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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20240411BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20240411BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20240411BHJP
   B65D 5/52 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D77/06 A
B65D5/54 301K
B65D5/44 U
B65D5/52 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020097049
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021187539
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】太田 奈津美
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099247(JP,A)
【文献】特開平07-096935(JP,A)
【文献】特開2017-001728(JP,A)
【文献】特開2020-111341(JP,A)
【文献】特開2009-298450(JP,A)
【文献】米国特許第01780760(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/06
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を注出する注出口を有する袋体を収容する包装箱であって、
該袋体の該注出口を貫通させて保持する保持孔を形成可能な正面板と、
該正面板に対向する背面板と、
該正面板と該背面板とを連結して胴部を形成する第1側面板及び第2側面板と、
該正面板と、該背面板と、該第1側面板と、該第2側面板とにそれぞれ連接するフラップと、
該背面板に連接するフラップを最外層に重合させた各フラップの積層体からなる底蓋とを備え、
該背面板に連接するフラップには、先端縁と基端縁との間で基端縁に沿って延びて両端縁を繋ぐ複数の折目線が交差することなく間隔を存して設けられ
前記背面板に連接するフラップは、前記先端縁に破断可能線を介して連接し、底蓋を形成する他のフラップの外側面に接着される接着部を有することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
液体を注出する注出口を有する袋体を収容する包装箱であって、
該袋体の該注出口を貫通させて保持する保持孔を形成可能な正面板と、
該正面板に対向する背面板と、
該正面板と該背面板とを連結して胴部を形成する第1側面板及び第2側面板と、
該正面板と、該背面板と、該第1側面板と、該第2側面板とにそれぞれ連接するフラップと、
該第1側面板または該第2側面板を最外層に重合させた各フラップの積層体からなる底蓋とを備え、
最外層に重合させたフラップは、該背面板側の端縁から所定距離離れた第1の位置から該フラップの前記正面板側の端縁まで延設される破断可能線、または、前記第1の位置から該背面板側の端縁から所定距離離れた第2の位置を繋ぎ、前記正面板側に向かって凸状に延びる破断可能線を有し、
前記破断可能線を破断することで前記最外層に重合させたフラップに形成される揺動舌
片には、該第1側面板側の端縁と該第2側面板側の端縁とを繋ぐ複数の折目線が交差することなく間隔を存して設けられていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体飲料、液体化粧品、液体薬品等の液体を封入した袋体を収容して外形を保持する包装箱(いわゆるバッグインボックス)が知られている。前記袋体は封入した液体を外に注ぎ出すための注出口を備えている。
【0003】
前記バックインボックスは、その1つの面に前記袋体の注出口を貫通させることにより、該袋体を収納した状態のまま、該袋体に封入された液体を該注出口から注ぎ出すことができる。しかし、前記バックインボックスでは、前記袋体に封入された液体を前記注出口から注ぎ出し続けると、袋体の構造上、やがて該注出口から液体を注ぎ出すことができなくなり、一定量の液体が注ぎ残しとして袋体内に残留する。
【0004】
そこで、前記袋体内に残留する液体の量を低減するために、前記バックインボックスの底蓋を構成している2枚のフラップをそれぞれ操作することにより底蓋から外方に突出する側面視三角形の柱状体を形成可能としたバッグインボックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載のバッグインボックスによれば、前記袋体の注出口を貫通させた面が前記底蓋に接する部分と、前記柱状体の側面視三角形の頂点のうち、該底蓋から外方に突出する頂点となる部分とを接地させることにより、該バッグインボックスの前記注出口が貫通されている側の反対側を高くして該バッグインボックスを前記注出口側に傾斜させることができ、前記袋体内に残留する液体の量を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-99247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のバッグインボックスは、2枚のフラップを相互に組み合わせて前記柱状体を形成する必要があり、該柱状体を形成する操作が煩雑になるという不都合がある。
【0008】
本発明は、かかる不都合を解消して、底蓋から外方に突出する柱状体を容易に形成することができ、内部に収容された袋体内に残留する液体の量を低減することできる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、第1の本発明の包装箱は、液体を注出する注出口を有する袋体を収容する包装箱であって、該袋体の該注出口を貫通させて保持する保持孔を形成可能な正面板と、該正面板に対向する背面板と、該正面板と該背面板とを連結して胴部を形成する第1側面板及び第2側面板と、該正面板と、該背面板と、該第1側面板と、該第2側面板とにそれぞれ連接するフラップと、該背面板に連接するフラップを最外層に重合させた各フラップの積層体からなる底蓋とを備え、該背面板に連接するフラップには、先端縁と基端縁との間で基端縁に沿って延びて両端縁を繋ぐ複数の折目線が交差することなく間隔を存して設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の包装箱は、前記正面板と、前記背面板と、前記第1側面板と、前記第2側面板とにそれぞれ連接するフラップを、連接する部分で折り曲げ、該背面板に連接するフラップを最外層に重合させた各フラップの積層体からなる前記底蓋を備えている。
【0011】
本発明の包装箱は、前記底蓋を形成している各フラップのうち、最外層に重合された前記背面板に連接するフラップが先端縁と基端縁との間で基端縁に沿って延びて両端縁を繋ぐ複数の折目線を備えており、該フラップを前記折目線に沿って折り曲げることにより、前記底蓋から外方に突出する筒状体を形成することができる。
【0012】
従って、本発明の包装箱によれば、前記底蓋を形成している各フラップのうち最外層のフラップという単一のフラップを操作することにより、前記筒状体を形成することができ、該筒状体を形成する操作を容易に行うことができる。また、本発明の包装箱によれば、収納した前記袋体の前記注出口から液体を注ぎ出すときに、前記正面板が前記底蓋に接する部分と、前記筒状体の該底蓋から最も外方に突出する部分とを接地させることにより、前記袋体の前記注出口が貫通されている側の反対側を高くして該包装箱を前記注出口側に傾斜させることができ、前記袋体内に残留する液体の量を低減することができる。
【0013】
本発明の包装箱において、前記背面板に連接するフラップは、前記先端縁に爪部を備える一方、前記基端縁に近接する側の所定の位置に該爪部の挿入を可能とする挿入口を形成する挿入口形成部を備えることが好ましい。
【0014】
前記該面板に連接するフラップが前記爪部と前記挿入口形成部とを備えるときには、前記筒状体を形成する際に,前記挿入口形成部に前記挿入口を形成し、該挿入口に該爪部を挿入することにより該筒状体の形状をより強固に保持することができる。
【0015】
本発明の包装箱において、前記背面板に連接するフラップは、前記折目線を3つ以上備えていてもよいが、例えば、先端縁と基端縁との間で基端縁に沿って延びて両端縁を繋ぐ第1折目線と、該第1折目線と基端縁との間で基端縁に沿って延びて両端縁を繋ぐ第2折目線とを備え、前記先端縁と前記第1折目線と前記第2折目線とが前記基端縁と平行であり、前記第1折目線及び前記第2折目線を折り曲げて前記第1折目線より先端側の外側面を底蓋を形成する他のフラップの外側面に重合させることで三角筒状体を形成可能であることが好ましい。
【0016】
本発明の包装箱において、前記筒状体が前記包装箱の荷重により押し潰されると、前記袋体の前記注出口が貫通されている側の反対側を高くして該包装箱を前記注出口側に傾斜させることができなくなることが懸念される。しかし、本発明の包装箱が前記第1折目線と前記第2折目線とを備え、前記第1折目線及び前記第2折目線を折り曲げて、三角筒状体を形成可能とすることにより、該三角筒状体を前記包装箱の荷重により押し潰されにくくすることができ、該包装箱を前記注出口側に傾斜させた状態を保持することがでできる。
【0017】
また、前記先端縁と前記第1折目線と前記第2折目線とが前記基端縁と平行であることにより、前記三角筒状体を容易に形成することができる上、該三角筒状体の長さ方向において、前記包装箱の荷重が均等にかかるようにすることができるので、該三角筒状体を前記包装箱の荷重によりさらに押し潰されにくくすることができる。
【0018】
本発明の包装箱において、前記背面板に連接するフラップは、例えば、前記先端縁から前記第2折目線までの距離が、前記基端縁から前記第2折目線までの距離よりも大であるようにすることにより、前記三角筒状体を形成可能とすることができる。このとき、第2折目線から第1折目線までの部分と、第1折目線から先端縁までの部分との成す角が鋭角であると、前記三角筒状体に前記包装箱の荷重がかかったときに、第1折目線から先端縁までの部分が底蓋を形成する他のフラップの外側面に沿って基端縁から離間する方向に移動し、ついには前記三角筒状体が押し潰されることが懸念される。
【0019】
そこで、本発明の包装箱において、前記背面板に連接するフラップが前記三角筒状体を形成可能であるときには、前記基端縁から前記第2折目線までの距離の2乗は、第2折目線から第1折目線までの距離の2乗と第1折目線から先端縁までの距離の2乗との和以上であることが好ましい。前記基端縁から前記第2折目線までの距離の2乗が、第2折目線から第1折目線までの距離の2乗と第1折目線から先端縁までの距離の2乗との和以上であることにより、第2折目線から第1折目線までの部分と、第1折目線から先端縁までの部分との成す角を直角又は鈍角とすることができ、前記三角筒状体に前記包装箱の荷重がかかったときにも、第1折目線から先端縁までの部分が底蓋を形成する他のフラップの外側面に沿って基端縁から離間する方向に移動することを抑制して、前記三角筒状体が押し潰されにくくすることができる。
【0020】
また、本発明の包装箱において、前記背面板に連接するフラップは、前記先端縁に破断可能線を介して連接し、底蓋を形成する他のフラップの外側面に接着される接着部を有することが好ましい。本発明の包装箱は、前記背面板に連接するフラップが前記接着部を有することにより、未使用状態では、該接着部を底蓋を形成する他のフラップの外側面に接着して、前記背面板に連接するフラップを前記底蓋を形成する各フラップの積層体の最外層とすることができ、使用時には前記破断可能線を破断して、前記先端縁から前記基端縁までの領域により前記筒状体又は三角筒状体を形成することができる。
【0021】
また、第2の本発明の包装箱は、液体を注出する注出口を有する袋体を収容する包装箱であって、該袋体の該注出口を貫通させて保持する保持孔を形成可能な正面板と、該正面板に対向する背面板と、該正面板と該背面板とを連結して胴部を形成する第1側面板及び第2側面板と、該正面板と、該背面板と、該第1側面板と、該第2側面板とにそれぞれ連接するフラップと、該第1側面板または該第2側面板を最外層に重合させた各フラップの積層体からなる底蓋とを備え、最外層に重合させたフラップは、該背面板側の端縁から所定距離離れた第1の位置から該フラップの前記正面板側の端縁まで延設される破断可能線、または、前記第1の位置から該背面板側の端縁から所定距離離れた第2の位置を繋ぎ、前記正面板側に向かって凸状に延びる破断可能線を有し、前記破断可能線を破断することで前記最外層に重合させたフラップに形成される揺動舌片には、該第1側面板側の端縁と該第2側面板側の端縁とを繋ぐ複数の折目線が交差することなく間隔を存して設けられていることを特徴とする。
【0022】
すなわち、第1の包装箱では、背面板に連接するフラップを折目線に沿って折り曲げることにより、底蓋から外方に突出する筒状体を形成するものを説明した。しかしながら、本発明はこれに限られず、第2の包装箱では、第1側板または第2側板から連接され底蓋の最外層に重合されたフラップを折り曲げることにより、底蓋から外方に突出する筒状体を形成する。
【0023】
具体的には、まず、外フラップに設けられた該背面板側の端縁から所定距離離れた第1の位置から該フラップの前記正面板側の端縁まで延設される破断可能線、または、前記第1の位置から該背面板側の端縁から所定距離離れた第2の位置を繋ぎ、前記正面板側に向かって凸状に延びる破断可能線に沿って破断することで、揺動舌片を形成する。そして、該該揺動舌片を折目線に沿って折り曲げることにより、底蓋から外方に突出する筒状体を形成することができる。
【0024】
従って、第2の本発明の包装箱によれば、前記底蓋を形成している各フラップのうち最外層のフラップという単一のフラップを操作することにより、前記筒状体を形成することができ、該筒状体を形成する操作を容易に行うことができる。また、本発明の包装箱によれば、収納した前記袋体の前記注出口から液体を注ぎ出すときに、前記正面板が前記底蓋に接する部分と、前記筒状体の該底蓋から最も外方に突出する部分とを接地させることにより、前記袋体の前記注出口が貫通されている側の反対側を高くして該包装箱を前記注出口側に傾斜させることができ、前記袋体内に残留する液体の量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の包装箱の第1実施形態を示す展開図。
図2図1に示す展開図を組み立てて得られる包装箱の使用状態を示す斜視図。
図3図2に示す包装箱の未使用状態を示す底面から見た斜視図。
図4】本発明の包装箱の第1実施形態の変形例を示す展開図。
図5】本発明の包装箱の第2実施形態を示す展開図。
図6】本発明の包装箱の第2実施形態の変形例を示す展開図。
図7】本発明の包装箱の第2実施形態の変形例を示す展開図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態(第1実施形態)についてさらに詳しく説明する。
【0027】
第1実施形態の包装箱1は、液体を注出する注出口を有する袋体(図示せず)を収容する箱、いわゆるバッグインボックスであり、図1に展開状態(外面側)で示す形状に打ち抜き形成した一枚の段ボール板紙2により図2に示す形状に形成される。
【0028】
段ボール板紙2は、図示しない袋体の注出口を貫通させて保持する正面板21と、正面板21に対向する背面板22と、正面板21と背面板22とを連結する第1側面板23及び第2側面板24とを備える。ここで、正面板21は1つの辺で折目線31を介して第1側面板23に連接し、第1側面板23に連接する側の辺の反対側の辺で折目線32を介して第2側面板24に連接している。また、第2側面板24は正面板21に連接する側の辺の反対側の辺で折目線33を介して背面板22に連接し、背面板22は第2側面板24に連接する側の辺の反対側の辺で折目線34を介して接着片25に連接している。
【0029】
また、正面板21は、第1側面板23及び第2側面板24に連接する方向と平行する辺で折目線41を介して底面フラップ21aと連接し、底面フラップ21aと連接する側の辺の反対側の辺で折目線51を介して上面フラップ21bと連接している。背面板22は、第2側面板24に連接する方向と平行する辺で折目線42を介して底面フラップ22aと連接し、底面フラップ22aと連接する側の辺の反対側の辺で折目線52を介して上面フラップ22bと連接している。
【0030】
第1側面板23は、正面板21に連接する方向と平行する辺で折目線43を介して底面フラップ23aと連接し、底面フラップ23aと連接する側の辺の反対側の辺で折目線53を介して上面フラップ23bと連接している。第2側面板24は、正面板21及び背面板22に連接する方向と平行する辺で折目線44を介して底面フラップ24aと連接し、底面フラップ24aと連接する側の辺の反対側の辺で折目線54を介して上面フラップ24bと連接している。
【0031】
また、正面板21は、底面フラップ21aに近接する部分に、図示しない袋体の注出口を貫通させて保持する保持孔を形成可能な保持孔形成部211と、保持孔に接続して、該保持孔に貫通された該注出口を保持する保持部材を形成可能な保持部材形成部212とを備える。保持孔形成部211は、前記注出口に沿う円形に形成されたミシン目211aと、ミシン目211aにより形成される円形を半円形に2分するように形成された折目線211bとからなる。保持部材形成部212は、ミシン目211aから折目線31又は折目線32方向に斜めに所定の長さ延伸したのち、折目線31又は折目線32に沿って上面フラップ21bに近接する方向に所定の長さ延伸して形成された左右1対のミシン目212a,212bと、ミシン目212a,212bの折目線51側の端部を結ぶ折目線212cとからなる。
【0032】
さらに、正面板21は、上面フラップ21bに近接する部分に手指差込部を形成可能な手指差込部形成部213を備え、背面板22は手指差込部形成部213に対向する部分に手指差込部を形成可能な手指差込部形成部221を備える。手指差込部形成部213,221は、それぞれ折目線51に平行な長円形状に形成されたミシン目213a,221aを備える。
【0033】
ところで、折目線42を介して背面板22に連接する底面フラップ22aは、背面板22から離間する先端部に接着部26を備え、接着部26の背面板22側に折目線42に平行な破断可能線27を備えている。破断可能線27は、例えば、底面フラップ22aの裏面に貼付された図示しない合成樹脂製テープと、該合成樹脂製テープの長さ方向に沿ってその両側に形成されたミシン目27a,27bとにより、所定の幅に形成されている。
【0034】
背面板22に連接する底面フラップ22aは、ミシン目27bを先端縁とする一方、折目線42を基端縁とし、先端縁と基端縁との間との間の領域に筒状体形成部28を備えており、筒状体形成部28は、基端縁に沿って延びて両端縁を繋ぐ第1折目線29と、第1折目線29と基端縁との間で基端縁に沿って延びて両端縁を繋ぐ第2折目線30とを備え、先端縁と第1折目線29と第2折目線30とが基端縁と平行になっている。そして、接着部26は、前記先端縁に破断可能線27を介して連接されている。
【0035】
段ボール板紙2により包装箱1を形成する際には、まず、段ボール板紙2を折目線31,32,33,34に沿って折り曲げ、接着片25を第1側面板23の裏側面に接着することにより、図2に示すように、第1側面板23、正面板21、第2側面板24、背面板22からなる筒状の胴部3が形成される。次に、上面フラップ21b,22b,23b,24bを、それぞれ、折目線51,52,53,54に沿って胴部3の内方に折り曲げて、積層することにより、上蓋4が形成され、底面フラップ21a,22a,23a,24aを、それぞれ、折目線41,42,43,44に沿って胴部3の内方に折り曲げて、積層することにより、底蓋5が形成される。
【0036】
上蓋4を形成するときには、まず、上面フラップ21b,22bを折り曲げ、次いで、上面フラップ23b,24bを折り曲げて、上面フラップ21b,22bの上に上面フラップ23b,24bが互いに対向して積層されるようにする。
【0037】
一方、底蓋5を形成するときには、まず、底面フラップ23a,24aを折り曲げ、次いで、底面フラップ21a,22aを折り曲げて、底面23a,24aの上に底面フラップ21a,22aが互いに対向して積層されるようにする。この結果、背面板22に連接する底面フラップ22aが底蓋5の最外層となる。このとき、底面フラップ22aは接着部26で下層に隣接する底面フラップ23a又は底面フラップ24aのいずれかに接着されることにより、底蓋5の一部を形成している。
【0038】
上述のようにして形成された包装箱1では、手指差込部形成部213,221のミシン目213a,221aを打ち抜くことにより、持ち運びのための手指差込部を正面板21と背面板22とに形成することができる。なお、手指差込部形成部213,221はミシン目213a,221aの一部を折目線とすることにより、ミシン目213a,221aを破断して、該折目線に沿って内側に折り曲げて手指差込部を形成することもできる。
【0039】
また、包装箱1では、保持孔形成部211のミシン目211aを打ち抜くことにより、図示しない袋体の注出口を貫通させて保持する保持孔を形成することができる。また、保持部材形成部212の左右1対のミシン目212a,212bを破断することによりミシン目212a,212bに挟まれた領域を保持部材とすることができる。
【0040】
このとき、ミシン目211aの折目線41側の半部を打ち抜いて折目線211bに沿って内側に折り曲げることにより半円形の指かけ部を形成し、該指かけ部に手指をかけて外側に引くことにより、保持部材形成部212の左右1対のミシン目212a,212bを容易に破断することができる。前記保持部材は、保持孔形成部211のミシン目211aが打ち抜かれることにより、底面フラップ21a側の端部に半円形の係合部を備える。
【0041】
包装箱1では、前記保持部材を折目線212cに沿って包装箱1の外方側に折り曲げることにより、前記袋体の注出口を引き出す孔部を形成することができ、該孔部から引き出した前記袋体の注出口を前記保持孔の底面フラップ21a側(ミシン目211aが打ち抜かれた後の折目線41側残部により形成される半円部)に係合させた後、該保持部材の前記係合部(ミシン目211aが打ち抜かれた後の折目線212c側残部により形成される半円部)を該注出口に係合させることにより、該注出口を前記保持孔に保持することができる。
【0042】
次に、前記袋体に封入されている液体を前記注出口から注ぎ出すときには、底蓋5の最外層を形成している底面フラップ22aの破断可能線27を破断する。底面フラップ22aは、前述のように接着部26で下層に隣接する底面フラップ23a又は底面フラップ24aのいずれかに接着されているが、破断可能線27を破断すると、底面フラップ22aの筒状体形成部28が接着部26から切り離されて折り曲げ加工することができる状態となる。
【0043】
そこで、包装箱1では、筒状体形成部28を第1折目線29と第2折目線30とで折り曲げることにより、図2にその要部拡大して示すように、側面視三角形の筒状体Pを形成することができる。筒状体Pは、破断可能線27を破断することにより形成された筒状体形成部28の先端縁(ミシン目27b)と第1折目線29との間の領域を第1側壁部281とし、第1折目線29と第2折目線30との間の領域を第2側壁部282とし、第2折目線30と折目線42との間の領域を第3側壁部283とし、第1側壁部281の外側面を下層に隣接する底面フラップ23a又は底面フラップ24aのいずれかの外側面に重合させる一方、先端縁が基端縁(折目線42)の裏面側に突き当てられることにより形成される。底面フラップ22aは、筒状体形成部28の先端縁から第2折目線30までの距離aが、基端縁(折目線42)から第2折目線30までの距離bよりも大(a>b)であることにより、側面視三角形の筒状体Pを形成することができる。
【0044】
このとき、第1側壁部281と第2側壁部282との成す角θが鋭角であると、側面視三角形の筒状体Pに包装箱1の荷重がかかったときに、第1側壁部281が底蓋5を形成する底面フラップ23a又は底面フラップ24aのいずれかの外側面に沿って基端縁から離間する方向に移動し、ついには側面視三角形の筒状体Pが押し潰されることが懸念される。
【0045】
そこで、第3側壁部283の基端縁(折目線42)から第2折目線30までの距離bの2乗は、第1側壁部281の先端縁から第1折目線29までの距離cの2乗と、第2側壁部282の第1折目線29から第2折目線30までの距離dの2乗との和よりも大(b≧c+d)とされている。この結果、第1側壁部281と第2側壁部282との成す角θが直角または鈍角(θ≧90°)となるので、包装箱1では、図2に示すように、前記袋体の前記注出口から液体を注ぎ出すときに、正面板21が底蓋5に接する折目線41と、底蓋5から外方に突出する筒状体Pの側面視三角形の頂点となる第2折目線30とを床面Fに接地させることにより、該袋体の該注出口が貫通されている正面板21側よりも背面板22側を高くして包装箱1を該注出口側に傾斜させることができ、該袋体内に残留する液体の量を低減することができる。
【0046】
また、包装箱1を形成する段ボール板紙2は、図4に示すように、破断可能線27を破断することにより形成された筒状体形成部28の先端縁(ミシン目27b)に爪部284を備える一方、筒状体形成部28の折目線42に沿う部分に爪部284が挿入される挿入口形成部285を備えていてもよい。なお、図4に示す段ボール板紙2は、包装箱1を形成する段ボール板紙2の変形例であり、図1に示す段ボール板紙2と同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0047】
図4に示す段ボール板紙2において、挿入口形成部285は、爪部284の端部の厚さ方向に沿う形状に形成されたミシン目285aからなる。そして、筒状体形成部28が爪部284と挿入口形成部285とを備えるときには、筒状体Pを形成する際に,挿入口形成部285に挿入口を形成し、該挿入口に爪部284を挿入することにより筒状体Pの形状をより強固に保持することができる。
【0048】
なお、第1実施形態では、背面板22に連接する底面フラップ22aは、先端縁と基端縁との間に、第1折目線29と第2折目線30との2つの折目線を備えているが、底面フラップ22aは、先端縁と基端縁との間に、3つ以上の折目線を備えていてもよく、側面視四角形以上の多角形の筒状体Pを形成してもよい。また、第1実施形態では、背面板22に連接する底面フラップ22aは、先端縁と第1折目線29と第2折目線30とが基端縁と平行になっているが、底面フラップ22aは、筒状体形成部28により筒状体Pを形成できればよく、先端縁と第1折目線29と第2折目線30とは基端縁と平行でなくてもよい。
【0049】
次に、図5を参照しながら、本発明の第2の実施の形態(第2実施形態)について説明する。第2実施形態の包装箱は、第1実施形態では、背面板22に連接された底面フラップ22aから筒状体Pが形成されるものを説明したが、第1側面板23に連接された底面フラップ123aから筒状体Pが形成される点において異なっている。なお、底面フラップ123aは、第1側面板23に替えて第2側面板24に連接させてもよい。
【0050】
以下、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付すとともに、その説明は省略し、異なっている点についてのみ説明する。
【0051】
段ボール板紙12において、正面板21は、第1側面板23及び第2側面板24に連接する方向と平行する辺で折目線41を介して底面フラップ121aと連接し、背面板22は、第2側面板24に連接する方向と平行する辺で折目線42を介して底面フラップ122aと連接している。
【0052】
第1側面板23は、正面板21に連接する方向と平行する辺で折目線43を介して底面フラップ123aと連接している。
【0053】
底面フラップ123aは、包装箱1を形成した状態における背面板22側の側縁部に固定部131を備え、正面板21側の側縁から折目線43に沿って固定部131まで延びるミシン目132を備えている。
【0054】
底面フラップ123aは、固定部131を除いた領域に筒状体形成部128を備えている。筒状体形成部128は、ミシン目132の先端から底面フラップ123aの側縁に沿って先端まで延びる折目線133を基端縁とし、先端縁(正面板21側の側縁)と基端縁との間との間の領域に、基端縁に沿って延びて両端縁を繋ぐ第1折目線134と、第1折目線134と基端縁との間で基端縁に沿って延びて両端縁を繋ぐ第2折目線135とを備え、先端縁と第1折目線134と第2折目線135とが基端縁と平行になっている。
【0055】
段ボール板紙12により包装箱1を形成する際には、底面フラップ121a、22a,123a,24aを、それぞれ、折目線41,42,43,44に沿って胴部3の内方に折り曲げて、底面フラップ123aを最外層にして積層することにより、底蓋5が形成される。
【0056】
なお、底面フラップ123aは、固定部131により底面フラップ24aに接着されるが、固定部131を除いた他の領域の一部が底面フラップ24aに剥離可能に接着されていてもよく、第1折目線134より先端縁(正面板21側の側縁)側が正面板21とテープで貼着されていてもよい。
【0057】
次に、筒状体Pを形成する際には、底蓋5の最外層を形成している底面フラップ123aのミシン目132を破断する。この際、上述した通り、固定部131を除いた他の領域の一部が底面フラップ24aに接着されている場合、あるいは、先端縁(正面板21側の側縁)側が正面板21にテープで貼着されている場合には、これを剥離させたうえで、前記破断を行う。
【0058】
底面フラップ123aは、前述のように固定部131で下層に隣接する底面フラップ24a等に接着されているが、ミシン目131を破断すると、底面フラップ123aの筒状体形成部128が接着部26で支持されてぶら下がった状態になり折り曲げ加工することができる状態となる。
【0059】
そこで、包装箱1では、筒状体形成部128を第1折目線134と第2折目線135とで折り曲げることにより、側面視三角形の筒状体Pを形成することができる。
【0060】
図6に示す段ボール板紙13は、包装箱1を形成する段ボール板紙12の変形例であり、図5に示す段ボール板紙2と同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0061】
図6に示す段ボール板紙13において、底面フラップ123aのミシン目133は、正面板21側の側縁から固定部131まで徐々に折目線43に近づきながら延びている。
【0062】
このミシン目132を備える包装箱1によれば、固定部131に加えて、底面フラップ123aのミシン目132と折目線43との間の領域も底面フラップ24a等に接着することができるため、さらに包装箱1の強度を高めることができる。
【0063】
図7に示す段ボール板紙14は、包装箱1を形成する段ボール板紙12のさらなる変形例であり、図5に示す段ボール板紙2と同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0064】
図7に示す段ボール板紙14では、中央に折目線43に平行に延びる一対のミシン目132b,132bが形成され、その正面板21側の両端は切目線132aで接続され、背面板22側の両端は折目線133で接続されている。また、切目線132aの中央部には、筒状体形成部128から離れる方向に半円状の開口部136が形成されている。
【0065】
この筒状体形成部128によれば、その周囲を底面フラップ24a等と接着することができるため、より包装箱1の強度と高めることができる。
【0066】
なお、上述した第2実施形態の包装箱では、底面フラップ123aと底面フラップ24aとが接着剤を念頭にして接着されるものを例に説明したが、底面フラップ123aは底面フラップ24aに固定されていれば足りるため、粘着テープで貼着してもよく、例えば、粘着テープを第1側面板23から底面フラップ123aを通じて第2側面板24まで貼着することで固定してもよい。
【0067】
また、底面フラップ123aが底面フラップ24aに接着されるものを例として説明したが、底面フラップ123aは他の底面フラップ121a,122aに接着されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…包装箱、 3…胴部、 5…底蓋、 21…正面板、 22…背面板、 23…第1側面板、 24…第2側面板、 21a,22a,23a,24a…底面フラップ、 28…筒状体形成部、 P…筒状体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7