(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】無線端末の無線性能の試験方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0413 20170101AFI20240411BHJP
G01R 29/10 20060101ALI20240411BHJP
H04B 17/15 20150101ALI20240411BHJP
H04B 17/391 20150101ALI20240411BHJP
H01Q 21/28 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H04B7/0413 100
G01R29/10 E
G01R29/10 A
H04B7/0413 200
H04B17/15
H04B17/391
H01Q21/28
(21)【出願番号】P 2021529865
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 CN2019115544
(87)【国際公開番号】W WO2020108239
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】201811417925.0
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518333281
【氏名又は名称】ジェネラル テスト システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】チー,イーホン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェン,パンフェイ
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/166201(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0280844(US,A1)
【文献】特開2018-148409(JP,A)
【文献】特開2009-268098(JP,A)
【文献】Penghui Shen et al.,OTA Measurement for IoT Wireless Device Performance Evaluation: Challenges and Solutions,IEEE Internet of Things Journal ,VOL.6, NO.1,2018年09月04日,pp.1223-1237
【文献】Agilent Technologies, General Test Systems,Incorporating self-interference into the two-stage method[online],3GPP TSG RAN WG4 Meeting #66 MIMO OTA Ah hoc R4-66AH-0022,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_AHs/TSGR4_66-AH-MIMO-OTA/Docs/R4-66AH-0022.zip>,2013年03月13日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0413
G01R 29/10
H04B 17/15
H04B 17/391
H01Q 21/28
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末の無線性能の試験方法であって、
試験対象物は前記無線端末であり、前記試験対象物は、複数の発射アンテナを有し、且つマイクロ波電波暗室内に配置され、前記方法は、
前記試験対象物の複数の発射アンテナのアンテナパターン情報を取得し、当該情報をチャネルシミュレータに導入するステップと、
前記マイクロ波電波暗室で前記試験対象物の発射アンテナと同じ数の試験アンテナを選択して、前記発射アンテナが前記試験アンテナに信号を発射し、前記発射アンテナから選定された前記試験アンテナまでの試験伝搬行列を形成するステップと、
前記試験対象物が当該信号に前記試験伝搬行列の右逆行列をロードした後に前記試験アンテナに送信し、前記試験アンテナが
当該信号を受信し、当該信号を前記チャネルシミュレータに送信し、
前記チャネルシミュレータが当該信号に前記アンテナパターン情報と予め設定されたチャネルモデルを使用して演算を行い、フィード信号を取得し、フィード信号を擬似基地局に送信す
るステップと、
前記擬似基地局が前記フィード信号を受信し、スループット試験を行い、前記試験対象物に対するアップリンク無線性能試験を実現するステップと、を含む、
ことを特徴とする無線端末の無線性能の試験方法。
【請求項2】
前記試験対象物は2x2 MIMO無線端末であって、前記試験伝搬行列は、
【数1】
である特徴を有し、
α
xyは、試験対象物の第yの発射アンテナの出力ポートから第xの試験アンテナの入力ポートまでの振幅変化を示し、φ
xyは、試験対象物の第yの発射アンテナの出力ポートから第xの試験アンテナの入力ポートまでの位相変化を示し、Aは、試験伝搬行列である、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線端末の無線性能の試験方法。
【請求項3】
無線端末の無線性能試験システムであって、
前記無線端末の無線性能試験システムは、マイクロ波電波暗室、試験アンテナ、チャネルシミュレータ、及び擬似基地局を含み、
前記マイクロ波電波暗室は、前記試験アンテナと試験対象物を配置し、前記試験対象物は前記無線端末であり、
前記試験対象物が信号に試験伝搬行列の右逆行列をロードした後に前記試験アンテナに送信し、
前記試験アンテナは、前記試験対象物の発射アンテナによって発射された信号を受信し、当該信号を前記チャネルシミュレータに送信し、
前記チャネルシミュレータは、前記試験アンテナによって送信された信号を受信し
、前記試験対象物の発射アンテナのアンテナパターン情報と予め設定されたチャネルモデルとを使用して演算を行い、フィード信号を取得し、擬似基地局に送信
し、
前記擬似基地局は、前記フィード信号を受信し、スループット試験を行い、前記試験対象物に対するアップリンク無線性能試験を実現する、
ことを特徴とする無線端末の無線性能試験システム。
【請求項4】
前記チャネルシミュレータと擬似基地局は、1つの試験計器に統合されてもよいし、それぞれ複数の試験計器に構成されてもよい、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線端末の無線性能試験システム。
【請求項5】
前記予め設定された標準は、予め設定されたチャネルモデルである、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線端末の無線性能試験システム。
【請求項6】
コンピュータ上で動作する際に、請求項1または2に記載の無線端末の無線性能の試験方法を前記コンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。
【請求項7】
コンピュータプログラムが記憶されるように構成されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、コンピュータ上で動作する際に、請求項1または2に記載の無線端末の無線性能の試験方法を前記コンピュータに実行させる、
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、深セン市ジェネラル試験システムズカンパニーリミテッドが2018年11月26日にて提供された、発明の名称が「無線端末の無線性能の試験方法及びシステム」である、中国特許出願番号が「201811417925.0」である優先権を主張する。
本出願は、無線通信技術の分野に関し、具体的には、MIMO無線端末の無線性能の試験方法及び試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線モバイル通信の発展に伴い、人々が無線通信速度に対する要求もますます高まっている。従来の単入力単出力SISO(Single Input Single Output)システム(第2世代、第3世代モバイル通信など)と比較すると、MIMO(Multiple Input Multiple Output、マルチ発射アンテナとマルチ受信アンテナ)は、送受信ポートに複数のアンテナを配置することによって、アンテナダイバーシティ、空間多重化、伝送ダイバーシティなどを介して同じ帯域幅でより高い通信速度とより大きなシステム容量を取得することを実現することができる。理論的には、一つのN×NのMIMOシステムのデータ伝送速度は、SISOシステムのN倍に達することができる。これに基づいて、MIMO技術は、第4世代モバイル通信システム(4G)及び第5世代モバイル通信システム(5G)に広く適用されている。しかしながら、MIMO通信システムの実際の伝送データ率は、多くの実際的な要因に依存され、空間伝搬環境に加えて、MIMO端末の無線性能は伝送速度に重要な影響を与える。
【0003】
MIMO端末の無線性能は、端末自体の受信機感度、ノイズ、発射機の電力、アンテナ相関性、アンテナと受信機発射機とのマッチング、ベースバンド処理、無線伝搬環境などの、複数の要因に依存する。MIMO端末のOTA(OTA、Over The Air)試験案は、制御された環境で、試験MIMO端末無線性能を評価する方法及び試験システムを提供する。MIMO端末のOTA試験は、モバイルオペレーターがモバイル端末性能を検証し、端末入網許可を発行する根拠であり、端末メーカーが開発、品質管理中の技術手段でもある。OTA試験は、現在の国際標準組織3GPP(登録商標)(3rd Generation Partnership Project:第3世代パートナーシッププロジェクト)と中国標準組織CCSA(China Communications Standards Association:中国通信標準化協会)が公認するMIMO無線端末の真実な無線性能を評価できる試験手段である。
【0004】
具体的には、MIMO無線端末の受信性能(すなわち、下りMIMO性能)に対して、3GPPは、二つの標準のOTA試験案を提供し、マルチプローブ法(MPAC:Multiple Probe Anechoic Chamber method)と放射2ステージ法(RTS:Radiated Two Stage method)とがある。下りMIMO性能を評価する最も重要な指標は、スループットであり、MIMOは、ダイバーシティ技術を使用して通信速度を向上させ、その中、電磁波空間伝搬環境(すなわちチャネルモデル)は、スループットを决定する重要な要因である。
図1は、一つの無線MIMO端末が位置するマルチパス環境を示し、その中、基地局から端末までの直接通信経路、各建物の発射経路、及びドップラー効果などを含む。MIMO OTA試験は、規定されたチャネルモデルをシミュレーションし、その後、モデルでスループットのサイズを試験する必要がある。MPAC方法は、試験対象物の周りを囲む複数のアンテナ(例えば16個)とチャネルシミュレータとを用いて、MIMOチャネルのシミュレーションを実現する直感的な方法であるが、システムのコストが非常に高く、システムキャリブレーションが複雑である。
図2に示すように、放射2ステージ法の第1のステップで試験対象物の受信アンテナパターンを取得し、第2のステップで取得された受信パターンとチャネルモデルとの組み合わせによってスループット試験信号を生成し、その後、スループット試験信号を放射する方式によって対応する受信機にフィードし、スループット試験を行い、RTS方法は、
図3に示すように、ハードウェアが簡単で効率的であり、システム誤差が小さく、安定性が高い。RTSは、様々な利点のため、徐々に最も主流のMIMO試験方法になる。
【0005】
無線端末試験は、受信性能だけでなく、発射性能も同様に重要である。現在、下りMIMO試験は、既に標準化及び産業化されている。しかしながら、MIMO無線端末のアップリンクMIMO性能試験は、まだ模索している。現在のRTS方法は、以下のようなステップに分けられる。
ステップA、試験対象である前記MIMO無線端末の複数のアンテナのアンテナパターン情報を取得する。
ステップB、試験対象である前記MIMO無線端末のアンテナパターン情報と予め設定されたMIMOチャネル伝搬モデルとを併せて、試験信号を生成し、前記試験信号と校正行列とに基づいて試験用発射信号を取得する。
ステップC、前記試験用発射信号をマイクロ波電波暗室の複数の測定アンテナにフィードし、前記測定アンテナを介して前記無線端末に発射して前記無線端末を試験する。
【0006】
現在のRTS方法は、下りMIMO試験のみに適用され、信号フローを試験する方式は、基地局からチャネルモデルに、その後、受信機に入ることが分かる。
【0007】
従来技術では、無線端末アップリンク性能(発射性能)を正確に試験することができる試験方法及び試験システムがほとんどない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、少なくとも一つの上記の技術的問題をある程度で解決すること、又は有用なビジネスオプションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本出願の第1の態様は、無線端末の無線性能の試験方法を提供し、前記試験対象物(無線端末)は、複数の発射アンテナを有し、且つマイクロ波電波暗室に配置され、前記方法は、前記試験対象物の複数の発射アンテナのアンテナパターン情報を取得し、当該情報をチャネルシミュレータに導入するステップと、前記マイクロ波電波暗室で前記試験対象物の発射アンテナと同じ数の試験アンテナを選択して、前記発射アンテナが前記試験アンテナに信号を発射し、前記発射アンテナから選定された前記試験アンテナまでの試験伝搬行列を形成するステップと、前記試験アンテナが前記発射アンテナによって発射された信号を受信し、当該信号を前記チャネルシミュレータに送信し、チャネルシミュレータ当該信号に前記試験伝搬行列の逆行列をロードし、処理し、フィード信号を取得し、フィード信号を擬似基地局に送信するステップと、前記擬似基地局が前記フィード信号を受信し、スループット試験を行い、前記試験対象物に対するアップリンク無線性能試験を実現するステップと、を含む。
【0010】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記試験対象物は2x2 MIMO無線端末であって、前記試験伝搬行列は、
【0011】
【0012】
である特徴を有し、αxyは、試験対象物の第yの発射アンテナの出力ポートから第xの試験アンテナの入力ポートまでの振幅変化を示し、φxyは、試験対象物の第yの発射アンテナの出力ポートから第xの試験アンテナの入力ポートまでの位相変化を示し、Aは、試験伝搬行列である。
【0013】
前記チャネルシミュレータが受信された信号を処理してフィード信号を取得する前記動作は、チャネルシミュレータが前記試験伝搬行列の逆行列を受信された信号にロードし、演算対象信号を取得するステップと、チャネルシミュレータが前記アンテナパターン情報と予め設定されたチャネルモデルを使用して演算対象信号に対して演算を行い、フィード信号を取得するステップと、を含む。
【0014】
本出願の無線端末の無線性能の試験方法によれば、伝搬チャンネル行列は、試験対象物を暗室内に配置して形成され、伝搬チャンネル行列逆行列のローディングによって伝搬チャンネル行列を除去する目的に達することができる。
【0015】
本出願の第2の態様は、無線端末の無線性能試験システムを提供し、前記無線端末の無線性能試験システムは、マイクロ波電波暗室、試験アンテナ、チャネルシミュレータ、及び擬似基地局を含み、前記マイクロ波電波暗室は、前記試験アンテナと試験対象物とを配置し、前記試験アンテナは、前記試験対象物の発射アンテナによって発射された信号を受信し、当該信号を前記チャネルシミュレータに送信し、前記チャネルシミュレータは、前記試験アンテナによって送信された信号を受信し、当該信号に前記発射アンテナから前記試験アンテナまでの試験伝搬行列の逆行列をロードし、前記試験対象物の発射アンテナのアンテナパターン情報と予め設定された標準とを使用して当該信号を処理し、フィード信号を取得し、擬似基地局に送信し、前記擬似基地局は、前記フィード信号を受信し、スループット試験を行い、前記試験対象物に対するアップリンク無線性能試験を実現する。
【0016】
さらに、本出願のいくつかの実施例によれば、前記チャネルシミュレータと擬似基地局は、1つの試験計器に統合されてもよいし、それぞれ複数の試験計器に構成されてもよい。
【0017】
さらに、本出願のいくつかの実施例によれば、前記予め設定された標準は、予め設定されたチャネルモデルである。
【0018】
本出願の第3の態様は、コンピュータプログラムを開示し、前記コンピュータプログラムは、コンピュータ上で動作しているときに、前記コンピュータに本出願の実施例のいずれかに記載の無線端末の無線性能の試験方法を実行させるために用いられる。
【0019】
本出願の第4の態様は、コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を開示し、前記コンピュータ命令は、前記コンピュータに本出願の実施例のいずれかに記載の無線端末の無線性能の試験方法を実行させるために用いられる。
【0020】
本出願は、無線端末のアップリンク無線性能試験の新しい方法及びシステムを提供し、試験の正確性、利便性を確保することができ、簡単で低コストを実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本出願は、以下の利点を有し、
(1)本出願では、スループットの試験は暗室で行われ、エアインターフェースを介して試験用発射信号をローディングし、試験対象物を暗室から取り出してケーブルで接続する必要がない。これにより、試験プロセスが一つの継続的なプロセスになり、操作プロセスが非常に便利になり、
(2)本方法は先進性を有し、一般的なSISO暗室でアップリンクMIMOスループット試験を行うことを実現することができ、システム更新のコストが低くなり、新しい測定システムを構築しても、コストが比較的に低く、
(3)試験は、試験対象である無線端末のアンテナパターン情報を取得することもできるし、スループットの試験を行うこともでき、MIMO端末の開発プロセスの要求を満たすだけでなく、最終的なスループット試験として使用することもでき、
(4)異なるMIMO空間伝搬モデルをシミュレーションすることができ、柔軟性が高い。
【0022】
本出願の付加的な特徴及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明により明らかになり、又は本出願の実践により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本出願の上記及び/又は付加的な側面及び利点は、以下、図面を参照する上での実施例についての説明において、明らかになり、理解しやすくなる。
【
図1】背景技術の無線端末が位置するマルチパス環境の概略図である。
【
図2】背景技術であるマルチプローブ法の無線端末試験方法の概略図である。
【
図3】背景技術である放射2ステージ法の無線端末試験方法の概略図である。
【
図4】本出願の実施例に係る無線端末の無線性能の試験方法のフローチャートである。
【
図5】本出願の実施例に係る発射アンテナパターン情報取得方法の概略図である。
【
図6】本出願の別の実施例に係る発射アンテナパターン情報取得方法の概略図である。
【
図7】本出願の実施例に係る
試験伝
搬行列の概略図である。
【
図8】本出願の別の実施例に係る無線端末の無線性能の試験方法のフローチャートである。
【
図9】本出願の実施例に係る無線端末の無線性能の試験方法の概略構成図である。
【
図10】本出願の別の実施例に係る無線端末の無線性能の試験方法のフローチャートである。
【
図11】本出願の別の実施例に係る無線端末の無線性能の試験方法の概略構成図である。
【
図12】本出願の実施例に係る無線端末の無線性能試験システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本出願の第1の態様の実施例に係る無線端末の無線性能の試験方法を説明し、試験対象物200(無線端末)は、複数の発射アンテナ201を有し、試験対象物200は、マイクロ波電波暗室301内に配置される。マイクロ波電波暗室301内にも配置されている試験アンテナ302の個数は、試験対象物200の発射アンテナ201の個数に等しい。
【0025】
図4に示すように、本出願の実施例の無線端末の無線性能の試験方法は、以下のようなステップを含む。
A:ステップ101、前記試験対象物200の複数の発射アンテナ201のアンテナパターン情報を取得し、当該情報をチャネルシミュレータ304に導入し、
B:ステップ102、前記
マイクロ波電波暗室301で前記試験対象物200の発射アンテナ201と同じ数の試験アンテナ302を選択して、前記試験対象物200の発射アンテナ201が選定された前記試験アンテナ302に信号を発射し、前記試験対象物200の発射アンテナの出力ポート202から選定された前記試験アンテナの入力ポート303までの信号
試験伝
搬行列を形成し、
C:ステップ103、選定された前記試験アンテナの入力ポート303が前記試験対象物200の発射アンテナの出力ポート202によって発射された発射アンテナの出力ポート信号を受信し、前記試験アンテナの入力ポート信号を形成し、当該信号を前記チャネルシミュレータ304に送信し、チャネルシミュレータ304が当該信号を処理した後に
フィード信号を取得し、
擬似基地局305に送信し、
D:ステップ104、前記
擬似基地局305が前記
フィード信号を受信し、スループット試験を行い、前記試験対象物に対するアップリンク無線性能試験を実現する。
【0026】
以下、図面を参照しながら第1の態様の実施例の無線端末の無線性能の試験方法を詳細に説明する。
【0027】
ステップ101、試験対象物200の複数の発射アンテナ201のアンテナパターン情報を取得し、当該情報をチャネルシミュレータ304に導入する。アンテナパターンは、アンテナの重要な性能指標の一つであり、アンテナパターン情報は、パターンと、アンテナ利得と、位相差などの情報を含む。以下、2×2のMIMO無線端末試験対象物200を例として、試験対象物200の二つの発射アンテナ201のアンテナパターン情報を取得する方法を説明する。
【0028】
具体的には、
図5に示すように、
マイクロ波電波暗室301内に配置された試験対象物200と試験アンテナ302との相対位置を回動することによって、試験対象物200の発射アンテナ201を試験してアンテナパターン情報を取得することができる。試験対象物200は、二つの発射アンテナ201、すなわち発射アンテナ2011と発射アンテナ2012を有し、二つの発射機203、すなわち発射機2031と発射機2032を有するとともに、発射アンテナ201数と等しい試験アンテナ302、すなわち試験アンテナ3021と試験アンテナ3022を選定する。
【0029】
まず、試験対象物200発射機203、発射アンテナ201、及び試験アンテナ302をオンにし、試験対象物200の各発射アンテナ201の利得を取得し、すなわち、発射アンテナ2011及び発射アンテナ2012の利得を取得する。具体的には、試験対象物200が一つの発射機203だけをオンするごとに、オンした発射機203に対する発射アンテナ201のアンテナ利得は、以下の式(1)によって算出して取得することができる。つまり、発射機2031をオンにする場合、発射アンテナ2011のアンテナ利得を試験及び算出して取得することができ、発射機2032をオンにする場合、発射アンテナ2012のアンテナ利得を試験及び算出して取得することができる。
【0030】
【0031】
上記の式(1)では、発射機203の発射電力はPoであり、マイクロ波電波暗室301のすべての経路損失(試験アンテナ302利得と、リンク損失などを含む)は、PLであり、試験計器(チャネルシミュレータ304と擬似基地局305とを統合する試験計器であってもよい)の受信電力は、Prである場合、発射アンテナ2011及び発射アンテナ2012のアンテナ利得Gをそれぞれ算出して取得する。式1のパラメータはdBフォーマットであるである。
【0032】
次に、試験対象物200の発射アンテナ201、発射機203、及び試験アンテナ302をオンにし、マイクロ波電波暗室301内に配置された試験対象物200と試験アンテナ302を回動し、回動前後の各角度で発射アンテナ201の発射信号の位相差を取得する。例えば、ある角度で、発射機2031と試験計器(チャネルシミュレータ304と擬似基地局305とを統合する試験計器であってもよい)をオンにし、試験計器の受信電力に対応する振幅P1を取得し、発射機2032と試験計器をオンにし、試験計器の受信電力に対応する振幅P2を取得し、二つの発射機2031、発射機2032、及び試験計器を同時にオンにし、試験計器の受信電力に対応する振幅Pαを取得する場合、この角度で、発射アンテナ2011と発射アンテナ2012との間の位相差θと、P1、P2、Pαとの関係は、式(2)に示すように、試験対象物200と試験アンテナ302は、試験の要求に応じて複数回回動することができる。
【0033】
【0034】
上記の方法で試験対象物200の発射アンテナ2011及び発射アンテナ2012のアンテナ利得情報を取得し、及び回動前の発射アンテナ2011と発射アンテナ2012との間の位相差情報と、回動後の発射アンテナ2011と発射アンテナ2012との間の位相差情報とを取得し、上記の情報に基づいて発射アンテナ201のアンテナパターン情報を取得し、取得された上記のアンテナパターン情報をチャネルシミュレータ304に導入する。
【0035】
同時に、
図6に示すように、同一周波数システムの送受信に対して、試験対象物200の発射アンテナ201と試験対象物200の受信アンテナ204のアンテナパターン情報は同じであるため、試験試験対象物200の受信アンテナ204によってアンテナパターン情報を取得することもできる。つまり、試験対象物200の受信アンテナ204のパターン情報と試験対象物200の発射アンテナ201のパターン情報は同じである。その中、試験対象物200は、二つの受信アンテナ204、すなわち受信アンテナ2041と受信アンテナ2042を有し、二つの受信機205、すなわち受信機2051と受信機2052を有するとともに、受信アンテナ201数と等しい試験アンテナ302、すなわち試験アンテナ3021と試験アンテナ3022を選定する。
【0036】
まず、試験対象物200受信機205、受信アンテナ204、及び試験アンテナ302をオンにし、試験対象物200の各受信アンテナ204の利得を取得し、すなわち受信アンテナ2041と受信アンテナ2042の利得を取得する。具体的には、試験アンテナ3021をオンにするなど、一つの試験アンテナ302のみを単独にオンにし、受信機2051と受信機2052の報告を読み出し、式(3)を適用することによって、受信アンテナ2041と受信アンテナ2042の利得をそれぞれ算出して取得する。
【0037】
【0038】
その中、PRssは、受信機205の報告電力であり、Puは、試験計器(チャネルシミュレータ304と擬似基地局305とを統合する試験計器であってもよい)の発射電力であり、マイクロ波電波暗室301のすべての経路損失(試験アンテナ302利得と、リンク損失などを含む等)は、PLである場合、受信アンテナ2041と受信アンテナ2042のアンテナ利得Gとがそれぞれ算出される。取得された受信アンテナ2041の利得は、発射アンテナ2011の利得に等しく、取得された受信アンテナ2042の利得は、発射アンテナ2012の利得に等しい。式3のパラメータはdBフォーマットである。
【0039】
次に、試験対象物200受信機205、受信アンテナ204、及び試験アンテナ302をオンにし、マイクロ波電波暗室301内に配置された試験対象物200と試験アンテナ302とを回動し、回動前後の各角度で受信アンテナ204の受信信号の位相差を取得する。受信アンテナ2041と受信アンテナ2042との間の位相差情報は、受信機2051と受信機2052の報告を直接に読み出すことによって取得することができる。取得された受信アンテナ2041と受信アンテナ2042との間の位相差情報は、発射アンテナ2011と発射アンテナ2012との間の位相差情報に等しい。その中、試験対象物200と試験アンテナ302は、試験の要求に応じて複数回回動することができる。
【0040】
上記の方法で試験対象物200の発射アンテナ2011及び発射アンテナ2012のアンテナ利得情報を取得し、及び回動前の発射アンテナ2011と発射アンテナ2012との間の位相差情報と、回動後の発射アンテナ2011と発射アンテナ2012との間の位相差情報とを取得し、上記の情報に基づいて発射アンテナ201のアンテナパターン情報を取得し、取得された上記のアンテナパターン情報をチャネルシミュレータ304に導入する。
【0041】
ステップ102、マイクロ波電波暗室301で試験対象物200の発射アンテナ201と同じ数の試験アンテナ302を選択して、試験対象物200の発射アンテナ201が選定された試験アンテナ302に信号を発射し、試験対象物200の発射アンテナの出力ポート202から選定された試験アンテナの入力ポート303までの信号試験伝搬行列を形成する。
【0042】
具体的には、
図7に示すように、2×2のMIMO無線端末を試験対象物200の例として、試験対象物200は、二つの発射アンテナ2011と発射アンテナ2012を有するとともに、発射アンテナ201と同じ数の試験アンテナ302、すなわち試験アンテナ3021と試験アンテナ3022を選定する。発射アンテナ201が選定された試験アンテナ302に信号を発射する場合、発射アンテナ201によって発射された信号は、任意の選定された試験アンテナ302によって受信されることができる。つまり、発射アンテナの出力ポート2021によって発射された信号は、試験アンテナの入力ポート3031と試験アンテナの入力ポート3032によって受信されることができ、発射アンテナ出力ポート2022によって発射された信号は、試験アンテナの入力ポート3031と試験アンテナの入力ポート3032によって受信されることができる。したがって、
図7の点線部分に示すように、信号伝搬中に、一つの信号伝搬の
試験伝
搬行列が形成される。
【0043】
本出願は、信号伝搬規則をまとめて、信号伝搬の試験伝搬行列を以下のような式(4)で示し、
【0044】
【0045】
ただし、αxyは、試験対象物の第yの発射アンテナの出力ポート201から第xの試験アンテナの入力ポート303までの振幅変化を示し、φxyは、試験対象物の第yの発射アンテナの出力ポート201から第xの試験アンテナの入力ポート303までの位相変化を示し、Aは試験伝搬行列である。
【0046】
さらに、ステップ103、選定された試験アンテナの入力ポート303が試験対象物200の発射アンテナの出力ポート202によって発射された発射アンテナの出力ポート信号を受信し、試験アンテナの入力ポート信号を形成し、当該信号をチャネルシミュレータ304に送信し、チャネルシミュレータ304が当該信号を処理した後にフィード信号を取得し、フィード信号を擬似基地局305に送信する。
【0047】
具体的には、
図8~9に示すように、2×2のMIMO無線端末を試験対象物200の例として、試験対象物200は、二つの発射アンテナ2011と発射アンテナ2012を有し、発射アンテナ2011は、発射アンテナの出力ポート2021を有し、発射アンテナ2012は、発射アンテナの出力ポート2022を有する。同時に、発射アンテナ201と同じ数の試験アンテナ302、すなわち試験アンテナ3021と試験アンテナ3022を選定する、試験アンテナ3021は、試験アンテナの入力ポート3031を有し、試験アンテナ3022は、試験アンテナの入力ポート3032を有する。
【0048】
図9に示すように、試験アンテナの入力ポート3031は、試験対象物200の発射アンテナの出力ポート2021と発射アンテナの出力ポート2022によって発射された発射アンテナの出力ポート信号x
1及びx
2を受信し、試験アンテナの入力ポート信号Bx
1を形成するとともに、試験アンテナの入力ポート3032は、試験対象物200の発射アンテナの出力ポート2021と発射アンテナの出力ポート2022によって発射された発射アンテナの出力ポート信号x
1及びx
2を受信し、試験アンテナの入力ポート信号Bx
2を形成し、上記の信号の形成は、信号が伝搬中に
試験伝
搬行列Aを生成するため、
試験伝
搬行列Aの影響で、発射アンテナの出力ポート信号(x
1、x
2)及び試験アンテナの入力ポート信号(Bx
1、Bx
2)は、以下のような関係を満たし、式(5)で示し、
【0049】
【0050】
図8に示すように、上記の式(5)を満たす場合、試験アンテナの入力ポート303は、試験アンテナの入力ポート信号(Bx
1、Bx
2)をチャネルシミュレータ304に送信し、チャネルシミュレータ304は、受信された試験アンテナの入力ポート信号(Bx
1、Bx
2)に対して後続処理を行い、処理は、以下のようなステップを含む。
C101:ステップ1031、チャネルシミュレータ304が受信された試験アンテナの入力ポート信号(Bx
1、Bx
2)に対して
試験伝
搬行列逆行列B処理をローディングし、演算対象信号(s
1、s
2)を取得し、その式は、
【0051】
【0052】
であり、試験伝搬行列は避けられないため、試験伝搬行列逆行列のローディングによって試験伝搬行列を除去する目的に達することができる。
【0053】
C102:ステップ1032、チャネルシミュレータ304が導入された試験対象物200の発射アンテナ201のアンテナパターン情報と予め設定された標準とを併せて演算対象信号(s1、s2)に対してチャネルモデルによる演算をローディングし、フィード信号(y1、y2)を取得する。
【0054】
具体的には、チャネルモデルによる演算をローディングする時に、演算に必要な試験対象物200の発射アンテナ201のアンテナパターン情報は、ステップ101によって取得され、既にチャネルシミュレータ304に導入される。予め設定された標準は、チャネルモデルと基地局受信パターン情報などを含み、従来技術の標準は既知のデータである。チャネルシミュレータ304が導入された試験対象物200の発射アンテナ201のアンテナパターン情報と予め設定された標準とを併せて演算対象信号(s1、s2)に対してチャネルモデルによる演算をローディングし、関連チャネルモデル演算式は、式(7)~(9)を含み、式(7)~(9)は、従来の標準演算式に属し、
【0055】
【0056】
上記の式は、S×UのMIMO無線端末試験対象物200のS個の発射アンテナの出力ポート202によって発射された信号(x1、x2、…xs)から擬似基地局305のU個のポートまでの信号(y1、y2、…yu)を示す。
【0057】
その中、H(t)は、U×Sチャネルモデルであり、u行s列の要素hu,s(t)は、
【0058】
【0059】
で示すことができ、hn,u,s(t)は、hu,s(t)内のn番目の要素であり、チャネルモデルの一つの伝搬経路を代表する。
【0060】
【0061】
チャネルシミュレータ304が導入された試験対象物200の発射アンテナ201のアンテナパターン情報と予め設定された標準とを併せて演算対象信号(s1、s2)に対して上記のチャネルモデルによる演算をローディングすることは、フィード信号(y1、y2)を取得することができ、関連式は、
【0062】
【0063】
であり、
C103:ステップ1033、フィード信号(y1、y2)を擬似基地局305に送信する。
【0064】
他のいくつかの実施例によれば、
図10~11に示すように、2×2のMIMO無線端末を試験対象物200の例として、試験対象物200は、二つの発射アンテナ2011と発射アンテナ2012を有し、発射アンテナ2011は、発射アンテナの出力ポート2021を有し、発射アンテナ2012は、発射アンテナの出力ポート2022を有する。同時に、発射アンテナ201と同じ数の試験アンテナ302、すなわち試験アンテナ3021と試験アンテナ3022を選定し、試験アンテナ3021は、試験アンテナの入力ポート3031を有し、試験アンテナ3022は、試験アンテナの入力ポート3032を有する。
【0065】
図11に示すように、元の試験が必要な発射アンテナの出力ポート信号は(x
1、x
2)であるが、信号が発生する前に、試験対象物200が、まず、元の試験が必要な発射アンテナの出力ポート信号(x
1、x
2)に対して
試験伝
搬行列逆行列Cのローディング処理した後、実際の発射アンテナの出力ポート信号は(Tx
1、Tx
2)であり、発射アンテナ201は、上記の実際の発射アンテナの出力ポート信号(Tx
1、Tx
2)を試験アンテナ302に送信した後、試験アンテナの入力ポート3031は、試験対象物200の発射アンテナの出力ポート2021と発射アンテナの出力ポート2022によって発射された発射アンテナの出力ポート信号Tx
1及びTx
2を受信し、再度に
試験伝
搬行列Aによって試験アンテナの入力ポート信号S
1を形成するとともに、試験アンテナの入力ポート3032は、試験対象物200の発射アンテナの出力ポート2021と発射アンテナの出力ポート2022によって発射された発射アンテナの出力ポート信号Tx
1及びTx
2を受信し、再度に
試験伝
搬行列Aによって試験アンテナの入力ポート信号S
2を形成する。また、元の試験が必要な発射アンテナの出力ポート信号(x
1、x
2)、実際の発射アンテナの出力ポート信号(Tx
1、Tx
2)、及び試験アンテナの入力ポート信号(Bx
1、Bx
2)は、以下のような関係を満たす。式(5)により、
【0066】
【0067】
を示し、試験伝搬行列は避けられないため、信号を発射する前に試験伝搬行列逆行列をローディングして信号を発射する方式によって、試験伝搬行列を除去する目的に達することもできる。
【0068】
なお、試験伝搬行列逆行列Cと前述試験伝搬行列逆行列Bは、同じ試験伝搬行列逆行列であってもよいし、異なる試験伝搬行列逆行列であってもよく、例えば、両者は、それぞれ左逆及び右逆の試験伝搬行列逆行列である。
【0069】
図10に示すように、上記の式(13)~(15)を満たす場合に、試験アンテナの入力ポート303は、試験アンテナの入力ポート信号(s
1、s
2)をチャネルシミュレータ304に送信し、チャネルシミュレータ304は、受信された試験アンテナの入力ポート信号(s
1、s
2)に対して後続処理を行い、処理は、以下のようなステップを含む。
C201:ステップ1034、チャネルシミュレータ304が導入された試験対象物200の発射アンテナ201のアンテナパターン情報と予め設定された標準とを併せて受信された試験アンテナの入力ポート信号(s
1、s
2)に対してチャネルモデルによる演算をローディングし、
フィード信号(y
1、y
2)を取得する。
【0070】
具体的には、チャネルモデルによる演算をローディングする時に、演算に必要な試験対象物200の発射アンテナ201のアンテナパターン情報は、ステップ101によって取得され、既にチャネルシミュレータ204に導入される。予め設定された標準は、チャネルモデルと基地局受信パターン情報などを含み、従来技術の標準は既知のデータである。チャネルシミュレータ304が導入された試験対象物200の発射アンテナ201のアンテナパターン情報と予め設定された標準とを併せて演算対象信号に対して(s1、s2)チャネルモデルによる演算をローディングし、関連するチャネルモデル演算式は、式(7)~(9)を含み、関連式はここで省略する。最後に、フィード信号(y1、y2)を取得することができ、関連式は、
【0071】
【0072】
C202:ステップ1035、フィード信号(y1、y2)を擬似基地局305に送信する。
【0073】
図8、9、及び
図10、11を比較すると、二つの方法は、以下のようにまとまることができ、前者は、試験アンテナの入力ポート303が発射アンテナの出力ポート信号(x
1、x
2)を受信し、試験アンテナの入力ポート信号(Bx
1、Bx
2)を形成し、チャネルシミュレータ304が試験アンテナの入力ポート信号(Bx
1、Bx
2)に対して
試験伝
搬行列逆行列のローディング処理を行い、演算対象信号(s
1、s
2)を取得し、当該信号に対してチャネルモデルによる演算をローディングし、
フィード信号(y
1、y
2)を取得し、後者は、試験対象物200が元の試験が必要な発射アンテナの出力ポート信号(x
1、x
2)に対して先に
試験伝
搬行列逆行列のローディング処理を行い、実際の発射アンテナの出力ポート信号(Tx
1、Tx
2)を取得し、試験アンテナの入力ポート303が発射アンテナの出力ポート信号(Tx
1、Tx
2)を受信し、試験アンテナの入力ポート信号(s
1、s
2)を形成し、チャネルシミュレータ304が試験アンテナの入力ポート信号(s
1、s
2)に対してチャネルモデルによる演算をローディングし、
フィード信号(y
1、y
2)を取得する。両者の相違については、
試験伝
搬行列逆行列のローディング処理のステップが、一方で試験対象物が信号を発射した後であり、他方で試験対象物が信号を発射する前であるが、最終的に取得された
フィード信号(y
1、y
2)は一致する。
【0074】
さらに、
図9、11に示すように、ステップ104において、
擬似基地局305が
フィード信号(y
1、y
2)を受信し、スループット試験を行い、前記試験対象物200のアップリンク無線性能試験を実現する。
【0075】
本出願の実施例の無線端末の無線性能の試験方法によれば、擬似基地局305によって受信されたフィード信号(y1、y2)がMIMO OTA試験に対するチャネルモデルの規定を完全に満足する。当該方法は、MIMO無線機器のアップリンク無線性能試験を実現する。本方法は先進性を有し、一般的なSISO暗室でアップリンクMIMOスループット試験を行うことを実現することができる。
【0076】
本出願は、無線端末のアップリンク無線性能試験の新しい方法を提供し、試験の正確性、利便性を確保することができ、簡単で低コストを実現することができる。
【0077】
本出願は、以下の利点を有し、
(1)本出願では、スループットの試験は暗室で行われ、エアインターフェースを介して試験用発射信号をローディングし、試験対象物を暗室から取り出してケーブルで接続する必要がない。これにより、試験プロセスが一つの継続的なプロセスになり、操作プロセスが非常に便利になり、
(2)本方法は先進性を有し、一般的なSISO暗室でアップリンクMIMOスループット試験を行うことを実現することができ、システム更新アップグレード改造のコストが低くなり、
(3)試験は、試験対象である無線端末のアンテナパターン情報を取得することもできるし、スループットの試験を行うこともでき、MIMO端末の開発プロセスの要求を満たすだけでなく、最終的なスループット試験として使用することもでき、
(4)異なるMIMO空間伝搬モデルをシミュレーションすることができ、柔軟性が高い。
【0078】
以下、図面を参照して本出願の第2の態様の実施例に係る無線端末の無線性能試験システムを説明する。
【0079】
図12に示すように、無線端末の無線性能試験システムは、
マイクロ波電波暗室301、試験アンテナ302、チャネルシミュレータ304、及び
擬似基地局305を含む。
マイクロ波電波暗室301は、試験アンテナ302と試験対象物200を配置し、試験アンテナ302は、試験アンテナの入力ポート303を有し、当該ポートを利用して前記試験対象物200の発射アンテナ201の発射アンテナの出力ポート202によって発射された発射アンテナの出力ポート信号を受信し、チャネルシミュレータ304は、選定された前記試験アンテナ302の試験アンテナの入力ポート303によって発射された試験アンテナの入力ポート信号を受信し、試験対象物200の発射アンテナ201のアンテナパターン情報と予め設定された標準とを併せて当該信号を処理し、
フィード信号を取得し、
擬似基地局305に送信し、
擬似基地局305は、
フィード信号を受信し、スループット試験を行い、前記試験対象物200のアップリンク無線性能試験を実現する。
【0080】
なお、チャネルシミュレータ304と
擬似基地局305とは、1つの試験計器に統合されてもよいし、それぞれ複数の試験計器に構成されてもよい。
図12に示すように、チャネルシミュレータ304と
擬似基地局305は、それぞれ複数の試験計器に構成され、
図5、6に示すように、チャネルシミュレータ304と
擬似基地局305は、1つの試験計器に統合される。
【0081】
本出願は、無線端末のアップリンク無線性能試験の新しいシステムを提供し、試験の正確性、利便性を確保することができ、簡単で低コストを実現することができる。
【0082】
本出願は、以下の利点を有し、
(1)本出願では、スループットの試験は暗室で行われ、エアインターフェースを介して試験用発射信号をローディングし、試験対象物を暗室から取り出してケーブルで接続する必要がない。これにより、試験プロセスが一つの継続的なプロセスになり、操作プロセスが非常に便利になり、
(2)本方法は先進性を有し、一般的なSISO暗室でアップリンクMIMOスループット試験を行うことを実現することができ、システムアップグレード改造のコストが低くなり、すなわち新しい測定システムを構築しても、コストが比較的に低く、
(3)試験は、試験対象である無線端末のアンテナパターン情報を取得することもできるし、スループットの試験を行うこともでき、MIMO端末の開発プロセスの要求を満たすだけでなく、最終的なスループット試験として使用することもでき、
(4)異なるMIMO空間伝搬モデルをシミュレーションすることができ、柔軟性が高い。