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特許7470677テクスチャ化TCO層を有する光起電デバイス、およびTCOスタックを作る方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】テクスチャ化TCO層を有する光起電デバイス、およびTCOスタックを作る方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20240411BHJP
   H01L 31/0236 20060101ALI20240411BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01L31/04 266
H01L31/04 282
H01L31/04 420
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021516602
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019052370
(87)【国際公開番号】W WO2020068630
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】62/735,328
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510328032
【氏名又は名称】ファースト・ソーラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ブルジョワ,パウリナ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク-フェルプス,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ファーン,チイ
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ジーン
(72)【発明者】
【氏名】モア,ゴパル
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ルイ
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-127179(JP,A)
【文献】特開2014-010211(JP,A)
【文献】特開2006-249554(JP,A)
【文献】特開2010-080358(JP,A)
【文献】特開2011-183567(JP,A)
【文献】特開2016-183402(JP,A)
【文献】特開2012-188711(JP,A)
【文献】特開2012-089629(JP,A)
【文献】特開2012-049218(JP,A)
【文献】特開2013-058638(JP,A)
【文献】特表2010-514920(JP,A)
【文献】特表2012-504306(JP,A)
【文献】国際公開第2003/101158(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0084438(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0153341(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0126875(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0285522(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0096376(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/20
H01L 23/48-23/538
H10K 30/00-30/89
H10K 71/60
H01B 5/14
B32B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電デバイス用の薄膜透明酸化物層スタックを製造する方法であって、
不活性ガスと酸素とを含有する雰囲気で少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層を基板上へスパッタリングすること、ここで前記少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層の1つが、インジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛マグネシウム酸化物(ZMO)、スズ酸化物(TO)、またはカドミウムスズ酸化物(CTO)を含み、前記スパッタリング中の基板温度が300~400℃の範囲であり
前記雰囲気sccm~20sccmの流量の酸素で制御して、スパッタリングされた透明導電性金属酸化物層スタックを作製すること;
前記スパッタリングされた透明導電性金属酸化物層スタックをアニーリングすること;ならびに
前記スパッタリングされた透明導電性金属酸化物層スタック上に吸収体層を堆積させること、ここで前記吸収体層はp型半導体材料を含む、
を含み、ここで
前記少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層が、前記基板と前記吸収体層との間に少なくともつの境界面領域を画定し、前記境界面領域の少なくとも1つが5nmより大きい平均粗さを有し、そして前記少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層のそれぞれの屈折率が1.5~3の間であり、かつ前記少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層の前記屈折率が、前記境界面領域のいずれにおいても0.5を超えて変化しない、
上記方法。
【請求項2】
スパッタリング中の酸素流量がsccm~15sccmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スパッタリング中の基板温度が300380℃である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層は異なる屈折率を有し、そして前記スパッタリングされた透明導電性金属酸化物層スタック内の前記少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層間の前記境界面領域の少なくとも1つ、または前記スパッタリングされた透明導電性金属酸化物層スタックと隣接する層との間の境界面領域の少なくとも1つが、5nm~60nmの平均粗さを有し、
それによってアニーリング後、前記スパッタリングされた透明導電性金属酸化物層スタックの前記境界面領域の少なくとも1つの粗さが、隣接する2つの層の屈折率の中間にある有効屈折率の遷移区域を作製して、屈折率のより緩やかな勾配を形成する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記透明導電性金属酸化物層の少なくとも2つが、インジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛マグネシウム酸化物(ZMO)、スズ酸化物(TO)、およびカドミウムスズ酸化物(CTO)から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記平均粗さが5nm~30nmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの境界面領域の平均粗さが5nm~200nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記雰囲気の最大3重量%の水素を補給することを含み、
前記スパッタリングが300℃~380℃の基板温度の条件下で行われ、そして
前記スパッタリングが20mT~90mTの磁界強度の条件で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層の1つが、カドミウムスズ酸化物(CTO)を含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層の両方がカドミウムスズ酸化物(CTO)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基板の最初の粗さが5nm~2μmである、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記吸収体層が3の屈折率を有し、そして前記吸収体層がテルル化カドミウムを含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つの透明導電性金属酸化物層を基板上へスパッタリングすることが、3つの透明導電性金属酸化物層を基板上へスパッタリングすることを含み、この3つの透明導電性金属酸化物層が、前記基板と前記吸収体層との間に4つの境界面領域を画定する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書は、一般に光起電デバイスに関する。光起電デバイスは、光起電作用を示して電流を生成する半導体材料を使用して光を電気に変換することによって電力を生成し、この電流が導電性コンタクトによって収集される。
【背景技術】
【0002】
[0002]光起電デバイスの効率に関する1つの課題は、吸収されて電流に変換されるのではなく、デバイスから離れる方へ反射される光によるエネルギー損失である。光の反射は、ガラス基板で生じることがあり、入射光はまず、光起電デバイス、または透明導電性酸化物(TCO)スタック自体の層境界面に当たる。したがって、この損失に対処しようとして、光起電デバイスのエネルギー側(光入射側)で、反射防止被覆および特徴が利用されてきた。しかし、反射光によるエネルギー損失を低減させる代替のTCO層スタックおよびそれらを作るより良好な方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本明細書に提供するいくつかの実施形態は、ガラス基板上に堆積させたTCO材料などの透明導電性酸化物(TCO)材料をスパッタリングすることに関する。本明細書に記載される実施形態によって提供される上記および追加の特徴は、図面とともに以下の詳細な説明を考慮すればより完全に理解されよう。
【0004】
[0004]図面に示す実施形態は、本質的に説明的かつ例示的であり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図したものではない。これらの図は、必ずしも原寸に比例したものではなく、したがって見やすいように線および層の厚さが強調されていることがある。例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面とともに読めば理解されよう。図面では、同様の構造は同じ参照番号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】[0005]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による光起電デバイスの概略図である。
図2】[0006]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による基板の概略図である。
図3】[0007]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による光起電デバイスの概略図である。
図4】[0008]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態によるテクスチャ化トポグラフィを示す図である。
図5】[0009]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による例示的なスパッタリングチャンバの概略断面図である。
図6】[0010]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による異なるテクスチャ化トポグラフィを示す図である。
図7】[0011]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による境界面遷移区域を示す、図7のデバイスの拡大図である。
図8A】[0012]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による様々なテクスチャ化トポグラフィを有するTCO層スタックの表面の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図8B】本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による様々なテクスチャ化トポグラフィを有するTCO層スタックの表面の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図8C】本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による様々なテクスチャ化トポグラフィを有するTCO層スタックの表面の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図8D】本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による様々なテクスチャ化トポグラフィを有するTCO層スタックの表面の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図9A】[0013]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による吸収体境界面に様々なテクスチャ化トポグラフィを有する光起電デバイスの断面走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図9B】本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による吸収体境界面に様々なテクスチャ化トポグラフィを有する光起電デバイスの断面走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図9C】本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による吸収体境界面に様々なテクスチャ化トポグラフィを有する光起電デバイスの断面走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図10】[0014]本明細書に図示および記載する1つまたは複数の実施形態による電流密度の改善を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0015]ガラス基板上へのTCO材料のスパッタリングなど、光起電デバイスを形成するプロセスで使用される基板上にTCO材料を堆積させる方法の実施形態が、本明細書に説明される。光起電デバイス、TCO材料をスパッタリングする方法、および光起電デバイスを形成する方法の様々な実施形態が、本明細書により詳細に説明される。
【0007】
[0016]図1を次に参照すると、光起電デバイス100の一実施形態が概略的に示されている。光起電デバイス100は、光を受け取って光を電気信号に変換するように構成されることができ、たとえば光起電作用を介して、光から光子が吸収されて電気信号に変換されることができる。したがって、光起電デバイス100は、たとえば日光などの光源に露出されるように構成されたエネルギー側102を画定することができる。光起電デバイス100はまた、たとえば複数の材料層などによってエネルギー側102から隔てられた反対側104を画定することができる。「光」という用語は、それだけに限定されるものではないが、電磁スペクトルの紫外(UV)部分、赤外(IR)部分、および可視部分の波長など、電磁スペクトルの様々な波長を指すことができることに留意されたい。光起電デバイス100は、エネルギー側102と反対側104との間に配置された複数の層を含むことができる。本明細書では、「層」という用語は、表面上に設けられた材料の厚さを指す。各層は、表面のすべてまたは一部分に及ぶことができる。
【0008】
[0017]光起電デバイス100は、光起電デバイス100への光の透過を容易にするように構成された基板110を含むことができる。基板110は、光起電デバイス100のエネルギー側102に配置されることができる。図1および図2を集合的に参照すると、基板110は、実質上光起電デバイス100のエネルギー側102を向く第1の表面112と、実質上光起電デバイス100の反対側104を向く第2の表面114とを有することができる。基板110の第1の表面112と第2の表面114との間に、1つまたは複数の材料層が配置されることができる。
【0009】
[0018]基板110は透明層120を含むことができ、透明層120は、実質上光起電デバイス100のエネルギー側102を向く第1の表面122と、実質上光起電デバイス100の反対側104を向く第2の表面124とを有する。いくつかの実施形態では、透明層120の第2の表面124は、基板110の第2の表面114を形成することができる。透明層120は、たとえばガラスなどの実質上透明の材料から形成されることができる。好適なガラスは、ソーダ石灰ガラス、または鉄含量が低減されたいずれかのガラスを含むことができる。透明層120は、いくつかの実施形態では約250nm~約1,300nm、または他の実施形態では約250nm~約950nmを含む、いずれかの好適な透過率を有することができる。透明層120はまた、たとえば一実施形態では約50%超、別の実施形態では約60%超、さらに別の実施形態では約70%超、さらなる実施形態では約80%超、またはさらなる実施形態では約85%超を含む、いずれかの好適な透過百分率を有することができる。一実施形態では、透明層120は、約90%以上の透過率を有するガラスから形成されることができる。任意に、基板110は、透明層120の第1の表面122に塗布された被覆126を含むことができる。被覆126は、それだけに限定されるものではないが、反射防止被覆、汚れ防止被覆、またはこれらの組合せなど、光と相互作用するようにまたは基板110の耐久性を改善するように構成されることができる。
【0010】
[0019]図1を再び参照すると、光起電デバイス100は、劣化または層間剥離を生じ得る基板110からの汚染物質(たとえば、ナトリウム)の拡散を軽減するように構成された障壁層130を任意に含むことができる。障壁層130は、実質上光起電デバイス100のエネルギー側102を向く第1の表面132と、実質上光起電デバイス100の反対側104を向く第2の表面134とを有することができる。いくつかの実施形態では、障壁層130は、基板110に隣接して設けられることができる。たとえば、障壁層130の第1の表面132は、基板100の第2の表面114上に設けられることができる。本明細書では、「に隣接して」という語句は、2つの層が連続して配置されており、これらの層同士の間の少なくとも一部分にいかなる材料も介在しないことを意味する。
【0011】
[0020]概して、障壁層130は、実質上透明で熱的に安定とすることができ、低減された数のピン孔、高いナトリウム遮断能力、および良好な接着特性を有することができる。別法または追加として、障壁層130は、光に対して色の抑制を加えるように構成されることができる。障壁層130は、それだけに限定されるものではないが、スズ酸化物、二酸化ケイ素、アルミニウムドープ酸化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸化アルミニウムを含む、好適な材料の1つまたは複数の層を含むことができる。障壁層130は、第1の表面132および第2の表面134によって囲まれたいずれかの好適な厚さを有することができ、その厚さはたとえば、一実施形態では約500Å超、別の実施形態では約750Å超、またはさらなる実施形態では約1200Å未満を含む。
【0012】
[0021]図1をさらに参照すると、光起電デバイス100は、光起電デバイス100によって生成された電荷担体を輸送するために電気接触を提供するように構成された透明導電性酸化物(TCO)層140を含むことができる。TCO層140は、実質上光起電デバイス100のエネルギー側102を向く第1の表面142と、実質上光起電デバイス100の反対側104を向く第2の表面144とを有することができる。いくつかの実施形態では、TCO層140は、障壁層130に隣接して設けられることができる。たとえば、TCO層140の第1の表面142は、障壁層130の第2の表面134上に設けられることができる。概して、TCO層140は、実質上透明でありかつ広いバンドギャップを有するn型半導体材料の1つまたは複数の層から形成されることができる。具体的には、広いバンドギャップは、光の光子のエネルギーと比較するとより大きいエネルギー値を有することができ、それにより望ましくない光の吸収を軽減することができる。TCO層140は、それだけに限定されるものではないが、二酸化スズ、ドープされた二酸化スズ(たとえば、F:SnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、またはスズ酸カドミウム(CdSnOまたはCTO)を含む、好適な材料の1つまたは複数の層を含むことができる。いくつかの実施形態では、TCO層スタック140は、後により詳細に説明されるように、様々な屈折率を有する複数の層を含む。
【0013】
[0022]光起電デバイス100は、TCO層140とあらゆる隣接する半導体層との間に絶縁体層を提供するように構成された緩衝層150を含むことができる。緩衝層150は、実質上光起電デバイス100のエネルギー側102を向く第1の表面152と、実質上光起電デバイス100の反対側104を向く第2の表面154とを有することができる。いくつかの実施形態では、緩衝層150は、TCO層スタック140に隣接して設けられることができる。たとえば、緩衝層150の第1の表面152は、TCO層140の第2の表面144上に設けられることができる。緩衝層150は、TCO層140より高い抵抗率を有する材料を含むことができ、その材料は、それだけに限定されるものではないが、二酸化スズ、亜鉛マグネシウム酸化物(たとえば、Zn1-xMgO)、二酸化ケイ素(SnO)、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、亜鉛スズ酸化物、酸化亜鉛、酸化スズケイ素、またはこれらのいずれかの組合せを含む。いくつかの実施形態では、緩衝層150の材料は、隣接する半導体層(たとえば、吸収体)のバンドギャップに実質上整合するように構成されることができる。緩衝層150は、第1の表面152と第2の表面154との間にいずれかの好適な厚さを有することができ、その厚さはたとえば、一実施形態では約100Å超、別の実施形態では約100Å~約800Å、またはさらなる実施形態では約150Å~約600Åを含む。本明細書に提供する実施形態によれば、TCO層スタック240は、障壁層130、TCO層140、緩衝層150、またはこれらのいずれかの組合せを含むことができる。
【0014】
[0023]図1を再び参照すると、光起電デバイス100は、別の層と協働して光起電デバイス100内にp-n接合を形成するように構成された吸収体層160を含むことができる。したがって、光の光子が吸収されることで、電子正孔対を解放して担体の流れを生成することができ、これにより電力を生み出すことができる。吸収体層160は、実質上光起電デバイス100のエネルギー側102を向く第1の表面162と、実質上光起電デバイス100の反対側104を向く第2の表面164とを有することができる。吸収体層160の厚さは、第1の表面162と第2の表面164との間に画定されることができる。吸収体層160の厚さは、たとえば、一実施形態では約1μm~約7μmまたは別の実施形態では約2μm~約5μmなど、約0.5μm~約10μmとすることができる。
【0015】
[0024]本明細書に記載される実施形態によれば、吸収体層160は、正の電荷担体、すなわち正孔を余分に有するp型半導体材料から形成されることができる。吸収体層160は、II-VI族半導体など、いずれかの好適なp型半導体材料を含むことができる。特有の例は、それだけに限定されるものではないが、カドミウム、テルル、セレン、またはこれらのいずれかの組合せを含む半導体材料を含む。好適な例は、それだけに限定されるものではないが、カドミウム、セレン、およびテルル(たとえば、CdSeTe1-x、ここでxは0~1の範囲となり得る)の2成分もしくは3成分からなる組合せ、またはカドミウム、セレン、テルル、および1つもしくは複数の追加の要素を含む化合物を含む。
【0016】
[0025]吸収体層160がテルルおよびカドミウムを含む実施形態では、テルルの原子百分率は、たとえば、一実施形態では約30原子百分率より大きく約50原子百分率未満、さらなる実施形態では約40原子百分率より大きく約50原子百分率未満、またはさらに別の実施形態では約47原子百分率より大きく約50原子百分率未満など、約25原子百分率以上および約50原子百分率以下とすることができる。本明細書に記載される原子百分率は、吸収体層160の全体を表しており、吸収体層160内の特定の箇所における材料の原子百分率は、吸収体層160の組成全体と比較すると、厚さとともに変動し得ることに留意されたい。
【0017】
[0026]吸収体層160がセレンおよびテルルを含む実施形態では、吸収体層160内のセレンの原子百分率は、たとえば、一実施形態では約1原子百分率より大きく約20原子百分率未満、別の実施形態では約1原子百分率より大きく約15原子百分率未満、またはさらなる実施形態では約1原子百分率より大きく約8原子百分率未満など、約0原子百分率より大きく約25原子百分率以下とすることができる。テルル、セレン、または両方の濃度は、吸収体層160の厚さにわたって変動し得ることに留意されたい。たとえば、吸収体層160が、xのモル分率のセレン(xは0.05~0.95)と、1-xのモル分率のテルル(SeTe1-x)とを含む化合物を含むとき、xは、吸収体層160の第1の表面162からの距離とともに吸収体層160内で変動し得る。
【0018】
[0027]本明細書に提供する実施形態によれば、吸収体層160は、電荷担体濃度を操作するように構成されたドーパントでドープされることができる。いくつかの実施形態では、吸収体層は、たとえば銅、銀、ヒ素、リン、アンチモン、またはこれらの組合せなど、I族またはV族ドーパントでドープされることができる。吸収体層160内のドーパントの総投与量が制御されることができる。別法または追加として、ドーパントの量は、吸収体層160の第1の表面162からの距離とともに変動し得る。
【0019】
[0028]図1をさらに参照すると、光起電デバイス100のうち負の電荷担体、すなわち電子またはドナーを余分に有する部分に十分に近接して吸収体層160を設けることによって、p-n接合が形成されることができる。いくつかの実施形態では、吸収体層160は、TCO層スタック140などのn型半導体材料に隣接して設けられることができる。別法として、吸収体層160とn型半導体材料との間に、1つまたは複数の介在層が設けられることができる。いくつかの実施形態では、吸収体層160は、緩衝層150に隣接して設けられることができる。たとえば、吸収体層160の第1の表面162は、緩衝層150の第2の表面154上に設けられることができる。
【0020】
[0029]図3を次に参照すると、いくつかの実施形態では、光起電デバイス200が、n型半導体材料を含む窓層170を含むことができる。吸収体層160は、窓層170に隣接して形成されることができる。窓層170は、実質上光起電デバイス100のエネルギー側102を向く第1の表面172と、実質上光起電デバイス100の反対側104を向く第2の表面174とを有することができる。いくつかの実施形態では、窓層170は、吸収体層160とTCO層20との間に位置決めされることができる。一実施形態では、窓層170は、吸収体層160と緩衝層150との間に位置決めされることができる。窓層170は、たとえば、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化カドミウム亜鉛、亜鉛マグネシウム酸化物、またはこれらのいずれかの組合せを含む、いずれかの好適な材料を含むことができる。
【0021】
[0030]図1および図3を集合的に参照すると、光起電デバイス100は、吸収体層160への電気接触を提供するように構成されたバックコンタクト層180を含むことができる。バックコンタクト層180は、実質上光起電デバイス100のエネルギー側102を向く第1の表面182と、実質上光起電デバイス100の反対側104を向く第2の表面184とを有することができる。バックコンタクト層180の厚さは、第1の表面182と第2の表面184との間に画定されることができる。バックコンタクト層180の厚さは、たとえば、一実施形態では約10nm~約50nmなど、約5nm~約200nmとすることができる。
【0022】
[0031]いくつかの実施形態では、バックコンタクト層180は、吸収体層160に隣接して設けられることができる。たとえば、バックコンタクト層180の第1の表面182は、吸収体層160の第2の表面164上に設けられることができる。いくつかの実施形態では、バックコンタクト層180は、多層構成として形成されることができ、たとえば、様々な組成物に亜鉛、銅、カドミウム、およびテルルを含む1つまたは複数の層など、I族、II族、VI族からの材料の2成分または3成分からなる組合せを含むことができる。さらなる例示的な材料は、それだけに限定されるものではないが、テルル化銅でドープされたテルル化亜鉛、またはテルル化銅と合金にしたテルル化亜鉛を含む。
【0023】
[0032]光起電デバイス100は、吸収体層160との電気接触を提供するように構成された導電層190を含むことができる。導電層190は、実質上光起電デバイス100のエネルギー側102を向く第1の表面192と、実質上光起電デバイス100の反対側104を向く第2の表面194とを有することができる。いくつかの実施形態では、導電層190は、バックコンタクト層180に隣接して設けられることができる。たとえば、導電層190の第1の表面192は、バックコンタクト層180の第2の表面184上に設けられることができる。導電層190は、たとえば、窒素含有金属、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、パラジウム、クロム、モリブデン、金などの1つまたは複数の層など、いずれかの好適な導電性材料を含むことができる。窒素含有金属層の好適な例は、窒化アルミニウム、窒化ニッケル、窒化チタン、窒化タングステン、窒化セレン、窒化タンタル、または窒化バナジウムを含むことができる。特定の実施形態では、導電層は、3つ以上の層を含むことができ、第1の層は、窒化物または酸窒化物、たとえばMoN、TiN、CrN、WN、またはMoOなどであり、第2の層は、AlまたはAlの合金などの導電層であり、第3の層は、保護層、たとえばCrである。
【0024】
[0033]光起電デバイス100は、基板110と協働して光起電デバイス100に対するハウジングを形成するように構成された背面支持体196を含むことができる。背面支持体196は、光起電デバイス100の反対側102に配置されることができる。たとえば、背面支持体196は、導電層190に隣接して形成されることができる。背面支持体196は、たとえば、ガラス(たとえば、ソーダ石灰ガラス)を含む、いずれかの好適な材料を含むことができる。
【0025】
[0034]図1および図3をさらに参照すると、光起電デバイス100、200の製造は、概して、それだけに限定されるものではないが、スパッタリング、噴霧、蒸発、分子線堆積、熱分解、閉空間昇華(CSS)、パルスレーザ堆積(PLD)、化学気相成長(CVD)、プラズマ促進化学気相成長(PECVD)、電気化学堆積(ECD)、原子層堆積(ALD)、または蒸気輸送堆積(VTD)を含む1つまたは複数のプロセスによって、機能層または層前駆体を層の「スタック」に順次配置することを含む。
【0026】
[0035]光起電デバイス100、200の製造は、光起電デバイス100、200を複数のセル210に分割するために、層のスタックのうちの特定の層の選択的な除去、すなわちスクライビングをさらに含むことができる。たとえば、TCO層スタック140がセル210間で電気的に分離されることを確実にするために、第1の分離スクライブ212(P1スクライブとも呼ばれる)が形成されることができる。具体的には、第1の分離スクライブ212は、光起電デバイス100のTCO層スタック140、緩衝層150、および吸収体層160を通って、または光起電デバイス200のTCO層スタック140、緩衝層150、窓層170、および吸収体層160を通って形成されることができる。したがって、第1の分離スクライブ212は、吸収体層160が堆積した後に形成されることができる。次いで、バックコンタクト層180および導電層190の堆積前に、第1の分離スクライブ212が誘電体材料で充填されることができる。
【0027】
[0036]セル210を直列に電気接続するために、直列接続スクライブ214(P2スクライブとも呼ばれる)が形成されることができる。たとえば、直列接続スクライブ214は、1つのセル190の導電層190から別のセル190のTCO層スタック140への導電経路を提供するために利用されることができる。直列接続スクライブ214は、光起電デバイス100の吸収体層160およびバックコンタクト層180を通って、または光起電デバイス200の窓層170、吸収体層160、およびバックコンタクト層180を通って形成されることができる。任意に、直列接続スクライブ214は、緩衝層150の一部または全部を通って形成されることができる。したがって、直列接続スクライブ214は、バックコンタクト層180が堆積した後に形成されることができる。次いで、直列接続スクライブ214は、それだけに限定されるものではないが、導電層190の材料などの、導電性材料で充填されることができる。
【0028】
[0037]バックコンタクト190を個々のセル210に分離するために、第2の分離スクライブ216(P3スクライブとも呼ばれる)が形成されることができる。第2の分離スクライブ216は、導電層190、バックコンタクト層180、および吸収体層160の少なくとも一部分を分離するように形成されることができる。本明細書に提供する実施形態によれば、第1の分離スクライブ212、直列接続スクライブ214、および第2の分離スクライブ216はそれぞれ、レーザ切断またはレーザスクライビングを介して形成されることができる。
【0029】
[0038]図4を次に参照すると、修正された光起電デバイス300が示されている。光起電デバイス300は基板110を含み、基板110上に少なくともTCO層スタック240がスパッタリングされる。いずれかの好適な方法によって、TCO層スタック240上に吸収体層160が堆積させられる。TCO層スタック240は、実質上光起電デバイス300のエネルギー側102を向く第1の表面242と、実質上光起電デバイス300の反対側104を向く第2の表面244とを有することができる。しかし、この実施形態では、TCO層スタック240の第2の表面244は、吸収体層160の第1の表面162に隣接して位置し、この境界面にテクスチャ化トポグラフィを呈する。境界面を形成する2つの表面の数値を使用してスラッシュで分離するこの境界面の呼び方が、本明細書で採用される(たとえば、直前に言及された境界面の場合、境界面244/162)。テクスチャ化トポグラフィは、様々な高さおよび直径を有する複数の丘および谷と考えられることができる。入射光301がエネルギー側102から光起電デバイス300に入り、光301は依然として部分的に反射される。しかし、光301の反射部分303は、平滑な境界面の反射と比較すると、テクスチャ化トポグラフィによって低減されることに留意されたい。したがって、テクスチャ化トポグラフィは、光307がテクスチャ化境界面244/162で散乱するため、吸収体層160内へ透過される光305を増大させることができる。吸収体層160内へ透過される光305が増大することで、光起電デバイス300内の電流が増大する。
【0030】
[0039]図4の光起電デバイス300では、テクスチャ化トポグラフィがTCO層スタック/吸収体の境界面(244/162)に示されているが、テクスチャ化トポグラフィは、吸収体層160を含めて吸収体層160まで、光起電デバイス300内のいずれかの他の境界面に位置決めされることができる。たとえば、図3の光起電デバイス200を考慮されたい。本開示の異なる実施形態によれば、基板/障壁層(114/132)、障壁層/TCO層(134/142)、またはTCO層/緩衝層(144/152)というTCO層スタック240の境界面のいずれもが、テクスチャ化トポグラフィを含むことができる。窓層170を有する実施形態では、緩衝層/窓層(154/172)または窓層/吸収体(174/162)もテクスチャ化されることができる。さらに、TCO層スタック240は複数の層を含むことができ、各層が独自の内部境界面を有し、これらの内部境界面もテクスチャ化されることができる。所与の1組のスパッタリング条件下で、テクスチャ化トポグラフィが始まった後、後続の層は、類似のテクスチャを採用することができる。しかし、所望される場合、様々なスパッタリング条件を選択することによって、丘を高くしたり滑らかにしたりすることも可能である。
【0031】
[0040]本明細書では、「平均粗さ」は、表面または境界面のテクスチャ化の大きさの測度である。スパッタリングプロセスは、一部はより高く、他はより低く、一部はより広く、他はより狭い、丘および谷の分布をもたらすことができることを理解されたい。本明細書に記載されるテクスチャ化トポグラフィを提供することで、そのような分布を強調または減少させることができる。「平均粗さ」は、谷の底からの丘の平均高さを推定する。平均粗さを評価する2つの方法が知られている。第1の方法は、表面の3D画像を作成して平均粗さを計算する原子間力顕微鏡法(AFM)である。第2の方法は、偏光光を表面に照らして反射光を検出し、これと既知のモデルとを比較して平均粗さを推定する偏光解析法である。
【0032】
[0041]図5を次に参照すると、本発明の一実施形態による例示的なスパッタリングチャンバ60の断面が一般概略図が示されている。垂直の向きを有する例示的なスパッタリングチャンバ60が示されているが、いずれかの他の構成が利用されることもできる。チャンバ60自体がアノード63を形成し、カソード64は、基板110の方を向くチャンバの1つの壁に形成される。図示のように、第1の支持体66と第2の支持体67との間に基板110が保持されることができ、または別法として、水平の向きでローラもしくはコンベア上に基板110が支持されることができる。概して、基板110は、カソード64の方を向く表面上にスパッタ層14が形成されるように、スパッタリングチャンバ60内に位置決めされる。電源62が、チャンバ60への電力を制御および供給するように構成される。スパッタリングすべき特有の材料またはスパッタリングすべき特有の基板に応じて、DV電圧またはRF(交流)電圧として電力が供給されることができる。図示のように、電源62は、それぞれワイア68および69を介して、カソード64に電圧を印加して、カソード64とアノード65との間に電位をもたらし、したがって基板110は、カソード64とアノード65との間に位置する。単一の電源62のみが示されているが、電位は、ともに結合された複数の電源を使用することによって実現されることができる。
【0033】
[0042]イオン化可能ガスをスパッタチャンバ60に導入するためのスパッタリング環境制御システム80が示されている。環境制御システム80は、不活性ガス源81と、1つまたは複数の反応性ガス源82、83と、解放されるガスの量を調節する制御弁とを含む。ガス源81~83は、1つまたは複数の供給ライン84および1つまたは複数の入口85を介して、スパッタリングチャンバ60に接続される。様々な実施形態では、不活性ガス源81は、アルゴンまたは窒素とすることができ、反応性ガス源82、83は、たとえば、水素、酸素、HO、ArおよびOの混合物、ArおよびHの混合物、NおよびOの混合物、ならびにNおよびHの混合物を含むことができる。水素が反応性ガスに含まれるとき、水素は、82に示されている不活性ガスに対して低い百分率で混合することが好ましい。酸素は、スパッタリングチャンバ60への専用の入口を有することができる。環境制御システム80は、1つまたは複数のプロセッサ72に通信可能に結合されることができ、これは図4に両方向矢印の線として全体として示されている。本明細書では、「通信可能に結合される」という用語は、構成要素が、たとえば導電性媒体を介して電気信号、空気を介して電磁信号、光導波管を介して光信号など、データ信号を互いに交換することが可能であることを意味する。
【0034】
[0043]スパッタリング雰囲気が着火された後、プラズマ場70が生じ、カソード64とアノード63として作用するチャンバ壁との間の電位に応答して維持される。この電位により、プラズマ場70内のプラズマイオンをカソード64の方へ加速させて、カソード64からの原子を基板110上の表面の方へ射出させる。したがって、カソード64は「標的」とも呼ばれており、カソード64の方を向く表面上にスパッタ層14を形成するための原材料として作用する。カソード64の性質は、スパッタリングされるべき1つまたは複数の層に依存する。カソード64は、スズ元素、亜鉛元素、もしくはこれらの混合物などの金属もしくは合金の標的、またはセラミックの標的とすることができる。加えて、いくつかの実施形態では、複数のカソード64が利用されることができる。複数のカソード64は、いくつかのタイプの材料を含む層の形成(たとえば、同時スパッタリング)にとって特に有用となることができる。スパッタリング雰囲気は、典型的に酸素ガスを含有するため、プラズマ場70の酸素粒子が射出された標的原子と反応して、基板110上のスパッタ層14に酸化物層を形成することができる。
【0035】
[0044]非限定的な例として、不活性ガス(たとえば、アルゴン)および酸素(たとえば、約0%~約20容量%の酸素)を含有する雰囲気において、金属標的からの指定のスパッタリング温度のスパッタリングを介して、TCO層スタック240またはそのいずれかの層が形成され、基板110上にTCO層スタック240を形成することができる。たとえば障壁層130および緩衝層150などのTCO層スタック240の層の構成要素として上記で論じた組成物および材料はいずれも、そのようなスパッタリングプロセスによって堆積させられることができる。
【0036】
[0045]本明細書に記載される実施形態によれば、プロセッサ72は、機械可読命令を実行することが可能ないずれかのデバイスを意味する。したがって、1つまたは複数のプロセッサ72はそれぞれ、コントローラ、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、またはいずれの他のコンピューティングデバイスとすることができる。1つまたは複数のプロセッサ72は、論理またはソフトウェアを実行し、以下により詳細に論じられる機能を実施するように構成されることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、プロセッサ72は、弁を制御し、不活性担体および水素または酸素などのあらゆる反応性ガスに対する流量を調整することによって、スパッタリング環境を制御するようにプログラムされることができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ72は、基板を所望の温度に加熱もしくは冷却し、または電圧を増大もしくは減少させて磁界強度を変化させるようにプログラムされることができる。加えて、1つまたは複数のプロセッサ72は、1つまたは複数のプロセッサ72によって受け取られた論理および/または入力を記憶することができる1つまたは複数のメモリ構成要素に通信可能に結合されることができる。本明細書に記載されるメモリ構成要素は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、または機械可読命令を記憶することが可能ないずれのデバイスとすることができる。
【0037】
[0046]本開示の実施形態は、たとえばプロセッサによって直接実行されることができる機械語、または機械可読命令にコンパイルまたはアセンブルされて機械可読媒体に記憶されることができるアセンブリ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP)、スクリプト言語、マイクロコードなど、あらゆる世代(たとえば、1GL、2GL、3GL、4GL、または5GL)のいずれかのプログラミング言語で書かれた機械可読命令またはアルゴリズムを含む論理を含む。別法として、論理またはアルゴリズムは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)構成または特定用途向け集積回路(ASIC)、およびこれらの均等物を介して実施される論理など、ハードウェア記述言語(HDL)で書かれることができる。したがって、論理は、事前にプログラムされたハードウェア要素として、またはハードウェアおよびソフトウェア構成要素の組合せとして、いずれかの従来のコンピュータプログラミング言語で実施されることができる。
【0038】
[0047]いくつかのTCOスタック層140の材料の場合、アニーリングステップが有益である。熱エネルギーまたはレーザエネルギーによるアニーリングは、光起電デバイスの業界で一般的であり、本明細書に詳細に記載される必要はない。
【0039】
[0048]特定の所望の粗さ属性を有するTCO層スタック240を有する光起電デバイス100、200、300は、スパッタリングプロセスによって全体に堆積させた平滑な膜より多くの内部反射をもたらすことが観察された。しかし、スパッタリング条件およびスパッタリング環境を慎重に制御することによって、TCO層スタック240のうち内部反射を改善させた層は、スパッタリングプロセスによって作製されることができることが分かった。
【0040】
[0049]図6および図7を次に参照すると、テクスチャ化トポグラフィを有する光起電デバイス400の別の実施形態が示されている。光起電デバイス400は、図1の光起電デバイス100に組成上類似することができるが、見やすいようにスクライビングは省略される。基板110上には、任意の障壁層130、TCO層140、および緩衝層150というTCO層スタック240の流動層が、順序どおり堆積させられる。次いで、吸収体層160、バックコンタクト180、導体材料190、および背面支持体196という層が堆積させられることができる。しかし、光起電デバイス400は、テクスチャ化トポグラフィがTCO層/緩衝層境界面144/152、すなわちTCO層140の第2の表面144(デバイスのエネルギー側から離れている表面)と緩衝層150の第1の表面152との間の境界面から始まるという点で、図1の光起電デバイス100とは異なる。テクスチャ化トポグラフィは、緩衝層/吸収体層境界面154/162でも同様に保持され、その境界面は、緩衝層150の第2の表面154および吸収体層160の第1の表面162に形成されたものである。緩衝層/吸収体層境界面154/162の精密なテクスチャ化は、TCO層/緩衝層境界面144/152のテクスチャとは異なり得ることが観察されることができる。
【0041】
[0050]図7は、光起電デバイス400のテクスチャ化トポグラフィ領域の拡大部分を示す。ここでは、2つの境界面遷移区域448および458が示されている(見やすいように、点線によって囲まれている)。境界面遷移区域448は、TCO層140の第2の表面144の最も低い谷449および最も高い丘450によって画定される。同様に、境界面遷移区域458は、緩衝層150の第2の表面154の最も低い谷459および最も高い丘460によって画定される。したがって、本明細書では、「境界面遷移区域」は、下にある層のテクスチャ化トポグラフィの丘および谷のため、隣接する堆積層が混ざり合う中間層を意味する。境界面遷移区域448内では、緩衝層150の半導体材料が、TCO層140のTCO半導体材料の谷の中へ延びて充填し、境界面遷移区域458内では、吸収体層160の半導体材料が、緩衝層150の半導体材料の谷の中へ延びて充填する。こうして異なる半導体材料が混ざり合うことで、これらの境界面遷移区域448、458内に、これらの境界面遷移区域内の個々の半導体材料を混成した物理特性が提供される。
【0042】
[0051]1つの重要なそのような物理特性は、屈折率nである。フレネルの式から、2つの媒体間の境界面における偏光されていない光の反射は、それぞれの屈折率nおよびnの差または「Δ」が増大するにつれて増大することが知られている。そのような各境界面における屈折率Δを最小にすることで、反射される光を低減させ、透過される光を増大させることができる。たとえば、図1図3図6、および図7のような光起電デバイス100、200、300、400では、基板110は、たとえばガラスから形成されるとき、約1.5の屈折率を有することができる。カドミウムベースの吸収体からの吸収体層160は、約3.0の屈折率を有する。TCO層140が約1.8の屈折率を有し、緩衝層150が約2.0の屈折率を有する場合、TCO層140と緩衝層150との間に、約1.9の有効屈折率を有する1つの境界面遷移区域を作製し、吸収体層160と緩衝層150との間に、約2.5の有効屈折率を有する第2の境界面遷移区域を作製することが可能である。したがって、テクスチャ化トポグラフィを含む各層境界面により、デバイスが追加の境界面を有したかのように作用する中間境界面遷移領域が作製される。同時に、境界面遷移区域の混成の性質により、各ステップにおける有効屈折率のΔがより小さくなり、屈折率の勾配がより緩やかになる。任意の障壁層130を有する実施形態では、緩やかな勾配の屈折率の追加の増分を形成するように、障壁層130の組成物および/または表面テクスチャが選択されることができる。これらの特徴を組み合わせて、反射を低減させ、デバイスからの電流および電力をより大きくすることに寄与する。
【0043】
[0052]スパッタリングの条件を制御することによって、本明細書に記載および図示するテクスチャ化トポグラフィを作製することが可能である。テクスチャ化トポグラフィを制御することが知られている条件、およびそれぞれが試験された範囲にわたってトポグラフィの平均粗さに与える効果が、下の表Aに示されている。
【0044】
【表1】
【0045】
[0053]図5を再び参照すると、スパッタリングチャンバ60が示されている。様々なガスをスパッタチャンバ60に導入するためのスパッタリング環境制御システム80が示されている。環境制御システム80は、1つまたは複数のプロセッサ72に通信可能に結合されることができ、これは図5に両方向矢印の線として全体として示されている。制御システム80は、スパッタリング条件パラメータを自動的に調整して所望の効果を実現するように、機械可読命令によってプログラムされることができる。非限定的な例として、滑らかな基板から始めて、各層の酸素の量を減少させながら材料の層がスパッタリングされて、粗さを高めかつより高い「丘」を構築し、境界面遷移区域を広げることができる。別法として、各層の酸素および/または水素の量を増大させながら後続の材料層がスパッタリングされて、最初にテクスチャ化された基板の粗さを滑らかにすることができる。粗さの効果が最も大きい場合、制御システムは、ほとんどまたはまったく酸素または水素の補給がない状態において、より高い温度および/またはより高い磁界強度で、層をスパッタリングするように構成されることができる。
【実施例
【0046】
実施例1
[0055]表Bに示されている可変の流量で酸素が補給されたアルゴン環境でガラス基板上にスパッタリングすることによって、TCO層スタック240が準備された。酸素流は、標準的な立法センチメートル/分(sccm)によって画定される。その結果得られるTCO層スタック240の粗さのSEM画像が、図8A図8Dに示されている。酸素流が増大するにつれて粗さが減少する効果を見て取ることができる。
【0047】
【表2】
【0048】
実施例2
[0056]本明細書に記載されるように、連続層をスパッタリングすることによって、3つの光起電デバイス901、910、930が準備された。スパッタリング環境の酸素および水素含量の条件を変更することによって、粗さが変更された。偏光解析法によって、平均粗さが判定された。偏光解析法の結果が表Cに示されており、緩衝層/吸収体層境界面154/162におけるデバイスの断面SEMが図9A図9Cに示されている。図9Aで、デバイス901は、400nmのスケールを示すスケールバー902に基づいて、TCO層スタック240の第2の表面244における境界面に粒状の幾何形状を形成するより大きい丘904のいくつかが、100nmを超えるサイズであることが観察されることができる。図9Bで、デバイス910は、200nmのスケールを示すスケールバー912に基づいて、TCO層スタック240の第2の表面244に中間レベルのサイズを有する丘914を有し、丘914は、デバイス901内の丘904のサイズとデバイス930の丘934との間に入るサイズを有することが観察されることができる。図9Cで、デバイス930は、200nmのスケールを示すスケールバー932に基づいて、TCO層スタック240の第2の表面244の丘934が、最も小さいサイズを有することが観察されることができる。
【0049】
【表3】
【0050】
[0057]加えて、これら3つのデバイス901、910、930が、量子効率測定システムによって、電流密度(mA/cm)に関して測定された。5.5nmで約23.24mA/cmの電流密度を有する緩衝層/吸収体層境界面154/162に形成されたTCO層スタック240の第2の表面244を有するデバイス930(たとえば、図7参照)と比較すると、最も粗いTCO層スタック240の第2の表面244、すなわち吸収体境界面を有するデバイス901(28.8nm)は、約23.65mA/cmまで約1.7%の電流の増大を有し、TCO層スタック240の第2の表面244に中間の粗さを有するデバイス902は、約23.35mA/cmまで約0.5%の電流の増大を有した。これらのデータ点が図10に示されている。
【0051】
[0058]本明細書に提供する実施形態によれば、光起電デバイスを製造する方法は、不活性のスパッタリング環境で少なくとも1つの透明金属酸化物層を基板上へスパッタリングすることを含むことができる。不活性のスパッタリング環境は、約0.1sccm~約30sccmの流量の酸素で制御されることができる。約5nmより大きい平均粗さを有する少なくとも1つの境界面を有するスパッタリングされた透明導電性酸化物層スタックが作製されることができる。別法または追加として、透明導電性酸化物層スタックがアニーリングされることができる。
【0052】
[0059]本明細書に提供する実施形態によれば、薄膜透明導電性酸化物層スタックは、不活性のスパッタリング環境で少なくとも1つの透明金属酸化物層を基板上へスパッタリングすることを含むことができる。不活性のスパッタリング環境は、約0.1sccm~約30sccmの流量の酸素で制御されることができる。約5nmより大きい平均粗さを有する少なくとも1つの境界面を有するスパッタリングされた透明導電性酸化物層スタックが作製されることができる。別法または追加として、透明導電性酸化物層スタックがアニーリングされることができる。別法または追加として、平均粗さは約5nm~約200nmである。別法または追加として、平均粗さは約5nm~約120nmである。別法または追加として、平均粗さは約5nm~約60nmである。別法または追加として、平均粗さは約5nm~約30nmである。
【0053】
[0060]別の実施形態によれば、薄膜透明酸化物層スタックは、不活性のスパッタリング環境で少なくとも1つの透明金属酸化物層を基板上へスパッタリングすることを含むことができる。不活性のスパッタリング環境は、約0.1sccm~約30sccmの流量の酸素で制御されることができる。約5nmより大きい平均粗さを有する少なくとも1つの境界面を有するスパッタリングされた透明酸化物層スタックが作製されることができる。別法または追加として、透明導電性酸化物層スタックがアニーリングされることができる。
【0054】
[0061]さらなる実施形態では、関連する吸収体層とともに使用するための改善された薄膜透明酸化物層を製造する方法は、アニーリングされたときに5~60nmの平均粗さを有する少なくとも1つの境界面を有するスパッタリングされた透明酸化物層を作製するように選択された条件下で、1つまたは複数の透明金属酸化物層を基板上へスパッタリングすることを含むことができ、前記スパッタリング条件は、(i)不活性スパッタリングまたはアニーリング環境に酸素または水素を補給すること、(ii)基板温度を約25~約400℃の範囲まで増大させること、および(iii)スパッタリングプロセスに伴う磁界強度を約20mT~約100mTの範囲まで増大させることから選択される。入射光に露出されると、透明酸化物層の少なくとも1つの境界面の粗さが反射を低減させ、関連する吸収体層への光散乱透過を増大させる。
【0055】
[0062]さらに別の実施形態では、光起電デバイスは、基板、透明層スタック、および吸収体層を含むことができる。透明導電層スタックは、透明酸化物層スタックを形成するように、異なる屈折率を有する少なくとも2つの透明金属酸化物層を含むことができ、透明導電性酸化物層スタック内の2つの金属酸化物層間の少なくとも1つの境界面、または透明導電性酸化物層スタックと隣接する層との間の少なくとも1つの境界面は、5~60nmの平均粗さを有する。吸収体層は、透明層スタック上に配置されることができる。透明酸化物層スタックの少なくとも1つの境界面の粗さは、隣接する2つの層の屈折率の中間にある有効屈折率を有する境界面遷移区域を作製して、屈折率のより緩やかな勾配を形成する。
【0056】
[0063]特定の実施形態について本明細書に図示および記載したが、特許請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を加えることができることを理解されたい。さらに、特許請求の範囲の主題の様々な態様について本明細書に記載したが、そのような態様は、組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の主題の範囲内のすべてのそのような変更および修正を包含することが意図される。
[発明の態様]
[1]
薄膜透明導電性酸化物層スタックを製造する方法であって、
不活性のスパッタリング環境で少なくとも1つの透明金属酸化物層を基板上へスパッタリングすること、
前記不活性のスパッタリング環境を約0.1sccm~約30sccmの流量の酸素で制御して、約5nm~約60nmの平均粗さを有する少なくとも1つの境界面を有するスパッタリングされた透明導電性酸化物層スタックを作製すること、および
透明導電性酸化物層スタックをアニーリングすることを含む方法。
[2]
平均粗さが約5nm~約30nmである、1に記載の方法。
[3]
スパッタリング中の酸素流量が約1sccm~約20sccmである、1に記載の方法。
[4]
スパッタリング中の基板温度が約25~約400℃である、1に記載の方法。
[5]
異なる屈折率を有する少なくとも2つの透明金属酸化物層を基板上へスパッタリングして、透明導電性酸化物層スタックを形成すること、ここで前記透明導電性酸化物層スタック内の2つの金属酸化物層間の少なくとも1つの境界面、または前記透明導電性酸化物層スタックと隣接する層との間の少なくとも1つの境界面が、5~60nmの平均粗さを有する、
前記透明導電性酸化物層スタックをアニーリングすること、および
前記透明導電性酸化物層スタック上に吸収体層を堆積させることをさらに含み、
それによってアニーリング後、前記透明導電性酸化物層スタックの前記少なくとも1つの境界面の粗さが、隣接する2つの層の屈折率の中間にある有効屈折率の遷移区域を作製して、屈折率のより緩やかな勾配を形成する、
1に記載の方法。
[6]
前記金属酸化物層の少なくとも1つが、インジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛マグネシウム酸化物(ZMO)、ならびに酸化スズ(TO)、およびカドミウムスズ酸化物(CTO)から選択される、5に記載の方法。
[7]
前記金属酸化物層の少なくとも2つが、インジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛マグネシウム酸化物(ZMO)、酸化スズ(TO)、およびカドミウムスズ酸化物(CTO)から選択される、6に記載の方法。
[8]
平均粗さが約5nm~約30nmである、6に記載の方法。
[9]
スパッタリング中の酸素流量が約0sccm~約20sccmである、6に記載の方法。
[10]
付設した吸収体層とともに使用するための改善された薄膜透明導電性酸化物層を製造する方法であって、
アニーリングされたときに5~60nmの平均粗さを有する少なくとも1つの境界面を有するスパッタリングされた透明導電性酸化物層を作製するように選択された条件下で、1つまたは複数の透明金属酸化物層を基板上へスパッタリングすることを含み、前記スパッタリング条件が、(i)不活性スパッタリングまたはアニーリング環境に酸素または水素を補給すること、(ii)基板温度を約25~約400℃の範囲まで増大させること、および(iii)スパッタリングプロセスに伴う磁界強度を約20mT~約100mTの範囲まで増大させることから選択され、
それによって、入射光に露出されると、透明導電性酸化物層の少なくとも1つの境界面の粗さが反射を低減させ、前記付設した吸収体層への光散乱透過を増大させる、方法。
[11]
平均粗さが約5nm~約30nmである、10に記載の方法。
[12]
前記スパッタリングが、約0.1sccm~約30sccmの流量の酸素で補給する条件下で行われる、10に記載の方法。
[13]
前記スパッタリングが、約1sccm~約20sccmの流量の酸素で補給する条件下で行われる、12に記載の方法。
[14]
前記スパッタリングが、不活性環境の最大3重量%の水素で補給するさらなる条件下で行われる、12に記載の方法。
[15]
前記スパッタリングが、約25~約400℃の基板温度の条件下で行われる、10に記載の方法。
[16]
前記スパッタリングが、約40~約90mTの磁界強度の条件下で行われる、10に記載の方法。
[17]
1に記載の方法によって形成された透明導電性酸化物層スタックを備える光起電デバイス。
[18]
基板と、
透明導電性酸化物層スタックを形成するように、異なる屈折率を有する少なくとも2つの透明金属酸化物層を備える透明導電層スタック、ここで前記透明導電性酸化物層スタック内の2つの金属酸化物層間の少なくとも1つの境界面、または前記透明導電性酸化物層スタックと隣接する層との間の少なくとも1つの境界面が、5~60nmの平均粗さを有する、
前記スパッタリングされた透明導電層スタック上に配置された吸収体層、および
前記吸収体層上に配置されたバックコンタクトとを備え、
それによって前記透明導電性酸化物層スタックの前記少なくとも1つの境界面の粗さが、隣接する2つの層の屈折率の中間にある有効屈折率を有する境界面遷移区域を作製して、屈折率のより緩やかな勾配を形成する、
光起電デバイス。
[19]
平均粗さが約5nm~約30nmである、18に記載の光起電デバイス。
[20]
前記金属酸化物層の少なくとも1つが、インジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛マグネシウム酸化物(ZMO)、ならびに酸化スズ(TO)、およびカドミウムスズ酸化物(CTO)から選択される、18に記載の光起電デバイス。
[21]
屈折率の緩やかな勾配を促進する屈折率を有する障壁層をさらに備える、18に記載の光起電デバイス。
[22]
約1.5の屈折率を有するガラスを含む基板と、
約3の屈折率を有するテルル化カドミウムを含む吸収体層と、
前記基板と前記吸収体層との間に配置されており、少なくとも1つの境界面遷移区域とともに、前記基板と前記吸収体層との間に少なくとも4つの境界面領域を画定する少なくとも2つの透明金属酸化物層とをさらに備え、前記少なくとも2つの透明金属酸化物層の屈折率が1.5~3であり、前記境界面領域のいずれでも前記屈折率が、0.5を超えて変化しない、
18に記載の光起電デバイス。
[23]
薄膜透明酸化物層スタックを製造する方法であって、
不活性のスパッタリング環境で少なくとも1つの透明金属酸化物層を基板上へスパッタリングすること、および
前記不活性のスパッタリング環境を約0.1sccm~約30sccmの流量の酸素で制御して、5nmより大きい平均粗さを有する少なくとも1つの境界面を有するスパッタリングされた透明酸化物層スタックを作製することを含む方法。
[24]
前記透明酸化物層をアニーリングすることをさらに含む、23に記載の方法。
[25]
スパッタリング中の酸素流量が約1sccm~約20sccmである、1、2、23、または24のいずれか一項に記載の方法。
[26]
スパッタリング中の基板温度が約25~約400℃である、1から3または23から25のいずれか一項に記載の方法。
[27]
異なる屈折率を有する少なくとも2つの透明金属酸化物層を基板上へスパッタリングして、透明導電性酸化物層スタックを形成すること、ここで前記透明導電性酸化物層スタック内の2つの金属酸化物層間の少なくとも1つの境界面、または前記透明導電性酸化物層スタックと隣接する層との間の少なくとも1つの境界面が、5~60nmの平均粗さを有する
前記透明導電性酸化物層スタックをアニーリングすること、および
前記透明導電性酸化物層スタック上に吸収体層を堆積させることをさらに含み、
それによってアニーリング後、前記透明導電性酸化物層スタックの前記少なくとも1つの境界面の粗さが、隣接する2つの層の屈折率の中間にある有効屈折率の遷移区域を作製して、屈折率のより緩やかな勾配を形成する、
1から4または23から26のいずれか一項に記載の方法。
[28]
前記金属酸化物層の少なくとも1つが、インジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛マグネシウム酸化物(ZMO)、ならびに酸化スズ(TO)、およびカドミウムスズ酸化物(CTO)から選択される、1から5または23から27のいずれか一項に記載の方法。
[29]
前記金属酸化物層の少なくとも2つが、インジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛マグネシウム酸化物(ZMO)、酸化スズ(TO)、およびカドミウムスズ酸化物(CTO)から選択される、1から6または23から28のいずれか一項に記載の方法。
[30]
平均粗さが約5nm~約30nmである、1または3から7または23から29に記載の方法。
[31]
スパッタリング中の酸素流量が約0sccm~約20sccmである、1から8または23から30に記載の方法。
[32]
前記スパッタリングが、約0.1sccm~約30sccmの流量の酸素で補給する条件下で行われる、10または11に記載の方法。
[33]
前記スパッタリングが、約1sccm~約20sccmの流量の酸素で補給する条件下で行われる、10から12または32のいずれか一項に記載の方法。
[34]
前記スパッタリングが、不活性環境の最大3重量%の水素で補給するさらなる条件下で行われる、10から13または32もしくは33のいずれか一項に記載の方法。
[35]
前記スパッタリングが、約200~約400℃の基板温度の条件下で行われる、10から14または32から34のいずれか一項に記載の方法。
[36]
前記スパッタリングが、約40~約90mTの磁界強度の条件下で行われる、10から15または32から35のいずれか一項に記載の方法。
[37]
前記金属酸化物層の少なくとも1つが、インジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛マグネシウム酸化物(ZMO)、ならびに酸化スズ(TO)、およびカドミウムスズ酸化物(CTO)から選択される、18または19に記載の光起電デバイス。
[38]
屈折率の緩やかな勾配を促進する屈折率を有する障壁層をさらに備える、18から20または37のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[39]
約1.5の屈折率を有するガラスを含む基板、
約3の屈折率を有するテルル化カドミウムを含む吸収体層、および
前記基板と前記吸収体層との間に配置されており、少なくとも1つの境界面遷移区域とともに、前記基板と前記吸収体層との間に少なくとも4つの境界面領域を画定する少なくとも2つの透明金属酸化物層をさらに備え、前記少なくとも2つの透明金属酸化物層の屈折率が1.5~3であり、前記境界面領域のいずれでも前記屈折率が、0.5を超えて変化しない、
18から21または37もしくは38のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[40]
1から16または23から36のいずれか一項に記載の方法によって形成された透明導電性酸化物層スタックを備える光起電デバイス。
[41]
約1.5の屈折率を有するガラスを含む基板、
約3の屈折率を有するテルル化カドミウムを含む吸収体層、
前記基板と前記吸収体層との間に配置されており、少なくとも1つの境界面遷移区域とともに、前記基板と前記吸収体層との間に少なくとも4つの境界面領域を画定する少なくとも2つの透明金属酸化物層をさらに備え、前記少なくとも2つの透明金属酸化物層の屈折率が1.5~3であり、前記境界面領域のいずれでも前記屈折率は、0.5を超えて変化しない、
1から40のいずれか一項に記載の方法または光起電デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10