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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】外科用ドライバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20240411BHJP
   B25B 15/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61B17/88
B25B15/00 630H
B25B15/00 620E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021535599
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 IB2019060892
(87)【国際公開番号】W WO2020128812
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】102018000020290
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】パガーニ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】リーバ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フィシュテル,マインラード
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05797918(US,A)
【文献】国際公開第2011/008286(WO,A1)
【文献】米国特許第06347564(US,B1)
【文献】米国特許第07082864(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0007704(US,A1)
【文献】実開昭58-143165(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/88
B25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ドライバーであって、
第1の回転シャフト(2)であって、その長手方向軸(X)を中心に回転するように構成された第1の回転シャフト(2)と、
第2の回転シャフト(3)であって、前記長手方向軸(X)を横切るその展開軸(Y)に沿って延在し且つねじ頭部に挿入することができる成形端部先端(4)を有する第2の回転シャフト(3)と、
前記第1および前記第2の回転シャフト(2、3)のそれぞれの第1の端部(2a、3a)の間に配置された、等速球形ジョイント(6)を有する伝達部材(5)であって、回転を前記第1の回転シャフト(2)から前記第2の回転シャフト(3)に伝達する伝達部材(5)であって、前記等速球形ジョイント(6)が、少なくとも1つの側面ファセット(8)を有する球形ヘッド(7)と、前記球形ヘッド(7)と反対の形状であり且つ前記球形ヘッド(7)自体を部分的に囲んでいる空洞(10)と、を有し、前記球形ヘッド(7)および前記空洞(10)はそれぞれの前記第1および前記第2の回転シャフト(2、3)の前記軸(X、Y)の周りの回転において拘束されて2つの前記軸(X、Y)の間で25°の横方向の入射角を維持し、前記第2の回転シャフト(3)は、前記第1の端部(3a)に前記空洞(10)を内部に規定する半球形の拡大部(13)を有し、前記球形ヘッド(7)が前記第1の回転シャフト(2)の前記第1の端部(2a)に接合され、前記空洞(10)が前記第2の回転シャフト(3)の前記第1の端部(3a)に位置し、前記第2の回転シャフト(3)の前記第1の端部(3a)は、前記成形端部先端(4)に対して反対側に配置されている、伝達部材(5)と、
少なくとも部分的に前記1および前記第2の回転シャフト(2、3)並びに前記等速球形ジョイント(6)を収容するために内部が中空である円筒形スリーブ(14)であって、前記第1の回転シャフト(2)が前記第1の端部(2a)と反対であり且つ当該円筒形スリーブ(14)の第1の開口部(14a)から突出している第2の端部(2b)を有し、前記第2の回転シャフト(3)の前記成形端部先端(4)が前記第1の開口部(14a)の反対側の当該円筒形スリーブ(14)の第2の開口部(14b)から突出する、円筒形スリーブ(14)であって、当該円筒形スリーブ(14)の前記第1および前記第2の開口部(14a、14b)が互いに同軸ではなく、前記第2の開口部(14b)は、前記第1の回転シャフト(2)の前記長手方向軸(X)を横切る前記第2の回転シャフト(3)の前記展開軸(Y)を規定する、円筒形スリーブ(14)と、を備え、
前記第1の回転シャフト(2)が、前記円筒形スリーブ(14)内で互いに同軸に接合された2つの部分(17、18)を備え、前記第1の回転シャフト(2)の前記第2の端部(2b)は、前記第2の回転シャフト(3)から遠位にある前記2つの部分の一方(17)に配置されており、
前記円筒形スリーブ(14)が、前記等速球形ジョイント(6)を収容するための球形外面を規定する突起(15)を備え、前記円筒形スリーブ(14)の前記第2の開口部(14b)は、前記突起(15)の外面に配置されており、前記突起(15)は、互いに固定された2つの半球からなる、外科用ドライバー。
【請求項2】
前記球形ヘッド(7)が、互いに隣接し且つ各々が前記球形ヘッド(7)のそれぞれのセグメントを規定する複数の側面ファセット(8)を備え、前記球形ヘッド(7)は複数のエッジ(9)をさらに備え、前記複数のエッジ(9)の各々が2つの隣接するファセット(8)の間に配置される、請求項に記載のドライバー。
【請求項3】
前記球形ヘッド(7)は、前記1および第2の回転シャフト(2、3)の一方の前記第1の端部(2a、3a)に接合され、対応する回転シャフト(2、3)の前記軸(X、Y)と一致する断平面に沿った円形プロファイルと、前記軸(X、Y)に垂直な断平面に沿った多角形プロファイルと、を有する、請求項またはに記載のドライバー。
【請求項4】
前記円筒形スリーブ(14)が、前記第1の回転シャフト(2)の前記第2の端部(2b)に近い前記円筒形スリーブ(14)の外面に配置された人間工学的部分(16)を備え、前記1および前記第2の回転シャフト(2、3)は、前記円筒形スリーブ(14)の内部で、それぞれの軸(X、Y)の周りで、前記円筒形スリーブ(14)自体に対して回転可能である、請求項1に記載のドライバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組織に取り付けるねじまたは他のねじ要素に作用するために使用される外科用ドライバー、特に傾斜軸を有する外科用ドライバーに関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ドライバーは、締め付けねじを使用して適切なインサートを椎骨に固定する必要がある前椎体間固定術(anterior interbody arthrodesis)などの様々な用途で、前述の締め付けねじを締める/緩めるために使用される。
【0003】
この特定のケースでは、オペレータは、ドライバーを含む手術器具を挿入するために、わずか数センチメートルの切開を行うことによって患者の皮膚に穴を開ける。
【0004】
したがって、可能な限り侵襲性が低い手術を実行するために、ドライバーおよび他の器具は、切開によって規定される穴の軸、すなわち、切開が行われる表面に垂直であるそれらの延伸軸と一致するように保たれる。
【0005】
この状況では、実際、切開を広げ、ひいては皮膚組織を引き裂くことを避けるために、ドライバーは傾けられてはならない。
【0006】
しかしながら、締め付けねじは、その適用部位で、切開によって規定される穴の軸と一致しない独自の回転軸を持ち得る。
【0007】
この状況では、傾斜軸の外科用ドライバーが使用され、当該外科用ドライバーは長手方向のロッドを備え、そこからねじ頭部に挿入され且つロッドに対して横方向に延びるように設計された成形先端が延びる。
【0008】
特に、ロッドは第1の端部を有し、第1の端部は患者の体の外側に留まるように意図されており、第1の端部に対してオペレータは回転運動を伝達する。
【0009】
第1の端部の反対側には、ロッドの第2の端部が延在し、成形先端と回転可能に係合している。
【0010】
ロッドの第2の端部と成形先端との間に、ジョイント、典型的にはカルダンジョイントが延在しており、これは、ロッドの回転運動を成形先端に伝達することができる。
【0011】
特に、ジョイントは、ロッドの第2の端部から延びる第1のフォークと、第2のフォークとからなり、当該第2のフォークから成形先端が延在する。これらのフォークは、フォーク同士の接続およびロッドに対して先端をずらす可能性を許容する十字形の要素を使用して相互に回転する。
【0012】
このように、ジョイントは、ロッドを切開穴と位置合わせさせた状態に保つと同時に、ロッド自体の長手方向の展開に対して傾斜した軸に沿って配置されたねじを締める/緩めることによって動作することを可能にする。
【0013】
上記の外科用ドライバーは、2つの横軸(ロッド軸および成形先端軸)の間で回転運動を伝達することができるが、いずれにせよ、重大な欠点を有する。
【0014】
第1の重大な欠点は、ロッドと成形先端との間の伝達比である。この種の伝達では、成形先端(被駆動シャフト)の瞬間角速度は、完全な回転の間、一定ではなく、シャフト軸(駆動シャフト)に対する成形先端(被駆動シャフト)軸のずれ角度の関数であることがよく知られている。入射角が大きくなると、角速度の振動の振幅も大きくなる。
【0015】
したがって、ロッドと成形先端との間に非流体伝達があり、これは、振動を発生させる可能性があり、ねじの操作中に、ねじ頭部に対する成形先端の位置合わせが誤り得る。これに関連して、締め付けねじに正確且つ効率的に作用することはオペレータにとって特に気詰まりである。
【0016】
上記の従来技術の別の重大な欠点は、カルダンジョイントの全体的な寸法である。これに関連して、小さな切開からドライバーを挿入することは非常に困難である。互いに接続された2つのフォークの存在は、実際、ドライバーがロッドの長手方向の展開を横切る方向にかなり拡大されていることを意味する。このため、ジョイントを完全に挿入できるようにするために、外科医は切開を非常に小さいままに保つことができない。
【0017】
最後に、カルダンジョイントの存在に再び関連するさらなる欠点は、特定の用途において、締め付けねじを取り巻く組織に不注意に干渉する可能性がある突出要素の存在である。
【0018】
この場合、実際に、カルダンジョイントの2つのフォークが横方向の突出部の原因となり、当該突出部は、回転中、手術部位に近い軟組織に係合して損傷を与え得る。
【発明の概要】
【0019】
したがって、本発明の目的は、上記の従来技術の欠点を克服する外科用ドライバーを提供することである。
【0020】
本発明の第1の目的は、実際、外科医によって伝達される角速度をほぼ一定の状態で伝達することができ、したがって、締め付けねじへの安定した正確な動作を保証することができる、傾斜軸を備えた外科用ドライバーを提案することである。
【0021】
本発明の追加の目的は、外科手術を可能な限り非侵襲的にするために、断面の寸法が制限された外科用ドライバーを提案することである。
【0022】
最後に、本発明の1つの目的は、手術部位を取り巻く軟組織に干渉する可能性のある粗さまたは突起のないコンパクトな伝達ジョイントを備えた、傾斜軸を有する外科用ドライバーを提案することである。
【0023】
これらおよび他の目的は、外科用ドライバーによって、特に、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数に記載されているものによる、傾斜軸を有する外科用ドライバーによって実質的に達成される。
概要
特に、第1の態様によれば、本発明は、第1の回転シャフトであって、その長手方向の展開軸の周りを回転するように構成された第1の回転シャフトと、第2の回転シャフトであって、その展開軸に沿って延在し且つねじ頭部に挿入される成形端部先端を有する第2の回転シャフトと、を備える外科用ドライバーに関する。回転を第1のシャフトから第2のシャフトに伝達するために、第1のシャフトの端部間に配置された伝達部材が設けられている。
【0024】
伝達部材は、有利には、等速球形ジョイントを備える。
【0025】
球形ジョイントは、好ましくは、球形ヘッドを備え、当該球形ヘッドは、少なくとも1つの側面ファセットと、前記ヘッドと反対の形状であり且つヘッド自体を部分的に取り囲む空洞とを有する。
【0026】
ヘッドは、好ましくは、各々が球形ヘッドのセグメントを規定する互いに隣接する複数の側面ファセットを備える。ヘッドはまた、複数のエッジを含み、各エッジは、2つの隣接するファセットの間に配置される。
【0027】
球形ヘッドは、好ましくは、一方のシャフトの第1の端部に接合されており、対応するシャフトの軸と一致する断平面に沿って円形プロファイルを有し、軸に垂直な断平面に沿って多角形プロファイルを有する。
【0028】
球形ヘッドは、好ましくは、第1のシャフトの第1の端部に接合され、空洞は、第2のシャフトの第1の端部に配置される。第2のシャフトの第1の端部は、有利には、上記の成形先端とは反対側に配置される。
【0029】
シャフトおよび等速球形ジョイントを収容するために、内部が中空の円筒形スリーブが好ましくは設けられている。第1のシャフトは、第1の端部の反対側にあり且つスリーブの第1の開口部の外側に突出している第2の端部を有する。代わりに、第2のシャフトの成形先端は、第1の開口部の反対側の、スリーブの第2の開口部の外側に突出している。
【0030】
本発明の第1の実施形態によれば、スリーブのこれらの開口部は、好ましくは互いに同軸ではなく、第2の開口部は、第1のシャフトの長手方向軸を横切る第2のシャフトの展開軸を規定する。
【0031】
スリーブは、好ましくは、等速球形ジョイントを収容するための球形外面を規定する突起を含む。
【0032】
第1のシャフトは、好ましくは、スリーブの内側で互いに同軸に接合された2つの部分を含む。この状況では、第1のシャフトの第2の端部は、第2のシャフトに対して遠位である2つの部分の一方に位置している。
【0033】
円筒形スリーブはまた、好ましくは、第1のシャフトの第2の端部近くのスリーブの外面に配置された人間工学的部分を含む。シャフトは、スリーブの内側で、それぞれの軸の周りで、スリーブ自体に対して回転可能である。
【0034】
本発明の第2の実施形態によれば、第1のシャフトの第1の端部は、好ましくは、第1のシャフト自体の長手方向軸と同軸の円形シートを含む。球形ヘッドは、ヘッドから突出し且つ前記円形シートに収容された結合ピンを有する。
【0035】
この状況では、第1のシャフトの第1の端部と同軸に係合する内部が中空の円筒体が好ましくは設けられている。等速球形ジョイントは、前記円筒体の内部に収容されている。
【0036】
円筒体は、好ましくは、貫通開口部を含み、貫通開口部を通って第2のシャフトの成形先端が突出する。第2のシャフトは、複数の動作構成においてそれ自体を方向付けるべく前記開口部内で移動可能であり、複数の動作構成の各々は、第1のシャフトの長手方向軸と第2のシャフトの展開軸との間のそれぞれの入射角を表す。
【0037】
第1のシャフトの円形シートと結合ピンとの間に配置される弾性スラスト部材は、好ましくは、第1のシャフトに向かう等速球形ジョイントおよび第2のシャフトの移動を可能にするために設けられている。
【0038】
追加の特徴および利点は、本発明および従属請求項による外科用ドライバーの好ましいが排他的ではない実施形態の説明においてより詳細に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は、例としてのみ提供される添付の図面を参照して、以下の詳細な説明によってより明確にされるであろう。
図1】本発明の第1の実施形態による外科用ドライバーの斜視図を示す。
図2図1に示される外科用ドライバーの部分的な長手方向断面の斜視図を示す。
図3図2に示されるドライバーの構造の詳細の拡大図である。
図4図3で強調された構造の詳細の分解斜視図を示す。
図5】本発明の第2の実施形態による外科用ドライバーの斜視図を示す。
図6図5に示される外科用ドライバーの長手方向断面の斜視図を示す。
図7図5のドライバーの構造の詳細の分解斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
上記の図において、参照番号1は、全体として、本発明による外科用ドライバーを示す。
【0041】
図1から図4に示される第1の実施形態によれば、外科用ドライバー1は、固定傾斜軸タイプである。このケースでは、実際には、この議論の後半でより明確になるように、ねじ操作軸と運動作動軸との間の入射角は予め定められており、好ましくは25°である。
【0042】
より詳細には、外科用ドライバー1は、第1の回転シャフト2であって、その長手方向の展開軸「X」を中心に回転するように構成された第1の回転シャフト2を備える。
【0043】
第1のシャフト2は、外科手術者によって手動で、または適切な電気機械的に制御された電動システムを使用して、回転させることができる。
【0044】
ステムの形で形成された第1のシャフト2は、回転運動の「入力」軸を規定し、使用中、患者に行われた切開と一致するように保たれる。
【0045】
ドライバー1はまた、第2の回転シャフト3であって、第1のシャフト2の長手方向軸「X」を横切るその展開軸「Y」に沿って延びる第2の回転シャフト3を備える。第2のシャフト3は、ねじ頭部(本発明の一部ではないので、添付の図には示されていない)に挿入するための成形端部先端4を有する。
【0046】
端部先端4は、ねじ頭部またはねじを締める/緩めるための他のねじ部材に配置されたシートに応じて、任意の形状(例えば、スロット、十字形、またはアレン形(Allen-shaped))を有することができる。添付の図では、トルクス(登録商標)タイプの成形先端4が、したがって、6角星型に構成されたものが、単に例示的な非限定的な目的のために示されている。
【0047】
したがって、第2のシャフト3の展開軸「Y」は、回転運動の「出力」軸を規定し、使用中、ねじ自体を操作するために、ねじの長手方向の展開と同軸に配置される。
【0048】
第1のシャフト2と第2のシャフト3との間には、また、第1のシャフト2から第2のシャフト3に回転を伝達するように設計された伝達部材5がある。
【0049】
伝達部材5は、好ましくは、それぞれ、第1のシャフト2の第2の端部2bおよび第2のシャフト3の成形先端4の反対側である、シャフト2、3のそれぞれの第1の端部2a、3aの間に配置される。
【0050】
伝達部材5は、有利には、等速球形ジョイント6を備え、したがって、第1のシャフト(入力軸)と第2のシャフト(出力軸)との間の伝達比を一定に保つことができる。
【0051】
図3および4により良く示されるように、球形ジョイント6は、少なくとも1つの側面ファセット8を有する球形ヘッド7を備える。
【0052】
各々が球形ヘッド7のそれぞれのセグメントを規定する、互いに隣接する複数の側面ファセット8が好ましくは設けられている。
【0053】
隣接するファセット8の各ペアの間には、また、アーチ型のプロファイルを持つエッジ9がある。結果として、球形ヘッド7は、外側に一連のアーチ型のエッジ9を有する。これらはファセット8と交互に配置され、球形プロファイルの2つの向かい合う極から延伸する。
【0054】
球形ヘッド7は、シャフト2、3の一方の第1の端部2a、3aに接合されている。ヘッド7は、有利には、第1のシャフト2の第1の端部2aと一体で作られている。さらに、球形ヘッド7は、長手方向軸「X」と一致する断平面(図2および3の断平面)に沿った円形プロファイルと、長手方向軸「Y」に垂直な断平面に沿った多角形の、好ましくは六角形のプロファイルと、を有する。
【0055】
等速球形ジョイント6はまた、球形ヘッド7とは反対の形状であり且つヘッド7自体を部分的に取り囲む空洞10を備える。
【0056】
換言すれば、空洞10は、キャップの形状であり、ヘッド7の実質的に半球形の部分の周りに配置されている。
【0057】
空洞10は、有利には、第2のシャフト3の第1の端部3aに配置され、好ましくは、第2のシャフト3と一体で作られている。
【0058】
さらに、空洞10は、内側に、多角形の、好ましくは六角形のプロファイルを規定する側壁11と、半球形の後壁12とを有する。
【0059】
このようにして、ヘッド7および空洞10は(それぞれのシャフト2、3の軸「X」、「Y」の周りの)回転において拘束されるが、2つの軸「X」、「Y」の間で横方向の入射角(この実施形態では25°)を維持するために相対的に自由にスライドする。
【0060】
図4に良く示されているように、第2のシャフトは、第1の端部3aに、上記の空洞10を内部に規定するように設計された半球形の拡大部13を有する。半球形の拡大部13から、上記の成形先端4で終端する第2のシャフト3は、ステムの形で延びる。
【0061】
ドライバー1はまた、管状形状を有し且つ第1のシャフト2の長手方向軸「X」に沿って延びる、内部が中空の円筒形スリーブ14を含んでもよい。
【0062】
特に、スリーブ14は、等速球形ジョイント6、および少なくとも部分的にシャフト2、3を内部に収容する。
【0063】
この状況では、第1のシャフト2の第2の端部2bは、スリーブ14の第1の開口部14aの外側に突出している。この第2の端部2bは、第1のシャフト2の回転を作動させるためにオペレータによって操作される、またはトルクリミッタまたは他の適切な伝達および/または電動システム(それらは本発明の一部ではないので示されていない)に係合している。
【0064】
さらに、第2のシャフト3の成形先端4はまた、第1の開口部14aの反対側であり且つ第1のシャフト2の第2の端部2bの反対側であるスリーブ14の第2の開口部14bの外側に突出している。
【0065】
この状況では、スリーブの開口部14a、14bは相互に同軸ではなく、「X、Y」軸の間の入射角を規定するためにずれている(staggered)ことに留意されたい。
【0066】
実際、第2の開口部14bは、第2のシャフト3の展開軸「Y」の方向を規定し、第1のシャフトの長手方向軸「X」に対してこの位置を拘束する。
【0067】
使用中、スリーブ14を固定したまま、スリーブ14自体の内部に配置された伝達部材5を使用して、第1のシャフト2を、したがって、また、成形先端4を回転させることが可能である。
【0068】
スリーブ14は、等速球形ジョイント6を収容するための球形外面を規定する突起15を備えることにも留意されたい。突起15は、好ましくは、図4の分解図で強調されているように、互いに結合することができる2つの半球からなる。
【0069】
スリーブ14の第2の開口部14bは、突起15の外面に配置されている。さらに、ジョイント6全体が、回転中に、締め付けねじを取り巻く患者の軟組織と接触しないように、突起は、第2のシャフト3の拡大部13を収容する。言い換えれば、スリーブ14から突出する成形先端4のみが、患者の体内の唯一の回転部材である。全ての回転部材(シャフトおよびジョイント)は、有利には、スリーブ14の内側で保護されている。この状況では、第1のシャフト2の第2の端部2bが患者の体の外側に留まっていることに留意されたい。
【0070】
さらに、第1のシャフト2の第2の端部2bの近くのスリーブ14の外面に位置する人間工学的部分16が、ドライバー1を所定の位置に保持するために設けられている。
【0071】
人間工学的部分16により、切開部および患者に対して手動でスリーブを保持することができ、同時に、第1のシャフト2を操作することによってねじを緩める/締めることができる。
【0072】
さらに、第1の実施形態(図1から4)によれば、第1のシャフト2は、好ましくは、スリーブ14内で互いに同軸に接合され且つそれぞれロッドの形態で形成された2つの部分17、18でできている。
【0073】
この状況では、第1のシャフト2の第2の端部2bは、第2のシャフト3から遠位の第1の部分17に配置されている。
【0074】
第1の部分17はまた、第2の部分18の成形シート18aに可逆的に接合することができる成形ピン17aを有する。
【0075】
次に、第2の部分18は、成形シート18aの反対側に、上記の球形ヘッド7を有する。第2の部分18は、有利には、スリーブ14に配置された横穴に、第2の部分18に配置された環状ガイド20を介して挿入され得るコネクタ19(図4)によって、スリーブ14の内側に保持される。
【0076】
代わりに、第1の部分17は、スリーブ14の内側に手動で保持され且つ第2の部分18に押し付けられて、ピン17aとシート18との間の結合を規定し、これにより、第1の部分17と第2の部分18との間の回転の伝達が保証される。
【0077】
第1の部分17は、有利には、スリーブ14から取り外され、場合によっては他の機能的に同等のロッドと交換することができる。
【0078】
図5から図7に示される第2の実施形態によれば、可変傾斜軸のドライバーが提供される。
【0079】
この状況では、第2のシャフト3全体および成形先端4の方向は、それらの使用の様々な必要性に従って、2つの軸「X、Y」間の予め定められた角度範囲内で変更することができる。
【0080】
スリーブ14はまた、この実施形態に使用することができる。しかしながら、明確にするために、スリーブ14を含まない第2の実施形態が、添付の図に示されている。
【0081】
特に、この解決策では、第1のシャフト2は一体でできており、その第1の端部2aは、長手方向軸「X」と同軸の円形シート21を備える。
【0082】
図6および図7により良く示されるように、球形ヘッド7は、空洞10とは反対側から突出し且つ円形シート21の内部に収容される結合ピン22を備える。
【0083】
さらに、円形シート21と結合ピン22との間に配置された弾性スラスト部材23が設けられており、後でより良く説明されるように、球形ヘッド7の第1のシャフト2への移動を可能にする。
【0084】
図6に良く示されているように)第1のシャフト2の第1の端部2aは、中空円筒体24に同軸に係合して、等速球形ジョイント6を内部に引き寄せる。
【0085】
円筒体24は、貫通開口部25を有し、貫通開口部25を通って第2のシャフト3およびその成形先端4が部分的に突出する。貫通開口部25は、第2のシャフト3が開口部25の内部を移動して軸「X、Y」間の入射角を変えることによって成形先端4を方向付けることを可能にするために、第2のシャフト3の厚さよりもはるかに広いことに留意されたい。
【0086】
言い換えれば、第2のシャフト3は、複数の動作構成に方向付けられ、複数の動作構成の各々は、第1のシャフト2の長手方向軸「X」と第2のシャフト3の展開軸「Y」との間のそれぞれの入射角を表す。第2のシャフト3の傾きは、有利には、第1のシャフト2の位置に関係なく、締められる/緩められるねじの位置に従って調整することができる。
【0087】
最後に、円筒体24の貫通開口部25は、半球形の拡大部13の直径よりも小さい幅を有する周囲リム25aによって規定されることに留意されたい。このようにして、第2のシャフト3の第1の端部3aは常に円筒体24の内部に収容されたままであり、第2のシャフト3の操作中に、拡大部13の球面がリム25a上をスライドする。
【0088】
第2のシャフト3は、第1のシャフト2に回転において拘束され、ヘッド7は、弾性部材23によって空洞10に押し付けられることに留意されたい。このようにして、ドライバー1をねじに対して押し込んだままにして、部材23のプリロード作用を規定することが可能であり、成形先端4は挿入されたままであるので、ねじ頭部のシートに押し付けられる。
【0089】
言い換えれば、弾性部材23は、成形先端4をねじに押し付けたままにし、第2のシャフト3とねじ自体との間の回転結合を規定する。
【0090】
上記のドライバー1は、従来技術の欠点を克服し、重要な利点を伴う。
【0091】
まず第一に、等速球形ジョイントは、第1のシャフト2および第2のシャフト3の角速度の間の伝達比を一定に保つことを可能にする。
【0092】
回転運動は、有利には、ねじの締め付け中、より均一で滑らかであり、したがって、より正確である。
【0093】
また、ねじの位置に従って入射角を調整できる。第2の実施形態によれば、第2のシャフト3の軸を、ねじの軸方向位置に従って方向付けることが可能である。したがって、ドライバー1は非常に用途が広く、様々なタイプのねじおよびそれらの挿入位置に調整することができる。
【0094】
さらに重要な利点は、特に伝達部材5の位置決め領域において、全体のサイズが非常に小さいことである。
【0095】
この利点は、球形ジョイント6の形状によるもので、これは、既知のカルダンジョイントと比較して全体のサイズを大幅に縮小することを可能にする。
【0096】
外科手術者は、有利なことに、非常に限られたサイズの切開を行うことができ、したがって、手術の最小侵襲性を容易にする。
【0097】
最後に、本発明の別の重要な利点は、回転するときに締め付けねじを取り巻く組織と干渉する可能性がある突出部分がないことによる。
【0098】
特に、球形ジョイント6は、常にスリーブ14の内側または円筒体24の内側に収容されることに留意されたい。したがって、この可動部分と軟組織とが直接接触するリスクはない。
【0099】
さらに、球形の存在、したがって外縁の欠如は、ドライバー1と組織自体との間の意図しない接触に起因する軟組織への起こり得る損傷を排除する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7