(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240411BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20240411BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20240411BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C9/12
B05C13/02
B41J2/01 109
B41J2/01 125
B41J2/01 127
(21)【出願番号】P 2020172083
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-30298(JP,A)
【文献】特開平10-291294(JP,A)
【文献】特開2017-36072(JP,A)
【文献】特開2020-152086(JP,A)
【文献】特開2020-97440(JP,A)
【文献】特開2017-200752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体を移動させるとともに、停止箇所にて当該缶体を停止させる缶体移動手段と、
前記停止箇所に位置する缶体への印刷を行い当該缶体に印刷画像を形成する印刷部と、
前記缶体の移動経路である缶体移動経路を挟み前記印刷部の設置側とは反対側に配置され、前記停止箇所に位置する当該缶体に対して光を照射し又は熱を与え、当該缶体に形成された前記印刷画像を硬化させる硬化手段と、
前記停止箇所に前記缶体が位置しない場合に、前記硬化手段と前記印刷部との間に位置し、当該硬化手段から当該印刷部に向かおうとする光又は熱を遮蔽する遮蔽部と、
を備える印刷装置。
【請求項2】
前記遮蔽部は、前記停止箇所に前記缶体が位置しない場合、前記硬化手段および前記印刷部の一方又は両方の対向箇所に位置し、当該停止箇所に当該缶体が位置する場合、当該対向箇所から外れた箇所に位置する請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記缶体移動手段は、予め定められた中心の周りを前記缶体が移動するように当該缶体を移動させ、
前記硬化手段は、移動する前記缶体が通る前記缶体移動経路よりも前記中心側に配置されている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記遮蔽部は、前記缶体移動経路よりも前記中心側に配置されている請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記缶体移動手段は、予め定められた中心の周りを前記缶体が移動するように当該缶体を移動させ、
前記遮蔽部は、環状に形成され前記中心が位置する箇所を回転中心として回転する環状部材の一部により構成される請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記缶体移動手段は、予め定められた中心の周りを前記缶体が移動するように当該缶体を移動させ、
前記遮蔽部は、環状に形成され前記中心が位置する箇所を回転中心として回転する環状部材の一部により構成され、
前記環状部材には、前記硬化手段から前記缶体に向かう前記熱又は前記光を通すための通過部が設けられ、
前記停止箇所に前記缶体が位置する場合には、前記環状部材の前記通過部が前記硬化手段と当該缶体との間に位置し、当該硬化手段からの光又は熱が当該通過部を通って当該缶体に向かう請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記環状部材に設けられた前記通過部が前記缶体の対向位置に位置する状態を保った状態で、当該環状部材の回転が行われる請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記環状部材の前記通過部には、前記硬化手段から前記缶体に向かう光を通すレンズ及び/又は当該硬化手段からの光を当該缶体に向けて反射する反射部材が設けられている請求項6に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記停止箇所に前記缶体が位置しない場合、前記環状部材の前記通過部は、前記硬化手段と前記印刷部との間から外れた箇所に位置し、
前記硬化手段からの光又は熱が、前記外れた箇所に位置する前記通過部を通って、当該硬化手段が設けられている側とは反対側へ向かうことを規制する規制部が更に設けられている請求項6に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記規制部は、前記環状部材と同軸上に配置された環状の部材の一部により構成されている請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記環状の部材には、前記硬化手段から前記停止箇所に位置する前記缶体に向かう前記熱又は前記光を通すための通過部が設けられている請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記環状部材と、当該環状部材と同軸上に配置された前記環状の部材との間には、間隙が形成され、
前記印刷画像に熱が与えられることにより当該印刷画像から発生する気体が、前記間隙を通って前記印刷装置の外部に排出される請求項10に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理工程を実施する所定数の処理ステーションと、処理動作を実行する搬送装置とを含み、搬送装置によって回転対称な対象物が処理ステーションの所望の定位置に運搬される表面処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
缶体への印刷を行う印刷装置では、缶体への印刷を行う印刷手段、印刷手段により缶体上に形成された画像を硬化させる硬化手段が設けられることがある。
この硬化手段は、光や熱などを用いて画像の硬化を行うが、この光や熱が印刷手段に作用すると、形成される画像の質が低下するおそれがある。
本発明の目的は、缶体に形成される画像を硬化させる硬化手段に起因して、缶体上に形成される画像の質が低下することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される印刷装置は、缶体を移動させるとともに、停止箇所にて当該缶体を停止させる缶体移動手段と、前記停止箇所に位置する缶体への印刷を行い当該缶体に印刷画像を形成する印刷部と、前記缶体の移動経路である缶体移動経路を挟み前記印刷部の設置側とは反対側に配置され、前記停止箇所に位置する当該缶体に対して光を照射し又は熱を与え、当該缶体に形成された前記印刷画像を硬化させる硬化手段と、前記停止箇所に前記缶体が位置しない場合に、前記硬化手段と前記印刷部との間に位置し、当該硬化手段から当該印刷部に向かおうとする光又は熱を遮蔽する遮蔽部と、を備える印刷装置である。
【0006】
ここで、前記遮蔽部は、前記停止箇所に前記缶体が位置しない場合、前記硬化手段および前記印刷部の一方又は両方の対向箇所に位置し、当該停止箇所に当該缶体が位置する場合、当該対向箇所から外れた箇所に位置してもよい。
また、前記缶体移動手段は、予め定められた中心の周りを前記缶体が移動するように当該缶体を移動させ、前記硬化手段は、移動する前記缶体が通る前記缶体移動経路よりも前記中心側に配置されていてもよい。
また、前記遮蔽部は、前記缶体移動経路よりも前記中心側に配置されていてもよい。
また、前記缶体移動手段は、予め定められた中心の周りを前記缶体が移動するように当該缶体を移動させ、前記遮蔽部は、環状に形成され前記中心が位置する箇所を回転中心として回転する環状部材の一部により構成されてもよい。
また、前記缶体移動手段は、予め定められた中心の周りを前記缶体が移動するように当該缶体を移動させ、前記遮蔽部は、環状に形成され前記中心が位置する箇所を回転中心として回転する環状部材の一部により構成され、前記環状部材には、前記硬化手段から前記缶体に向かう前記熱又は前記光を通すための通過部が設けられ、前記停止箇所に前記缶体が位置する場合には、前記環状部材の前記通過部が前記硬化手段と当該缶体との間に位置し、当該硬化手段からの光又は熱が当該通過部を通って当該缶体に向かってもよい。
また、前記環状部材に設けられた前記通過部が前記缶体の対向位置に位置する状態を保った状態で、当該環状部材の回転が行われてもよい。
また、前記環状部材の前記通過部には、前記硬化手段から前記缶体に向かう光を通すレンズ及び/又は当該硬化手段からの光を当該缶体に向けて反射する反射部材が設けられていてもよい。
また、前記停止箇所に前記缶体が位置しない場合、前記環状部材の前記通過部は、前記硬化手段と前記印刷部との間から外れた箇所に位置し、前記硬化手段からの光又は熱が、前記外れた箇所に位置する前記通過部を通って、当該硬化手段が設けられている側とは反対側へ向かうことを規制する規制部が更に設けられていてもよい。
また、前記規制部は、前記環状部材と同軸上に配置された環状の部材の一部により構成されていてもよい。
また、前記環状の部材には、前記硬化手段から前記停止箇所に位置する前記缶体に向かう前記熱又は前記光を通すための通過部が設けられていてもよい。
また、前記環状部材と、当該環状部材と同軸上に配置された前記環状の部材との間には、間隙が形成され、前記印刷画像に熱が与えられることにより当該印刷画像から発生する気体が、前記間隙を通って前記印刷装置の外部に排出されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、缶体に形成される画像を硬化させる硬化手段に起因して、缶体上に形成される画像の質が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1のII-II線における印刷装置の断面図である。
【
図3】缶体の移動時の印刷装置の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、印刷装置1の側面図である。
印刷装置1には、缶体10が供給される缶体供給部510が設けられている。この缶体供給部510では、缶体10を支持する支持部材20に対する缶体10の取り付け(供給)が行われる。
具体的には、支持部材20は円筒状に形成され、筒状の缶体10に対してこの支持部材20が入る形となり、支持部材20に対する缶体10の取り付けが行われる。
【0010】
図2は、
図1のII-II線における印刷装置1の断面図である。なお、
図2では、
図1にて表示されている部材の一部の図示を省略している。
本実施形態では、印刷装置1の背面側に、缶体10を移動させる缶体移動手段の一例としての缶体移動機構100が設けられている。
缶体移動機構100は、予め定められた中心30(以下、単に「中心30」と称する)(
図1参照)の周りを缶体10が移動するように、缶体10を移動させる。また、缶体移動機構100は、複数の停止箇所40(
図1参照)の各々にて缶体10を停止させる。
【0011】
本実施形態では、缶体移動機構100として、
図1、
図2に示すように、中心30を回転中心として回転する円盤状の回転部材110が設けられている。
本実施形態では、
図2に示すように、この回転部材110により、複数の支持部材20(缶体10)が支持されている。
複数設けられた支持部材20(缶体10)は、
図1に示すように、回転部材110の周方向に並んだ状態で配置されている。
【0012】
また、缶体移動機構100には、
図2に示すように、この回転部材110を回転させる第1モータM1が設けられている。
さらに、本実施形態では、
図2に示すように、支持部材20の各々に対応して設けられ、支持部材20(缶体10)を周方向に回転させる第2モータM2が設けられている。
本実施形態では、不図示の制御装置により、第1モータM1の回転制御が行われ、回転部材110が間欠的に回転する。本実施形態では、回転部材110が間欠的に回転することで、缶体10の移動、および、停止箇所40における缶体10の停止が繰り返し行われる。
【0013】
本実施形態では、回転部材110が回転することで、予め定められた環状の経路R(以下、「缶体移動経路R1」と称する場合がある)(
図1参照)に沿って缶体10(支持部材20)が移動する。
言い換えると、本実施形態では、回転部材110が回転することで、中心30の周りを缶体10が移動する。
ここで、本実施形態では、「環状の経路に沿って缶体10が移動する」とは、環状の経路の全周に亘って缶体10が移動するという意味ではなく、環状の経路の一部に沿って缶体10が移動することを意味する。
【0014】
図1を参照し、印刷装置1についてさらに説明する。
本実施形態では、缶体供給部510の下流側に、複数の印刷部120が設けられている。
印刷部120の各々は、停止箇所40の各々に対応して設けられ、停止箇所40に位置する缶体10への印刷を行う。これにより、本実施形態では、缶体10の外周面10Aに印刷画像が形成される。
ここで、本実施形態の印刷部120の各々は、いわゆるインクジェットヘッド11により構成され、インクジェット印刷方式を用い、停止箇所40に位置し周方向への回転を行っている缶体10への印刷画像の形成を行う。
【0015】
なお、本実施形態では、インクジェットヘッド11として、白色のインクを吐出するインクジェットヘッド11W、シアンのインクを吐出するインクジェットヘッド11C、マゼンタのインクを吐出するインクジェットヘッド11M、イエローのインクを吐出するインクジェットヘッド11Y、黒のインクを吐出するインクジェットヘッド11Kが設けられている。
【0016】
ここで、インクジェットヘッド11W~11Kの5つのインクジェットヘッド11は、紫外線硬化型のインクを用いて、缶体10への画像形成を行う。
言い換えると、この5つのインクジェットヘッド11は、紫外線などの光を照射すると硬化する光硬化型のインクを用いて、缶体10への画像形成を行う。
【0017】
ここで、インクジェット印刷方式による画像形成とは、インクジェットヘッド11からインクを吐出させ、缶体10にこのインクを付着させることにより行う画像形成を指す。
インクジェット印刷方式による画像形成では、公知の方式を用いることができる。具体的には、例えば、ピエゾ方式、サーマル(バブル)方式、コンティニュアス方式などを用いることができる。
【0018】
なお、インクジェットヘッド11が吐出するインクの色は、上記の5つの色に限られず、インクジェットヘッド11からは、他の色のインクを吐出してもよい。
また、インクジェットヘッド11からは、有色のインクに限らず、透明のインクを吐出してもよい。
また、本実施形態では、5つのインクジェットヘッド11が設けられている場合を一例に説明するが、インクジェットヘッド11の設置数も特に限定されず、5つ以外の数のインクジェットヘッド11を設けてもよい。
【0019】
さらに、本実施形態では、
図1に示すように、缶体10の形成された印刷画像を硬化させる硬化手段の一例としての複数の光源13が設けられている。
光源13は、複数設けられた停止箇所40の各々に対応して設けられている。また、光源13は、缶体移動経路R1を挟み印刷部120の設置側とは反対側に設けられている。
光源13は、停止箇所40にて停止し且つ周方向への回転を行っている缶体10に対して、光の一例として、紫外線領域の波長の光(以下、「紫外光」と称する場合がある)を出射する。これにより、缶体10の外周面10Aに形成された印刷画像が硬化する。
【0020】
また、本実施形態では、
図1に示すように、光源13の各々からの紫外光を遮蔽する複数の遮蔽部51が設けられている。
後述するように、本実施形態では、停止箇所40に缶体10が位置しない場合に、光源13の対向位置にこの遮蔽部51が位置する。
より具体的には、本実施形態では、停止箇所40に缶体10が位置しない場合、光源13から印刷部120に向かおうとする紫外光が通る経路R2上に、この遮蔽部51が位置する。
これにより、本実施形態では、光源13から出射された光が印刷部120へ達しにくくなる(詳細は後述)。
【0021】
本実施形態では、缶体移動経路R1よりも内側に、第1環状部材50(
図2も参照)が設けられている。この第1環状部材50は、環状(円環状)に形成され、中心30(
図1参照)が位置する箇所を回転中心として回転する。
より具体的には、第1環状部材50は、回転部材110と同軸上に配置され、中心30が位置する箇所を回転中心として回転する。
また、本実施形態では、
図2に示すように、第1環状部材50は、回転部材110に取り付けられ、この回転部材110に連動して回転する。
本実施形態では、複数設けられた遮蔽部51(
図1参照)の各々は、この第1環状部材50の一部により構成されている。
【0022】
さらに、この第1環状部材50には、
図1、
図2に示すように、光源13から、停止箇所40にて停止している缶体10に向かう光が通る通過部52が設けられている。言い換えると、第1環状部材50には、光源13から、停止箇所40にて停止している缶体10に向かう光を通すための通過部52が設けられている。
この通過部52は、
図2に示すように、第1環状部材50の内周面50A側と外周面50B側とを接続する貫通孔50Cにより構成されている。
なお、通過部52は、貫通孔50Cに限らず、切り欠きなどの他の形状で形成してもよい。
【0023】
本実施形態では、
図1に示すように、停止箇所40の各々に缶体10が位置する場合には、第1環状部材50に設けられた通過部52が、光源13と缶体10との間に位置する。これにより、光源13からの光が通過部52を通って缶体10に向かう。
この場合、缶体10に形成された印刷画像に紫外光が照射され、この印刷画像が硬化する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態では、光源13の各々は、缶体移動経路R1よりも中心30側に配置されている。また、本実施形態では、第1環状部材50(遮蔽部51)についても、缶体移動経路R1よりも中心30側に配置されている。
ここで、光源13を、缶体移動経路R1よりも中心30側に配置すると、光源13の削減を図りやすくなる。
【0025】
缶体移動経路R1よりも中心30側に光源13が配置される場合は、例えば、中心30に共通の光源13を設置することで、複数の停止箇所40の各々に対して紫外光を照射することが可能になる。
より具体的には、
図1に示した実施形態では、停止箇所40の数だけ光源13を設けた場合を一例に示しているが、缶体移動経路R1よりも中心30側に光源13が配置される場合は、光源13の共用化を図ることできる。
より具体的には、缶体移動経路R1よりも中心30側に光源13が配置される場合は、停止箇所40の数よりも少ない数の光源13を設置し、この少ない数の光源13で、この停止箇所40の各々に位置する缶体10への紫外光の照射を行える。
【0026】
また、
図1に示すように、本実施形態では、光源13からの紫外光が、通過部52を通って、光源13が設けられている側とは反対側へ向かうことを規制する複数の規制部61が設けられている。
この規制部61は、第1環状部材50と同軸上に配置された第2環状部材60の一部により構成されている。
第2環状部材60は、環状(円環状)に形成されている。また、この第2環状部材60は、回転部材110(
図2参照)には固定されておらず、印刷装置1の本体側に固定されている。
なお、規制部61による紫外光の規制についての詳細は、後述する。
【0027】
図1、
図2に示すように、第2環状部材60にも、光源13から、停止箇所40に停止している缶体10に向かう光が通る通過部62が設けられている。言い換えると、第2環状部材60にも、光源13から、停止箇所40に停止している缶体10に紫外光を向かわせるための通過部62が設けられている。
この通過部62は、第1環状部材50に設けられた通過部52と同様、貫通孔により構成されている。なお、通過部62は、貫通孔に限らず、切り欠きなどにより構成してもよい。
【0028】
さらに、
図1に示すように、本実施形態では、複数設けられた印刷部120の下流側に、支持部材20からの缶体10の取り外しを行う取り外し部780が設けられている。
本実施形態では、この取り外し部780にて、支持部材20からの缶体10の取り外しが行われ、この缶体10が、印刷装置1の外部に排出される。
【0029】
なお、印刷装置1の外部に排出された缶体10は、例えば、この缶体10の外周面10Aへの透明塗料の塗布を行う塗布工程と、透明塗料が塗布されたこの缶体10の加熱を行う加熱工程へと順次搬送される。
缶体10の外周面10Aへの透明塗料の塗布が行われると、缶体10の最外層に、保護層が形成される。また、加熱工程にて缶体10の加熱が行われることで、この保護層が硬化する。
【0030】
図3は、缶体10の移動時の印刷装置1の状態を示した図である。より具体的には、
図3は、停止箇所40にて停止していた缶体10の各々が、1つ下流側に位置するもう1つの停止箇所40に向かって移動している最中の印刷装置1の状態を示した図である。
本実施形態では、第1環状部材50は、回転部材110に取り付けられ、この回転部材110に連動して回転する。これにより、本実施形態では、第1環状部材50は、移動する複数の缶体10と同期して移動する。
この結果、本実施形態では、
図3に示すように、第1環状部材50に設けられた通過部52が缶体10の対向位置に位置する状態を保った状態で、第1環状部材50が回転する。
【0031】
また、缶体10の各々の移動、第1環状部材50の回転が行われると、
図3に示すように、第1環状部材50に設けられた遮蔽部51の各々が、光源13の対向箇所に位置するようになる。
本実施形態では、缶体10の各々が移動すると、
図3に示すように、停止箇所40に缶体10が位置しないようになり、矢印3Aで示すように、光源13からの紫外光が印刷部120に向かおうとする。
【0032】
この際、本実施形態では、光源13の対向箇所に遮蔽部51が位置するようになり、紫外光が遮蔽され、紫外光が印刷部120に達しにくくなる。言い換えると、光源13と印刷部120との間に遮蔽部51が位置するようになり、光源13から印刷部120に向かおうとする紫外光が遮蔽される。
さらに説明すると、本実施形態では、停止箇所40に缶体10が位置しない状態となると、光源13から印刷部120に向かう紫外光が通る経路R2上に遮蔽部51が位置する。
これにより、本実施形態では、紫外光が遮蔽され、紫外光が印刷部120に達しにくくなる。
【0033】
本実施形態では、
図1に示すように、停止箇所40の各々に缶体10が位置する場合、遮蔽部51は、光源13の対向箇所から外れた箇所に位置し、光源13の対向箇所には、通過部52が位置する。これにより、光源13から缶体10への紫外光の照射を行える。
その一方で、本実施形態では、
図3に示すように、停止箇所40に缶体10が位置しない状態となると、光源13の対向箇所に遮蔽部51が位置するようになり、光源13からの紫外光が印刷部120へ向かわないようになる。
【0034】
また、本実施形態では、
図3に示すように、停止箇所40に缶体10が位置しない状態では、符号3Bで示すように、第1環状部材50の通過部52が、光源13と、符号3Cで示す印刷部120との間から外れた箇所に位置する。
この場合、符号3E、3Fで示す光源13からの光が、この外れた箇所に位置する通過部52を通って、この光源13が設けられている側とは反対側へ向かおうとする。
【0035】
これに対して、本実施形態では、この通過部52の対向位置に、第2環状部材60により構成された規制部61(符号3Mで示す規制部61)が位置しており、光源13からの光が、通過部52を通って、光源13が設けられている側とは反対側へ向かうことが規制される。
言い換えると、光源13からの光が、通過部52を通って、第1環状部材50の径方向における外側に向かうことが規制される。
【0036】
なお、本実施形態では、
図1の符号1Mで示すように、第2環状部材60のうち、停止箇所40の対向箇所に位置する箇所には、通過部62が設けられている。
これにより、本実施形態では、光源13から、停止箇所40に位置する缶体10に向かう紫外光が、この第2環状部材60により遮られることは抑制される。
本実施形態では、第2環状部材60には、規制部61が設けられている一方で、通過部62も設けられており、本実施形態では、通過部52を通る紫外光の遮蔽を行いつつ、缶体10への紫外光の照射を行えるようになる。
【0037】
図4は、印刷装置1の他の構成例を示した図である。
上記では、光源13の対向位置に遮蔽部51が位置する構成を説明したが、これに限らず、印刷部120の対向位置に遮蔽部51が位置する構成としてもよい。
この構成例では、缶体移動経路R1よりも外側に、第1環状部材50、第2環状部材60が設けられている。また、この構成例では、上記と同様、第1環状部材50により、遮蔽部51が構成される。
【0038】
この構成例では、缶体10が、停止箇所40から外れた箇所に位置すると、印刷部120の対向位置に遮蔽部51が位置するようになり、印刷部120に対して、光源13からの紫外光が達することが抑制される。
また、この構成例でも、印刷部120と光源13との間から外れた箇所に通過部52が位置する場合には、この通過部52の対向位置に、第2環状部材60により構成された規制部61が位置する。これにより、光源13からの光が、通過部52を通って、光源13が設けられている側とは反対側へ向かうことが規制される。
【0039】
なお、図示は省略するが、缶体移動経路R1の内側および外側の両者に、第1環状部材50を設け、停止箇所40から外れた箇所に缶体10が位置する場合、光源13の対向位置および印刷部120の対向位置の両者に、遮蔽部51が位置するようにしてもよい。
なお、缶体移動経路R1の内側および外側の両者に、第1環状部材50を設ける場合、第2環状部材60については、缶体移動経路R1の内側および外側の両者に設けてもよいし、この内側および外側の一方のみに設けてもよい。
【0040】
なお、より好ましくは、第1環状部材50が缶体移動経路R1の外側のみに設けられる場合は、第2環状部材60は、缶体移動経路R1の外側に設けること好ましい。
また、第1環状部材50が缶体移動経路R1の内側のみに設けられる場合は、第2環状部材60は、缶体移動経路R1の内側に設けること好ましい。
また、その他に、缶体移動経路R1の内側および外側の一方に、第1環状部材50および第2環状部材60のうちの一方の環状部材を設け、缶体移動経路R1の内側および外側の他方に、第1環状部材50および第2環状部材60のうちの他方の環状部材を設けてもよい。
【0041】
図5は、印刷装置1の他の構成例を示した図である。
上記では、缶体移動経路R1の外側に、印刷部120が設けられ、缶体移動経路R1の内側に、光源13が設けられた場合を一例に説明した。
これに限らず、
図5に示すように、缶体移動経路R1の内側に、印刷部120を設け、缶体移動経路R1の外側に、光源13を設けてもよい。
なお、この構成例では、印刷部120の設置数が4となっている。また、この構成例では、缶体供給部510、取り外し部780の位置が、
図1にて示した位置とは異なっている。
さらに、この構成例では、缶体移動経路R1よりも外側に、第1環状部材50、第2環状部材60が設けられている。
【0042】
この構成例でも、上記と同様、停止箇所40に缶体10が位置しない場合、光源13から印刷部120に向かおうとする紫外光が通る経路R2上に遮蔽部51が位置するようになる。
より具体的には、上記と同様、停止箇所40に缶体10が位置しない場合、第1環状部材50の一部により構成された遮蔽部51が、光源13の対向位置に位置するようになる。言い換えると、遮蔽部51が、光源13と印刷部120との間に位置するようになる。
これにより、光源13からの紫外光が印刷部120に達することが抑制される。
【0043】
また、上記と同様、この構成例でも、停止箇所40に缶体10が位置する場合は、光源13の対向位置から外れた箇所に遮蔽部51が位置するようになる。言い換えると、停止箇所40に缶体10が位置する場合、光源13から缶体10に向かう紫外光が通る経路R2上から外れた箇所に遮蔽部51が位置するようになる。言い換えると、停止箇所40に缶体10が位置する場合、光源13と印刷部120との間から外れた箇所に、遮蔽部51が位置するようになる。
これにより、停止箇所40に缶体10が位置する場合、光源13からの紫外光が缶体10に照射される。
【0044】
さらに、この構成例でも、上記と同様、停止箇所40に缶体10が位置しない場合、光源13からの紫外光が、光源13と印刷部120との間から外れた箇所に位置する通過部52を通って、この光源13の設置側とは反対側へ向かおうとする。より具体的には、第1環状部材50の内側へ向かおうとする。
これに対して、この構成例でも、通過部52の対向位置に、第2環状部材60により構成された規制部61が位置するようになり、光源13からの紫外光が、通過部52を通って、光源13の設置側とは反対側へ向かうことが規制される。
また、この構成例でも、第2環状部材60のうち、停止箇所40の対向箇所に位置する箇所には、通過部62が設けられている。これにより、光源13から、停止箇所40に位置する缶体10に向かう紫外光が、第2環状部材60により遮られることは抑制される。
【0045】
なお、
図5にて示す構成例において、第1環状部材50は、缶体移動経路R1の外側に設けるのに限らず、缶体移動経路R1の内側に設け、第1環状部材50の一部により構成される遮蔽部51が、印刷部120の対向位置に配置されるようにしてもよい。
また、第1環状部材50は、缶体移動経路R1の内側および外側の両者に設け、第1環状部材50の一部により構成される遮蔽部51が、光源13の対向位置、印刷部120の対向位置の両者に配置されるようにしてもよい。
なお、缶体移動経路R1の内側および外側の両者に、第1環状部材50を設ける場合、第2環状部材60については、缶体移動経路R1の内側および外側の両者に設けてもよいし、この内側および外側の一方のみに設けてもよい。
【0046】
なお、より好ましくは、上記と同様、第1環状部材50が缶体移動経路R1の外側のみに設けられる場合は、第2環状部材60は、缶体移動経路R1の外側に設けることが好ましい。
また、第1環状部材50が缶体移動経路R1の内側のみに設けられる場合は、第2環状部材60は、缶体移動経路R1の内側に設けることが好ましい。
また、上記と同様、缶体移動経路R1の内側および外側の一方に、第1環状部材50および第2環状部材60のうちの一方の環状部材を設け、缶体移動経路R1の内側および外側の他方に、第1環状部材50および第2環状部材60のうちの他方の環状部材を設けてもよい。
【0047】
(その他)
上記の
図1~
図5にて示した構成例では、硬化手段の一例として、紫外光を出射する光源13を設けた場合を一例に説明したが、硬化手段としては、その他に、熱源を設けてもよい。より具体的には、上記の光源13に替えて、熱源を設けてもよい。
より具体的には、印刷部120では、熱硬化型のインクを用いてもよく、この場合は、硬化手段として、熱源を設けるようにする。
この場合も、
図1~
図5にて示した構成を採用すると、熱源から印刷部120に向かう熱が減じられ、熱に起因して、印刷部120のインクが硬化するなどの不具合が生じにくくなる。
【0048】
また、上記では、印刷部120としてインクジェットヘッド11を設けた場合を一例に説明したが、印刷部120による印刷方式は特に限定されず、印刷部120としては、例えば、版式での印刷を行う印刷機構を設けてもよい。
また、
図1~
図5にて示した構成例では、第2環状部材60の内側に第1環状部材50が設けられた構成を一例に説明したが、第1環状部材50の内側に、第2環状部材60を設けてもよい。
【0049】
また、
図1~
図5にて示した構成例では、第1環状部材50の一部を利用して遮蔽部51を構成したが、これに限らず、光源13や印刷部120の各々の対向位置に、個別に、シャッタ状の遮蔽部51を設けてもよい。
この場合、停止箇所40における缶体10の有無に応じて、このシャッタ状の遮蔽部51を開閉する。
【0050】
また、上記では、1つの第2環状部材60を用いて、複数の規制部61を設ける構成としたが、これに限らず、第1環状部材50に設けられた通過部52の各々に対応させて、個別に、紫外光や熱の移動を規制するための規制部材を設けてもよい。
また、上記では、環状の缶体移動経路R1に沿って缶体10が移動する場合を説明したが、上記にて説明した各構成は、缶体10が直線状に移動する印刷装置1に対して適用することもできる。
【0051】
また、
図1~3、5にて説明した各構成例において、第1環状部材50に設けられた通過部52に、光源13からの光を通すレンズや、光源13からの光を缶体10に向けて反射するミラーなどの反射部材を設けてもよい。
これにより、光源13からの光であって缶体10の外周面10A以外に向かおうとする光を、この外周面10Aに向かわせることができるようになり、レンズやミラーなどを設けない場合に比べ、缶体10に形成された印刷画像の硬化を促進させることができる。
【0052】
図6、
図7は、印刷装置1の他の構成例を示した図である。
図7は、
図6のVII-VII線における断面図を示している。また、
図6では、上記の光源13に替えて、熱源130を設けた場合を例示している。また、
図7では、この熱源130の図示を省略している。
この構成例では、
図6に示すように、第1環状部材50と第2環状部材60との間に、第1環状部材50の周方向に延びる複数の間隙90Gが設けられている。
さらに、この構成例では、間隙90Gの各々に対応して設けられ、間隙90Gが有する2つの開口90Mのうちの一方の開口90Mを塞ぐ塞ぎ部90Nが設けられている。この塞ぎ部90Nは、第1環状部材50により支持されている。
【0053】
さらに、この構成例では、
図7に示すように、第1環状部材50の一方の端部に位置する開口50X、第2環状部材60の一方の端部に位置する開口60Xを塞ぐ円盤状の塞ぎ部材800が設けられている。
この塞ぎ部材800は、第2環状部材60に取り付けられている。また、この塞ぎ部材800には、第2環状部材60の外部の空気をこの第2環状部材60の内部に取り込むための空気取り入れ口800Aが設けられている。
【0054】
さらに、
図6に示すように、回転部材110のうちの、間隙90Gの各々に臨む箇所には、貫通孔97が形成されている。さらに、
図7に示すように、回転部材110を挟み、間隙90G(
図6参照)が設けられている側とは反対側には、貫通孔97(
図6参照)を介して間隙90G内の空気を吸引する吸引機構750が設けられている。
この吸引機構750には、ファン(不図示)と、このファンを収容する筺体751と、筺体751から排出される空気(間隙90Gから吸い出された空気)が通過するフィルタ752とが設けられている。
【0055】
本実施形態のように、熱源130を用いて印刷画像の硬化を行う場合、この印刷画像から、溶剤や水蒸気などの気体が発生し、この気体が、第1環状部材50内や第2環状部材60内に溜まる。
これに対し、本実施形態では、上記の通り、吸引機構750が設けられており、この吸引機構750によって、第1環状部材50内、第2環状部材60内の気体が、貫通孔97を通って、第1環状部材50、第2環状部材60の外部へ排出される。
【0056】
より具体的には、本実施形態では、印刷画像から発生した気体は、
図6の矢印6Xに示すように、各缶体10の対向位置から間隙90G内に入る。そして、この気体は、貫通孔97を通って、第1環状部材50、第2環状部材60の外部へ排出される。言い換えると、本実施形態では、印刷画像に熱が与えられることによりこの印刷画像から発生する気体が、間隙90G、貫通孔97を通って印刷装置1の外部に排出される。
なお、この際、この気体は、吸引機構750に設けられたフィルタ752を通る。
本実施形態のように間隙90Gを設ける場合、間隙90Gを設けずに、第1環状部材50内、第2環状部材60内の気体を排出する場合に比べ、缶体10の表面付近の気体を、より効率的に、第1環状部材50、第2環状部材60の外部へ排出できる。
【0057】
なお、この例では、第2環状部材60の内側に第1環状部材50を設け、この第2環状部材60と第1環状部材50との間に間隙90Gを設けた場合を説明したが、これに限らず、第1環状部材50の内側に第2環状部材60を設けたうえで、この第1環状部材50と第2環状部材60との間に間隙90Gを設けるようにしてもよい。
また、
図4に示したように、缶体移動経路R1の外側に、第1環状部材50、第2環状部材60を設ける場合も、同様に、間隙90Gを形成し、この間隙90Gを通じて、第1環状部材50内や第2環状部材60内の気体を排出してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…印刷装置、10…缶体、13…光源、30…中心、40…停止箇所、50…第1環状部材、51…遮蔽部、52…通過部、60…第2環状部材、61…規制部、62…通過部、90G…間隙、100…缶体移動機構、120…印刷部、R1…缶体移動経路