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特許7470510車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/08 20120101AFI20240411BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240411BHJP
   B60T 7/14 20060101ALI20240411BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20240411BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20240411BHJP
   A61B 5/18 20060101ALI20240411BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B60W30/08
G08G1/16 F
B60T7/14
B60T7/12 C
B60W40/08
A61B5/18
A61B5/0245 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019217976
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088213
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【審査官】藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-143578(JP,A)
【文献】特開2019-182012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
B60T 7/14
B60T 7/12
A61B 5/18
A61B 5/0245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバの異常が検知された場合に、所定値以下の減速度で前記車両を自動で減速させてから停止させるドライバ異常時対応システムとしての停止制御を実施する第一制御部と、
前記車両に衝突の可能性が有ると判定された場合に、前記車両を自動で減速させる衝突被害軽減ブレーキとしての減速制御を実施する第二制御部と、
前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定し、特定した前記対象候補への前記衝突の可能性の有無を判定する判定部と、
前記異常が検知されている場合に、前記減速制御の作動モードを、前記異常が検知されていない場合の通常モードから特別モードに設定する設定部と、を備え、
前記異常が検知され、かつ前記衝突の可能性が有ると判定された場合には、前記減速制御が前記停止制御よりも優先して実施され、
前記判定部は、前記減速制御の前記作動モードが前記特別モードである場合には、前記減速制御の前記作動モードが前記通常モードである場合よりも、前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定する範囲を拡大することを特徴とする、車両制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記通常モードでは、所定の第一時間以上継続して検知された前記物体を前記対象候補として特定し、前記特別モードでは、前記第一時間よりも短い所定の第二時間以上継続して検知された前記物体を前記対象候補として特定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記通常モードでは、所定の種類の前記物体を優先的に前記対象候補とし、前記特別モードでは、前記種類に関わらず前記対象候補を特定する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記通常モードでは、所定の範囲内の前記物体を前記対象候補から除外し、前記特別モードでは、前記範囲に関わらず前記対象候補を特定する
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記通常モードでは、前記車両の走行車線外の前記物体を前記対象候補から除外し、前記特別モードでは、前記走行車線に関わらず前記車両の進行方向に基づいて前記対象候補を特定する
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記第二制御部は、前記通常モードでは、前記衝突の可能性が無いと判定された場合に実施中の前記減速制御を中断し、前記特別モードでは、前記衝突の可能性が無いと判定されても実施中の前記減速制御を継続する
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記第二制御部は、前記通常モードでは、前記ドライバによる所定の解除操作が少なくとも一回行われた場合に前記減速制御を中止し、前記特別モードでは、前記解除操作が複数回行われた場合に前記減速制御を中止する
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項8】
車両のドライバの異常が検知された場合に、所定値以下の減速度で前記車両を自動で減速させてから停止させるドライバ異常時対応システムとしての停止制御を実施する第一制御工程と、
前記車両に衝突の可能性が有ると判定された場合に、前記車両を自動で減速させる衝突被害軽減ブレーキとしての減速制御を実施する第二制御工程と、
前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定し、特定した前記対象候補への前記衝突の可能性の有無を判定する判定工程と、
前記異常が検知されている場合に、前記減速制御の作動モードを、前記異常が検知されていない場合の通常モードから特別モードに設定する設定工程と、を備え、
前記異常が検知され、かつ前記衝突の可能性が有ると判定された場合には、前記減速制御が前記停止制御よりも優先して実施され、
前記判定工程は、前記減速制御の前記作動モードが前記特別モードである場合には、前記減速制御の前記作動モードが前記通常モードである場合よりも、前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定する範囲を拡大することを特徴とする、車両制御方法。
【請求項9】
車両のドライバの異常が検知された場合に、所定値以下の減速度で前記車両を自動で減速させてから停止させるドライバ異常時対応システムとしての停止制御を実施する第一制御工程と、
前記車両に衝突の可能性が有ると判定された場合に、前記車両を自動で減速させる衝突被害軽減ブレーキとしての減速制御を実施する第二制御工程と、
前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定し、特定した前記対象候補への前記衝突の可能性の有無を判定する判定工程と、
前記異常が検知されている場合に、前記減速制御の作動モードを、前記異常が検知されていない場合の通常モードから特別モードに設定する設定工程と、を備え、
前記異常が検知され、かつ前記衝突の可能性が有ると判定された場合には、前記減速制御が前記停止制御よりも優先して実施され、
前記判定工程は、前記減速制御の前記作動モードが前記特別モードである場合には、前記減速制御の前記作動モードが前記通常モードである場合よりも、前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定する範囲を拡大すること、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする、車両制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を自動で減速させる車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が前方の他車両や障害物に衝突しそうな場合に車両を自動で減速させる衝突被害軽減ブレーキ(AEBS;Advanced Emergency Braking System)が知られている。また、近年では、ドライバの失神といった異常が検知された場合に車両を自動で減速させてから停止させるドライバ異常時対応システム(EDSS;Emergency Driving Stop System)の開発も進んでいる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-331652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のドライバ異常時対応システムの作動中は、ドライバが運転操作不能である可能性が高いため、車両の衝突を回避する観点から、衝突被害軽減ブレーキをより適切に作動させることが重要となる。しかしながら、一般に衝突被害軽減ブレーキは、ドライバに異常が無いことを前提としたものであると共に、誤作動により車両の無用な減速を招いた際のリスクがあることから、作動する状況が限定されている。よって、ドライバに異常が有る場合に、衝突をより確実に回避する技術が求められている。
【0005】
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、ドライバの異常が検知された場合に、衝突の可能性をより確実に低減することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
(1)本適用例に係る車両制御装置は、車両のドライバの異常が検知された場合に、前記車両を自動で減速させてから停止させる停止制御を実施する第一制御部と、前記車両に衝突の可能性が有ると判定された場合に、前記車両を自動で減速させる減速制御を実施する第二制御部と、前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定し、特定した前記対象候補への前記衝突の可能性の有無を判定する判定部と、前記異常が検知されている場合に、前記減速制御の作動モードを、前記異常が検知されていない場合の通常モードから特別モードに設定する設定部と、を備え、前記判定部は、前記特別モードでは前記通常モードよりも前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定する範囲を拡大することを特徴としている。
【0007】
これにより、特別モードでは、通常モードよりも、対象候補の範囲が拡大されることで対象候補への衝突の可能性が有ると判定されやすくなるため、減速制御を実施する機会が増加する。したがって、ドライバの異常が検知されている場合には、ドライバの異常が検知されていない場合と比べて、減速制御が実施されやすくなる。よって、たとえドライバが運転操作不能な状態であっても、衝突が回避されやすくなる。
一方、ドライバの異常が検知されていない場合には、ドライバの異常が検知されている場合と比べて、対象候補の絞り込みが行われることで、衝突の可能性が有ると判定されにくくなる。これにより、ドライバに異常が無く、ドライバの運転操作で衝突を回避できる可能性が高い場合には、減速制御の誤作動(無用な減速制御の実施)が低減されることから、減速制御に起因した車両の無用な減速が回避されやすくなる。
【0008】
(2)本適用例に係る車両制御装置において、前記判定部は、前記通常モードでは、所定の第一時間以上継続して検知された前記物体を前記対象候補として特定し、前記特別モードでは、前記第一時間よりも短い所定の第二時間以上継続して検知された前記物体を前記対象候補として特定してもよい。
【0009】
特別モードでは、通常モードと比べて、継続して検知された時間(検知時間)の短い物体も対象候補とすることで、対象候補がより早く特定される。これにより、特別モードでは、対象の検知が遅れてしまった場合であっても、通常モードと比べて減速制御の開始時期が早期化されるため、車両の衝突をより高確率で回避しやすくなる。
一方、通常モードでは、特別モードと比べて、継続して検知された時間の長い物体を対象候補とすることで、対象候補がより正確に特定される。これにより、通常モードでは、衝突可能性の有無の判定精度が向上することから、減速制御の誤作動がより低減される。
【0010】
(3)本適用例に係る車両制御装置において、前記判定部は、前記通常モードでは、所定の種類の前記物体を優先的に前記対象候補とし、前記特別モードでは、前記種類に関わらず前記対象候補を特定してもよい。なお、所定の種類の物体としては、例えば、歩行者や自動車等の移動体が挙げられる。
【0011】
特別モードでは、いずれの種類の物体も対象候補となりうるようにすることで、いずれの種類の物体に対しても衝突の可能性が有る場合には減速制御が実施される。これにより、特別モードでは、車両の衝突がより回避されやすくなる。
一方、通常モードでは、所定の種類の物体を優先的に対象候補とすることで、例えば信頼性の低い情報に基づいて検知された物体や、衝突しても被害の出にくい構造(形状)の物体に対する減速制御の実施が回避される。よって、通常モードでは、減速制御に起因した車両の無用な減速が更に抑制される。
【0012】
(4)本適用例に係る車両制御装置において、前記判定部は、前記通常モードでは、所定の範囲内の前記物体を前記対象候補から除外し、前記特別モードでは、前記範囲に関わらず前記対象候補を特定してもよい。
【0013】
特別モードでは、いずれの方向に位置する物体も対象候補となりうるようにすることで、いずれの方向に位置する物体に対しても衝突の可能性が有る場合には減速制御が実施される。これにより、特別モードでは、車両の衝突がより回避されやすくなる。
一方、通常モードでは、所定の範囲内の物体を対象候補から除外することで、例えば車両の側方や後方の物体に対する減速制御の実施が回避される。よって、通常モードでは、減速制御に起因した車両の無用な減速が更に抑制される。
【0014】
(5)本適用例に係る車両制御装置において、前記判定部は、前記通常モードでは、前記車両の走行車線外の前記物体を前記対象候補から除外し、前記特別モードでは、前記走行車線に関わらず前記車両の進行方向に基づいて前記対象候補を特定してもよい。
【0015】
特別モードでは、走行車線外であっても進行方向に存在する物体は対象候補となりうるようにすることで、進行方向の物体に対して衝突の可能性が有る場合には減速制御が実施される。これにより、特別モードでは、車両の衝突がより回避されやすくなる。
一方、通常モードでは、車両の走行車線外の物体を対象候補から除外することで、例えば隣の車線を走行する他車両に対する減速制御の実施が回避される。よって、通常モードでは、減速制御に起因した車両の無用な減速が更に抑制される。
【0016】
(6)本適用例に係る車両制御装置において、前記第二制御部は、前記通常モードでは、前記衝突の可能性が無いと判定された場合に実施中の前記減速制御を中断し、前記特別モードでは、前記衝突の可能性が無いと判定されても実施中の前記減速制御を継続してもよい。
【0017】
特別モードでは、衝突の可能性が無いと判定されても実施中の減速制御を継続することで、車両の衝突がより回避されやすくなる。
一方、通常モードでは、衝突の可能性が無いと判定された場合に実施中の減速制御を中断することで、減速制御に起因した車両の無用な減速がより抑制される。
【0018】
(7)本適用例に係る車両制御装置において、前記第二制御部は、前記通常モードでは、前記ドライバによる所定の解除操作が少なくとも一回行われた場合に前記減速制御を中止し、前記特別モードでは、前記解除操作が複数回行われた場合に前記減速制御を中止してもよい。
【0019】
このように、特別モードでは、通常モードと比べて減速制御の中止に必要な解除操作の回数を多く設定することで、意図しない解除操作による減速制御の中止が抑制される。
一方、通常モードでは、一回の解除操作でも減速制御を中止することで、ドライバが減速制御を不要と判断した場合には減速制御を容易に中止可能となる。
【0020】
(8)本適用例に係る車両制御方法は、車両のドライバの異常が検知された場合に、前記車両を自動で減速させてから停止させる停止制御を実施する第一制御工程と、前記車両に衝突の可能性が有ると判定された場合に、前記車両を自動で減速させる減速制御を実施する第二制御工程と、 前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定し、特定した前記対象候補への前記衝突の可能性の有無を判定する判定工程と、前記異常が検知されている場合に、前記減速制御の作動モードを、前記異常が検知されていない場合の通常モードから特別モードに設定する設定工程と、を備え、前記判定工程は、前記特別モードでは前記通常モードよりも前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定する範囲を拡大することを特徴としている。
これによれば、上記(1)と同様の作用及び効果が得られる。
【0021】
(9)本適用例に係る車両制御プログラムは、車両のドライバの異常が検知された場合に、前記車両を自動で減速させてから停止させる停止制御を実施する第一制御工程と、前記車両に衝突の可能性が有ると判定された場合に、前記車両を自動で減速させる減速制御を実施する第二制御工程と、前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定し、特定した前記対象候補への前記衝突の可能性の有無を判定する判定工程と、前記異常が検知されている場合に、前記減速制御の作動モードを、前記異常が検知されていない場合の通常モードから特別モードに設定する設定工程と、を備え、前記判定工程は、前記特別モードでは前記通常モードよりも前記車両の周囲の物体を前記衝突の対象候補として特定する範囲を拡大することを特徴としている。
これによれば、上記(1)と同様の作用及び効果が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本件によれば、ドライバの異常が検知された場合に、衝突の可能性をより確実に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る車両制御装置が適用された車両の模式図である。
図2図1の車両のブロック図である。
図3】第一処理を説明する模式図である。
図4】第二処理を説明する模式図である。
図5】(a),(b)はいずれも第三処理を説明する模式図である。
図6】設定部で実施される処理を例示するフローチャートである。
図7】判定部で実施される処理を例示するフローチャートである。
図8】第一処理を例示するフローチャート(図7のサブフローチャート)である。
図9】第二処理を例示するフローチャート(図7のサブフローチャート)である。
図10】第三処理を例示するフローチャート(図7のサブフローチャート)である。
図11】第二制御部で実施される処理を例示するフローチャートである。
図12】第一制御部で実施される処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照して、実施形態としての車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラムについて説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0025】
[1.装置構成]
本実施形態に係る車両制御装置1(以下、「制御装置1」という)は、図1に示す車両10に適用されている。車両10は、いわゆる衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)とドライバ異常時対応システム(EDSS)との双方を備えている。ここで、衝突被害軽減ブレーキとは、車両10に衝突の可能性(以下、「衝突可能性」と略称する)が有る場合に車両10を自動で減速させる機能である。また、ドライバ異常時対応システムとは、車両10のドライバに失神等の異常が発生した場合に車両10を自動で減速(制動)させてから停止させる機能である。制御装置1は、これらの衝突被害軽減ブレーキとドライバ異常時対応システムとの双方の機能を担う。
【0026】
以下、衝突被害軽減ブレーキにおいて車両10を自動で減速させる制御を「減速制御」ともいう。また、ドライバ異常時対応システムにおいて車両10を自動で減速させてから停止させる制御を「停止制御」ともいう。なお、図1には車両10としてバスを例示するが、車両10の種類は特に限定されない。
【0027】
車両10には、ドライバが車両10を加速するために踏み込み操作するアクセルペダル2と、アクセルペダル2の踏み込み量(アクセル開度)APを検出するアクセル開度センサ3とが設けられる。アクセル開度センサ3で検出されたアクセル開度APは、制御装置1に伝達される。
また、車両10には、車両10の周囲の物体に関する様々な情報を取得する取得装置4と、車両10のドライバの生体情報(心拍数、脈拍数、血圧、脈圧、心電図パターン等)を取得する生体センサ5とが設けられる。これらの取得装置4及び生体センサ5も、取得した情報を制御装置1に伝達する。
【0028】
取得装置4は、例えばカメラやレーダやこれらの組み合わせ等で構成される。ここでは取得装置4として、車両10の前方を検知範囲とする前方センサ4Fと、車両10の側方(左右)を検知範囲とする側方センサ4Sと、車両10の後方を検知範囲とする後方センサ4Rとを例示する。これらの前方センサ4F、側方センサ4S、及び後方センサ4Rは、各々の検知範囲内の情報を取得する。
【0029】
取得装置4で取得された情報は、車両10の周囲の物体を検知したり、車両10の走行車線(車両10が走行中である車線)を検知したりするために用いられる。また、取得装置4で取得された情報は、車両10から検知された物体までの距離Dや、この物体の種類(例えば、他車両であるのか歩行者であるのか等)や、この物体と車両10との相対速度Vを推定したりするためにも用いられる。
生体センサ5で取得された生体情報は、ドライバの異常を検知するために用いられる。ここでは、ドライバが着座する運転席11に内蔵された生体センサ5を例示する。
【0030】
さらに、車両10には、車両10を減速させるブレーキ装置6と、車両10の乗員(ドライバを含む)に向けて警報を出力する警報装置7とが設けられる。ブレーキ装置6は、具体的には、ドラムブレーキやディスクブレーキ等であって、車両10の車輪12に設けられる。警報装置7は、例えば、スピーカや表示装置や警報灯やこれらの組み合わせで構成され、運転席11の近傍に設けられる。ブレーキ装置6及び警報装置7はいずれも、制御装置1で制御される。
【0031】
制御装置1は、車両10に搭載される各種装置を統合制御する電子制御装置であって、例えばマイクロプロセッサやROM、RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両10に設けられた車載ネットワーク網の通信ラインに接続される。本実施形態の制御装置1は、停止制御及び減速制御を実施する。
【0032】
[2.制御構成]
一般に、衝突被害軽減ブレーキは、ドライバに異常が無いことを前提としたものであると共に誤作動時のリスクがあることから、作動する状況が限定されている。ただし、ドライバに異常が生じている場合とそうでない場合とでは、減速制御に対する要求が異なる。
【0033】
具体的には、ドライバに異常が発生していない場合には、仮に車両10が何らかの物体に衝突しそうになったとしても、ドライバが適切な運転操作を行えば衝突を回避できる可能性が高い。このため、ドライバに異常が無い場合には、衝突可能性が極めて高い場面、及び衝突可能性が極めて高い対象物に限定して減速制御を実施することで、減速制御の誤作動を抑え(減速制御の実施精度を確保し)、減速制御に起因した車両10の無用な減速を回避することが求められる。
これに対し、ドライバに異常が発生している場合には、ドライバが適切な運転操作を行える可能性が低い。このため、ドライバに異常が有る場合には、衝突可能性が極めて高くなる場面や対象物でなくとも減速制御を実施することで、車両10の衝突をより確実に回避することが求められる。
【0034】
したがって、車両10の無用な減速を抑制しつつ衝突をより確実に回避するうえでは、減速制御を実施すべきか否かの判定において、ドライバの異常の有無も参照することが有効となる。そこで、本実施形態では、減速制御の作動モードとして、ドライバに異常が有る場合に設定される特別モードが設けられている。そして、減速制御を実施するか否かの判定において、この作動モードが参照される。なお、上記の特別モードと文言上区別するために、通常の減速制御の作動モードを便宜的に「通常モード」という。
【0035】
制御装置1は、停止制御では、生体センサ5で取得された生体情報に基づいてブレーキ装置6及び警報装置7を制御する。また、制御装置1は、減速制御では、アクセル開度センサ3、取得装置4、及び生体センサ5で取得された各種情報に基づいて、ブレーキ装置6及び警報装置7を制御する。このように、制御装置1では、停止制御だけでなく減速制御においても、生体センサ5で取得された生体情報(ドライバの異常の有無)が参照される。なお、ブレーキ装置6は、停止制御と減速制御との双方で制御されるが、減速制御が停止制御よりも優先される。
【0036】
図2に示すように、制御装置1は、停止制御及び減速制御を実施するための要素として、異常検知部1A、設定部1B、判定部1C、第一制御部1D、及び第二制御部1Eを備えている。本実施形態では、これらの要素がいずれもコンピュータプログラム(車両制御プログラム)8の機能として設けられており、制御装置1がコンピュータプログラム8を実行することで停止制御及び減速制御を実施する例を示す。
なお、コンピュータプログラム8は、制御装置1で実行可能となるように設けられていればよく、例えば、制御装置1内のHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置に格納されていてもよいし、制御装置1で読み取り可能な媒体や制御装置1が接続可能なネットワーク上のオンラインストレージに記録されていてもよい。
【0037】
異常検知部1Aは、生体センサ5で取得された生体情報に基づいてドライバの異常を検知する。ドライバの異常を検知する手法は特に限定されず、公知の種々の手法を適用可能である。例えば、異常検知部1Aは、生体センサ5で取得された心拍数が所定値以下である場合にドライバの異常を検知してもよい。なお、異常検知部1Aは、生体センサ5以外の装置、例えば、ドライバを撮影するカメラによるドライバの顔情報や姿勢情報、ドライバの異変に気づいた乗員が操作する作動スイッチ、また、ドライバ自身が異常時に操作する作動スイッチで取得される情報に基づいて、ドライバの異常を検知してもよい。
【0038】
設定部1Bは、異常検知部1Aの検知結果に基づき、減速制御の作動モードを設定する。具体的には、設定部1Bは、異常検知部1Aでドライバの異常が検知されていない場合に上記の作動モードを通常モードとし(すなわち、通常の減速制御のままとし)、異常検知部1Aでドライバの異常が検知されている場合に上記の作動モードを通常モードから特別モードに設定する。設定部1Bは、設定した作動モードの情報を判定部1Cと第二制御部1Eとに随時伝達する。
【0039】
判定部1Cは、取得装置4で取得された情報に基づいて衝突可能性の有無を判定し、その判定結果を第二制御部1Eに随時伝達する。詳細には、判定部1Cは、まず車両10の周囲に存在する物体の中から衝突の対象となりうる候補(以下、「対象候補」という)を特定し、それから、特定した対象候補に対する衝突可能性の有無を判定する。
【0040】
判定部1Cは、所定の特定条件を満たす物体を対象候補として特定(判定)する。特定条件(物体が対象候補として特定されるための条件)は、通常モードよりも特別モードにおいて緩く(成立しやすく)設定される。したがって、判定部1Cは、通常モードよりも特別モードにおいて、車両10の周囲の物体を対象候補として特定する範囲を拡大する。すなわち、判定部1Cは、通常モードと比べて特別モードでは、対象候補となりうる物体の範囲を広げる(対象候補の制限を緩和する)。これにより、判定部1Cは、減速制御の作動感度を通常モードよりも特別モードで高めている。
【0041】
本実施形態の判定部1Cは、対象候補を特定するための処理として、下記の第一処理、第二処理、及び第三処理を実施する。これらの処理は、着目している観点が互いに異なる。なお、特定条件は、いずれの処理においても、上記のとおり通常モードよりも特別モードで成立しやすい内容である。
【0042】
=第一処理=
第一処理は、物体の検知時間Tに着目したものである。第一処理において、判定部1Cは、取得装置4で取得された情報を参照し、車両10の周囲で一つの物体が継続して検知された時間の長さ(検知時間)Tを所定時間と比較し、検知時間Tが所定時間以上である場合に、検知された物体を対象候補として特定する。
【0043】
ここで、所定時間は、通常モードでは第一時間T1に設定され、特別モードでは第一時間T1よりも短い第二時間T2に設定されている。したがって、判定部1Cは、通常モードでは、第一時間T1以上継続して検知された物体を対象候補として特定し、特別モードでは、第二時間T2以上継続して検知された物体を対象候補として特定する。
【0044】
第一処理における特定条件を作動モード毎にまとめると、下記のとおりである。
通常モード: 第一時間T1≦検知時間T
特別モード: 第二時間T2≦検知時間T(ただし、第二時間T2<第一時間T1)
このように、第一処理における特定条件は、上記の第二時間T2が第一時間T1よりも短く設定されていることにより、通常モードよりも特別モードで成立しやすくなっている。
【0045】
図3に例示するように、車両10の走行中、他車両20が車両10の前方の至近距離に突然移動してきた場合を想定する。通常モードにおいては、前方センサ4Fによる他車両20の検知時間Tが第一時間T1以上となるまでは、他車両20が対象候補から除外される。したがって、通常モードでは、検知時間Tが第一時間T1以上となってから、他車両20に対する衝突可能性の有無が判定される。
【0046】
一方、特別モードにおいては、前方センサ4Fによる他車両20の検知時間Tが第一時間T1よりも短い第二時間T2以上であれば、他車両20が対象候補として特定される。したがって、特別モードでは、通常モードよりも他車両20に対する衝突可能性の有無が早く判定される。よって、特別モードでは、他車両20の急な割り込みに対しても、減速制御が早く実施される。
【0047】
=第二処理=
第二処理は、物体の種類に着目したものである。第二処理において、判定部1Cは、取得装置4で取得された情報を参照し、車両10の周囲に存在する各物体について車両10からの距離Dを推定する。そして、判定部1Cは、通常モードでは、各物体の種類を更に推定し、所定の種類の物体のみを優先的に対象候補とする。
【0048】
ここで、所定の種類の物体としては、動いている物体(移動体)、例えば歩行者や他車両が挙げられる。これに対し、静止している物体(例えばガードレールや遮音壁)は、対象候補としての優先度が低く設定される。一般に、静止している物体は、動いている物体と比べて、カメラやレーダで取得される情報の信頼性が低くなる。このため、静止している物体を対象候補として特定した場合には、動いている物体を対象候補として特定した場合と比べて、衝突可能性の有無の判定精度が低くなる虞がある。
【0049】
そこで、判定部1Cは、通常モードでは、静止している物体が検知されたとしても、この物体に関する情報の信頼性は低いものと見做し、動いている物体を、静止している物体よりも優先的に対象候補とする。したがって、判定部1Cは、通常モードでは、車両10からの距離Dが最短でも(車両10に最も近くても)静止している物体は対象候補としての優先度が低いことから、動いている物体の中から対象候補を特定する。このように、本実施形態の判定部1Cは、通常モードでは、車両10からの距離Dよりも、情報の信頼性を優先して対象候補を特定する。ここでは、通常モードにおいて、所定の種類ではない物体(情報の信頼性の低い物体)を対象候補から除外することで、所定の種類の物体を優先的に対象候補とする例を示す。
【0050】
一方、判定部1Cは、特別モードでは、物体の種類に関わらず対象候補を特定する。したがって、判定部1Cは、特別モードでは、物体の種類を推定することなく、車両10からの距離Dが最も短い(車両10に最も近い)物体を対象候補として特定する。このように、本実施形態の判定部1Cは、特別モードでは、情報の信頼性よりも、車両10からの距離Dを優先して対象候補を特定する。なお、判定部1Cは、車両10が衝突しえないほど小さな物体(例えば塵くず)や、取得装置4による誤検知の可能性が高い物体(ゴーストオブジェクト)等は、対象候補から除外してもよい。
【0051】
通常モードで優先的に対象候補とする所定の種類の物体は、上記の動いている物体に限定されない。取得装置4で取得される情報の信頼性は、取得装置4がレーダであれば電波の反射強度や深度等に基づいて推定でき、取得装置4がカメラであれば例えば画像パターンに基づいて推定できる。このため、情報の信頼性を推定し、推定した信頼性が所定値よりも高い物体を、所定の種類の物体として上記のように優先的に対象候補としてもよい。あるいは、衝突した場合に被害が出やすい構造(形状)の物体を、所定の種類の物体として上記のように優先的に対象候補としてもよい。
【0052】
本実施形態の第二処理では、通常モードにおいて、所定の範囲内の物体が対象候補から除外される。具体的には、第二処理において判定部1Cは、通常モードでは、側方センサ4S及び後方センサ4Rの検知範囲(所定の範囲)内の物体を対象候補から除外する。したがって、判定部1Cは、通常モードでは、前方センサ4Fで取得された情報に基づいて検知される物体の中から対象候補を特定する。
一方、判定部1Cは、特別モードでは、取得装置4の検知範囲に関わらず対象候補を特定する。したがって、判定部1Cは、特別モードでは、前方センサ4Fの検知範囲に限らず、側方センサ4S及び後方センサ4Rの検知範囲内の物体からも対象候補を特定する。
【0053】
本実施形態の第二処理における特定条件を作動モード毎にまとめると、下記のとおりである。
通常モード: 車両10の前方で動いている
特別モード: 車両10に最も近い
【0054】
このように、第二処理における特定条件は、所定の種類の物体が通常モードでは優先的に対象候補とされるのに対し、特別モードでは物体の種類に関わらず対象候補が特定される点において、通常モードよりも特別モードで成立しやすくなっている。また、第二処理における特定条件は、所定の範囲内の物体が通常モードでは対象候補から除外されるのに対し、特別モードでは除外されない点においても、通常モードより特別モードで成立しやすくなっている。
【0055】
図4に例示するように、ガードレール30の設けられた道路S1において、車両10が他車両20の後方を走行中であり、車両10からガードレール30までの距離D1が他車両20までの距離D2よりも短い(D1<D2)場合を想定する。通常モードでは、車両10の前方で動いている他車両20は対象候補として特定されうるものの、車両10の側方で静止しているガードレール30は対象候補から除外される。したがって、通常モードでは、ガードレール30に対して衝突可能性が有ると判定されることはなく、ガードレール30に対して減速制御が実施されることもない。
【0056】
一方、特別モードにおいては、車両10の周囲において車両10に最も近いガードレール30が対象候補として特定される。したがって、特別モードでは、ガードレール30に対する衝突可能性の有無が判定され、衝突可能性が有ると判定された場合には減速制御が実施される。このように、特別モードでは、静止している物体や車両10の側方又は後方に位置する物体に対しても、減速制御が実施されうる。
【0057】
=第三処理=
第三処理は、車両10の走行車線に着目したものである。第三処理において、判定部1Cは、取得装置4で取得された情報を参照し、車両10の周囲に存在する物体と、車両10の走行車線とを検知する。そして、判定部1Cは、通常モードでは、走行車線の外側の物体を対象候補から除外する。
【0058】
一方、判定部1Cは、特別モードでは、走行車線に関わらず、車両10の進行方向に基づいて対象候補を特定する。具体的には、特別モードにおいて判定部1Cは、走行車線を推定することなく、車両10の進行方向を検知範囲とする取得装置4で取得された情報に基づいて、対象候補を特定する。判定部1Cは、例えば車両10の前進中(進行方向が前方の場合)は、特別モードにおいて、前方センサ4Fの検知範囲内の物体の中から対象候補を特定する。なお、車両10の進行方向は、例えばステアリング装置に設けられる操舵角センサの検出値に基づき、公知の手法により推定できる。
【0059】
第三処理における特定条件を作動モード毎にまとめると、下記のとおりである。
通常モード: 車両10の走行車線上にいる
特別モード: 車両10の進行方向にいる
このように、第三処理における特定条件は、走行車線外の物体が通常モードでは対象候補から除外されるのに対し、特別モードでは除外されない点において、通常モードよりも特別モードで成立しやすくなっている。
【0060】
図5(a)に例示するように、車両10が車線数の減少する道路S2を走行中であり、その走行車線Lの途絶えた先(走行車線L外であって車両10の前方)に他車両20が駐車中である場合を想定する。通常モードでは、車両10の走行車線L外にいる他車両20が対象候補から除外されるため、他車両20に対する衝突可能性の有無が判定されることはない。
一方、特別モードにおいては、車両10の走行車線Lに関わらず、車両10の進行方向(ここでは前方)に存在する他車両20が対象候補として特定される。したがって、特別モードでは、他車両20に対する衝突可能性の有無が判定され、衝突可能性が有ると判定された場合には減速制御が実施される。
【0061】
また、図5(b)に例示するように、車両10が左方向へカーブする複数車線道路S3を走行中であり、その走行車線Lの右隣の車線Loでは、他車両20が車両10よりも前方を走行中である場合を想定する。通常モードでは、車両10の走行車線L外にいる他車両20が対象候補から除外されるため、他車両20に対する衝突可能性の有無が判定されることはない。
【0062】
一方、特別モードにおいては、車両10の走行車線Lに関わらず、車両10の進行方向(ここでは前方)に存在する他車両20が対象候補として特定される。したがって、特別モードでは、他車両20に対する衝突可能性の有無が判定され、衝突可能性が有ると判定された場合には減速制御が実施される。
このように、特別モードでは、車両10の走行車線L外の物体に対しても、車両10の進行方向に基づいて衝突可能性が有ると判定されうる。
【0063】
上記のとおり、判定部1Cは、対象候補を特定した後は、特定した対象候補に対する衝突可能性の有無を判定する。この判定手法としては、公知の様々な手法を適用可能である。例えば、判定部1Cは、車両10から対象候補までの距離Dと、車両10と対象候補との相対速度Vとに基づき、対象候補との衝突回避のためにブレーキ装置6を作動させ始める必要がある時点(対象候補への衝突を回避不能となる直前)で、衝突可能性が有ると判定してもよい。
【0064】
第一制御部1Dは、異常検知部1Aでドライバの異常が検知された場合に、停止制御を実施する。本実施形態の第一制御部1Dは、ドライバの異常が検知された場合に、まず警報装置7を制御することで警報を出力し、それから所定の異常警報時間T3の経過後にブレーキ装置6を制御して車両10を減速させ(停止制御を開始し)、最終的に車両10を停止させる。なお、停止制御において第一制御部1Dは、安全性の観点から、車両10の減速度が所定値を超えないようにブレーキ装置6を制御する。
【0065】
第二制御部1Eは、判定部1Cで衝突可能性が有ると判定された場合に、減速制御を実施する。本実施形態の第二制御部1Eは、衝突可能性が有ると判定された場合に、まず警報装置7を制御することで警報を出力し、それから所定の緊急警報時間T4の経過後にブレーキ装置6を制御して車両10を減速させる(減速制御を開始する)。ここで、緊急警報時間T4は、異常警報時間T3よりも短く設定される(T4<T3)。上記のとおり、ドライバの異常が検知され、かつ衝突可能性が有ると判定された場合には、第二制御部1Eによる減速制御が停止制御よりも優先して実施される。
【0066】
第二制御部1Eは、下記の条件1~4の少なくとも一つが成立した場合に、減速制御を中止又は終了する。
条件1:警報中かつ減速制御の開始前に衝突可能性が無くなった
条件2:通常モードにおける減速制御の実施中に衝突可能性が無くなった
条件3:所定の解除条件が成立した
条件4:車両10が停止した
【0067】
条件1の成否は、判定部1Cの判定結果に基づいて判定される。第二制御部1Eは、条件1が成立する場合は、減速制御の開始前に減速制御を中止する。この場合には、警報装置7を用いた警報は実施されるものの、減速制御は実施されない。
条件2の成否は、設定部1Bで設定されている作動モードと、判定部1Cの判定結果とに基づいて判定される。第二制御部1Eは、通常モードでの減速制御の実施中に、判定部1Cで衝突可能性が無いと判定された(判定部1Cによる判定結果が覆った)場合は、減速制御を中断する。一方、第二制御部1Eは、特別モードでの減速制御の実施中は、判定部1Cで衝突可能性が無いと判定されても(判定部1Cによる判定結果が覆っても)、減速制御を中断せずに継続する。
【0068】
条件3は、車両10の乗員が意図的に減速制御を中止するために設けられている。条件3で用いられる解除条件は、特定条件と同様に、減速制御の作動モードに応じて内容が異なる。具体的には、解除条件は、通常モードよりも特別モードで成立しにくい内容に設定されている。
本実施形態の解除条件を作動モード毎にまとめると、下記のとおりである。
通常モード: 所定の解除操作が少なくとも一回行われた
特別モード: 所定の解除操作が複数回行われた
【0069】
本実施形態では、上記の解除操作がアクセルペダル2の踏み込み操作である例を示す。アクセルペダル2の踏み込み操作は、例えば、アクセル開度センサ3から伝達されるアクセル開度APが所定値を超える毎に一回とカウントされる。
条件3の成否は、判定部1Cで衝突可能性が有ると判定されている場合に限り判定される。第二制御部1Eは、条件3が成立する場合は、既に減速制御を実施中であるか否かに関わらず、減速制御を中止する。したがって、第二制御部1Eは、警報中であって減速制御の開始前に解除条件が成立した場合には、減速制御を実施せずに中止し、減速制御の実施中に解除条件が成立した場合には、実施中の減速制御を中断する。
【0070】
上記の条件1~3に対し、条件4は、減速制御の終了(完了)条件である。第二制御部1Eは、条件4が成立した場合には、衝突が回避されたため、減速制御を終了する。なお、条件4の成否は、例えば車輪12の回転数を検出する回転数センサの検出値に基づいて、公知の手法により判定可能である。
【0071】
[3.フローチャート]
図6~12は、制御装置1で実施される制御の手順(車両制御方法)を例示したフローチャートである。具体的には、図6のフローが設定部1Bで実施される処理(設定工程)を示し、図7~10のフローが判定部1Cで実施される処理(判定工程)を示している。また、図11のフローが第二制御部1Eで実施される処理(第二制御工程)を示し、図12のフローが第一制御部1Dで実施される処理(第一制御工程)を示している。
【0072】
これらのフローは、車両10のイグニションがオンにされた場合に開始され、車両10のイグニションがオフにされた場合、及び、停止制御によって車両10が自動で停止した場合に終了する。なお、このフローの実施中、アクセル開度センサ3や取得装置4等で取得された情報は制御装置1に随時伝達されているものとする。また、制御装置1内の要素1A,1B,1C,1D間では、作動モードや衝突可能性の有無の情報が随時送受されているものとする。
【0073】
図6に示すように、設定部1Bでは、異常検知部1Aでドライバの異常が検知されたか否かが判定される(ステップS1)。そして、ドライバの異常が検知されている場合は、減速制御の作動モードが特別モードに設定され(ステップS2)、ドライバの異常が検知されていない場合は、上記の作動モードが通常モードに設定されて(ステップS3)、フローをリターンする。
【0074】
図7に示すように、判定部1Cでは、取得装置4で何らかの物体が検知されたか否かが判定される(ステップA1)。ここで物体が検知されていなければ、衝突可能性が無いと判定されて(ステップA7)、フローをリターンする。一方、何らかの物体が検知されていれば、この物体を対象候補として特定するか否かを判断するために、上記の第一処理と第二処理と第三処理とが実施される(ステップA2~A4)。なお、ステップA2~A4の実施順序は特に限定されず、例えばステップA2~A4の各処理が同時に実施されてもよい。
【0075】
図8図10は、図7のサブフローチャートである。
図8に示すように、第一処理では、物体の検知時間Tが第二時間T2以上であるか否かが判定される(ステップA21)。ここで検知時間Tが第二時間T2未満であれば、物体が対象候補から除外される(ステップA25)。一方、検知時間Tが第二時間T2以上であれば、減速制御の作動モードが特別モードであるか否かが判定され(ステップA22)、特別モードである場合は検知された物体が対象候補として特定される(ステップA23)。
【0076】
これに対し、ステップA22で減速制御の作動モードが通常モードである場合は、検知時間Tが第一時間T1(>第二時間T2)以上であるか否かが判定される(ステップA24)。この判定結果が肯定的であれば、物体が対象候補として特定され(ステップA23)、否定的であれば物体が対象候補から除外される(ステップA25)。
【0077】
図9に示すように、第二処理では、まず、取得装置4で取得された情報に一定以上の信頼性が有るか否かが判定される(ステップA31)。ここで一定以上の信頼性が無いと判定されれば、物体が対象候補から除外される(ステップA36)。一方、一定以上の信頼性が有ると判定された場合は、減速制御の作動モードが特別モードであるか否かが判定され(ステップA32)、特別モードであれば物体が対象候補として特定される(ステップA33)。
【0078】
これに対し、ステップA32で減速制御の作動モードが通常モードである場合は、物体が前方センサ4Fで検知されたものであるか否かが判定され(ステップA34)、この判定結果が肯定的であれば物体が所定の種類の物体であるか否かかが判定される(ステップA35)。ステップA35の判定結果も肯定的であれば、物体が対象候補として特定される(ステップA33)。一方、ステップA34及びステップA35のいずれか一方の判定結果が否定的であれば、物体が対象候補から除外される(ステップA36)。
【0079】
図10に示すように、第三処理では、物体が車両10の走行車線外で検知されたか否かが判定される(ステップA41)。この判定結果が否定的である場合は、物体が対象候補として特定される(ステップA44)。一方、ステップA41の判定結果が肯定的である場合は、減速制御の作動モードが特別モードであるか否かが判定され(ステップA42)、特別モードであれば物体が進行方向を検知範囲とする取得装置4で検知されたものであるか否かが判定される(ステップA43)。ステップA43の判定結果も肯定的であれば、物体が対象候補として特定される(ステップA44)。一方、ステップA42及びステップA43のいずれか一方の判定結果が否定的であれば、物体が対象候補から除外される(ステップA45)。
【0080】
上記の第一処理と第二処理と第三処理とのすべてが完了したら、図7のフローのステップA5に進み、対象候補が特定されているか否かが判定される。上記の第一処理、第二処理、及び第三処理の少なくとも一つで対象候補が特定された場合は、特定された対象候補に対する衝突可能性の有無が判定され(ステップA6)、フローをリターンする。一方、対象候補が特定されていない場合には衝突可能性が無いと判定され(ステップA7)、フローをリターンする。
【0081】
図11に示すように、第二制御部1Eでは、衝突可能性が有ると判定されているか否かが確認され(ステップB1)、衝突可能性が無いと判定されている場合は、フローをリターンする。
一方、衝突可能性が有ると判定されている場合は、警報装置7が制御されることで警報が出力される(ステップB2)。その後、緊急警報時間T4が経過する(ステップB3からYESルートに進む)までステップB1の判定が繰り返され、衝突可能性が有ると判定されている限りステップB2の警報が継続される。そして、緊急警報時間T4の経過後に減速制御が開始される(ステップB4)。なお、緊急警報時間T4の経過前に衝突可能性が無いと判定された場合は、上記の条件1が成立するため、減速制御が中止されると共に警報が停止される。
【0082】
ステップB4では、ブレーキ装置6の作動により車両10が減速させられる。次いで、減速制御の作動モードが特別モードであるか否かが判定され(ステップB5)、特別モードであれば解除操作が複数回行われたかが判定される(ステップB6)。この判定結果が肯定的であれば、解除条件が成立するため減速制御が中断される。具体的には、ブレーキ装置6の作動が解除されて(ステップB7)、フローをリターンする。
一方、ステップB6の判定結果が否定的である場合は、ステップB10に進み、車両10が停止する(ステップB10からYESルートに進む)まで減速制御が継続される。そして、車両10が停止した(上記の条件4が成立した)場合に、ステップB7の処理が行われて減速制御が終了する。
【0083】
また、ステップB5で減速制御の作動モードが通常モードである場合は、解除操作が一回以上行われたかが判定される(ステップB8)。この判定結果が肯定的であれば、解除条件が成立するため減速制御が中断される(ステップB7)。一方、ステップB8の判定結果が否定的であれば、衝突可能性が有ると判定されているか否かが再確認される(ステップB9)。
ここで未だ衝突可能性が有ると判定されていれば、車両10が停止する(ステップB10からYESルートに進む)まで減速制御が継続され、車両10の停止後に減速制御が終了する(ステップB7)。また、ステップB9で衝突可能性が無いと判定されれば、上記の条件2が成立するため減速制御が中断される(ステップB7)。
【0084】
なお、図12に示すように第一制御部1Dでは、異常検知部1Aでドライバの異常が検知されたか否かが判定される(ステップC1)。ドライバの異常が検知されていない場合は、フローをリターンする。一方、ドライバの異常が検知された場合は、警報装置7が制御されることで警報が出力される(ステップC2)。
【0085】
その後、異常警報時間T3が経過する(ステップC3からYESルートに進む)までステップC1の判定が繰り返され、ドライバの異常が検知されている限りステップC2の警報が継続される。そして、異常警報時間T3の経過後に停止制御が開始される(ステップC4)。なお、異常警報時間T3の経過前にドライバの異常が検知されなくなった場合は、停止制御が中止される。
ステップC4では、ブレーキ装置6の作動により車両10が減速させられる。その後、車両10が停止したら(ステップC5からYESルートに進んだら)、ブレーキ装置6の作動が解除され(ステップC6)、停止制御が終了する。
【0086】
[4.作用,効果]
上記の制御装置1、車両制御方法、コンピュータプログラム8によれば、以下の作用及び効果を得られる。
【0087】
(1)ドライバの異常が検知されている場合に設定される特別モードでは、ドライバの異常が検知されない場合の通常モードと比べて、車両10の周囲の物体を候補として特定する範囲が拡大される。これにより、特別モードでは、対象候補への衝突可能性が有ると判定されやすくなるため、減速制御を実施する機会が増加する。よって、ドライバに異常が発生した場合には、減速制御をより確実に実施できる。これにより、たとえドライバが運転操作不能な状態であったとしても、車両10を減速制御により自動で減速させられるため、衝突可能性をより確実に低減できる。
【0088】
一方、減速制御の作動モードが通常モードである場合は、ドライバの運転操作により衝突を回避できる可能性が高いため、特別モードよりも対象候補の絞り込みが行われることで、衝突可能性が有ると判定される機会を低減できる。これにより、ドライバに異常が無い場合には、減速制御の誤作動(無用な減速制御の実施)が低減されることから、減速制御に起因した車両10の無用な減速を抑制できる。
【0089】
(2)特別モードでは、通常モードと比べて、検知時間Tの短い物体も対象候補となるため、対象候補をより早く特定できる。これにより、特別モードでは、対象の検知が遅れてしまった場合であっても、通常モードと比べて減速制御の開始時期が早期化されることから、図3に例示するような他車両20の急な割り込みに対しても、減速制御により車両10の衝突をより高確率で回避できる。
一方、通常モードでは、特別モードと比べて、検知時間Tの長い物体が対象候補となるため、誤検知による対象候補の特定を抑制できる。これにより、衝突可能性の有無の判定精度が向上することから、減速制御の誤作動を低減できる。よって、減速制御に起因した車両10の無用な減速を更に抑制できる。
【0090】
(3)特別モードでは、物体の種類に関わらず対象候補を特定するため、いずれの種類の物体に対しても減速制御を実施できる。これにより、ドライバの異常時には、いずれの種類の物体に対する衝突可能性もより確実に低減できる。
一方、通常モードでは、所定の種類の物体を優先的に対象候補とする(所定の種類の物体を他の物体よりも優先して対象候補とする)ため、例えば信頼性の低い情報に基づいて検知された物体や、衝突しても被害の出にくい構造の物体に対する減速制御の実施を回避できる。よって、減速制御に起因した車両10の無用な減速を更に抑制できる。
【0091】
(4)特別モードでは、物体が所定の範囲内で検知されたか否かに関わらず対象候補を特定するため、いずれの方向に位置する物体に対しても減速制御を実施できる。これにより、ドライバの異常時には、いずれの方向に位置する物体に対する衝突可能性も(例えば前突に限らず側突の可能性も)より確実に低減できる。
一方、通常モードでは、所定の範囲内の物体を対象候補から除外する(対象候補を所定の範囲外の物体に限定する)ことで、例えば車両10の側方や後方の物体に対する減速制御の実施を回避できる。したがって、ドライバの異常が検知されておらず、ドライバが車両10を操舵することで衝突を回避できる可能性が高い状況下では、減速制御に起因した車両10の無用な減速を更に抑制できる。
【0092】
(5)特別モードでは、車両10の走行車線に関わらず車両10の進行方向に基づいて対象候補を特定するため、たとえドライバが車両10を操舵不能な状態であっても、進行方向の物体に対して減速制御を実施できる。よって、ドライバの異常時には、走行車線外の物体に対する衝突可能性もより確実に低減できる。
一方、通常モードでは、車両10の走行車線外の物体を対象候補から除外する(対象候補を走行車線内の物体に限定する)ため、図5(a),(b)に例示するような道路S2,S3において、他車両20に対する減速制御の実施を回避できる。したがって、ドライバの異常が検知されておらず、ドライバが車両10を操舵することで衝突を回避できる可能性が高い状況下では、減速制御に起因した車両10の無用な減速を更に抑制できる。
【0093】
(6)衝突可能性が有るとの判定に応じた警報中であって減速制御の開始前に、衝突可能性が無いと判定された場合には、減速制御が中止されるため、減速制御に起因した車両10の無用な減速を更に抑制できる。ただし、上記のとおり特別モードでは、通常モードと比べて衝突可能性が有ると判定されやすくなっているため、減速制御が中止されにくくなる。これにより、ドライバの異常が検知されている場合には、たとえドライバが運転操作不能な状態であったとしても、車両10の衝突可能性をより確実に低減できる。
【0094】
(7)特別モードでは、衝突可能性が無いと判定されても実施中の減速制御を継続するため、車両10の衝突可能性をより確実に低減できる。このように、特別モードにおける減速制御により車両10の減速が開始された後は、衝突可能性の有無にかかわらず減速制御を継続することで、ドライバが運転操作不能な状態であったとしても、車両10の衝突可能性をより確実に低減できる。
一方、通常モードでは、衝突可能性が無いと判定された場合に実施中の減速制御を中断するため、減速制御に起因した車両10の無用な減速をより抑制できる。
【0095】
(8)通常モードでは解除操作が少なくとも一回行われた場合に減速制御が中止されるのに対し、特別モードでは解除操作が複数回行われた場合に減速制御が中止される。このように、特別モードでは、通常モードと比べて減速制御が中止されにくく(減速制御を中止するための解除条件が成立しにくく)構成されるため、車両10の衝突可能性をより確実に低減できる。
【0096】
なお、ドライバの異常時には、例えば痙攣中のドライバが意図せずに解除操作を行う可能性がある。これに対し、上記のように減速制御を中止するための解除操作の回数が、通常モードよりも特別モードで多く設定されていれば、ドライバの異常時に意図しない解除操作で減速制御が中止されることを抑制できる。
一方、通常モードでは、一回の解除操作でも減速制御が中止されるため、ドライバが減速制御を不要と判断した場合に、減速制御を容易に中止できる。これにより、減速制御に起因した車両10の無用な減速をより抑制できる。
【0097】
[5.変形例]
上記の制御装置1の制御内容は一例である。判定部1Cは、通常モードよりも特別モードにおいて、車両10の周囲の物体を対象候補として特定する範囲が拡大されればよく、対象候補の特定手法は上記の第一処理、第二処理、及び第三処理に限定されない。判定部1Cでは、上記の第一処理、第二処理、及び第三処理のいずれかが省略されてもよいし、これらの処理以外の特定手法が用いられてもよい。
【0098】
第二制御部1Eは、減速制御において、ブレーキ装置6を多段階の強度で作動させてもよい。例えば、第二制御部1Eは、ブレーキ装置6を比較的弱い強度で作動させた後に比較的強い強度で作動させてもよい。
なお、減速制御を中止又は終了するための条件は、上記の条件1~4に限定されない。例えば、車両10の室内にドライバが操作可能な解除スイッチを設け、この解除スイッチが操作された場合に減速制御を中止又は終了するようにしてもよい。停止制御も同様に、車両10の室内に設けられた解除スイッチへの操作に応じて解除可能に構成されてもよい。
停止制御及び減速制御の実施前に出される警報の具体的な内容は特に限定されない。停止制御の実施前と、減速制御の実施前とでは、互いに異なる内容の警報が出力されてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 制御装置(車両制御装置)
1A 異常検知部
1B 設定部
1C 判定部
1D 第一制御部
1E 第二制御部
2 アクセルペダル
3 アクセル開度センサ
4 取得装置
4F 前方センサ
4S 側方センサ
4R 後方センサ
5 生体センサ
6 ブレーキ装置
7 警報装置
8 コンピュータプログラム(車両制御プログラム)
10 車両
11 運転席
12 車輪
20 他車両
30 ガードレール
AP 踏み込み量(アクセル開度)
D 距離
D1 車両10からガードレール30までの距離
D2 車両10から他車両20までの距離
L 走行車線
Lo 右隣の車線
S1,S2,S3 道路
T 検知時間
T1 第一時間
T2 第二時間
T3 異常警報時間
T4 緊急警報時間
V 相対速度
図1
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