(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】プラズマフェレーシス遠心分離ボウル
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20240411BHJP
A61M 1/38 20060101ALI20240411BHJP
B04B 1/02 20060101ALI20240411BHJP
B04B 11/02 20060101ALI20240411BHJP
B04B 7/08 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61M1/36 181
A61M1/38
B04B1/02
B04B11/02
B04B7/08
(21)【出願番号】P 2020551262
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 US2019023100
(87)【国際公開番号】W WO2019190847
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-28
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594202615
【氏名又は名称】ヘモネティクス・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Haemonetics Corporation
【住所又は居所原語表記】125 Summer Street Boston MA 02110 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】コリトコ,テイラー
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0199720(US,A1)
【文献】特開平09-276396(JP,A)
【文献】特表2005-500081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-1/38
B04B 1/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマフェレーシスボウル用のコアであって:
コアおよびコアの内部を画定する円筒状本体;
円筒状本体の基端と末端の間でコアの内部に配置されたレッジ、このレッジはコアの内径部分から半径方向内方に延び、プラズマフェレーシスボウル内部に収集チャンバーを少なくとも部分的に画定する上部表面を有する
、この収集チャンバーは少なくとも円筒状本体の一部およびレッジにより形成されている;および
円筒状本体の基端部分の周囲に間隔を置いて配置された複数のリブ、これら複数のリブは円筒状本体の基端より上方に延び、それによって複数のリブのそれぞれの間に流路を生成し、流路は円筒状本体および収集チャンバーの内部に流体が入ることを許容する
を含むコア。
【請求項2】
円筒状本体はレッジの下側に配置された第2部分を有し、第2部分の少なくとも一部分は光学センサー用の反射表面を提供するように構成されている、請求項1によるコア。
【請求項3】
円筒状本体は第2部分の下側に配置された末端部分を有し、末端部分はプラズマフェレーシスボウル内部で流体を安定化させるよう構成されている、請求項2によるコア。
【請求項4】
基端部分はレッジの上方に配置され、基端部分はプラズマフェレーシスボウル内部で収集チャンバーを分離領域から隔絶するように構成されている、請求項1によるコア。
【請求項5】
基端部分は収集チャンバー内の乱流および剪断力が分離領域に到達することを防止するように構成されている、請求項4によるコア。
【請求項6】
基端部分の内壁が収集チャンバーの側壁を画定している、請求項4によるコア。
【請求項7】
複数のリブのそれぞれは上部表面を含み、複数のリブの少なくとも1つの上部表面はプラズマフェレーシスボウルの一部分と相互作用して円筒状本体をプラズマフェレーシスボウル内に固定するよう構成されている、請求項1によるコア。
【請求項8】
複数のリブのそれぞれは下部表面を含み、複数のリブの少なくとも1つの下部表面はプラズマフェレーシスボウルの本体の接合レッジと相互作用するよう構成され、それによってコアをプラズマフェレーシスボウルに位置決めする、請求項1によるコア。
【請求項9】
複数のリブのそれぞれは外側表面を含み、複数のリブの少なくとも1つの外側表面はプラズマフェレーシスボウルの内側表面と相互作用してコアとプラズマフェレーシスボウルの間に締まり嵌めを生成するように構成されている、請求項1によるコア。
【請求項10】
プラズマフェレーシスボウルの内側表面はプラズマフェレーシスボウルのネック部分内部にある、請求項9によるコア。
【請求項11】
レッジの上部表面は円筒状本体の末端に向けて下方に傾斜している、請求項1によるコア。
【請求項12】
レッジは下部表面を含み、レッジの下部表面はコアの内部にありレッジの下側にある流体が収集チャンバーに流入するのを防止するように構成されている、請求項1によるコア。
【請求項13】
レッジはそれを通って延びる開口を含み、開口はプラズマフェレーシスボウルの供給チューブがレッジを通過することを許容し、プラズマフェレーシスボウルが停止したときに収集チャンバー内部の流体が収集チャンバーから流出するのを許容するように構成されている、請求項1によるコア。
【請求項14】
開口は円筒状本体と同軸であるようにレッジの中央に配置されている、請求項13によるコア。
【請求項15】
円筒状本体は円筒状本体の長さにわたって一定の外径を有する、請求項1によるコア。
【請求項16】
複数のリブは3つまたはより多くのリブを含む、請求項1によるコア。
【請求項17】
複数のリブは8つのリブを含む、請求項1によるコア。
【請求項18】
プラズマフェレーシス遠心分離ボウル用の供給チューブであって:
基端と末端の間を延びる管状部材、この管状部材はそれを通って延びる流路を有し、
この流路はプラズマフェレーシス遠心分離ボウルの入口ポートをプラズマフェレーシス遠心分離ボウルの内部と流体的に接続する;および
管状部材から半径方向外方に延びる第1スカート部材、この第1スカート部材は管状部材に対してほぼ垂直な第1表面および第1表面から半径方向外方に遠位に延びる傾斜表面を有し、傾斜表面は平滑である
を含む供給チューブ。
【請求項19】
第1表面上に配置されて第1スカート部材を第2スカート部材から離隔するように構成され、それによって第1スカート部材と第2スカート部材の間に延びる流体チャネルを生成する少なくとも1つの離隔リブをさらに含む、請求項18による供給チューブ。
【請求項20】
第2スカート部材はプラズマフェレーシス遠心分離ボウルのヘッダーアセンブリに配置されている、請求項19による供給チューブ。
【請求項21】
少なくとも1つのリブは第1表面に沿って延びる第1部分、および管状部材の少なくとも一部分に沿って近位に延びる第2部分を有する、請求項19による供給チューブ。
【請求項22】
プラズマフェレーシス遠心分離ボウル内部のコア並びに第1スカート部材および第2スカート部材はコアの基端部分の内径部分と第1スカート部材および第2スカート部材の外径部分との間の距離が最大化されるように構成されている、請求項19による供給チューブ。
【請求項23】
少なくとも1つの
離隔リブが3つのリブ
である、請求項19による供給チューブ。
【請求項24】
3つのリブは第1スカート部材の周囲に等しく間隔を置いている、請求項23による供給チューブ。
【請求項25】
流体チャネルはプラズマフェレーシス遠心分離ボウル内部の収集チャンバーをプラズマフェレーシス遠心分離ボウルの出口ポートと流体的に接続する、請求項19による供給チューブ。
【請求項26】
供給チューブを介してプラズマフェレーシス遠心分離ボウルに入る流体がプラズマフェレーシス遠心分離ボウルの底部の近くに導入されるように、管状部材の末端に接続されプラズマフェレーシス遠心分離ボウルの底部に向けて延びる延長チューブをさらに含む、請求項18による供給チューブ。
【請求項27】
プラズマフェレーシスボウルであって:
プラズマフェレーシスボウルの長手方向軸の周囲に回転可能な外側本体、この外側本体は内部キャビティを画定する主本体、主本体の近位に延びるネック部分、および主本体とネック部分を接続するショルダーを有する;
外側本体内に配置されて一緒に回転可能なコア、このコアは:
コアおよびコアの内部を画定する円筒状本体;
円筒状本体の基端と末端の間でコアの内部に配置されたレッジ、このレッジはコアの内径部分から半径方向内方に延び、プラズマフェレーシスボウル内部に収集チャンバーを少なくとも部分的に画定する上部表面を有する
、この収集チャンバーは少なくとも円筒状本体の一部およびレッジにより形成されている;および
円筒状本体の基端部分の周囲に間隔を置いて配置された複数のリブ、これら複数のリブは円筒状本体の基端より上方に延び、それによって複数のリブのそれぞれの間に流路を生成し、流路は円筒状本体および収集チャンバーの内部に流体が入ることを許容する、
を有する;
コアと外側本体の間に配置された分離領域、プラズマフェレーシスボウルの回転は全血を分離領域内で第1血液成分および第2血液成分に分離する;
全血をプラズマフェレーシスボウル内に導入する入口ポート;
入口ポートに流体的に接続され外側本体の底部に向けて遠位に延伸する供給チューブ、この供給チューブは全血をプラズマフェレーシスボウルに導入するよう構成されている;
第1血液成分をプラズマフェレーシスボウルから抽出するための出口ポート;および
入口ポートおよび出口ポートを外側本体に流体的に結合するロータリーシールを含むプラズマフェレーシスボウル。
【請求項28】
円筒状本体はレッジの下側に配置された第2部分を有し、第2部分の少なくとも一部分は光学センサー用の反射表面を提供するように構成されている、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項29】
円筒状本体は第2部分の下側に配置された末端部分を有し、末端部分はプラズマフェレーシスボウル内部で流体を安定化させるよう構成されている、請求項28によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項30】
円筒状本体の末端部分は分離領域内部で血漿層を安定化するように構成されている、請求項29によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項31】
分離領域内の分離された血漿層の内径部分が円筒状本体の末端部分に接触する、請求項30によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項32】
基端部分はレッジの上方に配置され、基端部分は収集チャンバーを分離領域から隔絶するように構成されている、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項33】
基端部分は収集チャンバー内部の乱流および剪断力が分離領域に到達するのを防止するように構成されている、請求項32によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項34】
基端部分の内壁が収集チャンバーの側壁を画定する、請求項32によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項35】
複数のリブのそれぞれは上部表面を含み、複数のリブの少なくとも1つの上部表面はクラウンシールの一部分と相互作用して円筒状本体をプラズマフェレーシスボウル内に固定するよう構成されている、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項36】
外側本体はネック部分内部に接合レッジを有し、複数のリブのそれぞれは下部表面を含み、複数のリブの少なくとも1つの下部表面はプラズマフェレーシスボウルの接合レッジと相互作用するよう構成され、それによってコアをプラズマフェレーシスボウル内に位置決めする、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項37】
複数のリブのそれぞれは外側表面を含み、複数のリブの少なくとも1つの外側表面はプラズマフェレーシスボウルのネック部分の内側表面と相互作用するよう構成され、それによってコアとプラズマフェレーシスボウルとの間に締まり嵌めを生成する、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項38】
レッジの上部表面は円筒状本体の末端に向けて下方に傾斜している、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項39】
レッジは下部表面を含み、レッジの下部表面はコアの内部にありレッジの下側にある流体が収集チャンバーに流入するのを防止するように構成されている、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項40】
レッジはそれを通って延びる開口を含み、供給チューブはこの開口を通って延びる、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項41】
開口は円筒状本体と同軸であるようにレッジの中央に配置されている、請求項40によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項42】
円筒状本体は円筒状本体の長さにわたって一定の外径を有する、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項43】
複数のリブは8つのリブを含む、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項44】
供給チューブは:
供給チューブの基端と末端の間を延びる管状部材、この管状部材はそれを通って延びる流路を有し、この流路は入口ポートとプラズマフェレーシスボウルの内部キャビティを流体的に接続する;および
管状部材から半径方向外方に延びる第1スカート部材、この第1スカート部材は管状部材に対してほぼ垂直な第1表面および第1表面から半径方向外方に遠位に延びる傾斜表面を有し、傾斜表面は平滑である
を含む、請求項27によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項45】
供給チューブはさらに:
第1表面上に配置されて第1スカート部材を第2スカート部材から離隔するように構成され、それによって第1スカート部材と第2スカート部材の間に延びる流体チャネルを生成する少なくとも1つの離隔リブを含む、請求項44によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項46】
第2スカート部材はプラズマフェレーシスボウルのヘッダーアセンブリに配置されている、請求項45によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項47】
少なくとも1つの離隔リブは第1表面に沿って延びる第1部分、および管状部材の少なくとも一部分に沿って近位に延びる第2部分を有する、請求項45によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項48】
コア並びに第1スカート部材および第2スカート部材はコアの基端部分の内径部分と第1スカート部材および第2スカート部材の外径部分との間の距離が最大化されるように構成されている、請求項45によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項49】
少なくとも1つの離隔リブが3つのリブ
である、請求項45によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項50】
3つの離隔リブは第1スカート部材の周囲に等しく間隔を置いている、請求項49によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項51】
流体チャネルは収集チャンバーと出口ポートを流体的に接続する、請求項45によるプラズマフェレーシスボウル。
【請求項52】
プラズマフェレーシスボウルに入る流体がプラズマフェレーシスボウルの底部の近くに導入されるように、管状部材の末端に接続されプラズマフェレーシスボウルの底部に向けて延びる延長チューブをさらに含む、請求項44によるプラズマフェレーシスボウル。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
この特許出願は、2018年3月26日に出願され、発明者としてテイラー・コリトコの名を挙げ、代理人文書番号130670-08802(以前は1611/C88)が割り当てられた、「プラズマフェレーシス遠心分離ボウル」と題する米国特許出願第15/935,476号の優先権を主張しており、この出願の開示内容は全体的に、ここでの参照によって本願に取り入れられる。
【技術分野】
【0002】
本発明は血液アフェレーシスのためのシステムおよび方法に関し、より特定的には、血漿製品を収集するための遠心分離ボウルに関する。
【背景技術】
【0003】
アフェレーシスは、対象者から一時的に引き出された全血から、個別の血液成分を分離し収集することのできる手順である。典型的には、全血は対象者の腕の静脈に穿刺された針を通して、遠心分離ボウルのような細胞分離器内へと引き出される。全血がひとたびその各種成分へと分離されたなら、成分の1つまたはより多く(例えば血漿)を遠心分離ボウルから取り出すことができる。残余の成分は、取り出した成分の容積を補うだけの任意選択的な補償流体と共に、対象者に返却することができる。この引き出しおよび返却の処理は、所望とする成分量が収集されるまで続けられ、その時点で処理は停止される。アフェレーシスシステムの中心的な特徴は、処理されたが必要ではない成分が、供血者に返還されるところにある。分離される血液成分には、例えば、赤血球のような高密度成分、血小板または白血球のような中間密度成分、および血漿のような低密度成分が含まれてよい。
【0004】
現在利用可能な遠心分離ボウルのうち幾つかのものは、乱流および剪断力の影響を受け、これらは血液成分の分離および血漿収集に対して負の影響を及ぼす。例えば、幾つかの従来技術による遠心分離ボウルは、乱流および剪断力(例えば流出スカート部に対して回転流体が接触することによって生成される)が、ボウルの分離チャンバー内に伝達されることを許容する。これは次に、分離チャンバーにおける細胞の分離を妨害し、ボウル光学系に雑音信号を生じさせ、そして血漿からの細胞の分離を低減させる。加えて、この乱流および剪断力は、収集される血漿の中に泡立ちを生じさせうる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の幾つかの実施形態によれば、プラズマフェレーシスボウルのコアは、円筒状本体、レッジ(棚状部分)、および複数のリブ部材を含んでいてよい。円筒状本体は、コアと、コアの内部を画定する。レッジは、円筒状本体の基端と末端の間でコアの内部に配置されてよく、コアの内径部分から半径方向内側に延びてよい。レッジは上部表面を有していてよく、それは少なくとも部分的に、プラズマフェレーシスボウル内部の収集チャンバーを画定する。リブは基端により近い、円筒状本体の基端部分の周囲上に、間隔を置いて配置されていてよい。これらのリブは円筒状本体の基端上方に延在し、それらの間に流路を形成して、流体が円筒状本体の内部および収集チャンバーに入ることを可能にする。複数のリブには、3つまたはより多くのリブ(例えば8つのリブ)が含まれていてよい。
【0006】
幾つかの実施形態において、円筒状本体はレッジの下側に配置された第2部分を有していてよい。この第2部分は、光学センサー用の反射表面を提供するものであってよい。加えて、円筒状本体は第2部分の下側に配置された末端部分を有していてよく、これはプラズマフェレーシスボウルの内部で流体を安定化させうる(例えば処理の間に)。基端部分はレッジの上方に配置されていてよく、そして収集チャンバーをプラズマフェレーシスボウル内部の分離領域から隔絶してよい。加えて、または代替的に、基端部分は収集チャンバー内部の乱流および剪断力が分離領域に到達するのを防止してよい。基端部分の内壁は、収集チャンバーの側壁を画定してよい。
【0007】
複数のリブのそれぞれは、上部表面、下部表面、および外側表面を含んでいてよい。少なくとも1つのリブの上部表面は、プラズマフェレーシスボウルの一部分と相互作用して、円筒状本体をプラズマフェレーシスボウルの内部に固定してよい。少なくとも1つのリブの下部表面は、プラズマフェレーシスボウルの本体上にある接合レッジと相互作用して、コアをプラズマフェレーシスボウルに位置決めしてよい。少なくとも1つのリブの外側表面は、プラズマフェレーシスボウルの内側表面(例えばボウルのネック部分内にある)と相互作用して、コアとプラズマフェレーシスボウルの間に締まり嵌めを生成してよい。
【0008】
幾つかの実施形態において、レッジの上部表面は、円筒状本体の末端に向けて下方へと傾斜していてよい。レッジはまた、コアの内部にありレッジの下側にある流体が収集チャンバーに入ることを防止する、下部表面を含んでいてよい。レッジはまた、レッジを貫通して延びる開口を含んでいてよい。この開口は、プラズマフェレーシスボウルの供給チューブがレッジを通過することを許容し、プラズマフェレーシスボウルが停止したときに、収集チャンバー内部の流体が収集チャンバーから排出されることを可能にしてよい。この開口は、レッジの中央に配置されて、それが円筒状本体と同軸であるようにしてよい。円筒状本体は、円筒状本体の長さにわたって、一定の外径を有していてよい。
【0009】
さらなる実施形態によれば、プラズマフェレーシス遠心分離ボウル用の供給チューブは、基端と末端の間に延びる管状部材と、第1スカート部材とを含んでいてよい。この管状部材は、それを通って延び、プラズマフェレーシス遠心分離ボウル上の入口ポートと、プラズマフェレーシス遠心分離ボウルの内部とを流体的に接続する流路を有していてよい。第1スカート部材は管状部材から半径方向外方へと延びてよく、そして(1)管状部材に対してほぼ垂直な第1表面、および(2)第1表面から遠位へと半径方向外方に延びる傾斜表面を有していてよい。傾斜表面は、平滑であってよい。
【0010】
供給チューブはまた、第1表面上に配置された、少なくとも1つの離隔リブ(例えばスカート部材の周囲に等間隔を置いた3つのリブ)を有していてよい。離隔リブは第1スカート部材を第2スカート部材から離隔させて、第1スカート部材と第2スカート部材の間に延びる流体チャネルを生成する。第2スカート部材は、プラズマフェレーシス遠心分離ボウルのヘッダーアセンブリに配置されていてよい。離隔リブ(単数または複数)は、第1表面に沿って延びる第1部分、および管状部材の少なくとも一部に沿って近位に延びる第2部分を有していてよい。プラズマフェレーシスボウル内部のコア、並びに第1および第2スカートは、コアの基端部分の内径部分と、第1および第2スカートの外径部分との間の距離が、最大化されるように構成されてよい。
【0011】
流体チャネルは、プラズマフェレーシス遠心分離ボウル内部の収集チャンバーを、プラズマフェレーシス遠心分離ボウルの出口ポートと流体的に接続してよい。供給チューブはまた、管状部材の末端に接続され、プラズマフェレーシス遠心分離ボウルの底部に向けて延びる、延長チューブを含んでいてよい。供給チューブを介してプラズマフェレーシス遠心分離ボウルに入る流体は、プラズマフェレーシス遠心分離ボウルの底部付近に導入されてよい。
【0012】
さらなる実施形態によれば、プラズマフェレーシスボウルは、遠心分離ボウルの長手方向軸の周囲で回転可能な、外側本体を含んでいてよい。外側本体は、内部キャビティを画定する主本体、主本体の近位で延びるネック部分、そして主本体とネック部分を接続するショルダー(肩)を有していてよい。ボウルはまた、外側本体の内部に配置され、内部で回転可能なコアを含んでいてよい。このコアは、(1)コアおよびコアの内部を画定する円筒状本体、(2)レッジ、および(3)複数のリブ(例えば8つのリブ)を有していてよい。レッジは、円筒状本体の基端と末端の間でコアの内部に配置されていてよく、そしてコアの内径部分から半径方向内方へと延びていてよい。レッジは上部表面を有していてよく、これはプラズマフェレーシスボウルの内部に収集チャンバーを少なくとも部分的に画定する。リブは円筒状本体の基端により近い、円筒状本体の基端部分上に、周方向に間隔を置いて配置されていてよい。これらのリブはまた円筒状本体の基端上方に延在し、それぞれのリブの間に流路を形成してよい。これらの流路は、流体が円筒状本体の内部および収集チャンバーに入ることを可能にする。
【0013】
ボウルはまた、コアと外側本体の間に配置された分離領域を有していてよく、遠心分離ボウルの回転は、分離領域内の全血を、第1血液成分および第2血液成分に分離してよい。加えて、ボウルは、全血をプラズマフェレーシスボウルの中へと導入するための入口ポート、第1血液成分を遠心分離ボウルの外部へと抽出するための出口ポート、供給チューブ、およびロータリーシールを含んでいてよい。供給チューブは入口ポートに流体的に接続され、外側本体の底部に向けて遠位へと延伸してよく、そして全血をプラズマフェレーシスボウル内部へと導入してよい。ロータリーシールは外側本体に装着されてよいヘッダーアセンブリの一部であってよく、入口ポートおよび出口ポートを外側本体へと流体的に結合する。
【0014】
幾つかの実施形態において、コアの円筒状本体はレッジの下側に配置された第2部分を有していてよく、そして第2部分の少なくとも一部分は、光学センサー用の反射表面を提供するものであってよい。加えて、または代替的に、円筒状本体は、第2部分の下側に配置され、プラズマフェレーシスボウルの内部で流体を安定化させるよう構成された末端部分を有していてよい。例えば、円筒状本体の末端部分は、分離領域の内部で血漿層を安定化するように構成されていてよい。分離領域内で形成される分離された血漿層の内径部分は、円筒状本体の末端部分に接触してよい。
【0015】
基端部分はレッジの上方に配置されていてよく、そして収集チャンバーを分離領域から隔絶してよい。例えば基端部分は、収集チャンバー内部の乱流および剪断力が分離領域に到達するのを防止してよい。基端部分の内壁は、収集チャンバーの側壁を画定してよい。
【0016】
複数のリブのそれぞれは、上部表面、外側表面、および下部表面を含んでいてよい。少なくとも1つのリブの上部表面は、クラウンシールの一部と相互作用して、円筒状本体をプラズマフェレーシスボウル内部に固定してよい。外側本体はネック部分の内部に接合レッジを有していてよく、そして少なくとも1つのリブの下部表面は、プラズマフェレーシスボウルの接合レッジと相互作用してよい(例えばコアをプラズマフェレーシスボウルに位置決めするために)。少なくとも1つのリブの外側表面は、プラズマフェレーシスボウルのネック部分の内側表面と相互作用して、コアとプラズマフェレーシスボウルの間に締まり嵌めを生成してよい。
【0017】
さらなる実施形態において、レッジの上部表面は、円筒状本体の末端に向けて下方へと傾斜していてよい。レッジの下部表面は、コアの内部にありレッジの下側にある流体が、収集チャンバーに入ることを防止してよい。加えて、または代替的に、レッジはそれを貫通して延びる開口を有していてよい。そうした実施形態においては、供給チューブは開口を通って延びてよい。開口は、円筒状本体と同軸となるように、レッジの中央に配置されていてよい。円筒状本体は、円筒状本体の長さにわたって、一定の外径を有していてよい。
【0018】
供給チューブは、管状部材および第1スカートを含んでいてよい。管状部材は供給チューブの基端と末端の間に延びてよく、そしてそれを貫通して延びる流路を有していてよい。流路は、プラズマフェレーシスボウルの入口ポートと内部キャビティとを流体的に接続してよい。第1スカート部材は、管状部材から半径方向外方へと延びてよい。第1スカートは、管状部材に対してほぼ垂直な第1表面と、第1表面から半径方向外方に遠位へと延びる傾斜表面を有していてよい。傾斜表面は平滑であってよい。
【0019】
さらなる実施形態においては、供給チューブはさらに、第1表面上に配置された少なくとも1つの離隔リブ(例えばスカート部材の周囲に等間隔を置いた3つのリブ)を有していてよい。離隔リブ(単数または複数)は第1スカート部材を第2スカート部材から離隔させて、これらのスカート部材の間に延びる流体チャネルを生成する。流体チャネルは収集チャンバーと出口ポートを流体的に接続してよい。第2スカート部材は、プラズマフェレーシス遠心分離ボウルのヘッダーアセンブリに配置されていてよい。離隔リブ(単数または複数)は、第1表面に沿って延びる第1部分、および管状部材の少なくとも一部に沿って近位に延びる第2部分を有していてよい。プラズマフェレーシスボウル並びに第1および第2スカートは、コア壁の基端部分の内径部分と、第1および第2スカートの外径部分との間の距離が、最大化されるように構成されてよい。ボウルはまた、管状部材の末端に接続された延長チューブを含んでいてよい。この延長チューブは、プラズマフェレーシス遠心分離ボウルに入る流体がプラズマフェレーシス遠心分離ボウルの底部付近に導入されるように、プラズマフェレーシス遠心分離ボウルの底部に向けて延びていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の以上の特徴は、添付図面を参照して記述される以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解される。添付図面において:
【0021】
図1は、本発明の幾つかの実施形態による血液処理システムの斜視図を概略的に示している。
【0022】
図2は、本発明の幾つかの実施形態による
図1の血液処理システムの上面図を概略的に示している。
【0023】
図3は、本発明の幾つかの実施形態による、血液処理システム内に装着されるディスポーザブル(使い捨て)セットを概略的に示している。
【0024】
図4は、本発明の幾つかの実施形態による、
図1から
図3に示すシステムについて使用するプラズマフェレーシス遠心分離ボウルを概略的に示している。
【0025】
図5は、本発明の幾つかの実施形態による、
図4に示すプラズマフェレーシス遠心分離ボウルの断面図を概略的に示している。
【0026】
図6は、本発明の幾つかの実施形態による、
図4に示すプラズマフェレーシス遠心分離ボウルのネック部分の断面図を概略的に示している。
【0027】
図7は、本発明の種々の実施形態による、
図4に示すプラズマフェレーシス遠心分離ボウルにおいて使用するための供給チューブを概略的に示している。
【0028】
図8Aから
図8Eは、本発明の種々の実施形態による、
図4に示すプラズマフェレーシス遠心分離ボウルにおいて使用するためのコアの種々の図を概略的に示している。
【0029】
図9Aから
図9Bは、本発明の種々の実施形態による、血液処理の間の
図4に示すプラズマフェレーシス遠心分離ボウルを概略的に示している。
【0030】
図10は、本発明の代替的な実施形態による、代替的なコアを備えたプラズマフェレーシス遠心分離ボウルの断面図を概略的に示している。
【0031】
図11Aから
図11Bは、本発明の幾つかの実施形態による、
図10に示す代替的なコアの種々の図を概略的に示している。
【0032】
図12Aから
図12Cは、本発明の幾つかの実施形態による、さらなる代替的なコアの種々の図を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の例示的な実施形態は、血漿の分離および収集のためのプラズマフェレーシスボウルを提供する。ボウルは、ボウルの効率を増大させて血漿内部の泡立ちを低減させる、コアおよび供給チューブを有していてよい。例示的な実施形態の詳細について以下で説明する。
【0034】
図1および
図2に示されているように、血液処理システム100は、システム100の主要な部品(例えば、使い捨てでない部品)を収容するキャビネット110を含んでいる。キャビネット110の内部おいて、システム100は、対象者から全血を採取する第1/血液ポンプ232、および抗凝固剤をシステム100を通して、採取された全血へと給送する第2/抗凝固剤ポンプ234を含んでいてよい。加えて、システム100は幾つものバルブを含んでいてよく、それらはシステム100を通る流体の流れを制御するように開放および/または閉鎖されてよい。例えば、システム100は、供血者ライン218(例えば入口側ライン;
図3)を通る流体の流れを選択的に阻止および許容するよう開放および閉鎖されてよい供血者バルブ120、および出口側/血漿ライン222(
図3)を通る流体の流れを選択的に阻止および許容する血漿バルブ130を含んでいてよい。幾つかの実施形態はまた、生理食塩水が生理食塩水ライン223を通って流れるのを選択的に阻止および許容する、生理食塩水バルブ135を含んでいてよい。
【0035】
ディスポーザブルセットの接続および装着を容易にし、また対応する流体容器を支持するために、システム100は抗凝固剤用ポール150を含んでいてよく、その上には抗凝固剤溶液容器210(
図3)を引っ掛けることができ、また生理食塩水用ポール160を含んでいてよく、その上には生理食塩水溶液217(
図3)を引っ掛けることができる(例えば実行されている手順が生理食塩水の使用を必要とする場合)。加えて、幾つかの用途においては、処理を行うために対象者から採取した全血を濾過することが必要および/または望ましい場合がありうる。そのために、システム100は血液フィルターホルダー170を含んでいてよく、その中に血液フィルター(ディスポーザブルセットに設置されている)が配置されてよい。
【0036】
以下でより詳細に説明するように、本発明の実施形態によるアフェレーシスシステム100は、血液ポンプ232を使用し、静脈アクセス装置206(
図3)を介して、対象者から全血を採取する。システム100は対象者から全血を採取し、その全血は
図4に示すプラズマフェレーシス遠心分離ボウル300のような血液成分分離装置214に入る(代替的にはレーサム(Latham)タイプの遠心分離器または他のタイプの分離チャンバーおよび装置が使用されてよい)。血液成分分離装置214は、全血をその構成成分(例えば赤血球、白血球、血漿、および血小板)に分離する。従って、分離装置214の動作を促進するために、システム100はまたウェル180を含んでいてよく、その中には分離装置214が配置されてよく、そしてその中で分離装置214は回転する(例えば全血を分離するのに必要な遠心力を生成するために)。
【0037】
ユーザー/技術者がシステムの動作を監視し、そして手順の種々のパラメーターを制御/設定することを可能にするために、システム100は、作動パラメーター、任意の警告メッセージ、およびユーザー/技術者が各種のパラメーターを制御するために押してよいボタンを表示する、ユーザーインタフェース190(例えばタッチスクリーン装置)を含んでいてよい。血液処理システム100のさらなる部品については、以下でより詳しく説明する(例えばシステムの動作に関連して)。
【0038】
図3は、本発明による、血液処理システム100、および血液処理システム100上/内に装着されてよいディスポーザブル収集セット200(入口側ディスポーザブルセット200Aおよび出口側ディスポーザブルセット200Bを備える)の、概略的なブロック図である。この収集セット200は、供血者の腕208から血液を採取するための静脈アクセス装置206(例えば静脈穿刺針)、抗凝固剤容器210、遠心分離ボウル300(例えば血液成分分離装置)、生理食塩水容器217、および最終的な血漿収集バッグ216を含んでいる。血液/入口側ライン218は静脈アクセス装置206をボウル300の入口ポート330に結合し、血漿/出口側ライン222はボウル300の出口ポート340を血漿収集バッグ216に結合し、そして生理食塩水ライン223はボウル300の出口ポート340を生理食塩水容器217に接続する。抗凝固剤ライン225は抗凝固剤容器210を入口側ライン218に結合する。上記した部品に加えて、そして
図3に示されているように、血液処理システム100はコントローラ226、モーター228、および遠心分離チャック230を含んでいる。コントローラ226は、2つのポンプ232および234、並びにモーター228を作動させるよう結合されており、モーター228は次いで、チャック230を駆動する。コントローラ226は、ユーザーインタフェース190に関連して作動するよう結合され、また通信を行っていてよい。
【0039】
動作時には、ディスポーザブル収集セット200(例えば入口側ディスポーザブルセット200Aおよび出口側ディスポーザブルセット200B)が、血液処理に先立って、血液処理システム100上/内に装着されてよい。特に、血液/入口側ライン218は血液/第1ポンプ232を通るよう装着され、そして抗凝固剤容器210からの抗凝固剤ライン225は、抗凝固剤/第2ポンプ234を通るよう装着される。次いで遠心分離ボウル300が、チャック230内にしっかりと装填されてよい。ひとたびボウル300が定位置に固定されたならば、技術者は出口側ディスポーザブルセット200Bを装着してよい。例えば技術者は、ボウルコネクタをボウル300の出口340に接続し、血漿容器216を重量センサー195内に設置し、生理食塩水ライン223をバルブ135を通して引き回し、そして血漿/出口ライン222をバルブ130およびラインセンサー185を通して引き回してよい。ひとたびディスポーザブルセット200が装着され、そして抗凝固剤容器および生理食塩水容器210/217が接続されたならば、システム100は血液処理を開始する準備が整っている。
【0040】
図3に示されているように、システム100はまた、ボウル300のショルダー部に対して適用されてよい、光学センサー213を含んでいてよい。光学センサーは血液成分の層のそれぞれを、それらがボウル300の外壁からコアに向かって徐々に同軸的に進んでくるにつれて監視する。光学センサー213は、バフィコートおよび/または赤血球が特定の半径に達したことを検出可能な位置(例えばウェル180の内部)に設けられてよく、そして以下でより詳細に説明するように、システム100はその検出に応じて、プラズマフェレーシスを変更してよい。
【0041】
図4および
図5は、上記で説明したシステムに関連して使用されてよい、遠心分離ボウル300(例えばプラズマフェレーシスボウル)の斜視図および断面図を概略的に示している。このボウル300はボウル300の構造を画定する外側本体310と、処理を行うために全血が内部へと導入されてよい内部容積320とを有している。外側本体310は次いで、主壁部312、ネック部分316、および主壁部312とネック部分316を接続するショルダー部分314を含んでいる。以下でより詳しく説明するように、ボウル300は全血をその各種成分(例えば血漿、赤血球、その他)に分離するために、軸の周囲で回転可能である。
【0042】
上記したように、ボウル300は、全血がボウル300内部へと導入されることを可能にする入口330、および血漿(または他の血液成分)がボウル300から抽出されることを可能にする出口ポート340を有してよい。入口330および出口340がボウルの回転の間に静止状態にとどまることを可能にするように、そして
図5および
図6に最もよく示されているように、遠心分離ボウル300は、ポート(例えば入口330および出口340)をボウル300の外側本体310に接続するロータリーシール350を含んでいてよい。ロータリーシール350は2つのリング(例えばセラミックリング351Aおよびカーボンリング351B)を含んでいてよい。一方のリング(例えばセラミックリング351A)はクラウンシール356に取着され、クラウンシールは次いで、外側本体310に取着されている。ロータリーシール350は、入口330および出口340が静止状態にとどまる一方で、ボウル300(および内側内部のコア500、以下でより詳しく説明する)が回転することを可能にする。
【0043】
幾つかの実施形態においては、全血をボウル300の底部付近に導入することが有利でありうる。そのために、ボウル300は供給チューブ400を含んでいてよく、これはボウル300のヘッダーアセンブリ355からボウル300の内部320へと延びる。
図7に示されているように、供給チューブ400は管状部材410を、それを貫通して延びる流路420を備えて含み、全血が供給チューブ400を通って流れることを可能にする。管状部材410の一端(例えば基端412)および流路420は、入口ポート330に対して流体的に接続されている。管状部材410の末端414において供給チューブ400は、管状部材410から延び、コア500(以下でより詳しく説明する)を通り、そしてボウル300の底部に向かう延長チューブ430を有する(例えば供給チューブ400を通って流れる液体がボウル本体310の基部313に排出されるように)。
【0044】
管状部材410の末端414付近において、供給チューブ400はスカート440を有し、これは管状部材410から半径方向外方に延びている。例えば、スカート440は第1部分442を有し、これは管状部材410からほぼ垂直方向に延びて、第1部分442の1つまたはより多くの表面(例えば上部表面443)が管状部材410の長手方向軸に対して垂直となるようにされている。第1部分442から延伸して、スカート440は第1部分442から半径方向外方、および下方/遠位の両方に延びる傾斜部分444を有していてよく、かくして傾斜部分444の上部表面445は下方へと傾斜する(例えばそれは、管状部材410の長手方向軸に対して垂直でない)。傾斜部分444はその長さにわたって一定の角度を有していてよく、またはその角度は傾斜部分444の長さにわたって徐々に、または段階的な仕方で変化してよいことに留意すべきである。
【0045】
ボウル300のヘッダーアセンブリ355のスカート440および第2スカート/ディスク360は、流出チャネル362を形成していてよく、これは出口340に対して流体的に接続されて、収集チャンバー530(以下でより詳しく説明する)内部の血液成分がボウル300から出ることを可能にする。この流出チャネル362を形成するために、スカート440は幾つもの(例えば3つ)離隔リブ460を有していてよく、これは供給チューブ400上のスカート440とヘッダーアセンブリ355上のスカート360との間に隔たりを維持する(例えば流体がスカート440/360の間を流れることができるように)。離隔リブ460は第1部分442の上部表面443上だけに配置されていてよく、または
図7に示すように、離隔リブ460は上部表面443に沿って、そして管状部材410の外側表面を登って延びてよい。
図7は管状部材410および上部表面443の周方向に等間隔で離れた3つの離隔リブ460を示しているが、他の実施形態では3つより多いまたは少ない離隔リブ460を有していてよいことに留意すべきである。加えて、または代替的に、離隔リブ460は管状部材410および上部表面443の周囲に等間隔でなくてもよい(例えばそれらは、不規則に離隔されていてよい)。
【0046】
上記したように、ボウル300のヘッダーアセンブリ355(入口330および出口340を含む)は、ボウル300と一緒に回転しない。従って、供給チューブ400はヘッダーアセンブリ355に接続されていることから、同様にボウル300と一緒に回転しない。従って、流出チャネル362を介しての血漿の収集の間、静止状態のスカート360/440(例えば流出チャネルを形成している)は、回転する血漿成分に対して剪断力を付与しうるものであり、これは次いで、泡立ちを生じうる。しかしながら、平滑な傾斜部分444/傾斜表面445を使用することにより、本発明の種々の実施形態は剪断力を低減させることが可能であり、そして次に、血漿内部の泡立ちを抑えることが可能である。離隔リブ460は流出チャネル362のさらに下流に配置されており、そして流体/血漿の回転速度はリブ460に到達する頃には低下しているから、離隔リブ460は著しい剪断力/乱流をもたらさないことに留意すべきである。加えて、または代替的に、幾つかの実施形態において、傾斜部分444の端部446(例えばスカート440の最も外側の部分)は丸められ、面取りされ、または剪断力を低減しおよび/または流体が流出チャネル362に入るのを助ける他の構成を有していてよい。
【0047】
上記したように、本発明の種々の実施形態は、ボウル300の内部に配置されたコア500を含んでいる。
図8Aから
図8Eに示されているように、コア500はコア500の全体構造を画定する円筒状本体510を含んでいてよい。円筒状本体510の内側内部において、コア500は円筒状本体510の内側表面から半径方向内方に延びるレッジ520を含んでいる。レッジ520より上方に位置している円筒状本体510の部分(例えば基端部分512)およびレッジ520は、コア500の内側内部に収集チャンバー530を形成し、そしてその中に流出チャネル362(スカート360/440によって形成される)が配置される(例えば血漿を収集チャンバー530から抽出できるように)。そのために、基端部分512の内側表面514(例えば基端部分512によって形成された壁)は、収集チャンバー530の外部境界を確定する。レッジ520(例えばレッジ520の上部表面522)は収集チャンバー530の下側境界を確定し、そして流入してくる血漿がそれ自体で確立されるようにする表面を生成する。レッジ520(例えばレッジ520の下部表面526)はまた、ボウル300の内部にありコア500より下側の流体が収集チャンバー530に入るのを防止する。
【0048】
収集チャンバー530を画定するのに加えて、コア500の基端部分512はまた、ボウル300の内部で収集チャンバー530を分離チャンバー325から分離するのを助ける(例えば分離チャンバー325からの流体は、収集チャンバー530に到達するためには、上方へと基端部分512の壁を越えて流れなければならないため)。収集チャンバー530を分離チャンバー325から分離することにより、基端部分512は、静止状態のスカート360/440に接触する収集チャンバー530内の回転する流体(例えば血漿)によって生成される、撹乱力(例えば剪断力、乱流力、その他)が、分離チャンバー325に入ることを防止する。これらの力が分離チャンバー325に到達するのを防止することにより、本発明の種々の実施形態は、より密に詰まった細胞層(他の場合には分離チャンバー325に到達する乱流によって撹乱されることになる)を保持することができる。このことは次いで、収集効率を増大させ、光学センサー213からの信号がより明確でより一貫性を有するようになることを確実にする(以下でより詳細に説明する)。
【0049】
光学センサー213の信号を改善し、細胞層がより密に圧縮されて保持されるのを可能にすることに加えて、壁(例えば基端部分512)はまた、血漿内部の泡立ちの低減を幾つかの仕方で助ける。例えば、基端部分512は収集チャンバー530および分離チャンバー325を分離することから、システム100内部の流量が低下または停止した場合に(例えばシステム100による全血ポンプ232の調節に起因して)、流体(例えば血漿)は収集チャンバー530内部にとどまる。このことは次いで、スカート360/440(および流出チャネル362)が濡れたままとなるレベルまで収集チャンバー530を満たして保持し、空気が血漿と混合することを妨げる。加えて、基端部分512は、収集チャンバー530内で基端部分512の内側壁上に、安定な流体層(収集チャンバー530に入る血漿の最初の容積から構成される)を形成するのを助ける。この安定な流体層は、収集スカート360/440の流入点の下側に存在することによって、新たな/流入してくる流体を安定化するのを助け、新たな血漿が上側に「乗り」、そして収集スカート(例えば流出チャネル362)を通って迅速に出て行くことを可能にする。このことは新たな/流入してくる流体と空気との混合を最小限にし、泡の発生を低減させ、そしてラインセンサー185の信号を改善させる(このことはシステム100がボウル300を出て行く細胞の内容物における変化をより正確に検出することを可能にし、システムの効率を改善させる)。
【0050】
レッジ520の位置は、ボウル300内における泡の発生量に影響しうることに留意すべきである。例えば、コア500内におけるレッジ520の配置が高すぎる場合、回転中のコア500は動かないスカート360/440の近くに位置することになる。このことは次いで、剪断力の増大と泡立ちの発生という結果を招く。加えて、レッジ520の配置が低すぎる場合は、収集チャンバー530に入る血漿はレッジ520までより大きく降下することになるが、これは血漿のレッジ520上へのより激しい「墜落」を生じさせる可能性があり、収集チャンバー530内の乱流および泡立ちの生成を増大させる。従って、レッジ520と動かないスカート360/440の間で生成される剪断力および乱流を最小限にするために、レッジ520が動かないスカート360/440から十分に離れて配置されること、但し血漿がレッジ520上に「墜落」するほど離れていないことが重要である。回転していない満たされたボウル300の流体充填レベルよりも低く配置されたレッジ520は、返血の開始時に収集チャンバー530の表面が赤血球に浸漬されるようになることを許容してよく、そしてボウル300が完全に空になった後でも、コアの内側表面上(例えば基端壁512の表面上とレッジ520の上部表面522上)には依然として赤血球残滓が残される可能性があり、後続のサイクルで収集チャンバー530に入った血漿によって、それが拾い上げられる可能性がある。
【0051】
基端部分512(例えば壁面)はまた、採取サイクルが完了したときに(例えば全血ポンプ232が停止し、遠心分離器(例えばモーター228およびチャック230)が減速した場合に)分離チャンバー325内の赤血球が収集チャンバー530に入るのを防止するのを助ける。ボウル300が減速するにつれて、ボウル300の血液成分に加わる遠心力は低減され、それにより、血液の細胞層への分離も失われる。かくして、それまでボウル本体310の外側へと圧縮されていた赤血球および他の細胞は、まだ分離チャンバー325内部にある血漿中に混合しうる。コア壁の基端部分512は、この細胞成分と血漿との混合物を分離チャンバー325に閉じ込めてよく、そして分離チャンバー325から収集チャンバー530内への細胞の流入を低減してよい。これは、ボウル300が減速した場合であっても、収集チャンバー530内部の血漿が、赤血球(および他の成分)から分離されたままとなることを可能にする。ボウル300が完全に空になった場合、コアの内側部分上(例えば基端壁512上およびレッジ520の上部表面522上)に残滓として残される赤血球および他の成分はより少ない可能性があり、後続のサイクルで流入してくる血漿によって拾い上げられる細胞は結果的により少なくなる。従って、プラズマフェレーシスの間に(例えばサイクルの間に)うっかり収集される赤血球の量は大きく低減される。
【0052】
円筒状本体510のレッジ520の下側に位置する部分(例えば部分516)は、光学センサー213用の反射表面を提供する。換言すれば、処理の間に、ボウルの光学センサー213はボウル内部へと光を当て、そしてセンサー213に戻る透過/反射の量は、ボウル300内部の物質層の位置についての指標をもたらす。コア500のレッジ520の下側の部分516は、光が反射されてセンサー213向かって戻る表面を提供する。
【0053】
幾つかの実施形態において、コア500はその長さに沿って一定の直径を有していてよく(例えばリブ540を除いて、コア500は平滑/垂直な外側表面513を有してよい)、血漿が捕捉されうるような張り出し部分がないことが確実にされる(例えば流体はスカートの直径部分まで満たされ、回転するボウル300によって生成される遠心力に抗して流れることができないため)。加えて、何らかの張り出し部分の直径がスカート360/440よりも小さい場合には、張り出し部分はまた、空気の捕捉をも生じうる。捕捉された空気が反射経路にある場合には、これは光学的信号の妨害を生ずることになる。
【0054】
図8Cから
図8Eに最も良く示されているように、レッジ520は、その中央を通って延びる開口524(例えば孔)を有していてよい。この開口524は、供給チューブ400の延長チューブ430がコア500およびレッジ520を介して通過することを許容し、また処理の終わりに収集チャンバー530内に残っている流体および収集された血漿が収集チャンバー530を出て、患者に戻されるか別個の収集容器に送られることができるように、例えばボウル300の底部へと流出するよう通過する開口を提供する。この流出を手助けし、また収集チャンバー530内に保持される流体を最小限にするために、レッジ520は遠位がコア500の底部に向けて延びてよく(例えば下方に)、かくして上部表面522は開口524に向けて傾斜している。
【0055】
コア500をボウル300の内部に位置決めし固定するために、コア500はコア500の基端(例えば上端)付近に、幾つものリブ540を有していてよい。例えば、リブ540の下部表面542は、ボウル本体310上の接合レッジ317(
図5および
図6)と相互作用してよく、そしてリブ540の外側表面544は、ボウル300/ボウル本体310のネック部分316の内側表面318と相互作用してよい。幾つかの実施形態において、リブ540の外側表面544とネック部分316の内側表面318との間の相互作用は、ボウル300/ボウル本体310とコア500との間に締まり嵌めを形成してよい。ボウル300内でさらにコア500をその位置に保持し、ボウル300内でのコア500の垂直方向の位置を保持するために、リブ540の上部表面546は、ヘッダーアセンブリ355のクラウンシール356とも相互作用してよい。
【0056】
リブ540はコアの円筒状本体510の基端(例えば上端)を越えて近位(上方)に延びていてよく、また円筒状本体510の直径まわりに間隔を置いていてよい。この点について、リブ540はそれらの間に流体チャネル550を形成していてよく、流体が基端部分512を越え、リブ540の間を通って収集チャンバー530へと流れることを可能にする。
図8Aから
図8Eはコア500の周囲に等間隔を置いた8つのリブ540を示しているが、他の実施形態では8つのリブ540より多いかまたは少なくてよいことに留意すべきである。加えて、または代替的に、リブ540はコア500の周囲で等しく間隔を置かなくともよい(例えばそれらは不規則な間隔を有していてよい)。
【0057】
また、ボウル300内でのコア500の大きさおよび配置は、コア500(処理の間に回転する)とスカート360/440(静止状態にある)との間に生成される剪断力の量に影響しうることにも留意すべきである。従って、生成される剪断力の量(そしてその結果として、血漿内部の泡立ちの量)を最小限にするために、本発明の種々の実施形態では、コア500の内側表面514とスカート360/440との間の距離を最大化してよい。これは幾つかの仕方で達成されてよい。例えば、幾つかの実施形態において、ボウル300の壁の厚さはネック部分316において低減されてよい(例えばネック部分316の内径を増大させることによって)。このことはコア500を太くすること、従ってコア500とスカート360/440との間の距離を増大させることを可能にする。加えて、このようにして距離を増大させることにより、ボウル300の他の側面(例えばボウル300全体の外側形状および寸法、ボウル本体の溶接部の位置、光学信号伝達部の位置、その他)は同じに維持されてよく、そしてボウル300は依然として、既存のプラズマフェレーシスシステムで使用されてよい。
【0058】
使用に際しては、ライン222/223が接続されボウル300がシステム100内に装着された後に、ユーザー/技術者は静脈アクセス装置206を供血者の腕208に挿入してよく、そしてコントローラ226は2つのポンプ232、234およびモーター228を付勢してよい。2つのポンプ232、234の作動は、供血者からの全血の採取、採取された全血内への容器210からの抗凝固剤の導入、および抗凝固処理された全血のボウル300の入口ポート330への配送を生じさせる。
【0059】
抗凝固剤ライン225はまた、細菌フィルター(図示せず)を含んでよいことに留意すべきであり、これは抗凝固剤源210、抗凝固剤、または抗凝固剤ライン225にある何らかの細菌がシステム100および/または対象者に入ることを防止する。加えて抗凝固剤ライン225は、抗凝固剤内における空気の存在を検出する空気検出器140を含んでいてよい。システム100のラインの何れかにおける気泡の存在は、システム100の動作にとって問題となりうるものであり、また気泡が血流に入った場合には、対象者にとっても有害でありうる。従って空気検出器は、気泡が検出された場合に抗凝固剤ライン225内部の流れを停止させる(例えば抗凝固剤ポンプ234を停止させることにより)連動装置に接続されてよく、それによって気泡が対象者に入り込むことを防止する。
【0060】
抗凝固処理された全血は対象者から引き出され、プラズマフェレーシスボウル300に導入される。全血は供給チューブ400および延長チューブ430を通って流れ、ボウル300の底部313付近でボウル300に入る。ボウルの回転によって生ずる遠心力は、ボウル300の外壁312に向かう全血の動きを生じさせ、そして血液成分分離装置214(例えばボウル300)は、全血を幾つかの血液成分に分離する。例えば、ボウル300は全血を、第1、第2、第3、そして恐らくは第4の血液成分に分離してよい。より具体的には、ボウル300(およびボウル300の回転によって生成された遠心力)は全血を、血漿、血小板、赤血球(「RBC」)、および恐らくは白血球(「WBC」)に分離することができる。密度の高い成分、すなわちRBC580は、ボウル300の外壁に押し付けられ、一方で密度の低い血漿590はコア500の付近に存在する。バフィコート585が血漿とRBCの間に形成される。バフィコート585は、血小板の内側層と、血小板およびWBCの遷移層と、そしてWBCの外側層から構成されている。
【0061】
図3に示されており、また上記で簡単に説明したように、システム100はまた光学センサー213を含んでいてよく、これはボウル300のショルダー部分314に適用されてよい。光学センサー213は血液成分の層のそれぞれを、それらがボウル300の外壁からコアに向かって徐々に同軸的に進んでくるにつれて監視する。光学センサー213は、バフィコートおよび/または赤血球が特定の半径に達したことを検出可能な位置(例えばウェル180の内部)に設けられてよく、そして対象者/供血者から全血を採取し、その全血をボウル300内に導入する工程は、検出に応じて変更および/または終了されてよい。
【0062】
ボウル300がひとたび血液を種々の成分(例えば赤血球580および血漿590、
図9Aおよび
図9B)へと分離したならば、成分の1つまたはより多くをボウル300から取り出すことができる。例えば、追加の抗凝固処理された全血がボウル300に流入すると、血漿590はコア500に向けてさらに内方へと押しやられ、コア500の基端部分512を越えて収集チャンバー530内へと流れる。収集チャンバー530が血漿で満たされ、それによって収集チャンバー530内の血漿がスカート360/440および流出チャネル362(
図9Aおよび
図9B)と十分に接触すると、血漿は流出チャネル362および出口340を介してボウル300を流出し始める。ひとたびボウル300から出ると、血漿はライン222を通って血漿収集容器216へと流れる。システム100の幾つかの実施形態は、収集された血漿の量を測定する重量センサー195(
図1)を含んでいてよい。血漿収集プロセスは、目標容積または所定容積の血漿が血漿収集容器216内に収集されるまで継続されてよい。
【0063】
上記したように、幾つかの実施形態において、システム100はまた、ボウル300から流出する流体の種類(例えば血漿、血小板、赤血球、その他)を判定可能なラインセンサー185を含んでいてよい。具体的には、ラインセンサー185は、ボウル300から流出する血液成分を通過して光を発するLEDと、成分を通過した後の光を受け取る光検出器からなる。光検出器によって受け取られる光の量は、ラインを通過して流れる流体の密度に相関している。例えば、血漿がボウル300から流出している場合、ラインセンサー185は、ボウル300から流出している血漿が血小板で曇ったとき(例えばボウル300から流出している流体が血漿から血小板に変化している)を検出することができる。次いでシステム100はこの情報を使用して、或いはボウル300からの血液成分の取り出しを停止し、或いは対象者からの全血の採取を停止し、或いは例えば1つのバルブを閉鎖し別のバルブを開放することによって流れの向きを変更する。
【0064】
システム100が目標とする容積の血漿を血漿収集容器216内に収集したとき、またはボウル300が赤血球で満たされているとき、システム100は残りの成分(例えばボウル300の内部に残っている成分)を対象者に戻すことができる。例えば、全ての血漿が取り出され、ボウル300がRBC(および収集されていない何らかの他の血液成分)で満たされている場合、コントローラ226は対象者からの全血の採取を停止し、ボウル300を減速および/または停止する。ボウル300が減速および/または停止すると、収集チャンバー530内に残っている流体は、レッジ520にある開口524を介して収集チャンバー530から流出する。システム100/コントローラ226は次いで、血液/第1ポンプ232の回転方向を逆転させて、RBC(および他の成分)をボウル300から取り出し、それらを対象者に戻すよう送ってよい。代替的には、システム100にそのような装備がされているならば、システム100は成分を、専用の戻しラインを介して対象者に戻してよい。
【0065】
収集されなかった血液成分(例えばボウル300内に残っている成分)に加えて、システム100はまた、生理食塩水を患者/対象者に戻してよい。生理食塩水は、取り出されて収集され、患者に戻されていない血液成分(例えば血漿)の容積を埋め合わせるための補償流体として使用されてよい。そのためには、戻し工程の間に、生理食塩水バルブ135が開放されて、生理食塩水容器217からの生理食塩水が生理食塩水ライン223を通ってボウル300内部へと(出口340を介して)流れることが許容され、そこから残りの血液成分と共に、またはその後に、患者/供血者へと戻されることができる。追加の血漿収集サイクルが行われる場合(例えば既に収集された血漿の容積が目標容積/所定容積と等しくない場合)には、システム100は再度血液/第1ポンプ232を始動させて対象者から全血を採取し、そしてシステム100は目標容積の血漿が収集されるまで、上記のプロセスを繰り返してよい。
【0066】
図10は、コアの代替的な実施形態(例えば「長い」コア600)を備えたプラズマフェレーシスボウル300を概略的に示している。
図11Aおよび
図11Bは、この代替的なコア600の斜視図および断面図を概略的に示している。
図11Aおよび
図11Bに見ることができるように、この「長い」コア600は、
図8Aから
図8Eに示すコア500と同様に、コア600の全体的な構造を画定する円筒状本体610と、円筒状本体610の内側表面から半径方向内方に延びるレッジ520とを有しており、レッジ520の上方に配置された本体610の基端部分612(例えば基端部分612の内側表面614)およびレッジ520は、収集チャンバー530を形成する。コア600はまた幾つものリブ640を有しており、これらはコア600をボウル300の内部に、上述したのと同様の仕方で位置決めし、固定する。例えば、リブ640の下部表面642はボウル本体310の接合レッジ317(
図10)と相互作用してよく、リブ640の外側表面644はボウル300のネック部分316の内側表面318と相互作用してよく、そしてリブ640の上部表面646は、ヘッダーアセンブリ355のクラウンシール356と相互作用してよい(例えばボウル300内部での垂直方向の位置を保持するために)。リブ640の間の間隔はまた、流体がリブ640の間から収集チャンバー530の中へと流れることを可能にする、流体チャネル650を生成する。
【0067】
図8Aから
図8Eに示されたコア500とは異なり、長いコア600の実施形態のレッジ520の下側の部分は著しく長く、ボウル300の内部へとさらに下方に延びている。例えば、レッジ520のすぐ下側では、コア600は中間部分615を含んでいてよく、これは
図8Aから
図8Eに示されたコア500の部分516について上述したところと同様の機能を営む。具体的には、中間部分615は光学センサー213のための反射表面を提供してよい。中間部分615のすぐ下側では、コア600は延伸末端部分616を有してよく、これはボウル300の内部へとさらに下方に延びている。
【0068】
幾つかの場合には、この長いコア600はコアの短い型に対して、幾つかの利点をもたらすことができる。具体的には、処理の間に、流体は収集チャンバー530およびレッジ520の下側で、部分516の壁の内側にある空間に捕捉されるようになる場合がある。しかしながら、ボウル300の中へとさらに延伸されて、ボウル300の内部でより大きな容積を占めることにより、コア600の延伸末端部分616は流体/血漿の幾らかが補足されるようになるのを防止するのを助け、これはより多くの血漿がボウルから流出することを可能にし、収集効率を増大させる。この延伸末端部分616は比較的薄肉の壁として示されているが、他の実施形態では収集チャンバー530の下側でより大きな容積を占める厚肉の延伸末端部分616(収集チャンバー530の下側)を有していてよく、それはさらにより多くの流体/血漿が捕捉されるのを防止しうる。代替的には、コア600は、流体がコア600の末端部分の内側に移動するのを防止するための、延伸/末端部分616の下部から半径方向内方に延びる第2レッジ(図示せず)を有していてよい。
【0069】
長いコア600の延伸末端部分616はまた、血漿層を分離チャンバー325の内部で安定化するのを助ける。例えば、上述したように全血がその種々の成分に分離されるにつれて、血漿はボウル300の中心に最も近く配置される(例えばコア500/600に最も近く)。長いコア600の延伸末端部分616は、空気円筒部(例えば、血液成分ではなく空気によって占められる、血漿層より半径方向内方の領域)とは対照的に、血漿(コア600と同じ速度で回転している)に対して固体の接触表面を提供する。血漿に対して固体の接触表面を提供することにより、長いコア600の延伸末端部分616は、収集チャンバー530から分離チャンバー325内部へと伝播する何らかの乱流または剪断力を拡散するのを助ける。さらにまた、成分の層を安定化し、何らかの乱流または剪断力を拡散することにより、長いコア600は収集される血漿の収集効率および品質を向上させてよい(例えば血漿と混合する細胞成分がより少ない)。
【0070】
上述したコア500/600は、コア500/600をボウル300の内部に位置決めする幾つものリブ540/640を有しているが、プラズマフェレーシスボウル300の他の実施形態は、異なる構造を備えたコアを使用してよい。例えば、
図12Aから
図12Cに示されているように、コアの幾つかの実施形態(例えばコア700)は、コア700の筒状本体710と同軸のリング740を含むことができる。リブ540/640の種々の表面と同様の仕方で、リング740の下部表面742はボウル本体310の接合レッジ317と相互作用してよく、リング740の外側表面744はボウル300のネック部分316の内側表面318と相互作用してよく、そしてリング740の上部表面746は、ヘッダーアセンブリ355のクラウンシール356と相互作用してよい。
【0071】
流体/血漿がリング740と筒状本体710の間を通過することを可能にするように(例えばそれが上方へと基端部分712を越えて収集チャンバー530の中へと流動しうるように)、コア700は筒状本体712の周囲に間隔を置いたスペーサー755を含んでいてよい。これらのスペーサー755はリング740を筒状本体710から離隔させ、リング740と筒状本体710との間に流路750を提供する。リング740は「長い」型のコア上に示されているが、リング740はまた短いコア(例えば
図8Aから
図8Eに示されたもの)または長い型のコアと短い型のコアの間の長さを有するコアについても使用可能であることに留意すべきである。
【0072】
上記で説明した種々の実施形態は、血漿を収集する血液処理システムに関するものであるが、本願で説明する特徴は任意の種類の血液処理システムに適用されてよいことに留意することが重要である。例えば、本願で説明する特徴は、赤血球、血小板、および/または白血球を収集および/または処理する血液処理システム上で実施されてよい。
【0073】
上述した本発明の実施形態は単に例示的であることを意図している;当業者には、数多くの変形および修正が明らかである。そうした変形および修正は全て、任意の請求項に規定された本発明の範囲内にあることが意図されている。