(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】扇風機
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
F04D25/08 301A
(21)【出願番号】P 2021048434
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長竹 健樹
(72)【発明者】
【氏名】野中 裕文
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-036411(JP,A)
【文献】実開昭61-109271(JP,U)
【文献】特開2017-133434(JP,A)
【文献】実公昭46-032146(JP,Y1)
【文献】特開昭63-297794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/08
H05K 5/02
F16M 11/04
H04M 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕部を有するスタンド部と、本体部と、を備え、
前記本体部は、前記腕部を回動可能に支持し、前記腕部の回動軸方向への移動を規制する受け部と、前記腕部に対して前記受け部側とは反対側に設けられ前記腕部の回動角度を調整可能な係合部と、を含み、
前記スタンド部は、前記腕部の開閉状態に関わらず前記受け部と対向するように設けられた前記腕部の回動軸を中心とする半円状の板状形状とされる支持部を有し、
前記受け部は、前記支持部の内側面に対向させるように設けられ、
前記支持部は、前記受け部に向かって半球状に突出する前記係合部と係合可能な被係合部を複数個有し、
複数の前記被係合部は、前記腕部の回動軸の周りにおいて前記支持部の外周縁側に円弧状に並設されることを特徴とする扇風機。
【請求項2】
前記本体部は、把持本体部と、前記把持本体部と接続されて空気を送風する送風部と、を備え、
前記受け部は、前記把持本体部に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の扇風機。
【請求項3】
前記本体部は、前記把持本体部の前記送風部とは逆の端部に接面突起部を有することを特徴とす
る請求項2に記載の扇風機。
【請求項4】
前記スタンド部はU字状に形成され、
前記本体部は、前記スタンド部を収納可能にU字状に窪んだ凹状のスタンド収納部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、風を送る送風部を、平板状の接地部から立設する支柱から構成されるスタンド部により支持した扇風機が開示されている。例えば、特許文献1に開示される扇風機は、送風部及びスタンド部を接続し、回動自在のネックピースを備える。該扇風機は、該ネックピースの回動により、スタンド部に対する送風部の角度を変更することができ、結果として、送風部からの送風の角度を変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
扇風機は、従来の据え置き型の扇風機に加え、近年、携帯型の扇風機にも需要が高まっている。しかしながら、コンパクトさを要求される携帯型の扇風機は、据え置き型の扇風機のような、接地面積の大きな接地部を設けてスタンド部により送風部を安定支持することが難しい。従って、扇風機を据え置き型の扇風機及び携帯型の扇風機をはじめとする、多様な用途に用いることが難しい場合がある。
【0005】
本発明は、様々な形態の扇風機に採用できる汎用性が高い扇風機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の扇風機は、腕部を有するスタンド部と、本体部と、を備え、前記本体部は、前記腕部を回動可能に支持し、前記腕部の回動軸方向への移動を規制する受け部と、前記腕部に対して前記受け部側とは反対側に設けられ前記腕部の回動角度を調整可能な係合部と、を含み、前記スタンド部は、前記腕部の開閉状態に関わらず前記受け部と対向するように設けられた前記腕部の回動軸を中心とする半円状の板状形状とされる支持部を有し、前記受け部は、前記支持部の内側面に対向させるように設けられ、前記支持部は、前記受け部に向かって半球状に突出する前記係合部と係合可能な被係合部を複数個有し、複数の前記被係合部は、前記腕部の回動軸の周りにおいて前記支持部の外周縁側に円弧状に並設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、様々な形態の扇風機に採用できる汎用性が高い扇風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る扇風機を示した斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る扇風機を示した右側面図であり、(a)は、スタンド部の収納状態(全閉状態)を示し、(b)は、スタンド部の支持状態(開状態)を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係る扇風機を示した背面図であり、(a)は、スタンド部の収納状態(全閉状態)を示し、(b)は、スタンド部の支持状態(全開状態)を示す。
【
図4】本発明の実施形態に係る扇風機を示した背面図であり、把持部からスタンド部を取り外した状態を示す。
【
図5】本発明の実施形態に係る扇風機の把持部からスタンド部を取り外した状態を示し、(a)は、把持部の右後方側から見た場合の斜視図であり、(b)は、把持部の左後方側から見た場合の斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る扇風機の把持部を示し、(a)は、
図3(a)のVIa-VIa断面におけるスタンド部近傍を示す部分拡大図であり、(b)は、
図3(b)のVIb-VIb断面におけるスタンド部近傍を示す部分拡大図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る扇風機のスタンド部を示し、(a)は、スタンド本体部の内側面側を示した斜視図であり、(b)は、スタンド本体部の外側面側を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1に示す扇風機1は、把持部10及び把持部10と接続する送風部20を備える。ここで、以下の扇風機1の説明において、送風側(風を排出する側)を前、吸気側(風を吸い込む側)を後ろとし、前方から後方を見た左側を左、その反対側を右とする。また、把持部10側を下、送風部20側を上とする。
【0010】
把持部10は、その角をR面取りした直方体状に形成される(
図2乃至
図4も参照)。ここで、把持部10は、その角をR面取りされることで、人の手で把持しやすくなる。また、把持部10は、その上面により、送風部20と接続する。そして、把持部10は、把持本体部30及びスタンド部40を有する。扇風機1は、この把持本体部30と送風部20とを含む本体部100に、スタンド部40が回動可能に接続されて、スタンド部40が開状態である場合は自立可能に構成される。
【0011】
送風部20は、前後方向に延在する背低の円柱状に形成される(
図2乃至
図4も参照)。また、送風部20は、グリル部50、ファン60及びファンモータ70(
図3(a)等も参照)を有する。そして、送風部20は、後側(後述するグリル部50の後グリル部52側)から空気を吸い込み、前側(後述するグリル部50の前グリル部51側)から空気を排出することで、空気を送風する。
【0012】
把持本体部30は、把持部10の外形の大部分を形成する。従って、把持本体部30の外形は、把持部10の外形と略同一である。また、把持本体部30は、前把持本体部31及び後把持本体部32を含む。前把持本体部31及び後把持本体部32のそれぞれの外側(外表面)は、把持本体部30の外表面を形成する。また、前把持本体部31及び後把持本体部32の内側には、扇風機1に駆動用電力を供給する電池などの電源、電気回路(配線類を含む)及び送風部20のファン60を回動させる際の制御を行うための機能部等が配置(収納)される。
【0013】
ここで、該機能部は、ファン60の動作全般を制御する制御部、扇風機1の動作全般を制御するために必要な情報を記憶する記憶部及びファン60を軸支するファンモータ70を駆動させるファンモータ駆動部等を含むことができる。制御部及びファンモータ駆動部等の機能部は、例えば、コンピュータ(CPU)や電子回路等により構成可能である。記憶部は、例えば、SSD(Solid State Drive)やSRAM(Static Randam Access Memory)等の記録素子や記憶回路により構成可能である。
【0014】
前把持本体部31は、その外形は直方体状であり、前後方向に延在する背低の有底筒状に形成される。また、前把持本体部31は、把持本体部30の前側に配置される。そして、前把持本体部31には、スイッチ311が設けられる。
【0015】
スイッチ311は、前把持本体部31の上側に位置し、円形状の押しボタンスイッチとして形成される。スイッチ311は、前述の制御部及びファンモータ起動部等を始動させることができ、送風部20のファン60の動作の起動スイッチとして機能する。
【0016】
後把持本体部32は、その外形は直方体状であり、前後方向に延在する背低の有底筒状に形成される。ここで、前後方向に延在する後把持本体部32の背丈は、前把持本体部31よりもやや高く形成される。また、有底筒状である後把持本体部32は、開口を有し、同じく有底筒状である前把持本体部31と、互いの開口同士が嵌合し、把持本体部30の後側に配置される。そして、後把持本体部32には、スタンド収納部321及び接面突起部322が設けられる。換言すれば、把持本体部30(後把持本体部32は把持本体部30の1つであるため)には、スタンド収納部321及び接面突起部322が設けられる。
【0017】
スタンド収納部321は、後把持本体部32の中央側から下側に亘って、後把持本体部32の外表面からU字状に窪んだ凹状に形成される。スタンド収納部321の凹形状は、U字状のスタンド部40の外形と対応して形成される。従って、スタンド収納部321は、スタンド部40を収納可能である。また、スタンド収納部321には、
図4、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、貫通孔321a、受け部321b、係合突起部321c、軸受部321d及び係止溝部321eが設けられる。換言すれば、把持本体部30には、貫通孔321a、受け部321b、係合突起部321c、軸受部321d及び係止溝部321eが設けられる。
【0018】
貫通孔321aは、スタンド収納部321の上側の左右両側に、それぞれ1つずつ設けられる。また、貫通孔321aは、後把持本体部32やスタンド収納部321と長尺方向が一致する長方形状の開口を有する孔部である。
【0019】
受け部321bは、それぞれの貫通孔321aの内側に設けられる。従って、受け部321bは、スタンド収納部321にスタンド部40が接続された
図3(b)等の状態では、支持部42に対して左右方向の内側に配置される。また、受け部321bは、貫通孔321aの2つの長辺のうち、後把持本体部32の短尺方向中央側寄りの長辺に設けられる。そして、受け部321bは、貫通孔321a内の内縁において、後把持本体部32の短尺方向端側に向かって、直方形板状に突出するように形成される。受け部321bは、スタンド部40の腕部411(
図7(a)等参照)を回動可能に支持し、腕部411の回動軸方向(左右方向)の内側への移動を規制する。
【0020】
図4に示す係合突起部321cは、貫通孔321aの内側に設けられる。また、係合突起部321cは、貫通孔321aの2つの長辺のうち、後把持本体部32の短尺方向端側寄りの長辺に設けられる。そして、係合突起部321cは、貫通孔321a内において、後把持本体部32の短尺方向中央側に向かって、半円球状に突出するように形成される。係合突起部321cは、
図7(a)等で後述するスタンド部40の支持部42に設けられる係合凹部421(被係合部)と係合可能に形成される。係合突起部321c(係合部)は、
図3(b)のA部拡大図及びB部拡大図に示すように、腕部411に対して受け部321b側とは反対側に設けられ、係合凹部421(第1係合凹部421a及び第2係合凹部421b)と係合することで腕部411(スタンド部40)と当接して腕部411の回動角度を調整可能に構成される。
【0021】
軸受部321dは、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、凹状であるスタンド収納部321の立ち下がった内壁部に開口して設けられる。また、軸受部321dは、スタンド収納部321の上方側かつ左右両側に、1つずつ設けられる。軸受部321dは、スタンド収納部321の内壁部を、左右方向に貫通する貫通孔である。軸受部321dは、後述するスタンド部40のスタンド本体部41に設けられる軸部41aと係合可能に形成されて、スタンド部40の回動軸として機能する。
【0022】
係止溝部321eは、凹状であるスタンド収納部321の立ち下がった内壁部に設けられる。また、係止溝部321eは、スタンド収納部321の下方側かつ左右両側に、1つずつ設けられる。係止溝部321eは、スタンド収納部321の壁部から左右方向内側に窪んだ溝である。係止溝部321eは、後述するスタンド部40のスタンド本体部41に設けられる係止突起部41bと係合可能に形成される。
【0023】
後把持本体部32の下端側に位置する接面突起部322は、後把持本体部32の外表面から突出した直方体状の突起として形成される。接面突起部322は、例えば、ゴムなどのエラストマを、後把持本体部32の外表面に貼着させて設けられる。
【0024】
スタンド部40は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、把持本体部30の後把持本体部32側で、把持本体部30と回動可能に接続される。ここで、スタンド部40は、把持本体部30(後把持本体部32)に対して、回動角度θを最小0度から最大90度とすることができる。スタンド部40は、回動角度θが0度のとき、スタンド収納部321に収納された収納状態(全閉状態)であり(
図3(a)及び
図6(a)も参照)、回動角度θが0度以上のとき、スタンド収納部321外に位置して把持本体部30を支持する支持状態(開状態)である。なお、支持状態のうち、回動角度θが最大である90度のときは、全開状態となる(
図3(b)及び
図6(b)も参照)。また、スタンド部40は、
図3(a)に示すように、後把持本体部32とその長尺方向が一致するU字状に形成される(
図2(a)及び
図2(b)も参照)。そして、スタンド部40は、スタンド本体部41及び支持部42を有する。
【0025】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、スタンド本体部41は、スタンド部40の外形の大部分を形成し、二股状に略平行に延設された二本の腕部411を有する。従って、スタンド本体部41の外形全体は、略U字状に形成される。スタンド本体部41には、軸部41a及び係止突起部41bが設けられる。また、スタンド本体部41は、内側面41A及び外側面41Bの2つの面を有する。内側面41Aは、スタンド本体部41の内側(後把持本体部32のスタンド収納部321側)に位置する。従って、内側面41Aは、スタンド部40が収納状態(全閉状態)の際に、露出しない面である。外側面41Bは、スタンド本体部41の外側に位置し、直方体状である把持部10の外形及び外表面の一部を形成する。
【0026】
軸部41aは、U字状であるスタンド本体部41のU字の内側(内側面42A側)かつ上側に、左右1つずつ設けられる。軸部41aは、スタンド本体部41の内側面41Aから、スタンド本体部41の左右方向中央に向かって突出する短円柱状の突起である。軸部41aは、軸受部321dと回動自在に係合及び接続するため、スタンド部40は、把持本体部30(後把持本体部32)と回動可能に接続する。
【0027】
係止突起部41bは、U字状であるスタンド本体部41のU字の内側かつ下側に、左右1つずつ設けられる。また、係止突起部41bは、スタンド本体部41の内側面41Aに位置する。そして、係止突起部41bは、スタンド本体部41の内側面41Aから、スタンド本体部41の左右方向中央に向かって突出する突起である。係止突起部41bは、スタンド部40が収納状態(全閉状態)の際に、係止溝部321eの内側に位置し、スタンド部40を把持本体部30(後把持本体部32)に係止する。
【0028】
支持部42は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、スタンド本体部41の内側面41Aの上側の左右両側に1つずつ設けられ、内側面41Aから垂直に立設する(
図1及び
図3(b)も参照)。また、支持部42は、半円板状(内側面41Aから突出する半凸円板状)に形成され、4半円(4分円)程度がスタンド本体部41の外周縁の外側に突出する。支持部42は、腕部411(スタンド部40)の開閉状態に関わらず受け部321bと回動軸方向において対向するように設けられる。そして、支持部42には、外側面42Bに係合凹部421が設けられる。また支持部42の先端部には、外側面42B側に突出した規制部422が設けられる。
【0029】
ここで、支持部42は、後把持本体部32のスタンド収納部321に設けられる貫通孔321aの内側に配置され、軸部41a及び軸受部321dにより回動可能に支持されることにより、把持本体部30の後把持本体部32と回動自在に支持する(
図3(b)のA部拡大図及びB部拡大図も参照)。従って、支持部42を有するスタンド部40の腕部411は、貫通孔321aの内側において、受け部321b及び係合突起部321cの間に支持部42が配置される。
【0030】
係合凹部421は、支持部42の外側面42Bの外周縁側に複数設けられ、それぞれ回動軸周りに並設される凹部である。また、係合凹部421は、係合突起部321cの凸形状を、その凹形状の内側に係合配置可能に形成される。換言すれば、係合凹部421は、その凹形状の内側に、係合突起部321cを配置することで、係合突起部321cと係合可能に構成される。ここで、係合凹部421の凹形状は、その凹みの深さを調整することで、係合突起部321cを係脱する際に必要な外力を調整できる。そして、係合凹部421は、第1係合凹部421a及び第2係合凹部421bを含む。
【0031】
第1係合凹部421aは、支持部42の外側面42Bの外周縁内側において、最もスタンド本体部41側に設けられる係合凹部421である。また、第1係合凹部421aの開口面積は、第2係合凹部421bの2倍程度である。そして、第1係合凹部421aの開口形状は、長丸状に形成される。第1係合凹部421aは、
図6(a)に示すように、スタンド部40が収納状態であると、その凹形状の内側に、係合突起部321cを収納する。
【0032】
第2係合凹部421bは、第1係合凹部421aと円弧状に並んで、4つ設けられる。また、第2係合凹部421bの開口形状は、円形状に形成される。第2係合凹部421bは、スタンド部40が支持状態であると、その凹形状の内側に、係合突起部321cを収納する。第2係合凹部421bは、スタンド部40が全開状態であると、
図6(b)に示すように、支持部42の外側面42Bの最も外周縁外側に位置する第2係合凹部421bの凹形状の内側に、係合突起部321cを収納する。
【0033】
このように、係合突起部321cと、係合凹部421(第1係合凹部421a及び第2係合凹部421b)とを所定の力によって係脱自在に構成することで、扇風機1はスタンド部40の任意の回動角度で安定維持させることができる。また、係合突起部321cと、係合凹部421との係脱の際、腕部411は、係合突起部321cが係合凹部421間の平坦部(係合凹部421に対しては凸部)を乗り上げることによって押圧されて内側へやや撓む。腕部411の剛性を高く設定すると、スタンド部40の回動操作に必要な外力が大きくなるためスタンド部40の開閉操作がしづらくなる。一方で、腕部411の剛性を低く設定すると、スタンド部40の回動操作に必要な外力が小さくなるが、スタンド部40が意図せず開閉することが想定される。
【0034】
本実施形態では、受け部321bを係合突起部321cと対向する位置に設けたため、腕部411が受け部321bに押圧された場合であっても腕部411が過剰に内側へ撓む(両腕部411が狭まる方向へ移動する)ことが規制される。従って、本実施形態のスタンド部40は、開閉を容易としながら、使用者が設定した開閉角度で安定支持させることができ、意図しない開閉が防止される。なお、受け部321bと係合突起部321cとの対向配置させる位置関係としては、支持部42の一方面側とその反対面側に位置していればよく、一直線上に配置されていなくてもよい。
【0035】
規制部422は、支持部42において、スタンド本体部41の外周縁の外側に突出した先端に配置される。また、規制部422は、支持部42と比して非常に小さく、直方体(矩形平板状)の小片状に形成される。そして、規制部422は、回動角度θを0度以下にするような力が加わった際に、把持本体部30の後把持本体部32の内面に当接し、回動角度θを0度以下にすることを防止する。
【0036】
グリル部50は、送風部20の外表面を形成し、その外形は送風部20同様となる。また、グリル部50は、前グリル部51及び後グリル部52を含む。
【0037】
前グリル部51は、排風部51a及び側面部51bを有する。排風部51aは、円形状であり、その中心近傍が円板状であり、その外周には、放射環状に整流板が設けられる。側面部51bは、2つの開口を有する背低の円筒状に形成される。前グリル部51は、側面部51bの一方の開口の内側に、排風部51aを設けることで、形成される。
【0038】
後グリル部52は、その中心近傍が、円板状で形成され、その中心近傍から外周が、放射環状に延在した複数の開口により網目状に形成される。後グリル部52は、外周側縁から前方へ立ち上がった先端部で、前グリル部51の側面部51bと接続する。
【0039】
ファン60(インペラ)は、送風部20のグリル部50の内側に配置される。また、ファン60は、前後方向の前側に位置する前ファン61及び前後方向の後ろ側に位置する後ファン62を含む。前ファン61及び後ファン62は、同じ軸線上に配置され、互いに反転して回転する。換言すれば、扇風機1は、二重反転式ファンの構成を備える。扇風機1は、二重反転式ファンである前ファン61及び後ファン62を備えることで、通常の1枚のファンを備える扇風機に比べて風の届く距離を長くすることができる。さらに、扇風機1は、前ファン61及び後ファン62の回転数比を制御することにより、噴出風を指向性が高く遠くまで到達可能な直進風から、送風範囲の広い拡散風まで変更することができる。
【0040】
ファンモータ70は、送風部20のグリル部50の内側であって前グリル部51側及び後グリル部52側にそれぞれ配置される(
図3(a)及び
図3(b)等に破線でファンモータ70の位置を図示している)。各ファンモータ70は、ファン60である前ファン61及び後ファン62を軸支し、前ファン61及び後ファン62を回転駆動させる。
【0041】
次に、扇風機1の使用の一例について説明する。また、ここでは、扇風機1は、最初に、スタンド部40が収納状態であることとして説明する。
【0042】
まず、扇風機1の使用者は、扇風機1の把持部10を手で持ちながら、スイッチ311を操作し、扇風機1に送風を開始させる。このとき、使用者は、扇風機1の把持部10を持った手を動かすことで、任意の場所に、風を当てることができる。換言すれば、扇風機1は、携帯型の扇風機として使用できる。係合突起部321cは、第1係合凹部421aに係合している(
図6(a)参照)。
【0043】
次に、使用者は、把持本体部30の後把持本体部32側からスタンド部40を、自身の指などにより、スタンド部40の回動角度θを0度以上にして開状態とするように、回動させる。このとき、係合突起部321cは、支持部42の外側面42Bを摺動して第1係合凹部421aから任意の第2係合凹部421bに係合する。スタンド部40は、左右それぞれの支持部42の内側面42Aを受け部321bによって支持可能に構成されているため、スタンド部40の回動角度θに変化があったとしても、支持部42の過度な撓みを抑制し、又は、一方の支持部42の反りなどによる左右方向の力の不均衡を防止し、後把持本体部32(把持本体部30)と接続するスタンド部40の保持力を安定させることができる。これにより、スタンド部40を任意の回動角度θに調整し安定させることができる。
【0044】
次に、使用者は、
図1に示すように、接面突起部322及びスタンド部40の下側の先端を、接地面に触れさせるように、扇風機1を配置する。扇風機1は、接面突起部322及びスタンド部40により接地するため、その接地がより安定する。また、このとき、扇風機1は、ファン60は回転しているため、接地側である扇風機1の把持部10に、前後方向の力が加わる。しかしながら、扇風機1は、接面突起部322及びスタンド部40により接地していることに加え、前述のようにスタンド部40が把持本体部30の後把持本体部32と接続する保持力を高く設定可能であるため、送風の反力や振動等による前後方向への移動を防止することができる。以上により、使用者は、扇風機1の把持部10を手で把持しなくとも、扇風機1を使用することができる。換言すれば、扇風機1は、スタンド部40が回動可能であるため、据え置き型の扇風機としても使用できる。
【0045】
そして、使用者は、スタンド部40の回動角度θを0度として、スタンド部40を収納状態とすれば、再度、扇風機1を携帯型の扇風機として使用できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態によって限定されることはなく、種々の変更を加えて実施することができる。例えば、扇風機1は、貫通孔321aの内側における受け部321b及び係合突起部321cの配置を逆としてもよい。その場合、スタンド部40の支持部42に設けられる係合凹部421を、支持部42の内側面42Aに設けることができる。
【0047】
また、貫通孔321aは、支持部42を含む腕部411の先端側を収容可能な、非貫通孔、凹部、窪部、開口部等の収容部であってもよく、この収容部において本実施形態で説明した受け部321bと係合突起部321cとを対向して配置する構成としてもよい。
【0048】
また、扇風機1は、送風部20のファン60を二重反転式ファン構造とすることに限定されず、例えば、1枚のファン60からなる構造としてもよい。
【0049】
また、スタンド部40は、1本の腕部411又は3本以上の複数の腕部411によって本体部100と回動可能に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 扇風機 10 把持部
20 送風部 30 把持本体部
31 前把持本体部 32 後把持本体部
40 スタンド部 41 スタンド本体部
41A 内側面 41B 外側面
41a 軸部 41b 係止突起部
42 支持部 42A 内側面
42B 外側面 50 グリル部
51 前グリル部 51a 排風部
51b 側面部 52 後グリル部
60 ファン 61 前ファン
62 後ファン 70 ファンモータ
100 本体部 311 スイッチ
321 スタンド収納部 321a 貫通孔
321b 受け部 321c 係合突起部
321d 軸受部 321e 係止溝部
322 接面突起部 411 腕部
421 係合凹部 421a 第1係合凹部
421b 第2係合凹部 422 規制部
θ 回動角度