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特許7470618マスク用通気装置及びスクリーニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】マスク用通気装置及びスクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240411BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 D
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020184430
(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公開番号】P2022074418
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 雄介
(72)【発明者】
【氏名】恒次 創
(72)【発明者】
【氏名】塚本 昌紀
(72)【発明者】
【氏名】高長 晶
(72)【発明者】
【氏名】三澤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 菜緒
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-516298(JP,A)
【文献】特開昭51-54883(JP,A)
【文献】実開昭53-140484(JP,U)
【文献】国際公開第2017/110718(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-115294(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02-18/08
G01K 11/12-11/16
G01K 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面の鼻口部を覆うよう装着されるマスク本体部の左右のいずれか一方の側縁部に配置されるマスク用通気装置であって、
前記側縁部と前記顔面との間に挟まるように取り付ける取付部と、
前記鼻口部側と外部側とにそれぞれ設けられた開口部間に形成される通気路と、
前記通気路内に設けられ前記鼻口部側から前記外部側への排気のみを可能にする排気弁と、
前記排気弁の弁体に設けられ、呼気の温度に対応して色が変化する示温部と、
前記外部側から前記示温部の色変化を視認可能にする視認部と
を備えたことを特徴とするマスク用通気装置。
【請求項2】
顔面の鼻口部を覆うよう装着されるマスク本体部の左右両方の側縁部にそれぞれ配置されるマスク用通気装置であって、
少なくとも一方のマスク用通気装置は、
前記側縁部と前記顔面との間に挟まるように取り付ける取付部と、
前記鼻口部側と外部側とにそれぞれ設けられた開口部間に形成される通気路と、
前記通気路内に設けられ前記鼻口部側から前記外部側への排気のみを可能にする排気弁と、
前記排気弁の弁体に設けられ、呼気の温度に対応して色が変化する示温部と、
前記外部側から前記示温部の色変化を視認可能にする視認部と
を備えたことを特徴とするマスク用通気装置。
【請求項3】
前記示温部及び前記視認部は、両方のマスク用通気装置に設けられることを特徴とする請求項2に記載のマスク用通気装置。
【請求項4】
前記弁体は、無色透明の部材で形成され、
前記示温部は、前記弁体の前記鼻口部側に設けられることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項5】
前記示温部は、前記弁体の前記外部側に設けられることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項6】
前記弁体自体に蓄熱材が含まれ、あるいは前記弁体と前記示温部との間に蓄熱部材を介在させることを特徴とする請求項4又は5に記載のマスク用通気装置。
【請求項7】
前記弁体自体に断熱材が含まれ、あるいは前記弁体と前記示温部との間に断熱部材を介在させることを特徴とする請求項4に記載のマスク用通気装置。
【請求項8】
前記示温部は、前記排気弁の弁体に、サーモクロミック材を含む可逆熱変色層を設けたフィルムが貼り付けられることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項9】
前記示温部は、前記排気弁の弁体に、サーモクロミック材を含む可逆熱変色層を設けてなることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項10】
前記示温部は、複数の示温部が並列配置され、各示温部は、色変化温度が異なることを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項11】
前記示温部は、複数の示温部が並列配置され、各示温部は、色変化温度及び色が異なることを特徴とする請求項1~10のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項12】
外気に触れる部分に、外気温に対応して色が変化する外気示温部を設けたことを特徴とする請求項1~11のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項13】
前記視認部は、前記外部側の開口部を含み、マスク用通気装置本体部の少なくとも前記外部側の開口部が無色透明の部材で形成されていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項14】
前記マスク用通気装置本体部の前記外部側の開口部は、外部に向けて光を拡大するフレネルレンズが形成されていることを特徴とする請求項13に記載のマスク用通気装置。
【請求項15】
前記排気弁の弁体は、着脱可能な樹脂製の可撓性フィルムであることを特徴とする請求項1~14のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項16】
前記マスク本体部の顔面側表面に沿って各マスク用通気装置の間を接続する接続部を備えたことを特徴とする請求項2~15のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項17】
前記接続部の長さの調整を可能にするラッチ構造を有することを特徴とする請求項16に記載のマスク用通気装置。
【請求項18】
前記接続部は、折り曲げ、又は、曲線様の状態を保持することを特徴とする請求項16又は17に記載のマスク用通気装置。
【請求項19】
前記取付部は、クリップ構造であることを特徴とする請求項1~18のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項20】
前記顔面に接触する部位は、立設するフレームの底面であることを特徴とする請求項1~19のいずれか一つに記載のマスク用通気装置。
【請求項21】
顔面の鼻口部を覆うよう装着されるマスク本体部の側縁部に取り付けられ、前記鼻口部側から外部側への通気路内に設けられ、排気のみを可能にする排気弁の弁体に呼気の温度に対応して色が変化する示温部を設けるとともに前記外部側から前記示温部の色変化を視認可能にする視認部が形成されたマスク用通気装置を用いて高熱状態となった入場者をスクリーニングするスクリーニング方法であって、
入場者を入場ゲートまで誘導する誘導通路の入口側に設けられた入口側案内装置が、施設への入場者に前記マスク用通気装置を有したマスクの装着を案内するマスク装着案内ステップと、
前記マスクを装着した入場者を入場ゲート側に誘導する誘導通路において前記マスクの装着状態を一定時間以上、維持して待機させる待機ステップと、
前記誘導通路の入場ゲート側に設けられた入場ゲート側案内装置が、前記入場者が装着した前記マスクの前記示温部における色変化の視認を案内する視認案内ステップと
を含み、前記示温部の色変化の視認によって高熱状態となった入場者をスクリーニングすることを特徴とするスクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク着用による感染防止を図りつつ、体温検査によるスクリーニングを迅速かつ簡易に行うことができるマスク用通気装置及びスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスクは、病菌や埃等が呼吸に伴って体内に入るのを防止し、また口や鼻からの分泌物などを周囲に撒き散らさないようにするものとして広く用いられている。また、近年では花粉症予防にも有効であることから、数多くの製品が提案されている。例えば、不織布等の伸縮性シートを使用して、口もとを覆う覆い部と、この覆い部から後方へ延びる耳掛け部とを一体的に形成したマスク(例えば、特許文献1参照)や、長方形状のマスク本体部の長辺に平行に沿って折りたたんで設けられた折り目を設けることにより、呼吸する空間をマスク本体部と顔面との間に確保するようにしたマスク(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-149945号公報
【文献】特開平11-099216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症が流行すると、テーマパークや店舗の入場時、体温検査によって高熱の可能性のある人物を検知するスクリーニングが行われる場合がある。この体温検査のスクリーニングでは、非接触温度計やサーモカメラが用いられるのが一般的である。なお、施設への入場者は感染防止のため、マスクを着用している。
【0005】
この非接触温度計やサーモカメラを用いたスクリーニングでは、時間と手間がかかり、スクリーニング待ちの入場者が増え、施設入場時に混雑が生じてしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、マスク着用による感染防止を図りつつ、体温検査によるスクリーニングを迅速かつ簡易に行うことができるマスク用通気装置及びスクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、顔面の鼻口部を覆うよう装着されるマスク本体部の左右のいずれか一方の側縁部に配置されるマスク用通気装置であって、前記側縁部と前記顔面との間に挟まるように取り付ける取付部と、前記鼻口部側と外部側とにそれぞれ設けられた開口部間に形成される通気路と、前記通気路内に設けられ前記鼻口部側から前記外部側への排気のみを可能にする排気弁と、前記排気弁の弁体に設けられ、呼気の温度に対応して色が変化する示温部と、前記外部側から前記示温部の色変化を視認可能にする視認部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、顔面の鼻口部を覆うよう装着されるマスク本体部の左右両方の側縁部にそれぞれ配置されるマスク用通気装置であって、少なくとも一方のマスク用通気装置は、前記側縁部と前記顔面との間に挟まるように取り付ける取付部と、前記鼻口部側と外部側とにそれぞれ設けられた開口部間に形成される通気路と、前記通気路内に設けられ前記鼻口部側から前記外部側への排気のみを可能にする排気弁と、前記排気弁の弁体に設けられ、呼気の温度に対応して色が変化する示温部と、前記外部側から前記示温部の色変化を視認可能にする視認部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記示温部及び前記視認部は、両方のマスク用通気装置に設けられることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記弁体は、無色透明の部材で形成され、前記示温部は、前記弁体の前記鼻口部側に設けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記示温部は、前記弁体の前記外部側に設けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記弁体自体に蓄熱材が含まれ、あるいは前記弁体と前記示温部との間に蓄熱部材を介在させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記弁体自体に断熱材が含まれ、あるいは前記弁体と前記示温部との間に断熱部材を介在させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記示温部は、前記排気弁の弁体に、サーモクロミック材を含む可逆熱変色層を設けたフィルムが貼り付けられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記示温部は、前記排気弁の弁体に、サーモクロミック材を含む可逆熱変色層を設けてなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記示温部は、複数の示温部が並列配置され、各示温部は、色変化温度が異なることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記示温部は、複数の示温部が並列配置され、各示温部は、色変化温度及び色が異なることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記の発明において、外気に触れる部分に、外気温に対応して色が変化する外気示温部を設けたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記の発明において、前記視認部は、前記外部側の開口部を含み、マスク用通気装置本体部の少なくとも前記外部側の開口部が無色透明の部材で形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記の発明において、前記マスク用通気装置本体部の前記外部側の開口部は、外部に向けて光を拡大するフレネルレンズが形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上記の発明において、前記排気弁の弁体は、着脱可能な樹脂製の可撓性フィルムであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記の発明において、前記マスク本体部の顔面側表面に沿って各マスク用通気装置の間を接続する接続部を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、上記の発明において、前記接続部の長さの調整を可能にするラッチ構造を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、上記の発明において、前記接続部は、折り曲げ、又は、曲線様の状態を保持することを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、上記の発明において、前記取付部は、クリップ構造であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、上記の発明において、前記顔面に接触する部位は、立設するフレームの底面であることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、顔面の鼻口部を覆うよう装着されるマスク本体部の側縁部に取り付けられ、前記鼻口部側から外部側への通気路内に設けられ、排気のみを可能にする排気弁の弁体に呼気の温度に対応して色が変化する示温部を設けるとともに前記外部側から前記示温部の色変化を視認可能にする視認部が形成されたマスク用通気装置を用いて高熱状態となった入場者をスクリーニングするスクリーニング方法であって、入場者を入場ゲートまで誘導する誘導通路の入口側に設けられた入口側案内装置が、施設への入場者に前記マスク用通気装置を有したマスクの装着を案内するマスク装着案内ステップと、前記マスクを装着した入場者を入場ゲート側に誘導する誘導通路において前記マスクの装着状態を一定時間以上、維持して待機させる待機ステップと、前記誘導通路の入場ゲート側に設けられた入場ゲート側案内装置が、前記入場者が装着した前記マスクの前記示温部における色変化の視認を案内する視認案内ステップとを含み、前記示温部の色変化の視認によって高熱状態となった入場者をスクリーニングすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、マスク着用による感染防止を図りつつ、体温検査によるスクリーニングを迅速かつ簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るマスク用通気装置をマスクに取り付けて人に装着した状態を示す図である。
図2図2は、マスク用通気装置をマスクに装着した状態をマスクの前面からみた斜視図である。
図3図3は、マスク用通気装置をマスクに取り付け、人から外した後の状態をマスクの後面から見た斜視図である。
図4図4は、マスクに装着する前のマスク用通気装置の構成を示す正面図である。
図5図5は、図4に示したマスク用通気装置の平面図である。
図6図6は、図4に示したマスク用通気装置の裏面図である。
図7図7は、図4に示したマスク用通気装置を裏面側右斜め後方からみた斜視図である。
図8図8は、図4に示したマスク用通気装置の左側面図である。
図9図9は、通気ユニットの分解斜視図である。
図10図10は、図8に示した通気ユニットのA-A線断面図である。
図11図11は、通気ユニットを裏面側からみた斜視図である
図12図12は、変形例1による示温部の一例を示す図である。
図13図13は、変形例3による通気ユニットのA-A線断面図である。
図14図14は、マスク用通気装置を用いた体温検査のスクリーニング方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係るマスク用通気装置及びスクリーニング方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
<概要>
まず、マスク用通気装置10の概要について説明する。ここで例示するマスク1は、家庭用マスクなどの衛生マスクであり、使い捨てが可能なプリーツ型マスクである。図1は、本発明の実施の形態に係るマスク用通気装置10をマスク1に取り付けて人100に装着した状態を示す図である。また、図2は、マスク用通気装置10をマスク1に装着した状態をマスク1の前面からみた斜視図である。さらに、図3は、マスク用通気装置10をマスク1に取り付け、人100から外した後の状態をマスク1の後面から見た斜視図である。
【0032】
図1図3に示すように、マスク1は、人100の顔面101の鼻口部102を覆うように装着される。マスク1は、マスク本体部2と耳掛け部3とを有する。マスク本体部2は、内部に不織布などのフィルタを内在している。耳掛け部3は、マスク本体部2の左右の側縁部2a,2bの上下端に取り付けられた紐部材であり、この紐部材が両耳に掛かることによって、マスク本体部2による鼻口部102の覆いを保持する。マスク1は、上記のように、プリーツ型マスクであり、マスク本体部2の前面がプリーツ状になっており、プリーツを上下に広げて人100に装着することでマスク本体部2と鼻口部102との間の空間が生まれ、呼吸が楽になるとともに、マスク1を装着したまま会話してもずれにくい。
【0033】
マスク用通気装置10は、マスク本体部2の左右両方の側縁部2a,2bにそれぞれ配置される通気ユニット11a,11bと、通気ユニット11a,11bとの間を接続する接続部12とを有する。接続部12は、マスク本体部2の後面、すなわち顔面側表面に沿って各通気ユニット11a,11bを接続する。後述するように、通気ユニット11a,11bは、単体としてもマスク用通気装置として機能するが、ここでは、接続部12を介して接続された2つの通気ユニット11a,11bを有したマスク用通気装置10について説明する。
【0034】
通気ユニット11a,11bの上下側面には、取付部21がそれぞれ設けられる。取付部21は、通気ユニット11a,11bの本体部20が側縁部2a,2bと顔面101との間に挟まるように取り付ける。取付部21は、本体部20の上下側面に沿って延びる棒状部材のクリップであり、本体部20の上下側面との間に側縁部2a,2bを挟む。本体部20を覆い、本体部20の上下側面において取付部21に挟まれた側縁部2a,2bは、本体部20の上下位置において取付部21と顔面101との間に挟まれる。すなわち、取付部21は、クリップ機能を有する。図1図3では、各通気ユニット11a,11bの上下に2つ設けられているが、さらに3つ以上、上下方向に設けてもよい。この複数の取付部21により、側縁部2a,2bはジグザグにクリップされ、通気ユニット11a,11bがマスク本体部2から滑り落ちるのを防止することができる。なお、本体部20の前面表面には、取付部22が設けられ、この取付部22との間に側縁部2a,2bを挟んでクリップすることによって、さらに通気ユニット11a,11bがマスク本体部2からの滑り落ちを防止するともに、側縁部2a,2bと本体部20の前面表面との間の隙間を小さくすることができる。
【0035】
なお、各通気ユニット11a,11b内には、鼻口部102側と外部側とにそれぞれ設けられた開口部間に形成される通気路が形成されるとともに、この通気路内に設けられ鼻口部102側から外部側への排気のみを可能にする排気弁40が設けられる。
【0036】
また、排気弁40の弁体の鼻口部102側には、呼気の温度に対応して色が変化する示温部50が設けられる。弁体は、着脱可能な樹脂製の可撓性フィルムであり、示温部50は、例えば、サーモクロミック材を含む可逆熱変色層を設けたフィルムが弁体に貼り付けられる。サーモクロミック材は、メタモカラー(登録商標)が挙げられ、0.5℃の温度差で色変化が可能であり、体温検査に好適である。なお、示温部50は、サーモクロミック材を含む可逆熱変色層を弁体の表面に塗布等の手段により設けてもよい。
【0037】
上記のサーモクロミック材としては、Ag2HgI4やCu2HgI4等の無機材料、液晶、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体との三成分を含む加熱消色型のサーモクロミック材、或いは、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体との三成分を含む加熱発色型のサーモクロミック材が挙げられる。
【0038】
ここで、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体を含むサーモクロミック材について説明する。サーモクロミック材は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた有色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(可逆熱変色性顔料)が挙げられる。
【0039】
上記の可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=0.5~7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を適用できる。
【0040】
上記の可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル化する方法としては、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
【0041】
ここで、前記マイクロカプセル内に非熱変色性の染料や顔料を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈する構成となすこともできる。
【0042】
上記のサーモクロミック材は、水及び/又は有機溶剤と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散してスクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷等に用いられる印刷インキ、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料として利用でき、前記フィルムや弁体に塗工して可逆熱変色層を設けることができる。さらに、サーモクロミック材と成形用樹脂とを混合して成形することにより、示温部を備えた弁体としてもよい。
【0043】
さらに、本体部20には、外部側から示温部50の色変化を視認可能にする視認部28が形成されている。視認部28は、本体部20の開口部31側であり、透明部材で形成されている。なお、視認部28は、後述する外部への排気のための開口部31を含む。
【0044】
<詳細構成>
図4は、マスク1に装着する前のマスク用通気装置10の構成を示す正面図である。図5は、図4に示したマスク用通気装置10の平面図である。図6は、図4に示したマスク用通気装置10の裏面図である。また、図7は、図4に示したマスク用通気装置10を裏面側右斜め後方からみた斜視図である。図8は、図4に示したマスク用通気装置10の左側面図である。また、図9は、通気ユニット11aの分解斜視図である。さらに、図10は、図8に示した通気ユニット11aのA-A線断面図である。
【0045】
図4図10に示すように、通気ユニット11a,11bは、接続部12によって接続される。接続部12は、例えば、可撓性の結束バンドであり、両端は、各通気ユニット11a,11bのラッチ構造27によってラッチされる。ラッチ構造27は、下部本体部20bに係合されるカバー20aの上面(+Z方向)に形成された挿通孔25に形成された線状突起26である。接続部12には、この線状突起26に係合する線状溝が連続的に形成されている。したがって、接続部12の長さは、所望の長さに調整し、保持することができる。挿通孔25は、下部本体部20bに形成された挿通孔24に連通して1つの挿通孔を形成する。接続部12は、挿通孔24,25に挿通されることになる。なお、図5に示すように、カバー20aの上面は、X方向に向かってZ方向の高さが減少するように傾斜しており、接続部12の先端部の突出が長くなる場合、先端部は挿通孔25からの突出が許容される。
【0046】
この接続部12を用いて各通気ユニット11a,11bを接続することにより、各通気ユニット11a,11bのマスク本体部2への取付を確実に行うことができるとともに、通気ユニット11a,11bの位置ずれを防止することができる。
【0047】
さらに、各通気ユニット11a,11bを接続する接続部12は、マスク本体部2と顔面101の間に空間を確保するように折り曲げ、または曲線様の状態を保持し、鼻口部102から通気ユニット11a,11bへの排気の流れを、マスク本体部2が妨げることを防止する。
【0048】
なお、図9に示すように、通気ユニット11a(11b)は、下部本体部20bにカバー20aを+X方向側から結合させることによって形成される。
【0049】
下部本体部20bには、X方向に向かって低くなる傾斜板が形成されている。この傾斜板には、通気機構としての排気弁40が形成される。傾斜板には、開口41が形成され、この開口41を上部(+Z方向)から閉成可能な弁体42が配置される。弁体42の一端は、取付部43によって固定される。
【0050】
弁体42は、例えば、0.1mm程度のポリプロピレンやポリエステルなど、ある程度剛性の有る可撓性材料で形成されたシートである。なお、弁体42は、無色透明の部材である。また、弁体42の一端は、取付部43によって固定せず、着脱自在となるように、両面テープで貼り付けるようにしてもよい。なお、弁体42が着脱自在である場合、弁体42を交換すればよいが、取付部43によって固定している場合、通気ユニット11a,11bの全体の洗浄(水洗い)が可能であるため、同時に弁体42を洗浄することができる。
【0051】
各通気ユニット11a,11bは、鼻口部102側(-X方向側)の開口部30と、外部側(+X方向側)の開口部31との間に通気路L1が形成される。排気弁40の開口は、この通気路L1内に設けられる。排気弁40は、鼻口部102側から外部側への排気のみを可能にする。
【0052】
すなわち、呼気を吐き出すことによってマスク本体部2と顔面101との間の内圧が高くなると、マスク本体部2内に対流が発生し、図10に示すように、弁体42は撓んだ弁体42´となり、排気弁40が開となり、矢印のように、通気路L1を介して排気される。その後、内圧が低くなると、弁体42は、開口41を閉成し、通気路L1が遮断される。
【0053】
この排気弁40の開による排気によって、マスク本体部2と顔面101との間の空間には空気の流れが生じる。このとき、連続的な呼吸によってマスク本体部2内には蒸れによる水滴が生じており、水滴の表面を空気が流れることで生じる気化熱によって顔面温度が低下する。この顔面101の温度低下によって人の暑さ対策(熱中症対策)が講じられることになる。また、メガネをかけている場合、マスク上部からの排気量が抑えられることにより、メガネの曇りも抑えることができる。
【0054】
上記のように、弁体42の鼻口部102側には、示温部50であるサーモクロミック材を含む可逆熱変色層を設けたフィルムが貼り付けられる。示温部50は、弁体42が開口して呼気が流れ、呼気の温度が37.5℃になると色が変化する。示温部50の色が変化すると、マスク1を装着している人100は高熱状態であることがわかる。したがって、人100の体温検査のスクリーニングを行う検査者は、マスク1を装着した状態で、開口部31側から示温部50の色を視認して人100が高熱状態であるか否かを判断することができる。なお、弁体42が無色透明な部材で形成されない場合、示温部50は弁体42の開口部31側に設けられる。
【0055】
ここで、開口部31は狭いため、示温部50の色を見やすくするため、本体部20の開口部31側に、樹脂などの無色透明の部材からなる視認部28が形成される。この視認部28は、開口部31が含まれる。この視認部28を形成することにより、マスク用通気装置10がマスク本体部2に装着された状態でも、示温部50の色を外部から容易に視認することができる。
【0056】
なお、本体部20全体を視認部28と機能させてもよい。すなわち、本体部20全体を無色透明の部材で形成するようにしてもよい。
【0057】
また、呼気は、示温部50に到達するまでに温度が低くなる場合がある。この場合、示温部50の色変化温度を所定温度分、低いものを用いるようにしてもよい。
【0058】
なお、図8に示すように、取付部21の底面は、本体部20の底面Sに対してマスク本体部2の厚みd分、浮かせている。これにより、マスク本体部2に通気ユニット11a,11bを取り付けた場合であっても、本体部20の底面Sとマスク本体部2の顔面101側の面とが、ほぼ面一となり、マスクの防菌や防塵などのフィルタ機能を損なわないようにしている。
【0059】
図11は、通気ユニット11aを裏面側からみた斜視図である。図11に示すように、通気ユニット11a(11b)の底面Sは、コの字状で顔面101に接し、顔面101への接触面積が小さくなるようにしている。すなわち、顔面101に接触する部位は、Z方向に立設するフレームの底面Sのみである。これによって、通気ユニット11a,11bの装着時に違和感を与えず、しかも、顔面101が通気路L1の一部を形成するため、通気ユニット11a,11bの装着部分である顔面101に対する通気による温度低下を促進することができる。
【0060】
本実施の形態では、マスク1を着用して感染防止を図りつつ、示温部50の色変化を視認するのみで人の体温検査を行うことができるので、体温検査によるスクリーニングを迅速かつ簡易に行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態では、排気弁40を用いた簡易な構造で暑さ対策を行うことができる。さらに、使い捨てが可能なマスクであっても、マスクごとに繰り返し使用可能である。また、クリップ構造によりマスク本体部2への着脱が容易である。
【0062】
<変形例1>
上記の実施の形態では、示温部50は同一の色変化温度をもつものであったが、本変形例1の示温部50では、異なる色変化温度をもつ示温部が並列配置している。図12は、変形例1による示温部50の一例を示す図である。図12に示すように、示温部50は、複数の示温部51~53が外部側に向けて並列配置される。各示温部51~53は異なる色変化温度をもつ。例えば、示温部51は、35.5℃の色変化温度をもつ。示温部52は、36.5℃の色変化温度をもつ。また、示温部53は、実施の形態の示温部50と同様に、37.5℃の色変化温度をもつ。したがって、変形例1では、色変化温度が段階的となり、各示温部51~53の色変化の状態を視認するのみで、人体の体温を概略推定できる。また、気温の変化による体温変化に対応することができ、高熱である危険性を視覚的に示すことができる。
【0063】
なお、異なる色変化温度をもつ示温部51~53を人体の体温に応じて段階的に複数設けておくと、体温検査のスクリーニングを行う直前にマスク1を装着し、示温部50の色変化が生じる前に検査する誤検査を防止することができる。すなわち、実施の形態による1つの示温部50のみを用いる場合、マスク装着直後であって示温部50の色変化が生じない場合、体温が高熱状態であっても、正常であると判断されてしまう。これに対し、変形例1では、1つの示温部51~53の色が変化していることを前提として体温検査を行うことによって誤検査を防止できる。
【0064】
<変形例2>
上記の変形例1では、示温部51~53が異なる色変化温度をもつ示温部が並列配置するものであったが、本変形例2の示温部は、異なる色変化温度と色とをもつサーモクロミック材が混合されてなる。例えば、示温部51~53は、35.5℃、36.5℃、37.5℃の各色変化温度とそれぞれ色が異なるサーモクロミック材を含む。したがって、変形例2では、示温部51~53の色変化温度と視認される色とが段階的となり、示温部51~53の色変化の状態を視認するのみで、人体の体温を概略推定できる。また、気温の変化による体温変化に対応することができ、高熱である危険性を視覚的に示すことができる。なお、図示はしていないが、示温部51~53は、顔面に接触する部位(立設するフレームの底面など)に設けることもできる。
【0065】
<変形例3>
図13は、変形例3による通気ユニットのA-A線断面図である。図13に示すように、本変形例3では、弁体42と示温部50との間に、例えばフィルム状の蓄熱部材55を配置している。これにより、呼気の熱が蓄熱部材55に吸収され、緩やかに放熱されることにより、示温部50の保温性を高めることができる。なお、蓄熱部材55を設けず、弁体42自体に蓄熱材を含めるようにしてもよい。また、蓄熱部材55を弁体42の鼻口部102側に設ける場合、弁体42及び蓄熱部材55は無色透明の部材である。一方、蓄熱部材55を弁体42の外部側に設ける場合、弁体42及び蓄熱部材55は無色透明の部材に限らない。
【0066】
<変形例4>
変形例3では、弁体42と、鼻口部102側に設けた示温部50との間に蓄熱部材55を配置していたが、変形例4は、蓄熱部材55に替えて断熱部材を配置している。断熱部材は、呼気の熱が弁体42側に伝熱するのを防ぐので示温部50の保温性を高めることができる。なお、この断熱部材も無色透明の部材である。
【0067】
<変形例5>
図13に示すように、本変形例5では、視認部28の外部側の表面を、外部に向けて光を拡大するフレネルレンズ28aを形成するようにしている。このフレネルレンズ28aを形成することによって、示温部50を視認できる立体角を広げることができるため、示温部50を視認しやすくなる。なお、開口部31の開口を維持しつつ、開口部31を覆う板状部材を配置し、この板状部材上の全面にフレネルレンズ23aを形成するようにしてもよい。
【0068】
<変形例6>
また、外気に触れる部分(例えば視認部28)に、外気温によって色変化する外気示温部を設けるようにしてもよい。これにより、外気温が、示温部50の色変化温度よりも高い外気温であった場合など、示温部50の色変化が呼気よるものなのか、外気によるものなのかの判断が難しい場面などであっても、外気示温部の温度を参照して、示温部50の色変化が呼気によるものなのか否かを容易に視認することができる。
【0069】
<変形例7>
上記の実施の形態及び変形例において、マスク本体部2の左右両方の側縁部2a,2bにそれぞれマスク用通気装置10を設ける場合、示温部50及び視認部28は、いずれか一方のマスク用通気装置10のみに設けるようにしてもよい。
【0070】
<応用例>
図14は、マスク用通気装置10を用いた体温検査のスクリーニング方法を説明する説明図である。図14では、スクリーニング施設への入場者に対し、マスク用通気装置10を用いた体温検査により高熱状態となった入場者110のスクリーニングを行う場合を示している。図14に示すように、まず、施設への入場者110を入場ゲートまで誘導する誘導通路140の入口側に設けられた入口側案内装置120が、入場者110にマスク用通気装置10を有したマスク1の装着を案内する(ステップS1)。ここで、入口側案内装置120は、表示部121とマスク配置部122とを有する。表示部121は、例えば、「このマスクをお取りください」とするメッセージを表示し、入場者110に対してマスク1の装着を案内する。マスク配置部122には、マスク1が多数配置され、検査者111は、入場者110に対してマスク1を配布する。
【0071】
その後、マスク1を装着した入場者110は誘導通路140を通って入場ゲート115側に進むが、この誘導通路140において入場者110は、マスク1の装着状態を一定時間以上、維持して待機させられる(ステップS2)。この一定時間は、示温部50の色が変化する時間である。
【0072】
その後、誘導通路140の入場ゲート115側に設けられた入場ゲート側案内装置130が、入場者110が装着したマスク1の示温部50における色変化の視認を案内する(ステップS3)。ここで、入場ゲート側案内装置130は、表示部131を有し、表示部131は、例えば、「係員にマスクを見せてください」とするメッセージを表示する。これにより、入場者110は、検査者112にマスク1を渡し、あるいは、マスク1を装着した状態で、検査者112による示温部50の色変化の視認(検温)が行われる。検査者112は、この視認結果に基づいて高温状態の入場者110をスクリーニングして検査者113による詳細検査を受けさせ、高温状態でない入場者110を入場ゲート115から施設に入場させる。
【0073】
本スクリーニング法では、スクリーニング後、マスク1を外してもよいが、感染防止の観点から、入場後もマスク1を着用していることが好ましい。マスク1の着用によって感染防止が図れるとともに、視認部28を介して示温部50の視認を入場後も常に行うことができる。
【0074】
なお、示温部50の色変化は、色の変化前後を視認しやすくするため、非熱変色性の染料や顔料を配合して、有色(1)から有色(2)へ変化することが好ましい。
【0075】
また、上記の実施の形態及び変形例1~3では、マスク用通気装置が取り付けられるマスクを、使い捨てが可能なプリーツ型マスクに適用して説明したが、これに限らず、平型マスクや立体型マスクにも適用することができる。また、マスクの材質は任意であり、ガーゼタイプであっても、不織布タイプであってもよい。
【0076】
なお、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係るマスク用通気装置及びスクリーニング方法は、マスク着用による感染防止を図りつつ、体温検査によるスクリーニングを迅速かつ簡易に行う場合に有効である。
【符号の説明】
【0078】
1 マスク
2 マスク本体部
2a,2b 側縁部
3 耳掛け部
10 マスク用通気装置
11a,11b 通気ユニット
12 接続部
20 本体部
20a カバー
20b 下部本体部
21,22,43 取付部
24,25 挿通孔
26 線状突起
27 ラッチ構造
28 視認部
28a フレネルレンズ
30,31 開口部
40 排気弁
41 開口
42 弁体
50~53 示温部
55 蓄熱部材
100 人
101 顔面
102 鼻口部
110 入場者
111~113 検査者
115 入場ゲート
120 入口側案内装置
121,131 表示部
122 マスク配置部
130 入場ゲート側案内装置
140 誘導通路
L1 通気路
S 底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14