(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】等張性ナトリウム血症用透析を実施するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A61M1/16 161
A61M1/16 163
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018134936
(22)【出願日】2018-07-18
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】10 2017 116 097.3
(32)【優先日】2017-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517289480
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・アヴィトゥム・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】SCHWARZENBERGER WEG 73‐79, 34212 MELSUNGEN, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマール・ヤニク
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-521816(JP,A)
【文献】特開平11-137667(JP,A)
【文献】国際公開第2017/080970(WO,A1)
【文献】特開2011-120822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0045713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処置、とりわけ血液透析のための装置であって、
新鮮な透析物を前記透析物の供給ラインを介して供給することが可能であり、かつ使用された透析物を前記透析物の放出ラインを介して放出することが可能な透析装置と、
前記透析物の前記供給ラインおよび前記放出ラインを接続することによって前記透析装置をバイパスし、前記透析装置を短絡させるために選択的に開くことができるバイパスラインと、
前記透析装置内できれいにするべき血液の血漿ナトリウム濃度と相関する変数を測定するため、前記透析装置の下流に直接設けられる第1の測定デバイスと、
測定された前記変数に応じて、少なくとも前記体外血液処置の終了時の前記血液の前記血漿ナトリウム濃度が開始時と同じ値を有するように前記透析物の組成を自動的に調整するための調合部と、
前記透析装置によって放出された前記使用された透析物の毒
素混入を測定するための毒
素測定デバイスであって、測定された毒
素混入が、前記第1の測定デバイスの導電率測定を補正するために用いられる、毒
素測定デバイスと、
少なくとも前記第1の測定デバイス、前記調合部、及び第1~第3バルブの測定値を記録し、指令を出力する制御部と、を含み、
前記供給ラインの、前記バイパスラインとの接続点と前記透析装置との間の区間と、前記放出ラインの、前記バイパスラインとの接続点と前記透析装置との間の区間と、にポンプが存在せず、かつ、
少なくとも前記体外血液処置の開始時に、前記透析物がバイパス動作を介して前記透析装置内に残り、前記透析装置内の前記透析物が停止し、これによって、前記バイパス動作の終了後に、前記第1の測定デバイスが前記変数を決定する、ように前記制御部が構成される、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記調合部が、測定された前記変数に応じて、前記体外血液処置の間、前記血液の前記血漿ナトリウム濃度が低下する、増加する、または実質的に一定に維持されるように前記透析物の前記組成を調整する、ように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の測定デバイスが、導電率測定デバイス、物質特異的測定デバイスおよび/または光学測定デバイスを含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記導電率測定デバイスが温度-補償導電率セルである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記使用された透析物の側の残留量が血液側で溶解された物質の少なくとも一部を取り入れるために前記透析物が前記透析装置をバイパスして導かれるバイパス動作を実行し、かつ、前記血液の前記血漿ナトリウム濃度と相関した前記変数を測定するための前記第1の測定デバイスに前記使用された透析物の前記側の前記残留量を供給する、ように構成される請求項1~4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記バイパス動作が、前記体外血液処置の最初の20分以内、好ましくは最初の15分以内、さらに好ましくは最初の10分以内に実行される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記体外血液処置の前記終了に向かって前記血漿ナトリウム濃度が初期血漿ナトリウム濃度に相当するような程度に前記血液からナトリウムが回収されるように前記調合部が前記透析物の前記組成を調整する、請求項1~6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の測定デバイスが、二つの異なる継続期間の前記バイパス動作で、前記使用された透析物の前記側における前記残留量の導電率を測定するように構成され、かつ、得られた測定結果の比較によって、前記透析装置の入口における血漿または血漿水の前記導電率が前記バイパス動作の前後の前記使用された透析物の測定導電率に基づいて計算される係数を定めるように前記装置が構成される、請求項5または6に記載の装置。
【請求項9】
前記透析物の前記供給ライン内において前記血液の前記血漿ナトリウム濃度と相関した前記変数の第2の測定を実施するための第2の測定デバイスをさらに含む請求項1~8の何れか一項に記載の装置であって、
前記第2の測定デバイスの測定値を前記第1の測定デバイスの測定値と比較して、一回の前記バイパス動作に対応する期間内において、前記第1の測定デバイスによって測定された測定値のうちの極値が、最大値および最小値のいずれに相当するかを決定する、装置。
【請求項10】
前記毒
素測定デバイスが、前記使用された透析物の吸収特性、とりわけ吸光度を測定するための光学センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
中間層内におけるシグモイド活性化関数、とりわけ双曲線正接関数を用いて、前記第1の測定デバイスの前記導電率測定を補正するための神経回路網をさらに含む請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の血液が透析装置内のいわゆる透析物で洗浄される体外血液処置(例えば、血液透析)のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
血液の解毒は別として、透析の基礎となる腎不全によって身体内に蓄積している過剰水を身体から除去することが透析治療の目的である。これは、透析装置を介して血液から液体を除去するいわゆる限外濾過によって行われる。
【0003】
技術水準
従来の透析装置は、通常、縦方向の伸びを有する管状透析装置筐体を含むものであって、前記透析装置の内部は、典型的には前記縦方向の伸びの全体にわたって変化しないか、またはわずかに変化するだけの断面を有するものである。前記内部には、互いに平行に配置される毛細管膜が設けられる。前記毛細管膜は共同で体外血液循環の区間を形成するが、前記毛細管の外部および前記透析装置筐体の内部は前記透析物の循環の区間を形成する。前記二つの循環は、逆方向に有効であり、前記毛細管の半透膜を介して互いに分離される。水および物質の両方の交換は、前記半透膜を通して生じる。とりわけ、水および混入物が患者の血液から回収される。前記膜を介した拡散過程によって、透析装置内のより小さい混入物よりも直径または分子量が増大する保持生成物の除去が不良である。
【0004】
血液透析、血液透析濾過および高流量透析は、とりわけ異なる透析手法として利用される。血液透析は、半透膜(拡散)によって分離される二種の液体の小分子物質の濃度を補償する原理に基づく。前記フィルタ膜から分離される場合、一方の側では、カリウムやホスフェート等の電解質と、通常は尿(例えば、尿素、尿酸)と共に除かれる物質とを含む血液が提供される。前記膜の反対側では、患者の特定の必要性に適合させた電解質の割当を含む前記透析物が提供される。詳細には、前記透析物は、高純度水と、第1の塩基性成分(例えば、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)と、第2の酸性成分とから成る。後者は、例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)、酢酸(CH3COOH)およびグルコースから構成される。前記血液と前記透析物との間の半透性フィルタ膜(透析膜)は、水、電解質、通常は尿と共に除かれる物質等の小分子に対して透過性であるがタンパク質や血球等の大分子を保留する細孔を有する。
【0005】
概して、それぞれ、前記透析物を調製し、調合させるために定量ポンプおよび導電率プローブが用いられる。プローブは、第1の定量ポンプによって前記炭酸水素ナトリウムを添加した後で前記導電率を測定する。別のプローブは、別の定量ポンプによって前記酸性成分も添加した後で前記透析物全体の導電率を検出する。次いで、測定された前記導電率によって前記添加量を制御する。この方法は、導電率制御調合として知られている。
【0006】
いわゆる容積測定調合において、前記導電率プローブは、単に検査に役立つだけである。この場合、調合は、定量ポンプ送出速度を介して直接実施されるが、このことは用いられる前記成分の組成についての知識を必要とする。
【0007】
前記透析物の正確な組成は、透析において重要な役割を果たす。とりわけ、ナトリウムは、前記透析物および血漿の両方において最も頻回に生じるカチオンであるので重要な役割を果たす。ナトリウムは、とりわけ生理食塩水(NaCl)の形態で吸収される。ナトリウムの摂取量の増加は、相当する量の液体を供給することによって補償され得る。しかし、液体の摂取量の増加は、次の透析サイクルの間において、より過剰な液体を限外濾過によって回収しなければならないという事実をもたらす。しかし、前記液体回収によって血圧の低下が生じる場合、高い限外濾過速度によって、ひいてはナトリウムの添加が必要となる。このことは、ひいては水の摂取量の増加を伴う。よって、悪循環が始まることになる。しかし、前記透析物中の低過ぎるナトリウム値も有利でない。細胞内空間および細胞外空間は、互いに浸透圧が平衡している。前記透析物中のナトリウム濃度が低い場合、前記透析装置内の拡散過程によって細胞外浸透圧モル濃度が低下する。しかし、両空間が平衡しているので、水は、前記細胞内空間から前記細胞外空間中に望ましくない様式で流れる。
【0008】
ゆえに、前述の理由で、前記血漿ナトリウム濃度ができるだけほとんど変化せず、せいぜい透析の間は全く変化しないように、前記透析物中の前記ナトリウム濃度を個別に適合させることが望ましい。そのような透析は、等張性ナトリウム血症用(isonatremic)と称される(例えば、非特許文献1,2参照)。
【0009】
前記基準で前記透析物中の前記ナトリウム濃度を調整するように、各透析の前に血液試料を採取し、分析することが最も容易である。しかし、この手法は、非常に時間がかかり、装置に大きな費用がかかることに関係がある。この理由で、多くの透析センターにおいて、透析は、前記透析物の標準化組成物と共に実施されるが、前記血漿ナトリウム濃度は患者によって異なってもよい(非特許文献3参照)。
【0010】
前述の知られた手法は、それぞれ、前記必須パラメータを確立することは時間がかかり、前記透析装置の上流および下流の二個のセンサが、較正の適切な努力を含めて頻繁に必要とされ、前記使用された透析物の出口における導電率測定値が前記使用された透析物中の血液から到達する物質によって影響されるという効果に対して不利である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】de Paula,F.M.;Peixoto,A.J.;Pinto,I.V.;Dorigo,D.;Patricio,P.J.M.and Santos,S.F.F.:“Clinical Consequences of an Individualized Dialysate Sodium Prescription in Hemodialysis Patients”,Kidney International,2004,66,1232-1238
【文献】Basile,C.and Lomonte,C.:“It is Time to Individualize the Dialysate Sodium Prescription”,Seminars in Dialysis,2016,29,24-27
【文献】Mendoza,J.M.;Sun,S.;Chertow,G.M.;Moran,J.;Doss,S.and Schiller,B.:“Dialysate Sodium and Sodium Gradient in Maintenance Hemodialysis:a Neglected Sodium Restriction Approach?”,Nephrol Dial Transplant 2011,26,1281-1287
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の簡単な説明
本発明の基礎となる前記目的は、とりわけ、前記血漿ナトリウム濃度を維持するように、または規定量のナトリウムを前記患者に加えるかもしくは前記患者から回収するように、前記透析物の組成に関して前記透析物を自動的に適合させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的は、請求項1に記載の装置と、請求項13に記載の方法とによって達成される。
【0014】
したがって、前記血液の前記血漿ナトリウム濃度と相関する変数を測定し、前記(新鮮な)透析物の前記組成は、少なくとも前記血液処置の終了時の前記血液の前記血漿ナトリウム濃度が前記血液処置の開始時と同じ値を有するように測定された前記変数に応じて調整される。次いで、前記使用された透析物の側で前記患者の前記血漿ナトリウム濃度と強く相関する値を確立するように前記透析治療の開始時に前記透析装置をバイパスモードにすぐに切り替えることによって測定を行う。必要な場合、前記値は補正される。その後、前記透析装置は、前記血漿ナトリウム濃度が低下するか、増加するか、または確立されかつ補正された可能性がある前記値に相当する定数のままであるように、前記(新鮮な)透析物を自動的に構成する。
【0015】
すなわち、体外血液処置、とりわけ血液透析のための装置および相当する方法であって、新鮮な透析物を前記透析物の供給ラインを介して供給することが可能であり、かつ使用された透析物を前記透析物の放出ラインを介して放出することが可能な透析装置と、前記透析物の前記供給ラインおよび前記放出ラインを接続することによって前記透析装置をバイパスし、前記透析装置を短絡させるために選択的に開くことができるバイパスラインと、前記透析装置内できれいにするべき前記血液の前記血漿ナトリウム濃度と相関する変数を測定するための第1の測定デバイスであって、前記透析装置の下流に直接設けられる前記第1の測定デバイスと、少なくとも前記血液処置の終了時の前記血液の前記血漿ナトリウム濃度が開始時と同じ値を有するように測定された前記変数に応じて前記透析物の組成を自動的に調整するための調合部と、を含む、体外血液処置、とりわけ血液透析のための装置および相当する方法が提供される。その中で、少なくとも前記体外血液処置の開始時に前記透析物が前記透析装置内に残る介在されたバイパス動作を介して前記相関変数を決定するように、前記バイパスラインと前記透析装置との間に位置する前記透析物の前記供給ラインおよび前記放出ラインのライン区間にポンプが存在しない。
【0016】
示唆された前記溶液は、高い限外濾過速度を中長期間回避することが可能であり、かつ前記血液中の水および電解質の量が適度に変化するだけである透析サイクルのために備えることができる。さらに、ここで示唆される前記測定デバイスは、すでに多くの従来の透析装置において利用可能であるので、ほんの少しの機器しか必要とされないか、または全く機器が必要とされない。
【0017】
本発明の特定の有利な実施形態は、従属請求項に記載される。
【0018】
以下、同封の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態に係る透析装置の概略ブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る透析制御方法のフロー図である。
【
図3A】より長いバイパス期間についての導電率曲線を含む時間図である。
【
図3B】より短いバイパス期間についての導電率曲線を含む時間図である。
【
図4】第2の実施形態に係る透析装置の概略ブロック図である。
【
図5】第3の実施形態に係る透析装置の概略ブロック図である。
【
図6】第4の実施形態に係る透析装置のための神経回路網の概略図である。
【
図7】前記第4の実施形態に係る前記透析装置における濃度曲線および導電率曲線を含む時間図である。
【
図8】前記第4の実施形態に係る前記透析装置における吸光度曲線を含む時間図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態は、等張性ナトリウム血症用透析(isonatremic dialysis)を実施するための装置および方法の例によって記載される。
【0021】
図1は、第1の実施形態に係る透析装置の概略ブロック図を示す。
【0022】
この場合、血液は、送出部(ポンプ)3を活用して動脈管システム2を介して透析患者1から回収される。前記血液は、拡散、対流および/または限外濾過によって、毒素および過剰水が存在しない透析装置4に流れ込む。続いて、処理した前記血液は、静脈チューブシステム5を介して前記患者1に再供給される。接合カニューレを介して回収および再供給を行ってもよい。
【0023】
透析装置4は、体外血液処置のために利用される場合、例えば商業的に入手可能な透析装置であってもよい。それは、半透膜を特徴とする複数の中空繊維毛細管を含む。患者の前記血液は、前記毛細管を通って流れる。前記透析装置4の内部で、前記毛細管は、前記血液から毒素と更なる混入物とを吸収する前記新鮮な透析物で外側から洗浄される。前記新鮮な透析物は、調合部6内で調製される。すでに冒頭で記載したように、この目的のために、各種の知られた原理を用いることができる。この例としては、導電率制御調合、容積測定調合、前述の二つの混合形態がある。この目的のために、通常、高純度水、塩基性成分および酸性成分が混合される。
【0024】
主要な接続において、前記新鮮な透析物は、第1の制御可能バルブ7を通って前記透析装置4内に流れ、そこで、前記血液から前記混入物を吸収し、他の物質、とりわけ炭酸水素および/または他の電解質を前記血液に放出する可能性がある。前記透析装置4を通過した後、前記透析物は、使用された透析物と称される。
【0025】
以下の実施形態によれば、前記使用された透析物は、測定デバイス8および第2の制御可能バルブ9を通過する。平衡部(図示せず)は、例えば新鮮でかつ使用された透析物の流れの比較と場合により適合とによって、厳密に規定された量の過剰水が前記患者から回収されることを確保する。主要な前記接続において、さらに、第3の制御可能バルブ10は閉じられる。制御部11は、少なくとも、それぞれ、前記測定デバイス8、前記調合部6、前記第1~第3のバルブ7、9および10の測定値および状態を検出する。その上、前記制御部11は、前記調合部6と前記第1~第3のバルブ7、9および10とに指令を出力する。
【0026】
以下、
図2を参照して、
図1に示される前記透析装置の機能を詳細に示す。
【0027】
図2は、前記透析装置によって実施される前記第1の実施形態に係る透析制御方法のフロー図を示す。
【0028】
ステップ201で、透析処置の開始時に、好ましくは最初の20分以内に、より好ましくは最初の15分以内に、さらに好ましくは最初の10分以内に、前記透析装置4を前記バイパスに切り替える。好ましくは、前記送出部3の血流量は、前記患者が接続される際に前記血流量より高い所定の値に相当する。
【0029】
前記バイパスの間、前記新鮮な透析物は、前記調合部6から、前記透析装置4を過ぎて、ステップ202で制御部11によって開かれた前記第3のバルブ10を介して、排水管内に導かれる。
【0030】
前記第1および第2のバルブ7、9は、前記バイパスの間、閉じられる。一方で、前記患者1の前記血液は、前記透析装置4を通って流れ続ける。前記第1および第2のバルブ7、9によって制限される場合、残留量の使用された透析物は、前記透析装置の出口側に保持される。厳密に言えば、前記残留量の使用された透析物は、前記透析装置4の透析物側(前記内側)を含む、前記バルブ7および9の間の全体区間内に位置する。前記送出部3の前記血流量と前記透析装置4の大きさとに応じて、数分以内に、前記残留量の使用された透析物の全体または少なくとも一部は、大いに、それが、完全にまたは少なくとも部分的に、前記血液側で溶解した前記物質の濃度を採用するように、前記透析装置4内の前記使用された透析物側で飽和する。前記血液側で溶解した、考察される前記物質は、前記透析装置4の前記半透膜を通過するのに充分に小さい物質である。それらは、とりわけ、自由ナトリウムイオンと、さらに電解質と、通常は尿素、尿酸、クレアチニン等の尿と共に除かれる物質とを含む。
【0031】
前記バイパスの終了後、ステップ203で、前記調合部6からの(新鮮な)前記透析物によって前記透析装置4からの前記少なくとも部分的に飽和した残留容量の前記使用された透析物が変位するように、前記第1、第2および第3のバルブ7、9、10のバルブ位置を切り替える。その際、前記残留量は、短期の信号変化が生じる前記測定デバイス8を通過する。なお、これに関連して、前記測定デバイス8は、前記バイパスの間にそれを新鮮な透析物で洗浄し続けるように位置決めされてもよいが(すなわち、前記バルブ10を組み込む前記バイパスラインの下流)、
図1に示すように、前記透析装置出口および前記バイパスラインの間には位置決めされない。(これは、必要な変更を加えて、以下に記載される
図5に係る前記測定デバイス13に適用可能である。また、以下に記載される
図4、5に係る前記測定デバイス12は、(前記使用された透析物側の)前記バイパスラインの前方(上流)への流れの方向に設けられてもよい)。
【0032】
前記信号変化の極値(最小または最大)の値は、前記透析装置4の前記血液入口で得られた前記値と強く相関する。
【0033】
好ましくは、前記測定デバイス8は、温度-補償導電率セルである。その場合、バイパスの終了後の前記極値の前記導電率は、それぞれ前記患者1の血漿水および血漿の導電率に相当する。
【0034】
別の場合、血液側の前記値を非侵襲的にかつ直接確立することができるように、イオン選択性電極や光学測定デバイス等の物質特異的測定デバイスを測定デバイス8として用いることもできる。
【0035】
上述のバイパス方法は、その主要な特徴において、ダイアリサンスの決定を目的とする特許DE197 34 992C1に基づくものである。
【0036】
本実施形態によれば、この方法は、治療の終了に向かって前記血漿ナトリウム濃度が前記初期濃度(等張性ナトリウム血症用透析)に相当するような程度に前記患者1からナトリウムが回収されるように前記調合部6によってその組成において前記透析物を適合させるように、現在さらに開発されている。このために、前記局所信号極値の前記測定値を、
図2のステップ204において評価し、ステップ205において前記調合部6に前記制御部11を介して伝送する。後者は、前記血漿ナトリウム濃度が、前記透析のさらなる過程において変化しないか、または少なくとも前記終了に向かって前記開始時と同じ値を有するように、ステップ206で前記透析物を混合する。あらゆる変化を確かめることが可能になるようにするため、前述の方法ステップ201~206によって、前記バイパスを一定の間隔をおいて繰り返す。
【0037】
しかし、上述したバイパス方法において、前記バイパスの間に、前記血液側と前記使用された透析物の前記側との間の拡散平衡に到達することになる。しかし、低い血流量および大きい透析装置の場合、これには数分かかる可能性がある。前記使用された透析物の前記側における流れない残留量のため、前記血液は充分に効率的な程度に浄化されないことを強調する必要がある。しかし、このことは、単一のバイパスを一回行う場合は無視してよいが、前記透析処置の過程で複数のバイパスを行うことになっている場合、充分に高い透析量を達成するように前記処置を延長する必要がある。
【0038】
ゆえに、前記実施形態によれば、前記血液側と前記使用された透析物の前記側との間の拡散平衡をなくすことによって前記バイパス時間を減らしてもよい。検査室測定によって、すでに、完全飽和の50%に相当するバイパスの終了後の信号変化を生じるのに14秒のバイパス時間で充分であるという事実がもたらされた。
【0039】
図3Aおよび
図3Bは、前述の効果を示すためのそれぞれより長いおよびより短いバイパス時間による、(前記透析装置の)血液入口における導電率曲線CBIと、(前記透析装置の)血液出口における導電率曲線CBOと、(前記透析装置の)透析物入口における導電率曲線CDIと、(前記透析装置の)透析物出口における導電率曲線CDOとを有する時間図を示すものであって、前記左側の図がより長い期間によるバイパスに相当し、前記右側の図がより短い期間によるバイパスに相当するものである。(前記透析装置の)前記透析物出口における前記導電率は、前記バイパスを行う直前に約13.6mS/cmに達する。2.5分のバイパス期間の後、完全飽和が生じる可能性がある。このことは、2.5分後に(前記透析装置の)前記血液入口および前記血液出口においてここで示された前記導電率は互いに一致し、約14.4mS/cmの値を有するという事実からも明らかである。
【0040】
バイパスの終了後の前記極値における(前記透析装置の)前記透析物出口における前記導電率(CDO)は、0.8mS/cmの変化に相当する約14.4mS/cmに等しく達する。14秒だけのバイパス期間によって、(前記透析装置の)前記透析物出口における前記導電率が13.6mS/cmから14.0mS/cmに、厳密に0.8mS/cmの半分の0.4mS/cmだけ増加することは、前記右側の図から明らかである。
【0041】
ここで、以下の式から、(前記透析装置の)前記血液入口に存在する前記導電率を結論づけることができる。
【0042】
【0043】
CBIcalcは、前記バイパス方法によって非侵襲的に計算される(前記透析装置の)前記血液入口における前記値を特徴づけ、CDOpreは、前記測定デバイス8によって検出される前記バイパスを行う直前の(前記透析装置の)前記透析物出口における前記値を特徴づけ、CDOextは、バイパスの終了後の(前記透析装置の)前記透析物出口における前記極値の前記値を特徴づける。該値は濾過値であってもよい。例えば、それらは、規定の時間セグメントの平均値または中央値であることができる。平均の透析装置の大きさおよび平均の血液の流量による14秒間のバイパスについての前記係数kは2に等しい。他の血流量または透析装置もしくは透析物の流量を用いる場合、前記係数kの調整を行ってもよい。このために、最初に、前記血液側および前記透析物側の間の拡散平衡が生じ得る充分に長いバイパスを行う。好ましくは前記長いバイパスの終了の1~2分以内の直後、14秒の期間または異なる期間の短いバイパスを行う。別の場合、前記順序を変えてもよい。
【0044】
続いて、前記係数kは、両方のバイパスの測定値を比較することによって確立される。例えば、以下の商を確立することができる。
【0045】
【0046】
前記分子は、前記長いバイパスとの前記相当する値の差であり、前記分母は、前記短いバイパスとの前記相当する値の差である。
【0047】
以下、第2の実施形態を記載する。
【0048】
図4は、前記第2の実施形態に係る透析装置の概略ブロック図を示す。
【0049】
前記第2の実施形態において、前記新鮮な透析物の供給ライン内に別の測定デバイス12が設けられるが、前記二つの測定デバイス8、12は同じ型であってもよい。前記測定デバイス12は前記調合部6の構成要素であってもよいが、その理由は、後者がすでに適切な測定デバイスをしばしば含むからである。好ましくは、前記さらなる測定デバイス12は、温度-補償導電率プローブでもある。前記さらなる測定デバイス12は、必ずしも等張性ナトリウム血症用透析を行うためのものでなくてもよい。しかし、それを、測定デバイス8と組み合わせて、前記測定デバイス8における前記信号の評価アルゴリズムを容易にするために用いてもよい。両方の測定デバイス8、12における前記測定値の比較によって、バイパスを終了した後で前記極値が最小であるのか最大であるのかがすぐに明らかになる。前記測定デバイス8における前記値が、前記さらなる測定デバイス12における値よりそれぞれ高いかまたは低い場合、バイパスの終了後に最大または最小を求める。
【0050】
以下、第3の実施形態を記載する。
【0051】
図5は、前記第3の実施形態に係る透析装置の概略ブロック図を示す。
【0052】
すでに述べたように、前記測定デバイス8は、好ましくは温度-補償導電率プローブである。ナトリウムおよびそのアニオン、とりわけ塩化物および炭酸水素は、前記導電率に最も強く寄与する透析物や血漿水等の液体内でそれらの物質を構成するが、前記導電率測定は、導電率およびナトリウム濃度の間の単純な変換が可能でないようにさらなる物質に影響される。例えば、カリウム値の増加によって、前記導電率が増加する可能性がある。しかし、それ自体導伝性でないが依然として導電率を減じるために適合された物質もある。グルコースによって前記導電性イオンの移動度が減じるので、非導電性グルコースの添加によって、それ以外の場合の導伝性溶液の導電率が減少する可能性があることが例示され得る。同様の効果は、尿と共に通常は除かれる毒素および他の物質によって引き起こされる。とりわけ、透析処置の開始時に、複数の該物質は、前記透析装置4内の前記半透膜を通過し、このようにして前記透析物側に到達する。ゆえに、前記測定デバイス8は、該物質によって減少し得る導電率を測定する。しかし、前記調合部6が該導電率を厳密に混ぜ合わせる場合、このようにして、ナトリウムは、望ましくない様式で前記透析処置の過程で前記患者から回収される。該効果を打ち消すために、前記測定デバイス8における前記導電率を補正することが必要である。しかし、毒素の前記混入が患者や処置によって異なる可能性があるので、固定量を添加することによる前記導電率の厳密な修正は有害である。
【0053】
ゆえに、前記第3の実施形態において、第3の測定デバイス13は、前記測定デバイス8の隣の前記使用された透析物の前記(透析装置)出口に設けられ、ここで前記第3の測定デバイス13は、前記使用された透析物の毒素混入の決定に役立つ。好ましくは、これは、前記使用された透析物の吸収特性を測定する光学センサである。好ましくは、前記吸収特性は、235nmから400nmの間の紫外線領域で測定される。さらに好ましくは、285±15nmの波長を有する光の吸収特性が測定される。別の場合、酵素センサまたは別の電気化学センサも考えられる。
【0054】
前記バイパス方法によって確立された前記導電率を補正するために、バイパスを行う直前の前記使用された透析物の前記吸収特性が考えられ得る。別の場合、前記測定デバイス8における前記信号極値と同時に生じる前記バイパスを終了した後の前記吸収特性も考えられる。
【0055】
1つの可能な吸収特性は前記吸光度である。したがって、前記導電率は、前記導電率と前記吸光度とを数学的に組み合わせることによって補正される。これは、最も単純な場合、例えば以下の一次方程式に基づいてもよい。
【0056】
【0057】
ここで、CBIcalc,korrは、前記測定デバイス8による測定に基づいて補正された前記血液入口のおける前記計算された導電率を特徴づけ、aおよびbは係数であり、Eは、前記使用された透析物の前記(透析装置)出口における前記第3の測定デバイス13によって測定された前記吸光度を表し、cは定数である。
【0058】
ここで、神経回路網に基づいた第4の実施形態の記載が続く。
【0059】
図6は、前記第4の実施形態に係る透析装置のための前記神経回路網の概略図を示す。
【0060】
とりわけ人工神経回路網が非常に良好な結果を達成することが、試験によって示されている。人工神経回路網は、あらゆる精度でほとんど全ての測定可能な機能に近づくことが可能である。通常、それらは、一つの入力層と、少なくとも一つの隠された層と、一つの出力層と、から成る。
【0061】
図6は、そのような神経回路網21を示す。この場合、入力層22は、前記血液入口(CBIcalc)における前記計算された導電率および前記吸光度(E)についての前記値が入力変数として標準化される二つのニューロン25を含む。前記重み付けwiによって重み付けした場合、それらは、以下の式に従って前記重み付け入力uが合計される中間層23の中間層ニューロン26に伝送される。
【0062】
【0063】
該入力と異なり、さらに一定の入力、いわゆる閾値を用いてもよい。閾値は、-1または+1のいずれかであってよく、重み付けされてもよい。その上、入力として、他の、例えば、さらに体外測定デバイスのさらに他の測定値を送り込むことが可能である。(さらなる入力は、例えば、前記透析物入口および/または前記透析物出口における前記導電率であってもよい。そしてさらなる入力は、前記血漿中の前記カリウムおよび炭酸水素の濃度であってもよい)。
【0064】
例えば、商業的に入手可能なヘマトクリットセンサ等を含むことも考えられる。また、厳密な測定値だけでなく測定値の変化量も考えることは明らかである。この例としては、前記確立された導電率および/もしくは吸収特性および/もしくはヘマトクリット値、ならびに/または前記相対的血液量および/もしくは少なくとも二つのバイパスの間の前記血液の酸素飽和度の変化量がある。
【0065】
続いて、前記重み付け入力の合計は、各中間層ニューロンにおいて、シグモイド活性化関数に伝送される。基本的に、あらゆるシグモイド関数が考えられる。好ましくは、あらゆる入力値に対するその関数値が前記値-1から+1の間の範囲内にあるという事実によって優れている双曲線正接関数を用いてもよい。前記双曲線正接関数は、以下のように定義される。
【0066】
【0067】
したがって、前記中間層ニューロン26の出力値Vは、以下のような結果となる。
【0068】
【0069】
最後に、出力値に出力重み付けwoを与え、合計が形成される出力層24の出力ニューロン27に前記出力値を転送する。この場合、重み付け閾値を加えてもよい。
【0070】
したがって、以下は、前記出力ニューロン27についての出力y1として生じるものである。
【0071】
【0072】
式中、bo1は、前記出力ニューロン27の重み付け閾値を表す。
【0073】
それは、前記閾値が
図6に示されないという事実に関連する。
【0074】
前記回路網出力は、前記測定デバイス8によって前記使用された透析物の前記(透析装置)出口で非侵襲的に前記バイパス方法によって決定された、前記血液入口における前記補正された計算された導電率である。当然、直接出力される前記血液入口に存在するナトリウム濃度c(Na+)を準備することも可能である。別の場合、前記調合部6についての送出量、または混合比の計量を確立してもよい。
【0075】
ここで、それぞれCBIcalc,korrおよびc(Na+)についての値、すなわち、それぞれ前記導電率およびナトリウム濃度は、等張性ナトリウム血症用透析を行うために、さらに前記透析物のために提供され、前記調合部6によって混合され得る。
【0076】
図7は、前述の仕方で行われた透析の結果としての前記第4の実施形態に係る前記透析装置における濃度および導電率曲線を含む時間図を示す。この目的のために、6Lの新鮮血液を透析した。血漿ナトリウム濃度は、透析の開始時に143mmol/Lに達した。前記処置の過程において、前記濃度は、わずかに増加するが、その後、142.7±0.6mmol/Lに徐々に低下する。前記開始時に前記バイパス方法によって計算された前記導電率CBI
calcは、約13.9mS/cmに達した。この値および前記関連する第1の吸光度を前記神経回路網に入力した。次いで、前記回路網は、補正された導電率として14.2mS/cmの値を計算した。該値を前記制御部11に伝送した結果、前記調合部6が前記透析物を混合したという事実がもたらされたが、その様式は、後者の中で143mmol/Lのナトリウム濃度が得られたような様式であった。前記透析物の総導電率に適用される場合、143mmol/Lは、約14.2mS/cmに相当する。
【0077】
図8は、前記第4の実施形態に係る前記透析装置内に前記関連する吸光度曲線を含む時間図を示す。この場合の前記第3の測定デバイス13の前記光学センサの発光波長は、280nmに達した。
【0078】
当然、規定量のナトリウムを前記患者1から回収するか、または前記患者1に投与するように、前記血漿ナトリウム濃度を最初に確立した後、前記新鮮な透析物を調整することも可能である。その上、前記示唆された方法によって、回収されたナトリウムの絶対量を決定することが可能になる。前記透析処置の過程における知られた限外濾過量と前記血漿ナトリウム濃度の知識とにより、ナトリウムの前記回収量は、限外濾過量および血漿ナトリウム濃度の積に相当する。
【0079】
前記方法を医療スタッフおよび/または使用者にとって分かりやすいものにするために、前記測定デバイスのデータ、および/または前記調合部6によって混合された前記透析物の特徴をスクリーンまたはデータ管理システムに表示してもよい。これは、とりわけ、導電率、濃度、吸光度、pH値、温度および圧力に関連する。
【0080】
その上、データは、推奨としてのみ利用可能とされてもよい。このようにして、前記医療スタッフメンバーは、該推奨データに基づいて、自分達自身で、前記推奨に従うことにするか否かを決めてもよい。その結果、低ナトリウム血症用透析、等張性ナトリウム血症用透析または高ナトリウム血症用透析が自動的に行われる必要はない。
【0081】
前記神経回路網の前記重み付けまたは前記係数aおよびbならびに前記定数cを工場渡しで確立し、調整するための準備を行ってもよい。しかし、該値をそれぞれ調節可能および学習可能に構成することも可能である。例として、前記血漿ナトリウム濃度を、例えば前記透析処置の開始のすぐ前の患者の前記血液の日常の臨床検査において確立され得るものに適用する。前記医療スタッフおよび/または前記使用者は、直接、前記透析装置に、またはデータ管理システム内に該測定値を入力することができる。次いで、該値を前記計算された値と比較する。次いで、適切な場合、前記計算された値を前記測定値と置き換えてもよい。同時に、前記透析装置によって、または前記データ管理システムによって、上述の重み付けおよび係数を新しく確立し、適合させることができる。
【0082】
さらに、収集したデータを、患者のカード上、透析装置内および/またはデータ管理システム内に保存してもよい。ここ数年で実施された研究によって、患者の血漿ナトリウム濃度は他のパラメータと比較して比較的一定である(いわゆる設定点理論)という事実が得られた。
【0083】
前記保存されたデータ、とりわけ前記計算された導電率CBIcalcおよび前記補正され、計算された導電率CBIcalc,corrならびにそれらから確立された前記血漿ナトリウム濃度c(Na+)は、健康の状態の一般的変化を示し得る可能な変化量を識別するように記述統計(例えば、平均値、標準偏差、時間相関等)によって評価され得る。
【0084】
要約すると、透析装置内の透析物で患者の血液を洗浄し、かつ前記血液の血漿ナトリウム濃度と相関する変数を測定する、体外血液処置のための装置および方法が記載された。次いで、少なくとも前記血液処置の終了時の前記血液の前記血漿ナトリウム濃度が開始時と同じ値を有するように測定された前記変数に応じて前記透析物の組成を調整する。前記血液の前記血漿ナトリウム濃度と相関する前記変数を測定するために、例えば、前記使用された透析物の側の残留量が前記血液側で溶解された前記物質の濃度を少なくとも部分的に採用するように前記透析物が前記透析装置を過ぎて導かれるバイパス動作を設けてもよい。