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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】輸送用冷凍機械、及び輸送機械
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20240411BHJP
   B60P 3/20 20060101ALI20240411BHJP
   F25B 7/00 20060101ALI20240411BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20240411BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F25D11/00 101F
B60P3/20 Z
F25B7/00 D
F25D29/00 Z
F25D19/00 540Z
F25D19/00 510Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020110182
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007290
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山岸 弘季
(72)【発明者】
【氏名】太田 将弘
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0182869(US,A1)
【文献】特開2010-286155(JP,A)
【文献】特開2019-124424(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163663(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送機械に設けられた冷凍室を冷却するための輸送用冷凍機械であって、
前記冷凍室内の空気と第一冷媒とを熱交換させる室内熱交換と、
前記室内熱交換器に前記第一冷媒を圧縮して供給する第一圧縮機と、
外気と第二冷媒とを熱交換させる室外熱交換器と、
前記室外熱交換器に前記第二冷媒を圧縮して供給する第二圧縮機と、
前記第一圧縮機から流通する前記第一冷媒と前記室外熱交換器から流通する前記第二冷媒とを熱交換させる中間熱交換器と、
を備え、
前記輸送機械の進行方向から見て、前記第一圧縮機、及び前記第二圧縮機は、前記中間熱交換器を挟むように幅方向の両側に配置されている輸送用冷凍機械。
【請求項2】
前記第一圧縮機、及び前記第二圧縮機を駆動するための機器を収容する電装品ボックスをさらに備え、
前記電装品ボックスは、前記第一圧縮機、及び前記第二圧縮機を挟むように幅方向の両側に一対配置されている請求項1に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項3】
前記室内熱交換器に送風する室内用ファンをさらに備え、
前記第一圧縮機、前記第二圧縮機、及び前記中間熱交換器は、前記室内用ファンの下方に配置されている請求項1又は2に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項4】
前記中間熱交換器は、前記輸送機械の進行方向から見て、該輸送機械の中央部に配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項5】
幅方向のいずれか一方側に配置された運転席を有するトラクターと、
請求項1から4のいずれか一項に記載の輸送用冷凍機械、及び前記冷凍室を有するトレーラーと、
を備え、
前記第二圧縮機は、幅方向における前記運転席側に配置されている輸送機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送用冷凍機械、及び輸送機械に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍トラックのように、貨物を冷凍装置によって冷却した状態で運搬する輸送機械が広く用いられている。近年、この種の冷凍装置として、カスケードサイクルと呼ばれる形式のものが実用化されている。カスケードサイクルでは、冷凍室内外で異なる冷媒が用いられている。具体的には、カスケードサイクルは、室内熱交換器、膨張弁、及び室内側圧縮機を有する室内側サイクルと、室外熱交換器、膨張弁、及び室外熱交換器を有する室外側サイクルと、中間熱交換器と、を備えている。室内側サイクルと室外側サイクルは、中間熱交換器を通じて互いの冷媒を熱交換させる。一例として、室内側サイクルでは二酸化炭素が冷媒として用いられ、室外側サイクルではプロパンが冷媒として用いられる。
【0003】
このようなカスケードサイクルを有する冷凍装置を輸送機械に取り付ける際のレイアウトとして、下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載されたコンテナ用冷凍装置は、コンテナの長さ方向における一端側(前方側)の壁面に取り付けられている。より具体的には、壁面の下部に、幅方向の一方側から他方側に向かって順に、2つの圧縮機(室内側圧縮機、及び室外側圧縮機)、中間熱交換器が配列されている。つまり、2つの圧縮機は、幅方向の一方側に偏って配置されている。また、中間熱交換器は、幅方向の他方側に偏って配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-108646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなレイアウトを冷凍トラック(輸送機械)に適用した場合、安全性に影響が及ぶ虞がある。例えば、左側通行の交差点を右折する際、トレーラーの前方側壁面に設けられた冷凍装置が前方に露出する。つまり、中間熱交換器が前方に晒された状態となる。このとき、他の車両が接触すると、中間熱交換器が損傷を受け、冷媒が漏洩してしまう虞がある。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、安全性がさらに向上した輸送用冷凍機械、及び輸送機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る輸送用冷凍機械は、輸送機械に設けられた冷凍室を冷却するための輸送用冷凍機械であって、前記冷凍室内の空気と第一冷媒とを熱交換させる室内熱交換と、前記室内熱交換器に前記第一冷媒を圧縮して供給する第一圧縮機と、外気と第二冷媒とを熱交換させる室外熱交換器と、前記室外熱交換器に前記第二冷媒を圧縮して供給する第二圧縮機と、前記第一圧縮機から流通する前記第一冷媒と前記室外熱交換器から流通する前記第二冷媒とを熱交換させる中間熱交換器と、を備え、前記輸送機械の進行方向から見て、前記第一圧縮機、及び前記第二圧縮機は、前記中間熱交換器を挟むように幅方向の両側に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、安全性がさらに向上した輸送用冷凍機械、及び輸送機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る輸送機械の構成を示す側面図である。
図2】本開示の実施形態に係る輸送用冷凍機械の構成を示す回路図である。
図3】本開示の実施形態に係る輸送用冷凍機械を前方側から見た図である。
図4】本開示の実施形態に係る輸送機械が右折する状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の第一実施形態に係る輸送機械100、及び輸送用冷凍機械3について、図1から図4を参照して説明する。
【0011】
(輸送機械の構成)
図1に示すように、輸送機械100は、トラクター1と、トレーラー2と、を備えている。トラクター1は、キャブ1Cと、エンジン11と、オルタネータ13と、を有している。キャブ1Cは、運転台等の居住スペースを形成する。エンジン11は、トラクター1自体に推進力を与えるための駆動装置であり、キャブ1Cの下部に収容されている。エンジン11として具体的にはディーゼルエンジンや、ハイブリッドエンジンが用いられる。
【0012】
エンジン11の出力軸にはオルタネータ13が接続されている。オルタネータ13は、エンジン11の出力軸の回転に伴ってともに回転することで電力を発生する。オルタネータ13が発生させた電力は、後述する輸送用冷凍機械3の駆動や、バッテリー4の充電に利用される。また、バッテリー4の電力は、輸送用冷凍機械3の駆動に用いられる。
【0013】
トレーラー2は、トラクター1によってけん引される車両である。トレーラー2は、冷凍室21と、輸送用冷凍機械3と、バッテリー4と、を有している。冷凍室21は、トレーラー2の内部に形成された空間であり、冷蔵・冷凍が必要な貨物を積載する。輸送用冷凍機械3は、この冷凍室21内の温度を下げるために設けられている。
【0014】
(輸送用冷凍機械の構成)
次に、図2を参照して、輸送用冷凍機械3の構成について説明する。同図に示すように、輸送用冷凍機械3は、室内側サイクル31と、室外側サイクル32と、中間熱交換器7と、を有している。
【0015】
室内側サイクル31は、室内側配管P1と、第一圧縮機51と、第一膨張弁52と、室内熱交換器53と、室内用ファン54と、を有している。室内側配管P1は、第一配管P11と、第二配管P12と、第三配管P13と、第四配管P14と、を有している。第一配管P11は、第一圧縮機51と中間熱交換器7を接続している。第二配管P12は、中間熱交換器7と第一膨張弁52とを接続している。第三配管P13は、第一膨張弁52と室内熱交換器53とを接続している。第四配管P14は、室内熱交換器53と第一圧縮機51とを接続している。これら室内側配管P1には第一冷媒として二酸化炭素が充填されている。
【0016】
第一圧縮機51は、第四配管P14側から吸入された低圧の気相冷媒を圧縮して、高温高圧の気相冷媒を生成する。この高温高圧の気相冷媒は、第一配管P11を通じてコ中間熱交換器7に流入する。中間熱交換器7は、後述する室外側サイクル32を流通する第二冷媒と第一冷媒との間で熱交換を行う。これにより、中間熱交換器7では気相冷媒が凝縮し、高圧の液相冷媒が生成される。
【0017】
高圧の液相冷媒は、第二配管P12を通じて第一膨張弁52に送られる。低温高圧の液相冷媒は、第一膨張弁52を通過することで圧力が下がり、低温低圧の液相冷媒となる。
【0018】
第一膨張弁52を経て低温低圧となった液相冷媒は、第三配管P13を通じて室内熱交換器53に流入する。室内熱交換器53は、冷凍室21の内部に設けられている。室内熱交換器53では、冷凍室21内の空気と第一冷媒との間で熱交換が行われる。室内用ファン54は、室内熱交換器53に冷凍室21内の空気を送るために設けられている。低温の液相冷媒によって冷凍室21内の熱が吸収されることで、冷凍室21内の温度が低くなる方向に変化する。つまり、冷凍室21内が冷却される。これに伴って、液相冷媒の温度が上昇するとともに、液相から気相に変化し、低圧の気相冷媒となる。
【0019】
室内熱交換器53を経て気相となった冷媒は、第四配管P14を通じて再び第一圧縮機51に吸入される。
【0020】
室外側サイクル32は、室外側配管P2と、第二圧縮機61と、第二膨張弁62と、室外熱交換器63と、室外用ファン64と、を有している。室外側配管P2は、第一配管P21と、第二配管P22と、第三配管P23と、第四配管P24と、を有している。第一配管P21は、第二圧縮機61と室外熱交換器63を接続している。第二配管P22は、室外熱交換器63と第二膨張弁62とを接続している。第三配管P23は、第二膨張弁52と中間熱交換器7とを接続している。第四配管P24は、中間熱交換器7と第二圧縮機61とを接続している。一例として、これら室外側配管P2には第二冷媒としてプロパンが充填されている。
【0021】
第二圧縮機61は、第四配管P24側から吸入された低圧の気相冷媒を圧縮して、高温高圧の気相冷媒を生成する。この高温高圧の気相冷媒は、第一配管P21を通じて室外熱交換器63に流入する。室外熱交換器63は、上述の冷凍室21の外部に設けられている。室外熱交換器63は、外部の空気と第二冷媒との間で熱交換を行う。室外用ファン64は、室外熱交換器63に向かって外部の空気を送るために設けられている。これにより、室外熱交換器63では気相冷媒が凝縮し、高圧の液相冷媒が生成される。
【0022】
高圧の液相冷媒は、第二配管P22を通じて第二膨張弁62に送られる。低温高圧の液相冷媒は、第二膨張弁62を通過することで圧力が下がり、低温低圧の液相冷媒となる。
【0023】
第二膨張弁62を経て低温低圧となった液相冷媒は、第三配管P23を通じて中間熱交換器7に流入する。中間熱交換器7は、上述の室内側サイクル31を流通する第一冷媒と第二冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室内側サイクル31の第一配管P11を流通する高温高圧の気相冷媒(第一冷媒)と、室外側サイクル32の第三配管P23を流通する低温低圧の液相冷媒(第二冷媒)との間で熱交換が行われる。これに伴って、室外側サイクル32では、第三配管P23を流通する液相冷媒の温度が上昇するとともに、液相から気相に変化する。
【0024】
中間熱交換器7を経て気相となった冷媒は、第四配管P24を通じて再び第二圧縮機61に吸入される。このようなサイクルが連続的に行われることで、冷凍室21の温度が所望の値に調節される。
【0025】
(輸送用冷凍機械の配置)
続いて、図3を参照して、上述した輸送用冷凍機械3の各装置の配置について説明する。図3は、トレーラー2を前方側から見た図である。同図に示すように、輸送用冷凍機械3は、トレーラー2の前面2A上に配列されている。前面2Aの下部中央には、中間熱交換器7が配置されている。より具体的には、中間熱交換器7は、前面2Aにおける幅方向の中心線Axを含む領域に配置されている。中間熱交換器7の幅方向一方側には、第一圧縮機51が配置されている。中間熱交換器7の幅方向他方側には、第二圧縮機61が配置されている。つまり、輸送機械100が左側通行の道路で利用される場合、第一圧縮機51は助手席側(進行方向左側)に配置されている。また、第二圧縮機61は運転席側(進行方向右側)に配置されている。このように、中間熱交換器7は、幅方向の両側から第一圧縮機51、及び第二圧縮機61によって挟まれている。
【0026】
第一圧縮機51の幅方向一方側、及び第二圧縮機61の幅方向他方側には、それぞれ電装品ボックス8が配置されている。つまり、第一圧縮機51、中間熱交換器7、及び第二圧縮機61は、幅方向の両側から一対の電装品ボックス8によって挟まれている。電装品ボックス8は、第一圧縮機51、及び第二圧縮機61を駆動するための機器(例えばインバータ等)を収容している。これにより、輸送機械100の進行方向から見た場合、中間熱交換器7(中心線Ax)を対称軸として、第一圧縮機51及び一方側の電装品ボックス8と、第二圧縮機61及び他方側の電装品ボックス8とが線対称に配置されている。第一圧縮機51、及び第二圧縮機61として具体的にはロータリー圧縮機やスクロール圧縮機が用いられ、その寸法体格・重量は互いに同等である。また、一対の電装品ボックス8も互いに同等の寸法体格・重量となるように分配されている。
【0027】
中間熱交換器7の上方には、複数の室内用ファン54が配置されている。室内用ファン54は、上述の中心線Axに沿って配列されている。なお、図3の例では、2つの室内用ファン54が上下方向に配列されている例を示している。室内用ファン54の個数は2つに限定されず、1つや3つ以上であってもよい。また、図示は省略するが、室内用ファン54の後方には、室内熱交換器53が配置されている。
【0028】
これら室内用ファン54の幅方向一方側には、室外熱交換器63が設けられている。また、室内用ファン54の幅方向他方側には、配管ボックス9が配置されている。配管ボックス9は、上述の第一膨張弁52、第二膨張弁62や、室内側配管P1、及び室外側配管P2の少なくとも一部が収容されている。
【0029】
(作用効果)
ここで、中間熱交換器7は、多数の伝熱管やフィンを有するため、構造的な強度が他の部材に比べて低い。また、中間熱交換器7には、二種類の冷媒(第一冷媒、及び第二冷媒)が流通している。このため、例えば中間熱交換器7に外力が及んで損傷した場合、二種類の冷媒が同時に漏洩してしまう虞がある。特に、第二冷媒として上述のプロパン(可燃性冷媒)を用いた場合、安全性に影響が及んでしまう。
【0030】
しかしながら、上記の構成によれば、中間熱交換器7は、第一圧縮機51と第二圧縮機61とによって幅方向の両側から挟まれている。言い換えると、中間熱交換器7は、幅方向に露出していない。これにより、たとえ輸送用冷凍機械3に他の物体が衝突・接触した場合であっても、中間熱交換器7は第一圧縮機51、及び第二圧縮機61によって幅方向から保護されることとなる。したがって、中間熱交換器7に外力が直接的に及ぶ可能性を低減することができる。その結果、輸送用冷凍機械3の安全性を高め、より安定的に運用することが可能となる。
【0031】
さらに、上記構成によれば、一対の電装品ボックス8によって、第一圧縮機51、及び第二圧縮機61が幅方向の両側から挟まれている。したがって、幅方向から他の物体が衝突・接触した場合であっても、当該電装品ボックス8によって第一圧縮機51、及び第二圧縮機61が保護される。さらに、これら第一圧縮機51、及び第二圧縮機61の間に配置されている中間熱交換器7が外力に晒される可能性をより一層低減することができる。
【0032】
加えて、上記構成によれば、重量物である第一圧縮機51、第二圧縮機61、及び中間熱交換器7が、室内用ファン54の下方に配置されている。このため、これら機器を実装したりメンテナンスしたりするに際して、重量物を上方に持ち上げるための作業が軽減され、安全性やメンテナンス性をより一層高めることができる。
【0033】
さらに加えて、上記構成によれば、進行方向から見て、中間熱交換器7が前面2Aの中央部に配置されている。また、この中間熱交換器7の幅方向両側には、第一圧縮機51、及び第二圧縮機61が配置されている。これにより、幅方向における重心が中央部に位置することとなるため、重量のバランスを最適化することができる。その結果、輸送機械100をより安定的に走行させることが可能となる。
【0034】
さらに、上記の構成では、第二圧縮機61が運転席側に配置されている。ここで、例えば、左側通行の交差点を右折する際には、図4に示すように、トレーラー2はトラクター1に対して旋回した状態で進行するため、トレーラー2の左前方の部分が対向車線側に露出する。上記の構成とは異なり、運転席Dとは反対側の進行方向左側に第二圧縮機61が配置されている場合を考える。第二冷媒としてプロパン等の可燃性物質を用いた場合、第二圧縮機61が対向車線側に露出することから、安全性が阻害される虞がある。しかしながら、上記の構成によれば、第二圧縮機61が進行方向右側(運転席D側)に配置されていることから、右折する際にも当該第二圧縮機61が対向車線側に露出することがない。その結果、対向車90との衝突や接触によって第二冷媒の漏洩を生じる可能性が低減され、輸送機械100の安全性をより一層高めることができる。
【0035】
以上、本開示の実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では、左側通行の道路を例に、第二圧縮機61が進行方向右側に設けられている構成について説明した。しかしながら、右側通行の道路に輸送機械100を適用する場合には、第二圧縮機61が進行方向左側(運転席側)に設けられ、第一圧縮機51が進行方向右側(助手席側)に設けられる構成とすることが望ましい。
【0036】
<付記>
各実施形態に記載の輸送用冷凍機械3、及び輸送機械100は、例えば以下のように把握される。
【0037】
(1)第1の態様に係る輸送用冷凍機械3は、輸送機械100に設けられた冷凍室21を冷却するための輸送用冷凍機械3であって、前記冷凍室21内の空気と第一冷媒とを熱交換させる室内熱交換53と、前記室内熱交換器53に前記第一冷媒を圧縮して供給する第一圧縮機51と、外気と第二冷媒とを熱交換させる室外熱交換器63と、前記室外熱交換器63に前記第二冷媒を圧縮して供給する第二圧縮機61と、前記第一圧縮機51から流通する前記第一冷媒と前記室外熱交換器63から流通する前記第二冷媒とを熱交換させる中間熱交換器7と、を備え、前記輸送機械100の進行方向から見て、前記第一圧縮機51、及び前記第二圧縮機61は、前記中間熱交換器7を挟むように幅方向の両側に配置されている。
【0038】
ここで、中間熱交換器7は、多数の伝熱管やフィンを有するため、構造的な強度が他の部材に比べて低い。また、中間熱交換器7には、二種類の冷媒(第一冷媒、及び第二冷媒)が流通している。このため、例えば中間熱交換器7に外力が及んで損傷した場合、二種類の冷媒が同時に漏洩してしまう虞がある。しかしながら、上記の構成によれば、中間熱交換器7は、第一圧縮機51と第二圧縮機61とによって幅方向の両側から挟まれている。言い換えると、中間熱交換器7は、幅方向に露出していない。これにより、たとえ輸送用冷凍機械3に他の物体が衝突・接触した場合であっても、中間熱交換器7は第一圧縮機51、及び第二圧縮機61によって幅方向から保護されることとなる。したがって、中間熱交換器7に外力が直接的に及ぶ可能性を低減することができる。
【0039】
(2)第2の態様に係る輸送用冷凍機械3は、前記第一圧縮機51、及び前記第二圧縮機61を駆動するための機器を収容する電装品ボックス8をさらに備え、前記電装品ボックス8は、前記第一圧縮機51、及び前記第二圧縮機61を挟むように幅方向の両側に一対配置されている。
【0040】
上記構成によれば、一対の電装品ボックス8によって、第一圧縮機51、及び第二圧縮機61が幅方向の両側から挟まれている。したがって、幅方向から他の物体が衝突・接触した場合であっても、当該電装品ボックス8によって第一圧縮機51、及び第二圧縮機61が保護される。さらに、これら第一圧縮機51、及び第二圧縮機61の間に配置されている中間熱交換器7が外力に晒される可能性をより一層低減することができる。
【0041】
(3)第3の態様に係る輸送用冷凍機械3は、前記室内熱交換器53に送風する室内用ファン54をさらに備え、前記第一圧縮機51、前記第二圧縮61、及び前記中間熱交換器7は、前記室内用ファンの下方に配置されている。
【0042】
上記構成によれば、重量物である第一圧縮機51、第二圧縮機61、及び中間熱交換器7が、室内用ファン54の下方に配置されている。このため、これら機器を実装したりメンテナンスしたりするに際して、重量物を上方に持ち上げるための作業が軽減され、安全性やメンテナンス性をより一層高めることができる。
【0043】
(4)第4の態様に係る輸送用冷凍機械3では、前記中間熱交換器7は、前記輸送機械100の進行方向から見て、該輸送機械100の中央部に配置されている。
【0044】
上記構成によれば、進行方向から見て、中間熱交換器7が中央部に配置されている。また、この中間熱交換器7の幅方向両側には、第一圧縮機51、及び第二圧縮機61が配置されている。これにより、幅方向における重心が中央部に位置することとなるため、重量のバランスを最適化することができる。その結果、輸送機械100をより安定的に走行させることが可能となる。
【0045】
(5)第5の態様に係る輸送機械100は、幅方向のいずれか一方側に配置された運転席を有するトラクター1と、輸送用冷凍機械3、及び前記冷凍室21を有するトレーラー2と、を備え、前記第二圧縮機61は、幅方向における前記運転席D側に配置されている。
【0046】
例えば、左側通行の交差点を右折する際には、トレーラー2はトラクター1に対して旋回した状態で進行するため、トレーラー2の左前方の部分が対向車線側に露出する。ここで、上記の構成とは異なり、運転席Dとは反対側の進行方向左側に第二圧縮機61が配置されている場合を考える。この場合、第二冷媒としてプロパン等の可燃性物質を用いた場合、第二圧縮機61が対向車線側に露出することから、安全性が阻害される虞がある。しかしながら、上記の構成によれば、第二圧縮機61が進行方向右側(運転席D側)に配置されていることから、右折する際にも当該第二圧縮機61が対向車線側に露出することがない。その結果、輸送機械100の安全性をより一層高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
100 輸送機械
1 トラクター
1C キャブ
2 トレーラー
2A 前面
3 輸送用冷凍機械
4 バッテリー
7 中間熱交換器
8 電装品ボックス
9 配管ボックス
11 エンジン
13 オルタネータ
21 冷凍室
31 室内側サイクル
32 室外側サイクル
51 第一圧縮機
52 第一膨張弁
53 室内熱交換器
54 室内用ファン
61 第二圧縮機
62 第二膨張弁
63 室外熱交換器
64 室外用ファン
90 対向車
D 運転席
P1 室内側配管
P2 室外側配管
P11,P21 第一配管
P12,P22 第二配管
P13,P23 第三配管
P14,P24 第四配管
Ax 中心線
図1
図2
図3
図4