(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】カプセル検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
G01N21/85 A
(21)【出願番号】P 2020042151
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000228110
【氏名又は名称】クオリカプス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】池内 亨輔
(72)【発明者】
【氏名】吉元 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 崇
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-006730(JP,U)
【文献】特開平10-305260(JP,A)
【文献】特開平10-288583(JP,A)
【文献】特開平11-248635(JP,A)
【文献】特開2015-152392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/85
G01G 17/04
G01G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルの質量検査を行う質量検査部と、カプセルの外観検査を行う外観検査部と、前記質量検査部および前記外観検査部の検査結果に基づいてカプセルの良否を判別する良否判別部とを備え、
前記質量検査部は、計量皿に載置されたカプセルの質量を測定する計量装置と、前記計量皿にカプセルを搬送する質量検査用ローラとを備え、
前記外観検査部は、カプセルを撮像する少なくとも1つの撮像装置と、前記撮像装置の撮像位置にカプセルを搬送する少なくとも1つの外観検査用ローラとを備えており、
前記質量検査用ローラおよび前記外観検査用ローラは、外周面にカプセルを収容する複数のポケットを有し、いずれか一方から他方に向けてカプセルを供給するように配置されて
おり、
前記外観検査部は、カプセルを軸方向一方側が露出するように前記ポケット内に起立状態で収容する第1の外観検査用ローラと、第1の外観検査用ローラから供給されたカプセルを軸方向他方側が露出するように前記ポケット内に起立状態で収容する第2の外観検査用ローラと、前記第1の外観検査用ローラおよび第2の外観検査用ローラにより搬送されるカプセルをそれぞれ撮像する第1の撮像装置および第2の撮像装置とを備え、
前記外観検査部は、第2の外観検査用ローラの搬送方向下流側に配置された第3の外観検査用ローラと、前記第3の外観検査用ローラにより搬送されるカプセルの全周を撮像する第3の撮像装置とを備え、
前記第3の外観検査用ローラは、カプセルを軸方向が回転軸と平行になるように横倒し状態で収容するポケットを外周面に有しており、前記ポケット内のカプセルを撮像位置で回転させるように構成され、
前記質量検査用ローラは、前記第2の外観検査用ローラと前記第3の外観検査用ローラとの間に配置されており、カプセルを軸方向が回転軸と平行になるように横倒し状態で収容するポケットを外周面に有するカプセル検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル検査装置に関し、より詳しくは、カプセルの質量および外観を検査するカプセル検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードカプセルの質量検査を行う装置として、例えば特許文献1に開示された構成が知られている。特許文献1の重量検査装置は、搬送部、計量部および制御部を備えており、ホッパに投入されたカプセルが、搬送部により計量部に間欠的に供給されて質量が計測される。
【0003】
また、ハードカプセルの外観検査を行う装置として、例えば特許文献2に開示された構成が知られている。特許文献2の外観検査装置は、ホッパに投入されたカプセルが、複数のドラムにより方向規制が行われながら順次搬送されて、横倒しの状態で検査ドラムのポケットに収容される。ポケット内のカプセルは、検査ドラムの間欠駆動により撮像位置まで搬送された後、自転ローラとの接触により回転することで全周が撮像される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-181097号公報
【文献】特開平10-288583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の重量検査装置および外観検査装置は、両者の間にバケットリフト等を配置することで、カプセルの質量検査を行った後に外観検査を自動で行うことが可能になるが、質量検査および外観検査をそれぞれの装置が独立して行うために、製造コストや設置スペースが過大になるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、低コストでコンパクトな構成によりカプセルの質量および外観を検査することができるカプセル検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、カプセルの質量検査を行う質量検査部と、カプセルの外観検査を行う外観検査部と、前記質量検査部および前記外観検査部の検査結果に基づいてカプセルの良否を判別する良否判別部とを備え、前記質量検査部は、計量皿に載置されたカプセルの質量を測定する計量装置と、前記計量皿にカプセルを搬送する質量検査用ローラとを備え、前記外観検査部は、カプセルを撮像する少なくとも1つの撮像装置と、前記撮像装置の撮像位置にカプセルを搬送する少なくとも1つの外観検査用ローラとを備えており、前記質量検査用ローラおよび前記外観検査用ローラは、外周面にカプセルを収容する複数のポケットを有し、いずれか一方から他方に向けてカプセルを供給するように配置されており、前記外観検査部は、カプセルを軸方向一方側が露出するように前記ポケット内に起立状態で収容する第1の外観検査用ローラと、第1の外観検査用ローラから供給されたカプセルを軸方向他方側が露出するように前記ポケット内に起立状態で収容する第2の外観検査用ローラと、前記第1の外観検査用ローラおよび第2の外観検査用ローラにより搬送されるカプセルをそれぞれ撮像する第1の撮像装置および第2の撮像装置とを備え、前記外観検査部は、第2の外観検査用ローラの搬送方向下流側に配置された第3の外観検査用ローラと、前記第3の外観検査用ローラにより搬送されるカプセルの全周を撮像する第3の撮像装置とを備え、前記第3の外観検査用ローラは、カプセルを軸方向が回転軸と平行になるように横倒し状態で収容するポケットを外周面に有しており、前記ポケット内のカプセルを撮像位置で回転させるように構成され、前記質量検査用ローラは、前記第2の外観検査用ローラと前記第3の外観検査用ローラとの間に配置されており、カプセルを軸方向が回転軸と平行になるように横倒し状態で収容するポケットを外周面に有するカプセル検査装置により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカプセル検査装置によれば、低コストでコンパクトな構成によりカプセルの質量および外観を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカプセル検査装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示すカプセル検査装置の要部を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図1に示すカプセル検査装置のブロック図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係るカプセル検査装置の要部を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカプセル検査装置の概略構成図である。
図1に示すカプセル検査装置1は、投入ホッパー2に投入されて供給ホッパ3から供給されたカプセルの外観検査を行う外観検査部4と、カプセルの質量検査を行う質量検査部5とを備えている。
【0013】
外観検査部4は、カプセルを撮像するラインセンサカメラ等からなる第1の撮像装置11、第2の撮像装置21および第3の撮像装置51と、これらの撮像装置11,21,51の撮像位置にカプセルを搬送する第1の外観検査用ローラ10、第2の外観検査用ローラ20および第3の外観検査用ローラ50とを備えている。
【0014】
質量検査部5は、計量皿44に載置されたカプセルの質量を測定する計量装置43と、計量皿44にカプセルを搬送する質量検査用ローラ40とを備えている。
【0015】
図2は、
図1に示すカプセル検査装置の要部を模式的に示す断面図である。第1の外観検査用ローラ10は、検査対象となるカプセル100が収容されるポケット12が、外周面の周方向に沿って等間隔に複数形成されている。カプセル100は、ボディ101およびキャップ102を備えるハードカプセルであり、ボディ101にキャップ102を外嵌することにより、粉状や液状の薬剤、食品等を収容することができる。カプセル100は、内容物を収容した状態であってもよく、あるいは、内容物を収容しない空の状態であってもよい。
【0016】
ポケット12は、第1の外観検査用ローラ10の外周面から径方向内方に延びるように形成されており、供給ホッパ3(
図1参照)の供給位置において、カプセル100が矢示Aで示すように軸方向(ボディ101とキャップ102との嵌合方向)に供給される。こうして、カプセル100の軸方向一方側(
図2においてはボディ101側)が露出するように、カプセル100がポケット12に起立状態で収容される。カプセル100が露出する軸方向一方側は、キャップ102側であってもよい。
【0017】
ポケット12に収容されたカプセル100は、第1の外観検査用ローラ10の矢示方向への間欠駆動により第1の撮像装置11の撮像位置に搬送されて、カプセル100の軸方向一方側の頂部が撮像された後、ガイド部材13に沿って第2の外観検査用ローラ20に向けて搬送される。
【0018】
第2の外観検査用ローラ20は、第1の外観検査用ローラ10と同様に、外周面から径方向内方に延びるポケット22が、外周面の周方向に沿って等間隔に複数形成されている。第1の外観検査用ローラ10から供給されたカプセル100は、軸方向他方側(
図2においてはキャップ102側)が露出するように起立状態でポケット22に収容され、第2の外観検査用ローラ20の矢示方向への間欠駆動により第2の撮像装置21の撮像位置に搬送されて、カプセル100の軸方向他方側の頂部が撮像された後、ガイド部材23に沿って搬送される。
【0019】
質量検査用ローラ40は、外周面の周方向に沿って複数のポケット41が等間隔に形成されている。各ポケット41は、質量検査用ローラ40の回転軸に沿って横長に形成されており、カプセル100の軸方向が質量検査用ローラ40の回転軸と平行になるように、カプセル100が横倒し状態でポケット41に収容される。ポケット41内のカプセル100は、質量検査用ローラ40の矢示方向への間欠駆動によりガイド部材42に沿って計量皿44に搬送される。
【0020】
計量皿44は、中央が凹むように正面視V字状に形成されており、質量検査用ローラ40から横倒し状態で供給されたカプセル100が計量皿44に載置されて、計量装置43によるカプセル100の質量測定が行われる。質量測定後のカプセル100は、質量検査用ローラ40の駆動により第3の外観検査用ローラ50に向けて搬送される。
【0021】
第2の外観検査用ローラ20と質量検査用ローラ40との間には、移送ローラ30が設けられている。移送ローラ30は、外周面の周方向に沿って複数のポケット31が等間隔に形成されている。各ポケット31には、第2の外観検査用ローラ20からカプセル100が起立状態のまま収容され、カプセル100の一部が移送ローラ30の外周面から突出する。ポケット31に収容されたカプセル100は、移送ローラ30の矢示方向への間欠駆動により方向規制部材32に当接し、ポケット31内で横倒し状態となるように方向規制が行われた後、質量検査用ローラ40に供給される。移送ローラ30は必須の構成ではなく、第2の外観検査用ローラ20から質量検査用ローラ40にカプセル100を供給する際に、カプセル100を横倒しすることが可能であれば、移送ローラ20を設けずにカプセル100を直接供給してもよい。
【0022】
第3の外観検査用ローラ50は、円筒状に形成されており、固定された円筒状の内筒体52の外周に沿って回転するように矢示方向に間欠駆動される。第3の外観検査用ローラ50には、回転軸に沿って延びる横長の貫通孔からなるポケット53が、周方向に沿って等間隔に複数形成されており、質量検査用ローラ40から供給されるカプセル100が、横倒し状態のままポケット53に収容される。第3の撮像装置51による撮像位置の近傍には、内筒体52に形成された窓部を介して一部が露出する自転ローラ54が設けられている。自転ローラ54の外周面は、ポケット53に収容されて撮像位置に搬送されたカプセル100に接触し、自転ローラ54の矢示方向の回転によりカプセル100が軸周りに回転して、カプセル100の全周が第3の撮像装置51により撮像される。
【0023】
また、カプセル検査装置1は、
図1に示すように、振分装置60、制御装置70および表示装置80を更に備えている。振分装置60は、第3の外観検査用ローラ50から供給されるカプセル100を、振分部材61(
図2参照)の回動によって、良品コンベア62と不良品回収ボックス63とに振り分けることができる。制御装置70はPC(パーソナルコンピュータ)等からなり、表示装置80はモニタ等からなる。
【0024】
図3は、
図1に示すカプセル検査装置1のブロック図である。外観検査部4が備える第1の撮像装置11、第2の撮像装置21および第3の撮像装置51の撮像データ、ならびに、質量検査部5が備える計量装置43の質量測定データは、制御装置70に入力される。制御装置70は、外観検査部4および質量検査部5の検査結果に基づいてカプセル100の良否を判別する良否判別部6を備えており、良否判別部6の判別結果に基づいて、制御装置70が振分装置60および表示装置80の作動を制御する。
【0025】
上記の構成を備えるカプセル検査装置1は、カプセル100が、第1の外観検査用ローラ10、第2の外観検査用ローラ20、移送ローラ30、質量検査用ローラ40および第3の外観検査用ローラ50により、この順に搬送される。カプセル100は、搬送過程において、第1の撮像装置11および第2の撮像装置21により軸方向両側の頂部が撮像され、計量装置43により質量が測定され、第3の撮像装置51により周方向全体が撮像される。
【0026】
良否判別部6は、カプセル100の軸方向両側および周方向全体の撮像データ、ならびにカプセル100の質量測定データを、それぞれの基準データと照合して、全てが良好な場合には、カプセル100を良品と判断する一方、外観および質量の少なくともいずれかが不良の場合には、カプセル100を不良品と判断する。制御装置70は、良否判別部6の判別結果に基づき、良品のカプセル100が良品コンベア62に供給され、不良品のカプセル100が不良品回収ボックス63に回収されるように、振分装置60の振分部材61の作動を制御する。また、制御装置70は、良否判別部6の判別結果を表示装置80に表示する。
【0027】
このように、本実施形態のカプセル検査装置1によれば、カプセル100の質量検査および外観検査の双方を低コストでコンパクトな構成により行うことができ、利便性の高い複合機として使用することができる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、外観検査部4が、3つの撮像装置11,21,51および3つの外観検査用ローラ10,20,50を備える構成としているが、撮像装置および外観検査用ローラは少なくとも1つあればよい。例えば、外観検査部4は、カプセル100の周方向全体を撮像する第3の撮像装置51および第3の外観検査用ローラ50と同様に構成された単一の撮像装置および外観検査用ローラを備える構成であってもよい。
【0029】
また、本実施形態のカプセル検査装置1は、質量検査用ローラ40から第3の外観検査用ローラ50に向けてカプセル100を供給することにより、カプセル100の質量測定の後にカプセル100の全周が撮像されるように構成しているが、外観検査部4および質量検査部5の配置は特に限定されるものではない。例えば、第3の外観検査用ローラ50から質量検査用ローラ40に向けてカプセル100を供給するように配置し、カプセル100の全周が撮像された後にカプセル100の質量が測定されるように構成してもよい。外観検査用ローラと質量検査用ローラとの間には、他のローラ等を適宜介在させることも可能である。
【0030】
また、質量検査部5が備える質量検査用ローラ40は、外観検査部4が備える外観検査用ローラのいずれかと兼用することもできる。例えば、
図4に示すように、移送ローラ30から第3の外観検査用ローラ50にカプセル100が直接供給されるように構成し、第3の外観検査用ローラ50により搬送されるカプセル100を、第3の撮像装置51で全周を撮像した後に計量皿44に供給して、質量測定を行うことができる。なお、
図4において、
図2と同様の構成部分には同一の符号を付している。
【符号の説明】
【0031】
1 カプセル検査装置
4 外観検査部
5 質量検査部
6 良否判定部
10 第1の外観検査用ローラ
11 第1の撮像装置
12 ポケット
20 第2の外観検査用ローラ
21 第2の撮像装置
22 ポケット
40 質量検査用ローラ
41 ポケット
43 計量装置
44 計量皿
50 第3の外観検査用ローラ
51 第3の撮像装置
53 ポケット
60 振分装置
70 制御装置
100 カプセル