IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 未来工業株式会社の特許一覧

特許7470623支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造
<>
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図1
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図2
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図3
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図4
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図5
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図6
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図7
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図8
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図9
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図10
  • 特許-支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/00 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A01G25/00 501B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020191107
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022080115
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】加納 一啓
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165693(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0205647(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
A01G 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が土壌に差し込まれて前記土壌に立設される棒状の支柱と、前記支柱の立設を補助する補助部材とを備える、支柱装置であって、
前記支柱には、前記土壌への差し込み長さを規制するよう、外方に張り出した差し込み規制部が設けられ、
前記補助部材は、前記支柱と斜めに交差する平面上にあって互いに平行に延びて前記土壌に斜めに打ち込まれる二つの杭部と、それら杭部を基端側で繋ぐ連接部とを備え、
前記差し込み規制部には、上下に貫通して、前記杭部が通る貫通孔が、前記支柱の両側に一つずつ計二つ設けられ、かつ、
前記二つの貫通孔は、前記支柱を横切る直線上に並ぶように位置する、または、前記支柱を横切る直線から、斜めに傾く前記杭部の下部側がある横方向にずれた直線上に並ぶように位置する、支柱装置。
【請求項2】
前記貫通孔の孔縁における前記横方向の側とその反対側との両方と、前記杭部との当接により、前記支柱に対する前記杭部の最大傾斜角度が定まり、
前記支柱における前記横方向の側とは反対側の面と前記連接部との当接により、前記支柱に対する前記杭部の最小傾斜角度が定まる、請求項1に記載の支柱装置。
【請求項3】
前記最大傾斜角度は、前記貫通孔の孔縁における、前記横方向の側の下端部分と前記横方向の側とは反対側の上端部分に、前記杭部が当接することで定まり、前記杭部が前記下端部分と前記上端部分の少なくとも一方と離れることで、前記支柱に対する前記杭部の傾斜角度が、前記最大傾斜角度未満となる、請求項2に記載の支柱装置。
【請求項4】
一端側が土壌に差し込まれて前記土壌に立設された棒状の支柱が、その支柱に外方に張り出すようにして設けられた差し込み規制部により、前記土壌へのそれ以上の差し込みが規制されており、
前記土壌に打ち込まれる杭部と、前記土壌の上方で前記支柱に当接する支柱当接部とを備える補助部材における、前記杭部が、前記差し込み規制部に設けられた上下に貫通する貫通孔を通って前記土壌に斜めに打ち込まれており、
前記杭部が、前記貫通孔の孔縁における、斜めに傾く前記杭部の下部側がある横方向の側とその反対側との両方に当接し、前記支柱当接部が、前記支柱における前記横方向の側とは反対側の面に当接して、前記支柱に対する前記杭部の角度が維持されている、支柱の立設構造。
【請求項5】
水位の変動に伴って上下動するフロートと、そのフロートが所定高さに移動したことを検知する検知部とを備える、水位検知部材が、圃場に配置され、
前記検知部が、前記圃場の土壌に一端側が差し込まれて前記土壌に立設された支柱に固定されており、
前記支柱は、その支柱に外方に張り出すようにして設けられた差し込み規制部により、前記土壌へのそれ以上の差し込みが規制されており、
前記土壌に打ち込まれる杭部と、前記土壌の上方で前記支柱に当接する支柱当接部とを備える補助部材における、前記杭部が、前記差し込み規制部に設けられた上下に貫通する貫通孔を通って前記土壌に斜めに打ち込まれており、
前記杭部が、前記貫通孔の孔縁における、斜めに傾く前記杭部の下部側がある横方向の側とその反対側との両方に当接し、前記支柱当接部が、前記支柱における前記横方向の側とは反対側の面に当接して、前記支柱に対する前記杭部の角度が維持されている、水位検知部材の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支柱の抜け出しが防止される、支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水田等の圃場に、水位計ユニットが配置されることがあった(例えば、特許文献1参照)。図11に示すように、この水位計ユニット23は、フロート24と、そのフロート24の上昇を検知する検知部としての水位計本体25とを備えていた。そして、水位計本体25は、圃場の土壌21に打ち込まれる固定杭22に、水位計本体25に設けられた固定ねじ25aを押し付けることで、その高さを維持していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-165693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の水位計ユニット23においては、フロート24の浮き上がりに追従して、水位計本体25とともに固定杭22(支柱)が上に移動したり、フロート24や水位計本体25が風にあおられることで固定杭22に抜け出し方向の力がかかったりして、固定杭22が土壌21から抜け出てしまう虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、土壌に差し込んだ支柱が抜け出し方向に移動するのを防ぐことができる、支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る支柱装置は、一端側が土壌に差し込まれて前記土壌に立設される棒状の支柱と、前記支柱の立設を補助する補助部材とを備える。ここで、前記支柱には、前記土壌への差し込み長さを規制するよう、外方に張り出した差し込み規制部が設けられる。前記補助部材は、前記支柱と斜めに交差する平面上にあって互いに平行に延びて前記土壌に斜めに打ち込まれる二つの杭部と、それら杭部を基端側で繋ぐ連接部とを備える。そして、前記差し込み規制部には、上下に貫通して、前記杭部が通る貫通孔が、前記支柱の両側に一つずつ計二つ設けられる。さらに、前記二つの貫通孔は、前記支柱を横切る直線上に並ぶように位置する、または、前記支柱を横切る直線から、斜めに傾く前記杭部の下部側がある横方向にずれた直線上に並ぶように位置する。
【0007】
この支柱装置によると、支柱を土壌に立設するよう支柱の一端側を差し込むと、その支柱に設けられた差し込み規制部により差し込み長さが規制される。このため、支柱を土壌に差し込むにあたって、容易に支柱の土壌への差し込み長さ、さらには、支柱の土壌からの突出長さを所定の長さとすることができる。そして、支柱を土壌に差し込んだ後に、補助部材の杭部を、差し込み規制部に設けられた貫通孔を通して土壌に斜めに打ち込む。この斜めに傾く杭部により、支柱を支持して支柱の土壌からの抜け出しを防止することができる。また、この杭部が二つ設けられ、それら杭部が、差し込み規制部における支柱の両側にある貫通孔を通る。このため、それら杭部が、支柱の両側に配置されて、支柱が安定し、支柱の抜け出しが的確に防止される。さらに、補助部材は、二つの杭部を基端側で繋ぐ連接部を備えており、この連接部を打つことで、杭部を容易に土壌に打ち込むことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る支柱装置は、請求項1に記載の支柱装置において、前記貫通孔の孔縁における前記横方向の側とその反対側との両方と、前記杭部との当接により、前記支柱に対する前記杭部の最大傾斜角度が定まる。そして、前記支柱における前記横方向の側とは反対側の面と前記連接部との当接により、前記支柱に対する前記杭部の最小傾斜角度が定まる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る支柱装置は、請求項2に記載の支柱装置において、前記最大傾斜角度は、前記貫通孔の孔縁における、前記横方向の側の下端部分と前記横方向の側とは反対側の上端部分に、前記杭部が当接することで定まり、前記杭部が前記下端部分と前記上端部分の少なくとも一方と離れることで、前記支柱に対する前記杭部の傾斜角度が、前記最大傾斜角度未満となる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る支柱の立設構造は、一端側が土壌に差し込まれて前記土壌に立設された棒状の支柱が、その支柱に外方に張り出すようにして設けられた差し込み規制部により、前記土壌へのそれ以上の差し込みが規制されている。そして、前記土壌に打ち込まれる杭部と、前記土壌の上方で前記支柱に当接する支柱当接部とを備える補助部材における、前記杭部が、前記差し込み規制部に設けられた上下に貫通する貫通孔を通って前記土壌に斜めに打ち込まれている。このとき、前記杭部が、前記貫通孔の孔縁における、斜めに傾く前記杭部の下部側がある横方向の側とその反対側との両方に当接し、前記支柱当接部が、前記支柱における前記横方向の側とは反対側の面に当接して、前記支柱に対する前記杭部の角度が維持されている。
【0011】
この支柱の立設構造によると、差し込み規制部により、土壌に一端側が差し込まれた支柱のそれ以上の差し込みが規制されている。そして、補助部材の杭部が、差し込み規制部に設けられた貫通孔を通って土壌に斜めに打ち込まれている。この斜めに傾く杭部により、支柱を支持してその支柱の土壌からの抜け出しを防止することができる。そして、杭部が、貫通孔の孔縁における、斜めに傾く前記杭部の下部側がある横方向の側とその反対側との両方に当接し、支柱当接部が、支柱における前記横方向の側とは反対側の面に当接することで、支柱に対する杭部の角度を的確に維持することができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明に係る水位検知部材の設置構造は、水位の変動に伴って上下動するフロートと、そのフロートが所定高さに移動したことを検知する検知部とを備える、水位検知部材が、圃場に配置される。ここで、前記検知部が、前記圃場の土壌に一端側が差し込まれて前記土壌に立設された支柱に固定されている。前記支柱は、その支柱に外方に張り出すようにして設けられた差し込み規制部により、前記土壌へのそれ以上の差し込みが規制されている。そして、前記土壌に打ち込まれる杭部と、前記土壌の上方で前記支柱に当接する支柱当接部とを備える補助部材における、前記杭部が、前記差し込み規制部に設けられた上下に貫通する貫通孔を通って前記土壌に斜めに打ち込まれている。このとき、前記杭部が、前記貫通孔の孔縁における、斜めに傾く前記杭部の下部側がある横方向の側とその反対側との両方に当接し、前記支柱当接部が、前記支柱における前記横方向の側とは反対側の面に当接して、前記支柱に対する前記杭部の角度が維持されている。
【0013】
この水位検知部材の設置構造によると、差し込み規制部により、土壌に一端側が差し込まれた支柱のそれ以上の差し込みが規制されている。そして、補助部材の杭部が、差し込み規制部に設けられた貫通孔を通って土壌に斜めに打ち込まれている。この斜めに傾く杭部により、支柱を支持してその支柱の土壌からの抜け出しを防止することができる。ここで、支柱には、水位検知部材の検知部が固定され、その検知部の土壌からの高さを維持することができる。そして、杭部が、貫通孔の孔縁における、斜めに傾く前記杭部の下部側がある横方向の側とその反対側との両方に当接し、支柱当接部が、支柱における前記横方向の側とは反対側の面に当接することで、支柱に対する杭部の角度を的確に維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造によれば、差し込み規制部に設けられた貫通孔を通るようにして、杭部を土壌に斜めに打ち込むことで、土壌に差し込んだ支柱が抜け出し方向に移動するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施の形態の、支柱の立設構造(支柱装置)の斜視図である。
図2】同じく、支柱の立設構造(支柱装置)の正面図である。
図3】同じく、支柱の立設構造(支柱装置)の平面図である。
図4】同じく、図3におけるA-A線による要部拡大断面図である。
図5】同じく、差し込み規制部付きの支柱の斜視図である。
図6】同じく、補助部材の斜視図である。
図7】同じく、水位検知部材の設置構造の斜視図である。
図8】同じく、水位検知部材の設置構造の正面図である。
図9】この発明の一実施の形態の変形例の、図3相当図である。
図10】この発明の一実施の形態の他の変形例の、補助部材の斜視図である。
図11】従来の水位計ユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係る支柱装置、支柱の立設構造、および水位検知部材の設置構造を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1図8は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、例えば水田等の圃場の土壌を示す。2は、支柱装置を示す。7は、支柱の立設構造を示す。11は、水位検知部材の設置構造を示す。
【0018】
支柱装置2は、一端側が土壌1に差し込まれて土壌1に立設される棒状の支柱3と、支柱3の立設を補助する補助部材4とを備える(図1図4参照)。ここで、支柱3には、土壌1への差し込み長さを規制するよう、外方に張り出した(すなわち、外方に広がって突き出た)差し込み規制部5が設けられている(図5参照)。補助部材4は、土壌1に斜めに打ち込まれる杭部4aを備える(図6参照)。そこで、差し込み規制部5には、上下に貫通して、前記杭部4aが通る貫通孔5aが設けられている。
【0019】
詳細には、補助部材4は、二つの杭部4a、4aと、それら二つの杭部4a、4aを基端側で繋ぐ連接部4bとを備え、二つの杭部4a、4aは、支柱3と斜めに交差する平面上にあって互いに平行に延びて土壌1に斜めに打ち込まれる。一方、差し込み規制部5には、上下に貫通して、前記杭部4a、4aが通る貫通孔5a、5aが、支柱3の両側(好ましくは、図3で示されるように支柱3を挟む両側)に一つずつ計二つ設けられる。そして、二つの貫通孔5a、5aは、支柱3を横切る直線上に並ぶように位置する。
【0020】
そこで、貫通孔5aの孔縁における、斜めに傾く杭部4aの下部側がある横方向6の側とその反対側との両方と、杭部4aとの当接により、支柱3に対する杭部4aの最大傾斜角度が定まる(図4参照)。そして、支柱3における前記横方向6の側とは反対側の面3xと前記連接部4bとの当接により、支柱3に対する杭部4aの最小傾斜角度が定まる(図4参照)。詳しくは、前記最大傾斜角度は、貫通孔5aの孔縁における、前記横方向6の側の下端部分5bと前記横方向6の側とは反対側の上端部分5cに、杭部4aが当接することで定まり、杭部4aが、前記下端部分5bと前記上端部分5cの少なくとも一方と離れることで、支柱3に対する杭部4aの傾斜角度が、前記最大傾斜角度未満となる。
【0021】
支柱3の立設構造7においては、図1および図2に示すように、一端側が土壌1に差し込まれて土壌1に立設された棒状の支柱3が、その支柱3に外方に張り出すように(すなわち、外方に広がって突き出るように)設けられた差し込み規制部5により、土壌1へのそれ以上の差し込みが規制されている。そして、土壌1に打ち込まれる杭部4aと、土壌1の上方で支柱3に当接する支柱当接部4c(図示実施の形態においては、前記連接部4b)とを備える補助部材4における、杭部4a、4aが、差し込み規制部5に設けられた上下に貫通する貫通孔5a、5aを通って土壌1に斜めに打ち込まれている。そこで、杭部4aが、貫通孔5aの孔縁における、斜めに傾く杭部4aの下部側がある横方向6の側とその反対側との両方に当接し、支柱当接部4cが、支柱3における前記横方向6の側とは反対側の面3xに当接して、支柱3に対する杭部4aの角度が維持されている。
【0022】
また、図中符号8は、水位検知部材を示し、この水位検知部材8は、水位の変動に伴って上下動するフロート9と、そのフロート9が所定の高さに移動したことを検知する検知部10とを備える(図7図8参照)。そして、この水位検知部材8の設置構造11においては、図7および図8に示すように、水位検知部材8が、圃場に配置され、前記検知部10が、圃場の土壌1に一端側が差し込まれて土壌1に立設された支柱3に固定されている。そこで、支柱3は、その支柱3に設けられた差し込み規制部5により、土壌1へのそれ以上の差し込みが規制されており、補助部材4の杭部4a、4aが、差し込み規制部5に設けられた貫通孔5a、5aを通って土壌1に斜めに打ち込まれている。そして、この水位検知部材8の設置構造11においても、前記支柱3の立設構造7と同様に、杭部4aが、貫通孔5aの孔縁における、前記横方向6の側とその反対側との両方に当接し、支柱当接部4cが、支柱3における前記横方向6の側とは反対側の面3xに当接して、支柱3に対する杭部4aの角度が維持されている。
【0023】
具体的には、支柱3は、棒(詳しくは、丸棒)からなり、直線状に延びて、下端が尖るように形成されている。そして、支柱3には、差し込み規制部5からの離間量を示す目盛り3aが付されている。
【0024】
差し込み規制部5は、支柱3の中間位置に固定されており、その差し込み規制部5が土壌1に当たることで、支柱3の、土壌1への差し込み長さが規制され、土壌1へのそれ以上の差し込みが規制される。この差し込み規制部5は、土壌面(土壌1の表面)に沿い易いように外方に張り出した(すなわち、外方に広がって突き出た)平板からなり、支柱3と直交するように配置されている。この差し込み規制部5は、矩形形状、詳しくは、長方形形状をしている。そして、支柱3は、差し込み規制部5(図示実施の形態においては、差し込み規制部5の中央部分)を貫通しており、差し込み規制部5は、支柱3に溶接等により固定されている。
【0025】
この差し込み規制部5に設けられる二つの貫通孔5a、5aは、差し込み規制部5の長手方向に並ぶようにあけられ、これら二つの貫通孔5a、5aは、支柱3を中心として対称位置する。そして、貫通孔5aは、差し込み規制部5に対し、上下方向にまっすぐ貫通し、それら孔の径は、杭部4aの径よりも若干大きくなっている。そこで、前述したように、杭部4aの最大傾斜角度は、貫通孔5aの孔縁における、前記横方向6の側の下端部分5bと前記横方向6の側とは反対側の上端部分5cに、杭部4aが当接することで定まる。
【0026】
補助部材4は、二つの杭部4a、4aとそれら杭部4a、4aを繋ぐ連接部4bとでコ字状をなしている。また、この補助部材4は、一本の棒(詳しくは、丸棒)がコ字状に折り曲げられて形成され、両先端となる杭部4a、4aの先端が尖るように形成されている。そして、図示実施の形態においては、二つの杭部4a、4aは、貫通孔5a、5aを通って土壌1に斜めに打ち込まれたとき、支柱3を含む鉛直面に対し、対称位置する。
【0027】
水位検知部材8は、前述したように、フロート9と検知部10とを備える。フロート9は、圃場内の水面に浮き、その水位の変動に伴って(つまり、追従して)上下動する。検知部10は、検知部10自身を支柱3に固定するための固定手段10aを備える。この固定手段10aは、検知部10にあけられた固定孔10bと、その固定孔10bの内周面から外面に通ずるねじ孔(図示せず)と、そのねじ孔にねじ込まれて支柱3を押圧する固定ねじ10cとを備える。そこで、固定孔10bを通るようにして土壌1に差し込まれた支柱3を、固定ねじ10cで押圧することで、検知部10は、支柱3に固定され、ひいては圃場の土壌1に固定される。なお、図示実施の形態においては、支柱3は、フロート9に設けられた通孔9aを通って土壌1に差し込まれる。
【0028】
また、検知部10は、案内筒部10dを備える。一方、フロート9は、前記案内筒部10dが相対的に上下に移動可能に挿入される被案内孔9bを備える。そこで、フロート9は、被案内孔9bに挿入された案内筒部10dに案内されることで、検知部10に対し上下に移動する。そして、検知部10は、フロート9の上下動に対応して横方に動く検知体(図示せず)を備えている。また、検知部10は、作動指示体12とケーブル13で繋がっており、そのケーブル13内のインナーワイヤーの各端部が、それぞれ、検知部10内の前記検知体と、作動指示体12に設けられた出没体12aとに接続されている。そこで、前記検知体の移動(つまりは、フロート9の上下動)に伴って、出没体12aが、作動指示体12から出入りする方向に移動する。そして、作動指示体12は、例えば、圃場への給水路を開閉する弁装置に取り付けられて、フロート9が所定高さに移動すると、検知部10内の検知体、ケーブル13、作動指示体12に設けられた出没体12aを介して、弁装置内の弁体が、前記給水路を閉じるように作動する。
【0029】
次に、以上の構成からなる支柱装置2、支柱3の立設構造7、および水位検知部材8の設置構造11の作用効果について説明する。支柱装置2によると、支柱3を土壌1に立設するよう支柱3の一端側を差し込むと、その支柱3に設けられた差し込み規制部5により差し込み長さが規制される。このため、支柱3を土壌1に差し込むにあたって、容易に支柱3の土壌1への差し込み長さ、さらには、支柱3の土壌1からの突出長さを所定の長さとすることができる。そして、支柱3を土壌1に差し込んだ後に、補助部材4の杭部4aを、差し込み規制部5に設けられた貫通孔5aを通して土壌1に斜めに打ち込む。この斜めに傾く杭部4aにより、支柱3を支持して支柱3の土壌1からの抜け出しを防止することができる。すなわち、差し込み規制部5に設けられた貫通孔5aを通るようにして、杭部4aを土壌1に斜めに打ち込むことで、土壌1に差し込んだ支柱3が抜け出し方向に移動するのを防ぐことができる。
【0030】
また、この杭部4aが二つ設けられ、それら杭部4a、4aが、差し込み規制部5における支柱3の両側にある貫通孔5a、5aを通る。このため、それら杭部4a、4aが、支柱3の両側に配置されて、支柱3が安定し、支柱3の抜け出しが的確に防止される。さらに、補助部材4は、支柱当接部4c(図示実施の形態においては、連接部4b)を備えており、この支柱当接部4c(連接部4b)を打つことで、杭部4aを容易に土壌1に打ち込むことができる。
【0031】
支柱3の立設構造7とか、水位検知部材8の設置構造11によると、差し込み規制部5により、土壌1に一端側が差し込まれた支柱3のそれ以上の差し込みが規制されている。そして、補助部材4の杭部4a、4aが、差し込み規制部5に設けられた貫通孔5a、5aを通って土壌1に斜めに打ち込まれている。この斜めに傾く杭部4aにより、支柱3を支持してその支柱3の土壌1からの抜け出しを防止することができる。すなわち、差し込み規制部5に設けられた貫通孔5aを通るようにして、杭部4aを土壌1に斜めに打ち込むことで、土壌1に差し込んだ支柱3が抜け出し方向に移動するのを防ぐことができる。また、杭部4aが、貫通孔5aの孔縁における、斜めに傾く杭部4aの下部側がある横方向6の側とその反対側との両方に当接し、支柱当接部4c(図示実施の形態においては、連接部4b)が、支柱3における前記横方向6の側とは反対側の面3xに当接することで、支柱3に対する杭部4aの角度を的確に維持することができる。
【0032】
また、水位検知部材8の設置構造11においては、支柱3には、水位検知部材8の検知部10が固定され、その検知部10の土壌1からの高さを維持することができる。すなわち、フロート9の上下動により支柱3が揺動して抜け出したり、波等によるフロート9の突き上げで支柱3が引き上げられたり抜け出したりするのを防止して、検知部10の上下方向の位置を安定させることができ、これによって、フロート9が所定高さに到達したことが正確にわかる。
【0033】
また、支柱3には、差し込み規制部5からの離間量を示す目盛り3aが付されていることから、この目盛り3aに合わせて、支柱3に被固定物となる検知部10を固定することで、土壌1からの検知部10(被固定物)の高さを所定の高さとすることができる。
【0034】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、土壌1への杭部4aの打ち込みは、杭部4aと貫通孔5aとで定まる前述の最大傾斜角度で打ち込まなくても、それよりも小さい角度で打ち込んでもよい。すなわち、最大傾斜角度以下の範囲の打ち込みやすい角度で打ち込むことができる。そして、特に、圃場が水田のようにその土壌1が柔らかい場合は、打ち込みの途中で、打ち込みの角度を変更することが可能である。また、この杭部4aを土壌1へ打ち込むにあたって、連接部4bが支柱3に当接するまで打ち込まなくとも、当接する前に止めてもよい。
【0035】
また、差し込み規制部5における二つの貫通孔5a、5aは、支柱3を中心として対称位置するが、対称位置することなく、支柱3からの距離が異なっていてもよい。また、これら二つの貫通孔5a、5aは、図9に示すように、支柱3を横切る直線から、斜めに傾く杭部4aの下部側がある横方向6にずれた直線上に並ぶように位置してもよい。そして、この場合にも、二つの貫通孔5a、5aは、支柱3からの距離が同じであっても、異なっていてもよい。
【0036】
また、貫通孔5aは、差し込み規制部5に対し、上下方向にまっすぐ貫通していなくても、斜めに貫通していてもよい。また、二つの貫通孔5a、5aは、独立した別々の孔となっていなくても、互いに連通して繋がった孔であってもよい。
【0037】
また、補助部材4における連接部4bは、直線状に延びていなくても、例えば図10に示すように、曲がっていてもよい。
【0038】
また、貫通孔5aは、一つでもよいし、三つ以上であってもよい。
【0039】
また、補助部材4は、コ字状に限られるものでなく、例えばL字状をなして、一つの杭部4aと、その杭部4aの上端に折れ曲がり形成された屈曲部とを備え、その屈曲部が支柱当接部4cを構成するものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 土壌
2 支柱装置
3 支柱
3x 反対側の面
4 補助部材
4a 杭部
4b 連接部
4c 支柱当接部
5 差し込み規制部
5a 貫通孔
5b 下端部分
5c 上端部分
6 横方向
7 支柱の立設構造
8 水位検知部材
9 フロート
10 検知部
11 水位検知部材の設置構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11