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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】検出装置および現金自動預払機
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20240411BHJP
   G07D 11/22 20190101ALI20240411BHJP
【FI】
G07D11/14
G07D11/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021007567
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111890
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝邊 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】木山 裕一朗
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-54133(JP,A)
【文献】特開平5-282536(JP,A)
【文献】特開平4-330591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 5/10,
9/00-13/00
G07F 5/00- 9/10,
19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に開口部が設けられ、上部より投入された複数の金種の硬貨を前記開口部に導く漏斗状の集約路と、
前記開口部と接続する筒部において当該筒部を輪切る検出面に沿って配置された、少なくとも2つの互いに交差する検出軸を有し、前記検出面を前記硬貨が通過する際に前記検出軸で前記硬貨を検出するフォトセンサを有するセンサ部と、を備え、
前記集約路の上部から前記検出面に至る高さ方向の長さは、前記硬貨が前記上部の投入位置より自由落下して前記検出面を通過する場合に前記検出軸を遮蔽する時間の方が前記検出軸での検出に要する前記フォトセンサの信号の立ち上がり及び立ち下がり時間よりも長くなるように、前記検出面における前記硬貨の落下速度が抑えられる長さである、
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記長さは、前記複数の金種の硬貨の中の厚みが最小の硬貨が前記上部の投入位置より自由落下して前記検出面を厚み方向と直交する条件で通過する場合に、前記遮蔽する時間の方が前記立ち上がり及び立ち下がり時間よりも長くなるように、前記硬貨の落下速度が抑えられる長さである、
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記センサ部は、前記検出面に沿って第1の方向に向けられた第1のプリズムフォトセンサと、前記検出面に沿って前記第1の方向と直交する第2の方向に向けられた第2のプリズムフォトセンサとによる井形の前記検出軸を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検出装置。
【請求項4】
硬貨または紙幣を処理する処理部と、
前記処理部より投入された検出対象物を検出する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検出装置と、
を備えることを特徴とする現金自動預払機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検出装置および現金自動預払機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、現金自動預払機(ATM:Automated Teller Machine)等では、紙幣投入口等に誤って硬貨が投入されることがある。このような硬貨の誤投入を検出するために、従来から、光学式センサを使用して硬貨を検出する硬貨検出装置を設け、硬貨検出装置における検出結果をミドルウェアが受け取り、アラームを上げる仕組みが用いられている。
【0003】
光学式センサを用いて硬貨を検出する従来技術としては、物体が通過する筒部に回帰型フォトセンサ2A~2Cと、分離型フォトセンサ6A、6Bの複数の光センサを配置して確実に検出対象物を検出する検出システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-54133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、確実に検出対象物を検出するために多くの光センサ(例えば回帰型フォトセンサ2A~2C、分離型フォトセンサ6A、6Bの5個の光センサ)が必要となり、コストが高くなるという問題がある。
【0006】
1つの側面では、より安価に検出対象物を検出することを可能とする検出装置および現金自動預払機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、検出装置は、集約路と、センサ部とを備える。集約路は、下部に開口部が設けられ、上部より投入された検出対象物を開口部に導く漏斗状である。センサ部は、開口部と接続する筒部において筒部を輪切る検出面に沿って配置された、少なくとも2つの互いに交差する検出軸を有し、検出面を検出対象物が通過する際に検出軸で検出対象物を検出する。集約路の上部から検出面に至る高さ方向の長さは、検出対象物が上部の投入位置より自由落下して検出面を通過する場合に検出軸を遮蔽する時間の方が検出軸での検出に要する応答時間よりも長くなるように、検出面における検出対象物の落下速度が抑えられる長さである。
【発明の効果】
【0008】
より安価に検出対象物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る検出装置を含む現金自動預払機の構成の一部を示す図である。
図2図2は、集約路の外観を示す斜視図である。
図3図3は、集約路の内部を示す斜視図である。
図4図4は、センサ部を上方より俯瞰した平面図である。
図5図5は、集約路の正面概要図である。
図6図6は、検出軸の遮蔽による硬貨の検知条件を説明する説明図である。
図7図7は、実施形態に係る検出装置を含む現金自動預払機の機能構成の一例を示す図である。
図8図8は、現金自動預払機の動作例を示すフローチャートである。
図9図9は、現金自動預払機の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる検出装置および現金自動預払機を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する検出装置および現金自動預払機は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0011】
図1は、実施形態に係る検出装置を含む現金自動預払機の構成の一部を示す図である。なお、図1においては、現金自動預払機1のうち、本実施形態にかかる検出装置6と関連のある構成を例示している。また、図1では、現金自動預払機1を正面より俯瞰しており、Z方向は鉛直方向とし、X方向は横手方向とし、Y方向は手前方向とする。
【0012】
図1に示すように、現金自動預払機1は、利用者が各種操作を行う正面側において、硬貨を受け付ける硬貨投入部2と、紙幣を受け付ける紙幣投入部3と、各種操作の受け付け、および、各種情報を表示する表示操作部4とを有する。
【0013】
また、現金自動預払機1の正面下部には、硬貨投入部2および紙幣投入部3に誤投入された異物を利用者に返却する返却口ポケット5を有する。硬貨投入部2に誤投入される異物としては、例えば、テープ留めにした硬貨等が挙げられる。また、紙幣投入部3に誤投入される異物としては、例えば、硬貨等が挙げられる。
【0014】
硬貨投入部2より受け付けた硬貨などは、CRU20(CRU:Coin Recycle Unit)で処理される。ここで、誤投入された異物は、排出口21より排出されて返却口ポケット5まで搬送される際に検出装置6により検出される。
【0015】
また、紙幣投入部3より受け付けた紙幣などは、BRU30(BRU:Bill Recycle Unit)で処理される。ここで、誤投入された異物は、排出口31より排出されて返却口ポケット5まで搬送される際に検出装置6により検出される。
【0016】
すなわち、CRU20およびBRU30は、処理部の一例である。なお、現金自動預払機1の構成によっては、CRU20およびBRU30の両方を備えなくてもよく、例えば、CRU20を備えておらず、BRU30のみを備える場合であってもよい。
【0017】
また、本実施形態における検出装置6は、硬貨を留めるテープなどの硬貨以外の物体を検出してもよいが、検出対象とする物体(以後、検出対象物と呼ぶ)は、500円、100円、50円、5円、1円などの複数の金種の硬貨とする。現金自動預払機1では、検出装置6により複数の金種の硬貨を検出対象物として検出してアラームを上げることで、返却口ポケット5より誤投入された硬貨の返却があることを利用者に注意喚起する。
【0018】
検出装置6は、集約路10と、センサ部11とを有する。集約路10は、下部の開口部に向けて窄む漏斗形状(以下、漏斗状)の搬送路である。
【0019】
図2は、集約路10の外観を示す斜視図である。図2に示すように、集約路10は、背板101と表板102とで囲まれた内部を中空とし、鉛直方向(Z方向)の下に向かって窄む漏斗状となっている。また、集約路10は、背板101と表板102とによる筐体における横手方向(X方向)の上部両脇に投入口103、104を有する。CRU20の排出口21およびBRU30の排出口31より排出された検出対象物は、投入口103、104より集約路10の内部に投入される。
【0020】
図3は、集約路10の内部を示す斜視図である。より具体的には、図3は、図2における表板102を取り外した集約路10の状態を示している。
【0021】
図3に示すように、背板101は、端部において手前方向(Y方向)に伸びる板材を有し、この板材が鉛直方向(Z方向)の下に向かって窄む漏斗形状の傾斜路105、106を形成している。この傾斜路105、106の鉛直方向(Z方向)の最下部は、開口部111と接続する。
【0022】
傾斜路105、106については、斜度を抑えることで検出対象物が接する際の摩擦力を増やし、検出対象物の落下スピードを抑えるようにしてもよい。また、傾斜路105、106の上面にブラシを設置するなどして摩擦抵抗を加えることで、検出対象物の落下スピードを抑えてもよい。
【0023】
集約路10の上部両脇の投入口103、104より投入された検出対象物は、自重により落下する際に、漏斗状の集約路10の傾斜路105、106をバウンドまたは滑落し、下部の開口部111に集約される。このように、集約路10は、CRU20の排出口21およびBRU30の排出口31より排出され、集約路10の上部にて投入される検出対象物を下部の開口部111に導く。
【0024】
センサ部11は、集約路10の開口部111と接続する筒部に設けられ、開口部111から筒部を介して返却口ポケット5に向けて落下する検出対象物の検出を行うセンサ(例えばフォトセンサ)を有する。
【0025】
例えば、検出対象物の検出を行うフォトセンサの一例としては、回帰型フォトセンサおよび分離型フォトセンサがある。回帰型フォトセンサは、発光素子から検出対象物に光を当て、反射光を受光素子で受光するか否かにより、物体の有無を検出する。分離型フォトセンサは、発光素子から受光素子までの間で検出対象物が光を遮断するか否かにより物体の有無を検出する。センサ部11では、これらフォトセンサにおける光軸が物体の検出に関する検出軸に対応する。
【0026】
本実施形態のセンサ部11は分離型フォトセンサの一つであるプリズムフォトセンサを用いる場合を例示するが、センサの種類はプリズムフォトセンサに限定しない。例えば、回帰型フォトセンサの一つである反射型フォトセンサを用いてもよいし、フォトセンサ以外の超音波センサなどを用いてもよい。
【0027】
図4は、センサ部11を上方より俯瞰した平面図である。図4に示すように、開口部111は、L字状またはコ字状の留め具112a~112dを組み合わせて形成された筒部(角筒)と接続されている。この開口部111および筒部は、X-Y平面の断面が矩形状(図示例では正方形)であり、500円、100円、50円、5円、1円などの複数の金種の硬貨が詰まらない程度の大きさ(最大径の約26.5mmの500円硬貨に対して一辺30mm)となっている。なお、開口部111および筒部の形状は、一例であり、X-Y平面の断面を長方形としてもよいし、円形としてもよい。
【0028】
留め具112a~112dを組み合わせて形成された筒部には、検出対象物が筒部の内部を通過する際に、検出対象物の検出を行うためのプリズムフォトセンサ113、プリズムフォトセンサ114が留め具112a~112dにより係止されている。具体的には、筒部を輪切る同一のX-Y平面に沿って、プリズムフォトセンサ113はY方向に検出軸116を向け、プリズムフォトセンサ114はX方向に検出軸115を向けるように設置されている。
【0029】
このような検出軸115、116が互いに交差する平面(検出面)においては、検出対象物とする硬貨が通過する際に、いずれかの検知軸を板状の硬貨が遮ることとなる。これにより、センサ部11では、検出軸115、116のいずれかで検出対象物を検出する。なお、検出軸115、116については、少なくとも2つが互いに交差していれば検出面において板状の硬貨を検出することができる。例えば図示例のような一辺30mmの正方形においては、2本の検出軸115、116が中心で交差するような構成であっても、最小径の約20mmの1円硬貨を検出することができる。
【0030】
本実施形態では、互いに直交する向きに設置された2つのプリズムフォトセンサ113、114により、一辺30mmの角筒の内部において井形の検出軸115、116で検出対象物を検出する構成であるため、より確実に検出対象物の検出が可能である。また、検出面については、筒部と直交するX-Y平面に限定するものではなく、筒部を斜めに輪切るような検出面としてもよい。
【0031】
図5は、集約路10の正面概要図である。図5に示すように、投入口103、104の下部から開口部111に至る鉛直方向(高さ方向)の長さをhとする。ここで、センサ部11におけるプリズムフォトセンサ113、114は、開口部111とほぼ同じ位置(筒部の上部)にあるものとする。すなわち、集約路10の上部からプリズムフォトセンサ113、114による検出面に至る高さは、長さhと同じものとする。
【0032】
また、排出口21、31より排出され、集約路10の内部に投入される検出対象物ついて、投入口103、104の下部の位置(投入位置)における鉛直方向(Z方向)の初速度は無視できる程度の大きさであるものとする。すなわち、集約路10に投入された検出対象物は、投入口103、104の下部の投入位置より自由落下を開始する。
【0033】
投入口103、104の下部の投入位置より自由落下を開始する検出対象物が検出面において検出軸115、116を遮る時間(検出可能な時間)は、検出面まで検出対象物が落下した際の落下速度に反比例する。そして、この検出可能な時間の最悪条件は、傾斜路105、106と接触することなく検出対象物が自由落下する場合である。
【0034】
そこで、検出装置6において、集約路10の上部から検出面に至る高さ方向の長さhは、検出対象物が投入位置より自由落下して検出面を通過する場合に検出軸115、116を遮蔽する時間(遮蔽時間)の方が検出軸115、116での検出に要する応答時間よりも長くなるような長さとする。すなわち、長さhは、検出面における検出対象物の落下速度が抑えられるように、所定の長さを上限とする。
【0035】
具体的には、検出対象物である硬貨を検出可能な時間の最悪条件として、厚みが最小の硬貨(厚み1.5mmの1円)が自由落下して検出面を厚み方向と直交する条件で通過する場合を想定する。そして、検出装置6における長さhは、この最悪条件下での硬貨による検出軸115、116の遮蔽時間の方が検出軸115、116での検出に要する応答時間よりも長くなるような長さとする。
【0036】
より具体的には、長さhは、14.5cmより短いものとする。なお、長さhが短すぎると、開口部111における落下速度が遅くなり、開口部111などで検出対象物が詰まることから、長さhについては一定値(例えば14.0cm以上)を確保する。
【0037】
図6は、検出軸115の遮蔽による硬貨の検知条件を説明する説明図である。図6に示すように、検出対象物である硬貨を検出可能な時間の最悪条件は、厚みが1.5mmの1円の硬貨119が検出軸115と平行して通過(検出面を厚み方向と直交する条件で通過)する場合である。
【0038】
ここで、検出軸115の幅を1mmとしたとき、厚みが1.5mmの硬貨119が検出軸115に対して最悪条件で落下し、検出軸115全体を硬貨119が覆った場合の経過時間(遮蔽時間)tは次のようになる。例えば、t=Δh/√(2gh)のとき、Δh=0.5mm、h=15cm(長さhの仮想値)、g=9.8とすると、0.3×10-3より、経過時間t=0.3msである。
【0039】
ここで、プリズムフォトセンサ113、114の検出軸115、116での検出に要する応答時間については、例えば信号の立ち上がりで24us、信号の立ち下がりで27usである。このため、硬貨119による遮蔽時間の方が応答時間よりも長くなり、センサ部11の応答速度に対して硬貨119の落下速度が十分に遅いため、センサ部11では硬貨119を検知可能である。
【0040】
なお、集約路の上部から検出面に至る高さ方向の長さは、検出対象物が上部の投入位置より自由落下して検出面を通過する場合に検出軸を遮蔽する時間の方が検出軸での検出に要する応答時間よりも長くなる長さであり、この長さは、検出軸で検出対象物を検出する最大の長さと同等か、それより短く設置された長さであることが望ましい。
【0041】
図7は、実施形態に係る検出装置6を含む現金自動預払機1の機能構成の一例を示す図である。図7に示すように、現金自動預払機1は、硬貨の検出に係わる構成の一例として、検出装置6、制御部40、LCD50(LCD:Liquid Crystal Display)、I/O部60および中継部70を有する。
【0042】
制御部40は、CPU41(CPU:Central Processing Unit)、ROM42(ROM:Read Only Memory)、RAM43(RAM:Random Access Memory)、外部記憶装置44、グラフィック処理部45、FPGA46(FPGA:Field Programmable Gate Array)およびラッチ部47を有し、各部は互いに内部バスにより接続されている。
【0043】
CPU41は、FPGA46等の各部の制御を行う。例えば、CPU41は、ROM42において保持するファームウェアが検出装置6による硬貨の検出状態に基づいて実行する処理にしたがって、グラフィック処理部45に命令を与える。
【0044】
ROM42は、CPU41が処理を実行するために必要なファームウェアなどのプログラム等の各種データが格納される。RAM43は、CPU41が処理を実行する際の作業領域を提供し、例えば検出装置6において硬貨を検出した状態(硬貨検出状態)を保持する。外部記憶装置44は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等で構成される。外部記憶装置44は、硬貨等の検出に係わるログ等を記録するためのデータベース等を格納する。
【0045】
グラフィック処理部45は、CPU41からの命令にしたがって、I/O基盤からなるI/O部60を介してLCD50に対して指示を出力する。LCD50は、LCDコントローラを含み、LCDコントローラは、グラフィック処理部45からの指示にしたがって、例えば、検出装置6において硬貨が検出された旨のメッセージ等を画面に表示させる。
【0046】
ラッチ部47は、ラッチ回路47aを有する。ラッチ回路47aは、中継部70のOR回路71から入力された信号についてラッチをとり、ラッチ信号を出力する。FPGA46は、ラッチ回路47aから入力される信号により、ラッチ状態を取得して、所定の場合に、ラッチ回路47aに対してリセット信号を出力する。また、FPGA46は、ラッチ部47から、ラッチ部47に入力された生データ(OR回路71の出力信号)についても取得する。
【0047】
中継部70は、OR回路71を含み、センサ部11から入力された信号(プリズムフォトセンサ113、114)について論理和演算を行う。
【0048】
図8は、現金自動預払機1の動作例を示すフローチャートである。現金自動預払機1は、例えば現金自動預払機1の入金処理等において、硬貨投入部2や紙幣投入部3のシャッタの状態が「オープン」から「クローズ」へと変化したことを契機として、図8に示す処理を開始する。
【0049】
図8に示すように、処理が開始されると、ステップS1で、FPGA46が、硬貨等の異物の検知状態を取得する。ステップS1で取得する検知状態とは、ラッチ部47のラッチ回路47aが出力するラッチ信号をいう。
【0050】
次いで、ステップS2で、FPGA46は、ステップS1で取得した検知状態の有無、すなわちラッチ信号を参照してラッチしているか否かを判定する。ラッチしていないと判定した場合(ステップS2:No)、CPU41は特に処理を行わず、処理を終了する。
【0051】
ステップS2の判定において、ラッチしていると判定した場合(ステップS2:Yes)は、ステップS3に進み、FPGA46は、グラフィック処理部45において硬貨検知に係わる処理を実行するよう、異物検知のアラーム通知をする。そして、FPGA46は、エラーログをデータベースに記録する。
【0052】
次いで、ステップS4で、グラフィック処理部45が、表示操作部4(LCD50)にアラーム画面を表示させる。次いで、ステップS5で、現金自動預払機1の利用者が表示操作部4を介して行った操作により所定のイベントが発生するか、所定の期間内にイベントが発生しなかった場合、グラフィック処理部45は、アラーム画面の表示を終了させる。利用者により行われる操作の例としては、表示操作部4に表示させた確認ボタンの押下等が挙げられる。
【0053】
最後に、FPGA46が、ラッチ部47のラッチ回路47aにリセット信号を送信して、ラッチを解除すると、処理を終了する。
【0054】
なお、図8では現金自動預払機1において入金処理を実行するときの硬貨検出に関する処理の流れについて説明しているが、現金自動預払機1における硬貨検出処理は、入金処理を実行する場合に限らない。例えば、出金処理を実行するときであっても、図8に示す処理を実行することにより、同様に、BRU30に混入している硬貨や、CRU20に混入しているテープ留めの硬貨などの異物を検出することができる。なお、出金処理時に図8に示す処理を実行する場合は、現金自動預払機1の画面には、硬貨等の異物を検出した旨のアラーム表示は行わないこととしてもよい。
【0055】
本実施形態に係る現金自動預払機1によれば、センサ部11のセンサの出力信号に変化があった場合には、中継部70のOR回路71の出力がハイレベルに切り替わる。このため、現金自動預払機1は、センサ部11すなわち検出装置6の状態の変化を、ラッチ部47のラッチ回路47aにおいて保持するラッチ状態を参照することにより検出することが可能となる。以下に、検出装置6の状態を検知する方法について説明する。
【0056】
図9は、現金自動預払機1の動作例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、現金自動預払機1の検出装置6を硬貨等の異物が通過し得ないタイミングで、例えば、現金自動預払機1の運用開始時(起動時)または取引開始時及び取引終了時に実行する。
【0057】
図9に示すように、処理が開始されると、ステップS10で、FPGA46が、ラッチ部47に入力されるOR信号を、ラッチ部47から取得する。次いで、ステップS11で、FPGA46は、ステップS10において取得したOR信号に基づき、検出装置6が、常時検知状態となっているか否かを判定する。ここでの「検知状態」とは、センサ部11のセンサ(例えばプリズムフォトセンサ113、114)の少なくとも1つの出力がハイレベルとなっている状態をいう。
【0058】
ステップS11において、常時検知状態にないと判定した場合(ステップS11:No)には、CPU41は、特に処理を行わず、処理を終了する。
【0059】
ステップS11において、常時検知状態にあると判定した場合(ステップS11:Yes)には、CPU41は、ステップS12に進む。そして、ステップS12で、CPU41は、エラーログをデータベースに記録し、処理を終了する。
【0060】
検出装置6のセンサ部11に異常が発生した場合、例えば、プリズムフォトセンサ113、114の故障、これらのセンサが外れた状態およびコネクタの半抜け等が発生した場合には、継続して異物の検出状態が検出されることとなる。このことを利用して、現金自動預払機1の運用開始時や取引の開始・終了タイミング等のように、異物が投入される可能性のある硬貨投入部2および紙幣投入部3の蓋が閉じているときに、CPU41は、図9に示す処理を実行する。これにより、現金自動預払機1では、上記の異常を検知することが可能となる。図9に示す処理により検出装置6の異常が検出された場合、CPU41は、例えば、検出装置6の異常としてアラームを発生させて、現金自動預払機1を含む自動取引システムの管理者等に通知する。
【0061】
以上のように、検出装置6は、集約路10と、センサ部11とを有する。集約路10は、下部に開口部111が設けられ、上部より投入された検出対象物を開口部111に導く漏斗状である。センサ部11は、開口部111と接続する筒部において筒部を輪切る検出面に沿って配置された、少なくとも2つの互いに交差する検出軸115、116を有し、検出面を検出対象物が通過する際に検出軸115、116で検出対象物を検出する。検出装置6における集約路10の上部から検出面に至る高さ方向の長さhは、検出対象物が上部の投入位置より自由落下して検出面を通過する場合に検出軸115、116を遮蔽する時間の方が検出軸115、116での検出に要する応答時間よりも長くなるように、検出面における検出対象物の落下速度が抑えられる長さである。
【0062】
これにより、検出装置6では、少なくとも2つの互いに交差する検出軸115、116により検知面において確実に検出対象物を検出することができる。また、検出装置6では、少なくとも2つの互いに交差する検出軸115、116を有するようにセンサを配置すればよく、従来技術のように数多くのフォトセンサを用いることなく、より安価に検出対象物を検出することができる。
【0063】
また、検出装置6の検出対象物は複数の金種の硬貨であり、長さhは、複数の金種の硬貨の中の厚みが最小の硬貨が投入位置より自由落下して検出面を厚み方向と直交する条件で通過する場合に、検出軸115、116を遮蔽する時間の方が検出に要する応答時間よりも長くなるように、硬貨の落下速度が抑えられる長さである。
【0064】
これにより、検出装置6は、複数の金種の硬貨を検出対象物とする際に、厚みが最小の硬貨119が投入位置より自由落下して検出面を厚み方向と直交する最悪条件で通過する場合であっても、センサ部11において確実に硬貨119を検出することができる。
【0065】
また、センサ部11は、検出面に沿って第1方向(Y方向)に向けられたプリズムフォトセンサ113と、検出面に沿って第1方向と直交する第2方向(X方向)に向けられたプリズムフォトセンサ114とによる井形の検出軸115、116を有する。
【0066】
これにより、検出装置6は、プリズムフォトセンサ113とプリズムフォトセンサ114とによる井形の検出軸115、116により、検知面において確実に検出対象物を検出することができる。
【0067】
また、現金自動預払機1は、硬貨または紙幣を処理する処理部(CRU20、BRU30)と、この処理部より投入された検出対象物を検出する検出装置6とを備える。これにより、現金自動預払機1は、従来技術のように数多くのフォトセンサを用いることなく、より安価に検出対象物を検出することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…現金自動預払機
2…硬貨投入部
3…紙幣投入部
4…表示操作部
5…返却口ポケット
6…検出装置
10…集約路
11…センサ部
20…CRU
21、31…排出口
30…BRU
40…制御部
41…CPU
42…ROM
43…RAM
44…外部記憶装置
45…グラフィック処理部
46…FPGA
47…ラッチ部
47a…ラッチ回路
50…LCD
60…I/O部
70…中継部
71…OR回路
101…背板
102…表板
103、104…投入口
105、106…傾斜路
111…開口部
112a~112d…留め具
113、114…プリズムフォトセンサ
115、116…検出軸
119…硬貨
h…長さ
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図9