(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240411BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240411BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06T1/00 315
G01B11/24 K
(21)【出願番号】P 2019226927
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】有原 元史
(72)【発明者】
【氏名】柴 岳繁
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-092647(JP,A)
【文献】特開2018-142109(JP,A)
【文献】特開2017-091078(JP,A)
【文献】特開2015-194478(JP,A)
【文献】特開2014-167786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06T 1/00
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記対象物上に設けられた基準点とカメラとの間の距離を取得する距離取得部と、
前記対象物の設計データに基づいて前記対象物の3次元モデルを生成し、前記基準点とカメラとの間の距離に基づいて前記3次元モデルの大きさ及び向きを調整し、前記撮像画像上に前記3次元モデルを重ねて表示部に表示させる表示制御部と、
前記3次元モデルの輪郭線と前記撮像画像の輪郭線とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基いて寸法差を測定し、当該寸法差が予め定められた許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲内である場合には、前記対象物が単体として合格であると判定し、許容範囲外である場合には、前記対象物が単体として不合格であると判定する合否判定部と、
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記比較部は、異なる角度から撮像された複数の撮像画像にて前記輪郭線の比較を行う
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記基準点の数は3以上である
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記基準点の数は4以上である
ことを特徴とする請求項
3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記カメラはドローンに設けられている
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記ドローンは前記対象物の溶接線または前記設計データに基づいて指定された範囲に沿って移動する
ことを特徴とする請求項
5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記対象物はボイラまたはボイラを構成する部品である
ことを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記合否判定部は、互いに接合されるべき一対の対象物の各々に対して単体として合格であると判定した場合に、一方の対象物についての前記撮像画像に基づく前記
比較部の比較結果に基いて測定された寸法差の符号と、他方の対象物についての前記撮像画像に基づく前記
比較部の比較結果に基いて測定された寸法差の符号とを比較し、符号が同じか異なるかに応じてペアとしての合否を判定する
ことを特徴とする請求項
1~7のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記基準点は、前記対象物上に磁力により着脱可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記基準点は、前記対象物上に溶接されて固定されている
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記対象物の設計データに基づいて前記対象物の3次元モデルを生成し、前記基準点とカメラとの間の距離に基づいて前記3次元モデルを勝手反対に変換するとともに前記3次元モデルの大きさ及び向きを調整し、前記撮像画像上に前記3次元モデルを重ねて表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1~
10のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記カメラと、前記表示部と、記憶部と、を有する端末装置をさらに備え、
前記記憶部には、前記比較部の比較結果に基いて測定された寸法差が反映された3次元モデルが記憶され、
前記表示部は、前記記憶部に記憶された3次元モデルを表示可能である
ことを特徴とする請求項
1~11のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記表示部において、前記3次元モデルは、線で表すパターンと、実写で表すパターンとを選択して表示可能である
ことを特徴とする請求項1~
12のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記対象物の撮像画像に基づいて、前記対象物の溶接外観および/または塗装外観を画像認識により合否判定する第2合否判定部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1~
13のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項15】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
対象物の撮像画像を取得するステップと、
前記対象物上に設けられた基準点とカメラとの間の距離を取得するステップと、
前記対象物の設計データに基づいて前記対象物の3次元モデルを生成し、前記基準点とカメラとの間の距離に基づいて前記3次元モデルの大きさ及び向きを調整し、前記撮像画像上に前記3次元モデルを重ねて表示部に表示させるステップと、
前記3次元モデルの輪郭線と前記撮像画像の輪郭線とを比較し、比較結果に基いて寸法差を測定し、当該寸法差が予め定められた許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲内である場合には、前記対象物が単体として合格であると判定し、許容範囲外である場合には、前記対象物が単体として不合格であると判定するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータを、
対象物の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記対象物上に設けられた基準点とカメラとの間の距離を取得する距離取得部と、
前記対象物の設計データに基づいて前記対象物の3次元モデルを生成し、前記基準点とカメラとの間の距離に基づいて前記3次元モデルの大きさ及び向きを調整し、前記撮像画像上に前記3次元モデルを重ねて表示部に表示させる表示制御部と、
前記3次元モデルの輪郭線と前記撮像画像の輪郭線とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基いて寸法差を測定し、当該寸法差が予め定められた許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲内である場合には、前記対象物が単体として合格であると判定し、許容範囲外である場合には、前記対象物が単体として不合格であると判定する合否判定部と、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、情報処理プラグラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品が製作図面どおりに製作されているか否かを検査する場合には、人が製品の寸法を測定し、製作図面と照らして形状に間違いが無いかを確認し、判定基準を基に合否を判定していた。
【0003】
しかしながら、ボイラなどの複数の部品からなる製品は、検査に時間を要し、全ての部位の寸法測定を実施することは、現実的に不可能である。そのため、測定対象外の部位で許容範囲外の寸法差が生じていても、発見できない可能性がある。また、勝手反対の図面表記の場合、製作・検査ともに時間がかかり、間違えが生じやすい。
【0004】
特許文献1には、製品の設計データから生成される3次元モデルを当該製品の撮像画像に重ねて表示するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、製品の撮像画像に対して3次元モデルを正確に重ねて表示するためには、当該製品に対するカメラの相対的な位置姿勢(視線位置および視線方向)の情報を、外部パラメータとして、ユーザが撮像画像を参照しながらマウスやキーボード操作により入力する必要がある。そのため、特許文献1のシステムでは、製品検査を自動化することができない。また、入力操作を行うユーザの熟練度に応じて撮像画像と3次元モデルとの重なり精度にバラツキが発生し、その結果、製品と設計データとの差異を誤検出する可能性がある。
【0007】
また、特許文献1のシステムでは、物体の撮像画像から抽出した直線群と設計データから生成した直線群とを比較、一致させるところ、製造途中の加工前段階において物体の形状がまだ完成していない場合や、組立・据付確認時のように形状が完成している物体がその場に無い状態には、直線群の比較、一致ができないため、物体の撮像画像に対して3次元モデルを重ねて表示することができず、3次元モデルの重畳表示を活用できない。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものでる。本発明の目的は、製品の撮像画像に3次元モデルを自動で重ねて表示できる情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る情報処理システムは、
対象物の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記対象物上に設けられた基準点と前記カメラとの間の距離を取得する距離取得部と、
前記対象物の設計データに基づいて前記対象物の3次元モデルを生成し、前記基準点とカメラとの間の距離に基づいて前記3次元モデルの大きさ及び向きを調整し、前記撮像画像上に前記3次元モデルを重ねて表示部に表示させる表示制御部と、
を備える。
【0010】
このような態様によれば、撮像画像上に3次元モデルを重ねて表示する際に、対象物上に設けられた基準点とカメラとの間の距離が距離取得部により取得され、当該基準点とカメラとの間の距離に基づいて3次元モデルの大きさ及び向きが表示制御部により調整されるため、対象物に対するカメラの相対的な位置姿勢(視線位置および視線方向)の情報をユーザが入力しなくても、製品の撮像画像に3次元モデルを自動で重ねて表示することが可能である。また、ユーザによる外部パラメータの入力操作が不要であるため、入力操作を行うユーザの熟練度に応じて重なり精度にバラツキが発生したりすることがなく、経験値の低いユーザであっても製品の撮像画像に3次元モデルに精度よく重ねて表示することができる。さらに、製造途中の加工前段階において物体の形状がまだ完成していない場合や、組立・据付確認時のように形状が完成している物体がその場に無い状態であっても、対象物上に設けられた基準点とカメラとの間の距離に基づいて3次元モデルの大きさ及び向きが調整されることで、対象物の撮像画像に対して3次元モデルを適切に重ねて表示することができる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る情報処理システムは、第1の態様に係る情報処理システムであって、
前記3次元モデルの輪郭線と前記撮像画像の輪郭線とを比較する比較部をさらに備える。
【0012】
本発明の第3の態様に係る情報処理システムは、第2の態様に係る情報処理システムであって、
前記比較部は、異なる角度から撮像された複数の撮像画像にて前記輪郭線の比較を行う。
【0013】
本発明の第4の態様に係る情報処理システムは、第1~3のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記基準点の数は3以上である。
【0014】
本発明の第5の態様に係る情報処理システムは、第4の態様に係る情報処理システムであって、
前記基準点の数は4以上である。
【0015】
本発明の第6の態様に係る情報処理システムは、第1~5のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記カメラはドローンに設けられている。
【0016】
本発明の第7の態様に係る情報処理システムは、第6の態様に係る情報処理システムであって、
前記ドローンは前記対象物の溶接線または前記設計データに基づいて指定された範囲に沿って移動する。
【0017】
本発明の第8の態様に係る情報処理システムは、第1~7のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記対象物はボイラまたはボイラを構成する部品である。
【0018】
本発明の第9の態様に係る情報処理システムは、第2または3の態様、もしくは第2または3の態様を引用する第4~8のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記比較部の比較結果に基いて寸法差を測定し、当該寸法差が予め定められた許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲内である場合には、前記対象物が単体として合格であると判定し、許容範囲外である場合には、前記対象物が単体として不合格であると判定する合否判定部をさらに備える。
【0019】
本発明の第10の態様に係る情報処理システムは、第9の態様に係る情報処理システムであって、
前記合否判定部は、互いに接合されるべき一対の対象物の各々に対して単体として合格であると判定した場合に、一方の対象物についての前記撮像画像に基づく前記比較部の比較結果に基いて測定された寸法差の符号と、他方の対象物についての前記撮像画像に基づく前記比較部の比較結果に基いて測定された寸法差の符号とを比較し、符号が同じか異なるかに応じてペアとしての合否を判定する。前記合否判定部により不合格と判定された場合には、前記表示制御部は、不合格と判定された部位を3次元モデル上に他の部位とは異なる態様で表示してもよい。
【0020】
本発明の第11の態様に係る情報処理システムは、第1~10のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記基準点は、前記対象物上に磁力により着脱可能に取り付けられている。
【0021】
本発明の第12の態様に係る情報処理システムは、第1~10のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記基準点は、前記対象物上に溶接されて固定されている。
【0022】
本発明の第13の態様に係る情報処理システムは、第1~12のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記表示制御部は、前記対象物の設計データに基づいて前記対象物の3次元モデルを生成し、前記基準点とカメラとの間の距離に基づいて前記3次元モデルを勝手反対に変換するとともに前記3次元モデルの大きさ及び向きを調整し、前記撮像画像上に前記3次元モデルを重ねて表示部に表示させる。
【0023】
本発明の第14の態様に係る情報処理システムは、第2または3の態様、もしくは第2または3の態様を引用する第4~13のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記カメラと、前記表示部と、記憶部と、を有する端末装置をさらに備え、
前記記憶部には、前記比較部の比較結果に基いて測定された寸法差が反映された3次元モデルが記憶され、
前記表示部は、前記記憶部に記憶された3次元モデルを表示可能である。
【0024】
本発明の第15の態様に係る情報処理システムは、第1~14のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記表示部において、前記3次元モデルは、線で表すパターンと、実写で表すパターンとを選択して表示可能である。
【0025】
本発明の第16の態様に係る情報処理システムは、第1~15のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記対象物の撮像画像に基づいて、前記対象物の溶接外観および/または塗装外観を画像認識により合否判定する第2合否判定部をさらに備える。
【0026】
本発明の第17の態様に係る情報処理方法は、
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
対象物の撮像画像を取得するステップと、
前記対象物上に設けられた基準点と前記カメラとの間の距離を取得するステップと、
前記対象物の設計データに基づいて前記対象物の3次元モデルを生成し、前記基準点とカメラとの間の距離に基づいて前記3次元モデルの大きさ及び向きを調整し、前記撮像画像上に前記3次元モデルを重ねて表示部に表示させるステップと、
を含む。
【0027】
本発明の第18の態様に係る情報処理プログラムは、
コンピュータを、
対象物の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記対象物上に設けられた基準点と前記カメラとの間の距離を取得する距離取得部と、
前記対象物の設計データに基づいて前記対象物の3次元モデルを生成し、前記基準点とカメラとの間の距離に基づいて前記3次元モデルの大きさ及び向きを調整し、前記撮像画像上に前記3次元モデルを重ねて表示部に表示させる表示制御部と、
として機能させる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、製品の撮像画像に3次元モデルを自動で重ねて表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1に示す情報処理システムにおいて対象物(ボイラを構成する部品)とカメラとの位置関係の一例を説明するための図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1に示す情報処理システムにおいて対象物(ボイラを構成する別の部品)とカメラとの位置関係の一例を説明するための図である。
【
図2C】
図2Cは、
図1に示す情報処理システムにおいて対象物(ボイラを構成する別の部品)とカメラとの位置関係の一例を説明するための図である。
【
図2D】
図2Dは、
図1に示す情報処理システムにおいて対象物(組立後のボイラ)とカメラとの位置関係の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、
図2Aに示す位置関係で撮像したときの対象物の撮像画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図2Aに示す位置関係で測定された基準点までの距離に基づいて大きさおよび向きが調整された対象物の3次元モデルの一例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、端末装置の表示部にて撮像画像上に3次元モデルが重ねて表示された状態の一例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、端末装置の表示部にて3次元モデルが表示された状態の一例を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、互いに接合されるべき一対の対象物の接合前の状態を説明するための図である。
【
図6B】
図6Bは、互いに接合されるべき一対の対象物の接合後の状態を説明するための図である。
【
図7A】
図7Aは、寸法差の符号が両方ともプラスの場合について説明するための図である。
【
図7B】
図7Bは、寸法差の符号が両方ともマイナスの場合について説明するための図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、カメラがドローンに設けられた態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0031】
図1は、一実施の形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【0032】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置2と、サーバ3とを備えている。端末装置2とサーバ3とは、インターネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク4は、有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、端末装置2とサーバ3の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0033】
端末装置2は、ユーザが使用するものであり、たとえば、スマートフォンやタブレット端末、ウェアラブル端末、ノートブックコンピュータなどの電子機器である。
【0034】
図1に示すように、端末装置2は、端末通信部21と、端末制御部22と、端末記憶部23と、端末入力部24と、端末表示部25と、カメラ26と、距離センサ27とを有している。各部は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0035】
端末通信部21は、端末装置2とネットワーク4との間の通信インターフェースである。端末通信部21は、ネットワーク4を介して端末装置2とサーバ3との間で情報を送受信する。
【0036】
端末制御部22は、端末装置2の各種処理を行う制御手段である。端末制御部22は、端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0037】
端末記憶部23は、たとえば内蔵メモリや外部メモリ(SDメモリカード等)などのデータストレージである。端末記憶部23には、端末制御部22が取り扱う各種データが記憶される。なお、端末記憶部23は、必ずしも端末装置2内に設けられていなくてもよく、端末記憶部23の一部または全部は、ネットワーク4を介して端末装置2と通信可能に接続された別の装置(たとえば不図示のストレージサーバ)内に設けられていてもよい。
【0038】
端末入力部24は、ユーザが端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、たとえばスマートフォンやタブレット端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、ノートブックコンピュータにおけるタッチパッド、キーボードまたはマウスなどである。
【0039】
端末表示部25は、端末装置2からユーザに対して各種情報を表示するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイ等の映像表示手段である。具体的には、たとえば、端末表示部25は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示してもよい。
【0040】
カメラ26は、対象物100(
図2A参照)を撮像して撮像画像200(
図3参照)を生成する撮像装置であり、たとえば対象物100から反射または放射される光を受光して2次元の電子情報に変換するCCDカメラやCMOSカメラを用いることができる。カメラ26により撮像されて生成される対象物100の撮像画像200は、端末記憶部23に記憶されてもよいし、
図5Aに示すように、端末表示部25に(たとえばリアルタイムで)表示されてもよい。
【0041】
一変形として、
図9を参照し、カメラ26はドローン5に設けられていてもよい。これにより、ユーザがカメラ26を手元で操作して対象物100を撮像する必要がなくなり、たとえば夜間などに無人でドローン5を移動させて対象物100を撮像することが可能となり、効率的である。また、対象物100がボイラやボイラを構成する部品などの大型の物品である場合であっても、ドローン5であれば任意の方向(たとえば真上)から対象物100に接近して撮像できるため、対象物100の外観を漏れなく詳細に撮像することができる。
【0042】
カメラ26がドローン5に設けられている場合には、ドローン5は対象物100の溶接線または設計データ331に基づいて指定された範囲に沿って移動するように構成されていてもよい。この場合、対象物100における溶接線の位置情報や設計データ331に基づいて指定された範囲の位置情報(すなわちドローン5の移動ルート)は、ドローン5内のメモリ(不図示)に予め記憶されていてもよいし、ドローン5の移動中にサーバ3などからネットワーク4を介して逐次取得されてもよい。ドローン5が対象物100の溶接線に沿って移動することにより、カメラ26にて対象物100の溶接外観を効率的に撮像することが可能となり、対象物100がボイラなどの圧力容器の場合には、圧力容器に求められる高い溶接基準を対象物100が満たしているかどうかを自動で検査することが可能となる。
【0043】
距離センサ27は、対象物100上に設けられた基準点101~103とカメラ26との間の距離D1~D3(
図2A参照)を測定するセンサである。距離センサ27としては、たとえばカメラ26の位置から基準点101~103に向けてレーザを照射し、基準点101~103で反射したレーザを受光してカメラ26と基準点101~103との間の距離D1~D3を測定するレーザ式距離センサを用いてもよいし、端末装置2に2台以上のカメラ26が設けられている場合には、2台以上のカメラ26による撮像画像間の視差に基づいてカメラ26と基準点101~103との間の距離D1~D3を測定する視差式距離センサを用いてもよい。
【0044】
なお、
図2Aを参照し、対象物100上に設けられた基準点101~103は、対象物100上に磁力により着脱可能に取り付けられたものであってもよいし、対象物100上に溶接されて固定されたものであってもよい。基準点101~103が対象物100上に磁力により着脱可能に取り付けられている場合には、対象物の出荷前に不要な基準点101~103を取り外すことが容易である。また、基準点101~103が対象物100上に溶接されて固定されている場合には、振動などの影響で基準点101~103に位置ずれが生じることを防止できる。
図2Aに示す例では、基準点101~103の数が3個であるが、4個以上であってもよい。また、
図2Aに示す例では、対象物100はボイラを構成するウォーターウォールアセンブリであるが、これに限定されるものではなく、たとえばボイラを構成するドラムアセンブリ100X(
図2B参照)であってもよいし、ボイラを構成する接続パイプアセンブリ100Y(
図2C参照)であってもよいし、現場組立後のボイラ100Z(
図2D参照)であってもよい。
【0045】
次に、サーバ3について説明する。
図1に示すように、サーバ3は、サーバ通信部31と、サーバ制御部32と、サーバ記憶部33とを有している。各部は、バスやネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0046】
このうちサーバ通信部31は、サーバ3とネットワーク4との間の通信インターフェースである。サーバ通信部31は、ネットワーク4を介してサーバ3と端末装置2との間で情報を送受信する。
【0047】
サーバ記憶部33は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージである。サーバ記憶部33には、サーバ制御部32が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、サーバ記憶部33には、対象物の設計データ331と、対象物の撮像画像200とが記憶される。
【0048】
対象物の設計データ331は、互いに接合されるべき一対の対象物については、一方の対象物の設計データ331のみがサーバ記憶部33に記憶され、勝手反対である他方の対象物の設計データはサーバ記憶部33に記憶されていなくてもよい。これにより、サーバ記憶部33の記憶容量を節約することができる。
【0049】
対象物の撮像画像200は、端末装置2のカメラ26により撮像されたものであり、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。静止画像である場合には、一つの対象物100について、異なる角度から撮像された複数の撮像画像200が記憶されていてもよい。
【0050】
なお、サーバ記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられていなくてもよく、サーバ記憶部33の一部または全部は、ネットワーク4を介してサーバ3と通信可能に接続された別の装置(たとえば不図示のストレージサーバ)内に設けられていてもよい。
【0051】
図1に示すように、サーバ制御部32は、画像取得部321と、距離取得部322と、表示制御部323と、比較部324と、合否判定部325とを有している。これらの各部は、サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0052】
画像取得部321は、端末装置2のカメラ26により撮像された対象物の撮像画像200を、端末装置2からネットワーク4を介して取得する。画像取得部321により取得された対象物の撮像画像200は、サーバ記憶部33に記憶される。
【0053】
距離取得部322は、端末装置2の距離センサ27により測定された、対象物100上に設けられた基準点101~103とカメラ26との間の距離D1~D3の情報を、端末装置2からネットワーク4を介して取得する。距離取得部322により取得された基準点とカメラとの間の距離D1~D3の情報は、サーバ記憶部33に記憶されてもよい。
【0054】
表示制御部323は、対象物の設計データ331をサーバ記憶部33から読み出し、当該設計データ331に基づいて対象物の3次元モデル300を生成する(
図4参照)。次いで、表示制御部323は、距離取得部322により取得された基準点とカメラとの間の距離D1~D3の情報に基づいて、対象物の3次元モデル300の大きさ及び向きを調整する。たとえば、3次元モデル300上における基準点301~303の相対位置関係(大きさおよび向き)と、距離取得部322により取得された基準点とカメラとの間の距離D1~D3の情報に基づいて特定される対象物100上における基準点101~103の相対位置関係(大きさおよび向き)との差異を算出し、当該差異がゼロになるように(すなわち、3次元モデル300上における基準点301~303の相対位置関係が、カメラ26の位置から見たときの対象物100上における基準点101~103の相対位置関係と一致するように)、対象物の3次元モデル300の大きさを拡大または縮小するとともに向きを回転させる。
【0055】
サーバ記憶部33に記憶された設計データ331が対象物の勝手反対の設計データである場合には、表示制御部323は、勝手反対の設計データ331に基づいて3次元モデル300を生成したのち、距離取得部322により取得された基準点とカメラとの間の距離D1~D3の情報に基づいて、当該3次元モデル300を勝手反対に変換するとともに、勝手反対に変換された後の3次元モデル300の大きさ及び向きを調整してもよい。
【0056】
そして、表示制御部323は、大きさおよび向きが調整された後の対象物の3次元モデル300の情報を、ネットワーク4を介して端末装置2へ送信し、
図5Aに示すように、端末表示部27に表示された撮像画像200上に3次元モデル300を重ねて表示させる。このとき、3次元モデル300の大きさおよび向きは、カメラ26の位置から見たときの対象物100の大きさおよび向きと一致するように、距離取得部322により取得された基準点とカメラとの間の距離D1~D3の情報に基づいて調整済みであるため、対象物100に対するカメラ26の相対的な位置姿勢(視線位置および視線方向)の情報をユーザが入力しなくても、製品の撮像画像200に3次元モデル300を自動で重ねて表示することができる。
【0057】
端末表示部27において、対象物の3次元モデル300は、線で表すパターンと、実写で表すパターンとを選択して表示できるようになっていてもよい。3次元モデル300が線で表すパターンの場合には、対象物の撮像画像200に3次元モデル300が重ねて表示されていても、当該3次元モデル300が対象物の表面(外観)を隠してしまうことがないので、対象物100の溶接外観および/または塗装外観を判定することが可能となる。サーバ制御部32は、対象物の撮像画像200に基づいて、対象物100の溶接外観および/または塗装外観を画像認識により合否判定する第2合否判定部(不図示)を有していてもよい。第2合否判定部における合否判定の判定基準は、たとえば、溶接脚長、長さ、幅の不揃い、クレータ、アンダーカット、スパッタなどであってもよい。
【0058】
端末装置2がサーバ3から受信した対象物の3次元モデル300の情報は、端末記憶部23に記憶されてもよい。端末記憶部23に記憶される3次元モデルは、実際の対象物100の公差(すなわち、後述する実際の対象物100の寸法と設計データ331上での寸法との間の寸法差Δ)が反映されたものであってもよい。端末記憶部23に3次元モデル300の情報が記憶されることで、
図5Bに示すように、対象物の3次元モデル300をサーバ3から離れたところにある据付現場でも据付基準の設定により端末表示部25に表示でき、据付誤差、組立間違えを検出することが可能となる。また、端末表示部25に表示された3次元モデル300は端末入力部24からのユーザの入力操作により端末表示部25上で移動可能であってもよい。これにより、据付時の吊り込み動線の確認、現地組み立ての取り合い確認に活用できる。また、製品の受入検査時に製品を再検査することにより、完成時の3次元モデル300と比較して、輸送時の損傷、変形を確認することができる。
【0059】
比較部324は、画像認識により3次元モデル300の輪郭線と撮像画像200の輪郭線との比較を行う。ここで、輪郭線とは、3次元モデル300または撮像画像200とその背景との間の境界線であってもよいし、3次元モデル300または撮像画像200に含まれる稜線であってもよい。比較部324は、異なる角度から撮像された複数の撮像画像200を利用して3次元モデル300の輪郭線と撮像画像200の輪郭線との比較を行ってもよい。異なる角度から撮像された複数の撮像画像200を利用することで、稜線を抽出できない曲面についても、その曲面と背景との境界線を輪郭線として抽出して比較を行うことが可能となる。
【0060】
比較部324は、画像認識により3次元モデル300と撮像画像200との比較を行うことで、輪郭線の差異の他に、溶接外観、塗装や傷に関する外観の問題点を抽出してもよい。
【0061】
合否判定部325は、比較部324の比較結果に基いて実際の対象物100の寸法と設計データ331上での寸法との間の符号付きの寸法差Δ(
図5A参照)を測定し、当該寸法差Δが予め定められた許容範囲内であるか否かを判定する。ここで、寸法差Δの符号は、実際の対象物100の寸法が設計データ331上での寸法より大きければプラス、小さければマイナスであってもよいし、その逆であってもよい。そして、合否判定部325は、寸法差Δが許容範囲内であると判定された場合には、対象物100が単体として合格であると判定する。他方、合否判定部325は、寸法差Δが許容範囲外であると判定された場合には、対象物100が単体として不合格であると判定する。表示制御部323は、合否判定部325による合否の判定結果および該当部位の情報を端末装置2へと送信し、端末表示部25に表示させてもよい。
図5Aの符号251は、端末表示部25に表示された合否の判定結果を示している。また、
図5Bの符号300Xは、合否を判定された該当部位(たとえば不合格の部位)を示している。。寸法差Δや合否の判定結果はサーバ記憶部33に記憶されてもよい。
【0062】
また、合否判定部325は、
図6Aおよび
図6Bを参照し、互いに接合されるべき一対の対象物100a、100bの各々に対して単体として合格であると判定した場合に、一方の対象物100aについて測定された寸法差Δの符号と、他方の対象物100bについて測定された寸法差Δの符号とを比較する。
【0063】
そして、合否判定部325は、寸法差Δの符号が同じか異なるかに応じてペアとしての合否を判定する。具体的には、たとえば、寸法差の長短で打ち消し合って全長が許容範囲内となるような態様では、寸法差Δの符号が異なると判定された場合(すなわち、一方の対象物100aの寸法が設計データ331上での寸法差より大きく、他方の対象物100bの寸法が設計データ331上での寸法差より小さい場合)には、
図6Bに示すように、当該一対の対象物100a、100b同士を符号C1の箇所で接合する時と当該一対の対象物100a、100bの各々を符号C2、C3の箇所で他の対象物100cと接合する時の両方で問題が生じないから、当該一対の対象物100a、100bがペアとして合格であると判定する。
【0064】
他方、
図7Aおよび
図7Bを参照し、寸法差Δの符号が同じであると判定された場合には、当該一対の対象物100a、100bがペアとして不合格であると判定する。なぜなら、
図7Aを参照し、寸法差Δの符号が両方ともプラス(すなわち、一対の対象物100a、100bのどちらの寸法も設計データ331上での寸法差より大きい場合)には、当該一対の対象物100a、100b同士を符号C1の箇所で接合すると、当該一対の対象物100a、100bの各々を符号C2、C3の箇所で他の対象物100cと接合できなくなるからである。また、
図7Bを参照し、寸法差Δの符号が両方ともマイナス(すなわち、一対の対象物100a、100bのどちらの寸法も設計データ331上での寸法差より小さい場合)には、当該一対の対象物100a、100bの各々を符号C2、C3の箇所で他の対象物100cと接合すると、当該一対の対象物100a、100b同士を符号C1の箇所で接合できなくなるからである。
【0065】
別例として、平面位置の取り合いで同じ位置(符号)の公差となるような態様では、合否判定部325は、寸法差Δの符号が同じであると判定された場合には、当該一対の対象物100a、100bがペアとして合格であると判定し、寸法差Δの符号が異なると判定された場合には、当該一対の対象物100a、100bがペアとして不合格であると判定してもよい。表示制御部323は、合否判定部325によるペアでの合否の判定結果および該当部位の情報を端末装置2へと送信し、端末表示部25に表示させてもよい。ペアでの合否の判定結果はサーバ記憶部33に記憶されてもよい。
【0066】
次に、
図8を参照して、このような構成からなる情報処理システム1の動作の一例について説明する。
図8は、情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0067】
図8に示すように、まず、端末装置2のカメラ26が対象物100(
図2A参照)を撮像して撮像画像200(
図3参照)を生成し、サーバ3の画像取得部321が対象物の撮像画像200を端末装置2から取得する(ステップS10)。画像取得部321により取得された対象物の撮像画像200は、サーバ記憶部33に記憶される。
【0068】
次に、端末装置2の距離センサ27が対象物100上に設けられた基準点101~103とカメラ26のとの間の距離D1~D3(
図2A参照)を測定し、サーバ3の距離取得部322が当該測定された距離D1~D3の情報を端末装置2から取得する(ステップS11)。距離取得部322により取得された基準点とカメラとの間の距離D1~D3の情報は、サーバ記憶部33に記憶されてもよい。
【0069】
なお、
図8に示す例では、ステップS10の後にステップS11が行われているが、ステップS11の後にステップS10が行われてもよいし、ステップS10とステップS11とが同時に行われてもよい。
【0070】
次に、表示制御部323が、対象物の設計データ331をサーバ記憶部33から読み出し、当該設計データ331に基づいて対象物の3次元モデル300(
図4参照)を生成する(ステップS12)。
【0071】
そして、表示制御部323は、距離取得部322により取得された基準点とカメラとの間の距離D1~D3の情報に基づいて、対象物の3次元モデル300の大きさ及び向きを調整する(ステップS13)。
【0072】
次いで、表示制御部323は、大きさおよび向きが調整された後の対象物の3次元モデル300の情報を、端末装置2へ送信し、
図5Aに示すように、撮像画像200上に3次元モデル300を重ねて端末表示部27に表示させる(ステップS14)。このとき、3次元モデル300の大きさおよび向きは、カメラ26の位置から見たときの対象物100の大きさおよび向きと一致するように、基準点とカメラとの間の距離D1~D3の情報に基づいて調整済みであるため、対象物100に対するカメラ26の相対的な位置姿勢(視線位置および視線方向)の情報をユーザが入力しなくても、製品の撮像画像200に3次元モデル300を自動で重ねて表示することができる。
【0073】
次に、比較部324が、3次元モデル300の輪郭線と撮像画像200の輪郭線との比較を行う(ステップS15)。
【0074】
そして、合否判定部325が、比較部324の比較結果に基いて実際の対象物100の寸法と設計データ331上での寸法との間の符号付きの寸法差Δ(
図5A参照)を測定し(ステップS16)、当該寸法差Δが予め定められた許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS17)。
【0075】
ステップS17において、寸法差Δが許容範囲内であると判定された場合には、合否判定部325は、対象物100が単体として合格であると判定する(ステップS18)。
【0076】
他方、ステップS17において、寸法差Δが許容範囲外であると判定された場合には、合否判定部325は、対象物100が単体として不合格であると判定する(ステップS19)。
【0077】
さらに、合否判定部325は、互いに接合されるべき一対の対象物100a、100b(
図6Aおよび
図6B参照)の各々に対して、ステップS18において単体として合格であると判定した場合に、一方の対象物100aについて測定された寸法差Δの符号と、他方の対象物100bについて測定された寸法差Δの符号とを比較する(ステップS20)。
【0078】
ステップS20において、寸法差Δの符号が異なると判定された場合(すなわち、一方の対象物100aの寸法が設計データ331上での寸法差より大きく、他方の対象物100bの寸法が設計データ331上での寸法差より小さい場合)には、合否判定部325は、当該一対の対象物100a、100bがペアとして合格であると判定する(ステップS21)。
【0079】
他方、ステップS20において、
図7Aおよび
図7Bを参照し、寸法差Δの符号が同じであると判定された場合には、当該一対の対象物100a、100bがペアとして不合格であると判定する(ステップS22)。
【0080】
その後、表示制御部323は、合否判定部325による合否の判定結果および該当部位の情報を端末装置2へと送信し、端末表示部25に表示させてもよい。
図5Aの符号251は、端末表示部25に表示された合否の判定結果を示している。また、
図5Bの符号300Xは、合否を判定された該当部位(たとえば不合格の部位)を示している。
【0081】
以上のような本実施の形態によれば、撮像画像200上に3次元モデル300を重ねて表示する際に、対象物100上に設けられた基準点101~103とカメラ26との間の距離D1~D3が距離取得部322により取得され、当該基準点とカメラとの間の距離D1~D3に基づいて3次元モデル300の大きさ及び向きが表示制御部323により調整されるため、対象物100に対するカメラ26の相対的な位置姿勢(視線位置および視線方向)の情報をユーザが入力しなくても、製品の撮像画像200に3次元モデル300を自動で重ねて表示することが可能である。また、本実施の形態によれば、ユーザによる外部パラメータの入力操作が不要であるため、ユーザの熟練度に応じて重なり精度にバラツキが発生したりすることがなく、経験値の低いユーザであっても製品の撮像画像200に3次元モデル300に精度よく重ねて表示することができる。さらに、製造途中の加工前段階において物体の形状がまだ完成していない場合や、組立・据付確認時のように形状が完成している(組み上がっている)物体がその場に無い状態であっても、対象物100上に設けられた基準点101~103とカメラ26との間の距離D1~D3に基づいて3次元モデル300の大きさ及び向きが調整されることで、対象物の撮像画像200に対して3次元モデル300を適切に重ねて表示することができる。これにより、製作間違いの防止、製作精度の向上、補修などの出戻り作業の防止によるコスト削減、生産業務の効率化、自動化による検査短縮によるコストの削減、データ活用による輸送後の損傷チェック、据付精度の向上といった効果が得られる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態および変形例を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。また、各実施の形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0083】
また、本実施の形態に係る情報処理システム1は1つまたは複数のコンピュータによって構成され得るが、1つまたは複数のコンピュータに、情報処理システム1を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体も、本件の保護対象である。
【符号の説明】
【0084】
1 情報処理システム
2 端末装置
21 端末通信部
22 端末制御部
23 端末記憶部
24 端末入力部
25 端末表示部
251 判定結果
26 カメラ
27 距離センサ
3 サーバ
31 サーバ通信部
32 サーバ制御部
321 画像取得部
322 距離取得部
323 表示制御部
324 比較部
325 合否判定部
33 サーバ記憶部
331 設計データ
34 サーバ表示部
4 ネットワーク
5 ドローン
100、100a~100c 対象物
101~103 基準点
200 撮像画像
300 3次元モデル