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特許7470673半導体装置、撮像装置、半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】半導体装置、撮像装置、半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20240411BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240411BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H04N25/70
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021505593
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2020004376
(87)【国際公開番号】W WO2020184002
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2019045875
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】渡部 剛
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩和
(72)【発明者】
【氏名】重田 博幸
(72)【発明者】
【氏名】渋江 人志
(72)【発明者】
【氏名】小林 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】晴山 耕佑
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-198319(JP,A)
【文献】国際公開第2015/198770(WO,A1)
【文献】特開2015-029036(JP,A)
【文献】特開2008-041756(JP,A)
【文献】特開2008-041759(JP,A)
【文献】特開平10-041595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、
前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、
前記外壁部の内側に位置し前記外壁部と同方向側に突出された内壁部と、
前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、を備え、
前記内壁部が前記半導体チップ上に設けた枠部材によって形成され、
前記外壁部と前記内壁部との間に形成された蓄熱部材を備えた
導体装置。
【請求項2】
前記基板部がセラミック製とされた
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップは、複数の受光素子が二次元配列された画素領域を有し、
前記枠部材が前記半導体チップ上において前記画素領域の外側を囲う
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記蓄熱部材は、温度により相転移する蓄熱材により構成され、
前記蓄熱部材の相転移を検出する検出素子と、
冷却素子と、を備えた
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、
前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、
前記外壁部の内側に位置し前記外壁部と同方向側に突出された内壁部と、
前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、を有し、
前記内壁部が前記半導体チップ上に設けた枠部材によって形成され、
前記外壁部と前記内壁部との間に形成された蓄熱部材を有した固体撮像素子と、
前記固体撮像素子により得られる撮像画像信号を処理する信号処理部と、を備えた
撮像装置。
【請求項6】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、前記外壁部の内側に位置し前記外壁部と同方向側に突出された内壁部と、前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記内壁部を前記半導体チップ上に設けた枠部材によって形成し、
前記外壁部と前記内壁部との間に蓄熱部材を形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、
前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、
前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、
前記外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、を備え、
前記基板部は多層構造を有し、
前記蓄熱部材は、前記基板部における何れかの層に形成された切欠部内に形成された
半導体装置。
【請求項8】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、を備え、前記基板部が多層構造を有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板部の何れかの層における前記外壁部よりも内側となる位置に形成された切欠部内に蓄熱部材を形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、
前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、
前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、
前記外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、を備え、
前記基板部は多層構造を有し、
前記蓄熱部材が前記基板部における複数の層に形成された
半導体装置。
【請求項10】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、を備え、前記基板部が多層構造を有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板部の前記外壁部よりも内側となる位置における複数の層に蓄熱部材を形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、
前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、
前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、
前記外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、を備え、
前記基板部の裏面側には表面側に凹んだ凹部が形成され、
前記凹部内に前記半導体チップとは別の電子部品が搭載され、
前記凹部内において前記電子部品が前記蓄熱部材により覆われた
半導体装置。
【請求項12】
前記凹部を閉塞する閉塞部材を備えた
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、前記外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、を備え、前記基板部の裏面側には表面側に凹んだ凹部が形成され、前記凹部内に前記半導体チップとは別の電子部品が搭載される半導体装置の製造方法であって、
前記凹部内において前記電子部品を前記蓄熱部材により覆う
半導体装置の製造方法。
【請求項14】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、
前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、
前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、
前記外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、
前記基板部の裏面側における前記半導体チップと対向する位置に配置された冷却素子と、を備え、
前記蓄熱部材が前記冷却素子と前記半導体チップとの間に配置された
半導体装置。
【請求項15】
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、前記外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、前記基板部の裏面側における前記半導体チップと対向する位置に配置された冷却素子と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記冷却素子と前記半導体チップとの間となる位置に前記蓄熱部材を形成する
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、基板部上に半導体チップが搭載された半導体装置と、固体撮像素子としての半導体装置を備えた撮像装置と、半導体装置の製造方法とに関するものであり、特には、半導体チップからの発熱を蓄熱材を用いて放熱するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板部上に半導体チップが搭載された半導体装置においては、半導体チップからの発熱を蓄熱材を用いて放熱するように構成されたものがある。例えば、固体撮像素子(イメージセンサ)としての半導体装置においては、下記特許文献1,2に開示されるように、半導体装置の一部に蓄熱材を付加するといったことが試みられている。
具体的に、特許文献1では、蓄熱材をインサート成形した蓄熱部材を半導体装置に外付けする技術が開示されている
また、特許文献2では半導体パッケージを構成する樹脂枠の中に蓄熱材を充填する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-278330号公報
【文献】特開2015-198319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように蓄熱部材を半導体装置に外付けする場合には、蓄熱部材を取り付けるスペースの確保が必要な上、蓄熱材が充填剤や樹脂を介して接するので十分な放熱を行うことが困難となる。
また、特許文献2のように半導体チップを囲う樹脂枠の中に蓄熱材を充填した構成では、チップからの発熱の大部分は基板を経由した後、樹脂枠を通じて蓄熱材に達するため、十分な放熱を行うことが困難である。また、樹脂枠は強度確保のため、充填できる蓄熱材には限りがあり、この点でも十分な放熱を行うことが困難である。
【0005】
本技術は上記の事情に鑑み為されたものであり、放熱効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る半導体装置は、半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、前記基板部の裏面から前記蓋部の裏面までの間における、前記外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、を備えるものである。
【0007】
これにより、蓄熱部材を半導体装置に外付けする場合や外壁部の内部に配置する場合に比して、蓄熱部材を熱源としての半導体チップにより近づけて配置することが可能とされる。
【0008】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記基板部がセラミック製とされた構成とすることが考えられる。
【0009】
これにより、半導体チップからの熱が基板部を介して効率良く蓄熱部材に伝達される。
【0010】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記外壁部の内側に位置し前記外壁部と同方向側に突出された内壁部を備え、前記蓄熱部材が前記外壁部と前記内壁部との間に形成された構成とすることが考えられる。
【0011】
これにより、外壁部と内壁部との間の空間内に充填した蓄熱材を蓋部によって封止することが可能とされる。
【0012】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記内壁部が前記半導体チップ上に設けた枠部材によって形成された構成とすることが考えられる。
【0013】
これにより、蓄熱部材によって半導体チップの一部を覆うことが可能とされる。
【0014】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記半導体チップは、複数の受光素子が二次元配列された画素領域を有し、前記枠部材が前記半導体チップ上において前記画素領域の外側を囲う構成とすることが考えられる。
【0015】
これにより、半導体チップ上の画素領域より外側の一部までを蓄熱部材により覆うことが可能とされる。
【0016】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記蓄熱部材が前記基板部の内部における前記外壁部よりも内側となる位置に配置された構成とすることが考えられる。
【0017】
半導体チップからの発熱の大部分は基板部に伝達される。
【0018】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記基板部は多層構造を有し、前記蓄熱部材は、前記基板部における何れかの層に形成された切欠部内に形成された構成とすることが考えられる。
【0019】
これにより、蓄熱材の被充填部をプロセス的に簡易に形成することが可能とされる。
【0020】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記基板部は多層構造を有し、前記蓄熱部材が前記基板部における複数の層に形成された構成とすることが考えられる。
【0021】
これにより、基板部内において蓄熱部材の配置により配線レイアウトの制約を受ける部分が単一層に偏ることの防止が図られる。
【0022】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記基板部の裏面側には表面側に凹んだ凹部が形成され、前記凹部内に前記半導体チップとは別の電子部品が搭載され、前記凹部内において前記電子部品が前記蓄熱部材により覆われた構成とすることが考えられる。
【0023】
これにより、インターポーザ基板としての基板部の表裏両面に熱源となる電子部品が搭載される場合において、それら電子部品からの発熱が基板部を介して効率的に蓄熱材料に伝達される。
【0024】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記凹部を閉塞する閉塞部材を備えた構成とすることが考えられる。
【0025】
これにより、温度により相転移する蓄熱材をマイクロカプセルに内包させたり樹脂で覆ったりせずに用いることが可能とされる。
【0026】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記基板部の裏面側における前記半導体チップと対向する位置に配置された冷却素子を備えた構成とすることが考えられる。
【0027】
上記構成により、半導体チップからの発熱が基板部を介して冷却素子に効率良く伝達される。
【0028】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記蓄熱部材が前記冷却素子と前記半導体チップとの間に配置された構成とすることが考えられる。
【0029】
これにより、半導体チップから冷却素子への熱伝達が、冷却素子と半導体チップとの間に位置する蓄熱部材を介して効率良く行われる。
【0030】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記蓄熱部材は、温度により相転移する蓄熱材により構成され、前記蓄熱部材の相転移を検出する検出素子と、冷却素子と、を備えた構成とすることが考えられる。
【0031】
これにより、蓄熱材の相転移タイミングに応じて冷却素子の駆動態様を変化させる等、蓄熱材の相転移に基づき冷却素子を駆動することによる温度管理を行うことが可能とされる。
【0032】
また、本技術に係る撮像装置は、複数の受光素子が二次元配列された半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、前記基板部の裏面から前記蓋部の裏面までの間における、前記外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、を有する固体撮像素子と、前記固体撮像素子により得られる撮像画像信号を処理する信号処理部と、を備えたものである。
【0033】
これにより、上記した本技術に係る半導体装置と同様の作用が得られる固体撮像素子を実装した撮像装置が実現される。
【0034】
また、本技術に係る半導体装置の製造方法は、半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、を備える半導体装置について、前記基板部の裏面から前記蓋部の裏面までの間における、前記外壁部よりも内側となる位置に蓄熱部材を形成する、半導体装置の製造方法である。
【0035】
このような製造方法により、上記した本技術に係る半導体装置の製造が可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第一実施形態に係る第一例としての半導体装置の概略構造を説明するための図である。
図2】第一例における内壁部の形状が採用される理由の説明図である。
図3】第一実施形態に係る第一例としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するための図である。
図4】第一実施形態に係る第二例としての半導体装置の概略構造を説明するための図である。
図5】第一実施形態に係る第二例としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するための図である。
図6】第一実施形態に係る第三例としての半導体装置の概略構造を説明するための図である。
図7】第一実施形態に係る第三例としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するための図である。
図8】第二実施形態に係る第一例としての半導体装置の概略断面図である。
図9】第二実施形態に係る第二例としての半導体装置の概略断面図である。
図10】第二実施形態に係る第三例としての半導体装置の概略断面図である。
図11】第二実施形態に係る第四例としての半導体装置の概略断面図である。
図12】第二実施形態に係る第一例としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するための図である。
図13】蓄熱材の注入口を閉塞する手法についての変形例の説明図である。
図14】第二実施形態における基板部内での蓄熱部材の形成例について説明するための図である。
図15】第二実施形態における基板部内での蓄熱部材の形成例について説明するための図である。
図16】第二実施形態における基板部内での蓄熱部材の形成例について説明するための図である。
図17】第二実施形態における基板部内での蓄熱部材の形成例について説明するための図である。
図18】第二実施形態における注入口の個数についての変形例を説明するための図である。
図19】蓄熱部材を複数層に分けて形成する例の説明図である。
図20】第三実施形態に係る第一例としての半導体装置の概略断面図である。
図21】第三実施形態に係る第二例としての半導体装置の概略断面図である。
図22】第三実施形態としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するためのである。
図23】第三実施形態における絶縁対策の例についての説明図である。
図24】第四実施形態としての半導体装置の概略断面図である。
図25】第四実施形態としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するための図である。
図26】第四実施形態としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するための図である。
図27】第四実施形態としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するための図である。
図28】第四実施形態としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するための図である。
図29】第四実施形態としての半導体装置の作成プロセスの例を説明するための図である。
図30】実施形態としての半導体装置を適用した撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図31】蓄熱材の相転移検出結果に応じた温度管理を行うための撮像装置の構成例を示したブロック図である。
図32図31に示す撮像装置における温度管理のための要部の構成を抽出して示した図である。
図33】温度管理のために実行すべき処理の例を示したフローチャートである。
【0037】
以下、添付図面を参照し、本技術に係る実施形態を次の順序で説明する。

<1.第一実施形態>
[1-1.第一例]
[1-2.第二例]
[1-3.第三例]
<2.第二実施形態>
<3.第三実施形態>
<4.第四実施形態>
<5.撮像装置>
<6.冷却素子を用いた温度管理の例>
<7.実施形態のまとめ及び変形例>
<8.本技術>

以下の説明では、本技術に係る実施形態としての半導体装置として、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の固体撮像素子(イメージセンサ)としての半導体装置を例に挙げる。
また、以下の説明では「半導体パッケージ」との用語を用いるが、本明細書において半導体パッケージとは、半導体素子や集積回路(IC)を包装して周囲から防護し、外部と電力や電気信号の入出力を行うための接点(端子や配線)を提供する包装部材のことを意味している。
【0038】
<1.第一実施形態>
[1-1.第一例]

先ず、図1から図3を参照して第一実施形態に係る第一例としての半導体装置1について説明する。
図1は、第一例としての半導体装置1の概略構造を説明するための図であり、図1Aは半導体装置1の概略断面図、図1Bは半導体装置1の上面図である。
半導体装置1は、断面視において略凹型に形成された半導体パッケージ2と、半導体パッケージ2の凹部2aに搭載された半導体チップ3と、半導体チップ3を封止する板状の蓋部4とを備えて構成されている。
半導体チップ3は、本例では撮像画像を得るための受光用の半導体チップとされ、光電変換を行う複数の受光素子が二次元配列されている。この半導体チップ3には、受光素子において受光量に応じて生成された信号電荷に基づく画素信号についてCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)や信号増幅、A/D(Analog/Digital)変換等を行う回路部も設けられている。
蓋部4は、本例ではガラス等の透明基板が用いられる。
【0039】
半導体装置1は、半導体チップ3を水、湿度、外力など外部環境から保護するため、パッケージ内部が蓋部4により密閉されている。具体的に本例では、半導体チップ3が搭載された凹部2aがドライエアや窒素が充填されて封止されるか、又は真空封止されている。
【0040】
半導体パッケージ2は、半導体チップ3が搭載された基板部21と、基板部21の外周部より突出された外壁部22とを有する。外壁部22は、基板部21における半導体チップ3が搭載された側の面である表面21aの側に突出されており、半導体チップ3の周囲を覆うように位置されている。
基板部21は、内部に電気配線やビア等が形成された複数の配線層が形成され(後述する図8等を参照)、表面21aとは逆側の裏面21bに、半導体装置1外部との電気的接続を行うための外部接続端子Etが複数形成されている。
また、基板部21の表面21aには、半導体チップ3を電気的に接続するための複数の端子5が形成されている。
半導体チップ3は、表面21aにおける所定位置(本例では中央)にダイボンドされた状態で、所定の端子がそれぞれボンディングワイヤ6を介して端子5のうち対応する端子5と電気的に接続されている。
本例では、基板部21と外壁部22はセラミック製とされている。
【0041】
ここで、半導体パッケージ2においては、外壁部22の内側に内壁部23が形成されている。具体的に、内壁部23は、外壁部22の内側において、基板部21から外壁部22の突出方向と同方向側に突出された壁部とされる。
半導体パッケージ2においては、この内壁部23と外壁部22との間に凹部2bとしての空間が形成され、半導体装置1においては、この凹部2b内に蓄熱材が充填され、該蓄熱材が充填された部分が蓄熱部材7として形成されている。
本例において、内壁部23は、基板部21と外壁部22と同様にセラミック製とされ、外壁部22と同様に基板部21と一体に形成されている。この場合の内壁部23は、図1Bに示すように上面視で略はしご型の形状を有しており(図中の梨地部分を参照)、外壁部22と内壁部23との間には複数の凹部2b(本例では四つの凹部2b)が形成されている。蓄熱部材7は、これら各凹部2b内において形成されており、このように凹部2b内に形成された各蓄熱部材7は、外壁部22により支持された蓋部4によって封止されている。
【0042】
本例では、蓄熱部材7を構成する蓄熱材としては、温度により相転移する蓄熱材(以下「相転移型蓄熱材」と表記する)が用いられる。具体的には、例えば以下の2種の形態の何れかを採用できる。すなわち、第一形態としては、パラフィンや無機水和塩等の潜熱蓄熱材を内包したマイクロカプセルを含有させた熱硬化樹脂(例えば、エポキシやアクリル系)や、酸化バナジウム,スズ合金などの粒状体を含有させた樹脂を蓄熱部材7とする形態である。
また、第二形態としては、パラフィンや無機水和塩等の潜熱蓄熱材をマイクロカプセルに内包させずにそのまま用いる形態を挙げることができる。
【0043】
上記のように凹部2bが蓋部4により封止されることで、蓄熱部材7の形態として上記の第二形態を採用した場合、具体的に温度上昇に応じて固体から液体に相転移する蓄熱材を用いる場合であっても、液化した蓄熱材が凹部2b外部に流出してしまうことの防止が図られる。上記の第二形態は、第一形態と比較して、蓄熱材にダイレクトに熱を伝達可能とされるため、放熱効率を高めることができる。
【0044】
ここで、本例において内壁部23が略はしご型に形成されているのは、図2に例示するようなパッケージ母材2’から各半導体パッケージ2となる部分を個片化することを前提としているためである。具体的に、セラミック製の半導体パッケージ2についてはセラミックグリーンシートを積層し焼成することで作成されるが、この際、パッケージ母材2’の作成に用いるグリーンシートを1枚の連続したシートとするためには、シート上の外壁部22の構成部分と内壁部23の構成部分とが連結されていることを要する。この結果、内壁部23は外壁部22に対して連結された部分を有し、本例では図1Bに示したような略はしご型の形状を有している。
【0045】
なお、半導体チップ3が搭載された内側の凹部2aが内側キャビティであるとすれば、その外側に形成された凹部2bは、外側キャビティと換言することができる。
【0046】
続いて、図3を参照して、半導体装置1の作成プロセスの例を説明する。
先ず、積層セラミックパッケージとしての半導体パッケージ2が用意される(図3A参照)。図示のように半導体パッケージ2には、基板部21の表面21aに上述した複数の端子5が形成されると共に、裏面21bにおいて複数の外部接続端子Etが形成されている。また、半導体パッケージ2には、内壁部23の内側に内側キャビティとしての凹部2aが形成されると共に、外壁部22と内壁部23との間に複数の凹部2bが形成されている。
半導体パッケージ2は、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)等のシートに金属ペーストをスクリーン印刷し回路パターンを形成し、上下層をビアで接続して積層、圧着、焼成して作成され、パッケージ内部の配線を自由に行うことが可能とされる。
【0047】
この半導体パッケージ2における凹部2a内において、半導体チップ3をダイボンドすると共に、半導体チップ3における各端子を対応する端子5に対しそれぞれボンディングワイヤ6により電気的に接続する(図3B参照)。なお、ダイボンドに用いる接着剤は熱伝導率が高く広い面積に塗布されるのが望ましい。
その上で、各凹部2b内に例えばパラフィン等による蓄熱材を充填して蓄熱部材7を形成し(図3C参照)、外壁部22と内壁部23の表面に接着剤adを塗布し(図3D)、該接着材adによって蓋部4を接着することで(図3E参照)、蓋部4により凹部2aと凹部2b内の蓄熱部材7とを封止する。このとき、内壁部23に対する接着剤adの塗布は途切れ無く行われ、内側キャビティとしての凹部2aと外側キャビティとしての凹部2bは完全に仕切られるものとする。
【0048】
上記のように作成された半導体装置1は基板に実装された状態で対象装置の筐体内に収納される。そして、半導体装置1が通電され動作が開始されると、半導体チップ3が発熱し温度が上昇するが、半導体チップ3からの発熱はセラミック製の基板部21を介して蓄熱部材7に伝達されるため、半導体チップ3の温度が上昇しても素早く放熱され、半導体チップ3の高温上昇の抑制が図られる。
【0049】
[1-2.第二例]

続いて、図4及び図5を参照し、第一実施形態における第二例としての半導体装置1Aについて説明する。
図4は、第二例としての半導体装置1Aの概略構造を説明するための図であり、図4Aは半導体装置1Aの概略断面図、図4Bは半導体装置1Aの上面図である。
なお以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
半導体装置1Aにおいては、半導体パッケージ2に代えて半導体パッケージ2Aが用いられる。半導体パッケージ2Aは、内壁部23が形成されない点が半導体パッケージ2と異なる。
半導体装置1Aにおいては、半導体パッケージ2Aにおける外壁部22の内側に枠部材8が配置されている。枠部材8は、基板部21における端子5の形成部分よりも外側から半導体チップ3の周囲を囲っており、この場合の凹部2aは枠部材8の内側の空間とされる。本例において、枠部材8の形状は角筒状とされる。また、枠部材8には、例えば銅やアルミ等による金属製の部材が用いられる。
【0051】
図4Bに示されるように、枠部材8は、内壁部23が有していたような外壁部22との連結部が形成されておらず、枠部材8の周囲には、外壁部22との間に連続した一つの凹部2bが形成されている。この凹部2b内に対して蓄熱部材7が形成されている。
【0052】
図5は、半導体装置1Aの作成プロセスの例を説明するための図である。
この場合は、積層セラミックパッケージとしての半導体パッケージ2Aが用意され(図5A参照)、この半導体パッケージ2Aにおける基板部21上に枠部材8を接着する(図5B参照)。このとき、枠部材8は、端子5の形成部分を外側から囲うように配置する。
そして、枠部材8の内側における凹部2a内において、半導体チップ3をダイボンドする共に、半導体チップ3における各端子を対応する端子5に対しそれぞれボンディングワイヤ6により電気的に接続する(図5C参照)。なお、枠部材8の接着工程と半導体チップ3のダイボンド工程は前後してもよい。
さらに、凹部2b内に例えばパラフィン等による蓄熱材を充填して蓄熱部材7を形成し(図5D参照)、外壁部22と枠部材8の表面に接着剤adを塗布し(図5E)、該接着材adによって蓋部4を接着することで(図5F参照)、蓋部4により凹部2aと凹部2b内の蓄熱部材7とを封止する。
【0053】
上記のような枠部材8を用いることで、第一例のように外壁部22とその内側の内壁部との間に形成される空間(凹部2b)を複数に仕切る必要がなくなり、蓄熱部材7の容量拡大を図ることができ、放熱効率の向上を図ることができる。また、金属製の枠部材8を用いることで、セラミック製の内壁部23を形成する場合よりも内壁部の形状の自由度が向上し、この点でも蓄熱材料7の容量拡大化を図り易く、放熱効率の向上を図る上で有利である。
【0054】
[1-3.第三例]

図6は、第一実施形態における第三例としての半導体装置1Bの概略構造を説明するための図であり、図6Aは半導体装置1Bの概略断面図、図6Bは半導体装置1Bの上面図である。
第三例の半導体装置1Bは、半導体装置1Aよりも蓄熱部材7の大容量化を図ったものであり、半導体装置1Aと比較して、枠部材8に代えて枠部材9が設けられた点が異なる。
枠部材9は、図示のように半導体チップ3上に設けられた、例えば角筒状の部材とされる。枠部材9は半導体チップ3に接するため、樹脂等の絶縁性材料で構成されたものを用いる。
枠部材9は、枠部材8と同様、内壁部23が有していたような外壁部22との連結部が形成されておらず、枠部材9の周囲には、外壁部22との間に連続した一つの凹部2bが形成されている。この凹部2b内に対して蓄熱部材7が形成されている。
【0055】
図7は、半導体装置1Aの作成プロセスの例を説明するための図である。
第二例の場合と同様、この場合も積層セラミックパッケージとしての半導体パッケージ2Aが用意され(図7A参照)、基板部21上の所定位置に半導体チップ3をダイボンドする共に、半導体チップ3における各端子を対応する端子5に対しそれぞれボンディングワイヤ6により電気的に接続する(図7B参照)。その上で、この場合は半導体チップ3上に枠部材9を例えば接着等により接合する(図7C)。このとき、枠部材9は、半導体チップ3上において、半導体チップ3が有する画素領域3aの外側を囲うように配置する。ここで、画素領域3aとは、半導体チップ3において複数の受光素子が二次元配列された領域を意味する。
撮像画像の画質への影響を考慮し、枠部材9の内側面に反射防止コーティングを施すことも可能である。
【0056】
上記のように半導体チップ3上に枠部材9を接合した上で、枠部材9の外側に形成された凹部2b内に例えばパラフィン等による蓄熱材を充填して蓄熱部材7を形成し(図7D参照)、さらに、蓋部4を外壁部22と枠部材9の表面において接着することで、蓋部4により凹部2aと凹部2b内の蓄熱部材7とを封止する(図7E参照)。
【0057】
上記のような枠部材9を用いた半導体装置1Bにより、外壁部22の内側面から半導体チップ3の外周部まで蓄熱材料7を配置することが可能となる。このため、蓄熱部材7の容量のさらなる拡大化を図ることができ、放熱効率のさらなる向上を図ることができる。
【0058】
なお、第三例において、枠部材9を樹脂製とすることは必須ではなく、例えば金属等の熱伝導性のよい材料で構成された枠部材9を半導体チップ3上に絶縁性の接着剤によって接合してもよいし、樹脂コーティングを施した枠部材9を半導体チップ3上に接合してもよい。
【0059】
また、枠部材9は、反射防止コーティングを施す他、光を反射し難い材料で構成することもできる。
ここで、枠部材9を設けることによっては、画素領域3aに対しボンディングワイヤ6からの反射光が入射することの防止を図ることもでき、該反射光に起因した画質低下の防止を図ることができる。
【0060】
<2.第二実施形態>

続いて、第二実施形態について説明する。第二実施形態は、半導体チップ3を搭載する基板部の内部に蓄熱部材7を設けるものである。以下、第二実施形態としての半導体装置1Cの具体的な構成例として、第一例から第四例を説明する。
図8図9図10図11は、それぞれ第二実施形態における第一例としての半導体装置1Ca、第二例としての半導体装置1Cb、第三例としての半導体装置1Cc、第四例としての半導体装置1Cdの概略断面図である。なお、これら図8から図11においては、半導体チップ3が搭載される基板部内に形成された、配線21wやビア21vを有する複数の配線層の様子を模式的に表しているが、配線層の数は図示の例に限定されるものではない。
【0061】
図8において、第一例としての半導体装置1Caは、外壁部22が形成された凹型の半導体パッケージ2Caとして、基板部21に代えて基板部21Cが形成された半導体パッケージが用いられる。半導体パッケージ2Caには、外壁部22の内側に内壁部(枠部材(8、9による内壁部も含む)は形成されておらず、半導体チップ3が搭載される凹部2aは、外壁部22の内側に隣接している。
基板部21Cの内部には、蓄熱材が充填される被充填部10が所定の配線層に対して形成されている。被充填部10に対しては、蓄熱材を基板部21C外部から被充填部10内に注入するための注入口10aが形成されている。本例において注入口10aは、基板部21Cの表面21a側に開口を有したものが2箇所形成されている。
半導体装置1Caにおいては、これら注入口10aを介して被充填部10内に蓄熱材が充填され、被充填部10内に蓄熱部材7が形成されている。図示のように各注入口10aは、それぞれ対応する栓部材11によって閉塞されている。本例において栓部材11は、注入口10aの形状に応じた例えば円筒状や角柱状の形状を有し、少なくとも一部が注入口10a内に挿入されて注入口10aを閉塞する。
【0062】
図9に示す第二例としての半導体装置1Cbは、第一例としての半導体装置1Caと比較して、セラミック製の外壁部22に代えて、樹脂フレームによる外壁部22Cが形成された点が異なる。すなわち、半導体装置1Cbは、半導体装置1Caにおける半導体パッケージ2Caに代えて、基板部21Cの外周部に樹脂又は金属製のフレームによる外壁部22Cが形成された半導体パッケージ2Cbが用いられたものである。
【0063】
図10に示す第三例としての半導体装置1Ccは、第二例としての半導体装置1Cbと比較して、半導体パッケージ2Cbに代えて半導体パッケージ2Ccが用いられた点が異なる。半導体パッケージ2Ccは、第三例における半導体パッケージ2Cbと比較して、基板部21Cに代えて基板部21Ccが形成された点が異なる。
基板部21Ccは、外部接続端子Etが形成された側の面である裏面21b側に、表面21a側に凹んだ凹部21hが形成されている点が基板部21Cと異なる。半導体装置1Ccにおいては、基板部21Ccの裏面21bにおけるこの凹部21h内となる位置において、半導体チップ3以外の電子部品50、電子部品51が搭載されている。なお、ここで言う「電子部品」は、半導体チップ3以外の半導体チップや、パッケージ構造を有した別の半導体装置、或いは半導体チップ3に対する受動部品としての電子部品等を広く意味するものである。
【0064】
図11に示す第四例としての半導体装置1Cdは、第一例としての半導体装置1Caと比較して、基板部21Cに代えて基板部21Cdが形成された点が異なる。すなわち、半導体装置1Cdは、半導体装置1Caにおける半導体パッケージ2Caに代えて、基板部21Cが基板部21Cdに変更された半導体パッケージ2Cdが用いられたものである。
【0065】
基板部21Cdにおいて、基板部21Cとの差異点は、注入口10aが表面21a側と裏面21b側の双方に分けて形成された点である。
【0066】
図12は、第二実施形態としての半導体装置1Cの作成プロセスについての説明図である。ここでは、上記第一例から第四例として例示したように、半導体チップ3を搭載する基板部としてセラミック製の基板部を用いる場合に対応した作成プロセスについて説明し、一例として、第一例としての半導体装置1Caの作成プロセスを説明する。
【0067】
先ず、端子5や外部端子Et、配線21w、ビア21v、注入口10aを形成するための切欠部、被充填部10を形成するための切欠部、などが形成された基板部21C形成用のグリーンシート2gや、外壁部22を形成するためのグリーンシート2gを作成し、積層する(図12A参照)。
そして、上記のようにグリーンシート2gが積層された積層体を焼成し、その他メッキなどパッケージに必要な処理を施して、基板部21C及び外壁部22を有する半導体パッケージ2Ca’を作成する(図12B参照)。この半導体パッケージ2Ca’においては、基板部21Cに対し注入口10a、10aと被充填部10が形成されている。
【0068】
そして、半導体パッケージ2Ca’の被充填部10に対し、注入口10a、10aを介して蓄熱材を充填する(図12C参照)。ここでは、蓄熱材として相転移型蓄熱材を用いる。この場合、蓄熱材が液相の状態になる環境下において注入口10a、10aからディスペンス等でノズルを用いて被充填部10に蓄熱材を充填する。
なお、固相-固相の相転移を示す粉末状の酸化バナジウムのような場合は、注入口10a、10aから粉末状のまま被充填部10の空間に蓄熱材を充填する他、例えばワックスのようなものに混練して充填を行うこともできる。
【0069】
さらに、上記のように蓄熱材を充填した後、注入口10a、10aをそれぞれ対応する栓部材11によって閉塞する(図12D参照)。具体的に本例では、栓部材11を注入口10aに接着することで注入口10aを閉塞する。
これにより、図8に示した状態の半導体パッケージ2Caが完成する。
【0070】
なお、第二例(図9)や第三例(図10)のように樹脂又は金属製のフレームによる外壁部22Cとする場合には、図12A及び図12Bと同様の工程によりセラミック製の基板部を作成した後、該基板部の外周部に樹脂又は金属製のフレームを接着剤等で接合する。
また、第三例の場合、上記のように基板部(21Cc)の外周部にフレームを接合した後、電子部品50、51を搭載する。
【0071】
なお、注入口10aの閉塞は、例えば図13に示すようなテープ部材12によって行うこともできる。テープ部材12の材料としては、例えばポリミド等を挙げることができる。
【0072】
また、複数の注入口10aを形成する場合において、一部の注入口10aについては蓄熱材の注入(充填)には用いず、被充填部10に蓄熱材が充填される際のエア抜き用の孔部として機能させることもできる。
【0073】
図14から図17を参照し、基板部内における蓄熱部材7の形成例について説明する。なお、以下では第一例や第二例で用いる基板部21Cを例に挙げるが、第三例や第四例においても同様の形成例を適用することが可能である。
【0074】
図14は、基板部21Cの面内方向における一箇所に蓄熱部材7を形成する例である。この際、基板部21の面内方向における蓄熱部材7の形成部分の形状や大きさは、配線21wやビア21vの配置レイアウトに応じて種々考えられる。
【0075】
図15は、面内方向の複数カ所に蓄熱部材7を分けて形成する例である。この場合も各形成部分の形状や大きさについては配線21wやビア21vの配置レイアウトに応じて種々考えられる。
【0076】
図16は、ミアンダ形状(蛇行形状)とする例であり、図17は渦巻き形状とする例である。
これらミアンダ形状、又は渦巻き形状とされた蓄熱部材7の形成部分の幅や長さは、配線21wやビア21vの配置レイアウトに応じて種々考えられる。
【0077】
図18は、蓄熱部材7の形成部分の1箇所につき注入口10aを3以上設けた例である。
注入口10aの箇所を増やすことで、上述のようにエアが抜けやすくなる効果や、蓄熱材を注入し易くなる効果を得ることができる。
なお、図16図17の例の適用により蓄熱部材7の形成部分が長くなる場合においても、注入口10aを3箇所以上配置することが有効である。
【0078】
なお、図14から図18の例は組み合わせが可能である。
【0079】
図19は、蓄熱部材7を基板部の複数層に分けて形成する例を示している。
この場合の半導体パッケージ2Ceにおいては、基板部21C内の複数層に跨がる被充填部10Eが形成されている。この被充填部10Eに対し、注入口10aを介した蓄熱材の充填が行われ、注入口10aが栓部材11によって閉塞される。
【0080】
これにより、基板部21C内において蓄熱部材7の配置により配線レイアウトの制約を受ける部分が単一層に偏ることの防止が図られ、基板部21C内における配線レイアウトの自由度向上を図ることができる。
【0081】
なお、上記では栓部材11の接着により注入口10aを閉塞する例を挙げたが、各種の熱硬化型や湿気硬化型、紫外線硬化型などの接着剤や充填剤を注入口10aに施し、その後に必要な硬化処理を施すことで注入口10aを閉塞する手法を採ることもできる。
【0082】
また、第二実施形態において、注入口10aを閉塞することは必須ではなく、例えば前述した第一形態により蓄熱部材7を形成する場合には相転移に伴う蓄熱材の外部への流出可能性が低く、その場合には注入口10aの閉塞は不要とすることもできる。
【0083】
<3.第三実施形態>

図20から図23を参照し、第三実施形態としての半導体装置1Dについて説明する。
図20は、第三実施形態における第一例としての半導体装置1Daの概略断面図である。
半導体装置1Daは、図10に示した半導体装置1Ccにおける基板部21Ccと同様に外部接続端子Etが形成された側の面である裏面21b側に表面21a側に凹んだ凹部21hが形成されている基板部21Dを有した半導体パッケージ2Dを備えている。半導体パッケージ2Dにおいては、セラミック製の外周部23ではなく樹脂又は金属製のフレームによる外壁部22Cが形成されている。
【0084】
図10の場合と同様に、基板部21Dの裏面21bにおける凹部21h内となる位置には電子部品50、電子部品51が搭載されている。
そして、半導体装置1Dにおいては、凹部21h内において、電子部品50、51が蓄熱部材7により覆われている。
【0085】
ここで、図20の構成は、前述した第二形態を適用した蓄熱部材7を用いる場合に対応した構成であり、液相への相転移により蓄熱材の流出が懸念される第一形態を適用する場合には、図21に示す、第二例としての半導体装置1Dbの構成を採ることが望ましい。
図21に示す半導体装置1Dbについて、半導体装置1Daとの差異点は、蓄熱部材7が形成された凹部21hを閉塞する閉塞部材25を設けた点である。閉塞部材25は、基板部21Dの裏面21bに対して例えば接着等により接合されて、凹部21hを閉塞している。
【0086】
ここで、図20図21に示すように表裏の両面に熱源となる電子部品(半導体チップ3、電子部品50、51)が搭載されたインターポーザ基板としての基板部21Dには、表裏両面側からの発熱が集中し、発熱に対する放熱が十分にできない虞がある。
このため、第三実施形態では、上記のように電子部品50、51が搭載された凹部21h内に蓄熱部材7を形成することで、放熱効率の向上を図っている。
【0087】
図22を参照し、第三実施形態としての半導体装置1D(1Da、1Db)の作成プロセスの例を説明する。
先ず、凹部21hが形成された基板部21Dを用意し(図22A)、凹部21h内に電子部品50、51を実装する(図22B)。その後、凹部21h内に蓄熱材を充填し、凹部21h内に蓄熱部材7を形成する(図22C)。ここで、第一例の場合には、蓄熱材含有樹脂を硬化させて蓄熱部材7を形成する。一方、第二例の場合は、凹部21h内に蓄熱材を充填した上で、蓄熱材が充填された状態の凹部21hを図22Dのように閉塞部材25により閉塞する。
【0088】
なお、電子部品50、51の基板部21Dへの実装は、例えば図23の概略断面図に示すようにボンディングワイヤBWを用いた実装や、複数の半田接合部SBを用いたPGA(Pin Grid Array)による実装が行われ得るが、何れの場合においても、蓄熱部材7に対する適切な絶縁対策が施されることが望ましい。例えば、図中に例示するようなボンディングワイヤBWを用いる場合のボンディング樹脂55や、PGAにおける半田接合部SBに対するアンダーフィル材56の充填等による絶縁対策を施すことが挙げられる。
【0089】
図22C又は図22Dの工程を実施した後は、図3C等で説明した工程と同様に基板部21Dの表面21a側に対するダイボンド等による半導体チップ3の取り付けやボンディングワイヤ6による電気的接続処理を行い(図22E)、次いで、基板部21Dの外周部にフレームを接合することによる外壁部22Cの形成、及び蓋部4による封止を行う(図22F)。
【0090】
なお、外壁部22Cに金属フレームを用いる場合、該金属フレームでの反射によるフレア低減のため黒色メッキをすることが望ましい。
【0091】
<4.第四実施形態>

図24は、第四実施形態としての半導体装置1Eの概略断面図である。
半導体装置1Eは、半導体チップ3が搭載された基板部の裏面21b側における半導体チップ3と対向する位置に、冷却素子60を配置したものである。
半導体装置1Eは、基板部21Eを有した半導体パッケージ2Eを備えている。
基板部21Eは、図10に示した基板部21Ccと同様、内部に蓄熱部材7が形成されると共に裏面21b側に凹部21hが形成された構造による基板部を模式的に表したものである。基板部21E内において、蓄熱部材7は、半導体チップ3と対向する位置に(重なる位置に)形成されている。
【0092】
基板部21Eの表面21a側の外周部には、シーリング26及びメタル27を介してセラミック枠22Eが接合されている。このセラミック枠22Eは、基板部21Dに搭載された半導体チップ3を外側から覆う、半導体装置1Eの外壁部として機能する。このセラミック枠22の表面側に接着等により接合された蓋部4により、半導体チップ3が気密封止されている。本例では、気密封止された半導体装置1E内側の空間は、ドライエアや窒素が充填されているか、或いは真空とされている。
【0093】
基板部21Eの裏面21bにおける半導体チップ3と対向する位置には、冷却素子60が接着等により接合されている。
本例では、冷却素子60にはペルチェモジュールが用いられる。ペルチェモジュールは、熱電半導体をセラミック基板で挟み込んだ構造を有し、リード線60aを介して通電することにより機能する。
図示のように基板部21Eには冷却素子60用の接続端子Dtが形成され、リード線60aはこの接続端子Dtと電気的に接続されている。
【0094】
ここで、冷却素子60を用いた固体撮像素子としては、半導体チップ3が配置されるパッケージ内側空間内に冷却素子60を内蔵した構成を採るものがある。しかしながら、このように冷却素子60を内蔵する構成を採る場合には、パッケージ内側空間内に冷却素子60からの発塵に伴うダストが混入したり、冷却素子60上に(インターポーザ基板を介して)半導体チップ3を実装するために半導体チップ3の反りや煽りのコントロールが困難であるという課題がある。
また、構造上、接着界面が多く、接着剤からのアウトガスの発生や接着界面の剥がれなど半導体パッケージの信頼性リスクが比較的高く、さらに、冷却素子60が故障した際に交換が非常に困難である等の課題も有している。
【0095】
これに対し、本実施形態では、図24に示したように半導体チップ3が搭載された基板部21Eの裏面21b側における半導体チップ3と対向する位置に、冷却素子60を配置した構成を採っている。
これにより、半導体チップ3からの発熱が基板部21Eを介して冷却素子60に効率良く伝達され、冷却素子60を用いた温度制御の効率化を図ることができる。特に、冷却時に要する消費電力の削減を図ることができる。
【0096】
また、半導体装置1Eにおいては、蓄熱部材7が基板部21Eに内蔵されて冷却素子60と半導体チップ3との間に配置されているため、半導体チップ3から冷却素子60への熱伝達が蓄熱部材7を介して効率良く行われる。すなわち、冷却素子60を用いた温度制御のさらなる効率化を図ることができる。
【0097】
また、冷却素子60を内蔵する場合とは異なり、冷却素子60からの発塵に伴う画質低下のリスクを回避可能となる。
さらに、半導体チップ3を冷却素子60上に実装せずに済むため、半導体チップ3の反りや煽りのコントロールも容易化される。さらにまた、接着界面の縮小化を図ることができ、接着剤からのアウトガスの発生や接着界面の剥がれなどの抑制が図られ、半導体パッケージの信頼性リスクを低減化できる。
また、冷却素子60が故障した際の交換も容易化できる。
【0098】
さらに、本例の半導体装置1Eでは、気密封止された半導体装置1E内側の空間は、ドライエアや窒素が充填されているか、或いは真空とされているが、これにより、冷却素子60を動作させて温度制御を行った場合においても、結露が生じ難くすることができ、信頼性の向上を図ることができる。
【0099】
図25から図29の断面図を参照し、第四実施形態としての半導体装置1Eの作成プロセスの例を説明する。
先ず、図25に示すようにシーリング26が形成された基板部21Eを用意する。
次に、図26に示すように、基板部21Eに半導体チップ3を実装する(半導体チップ3の基板部への実装手法はこれまでで説明した実装手法と同様となるため重複説明は避ける)。
【0100】
この一方で、図27に示す封止部材40を用意しておく。封止部材40は、蓋部4とセラミック枠22E、及びメタル27で構成されており、蓋部4とセラミック枠22Eは、例えば低融点ガラスで接合されており、また、セラミック枠22Eとメタル27は、例えばAg-Cuろう材などで接合されている。メタル27は、例えばFe-Ni-Coの合金(いわゆるコバール)であって、ニッケル(Ni)および金(Au)等のめっきによる表面処理が施されている。
【0101】
この封止部材40を、図26に示した状態の基板部21Eに対して位置合わせし、その後に、例えばシーム溶接などの接合手法により、半導体チップ3を気密封止する(図28参照)。
ここで、シーム溶接は、抵抗溶接の一種であり、ローラー電極を用いて加圧、通電しながら電極を回転させて、連続的に溶接する手法であり、基板部21Eに形成されたシーリング26と封止部材40におけるメタル27とを接合する。この工程は、シーム溶接装置に設けられたチャンバー内をドライエア、窒素、真空などの雰囲気にすることで、パッケージの内側の雰囲気もドライエア、窒素、真空に保つことが可能となる。
【0102】
次いで、図29に示すように、基板部21Eの凹部21h内に冷却素子60を搭載する。このとき、冷却素子60は、基板部21E内の蓄熱部材7と対向する位置に搭載する。冷却素子60の基板部21Eに対する接合は、例えば接着により行う。
そして、冷却素子60のリード線60aを、基板部21Eに形成された接続端子Dtに巻き付けた後、はんだ付けを行うことで電気的な接続を確保する。
【0103】
このようなプロセスにより、図24に示した半導体装置1Eを作成できる。
【0104】
ここで、蓄熱材として相転移型蓄熱材を使用した場合、相転移温度を超えると、蓄熱材としての機能を喪失してしまうが、冷却素子60による温度制御により、蓄熱材の温度が常に相転移温度を超えないように、或いは超えてしまった場合でも相転移温度以下となるよう制御することで、蓄熱材の効果を永続的に享受できる。
【0105】
なお、上記では蓄熱部材7が内蔵された基板部21Eを用いる例を挙げたが、例えば、半導体チップ3が搭載される基板部の裏面21bに対して蓄熱部材7を接着等により接合し、この蓄熱部材7上に冷却素子60を接合した構成を採ることもできる。
第四実施形態において、蓄熱部材7は、冷却素子60と半導体チップ3との間に配置されればよい。
【0106】
<5.撮像装置>

図30は、実施形態としての半導体装置を適用した撮像装置100の構成例を示すブロック図である。
なお、図30では半導体装置1を適用した例を説明するが、勿論、半導体装置1A、1B、1C(1Ca,1Cb,1Cc,1Cd)、1D(1Da,1Db)、1Eを適用することもできる。
【0107】
図示のように撮像装置100は、半導体装置1を備えると共に、撮像光学系101、信号処理部102、制御部103、記録部104、及び表示部105を備えている。
撮像光学系101は、例えばズームレンズ、フォーカスレンズなどを含む所定枚数の撮像用のレンズ群、絞りなどを備えて成り、入射された光をイメージセンサとしての半導体装置1の受光面に集光させる。
【0108】
半導体装置1は、撮像光学系101を介して入射する光を受光し、電気信号に変換して出力する。具体的に、半導体装置1は、受光した光を光電変換して得た電気信号について、例えばCDS(Correlated Double Sampling)処理、AGC(Automatic Gain Control)処理などを実行し、さらにA/D(Analog/Digital)変換処理を行う。そしてデジタルデータとしての画像信号(撮像画像信号)を、後段の信号処理部102に出力する。
【0109】
信号処理部102は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等により画像処理プロセッサとして構成される。信号処理部102は、イメージセンサとしての半導体装置1から入力されるデジタル信号(撮像画像信号)に対して、各種の画像信号処理を施し、撮像画像に応じた動画データや静止画データを生成する。
【0110】
制御部103は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータ、或いはDSP等の情報処理装置を備えて構成され、例えば上記ROMに格納されたプログラムに従った処理を実行することで撮像装置100の全体制御を行う。
【0111】
記録部104は、例えば不揮発性メモリからなり、信号処理部102の処理により得られる動画データや静止画データ等の画像ファイルやサムネイル画像等を記憶する。
記録部104の実際の形態は多様に考えられる。例えば記録部104は、撮像装置100に内蔵されるフラッシュメモリでもよいし、撮像装置100に着脱できるメモリカード(例えば可搬型のフラッシュメモリ)と該メモリカードに対して記録再生アクセスを行うカード記録再生部による形態でもよい。また撮像装置100に内蔵されている形態としてHDD(Hard Disk Drive)などとして実現されることもある。
【0112】
表示部105は、撮像者に対して各種表示を行う表示部であり、例えば撮像装置100の筐体に配置される液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイデバイスによる表示パネルやビューファインダとされる。
表示部105は、制御部103の指示に基づいて表示画面上に各種表示を実行させる。例えば表示部105は、記録部104において記録媒体から読み出された画像データの再生画像を表示させる。
また表示部105には信号処理部102で表示用に解像度変換された撮像画像の画像データが供給され、表示部105は制御部103の指示に基づき、当該画像データに基づく表示を行う。これにより、いわゆるスルー画(被写体のモニタリング画像)の表示が行われる。
また表示部105は制御部103の指示に基づいて、各種操作メニュー、アイコン、メッセージ等、即ちGUI(Graphical User Interface)としての表示を画面上に実行させる。
【0113】
<6.冷却素子を用いた温度管理の例>

ここで、第四実施形態で例示したような冷却素子60を搭載した半導体装置について、蓄熱材として相転移型蓄熱材を用いる場合の温度管理としては、温度検出結果に応じた温度管理を行うのではなく、蓄熱材の相転移検出結果に応じた温度管理を行うことができる。
【0114】
図31は、そのような温度管理を行う場合に対応した撮像装置100Fの構成例を示したブロック図であり、図32は、撮像装置100Fにおける温度管理のための要部の構成を抽出して示した図である。
撮像装置100Fにおいては、固体撮像素子として半導体装置1Fが設けられる。半導体装置1Fとしては、例えば図1に示した半導体装置1に冷却素子60及び相転移検出部112を設けた構成とされる(図32参照)。この場合、蓄熱部材7としては、温度上昇に応じて固体から液体に相転移する蓄熱材で構成されている。
相転移検出部112は、蓄熱部材7の相転移を検出するもので、本例では、投光部と受光部とを有して構成される。本例の相転移検出部112は、投光部により蓄熱部材7に対する投光を行うと共に、該投光に伴う蓄熱部材7からの反射光を受光部により受光するように構成されている。
また、撮像装置100Fにおいては、冷却素子60を制御部103からの指示に基づき駆動する駆動部111が設けられている。
【0115】
この場合の制御部103は、相転移検出部112による蓄熱部材7の相転移についての検出結果に基づき駆動部111を制御することで、半導体装置1Fの温度管理を行う。
【0116】
図33は、このような温度管理のために制御部103が実行すべき処理例を示したフローチャートである。なお、制御部103はこの図に示す処理を例えば所定周期で繰り返し実行する。
制御部103は先ず、相転移検出部112の受光部による検出光量値を取得し(ステップS101)、検出光量値が所定の閾値TH以下に低下しているか否かを判定する(ステップS102)。
ここで、本例では、相転移検出部112は蓄熱部材7に光を当て 反射する光の量を検出する。このとき、蓄熱部材7における蓄熱材が固体から液体に変化し始め、蓄熱部材7における液体量が増えると、蓄熱材に当てた光の反射量が変化し、蓄熱材の相転移状況を把握可能となる。具体的に、液体量が増えることに応じて、反射光量が徐々に低下する。
従って、上記のように検出光量値が閾値TH以下に低下しているか否かの判定により、蓄熱材の固体から液体への相転移が一定以上進行したか否かを判定することができる。
【0117】
検出光量値が閾値TH以下に低下した場合、制御部103は冷却素子60を駆動させる指示を駆動部111に行う(ステップS103)。一方、検出光量値が閾値TH以下に低下していない場合、制御部103は冷却素子60の駆動を停止する指示を駆動部111に行う(ステップS104)。
【0118】
これにより、温度が変化しなくても 蓄熱材の液体量がある量以上になる、すなわち固体から液体への相転移が或る程度進行して、以降における温度上昇が予想される段階で予め冷却素子60を駆動して、放熱を行うことができる。
従って、温度検出結果に応じて冷却素子60を駆動する手法を採る場合よりも、安定的な温度管理を実現することができる。或いは、蓄熱材が溶けきるまでは冷却素子60を駆動させない等、電力消費量の少ない温度管理を実現することも可能である。
【0119】
<7.実施形態のまとめ及び変形例>

上記のように実施形態としての半導体装置(同1,1A,1B,1Ca,1Cb,1Cc,1Cd,1Da,1Db,1E,1F)は、半導体チップ(同3)が搭載され、半導体チップが搭載された側の面である表面(21a)とは逆側の裏面(21b)に外部との電気的接続を行うための外部接続端子(同Et)が形成された基板部(同21,21C,21Cc,21Cd,21D,21E)と、基板部の外周部において表面側に突出された外壁部(同22,22C、セラミック枠22E)と、外壁部により支持され半導体チップを覆う蓋部(同4)と、基板部の裏面から蓋部の裏面までの間における、外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材(同7)と、を備えるものである。
【0120】
これにより、蓄熱部材を半導体装置に外付けする場合や外壁部の内部に配置する場合に比して、蓄熱部材を熱源としての半導体チップにより近づけて配置することが可能とされる。
従って、放熱効率の向上が図られる。
【0121】
また、実施形態としての半導体装置においては、基板部がセラミック製とされている。
【0122】
これにより、半導体チップからの熱が基板部を介して効率良く蓄熱部材に伝達される。
従って、放熱効率の向上を図ることができる。
【0123】
さらに、実施形態としての半導体装置においては、外壁部の内側に位置し外壁部と同方向側に突出された内壁部(同22、枠部材8,9)を備え、蓄熱部材が外壁部と内壁部との間に形成されている。
【0124】
これにより、外壁部と内壁部との間の空間内に充填した蓄熱材を蓋部によって封止することが可能とされる。
従って、温度により相転移する蓄熱材をマイクロカプセルに内包させたり樹脂で覆ったりせずに用いることができ、放熱効率の向上を図ることができる。
【0125】
さらにまた、実施形態としての半導体装置においては、内壁部が半導体チップ上に設けた枠部材(同9)によって形成されている。
【0126】
これにより、蓄熱部材によって半導体チップの一部を覆うことが可能とされる。
従って、蓄熱部材を熱源により近い位置に配置できると共に、蓄熱部材の容積増大化を図ることができ、放熱効率のさらなる向上を図ることができる。
【0127】
また、実施形態としての半導体装置においては、半導体チップは、複数の受光素子が二次元配列された画素領域(同3a)を有し、枠部材が半導体チップ上において画素領域の外側を囲っている。
【0128】
これにより、半導体チップ上の画素領域より外側の一部までを蓄熱部材により覆うことが可能とされる。
従って、固体撮像素子としての半導体装置について、所定画素数の撮像画像信号の生成を可能としながら、放熱効率の向上を図ることができる。
【0129】
さらに、実施形態としての半導体装置においては、蓄熱部材が基板部の内部における外壁部よりも内側となる位置に配置されている。
【0130】
半導体チップからの発熱の大部分は基板部に伝達される。
従って、上記のように基板部内部における外壁部より内側位置に蓄熱材料が配置されることで、放熱効率の向上を図ることができる。
【0131】
さらにまた、実施形態としての半導体装置においては、基板部は多層構造を有し、蓄熱部材は、基板部における何れかの層に形成された切欠部内に形成されている(図12参照)。
【0132】
これにより、蓄熱材の被充填部をプロセス的に簡易に形成することが可能とされる。
従って、放熱効率向上を図るにあたっての半導体装置作成工程の簡易化が図られ、作成工程の効率化に伴うコスト削減を図ることができる。
【0133】
また、実施形態としての半導体装置においては、基板部は多層構造を有し、蓄熱部材が基板部における複数の層に形成されている。
【0134】
これにより、基板部内において蓄熱部材の配置により配線レイアウトの制約を受ける部分が単一層に偏ることの防止が図られる。
従って、基板部内における配線レイアウトの自由度向上を図ることができる。
【0135】
さらに、実施形態としての半導体装置においては、基板部の裏面側には表面側に凹んだ凹部(同21h)が形成され、凹部内に半導体チップとは別の電子部品(同50、51)が搭載され、凹部内において電子部品が蓄熱部材により覆われている。
【0136】
これにより、インターポーザ基板としての基板部の表裏両面に熱源となる電子部品が搭載される場合において、それら電子部品からの発熱が基板部を介して効率的に蓄熱材料に伝達される。
従って、基板部の表裏両面に電子部品が搭載された半導体装置について適切な熱対策を施すことができ、放熱効率の向上を図ることができる。
【0137】
さらにまた、実施形態としての半導体装置は、凹部を閉塞する閉塞部材(同25)を備えている。
【0138】
これにより、温度により相転移する蓄熱材をマイクロカプセルに内包させたり樹脂で覆ったりせずに用いることが可能とされる。
従って、放熱効率の向上を図ることができる。
【0139】
また、実施形態としての半導体装置においては、基板部の裏面側における半導体チップと対向する位置に配置された冷却素子(同60)を備えている。
【0140】
上記構成により、半導体チップからの発熱が基板部を介して冷却素子に効率良く伝達される。
従って、冷却素子を用いた温度制御の効率化を図ることができる。特に、冷却時に要する消費電力の削減を図ることができる。
【0141】
さらに、実施形態としての半導体装置においては、蓄熱部材が冷却素子と半導体チップとの間に配置されている。
【0142】
これにより、半導体チップから冷却素子への熱伝達が、冷却素子と半導体チップとの間に位置する蓄熱部材を介して効率良く行われる。
従って、冷却素子を用いた温度制御のさらなる効率化を図ることができる。
【0143】
さらにまた、実施形態としての半導体装置は、蓄熱部材は、温度により相転移する蓄熱材により構成され、蓄熱部材の相転移を検出する検出素子(相転移検出部112)と、冷却素子と、を備えている。
【0144】
これにより、蓄熱材の相転移タイミングに応じて冷却素子の駆動態様を変化させる等、蓄熱材の相転移に基づき冷却素子を駆動することによる温度管理を行うことが可能とされる。
従って、蓄熱材の相転移により温度上昇が予見される段階から早めに冷却素子を駆動させて、実際に温度上昇が生じる前に冷却を開始するといったことが可能となり、安定的な温度管理を実現することができる。また、実際に温度上昇が生じてから冷却を開始する場合よりも、冷却に要する電力は少なくすることができ、省電力化を図ることもできる。
【0145】
また、実施形態としての撮像装置(同100、100F)は、複数の受光素子が二次元配列された半導体チップが搭載され、半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、基板部の外周部において表面側に突出された外壁部と、外壁部により支持され半導体チップを覆う蓋部と、基板部の裏面から蓋部の裏面までの間における、外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、を有する固体撮像素子(半導体装置1,1A,1B,1Ca,1Cb,1Cc,1Cd,1Da,1Db,1E,1F)と、固体撮像素子により得られる撮像画像信号を処理する信号処理部(同102)と、を備えたものである。
【0146】
これにより、上記した実施形態としての半導体装置と同様の作用及び効果が得られる固体撮像素子を実装した撮像装置を実現することができる。
【0147】
また、実施形態としての半導体装置の製造方法は、半導体チップが搭載され、半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、基板部の外周部において表面側に突出された外壁部と、外壁部により支持され半導体チップを覆う蓋部と、を備える半導体装置について、基板部の裏面から蓋部の裏面までの間における、外壁部よりも内側となる位置に蓄熱部材を形成する半導体装置の製造方法である。
このような製造方法により、上記した実施形態としての半導体装置を製造することができる。
【0148】
なお、上記では、半導体パッケージとしてセラミック製のパッケージを用いる例を挙げたが、例えば有機材料のラミネート基板に樹脂材料で側壁を形成したキャビティ構造の半導体パッケージに対しても本技術は好適に適用することができる。
【0149】
また、上記により説明した各実施形態としての構成はそれぞれ組み合わせが可能である。
【0150】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0151】
<8.本技術>

なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
半導体チップが搭載され、前記半導体チップが搭載された側の面である表面とは逆側の裏面に外部との電気的接続を行うための外部接続端子が形成された基板部と、
前記基板部の外周部において前記表面側に突出された外壁部と、
前記外壁部により支持され前記半導体チップを覆う蓋部と、
前記基板部の裏面から前記蓋部の裏面までの間における、前記外壁部よりも内側となる位置に配置された蓄熱部材と、を備える
半導体装置。
(2)
前記基板部がセラミック製とされた
前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記外壁部の内側に位置し前記外壁部と同方向側に突出された内壁部を備え、
前記蓄熱部材が前記外壁部と前記内壁部との間に形成された
前記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記内壁部が前記半導体チップ上に設けた枠部材によって形成された
前記(3)に記載の半導体装置。
(5)
前記半導体チップは、複数の受光素子が二次元配列された画素領域を有し、
前記枠部材が前記半導体チップ上において前記画素領域の外側を囲う
前記(4)に記載の半導体装置。
(6)
前記蓄熱部材が前記基板部の内部における前記外壁部よりも内側となる位置に配置された
前記(1)から(5)の何れかに記載の半導体装置。
(7)
前記基板部は多層構造を有し、
前記蓄熱部材は、前記基板部における何れかの層に形成された切欠部内に形成された
前記(6)に記載の半導体装置。
(8)
前記基板部は多層構造を有し、
前記蓄熱部材が前記基板部における複数の層に形成された
前記(6)又は(7)に記載の半導体装置。
(9)
前記基板部の裏面側には表面側に凹んだ凹部が形成され、
前記凹部内に前記半導体チップとは別の電子部品が搭載され、
前記凹部内において前記電子部品が前記蓄熱部材により覆われた
前記(1)から(8)の何れかに記載の半導体装置。
(10)
前記凹部を閉塞する閉塞部材を備えた
前記(9)に記載の半導体装置。
(11)
前記基板部の裏面側における前記半導体チップと対向する位置に配置された冷却素子を備えた
前記(1)から(10)の何れかに記載の半導体装置。
(12)
前記蓄熱部材が前記冷却素子と前記半導体チップとの間に配置された
前記(11)に記載の半導体装置。
(13)
前記蓄熱部材は、温度により相転移する蓄熱材により構成され、
前記蓄熱部材の相転移を検出する検出素子と、
冷却素子と、を備えた
前記(1)から(12)の何れかに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0152】
1,1A,1B,1C(1Ca,1Cb,1Cc,1Cd),1D(1Da,1Db),1E,1F 半導体装置、2,2A,2B,2C(2Ca,2Ca’,2Cb,2Cc,2Cd,2Ce),2D,2E,2D,2E 半導体パッケージ、2’ パッケージ母材、2a 凹部(内側キャビティ)、2b 凹部(外側キャビティ)、2g グリーンシート、21,21C,21Cc,21Cd,21D,21E 基板部、21a 表面、21b 裏面、21h 凹部、22,22C 外壁部、22E セラミック枠、23 内壁部、3 半導体チップ、3a 画素領域、4 蓋部、7 蓄熱部材、8,9 枠部材、10,10D,10E 被充填部、10a 注入口、Et 外部接続端子、50,51 電子部品、25 閉塞部材、60 冷却素子、100,100F 撮像装置、102 信号処理部、103 制御部、112 相転移検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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図33