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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20240411BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240411BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240411BHJP
   G10L 17/26 20130101ALI20240411BHJP
   G10L 25/15 20130101ALI20240411BHJP
【FI】
G08B27/00 C
G08B25/00 510Z
G06Q50/26
G10L17/26
G10L25/15
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020025636
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021131643
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福江 尚史
(72)【発明者】
【氏名】小西 啓介
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】特許第6603430(JP,B1)
【文献】特開2009-187334(JP,A)
【文献】特開2018-041499(JP,A)
【文献】特開2019-036201(JP,A)
【文献】特開2006-221555(JP,A)
【文献】特開2018-166945(JP,A)
【文献】特開2020-024530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0251830(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1924305(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00 - G08B 31/00
G06Q 50/26
G10L 17/26
G10L 25/15
H04B 7/24 - H04B 7/26
H04M 1/00
H04M 1/24 - H04M 3/00
H04M 3/16 - H04M 3/20
H04M 3/38 - H04M 3/58
H04M 7/00 - H04M 7/16
H04M 11/00 - H04M 11/10
H04M 99/00
H04W 4/00 - H04W 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭に設置されるユーザのスマートスピーカー及び避難所に設置されるスマートスピーカーとネットワークを介して通信可能に接続される制御装置であって、
前記ユーザの識別情報と当該ユーザのスマートスピーカーが設置される地域を示す情報と前記ユーザが携帯する装置の識別情報とを対応付けて記憶する記憶装置と、
警報の内容及び当該警報の対象となる地域の情報を含む防災情報を受信し、前記設置される地域が前記警報の対象となる地域に含まれる場合、前記ユーザのスマートスピーカーに前記警報の内容を再生させる防災情報配信部と、
前記避難所に設置されるアクセスポイントに接続された装置の識別情報を取得し、前記ユーザが携帯する装置の識別情報と一致した場合に、前記ユーザが前記避難所に避難したと判断する避難情報管理部と、
を備え、
前記防災情報配信部は、前記避難所に設置されるスマートスピーカーを介して前記避難所に避難した避難者の困りごと表す情報を収集すると共に、前記ユーザのスマートスピーカーに収集した前記困りごとを表す情報を出力させる
制御装置。
【請求項2】
前記避難情報管理部は、前記避難所に避難したと判断された前記ユーザに関する情報を、他のユーザのスマートスピーカーに出力させる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記避難所に設置されるスマートスピーカーは、前記避難所の受付に設置され、
前記避難所に設置されるスマートスピーカーに入力される音圧の強さに基づいて前記受付に形成された避難者の列の長さ、及び当該列の長さに基づく前記避難所の将来的な混雑の程度を推定し、前記ユーザのスマートスピーカーに、前記避難所の前記将来的な混雑の程度を出力させる
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
家庭に設置されるユーザのスマートスピーカー及び避難所に設置されるスマートスピーカーとネットワークを介して通信可能に接続される制御装置が実行するスマートスピーカーの制御方法であって、
警報の内容及び当該警報の対象となる地域の情報を含む防災情報を受信し、
前記ユーザの識別情報と当該ユーザのスマートスピーカーが設置される地域を示す情報と前記ユーザが携帯する装置の識別情報とを対応付けて記憶する記憶装置から、前記設置される地域が前記警報の対象となる地域に含まれるスマートスピーカーを抽出し、抽出された前記ユーザのスマートスピーカーに前記警報の内容を再生させ、
前記避難所に設置されるアクセスポイントに接続された装置の識別情報を取得し、前記ユーザが携帯する装置の識別情報と一致した場合に、前記ユーザが前記避難所に避難したと判断し、
前記避難所に設置されるスマートスピーカーを介して前記避難所に避難した避難者の困りごと表す情報を収集すると共に、前記ユーザのスマートスピーカーに収集した前記困りごとを表す情報を出力させる
制御方法。
【請求項5】
家庭に設置されるユーザのスマートスピーカー及び避難所に設置されるスマートスピーカーとネットワークを介して通信可能に接続される制御装置に、
警報の内容及び当該警報の対象となる地域の情報を含む防災情報を受信し、
前記ユーザの識別情報と当該ユーザのスマートスピーカーが設置される地域を示す情報と前記ユーザが携帯する装置の識別情報とを対応付けて記憶する記憶装置から、前記設置される地域が前記警報の対象となる地域に含まれるスマートスピーカーを抽出し、抽出された前記ユーザのスマートスピーカーに前記警報の内容を再生させ、
前記避難所に設置されるアクセスポイントに接続された装置の識別情報を取得し、前記ユーザが携帯する装置の識別情報と一致した場合に、前記ユーザが前記避難所に避難したと判断し、
前記避難所に設置されるスマートスピーカーを介して前記避難所に避難した避難者の困りごと表す情報を収集すると共に、前記ユーザのスマートスピーカーに収集した前記困りごとを表す情報を出力させる
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声認証の対象である対象者に関する情報を、音声認証を通じて管理することのできる情報管理サーバ等が提案されていた(例えば、特許文献1)。当該文献には、避難所に到着した避難者は、避難所端末に表示される案内に従って発声し、音声を避難所端末に入力すること、音声認証により避難者の本人確認を行い、名簿データを更新すること、予め登録された連絡先に向けて、避難者の所在を示す情報を発信すること等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-212915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、声紋を利用した音声認証により、避難者の本人確認を行う技術は提案していた。しかしながら、避難勧告等が発令されても避難せずに被災するようなケースが発生していた。そこで、本発明は、防災のための避難を支援する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る制御装置は、家庭に設置されるユーザのスマートスピーカーとネットワークを介して通信可能に接続される。また、制御装置は、ユーザの識別情報と当該ユーザのスマートスピーカーが設置される地域を示す情報とを対応付けて記憶する記憶装置と、警報の内容及び当該警報の対象となる地域の情報を含む防災情報を受信し、設置される地域が警報の対象となる地域に含まれる場合、ユーザのスマートスピーカーに警報の内容を再生させる防災情報配信部とを備える。
【0006】
このように、スマートスピーカーが設置される地域を予め記憶させておくことにより、警報の対象となる地域に存在するスマートスピーカーを特定することができ、ユーザに避難を促すことができるようになる。すなわち、防災のための避難を支援することができる。
【0007】
また、記憶装置は、ユーザの識別情報と対応付けてユーザが携帯する装置の識別情報をさらに記憶し、制御装置は、避難所に設置されるアクセスポイントに接続された装置の識別情報を取得し、ユーザが携帯する装置の識別情報と一致した場合に、ユーザが避難所に避難したと判断する避難情報管理部をさらに備えるようにしてもよい。このようにすれば、避難所において避難者の受け付けに要する労力を削減することができる。
【0008】
また、避難情報管理部は、避難所に避難したと判断されたユーザに関する情報を、他のユーザのスマートスピーカーに出力させるようにしてもよい。避難所の状況を案内することにより、ユーザに避難を促すことができるようになる。
【0009】
また、制御装置は、避難所に設置されるスマートスピーカーとネットワークを介してさらに接続され、防災情報配信部は、避難所に設置されるスマートスピーカーを介して避難所に避難した避難者の困りごと表す情報を収集すると共に、ユーザのスマートスピーカー
に収集した困りごとを表す情報を出力させるようにしてもよい。このようにすれば、避難前のユーザは、避難所の状況を把握し、備えることができるようになる。
【0010】
また、避難所に設置されるスマートスピーカーは、避難所の受付に設置され、制御装置は、避難所に設置されるスマートスピーカーに入力される音圧の強さに基づいて受付に形成された避難者の列の長さ、及び当該列の長さに基づく避難所の将来的な混雑の程度を推定し、ユーザのスマートスピーカーに、避難所の将来的な混雑の程度を出力させるようにしてもよい。このようにすれば、避難前のユーザは、避難所の混雑の状況を把握し、備えることができるようになる。
【0011】
複数の避難所について、将来的な混雑の程度を推定し、ユーザのスマートスピーカーが設置された地域に対応付けられた避難所が複数存在する場合、将来的な混雑の程度が小さい避難所を、ユーザのスマートスピーカーに出力させるようにしてもよい。周辺に避難所が複数存在する場合には、避難前のユーザは空いている避難所を選択できるようになる。
【0012】
なお、課題を解決するための手段に記載の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。また、課題を解決するための手段の内容は、コンピュータ等の装置若しくは複数の装置を含むシステム、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログラムとして提供することができる。なお、プログラムを保持する記録媒体を提供するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
防災のための避難を支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、ユーザに関する情報の一例を示す図である。
図4図4は、ユーザに関する情報の他の例を示す図である。
図5図5は、家庭側に設置される装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、避難所側に設置される装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、避難所のスマートスピーカーが実行する受付処理の一例を示す処理フロー図である。
図8図8は、制御装置が収集する避難者の情報の一例を示す図である。
図9図9は、家庭のスマートスピーカーが実行する避難支援処理の一例を示す処理フロー図である。
図10図10は、防災情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。図1のシステム1は、スマートスピーカーを制御する制御装置2と、ユーザの自宅30内及び避難所40にそれぞれ設置されるスマートスピーカー3と、ユーザが携帯するスマートフォン等のユーザ装置4と、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントとして機能するルータ5と、避難所に設けられるコンピュータである避難所装置6とを含み、これらの構成要素が、ネットワーク7を介して通信可能に接続されている。なお、システムを構成する装置の数は、図1の例には限定されない。ネットワーク7は、有線又は無線で接続される電気通信回線網であり、例えばインターネット網やいわゆるキャリア網を含む。
【0017】
なお、指定緊急避難場所や、指定避難所を、本実施形態においては単に「避難所」と呼ぶものとする。また、スマートスピーカーとは、いわゆるクラウドサーバと接続され、対話型の音声操作によりクラウドサーバが提供する機能やスマートスピーカーと接続される他の装置の操作を行うことができるスピーカーである。ユーザの自宅30に設置されるスマートスピーカー3は、通常は一般的なスマートスピーカーとして機能し、気象警報や地震速報が発令された場合には、制御装置2と連携して防災に関する情報を出力することができる。また、避難所40に設置されるスマートスピーカー3は、例えば避難所40の受付において、避難者であるユーザから情報の入力を受け、制御装置2へ送信する。
【0018】
また、避難所40において提供されるネットワークにユーザがユーザ装置4を接続した場合、避難所装置6又は避難所のスマートスピーカー3がネットワークに接続しているユーザ装置4の識別情報を取得し、制御装置2へ送信するようにしてもよい。制御装置2は予め登録されているユーザ装置4の識別情報と、避難所40のネットワークに接続された機器の識別情報とが一致する場合、ユーザ装置4の所有者であるユーザが避難所40に避難したと判断できる。なお、制御装置2は、避難所に設置されるスマートスピーカー3の識別情報と、当該避難所が指定避難所又は指定緊急避難場所に指定されているユーザの一覧とを対応付けて予め記憶していてもよい。
【0019】
<制御装置>
図2は、制御装置2の構成の一例を示すブロック図である。制御装置2は、一般的なサーバであり、通信インターフェース(I/F)21と、記憶装置22と、入出力装置23と、プロセッサ24とを備えている。通信I/F21は、例えばネットワークカードや通信モジュールであり、所定のプロトコルに基づき、ネットワーク7を介して他のコンピュータと通信を行う。記憶装置22は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の主記憶装置、及びHDD(Hard-Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置(二次記憶装置)である。主記憶装置は、プロセッサ24が読み出すプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報を一時的に記憶したり、プロセッサ24の作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサ24が実行するプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報等を記憶する。例えば、家庭のスマートスピーカー3の識別情報と対応付けて、当該スマートスピーカー3が設置される地域を表す情報を記憶する。また、気象警報や注意報、地震情報(震度速報)、避難所のスマートスピーカー3を介して収集した情報が記憶される。入出力装置23は、例えば、キーボード、マウス等の入力装置、モニタ等の出力装置、タッチパネルのような入出力装置等のユーザインターフェースである。プロセッサ24は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置であり、プログラムを実行することにより本実
施形態に係る各処理を行う。図2の例では、プロセッサ24内に機能ブロックを示している。すなわち、プロセッサ24は、例えば所定のプログラムを実行することにより、ユーザ管理部241、防災情報配信部242、避難情報管理部243及び混雑予測部244として機能する。
【0020】
ユーザ管理部241は、ユーザに関する情報をスマートスピーカー3又はユーザ装置4から取得し、ユーザの識別情報と対応付けて記憶装置22に記憶させる。ユーザに関する情報は、ユーザのスマートスピーカー3が設置される地域を表す情報や、ユーザ装置4のMAC(Media Access Control)アドレスやBD(Bluetooth(登録商標)Device)アド
レス等の識別情報を含む。
【0021】
図3は、ユーザに関する情報の一例を示す図である。図3のテーブルは、スピーカーID、設置場所、ユーザIDの各属性を含む。スピーカーIDのフィールドには、ユーザのスマートスピーカー3を一意に特定するための識別情報が登録される。設置場所のフィー
ルドには、ユーザのスマートスピーカー3を設置する、例えばユーザの自宅が位置する地域が登録される。地域は、例えば、スマートスピーカー3の使用開始時に郵便番号を入力させ、入力された郵便番号又はこれに対応する地域を示す情報を登録する。また、ユーザIDのフィールドには、ユーザを一意に特定するための識別情報が登録される。なお、スマートスピーカー3を共有する複数のユーザのユーザIDが対応付けられるようにしてもよい。説明の便宜上、1つのレコードに複数のユーザIDを記憶させているが、データベースは、適宜正規化又は非正規化して実装することができる。例えば、制御装置2のユーザ管理部241は、ユーザのスマートスピーカー3又はユーザ装置4からネットワーク7を介して図3に示すような情報を取得し、予め記憶装置22に記憶させておくものとする。
【0022】
図4は、ユーザに関する情報の他の例を示す図である。図4のテーブルは、ユーザID、端末IDの各属性を含む。ユーザIDのフィールドには、ユーザを一意に特定するための識別情報が登録される。端末IDのフィールドには、MACアドレスやBDアドレス等、所定の通信プロトコルにおいて装置を特定することができる識別情報が登録される。例えば、制御装置2のユーザ管理部241は、ユーザのスマートスピーカー3又はユーザ装置4からネットワーク7を介して図4に示すような情報を取得し、予め記憶装置22に記憶させておくものとする。なお、ユーザIDと対応付けてユーザの氏名や住所等の情報をさらに記憶するようにしてもよい。
【0023】
防災情報配信部242は、例えば外部装置から、気象警報や注意報、地震情報等の防災情報を取得し、ユーザのスマートスピーカー3へ送信して出力させる。防災情報は、警報などが発令された対象の地域を示す情報を含み、防災情報は対象の地域に設置されたスマートスピーカー3へ送信される。なお、例えば制御装置2とスマートスピーカー3との間の通信は、送信側装置からリクエストが開始されるプッシュ型の通信方式であってもよいし、受信側装置からリクエストが開始されるプル型の通信方式であってもよい。
【0024】
避難情報管理部243は、避難所に設置されたスマートスピーカー3又は避難所装置6から、当該避難所に避難している避難者の情報を取得し、記憶装置22に記憶させる。避難所のスマートスピーカー3は、例えば避難所の受付に設置され、例えば音声による対話形式で避難者の受付を行う。例えば、避難所のスマートスピーカー3を介して避難者の氏名、住所、困り事、他社に伝えたい事などを取得し、記憶装置22に記憶させる。このとき、予め記憶装置に記憶されている家庭側のスマートスピーカー3のユーザと避難者とを対応付けるようにしてもよい。また、避難者が自己のスマートフォンなどの携帯端末を避難所の通信ネットワークのアクセスポイントに接続した場合、接続された携帯端末の識別情報に基づいて避難者であるユーザを特定することにより、避難所への受付処理をするようにしてもよい。
【0025】
混雑予測部244は、避難所の受付に設置されたスマートスピーカー3に入力される音圧の強さに基づいて、受付に形成された避難者の列の長さを推定する。また、受付に形成された避難者の列の長さ、及び当該列の長さとすでに受付けを済ませた避難者の数に基づいて、避難所の将来的な混雑の程度を推定する。そして、ユーザのスマートスピーカー3に、避難所の将来的な混雑の程度を示す情報を出力させる。
【0026】
以上のような構成要素が、バス25を介して接続されている。
【0027】
<スマートスピーカー>
図5は、家庭側に設置される装置の構成の一例を示すブロック図である。図6は、避難所側に設置される装置の構成の一例を示すブロック図である。ユーザの自宅に設置されるスマートスピーカー3及び避難所の受付に設置されるスマートスピーカー3は、通信I/
F31と、記憶装置32と、入力装置33と、出力装置34と、プロセッサ35とを備えている。通信I/F31は、例えば通信モジュールであり、所定のプロトコルに基づき、ネットワーク7を介して他のコンピュータと通信を行う。記憶装置32は、RAMやROM等の主記憶装置、及びHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置である。主記憶装置は、プロセッサが読み出したプログラムやデータを一時的に記憶したり、プロセッサの作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサが実行するプログラムや、他の装置との間で送受信される情報等を記憶する。また、記憶装置32には、本実施形態に係る処理を実行させるためのアプリケーションプログラムが記憶されるものとする。入力装置33は、マイクロフォン等のユーザインターフェースである。出力装置34は、スピーカー等のユーザインターフェースである。プロセッサ35は、CPU等の演算処理装置であり、プログラムを実行することにより本実施の形態に係る各処理を行う。スマートスピーカー3においても、プロセッサ35内に機能ブロックを示している。すなわち、プロセッサ35は、所定のプログラムを実行することにより、例えば、入力処理部351、及び出力処理部352として機能する。
【0028】
入力処理部351は、入力装置33を介して音声の入力を受け、通信I/F31を介して制御装置2へ送信する。なお、入力処理部351は、音声認識や認識されたテキストの形態素解析などのような音声の解析処理を行い、通信I/F31を介して解析結果を制御装置2へ送信するようにしてもよい。
【0029】
出力処理部352は、通信I/F31を介して制御装置2から出力情報を受信し、出力装置34を介して音声を出力する。出力処理部352は、音声合成を生成するようにしてもよい。また、スマートスピーカー3が避難所において使用される場合は、出力装置34を介して避難者に対し所定の質問を再生するようにしてもよい。
【0030】
以上のような構成要素が、バス35を介して接続されている。
【0031】
<ユーザ装置>
ユーザ装置4は、スマートフォン等のコンピュータであり、通信I/F41と、記憶装置42と、入出力装置43と、プロセッサ44とを備えている。通信I/F41は、例えば通信モジュールであり、所定のプロトコルに基づき、ネットワーク7を介して他のコンピュータと通信を行う。記憶装置42は、RAMやROM等の主記憶装置、及びHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置である。主記憶装置は、プロセッサ44が読み出すプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報を一時的に記憶したり、プロセッサ44の作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサ44が実行するプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報等を記憶する。入出力装置43は、例えばタッチパネルのようなユーザインターフェースである。プロセッサ44は、CPU等の演算処理装置であり、プログラムを実行することにより本実施形態に係る各処理を行う。ユーザ装置4についても、プロセッサ44内に機能ブロックを示している。すなわち、プロセッサ44は、例えば所定のプログラムを実行することにより、通信処理部441として機能する。
【0032】
通信処理部441は、通信I/F41を介してルータ5又はスマートスピーカー3と接続し、所定の通信を行う。
【0033】
以上のような構成要素が、信号線45を介して接続されている。
【0034】
<避難所装置>
図6に示す避難所装置6は、PC(Personal Computer)やサーバ等の一般的なコンピ
ュータであり、通信I/F61と、記憶装置62と、入出力装置63と、プロセッサ64
とを備えている。通信I/F61は、例えばネットワークカードや通信モジュールであり、所定のプロトコルに基づき、ネットワーク7を介して他のコンピュータと通信を行う。記憶装置62は、RAMやROM等の主記憶装置、及びHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置である。主記憶装置は、プロセッサ64が読み出すプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報を一時的に記憶したり、プロセッサ64の作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサ64が実行するプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報等を記憶する。入出力装置63は、例えば、キーボード、マウス等の入力装置、モニタ等の出力装置、タッチパネルのような入出力装置等のユーザインターフェースである。プロセッサ64は、CPU等の演算処理装置であり、プログラムを実行することにより本実施形態に係る各処理を行う。避難所装置6についても、プロセッサ64内に機能ブロックを示している。すなわち、プロセッサ64は、例えば所定のプログラムを実行することにより、接続装置管理部641として機能する。
【0035】
接続装置管理部641は、例えば避難所のルータ5に接続している通信機器のMACアドレスをルータ5から取得し、制御装置2へ送信する。
【0036】
以上のような構成要素が、バス65を介して接続されている。
【0037】
<受付処理>
図7は、避難所のスマートスピーカーが実行する受付処理の一例を示す処理フロー図である。受付処理は、避難所において避難者を受け入れる際に行われる処理である。避難所のスマートスピーカー3の入力処理部351及び出力処理部352は、例えば音声対話により、避難者の受付けを行う(図7:S1)。本ステップでは、避難者の氏名、住所、世帯の人数等を対話形式で取得する。なお、スマートスピーカー3は、例えばBluetoothで
接続される端末のBDアドレスを取得し、通信I/F31を介して制御装置2へ送信するようにしても良い。
【0038】
また、避難所装置6の接続装置管理部641は、避難者に開放されたアクセスポイントに接続している端末の情報を避難所のルータ5から取得し、通信I/F61を介して制御装置2へ送信する(図7:S2)。本ステップでは、例えばルータ5に接続している端末をスキャンし、MACアドレスを取得して接続装置管理部641へ送信する。例えば、ローカルネットワークに割り当てられるIPアドレスの範囲をスキャンし、ARP(Address Resolution Protocol)リクエストに対する返答でMACアドレスが取得できた場合、
取得できたMACアドレスを避難所に存在する端末のリストに追加する。S2においては、このようにして作成されるリストが制御装置2へ送信される。
【0039】
一方、制御装置2の避難情報管理部243は、避難者を登録する(図7:S3)。本ステップでは、S1において受け付けたユーザの氏名等のリストを作成するようにしても良い。また、S2において取得した端末の識別情報に基づいて、図3に示したようなテーブルを用いて端末の識別情報から避難所に避難した、端末の所有者であるユーザを特定し、ユーザの識別情報のリストを作成するようにしても良い。また、S1において取得された情報と、S2において取得された情報とを対応付けて記憶するようにしてもよい。
【0040】
また、避難所のスマートスピーカー3の入力処理部351及び出力処理部352は、例えば音声対話により、避難者の困り事や、他の人に伝えたいこと等を取得し、通信I/F3を介して制御装置2へ送信する(図7:S4)。なお、質問の内容は、予め制御装置2に記憶させられているものとする。また、取得した情報は、例えば所定の形式で圧縮した音声データとして送受信される。
【0041】
一方、制御装置2の避難情報管理部243は、避難者の困り事などを受信し、記憶装置
22に記憶させる(図7:S5)。本ステップでは、避難情報管理部243は、受信した音声データをそのまま記憶させるようにしても良いし、既存の音声認識技術を利用して音声データを文字列に変換したり、さらに形態素解析を用いて所定の品詞を抽出して記憶させるようにしてもよい。
【0042】
図8は、制御装置2が収集する避難者の情報の一例を示す図である。図8のテーブルは、ユーザID、端末ID、氏名、住所、困ったこと、他の人に伝えたいことの各属性を含む。ユーザIDのフィールドには、ユーザを一意に特定するための識別情報が登録される。端末IDのフィールドには、例えばS2において端末が検出された場合、ユーザ装置を一意に特定するための識別情報が登録される。氏名のフィールドには、例えばS1において音声対話で受け付けされた避難者の氏名が登録される。また、住所のフィールドには、例えばS1において音声対話で受け付けされた避難者の住所が登録される。困り事のフィールドには、例えばS4において音声対話で受け付けされた避難者の困り事が登録される。他の人に伝えたいことのフィールドには、例えばS4において音声対話で受け付けされた他の人に伝えたいことが登録される。
【0043】
また、避難所のスマートスピーカー3の入力処理部351は、さらに周囲の音声を取得し、通信I/F3を介して制御装置2へ送信する(図7:S6)。本ステップでは、入力処理部351は、避難者との対話を行っていない期間においてスマートスピーカー3が設置された受付の周囲の音声を取得し、制御装置2へ送信する。
【0044】
一方、制御装置2の混雑予測部244は、スマートスピーカー3が取得した音声に基づいて避難所の混雑状況を予測し、記憶装置22に記憶させる(図7:S7)。本ステップでは、例えば一般的なスマートスピーカーが備えるマイクロフォンの感度及びアンプ利得、取得された音声の電圧波形のデータを用いて、音圧を算出する。そして、音圧が大きいほど当該避難所の受付に形成された避難者の行列が長いものと推定し、推定された行列の長さと、既に受け付けを済ませて避難所に避難している人数とに基づいて、当該避難所の将来的な混雑の程度を求める。例えば、避難所ごとに収容可能な人数を予め記憶装置22に記憶させておき、収容可能人数に対する避難者の数の割合を求めてもよい。
【0045】
なお、避難所のスマートスピーカー3の出力制御部352は、上述した受付処理と並行して、トイレ等の設備の情報や、支援物資の配給に関する情報等を案内し続けるようにしてもよい。
【0046】
<効果>
以上のような受付処理によれば、受付を省力化できると共に、避難所における案内を徹底させることができる。
【0047】
<避難支援処理>
図9は、家庭のスマートスピーカーが実行する避難支援処理の一例を示す処理フロー図である。制御装置2の防災情報配信部242は、他の装置から所定の防災情報を取得する(図9:S11)。本ステップでは、例えば気象庁が発表する気象警報や注意報、地震情報等の防災情報を取得する。また、防災情報は、警報等の対象となっている区域を示す情報を含むものとする。
【0048】
図10は、防災情報の一例を示す図である。図10のテーブルは、警報、対象区域、警戒レベルの各属性を含む。防災情報は、警報のフィールドには、気象警報や地震動警報、高潮警報等の警報の種類が登録される。対象区域のフィールドには、警報の対象となった予報区を示す情報が登録される。警戒レベルのフィールドには、警報の種類に相当する警戒レベルを表す情報が登録される。なお、自治体から避難準備や避難勧告、避難指示、避
難命令等の避難情報が発令されている場合は、さらに避難情報を登録するようにしてもよい。
【0049】
また、防災情報配信部242は、防災情報の対象区域に存在する家庭のスマートスピーカー3を抽出する(図9:S12)。本ステップでは、例えば図3に示したようなテーブルを検索し、設置場所が警報等の対象地域に含まれるスマートスピーカー3の識別情報を抽出する。
【0050】
また、防災情報配信部242は、防災情報に関連して通知すべき情報を記憶装置22から読み出す(図9:S13)。例えば警報の種類に対応付けて、避難時の携行品や注意事項に関する一般的なアドバイスが記憶装置22に記憶されており、本ステップでは、警報の種類に対応する情報が読み出されるものとする。
【0051】
また、防災情報配信部242は、S12において抽出されたスマートスピーカー3の設置場所に対応する避難所の情報を記憶装置22から読み出す(図9:S14)。なお、自治体が指定緊急避難場所、指定避難所を指定した場合に、予めこれらの情報が記憶装置22にコピーされるものとする。そして、本ステップでは、スマートスピーカー3の設置場所が属する地区の避難所を読み出す。
【0052】
そして、防災情報配信部242は、S11、S13及びS14において読み出した防災情報等を、S12において抽出したスマートスピーカー3に出力させる(図9:S15)。一方、ユーザのスマートスピーカー3の出力処理部352は、指示を受信し(図9:S16)、メッセージを出力する(図9:S17)。
【0053】
例えば、S11で取得した防災情報に応じて「〇市〇町に大雨警報が発表されました」、「洪水警報が発表されました。避難勧告が発令されました」等のメッセージを音声で出力させるための情報を送信する。また、S14で抽出した避難所情報に応じて、例えば「避難所は〇小学校です」等のメッセージを音声で出力させてもよい。また、S13で抽出した通知情報に応じて、例えば「~の携行をお勧めします」等のメッセージを音声で出力させてもよい。
【0054】
<効果>
以上のような避難支援処理によれば、災害が発生するおそれがある場合に、速やかに情報を伝達し、状況に応じて避難を促すことができる。家庭のスマートスピーカーは、一般的に外出時に持ち歩くものではない。したがって、スマートスピーカーを設置する地域を初期的に設定しておけば、当該地域に適した情報を出力させることができる。
【0055】
<変形例>
制御装置2の防災情報配信部242は、S14において、既に避難所に避難している人物の情報をユーザのスマートスピーカー3にさらに出力させるようにしてもよい。例えば、図3に示したスピーカーの一覧において同一のスピーカーIDに対応付けられた複数のユーザIDの一部が、図8に示す避難者の一覧に存在する場合、当該スピーカーに当該ユーザが既に避難している旨のメッセージを出力させるようにしてもよい。また、制御装置2に予め知人のユーザIDを登録させておき、知人がすでに避難している旨のメッセージを出力させるようにしてもよい。
【0056】
制御装置2の防災情報配信部242は、S14において、避難者の困り事や他の人に伝えたいことをユーザのスマートスピーカー3にさらに出力させるようにしてもよい。例えば、受付処理(図7:S5)において収集された音声をそのまま再生させるようにしてもよい。また、例えば、収集された音声データを既存の音声認識技術によりテキスト化し、
形態素解析して品詞に分解した情報を統計解析し、困り事や他の人に伝えたいことを抽出するようにしてもよい。
【0057】
ユーザのスマートスピーカー3の設置場所の周辺に複数の避難所が存在する場合、制御装置2の防災情報配信部242は、S14において各避難所の混雑の程度をユーザのスマートスピーカー3に出力させるようにしてもよい。すなわち、受付処理(図7:S7)において予測された混雑状況を出力する。
【0058】
<その他>
なお、上述した構成は一例であり、本発明は例示した構成に限定されない。上述した事項は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
【0059】
また、本発明は上述の処理を実行するコンピュータプログラムを含む。さらに、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に属する。当該プログラムが記録された記録媒体については、コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、上述の処理が可能となる。
【0060】
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータから取り外し可能なものとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記録媒体としては、ハードディスクドライブやROM等がある。
【符号の説明】
【0061】
1 システム
2 制御装置
22 記憶装置
23 入出力装置
24 プロセッサ
241 ユーザ管理部
242 防災情報配信部
243 避難情報管理部
244 混雑予測部
3 スマートスピーカー
4 ユーザ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10