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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20240411BHJP
   G07D 11/50 20190101ALI20240411BHJP
【FI】
G07D11/20
G07D11/50
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020050839
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149765
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出水田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】三木 亜由子
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-133935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部に載置された媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記媒体を識別する識別部と、
前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて、前記搬送部により搬送される前記媒体を集積する集積部と、
前記集積部に集積された媒体に関するデータを取得し、前記載置部に前記媒体が残っている状況で前記データをキャンセルするか否かの問い合せ制御を行う制御部と、を備える、媒体処理装置。
【請求項2】
載置部に載置された媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記媒体を識別する識別部と、
前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて、前記搬送部により搬送される前記媒体を集積する集積部と、
前記集積部に集積された媒体に関するデータを取得し、前記データをキャンセルするか否かの問い合せ制御を行う制御部と、を備え
前記制御部は、前記問い合せ制御を行うタイミングの変更を受け付ける、媒体処理装置。
【請求項3】
載置部に載置された媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記媒体を識別する識別部と、
前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて、前記搬送部により搬送される前記媒体を集積する集積部と、
前記集積部に集積された媒体に関するデータを取得し、前記データをキャンセルするか否かの問い合せ制御を行う制御部と、
発光部と、を備え
前記制御部は、前記問い合せ制御を行い、ユーザによる前記データをキャンセルするとの入力を受け付けたことに基づいて、第1の発光状態で発光するように前記発光部を制御し、
ユーザによる前記データを確定するとの入力を受け付けたことに基づいて、第2の発光状態で発光するように前記発光部を制御する、媒体処理装置。
【請求項4】
載置部に載置された媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記媒体を識別する識別部と、
前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて、前記搬送部により搬送される前記媒体を集積する集積部と、
前記集積部に集積された媒体に関するデータを取得し、前記データをキャンセルするか否かの問い合せ制御を行う制御部と、
発光部と、を備え
前記制御部は、ユーザによる前記データをキャンセルするとの入力を受け付けたことに基づいて、第1の発光状態で発光するように前記発光部を制御する、媒体処理装置。
【請求項5】
前記集積部は、第1の集積部と、第2の集積部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の集積部および前記第2の集積部のうち、少なくとも一方の前記集積部に集積された媒体に関する、前記問い合せ制御を行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2の集積部に集積された媒体に関するデータをキャンセルする入力を受け付けた場合には、前記キャンセルされたデータに対応する媒体を識別させるよう前記識別部を制御し、
前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて前記搬送部により搬送される前記媒体を前記第1の集積部に搬送するように前記搬送部を制御する、請求項に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記キャンセルされたデータに対応する媒体が、前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて前記搬送部により前記第1の集積部に搬送された場合、前記データがキャンセルされたデータに対応する媒体のうち、前記第1の集積部に搬送された前記媒体の枚数を、前記第1の集積部に集積された枚数としてカウントする、請求項に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記媒体は貨幣であり、
前記識別部は、前記貨幣の汚損度を識別し、
前記制御部は、
前記汚損度が小さい貨幣を前記第1の集積部に搬送し、前記汚損度が大きい貨幣を前記第2の集積部に搬送するよう、前記搬送部を制御し、
少なくとも前記第2の集積部に集積された媒体に関する、前記問い合せ制御を行う、請求項からのいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記媒体は紙幣であり、
前記識別部は、前記搬送部により搬送される前記媒体の姿勢が第1の姿勢、第2の姿勢、第3の姿勢および第4の姿勢のうちいずれであるかを識別し、
前記制御部は、
前記識別部によって前記第1の姿勢と識別された媒体を、前記第1の集積部に搬送し、前記識別部によって前記第2の姿勢、前記第3の姿勢または前記第4の姿勢と識別された媒体を、前記第2の集積部に搬送するよう、前記搬送部を制御し、
少なくとも前記第2の集積部に集積された媒体に関する、前記問い合せ制御を行う、請求項からのいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記第1の集積部は複数設けられ、
前記第1の集積部の数は、前記第2の集積部の数より多い、請求項からのいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1の集積部および前記第2の集積部の中から所定の集積部を選択する選択入力を受け付け、前記所定の集積部に集積された媒体に関する、前記問い合せ制御を行う、請求項に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記集積部から媒体が抜き取られたこと、
前記集積部に集積されている媒体が予め設定された枚数に到達したこと、または、
前記集積部に媒体が集積されかつ前記搬送部により搬送される媒体がなくなったこと、のいずれかに基づいて、前記問い合せ制御を行う、請求項に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記媒体処理装置は、前記載置部に載置された媒体を入金処理する装置であり、
前記制御部は、前記入金処理において、前記問い合せ制御を行う、請求項1から12のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記問い合せ制御として、前記集積部に集積された媒体に関するデータをキャンセルするか、または、前記データを確定するかの問い合せ制御を行う、請求項1から13のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記問い合せ制御として、前記集積部に集積された媒体に関するデータをキャンセルするか、前記データを確定して当該集積部の集積数のカウント値を0にするか、または、前記データを確定して当該集積部の集積数のカウント値を維持するかの問い合せ制御を行う、請求項1から14のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項16】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記問い合せ制御として、前記問い合せ制御に関する情報を表示させるよう前記表示部を制御する、請求項1から15のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項17】
前記集積部が設けられる筐体をさらに備え、
前記表示部は、前記筐体または前記筐体と離間する位置に設けられている、請求項16に記載の媒体処理装置。
【請求項18】
前記集積部は、集積された媒体を前記集積部の外部に抜き取ることができるように構成された開口部を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣を収納する複数の集積部を有し、識別部における識別結果に応じて、複数の集積部のうちいずれか1つに紙幣を収納する媒体処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の媒体処理装置では、設定枚数の紙幣を施封する施封ユニットは、端数紙幣が残留すると当該端数紙幣を排出する。端数紙幣が排出されると、媒体処理装置は、端数紙幣を媒体処理装置に戻すか、そのまま抜き取るかの選択画面を表示する。端数紙幣を媒体処理装置に戻すことが選択されると、媒体処理装置は、戻された端数紙幣を識別結果に基づいて、紙幣カセットに搬送する。端数紙幣をそのまま抜き取ることが選択されると、媒体処理装置は、端数紙幣が抜き取られたことを抜取情報として記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6451183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、集積部に集積された媒体に関するデータをキャンセルした上で、媒体を集積部から抜き取りたい場合がある。例えば、媒体を再計数した場合に、前の識別結果と異なる識別結果が得られた媒体が他の集積部に集積されることにより、当該他の集積部の集積枚数が設定枚数になることを期待する場合である。一方で、媒体に関するデータを確定させた上で、媒体を集積部から抜き取りたい場合がある。例えば、再利用できない媒体を中央銀行に戻すときや、再計数して、仮に識別結果が変わったとしても、他の集積部の集積枚数が設定枚数にならない場合である。
【0005】
特許文献1のような技術では、端数紙幣に関するデータの取り扱いが規定されていない。このことから、集積部に集積された媒体に関するデータの取り扱いを、状況に応じて適切に選択できる技術が望まれている。
【0006】
本発明は、集積部に集積された媒体に関するデータの取り扱いを、状況に応じて適切に選択できる媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の媒体処理装置は、載置部に載置された媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記媒体を識別する識別部と、前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて、前記搬送部により搬送される前記媒体を集積する集積部と、前記集積部に集積された媒体に関するデータを取得し、前記載置部に前記媒体が残っている状況で前記データをキャンセルするか否かの問い合せ制御を行う制御部と、を備える。
また、本発明の媒体処理装置は、載置部に載置された媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記媒体を識別する識別部と、前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて、前記搬送部により搬送される前記媒体を集積する集積部と、前記集積部に集積された媒体に関するデータを取得し、前記データをキャンセルするか否かの問い合せ制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記問い合せ制御を行うタイミングの変更を受け付ける。
また、本発明の媒体処理装置は、載置部に載置された媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記媒体を識別する識別部と、前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて、前記搬送部により搬送される前記媒体を集積する集積部と、前記集積部に集積された媒体に関するデータを取得し、前記データをキャンセルするか否かの問い合せ制御を行う制御部と、発光部と、を備え、前記制御部は、前記問い合せ制御を行い、ユーザによる前記データをキャンセルするとの入力を受け付けたことに基づいて、第1の発光状態で発光するように前記発光部を制御し、ユーザによる前記データを確定するとの入力を受け付けたことに基づいて、第2の発光状態で発光するように前記発光部を制御する。
また、本発明の媒体処理装置は、載置部に載置された媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記媒体を識別する識別部と、前記識別部による前記媒体の識別結果に基づいて、前記搬送部により搬送される前記媒体を集積する集積部と、前記集積部に集積された媒体に関するデータを取得し、前記データをキャンセルするか否かの問い合せ制御を行う制御部と、発光部と、を備え、前記制御部は、ユーザによる前記データをキャンセルするとの入力を受け付けたことに基づいて、第1の発光状態で発光するように前記発光部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の媒体処理装置によれば、集積部に集積された媒体に関するデータの取り扱いを、状況に応じて適切に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1,第2の実施の形態に係る紙幣処理装置の内部構成の概略を示す模式図である。
図2】本発明の第1,第2の実施の形態に係る紙幣処理装置の外観の概略構成を示す模式図である。
図3】本発明の第1,第2の実施の形態に係る紙幣管理データの概略構成を示す模式図である。
図4】本発明の第1,第2の実施の形態に係る計数条件設定処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1,第2の実施の形態に係る紙幣の計数処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1,第2の実施の形態に係る紙幣の計数処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施の形態に係る計数画面を示す模式図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係る問い合わせ制御処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の第1の実施の形態に係る問い合わせ画面を示す模式図である。
図10】本発明の第1の実施の形態に係る最終確定確認処理を示すフローチャートである。
図11】本発明の第2の実施の形態に係る計数画面を示す模式図である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係る問い合わせ制御処理を示すフローチャートである。
図13】本発明の第2の実施の形態に係る最終確定確認処理を示すフローチャートである。
図14】本発明の第2の実施の形態に係る最終確定確認処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
〔第1の実施の形態〕
<紙幣処理装置の構成>
まず、本発明に係る第1の実施の形態における紙幣処理装置の構成について説明する。図1は、紙幣処理装置の内部構成の概略を示す模式図である。図2は、紙幣処理装置の外観の概略構成を示す模式図である。図3は、紙幣管理データの概略構成を示す模式図である。なお、図1および図2のX軸方向は紙幣処理装置の左右方向、Y軸方向は前後方向、Z軸方向は上下方向をそれぞれ表す。
【0012】
図1および図2に示す紙幣処理装置1は、媒体処理装置の一例である。紙幣処理装置1は、設定に基づき入金される紙幣を分類する。紙幣処理装置1は、例えば、入金される紙幣を金種別に分類する。紙幣は、貨幣の一例である。紙幣処理装置1は、基本モジュール2と、3個の拡張モジュール4と、を備える。なお、紙幣処理装置1は、基本モジュール2のみで構成されていてもよい。
【0013】
基本モジュール2は、載置部21と、取込部22と、搬送部23と、識別部24と、4個の集積部25と、リジェクト部26と、操作表示部27と、記憶部28と、制御部29と、を備える。
【0014】
載置部21は、基本モジュール2の筐体20における右側に設けられている。載置部21は、複数の紙幣を重ねて載置できるように構成されている。
【0015】
取込部22は、キッカローラ211と、フィードローラ212と、を備える。キッカローラ211は、載置部21に載置された紙幣のうち一番下にある紙幣を、筐体20の内部に向けて蹴り出す。フィードローラ212は、キッカローラ211が蹴り出した紙幣を、筐体20の内部に取り込む。
【0016】
搬送部23は、取込部22が取り込んだ紙幣を、集積部25、リジェクト部26、または、拡張モジュール4に搬送する。
【0017】
識別部24は、搬送部23が搬送する紙幣を識別して、当該紙幣を計数する。識別部24は、例えば、紙幣の金種、記番号、真偽、正損、表裏、姿勢を識別する。識別部24は、偽券でない紙幣のうち、汚損度が所定レベル以上の紙幣を損券として識別し、汚損度が所定レベル未満の紙幣を正券として識別する。
【0018】
集積部25は、搬送部23によって搬送された所定の種別の紙幣を集積する。4個の集積部25は、筐体20の内部において、左右方向に並んで配置されている。集積部25に集積される紙幣の種別は、オペレータが設定することができる。集積部25は、羽根車251と、ステージ252と、紙幣検知センサ253と、を備える。羽根車251は、図1における反時計回り(左回り)に回転しながら、隣り合う2枚の羽根の間に紙幣を受け入れて、当該紙幣をステージ252の上に積層状態で集積する。ステージ252は、集積された紙幣が多くなると下降し、少なくなると上昇するように構成されている。紙幣検知センサ253は、ステージ252における紙幣の集積状態を検知する。
【0019】
筐体20における各集積部25に対応する部分には、開口部201と、発光部202と、がそれぞれ設けられている。開口部201は、各集積部25に集積された紙幣を、筐体20の外部に抜き取ることができるように構成されている。発光部202は、制御部29の制御によって、当該発光部202に対応する集積部25に集積された紙幣に関するデータの取り扱いに応じて、発光状態が制御される。発光部202として、例えば、発光ダイオード(LED:light emitting diode)を採用できる。
【0020】
リジェクト部26は、例えば、偽券をリジェクト紙幣として集積する。リジェクト部26は、羽根車261と、紙幣保持部262と、を備える。羽根車261は、図1における時計回り(右回り)に回転しながら、隣り合う2枚の羽根の間に紙幣を受け入れて、紙幣を紙幣保持部262の上に積層状態で集積する。紙幣保持部262は、筐体20に固定され、紙幣を保持する。
【0021】
操作表示部27は、表示部の一例である。操作表示部27は、例えば、筐体20の前面における集積部25の上方に対応する位置に設けられている。操作表示部27は、例えば、タッチパネル式の液晶表示装置によって構成されている。操作表示部27は、表示画面に各種情報やボタンを表示する表示部として機能する。操作表示部27は、表示画面上に表示されたボタンによる設定入力を受け付ける操作部として機能する。なお、操作表示部27を、物理的なボタンと、非タッチパネル式の液晶表示装置と、で構成してもよい。
【0022】
記憶部28は、図3に示すような紙幣管理データ280を記憶する。紙幣管理データ280は、集積部25または拡張モジュール4の後述する集積部42に集積された紙幣に関するデータである。紙幣管理データ280は、集積紙幣データ281と、取引番号データ282と、を備える。
【0023】
集積紙幣データ281は、集積部25または集積部42に集積された1枚の紙幣に関するデータである。言い換えると、集積紙幣データ281は、リジェクト部26に集積されたリジェクト紙幣に関するデータではない。集積紙幣データ281は、記番号データ281Aと、分類先データ281Bと、ステータスデータ281Cと、金種データ281Dと、正損データ281Eと、姿勢データ281Fと、を備える。
【0024】
記番号データ281Aは、紙幣の記番号を表す。
【0025】
分類先データ281Bは、紙幣が集積された集積部25,42を特定するための識別子を表す。
【0026】
ステータスデータ281Cは、集積紙幣データ281に対応する紙幣の処理状況を表す。紙幣が集積部25,42に集積された直後は、ステータスデータ281Cが「未確定」になる。紙幣が集積部25,42から抜き取られた場合、および、後述する問い合わせ制御処理においてオペレータが集積紙幣データ281を仮確定することを選択した場合は、ステータスデータ281Cが「仮確定」になる。紙幣の取引(紙幣処理)が最終確定した場合、ステータスデータ281Cが「最終確定」になる。
【0027】
金種データ281Dは、紙幣の金種を表す。
【0028】
正損データ281Eは、紙幣が正券または損券であることを表す。
【0029】
姿勢データ281Fは、集積部25,42に集積されている紙幣の姿勢であって、集積部25,42の所定位置を基準にした姿勢を表す。例えば、姿勢データ281Fは、紙幣の姿勢が、以下のように規定される第1~第4の姿勢であることを表す。
第1の姿勢:紙幣の表が上を向き、かつ、紙幣の肖像画などの上側が下側よりも前記所定位置に近い姿勢
第2の姿勢:紙幣の表が上を向き、かつ、紙幣の肖像画などの下側が上側よりも前記所定位置に近い姿勢
第3の姿勢:紙幣の裏が上を向き、かつ、紙幣の肖像画などの上側が下側よりも前記所定位置に近い姿勢
第4の姿勢:紙幣の裏が上を向き、かつ、紙幣の肖像画などの下側が上側よりも前記所定位置に近い姿勢
【0030】
取引番号データ282は、集積紙幣データ281に対応する紙幣の取引を特定するための識別子を表す。
【0031】
図1に示す制御部29は、紙幣処理装置1の全体を制御する。なお、制御部29による制御については、後述する。
【0032】
3個の拡張モジュール4は、基本モジュール2の左側において、左右方向に並んで配置されている。拡張モジュール4は、それぞれ、搬送部41と、4個の集積部42と、を備える。
【0033】
3個の拡張モジュール4のうち右側の拡張モジュール4の搬送部41は、基本モジュール2から搬送される紙幣を、当該右側の拡張モジュール4の集積部42、または、中央の拡張モジュール4に搬送する。中央の拡張モジュール4の搬送部41は、右側の拡張モジュール4から搬送される紙幣を、当該中央の拡張モジュール4の集積部42、または、左側の拡張モジュール4に搬送する。左側の拡張モジュール4の搬送部41は、中央の拡張モジュール4から搬送される紙幣を、当該左側の拡張モジュール4の集積部42に搬送する。
【0034】
集積部42は、搬送部41によって搬送された所定の種別の紙幣を集積する。4個の集積部42は、拡張モジュール4の筐体40の内部において、上下方向に並んで配置されている。集積部42に集積される紙幣の種別は、オペレータが設定することができる。集積部42は、羽根車421と、紙幣保持部422と、紙幣検知センサ423と、を備える。羽根車421は、図1における反時計回り(左回り)に回転しながら、隣り合う2枚の羽根の間に紙幣を受け入れて、紙幣を筐体40に固定された紙幣保持部422の上に積層状態で集積する。紙幣検知センサ423は、紙幣保持部422における紙幣の集積状態を検知する。
【0035】
筐体40における各集積部42に対応する部分には、図2に示すように、開口部401と、発光部402と、がそれぞれ設けられている。開口部401は、各集積部42に集積された紙幣を、筐体40の外部に抜き取ることができるように構成されている。発光部402は、制御部29の制御によって、当該発光部402に対応する集積部42に集積された紙幣に関する集積紙幣データ281をキャンセルするか、仮確定するかに応じて、発光状態が制御される。発光部402として、例えば、発光ダイオードを採用できる。
【0036】
<紙幣処理装置の動作>
次に、紙幣処理装置1の動作として、紙幣の計数処理の条件を設定する計数条件設定処理と、計数処理と、について説明する。図4は、計数条件設定処理を示すフローチャートである。図5および図6は、紙幣の計数処理を示すフローチャートである。図7は、計数画面を示す模式図である。図8は、問い合わせ制御処理を示すフローチャートである。図9は、問い合わせ画面を示す模式図である。図10は、最終確定確認処理を示すフローチャートである。
【0037】
{計数条件設定処理}
まず、計数条件設定処理について説明する。紙幣処理装置1の制御部29は、オペレータによる操作表示部27を用いた設定入力に基づいて、図4に示すように、集積部25,42に集積する紙幣の種別を設定する(ステップS1)。紙幣の種別としては、所定の金種の正券、金種を問わない損券、所定の金種かつ所定の姿勢の正券、金種を問わない前記所定の姿勢以外の姿勢の正券などが例示できる。
【0038】
第1,第2の実施の形態では、ステップS1の処理において、基本モジュール2の4個の集積部25のうち一番左側の集積部25の紙幣の種別を、金種を問わない損券(金種混合、かつ、損券)に設定し、他の集積部25,42の紙幣の種別を、所定の金種の正券に設定する場合について説明する。なお、この集積部25,42に関する設定は例示である。例えば、基本モジュール2の4個の集積部25のうち一番右側の集積部25の紙幣の種別を、金種を問わない損券(金種混合、かつ、損券)に設定し、他の集積部25,42の紙幣の種別を、所定の金種の正券に設定するなど、集積部25,42に関する設定は適宜変更できる。以下において、所定の金種の正券を集積する集積部25,42を、第1の集積部25A,42Aという場合がある。第1の集積部25A,42Aに集積される金種は、オペレータによって個別に設定される。金種を問わない損券を集積する集積部25を、第2の集積部25Bという場合がある。
【0039】
制御部29は、オペレータによる操作表示部27を用いた設定入力に基づいて、バッチ処理対象の集積部25,42を設定する(ステップS2)。バッチ処理とは、設定枚数(例えば100枚)の紙幣束を作るための処理であり、集積部25,42の紙幣の集積枚数が設定枚数に到達するごとに、集積された設定枚数の紙幣をオペレータに抜き取させるための処理である。バッチ処理対象の集積部25,42に設定枚数の紙幣が集積されると、制御部29は、紙幣の筐体20内への取り込みを中断し、当該設定枚数の紙幣が抜き取られると、紙幣の取り込みを再開する。なお、紙幣の集積条件が共通する集積部がある場合、1の集積部に当該設定枚数の紙幣が集積されても、1の集積部と紙幣の集積条件が共通する他の集積部に紙幣を集積することができる。このため、1の集積部に当該設定枚数の紙幣が集積されたとしても、引き続き、紙幣の筐体20内への取り込みを行うことができる。
【0040】
なお、ステップS2の処理において、制御部29は、設定枚数も設定する。設定枚数は、集積部25,42ごとに異なる枚数に設定できてもよいし、全ての集積部25,42で同じ枚数または異なる枚数に自動的に設定されてもよい。
【0041】
制御部29は、オペレータによる操作表示部27を用いた設定入力に基づいて、問い合わせ制御対象の集積部25,42を設定する(ステップS3)。問い合わせ制御とは、問い合わせ制御対象の集積部25,42に集積された紙幣に対応する集積紙幣データ281を、キャンセルするか、または、仮確定するかをオペレータに問い合せる制御である。なお、第1,第2の実施の形態において問い合わせ制御で問い合わせる「集積紙幣データ281を仮確定するか」の事項は、本発明(請求項に記載の発明)の問い合わせ制御で問い合わせる「データを確定するか」の事項に該当する。制御部29は、問い合わせ制御を開始する際、紙幣の筐体20内への取り込みを中断し、当該問い合わせ制御を終了すると、紙幣の取り込みを再開する。オペレータによって集積紙幣データ281をキャンセルすることが選択されると、制御部29は、集積紙幣データ281を記憶部28から削除する。オペレータによって集積紙幣データ281を仮確定することが選択されると、制御部29は、集積紙幣データ281のステータスデータ281Cを「仮確定」に変更する。
【0042】
第1,第2の実施の形態では、ステップS3の処理において、第2の集積部25Bが問い合わせ制御の対象として設定され、第1の集積部25A,42Aの全てが問い合わせ制御の対象として設定されない場合について説明する。なお、第2の集積部25Bが問い合わせ制御の対象として設定されなくてもよいし、第1の集積部25A,42Aのうち少なくともいずれか1つが問い合わせ制御の対象として設定されてもよい。
【0043】
制御部29は、オペレータによる操作表示部27を用いた設定入力に基づいて、問い合わせ制御の対象でない集積部25,42について、集積枚数が設定枚数に到達していないにもかかわらず、計数処理の途中で紙幣が抜き取られた場合の処理を設定する(ステップS4)。ステップS4で設定される処理は、問い合わせ制御において選択される、集積紙幣データ281のキャンセルまたは仮確定である。なお、ステップS4で設定される処理の内容は、デフォルトで設定されていてもよい。以上により、計数条件設定処理が終了する。
【0044】
{計数処理}
次に、計数処理について説明する。制御部29は、オペレータによる操作表示部27を用いた計数開始の設定入力を認識すると、図5に示すように、図7に示すような計数画面P10を表示させる(ステップS11)。
【0045】
計数画面P10は、紙幣が処理されるごとに制御部29によって更新される。計数画面P10には、合計金額P11と、計数枚数P12と、リジェクト枚数P13と、4個の第1の集積部画像P14と、12個の第2の集積部画像P15と、最終確定ボタンP16と、一括キャンセルボタンP17と、が表示される。
【0046】
合計金額P11は、全ての集積部25,42に集積されている紙幣の合計金額である。制御部29は、記憶部28に記憶された集積紙幣データ281のうち、ステータスデータ281Cが「未確定」または「仮確定」の集積紙幣データ281の金種データ281Dおよび集積紙幣データ281の数に基づいて、合計金額を算出する。
【0047】
計数枚数P12は、全ての集積部25,42に集積されている紙幣の合計枚数である。制御部29は、ステータスデータ281Cが「未確定」または「仮確定」の集積紙幣データ281の数を、合計枚数として算出する。
【0048】
リジェクト枚数P13は、リジェクト部26に集積されたリジェクト紙幣の枚数である。
【0049】
第1の集積部画像P14は、基本モジュール2の集積部25における紙幣の集積状態を表すための画像である。第1の集積部画像P14は、集積部25の配置と同じように、左右方向に並んで表示される。第1の集積部画像P14は、正損識別子P141と、集積枚数P142と、を含む。
【0050】
正損識別子P141は、第1の集積部画像P14に対応する集積部25が集積する紙幣が正券または損券であることを表す。正損識別子P141の「FIT」は、正券であることを表す。正損識別子P141の「UNFIT」は、損券であることを表す。
【0051】
集積枚数P142は、第1の集積部画像P14に対応する集積部25に集積されている紙幣の枚数である。
【0052】
第2の集積部画像P15は、拡張モジュール4の集積部42における紙幣の集積状態を表すための画像である。第2の集積部画像P15は、集積部42の配置と同じように、上下左右方向に並んで表示される。第2の集積部画像P15は、集積枚数P151を含む。集積枚数P151は、第1の集積部画像P14の集積枚数P142と同様の役割を果たすため、説明を省略する。
【0053】
最終確定ボタンP16は、記憶部28に記憶されている全ての集積紙幣データ281を、オペレータが最終確定したい場合に、オペレータによって操作される。この場合、集積紙幣データ281が最終確定された紙幣をオペレータが載置部21に再び載置して、再計数の対象とする可能性は低い。
【0054】
一括キャンセルボタンP17は、記憶部28に記憶されている全ての集積紙幣データ281を、つまり、ステータスデータ281Cが「未確定」および「仮確定」の集積紙幣データ281を、オペレータがキャンセルしたい場合に、オペレータによって操作される。この場合、集積紙幣データ281がキャンセルされた紙幣をオペレータが載置部21に再び載置して、再計数の対象とする可能性は高い。
【0055】
図5に戻り、説明を続ける。制御部29は、1枚の紙幣を分類する(ステップS12)。例えば、制御部29は、取込部22および搬送部23を制御して、載置部21の一番下にある1枚の紙幣を筐体20内に取り込む。筐体20内に取り込まれて搬送される紙幣は、識別部24によって、金種、記番号、真偽、正損、表裏、姿勢などが識別される。制御部29は、識別部24における識別結果に基づいて、紙幣をリジェクト部26または集積部25,42に搬送する。例えば、制御部29は、搬送部23を制御して、リジェクト紙幣をリジェクト部26に搬送する。制御部29は、搬送部23,41を制御して、所定の金種の正券を金種別に第1の集積部25A,42Aに搬送する。制御部29は、搬送部23を制御して、損券を第2の集積部25Bに搬送する。
【0056】
制御部29は、集積部25,42に搬送した紙幣に関する集積紙幣データ281を生成して、記憶部28に登録する(ステップS13)。このとき、制御部29は、各計数処理を識別するための取引番号の取引番号データ282に、この計数処理で識別されて計数された各紙幣の集積紙幣データ281を関連付けて登録する。ステップS13において、制御部29は、集積紙幣データ281が「未確定」である旨を表すステータスデータ281Cを登録する。
【0057】
制御部29は、新しく識別された紙幣の処理状態に基づいて、計数画面P10を更新する(ステップS14)。制御部29は、紙幣が集積された場所に応じて、合計金額P11、計数枚数P12、リジェクト枚数P13、集積枚数P142,P151を更新する。
【0058】
制御部29は、紙幣検知センサ253,423の検知結果に基づいて、バッチ処理対象の集積部25,42のうち、集積枚数が設定枚数に到達した集積部25,42があるか否かを判定する(ステップS15)。
【0059】
制御部29は、集積枚数が設定枚数に到達した集積部25,42があると判定した場合(ステップS15:YES)、当該集積部25,42が問い合わせ制御の対象であるか否かを判定する(ステップS16)。
【0060】
制御部29は、集積枚数が設定枚数に到達した集積部25,42が問い合わせ制御の対象であると判定した場合(ステップS16:YES)、問い合わせ制御処理を行う(ステップS17)。なお、問い合わせ制御処理の詳細については後述する。
【0061】
問い合わせ制御処理において、問い合わせ制御対象の集積部25,42に集積された全ての紙幣が、オペレータによって抜き取られる。制御部29は、集積部25,42からの紙幣の抜き取りに合わせて、計数画面P10を更新する(ステップS18)。制御部29は、例えば、紙幣が抜き取られた集積部25,42に対応する第1,第2の集積部画像P14,P15における集積枚数P142,P151の表示を0枚にする。制御部29は、合計金額P11および計数枚数P12で表示される値を、抜き取られた紙幣の枚数および金種に基づいて減らす。制御部29は、ステップS18の処理において、計数画面P10の合計金額P11、計数枚数P12および集積枚数P142,P151に表示される数字を、削除された集積紙幣データ281に対応する紙幣の合計金額、枚数分、一度に減らしてもよいし、例えば1円ずつ、1枚ずつなど段階的に減らしてもよい。
【0062】
制御部29は、載置部21に紙幣が残っているか否かを判定する(ステップS19)。制御部29は、載置部21に紙幣が残っていると判定した場合(ステップS19:YES)、ステップS12の処理を行う。制御部29は、載置部21に紙幣が残っていないと判定した場合(ステップS19:NO)、最終確定確認処理を行う(ステップS20)。なお、最終確定確認処理の詳細については後述する。
【0063】
制御部29は、集積枚数が設定枚数に到達した集積部25,42が問い合わせ制御の対象でないと判定した場合(ステップS16:NO)、当該集積部25,42に集積された全ての紙幣が抜き取られたことを確認して、当該全ての紙幣に関する集積紙幣データ281のステータスデータ281Cの内容を「未確定」から「仮確定」に更新する(ステップS21)。制御部29は、ステップS21の処理を終了すると、ステップS18の処理を行う。
【0064】
制御部29は、ステップS15の処理において、集積枚数が設定枚数に到達した集積部25,42がないと判定した場合(ステップS15:NO)、紙幣検知センサ253,423の検知結果に基づいて、紙幣が抜き取られた集積部25,42があるか否かを判定する(ステップS22)。
【0065】
制御部29は、紙幣が抜き取られた集積部25,42がないと判定した場合(ステップS22:NO)、ステップS19の処理を行う。制御部29は、紙幣が抜き取られた集積部25,42があると判定した場合(ステップS22:YES)、図6に示すように、紙幣が抜き取られた集積部25,42が問い合わせ制御の対象であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0066】
制御部29は、紙幣が抜き取られた集積部25,42が問い合わせ制御の対象であると判定した場合(ステップS23:YES)、問い合わせ制御処理を行う(ステップS24)。
【0067】
制御部29は、ステップS24の問い合わせ制御処理を終了すると、ステップS18の処理を行う。
【0068】
制御部29は、紙幣が抜き取られた集積部25,42が問い合わせ制御の対象でないと判定した場合(ステップS23:NO)、当該問い合わせ制御の対象でない集積部25,42の紙幣が抜き取られたときの処理の設定が、集積紙幣データ281の仮確定であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0069】
制御部29は、問い合わせ制御の対象でない集積部25,42の紙幣が抜き取られたときの処理の設定が、集積紙幣データ281の仮確定であると判定した場合(ステップS25:YES)、抜き取られた全ての紙幣に関する集積紙幣データ281を仮確定する(ステップS26)。詳細には、制御部29は、問い合わせ制御の対象でない集積部25,42の紙幣が抜き取られたときの処理の設定が、集積紙幣データ281の仮確定であると判定した場合、1の抜き取り動作により集積部から抜き取られた紙幣に関する集積紙幣データ281を仮確定する。例えば、制御部29は、紙幣が抜き取られた集積部25,42に関する集積紙幣データ281を分類先データ281Bに基づいて特定する。特定された集積紙幣データ281は、抜き取られた全ての紙幣に関するデータである。制御部29は、特定した集積紙幣データ281に含まれるステータスデータ281Cの内容を「未確定」から「仮確定」に更新する。制御部29は、ステップS26の処理を終了すると、ステップS18の処理を行う。
【0070】
制御部29は、問い合わせ制御の対象でない集積部25,42の紙幣が抜き取られたときの処理の設定が、集積紙幣データ281の仮確定でない、つまり集積紙幣データ281のキャンセルであると判定した場合(ステップS25:NO)、紙幣が抜き取られた集積部25,42に関する集積紙幣データ281を特定し、特定した集積紙幣データ281を削除する(ステップS27)。紙幣が抜き取られた集積部25,42に関する集積紙幣データ281を特定する方法としては、ステップS26と同様の方法が例示できる。
【0071】
制御部29は、ステップS27の処理を終了すると、ステップS18の処理を行う。
【0072】
次に、ステップS17およびステップS24における問い合わせ制御処理について説明する。
【0073】
まず、ステップS24における問い合わせ制御処理について説明する。制御部29は、ステップS24における問い合わせ制御処理において、図8に示すように、図9に示すような問い合わせ画面P20を操作表示部27に表示させる(ステップS31)。制御部29は、問い合わせ画面P20を、計数画面P10の一部の上に重ねて表示させてもよいし、計数画面P10と並べて表示させてもよい。制御部29は、計数画面P10の表示を一時終了して、問い合わせ画面P20を表示させてもよい。問い合わせ画面P20には、対応説明P21と、装置画像P22と、仮確定ボタンP23と、キャンセルボタンP24と、が表示される。
【0074】
対応説明P21は、以下の内容を含む。
・集積枚数が設定枚数に到達する前に、紙幣が抜き取られたこと。
・抜き取った紙幣を元の集積部25,42に戻すことが好ましいこと。
・抜き取った紙幣の集積紙幣データ281を仮確定したい場合は、仮確定ボタン(Acceptボタン)P23を操作する(押す)こと。
・仮確定ボタンP23を操作する場合は、抜き取った紙幣を載置部21に載置しないこと。
・抜き取った紙幣の集積紙幣データ281をキャンセルしたい場合は、キャンセルボタン(Cancelボタン)P24を操作する(押す)こと。
・キャンセルボタンP24を操作する場合は、集積紙幣データ281がキャンセル(削除)されるため、抜き取った紙幣を再び載置部21に載置すること。
【0075】
装置画像P22は、問い合わせ制御対象の集積部25,42を識別するための画像である。例えば、装置画像P22は、筐体画像P221と、集積部画像P222と、を含む。
【0076】
筐体画像P221は、筐体20,40を表す。集積部画像P222は、集積部25,42を表す。
【0077】
集積部画像P222は、筐体20,40における集積部25,42に対応する位置に表示される。制御部29は、問い合わせ制御対象の集積部25,42に対応する位置の集積部画像P222の表示形態を、他の集積部画像P222とは異なるように制御する。異ならせる表示形態としては、色、大きさ、形、点滅しているか否か、これらの任意の組み合わせなどが例示できる。図9に示す例では、第2の集積部25Bに対応する位置の集積部画像P222(16個の集積部画像P222のうち右から4番目(4列目)の集積部画像P222)を、第1の集積部25A,42Aに対応する位置の集積部画像P222(16個の集積部画像P222のうち残りの15個の集積部画像P222)とは異ならせている。
【0078】
仮確定ボタンP23は、問い合わせ制御対象の集積部25,42に集積された紙幣(以下、「問い合わせ制御対象の集積部25,42に集積された紙幣」を「問い合わせ対象紙幣」という場合がある)の集積紙幣データ281を、オペレータが仮確定したい場合に、オペレータによって操作される。オペレータが仮確定ボタンP23を操作するのは、例えば、問い合わせ制御対象の第2の集積部25Bに損券が集積される場合、紙幣の汚損度が再利用できないほど高いため、当該紙幣を中央銀行に戻す場合や、再計数して、仮に、正券として識別されたとしても、第1の集積部25A,42Aの集積枚数が設定枚数にならない場合である。この場合、問い合わせ対象紙幣をオペレータが載置部21に再び載置して、再計数の対象とする可能性は低い。
【0079】
キャンセルボタンP24は、問い合わせ対象紙幣の集積紙幣データ281をオペレータがキャンセルしたい場合に、オペレータによって操作される。オペレータがキャンセルボタンP24を操作するのは、例えば、問い合わせ制御対象の第2の集積部25Bに損券が集積される場合、紙幣の汚損度が余り高くないため、当該紙幣を再計数した場合に、正券として識別されることを期待できる場合や、正券として識別された結果、第1の集積部25A,42Aの集積枚数が設定枚数になることを期待できる場合である。この場合、問い合わせ対象紙幣をオペレータが載置部21に再び載置して、再計数の対象とする可能性は高い。
【0080】
制御部29は、図8に示すように、キャンセルボタンP24が操作されたか否かを判定する(ステップS32)。制御部29は、キャンセルボタンP24が操作されたと判定した場合(ステップS32:YES)、全ての問い合わせ対象紙幣が抜き取られたことを確認して、ステップS25と同様の処理によって、問い合わせ制御対象の集積部25,42に関する集積紙幣データ281を特定し、特定した集積紙幣データ281を削除する(ステップS33)。
【0081】
制御部29は、問い合わせ制御対象の集積部25,42に対応する発光部202,402を第1の発光状態で発光させる(ステップS34)。第1の発光状態としては、所定の色、点滅しているか否か、点滅速度、これらの任意の組み合わせが例示できる。第1,第2の実施の形態では、第1の発光状態は、青色の点灯である。発光部202,402に関し、発光色、または発光パターンの違いに基づいて、第1の発光状態および第2の発光状態とされる発光制御が、制御部29により行われてもでもよい。発光部202,402は、例えば、発光と消光とを繰り返す発光部である場合、発光の周期(消光の周期)をPWM制御などにより制御して、第1の発光状態および第2の発光状態を異ならせることができる。
【0082】
制御部29は、キャンセルボタンP24が操作されていないと判定した場合(ステップS32:NO)、仮確定ボタンP23が操作されたか否かを判定する(ステップS35)。
【0083】
制御部29は、仮確定ボタンP23が操作されていないと判定した場合(ステップS35:NO)、ステップS32の処理を行う。
【0084】
制御部29は、仮確定ボタンP23が操作されたと判定した場合(ステップS35:YES)、全ての問い合わせ対象紙幣が抜き取られたことを確認して、当該全ての問い合わせ対象紙幣に関する集積紙幣データ281のステータスデータ281Cの内容を「未確定」から「仮確定」に更新する(ステップS36)。
【0085】
制御部29は、問い合わせ制御対象の集積部25,42に対応する発光部202,402を第2の発光状態で発光させる(ステップS37)。第2の発光状態は、第1の発光状態と異なる状態であれば特に限定されない。第1,第2の実施の形態では、第2の発光状態は、黄色の点灯である。以上により、問い合わせ制御処理が終了する。
【0086】
次に、ステップS17における問い合わせ制御処理について説明する。ステップS17における問い合わせ制御処理は、ステップS24における問い合わせ制御処理のうち、ステップS31で表示させる問い合わせ画面P20の対応説明P21の内容が異なるのみであり、その他の処理の内容は、ステップS24における問い合わせ制御処理と同様である。このため、対応説明P21の相違点のみについて説明する。
【0087】
制御部29は、問い合わせ画面P20において、対応説明として以下の内容を含めることが好ましい。
・集積枚数が設定枚数に到達したこと。
・集積された紙幣を集積部25,42から抜き取ることが好ましいこと。
・集積された紙幣の集積紙幣データ281を仮確定したい場合は、仮確定ボタン(Acceptボタン)P23を操作する(押す)こと。
・仮確定ボタンP23を操作する場合は、集積された紙幣を載置部21に載置しないこと。
・集積された紙幣の集積紙幣データ281をキャンセルしたい場合は、キャンセルボタン(Cancelボタン)P24を操作する(押す)こと。
・キャンセルボタンP24を操作する場合は、集積紙幣データ281がキャンセル(削除)されるため、集積された紙幣を再び載置部21に載置すること。
【0088】
次に、ステップS20における最終確定確認処理について説明する。
【0089】
制御部29は、図10に示すように、計数画面P10の最終確定ボタンP16が操作されたか否かを判定する(ステップS41)。
【0090】
制御部29は、最終確定ボタンP16が操作されたと判定した場合(ステップS41:YES)、ステータスデータ281Cの内容が「未確定」または「仮確定」の集積紙幣データ281を特定し、特定した集積紙幣データ281のステータスデータ281Cの内容を「最終確定」に更新し(ステップS42)、計数処理を終了する。
【0091】
制御部29は、最終確定ボタンP16が操作されていないと判定した場合(ステップS41:NO)、一括キャンセルボタンP17が操作されたか否かを判定する(ステップS43)。
【0092】
制御部29は、一括キャンセルボタンP17が操作されていないと判定した場合(ステップS43:NO)、ステップS41の処理を行う。制御部29は、一括キャンセルボタンP17が操作されたと判定した場合(ステップS43:YES)、全ての集積部25,42から紙幣が抜き取られたことを確認して、今回の計数処理で処理された紙幣に対応する全ての集積紙幣データ281を削除する(ステップS44)。制御部29は、ステップS18と同様の処理によって、集積部25,42からの紙幣の抜き取りに合わせて、計数画面P10を更新する(ステップS45)。
【0093】
オペレータは、一括キャンセルボタンP17を操作した後、集積紙幣データ281がキャンセルされた紙幣を載置部21に戻して再計数したい、と考える場合がある。制御部29は、オペレータによって、集積紙幣データ281がキャンセルされた紙幣を再計数する旨の操作が行われたか否かを判定する(ステップS46)。
【0094】
制御部29は、再計数する旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS46:YES)、ステップS12の処理を行う。制御部29は、再計数する旨の操作が行われていない、つまり計数を終了する旨の操作が行われていないと判定した場合(ステップS46:NO)、計数処理を終了する。
【0095】
<第1の実施の形態の作用効果>
制御部29は、紙幣の集計処理中に、集積部25,42に集積された紙幣の集積紙幣データ281をキャンセルするか否かを問い合わせる問い合わせ制御を行う。このため、オペレータは、例えば、集積紙幣データ281をキャンセルした紙幣を集積部25,42から抜き出して、当該紙幣を紙幣処理装置1で再計数することによって、前の識別結果と異なる識別結果が得られることを期待できる。再計数した紙幣の識別結果が前の識別結果と異なる場合には、当該紙幣の抜き出し前とは異なる集積部25,42に集積されることによって、当該集積部25,42の集積枚数を設定枚数にすることができる。また、オペレータは、集積紙幣データ281をキャンセルした紙幣を再計数しない場合、集積部25,42から抜き出した紙幣を、例えば、直ちに紙幣処理装置1から離れた位置に持って行くことができる。したがって、オペレータは、紙幣の計数中であっても、集積部25,42に集積された紙幣に関する集積紙幣データ281の取り扱いを、状況に応じて適切に選択できる。
【0096】
制御部29は、問い合わせ制御の対象でない第1の集積部25A,42Aに集積された紙幣の集積紙幣データ281に対する問い合わせ制御を行わずに、問い合わせ制御の対象である第2の集積部25Bに集積された紙幣の集積紙幣データ281に対する問い合わせ制御を行う。このように、問い合わせが必要な集積部25,42のみに関する問い合わせ制御を、制御部29が行うようにすることによって、制御部29の処理負荷の増加を抑制できる。
【0097】
制御部29は、集積紙幣データ281がキャンセルされた紙幣を再計数し、集積部25,42から抜き出される前の識別結果と異なる識別結果が得られた紙幣を、抜き出される前に集積されていた集積部25,42とは異なる集積部25,42に集積するように制御する。なお、集積紙幣データ281がキャンセルされた紙幣を再計数する場合でも、識別部24が紙幣を識別するためのパラメータは変更されない。識別部24による識別された結果、正券と損券とを分けるための境界値に近いような汚損度(汚損度に関する識別結果)を有する紙幣は、初回計数と再計数の際に結果(正券・損券)が異なる可能性がある。このため、オペレータは、集積紙幣データ281がキャンセルされた紙幣が、本来集積されるべき集積部25,42に集積されることを期待できる。
【0098】
制御部29は、集積紙幣データ281がキャンセルされた紙幣を再計数した結果、抜き出される前に集積されていた集積部25,42とは異なる集積部25,42に、当該紙幣が集積された場合、当該紙幣が集積された集積部25,42の集積枚数を増やすように、第1,第2の集積部画像P14,P15における集積枚数P142,P151の表示(カウント値)を制御する。このため、オペレータは、集積紙幣データ281がキャンセルされた紙幣を再計数することによって、所定の集積部25,42の集積枚数が設定枚数になることを期待できる。
【0099】
制御部29は、損券の集積紙幣データ281に対する問い合わせ制御を行う。このため、集積紙幣データ281がキャンセルされた所定の損券の汚損度が余り高くない場合には、当該所定の損券の集積紙幣データ281をキャンセルして、当該所定の損券を再計数することによって、正券として識別されることを期待できる。前記所定の損券が正券として識別された場合、損券の廃棄コストを減らすことができる。また、所定の集積部25,42の集積枚数を設定枚数にすることができる。
【0100】
紙幣処理装置1は、オペレータが問い合わせ制御対象の集積部25,42を設定できるように構成されている。このため、オペレータが問い合わせ制御対象の集積部25,42を設定するときの自由度を高めることができ、紙幣処理装置1の利便性が向上する。
【0101】
制御部29は、問い合せ制御として、集積部25,42に集積された紙幣の集積紙幣データ281をキャンセルするか、または、集積紙幣データ281を仮確定して当該集積部25,42の集積枚数のカウント値を0枚にするかの問い合わせを行う。このため、オペレータは、計数画面P10の第1,第2の集積部画像P14,P15の集積枚数P142,P151を見るだけで、当該集積部25,42の集積枚数を容易に確認できる。
【0102】
制御部29は、オペレータの設定入力に基づいて、問い合わせ制御対象の集積部25,42に集積された紙幣の集積紙幣データ281をキャンセルする場合、当該集積部25,42に対応する発光部202,402を第1の発光状態で発光させるように制御する。制御部29は、問い合わせ制御対象の集積部25,42に集積された紙幣の集積紙幣データ281を仮確定する場合、当該集積部25,42に対応する発光部202,402を、第2の発光状態で発光させるように制御する。このため、オペレータは、集積紙幣データ281をキャンセルまたは仮確定する紙幣の集積部25,42を容易に確認できる。
【0103】
制御部29は、問い合せ制御に関する問い合わせ画面P20を操作表示部27に表示部させるように制御する。このため、オペレータは、問い合せ制御に対する処理を、問い合わせ画面P20を見ながら適切に行うことができる。
【0104】
紙幣処理装置1の筐体20,40に、集積部25,42から紙幣を抜き取るための開口部201,401を設けている。このため、オペレータは、集積部25,42から紙幣を容易に抜き取ることができ、問い合せ制御に対して速やかに対応できる。
【0105】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、紙幣処理装置1が行う計数処理が第1の実施の形態と異なり、その他は第1の実施の形態と同じである。第1の実施の形態と同様の構成および処理については、第1の実施の形態と同じ名称および同じ符号を付し、説明を簡略化または省略する。
【0106】
<紙幣処理装置の動作>
制御部29は、計数処理として図5および図6に示すステップS11~S27の処理を行う。しかし、ステップS11で行う計数画面の表示処理、ステップS17,S24で行う問い合わせ制御処理、および、ステップS20で行う最終確定確認処理が、第1の実施の形態の処理内容と異なる。以下、これらの異なる処理を中心に説明する。図11は、計数画面を示す模式図である。図12は、問い合わせ制御処理を示すフローチャートである。図13および図14は、最終確定確認処理を示すフローチャートである。
【0107】
まず、ステップS11で行う計数画面の表示処理について説明する。
【0108】
制御部29は、図11に示すような計数画面P30を表示させる。計数画面P30には、合計金額P11と、計数枚数P12と、リジェクト枚数P13と、4個の第1の集積部画像P34と、12個の第2の集積部画像P35と、最終確定ボタンP16と、一括キャンセルボタンP17と、が表示される。
【0109】
第1の集積部画像P34は、正損識別子P141と、集積枚数P142と、を含む。正損識別子P141および集積枚数P142は、全ての集積部25に対応する第1の集積部画像P34に含まれる。第1の集積部画像P34は、個別仮確定ボタンP343と、個別キャンセルボタンP344と、をさらに含む。個別仮確定ボタンP343および個別キャンセルボタンP344は、問い合わせ制御対象の集積部25に対応する第1の集積部画像P34に含まれるが、問い合わせ制御対象でない集積部25に対応する第1の集積部画像P34には含まれない。個別仮確定ボタンP343および個別キャンセルボタンP344は、後述する問い合わせ制御処理および最終確定確認処理において表示され、ステップS11の処理では表示されない。本第2の実施の形態では、上述のように、4個の集積部25のうち、一番左の第2の集積部25Bが問い合わせ制御対象の集積部25として設定されている。このことを表すために、4個の第1の集積部画像P34のうち、一番左の第1の集積部画像P34の個別仮確定ボタンP343および個別キャンセルボタンP344を実線で示し、残りの3個の第1の集積部画像P34の個別仮確定ボタンP343および個別キャンセルボタンP344を二点鎖線で示している。
【0110】
個別仮確定ボタンP343は、問い合わせ制御対象の集積部25に集積されている紙幣の集積紙幣データ281をオペレータが仮確定したい場合に、オペレータによって操作される。この場合、集積された紙幣をオペレータが載置部21に再び載置して、再計数の対象とする可能性は低い。
【0111】
個別キャンセルボタンP344は、問い合わせ制御対象の集積部25に集積されている紙幣の集積紙幣データ281をオペレータがキャンセルしたい場合に、オペレータによって操作される。この場合、集積された紙幣をオペレータが載置部21に再び載置して、再計数の対象とする可能性は高い。
【0112】
第2の集積部画像P35は、集積枚数P151を含む。集積枚数P151は、全ての集積部42に対応する第2の集積部画像P35に含まれる。第2の集積部画像P35は、個別仮確定ボタンP352と、個別キャンセルボタンP353と、をさらに含む。個別仮確定ボタンP352および個別キャンセルボタンP353は、問い合わせ制御対象の集積部42に対応する第2の集積部画像P35に含まれるが、問い合わせ制御対象でない集積部42に対応する第2の集積部画像P35には含まれない。個別仮確定ボタンP352および個別キャンセルボタンP353は、後述する問い合わせ制御処理および最終確定確認処理において表示され、ステップS11の処理では表示されない。本第2の実施の形態では、上述のように、12個の集積部42の全てが問い合わせ制御対象の集積部42ではない。このことを表すために、12個の第2の集積部画像P35の個別仮確定ボタンP352および個別キャンセルボタンP353を二点鎖線で示している。個別仮確定ボタンP352および個別キャンセルボタンP353は、それぞれ、個別仮確定ボタンP343および個別キャンセルボタンP344と同様の役割を果たすため、説明を省略する。
【0113】
次に、ステップS17,S24で行う問い合わせ制御処理について説明する。
【0114】
図12に示すように、制御部29は、ステップS17またはステップS24の問い合わせ制御処理において、問い合わせ制御対象の集積部25,42に対応する個別仮確定ボタンP343,P352および個別キャンセルボタンP344,P353を、計数画面P30に表示させる(ステップS51)。詳細には、個別仮確定ボタンP343,P352および個別キャンセルボタンP344,P353が含まれた計数画面P30(図11参照)が、操作表示部27に表示される。制御部29は、問い合わせ制御対象の集積部25,42に対応する個別キャンセルボタンP344,P353が操作されたか否かを判定する(ステップS52)。制御部29は、個別キャンセルボタンP344,P353が操作されたと判定した場合(ステップS52:YES)、ステップS33~S34の処理を行う。
【0115】
制御部29は、個別キャンセルボタンP344,P353が操作されていないと判定した場合(ステップS52:NO)、個別仮確定ボタンP343,P352が操作されたか否かを判定する(ステップS53)。
【0116】
制御部29は、個別仮確定ボタンP343,P352が操作されていないと判定した場合(ステップS53:NO)、ステップS52の処理を行う。
【0117】
制御部29は、個別仮確定ボタンP343,P352が操作されたと判定した場合(ステップS53:YES)、ステップS36~S37の処理を行う。
【0118】
制御部29は、ステップS34またはステップS37の処理を終了すると、個別仮確定ボタンP343,P352および個別キャンセルボタンP344,P353の表示を終了する(ステップS54)。以上により、問い合わせ制御処理が終了する。
【0119】
次に、ステップS20で行う最終確定確認処理について説明する。
【0120】
制御部29は、ステップS19の最終確定確認処理において、図13に示すように、ステップS51と同様の処理によって、問い合わせ制御対象の集積部25,42に対応する個別仮確定ボタンP343,P352および個別キャンセルボタンP344,P353を、計数画面P30に表示させる(ステップS61)。制御部29は、ステップS41~S46の処理を行う。この際、制御部29は、再計数する旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS46:YES)、ステップS54と同様の処理によって、個別仮確定ボタンP343,P352および個別キャンセルボタンP344,P353の表示を終了し(ステップS62)、ステップS12の処理を行う。制御部29は、再計数する旨の操作が行われていない、つまり計数を終了する旨の操作が行われていないと判定した場合(ステップS46:NO)、計数処理を終了する。また、制御部29は、一括キャンセルボタンP17が操作されていないと判定した場合(ステップS43:NO)、図14に示すように、問い合わせ制御対象の集積部25,42に対応する個別キャンセルボタンP344,P353が操作されたか否かを判定する(ステップS63)。
【0121】
制御部29は、個別キャンセルボタンP344,P353が操作されたと判定した場合(ステップS63:YES)、問い合わせ制御処理のステップS33~S34の処理を、ステップS64~S65の処理として行う。制御部29は、ステップS65の処理を行った後、ステップS41の処理を行う。
【0122】
制御部29は、個別キャンセルボタンP344,P353が操作されていないと判定した場合(ステップS63:NO)、問い合わせ制御処理のステップS53,S36~S37の処理を、ステップS66~S68の処理として行う。制御部29は、個別仮確定ボタンP343,P352が操作されていないと判定した場合(ステップS66:NO)、ステップS41の処理を行う。制御部29は、ステップS68の処理を行った後、ステップS41の処理を行う。
【0123】
<第2の実施の形態の作用効果>
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果がある。制御部29は、問い合わせ制御として、計数画面P30に、個別仮確定ボタンP343,P352と、個別キャンセルボタンP344,P353と、を表示させる制御を行う。制御部29は、オペレータによって、個別仮確定ボタンP343,P352が操作された場合、当該個別仮確定ボタンP343,P352に対応する集積部25,42に集積された紙幣の集積紙幣データ281を仮確定する制御を行う。制御部29は、オペレータによって、個別キャンセルボタンP344,P353が操作された場合、当該個別キャンセルボタンP344,P353に対応する集積部25,42に集積された紙幣の集積紙幣データ281をキャンセルする制御を行う。このため、ユーザは、全ての集積部25,42における紙幣の集積枚数を確認しながら、問い合せ制御に対する処理を行うことができる。
【0124】
[実施の形態の変形例]
本発明は、これまでに説明した実施の形態に示されたものに限られないことは言うまでも無く、その趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形を加えることができる。上記実施の形態および以下に示す変形例を、適用可能な範囲において、どのように組み合わせてもよい。
【0125】
制御部29は、全ての集積部25,42に集積された紙幣の集積紙幣データ281に対する問い合わせ制御を行ってもよい。問い合わせ制御対象の集積部25,42は、デフォルトで決められていてもよい。
【0126】
制御部29は、識別部24における識別結果に基づいて、第1の姿勢の紙幣を金種別に第1の集積部25A,42Aに集積し、第1の姿勢以外の姿勢の紙幣を金種に関係なく第2の集積部25Bに集積し、第2の集積部25Bに集積された紙幣の集積紙幣データ281をキャンセルするか否かを問い合わせる問い合わせ制御を行ってもよい。このような構成にすれば、オペレータは、第2の集積部25Bに集積された紙幣を抜き出し、当該紙幣の表裏および向きを揃えて当該紙幣を載置部21に載置することによって、第1の集積部25A,42Aに集積させることができる。その結果、所定の第1の集積部25A,42Aの集積枚数が設定枚数になることを期待できる。
【0127】
制御部29が問い合わせ制御を行うタイミングをオペレータが変更できるようにしてもよい。この場合、オペレータが選択できるタイミングとしては、問い合わせ制御の集積部25,42から紙幣が抜き取られたこと、集積部25,42に集積されている紙幣が設定枚数に到達したこと、載置部21に載置されている紙幣がなくなったこと(集積部25,42に紙幣が集積されかつ搬送部23,41により搬送される紙幣がなくなったこと)が例示できる。第1の実施の形態において、ステップS17またはステップS24の問い合わせ制御処理を行わなくてもよい。第2の実施の形態において、ステップS17の問い合わせ制御処理、ステップS24の問い合わせ制御処理、および、問い合わせ制御処理に対応するステップS61~S68の処理のうち、1つまたは2つの処理を行わなくてもよい。
【0128】
制御部29は、問い合せ制御として、集積部25,42に集積された紙幣の集積紙幣データ281をキャンセルするか、または、集積紙幣データ281を仮確定して当該集積部25,42の集積枚数のカウント値を維持するか、または、集積紙幣データ281を仮確定して当該集積部25,42の集積枚数のカウント値を0枚にするか、の問い合わせを行ってもよい。制御部29は、問い合せ制御として、集積部25,42に集積された紙幣の集積紙幣データ281をキャンセルするか、または、集積紙幣データ281を仮確定して当該集積部25,42の集積枚数のカウント値を維持するか、の問い合わせを行ってもよい。
【0129】
制御部29は、計数画面P10、P30の一括キャンセルボタンP17が操作されたときに、ステータスデータ281Cが「未確定」の集積紙幣データ281およびステップS21の処理によって「仮確定」に更新された集積紙幣データ281を削除し、ステップS26,S36,S67の処理によってステータスデータ281Cが「仮確定」に更新された集積紙幣データ281を削除しなくてもよい。特に、制御部29は、問い合わせ制御処理における仮確定ボタンP23、個別仮確定ボタンP343,P352の操作に基づいて(ステップS36,S67の処理によって)、ステータスデータ281Cが「仮確定」に更新された集積紙幣データ281を削除しなくてもよい。
【0130】
制御部29は、集積紙幣データ281がキャンセルされる紙幣の集積部25,42に対応する発光部202,402を第1の発光状態で発光させずに、集積紙幣データ281が仮確定される紙幣の集積部25,42に対応する発光部202,402を第2の発光状態で発光させてもよい。制御部29は、集積紙幣データ281がキャンセルされる紙幣の集積部25,42に対応する発光部202,402を第1の発光状態で発光させて、集積紙幣データ281が仮確定される紙幣の集積部25,42に対応する発光部202,402を第2の発光状態で発光させなくてもよい。制御部29は、集積紙幣データ281をキャンセルする場合および仮確定する場合のいずれの場合でも、発光部202,402を同じ発光状態で発光させるように制御してもよい。
【0131】
上記実施形態では、発光部202、402がLEDである場合を例示したが、発光部は他の構成でもよい。例えば、発光部202、402として、7セグメントディスプレイなどを採用してもよい。
【0132】
上記実施形態では、発光部202、402がLEDである場合を例示したが、発光部は他の構成でもよい。例えば、操作表示部27に表示される計数画面P30(図11参照)における第1の集積部に対応する第1,第2の集積部画像P34,P35が、特定の色で発光することにより発光部として機能してもよい。同様に、第2の集積部に対応する第1,第2の集積部画像P34,P35が、特定の色で発光することにより発光部として機能してもよい。
【0133】
制御部29は、対応説明P21および装置画像P22のうち少なくとも一方を、問い合わせ画面P20に含めなくてもよい。この場合、制御部29は、問い合わせ画面P20に含めなかった画像により提供される情報を、音声で出力する制御を行ってもよい。
【0134】
制御部29は、操作表示部27に代えて、または、操作表示部27に加えて、紙幣処理装置1から離れた位置に設置されたモニタや携帯端末装置に、問い合わせ画面P20を表示させるように制御してもよい。
【0135】
第2の実施の形態では、ステップS51およびステップS61のタイミングで、集積部25,42に対応する個別仮確定ボタンP343,P352および個別キャンセルボタンP344,P353を、計数画面P30に表示させた例を説明した。集積部25,42に対応する個別仮確定ボタンP343,P352および個別キャンセルボタンP344,P353の表示タイミングは、適宜変更してもよく、また、計数画面P30に常時表示させてもよい。
【0136】
紙幣処理装置1の筐体20,40に、開口部201,401を開閉する扉を設けてもよいし、開口部201,401を設けなくてもよい。
【0137】
本発明の媒体処理装置で処理する媒体として、硬貨、商品券、小切手、メダルを適用してもよい。
【0138】
本発明の媒体処理装置は、紙幣または硬貨を出金するときに、上述の問い合わせ制御を行う構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、媒体処理装置に適用できる。
【符号の説明】
【0140】
1 紙幣処理装置
2 基本モジュール
4 拡張モジュール
20 筐体
21 載置部
22 取込部
23 搬送部
24 識別部
25 集積部
25A 第1の集積部
25B 第2の集積部
26 リジェクト部
27 操作表示部
28 記憶部
29 制御部
40 筐体
41 搬送部
42 集積部
42A 第1の集積部
201 開口部
202 発光部
211 キッカローラ
212 フィードローラ
251 羽根車
252 ステージ
253 紙幣検知センサ
261 羽根車
262 紙幣保持部
280 紙幣管理データ
281 集積紙幣データ
281A 記番号データ
281B 分類先データ
281C ステータスデータ
281D 金種データ
281E 正損データ
281F 姿勢データ
282 取引番号データ
401 開口部
402 発光部
421 羽根車
422 紙幣保持部
423 紙幣検知センサ
P10 計数画面
P11 合計金額
P12 計数枚数
P13 リジェクト枚数
P14 第1の集積部画像
P15 第2の集積部画像
P16 最終確定ボタン
P17 一括キャンセルボタン
P20 問い合わせ画面
P21 対応説明
P22 装置画像
P23 仮確定ボタン
P24 キャンセルボタン
P30 計数画面
P34 第1の集積部画像
P35 第2の集積部画像
P141 正損識別子
P142 集積枚数
P151 集積枚数
P221 筐体画像
P222 集積部画像
P343 個別仮確定ボタン
P344 個別キャンセルボタン
P352 個別仮確定ボタン
P353 個別キャンセルボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14