡張型による解決策を可能とし、 立脚相と遊脚相の切り替えによる「正常歩行」パターンの学習を可能とした。これにより、将来的な歩行パフォーマンスの維持、歩行寿命の延伸が実現され、ひいては 生活圏の維持・拡大といったQOLの向上に資することができ、我が国の保健衛生の向上に有効であるとともに、産業上の利用可能性は大であると言える。
【符号の説明】
【0060】
1 外側ホイール部品
2 可動クラッチ列
3 ロータリーベース
4 プッシュリング
5 トグルリンク
6 ロータリールーフ
7 本発明に係るンウェイクラッチ部品
8 機能拡張アタッチメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13