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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ガス検知器及び監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/497 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
G01N33/497 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020122123
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018778
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593222090
【氏名又は名称】中央自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100121120
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 尚
(72)【発明者】
【氏名】村上 順一
(72)【発明者】
【氏名】片山 仁
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智也
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-119332(JP,A)
【文献】特開2005-072765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0301019(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0093725(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/497
G01N 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹込口、排気口、及び被験者が吹き込む呼気の圧力で前記吹込口から前記排気口まで呼気が流れる流路を有する呼気パイプと、
前記呼気パイプに吹き込まれる呼気の検知結果の表示を行う表示面及び、前記表示面に対する前記呼気パイプの前記吹込口の位置を切り換えて支持可能な支持構造を有する本体と
を備え、
前記本体は、前記表示面である正面の反対側に背面を有し、
前記支持構造は、前記呼気パイプに呼気を吹き込む前記被験者の顔正面と同じ方向に前記表示面が向く前記呼気パイプの第1姿勢と、前記被験者の顔正面と前記本体の前記背面とが同じ方向を向く前記呼気パイプの第2姿勢とを、前記呼気パイプの回動により切り換えて支持できるように構成され、
前記本体は、前記呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知する第1センサーと、前記呼気パイプに吹き込まれた呼気に含まれるガスを検知する第2センサーと、前記第1姿勢に前記呼気パイプを前記支持構造が支持している状態でも前記第2姿勢に前記呼気パイプを前記支持構造が支持している状態でも、前記第1センサーに前記呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知させ、前記第2センサーにガスを検知させる制御装置とを有する、ガス検知器。
【請求項2】
吹込口、排気口、及び被験者が吹き込む呼気の圧力で前記吹込口から前記排気口まで呼気が流れる流路を有する呼気パイプと、
前記呼気パイプに吹き込まれる呼気の検知結果の表示を行う表示面及び、前記表示面に対する前記呼気パイプの前記吹込口の位置を切り換えて支持可能な支持構造を有する本体と
を備え、
前記支持構造は、前記呼気パイプに呼気を吹き込む前記被験者の顔正面と同じ方向に前記表示面が向く前記呼気パイプの第1姿勢と、前記被験者の顔正面と異なる方向に前記表示面が向く前記呼気パイプの第2姿勢とを切り換えて支持できるように構成され、
前記呼気パイプは、前記流路に対して交差する方向に開けられた採取孔を有し、
前記呼気パイプの前記流路は、前記採取孔と前記排気口との間に流路断面が下流側で小さくなる流路断面変更部を有し、
前記支持構造は、前記第1姿勢と前記第2姿勢を切り換えるときに、前記採取孔を支点として前記呼気パイプを移動させる軸構造を有し、
前記本体は、前記呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知する第1センサーと、前記呼気パイプに吹き込まれた呼気に含まれるガスを検知する第2センサーと、前記第1姿勢に前記呼気パイプを前記支持構造が支持している状態で、前記第1センサーに前記呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知させ、前記第2センサーにガスを検知させる制御装置とを有する、ガス検知器。
【請求項3】
前記支持構造は、前記採取孔に挿入される円筒部を持つ採取パイプを有し、
前記呼気パイプは、前記円筒部が嵌合する円筒状の前記採取孔が形成されている嵌合部を有し、
前記嵌合部と前記支持構造をシールするシール部材を備え、
前記呼気パイプは、前記支持構造に対して着脱可能に構成されている、
請求項2に記載のガス検知器。
【請求項4】
前記呼気パイプの前記流路は、前記吹込口と前記採取孔との間に流路径が徐々に小さくなるテーパ部を有する、
請求項2または請求項3に記載のガス検知器。
【請求項5】
吹込口、排気口、及び被験者が吹き込む呼気の圧力で前記吹込口から前記排気口まで呼気が流れる流路を有する呼気パイプと、
前記呼気パイプに吹き込まれる呼気の検知結果の表示を行う表示面及び、前記表示面に対する前記呼気パイプの前記吹込口の位置を切り換えて支持可能な支持構造を有する本体と
を備え、
前記支持構造は、前記呼気パイプに呼気を吹き込む前記被験者の顔正面と同じ方向に前記表示面が向く前記呼気パイプの第1姿勢と、前記被験者の顔正面と異なる方向に前記表示面が向く前記呼気パイプの第2姿勢とを切り換えて支持できるように構成され、
前記本体は、
前記呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知する第1センサーと、
前記呼気パイプに吹き込まれた呼気に含まれるガスを検知する第2センサーと、
電気信号を送信する送信装置と、
前記第1姿勢に前記呼気パイプを前記支持構造が支持している状態で、前記第1センサーに前記呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知させ、前記第2センサーにガスを検知させ、ガスの検知の結果を知らせる結果信号を前記送信装置に送信させる制御装置と
を有する、ガス検知器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかのガス検知器と、
前記ガス検知器の検知結果を管理する管理装置と、
前記ガス検知器を撮影する撮像装置及び前記撮像装置で撮影した画像を送信する通信部を有する証明装置と
を備え、
前記証明装置は、前記ガス検知器の前記制御装置からのトリガ信号の受信をトリガとして、前記撮像装置により、前記本体の前記表示面と一緒に、前記第1姿勢の前記呼気パイプに呼気を吹き込んでいる前記被験者の顔正面を撮影して、撮影した画像を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、受信した画像を保存する、監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検知器及びガス検知器を備える監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に開示される呼気成分検査装置のようなガス検知器が知られている。引用文献1の呼気成分検査装置は、呼気中のアルコール濃度を測定して飲酒による酩酊度を検査するといった用途に用いられる。特許文献1に記載されているガス検知器は、被験者がその吹込口に向けて呼気を吹き込むことで、吹込口を通じて導入された呼気がガスセンサーと接触して呼気成分の濃度が測定される構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4740263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているガス検知器では、呼気を吹き込む呼気流路パイプが延びる方向と、検査結果を表示する液晶表示部が向く方向とが直交する。そのため、液晶表示部に表示される検査結果と被験者の顔正面とを一枚の写真に収めるのが難しい。そこで、呼気流路パイプが延びる方向と液晶表示部が向く方向とを一致させて、検査結果と被験者の顔正面とを一枚の写真に写し易い構造にすることが考えられる。しかし、ガス検知器の構造を、検査結果と被験者の顔正面とを一枚の写真に写し易い構造にすると、ガス検知器の持ち運びが不便になったり、単に検知結果を表示部で確認したいときに使い勝手が悪くなったりする。
【0005】
本発明の課題は、被験者と検査結果の一致を証明し易く且つ使い勝手の良いガス検知器を提供することにある。また、そのようなガス検知器に適した監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係るガス検知器は、呼気パイプと本体とを備えている。呼気パイプは、吹込口、排気口、及び被験者が吹き込む呼気の圧力で吹込口から排気口まで呼気が流れる流路を有する。本体は、呼気パイプに吹き込まれる呼気の検知結果の表示を行う表示面及び、表示面に対する呼気パイプの吹込口の位置を切り換えて支持可能な支持構造を有する。支持構造は、呼気パイプに呼気を吹き込む被験者の顔正面と同じ方向に表示面が向く呼気パイプの第1姿勢と、被験者の顔正面と異なる方向に表示面が向く呼気パイプの第2姿勢とを切り換えて支持できるように構成されている。
上述のように構成されているガス検知器は、呼気パイプの姿勢を第1姿勢に切り換えることで、検知結果の表示を行う表示面と被験者の顔正面とを一枚の写真に写し易くなる。また、このガス検知器は、呼気パイプの姿勢を第2姿勢に切り換えることで、表示面と被験者の顔正面を一枚の写真に写す以外の状況で使い勝手の良い形態にガス検知器の形態を変更することができる。
上述のガス検知器は、呼気パイプが、流路に対して交差する方向に開けられた採取孔を有し、呼気パイプの流路が、採取孔と排気口との間に流路断面が下流側で小さくなる流路断面変更部を有し、支持構造が、第1姿勢と第2姿勢を切り換えるときに、採取孔を支点として呼気パイプを移動させる軸構造を有する、ように構成されることが好ましい。このように構成されたガス検知器は、軸構造を中心に呼気パイプの第1姿勢と第2姿勢との切り換えを行うことができる。このような切り換え方を採用することで、呼気の採取条件を変えずに第1姿勢と第2姿勢を切り換える支持構造を簡単な構造で実現できる。
上述のガス検知器は、支持構造が、採取孔に挿入される円筒部を持つ採取パイプを有し、呼気パイプが、円筒部が嵌合する円筒状の採取孔が形成されている嵌合部を有する。このガス検知器は、嵌合部と支持構造をシールするシール部材を備え、呼気パイプは、支持構造に対して着脱可能に構成されていることが好ましい。このように構成されたガス検知器は、呼気パイプを本体から取り外すことができ、呼気パイプ及び本体のメンテナンスが容易になる。
【0007】
上述のガス検知器は、吹込口と採取孔との間に流路径が徐々に小さくなるテーパ部を呼気パイプの流路が有するように構成されることが好ましい。このように構成されたガス検知器は、吹込口に例えばストローを差し込んで呼気を吹き込む場合に、テーパ部によって、呼気パイプが種々の径のストローに対応することができ、使い勝手が良くなる。
上述のガス検知器は、本体が第1センサーと第2センサーと送信装置と制御装置とを有する。このガス検知では、第1センサーが呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知し、第2センサーが呼気パイプに吹き込まれた呼気に含まれるガスを検知し、送信装置が電気信号を送信する。また、このガス検知器では、制御装置が第1姿勢に呼気パイプを支持構造が支持している状態で、第1センサーに呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知させ、第2センサーにガスを検知させ、ガスの検知の結果を知らせる結果信号を送信装置に送信させる、ように構成されることが好ましい。このように構成されたガス検知器で、呼気パイプの姿勢を第1姿勢に切り換え、検知結果の表示を行う表示面と被験者の顔正面とを例えばカメラによって一枚の画像に写す際に、送信装置から送信される結果信号を用いてカメラを制御して、適切なタイミングで撮影した画像を得ることができる。また、撮影した画像と結果信号とを関連付けて保存することで、不正な結果の捏造を抑制しながら検知結果を監視することができる。
【0008】
本発明の一見地に係る監視システムは、ガス検知器と管理装置と証明装置とを備える。この監視システムでは、ガス検知器が、吹込口、排気口、及び被験者が吹き込む呼気の圧力で吹込口から排気口まで呼気が流れる流路を有する呼気パイプと、呼気パイプに吹き込まれる呼気の検知結果の表示を行う表示面及び、表示面に対して、呼気パイプの吹込口の位置を切り換えて支持可能な支持構造を有する本体とを備える。この監視システムでは、管理装置が、ガス検知器の検知結果を管理し、証明装置が、ガス検知器を撮影する撮像装置及び撮像装置で撮影した画像を送信する通信部を有する。この監視システムのガス検知器の支持構造は、呼気パイプに呼気を吹き込む被験者の顔正面と同じ方向に表示面が向く呼気パイプの第1姿勢と、被験者の顔正面と異なる方向に表示面が向く呼気パイプの第2姿勢とを切り換えて支持できるように構成されている。この監視システムのガス検知器の本体は、第1センサーと第2センサーと送信装置と制御装置とを有し、第1センサーが呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知するよう構成されている。この監視システムのガス検知器の第2センサーは、呼気パイプに吹き込まれた呼気に含まれるガスを検知するよう構成されている。この監視システムのガス検知器の送信装置は、電気信号を送信するよう構成されている。この監視システムのガス検知器の制御装置は、第1姿勢に呼気パイプを支持構造が支持している状態で、第1センサーに呼気パイプに呼気が吹き込まれたことを検知させ、第2センサーにガスを検知させ、ガスの検知の結果を知らせる結果信号を送信装置に送信させるように構成されている。この監視システムの証明装置は、ガス検知器の制御装置からの結果信号の受信をトリガとして、撮像装置により、本体の表示面と一緒に、第1姿勢の呼気パイプに呼気を吹き込んでいる被験者の顔正面を撮影して、撮影した画像を管理装置に送信し、管理装置は、受信した画像を保存する、ように構成されている。
上述のように構成されている監視システムは、ガス検知器において、呼気パイプの姿勢を第1姿勢に切り換え、証明装置によって、検知結果の表示を行う表示面と被験者の顔正面とを一枚の画像に写し、管理装置で画像を保存することができる。このように、監視システムによれば、被験者の顔正面と検知結果とが写っている1枚の画像を保存することができ、被験者の不正を抑制しながら被験者の呼気に含まれるガスの検知結果を監視することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るガス検知器及び監視システムは、従来に比べ、被験者と検査結果の一致を証明し易く且つ使い勝手の良くなっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るガス検知器を前方斜め上から見た状態を示す斜視図。
図2】実施形態に係るガス検知器を後方斜め下から見た状態を示す斜視図。
図3図1のI-I線を含む平面で切断したガス検知器の断面図。
図4】呼気パイプの正面図。
図5】呼気パイプの断面図。
図6】ガス検知器の本体の上部を示す部分拡大斜視図。
図7】呼気パイプが第2姿勢を取るガス検知器の上面図。
図8】呼気パイプが第1姿勢を取るガス検知器の上面図。
図9】呼気パイプの第1姿勢と第2姿勢を説明するためのガス検知器の側面図。
図10】可動部の底面図。
図11】ガス検知器の上部を示す部分拡大断面図。
図12】監視システムの構成の一例を示すブロック図。
図13】監視システムの動作を説明するためのフローチャート。
図14】被験者による監視システムの使用方法を説明するための図。
図15図14に示されている監視システムの使用方法で得られる画像を説明するための図。
図16】変形例Aに係るガス検知器を示す正面図。
図17】変形例Aに係るガス検知器を示す側面図。
図18】変形例Aに係るガス検知器を示す上面図。
図19】変形例Aに係るガス検知器の呼気パイプの第1姿勢と第2姿勢の切り換えを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)ガス検知器の全体構成
図1には、前方斜め上から見たガス検知器10が示され、図2には、後方斜め下から見たガス検知器10が示されている。ガス検知器10は、本体11と呼気パイプ12とを備えている。呼気パイプ12は、可動部13に収納されている。ガス検知器10は、例えば、被験者の呼気に含まれるアルコール濃度をチェックするアルコールチェッカーである。
図3には、図1のI-I線に沿って切断したガス検知器10の断面が示されている。図4には、呼気パイプ12を正面から見た状態が示されている。図5には、呼気パイプ12の断面が示されている。呼気パイプ12は、吹込口121と、排気口122と、吹込口121と排気口122との間に形成されている流路123とを有する。例えばストローを使って被験者により吹込口121から呼気が吹き込まれる。吹き込まれた呼気は、被験者が吹き込む呼気の圧力によって流路123の中を流れる。流路123を通って排気口122に到達した呼気は、排気口122から呼気パイプ12の外に排気される。
本体11は、表示装置18及びその画面18a、発光デバイス19及びその表示窓19a、並びにスイッチ32を正面11aに有している。発光デバイス19は、光を放つデバイスである。発光デバイス19には、例えばLEDを用いることができる。LEDは、Light Emitting Diode(発光ダイオード)の略である。表示装置18は、呼気パイプ12に吹き込まれる呼気の検知結果を表示する。表示装置18には、例えば、液晶表示装置(LCD:liquid crystal displayの略)を用いることができる。このガス検知器10においては、表示装置18の画面18a及び発光デバイス19の表示窓19aが配置されている正面11aが表示面になる。この実施形態では表示面が平面である場合について説明しているが、表示面は平面には限られない。被験者の顔正面と一緒に測定結果を写せればよいので、例えば、一枚の画像に写せる程度に表示面が湾曲していても構わない。
本体11は、呼気パイプ12を支持する支持構造112を有する(図6参照)。支持構造112は、本体11の上面11bに取り付けられている。支持構造112は、表示面である本体11の正面11aに対する呼気パイプ12の吹込口121の位置を切り換えて支持することができる。
【0012】
図7には、呼気パイプ12が第2姿勢になっている場合のガス検知器10を上方から見た状態が示されている。図8には、呼気パイプ12が第1姿勢になっている場合のガス検知器10を上方から見た状態が示されている。図9では、呼気パイプ12が第1姿勢になっている状態の可動部13が破線で示され、呼気パイプ12が第2姿勢になっている状態の可動部13が実線で示されている。
図6に示されている支持構造112は、第1姿勢と第2姿勢を切り換えて呼気パイプ12を支持できるように構成されている。呼気パイプ12が第1姿勢になっている状態では、呼気パイプ12に呼気を吹き込む被験者の顔正面と同じ方向に表示装置18の画面18a及び発光デバイス19の表示窓19aが向く。呼気パイプ12が第2姿勢になっている状態では、被験者の顔正面と異なる方向に表示装置18及び発光デバイス19が向く。このガス検知器10では、第2姿勢として、被験者の顔正面が、本体11の背面11cと同じ方向を向く場合、右側面11dと同じ方向を向く場合、及び左側面11eと同じ方向を向く場合がある。図7に示されているのは、被験者の顔正面が、本体11の左側面11eと同じ方向を向く場合である。言い換えると、図7に示されている状態では、吹込口121が右側面11dの側に配置されている。この明細書では、正面11aに向かって右側の面を右側面11d、正面11aに向かって左側の面を左側面11eと呼ぶ。右側面11dには、ACアダプターの端子の差込口36が配置され、USB(Universal Serial Bus)などのバス38が配置されている。
【0013】
図8及び図9に示されているように、第1姿勢の呼気パイプ12の吹込口121は、背面11cの側に配置されている。吹込口121が背面11cの側に配置されることで、被験者の顔正面と表示装置18及び発光デバイス19がともに正面を向くことになる。
【0014】
(2)ガス検知器の詳細構成
(2-1) 呼気パイプ12
呼気パイプ12は、ドーム状のカバー13aに覆われており、カバー13aに固定されている。呼気パイプ12は、カバー13aを被験者が持って回動させると、カバー13aとともに回動する。
図5に示されているように、呼気パイプ12は、流路123に対して交差する方向に開けられた採取孔124を有している。さらに詳細には、流路123に対して直交する方向に採取孔124が延びている。呼気パイプ12の流路123は、採取孔124と排気口122との間に流路断面が上流よりも下流で小さくなる流路断面変更部125が設けられている。具体的には、流路123の中心軸の両側に配置された2つのバッフル壁126によって、流路123が狭められ、流路断面変更部125が形成されている。この流路断面変更部125は、採取孔124の周囲にある呼気の圧力を上げる役目を果たしている。採取孔124において周囲の呼気の圧力を上げることにより、後述するガスセンサー16で呼気の空気圧の上昇を検知し易くなる。なお、流路断面変更部125を形成する方法は、バッフル壁126を設ける場合に限られない。流路断面変更部125は、例えば、ステップ状に流路123の直径を変更して断面積をステップ状に変更することにより形成されてもよい。
呼気パイプ12は、後述する本体11の採取パイプ114が嵌る円筒状の嵌合部127を有する。この嵌合部127に、採取パイプ114の円筒部114aが嵌る円筒状の採取孔124が形成されている。嵌合部127の底面127bは、リング状の平坦な面である。
【0015】
図10には、下方から見た可動部13が示されている。呼気パイプ12の嵌合部127の周囲には四方に延びる凸部128が形成されている。この凸部128の周囲には円筒状の外壁129が設けられている。外壁129には、4つの横穴129aが形成されている。この横穴129aには、それぞれ爪131が配置されている。各爪131は、バネ132によって嵌合部127の方に向かって付勢されている。外壁129の外側にはバネ132を支持する支持リング130が取り付けられている。支持リング130は、呼気パイプ12に固定され、呼気パイプ12が可動部13に固定されている。
呼気パイプ12は、吹込口121と採取孔124の間に、テーパ部123a(図5参照)が設けられている。テーパ部123aでは、流路123の径が上流から下流に向かって徐々に小さくなる。呼気パイプ12がこのようなテーパ部123aを有することにより、円筒型のストローを呼気パイプ12の流路123に挿入したとき、流路123にストローがフィットし易くなる。例えば、径の大きなストローは吹込口121に比較的近い位置で流路123の内壁に密着し、径の小さなストローは吹込口121から比較的遠い位置で流路123の内壁に密着する。言い換えると、テーパ部123aによって、径の異なるストローを呼気パイプ12に挿し込んで使うことが容易になる。
【0016】
(2-2) 本体11
本体11は、図1に示されているように、正面11aに、表示装置18の画面18a、発光デバイス19の表示窓19a及びスイッチ32を有する。本体11は、図2に示されているように、右側面11dに、バス38及びACアダプターの端子用の差込口36を有する。
(2-2-1) 支持構造112
図6に示されているように、支持構造112は、本体11の上面11bに固定されている。上面視において、支持構造112の中央部には、上方に延びる採取パイプ114が形成されている。採取パイプ114は、採取孔124に嵌め込まれた状態では、頂部114tが流路123の内部にまで突出する。図11には、支持構造112及び可動部13の部分の断面が拡大して示されている。採取パイプ114(採取孔124)の延びる方向と流路123が直交し、頂部114tが流路123の中にまで突出することによって、呼気を吸い込んだチャンバ116の中の圧力を安定させることができる。それにより、ガスセンサー16は、ガス濃度の値を安定させた状態で検知することができる。換言すると、ガスセンサー16は、前述の構造により、検知結果を安定させることができる。
採取パイプ114は、円筒部114aと、大径部114bとを有している。下方から大径部114b、円筒部114aの順に配置されている。大径部114bは、円筒部114aに繋がる部分がテーパ状になっており、徐々に径が大きくなるように構成されている。採取孔124の下部にも、徐々に内径が大きくなる箇所がある。この採取孔124の内径が大きくなる箇所と、採取パイプ114の大径部114bのテーパ状の部分とが当接する状態よりも下には、可動部13は下がらない。
【0017】
採取パイプ114の周囲には、円筒状の支持壁115が配置されている。この支持壁115の外径が外壁129の内径よりも小さく設定され、採取パイプ114を採取孔124に嵌め込んだ状態において、支持壁115の周囲には、外壁129が配置される。支持壁115の中心軸と採取パイプ114の中心軸とは実質的に一致する。ここで実質的に一致するとは、製造時の誤差によるズレの範囲内にあるときには一致しているとみなす意味である。支持壁115と採取パイプ114の大径部114bとの間に形成される溝には、シール部材であるOリング14が嵌め込まれている。このOリング14は、嵌合部127の底面127bによって押し下げられ、支持壁115と大径部114bとの間の溝で下部を支えられて、圧し潰される。その結果、Oリング14は、嵌合部127の底面127bと支持構造112との間の隙間を塞いで、嵌合部127と支持構造112をシールすることができる。
支持壁115の外周面には、4つの爪131がそれぞれ嵌る4つの凹部115aが形成されている。凹部115aに爪131がそれぞれ嵌っている状態は、可動部13が本体11に固定されている固定状態である。爪131は、凹部115aに嵌った状態においてバネ132で付勢されているので、凹部115aから外れない。この固定状態のときに、Oリング14が嵌合部127と支持構造112をシールする状態になる。
【0018】
支持構造112において、採取孔124と採取パイプ114と嵌合部127とが組み合わされて軸構造20が形成されている。この軸構造20を中心に、可動部13を回動させることができる。
支持壁115の外周面には、環状のガイド溝115bが形成されている。ガイド溝115bは、凹部115aよりも上に配置されている。前述の固定状態から、可動部13を上に引き上げると、支持壁115によって押されて、バネ132が爪131を付勢している方向とは逆に、爪131が凹部115aから離れる方向に移動する。このように爪131が凹部115aの外に出やすくなるように、爪131及び凹部115aには傾斜が付けられている。爪131が凹部115aから出た状態で、可動部13をさらに引き上げると、全ての爪131がガイド溝115bに嵌った状態になる。爪131がガイド溝115bに嵌った状態は、可動部13が回動可能な可動状態である。採取パイプ114を軸に可動部13を回動させると、爪131がガイド溝115bの中を摺動する。
【0019】
例えば、図7及び図9の実線で示されている状態の可動部13を引き上げて、90度回動させて、可動部13を本体11に向かって押し込むと、可動部13が、図8及び図9の破線で示されている状態になる。支持壁115の上部には、切欠部115cが設けられている。この切欠部115cには、呼気パイプ12の一部が入り込むように構成されている。呼気パイプ12の一部は、凸部128の一部である。言い換えると、凸部128が切欠部115cに嵌るように構成されている。呼気パイプ12の一部が切欠部115cに入り込む構成により、ガス検知器10の上下方向の長さを短くできる。また、凸部128が切欠部115cに嵌ることで、固定状態のときに可動部13を本体11にしっかりと固定することができる。このように、可動部13は、本体11に対して回動することができるように構成されている。呼気パイプ12は、この可動部13と共に本体11に対して回動することができる。なお、可動部13は、矢印Ar1に示されている上方に持ち上げることで、爪131がガイド溝115bから外れて本体11から脱離できるように構成されている。可動部13が本体11から脱離した状態においては、可動部13を本体11の支持構造112に押し込むことで、再び爪131がガイド溝115bに嵌り、可動部13を本体11に装着することができる。言い換えると、呼気パイプ12は、本体11に対して着脱可能に構成されているということである。
【0020】
(2-2-2) 本体11の内部構造
図3に示されているように、採取パイプ114、チャンバ116、内部チューブ117及びポンプ118が繋がっている。採取パイプ114にチャンバ116が接続されている。圧力センサー15及びガスセンサー16は、例えば、チャンバ116に配置されている。チャンバ116に内部チューブ117が接続されている。内部チューブ117には、ポンプ118が接続されている。また、内部チューブ117には、圧力センサー15が接続されている。
圧力センサー15は、呼気パイプ12に呼気が吹き込まれたことを検知する第1センサーとして機能する。呼気パイプ12に呼気が吹き込まれると、呼気は、流路断面変更部125において下流の流路断面が狭まることで、流路断面変更部125の上流にある採取孔124の近傍の圧力が高まる。呼気によって採取孔124の近傍において空気力が上がると、採取孔124に挿入されている採取パイプ114を通してチャンバ116及び内部チューブ117の中の空気圧が上がる。内部チューブ117に接続されている圧力センサー15は、内部チューブ117の中の空気圧が上昇したことを検知する。
呼気が吹き込まれたことを圧力センサー15によって検知すると、マイクロコンピュータ30は、ポンプ118によってチャンバ116の中に一定量の呼気を吸引させる。ポンプ118は、例えば、ソレノイドによってピストンが移動する構成になっていて、一定量の空気の吸気と排気とを繰り返すことができる。
チャンバ116に設けられているガスセンサー16は、呼気パイプに吹き込まれた呼気に含まれるガスを検知する第2センサーとして機能する。ガスセンサー16は、例えば、金属酸化物半導体ガスセンサーである。ガスセンサー16は、採取孔124を通してチャンバ116の中に引き込まれた呼気に含まれる特定種類のガスの濃度を検知する。
【0021】
(2-2-3) 制御装置
図12に示されているように、ガス検知器10は、制御装置として、マイクロコンピュータ30を備えている。マイクロコンピュータ30は、スイッチ32に接続されている。スイッチ32のオンすることによりガス検知器10がオンされ、スイッチ32をオフすることによりガス検知器10がオフされる。マイクロコンピュータ30は、電源35から電力の供給を受けて動作する。電源35には、例えば乾電池またはACアダプターが用いられる。
マイクロコンピュータ30は、送受信装置40に接続されている。送受信装置40はネットワークを介して証明装置60に信号を送信することができる。証明装置60は、例えば、スマートフォンを用いて構成できる。スマートフォンにインストールしたアプリケーションを起動させることにより、スマートフォンを証明装置60として機能させることができる。証明装置60がマイクロコンピュータ30との間で通信を確立するためのデータは、証明装置60が持つアプリケーションの中に組み込まれている。送受信装置40が送信の際に用いるネットワークには、例えば、PAN(Pesticide Action Network International)、LAN(local area network)、WAN(wide area network)がある。送受信装置40が用いるPANの通信規格には、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ジグビー(ZigBee(登録商標))がある。マイクロコンピュータ30は、証明装置60へのトリガ信号の送信を送受信装置40に対して命令できるように構成されている。
【0022】
マイクロコンピュータ30は、圧力センサー15、ガスセンサー16及び温度センサー17に接続されている。マイクロコンピュータ30は、圧力センサー15により検知される空気の圧力のデータを受信し、ガスセンサー16により検知されるガスの濃度のデータを受信し、温度センサー17により検知されるガスの温度のデータを受信する。マイクロコンピュータ30は、圧力センサー15によって検知される空気の圧力と第1閾値とを比較し、圧力が第1閾値を超えたときに呼気が吹き込まれたと判断する。マイクロコンピュータ30は、ガスセンサー16により検知される特定種類のガスの濃度と第2閾値とを比較し、ガスの濃度が第2閾値を超えたときに警報を報知すべきと判断する。マイクロコンピュータ30は、ガスセンサー16によるガスの濃度検知の際に、温度センサー17により検知される温度で検知されるガスの濃度を補正する。温度センサー17には、例えばサーミスタを用いることができる。
マイクロコンピュータ30は、表示装置18、発光デバイス19及び音響発生器45に接続されている。音響発生器45は、被験者への情報伝達のための音を発する機器である。音響発生器45には、例えば、ブザーが用いられる。マイクロコンピュータ30は、表示装置18に、日時を表示するためのデータ及びガスセンサー16の検知結果を送信する。マイクロコンピュータ30は、ガスセンサー16の検知結果に応じて発光を指示する信号を発光デバイス19に送信する。マイクロコンピュータ30は、ガスセンサー16が検知したガスの濃度が第2閾値を超えていれば、例えば赤色に発光するように発光デバイス19に指示する信号を送信する。逆に、ガスの濃度が第2閾値を超えていなければ、マイクロコンピュータ30は、例えば青色に発光するように発光デバイス19に指示する信号を送信する。マイクロコンピュータ30は、動作が切り替わるタイミングで音響発生器45に報知音の発生を指示する信号を送信する。
マイクロコンピュータ30は、管理装置である外部コンピュータ50に接続されている。マイクロコンピュータ30は、バス38を介して外部コンピュータ50にデータを送信することができる。マイクロコンピュータ30は、証明装置60と外部コンピュータ50との間で通信を行えるようにする環境設定のためのデータを外部コンピュータ50に送信する。
【0023】
(2-2-4)表示面
本体11は、呼気パイプ12に吹き込まれる呼気の検知結果を表示する表示面として、正面11aを有している。正面11aには、表示装置18の画面18aと、発光デバイス19の表示窓19aが設けられている。そのため、この本体11の正面11aの写真を撮影すれば、呼気の検知結果を示すために必要な全ての情報が写真に写される。ここでは、表示装置18の画面18aと発光デバイス19の表示窓19aが設けられている面を表示面としたが、表示面とするためには、表示装置18の画面18aと発光デバイス19の表示窓19aが設けられる場合には限られない。例えば、表示面に表示装置18の画面18aのみが設けられ、発光デバイス19の表示窓19aが省かれてもよい。また、表示面に発光デバイス19の表示窓19aのみが設けられ、表示装置18の画面18aが省かれてもよい。また、表示面に表示装置18の画面18aと発光デバイス19の表示窓19aが設けられる場合に、表示面以外の他の面にも検知結果を表示してもよい。例えば、本体11の正面11a(表示面)に表示装置18の画面18aと発光デバイス19の表示窓19aを設け、本体11の背面11cにも発光デバイス19の表示窓を設けてもよい。
【0024】
(2-3)ガス検知器10の検知動作
ガス検知器10では、スイッチ32がオンになると、マイクロコンピュータ30が、カウントダウンを行い、カウントダウンが終了した時点で、音響発生器45に音を発生させる。音響発生器45が発生する音を聞いた被験者は、ストロー500(図14参照)を介して呼気パイプ12に呼気を吹き込む。ガス検知器10では、このとき、呼気パイプ12の採取孔124に挿し込まれた採取パイプ114、採取パイプ114に接続されたチャンバ116及び内部チューブ117を通して、圧力センサー15の周囲の空気の圧力が上昇する。圧力センサー15の周囲の空気の圧力が第1閾値を超えたことを圧力センサー15が検知すると、マイクロコンピュータ30は、呼気パイプ12に呼気が吹き込まれたと判断する。呼気パイプ12に呼気が吹き込まれたと判断したマイクロコンピュータ30は、ポンプ118を駆動させて、呼気パイプ12からチャンバ116の中に呼気を引き込む。次に、マイクロコンピュータ30は、適正な空気圧の中で特定のガスの濃度をガスセンサー16に検知させる。
【0025】
(3)監視システム200
(3-1)監視システム200の構成概要
監視システム200は、ガス検知器10と、管理装置である外部コンピュータ50と、証明装置60とを備えている。外部コンピュータ50は、ガス検知器の検知結果を管理する管理装置である。証明装置60は、ガス検知器を撮影する撮像装置61、及び撮像装置61で撮影した画像を送信する通信部62を有する。撮像装置61は、例えば、カメラまたはビデオレコーダである。通信部62は、送受信装置40及び外部コンピュータ50と通信できるように構成されている。証明装置60は、例えばスマートフォンを用いて構成することができ、その場合、撮像装置61は例えばスマートフォンのカメラであり、通信部62は例えばスマートフォンの携帯情報端末である。
【0026】
(3-2)監視システム200の動作
図13には、監視システム200の動作の一例が示されている。まず、スイッチ32がオンされると、ガス検知器10が起動される(ステップST1)。マイクロコンピュータ30は、スイッチ32がオンされたことにより、測定を開始する(ステップST2)。このとき、証明装置60のアプリケーションは起動されている(ステップST20)。
ガス検知器10では、マイクロコンピュータ30が、送受信装置40に、証明装置60との間で無線接続を行わせるように命令する(ステップST3)。証明装置60は、ガス検知器10との無線接続を行う(ステップST21)。そのために、ガス検知器10の送受信装置40と証明装置60は、相互に信号を送受信する。
ガス検知器10のマイクロコンピュータ30は、証明装置60との間で無線接続が確立してからカウントダウンを行う。マイクロコンピュータ30は、カウントダウンを行っていることを示すカウントダウン信号を送信するように送受信装置40に命令する(ステップST4)。証明装置60は、カウントダウン信号を通信部62により受信する(ステップST22)。
ガス検知器10では、予め設定されていたカウントダウンが終了すると、マイクロコンピュータ30は、音でカウントダウンの終了を被験者に知らせるため、音響発生器45に音を発生させるように命令する。
例えば音響発生器45が発生したビープ音を聞いて、被験者が呼気パイプ12に呼気を吹き込む。被験者が呼気を呼気パイプ12に吹き込むと、ガス検知器10では、圧力センサー15によりマイクロコンピュータ30が呼気の吹き込みを検知する(ステップST5)。呼気の吹き込みを検知したマイクロコンピュータ30は、呼気吹き込み信号を送受信装置40に送信するように命令する。送受信装置40が送信する呼気吹き掛け信号を、証明装置60が通信部62により受信する(ステップST23)。
【0027】
ガス検知器10では、吹き込まれた呼気をガスセンサー16により検知して、マイクロコンピュータ30がガスの濃度を算出する(ステップST6)。ガス濃度の検出が終了すると、マイクロコンピュータ30は、算出した検出結果を表示装置18に表示させ、ガス濃度に応じた色で発光するように発光デバイス19に命令する(ステップST7)。マイクロコンピュータ30は、表示のタイミングに合わせて、検出結果が算出されたことを示す音を音響発生器45に発生するように命令する。また、マイクロコンピュータ30は、検出結果のデータとともに撮影のタイミングを与えるトリガ信号を送受信装置40に送信するように命令する。証明装置60は、通信部62により検出結果のデータとトリガ信号を受信する(ステップST24)。証明装置60は、トリガ信号を受信することで、撮像装置61により写真の撮影を実行する(ステップST24)。写真撮影が実行されているとき、図14に示されているように、被験者300がガス検知器10の表示面及び顔正面を証明装置60に向ける。図14のようにガス検知器10の表示面及び顔正面が証明装置60に向けられた状態で写真撮影が実行されると、図15に示されているように、一枚の写真に、ガス検知器10の表示面と被験者の顔正面が写し込まれる。
マイクロコンピュータ30は、呼気検知の日時を示すデータ及びガスセンサー16の検知結果を外部コンピュータ50に送信してガス濃度の測定を終了する(ステップST8)。ガス検知器10では、スイッチ32がオフにされる(ステップST9)。証明装置60は、検出結果のデータと写真のデータを、通信部62から外部コンピュータ50に送信する(ステップST25)。
管理装置である外部コンピュータ50は、ガス検知器10と証明装置60から送られてきたデータを関連付けて保存する。
【0028】
(4)特徴
(4-1)
上記実施形態のガス検知器10では、呼気パイプ12の姿勢を第1姿勢(図8参照)に切り換えると、図14に示されているように、本体11の表示面である正面11aが向く方向と、被験者300の顔正面が向く方向とを合わせることができる。本体11の正面11aには、表示装置18の画面18a及び発光デバイス19の表示窓19aが配置されている。その結果、本体11の正面11aに配置されている画面18a及び表示窓19aを被験者300の顔正面と一緒に撮影することができ、被験者300の顔正面と表示面である本体11の正面11aを一枚の写真に写し易くなっている。
また、ガス検知器10では、呼気パイプ12の姿勢を第2姿勢、特に図7に示されているように呼気パイプ12の流路123を正面11aと平行となる姿勢にすることができる。このような姿勢にすると、図8に示されている第1姿勢に比べて本体11の前後方向の長さが小さくなり、持ち運びに便利である。また、単に被験者300が自身の呼気中のガス濃度を確認したい場合にも第2姿勢の方が使い勝手が良くなる。吹込口121が正面11aの側に位置するよりも、背面11c、右側面11dまたは左側面11eに側に位置する方が、検知しながらまたは検知後に表示装置18の画面18aを確認し易くなる。画面18aへの検知結果の表示は、予め設定された所定時間行われる。
【0029】
(4-2)
上記実施形態では、採取孔124と採取パイプ114と嵌合部127とが組み合わされた軸構造20を中心に呼気パイプ12を回動させることができる。このように回動させることで、第1姿勢(吹込口121が正面11aの側に位置する姿勢)とその他の第2姿勢とを切り換えられるように、支持構造112が簡単な構造で構成されている。第1姿勢と第2姿勢とにおいて、採取孔124(採取パイプ114)と、バッフル壁126(流路断面変更部125)との距離を同じに保つことができるので、ガス検知器10は、呼気の採取条件を変えずに第1姿勢と第2姿勢とを切り換えることができる。
(4-3)
上述のガス検知器は、支持構造112が、採取孔124に挿入される円筒部114aを持つ採取パイプ114を有している。呼気パイプ12は、円筒部114aが嵌合する円筒状の採取孔124が形成されている嵌合部127を有している。呼気パイプ12の嵌合部127と支持構造112とが、シール部材であるOリング14でシールされている。そして、呼気パイプ12が支持構造112に対して着脱可能であるから、ガス検知器10では、呼気パイプ12を本体11から取り外すことで、呼気パイプ12及び本体11のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0030】
(4-4)
上記実施形態のガス検知器10は、呼気パイプ12の吹込口121に、円筒状のストロー500(図14参照)を差し込んで呼気を吹き込むことができるように構成されている。ガス検知器10は、呼気パイプ12のテーパ部123aによって、呼気パイプ12が種々の径のストロー500に対応することができ、使い勝手が良くなっている。呼気パイプ12は、テーパ部123aにより、例えば、直径4mm~6mmのストロー500に対応することができる。
(4-5)
上記実施形態のガス検知器10を用いれば、呼気パイプ12の姿勢を第1姿勢に切り換え、検知結果の表示を行う本体11の正面11aと被験者の顔正面とを、証明装置60の撮像装置61(例えば、スマートフォンのカメラ)によって一枚の画像に写すことができる。画像を写す際に、ガス検知器10は、送受信装置40から送信される結果信号を用いて証明装置60を制御することができる。それにより、適切なタイミングで撮影した画像を得ることができる。また、撮影した画像と結果信号とを関連付けて保存することで、不正な結果の捏造を抑制しながら検知結果を監視することができる。なお、送受信装置40は、送信装置の一例である。
【0031】
(4-6)
上記実施形態の監視システム200では、管理装置である外部コンピュータ50が、ガス検知器10の検知結果を管理し、証明装置60が、ガス検知器10を撮影する撮像装置61及び撮像装置61で撮影した画像を送信する通信部62を有している。この監視システムのガス検知器の本体11は、第1センサーである圧力センサー15と、第2センサーであるガスセンサー16と、送信装置である送受信装置40と、制御装置であるマイクロコンピュータ30とを有している。ガス検知器10では、圧力センサー15が呼気パイプ12に呼気が吹き込まれたことを検知し、ガスセンサー16が、呼気パイプ12に吹き込まれた呼気に含まれるガスを検知するよう構成されている。マイクロコンピュータ30は、第1姿勢に呼気パイプ12を支持構造112が支持している状態で、圧力センサー15に呼気パイプ12に呼気が吹き込まれたことを検知させる。呼気の吹き込みが検知されると、マイクロコンピュータ30は、ガスセンサー16にガスを検知させ、ガスの検知の結果を知らせる結果信号を送受信装置40に送信させるように構成されている。証明装置60は、ガス検知器10のマイクロコンピュータ30からの結果信号の受信をトリガとして、撮像装置61により、本体11の正面11aと一緒に、第1姿勢の呼気パイプ12に呼気を吹き込んでいる被験者300の顔正面を撮影する(図14参照)。さらに、証明装置60は、撮影した画像(図15参照)を外部コンピュータ50に送信し、外部コンピュータ50は、受信した画像を保存する。なお、図15のガス検知器10の画面18aには、検知した日時と「検知されず」の文字が表示されている。「検知されず」というのは、検知対象の特定種類のガスの濃度が第2閾値を超えなかったことを報知するものである。しかし、画面18aに表示する検知結果は、例えば、ガス濃度であってもよく、図15のような表示に限られるものではない。このとき、表示窓19aは、検知対象の特定種類のガスの濃度が第2閾値を超えなかったことを示す色、例えば青色の光を放っている。
上述のように構成されている監視システム200は、ガス検知器10において、呼気パイプ12の姿勢を第1姿勢に切り換え、証明装置60によって、検知結果の表示を行う本体11の正面11a(表示面)と被験者の顔正面とを一枚の画像に写し、外部コンピュータ50で画像を保存することができる。この監視システム200によれば、被験者300の顔正面と検知結果とが写っている1枚の画像を保存することができ、被験者300の不正を抑制しながら被験者300の呼気に含まれるガスの検知結果を監視することができる。
【0032】
(5)変形例
(5-1)変形例A
上記実施形態では、ガス検知器10の第1姿勢と第2姿勢を切り換える際に、呼気パイプ12が配置された可動部13が回動する場合について説明した。しかし、ガス検知器10の第1姿勢と第2姿勢を切り換える構成は、可動部13を回動させる構成には限られない。
図16には、変形例Aに係るガス検知器10を正面から見た状態が示され、図17には、変形例Aに係るガス検知器10を側面から見た状態が示され、図18には、変形例Aに係るガス検知器10を側面から見た状態が示されている。また、図19には、脱着部413を本体11から脱離させている状態が示されている。
変形例Aのガス検知器10は、脱着部413の中に呼気パイプ12が配置されている。脱着部413を本体11に装着した状態では、変形例Aのガス検知器10における呼気パイプ12と本体11との関係は、上記実施形態の呼気パイプ12と本体11との関係と同様である。そのため、ここでは、脱着部413を本体11に装着した状態における変形例Aのガス検知器10の呼気パイプ12と本体11との説明を省き、呼気パイプ12の第1姿勢と第2姿勢の切り換えについて説明する。なお、変形例Aのガス検知器10の各構成について、実施形態のガス検知器10の各構成に相当するものには同一の符号を付している。
図17及び図18に二点鎖線で示されている脱着部413の状態では、呼気パイプ12が第1姿勢になっている。変形例Aのガス検知器10は、図16に示されている脱着部413の状態、図17及び図18に実線で示されている脱着部413の状態が第2姿勢の一例である。
変形例Aのガス検知器10は、図19に示されているように、脱着部413を上に引き上げると脱着部413を本体11から脱離させることができる。被験者は、脱着部413を本体11から脱離させた状態で、上面視において、人の手で90度、180度または270度回転させて、脱着部413を本体11に押し込んで装着する。このように、脱着部413は、人の手で、脱離し、回転し、そして装着することによって、変形例Aのガス検知器10は、第1姿勢と第2姿勢とを切り換えることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 ガス検知器
11 本体
11a 正面(表示面の例)
14 Oリング(シール部材の例)
15 圧力センサー(第1センサーの例)
16 ガスセンサー(第2センサーの例)
20 軸構造
30 マイクロコンピュータ(制御装置の例)
40 送受信装置(送信装置の例)
50 外部コンピュータ(管理装置の例)
60 証明装置
61 撮像装置
62 通信部
114 採取パイプ
114a 円筒部
12 呼気パイプ
112 支持構造
121 吹込口
122 排気口
123 流路
123a テーパ部
124 採取孔
125 流路断面変更部
127 嵌合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19