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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】アトマイズ装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/08 20060101AFI20240411BHJP
   B22D 11/06 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
B22F9/08 A
B22D11/06 380A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021064655
(22)【出願日】2021-04-06
(65)【公開番号】P2022160116
(43)【公開日】2022-10-19
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000220767
【氏名又は名称】東京窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】梶田 慎道
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-059989(JP,A)
【文献】特開平04-099210(JP,A)
【文献】特開平05-084548(JP,A)
【文献】特開平01-255608(JP,A)
【文献】特開2018-035388(JP,A)
【文献】特開平03-247702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/00-9/30
B22D 11/00-11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱される黒鉛製の坩堝に収容された溶融金属を、前記坩堝の底部に設けられたアトマイズノズルから流出させ粉末化するアトマイズ装置であり、
前記アトマイズノズルは、ノズル基体が酸化物セラミックスで筒状に形成されており、開気孔の内表面を含め前記ノズル基体の表面がカーボンで被覆されていると共に、
前記アトマイズノズルは、前記坩堝の底部から突出している部分を有しており、該坩堝の底部から突出している部分を含む前記アトマイズノズルの全体が、前記坩堝を誘導加熱するコイルの内部空間にあることにより、前記坩堝を誘導加熱する際に前記アトマイズノズルの全体が誘導加熱される
ことを特徴とするアトマイズ装置
【請求項2】
前記坩堝の底部は黒鉛製の載置用ブロックに載置されており、前記アトマイズノズルにおいて前記坩堝に接触している部分を除く外周面の全てが前記載置用ブロックに接触しており、前記坩堝を誘導加熱する際に前記載置用ブロックが誘導加熱され、誘導加熱された前記載置用ブロックによって前記アトマイズノズルが加熱される
ことを特徴とする請求項1に記載のアトマイズ装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アトマイズ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微細な金属粉末を製造する方法のひとつに、アトマイズ法がある。アトマイズ法は、ノズルから流下させた溶融金属に、高圧のガスや水を噴射することにより金属流を微粉砕し、冷却・固化させることにより粉末化するものである。このような方法により金属粉末を製造するアトマイズ装置としては、溶融炉で溶融させた溶融金属をタンディッシュなどの他の容器に供給し、その容器の底部に設けられたアトマイズノズルを介して溶融金属を流下させる装置がある。そのほか、誘導加熱炉の底部にアトマイズノズルを設け、誘導加熱によって溶融された溶融金属を直接的にアトマイズノズルから流下させる装置がある。
【0003】
アトマイズ装置によって金属粉末を製造する際、アトマイズノズルから流出する前に溶融金属の温度が低下すると、固化した金属によってノズル孔が閉塞されてしまうことがある。特に、製造される金属粉末をより微細にするためにノズルの孔径を小さくすると、固化した金属による閉塞の問題がより大きい。
【0004】
そこで、溶融金属の温度の低下を抑制するために、使用に先立ってアトマイズノズルを予熱することが行われている。しかしながら、ジルコニアやアルミナなど、従前よりアトマイズノズルの材料として使用されている酸化物セラミックスは熱伝導率が低い。そのため、所望の温度まで予熱するために時間がかかるという問題がある。また、生産性を高めることを目的として予熱の際の昇温速度を大きくすると、熱衝撃のために亀裂や割れが発生するおそれがある。
【0005】
一方、アトマイズノズルとして、黒鉛製のものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。黒鉛は熱伝導率が高いため、予熱する場合であっても所要時間が短くて済み、溶融金属からの伝熱によっても高温となるため、アトマイズノズルから流出させる溶融金属の温度の低下を抑制することができる。また、誘導加熱炉に使用される場合は、加熱された誘導加熱炉からの伝熱によってもアトマイズノズルが高温となることに加え、炉を誘導加熱するためのコイルへの通電によって、黒鉛製のアトマイズノズルをも誘導加熱することが可能である。
【0006】
しかしながら、黒鉛は溶融金属に対する耐性が低いため、流出させる溶融金属によってアトマイズノズルが損耗してしまうという問題がある。アトマイズノズルが損耗すると、ノズルの孔径が拡大してしまい、金属粉末を微細化することができない。そのため、溶融金属に対する耐性が高いと共に、流出させる溶融金属の温度の低下が抑制されているアトマイズノズルが要請されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-002176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、溶融金属に対する耐性が高いと共に、流出させる溶融金属の温度の低下が抑制されているアトマイズ装置の提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるアトマイズ装置に使用するアトマイズノズルの製造方法は、
「溶融金属が収容された容器から溶融金属を流出させ粉末化するためのアトマイズノズルの製造方法であり、
酸化物セラミックスで筒状に形成されたノズル基体にカーボンを含浸させることにより、カーボンを含浸させていないことを除き同一条件で製造されたアトマイズノズルより、熱伝導率の大きなアトマイズノズルを製造する」ものである。
【0010】
本構成では、ノズル基体は酸化物セラミックス製であるため、溶融金属に対する耐性が高く、溶融金属により損耗するおそれが低い。このような利点を有するものの、酸化物セラミックス製のノズルは熱伝導率が低いため、使用に先立って行われるアトマイズノズルの予熱に時間がかかるという問題ある。予熱が不十分であれば、アトマイズノズルから流出させる溶融金属の温度が低下してしまう。また、生産性を高めることを目的として、予熱の際の昇温速度を大きくすると、熱衝撃のために損傷するおそれがある。
【0011】
このような問題に対し、本構成では、ノズル基体にカーボンを含浸させるという手段を採った。ノズル基体が酸化物セラミックス製であっても、後述するように、カーボンを含浸させることによって熱伝導率大きくすることができ、これに伴い、耐熱衝撃性を高めることができる。
【0012】
また、カーボンを含浸させることにより溶融金属に対する濡れ性が低下するため、溶融金属が付着・滞留してノズル孔が閉塞するおそれや、溶融金属との接触に伴う損耗によってノズル孔が拡大するおそれを低減することができる。
【0013】
次に、本発明にかかるアトマイズ装置に使用するアトマイズノズルは、
「溶融金属が収容された容器から溶融金属を流出させ粉末化するためのアトマイズノズルであり、
ノズル基体が酸化物セラミックスで筒状に形成されており、
開気孔の内表面を含め前記ノズル基体の表面がカーボンで被覆されている」ものである。
【0014】
これは、上述の製造方法により製造されるアトマイズノズルの構成である。
【0015】
次に、本発明にかかるアトマイズ装置は、
「誘導加熱される黒鉛製の坩堝に収容された溶融金属を、前記坩堝の底部に設けられたアトマイズノズルから流出させ粉末化するアトマイズ装置であり、
前記アトマイズノズルは、ノズル基体が酸化物セラミックスで筒状に形成されており、開気孔の内表面を含め前記ノズル基体の表面がカーボンで被覆されていると共に、
前記アトマイズノズルは、前記坩堝の底部から突出している部分を有しており、該坩堝の底部から突出している部分を含む前記アトマイズノズルの全体が、前記坩堝を誘導加熱するコイルの内部空間にあることにより、前記坩堝を誘導加熱する際に前記アトマイズノズルの全体が誘導加熱される」ものである。更に、この構成において、「「前記坩堝の底部は黒鉛製の載置用ブロックに載置されており、前記アトマイズノズルにおいて前記坩堝に接触している部分を除く外周面の全てが前記載置用ブロックに接触しており、前記坩堝を誘導加熱する際に前記載置用ブロックが誘導加熱され、誘導加熱された前記載置用ブロックによって前記アトマイズノズルが加熱される」ものとすることができる。
【0016】
電気伝導性を有していない酸化物セラミックスをノズル基体とするアトマイズノズルであっても、カーボンを含浸させることにより電気伝導性を有するものとなる。そのため、黒鉛製の坩堝を使用し誘導加熱によって金属を溶融させるタイプのアトマイズ装置において、かかるアトマイズノズルを坩堝の底部に取り付ければ、坩堝を誘導加熱するためにコイルに電流を流すと、坩堝と共にアトマイズノズルも加熱される。従って、ノズルから溶融金属を流出させるのに先立ってアトマイズノズルを予熱する時間を短縮することができ、或いは、予熱を不要とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、溶融金属に対する耐性が高いと共に、流出させる溶融金属の温度の低下が抑制されているアトマイズ装置を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】カーボンを含浸させた場合と含浸させなかった場合とで熱伝導率を対比したグラフである。
図2】カーボンを含浸させた場合と含浸させなかった場合とで耐熱衝撃性を対比したグラフである。
図3】(a)本発明の一実施形態であるアトマイズ装置の縦断面図、及び、(b)A-A間及びB-B間における拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。アトマイズノズルの製造方法は、酸化物セラミックスによって外形が略逆円錐形の筒状に形成されたノズル基体に、カーボンを含む液体を含浸させる含浸工程と、含浸後のノズル基体を加熱する加熱工程と、を備えている。
【0020】
ノズル基体を構成する酸化物セラミックスとしては、ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ、ムライト、チタン酸アルミニウムを、例示することができる。
【0021】
含浸工程で含浸させるカーボンを含む液体としては、タール及びピッチの少なくとも一方を含む液体を使用することができる。タール及びピッチとしては、無水タール、石炭系ピッチ、石油系ピッチを例示することができる。ここで、石炭系ピッチはその軟化点により、軟ピッチ(軟化点約70℃以下)、中ピッチ(軟化点70~85℃)、硬ピッチ(軟化点約85℃以上)に分類されるが、その何れであっても使用することができる。また、タール及びピッチの少なくとも一方を含有する液体は、タール及びピッチの少なくとも一方のみを含有するものであっても、タール及びピッチの少なくとも一方が溶媒で希釈されたものであっても良い。なお、常温で固体であるピッチは、軟化点以上に加温され液体となった状態、または、溶媒に溶解された状態で使用される。
【0022】
含浸工程は、加圧下で行うことができる。加圧することにより、ノズル基体の開気孔の内部までカーボンを含む液体が圧入される。或いは、含浸工程は、カーボンを含む液体の導入に先立ち、ノズル基体が収容された容器を脱気する工程(減圧する工程)とすることができる。これにより、ノズル基体の開気孔から空気が除去され、開気孔の内部までカーボンを含む液体が浸入する。
【0023】
加熱工程では、カーボンを含む液体を含浸させたノズル基体を、400℃~600℃の温度で加熱する。この加熱により、カーボンを含む液体から揮発成分が除去される。加熱工程は、カーボンの酸化を防ぐために非酸化性雰囲気で行う。非酸化性雰囲気は、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、窒素雰囲気、これらの混合ガス雰囲気、真空雰囲気とすることができる。
【0024】
含浸工程及び加熱工程を経て、カーボンが含浸しているアトマイズノズル、すなわち、ノズル基体が酸化物セラミックス製であり、開気孔の内表面も含めてノズル基体の表面がカーボンで被覆されたアトマイズノズルが得られる。
【0025】
カーボンが含浸しているアトマイズノズルは、カーボンを含浸させていないアトマイズノズルに比べて、熱伝導率が大きい。また、熱伝導率が大きいことにより、耐熱衝撃性に優れている。実際に、ノズル基体がジルコニアで形成されており、カーボンを含浸させていない比較例のアトマイズノズルと、比較例と同一条件で製造されたノズル基体にカーボンを含浸させた実施例のアトマイズノズル(含浸工程及び加熱工程を経たアトマイズノズル)について、熱伝導率の測定と、耐熱衝撃性の評価を行った。
【0026】
熱伝導率は、熱伝導率測定装置LFA457(NETZSCH製)を使用し、レーザフラッシュ法により測定した。熱伝導率の測定温度は常温から1000℃の範囲で設定し、アルゴン雰囲気下で測定を行った。測定結果を図1に示す。この図から、カーボンを含浸させていない比較例のアトマイズノズルに比べて、カーボンを含浸させた実施例のアトマイズノズルの方が、何れの測定温度においても熱伝導率が高いことが明らかである。
【0027】
耐熱衝撃性の評価は、比較例及び実施例それぞれの試料を、常温から1000℃の範囲にある所定の温度において一定時間保持した後、水中に投入することによって熱衝撃を与えた後、曲げ強度を測定することにより行った。所定温度までの加熱及び温度保持は、アルゴン雰囲気下で行った。曲げ強度は、電子式万能材料試験機YS2TL(米倉製作所製)を使用し、JIS R1601に準拠して三点曲げ強度を測定した。測定結果を図2に示す。
【0028】
図2から、カーボンを含浸させていない比較例に比べて、カーボンを含浸させた実施例の方が、何れの温度差においても熱衝撃を与えた後の三点曲げ強度が高く、カーボンを含浸させたことによって耐熱衝撃性が向上していることが明らかである。
【0029】
このように、カーボンを含浸させることにより熱伝導率が高められ、これに伴い耐熱衝撃性に優れているアトマイズノズルは、使用に先立って行われる予熱の所要時間を短縮することができる利点がある。また、ノズル基体がセラミックス製であるため、溶融金属に対する耐性が高く、溶融金属によって損耗するおそれが低減されている。加えて、カーボンで被覆されていることにより、溶融金属に対する濡れ性が低下するため、溶融金属の付着・滞留によりノズル孔が閉塞するおそれや、溶融金属との接触による損耗によってノズル孔が拡大するおそれを低減することができる。
【0030】
このような利点を有するアトマイズノズルは、種々のタイプのアトマイズ装置に使用することができる。例えば、電気炉、ガス炉、誘導加熱炉などの炉において溶融された溶融金属を、受容する他の容器の底部に取り付けられるアトマイズノズルとして、使用することができる。
【0031】
或いは、図3に示すように、誘導加熱される炉の底部にアトマイズノズルを取り付け、誘導加熱によって溶融された溶融金属を直接的にアトマイズノズルから流下させるアトマイズ装置1の構成として、使用することができる。このアトマイズ装置1は、坩堝10と、坩堝10を誘導加熱するためのコイル40と、坩堝10の底部に設けられたアトマイズノズル20と、坩堝10を載置する載置用ブロック30と、アトマイズノズル20から流出させた溶融金属に高圧ガスまたは高圧水を噴射する噴射装置(図示を省略)と、高圧ガス又は高圧水によって微粉砕された金属流の冷却・固化により生成した金属粉末を受容する下部容器(図示を省略)を、主な構成とする。
【0032】
坩堝10は黒鉛製で、上方に開口した有底筒状の容器である。坩堝10の底部には、アトマイズノズル20が設けられている。アトマイズノズル20は本実施形態の製造方法により製造されたアトマイズノズルであり、酸化物セラミックスで筒状に形成されたノズル基体の表面が、開気孔の内表面も含めてカーボンで被覆されている。アトマイズノズル20は、坩堝10に収容された溶融金属をノズル孔25から流出させるために、上流端21は坩堝10の内部空間に位置させ、坩堝10の底部を貫通した上で、下流端22側が坩堝10の底部から突出している。
【0033】
アトマイズノズル20の外形は、上流端21から下流端22に向かって外径が徐々に縮径している逆円錐形である。アトマイズノズル20の上流端21ではノズル孔25は大径であり、下流端22では径が絞られて細孔25nとなっている。
【0034】
坩堝10の底部は、アトマイズノズル20が突出している部分を除き、載置用ブロック30に載置されている。載置用ブロック30は大型のブロックであり、耐火材料で形成された炉底部50に載置されている。炉底部50には炉底開口50hが形成されており、アトマイズノズル20の細孔25nが炉底開口50hに臨んでいる。載置用ブロック30及び坩堝10は、耐火材料で形成された炉壁部51で囲まれている。コイル40は、炉壁部51に巻回されている。坩堝10の底部が載置用ブロック30に載置されていることにより、アトマイズノズル20は、坩堝10の底部から突出している部分も含めて全体が、コイル40の内部空間にある。
【0035】
坩堝10の内部に金属を収容した状態でコイル40に電流を流すと、誘導加熱によって金属が溶融する。ノズル孔25の開閉及びノズル孔25を介した溶融金属の流出量の調整を行うために、坩堝10の内部にはストッパ60が挿入される。ストッパ60は、下端に半球状または紡錘形状のヘッド部61が形成された長棒状部材であり、ヘッド部61によってアトマイズノズル20の上流端21でノズル孔25を閉塞することができる。ストッパ60を上昇させてノズル孔25を開くと、溶融金属がノズル孔25に流入し、細孔25nから細い金属流となって流出する。ヘッド部61によってノズル孔25を開く度合いを変化させ、溶融金属の流出量を調整することができる。
【0036】
アトマイズノズル20は、カーボンを含浸させたことにより電気伝導性を有している。そして、アトマイズノズル20は、その全体がコイル40の内部空間にある。そのため、坩堝10を誘導加熱するためにコイル40に電流を流すことにより、坩堝10と共にアトマイズノズル20も加熱される。従って、ノズル孔25に溶融金属を流通させるのに先立ってアトマイズノズル20を予熱する際の所要時間を更に短縮することができ、或いは、予熱を不要とすることができる。
【0037】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0038】
例えば、上記のアトマイズ装置1において、載置用ブロック30を黒鉛製とすることができる。これにより、坩堝10を誘導加熱するためにコイル40に電流を流すことにより、坩堝10、アトマイズノズル20が加熱されると共に、載置用ブロック30も誘導加熱される。載置用ブロック30は大型のブロックで熱容量が大きいため、高温となった載置用ブロック30によってアトマイズノズル20を更に加熱することができる。
【0039】
このように、誘導加熱された載置用ブロック30でアトマイズノズル20を加熱する場合、載置用ブロック30は、アトマイズノズル20の外周面のうち、坩堝10に接触している坩堝接触面24を除く外周面の全てに接触させることが望ましい。アトマイズノズル20の外周面と載置用ブロック30との間に空隙が存在しないことにより、載置用ブロック30からアトマイズノズル20へ、効率的に伝熱させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 アトマイズ装置
10 坩堝
20 アトマイズノズル
25 ノズル孔
30 載置用ブロック
40 コイル
図1
図2
図3