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特許7470577回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 47/024 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
E21B47/024
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020104072
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021195820
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(73)【特許権者】
【識別番号】520104374
【氏名又は名称】システム建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】足立 有史
(72)【発明者】
【氏名】グエン ホン ソン
(72)【発明者】
【氏名】高田 守康
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-307864(JP,A)
【文献】特開平09-126771(JP,A)
【文献】特開平07-166787(JP,A)
【文献】特開2000-145350(JP,A)
【文献】特開2009-275385(JP,A)
【文献】米国特許第04649344(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 47/024
G01C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アースオーガを含む回転式掘削機械の回転駆動部に連結され、前記回転駆動部により地盤に回転下降させる回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を傾斜計を用いて計測する回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法であって、
前記傾斜計を前記回転掘削ロッドに円周方向任意の方向に向けて設置固定し、
前記回転式掘削機械に、前記傾斜計の設置向きを基準にして前記回転掘削ロッドの回転角度を計測する回転角度計測装置を併設し、
前記回転角度計測装置として、前記回転掘削ロッドの外周面に前記傾斜計の設置向きを基準にして一定の角度間隔で複数の異なる認識マーカーを付設し、前記回転掘削ロッドの周囲に、前記各認識マーカーの回転角度を計測するための目盛りと、前記回転掘削ロッドの前記各認識マーカーを前記目盛りとともに撮像する撮像装置とを設置して、
前記撮像装置により、地盤に回転下降中の前記回転掘削ロッドの前記各認識マーカーを前記目盛りとともに撮像し、撮像された画像を基に前記回転掘削ロッドの回転角度を計測することにより前記傾斜計の向きを算出して、当該傾斜計により前記回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を計測する、
ことを特徴とする回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法。
【請求項2】
アースオーガを含む回転式掘削機械の回転駆動部に連結され、前記回転駆動部により地盤に回転下降させる回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を傾斜計を用いて計測する回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法であって、
前記傾斜計を前記回転掘削ロッドに円周方向任意の方向に向けて設置固定し、
前記回転式掘削機械に、前記傾斜計の設置向きを基準にして前記回転掘削ロッドの回転角度を計測する回転角度計測装置を併設し、
前記回転角度計測装置として、前記回転掘削ロッドの外周面に前記傾斜計の設置向きを基準にして回転角度目盛りを連続的に付設し、前記回転掘削ロッドの周囲に、前記回転掘削ロッドの前記回転角度目盛りを撮像する撮像装置を設置して、
前記撮像装置により、地盤に回転下降中の前記回転掘削ロッドの前記回転角度目盛りを撮像し、当該回転角度目盛りを基に前記回転掘削ロッドの回転角度を計測することにより前記傾斜計の向きを算出して、当該傾斜計により前記回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を計測する、
ことを特徴とする回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法。
【請求項3】
アースオーガを含む回転式掘削機械の回転駆動部に連結され、前記回転駆動部により地盤に回転下降させる回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を傾斜計を用いて計測する回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法であって、
前記傾斜計を前記回転掘削ロッドに円周方向任意の方向に向けて設置固定し、
前記回転式掘削機械に、前記傾斜計の設置向きを基準にして前記回転掘削ロッドの回転角度を計測する回転角度計測装置を併設し、
前記回転角度計測装置として、前記回転掘削ロッドの外周面に前記傾斜計の設置向きに対応して一つの認識マーカーを付設し、前記回転掘削ロッドの周囲に、前記回転掘削ロッドの前記認識マーカーを撮像する撮像装置を設置して、
前記撮像装置により、地盤に回転下降中の前記回転掘削ロッドを撮像し、前記撮像装置と前記認識マーカーが正対する毎に、前記回転掘削ロッドの回転角度を0°と計測することにより前記傾斜計の向きを算出して、当該傾斜計により前記回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を計測する、
ことを特徴とする回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アースオーガなどの回転式掘削機械を用いて地盤を削孔する回転削孔施工において、回転式掘削機械の回転掘削ロッドの回転時又は静止時の傾きの方向及び角度の計測に用いる回転掘削ロッドの傾き計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤の改良を行う工事や山留め壁の親杭又は基礎杭を地中に打ち込む工事では、アースオーガなどエンジン又は電動式若しくは油圧式のモータなどの動力で、スクリューや撹拌翼を有する回転掘削ロッドを地盤に対して回転下降させて、削孔する(地盤に丸い孔を掘削する)ことが行われる。このような工事の場合、地盤の不均質性や石、岩などの障害物、施工機械の姿勢制御の影響などを受けて、回転掘削ロッドの先端の位置が所定の軌道から外れて、削孔軌道が曲がることがある。この場合、回転掘削ロッドの軌跡はアースオーガのリーダーの地上位置と回転掘削ロッドの傾斜データをもとにリーダーと回転掘削ロッドが一体と仮定して算定しているが、実際には、両者に一定の遊びがあり、掘削深度が深くなるにつれて計測値とのずれが増加する可能性がある。
【0003】
地盤の改良工事や基礎杭の打ち込み工事の場合、削孔軌道が正規の軌道からずれると、地盤改良体や杭体が設計位置に設置できず、出来形を満足することができない。山留め壁の工事の場合、親杭がずれると、隙間が生じ、土砂や地下水が流出する恐れがある。
【0004】
そこで、回転掘削ロッドの鉛直度や先端が所定の軌道から外れた場合の先端位置を精度よく計測するために、回転掘削ロッドに傾斜計を設置して、回転掘削ロッドの傾きを計測する技術が特許文献1、2により提案されている。
【0005】
特許文献1は掘削機の傾斜計用案内装置に関するもので、この文献1には、オーガロッドに挿入式の傾斜計を設置して、オーガロッドの傾きを傾斜計で計測する方法が開示されている。この文献1の装置では、オーガロッドの内部に、オーガロッドと同心上に内管が挿入され、さらに、内管の内部に角型管部が挿入されて、それぞれが固定される。内管は、角型管部の端部同士を嵌め合うことにより延長可能である。傾斜計は角型管部の内部に挿入され、傾斜計に備えるガイドローラにより、角型管部の対角線上の隅部に当接された状態で、角型管部の内部を移動可能になっている。このような装置を用いて、傾斜計を角型管部の軸周りに回転させずにオーガロッドの内部を上下方向に移動させ、任意の位置でオーガロッドの傾きを計測するものとなっている。
【0006】
特許文献2は掘削孔の掘削精度計測装置及び方法に関するもので、この文献2にも、掘削ロッドに挿入式の傾斜計を設置して、掘削ロッドの傾きを傾斜計で計測する方法が開示されている。この文献2の方法では、まず、掘削ロッド固定工程において、所定の深度まで掘削した掘削ロッドを掘削機から切り離して地盤の掘削孔に預け、掘削ロッドの上端部の中心を、掘削孔の地上面における中心と一致させた状態で、掘削ロッドを固定する。次に、挿入工程において、掘削ロッドを貫通する注入管に、注入管の傾きを計測する傾斜計を軸線回りの捩り変形が制限された棒状部材に連結して挿入し、棒状部材と他の棒状部材を、軸線回りの相対的な回転を制限して折り曲げ可能な連結手段を介して連結しながら、傾斜計を注入管の最下端まで挿入する。最後に、計測工程において、棒状部材で、傾斜計の軸線回りの回転を抑制しながら所定の距離だけ引き揚げ、傾斜計で注入管の傾きを計測する。このようにすることにより、特許文献1の技術のように、掘削ロッドに加工を施すことなく、地盤の掘削孔の掘削精度を計測できるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平4-70494号公報
【文献】特開2013-160010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献2の装置及び方法では、段落0050に記載のとおり、傾斜計に、鉛直方向に対して1方向の傾斜を測定する1方向計測型又は鉛直方向に対して2方向(X方向及びY方向)の傾斜を測定する2方向計測型が用いられる。特許文献1の装置においても、傾斜計が挿入式で、オーガロッド内で傾斜計の周方向の位置を定めるとしていることから、1方向計測型又は2方向計測型の傾斜計が使用されるものとみられる。このような傾斜計を用いて、回転掘削ロッドの鉛直度や回転掘削ロッドが傾斜した場合の先端位置を精度よく計測するためには、傾斜計を回転掘削ロッドに固定して計測することが好ましい。
【0009】
しかしながら、このような傾斜計を回転掘削ロッド内に設置固定して、地盤に回転下降させる回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を計測しようとすると、傾斜計の設置位置が常に同じ向きに来るように回転掘削ロッドを停止させなければならない。言い換えれば、従来の回転掘削ロッドの傾き計測方法では、傾斜計を回転掘削ロッド内に設置固定しておくと、回転下降中の回転掘削ロッド内の傾斜計の向きが不明で、回転下降中の回転掘削ロッドの傾きの方向を計測することができない、という問題がある。
【0010】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の回転掘削ロッドの傾き計測方法において、この種の傾斜計(既述の傾斜計)を予め回転掘削ロッド内に設置固定しておき、地盤に回転下降させる回転掘削ロッドの回転時又は静止時の傾きの方向及び角度を簡易かつ確実に計測すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明(1)は、
アースオーガを含む回転式掘削機械の回転駆動部に連結され、前記回転駆動部により地盤に回転下降させる回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を傾斜計を用いて計測する回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法であって、
前記傾斜計を前記回転掘削ロッドに円周方向任意の方向に向けて設置固定し、
前記回転式掘削機械に、前記傾斜計の設置向きを基準にして前記回転掘削ロッドの回転角度を計測する回転角度計測装置を併設し、
前記回転角度計測装置として、前記回転掘削ロッドの外周面に前記傾斜計の設置向きを基準にして一定の角度間隔で複数の異なる認識マーカーを付設し、前記回転掘削ロッドの周囲に、前記各認識マーカーの回転角度を計測するための目盛りと、前記回転掘削ロッドの前記各認識マーカーを前記目盛りとともに撮像する撮像装置とを設置して、
前記撮像装置により、地盤に回転下降中の前記回転掘削ロッドの前記各認識マーカーを前記目盛りとともに撮像し、撮像された画像を基に前記回転掘削ロッドの回転角度を計測することにより前記傾斜計の向きを算出して、当該傾斜計により前記回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を計測する、
ことを要旨とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明(2)は、
アースオーガを含む回転式掘削機械の回転駆動部に連結され、前記回転駆動部により地盤に回転下降させる回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を傾斜計を用いて計測する回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法であって、
前記傾斜計を前記回転掘削ロッドに円周方向任意の方向に向けて設置固定し、
前記回転式掘削機械に、前記傾斜計の設置向きを基準にして前記回転掘削ロッドの回転角度を計測する回転角度計測装置を併設し、
前記回転角度計測装置として、前記回転掘削ロッドの外周面に前記傾斜計の設置向きを基準にして回転角度目盛りを連続的に付設し、前記回転掘削ロッドの周囲に、前記回転掘削ロッドの前記回転角度目盛りを撮像する撮像装置を設置して、
前記撮像装置により、地盤に回転下降中の前記回転掘削ロッドの前記回転角度目盛りを撮像し、当該回転角度目盛りを基に前記回転掘削ロッドの回転角度を計測することにより前記傾斜計の向きを算出して、当該傾斜計により前記回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を計測する、
ことを要旨とする。
上記目的を達成するために、本発明(3)は、
アースオーガを含む回転式掘削機械の回転駆動部に連結され、前記回転駆動部により地盤に回転下降させる回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を傾斜計を用いて計測する回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法であって、
前記傾斜計を前記回転掘削ロッドに円周方向任意の方向に向けて設置固定し、
前記回転式掘削機械に、前記傾斜計の設置向きを基準にして前記回転掘削ロッドの回転角度を計測する回転角度計測装置を併設し、
前記回転角度計測装置として、前記回転掘削ロッドの外周面に前記傾斜計の設置向きに対応して一つの認識マーカーを付設し、前記回転掘削ロッドの周囲に、前記回転掘削ロッドの前記認識マーカーを撮像する撮像装置を設置して、
前記撮像装置により、地盤に回転下降中の前記回転掘削ロッドを撮像し、前記撮像装置と前記認識マーカーが正対する毎に、前記回転掘削ロッドの回転角度を0°と計測することにより前記傾斜計の向きを算出して、当該傾斜計により前記回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を計測する、
ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法(1)-(3)によれば、傾斜計を予め回転掘削ロッド内に設置固定して、地盤に回転下降させる回転掘削ロッドの回転時又は静止時の傾きの方向及び角度を簡易かつ確実に計測することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1乃至第4の実施の形態に係る回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法のイメージを示す図
図2】本発明の第1の実施の形態に係る回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法のイメージを示す図
図3】本発明の第2の実施の形態に係る回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法のイメージを示す図
図4】本発明の第3の実施の形態に係る回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法のイメージを示す図
図5】本発明の第4の実施の形態に係る回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法のイメージを示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1に回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法のイメージを示している。図1に示すように、この回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度計測方法(以下、本方法という。)は、アースオーガを含む回転式掘削機械Aの回転駆動部aに連結され、回転駆動部aにより地盤に回転下降させる回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度を傾斜計(図示省略)を用いて計測する。
【0016】
本方法では、特に、傾斜計を回転掘削ロッドbに円周方向任意の方向に向けて設置固定し、回転式掘削機械Aに、傾斜計の設置向きを基準にして回転掘削ロッドb又は回転駆動部aの回転角度を計測する回転角度計測装置1を併設して、地盤に回転下降中の回転掘削ロッドb又は回転駆動部aの回転角度を回転角度計測装置1により計測することにより傾斜計の向きを算出して、この傾斜計により、回転掘削ロッドbの回転時又は静止時の傾きの方向及び角度を計測する。
【0017】
図2乃至図5にこの発明の第1乃至第4の実施の形態を示している。
【0018】
(実施の形態1)
図2に第1の実施の形態を示している。図2に示すように、本方法では、傾斜計(図示省略)を回転掘削ロッドbに円周方向任意の方向に向けて設置固定する。回転式掘削機械A(図1参照)に、傾斜計の設置向きを基準にして回転掘削ロッドbの回転角度を計測する回転角度計測装置1を併設する。
【0019】
この場合、傾斜計に鉛直方向に対して2方向の傾斜を測定する2方向計測型を用いる。この傾斜計は、鉛直方向に対して2方向(X方向及びY方向)の傾斜を測定する傾斜センサ、外部から送信される制御信号やこの傾斜センサで計測した傾斜角度の計測信号などを送受信する無線方式の通信部、これら傾斜センサ、通信部を制御する制御部などを備える。この傾斜計を、回転掘削ロッドbの内部先端に、傾斜計の向きとされる方向を回転掘削ロッドbの円周方向任意の方向に向けて、埋め込み設置する。この傾斜計で地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの鉛直度又はこの回転掘削ロッドbが傾斜した場合の傾きを計測する。
【0020】
また、この場合、回転角度計測装置1として、回転掘削ロッドbの外周面に傾斜計の設置向きを基準にして一定の角度間隔で複数の異なる認識マーカー101を付設し、回転掘削ロッドbの周囲に、各認識マーカー101の回転角度を計測するための目盛り102と、回転掘削ロッドbの各認識マーカー101を目盛り102とともに撮像する撮像装置103とを設置する。この場合、認識マーカー101として、回転掘削ロッドbの外周面に、当該外周面において傾斜計の設置向き、すなわち傾斜計の向きとされる方向に対応する面の中心から回転掘削ロッドbの周方向に90°間隔で回転掘削ロッドbの長さ方向に延びる、色分けした4本の直線を付す。かくして回転掘削ロッドbの外周面の4本の直線のうち、傾斜計の設置向きに対応する方向の1本の直線に回転掘削ロッドbの回転角度0(ゼロ)°を設定する。これにより、他の直線は順次90°、180°、270°の角度位置を表すものとなる。目盛り102は、回転掘削ロッドbを挿通可能に回転掘削ロッドbの直径よりも少し大きいリングで外周面に任意の1箇所から周方向に主目盛り5°の間隔で0°、5°、10°、15°などと、さらに補助目盛り1°の間隔で角度目盛りを付したものになっている。なお、目盛り102の角度目盛りは数字に代えて各種の文字や記号又は図などで表してもよい。この目盛り102を回転式掘削機械Aの一部に取り付けて、回転掘削ロッドbの周囲に配置する。ここでは回転式掘削機械Aにアースオーガを使用するので、この目盛り102をリーダーcの下部に取り付けて、地盤に回転下降される回転掘削ロッドbの周囲に配置する。撮像装置103にはカメラを使用し、カメラで回転掘削ロッドbの各認識マーカー101を目盛り102とともに撮影可能に回転式掘削機械Aに設置して、回転掘削ロッドbの周辺に配置する。ここではカメラをリーダーcの下部で目盛り102に対して上方に設置する。このようにアースオーガを含む回転式掘削機械Aに回転角度計測装置1を併設して、カメラで、地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの各認識マーカー101を目盛り102とともに撮像し、撮像された画像を基に回転掘削ロッドbの回転角度を計測する。
【0021】
このようにして本方法では、カメラで、地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの認識マーカー101を目盛り102とともに撮影し、この画像を基に回転掘削ロッドbの回転角度を計測する。そして、この回転掘削ロッドbの回転角度により傾斜計の向きを算出して、この傾斜計により回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度を計測する。
【0022】
図1図2により、この実施の形態での施工例を示す。図1図2を参照すると、施工前に、アースオーガの回転駆動部aの先端に、掘削する地盤の深度に応じて、複数の回転掘削ロッドbを接続する。また、施工中も、掘削する地盤の深度に応じて、回転掘削ロッドbを継ぎ足しする。各回転掘削ロッドbには、傾斜計を(傾斜計の設置向きを)回転掘削ロッドbの円周上同一の方向に向けて設置固定してある。この施工前に、各回転掘削ロッドbの4本の直線からなる認識マーカー101のうち、回転角度0度の認識マーカー101と目盛り102の角度0度とを合わせておく。
【0023】
図1図2に示すように、施工に当たり、アースオーガの回転駆動部aを回転駆動して、各回転掘削ロッドbを回転下降させ、地盤に所定の掘削深度まで掘削孔を掘削する。この回転掘削ロッドbで地盤を削孔する間、各回転掘削ロッドbをリング状の目盛り2に通し通過させながら、各回転掘削ロッドb毎にリーダーcに固定したカメラで各認識マーカー101を目盛り102とともに動画で撮影する。そして、この動画を基に各回転掘削ロッドbの回転角度を計測する。この場合、カメラで撮影した動画、すなわち、カメラで読み取られた各回転掘削ロッドbの各認識マーカー101と目盛り102とをパソコンやタブレット端末に既存の計測ソフトにより取り込み、各回転掘削ロッドbの各認識マーカー101と目盛り102の画像情報から各回転掘削ロッドbの回転角度を計測し、この回転角度から傾斜計の向きを算出する。この傾斜計の向きはパソコンやタブレット端末のディスプレイに表示される。
【0024】
そして、この向きを特定された傾斜計で回転下降中の回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度を計測する。この場合、傾斜計で回転下降中の回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度が自動計測され、この計測データが、無線方式の通信部によりパソコンやタブレット端末に自動送信され、回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度がパソコンやタブレット端末のディスプレイに表示される。
【0025】
この回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度から、掘削孔の鉛直性又は掘削孔が傾斜した場合はどの方向に鉛直方向に対してどの程度の角度で傾いているかを把握することができる。
【0026】
以上説明したように、本方法の第1の実施の形態では、傾斜計を回転掘削ロッドbに円周方向任意の方向に向けて設置固定する。アースオーガを含む回転式掘削機械Aに、傾斜計の設置向きを基準にして回転掘削ロッドbの回転角度を計測する回転角度計測装置1として、回転掘削ロッドbの外周面に傾斜計の設置向きを基準にして一定の角度間隔で複数の異なる認識マーカー101を付設し、回転掘削ロッドbの周囲に、各認識マーカー101の回転角度を計測するための目盛り2と、回転掘削ロッドbの各認識マーカー101を目盛り102とともに撮像する撮像装置103とを設置する。このようにして地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの回転角度を回転角度計測装置1により計測することにより傾斜計の向きを算出して、当該傾斜計により回転掘削ロッドbの回転時又は静止時の傾きの方向及び角度を計測するので、傾斜計を予め回転掘削ロッドb内に設置固定して、地盤に回転下降させる回転掘削ロッドbの回転時又は静止時の傾きの方向及び角度を簡易かつ確実に、しかもリアルタイムに計測することができる。
【0027】
また、本方法によれば、回転式掘削機械Aの動作を停止せずに回転掘削ロッドbの傾きを計測するので、施工全般を円滑に進捗させることができる。さらに、回転掘削ロッドbの傾きの計測にカメラを使用することで、施工プロセスや回転掘削ロッドbの動作を併せて記録でき、明確な確認データとすることができる。
【0028】
(実施の形態2)
図3に第2の実施の形態を示している。図3に示すように、本方法では、傾斜計(図示省略)を回転掘削ロッドbに円周方向任意の方向に向けて設置固定する。回転式掘削機械A(図1参照)に、傾斜計の設置向きを基準にして回転掘削ロッドbの回転角度を計測する回転角度計測装置1を併設する。
【0029】
この場合、傾斜計については、第1の実施の形態と同様である。ここではその重複する説明を省略する。
【0030】
また、この場合、回転角度計測装置1として、回転掘削ロッドbの外周面に傾斜計の設置向きを基準にして回転角度目盛り104を連続的に付設し、回転掘削ロッドbの周囲に、回転掘削ロッドbの回転角度目盛り104を撮像する撮像装置105を設置する。この場合、回転掘削ロッドbの外周面に、回転角度目盛り104を、当該外周面において傾斜計の設置向き、すなわち傾斜計の向きとされる方向に対応する面の中心から回転掘削ロッドの周方向に例えば1°毎になど単位角度毎に、棒状に長さを回転角度の大きさに正比例させて漸次長くなるように連続的に表示して付設する。撮像装置105にはカメラを使用し、カメラで回転掘削ロッドbの回転角度目盛り104を撮影可能にカメラを回転式掘削機械Aに設置して、回転掘削ロッドbの周辺に配置する。ここでは回転式掘削機械Aにアースオーガを使用するので、カメラを回転角度目盛り104の撮影に適したリーダーcの適宜の位置に取り付ける。このようにアースオーガを含む回転式掘削機械Aに回転角度計測装置1を併設して、カメラで、地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの回転角度目盛り104を撮影し、撮影された画像を基に回転掘削ロッドbの回転角度を計測する。
【0031】
このようにして本方法では、カメラで、地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの回転角度目盛り104を撮影し、この撮影された画像を基に回転掘削ロッドbの回転角度を計測する。そして、この回転掘削ロッドbの回転角度により傾斜計の向きを算出して、この傾斜計により、回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度を計測する。
【0032】
図1図3により、この実施の形態での施工例を示す。図1図3を参照すると、施工前に、アースオーガの回転駆動部aの先端に、掘削する地盤の深度に応じて、複数の回転掘削ロッドbを接続する。また、施工中も、掘削する地盤の深度に応じて、回転掘削ロッドbを継ぎ足しする。回転掘削ロッドbには、既述のとおり、傾斜計を(傾斜計の設置向きを)回転掘削ロッドbの円周上同一の方向に向けて設置固定してある。そして、この施工前に、各回転掘削ロッドbの回転角度目盛り104の0度をカメラに合わせておく。
【0033】
図1図3に示すように、施工に当たり、アースオーガの回転駆動部aを回転駆動して、各回転掘削ロッドbを回転下降させ、地盤に掘削孔を所定の掘削深度まで掘削する。この回転掘削ロッドbで地盤を削孔する間、各回転掘削ロッドb毎にリーダーcに固定したカメラで回転角度目盛り104を動画で撮影する。そして、この動画を基に各回転掘削ロッドbの回転角度を計測する。この場合、カメラで撮影した動画、すなわち、カメラで読み取られた各回転掘削ロッドbの回転角度目盛り104、ここでは柱の長さをパソコンやタブレット端末に既存の計測ソフトにより取り込み、各回転掘削ロッドbの回転角度目盛り104の画像情報から、各回転掘削ロッドbの回転角度を計測し、この回転角度から傾斜計の向きを算出する。この傾斜計の向きはパソコンやタブレット端末のディスプレイに表示される。
【0034】
そして、この向きを特定された傾斜計で回転下降中の回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度を計測する。この場合、傾斜計で回転下降中の回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度が自動計測され、この計測データが、無線方式の通信部によりパソコンやタブレット端末に送信され、回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度がパソコンやタブレット端末のディスプレイに表示される。
【0035】
この回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度から、掘削孔の鉛直性又は掘削孔が傾斜した場合はどの方向に鉛直方向に対してどの程度の角度で傾いているかを把握することができる。
【0036】
以上説明したように、本方法の第2の実施の形態では、傾斜計を回転掘削ロッドbに円周方向任意の方向に向けて設置固定する。アースオーガを含む回転式掘削機械Aに、傾斜計の設置向きを基準にして回転掘削ロッドbの回転角度を計測する回転角度計測装置1として、回転掘削ロッドbの外周面に傾斜計の設置向きを基準にして回転角度目盛り104を連続的に付設し、回転掘削ロッドbの周囲に、回転掘削ロッドbの回転角度目盛り104を撮像する撮像装置105を設置する。このようにして地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの回転角度を回転角度計測装置1により計測することにより傾斜計の向きを算出して、当該傾斜計により回転掘削ロッドbの回転時又は静止時の傾きの方向及び角度を計測する。このようにしても上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0037】
(実施の形態3)
図4に第3の実施の形態を示している。図4に示すように、本方法では、傾斜計(図示省略)を回転掘削ロッドbに円周方向任意の方向に向けて設置固定する。回転式掘削機械A(図1参照)に、傾斜計の設置向きを基準にして回転掘削ロッドbの回転角度を計測する回転角度計測装置1を併設する。
【0038】
この場合、傾斜計については、第1の実施の形態と同様である。ここではその重複する説明を省略する。
【0039】
また、この場合、回転角度計測装置1として、回転掘削ロッドbの外周面に傾斜計の設置向きに対応して一つの認識マーカー106を付設し、回転掘削ロッドbの周囲に、回転掘削ロッドbの認識マーカー106を撮像する撮像装置107を設置する。この場合、認識マーカー106として、回転掘削ロッドbの外周面に、当該外周面において傾斜計の設置向き、すなわち傾斜計の向きとされる方向に対応する面の中心を通り、回転掘削ロッドbの長さ方向に延びる1本の直線を付す。撮像装置107にはカメラを使用し、カメラで回転掘削ロッドbの認識マーカー106を撮影可能に回転式掘削機械Aに設置して、回転掘削ロッドbの周辺に配置する。ここでは回転式掘削機械Aにアースオーガを使用するので、カメラをリーダーcの下部に取り付ける。このようにアースオーガを含む回転式掘削機械Aに回転角度計測装置1を併設して、カメラで、地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbを撮影し、カメラと認識マーカー106が正対する毎に、回転掘削ロッドbの回転角度を0°と計測する。
【0040】
このようにして本方法では、カメラで、地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbを撮影し、カメラと認識マーカー106が正対する毎に、回転掘削ロッドbの回転角度を0°と計測する。そして、この回転掘削ロッドbの回転角度により傾斜計の向きを算出して、この傾斜計により、回転掘削ロッドの傾きの方向及び角度を計測する。
【0041】
図1図4により、この実施の形態での施工例を示す。図1図4を参照すると、施工前に、アースオーガの回転駆動部aの先端に、掘削する地盤の深度に応じて、複数の回転掘削ロッドbを接続する。また、施工中も、掘削する地盤の深度に応じて、回転掘削ロッドbを継ぎ足しする。各回転掘削ロッドbには、傾斜計を(傾斜計の設置向きを)回転掘削ロッドbの円周上同一の方向に向けて設置固定してある。
【0042】
図1図4に示すように、施工に当たり、アースオーガの回転駆動部aを回転駆動して、各回転掘削ロッドbを回転下降させ、地盤に掘削孔を所定の掘削深度まで掘削する。この回転掘削ロッドbで地盤を削孔する間、リーダーcに固定したカメラで各回転掘削ロッドb毎に各認識マーカー106を撮影し、カメラと認識マーカー106が正対する毎に、回転掘削ロッドbの回転角度を0°と計測する。この場合、カメラで撮影した動画、すなわち、カメラで読み取られた各回転掘削ロッドbの各認識マーカー106をパソコンやタブレット端末に既存の計測ソフトにより取り込み、各回転掘削ロッドbの各認識マーカー106の画像情報から、各回転掘削ロッドbの回転角度を0°と自動計測し、この回転角度から傾斜計の向きを算出する。この場合、傾斜計が回転掘削ロッドbに取り付けたときと同じ向きにあると認識される。この傾斜計の向きはパソコンやタブレット端末のディスプレイに表示される。
【0043】
そして、この向きを特定された傾斜計で回転下降中の回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度を計測する。この場合、傾斜計で回転下降中の回転掘削ロッドbの傾きの方向及び
角度が自動計測され、この計測データが、無線方式の通信部によりパソコンやタブレット端末に送信され、回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度がパソコンやタブレット端末のディスプレイに表示される。
【0044】
この回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度から、掘削孔の鉛直性又は掘削孔が傾斜した場合はどの方向に鉛直方向に対してどの程度の角度で傾いているかを把握することができる。
【0045】
以上説明したように、本方法の第3の実施の形態では、傾斜計を回転掘削ロッドbに円周方向任意の方向に向けて設置固定する。アースオーガを含む回転式掘削機械Aに、傾斜計の設置向きを基準にして回転掘削ロッドbの回転角度を計測する回転角度計測装置1として、回転掘削ロッドbの外周面に傾斜計の設置向きに対応して一つの認識マーカー106を付設し、回転掘削ロッドbの周囲に、回転掘削ロッドbの認識マーカー106を撮像する撮像装置107を設置する。このようにして地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの回転角度を回転角度計測装置1により計測することによりその時点での傾斜計の傾きの方向を算出する。この場合、回転掘削ロッドbの回転角度0°を計測することにより、傾斜計の向きとして傾斜計の取り付け時当初と同じ向きを算出し、当該傾斜計により、回転掘削ロッドbの回転時又は静止時の傾きの方向及び角度を計測する。このようにしても上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
(実施の形態4)
図5に第4の実施の形態を示している。図5に示すように、本方法では、傾斜計(図示省略)を回転掘削ロッドbに円周方向任意の方向に向けて設置固定する。回転式掘削機械Aに、傾斜計の設置向きを基準にして回転駆動部aの回転角度を計測する回転角度計測装置1を併設する。
【0047】
この場合、傾斜計については、第1の実施の形態と同様である。ここではその重複する説明を省略する。
【0048】
また、この場合、回転角度計測装置1として、回転駆動部aに傾斜計の設置向きを基準にして回転駆動部aの回転角度を計測するエンコーダ108を設置する。この場合、回転駆動部aは、減速機構d、スピンドル(図示省略)、チャック(図示省略)などからなり、油圧モータeに作動連結されて、リーダーc上を上下方向に移動可能に配置される駆動ヘッドfに取り付けられる。この回転駆動部aは、スピンドルにチャックを介して回転掘削ロッドbを連結され、回転駆動部aが駆動ヘッドfとともにリーダーcに沿って下降され、油圧モータeの駆動により減速機構dを介してスピンドルが回転駆動されて、回転掘削ロッドbを回転下降するようになっている。そして、この回転駆動部aには減速機構dにエンコーダ108を付設して、このエンコーダ108により、回転掘削ロッドb内の傾斜計の設置向きに関連付けてスピンドルの回転角度を検出するようにしてある。このようにアースオーガを含む回転式掘削機械Aに回転角度計測装置1を併設して、回転駆動部aのエンコーダ108で、傾斜計の設置向きに関連付けて回転駆動部aのスピンドルの回転角度を計測することにより、地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの回転角度を計測する。
【0049】
このようにして本方法では、エンコーダ108で、傾斜計の設置向きに関連付けて回転駆動部aのスピンドルの回転角度を計測し、このスピンドルの回転角度を基に地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの回転角度を計測する。そして、この回転掘削ロッドbの回転角度により傾斜計の向きを算出して、この傾斜計により、回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度を計測する。
【0050】
図1図5により、この実施の形態での施工例を示す。図1図5を参照すると、施工前に、アースオーガの回転駆動部aの先端に、掘削する地盤の深度に応じて、複数の回転掘削ロッドbを接続する。また、施工中も、掘削する地盤の深度に応じて、回転掘削ロッドbを継ぎ足しする。各回転掘削ロッドbには、傾斜計を(傾斜計の設置向きを)回転掘削ロッドbの円周上同一の方向に向けて設置固定してある。この施工前に、エンコーダ108で、回転掘削ロッドb内の傾斜計の取り付け時当初の向きに対するスピンドルの回転角度を検出するようにしておく。
【0051】
図1図5に示すように、施工に当たり、アースオーガの回転駆動部aを回転駆動して、各回転掘削ロッドbを回転下降させ、地盤に掘削孔を所定の掘削深度まで掘削する。この回転掘削ロッドbで地盤を削孔する間、回転駆動部aのエンコーダ108でスピンドルの回転角度を検出する。そして、このスピンドルの回転角度を基に各回転掘削ロッドbの回転角度を計測する。この場合、エンコーダ108で検出したスピンドルの回転角度をパソコンやタブレット端末に既存の計測ソフトにより取り込み、このスピンドルの回転角度情報から各回転掘削ロッドbの回転角度を計測し、この回転角度から傾斜計の向きを算出する。この傾斜計の向きはパソコンやタブレット端末のディスプレイに表示される。
【0052】
そして、この向きを特定された傾斜計で回転下降中の回転掘削ロッドbの傾斜角度を計測する。この場合、傾斜計で回転下降中の回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度が自動計測され、この計測データが、無線方式の通信部によりパソコンやタブレット端末に送信され、回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度がパソコンやタブレット端末のディスプレイに表示される。
【0053】
この回転掘削ロッドbの傾きの方向及び角度から、掘削孔の鉛直性又は掘削孔が傾斜された場合は鉛直方向に対してどの方向にどの程度の角度で傾いているかを把握することができる。
【0054】
以上説明したように、本方法の第4の実施の形態では、傾斜計を回転掘削ロッドbに円周方向任意の方向に向けて設置固定する。アースオーガを含む回転式掘削機械Aに、回転角度計測装置1として、回転駆動部aに傾斜計の設置向きを基準にして回転駆動部aの回転角度を計測するエンコーダ108を設置する。このようにして地盤に回転下降中の回転掘削ロッドbの回転角度を回転角度計測装置1により計測することにより傾斜計の向きを算出して、当該傾斜計により回転掘削ロッドbの回転時又は静止時の傾きの方向及び角度を計測する。このようにしても上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
なお、上記各実施の形態では、傾斜計に2方向計測型を用いたが、この傾斜計に鉛直方向に対して1方向の傾斜を測定する1方向計測型を用いてもよい。このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
また、上記各実施の形態では、傾斜計を回転掘削ロッドの内部先端に埋め込み設置したが、回転掘削ロッドの外周面に傾斜計の収納凹部を形成して、傾斜計をこの収納凹部に一体的に設置固定してもよい。このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
さらに、上記第1乃至第3の実施の形態では、回転角度計測装置に、認識マーカー又は回転角度目盛りとカメラなどの撮像装置を用いたが、これら認識マーカー又は回転角度目盛り、カメラに代えて、各種の情報を有する表示手段、この情報を読み取る各種のセンサーを採用してもよい。また、第4の実施の形態では、回転角度計測装置にエンコーダを用いたが、エンコーダに代えて各種のセンサーを採用してもよい。このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0058】
A 回転式掘削機械
a 回転駆動部
b 回転掘削ロッド
c リーダー
d 減速機構
e 油圧モータ
f 駆動ヘッド
1 回転角度計測装置
101 認識マーカー
102 目盛り
103 撮像装置
104 回転角度目盛り
105 撮像装置
106 認識マーカー
107 撮像装置
108 エンコーダ
図1
図2
図3
図4
図5