(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】苦渋味抑制組成物、容器詰め飲料、および苦渋味抑制方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/20 20160101AFI20240411BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240411BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20240411BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20240411BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20240411BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20240411BHJP
【FI】
A23L27/20 G
A23L2/00 B
A23L2/38 C
A23L2/56
A23L27/00 Z
A23L27/10 C
(21)【出願番号】P 2019205474
(22)【出願日】2019-11-13
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】高岸 知輝
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-020526(JP,A)
【文献】特開2017-046598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23F
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASEFSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)、(B)を含
み、
(A)苦渋味を呈する植物由来の原料(ただしカメリア・シネンシス種を除く)
(B)2,3-ジエチル-5-メチルピラジン
成分(A)は、植物の茎葉および/または果実の外果皮に由来する原料である、苦渋味抑制組成物。
【請求項2】
前記果実は、柑橘類果実である、請求項
1に記載の苦渋味抑制組成物。
【請求項3】
成分(A)は、びわの葉、みかんの外果皮、およびゆずの外果皮の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1
または2に記載の苦渋味抑制組成物。
【請求項4】
請求項1乃至
3いずれか一項に記載の苦渋味抑制組成物を含み、
成分(B)の含有量が0.5~80ppbである、容器詰め飲料。
【請求項5】
請求項1乃至
3いずれか一項に記載の苦渋味抑制組成物を配合し、
成分(B)の含有量が0.5~80ppbとなるように調製する、容器詰め飲料の苦渋味抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苦渋味抑制組成物、容器詰め飲料、および苦渋味抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な種類の茶系飲料が研究開発され、例えば、緑茶、ウーロン茶、および紅茶等の他に、複数の茶葉や穀物を原料とした混合茶が知られている。混合茶は、複数の植物素材の組み合わせにより、単独の植物素材では得られなかった香味が得られる。
【0003】
ところで、緑茶、ウーロン茶、および紅茶はいずれも、カメリア・シネンシス種の茎葉を用いて得られるものであり、その発酵条件の違いによって分類されている。具体的には、発酵茶(紅茶)、半発酵茶(ウーロン茶等)、不発酵茶(緑茶等)、後発酵茶(プアール茶等)に分類される。そして、カメリア・シネンシス種の茎葉を用いて得られたこれらの茶飲料は、タンニン等の苦渋味成分を含むことが知られている。
そこで、緑茶等の茶飲料の苦渋味を抑制した技術として、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1には、緑茶本来の味を保持しつつ、苦渋味を抑制するため、タンニン濃度とカフェイン濃度を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、緑茶飲料に特有の苦渋味に着目したものであり、他の植物素材由来の苦渋味に着目したものではなかった。
本発明者は、カメリア・シネンシス種以外であって、苦渋味を呈する植物の茎葉物を用い、当該植物が本来有する爽やかさや青々しさを損なわずに、苦渋味を抑制するという新たな観点から検討を行った。その結果、苦渋味を呈する植物素材に2,3-ジエチル-5-メチルピラジンを組み合わせることが有効であることを知見した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
以下の成分(A)、(B)を含む、苦渋味抑制組成物が提供される。
(A)苦渋味を呈する植物由来の原料(ただしカメリア・シネンシス種を除く)
(B)2,3-ジエチル-5-メチルピラジン
【0007】
また、本発明によれば、上記の苦渋味抑制組成物を含み、
成分(B)の含有量が0.5~80ppbである、容器詰め飲料が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、上記の苦渋味抑制組成物を配合し、
成分(B)の含有量が0.5~80ppbとなるように調整する、容器詰め飲料の苦渋味抑制方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、植物素材が本来有する香味を保持しつつ、苦渋味を抑制する技術を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。また、本明細書において、「苦渋味」とは、経口摂取したときに感じられる渋み・苦みを意味する。
【0011】
<苦渋味抑制組成物>
本実施形態の苦渋味抑制組成物は、以下の成分(A)、(B)を含む。
(A)苦渋味を呈する植物由来の原料(ただしカメリア・シネンシス種を除く)
(B)2,3-ジエチル-5-メチルピラジン
これにより、成分(A)の直物素材を印象付ける本体の香味を得つつ、成分(A)が呈する苦渋味を抑制することができる。なお、本実施形態の苦渋に抑制組成物は、苦渋味成分として具体的な物質を限定するものではなく、経口摂取した際に苦渋味が感じられるものであればよい。本実施形態の苦渋味抑制組成物による作用効果のメカニズムの詳細は明らかではないが、成分(B)が適度に成分(A)をマスキングすることで、成分(A)の素材らしさ、香味を維持しつつも、苦渋味を感じにくくさせると推測される。
【0012】
[成分(A)]
成分(A)は、カメリア・シネンシス種を除く、苦渋味を呈する植物由来の原料である。カメリア・シネンシス種(Camellia sinensis(L.)Kuntze)とは、ツバキ科の多年性植物の一種であり、その茎葉は、発酵条件によって、紅茶、ウーロン茶、および緑茶等の茶葉となる。
成分(A)としては、植物の茎葉および/または果実の外果皮に由来する原料であることが好ましい。植物の茎葉としては、びわの葉、クワの葉、エゴマの葉、クマザサの葉、柿の葉、アマチャヅルの葉、アシタバの葉、ドクダミの葉、クコの葉、シソの葉、ヨモギの葉、杜仲葉、カワラケツメイの葉、ハスの葉およびグァバ葉等が挙げられる。果実の外果皮としては、柑橘類果実、リンゴ、ナシ、およびモモ等の外果皮が挙げられる。果実の外果皮とは、果実の最外層であり、たとえば、柑橘類果実では緑から黄色または黄橙色を示す部分、リンゴでは赤色または黄から黄緑色を示す部分である。
なかでも、苦渋味抑制効果をより顕著に得る観点から、柑橘類果実であることが好ましい。柑橘類果実としては、具体的には、オレンジ、レモン、みかん、ゆず、ライム、スダチ、カボス、イヨカン、グレープフルーツ、及びマンダリン等のみかん科カンキツ属が挙げられる。
また、成分(A)としては、植物素材が本来有する香味と苦渋味抑制とのバランスを向上させる観点から、びわの葉、みかんの外果皮、およびゆずの外果皮の中から選ばれる1種または2種以上であることが更に好ましい。
【0013】
成分(A)は、生の植物そのものであってもよく、また、植物に対し乾燥、発酵、焙煎等の一次加工を施したものであってもよく、これら原料の少なくとも一部を用いて抽出した抽出物であってもよい。抽出物の形態としては、液体、半固体、固体等が例示される。
成分(A)の植物素材らしさをより顕著に得る観点から、植物を一次加工したものが好適である。一次加工は、乾燥や焙煎等複数の加工を組み合わせてもよい。また、乾燥の程度は例えば、水分量を測定することで特定することができ、また、焙煎の程度は例えば、L*a*b*表色系におけるL*値を測定することで特定することができる。
【0014】
[成分(B)]
成分(B)は、2,3-ジエチル-5-メチルピラジンは、成分(A)による苦渋味を抑制しつつ、成分(A)本来の風味を維持するために用いられる。
成分(B)は、天然のものであっても、合成させたものであってもよい。
【0015】
<容器詰め飲料>
本実施形態の容器詰め飲料は、上記の苦渋味抑制組成物を含み、成分(B)の含有量を0.5~80ppbとするものである。植物素材が本来有する香味を保持しつつ、苦渋味を抑制する観点から、成分(B)の含有量は、好ましくは0.6~70ppbであり、より好ましくは0.7~60ppbである。成分(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、苦渋味を低減することができる。一方、成分(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、過剰な成分(B)により植物素材が本来有する香味が低減されることを抑制できる。言い換えると、本実施形態の容器詰め飲料は、同量の成分(A)を含む飲料同士を対比した場合において、成分(B)を上記の数値範囲内で含む飲料は、成分(B)を含まない飲料よりも、植物素材が本来有する香味を保持しつつ、苦渋味を抑制できる点に技術的意義を有する。そのため、成分(A)の含有量を特に限定するものではないが、例えば、成分(B)を含まない場合であっても、ヒトが経口摂取したときに苦渋味が感じられ、かつヒトが経口摂取できる程度の苦渋味であることを条件として挙げられる。
また、成分(B)の含有量は、植物素材が本来有する香味を保持する観点からは、成分(A)の種類に応じて調整されることが好ましい。たとえば、成分(A)がびわの葉またはみかんの外果皮を含む場合、成分(B)の含有量の上限値は、好ましくは70ppb以下であり、より好ましくは50ppb以下であり、さらに好ましくは30ppb以下である。
なお、成分(B)は、一般に、後述の穀物の種子にも含まれるものであるが、本実施形態の容器詰め飲料は、従来の穀物の種子を用いた飲料よりも高い濃度で成分(B)を含むものである。
【0016】
本実施形態の容器詰め飲料中の成分(B)の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いた固相マイクロ抽出法(SPME)法により定量することができる。
【0017】
飲料としては、茶飲料であることが好ましい。茶飲料とは、植物の葉茎から加工された茶葉、または所定の加工が施された植物の種子等の植物由来の原料を用いて、抽出・加工された飲料を意図する。ただし、本実施形態の茶飲料は、苦渋味を効果的に抑制する観点から、カメリア・シネンシス種を原料とした茶葉を除くことが好ましい。カメリア・シネンシス種を除く植物の茎葉としては、上記成分(A)について説明したものと同様のものを挙げることができる。これにより、植物素材らしいさわやかさや青々しさを得ることができる。また、植物の種子としては、いわゆる穀物の種子が好ましく、茶飲料の原料として通常用いられるものを使用できる。穀物の種子としては、例えば、ハトムギ、大麦、玄米、トウモロコシ、大豆、小豆、黒豆、粟、きび、およびそば等が挙げられる。原料穀物は任意の形態のものを使用でき、例えば、各々独立に、粉砕や焙煎等の処理がされていてもよく、されていなくてもよい。
さらに、その他の植物由来の原料としては、例えば、ニンジン、サツマイモ、ゴボウ、タンポポの根等が挙げられる。
なかでも、本実施形態の飲料は、複数の原料を用いて抽出・加工された混合茶飲料であることが好ましく、カメリア・シネンシス種を除く植物の茎葉と、穀物の種子と混合した混合茶飲料であることが好ましい。これにより、カメリア・シネンシス種を除く植物の茎葉本来の風味を得つつ、苦渋味を抑制した飲料とすることができる。
【0018】
本実施形態の容器詰め飲料には、本発明の効果を阻害しない範囲で、一般的な茶飲料に通常用いられる他の添加剤等を適宜配合することができる。配合量は得ようとする効果に応じて適宜設定できる。
【0019】
本実施形態の容器詰め飲料に配合し得る添加剤としては、甘味料、酸味料、酸化防止剤(アスコルビン酸など)、色素、香料、保存料、防腐剤、防かび剤、ビタミン類や無機塩類、乳化剤、食物繊維等が挙げられる。
【0020】
本実施形態の容器詰め飲料のpH(20℃)は、植物素材が本来有する香味を保持しつつ苦渋味を抑制する観点から、pH2~7が好ましく、pH3~6.5がより好ましい。
【0021】
[製造方法]
本実施形態の飲料は、公知の方法で得ることができる。本実施形態の容器詰め飲料が茶である場合、まず、茶成分の原料として成分(A)を用いて、これに水または湯を用いて茶成分を抽出し、茶抽出液を得る。茶を抽出する方法としては、具体的に、例えば、攪拌抽出、カラム法、ドリップ抽出等の従来の方法を採用することができる。抽出時間、抽出温度などは、公知の条件である。また、茶成分の原料としては、成分(A)以外のものを用いてもよい。次に、得られた茶抽出液に、成分(B)の含有量が0.5~80ppbとなるように配合し、公知の方法で、容器詰め飲料をする。一方、茶成分の原料として成分(A)以外に成分(B)を含む原料を加えた場合、得られた茶抽出液を、希釈、濃縮、もしくは成分(B)を配合するなどして、成分(B)の含有量が0.5~80ppbとなるように調製し、公知の方法で、容器詰飲料としてもよい。
【0022】
[容器]
容器としては、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。
さらに飲料を外観から観察し、透明性、色などを確認できる観点から、容器は透明であることが好ましく、取扱性、流通性、および携帯性等の観点から、容器はペットボトルであることが好ましい。
【0023】
<容器詰め飲料の苦渋味抑制方法>
本実施形態の容器詰め飲料の苦渋味抑制方法は、上記の苦渋味抑制組成物を配合し、成分(B)の含有量が0.5~80ppbとなるように調整する工程を含むものである。これにより、容器詰め飲料の苦渋味を抑制できる。配合方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。成分(B)の好ましい含有量は、上記の容器詰め飲料で説明したのと同様である。
【0024】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 以下の成分(A)、(B)を含む、苦渋味抑制組成物。
(A)苦渋味を呈する植物由来の原料(ただしカメリア・シネンシス種を除く)
(B)2,3-ジエチル-5-メチルピラジン
2. 成分(A)は、植物の茎葉および/または果実の外果皮に由来する原料である、1.に記載の苦渋味抑制組成物。
3. 前記果実は、柑橘類果実である、2.に記載の苦渋味抑制組成物。
4. 成分(A)は、びわの葉、みかんの外果皮、およびゆずの外果皮の中から選ばれる1種または2種以上である、1.乃至3.いずれか一つに記載の苦渋味抑制組成物。
5. 1.乃至4.いずれか一つに記載の苦渋味抑制組成物を含み、
成分(B)の含有量が0.5~80ppbである、容器詰め飲料。
6. 1.乃至4.いずれか一つに記載の苦渋味抑制組成物を配合し、
成分(B)の含有量が0.5~80ppbとなるように調製する、容器詰め飲料の苦渋味抑制方法。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
<測定>
・(B)2,3-ジエチル-5-メチルピラジン(2,3-diethyl-5-methylpyrazine)の含有量の測定は以下のようにして行った。
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて測定した。具体的には、分析対象である飲料100μLをバイアル瓶(容量10mL)に入れ、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法によりGC-MS(アジレント社製)に導入した。検量線は標準添加法にて作成し、内標としてシクロヘキサノールを用いた。
[GC-MSの分析条件]
・機器 GC:Agilent 7980B GC System(アジレント・テクノロジー社製)
MS:Agilent 7000D GC/MS Triple Quad(アジレント・テクノロジー社製)
捕集管(吸着剤):Tenax TA、Carbopack-B&Carbopack-X
・カラム:DB-WAX UI、20m×0.18mm、膜厚0.30μm(アジレント・テクノロジー社製)
・注入法:スプリットレス
・キャリアガス:He(1.0ml/分)
・トランスファーライン:250℃
・昇温プログラム:40℃(3分間保持)→5℃/分→240℃(7分間保持)
・プリカーサーイオン>プロダクトイオン(CE(コリジョンエネルギー))
:2,3-ジエチル-5-メチルピラジン 150>135(10V)
・イオン化方法:EI
・四重極温度:150℃
・イオン源温度:230℃
【0027】
<実験1>
混合茶の代表例として市販の容器詰め茶飲料(市販品A,B)を用意し、それぞれについて、2,3-ジエチル-5-メチルピラジンの濃度を測定した。
市販品A(賞味期限2019年9月)の原材料表示は、ハトムギ、大麦、ハブ茶、発芽大麦、玄米、とうもろこし、びわの葉、カワラケツメイ、たんぽぽの根、あわ、きび、小豆、エゴマの葉、ごぼう、ナツメ、みかんの皮/ビタミンCであった。市販品Aの2,3-ジエチル-5-メチルピラジンの濃度は、0.31ppbであった。
市販品B(賞味期限2019年10月31日)の原材料表示は、ハトムギ、玄米(発芽玄米2%)、大麦、どくだみ、はぶ茶、チコリー、月見草、ナンバンキビ、オオムギ若葉、明日葉、杜仲葉、ヨモギ、キヌア、タンポポの根、あわ、きび、ひえ、小豆、キダチアロエの葉、シソの葉、柿の葉、びわの葉、桑の葉、オリーブの葉、ハマナス/ビタミンCであった。市販品Bの2,3-ジエチル-5-メチルピラジンの濃度は、0.12ppbであった。
【0028】
<実験2>
植物由来の原料として、以下のものを用いた。
・焙煎したみかんの皮(L*a*b*表色系におけるL*値:56)
・焙煎したゆずの皮(L*a*b*表色系におけるL*値:55)
・焙煎したびわの葉(L*a*b*表色系におけるL*値:45)
・緑茶(鹿児島県産三番茶)
【0029】
次に、植物由来の原料を用い、以下の手順で飲料を作成した。
植物由来の原料90gを、90℃の純水2700gで抽出し、2号濾紙で濾過後、冷却して抽出液を得た。得られた抽出液にL-アスコルビン酸ナトリウムを2.7g、L-アスコルビン酸を0.9g、重炭酸ナトリウムを1.8g添加し、純水で9000gに定容し、調合液を得た。得られた調合液をUHT殺菌後、無菌的にボトル充填し、植物由来原料の抽出液を得た。
植物由来原料の抽出液中の2,3-ジエチル-5-メチルピラジンの濃度は、いずれも定量限界(0.01ppb)以下であった。また、タンニンの濃度は以下の通りであった。
・焙煎したみかんの皮(タンニン4.3mg/100ml)
・焙煎したゆずの皮(タンニン4.6mg/100ml)
・焙煎したびわの葉(タンニン8.8mg/100ml)
・緑茶(タンニン69.5mg/100ml)
【0030】
なお、タンニンは、酒石酸鉄によるタンニンの比色定量法により測定した。
【0031】
上記で得られた植物由来原料の抽出液を用い、表1~4に示す濃度となるように2,3-ジエチル-5-メチルピラジンを配合し、実施例および比較例の各容器詰め飲料を得た。
得られた容器詰め飲料について、以下の評価を行い、結果を表1~4に示した。
【0032】
<評価>
・官能評価:実施例および比較例の飲料(4℃)それぞれを、熟練した4名の開発者が試飲し、以下の評価基準に従い、「苦渋味」、「植物由来原料らしさ」(植物由来原料に応じて、「みかんの皮らしさ」、「ゆずの皮らしさ」、「びわの葉らしさ」、「緑茶らしさ」とした。)それぞれについて、7段階(1~7点)評価を実施し、その平均点を求めた。また、評価する際は、各対照品(基準値4点)として評価を実施した。
【0033】
・評価基準
7点・・・かなりある
6点・・・ある
5点・・・ややある
4点・・・対照品と同等
3点・・・比較的ある
2点・・・少しある
1点・・・ない
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
実施例の各容器詰め飲料はいずれも「苦渋味」が4.0点未満であり、かつ、「植物由来原料らしさ」が3.0点以上であった。