(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/18 20060101AFI20240411BHJP
H02K 29/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H02K3/18 J
H02K29/00
(21)【出願番号】P 2019167233
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2021-04-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐原 良通
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 晃生
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】西 秀隆
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特許第6291292(JP,B2)
【文献】特開2010-273450(JP,A)
【文献】特開2013-70577(JP,A)
【文献】特開2017-163697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K3/18
H02K3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環部及び前記円環部の外側に放射状に形成された複数のティースを有するステータコアと、前記複数のティースに巻回された複数の巻線とを有するステータと、
前記ステータの軸方向一方側に配置された天壁部及び前記ステータを囲う周壁部を有するロータハウジングと、前記周壁部に固着された複数のマグネットとを有するロータと、
前記ステータの軸方向他方側に配置され、前記ステータの軸方向他方側へ延びる前記複数の巻線の端末部と電気的に接続された基板と、
を備え、
前記複数のマグネットの磁極数及び前記複数のティース間のスロットの数が、10極12スロット又は14極12スロットであるアウタロータ型のブラシレスモータであって、
前記複数の巻線は、デルタ結線された3相の巻線であり、
前記複数のティースを、前記ステータの周方向一方側へ順に第1番のティースから第12番のティースとした場合に、
第1相の巻線は、
第7番のティースと第8番のティースとの間の第8番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第7番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、
続いて、第2番のティースと第3番のティースとの間の第3番のスロットに挿入され、第2番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、
続いて、第1番のティースと第12番のティースとの間の第1番のスロットに挿入され、第1番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、
続いて、第7番のティースと第8番のティースとの間の第8番のスロットに挿入され、第8番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、第8番のティースと第9番のティースとの間の第9番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、
第2相の巻線は、
第5番のティースと第6番のティースとの間の第6番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第6番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、
続いて、第10番のティースと第11番のティースとの間の第11番のスロットに挿入され、第11番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、
続いて、第12番のティースと第1番のティースとの間の第1番のスロットに挿入され、第12番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、
続いて、第5番のティースと第6番のティースとの間の第6番のスロットに挿入され、第5番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、第4番のティースと第5番のティースとの間の第5番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、
第3相の巻線は、
第4番のティースと第5番のティースとの間の第5番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第4番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、
続いて、第2番のティースと第3番のティースとの間の第3番のスロットに挿入され、第3番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、
続いて、第9番のティースと第10番のティースとの間の第10番のスロットに挿入され、第10番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、
続いて、第9番のティースと第10番のティースとの間の第10番のスロットに挿入され、第9番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、第8番のティースと第9番のティースとの間の第9番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであ
り、
前記複数の巻線に形成された全ての前記渡り線は、いずれも前記円環部の軸方向他方側に配置されている、
ブラシレスモータ。
【請求項2】
円環部及び前記円環部の外側に放射状に形成された複数のティースを有するステータコアと、前記複数のティースに巻回された複数の巻線とを有するステータと、
前記ステータの軸方向一方側に配置された天壁部及び前記ステータを囲う周壁部を有するロータハウジングと、前記周壁部に固着された複数のマグネットとを有するロータと、
前記ステータの軸方向他方側に配置され、前記ステータの軸方向他方側へ延びる前記複数の巻線の端末部と電気的に接続された基板と、
を備え、
前記複数のマグネットの磁極数及び前記複数のティース間のスロットの数が、10極12スロット又は14極12スロットであるアウタロータ型のブラシレスモータであって、
前記複数の巻線は、デルタ結線された3相の巻線であり、
前記複数のティースを、前記ステータの周方向一方側へ順に第1番のティースから第12番のティースとした場合に、
第1相の巻線は、
第7番のティースと第8番のティースとの間の第8番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第7番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、
続いて、第2番のティースと第3番のティースとの間の第3番のスロットに挿入され、第2番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、
続いて、第1番のティースと第12番のティースとの間の第1番のスロットに挿入され、第1番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、
続いて、第7番のティースと第8番のティースとの間の第8番のスロットに挿入され、第8番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、第8番のティースと第9番のティースとの間の第9番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、
第2相の巻線は、
第5番のティースと第6番のティースとの間の第6番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第6番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、
続いて、第10番のティースと第11番のティースとの間の第11番のスロットに挿入され、第11番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、
続いて、第12番のティースと第1番のティースとの間の第1番のスロットに挿入され、第12番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、
続いて、第5番のティースと第6番のティースとの間の第6番のスロットに挿入され、第5番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、第4番のティースと第5番のティースとの間の第5番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、
第3相の巻線は、
第9番のティースと第8番のティースとの間の第9番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第9番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、
続いて、第10番のティースと第11番のティースとの間の第11番のスロットに挿入され、第10番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、
続いて、第3番のティースと第4番のティースとの間の第4番のスロットに挿入され、第3番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、
続いて、第3番のティースと第4番のティースとの間の第4番のスロットに挿入され、第4番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、第4番のティースと第5番のティースとの間の第5番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであ
り、
前記複数の巻線に形成された全ての前記渡り線は、いずれも前記円環部の軸方向他方側に配置されている、
ブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステータと、ロータと、基板とを備えるブラシレスモータが開示されている。このブラシレスモータにおいて、ステータは、ステータコアと、複数の巻線とを有する。ステータコアは、円環部及び円環部の外側に放射状に形成された複数のティースを有し、複数の巻線は、複数のティースに巻回されている。
【0003】
ロータは、ロータハウジングと、複数のマグネットとを有する。ロータマグネットは、ステータの軸方向一方側に配置された天壁部及びステータを囲う周壁部を有し、複数のマグネットは、周壁部に固着されている。
【0004】
基板は、ステータの軸方向他方側に配置されている。この基板には、ステータの軸方向他方側へ延びる複数の巻線の端末部が電気的に接続されている。
【0005】
このブラシレスモータは、複数のマグネットの磁極数及び複数のティース間のスロットの数が、10極12スロット又は14極12スロットであるアウタロータ型のブラシレスモータである。複数の巻線は、デルタ結線された3相の巻線である。
【0006】
このブラシレスモータにおいて、複数の巻線には、ステータコアの円環部に沿って配索された複数の渡り線が形成されている。この複数の渡り線のうち一部の渡り線は、円環部の軸方向一方側(ロータハウジングの天壁部の側)に配置され、残りの渡り線は、円環部の軸方向他方側(ロータハウジングの天壁部と反対側)に配置されている。
【0007】
また、複数の巻線の端末部は、ステータの軸方向他方側(基板の側)に延出されている。この複数の巻線の端末部は、ブラシレスモータの中心軸に対してブラシレスモータの軸方向と直交する方向の一方側に集約されて配置されている。
【0008】
このように、複数の巻線の端末部が、ブラシレスモータの中心軸に対してブラシレスモータの軸方向と直交する方向の一方側に集約されて配置されていると、例えば、複数の巻線の端末部を結線するターミナルの構造を簡素化できるので、コストアップを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記ブラシレスモータでは、複数の渡り線のうち一部の渡り線がステータコアの円環部の軸方向一方側(ロータハウジングの天壁部の側)に配置されている。したがって、例えば、ロータハウジングの天壁部にファンをネジで固定する場合に、このネジと渡り線が干渉する虞がある。
【0011】
ここで、ネジと渡り線との干渉を抑制するためには、ロータハウジングの天壁部と渡り線との間の間隔を拡げることが考えられる。ところが、このようにすると、ブラシレスモータが軸方向に大型化する。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、軸方向への大型化及びコストアップを抑制できるブラシレスモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のブラシレスモータは、円環部及び前記円環部の外側に放射状に形成された複数のティースを有するステータコアと、前記複数のティースに巻回された複数の巻線とを有するステータと、前記ステータの軸方向一方側に配置された天壁部及び前記ステータを囲う周壁部を有するロータハウジングと、前記周壁部に固着された複数のマグネットとを有するロータと、前記ステータの軸方向他方側に配置され、前記ステータの軸方向他方側へ延びる前記複数の巻線の端末部と電気的に接続された基板と、を備え、前記複数のマグネットの磁極数及び前記複数のティース間のスロットの数が、10極12スロット又は14極12スロットであるアウタロータ型のブラシレスモータであって、前記複数の巻線は、デルタ結線された3相の巻線であり、前記複数のティースを、前記ステータの周方向一方側へ順に第1番のティースから第12番のティースとした場合に、第1相の巻線は、第7番のティースと第8番のティースとの間の第8番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第7番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、続いて、第2番のティースと第3番のティースとの間の第3番のスロットに挿入され、第2番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、続いて、第1番のティースと第12番のティースとの間の第1番のスロットに挿入され、第1番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、続いて、第7番のティースと第8番のティースとの間の第8番のスロットに挿入され、第8番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、第8番のティースと第9番のティースとの間の第9番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、第2相の巻線は、第5番のティースと第6番のティースとの間の第6番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第6番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、続いて、第10番のティースと第11番のティースとの間の第11番のスロットに挿入され、第11番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、続いて、第12番のティースと第1番のティースとの間の第1番のスロットに挿入され、第12番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、続いて、第5番のティースと第6番のティースとの間の第6番のスロットに挿入され、第5番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、第4番のティースと第5番のティースとの間の第5番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、第3相の巻線は、第4番のティースと第5番のティースとの間の第5番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第4番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、続いて、第2番のティースと第3番のティースとの間の第3番のスロットに挿入され、第3番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、続いて、第9番のティースと第10番のティースとの間の第10番のスロットに挿入され、第10番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、続いて、第9番のティースと第10番のティースとの間の第10番のスロットに挿入され、第9番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、第8番のティースと第9番のティースとの間の第9番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、前記複数の巻線に形成された全ての前記渡り線は、いずれも前記円環部の軸方向他方側に配置されている。
【0014】
請求項1に記載のブラシレスモータによれば、複数の巻線に形成された渡り線は、いずれも円環部の軸方向他方側(ロータハウジングの天壁部と反対側)に配置されている。したがって、例えば、ロータハウジングの天壁部にファンをネジで固定する場合でも、ネジと渡り線が干渉することを回避できる。これにより、ロータハウジングの天壁部と渡り線との間の間隔を拡げる必要がないので、ブラシレスモータが軸方向に大型化することを抑制できる。
【0015】
また、請求項1に記載のブラシレスモータによれば、複数の巻線の端末部は、第5番のスロット、第6番のスロット、第8番のスロット及び第9番のスロットに配置されており、ブラシレスモータの中心軸に対してブラシレスモータの軸方向と直交する方向の一方側に集約されて配置されている。したがって、例えば、複数の巻線の端末部が基板に直接接続される場合には、基板上で巻線の端末部に接続される部品のレイアウトを簡素化できるので、コストアップを抑制できる。
【0016】
また、前記課題を解決するために、請求項2に記載のブラシレスモータは、円環部及び前記円環部の外側に放射状に形成された複数のティースを有するステータコアと、前記複数のティースに巻回された複数の巻線とを有するステータと、前記ステータの軸方向一方側に配置された天壁部及び前記ステータを囲う周壁部を有するロータハウジングと、前記周壁部に固着された複数のマグネットとを有するロータと、前記ステータの軸方向他方側に配置され、前記ステータの軸方向他方側へ延びる前記複数の巻線の端末部と電気的に接続された基板と、を備え、前記複数のマグネットの磁極数及び前記複数のティース間のスロットの数が、10極12スロット又は14極12スロットであるアウタロータ型のブラシレスモータであって、前記複数の巻線は、デルタ結線された3相の巻線であり、前記複数のティースを、前記ステータの周方向一方側へ順に第1番のティースから第12番のティースとした場合に、第1相の巻線は、第7番のティースと第8番のティースとの間の第8番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第7番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、続いて、第2番のティースと第3番のティースとの間の第3番のスロットに挿入され、第2番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、続いて、第1番のティースと第12番のティースとの間の第1番のスロットに挿入され、第1番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、続いて、第7番のティースと第8番のティースとの間の第8番のスロットに挿入され、第8番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、第8番のティースと第9番のティースとの間の第9番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、第2相の巻線は、第5番のティースと第6番のティースとの間の第6番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第6番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向他方側へ渡り線が配索され、続いて、第10番のティースと第11番のティースとの間の第11番のスロットに挿入され、第11番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、続いて、第12番のティースと第1番のティースとの間の第1番のスロットに挿入され、第12番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、続いて、第5番のティースと第6番のティースとの間の第6番のスロットに挿入され、第5番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、第4番のティースと第5番のティースとの間の第5番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、第3相の巻線は、第9番のティースと第8番のティースとの間の第9番のスロットに巻き始めの端末部が配置され、第9番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、続いて、第10番のティースと第11番のティースとの間の第11番のスロットに挿入され、第10番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、続いて、第3番のティースと第4番のティースとの間の第4番のスロットに挿入され、第3番のティースに該ティースの先端側から見て反時計回りに巻回された後、前記円環部の軸方向他方側を前記円環部の周方向一方側へ渡り線が配索され、続いて、第3番のティースと第4番のティースとの間の第4番のスロットに挿入され、第4番のティースに該ティースの先端側から見て時計回りに巻回された後、第4番のティースと第5番のティースとの間の第5番のスロットに巻き終りの端末部が配置されたものであり、前記複数の巻線に形成された全ての前記渡り線は、いずれも前記円環部の軸方向他方側に配置されている。
【0017】
請求項2に記載のブラシレスモータによれば、複数の巻線に形成された渡り線は、いずれも円環部の軸方向他方側(ロータハウジングの天壁部と反対側)に配置されている。したがって、例えば、ロータハウジングの天壁部にファンをネジで固定する場合でも、ネジと渡り線が干渉することを回避できる。これにより、ロータハウジングの天壁部と渡り線との間の間隔を拡げる必要がないので、ブラシレスモータが軸方向に大型化することを抑制できる。
【0018】
また、請求項2に記載のブラシレスモータによれば、複数の巻線の端末部は、第5番のスロット、第6番のスロット、第8番のスロット及び第9番のスロットに配置されており、ブラシレスモータの中心軸に対してブラシレスモータの軸方向と直交する方向の一方側に集約されて配置されている。したがって、例えば、複数の巻線の端末部が基板に直接接続される場合には、基板上で巻線の端末部に接続される部品のレイアウトを簡素化できるので、コストアップを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るブラシレスモータを備えるファンモータ装置の斜視図である。
【
図2】ファンモータ装置の中心部の拡大斜視図である。
【
図4】ブラシレスモータにおいてロータを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図6】ステータを軸方向一方側から見た斜視図である。
【
図7】ステータを軸方向他方側から見た斜視図である。
【
図8】第一例に係る巻線の巻回方法を示す配線図である。
【
図9A】第一例に係る巻線の巻回方法におけるUV相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図9B】第一例に係る巻線の巻回方法におけるVW相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図9C】第一例に係る巻線の巻回方法におけるWU相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図10】ステータコアにUV相の巻線を巻回した状態を示す斜視図である。
【
図11】ステータコアにUV相の巻線を巻回した状態を示す別の斜視図である。
【
図12】ステータコアにUV相及びVW相の巻線を巻回した状態を示す斜視図である。
【
図13】ステータコアにUV相及びVW相の巻線を巻回した状態を示す別の斜視図である。
【
図14】ステータコアにUV相、VW相及びWU相の巻線を巻回した状態を示す斜視図である。
【
図15】ステータコアにUV相、VW相及びWU相の巻線を巻回した状態を別の示す斜視図である。
【
図16】ステータコアにUV相、VW相及びWU相の巻線を巻回した状態を示すさらに別の斜視図である。
【
図17】ステータコアにUV相、VW相及びWU相の巻線を巻回した状態を示す要部拡大斜視図である。
【
図18】ステータコアにUV相、VW相及びWU相の巻線を巻回した状態を示す別の要部拡大斜視図である。
【
図19】第二例に係る巻線の巻回方法を示す配線図である。
【
図20A】第二例に係る巻線の巻回方法におけるUV相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図20B】第二例に係る巻線の巻回方法におけるVW相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図20C】第二例に係る巻線の巻回方法におけるWU相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図21】第三例に係る巻線の巻回方法を示す配線図である。
【
図22A】第二例に係る巻線の巻回方法におけるUV相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図22B】第三例に係る巻線の巻回方法におけるVW相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図22C】第三例に係る巻線の巻回方法におけるWU相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図23】第四例に係る巻線の巻回方法を示す配線図である。
【
図24A】第四例に係る巻線の巻回方法におけるUV相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図24B】第四例に係る巻線の巻回方法におけるVW相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図24C】第四例に係る巻線の巻回方法におけるWU相の巻線の巻回工程を示す説明図である。
【
図25】比較例に係るブラシレスモータにおいてロータを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図26】比較例に係るブラシレスモータの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
はじめに、本発明の一実施形態に係るブラシレスモータ10について説明する。
【0021】
図1には、一例として、本発明の一実施形態に係るブラシレスモータ10がファンモータ装置Sに適用された例が示されている。ファンモータ装置Sは、ブラシレスモータ10と、ファン12とを備える。
【0022】
図2には、ファンモータ装置Sの中心部が示されている。
図2では、
図1の基板ケース24が取り外された状態で示されている。ブラシレスモータ10は、後述するように、基板22を備えている。
【0023】
図3は、ブラシレスモータ10の斜視図、
図4は、ロータ18を取り外した状態のブラシレスモータ10の斜視図、
図5は、ブラシレスモータ10の縦断面図である。
図3~
図5に示されるように、ブラシレスモータ10は、シャフト14と、ステータ16と、ロータ18と、センターピース20と、基板22と、基板ケース24を備える。
【0024】
図6、
図7には、ステータ16が示されている。矢印Frは、ステータ16の軸方向一方側を示し、矢印Rrは、ステータ16の軸方向他方側を示している。
図6、
図7に示されるように、ステータ16は、ステータコア26と、複数の巻線28とを有する。ステータコア26は、円環部30及び円環部30の外側に放射状に形成された複数のティース32を有し、複数の巻線28は、複数のティース32に巻回された巻回部34をそれぞれ有する。
【0025】
図3、
図5に示されるように、ロータ18は、ロータハウジング36と、複数のマグネット38とを有する。ロータ18マグネット38は、ステータ16の軸方向一方側に配置された天壁部40及びステータ16を囲う周壁部42を有する有天円筒状であり、複数のマグネット38は、周壁部42に固着されている。このロータ18は、一対の軸受44を介してシャフト14に回転可能に支持されている。
【0026】
センターピース20は、ステータ16の軸方向他方側に配置された板状部46を有する。このセンターピース20には、シャフト14及びステータ16が固定されている。
【0027】
基板22は、ステータ16の軸方向他方側に配置されている。この基板22は、より具体的には、板状部46におけるステータ16と反対側に配置されており、板状部46に固定されている。この基板22には、ステータ16の軸方向他方側へ延びる複数の巻線28の端末部(
図5において不図示)が電気的に接続されている。
【0028】
このブラシレスモータ10は、複数のマグネット38の磁極数及び複数のティース32間のスロット48の数が、10極12スロット又は14極12スロットであるアウタロータ型のブラシレスモータである。
【0029】
複数の巻線28は、デルタ結線された3相の巻線である。つまり、複数の巻線28は、UV相の巻線、VW相の巻線、WU相の巻線である。UV相の巻線28は、「第1相の巻線」の一例であり、VW相の巻線28は、「第2相の巻線」の一例であり、WU相の巻線28は、「第3相の巻線」の一例である。
【0030】
続いて、複数の巻線28の巻回方法について説明する。本実施形態では、以下の通り、複数の巻線28の巻回方法について第一例乃至第四例の四通りの方法がある。以下、第一例乃至第四例について順に説明する。
【0031】
なお、以下の各図に示される「UV1」~「VW4」は、以下を表している。
・「UV1」:UV相の1番目
・「UV2」:UV相の2番目
・「UV3」:UV相の3番目
・「UV4」:UV相の4番目
・「VW1」:VW相の1番目
・「VW2」:VW相の2番目
・「VW3」:VW相の3番目
・「VW4」:VW相の4番目
・「WU1」:WU相の1番目
・「WU2」:WU相の2番目
・「WU3」:WU相の3番目
・「WU4」:WU相の4番目
【0032】
また、以下では、複数のティース32を、ステータ16の周方向一方側へ順に第1番のティース32から第12番のティース32と称する。以下の各図では、以下の通り、ティース32の順番を示す番号1~12がティース32の符号の末尾に付されている。
・第1番のティース32:符号32-1
・第2番のティース32:符号32-2
・第3番のティース32:符号32-3
・第4番のティース32:符号32-4
・第5番のティース32:符号32-5
・第6番のティース32:符号32-6
・第7番のティース32:符号32-7
・第8番のティース32:符号32-8
・第9番のティース32:符号32-9
・第10番のティース32:符号32-10
・第11番のティース32:符号32-11
・第12番のティース32:符号32-12
【0033】
また、以下では、複数のティース32間に形成されたスロット48を、ステータ16の周方向一方側へ順に第1番のスロット48から第12番のスロット48と称する。以下の各図では、以下の通り、スロット48の順番を示す番号1~12がスロット48の符号の末尾に付されている。
・第1番のスロット48:符号48-1
・第2番のスロット48:符号48-2
・第3番のスロット48:符号48-3
・第4番のスロット48:符号48-4
・第5番のスロット48:符号48-5
・第6番のスロット48:符号48-6
・第7番のスロット48:符号48-7
・第8番のスロット48:符号48-8
・第9番のスロット48:符号48-9
・第10番のスロット48:符号48-10
・第11番のスロット48:符号48-11
・第12番のスロット48:符号48-12
【0034】
また、矢印Frは、円環部30の軸方向一方側を示し、矢印Rrは、円環部30の軸方向他方側を示している。また、矢印R1は、円環部30の周方向一方側を示し、矢印R2は、円環部30の周方向他方側を示している。
【0035】
はじめに、第一例に係る巻線28の巻回方法について説明する。
【0036】
図8~
図18には、第一例に係る巻線28の巻回方法により複数の巻線28が順番に巻回される様子が示されている。
図8~
図18に示されるように、第一例に係る巻線28の巻回方法では、UV相の巻線28、VW相の巻線28、WU相の巻線28の順に複数の巻線28が巻回される。
図8、
図9A~
図9Cでは、複数のティース32に巻線28を巻回する順番を表す番号(1)~(12)が図中に示されている。
【0037】
(UV相の巻線28)
先ず、UV相の巻線28は、第7番(UV4)のティース32-7と第8番(UV1)のティース32-8との間の第8番のスロット48-8に巻き始めの端末部50-1が配置され、第7番(UV4)のティース32-7に該ティース32-7の先端側から見て反時計回り(CCW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向一方側(R1側)へ渡り線52-1が配索される。
【0038】
続いて、UV相の巻線28は、第2番(UV3)のティース32-2と第3番(WU2)のティース32-3との間の第3番のスロット48-3に挿入され、第2番(UV3)のティース32-2に該ティース32-2の先端側から見て反時計回り(CCW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向他方側(R2側)へ渡り線52-2が配索される。
【0039】
続いて、UV相の巻線28は、第1番(UV2)のティース32-1と第12番(VW3)のティース32-12との間の第1番のスロット48-1に挿入され、第1番(UV2)のティース32-1に該ティース32-1の先端側から見て時計回り(CW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向他方側(R2側)へ渡り線52-3が配索される。
【0040】
そして、UV相の巻線28は、第7番(UV4)のティース32-7と第8番(UV1)のティース32-8との間の第8番のスロット48-8に挿入され、第8番(UV1)のティース32-8に該ティース32-8の先端側から見て時計回り(CW)に巻回された後、第8番(UV1)のティース32-8と第9番(WU4)のティース32-9との間の第9番のスロット48-9に巻き終りの端末部50-2が配置される。UV相の巻線28は、このようにして巻回されたものである。
【0041】
(VW相の巻線28)
次いで、VW相の巻線28は、第5番(VW4)のティース32-5と第6番(VW1)のティース32-6との間の第6番のスロット48-6に巻き始めの端末部50-3が配置され、第6番(VW1)のティース32-6に該ティース32-6の先端側から見て時計回り(CW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向他方側(R2側)へ渡り線52-4が配索される。
【0042】
続いて、VW相の巻線28は、第10番(WU3)のティース32-10と第11番(VW2)のティース32-11との間の第11番のスロット48-11に挿入され、第11番(VW2)のティース32-11に該ティース32-11の先端側から見て時計回り(CW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向一方側(R1側)へ渡り線52-5が配索される。
【0043】
続いて、VW相の巻線28は、第12番(VW3)のティース32-12と第1番(UV2)のティース32-1との間の第1番のスロット48-1に挿入され、第12番(VW3)のティース32-12に該ティース32-12の先端側から見て反時計回り(CCW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向一方側(R1側)へ渡り線52-6が配索される。
【0044】
そして、VW相の巻線28は、第5番(VW4)のティース32-5と第6番(VW1)のティース32-6との間の第6番のスロット48-6に挿入され、第5番(VW4)のティース32-5に該ティース32-5の先端側から見て反時計回り(CCW)に巻回された後、第4番(WU1)のティース32-4と第5番(VW4)のティース32-5との間の第5番のスロット48-5に巻き終りの端末部50-4が配置される。VW相の巻線28は、このようにして巻回されたものである。
【0045】
(WU相の巻線28)
次いで、WU相の巻線28は、第4番(WU1)のティース32-4と第5番(VW4)のティース32-5との間の第5番のスロット48-5に巻き始めの端末部50-5が配置され、第4番(WU1)のティース32-4に該ティース32-4の先端側から見て反時計回り(CCW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向他方側(R2側)へ渡り線52-7が配索される。
【0046】
続いて、WU相の巻線28は、第2番(UV3)のティース32-2と第3番(WU2)のティース32-3との間の第3番のスロット48-3に挿入され、第3番(WU2)のティース32-3に該ティース32-3の先端側から見て時計回り(CW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向他方側(R2側)へ渡り線52-8が配索される。
【0047】
続いて、WU相の巻線28は、第9番(WU4)のティース32-9と第10番(WU3)のティース32-10との間の第10番のスロット48-10に挿入され、第10番(WU3)のティース32-10に該ティース32-10の先端側から見て時計回り(CW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向他方側(R2側)へ渡り線52-9が配索される。
【0048】
そして、WU相の巻線28は、第9番(WU4)のティース32-9と第10番(WU3)のティース32-10との間の第10番のスロット48-10に挿入され、第9番(WU4)のティース32-9に該ティース32-9の先端側から見て反時計回り(CCW)に巻回された後、第8番(UV1)のティース32-8と第9番(WU4)のティース32-9との間の第9番のスロット48-9に巻き終りの端末部50-6が配置される。WU相の巻線28は、このようにして巻回されたものである。
【0049】
この第一例に係る巻線28の巻回方法によれば、次の作用及び効果を奏する。ここで、第一例に係る巻線28の巻回方法の作用及び効果を明確にするために、比較例について説明する。
図25、
図26には、比較例に係る巻線28の巻回方法で巻線28が巻回されたブラシレスモータ110が示されている。比較例に係るブラシレスモータ110において、本実施形態に係るブラシレスモータ10と同じ名称の部材には、同じ符号が付されている。
【0050】
比較例に係る巻線28の巻回方法は、上述の特許文献1に記載の方法に相当する。
図25、
図26に示されるように、比較例に係る巻線28の巻回方法で巻線28が巻回されたブラシレスモータ110では、複数の渡り線52のうち一部の渡り線52がステータコア26の円環部30の軸方向一方側(ロータハウジング36の天壁部40の側)に配置されている。したがって、例えば、ロータハウジング36の天壁部40にファン12をネジ54で固定する場合に、このネジ54と渡り線52が干渉する虞がある。
【0051】
ここで、ネジ54と渡り線52との干渉を抑制するためには、ロータハウジング36の天壁部40と渡り線52との間の間隔を拡げることが考えられる。ところが、このようにすると、ブラシレスモータ110が軸方向に大型化する。
【0052】
これに対し、上述の第一例に係る巻線28の巻回方法で巻線28が巻回されたブラシレスモータ10では、
図5に示されるように、複数の巻線28に形成された渡り線52は、いずれも円環部30の軸方向他方側(ロータハウジング36の天壁部40と反対側)に配置される。したがって、例えば、ロータハウジング36の天壁部40にファン12をネジ54で固定する場合でも、ネジ54と渡り線52が干渉することを回避できる。これにより、ロータハウジング36の天壁部40と渡り線52との間の間隔を拡げる必要がないので、ブラシレスモータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0053】
また、
図14~
図18に示されるように、複数の巻線28の端末部50-1~6は、第5番のスロット48-5、第6番のスロット48-6、第8番のスロット48-8及び第9番のスロット48-9に配置されている。これにより、
図2に示されるように、複数の端末部50-1~6をブラシレスモータ10の中心軸Cに対してブラシレスモータ10の軸方向と直交する方向の一方側(矢印A側)に集約して配置できる。したがって、例えば、複数の端末部50-1~6が基板22に直接接続される場合には、基板22上で端末部50-1~6に接続される部品のレイアウトを簡素化できるので、コストアップを抑制できる。
【0054】
しかも、第一例に係る巻線28の巻回方法によれば、
図17に示されるように、UV相の渡り線52-1、52-3を配索してから、UV相の巻き終りの端末部50-2及びWU相の巻き終りの端末部50-6を配置できるので、UV相の巻き終りの端末部50-2及びWU相の巻き終りの端末部50-6とUV相の渡り線52-1、52-3とが干渉せずにUV相及びWU相の巻線28を巻回できる。
【0055】
また、
図18に示されるように、VW相の渡り線52-4、52-6を配索してから、VW相の巻き終りの端末部50-4及びWU相の巻き始めの端末部50-5を配置できるので、VW相の巻き終りの端末部50-4及びWU相の巻き始めの端末部50-5とVW相の渡り線52-2、52-6とが干渉せずにVW相及びWU相の巻線28を巻回できる。これにより、巻回部34の巻崩れを防止できると共に、省スペース化でき、後整形も不要であるので、低コスト化できる。
【0056】
次に、第二例に係る巻線28の巻回方法について説明する。
【0057】
図19、
図20A~
図20Cには、第二例に係る巻線28の巻回方法により複数の巻線28が順番に巻回される様子が示されている。
図19、
図20A~
図20Cに示されるように、第二例に係る巻線28の巻回方法では、VW相の巻線28、UV相の巻線28、WU相の巻線28の順に複数の巻線28が巻回される。VW相、UV相、WU相の各々の巻線28の巻回の順番は、第一例と同じである。
【0058】
図19、
図20A~
図20Cでは、複数のティース32に巻線28を巻回する順番を表す番号(1)~(12)が図中に示されている。また、
図19、
図20A~
図20Cにおいて、巻線28の端末部50-1~50-6は、配置される順に番号1~番号6が付されている。同様に、渡り線52-1~52-9は、配索される順に番号1~番号9が付されている。
【0059】
この第二例に係る巻線28の巻回方法によっても、
図5に示されるように、複数の巻線28に形成された渡り線52は、いずれも円環部30の軸方向他方側(ロータハウジング36の天壁部40と反対側)に配置される。したがって、例えば、ロータハウジング36の天壁部40にファン12をネジ54で固定する場合でも、ネジ54と渡り線52が干渉することを回避できる。これにより、ロータハウジング36の天壁部40と渡り線52との間の間隔を拡げる必要がないので、ブラシレスモータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0060】
また、複数の巻線28の端末部50-1~6は、第5番のスロット48-5、第6番のスロット48-6、第8番のスロット48-8及び第9番のスロット48-9に配置されている。これにより、第一例に係る巻線28の巻回方法と同様に、複数の端末部50-1~6をブラシレスモータ10の中心軸Cに対してブラシレスモータ10の軸方向と直交する方向の一方側(矢印A側)に集約して配置できる(
図2参照)。したがって、例えば、複数の端末部50-1~6が基板22に直接接続される場合には、基板22上で端末部50-1~6に接続される部品のレイアウトを簡素化できるので、コストアップを抑制できる。
【0061】
次に、第三例に係る巻線28の巻回方法について説明する。
【0062】
図21、
図22A~
図22Cには、第三例に係る巻線28の巻回方法により複数の巻線28が順番に巻回される様子が示されている。
図21、
図22A~
図22Cに示されるように、第三例に係る巻線28の巻回方法では、UV相の巻線28、VW相の巻線28、WU相の巻線28の順に複数の巻線28が巻回される。ただし、VW相及びUV相の各々の巻線28の巻回の順番は、第一例と同じであるが、WU相の巻線28の巻回の順番は、第一例と逆である。
【0063】
図21、
図21A~
図21Cでは、複数のティース32に巻線28を巻回する順番を表す番号(1)~(12)が図中に示されている。また、
図21、
図21A~
図21Cにおいて、巻線28の端末部50-1~50-6は、配置される順に番号1~番号6が付されている。同様に、渡り線52-1~52-9は、配索される順に番号1~番号9が付されている。
【0064】
この第三例に係る巻線28の巻回方法において、WU相の巻線28は、第9番(WU4)のティース32-9と第8番(UV1)のティース32-8との間の第9番のスロット48-9に巻き始めの端末部50-5が配置され、第9番(WU4)のティース32-9に該ティース32-9の先端側から見て時計回り(CW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向一方側(R1側)へ渡り線52-7が配索される。
【0065】
続いて、WU相の巻線28は、第10番(WU3)のティース32-10と第11番(VW2)のティース32-11との間の第11番のスロット48-11に挿入され、第10番(WU3)のティース32-10に該ティース32-10の先端側から見て反時計回り(CCW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向一方側(R1側)へ渡り線52-8が配索される。
【0066】
続いて、WU相の巻線28は、第3番(WU2)のティース32-3と第4番(WU1)のティース32-4との間の第4番のスロット48-4に挿入され、第3番(WU2)のティース32-3に該ティース32-3の先端側から見て反時計回り(CCW)に巻回された後、円環部30の軸方向他方側(Rr側)を円環部30の周方向一方側(R1側)へ渡り線52-9が配索される。
【0067】
そして、WU相の巻線28は、第3番(WU2)のティース32-3と第4番(WU1)のティース32-4との間の第4番のスロット48-4に挿入され、第4番(WU1)のティース32-4に該ティース32-4の先端側から見て時計回り(CW)に巻回された後、第4番(WU1)のティース32-4と第5番(VW4)のティース32-5との間の第5番のスロット48-5に巻き終りの端末部50-6が配置される。WU相の巻線28は、このようにして巻回されたものである。
【0068】
この第三例に係る巻線28の巻回方法によっても、
図5に示されるように、複数の巻線28に形成された渡り線52は、いずれも円環部30の軸方向他方側(ロータハウジング36の天壁部40と反対側)に配置される。したがって、例えば、ロータハウジング36の天壁部40にファン12をネジ54で固定する場合でも、ネジ54と渡り線52が干渉することを回避できる。これにより、ロータハウジング36の天壁部40と渡り線52との間の間隔を拡げる必要がないので、ブラシレスモータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0069】
また、複数の巻線28の端末部50-1~6は、第5番のスロット48-5、第6番のスロット48-6、第8番のスロット48-8及び第9番のスロット48-9に配置されている。これにより、第一例に係る巻線28の巻回方法と同様に、複数の端末部50-1~6をブラシレスモータ10の中心軸Cに対してブラシレスモータ10の軸方向と直交する方向の一方側(矢印A側)に集約して配置できる(
図2参照)。したがって、例えば、複数の端末部50-1~6が基板22に直接接続される場合には、基板22上で端末部50-1~6に接続される部品のレイアウトを簡素化できるので、コストアップを抑制できる。
【0070】
次に、第四例に係る巻線28の巻回方法について説明する。
【0071】
図23、
図24A~
図24Cには、第四例に係る巻線28の巻回方法により複数の巻線28が順番に巻回される様子が示されている。
図23、
図24A~
図24Cに示されるように、第四例に係る巻線28の巻回方法では、VW相の巻線28、UV相の巻線28、WU相の巻線28の順に複数の巻線28が巻回される。ただし、VW相及びUV相の各々の巻線28の巻回の順番は、第一例と同じであり、WU相の巻線28の巻回の順番は、第三例と同じである。
【0072】
図23、
図24A~
図24Cでは、複数のティース32に巻線28を巻回する順番を表す番号(1)~(12)が図中に示されている。また、
図23、
図24A~
図24Cにおいて、巻線28の端末部50-1~50-6は、配置される順に番号1~番号6が付されている。同様に、渡り線52-1~52-9は、配索される順に番号1~番号9が付されている。
【0073】
この第四例に係る巻線28の巻回方法によっても、
図5に示されるように、複数の巻線28に形成された渡り線52は、いずれも円環部30の軸方向他方側(ロータハウジング36の天壁部40と反対側)に配置される。したがって、例えば、ロータハウジング36の天壁部40にファン12をネジ54で固定する場合でも、ネジ54と渡り線52が干渉することを回避できる。これにより、ロータハウジング36の天壁部40と渡り線52との間の間隔を拡げる必要がないので、ブラシレスモータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0074】
また、複数の巻線28の端末部50-1~6は、第5番のスロット48-5、第6番のスロット48-6、第8番のスロット48-8及び第9番のスロット48-9に配置されている。これにより、第一例に係る巻線28の巻回方法と同様に、複数の端末部50-1~6をブラシレスモータ10の中心軸Cに対してブラシレスモータ10の軸方向と直交する方向の一方側(矢印A側)に集約して配置できる(
図2参照)。したがって、例えば、複数の端末部50-1~6が基板22に直接接続される場合には、基板22上で端末部50-1~6に接続される部品のレイアウトを簡素化できるので、コストアップを抑制できる。
【0075】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
10…ブラシレスモータ、12…ファン、14…シャフト、16…ステータ、18…ロータ、20…センターピース、22…基板、24…基板ケース、26…ステータコア、28…巻線、30…円環部、32…ティース、34…巻回部、36…ロータハウジング、38…マグネット、40…天壁部、42…周壁部、44…軸受、46…板状部、48…スロット、50…端末部、52…渡り線、54…ネジ