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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】防塵板付消波装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20240411BHJP
   A63K 3/00 20060101ALI20240411BHJP
   E02B 3/06 20060101ALI20240411BHJP
   B63B 35/32 20060101ALI20240411BHJP
   E02B 15/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
E02B5/08 101Z
A63K3/00
E02B3/06
B63B35/32 Z
E02B15/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023092840
(22)【出願日】2023-06-06
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】521283878
【氏名又は名称】スーパーレジンクラフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】濱村 昭太郎
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3324058(JP,B2)
【文献】特開平02-140315(JP,A)
【文献】特公昭62-018397(JP,B2)
【文献】特開昭60-175615(JP,A)
【文献】特開昭58-011214(JP,A)
【文献】特開2003-129456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 5/08
A63K 3/00
E02B 3/06
B63B 35/32,34
E02B 15/00-15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川に設けられた競艇場の上流に設置され、浮力体を有する消波本体を連結部で連結してなる消波装置であって、
消波本体と、ガードレール部と、連結部と、水中の塵を除去する防塵板と、から成り、
該防塵板は、上下方向にヒンジ構造若しくはスライド機構で連結された複数の板で構成されると共に、該板の少なくとも1つが引き上げチェーンを介して上方に引き上げ可能となっており、
該防塵板には、複数の穴が設けられていることを特徴とする防塵板付消波装置。
【請求項2】
前記防塵板は、FRP素材又はアルミ素材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の防塵板付消波装置。
【請求項3】
前記防塵板は、前記消波本体単位で配置され、隣接する前記防塵板同士は、重なる部分があることを特徴とする請求項1に記載の防塵板付消波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防塵板付消波装置に関し、詳しくは、河川を一時的に利用して、競艇場とする際のごみの侵入防止と消波を合わせて行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川を一時的に利用して競艇場とする際、河川の上流を魚網で塞ぎ、ゴミ等の侵入を防止し、併せて消波効果を得ていた。
しかしながら、魚網は、ゴミや水中生物等の付着で目詰まりを起こしやすく、メンテナンスを頻繁に行う必要があった。また、魚網を交換する際は、網全体を陸揚げしての解体作業となり、手間と費用がかかっていた。
そこで、河川を競艇場とする際における、川上からの塵の侵入を容易に防ぎ得る構造が求められていた。
【0003】
このような技術分野について、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、河川用網場の保全に関する技術が提案され、公知技術となっている(特許文献1参照)。より詳しくは、河川の流れに直交して開口した取水口に対し、その前面側および上流側のみを閉塞し、下流側を開放して取水取入れ口とした網場を用い、この網場に対して、川の流れによる掃流力が得られるようにしたものである。
しかしながら、網場の設置、移動についての記載は無く、上記問題の解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-273844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、河川を競艇場とする際に川上からの塵の侵入を容易に防ぎ得る防塵板付消波装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、消波本体と、ガードレール部と、連結部と、水中の塵を除去する防塵板と、から成り、防塵板には、複数の穴が設けられている手段を採用する。
【0007】
また、本発明は、前記防塵板が、FRP素材又はアルミ素材で構成されている手段を採用する。
【0008】
さらに、本発明は、前記防塵板が、上下方向に複数の板で構成されている手段を採用する。
【0009】
またさらに、本発明は、水深調整・簡易清掃のため、前記防塵板の少なくとも1つの板を、上方に引き上げ可能である手段を採用する。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記防塵板が、消波本体単位で配置され、隣接する防塵板同士は、重なる部分がある手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る防塵板付消波装置によれば、消波本体単位の板で防塵を行うので、防塵構造の軽量化とメンテナンスの効率化を実現することが可能となる。
また、防塵板を深さ方向に複数に分割しているので、移動時に防塵板の一部がヒンジにより水抵抗に対し一定の角度を持つ事ができ、あるいは、完全に引き上げることで水流の負担を軽減することができるため、河川を競艇場とする際の作業負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る防塵板付消波装置の実施形態を示す全体斜視図である。
図2】本発明に係る防塵板付消波装置の設置場所を示す模式図である。
図3】本発明に係る防塵板付消波装置の実施形態を示す側面図である。
図4】本発明に係る防塵板付消波装置の実施形態を示す説明図である(防塵板の一部を引き上げる構造の説明)。
図5】本発明に係る防塵板付消波装置の実施形態を示す説明図である(防塵板の隙間を無くす形状の説明)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる防塵板付消波装置は、河川を競艇場として使用する際の会場設置作業効率を向上させ、設置された防塵部分のメンテナンス性向上を実現したことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる防塵板付消波装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
なお、以下に示される防塵板付消波装置の全体構成及び各部の構成は、下記に述べた実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0014】
図1から図5に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る防塵板付消波装置の実施形態を示す全体斜視図である。
図2は、本発明に係る防塵板付消波装置の設置場所を示す模式図であり、(a)は競艇場の全体図、(b)は河川に設置された防塵板付消波装置の模式図である。
図3は、本発明に係る防塵板付消波装置の実施形態を示す側面図であり、適宜断面を示している。図中のW.L(water line)は、水面を表す。
図4は、本発明に係る防塵板付消波装置の実施形態を示す説明図であり、防塵板の面積を小さくする構造である。(a),(b)はヒンジを用いて畳む構造を示し、(c),(d)はスライド機構を用いて重ねる構造を示している。
図5は、本発明に係る防塵板付消波装置の実施形態を示す説明図であり、防塵板の隙間を無くす形状の説明である。(a)は防塵板を互い違いに配置する構造を示し、(b)は防塵板を斜めに重ねる構造を示し、(c)は隣接する防塵板の側辺同士を突き当て状にほぼ接する状態で配置する構造を示している。
【0015】
本発明に係る防塵板付消波装置1は、浮遊型消波装置に、防塵板を取り付けたものである。
主な目的は、河川を利用した競艇場において、川上からのゴミ、塵等の流入を防ぐことと、競艇中の消波を行うことである。
【0016】
従来は、競艇のレース開催時、漁網で、川幅を塞き止め、レース終了後、漁網の一方を開放し、他方を軸として、90度回転移動して、塞き止めを終了する方法が取られていた。
漁網により、競艇場内へのゴミ類の侵入を防止し、消波効果を得るものである。しかし、漁網に、ゴミや水中生物が付着することで、網目の目詰まりを起こし、期間を経るごとに、抵抗が増し、機能低下が起きてしまうことが多かった。
また、漁網に付着したゴミや水中生物の清掃に、相当の時間と労力がかかっていた。
さらに、漁網の交換作業は陸揚げ解体作業となり、大掛かりな作業であると共に、費用も嵩むものであった。
さらにまた、経年劣化により魚網を廃棄しようとした場合に、産廃扱いとなり、産廃処理の法規制や処分方法の規制を受け、廃棄時に、付着した貝殻等を全て取り除く必要があるため、漁網自体の扱いが煩雑であった。
【0017】
本発明に係る防塵板付消波装置1は、主に、消波本体10とガードレール部20と連結部30と防塵板固定部40と水中の塵を除去する防塵板部50とから構成されたものを1ブロックとして、複数のブロックを接続した構成となっている。
【0018】
消波本体10は、水面の波を軽減する本体である。
形状は、図1図3に示すように、幅方向断面視くさび状の細長い一体箱型である。くさび状の先の部分(図3の紙面上左側)を前部とし、くさび状の基の部分(図3の紙面上右側)を後部とする。
消波本体10は、FRP素材で構成されている。箱の開口部を底方向に向けて配置され、箱内に入った波のエネルギーを吸収する構造である。消波本体10の内部には、消波本体10を浮かせるための浮力体が、配置されている。
【0019】
消波本体10の上部には、消波本体固定金具11が配置され、連結部30、防塵板固定部40が固定される。
複数の消波本体10は、その上部に配置された連結部30によって長手方向に連結される。複数の消波本体10を連結することにより、より広い領域の波を消すことができる。
消波本体10の前部の上側には、消波本体固定金具11、連結部30を介して、ガードレール部20が配置されている。
消波本体10の後部には、消波本体固定金具11を介して、防塵板固定部40と防塵板部50が配置されている。
言い換えれば、防塵板付消波装置1は、浮力体を有する消波本体を連結部で連結してなるものである。
【0020】
ガードレール部20は、ボート操縦者の接触や衝突を抑えるためのガード部分である。ガードレール部20は、ガードレール板部21とガードレール保持部22とから成る。ガードレール板部21は、衝撃を受け止める部分であり、衝撃による破損、曲がり等が発生しない程度の強度を持つ。
ガードレール保持部22は、ガードレール板部21を消波本体10に固定するためのものであり、連結部30、消波本体固定金具11を介して固定される。L字構造であり、ガードレール板部21に衝撃があった際、L字が曲がることで、ダンパーの効果を発揮する。
ガードレール板部21はガードレール保持部22に、ネジ部50によって固定されている。
【0021】
連結部30は、複数の消波本体10を連結するためのものである。消波本体10の幅方向に2つ並列し、隣接する消波本体10を跨ぐ構成で配置されている。
連結部30は、消波本体固定金具11を介して、消波本体10にねじ部50で固定される。
連結部30は、ガードレール保持部22をネジ部50で固定する。
【0022】
防塵板部50は、河川の川上から流れてくるゴミ、塵が、競艇場内に入ることを防ぐためのものである。
防塵板部50は、漁網の代わりとなるものである。FRP素材又はアルミ素材で構成され、板状であり、水を流すための穴が多数開けられた、多孔状板である。
FRP製又はアルミ製とすることによって、薄い平板にすることができるので、漁網に比べ、軽量化を図ることができる。
また、FRP製又はアルミ製とすることによって、漁網に比べ、表面が滑らかで、全体として、フラットな構造であるので、水中生物等が付着しにくく、付着したとしても、除去が容易となる。
さらに、漁網の場合は、水中生物等を除去する際、漁網全体を引き上げる必要があったが、防塵板部50の場合は、個々の消波本体10の防塵板部50について、個別に掃除等が可能である。
このように、防塵板部50を用いることで、メンテナンスの効率化を図ることができる。
【0023】
防塵板部50は、上下方向に、言い換えれば、深さ方向に、複数の板から構成されている。本実施例では、3枚の板で構成されている。浅い方から、上部板51、中部板52、下部板53である。
中部板52、下部板53には、孔55が開けられ、上部板51には、大孔54が開けられる。
孔55の径は、設置される河川での、水流の強さや、ゴミの内容によって、決められる。水流の強い河川では、穴の径を大きくするし、ゴミが比較的小さい河川では、穴の径も小さめにする。
孔55の間隔は、防塵板部50の強度等を考慮して決定される。
上部板51は、川の水面(W.L)に接する位置にある。そのため、上部板51に開ける孔は、川の水面に浮かんでいるゴミに対応した大きさとする必要がある。
一般的に、水面に浮かぶゴミは、大きいものを含むので、上部板51には、孔55よりも大きな大孔54が開けられている。
また、水面に特化する意味で、大孔54は、孔を水平方向に大きな楕円形とすることで、浮かんだ、大きなゴミに対応することができる。
【0024】
板同士を屈曲させることで、下側の2つの板は、上方に引き上げ可能となっている。それぞれの板は、ヒンジ構造で連結される。上部板51と中部板52とは、第1のヒンジ部60で連結され、中部板52と下部板53とは、第2のヒンジ部61で連結される。
中部板52には、引き上げ用金具62が設けられ、引き上げ用金具62に結ばれた引き上げチェーン63を引き上げることで、中部板52、下部板53は、折り畳まれるように引き上げられる。
このように、防塵板部50を引き上げ可能とすることで、防塵板付消波装置1を移動させる際とメンテナンスを行う際に、作業の効率化を図ることができる。
防塵板付消波装置1を、河川上流に設置するために、回転移動する際に、防塵板部50を引き上げることによって、水への抵抗を軽減できるので、移動のための労力を減らすことができる。
防塵板部50に付着した水中生物等を除去しようとした際、防塵板部50を引き上げることによって、防塵板部50を水中から引き上げた状態でメンテナンスを行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
また、設置場所の水深が浅い場所があった場合に、防塵板部50の最下辺が川底に接触する場合も想定されるが、中部板52と下部板53を適宜曲げることで、柔軟に対応することができる。
【0025】
防塵板固定部40は、消波本体10に防塵板部50を固定する部分である。より詳しくは、消波本体10に設けられた消波本体固定金具11の後端に防塵板部50を固定する部分である。
防塵板固定部40は、L字金具41と押え板42と等辺アングル43とから成る。
L字金具41は、防塵板部50を消波本体固定金具11に対して、垂直に固定するための金具である。図3に示すように、上下2つの金具で、ネジ部70によって、消波本体固定金具11に防塵板部50を固定する。
押え板42は、防塵板部50が歪んだり、撓んだりすることを防止するための補強板である。上部板51の前側に付けられ、ネジ部70で上部板51と一体化している。
等辺アングル43は、防塵板部50の裏側に設けられた補強金具である。断面がL字であるので、歪みに強く、防塵板部50の上部板51の剛性を向上させている。
このように、消波本体10と防塵板部50の上部板51は、防塵板固定部40によって、一体化している。また、押え板42、等辺アングル43によって、上部板51自体の剛性が向上しているので、引き上げチェーン63によって、中部板52、下部板53を引き上げる際に、上部板51が歪むことがない。
【0026】
本実施例での競艇場KTについて、図2に沿って説明する。紙面上、図2(a)において、右側が川上であり、左側が川下である。
競艇場KTは、開催時に、河川RVに、一時的に設けられる。開催時、競艇場KTの上流は、防塵板付消波装置1によって塞がれ、ゴミ、塵等が場内に進入することを防止する。
場内には、ターンマークTM等、レースに必要な設備が設けられる。観戦者のためのスタンドは、常時配置されている。
【0027】
競艇場KTの川上に設置される防塵板付消波装置1は、川の両岸の間を塞ぐ形であり、20個の消波本体10から成る。防塵板付消波装置1の一端には、回転移動駆動部80が配置されている(図2(b))。防塵板付消波装置1は、川岸とロープ81で固定されている。
回転移動駆動部80は、例えば、船外機付フロートで構成され、レース期間の開始時、終了時に、防塵板付消波装置1を移動するものである。
移動は、スタンド側川岸SK側のロープ81を軸として、90度回転されるように行われる。
レース終了時には、防塵板付消波装置1は、回転移動駆動部80によって、90度回転移動されて、全体が、スタンド側川岸SKに接するように置かれる。
【0028】
回転移動駆動部80は、通常、ガソリン船外機を用いるが、電動船外機に変更し、ソーラーシステムでバッテリ充電を行う構成としても良い。
このような構成とすることで、脱炭素社会に貢献することができる。
【0029】
防塵板付消波装置1の防塵板部50があることによって、上流からのゴミ、塵の侵入を防止することができる。また、上流からの波も、防塵板部50によって、低減され、レースへの影響を無くすことができる。
また、消波本体10自体、消波装置であるので、レース中の波を低減することができる。
つまり、本実施例によれば、河川のゴミ、塵の影響と河川の波の影響とレース中に発生する波の影響を低減することができる。
【0030】
図4に沿って、防塵板部50の重ね方について説明する。図4は、防塵板付消波装置1の側面図である。
図4(a),(b)は、ヒンジ構造によって防塵板同士を折り曲げて、重ねる構造である。(a)は、ヒンジを延ばした状態であり、(b)は、ヒンジで折り曲げた状態である。
防塵板部50を使用する際は、図4(a)のように、3つの板で1つの面を作っている。
メンテナンス等で、中部板52、下部板53を引き上げる際、引き上げチェーン63を引き上げることで、図4(b)のように、中部板52、下部板53は、折り畳まれて上部板51と同じ高さまで引き上げられる。
従って、中部板52、下部板53が、水上に出るので、貝類等の付着物を容易に落とすことができ、清掃等の作業効率を向上させることができる。
また、ヒンジ構造によって、後側に折り曲げる構造としたが、前側に折り曲げる構造としても良い。
【0031】
図4(c),(d)は、スライド機構によって、防塵板同士を重ねる構造である。(a)は、スライドを伸ばした状態であり、(b)は、スライドを縮めた状態である。
中部板52、下部板53の上端には、広面から起立する方向の突起である上部突起64があり、下部板53の下端には、広面から起立する方向の突起である下部突起65がある。
上部板51、中部板52の下端には、板がスライド可能な規制部66が配置されている。下部板53の上端には、引き上げ用金具62があり、引き上げチェーン63によって、引き上げ可能となっている。
図4(c)では、防塵板部50が伸び切った状態である。上部板51の規制部66に中部板52の上部突起64が当接し、中部板52の規制部66に下部板53の上部突起64が当接している状態である。
引き上げチェーン63を引き上げることで、下部板53は、中部板52の規制部66に沿って、スライドしながら、引き上げられる。さらに、下部板53の下部突起65が中部板52の規制部66に当接することで、下部板53と中部板52が同時に引き上げられる。最終的に、図4(d)のように、中部板52、下部板53は、上部板51とほぼ同じ位置まで引き上げられる。
従って、ヒンジ構造の場合と同様に、中部板52、下部板53についた貝類等の付着物を、容易に落とすことができ、清掃等の作業効率を向上させることができる。
【0032】
また、このように、防塵板部50を複数の板に分割し、引き上げ可能とすることで、消波本体10を河川に設置すべく移動する際の水の抵抗を少なくすることができ、設置作業時の負担を軽減することができる。
【0033】
図5に沿って、防塵板部50の左右方向の隙間を防止する構造について説明する。図5は、防塵板付消波装置1の上面図である。
防塵板付消波装置1は、消波本体10を長手方向に並べた構造であるので、隣同士の防塵板部50の間に隙間ができてしまう。
そこで、防塵板部50同士を左右方向に重ねることで、隙間を無くす構造とする。
図5(a)は、防塵板部50を左右方向に、若干長くし、消波本体10から防塵板部50までの長さを、隣同士で変え、互い違いにしたものである。長さを調整するために、消波本体固定金具11の防塵板部50までの長さを変えている。
隣同士の防塵板部50の端部が重なるので、水流方向での隙間を無くすことができる。
図5(b)は、消波本体10に対する防塵板部50の取付を、消波本体10に対して、水平ではなく、数度、角度をつけた例である。角度を持たせるために、3つの防塵板部50について、それぞれ、防塵板部50までの長さを変えている。
防塵板部50の左右方向の長さを若干長くし、取付角度を持たせたことによって、防塵板部50の端部同士が重なり、防塵板部50同士の隙間を無くすことができる。
このように、防塵板が、消波本体単位で配置され、隣接する防塵板同士に、重なる部分があることによって、防塵板付消波装置1全体として、防塵板の水流方向の隙間を無くすることができる。
【0034】
尚、防塵板部50の左右方向の隙間を防止する構造として、上記した防塵板部50同士を左右方向に重ねる態様ではなく、図5(c)に示すように、隣接する防塵板部50の側辺同士を突き当て状にほぼ接する状態で配設する態様も有効である。かかる態様により、防塵板部50の左右方向への隙間発生を防止し得るか、あるいは、隙間を極小幅に抑制することが可能となる。
【0035】
このように、本発明によれば、消波部単位の板で防塵を行うので、防塵構造の軽量化とメンテナンスの効率化を実現できる。
また、防塵板を、深さ方向に複数に分割しているので、移動時に、防塵板の一部を引き上げることで、水流の負担を軽減することができ、河川を競艇場とする際の作業負担を軽減することができる。
【0036】
また、本発明は、漁網の場合に比べて、軽量化されると共に、水中生物等の付着が少ないので、装置全体として、軽量化された状態が維持される。従って、機能の低下を防ぐことができ、耐用年数を延ばしたり、維持費を低減させたりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、設置・撤去の作業性並びにメンテナンス性に優れ、河川を一時利用した競艇場における防塵構造としてだけでなく、海や河川、湖沼等における所定水域内への防塵構造としても応用可能であり、産業上の利用可能性は大きいものと思料する。
【符号の説明】
【0038】
1 防塵板付消波装置
10 消波本体
11 消波本体固定金具
20 ガードレール部
21 ガードレール板部
22 ガードレール保持部
30 連結部
40 防塵板固定部
41 L字金具
42 押え板
43 等辺アングル
50 防塵板部
51 上部板
52 中部板
53 下部板
54 大孔
55 孔
60 第1のヒンジ部
61 第2のヒンジ部
62 引き上げ用金具
63 引き上げチェーン
64 上部突起
65 下部突起
66 規制部
70 ネジ部
80 回転移動駆動部(船外機付フロート)
81 ロープ
RV 河川
SK スタンド側川岸
TK 対岸側川岸
TM ターンマーク
KT 競艇場

【要約】
【課題】河川を競艇場とする際に川上からの塵の侵入を容易に防ぎ得る防塵板付消波装置を提供する。
【解決手段】浮力体を有する消波本体を連結部で連結してなる消波装置であって、消波本体と、ガードレール部と、連結部と、水中の塵の流入を防ぐ防塵板と、から成り、防塵板には、複数の穴が設けられている手段を採用する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5