(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20240411BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240411BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2020092934
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 洋志
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸治
(72)【発明者】
【氏名】平間 聡
(72)【発明者】
【氏名】石河 裕之
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102636(JP,A)
【文献】特開2010-034527(JP,A)
【文献】特開2008-258296(JP,A)
【文献】特開2012-231036(JP,A)
【文献】特開2018-019032(JP,A)
【文献】特開2019-029478(JP,A)
【文献】特開2003-011417(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102244177(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0115304(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447-21/449
H01L 21/60 -21/607
H01L 33/00 -33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載基板と、
前記搭載基板上に配された支持基板並びに前記支持基板上に形成された半導体発光層及び電極パッドを有する少なくとも1の発光素子と、
前記搭載基板と前記電極パッドとにボンディングされた少なくとも1の導電性のワイヤと、
前記電極パッド上に形成された少なくとも1のバンプと、
前記少なくとも1の発光素子の前記半導体発光層上に形成される接着樹脂層と、
前記接着樹脂層上に前記少なくとも1の発光素子の上方から前記半導体発光層を覆うように配された波長変換板と、
を含み、
前記少なくとも1のバンプは、上面視において、前記少なくとも1のバンプの少なくとも一部が前記電極パッドの外縁から前記半導体発光層の側へ突出するように形成されて
おり、
前記少なくとも1のバンプの少なくとも一部は、前記接着樹脂層に覆われていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記少なくとも1のバンプは、前記電極パッド上に形成された第1のバンプと、前記第1のバンプ上に形成された第2のバンプと、からなり、
前記第1のバンプは、前記電極パッド上において、前記電極パッドの外縁より内側に配され、
前記第2のバンプは、前記第1のバンプ上の前記第1のバンプの中心位置から前記半導体発光層の側にオフセットされるように配され且つ、前記第2のバンプの少なくとも一部が上面視において前記電極パッドの外縁から前記半導体発光層の側へ突出するように配されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記少なくとも1の発光素子の前記支持基板上には、前記支持基板上の前記半導体発光層及び前記電極パッドを除く部分に形成されている保護膜をさらに含み、
前記第1のバンプ及び前記第2のバンプの各々は、前記保護膜と互いに離間するように配されていることを特徴とする請求項
2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記少なくとも1のバンプは、前記波長変換板と互いに離間していることを特徴とする請求項
2~
3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2のバンプの底面の位置は、前記半導体発光層の上面より高く、前記波長変換板の下面より低い位置に配されることを特徴とする請求項
2~
4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記波長変換板は、矩形の平面形状を有しており、
前記波長変換板の少なくとも1つの辺に沿った前記接着樹脂層は、前記支持基板の上面から前記波長変換板の下面に至る凹面を有することを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
発光装置の製造方法であって、
搭載基板上に配された少なくとも1の発光素子上に形成された電極パッド上に少なくとも1の導電性のワイヤをボンディングし且つ、少なくとも1のバンプを形成する素子ボンディング工程と、
前記少なくとも1の発光素子に形成された半導体発光層上に接着樹脂層を塗布する塗布工程と、
前記接着樹脂層上に前記少なくとも1の発光素子の上方から前記半導体発光層を覆うように波長変換板を配する接着工程と、
を、含み、
前記素子ボンディング工程において、前記少なくとも1のバンプは、上面視において、前記少なくとも1のバンプの少なくとも1部が前記電極パッドの外縁から前記半導体発光層の側へ突出するように形成され
ており、
前記接着工程において、前記少なくとも1のバンプの少なくとも一部が前記接着樹脂層に覆われることを特徴とした発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、発光素子を含む発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置は、例えば、端子や配線などが設けられた基板と、当該基板上に実装された少なくとも1つの発光素子と、当該発光素子から放出された光の波長を変換する波長変換体と、を含む。例えば、特許文献1には、発光素及び波長変換層を有する発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開特許WO2009/069671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子と波長変換体とを、例えば、透明な接着樹脂を用いて接合する場合、発光素子ごとに当該接着樹脂の塗布量がばらつき、所望の塗布量よりも多く塗布されてしまう場合がある。これにより、接着樹脂が発光素子の側面に垂れる又は波長変換体の側面に這い上がりを起こす可能性がある。
【0005】
例えば、発光素子の側面に接着樹脂が垂れてしまった場合、接着樹脂が導光体として機能してしまい、発光素子の発光面から放出される光がシリコン等の発光素子の支持基板に吸収され、発光装置としての光取り出し効率が低下してしまう。
【0006】
また、例えば、波長変換体の側面に大きな接着樹脂の這い上がりが発生すると、発光装置から得られる光の色ムラが発生してしまう。特に、接着樹脂が波長変換体上面まで達する這い上がりが発生してしまうと、発光装置の発光部に当該這い上がった接着樹脂を介して、発光素子から波長変換体を経由せずに発光装置から出射してしまい、光漏れによる著しい色ムラが発生してしまう。
【0007】
従って、発光素子と波長変換体とを接着する接着樹脂の塗布量には高い精度が必要となる。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、接着樹脂の発光素子側面への垂れ及び波長変換体側面への這い上がりを防止しつつ、発光装置の光取り出し効率を向上させることが可能な発光装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発光装置は、搭載基板と、前記搭載基板上に配された支持基板並びに前記支持基板上に形成された半導体発光層及び電極パッドを有する少なくとも1の発光素子と、前記搭載基板と前記電極パッドとにボンディングされた少なくとも1の導電性のワイヤと、前記電極パッド上に形成された少なくとも1のバンプと、前記少なくとも1の発光素子の前記半導体発光層上に形成される接着樹脂層と、前記接着樹脂層上に前記少なくとも1の発光素子の上方から前記半導体発光層を覆うように配された波長変換板と、を、含み、前記少なくとも1のバンプは、上面視において、前記バンプの少なくとも一部が前記電極パッドの外縁から前記半導体発光層の側へ突出するように形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る発光装置の製造方法は、搭載基板上に配された少なくとも1の発光素子上に形成された電極パッド上に少なくとも1の導電性のワイヤをボンディングし且つ、少なくとも1のバンプを形成する素子ボンディング工程と、前記少なくとも1の発光素子に形成された半導体発光層上に接着樹脂層を塗布する塗布工程と、前記接着樹脂層上に前記少なくとも1の発光素子の上方から前記半導体発光層を覆うように波長変換板を配する接着工程と、を、含み、前記素子ボンディング工程において、前記少なくとも1のバンプは、上面視において、前記バンプの少なくとも1部が前記電極パッド外縁から前記半導体発光層の側へ突出するように形成されることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係る発光装置の上面図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿った発光装置の断面図である。
【
図3】本発明の実施例に係る発光装置の発光素子の拡大図である。
【
図4】
図3のC-C線及びD-D線に沿った発光素子の断面図である。
【
図5】
図1のB-B断面における隣接する発光素子の間のキャビティの拡大断面図である。
【
図6】本発明の実施例に係る発光装置の製造フローを示す図である。
【
図7】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
【
図8】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
【
図9】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
【
図10】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
【
図11】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
【
図12】波長変換板を載置、押圧する際の接着樹脂の濡れ広がりを模式的に示した図である。
【
図13】
図12のE-E線及びF-F線に沿った発光素子の断面図である。
【
図14】波長変換板を載置、押圧する際の接着樹脂の濡れ広がりを模式的に示した図である。
【
図15】
図14のG-G線及びH-H線に沿った発光素子の断面図である。
【
図16】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
【
図17】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
【
図18】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
【
図19】本発明の変形例1に係る発光装置の上面図である。
【
図20】本発明の変形例2に係る発光装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。尚、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例】
【0013】
図1は、発光装置10の模式的な上面図を示している。また、
図2は、
図1の発光装置10のA-A線に沿った断面図を示している。
【0014】
発光装置10は、一方の面に凹形状のキャビティが形成されている躯体11を有する。また、発光装置10は、躯体11のキャビティ内に格納されたサブマウント13と、当該サブマウント13上に並置された複数の発光素子20と、を有する。また、発光装置10は、複数の発光素子20の各々上に一体的に形成された波長変換板30を有する。
【0015】
躯体11は、上面視において矩形上の平面形状を有する発光装置10の筐体として機能する基板であり、例えば、銅(Cu)等の熱伝導性の高い材料からなる。また、躯体11は、上面に凹状に形成されたキャビティを有する。また、図示していないが、躯体11の上面、キャビティ内部及び底面を含む外周部には絶縁膜が形成されており、躯体11の表面は電気的に絶縁されるような態様を有する。
【0016】
躯体11は、キャビティ底面及び躯体11の下面に互いに離間するように形成された金属製の第1の配線T1と第2の配線T2を有する。また、図示していないが、躯体11のキャビティ内部と躯体11の下面とに形成されている第1の配線T1及び第2の配線T2は、おのおの貫通電極によって接続されている。また、躯体11の下面側の第1の配線T1及び第2の配線T2が発光装置10の外部電極として機能する。尚、第1の配線T1及び第2の配線T2の貫通電極においても、貫通電極と躯体11の接合部は絶縁膜を介して接合されており、第1の配線T1及び第2の配線T2は躯体11と絶縁されている。換言すれば、第1の配線T1と第2の配線T2は、おのおの躯体11のキャビティ内部の部分と躯体11の下面部分において電気的に繋がっている。また、第1の配線T1と第2の配線T2は、おのおの絶縁されている、と同時に躯体11に対しても絶縁されている。
【0017】
尚、本実施例においては、躯体11はCuを主材料とする場合について説明するが、躯体11の主材料はこれに限定されない。例えば、躯体11は、熱伝導性が高く絶縁性を有するアルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)等のセラミックス等の材料から形成されていてもよい。この場合、上述した絶縁膜を形成する必要はなく、躯体11のキャビティ底面及び躯体11の下面に直接金属製の電極である第1の配線T1及び第2の配線T2を直接形成することが可能となる。
【0018】
また、発光装置10は、躯体11のキャビティ底面に固定された搭載基板としてのサブマウント13を有する。サブマウント13は、矩形状の平面形状を有する基板であり、例えば、窒化アルミニウム(AlN)等の熱伝導性の高いセラミックス等の材料からなる。サブマウント13は、当該キャビティ底面に、例えば、図示しない高熱伝導接着剤等により固定されている。躯体11のキャビティ底面において、サブマウント13、第1の配線T1及び第2の配線T2は互いに離間するように配される。
【0019】
また、サブマウント13には、発光素子20を載置して電気的に接続する複数の金属性の配線PWが形成されている。本実施例においては、サブマウント13上には4つの発光素子20が1列に整列して配置されている場合について説明する。
【0020】
発光素子20の各々は、例えば、シリコンを主材料とする支持基板21上に積層された半導体発光層としての発光部EM有する半導体発光素子であり、それぞれサブマウント13の配線PWの素子載置部(図示せず)上に載置されている。発光部EMは、例えば、p型半導体層、発光層及びn型半導体層を積層させた構造からなる。また、n型半導体層の上面は、発光部EMの各々の上面であり、発光素子20の各々における光取り出し面として機能する。p型半導体層、発光層及びn型半導体層は、例えば、窒化ガリウム(GaN)等を主材料とする窒化物半導体であり、多重量子井戸構造を有する発光層から青色の光を放射する青色発光ダイオード(LED)である。
【0021】
また、発光素子20の各々は、支持基板21上に発光部EMと離間するように形成された電極パッドBPを有する。電極パッドBPは、発光部EMのp型半導体層と電気的に接続されており、発光素子20のアノード電極として機能する。電極パッドBPは、例えば、金(Au)からなる導電性のボンディングワイヤBWを介してサブマウント13の配線PWと電気的に接続されている。ボンディングワイヤBWは、ワイヤバンプBBと金ワイヤWとからなる、いわゆる逆ボンディングの態様で構成されている。尚、本実施例においては、ボンディングワイヤBWが逆ボンディングである場合について説明するが、ボンディングワイヤBWの態様はこれに限定されず、電極パッドBP上に圧着ボールを形成する順ボンディングの態様でもよい。
【0022】
また、発光素子20の下面は発光部EMのn型半導体層と電気的に接続されており、発光素子20の下面がカソード電極として機能する。発光素子20の下面であるカソード電極は、例えば、図示しない導電性固着材等によりサブマウント13の配線PWと電気的に接続されている。
【0023】
また、
図1中左端の配線PWは躯体11の第1の配線T1とボンディングワイヤBWを介して電気的に接続されており、図中右端の配線PWは躯体11の第2の配線T2とボンディングワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、本実施例においては、4つの発光素子20は、躯体11の第1の配線T1と第2の配線T2との間で直列に接続されている。
【0024】
尚、本実施例においては、発光素子20の各々における発光部EMは、矩形の上面形状を有する。また、サブマウント13上においては、発光部EMの各々が1列に整列するように配置され且つ、電極パッドBPの各々が発光部EMの配列方向に沿って1列に整列するように配置されている。
【0025】
発光装置10は、発光素子20の各々上に一体的に形成された矩形形状の平面形状の波長変換板30を有する。波長変換板30は、発光素子20の各々からの放出光に対して波長変換を行う。波長変換板30は、例えば、セリウム(Ce)をドープしたYAGを主材料とする蛍光体粒子と、ガラス又はアルミナ等のセラミックのバインダとを含む板状の部材を含む。本実施例においては、波長変換板30は、発光素子20が放射する青色の光の波長変換を行い、白色の光を放射する波長変換板である。
【0026】
また、波長変換板30は、上面視において、発光素子20の配列方向を長辺方向とする長方形の上面形状を有する。
【0027】
また、本実施例においては、波長変換板30における主面の一方が発光素子20の上面に発光素子20が放射する光を透過する接着樹脂層としての接着樹脂50を介して接合される。また、他方の主面が外部に面する。すなわち、波長変換板30の当該一方の主面は、発光素子20によって放出された光を接着樹脂50を介して受光する受光面として機能し、当該他方の主面は、発光装置10の光取り出し面として機能する。
【0028】
また、発光装置10は、発光素子20と波長変換板30とを接合させる際の余剰な接着樹脂50を吸引するドレインバンプ(以下、単にバンプを称する場合もある)40有する。また、バンプ40の各々は、発光素子20の発光部EMの配列方向に沿って1列に整列して配置されている。バンプ40は、例えば、ボンディングワイヤBWと同一材料のAuからなる金属突起である。また、バンプ40は、ボンディング装置によって形成され、ボンディングワイヤBWのボンディングと同一工程で行われる。
【0029】
また、
図2に示すように、バンプ40は、電極パッドBP上に形成されている第1のバンプ41と、当該第1のバンプ41上に形成され、第1のバンプ41の中心位置よりも発光部EMの側にオフセットされるように形成されている第2のバンプ42と、からなる。第2のバンプ42は、電極パッドBPの発光部EM側の辺を超えるように形成されており、第2のバンプ42は電極パッドBPと発光部EMとの間の図示しないウェハ保護膜上にオーバーハングされるように形成されている。
【0030】
換言すれば、発光装置10は、サブマウント13と、サブマウント13上に配された支持基板21並びに支持基板21上に形成された発光部EM及び電極パッドBPを有する発光素子20と、サブマウント13と電極パッドBPとにボンディングされたボンディングワイヤBWと、電極パッドBP上に形成されたバンプ40と、発光素子20の発光部EM上に形成される接着樹脂50と、接着樹脂50上に発光素子20の上方から発光部EMを覆うように配された波長変換板30と、を、含み、バンプ40は、上面視において、バンプ40の少なくとも一部が電極パッドBPの外縁から発光部EMの側へ突出するように形成されている。
【0031】
また、バンプ40は、電極パッドBP上に形成された第1のバンプ41と、第1のバンプ41上に形成された第2のバンプ42と、からなり、第1のバンプ41は、電極パッドBP上において、電極パッドBPの外縁より内側に配され、第2のバンプ42は、第1のバンプ41上の第1のバンプ41の中心位置から発光部EMの側にオフセットされるように配され且つ、第2のバンプ42の少なくとも一部が上面視において電極パッドBPの外縁から発光部EMの側へ突出するように配されている。
【0032】
尚、バンプ40の第1のバンプ41は、電極パッドBP上において、ボンディングワイヤBWが形成されている発光部EMの配列方向に沿った配列方向よりも発光部EMの側にオフセットされるように形成されることが好ましい。例えば、波長変換板30を発光素子20上に載置する時に(具体的には、接着樹脂50がバンプ40に到達する以前に)、波長変換板30が搭載位置から電極パッドBPの側に位置ずれが生じてしまった場合、ボンディングワイヤBWに接触することで、ボンディングワイヤBWの変形又は断線が生じることを防止できる。
【0033】
また、接着樹脂50は、
図1及び
図2に示すように、波長変換板30から電極パッドBPの側にはみ出すように形成されている。言い換えれば、バンプ40の少なくとも一部を覆うように形成されている。
【0034】
また、電極パッドBPの側へはみ出した接着樹脂50は、電極パッドBP外端の縁を伝ってボンディングワイヤBWの側へ流れ込む。ボンディングワイヤBWまで到達した接着樹脂50は、ボンディングワイヤBWの周囲を覆うように形成される。
【0035】
また、
図2に示すように、発光装置10は、躯体11のキャビティ内に波長変換板30の光取り出し面である上面が露出されるように充填されている被覆部材15を有する。被覆部材15は、例えば、反射性を有する樹脂材料からなる。本実施例においては、被覆部材15は、発光素子20が放射する光を反射する白色樹脂である。なお、
図1においては、躯体11内の各要素の構造及び位置関係を明確にするために、被覆部材15は省略している。
【0036】
図3は、本発明の実施例に係る発光装置10の発光素子20の拡大図である。また、
図4は、
図3のC-C線及びD-D線に沿った発光素子20の断面の拡大図である。C-C線はバンプ40の位置の断面を示し、D-D線はボンディングワイヤBWの位置の断面を示している。
【0037】
上述の通り、バンプ40は、電極パッドBP上においてボンディングワイヤBWよりも発光部EMに近い位置に配置されている。また、
図4に示すように、バンプ40は、発光素子20の各々における支持基板21の電極パッドBP上に設けられた第1のバンプ41と、第2のバンプ42との2段の金属バンプからなる。また、第2のバンプ42は、第1のバンプ41の中心位置よりも発光部EMに近い位置に形成されており且つ、第2のバンプ42は、電極パッドBPの外部に形成されている保護膜CVをオーバーハングするように形成されている。また、バンプ40は、
図4に示すように、波長変換板30と互いに離間して配置されるように形成される。バンプ40と波長変換板30が接触すると、電極パッドBP及び保護膜CVの破損又は波長変換板30の搭載位置ずれが生じるおそれがある故、バンプ40と波長変換板30とは互いに離間して配されることが好ましい。
【0038】
上述したように、発光素子20の支持基板21上には、支持基板21上の発光部EM及び電極パッドBPを除く部分に形成されている保護膜CVをさらに含み、第1のバンプ41及び第2のバンプ42の各々は、保護膜CVと互いに離間するように配されている。また、バンプ40は、波長変換板30と互いに離間している。また、バンプ40の少なくとも1部は、接着樹脂50に覆われている。
【0039】
発光素子20の電極パッドBPにバンプ40を設けることで、発光素子20の上面に塗布した接着樹脂50上に波長変換板30を載置する際、余剰な接着樹脂50をバンプ40から吸引、貯留することにより、発光部EMと波長変換板30とを接合するための接着樹脂50を適切な量に調整することが可能となる。
【0040】
具体的には、発光部EM上にポッティングされた接着樹脂50上に波長変換板30を載置し、接着樹脂50が発光部EMと波長変換板30との接合部に濡れ広がる。この時、当該接合部からはみ出る接着樹脂50が毛細管現象により
図4のC-C断面に示すように、バンプ40の周囲に吸引して余剰な接着樹脂50を貯留する。
【0041】
また、バンプ40によって吸引された余剰な接着樹脂50は、毛細管現象により、電極パッドBPの外端部、特に電極パッドBPの表面と保護膜CVの電極パッドBPの側の側面を伝達して電極パッドBP内に広がっていく。電極パッドBP内に広がった接着樹脂50がボンディングワイヤBWまで到達すると、D-D断面に示すように毛細管現象によりボンディングワイヤBWの周囲に吸引、貯留される。
【0042】
これにより、接着樹脂50の発光部EMと波長変換板30との接合部の濡れ広がり時において、余剰な接着樹脂50がバンプ40を介して電極パッドBP内のバンプ40及びボンディングワイヤBW周囲に吸引、貯留されることで、接着樹脂50の発光素子20の側面への垂れ又は波長変換板30の側面への過剰な這い上がりを防止することが可能となる。
【0043】
また、発光部EMと波長変換板30との接合部の全面に濡れ広がるために不足する接着樹脂50、特に、上面視において矩形形状の接合部の4隅が濡れ広がるために接着樹脂50が不足する場合がある。この時、当該4隅に濡れ広がる際の毛細管現象によって、バンプ40及びボンディングワイヤBW周囲に貯留された接着樹脂50がバンプ40を介して接合部に不足する量の接着樹脂50が再度供給される。これにより、発光装置10は、発光部EMと波長変換板30との接合部の全面を接着樹脂50が濡れ広がるための適切な量を調整することが可能となる。また、貯留された接着樹脂50が再度供給されることにより、バンプ40周辺から波長変換板30の側面への接着樹脂50の過剰な這い上がりを防止することも可能となる。
【0044】
また、波長変換板30の下面の辺に沿った接着樹脂50は、当該波長変換板30の下面の辺の端部から当該波長変換板30の下面の辺に対応する発光素子20の辺の端部において、凹形状の断面形状を有する端部側面部51が形成される。端部側面部51は、接着樹脂50の発光部EMと波長変換板30との接合部の濡れ広がり時において、余剰な接着樹脂50がバンプ40を介して電極パッドBP内のバンプ40及びボンディングワイヤBW周囲に吸引されることにより、凹面の端部側面部51が形成される。
【0045】
すなわち、バンプ40は、発光部EMと波長変換板30との接合部の接着樹脂50の接合時において、濡れ広がり時においては接着樹脂50のポッティング位置から最短距離の発光素子20の側面へ垂れる可能性のある余剰な接着樹脂50を吸引(ドレイン)し、ポッティング位置から最長距離の接合部の4隅へ濡れ広がるために不足する接着樹脂50を供給(リドレイン)する接着樹脂量調節機能を有する。
【0046】
上述したように、波長変換板30の少なくとも1つの辺に沿った接着樹脂50は、支持基板21の上面から波長変換板30の下面に至る凹面の端部側面部51を有する。
【0047】
図5は、
図1のB-B断面における隣接する発光素子20の間のキャビティを示すBT部の拡大断面図である。
【0048】
上述の通り、バンプ40による接着樹脂50の調節機能により、発光素子20、特に支持基板21の側面への接着樹脂50の垂れは発生しない。
【0049】
接着樹脂50は、
図5に示すように波長変換板30側の面において、発光素子20の端部から波長変換板30に向かって延伸する素子間側面部53と、波長変換板30の下面に薄膜状に残留した天面部としての逆ベンド部54と、が形成されたトンネル状の凹状部52を有する。
【0050】
素子間側面部53は、接着樹脂50の表面張力により、発光素子20の端部から波長変換板30に向かって、隣接する発光素子20の間の中央部に傾いた角度で形成される。また、逆ベンド部54は、隣接する発光素子20の間において、中央部に下面側に凸形状の断面形状を有する形状(シリンドリカル形状)で形成される。
【0051】
接着樹脂50は、波長変換板30載置時の濡れ広がり時において、図中破線のように発光素子20に亘って濡れ広がる。その後、バンプ40によって濡れ広がった余剰な接着樹脂50が図中左右の発光素子20の方向に吸引されることで、発光素子20の間の中央部に残留した接着樹脂50が逆ベンド部54のような形状で形成される。
【0052】
また、素子間側面部53及び逆ベンド部54は、
図5に示すような断面形状をなすことにより、発光部EMから放射された放射光LMを偏向する機能を有する。尚、本実施例においては、
図5に示した発光素子20の間のキャビティが空気又は窒素等の気体である場合について説明する。
【0053】
例えば、発光部EMから素子間側面部53に向かって放射光LMが放射され、素子間側面部53から出光する場合、透明樹脂である接着樹脂50の屈折率は気体よりも大きい故、素子間側面部53からの出射光は波長変換板30の方向へ屈折される。また、当該出射光が逆ベンド部54に入射される時、逆ベンド部54は下面に凸の断面形状を有する故、逆ベンド部54は凸レンズとして機能する。従って、逆ベンド部54に入射した光は、さらに波長変換板30の方向に屈折される。これにより、発光部EMから波長変換板30に直接向かわない放射光LMは、接着樹脂50の素子間側面部53及び逆ベンド部54によって上方である波長変換板30の光取り出し面に導くことが可能となり、発光装置10の光取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0054】
また、サブマウント13上に配される複数の発光素子20の各々の上面の取り付け高さ、すなわちサブマウント13の上面から当該複数の発光素子20の各々の上面までの高さ(以下、単に発光素子20の取り付け高さと称する場合がある)が異なる場合、発光素子20上の接着樹脂50の量は、バンプ40による接着樹脂50の調節機能によって複数の発光素子20上に塗布された接着樹脂50と波長変換板30との表面張力のそれぞれが釣り合う量にそれぞれ調整される。すなわち、バンプ40は、複数の発光素子20の上面のそれぞれの取り付け高さに応じて接着樹脂50の量をセルフボリュームコントロールする。従って、複数の発光素子20上の接着樹脂50の厚さのそれぞれもバンプ40の各々によってセルフコントロールされ、波長変換板30を水平に載置することが可能となる。
【0055】
また、
図5に示すように、発光素子20は、各々の辺において、上面と側面のなす角度が鋭角になるようにダイシングされている。これにより、発光素子20の上面端部から接着樹脂50が垂れることをより確実に防止することが可能となる。
【0056】
上述したように、発光装置10は、サブマウント13と、各々がサブマウント13上に1の方向に配列された支持基板21及び支持基板21の各々の上面に形成された発光部EMを有する複数の発光素子20と、支持基板21の各々の上面において発光部EMを覆いかつ複数の発光素子20に亘って延在するように形成される接着樹脂50と、複数の発光素子20上に亘って延在し、下面と複数の発光素子20の各々の上面とが接着樹脂50によって接着された波長変換板30と、を含み、接着樹脂50は、隣り合う1の発光素子20と他の発光素子20との間の領域において、1の発光素子20の上面の他の発光素子20に面した縁から他の発光素子20の上面の1の発光素子20に面した縁まで延在しかつ下向きに凹の表面を含む凹状部を有する。
【0057】
また、接着樹脂50は、互いに隣接する発光素子20の上面の向かい合う一方の辺から他方の辺において、複数の発光素子20の上面の端部から波長変換板30の方向に延伸する素子間側面部53と、素子間側面部53の間において、波長変換板30の下面に薄膜状に形成された逆ベンド部54と、が形成されている。また、逆ベンド部54は、1の方向に沿って、下に凸の断面形状を有する。
【0058】
また、複数の発光素子20の各々の支持基板21の上面と側面とがなす角度は、鋭角である。
【0059】
次に、
図6及び
図7~19を用いて、本願の実施例に係る発光装置10の製造手順について説明する。
【0060】
図6は、本発明の実施例に係る発光装置10の製造フローを示す図である。また、
図7~19は、
図6に示す製造手順の各ステップにおける発光装置10の上面図を示す。
【0061】
まず、
図7に示すように金属の素子載置部及び配線PWが形成されたサブマウント13を用意する。
【0062】
次に、
図8に示すように素子載置部に接着剤を塗布し、発光素子20を載置した後発光素子20を固着する(ステップS11)。
【0063】
素子ボンディング工程として、
図9に示すように、発光素子20の電極パッドBPにボンディング装置を用いて、電極パッドBPとサブマウント13の配線PWをボンディングワイヤBWにてボンディングすると共に、バンプ40を形成する(ステップS12)。バンプ40は、上述したように第1のバンプ41を電極パッドBP内のボンディングワイヤBWの形成位置よりも発光部EMに近い位置に形成し、その後、第2のバンプ42を電極パッドBP外端から発光部EMの側へオーバーハングするように第1のバンプ41上に形成する。本実施例において、バンプ40は、ボンディング装置のキャピラリー先端で金ワイヤをボール状(FAB:Free Air Ball)にして電極パッドBP又は第1のバンプ41に押し付け、その後ワイヤを切断して形成している。次に、発光素子20が直列に接続されるように発光素子20の電極パッドBPとサブマウント13の配線PWとをボンディングワイヤBWを用いて電気的に接続する。尚、バンプ40の形成及びボンディングワイヤBWのボンディングを行う工程は同一である故、どちらを先に形成してもよい。
【0064】
次に、塗布工程として、
図10に示すように、発光部EMに接着樹脂50をポッティングする(ステップS13)。
【0065】
次に、接着工程として、
図11に示すように、波長変換板30を発光素子20の発光部EMのそれぞれを覆うように載置して押圧した後に加熱して固着する(ステップS14)。
【0066】
ここで、ステップS14時における接着樹脂50の濡れ広がりの挙動とバンプ40による接着樹脂50の吸引、貯留及び再供給の挙動とを
図12~15を用いて説明する。
【0067】
図12は、発光素子20に接着樹脂50を塗布した後、波長変換板30を載置、押圧する際の接着樹脂50の濡れ広がりを模式的に示した図である。また、
図13は、
図12のE-E線及びF-F線に沿った発光素子20の断面の拡大図である。E-E線はバンプ40の位置における断面図を示し、F-F線はボンディングワイヤBWの位置における断面図を示している。
【0068】
接着樹脂50は、例えば、発光部EMの中心位置等にディスペンサによりポッティングされる。その後、当該接着樹脂50上に波長変換板30が載置され、波長変換板30が上面から押圧される。
【0069】
この時、上面視において、接着樹脂50は、
図12中の中央部の破線矢印のようにポッティング位置から同心円状に押し出されるように濡れ広がる。
【0070】
接着樹脂50の濡れ広がりが発光部EMの電極パッドBP側の端部まで到達すると、接着樹脂50は毛細管現象により
図12中の下部破線矢印及び
図13中E-E断面図の実線矢印のようにバンプ40を伝ってバンプ40の周囲に貯留される。
【0071】
波長変換板30の押圧により、接着樹脂50の濡れ広がりがさらに拡大すると、バンプ40の周囲の接着樹脂50は、
図12中の下部破線矢印及び
図13中F-F断面図の実線矢印のように電極パッドBPの発光部EMの側の縁を伝ってボンディングワイヤBWの周囲にまで広がる。
【0072】
尚、この時、バンプ40が形成される電極パッドBPからの高さは、第2のバンプ42の底面が発光部EMの上面と波長変換板30の下面との間となるように形成されることが好ましい。これにより、押し出される接着樹脂50をバンプ40が効率的に吸引することが可能となる。すなわち、第2のバンプ42の底面の位置は、発光部EMの上面より高く、波長変換板30の下面より低い位置に配される。
【0073】
また、バンプ40は、上述の通り、波長変換板30と互いに離間して配置されるように形成される。
【0074】
尚、この時、発光素子20の端部まで接着樹脂50が濡れ広がっていた場合でも、バンプ40により発光素子20の側面に垂れるような余剰な接着樹脂50が吸引される故、発光素子20の側面に接着樹脂50が垂れることが防止できる。すなわち、波長変換板30の押圧による接着樹脂50の濡れ広がり及び押し出しにおいて、発光素子20の端部からの接着樹脂50の垂れよりバンプ40による接着樹脂50の吸引の方が優先的に行われる。
【0075】
また、波長変換板30の押圧(自重による押圧を含む)は、発光素子20と波長変換板30との接合部の全面に接着樹脂50が濡れ広がるまで行わないことが好ましい。これにより、波長変換板30が発光部EMと接触し、発光部EMを破損することを防止することが可能となる。
【0076】
図14は、波長変換板30を押圧した後の接着樹脂50の濡れ広がりを模式的に示した図である。また、
図15は、
図14のG-G線及びH-H線に沿った発光素子20の断面の拡大図である。G-G線はバンプ40の位置における断面図を示し、H-H線はボンディングワイヤBWの位置における断面図を示している。
【0077】
波長変換板30の押圧後、接着樹脂50は毛細管現象により
図14中の発光部EM上に示した破線矢印のように発光素子20と波長変換板30との接合部の全面に接着樹脂50が濡れ広がる。接着樹脂50が発光素子20と波長変換板30との接合部の全面への濡れ広がりに不足する場合は、波長変換板30の押圧時にバンプ40及びボンディングワイヤBW周囲に押し出され貯留された接着樹脂50が
図14中の下部破線矢印及び
図15中の実線矢印のようにバンプ40を介して接合部へ供給されることにより不足分を補うことが可能となる。
【0078】
また、上述の通り、接着樹脂50は発光素子20の側面に垂れないような構造となる故、波長変換板30の載置位置は、接着樹脂50の表面張力により発光素子20の上面にセルフアライメントされる。例えば、波長変換板30は、発光素子20の電極パッドBPのある側の反対側の側面、及び波長変換板30の短辺に対応する発光素子20の側面に対してセルフアライメントされる。また、同時に波長変換板30がバンプ40に接している場合には離間される。また、接着樹脂50が波長変換板30へ這い上がることが抑制される。
【0079】
上述のように発光素子20上面上に波長変換板30が載置されたサブマウント13を加熱して接着樹脂50を硬化させ、波長変換板30を発光素子20上面上に固着させる。
【0080】
次に、
図16に示すように、発光素子20及び波長変換板30が固着されたサブマウント13を躯体11のキャビティ底面に図示しない高熱伝導接着剤を介して固着する(ステップS15)。
【0081】
図17に示すように、サブマウント13の両端に形成された配線PWと躯体11のキャビティ底面に形成された第1の配線T1及び第2の配線T2とをボンディング装置にてボンディングワイヤBWを用いて電気的に接続する(ステップS16)。
【0082】
その後、
図18に示すように、躯体11のキャビティ内部に反射性の被覆部材15を充填し、発光装置10を製造する(ステップS17)。
【0083】
上述したように、発光装置10を製造する製造方法は、サブマウント13上に配された発光素子20上に形成された電極パッドBP上にボンディングワイヤBWをボンディングし且つ、バンプ40を形成する素子ボンディング工程と、発光素子20に形成された発光部EM上に接着樹脂50を塗布する塗布工程と、接着樹脂50上に発光素子20の上方から発光部EMを覆うように波長変換板30を配する接着工程と、を、含み、素子ボンディング工程において、バンプ40は、上面視において、バンプ40の少なくとも1部が電極パッドBP外縁から発光部EMの側へ突出するように形成される。また、接着工程において、接着樹脂50は、隣り合う1の発光素子20と他の発光素子20との間の領域において、1の発光素子20の上面の他の発光素子20に面した縁から他の発光素子20の上面の1の発光素子20に面した縁まで延在しかつ下向きに凹の表面を含む凹状部を有するように形成されている。
【0084】
本実施例によれば、発光素子20の電極パッドBP上にバンプ40の第2のバンプ42を電極パッドBPの外端から発光部EMにオーバーハングさせて形成することにより、波長変換板30を載置する際の余剰な接着樹脂50をバンプ40が吸引、貯留する。これにより、接着樹脂50を発光素子20の側面に垂れることを防ぐことが可能となる。
【0085】
また、波長変換板30の押圧後、発光素子20と波長変換板30との接合部全面に濡れ広がるために不足する接着樹脂50に対して、バンプ40が波長変換板30の押圧時に貯留した接着樹脂50を再度供給する。これにより、発光素子20の側面への接着樹脂50の垂れを防ぎつつ接着樹脂50を適切な塗布量に制御することが可能となる。
【0086】
また、バンプ40が接着樹脂50を吸引、貯留又は再供給をすることにより、隣接する発光素子20の間の接着樹脂50の層において、バンプ40は、発光部EMからの放射光LMを波長変換板30の上面である光取り出し面に偏向させる接着樹脂50の素子間側面部53及び逆ベンド部54を形成する。これにより、発光装置10の光取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0087】
従って、本発明は、接着樹脂50の発光素子20の側面への垂れ及び波長変換板30側面への這い上がりを防止しつつ、発光装置10の光取り出し効率を向上させることが可能な発光装置10及びその製造方法を提供することが可能となる。
【0088】
尚、本実施例においては、複数の発光素子20の各々にバンプ40を形成し当該複数の発光素子20に亘って一体的に形成された波長変換板30を接着樹脂50で固着させる発光装置10について説明した。しかし、発光装置10に搭載される発光素子20は複数に限定されない。
【0089】
図19は、本発明の変形例1に係る発光装置10Aの上面図である。
【0090】
変形例1における発光装置10Aの構成は、上述した実施例と基本的に同じ構成であるが、搭載される発光素子20が1つである点において実施例とは異なる。
【0091】
発光装置10Aに搭載される発光素子20が1つである場合においても、発光素子20に波長変換板30Aを載置する際の接着樹脂50の濡れ広がり時にバンプ40による余剰な接着樹脂50の吸引、貯留及び再供給は実施例と同様に実現可能である。
【0092】
また、実施例と同様に、発光素子20の電極パッドBP上に形成されたバンプ40による接着樹脂50のセルフボリュームコントロール及び波長変換板30の載置位置のセルフアライメントは行われる。
【0093】
また、本実施例においては、発光装置10は、複数の発光素子20に亘って一体的に形成された波長変換板30を接着樹脂50で固着させる発光装置10について説明した。しかし、波長変換板30は発光素子20の各々に個別に搭載させるようにしてもよい。
【0094】
図20は、本発明の変形例2に係る発光装置10Bの上面図である。
【0095】
変形例2における発光装置10Bの構成は、上述した実施例と基本的に同じ構成であるが、発光素子20の上面に載置される波長変換板30が一体的に形成されておらず、発光素子20の各々に波長変換板30B、30C、30D及び30Eが載置される点において実施例とは異なる。
【0096】
変形例2においても、実施例と同様の効果を得ることが可能である。
【0097】
また、変形例2の構成によれば、例えば、発光素子20の放射する光に励起されて白色に波長変換を行う波長変換板30B及び30Dと、発光素子20の放射する光に励起されて橙色に波長変換を行う波長変換板30C及び30Eとを交互に配置してもよい。これにより、発光装置10は、発光装置10の光取り出し面から放射される光を調色することが可能となる。変形例2においては発光素子20を直列接続としているが、複数の発光素子20を独立に発光可能なように、対応する複数の配線T1、T2を躯体11に設け、波長変換板30Bと30D、及び波長変換板30Cと30Eに対応する発光素子20を別々に発光させることで白色発光及び橙色発光させることもできる。
【0098】
尚、本実施例、変形例1及び2においては、発光素子20の発光部EMが窒化物半導体を主材料とする青色LEDである場合について説明したが、発光部EMの材料はこれに限定されず、その他の色の光を放射する種々のLEDやレーザの半導体発光層に適用可能である。具体的には、支持基板21上に発光部EMと電極パッドBPが並置されるような発光素子20であればよい。
【0099】
また、本実施例、変形例1及び2においては、発光素子20の放射する光に励起されて当該放射光の波長変換を行う波長変換板30を備える発光装置について説明した。しかし、波長変換板30は発光素子20の放射する光の波長変換を行わない投光板であってもよい。
【0100】
また、本実施例及び変形例2においては、隣接する発光素子20の間のキャビティが空気又は窒素等の気体である場合について説明したが、隣接する発光素子20の間のキャビティに被覆部材15を充填してもよい。例えば、発光素子20の間のキャビティに光反射性の被覆部材15を充填すると、発光部EMから素子間側面部53に向かう放射光LMを反射し、また波長変換板30内を下面方向や横方向に伝搬する光(図示せず)を逆ベンド部54で反射して波長変換板30の表面側へ偏光するので光取り出し効率を向上できる。特に、波長変換板30の発光素子20の間に相当する部分からの光取り出し効率を向上できる。
【0101】
換言すれば、複数の発光素子20のうちの互いに隣接する発光素子20の各々の支持基板21の間には、接着樹脂50の素子間側面部53、逆ベンド部54及び支持基板21の側面を覆うように光反射性の材料からなる被覆部材15が充填されている。
【0102】
上述のように、被覆部材15を充填することにより、波長変換板30の内部で散乱され発光装置10の下面側に放射される光を被覆部材15が反射し、発光装置10の光取り出し効率をさらに向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0103】
10 発光装置
11 躯体
13 サブマウント
15 被覆部材
20 発光素子
21 支持基板
30 波長変換板
40 バンプ
41 第1のバンプ
42 第2のバンプ
50 接着樹脂
51 端部側面部
52 凹状部
53 素子間側面部
54 逆ベンド部