(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ポリウレタン発泡体系
(51)【国際特許分類】
C08G 18/48 20060101AFI20240411BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240411BHJP
C08G 18/18 20060101ALI20240411BHJP
C08G 18/50 20060101ALI20240411BHJP
B60R 13/08 20060101ALI20240411BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
C08G18/48 004
C08G18/00 H
C08G18/48 041
C08G18/18
C08G18/50 021
B60R13/08
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2020521896
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 US2018056265
(87)【国際公開番号】W WO2019094158
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-05
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【氏名又は名称】田村 恭子
(72)【発明者】
【氏名】オズワルド、カーチャ
(72)【発明者】
【氏名】バーチ、エイドリアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】グラッシーニ、ステファーノ カルロ イー.
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540179(JP,A)
【文献】特開2009-108035(JP,A)
【文献】特表2012-519749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物であって、
(I)有機イソシアネートと、
(II)以下の混合物であって、
(a)混合物の重量に対して5重量パーセント~30重量パーセントの少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、
(b)混合物の重量に対して60重量パーセント~85重量パーセントの少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールであって、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールに存在するエチレンオキシド含有量が、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールの重量に対して19重量パーセント~30重量パーセントである、少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、
(c)混合物の重量に対して0.3重量パーセント~2.0重量パーセントの少なくとも1つの反応性発泡触媒、
(d)混合物の重量に対して0.2重量パーセント~1.2重量パーセントの少なくとも1つの界面活性剤、および
(e)混合物の重量に対して5重量パーセント~8重量パーセントの水の混合物と、を含
み、
前記組成物中の成分のいずれも前記組成物から分離せず、前記組成物が6ヶ月以上の貯蔵安定性を維持するように、前記組成物は非配合物分離性であり、前記組成物は、24時間後に5パーセントの最大収縮、および30g/cm
3
未満の密度を有する連続気泡非収縮発泡体を提供し、前記組成物は、VDA 278(2011)に従う、100μg/g未満のVOCおよび250μg/g未満のFOGの放出量削減をもたらすものである、ポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物。
【請求項2】
前記自己触媒性ポリオールは、アミン開始自己触媒性ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンポリオールである、請求項1に記載の発泡体形成組成物。
【請求項3】
前記エチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールは、ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンポリオールである、請求項1に記載の発泡体形成組成物。
【請求項4】
前記反応性発泡触媒は、>90%のN-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]-N-メチル-1,3-プロパンジアミンである、請求項1に記載の発泡体形成組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤は、有機変性ポリシロキサン界面活性剤である、請求項1に記載の発泡体形成組成物。
【請求項6】
発泡体形成反応混合物組成物を作製するためのプロセスであって、
(I)有機イソシアネートと、
(II)以下の混合物であって、
(a)混合物の重量に対して5重量パーセント~30重量パーセントの少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、
(b)混合物の重量に対して60重量パーセント~85重量パーセントの少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールであって、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールに存在するエチレンオキシド含有量が、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールの重量に対して19重量パーセント~30重量パーセントである、少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、
(c)混合物の重量に対して0.3重量パーセント~2.0重量パーセントの少なくとも1つの反応性発泡触媒、
(d)混合物の重量に対して0.2重量パーセント~1.2重量パーセントの少なくとも1つの界面活性剤、および
(e)混合物の重量に対して5重量パーセント~8重量パーセントの水の混合物と、を混合することを含
み、
前記組成物中の成分のいずれも前記組成物から分離せず、前記組成物が6ヶ月以上の貯蔵安定性を維持するように、前記組成物は非配合物分離性であり、前記組成物は、24時間後に5パーセントの最大収縮、および30g/cm
3
未満の密度を有する連続気泡非収縮発泡体を提供し、前記組成物は、VDA 278(2011)に従う、100μg/g未満のVOCおよび250μg/g未満のFOGの放出量削減をもたらすものである、プロセス。
【請求項7】
ポリウレタン発泡体物品であって、
(I)有機イソシアネートと、
(II)以下の混合物であって、
(a)混合物の重量に対して5重量パーセント~30重量パーセントの少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、
(b)混合物の重量に対して60重量パーセント~85重量パーセントの少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールであって、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールに存在するエチレンオキシド含有量が、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールの重量に対して19重量パーセント~30重量パーセントである、少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、
(c)混合物の重量に対して0.3重量パーセント~2.0重量パーセントの少なくとも1つの反応性発泡触媒、
(d)混合物の重量に対して0.2重量パーセント~1.2重量パーセントの少なくとも1つの界面活性剤、および
(e)混合物の重量に対して5重量パーセント~8重量パーセントの水の混合物と、の反応生成物を含
み、
前記反応生成物形成組成物中の成分のいずれも前記組成物から分離せず、前記組成物が6ヶ月以上の貯蔵安定性を維持するように、前記組成物は非配合物分離性であり、前記組成物は、24時間後に5パーセントの最大収縮、および30g/cm
3
未満の密度を有する連続気泡非収縮発泡体を提供し、前記組成物は、VDA 278(2011)に従う、100μg/g未満のVOCおよび250μg/g未満のFOGの放出量削減をもたらすものである、発泡体物品。
【請求項8】
前記ポリウレタン発泡体物品は、15kg/m
3~50kg/m
3の自由膨張密度(free rise density)を有する、請求項
7に記載の発泡体物品。
【請求項9】
空洞閉塞吸音自動車用内部物品を含む、請求項
7に記載の発泡体物品。
【請求項10】
軟質ポリウレタン発泡体を製造するためのプロセスであって、
(1)
(I)有機イソシアネートと、
(II)以下の混合物であって、
(a)混合物の重量に対して5重量パーセント~30重量パーセントの少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、
(b)混合物の重量に対して60重量パーセント~85重量パーセントの少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールであって、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールに存在するエチレンオキシド含有量が、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールの重量に対して19重量パーセント~30重量パーセントである、少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、
(c)混合物の重量に対して0.3重量パーセント~2.0重量パーセントの少なくとも1つの反応性発泡触媒、
(d)混合物の重量に対して0.2重量パーセント~1.2重量パーセントの少なくとも1つの界面活性剤、および
(e)混合物の重量に対して5重量パーセント~8重量パーセントの水の混合物と、を混合する工程であって、反応性発泡体形成組成物が形成され
、前記組成物中の成分のいずれも前記組成物から分離せず、前記組成物が6ヶ月以上の貯蔵安定性を維持するように、前記組成物は非配合物分離性であり、前記組成物は、24時間後に5パーセントの最大収縮、および30g/cm
3
未満の密度を有する連続気泡非収縮発泡体を提供し、前記組成物は、VDA 278(2011)に従う、100μg/g未満のVOCおよび250μg/g未満のFOGの放出量削減をもたらすものである、工程と、
(2)工程(1)からの前記得られる反応性発泡体形成組成物を、前記反応性発泡体組成物を硬化させるのに十分な条件に供して、軟質ポリウレタン発泡体を形成する工程と、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月10日に出願された米国仮出願第62/584,164号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、低放出ポリウレタン発泡体系およびそのような系から発泡体を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軟質ポリウレタン発泡体は、よく知られている商品であり、緩衝材、座席、寝具、家具、運搬内装、カーペット下敷き、梱包用途などの幅広い商業用途向けの軟質ポリウレタン発泡体を生成するための様々なポリウレタン発泡体系が知られている。一般に、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、および/または他の添加剤の反応混合物を使用して、発泡体形成ポリウレタン反応混合物組成物を調製するが、これを軟質ポリウレタン発泡体の生成に使用することができる。しかし、ポリウレタン発泡体の調製に使用されるイソシアネート化合物およびヒドロキシル化合物の組成上の特徴には、非常に大きなばらつきがあり、イソシアネート化合物のイソシアネート基がヒドロキシル化合物のヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成すると、多数のポリウレタン発泡体構造および性能プロファイルをもたらす可能性がある。硬質発泡体、軟質発泡体、および音響用低密度発泡体は、業界で生成される発泡体の種類のいくつかの例である。
【0004】
いくつかの発泡体系では、系で使用される化合物の濃度がわずかに変化しても、異なる構造を有し、性能が異なる発泡体系をもたらす場合がある。他の発泡体系では、発泡体系で使用される特定の成分の変化が、所望の用途に適切に機能する場合もしない場合もある異なる発泡体製品をもたらす場合もある。したがって、すべての発泡体系化合物または発泡体系化合物の用量が同様に機能して、実行可能な発泡体系を提供する、または特定の種類の用途に適した特性を有する発泡体製品を提供するわけではない。
【0005】
例えば、EP2039713B1は、アミン開始自己触媒ポリオールで作製された発泡体を開示している。場合によっては、異なる自己触媒性ポリオールをある自己触媒性ポリオールで置き換えると、発泡体系の性能が変化する場合がある。驚くべきことに、すべての自己触媒性ポリオールが同様に機能して、実行可能な発泡体系を提供する、または適切な特性を有する発泡体製品を提供するわけではないことが見出された。
【0006】
2017年1月23日にGrassiniらによって出願された「Flexible Polyurethane Foam and Process to Make」という表題の米国仮特許出願第62/449234号(代理人整理番号80240)は、広範囲のイソシアネート指数にわたって圧縮永久ひずみがほとんど変化しない弾性ポリウレタン発泡体製品を開示している。上記特許出願は、低放出発泡体製品を製造するために、発泡体系中のRZETA(商標)(Tosoh Corporationから入手可能な1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-メタノール)などのアミン系ウレタンゲル化触媒と組み合わせた自己触媒性ポリオールの使用をさらに開示している。
【0007】
上記の既知の発泡体系の使用で直面するいくつかの欠点としては、例えば、発泡体がVDA 278(2011)放出試験に合格するように放出量削減をなおも維持するが、そのような従来の既知の系から作製された得られる発泡体製品は、高速反応性、良好な流動性、および十分なポリオール系の安定性などの有利な加工特性を示さないことが挙げられる。さらに、発泡体系において低放出触媒を使用して「速泡性/反重力ポリウレタン発泡体」を調製することは、他の用途で使用される他のポリウレタン発泡体系と比較して、そのような系で使用する必要がある総触媒量が多いため困難である。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様は、VDA 278(2011)放出試験に合格する放出量削減をなおも有するが、有利に、高速反応であり、良好な流動性を有し、かつ貯蔵安定性であるポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物または系を対象とする。一実施形態では、本発明の反応性混合物組成物は、(I)有機イソシアネートと、(II)(a)少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、(b)少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、(c)少なくとも1つの反応性発泡触媒、(d)少なくとも1つの界面活性剤、および(e)水の混合物とを含む。
【0009】
本発明の別の態様は、上記のポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物を作製するためのプロセスを対象とする。一実施形態では、ポリウレタン発泡体形成組成物または系は、(1)速泡性/反重力、(2)非配合物分離性、および(3)VDA 278(2011)放出試験に従う低放出などの有利な加工特性を示す。
【0010】
本発明のまた別の態様は、上記のポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物から調製されたポリウレタン発泡体を対象とする。一実施形態では、ポリウレタン発泡体形成組成物は、車両の空洞を充填するのに有用であり、得られる発泡体の収縮が、発泡体の発熱が冷却した後に車両内で生じないような自己開放である、軟質発泡体を提供する。
【0011】
本発明のポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物の利益の1つは、従来の高速反応ポリウレタン発泡体形成反応混合物に使用され、必要とされる反応性ゲル化触媒および一級アミンジオールを使用する必要なく、その不在下で、高品質の発泡体形成反応組成物およびそれからの発泡体製品を製造することができることである。本発明の発泡体形成反応性組成物は、驚くべきことに、上記の特性および性能のすべてを示す。上記の特性の組み合わせは、特定の所定の高EOキャップされたポリオールおよび特定の所定の自己触媒性ポリオールを特定の所定の反応性発泡触媒と組み合わせて使用して、本発明の発泡体形成反応性組成物を実現する本発明まで、これまで不可能であった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、様々な用途にある特定のセットの十分な加工性特性を示す軟質ポリウレタン発泡体を製造するためのポリウレタン発泡体系を提供する。例えば、発泡体系の所望の発泡体特性または性能には、(1)高速反応性、(2)高反応性の反重力発泡体形成組成物として考慮されるのに十分な十分に高い速泡性、(3)良好な流動性、(4)低放出、および(5)貯蔵相安定性ポリオール配合を含み得る。本発明の一実施形態では、成分の特定の選択、組み合わせ、および用量を使用して、上記の有益な特性および/または性能を示し、空洞閉塞軟質ポリウレタン発泡体を提供するポリウレタン発泡体系を形成する。一般に、発泡体系は、典型的には、VOC上限目標の(<)100μg/g未満およびFOG上限目標の<250μg/gを含むVDA 278(2011)放出試験に適合するように、放出量を削減する必要がある。本発明の発泡体は、上記の目標を有益に満たす。
【0013】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体を調製する際に、A側材料およびB側材料が一緒に反応し、A側材料には、少なくとも1つのイソシアネート含有材料(本明細書では成分(I))が含まれ、B側材料には、少なくとも1つのポリオール含有材料、通常は少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つの界面活性剤、および水のブレンド(本明細書では成分(II))が含まれる。1つの広範な実施形態では、本発明は、(I)有機イソシアネートおよび他の任意の添加剤(A側材料)と、(II)(a)少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、(b)少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、(c)少なくとも1つの反応性発泡触媒、(d)少なくとも1つの界面活性剤、および(e)水(B側材料)の混合物、ならびに他の任意の添加剤とを含む、ポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物を含む。別の広範な実施形態では、本発明は、上記のポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物から調製されたポリウレタン発泡体を含む。
【0014】
例示的な一実施形態では、本発明のポリウレタン発泡体系は、(I)有機イソシアネートと、(II)(a)約1重量パーセント(wt%)~約50重量%の自己触媒性ポリオール、(b)約30重量%~約95重量%のエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、(c)約0.2重量%~約2.5重量%の1つ以上の)反応性発泡触媒、(d)約0.1重量%~約2.5重量%の界面活性剤、および(e)約4重量%~約9重量%の水の混合物とを含む、ポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物を含む。
【0015】
本発明の発泡体形成組成物およびプロセスで使用するのに好適な有機イソシアネート、成分(a)は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、および芳香族のイソシアネートのような、ポリウレタン発泡体を調製するための当該技術分野で既知の有機イソシアネートのいずれかを含む。一実施形態では、コスト、入手可能性、および製品ポリウレタンに付与される性質に基づいて、芳香族ポリイソシアネートが一般的に好ましい。本発明に有用な例示的なポリイソシアネートとしては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の種々の異性体、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素添加MDI(H12MDI)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリ-イソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートまたはそれらのMDIとの混合物(ポリマーMDI)、水素添加ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート、および4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートが挙げられる。好ましい一実施形態では、本発明の発泡体形成組成物に使用され得るポリイソシアネートには、MDIおよびMDIの誘導体、例えば、ビウレット変性「液体」MDI生成物およびポリマーMDI、ならびにTDIの2,4-および2,6-異性体の混合物が挙げられ得る。
【0016】
別の好ましい実施形態では、ポリイソシアネートは、SPECFLEX(商標)NE 474などのポリマーMDI、またはTDI異性体が混合物の60重量%~90重量%を構成し、2,4-TDI異性体がTDI異性体の少なくとも70重量%を構成する、TDI異性体のMDIとの混合物、例えば、VORANATE(商標)TM-20である。上記のVORANATE(商標)製品は、The Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0017】
一実施形態では、有機ポリイソシアネートまたはその混合物は、一般に、1分子当たり平均1.8以上のイソシアネート基を有することができる。別の実施形態では、イソシアネート官能価は、約1.9~約4、また別の実施形態では約1.9~約3.5、さらに別の実施形態では約1.9~約2.9であり得る。
【0018】
別の好ましい実施形態では、本発明の軟質発泡体形成ポリウレタン組成物に有用な有機イソシアネートは、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートおよび2,6-トルエンジイソシアネートの混合物;2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物;またはそれらの混合物であり得る。
【0019】
本発明の軟質発泡体形成ポリウレタン組成物に使用することができるポリイソシアネートの量は、一般に、一実施形態では、70~125のイソシアネート指数を提供するのに十分な量であり得る。別の実施形態では、イソシアネート指数の範囲は75~110であってもよく、また別の実施形態では、イソシアネート指数の範囲は80~105であってもよい。「イソシアネート指数」は、本明細書において、配合物中のイソシアネート基とイソシアネート反応性基との比の100倍の値を意味する。
【0020】
発泡体形成ポリウレタン組成物の成分(II)(B側材料とも呼ばれる)は、例えば、いくつかのポリオール化合物を含む成分のブレンドまたは混合物である。一般的な実施形態では、B側材料は、(a)少なくとも1つの自己触媒性ポリオールおよび(b)少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールを含むポリオールブレンドと、(c)少なくとも1つの反応性発泡触媒、(d)少なくとも1つの界面活性剤、および(e)水を含む他の添加剤(本明細書において以下で詳細に説明する)とを含む。
【0021】
本発明の利益の1つは、室温(約25℃)で貯蔵した場合に、非分離性の相安定性ポリオール配合物が提供されることである。本発明の配合物は、長時間にわたっていかなる相分離も受けない。相が分離する系は、相が分離した系が分離後に使用された場合(これは欠陥のある発泡体製品をもたらす可能性がある)、指数問題を引き起こすため、ポリオール系の安定性または貯蔵安定性は利点である。例えば、自動車産業では、取り扱いの観点から、高品質の発泡体形成組成物は貯蔵安定性組成物である。貯蔵安定性組成物を使用することにより、エンドユーザは後混合をする必要がなく、貯蔵安定性組成物は、輸送容器から直接使用することができる。
【0022】
本発明に有用なポリオール含有混合物は、自己触媒性ポリオール化合物、例えば、米国特許第8,957,123号、同第7,361,695号、同第6,762,274号、同第6,924,321号、およびWO2015/153316A1(これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるものを含み得る。一実施形態では、自己触媒性ポリオール化合物は、1~約8、好ましくは約2~約8、より好ましくは約2~約6の官能価、および約15~約200のヒドロキシル価を有する、少なくとも1つの三級アミン基を含有するポリオールである。本発明で使用され得る脂肪族または芳香族アミン系ポリエーテルポリオールには、1つ以上のアルキレンオキシドと反応させた脂肪族または芳香族アミンから作製されたものが含まれる。
【0023】
一実施形態では、本発明のプロセスに有用な自己触媒性ポリオールは、約2~約8の範囲の官能価および約15~約200の範囲のヒドロキシル価を有する自己触媒性ポリオール化合物であり、上記自己触媒性ポリオール化合物は、少なくとも1つの三級アミン基を含み、上記自己触媒性ポリオールは、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、2,2’-ジアミノ-N-メチルジエチルアミン、2,3-ジアミノ-N-メチル-エチル-プロピルアミンまたはそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの開始剤分子のアルコキシル化によって得られる、アミン開始ポリオールである。
【0024】
別の実施形態では、本発明のプロセスに有用な自己触媒性ポリオールは、下記式の開始剤に基づく自己触媒性ポリオール化合物であり、
式(I):
Hm A-(CH2)n -N(R)-(CH2)p -AHm 式(I)
式(I)において、nおよびpは、独立して、2~6の整数であり、各出現時のAは、独立して、酸素、窒素、または水素であるが、ただし、Aのうち1つのみが一度に水素であり得るという条件であり、Rは、C1~C3アルキル基であり、Aが水素の場合、mは0に等しく、Aが酸素の場合、1に等しく、Aが窒素の場合、2に等しい。
【0025】
別の実施形態では、本発明のプロセスに有用な自己触媒性ポリオールは、米国特許第6,924,321号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載される自己触媒性ポリオール化合物である。自己触媒性ポリオール化合物は、下記式(II)の開始剤のアルコキシル化によって得ることができ、
H2N-(CH2)n-N(R)-H 式(II)
式(II)において、nは、2~12の整数であり、Rは、C1~C3アルキル基である。
【0026】
式(II)の好ましい実施形態では、nは、2~12、より好ましくは2~6、最も好ましくは2~4の整数であり得る。別の好ましい実施形態では、Rはメチルであってもよく、nは2~4の整数であってもよい。式(II)の化合物は、当該技術分野で既知の標準的な手順によって作製することができる。式(II)の市販の化合物の例には、N-メチル-1,2-エタンジアミンおよびN-メチル-1,3-プロパンジアミンが含まれる。
【0027】
本発明のまた別の実施形態では、WO2015/153316 A1(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている開始剤組成物を使用して、ポリエーテルポリオールおよびポリウレタンポリマーを生成することができる。例えば、開始剤組成物は、ジヒドロキシ三級アミンとポリヒドロキシアルコールとの反応生成物であり得る。好ましい実施形態では、本発明で使用されるジヒドロキシ三級アミンは、以下の式(III)の構造を有し、
【化1】
式中、R
1は、水素またはC
1-C6直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であり、R
2およびR
3は、独立して、C
1-C6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である。別の好ましい実施形態では、ジヒドロキシ三級アミンは、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)であり得る。
【0028】
本発明において有用な適切なポリヒドロキシアルコールは、例えば、2~8のヒドロキシル基を有するアルコールを含み得、C2~Ci8アルキル、アリール、またはアルカリール化合物であり得る。ポリヒドロキシアルコールは、直鎖状、分枝鎖状、または環状であり得る。好ましい実施形態では、ポリヒドロキシアルコールは、メチレングリコール(MEG)、ジエチレングリコール(DEG)、メチルプロピレングリコール(MPG)、ジプロピレングリコール(DPG)、グリセロール、トリメチロールプロパン、(TMP)、ペンタエリスリトール、ならびにスクロースおよびソルビトールなどの糖であり得る。また別の好ましい実施形態では、ポリヒドロキシアルコールは、グリセリン、グリコール、糖、またはそれらの混合物であり得る。
【0029】
次のスキーム1に示す好ましい開始剤組成物は、MDEAとグリセリンとの反応生成物である。
【化2】
上記スキーム(I)において、xは、好ましくは1~10の整数であり、独立して、yは、好ましくは1~10の整数である。
【0030】
一実施形態では、ジヒドロキシ三級アミンとポリヒドロキシアルコールとの反応生成物は、生成物、ならびに部分的および/または完全に未反応の三級アミンおよび/またはポリヒドロキシアルコールの混合物を含み得る。例えば、好ましい実施形態では、未反応のN-メチルジエタノールアミンおよび/またはグリセリンに加えて、N-メチルジエタノールアミンとグリセリンとの反応により、WO2015/153316 A1(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている生成物の混合物を得ることができる。
【0031】
別の実施形態では、本発明のプロセスに有用な自己触媒性ポリオールは、ポリオール鎖内のアルキルアミンまたはポリオール鎖にぶら下がっているジアルキルアミノ基を含有する自己触媒性ポリオール化合物であり、ポリオール鎖はアルキルアジリジンまたはN,N-ジアルキルグリシジルアミンを含有する少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つのアルキレンオキシドを共重合させることによって得られ、好ましくはアミンのアルキルまたはジアルキル部分は、C1~C3アルキルである。
【0032】
有用な芳香族アミン系ポリエーテルポリオールには、1,2-、1,3-、および1,4-フェニレンジアミン;2,3-、2,4-、3,4-、および2,6-トルエンジアミン(TDA);4,4’-、2,4’-、および2,2’-ジアミノジフェニルメタン(DADPM);および/またはポリフェニル-ポリメチレン-ポリアミン開始剤に基づくものが含まれる。アルコキシル化芳香族アミンポリオールは、開始剤混合物中の他の要素に由来するアルコキシル化生成物を含有してもよい。ほとんどの場合、それらは、低分子量ジオールおよびトリオール、例えば、ジエチレングリコール、グリセリン、および/または水のアルコキシル化生成物を含有する。さらに、芳香族アミン系ポリエーテルポリオールは、低分子量のジオールおよびトリオール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、および/またはグリセリンを含有してもよい。芳香族アミン系ポリエーテルポリオール、例えば、TDA系ポリエーテルポリオールおよびジアミノジフェニルメタンまたはポリメチレンポリフェニレンポリアミン(DADPM)系ポリエーテルポリオールが、硬質ポリウレタン発泡体の好適なイソシアネート反応性化合物として記載されている(例えば、EP421269、EP617068、EP708127、WO94/25514、ならびに米国特許第5,523,332号、同第5,523,333号、および同第5,523,334号を参照されたく、それらのすべては参照により本明細書に組み込まれる)。
【0033】
本発明に有用な自己触媒性ポリオールの範囲は、必要とされる所望の反応性プロファイルに依存し得る。典型的には、自己触媒性ポリオール化合物は、B側材料の総重量に基づいて、(≧)約1重量%以上、好ましくは≧約2重量%、より好ましくは≧約5重量%の量でB側材料中に存在する。自己触媒性ポリオール化合物は、B側材料の総重量に基づいて、(≦)約50重量%以下、好ましくは≦約40重量%、より好ましくは≦約35重量%の量でB側材料中に存在する。好ましい一実施形態では、少なくとも1つの自己触媒性ポリオールの量は、約1重量%~約50重量%であり、別の実施形態では、約5重量%~約30重量%である。
【0034】
B側材料はまた、成分(b)として1つ以上の高EO含有ポリオール化合物も含み得る。例えば、ポリオールブレンドは、ポリエーテルポリオール、成分(b)を含み得る。本発明に有用な好適なポリエーテルポリオールは、先行技術において十分に説明されており、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、2~約8、好ましくは約2~約4の官能価、および好ましくは約5~約100、より好ましくは約10~約80、より好ましくは約15~約60の平均ヒドロキシル価を有する開始剤との反応生成物を含む。本発明の軟質ポリウレタン発泡体の調製のために特に重要なのは、≧2かつ≦4の官能価を有するポリエーテルポリオールおよびポリオール混合物である。好ましくは、1つのポリオールまたは複数のポリオールは、約100~約10,000、より好ましくは約200~約8,000の平均分子量を有する。
【0035】
本発明の好適な開始剤としては、ポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、およびスクロース;ポリアミン、例えば、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、およびポリメチレンポリフェニレンポリアミン;ならびにアミノアルコール、例えば、エタノールアミンおよびジエタノールアミン;ならびにそのような開始剤の混合物が挙げられる。他の好適なポリオールには、適した割合のグリコールおよび高級官能性ポリオールの、ポリカルボン酸との縮合によって得られるポリエステルが含まれる。なおさらに好適なポリオールとしては、ヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン、およびポリシロキサンが挙げられる。またさらに好適なイソシアネート反応性成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、および上記の他の開始剤が挙げられる。そのようなイソシアネート反応性成分の混合物も、同様に使用されてもよい。最も好ましくは、一級、二級、または三級窒素原子を含まないポリオールが使用される。
【0036】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体の調製のために特に重要なのは、≦約100、好ましくは≦約80、より好ましくは≦約60のヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオールおよびポリオール混合物である。ヒドロキシル価は、反応に利用可能な反応性ヒドロキシル基の数を示す。それは、ポリオール1gのヒドロキシル含有量に相当する水酸化カリウムのミリグラムの数として表される。
【0037】
軟質発泡体の調製に特に重要なのは、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、1分子当たり2~8個、好ましくは2~4個の活性水素原子を含有する開始剤との反応生成物である。好適な開始剤としては、ポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、およびソルビトール;ポリアミン、例えば、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、およびポリメチレンポリフェニレンポリアミン;ならびにアミノアルコール、例えば、エタノールアミンおよびジエタノールアミン;ならびにそのような開始剤の混合物が挙げられる。他の好適なポリオールには、適した割合のグリコールおよび高級官能性ポリオールの、ポリカルボン酸との縮合によって得られるポリエステルが含まれる。なおさらに好適なポリオールとしては、ヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン、およびポリシロキサンが挙げられる。好ましいポリオールは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位を含むポリエーテルポリオールであり、最も好ましくは、少なくとも約10重量%、好ましくは約10重量%~約85重量%のオキシエチレン含有量を有する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールである。好ましいイソシアネート反応性成分は、エチレンオキシドでキャップされたポリエーテルポリオールを含む。
【0038】
典型的には、ポリエーテルポリオール、成分(b)は、B側材料の総重量に基づいて、≧約30重量%、好ましくは≧約40重量%、より好ましくは≧約50重量%の量でB側材料中に存在し得る。ポリエーテルポリオール(b)(ii)は、B側材料の総重量に基づいて、≦約95重量%、好ましくは≦90重量%、より好ましくは≦約85重量%、最も好ましくは≦約80重量%の量でB側の材料中に存在する。好ましい一実施形態では、少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールの量は、約30重量%~約95重量%であり、別の実施形態では、約60重量%~約85重量%である。
【0039】
一実施形態では、本発明のEO含有ポリオール化合物、成分(b)は、高い割合のEO含有量を有する。例えば、ポリオールのEO含有量は一般に、一実施形態では>約15重量%、別の実施形態では>約17重量%、また別の実施形態では>約19重量%であり得る。別の一般的な実施形態では、ポリオールのEO含有量は、約15重量%~約50重量%、また別の実施形態では約17重量%~約40重量%、さらに別の実施形態では約19重量%~約30重量%であり得る。
【0040】
ポリオールのブレンドに加えて、成分(II)は、反応性発泡触媒、界面活性剤、および水、ならびに他の任意の添加剤も含み得る。本発明のB側材料に有用な成分(c)は、少なくとも1つの反応性発泡触媒化合物であり得る。例えば、一実施形態では、本発明の発泡体形成組成物のB側材料に有用な触媒、成分(c)は、任意の有効な三級アミンから選択され得る少なくとも1つの三級アミン触媒であり得る。そのような選択そのようなは、典型的には、N-アルキルモルホリン、N-アルキルアルカノールアミン、アミノアルコール、N,N-ジアルキルシクロヘキシルアミン、アルキル基がメチル、エチル、プロピル、ブチル、およびそれらの異性体であるアルキルアミン、ならびに複素環式アミンが含まれる。それらの非限定的な例には、1-メチルイミダゾール、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、N,N-ジメチルシクロヘキシル-アミン、N-エチル-モルホリン、メチルトリエチレン-ジアミン、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)-シム-ヘキサヒドロトリアジン、およびそれらの組み合わせが含まれる。三級アミンの好ましい群は、1-メチル-イミダゾール、2-エチル-4-メチル-イミダゾール、2-エチルブチルジイソプロピルアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、およびそれらの組み合わせを含む。
【0041】
三級アミン触媒は、ポリオールと有機ポリイソシアネートとの間の反応のための触媒活性、および少なくとも1つの三級アミン基を有する任意の化合物であってもよい。本発明に有用な代表的な三級アミン触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチル-ベンジルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジメチルピペラジン、1,4-ジアゾビシクロ-2,2,2-オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、モルホリン,4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-アセチルN,N-ジメチルアミン、N-ココ(coco)-モルホリン、N,N-ジメチルアミノメチルN-メチルエタノールアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビス(アミノエチル)エーテル、N,N-ビス(3-ジメチル-アミノプロピル)N-イソプロパノールアミン、(N,N-ジメチル)アミノ-エトキシエタノール、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、1,8-ジアザビシクロ-5,4,0-ウンデセン-7,N,N-ジモルホリノジエチルエーテル、N-メチルイミダゾール、ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミノ-2-プロパノール、テトラメチルアミノビス(プロピルアミン)、(ジメチル(アミノエトキシエチル))((ジメチルアミン)エチル)エーテル、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ビス(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)アミン、および1,2-エチレンピペリジン、ならびにメチル-ヒドロキシエチルピペラジンが挙げられる。好ましい三級アミン触媒は、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチルエーテル(Huntsman CorporationからJEFFCAT(商標)ZF-10として、およびTosoh CorporationからTOYOCAT(商標)RX 10として入手可能)、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン(JEFFCAT ZR-50)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N,N-ジイソプロパノールアミン(JEFFCAT DPA)、1,3-プロパンジアミン,N’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N,N-ジメチル(JEFFCAT Z-130)、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン(JEFFCAT Z-110)、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(JEFFCAT ZF-20)、N,N-ジメチルエタノールアミン(DMEA)、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-ジプロピレントリアミン(JEFFCAT ZR-40)、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、(3-アミノプロピルジメチルアミン、1,1’-[[3-(ジメチルアミノ)プロピル]イミノ]ビスプロパン-2-オール)(JEFFCAT LE-310)、NIAX EF 600;DABCO NE 1070、およびそれらの混合物のうちの1つ以上である。
【0042】
好ましい一実施形態では、本発明で有用な反応性発泡触媒には、例えば、>90%のN-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]-N-メチル-1,3-プロパンジアミン(DABCO NE 300、Evonikから入手可能)、NIAX EF 100、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチルエーテル(Huntsman CorporationからJEFFCAT(商標)ZF-10として入手可能)、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン(JEFFCAT ZR 50)などの触媒が含まれ得る。
【0043】
発泡体形成組成物は、B側材料の総重量に基づいて、一般に≧約0.01重量%~≦約5重量%の量で、三級アミン触媒などの発泡触媒を含有し得る。例えば、好ましい一実施形態では、三級アミン触媒は、B側材料の総重量に基づいて、≧約0.01重量%、好ましくは≧約0.1重量%、より好ましくは≧約0.15重量%、最も好ましくは≧約0.2重量%の量で存在する。好ましくは、三級アミン触媒は、B側材料の総重量に基づいて、≦約5重量%、好ましくは≦約3重量%、より好ましくは≦約2.5重量%、最も好ましくは≦約2.0重量%の量で存在する。好ましい一実施形態では、少なくとも1つの反応性発泡触媒の量は、約0.2重量%~約2.5重量%であり、別の実施形態では、約0.3重量%~約2.0重量%であり得る。
【0044】
驚くべきことに、上述の高量の反応性発泡触媒、上述の自己触媒性ポリオール、および高EO含有ポリエーテルポリオールを組み合わせることにより、本発明の発泡体の高速反応性プロファイル(同時にVDA 278(2011))に合格を得ることができ、高レベルの水にもかかわらず貯蔵安定性ポリオール配合物を作製することができることが見出された。
【0045】
B側材料は1つ以上の界面活性剤、成分(d)を含む。界面活性剤は、好ましくは、発泡体が膨張して硬化する際に発泡体を安定化させるのを助けるために、発泡体配合物中に含まれる。界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤(または有機変性ポリシロキサン)および湿潤剤、例えば、プロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドの、プロピレングリコール、固体または液体の有機ケイ素、および長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテルへの順次添加によって調製されるものが挙げられる。イオン性界面活性剤、例えば、長鎖アルキル酸硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、およびアルキルアリールスルホン酸の三級アミンまたはアルカノールアミン塩も使用され得る。プロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドの、プロピレングリコールへの順次添加によって調製される界面活性剤は、固体または液体有機ケイ素と同様に好ましい。有用な有機ケイ素界面活性剤の例としてはTEGOSTAB(商標)B-8729、B-8404、B-8736、B-8870、B-8719LF、B-8734LF2、B-8747LF2、B-8761LF2、およびB-8715LF2(Evonikから入手可能)、DABCO(商標)DC-198(The Dow Chemical Companyから入手可能)、およびMomentive Performance MaterialsからのNIAX(商標)L2171界面活性剤などのポリシロキサン/ポリエーテルコポリマーが挙げられる。非加水分解性液体有機ケイ素がより好ましい。
【0046】
各界面活性剤は、典型的には、B側材料の総重量に基づいて、≧約0.1重量%、好ましくは≧約0.2重量%、より好ましくは≧約0.5重量%の量で存在する。各界面活性剤は、典型的には、B側材料の総重量に基づいて、≦約5重量%、好ましくは≦約2重量%、より好ましくは≦約1.3重量%の量で存在する。好ましい一実施形態では、少なくとも1つの界面活性剤の量は、約0.1重量%~約2.5重量%であり、別の実施形態では、約0.2重量%~約1.2重量%である。
【0047】
B側材料は、水、成分(e)をさらに含み、水は、よく知られているように、イソシアネート基と反応して二酸化炭素を発生させ、尿素結合を形成することによって発泡機能および/または鎖延長機能の両方を果たし得る。水は、本発明の発泡体配合物中の唯一の発泡剤であるのが好ましいが、水に加えて発泡体配合物中に補助発泡剤を含めることも可能である。補助発泡剤は、カルバメートのような化学タイプ、または例えば二酸化炭素もしくは低沸点の炭化水素、ヒドロフルオロカーボンもしくはヒドロクロロフルオロカーボンのような物理発泡剤であり得る。水が唯一の発泡剤である好ましい場合には、水の量は、得られる発泡体の密度にとって重要な要因である。
【0048】
水は、典型的には、B側材料の総重量に基づいて、≧約1重量%、好ましくは≧約2重量%、より好ましくは≧約3重量%の量で発泡体形成配合物中に存在する。水は、典型的には、B側材料の総重量に基づいて、≦約15重量%、好ましくは≦約10重量%、より好ましくは≦約8重量%の量で配合物中に存在する。本発明の一例では、発泡体形成組成物は、約3重量%~約7重量%の濃度の水を含み得る。好ましい一実施形態では、配合物中に存在する水の量は、約4重量%~約9重量%であり、別の実施形態では、約5重量%~約8重量%である。
【0049】
特定の理論に拘束されるものではないが、有利な特性を有する本発明の低排出軟質ポリウレタン発泡体を生成する能力は、上述の化合物の特定の組み合わせによるものであり得、本発明の発泡体の望ましい特性は、本発明の発泡体形成組成物において、一級アミンジオールの不在下、および非反応性ゲル化触媒の不在下で実現され得ると理論化されている。
【0050】
他の追加の任意の化合物または添加剤は、必要に応じて、A側材料および/またはB側材料のいずれかに添加され得る。発泡体形成組成物を作製するために、または得られる発泡体に所望の特性を付与するために使用される生成プロセスに有用であり得る、1つ以上のさらなる種類の他の材料が使用されてもよく、例えば、触媒、発泡剤、気泡開放剤、界面活性剤、架橋剤、鎖延長剤、充填剤、着色剤、難燃剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、防腐剤、酸捕捉剤、アルデヒド捕捉剤、およびそれらの混合物を含む。
【0051】
任意の成分は、発泡体組成物で使用される場合、一実施形態では、一般に0重量%~約10重量%、別の実施形態では、約0.1重量%~約8重量%、また別の実施形態では、約0.2重量%~約5重量%の範囲の量で存在し得る。
【0052】
1つの広範な実施形態では、本発明の反応性発泡体形成組成物を作製するためのプロセスは、(a)A側材料およびB側材料を含む反応性配合物を調製する工程と、(b)A側材料およびB側材料を混合して反応性ブレンドを形成する工程と、(c)反応性ブレンドを硬化させるのに十分な条件に反応性ブレンドを供して、軟質ポリウレタン発泡体を形成する工程とを含み得る。
【0053】
好ましい実施形態では、本発明によるプロセスは、(i)(I)有機イソシアネート、例えばMDI、TDI、またはそれらの混合物を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなるA側材料を、(ii)(II)(a)少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、(b)少なくとも1つの高EO含有ポリオール、(c)少なくとも1つの反応性発泡触媒、(d)少なくとも1つの界面活性剤、および(e)水を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる混合物を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなるB側材料と接触させる工程を含む。A側材料、B側材料、またはその両方に、1つ以上のさらなる任意の成分を追加することができる。
【0054】
A側材料およびB側材料を一緒に混合して、反応性ブレンドを形成する。一実施形態では、A側材料およびB側材料は、約50℃以下の温度で一緒に混合される。別の実施形態では、A側材料およびB側材料は、約10℃~約40℃、また別の実施形態では、約10℃~約30℃の温度で一緒に混合される。A側材料およびB側材料も、所望の比率で一緒に混合される。例えば、A側材料:B側材料比は、重量で約40:100~約90:100であり得る。ポリオールおよび他の化合物を含むB側材料は、事前に混合することができ、次に、プレミックス材料(B側材料)および有機ポリイソシアネート成分(A側材料)は、任意の既知のウレタン発泡装置によって一緒に混合され得る。A側材料をB側材料と一緒に混合して反応性配合物を形成すると、発泡反応が起こり、最終的に硬化した軟質ポリウレタン発泡体が形成される。
【0055】
本発明の発泡体形成組成物は、空洞を充填するために有利に利用することができる。例えば、組成物は、車両の製造プロセス中に、自動車および運搬車両(例えば、バス、列車、路面電車、トラック、トラクター、ボートなど)の空洞を満たすために使用することができる。組成物中の成分の反応中に上記プロセスにより調製された本発明の発泡体形成組成物は、本質的に「自由膨張」である速泡性/反重力ポリウレタン発泡体(例えば、<約10秒(s)のゲル化時間および<約20秒の不粘着時間)を形成する。本発明の別の利益は、発泡体が鋼、eコート、および他の一般的な表面に実質的に接着することができることである。
【0056】
本明細書において「速泡性/反重力」とは、クリーム時間が目視によって識別することができないか、またはクリーム時間が<2秒未満であることを意味する。本明細書において「反重力」とは、発泡体が非常に迅速に膨張したため、発泡体形成系が発泡体が置かれた場所から離れることができず、構造部材の亀裂および穴を通り抜けることができないため、発泡体反応ミックスが置かれた場所に留まること、または発泡体反応混合物が置かれた場所に非常に近い場所に留まることを意味する。
【0057】
さらに、本発明の発泡体形成組成物は、発泡体がVDA 278(2011)放出試験に合格するように放出量の削減をなおも維持しながら、高速反応性、良好な膨張発泡体流動性、および十分な貯蔵安定性を示す。
【0058】
本明細書において、発泡体形成組成物に関して「高速反応性」とは、組成物が<約12秒のゲル化時間および<約25秒の不粘着時間を示すことを意味する。
【0059】
本明細書において、発泡体形成組成物に関して「良好な流動性」とは、組成物が約60%以下の自由膨張密度(free rise density)の空洞密度を示すことを意味する。
【0060】
本明細書において、発泡体形成組成物に関して「十分な貯蔵安定性」とは、反応性組成物のポリオール配合物が、使用時にポリオール配合物を再ブレンドすることなく使用することができ、イソシアネート成分と混合されると、反応性組成物が、本明細書に記載の本発明の発泡体製品をもたらすことを意味する。
【0061】
さらに、本発明の発泡体形成組成物は、クリーム時間、ゲル化時間、不粘着時間、および自由膨張密度の減少を含むいくつかの強化された特性を示す。例えば、ある特定の例示的なプロセスでは、ポリウレタン形成反応が進行するにつれて、ポリオール含有成分およびポリイソシアネート含有成分が急速に発泡し始め、初期のたわみ抵抗性を提供することが好ましい。発泡の迅速性の1つの尺度は「クリーム時間(CT)」として知られており、これは、目視により検出される、ポリイソシアネート含有成分およびポリオール含有成分の分注から、合わせた成分が膨張し始める瞬間までの経過時間として定義される。CTの別の説明は、目視により検出される反応混合物内で気泡が形成され始める時間の尺度である。発泡プロセスの間、本明細書に記載される本発明の発泡体形成配合物または組成物およびプロセスは、一般に0秒~約4秒、好ましくは0秒~約2秒、より好ましくは0秒~約1秒のCTを有する発泡体をもたらす。
【0062】
ある特定の例示的なプロセスでは、発泡体が実質的に空洞内に収容されたままであるか、または対象の基材上にあることを確実にするために、ポリオール含有成分およびポリイソシアネート含有成分が急速に反応およびゲル化することが好ましい。発泡体の特徴付けに有用な1つの尺度は、「ゲル化時間(GT)」として知られている。本明細書において、GTは、反応混合物の反応中に巨視的な架橋ネットワークが形成し始める時間の尺度を意味する。GTを決定する1つの例示的な方法は、一定量(例えば、60g)の発泡体を紙コップに分注することを含む。分注工程の直後に、清潔な木製の舌圧子の端を、膨張する発泡体の表面に繰り返し接触させる。合わせたポリイソシアネート成分およびポリオール含有成分から一連の材料が形成されたら、経過時間を記録する。このプロセスは、好ましくは数回繰り返され、GTは、ポリイソシアネート含有成分およびポリオール含有成分の分注から、合わせた成分からの一連の材料の形成までの平均経過時間として計算される。本明細書に記載の方法で調製された本発明の発泡体形成組成物は、一般に約4秒~約20秒、好ましくは約5秒~約15秒、より好ましくは約6秒~約12秒のGTを示す。
【0063】
ある特定の例示的なプロセスでは、ポリオール含有成分およびポリイソシアネート含有成分が急速に反応し、発泡の迅速性の別の尺度であり、「不粘着時間(TFT)」として知られる不粘着表面を有する発泡体製品を製造することが好ましい。本明細書において、TFTは、反応する発泡体混合物の表面が流動しないかまたは乾燥(すなわち、触って濡れない)し始める時間の尺度を意味する。
【0064】
TFTを決定する1つの例示的な方法は、分注機を使用して上述の発泡体組成物を容器またはカップに注ぐことを含む。次に、清潔な舌圧子(TD)を使用して、発泡体が最大の高さに達したら、発泡体の表面をTDの広い表面と数回接触させる(タップする)。各タップは、新しい清潔なTDで、膨張する発泡体の表面の新しい場所で行われる。初めは、最初のTDは汚れている、つまり、ある程度の反応する表面ポリウレタン反応混合物がTDの表面に付着する。最終的に、いくつかのTDを使用した後、最終TDには、反応する表面ポリウレタン反応混合物のいずれも実質的に付着しない。最終TDに実質的に反応物の付着がない時間(目視によって行われる)は、その時間は、「不粘着時間」として記録される。前述のように、発泡体のTFTは、本発明の発泡体組成物の高速反応の指標となり得る。これは、そのような発泡体の表面硬化および膨張終了の指標となる。一般に、発泡体形成組成物のTFTは、約10秒~約30秒、好ましくは約15秒~約25秒、より好ましくは約17秒~約22秒であり得る。
【0065】
前述のように、ポリウレタン発泡体は、「自由膨張密度(FRD)」として知られる密度測定を特徴とし得る。本明細書において、FRDとは、開放鋳型における最小遮蔽膨張の自然密度の尺度を意味する。ある特定の例示的な実施形態では、本発明の発泡体形成組成物は、一般に約15kg/cm3~約50kg/cm3、好ましくは約17kg/cm3~約40kg/cm3、より好ましくは約18kg/cm3~約35kg/cm3のFRDを示す。
【0066】
自由膨張密度は、所定の容積のカップ(例えば、16液量オンスカップまたは32液量オンスカップ)を量り、カップに発泡体を過剰に充填して、カップの縁より上に膨張するクラウンを作成することによって決定され得る。次に、発泡体を約15分間完全に硬化させ、クラウンを切断して、発泡体がカップの容積にぴったりと適合するようにする。カップ内の発泡体とともにカップを再び量り、発泡したカップの重量と発泡前のカップの重量との差を計算することによって、発泡体の重量を決定する。次に、発泡体の重量をカップの容積で除することにより、自由膨張体積を決定する。方法の精度を向上させるために、同じモデルのカップを事前に量り、カップの縁まで1 g/cm3の密度の水で満たしてもよい。その後、カップを再び量る。次に、水で満たされたカップの重量から事前に量ったカップの重量を差し引くことによって、立方センチメートルでのカップの実際の容積を決定することができる。次に、前に計算した発泡体の重量を実際のカップの容積で除して、発泡体のFRDを得することができる。
【0067】
1つの広範な実施形態では、本発明の発泡体製品を作製するためのプロセスは、(a)A側材料(有機イソシアネート)およびB側材料(a)少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、(b)少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、(c)少なくとも1つの反応性発泡触媒、(d)少なくとも1つの界面活性剤、(e)水の混合物)を含む反応性配合物を提供する工程と、(b)A側材料およびB側材料を混合して、反応性ブレンド発泡体形成組成物を形成する工程と、次に(c)反応性ブレンドを硬化させるのに十分なプロセス条件に反応性ブレンドを供して、軟質ポリウレタン発泡体を形成する工程とを含み得る。
【0068】
好ましい実施形態では、本発明の発泡体形成組成物を上述のように調製し、次に、発泡体形成組成物を、発泡体製品を形成する硬化温度などのプロセス条件に供する。例えば、空洞を充填するためのプロセスでは、反応混合物は、約15℃~約30℃の温度で硬化が起こる空洞に分注される。反応混合物を金型に充填すると、混合物が膨張して空洞を充たし、前述の特性を有する発泡体が生成される。有利に、組成物は≧約6ヶ月の貯蔵安定性を維持するため、組成物は、組成物中の成分のいずれも発泡前の組成物から分離しないような非配合物分離性である。さらに、反応組成物は、速泡性/反重力値、例えば、<1秒のクリーム時間、<11秒のゲル化時間、<25秒の不粘着時間を有し、したがって、組成物は、流れ出すことなく、発泡体が配置される空洞を迅速に満たすことができ、得られる発泡体は、音響管理/閉塞連続気泡発泡体で空洞を密閉する。一実施形態では、得られる発泡体は、有利に、約1時間冷却した後、別の実施形態では、24時間冷却した後、著しく収縮しない場合がある。さらに、発泡体はVDA 278(2011)に準拠しており、放出量が非常に低い。本発明の利点は、発泡体組成物が、良好な加工性を有する組成物を提供する高速反応時間を示すことである。
【0069】
新たに調製したポリウレタン発泡体は、典型的なアミン臭があることが多く、曇りおよび揮発性有機化合物(VOC)の放出量の増加を引き起こす。さらに、高い反応性率を得るために、より多くの異なる触媒およびより多量の触媒が一般的に反応性発泡体形成組成物に使用され、VOC放出量がさらに悪化する。例えば、自動車の内装用途では、ポリウレタン発泡体からのアミン放出は望ましくなく、一部の自動車メーカーは、すべてのVOCを大幅に削減または排除することを要求している。本発明のプロセスにより製造された軟質ポリウレタン発泡体製品は、例えばVOCおよび曇り(FOG)の値の低減を含む、既知の発泡体に対していくつかの利益を有する。
【0070】
一実施形態では、発泡体形成組成物を反応させると、本発明に従って作製された得られる発泡体は、放出量が少ない(したがって、低VOCおよび低FOG)。一般に、本発明の発泡体形成組成物は、一実施形態では、VDA 278(2011)に従って、<約100マイクログラム/グラム(μg/g)のVOCおよび<約250μg/gのFOG値、別の実施形態では、0μg/g~約250μg/gのVOCおよび0μg/g~約600μg/gのFOG、また別の実施形態では、0μg/g~約175μg/gのVOCおよび0μg/g~約400μg/gのFOG、さらに別の実施形態では、0μg/g~約100μg/gのVOCおよび0μg/g~約250μg/gのFOGを示す。発泡体は、典型的には、「車両の内装」または車両の外部と内部との間に使用され、そのような用途では低放出量であることが望ましいため、低放出量の発泡体は重要である。
【0071】
本発明の発泡体の別の有益な有用性は、音響伝達を低減するためのその使用である。本発明の発泡体形成組成物が反応すると、組成物は、連続気泡含有量および低密度を有する連続気泡発泡体を提供し、上記の特性を有する発泡体製品は、本発明の発泡体を音響用途で使用することを可能にする。例えば、本発明に従って作製された発泡体は、弾性で軟質なタイプのものであり、有利に、約15kg/m3~約50kg/m3、好ましくは約20kg/m3~約45kg/m3、より好ましくは約25kg/m3~約40kg/m3、最も好ましくは約27kg/m3~約35kg/m3の範囲のFRD値を有する。FRDは、本明細書で上述した方法により便利に測定される。
【0072】
前述のように、本発明に従って作製された発泡体は、連続気泡軟質発泡体であり、吸音力に優れている。発泡体は、有利に、一般に約70パーセント(%)を超える、好ましくは80%を超える連続気泡を有する。別の実施形態では、発泡体製品中の連続気泡の割合は、70%~約100%であり得る。
【0073】
別の実施形態では、本発明の発泡体は、「実質的に収縮しない」か、または「低減された収縮」を示し得る。本明細書において、発泡体製品に関して「実質的に収縮しない」または「低減された収縮」とは、約24時間後に発泡体を冷却した後の寸法安定性発泡体製品を意味する、つまり、発泡体は、発泡体が硬化した後に発泡体を冷却したときに収縮しないか、または低減された収縮を示す(例えば、15分経過時間対24時間後)。例えば、発泡体製品の収縮の割合は、0%~約10%未満、好ましくは0%~約7%未満、より好ましくは0%~約3%未満であり得る。発泡体の収縮は、A側およびB側の成分の反応の発泡体製品を冷却する前後に、発泡体を視覚的に確認し、3次元の発泡体の寸法を測定することにより、便利に測定することができる。
【0074】
本発明の一般的な実施形態では、発泡体形成組成物は、様々な用途の発泡体物品を作製するために使用することができる。好ましい一実施形態では、例えば、音響用途に有用な軟質の音響用低密度発泡体を生成するために、速泡性の反重力発泡体系が使用される。例えば、本発明の迅速な膨張性発泡体組成物は三次元空洞を充填および密閉することができるため、本発明の発泡体形成組成物は、防音軟質発泡体製品(音響用発泡体製品)を製造するために使用され得る。本発明のポリウレタン発泡体は、有利に、NVH(騒音、振動、およびハーシュネス)の利益を提供する。本発明のポリウレタン発泡体は、有利に、下塗りされた金属表面(例えば、自動車産業で使用される金属構造部材など)に付着する。また、発泡製品は、有利に、断熱性能および密閉性能の組み合わせを示す。
【0075】
本発明の発泡体形成組成物は、本体側接合部、敷居、柱、車体底面クロスカー構造、フレームレール、縦構造、ドアパネル、エンジンクレードル、横レール、およびバルジ成形された代替品としてなどの空洞の密閉が必要とされる用途に有用であり得る。例えば、膨張性発泡体の成分は、ロッカーパネルおよび支柱などのホワイトボディの空洞全体に挿入することができる。
【0076】
本発明に従って作製された発泡体は、様々な梱包、座席、および他の緩衝用途、例えば、マットレス、家具のクッション、運搬用途、自動車の座席、バンパーパッド、スポーツ用品および医療機器、ヘルメットライナー、パイロットシート、耳栓、電池カプセル化、船舶の空洞、バスおよびトラックの壁、ならびにその他の様々な騒音および振動を軽減する用途にも有用である。
【実施例】
【0077】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために提示されるが、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。すべての部および割合は、特に指示がない限り重量である。
【0078】
以下の実施例で使用される様々な用語および名称を以下に説明する。
【0079】
DOWFAX 92N20は、公称官能価2、ヒドロキシル価26~29、およびEO含有量20重量%を有する混合酸化物(PO/EO)ポリエーテルポリオールである。DOWFAX 92N20は、The Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0080】
VORANOL 3322は、公称官能価3、ヒドロキシル価46~50を有する混合酸化物(PO/EO)ポリエーテルポリオールであり、The Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0081】
SPECFLEX ACTIV 2306は、公称官能価約4およびヒドロキシル価31.0~40.0を有するアミン開始自己触媒性ポリエーテルポリオールであり、The Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0082】
JEFFAMINE D-400は、公称一級アミン末端官能基を有するポリエーテルポリオール(すべてPO)であり、Huntsmanにより供給される。
【0083】
DABCO NE1070は、アミン反応性ゲル化触媒であり、Evonikから入手可能である。
【0084】
DABCO NE300は、低放出主発泡反応性アミン触媒であり、Evonikから入手可能である。
【0085】
TEGOSTAB B-8734 LF2は、低放出のケイ素界面活性剤であり、Evonikから入手可能である。
【0086】
TEGOSTAB B-8747 LF2は、低放出のケイ素界面活性剤であり、Evonikから入手可能である。
【0087】
NIAX EF 600は、高分子量(Mw)の三級アミン反応性ゲル化触媒であり、Momentiveから入手可能である。
【0088】
JEFFCAT LE-310は、アミン反応性ゲル化触媒であり、Huntsmanから入手可能である。
【0089】
SPECFLEX NE 474は、ポリマーMDIイソシアネートであり、The Dow Chemical Companyにより製造されている。
【0090】
試験方法
ゲル化時間試験、クリーム時間試験、膨張時間試験、および自由膨張密度試験はそれぞれ、本明細書で上述した手順に従って実施された。VOC放出およびFOG放出試験は、VDA 278(2011)に記載されている手順に従って実施された。
【0091】
実施例1および比較例A~E
表Iに記載される実施例には、MDIと反応させた配合されたポリオールブレンドが含まれる。MDIは、約31重量%のイソシアネート含有量を有する。ポリオールブレンド(B側材料)およびポリマーMDI(A側材料)をポリウレタン分注機中で混合する。この分注機は、例えば、Henneke、Krauss MaffeiおよびCannonのような機器供給業者から市販されている、標準的な機械である。表Iに記載されるように調製された実施例では、LN5衝突ミキシングヘッドを備えたCannon AP10分注機が使用され、配合物は、以下の加工条件に供された。
【0092】
分注機は、所与の発泡体形成系を所与のイソシアネート対ポリオールの比率で混合することができる。比率は、ポンプ/モータのサイズによって制御される。材料の分注温度は、一般に20℃~60℃の範囲である。実施例では、ポリマーT(ポリ)の温度は40℃であった。イソシアネートT(イソ)の温度は40℃であった。
【0093】
40℃の材料温度での分注圧力は、一般に140バール~200バールの範囲である。実施例では、ポリマーの圧力は150バールであり、イソシアネートの圧力は150バールであった。
【0094】
一般に、材料分注流量は、混合ヘッドで50g/秒~800g/秒の範囲である。実施例では、出力流量は90g/秒であった。
【0095】
射出重量は55gであった。
【0096】
イソシアネート:ポリオールの重量による混合比は、表Iに列記される実施例のそれぞれについて示される。
【表1-1】
【表1-2】
なお、本発明には、以下の実施形態が包含されるものとする。
[1]ポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物であって、
(I)有機イソシアネートと、
(II)
(a)少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、
(b)少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、
(c)少なくとも1つの反応性発泡触媒、
(d)少なくとも1つの界面活性剤、および
(e)水の混合物と、を含む、ポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物。
[2]前記組成物中の成分のいずれも前記組成物から分離せず、前記組成物が約6ヶ月以上の貯蔵安定性を維持するように、前記組成物は非配合物分離性であり、前記組成物は、約10秒以下の速泡性/反重力ゲル化時間値を有し、前記組成物は、反応した場合、24時間後に冷却すると約5パーセントの最大収縮、および約30g/cm
3
未満の密度を有する連続気泡非収縮発泡体を提供し、前記組成物は、反応した場合、VDA 278(2011)に従う、約100μg/g未満のVOCおよび約250μg/g未満のFOGの放出量削減をもたらす、前記[1]に記載のポリウレタン発泡体形成反応混合物組成物。
[3]前記自己触媒性ポリオールは、アミン開始自己触媒性ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンポリオールである、前記[1]に記載の発泡体形成組成物。
[4]前記エチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールは、ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンポリオールである、前記[1]に記載の発泡体形成組成物。
[5]前記反応性発泡触媒は、>90%のN-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]-N-メチル-1,3-プロパンジアミンである、前記[1]に記載の発泡体形成組成物。
[6]前記界面活性剤は、有機変性ポリシロキサン界面活性剤である、前記[1]に記載の発泡体形成組成物。
[7]前記少なくとも1つの自己触媒性ポリオールの量は、約1重量パーセント~約50重量パーセントであり、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールの量は、約30重量パーセント~約95重量パーセントであり、前記少なくとも1つの反応性発泡触媒の量は、約0.2重量パーセント~約2.5重量パーセントであり、前記少なくとも1つの界面活性剤の量は、約0.1重量パーセント~約2.5重量パーセントであり、水の量は、約4重量パーセント~約9重量パーセントである、前記[1]に記載の発泡体形成組成物。
[8]前記少なくとも1つの自己触媒性ポリオールの量は、約5重量パーセント~約30重量パーセントであり、前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオールの量は、約60重量パーセント~約85重量パーセントであり、前記少なくとも1つの反応性発泡触媒の量は、約0.3重量パーセント~約2.0重量パーセントであり、前記少なくとも1つの界面活性剤の量は、約0.2重量パーセント~約1.2重量パーセントであり、水の量は、約5重量パーセント~約8重量パーセントである、前記[1]に記載の発泡体形成組成物。
[9]前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール中に存在する前記エチレンオキシドの含有量は、約15重量パーセント~約50重量パーセントである、前記[1]に記載の発泡体形成組成物。
[10]前記少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール中に存在する前記エチレンオキシドの含有量は、約17重量パーセント~約25重量パーセントである、前記[1]に記載の発泡体形成組成物。
[11]発泡体形成反応混合物組成物を作製するためのプロセスであって、
(I)有機イソシアネートと、
(II)
(a)少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、
(b)少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、
(c)少なくとも1つの反応性発泡触媒、
(d)少なくとも1つの界面活性剤、および
(e)水の混合物と、を混合することを含む、プロセス。
[12]ポリウレタン発泡体物品であって、
(I)有機イソシアネートと、
(II)
(a)少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、
(b)少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、
(c)少なくとも1つの反応性発泡触媒、
(d)少なくとも1つの界面活性剤、および
(e)水の混合物と、の反応生成物を含む、物品。
[13]前記ポリウレタン発泡体は、約15kg/cm
3
~約50kg/cm
3
の自由膨張密度(free rise density)を有する、前記[12]に記載の発泡体物品。
[14]空洞閉塞吸音自動車用内部物品を含む、前記[12]に記載の発泡体物品。
[15]軟質ポリウレタン発泡体を製造するためのプロセスであって、
(1)
(I)有機イソシアネートと、
(II)
(a)少なくとも1つの自己触媒性ポリオール、
(b)少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)でキャップされたポリオール、
(c)少なくとも1つの反応性発泡触媒、
(d)少なくとも1つの界面活性剤、および
(e)水の混合物と、を混合する工程であって、反応性発泡体形成組成物が形成される、工程と、
(2)工程(1)からの前記得られる反応性発泡体形成組成物を、前記反応性発泡体組成物を硬化させるのに十分な条件に供して、軟質ポリウレタン発泡体を形成する工程と、を含む、プロセス。