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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】乗り物制御デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240411BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240411BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/041 480
B60R16/02 630L
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021541319
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019075922
(87)【国際公開番号】W WO2020064868
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】102018123617.4
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(73)【特許権者】
【識別番号】521125198
【氏名又は名称】インターナショナル オートモーティブ コンポーネンツ グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ランブリット, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンディエヴォエト, ローラン
(72)【発明者】
【氏名】キャンノン, カーター, スコット
(72)【発明者】
【氏名】キム, ソン-ウク
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/121964(WO,A1)
【文献】特開2013-175045(JP,A)
【文献】特表2016-538619(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0188869(US,A1)
【文献】特開2016-110313(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0097796(US,A1)
【文献】特開2018-025916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/041
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物制御デバイス(100)であって、前記乗り物制御デバイス(100)が、
ディスプレイモジュール(104)であって、その前面(106)上にディスプレイを有する、ディスプレイモジュール(104)と、
タッチ感知層と、
前記ディスプレイモジュール(104)の前記前面(106)に取り付けられた透明カバー(110)であって、前記透明カバー(110)の前面が触覚フィードバック区域(112、114、116)を有する、透明カバー(110)と、
前記透明カバー(110)を移動又は変形させることによって能動的力覚フィードバックを与えるように構成された力覚フィードバックユニット(122)と、
グラフィカルユーザインターフェース(400)を前記ディスプレイ上に表示し、前記タッチ感知層を介してユーザ入力を受け、前記ユーザ入力に応答して乗り物機能をトリガするように構成された制御ユニットと、
を備え、
前記ディスプレイモジュール(104)の前記前面(106)が、前記ディスプレイを包囲するディスプレイ接触ゾーンを含み、
前記透明カバー(110)の後面が、前記ディスプレイ接触ゾーンの合わせ相手を形成する内部接触ゾーンを含み、
前記ディスプレイ接触ゾーンが前記内部接触ゾーンに取り付けられている、乗り物制御デバイス(100)。
【請求項2】
乗り物制御デバイス(100)であって、前記乗り物制御デバイス(100)が、
ディスプレイモジュール(104)であって、その前面(106)上にディスプレイを有する、ディスプレイモジュール(104)と、
タッチ感知層と、
前記ディスプレイモジュール(104)の前記前面(106)に取り付けられた透明カバー(110)であって、前記透明カバー(110)の前面が触覚フィードバック区域(112、114、116)を有する、透明カバー(110)と、
前記透明カバー(110)を移動又は変形させることによって能動的力覚フィードバックを与えるように構成された力覚フィードバックユニット(122)と、
グラフィカルユーザインターフェース(400)を前記ディスプレイ上に表示し、前記タッチ感知層を介してユーザ入力を受け、前記ユーザ入力に応答して乗り物機能をトリガするように構成された制御ユニットと、
を備え、
前記乗り物制御デバイス(100)が、フレーム(124)をさらに備え、前記フレーム(124)が、乗り物の内装トリム部分、特に、乗り物のドア(200)のアームレスト(102)に、及び前記透明カバー(110)の後面に取り付けられており、前記透明カバー(110)の前記後面が、前記内部接触ゾーンを包囲する外部接触ゾーンを含み、前記外部接触ゾーンが前記フレーム(124)に取り付けられている、乗り物制御デバイス(100)。
【請求項3】
前記透明カバー(110)の前記前面が前記触覚フィードバック区域(112、114、116)内において粗面化及び/又はパターン化されており、並びに/或いは粗面化及び/又はパターン化された構造が前記触覚フィードバック区域(112、114、116)内においてその上に設けられている、請求項1又は2に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項4】
前記透明カバー(110)の前記前面が前記触覚フィードバック区域(112、114、116)内において永久的に構造化されている、請求項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項5】
前記触覚フィードバック区域(112、114、116)の形状及び/又は表面テクスチャが、前記透明カバー(110)の前記前面上の前記触覚フィードバック区域(112、114、116)の位置に関連付けられた前記グラフィカルユーザインターフェース(400)の要素を示すように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項6】
前記触覚フィードバック区域(112、114、116)の形状及び/又は表面テクスチャが、前記透明カバー(110)の前記前面上の前記触覚フィードバック区域(112、114、116)の位置を示すように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項7】
前記透明カバー(110)が、ガラス、特に、強化複層ガラス、並びに/或いは透明ポリマー、特に、ポリカーボネート又はポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項8】
前記タッチ感知層が前記ディスプレイ又は前記透明カバー(110)内に一体化されている、請求項1~のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項9】
前記力覚フィードバックユニット(122)が、前記透明カバーを移動又は変形させるように構成されたアクチュエータを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項10】
前記アクチュエータが圧電アクチュエータである、請求項記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項11】
前記アクチュエータが、前記透明カバー(110)の後面に取り付けられているか、前記ディスプレイモジュール(104)内に一体化されているか、又は前記ディスプレイモジュール(104)の後面に取り付けられている、請求項又は10に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項12】
前記乗り物制御デバイス(100)が、乗り物のドア(200)、特に、前記乗り物のドア(200)のアームレスト(102)に取り付けられている、請求項1~11のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項13】
音響フィードバックを与えるように構成されたスピーカをさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項14】
前記乗り物制御デバイス(100)の近傍における物体の存在を検出するように構成された近接センサをさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項15】
前記制御ユニットが、ユーザ入力の位置、及び/又は前記乗り物制御デバイス(100)の近傍における物体の存在に応じて力覚及び/又は音響フィードバックを与えるように前記力覚フィードバックユニット(122)及び/又は前記スピーカを制御するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項16】
近距離無線通信チップ(302)をさらに備え、前記制御ユニットが、前記近距離無線通信チップ(302)を介してデータを近距離無線通信デバイスと交換するように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項17】
前記制御ユニットが、前記近距離無線通信デバイスの識別を決定し、前記グラフィカルユーザインターフェース(400)及び/又は乗り物機能を前記近距離無線通信デバイスに適応させるように構成されている、請求項16に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項18】
前記透明カバー(110)の前記前面が屈曲面部分(302)を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項19】
前記制御ユニットが前記乗り物の電子制御ユニットに接続されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項20】
前記制御ユニットが、ネットワーク、特に、インターネットを介してデータを交換するように構成されている、請求項1~19のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の乗り物制御デバイス(100)を製造するための方法であって、前記方法が、以下のステップ:
透明カバー基板を与えることと、
前記触覚フィードバック区域内において前記透明カバー基板の前面を粗面化及び/又はパターン化すること、及び/又は粗面化及び/又はパターン化された構造をその上に形成することによって、触覚フィードバック区域(112、114、116)を前記透明カバー基板上に形成することによって、透明カバー(110)を形成することと、
前記透明カバー基板を、前記ディスプレイモジュールの前面(106)上にディスプレイを有する、ディスプレイモジュール(104)の前面(106)に取り付けることと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記乗り物制御デバイス(100)を乗り物の内装トリム部分、特に、乗り物のドア(200)のアームレスト(102)に取り付けることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記透明カバー(110)を形成することが、前記透明カバー基板を屈曲させ、屈曲面部分(302)を作り出すことをさらに含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記透明カバー基板が、前記乗り物制御デバイス(100)を前記乗り物の前記内装トリム部分に取り付ける間に屈曲させられる、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記透明カバー基板を与えることが、2つ以上の層を積層して、前記透明カバー基板を形成することを含む、請求項2124のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ感知層を介して乗り物機能を制御するための乗り物制御デバイス、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンが、スマートフォンのような電子デバイスにおいて広く普及しており、多種多様の技術デバイス、例えば、自動車のような乗り物を制御するための入力デバイスとして用いられることが増えている。タッチスクリーンは、単一の入力デバイスを用いた、例えば、乗り物の、多数の機能の制御を可能にするための強力なツールを構成するが、これはまた、このような制御デバイスの操作を複雑にし、それゆえ、ユーザの細心の注意を必要とする場合がある。乗り物の運転者にとって、これは、特に、制御デバイスが、運転者にとって容易に視認できない場所、例えば、ドアのアームレスト内に配置されている場合には、注意をそらせるリスクを生じさせる。
【0003】
乗り物制御デバイスの操作を容易にするために、受動的案内又は能動的フィードバックのための手段を採用することができる。米国特許第7,834,857(B2)号明細書は、タッチスクリーンディスプレイ及び力覚フィードバックシステムを有する乗り物のための入力デバイスであって、力覚フィードバックシステムが、力覚フィードバックを与えるためにタッチスクリーンを移動させるように構成された電子アクチュエータを含む、入力デバイスを開示している。米国特許出願公開第2016/0187979(A1)号明細書には、乗り物インフォテインメントシステムにおいて使用するための力覚エンジンであって、力覚エンジンが、インフォテインメントシステムの現在の状態に適応させられたテクスチャパターンを決定し、力覚フィードバックシステムを、タッチ入力表面上において、例えば、表面を変形させることによって、対応するテクスチャを作り出すよう制御するように構成されている、力覚エンジンが記載されている。独国特許第102012020570(B4)号明細書は、乗り物の構成要素を制御するためのユーザ入力を受けるためのタッチスクリーン表面を有する制御要素であって、タッチスクリーンの表面が、タッチスクリーン表面の部分区域を分離するように構成された、セラミックで作製された触覚要素を含む、制御要素を開示している。
【0004】
それでもなお、このような乗り物制御デバイスを操作することは、通例、タッチスクリーンに目を向けることを必要とし、それゆえ、乗り物の運転者は運転中に制御デバイスを操作することができない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、本発明の目的は、最小限の注意を要するだけで済む、タッチ感知層を介した乗り物機能の直感的な注意のそれない制御を可能にする乗り物制御デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、それぞれ、請求項1及び23に係る乗り物制御デバイス及びその製造方法によって満たされる。本発明の実施形態は従属請求項において詳述される。
【0007】
乗り物制御デバイスは、ディスプレイモジュールであって、その前面上にディスプレイを有する、ディスプレイモジュールと、タッチ感知層と、ディスプレイモジュールの前面に取り付けられた透明カバーであって、透明カバーの前面が触覚フィードバック区域を有する、透明カバーと、透明カバーを移動又は変形させることによって能動的力覚フィードバックを与えるように構成された力覚フィードバックユニットと、グラフィカルユーザインターフェースをディスプレイ上に表示し、タッチ感知層を介してユーザ入力を受け、ユーザ入力に応答して乗り物機能を制御するように構成された制御ユニットと、を備える。
【0008】
本出願の文脈において、「触覚(tactile)」は、静的特徴の知覚、例えば、永久的な表面テクスチャ又は構造を指すと理解されるべきであり、それに対して、用語「力覚(haptic)」は、表面を動的に変化させること、例えば、表面を移動又は変形させることによって生成される知覚を指す。
【0009】
ディスプレイモジュールは、ディスプレイモジュールの前面上に配置された、ディスプレイ上に示されることになる制御ユニットからの内容、例えば、グラフィカルユーザインターフェースのメニューを受信するように構成されている。ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD(liquid crystal display))、例えば、薄膜トランジスタLCD、又は有機発光ダイオード(OLED(organic light-emitting diode))ディスプレイ、特に、フレキシブルOLEDディスプレイであり得る。
【0010】
タッチ感知層は、例えば、ユーザが指のような物体を用いて透明カバーにタッチした際に、ユーザ入力を検出するように構成されている。さらに、タッチ感知層は、例えば、容量、誘導、及び/又は抵抗感知を用いて、透明カバー上のユーザ入力の位置を決定するように構成されている。タッチ感知層は、異なる種類のユーザ入力、例えば、透明カバーを押圧することによるクリック、又は指を、押圧せずに透明カバーと接触させることによるタッチ、又はスライド移動を区別するようにさらに構成され得る。タッチ感知層はディスプレイモジュール内に一体化することができ、例えば、ディスプレイに取り付けられてもよく、又はディスプレイの前面層内に一体化されてもよい。代替的に、タッチ感知層は透明カバー内に一体化され、例えば、透明カバー内に埋め込まれるか、又は挟み込まれてもよい。別の例では、タッチ感知層はディスプレイ及び透明カバーから独立していてもよく、ディスプレイと透明カバーとの間に配置されていてもよい。好ましくは、タッチ感知層はディスプレイの前面及び/又は透明カバーの前面と平行である。
【0011】
制御ユニットはデータ記憶デバイスとプロセッサとを備えることができ、データ記憶デバイスは、グラフィカルユーザインターフェースを実施し、タッチ感知層上のユーザ入力を処理し、少なくとも1つの乗り物機能をトリガするための制御信号を与えるために、プロセッサによって実行されるべき命令を記憶し得る。乗り物機能は、例えば、ドア関連の乗り物機能、例えば、ドアのロック及びロック解除、窓の開放及び閉鎖、給油口の解除、或いはサイドミラーの制御であり得る。一例では、ユーザは、グラフィカルユーザインターフェースのボタンをタップすることによって窓を徐々に上昇又は降下させ得る。別の例では、グラフィカルユーザインターフェースは、スライド運動を用いて窓を上げ下げするように構成されたスライダを含み得る。乗り物機能は、例えば、乗り物のシートに関連付けられた機能、例えば、シート位置の調整又はシートヒータの制御、乗り物の内部照明に関連付けられた機能、或いは乗り物インフォテインメントシステムに関連付けられた機能であり得る。好ましくは、制御ユニットは、複数の乗り物機能をトリガするように構成されている。一例では、ディスプレイモジュール及び制御ユニットは、それぞれの機能性の全てを与える単一のデバイスであり得る。制御ユニットは、乗り物内の他のデバイス、例えば、特に、乗り物機能を制御するための、乗り物制御ユニット、インフォテインメントシステム、モータ若しくはアクチュエータ、及び/又は照明デバイスに接続され得る。制御ユニットは、力覚フィードバックユニットを、以下において詳述されるとおりの能動的力覚フィードバックを与えるようにさらに制御するように構成されている。
【0012】
透明カバーはディスプレイモジュールの前面に取り付けられている。ディスプレイの前面(B側)から遠ざかる方に面した、透明カバーの前面(A側)は少なくとも1つの触覚フィードバック区域を含む。触覚フィードバック区域は静的な表面特徴、例えば、表面テクスチャを含み、ユーザが透明カバーの前面にタッチすることによって認識されるように構成されている。触覚フィードバック区域内では、透明カバーの前面は、例えば、粗面化及び/又はパターン化され得、粗面化された表面は、ランダムな表面テクスチャを有する表面を指し、パターン化された表面は、規則的な表面テクスチャを有する表面を指す。このような表面テクスチャは、例えば、透明カバーを成形又は鋳造することによって、或いは透明カバーの前面の化学エッチング、レーザエッチング、及び/又はサンドブラストによって製造され得る。代替的に、又は追加的に、粗面化及び/又はパターン化された構造が触覚フィードバック区域内の透明カバーの前面上に与えられ得る。このような構造は、例えば、2次的若しくは付加的3D印刷又はオーバーモールドによって、並びに/或いは接着剤を用いて材料を透明カバーの前面に適用することによって、透明カバーの前面に取り付けられ得る。好ましくは、触覚フィードバック区域内の透明カバーの前面は永久的に構造化されている。
【0013】
好ましい実施形態では、触覚フィードバック区域の形状及び/又は表面テクスチャは、透明カバーの前面上の触覚フィードバック区域の位置に関連付けられたグラフィカルユーザインターフェースの要素を示すように構成されている。グラフィカルユーザインターフェースの要素は、例えば、グラフィカルユーザインターフェースのメニュー内のボタンであることができる。ボタンの存在をユーザに示すために、触覚フィードバック区域はボタンと同じ位置に配置され得、触覚フィードバック区域の形状はボタンの形状と同じか、又はそれと類似した形状であり得る。一例では、透明カバーは、異なる表面特徴、例えば、突起した平行線のパターンを有する2つの触覚フィードバック区域を含み得、線の向きは2つの触覚フィードバック区域内で異なる。2つの触覚フィードバック区域の各々はボタンの位置に配置されていてもよく、異なる表面特徴は、ボタンの異なる機能、例えば、「OK」及び「取り消し」を示す。別の例では、触覚フィードバック区域のうちの1つはボタンに関連付けられていてもよく、それに対して、他方の触覚フィードバック区域は、グラフィカルユーザインターフェースのメニュー内の一覧をスクロールするためのスライダ要素に関連付けられている。透明カバーの前面は、例えば、ボタンに関連付けられた触覚フィードバック区域内では、粗面化されていてもよく、それに対して、それは、スライダに関連付けられた触覚フィードバック区域内では、スライダのスライド方向に沿って延びる平行な溝を呈してもよい。これにより、ユーザは、ディスプレイに目を向けることなく両方の要素の位置を見つけ、区別することができる。
【0014】
触覚フィードバック区域の形状及び/又は表面テクスチャは、透明カバーの前面上の触覚フィードバック区域の位置を示すようにさらに構成され得る。例えば、触覚フィードバック区域はディスプレイの縁部に配置されていてもよく、触覚フィードバック区域は、ユーザの指がディスプレイの縁部に達したことをユーザに示すために、ディスプレイの縁部と平行である突起を含む。別の例では、グラフィカルユーザインターフェースは、2つの区分、例えば、特定の乗り物機能、例えば、窓の開放及び閉鎖に永久的に関連付けられた静的ボタンを包含する、ディスプレイの第1の部分内の第1の区分、並びに可変内容を有するメニューを包含するディスプレイの第2の部分内の第2の区分を含むか、又はそれらから成り得る。ユーザが2つの区分を区別するのを助けるために、稜のような触覚フィードバック区域が、例えば、2つの区分の間に配置されていてもよい。
【0015】
透明カバーは、例えば、透明ポリマー、特に、ポリカーボネート又はポリメチルメタクリレート(PMMA)、並びに/或いはガラス、特に、強化複層ガラスで作製されるか、又はそれらを含むことができる。透明カバーは単一の層であり得るか、又は複数の接合された層、例えば、ガラス層の上のポリマー層から成り得る。好ましくは、透明カバーの材料及び厚さは、タッチ感知層が適切に機能することができるよう選定される。一例では、透明カバーの厚さは、2mm未満、好ましくは、1mm未満であり得る。
【0016】
上述されたように、タッチ感知層は、例えば、タッチ感知層を透明カバーの後面に取り付けること、タッチ感知層を透明カバーの表面内に埋め込むことによって、又はタッチ感知層を透明カバーの2つの層の間に挟み込むことによって、透明カバー内に一体化され得る。代替的に、タッチ感知層は、上述されたように、ディスプレイ内に一体化され得る。
【0017】
力覚フィードバックユニットは制御ユニットによって制御され、制御ユニットから受信されたコマンドに基づいて透明カバーを移動又は変形させることによって能動的力覚フィードバックを与えるように構成されている。能動的力覚フィードバックは、例えば、ユーザ入力、例えば、クリックが検出されたことを示すために用いられ得る。力覚フィードバックはタッチスクリーン入力の位置に応じて与えられ得る。好ましくは、能動的力覚フィードバックは、ユーザがグラフィカルユーザインターフェースの要素を識別するのを支援し、及び/又は透明カバー上の位置確認を与える。例えば、ユーザが透明カバーにタッチしながら指を動かす場合、指がグラフィカルユーザインターフェースの要素に達した際に、例えば、透明カバーの振動を誘起することによって、或いは透明カバーを変形させ、突起及び/又はくぼみを作り出すことによって、能動的力覚フィードバックが与えられ得る。特に、透明カバーは、表面変形又は表面テクスチャ、例えば、知覚される突起、くぼみ、及び/又は表面テクスチャの印象をユーザのために生むように変形させられ得る。このように、ユーザは、ホログラフィ的模擬インターフェースを作り出す、3次元(3D)形状の錯覚を与えられ得る。特に、力覚フィードバックは、例えば、異なるボタンを識別するために、要素の機能に依存し得る。例えば、透明カバーは、クリック又はタップの印象を与えるように変形させられてもよく、指がそれぞれのボタンに達した際に、異なる数の知覚されるタップが異なるボタンのために生成される。別の例では、透明カバーは、例えば、指の場所から要素の場所へ導く溝又は知覚される溝を作り出すことによって、ユーザをグラフィカルユーザインターフェースの要素の場所へ案内するように変形させられてもよい。
【0018】
能動的フィードバックを与えるために、力覚フィードバックユニットは、透明カバーを移動又は変形させるように構成された1つ以上のアクチュエータを含むことができる。特に、アクチュエータは圧電アクチュエータであり得る。代替的に、アクチュエータは電気モータ又はソレノイドアクチュエータであり得る。一例では、力覚フィードバックユニットは、2種類のアクチュエータ、例えば、透明カバーを移動させるためのソレノイドアクチュエータ、及び透明カバーを局所的に変形させるための圧電アクチュエータを含む。
【0019】
アクチュエータは、好ましくは、ディスプレイを覆わないよう、ディスプレイの隣の区域内で、透明カバーの後面(B側)に取り付けられ得る。代替的に、アクチュエータは、例えば、透明カバーを通して見たときに、ディスプレイの背後において、ディスプレイモジュール内に一体化され得る。別の例では、アクチュエータはディスプレイモジュールの後面(C側)に取り付けられ得る。力覚フィードバックユニットが複数のアクチュエータを含む場合には、アクチュエータの各々は上述の場所のうちの任意のものに配置され得、例えば、透明カバーの後面に取り付けられた1つのアクチュエータ、ディスプレイモジュール内に一体化された1つのアクチュエータ、及びディスプレイモジュールの後面に取り付けられた別のアクチュエータが存在し得る。
【0020】
ディスプレイモジュールの前面は、ディスプレイを包囲するディスプレイ接触ゾーンを含むことができ、透明カバーの後面は、ディスプレイ接触ゾーンの合わせ相手を形成する内部接触ゾーンを含むことができ、ディスプレイ接触ゾーンは、透明カバーをディスプレイモジュールに取り付けるために内部接触ゾーンに取り付けられ得る。ディスプレイ接触ゾーンは、例えば、ディスプレイの縁部に沿って延びる薄い筋であることができ、筋は、例えば、1mm~5mmの厚さを有し得る。ディスプレイ接触ゾーンは、接着テープ、シールガスケットを用いて、又は化学的付着によって内部接触ゾーンに取り付けられ得る。ディスプレイモジュール及び透明カバーは、透明カバーの後面上の表面と、ディスプレイモジュールの前面上の表面、特に、ディスプレイの表面との間の距離が、3mm未満、好ましくは、1mm未満となるように取り付けられ得る。特に、タッチ感知層がディスプレイモジュール内に一体化される場合には、この距離が、タッチ感知層の適切な機能性を確実にするために重要になり得、化学的付着が、十分な距離、例えば、約0.5mmを達成するために用いられ得る。
【0021】
好ましい実施形態では、乗り物制御デバイスは、乗り物のドアに、特に、乗り物のドアのアームレストに取り付けられている。この目的を達成するために、乗り物制御デバイスは、例えば、アルミニウム、及び/又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のようなポリマーから作製された、フレームを備え得る。フレームは、乗り物の内装トリム部分に、及び透明カバーの後面に取り付けられ得る。一例では、透明カバーの後面は、内部接触ゾーンを包囲する外部接触ゾーンを含み、外部接触ゾーンがフレームに取り付けられている。代替的に、又は追加的に、フレームは透明カバー及び/又はディスプレイモジュールの側面に取り付けられ得る。内装トリム部分は乗り物のドアのアームレストであり得る。フレームを取り付けるために、例えば、接着テープ、シールガスケット、又は化学的付着が用いられ得る。
【0022】
乗り物制御デバイスはスピーカをさらに備えることができ、スピーカは、音響フィードバックを与えるように構成されている。この目的を達成するために、制御ユニットはスピーカに接続され得、音響フィードバックを与えるためのコマンドをスピーカへ送信するように構成され得る。能動的力覚フィードバックと同様に、音響フィードバックは、ユーザがグラフィカルユーザインターフェースの要素を識別するのを支援し、及び/又は透明カバー上の位置確認を与えるために用いられ得る。音響フィードバックは、ユーザ入力が受けられた場合に、特に、透明カバー上のユーザ入力の位置に応じて与えられ得る。例えば、ユーザが、初めて、及び/又はボタンの場所において透明カバーにタッチした際に、スピーカから音響が発せられ得る。ボタンの機能に応じて、異なる音響、例えば、「OK」ボタンのための第1の音響、及び「取り消し」ボタンのための第2の音響が発せられ得る。スピーカはまた、音声コマンド及びフィードバックも発生し得る。
【0023】
乗り物制御デバイスは、乗り物制御デバイスの近傍における物体の存在を検出するように構成された近接センサをさらに備え得る。近接センサは、例えば、光学近接センサ、例えば、赤外線近接センサ、又は電磁近接センサ、例えば、容量若しくは誘導近接センサであり得る。制御ユニットは、乗り物制御デバイスの近傍における物体の存在に応じて力覚及び/又は音響フィードバックを与えるように力覚フィードバックユニット及び/又はスピーカを制御するように構成され得る。例えば、物体が近接センサによって検出された場合には、例えば、運転者が乗り物制御デバイスの場所を見つけるのを支援するために、音響がスピーカから発せられてもよい。さらに、乗り物制御デバイスは、物体が近接センサによって検出されない限り、ディスプレイのスイッチを切り、物体が検出されると、ディスプレイのスイッチを入れるように構成され得る。
【0024】
乗り物制御ユニットは、近距離無線通信(NFC(near-field communication))チップをさらに備えることができ、制御ユニットは、近距離無線通信チップを介して近距離無線通信デバイス、例えば、スマートフォン又はクレジットカードとデータを交換するように構成されている。特に、制御ユニットは、近距離無線通信デバイスの識別を決定し、例えば、特定のユーザのスマートフォンを識別するように構成され得る。制御ユニットは、グラフィカルユーザインターフェース及び/又は乗り物機能を近距離無線通信デバイスに適応させるようにさらに構成され得る。例えば、特定のユーザのスマートフォンが識別された場合には、制御ユニットは、乗り物のシートを、特定のユーザに関連付けられた既定の位置へ自動的に移動させ得るか、又は特定のユーザの既定のユーザプロファイルに従って乗り物の内部照明を調整し得る。同じように、メニュー構造、メニューレイアウト、及び/又はメニュー内容が近距離無線通信デバイスの識別に応じて自動的に設定され得る。
【0025】
透明カバーの前面は屈曲又は湾曲面部分を含み得る。対応して、透明カバーの後面は屈曲面部分を含み得る。一例では、透明カバーの前面は、互いに対して傾斜しており、屈曲面部分によって接続された、2つの平坦面を含む。ディスプレイモジュールの前面は、例えば、透明カバーの後面上の第1の平坦面に取り付けられていてもよく、近距離無線通信チップは透明カバーの後面上の第2の平坦面の下に配置されていてもよい。
【0026】
一実施形態では、制御ユニットは乗り物の電子制御ユニットに接続されている。制御ユニットは、乗り物の電子制御ユニットを介して乗り物機能を制御又はトリガするように構成され得る。別の例では、乗り物制御デバイスの制御ユニットは乗り物の電子制御ユニット内に一体化され得る。
【0027】
制御ユニットは、例えば、ローカルエリアネットワークポート又は無線ネットワークインターフェースコントローラを介して、ネットワーク、特に、インターネットを介してデータを交換するようにさらに構成され得る。制御ユニットは、例えば、グラフィカルユーザインターフェースのための更新を受信するように構成され得る。一例では、制御ユニットは、近距離無線通信チップを介してクレジットカードからデータを読み取り、このデータを、例えば、決済サービスを与えるために、インターネットサーバへ伝送するように構成され得る。
【0028】
本発明はまた、本発明に係る乗り物制御デバイスを製造するための方法を提供する。本方法は、(1)透明カバー基板を与えることと、(2)触覚フィードバック区域内において透明カバー基板の前面を粗面化及び/又はパターン化すること、並びに/或いは粗面化及び/又はパターン化された構造をその上に形成することによって、触覚フィードバック区域を透明カバー基板上に形成することによって、透明カバーを形成することと、(3)透明カバー基板を、ディスプレイモジュールの前面上にディスプレイを有する、ディスプレイモジュールの前面に取り付けることと、を含む。上述のステップの番号付けは、単に明確にするためのものにすぎず、特定の順序を示さない。技術的に実行可能である限り、ステップは順序を変えることができ、本方法及びその任意の実施形態は任意の順序で遂行することができる。例えば、透明カバー基板は、触覚フィードバック区域を形成する前にディスプレイモジュールに取り付けられ得る。
【0029】
透明カバー基板は、例えば、ガラスの、又は透明ポリマー、特に、ポリカーボネート若しくはポリメチルメタクリレート(PMMA)の平板であることができる。透明カバー基板は、例えば、積層によって接合された、複数の層、例えば、強化複層ガラス、或いはガラス及びポリマー層の組み合わせから成り得る。透明カバー基板はまた、例えば、透明カバー基板を冷間成形、熱間成形、鋳造、又は成形することによって、屈曲面部分を有し得る。一例では、透明カバー基板はタッチ感知層を含み得る。
【0030】
触覚フィードバック区域を形成するために、透明カバー基板の前面は、例えば、サンドブラスト、化学エッチング、及び/又はレーザエッチングによって、触覚フィードバック区域内、又は触覚フィードバック区域の部分内において粗面化され得る。触覚フィードバック区域の所望の形状を達成するために、マスクが、触覚フィードバック区域を形成するために用いられ得る。代替的に、又は追加的に、触覚フィードバック区域内の透明基板の前面は、例えば、レーザエッチングによって、又はマスクを用いて、規則的な表面テクスチャをパターン化され得る。一例では、触覚フィードバック区域は、透明カバー基板の前面上に凹部又は突起を形成することによって形成され得る。触覚フィードバック区域を形成することはまた、透明カバー基板を鋳造又は成形することを含み得る。さらに、粗面化及び/又はパターン化された構造が、例えば、オーバーモールド又は3D印刷によって、触覚フィードバック区域内の透明カバーの前面上に形成されてもよい。粗面化及び/又はパターン化された構造のために用いられる材料は、好ましくは、透明であり、透明カバー基板のものと同じ材料であり得る。一例では、各々が異なる表面テクスチャを呈し得る、複数の触覚フィードバック区域が形成される。
【0031】
透明カバー基板は、触覚フィードバック区域を形成する前、その最中、又はその後にディスプレイモジュールの前面に取り付けられることができる。一例では、透明カバー基板は、透明カバー基板の前面上の触覚フィードバック区域内に凹部又は突起を形成するよう成形され得、その後、触覚フィードバック区域内で透明カバー基板の前面を追加的に粗面化する前に、ディスプレイモジュールの前面に取り付けられ得る。透明カバー基板は、例えば、接着テープ、シールガスケットを用いて、又は化学的付着によって、ディスプレイモジュールの前面に取り付けられ得る。タッチ感知層が透明カバー基板又はディスプレイモジュール内に一体化されない場合には、透明カバー基板をディスプレイモジュールに取り付けることは、タッチ感知層を透明カバー基板とディスプレイモジュールの前面との間に与えることをさらに含み得る。さらに、透明カバー基板をディスプレイモジュールに取り付けることは、力覚フィードバックユニットの1つ以上のアクチュエータを透明カバー基板及び/又はディスプレイモジュールに取り付けることを含み得る。
【0032】
本方法は、乗り物制御デバイスを乗り物の内装トリム部分、特に、乗り物のドアのアームレストに取り付けることをさらに含むことができる。このために、透明カバーは、例えば、接着テープ、シールガスケットを用いて、又は化学的付着によって、フレームに取り付けられ得、フレームは、例えば、接着テープ、化学的付着、及び/又は例えば、ラッチ若しくはフック、クリップ、又は同様のものを用いた、機械的付着を通じて、内装トリム部分に取り付けられ得る。他の例では、透明カバー及び/又はディスプレイモジュールは、例えば、接着テープ、化学的付着、及び/又は機械的付着を通じて、内装トリム部分に直接取り付けられ得る。乗り物制御デバイスを内装トリム部分に取り付けることは、1つ以上のアクチュエータを、内装トリム部分、又は乗り物の別の静止構成要素に固定して接続することをさらに含み得る。
【0033】
本方法はまた、例えば、冷間成形又は熱間成形によって、透明カバー基板を屈曲させ、屈曲面部分を作り出すことを含むことができる。特に、透明カバー基板は、乗り物制御デバイスを乗り物の内装トリム部分に取り付ける間に屈曲させられ得る。一例では、トリムベゼルが、透明カバー基板を屈曲させるために用いられ得る。内装トリム部分は、例えば、乗り物制御デバイスを受容するように構成された保持部分を含み得る。透明カバー基板は、それを保持部分上に配置し、その後、トリムベゼルを上から保持部分に押し付けることによって屈曲させられ得る。加えて、透明カバーは、上述されたように、保持部分に取り付けられ得る。トリムベゼルも、透明カバーを固定するために内装トリム部分に取り付けられ得る。さらに、トリムベゼルはまた、触覚フィードバック区域、又は透明カバーの前面と平行に延びる切り欠き又は突起のような案内特徴を含み得る。
透明カバー基板を与えることは、2つ以上の層を積層して、透明カバー基板を形成することを含むことができる。例えば、2つのガラス及び/又は透明ポリマー層が、中間層、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又はエチレン酢酸ビニル(EVA)の箔を間に挟んで組み合わせられ得る。加えて、透明カバー基板は、例えば、ガラス及び/又は透明ポリマー層並びに中間層を積み重ね、層状のスタックを積層枠組上に押し付け、それを積層プロセスの前に所定位置に留めることによって、積層プロセスの間に所望の形状に形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下において、図面を参照して本発明及びその例示的な実施形態の詳細な説明が与えられる。
【0035】
図1a図1aは、本発明の一実施形態に係る乗り物制御デバイスの一例を概略的に示す。
【0036】
図1b図1bは、本発明の例示的な実施形態に係る乗り物制御デバイスの組み立てを概略的に示す。
【0037】
図2図2は、本発明の一実施形態に係る、アームレスト及び乗り物制御デバイスを有する乗り物のドアの一例を概略的に示す。
【0038】
図3a-3d】図3a-3dは、本発明の様々な実施形態に係る乗り物制御デバイスの例を概略的に示す。
【0039】
図4図4は、本発明の一実施形態に係るグラフィカルユーザインターフェースの一例を概略的に示す。
【0040】
図5a図5aは、本発明の例示的な実施形態に係る、透明カバー基板の屈曲を有する乗り物制御デバイスの組み立てを概略的に示す。
【0041】
図5b図5bは、組み立て後の図5aの乗り物制御デバイスを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1aは、本発明の一例に係る乗り物制御デバイス100の断面図を示す。乗り物制御デバイス100は、乗り物の内装トリム部分、例えば、乗り物のドアのアームレスト102に取り付けられている。乗り物制御デバイス100は、前面106及び後面108を有するディスプレイモジュール104を備える。ディスプレイ(図示されていない)が、前面106を見ているユーザに内容を表示するために前面106上に配置されている。乗り物制御デバイス100はまた、制御ユニット(図示されていない)を備える。制御ユニットは、例えば、ディスプレイモジュール104、乗り物の電子制御ユニット内に一体化され得るか、或いは例えば、ディスプレイモジュール104の下に配置され、及び/又はアームレスト102に取り付けられ得る、別個のユニットであり得る。
【0043】
乗り物制御デバイス100は、ディスプレイモジュールの前面106に取り付けられた、透明カバー110をさらに備える。透明カバー110の前面は、全てが、図1aに示される描画面と垂直な方向に延び得る、3つの触覚フィードバック区域112、114、及び116を有する。触覚フィードバック区域112内では、透明カバー110の前面は、例えば、サンドブラスト又はエッチングによって、粗面化されており、不規則な表面テクスチャを有する。触覚フィードバック区域114内では、透明カバー110の前面は、周期パターンで配置されており、例えば、透明カバー110の射出成形によって、その内部に一体的に形成され得る、複数の突起を呈する。触覚フィードバック区域116内では、表面要素が透明カバー110の前面に取り付けられており、パターン化された構造をその上に作り出す。触覚フィードバック区域116内の表面要素は、例えば、透明カバー110の前面上への材料層の付加的3D印刷又は接合によって作成され得る。
【0044】
さらに、例えば、ディスプレイの縁部若しくは特定の区分を強調するため、又は乗り物制御デバイス100とその周囲との間の滑らかな移行を作り出すために、例えば、透明カバー110の後面上に印刷されるか、又はその内部にエッチングされた1つ以上の要素を含む、印刷層118が設けられ得る。印刷層118は、例えば、透明カバー110が他の構成要素、例えば、ディスプレイモジュール104に取り付けられた区域を覆い得る。
【0045】
透明カバー110は、接合材料120、例えば、接着テープ、接着剤、又は化学的付着材料、並びに/或いはシールガスケットによって、ディスプレイモジュール104に取り付けられている。接合材料120は、例えば、例として、ディスプレイの周りのフレーム上の、ディスプレイモジュール104の前面106の縁部におけるディスプレイ接触ゾーンと、透明カバー110の裏側の内部接触ゾーンとの間に与えられ得る。
【0046】
乗り物制御デバイス100は、本例では、好ましくは、視認不可能な区域内において、ディスプレイモジュール104の後面108に取り付けられた2つのアクチュエータ、例えば、圧電アクチュエータを含む、力覚フィードバックユニット122をさらに備える。アクチュエータは、例えば、例として、後面108を圧迫するために、後面108と垂直な方向に後方及び前方に移動するように構成され得る。このために、後面108に取り付けられた部分と反対側の各アクチュエータの端部部分は、静止構成要素、例えば、アームレスト102に固定して接続され得る。他の例では、1つ以上のアクチュエータは、代替的に、又は追加的に、例えば、透明カバー110を通して見たときにディスプレイの背後に配置され、ディスプレイモジュール104内に一体化され得るか、又は例えば、接合材料120に隣接して、好ましくは、例えば、接合材料120及び126の間の、アクチュエータがディスプレイを覆わない場所内で、透明カバー110に取り付けられ得る。
【0047】
力覚フィードバックを与えるために、ディスプレイモジュール104の後面108に取り付けられたアクチュエータは、例えば、後面108を周期的に圧迫し、ディスプレイモジュール104の振動運動又は変形を誘起し、これが、例えば、接合材料120を介して、透明カバー110の、その前面と垂直な方向における振動を作り出すことができる。振動は、透明カバー110全体の上下運動、又は透明カバー110の前面の波状変形であり得る。特に、アクチュエータによる変調の周波数は透明カバー110及び/又はディスプレイモジュール104の共振周波数に適応させられ得る。別の例では、アクチュエータは、透明カバー110の横方向振動を誘起するために後面108と平行である横方向運動を遂行するように構成され得る。透明カバー110に取り付けられたアクチュエータは、例えば、透明カバー110の後面を圧迫し、透明カバー110を変形させ得、これにより、例えば、透明カバー110の前面上の一時的な突起を作り出す。これは、例えば、透明カバー110の後面を、短時間、例えば、0.2秒間、圧迫し、その後、アクチュエータを収縮させることによってタップ又はクリックを生成するために用いられ得る。例えば、ボタンであって、その場所の上にユーザの指が配置されている、ボタンの機能を示すために、このようなタップが複数回連続して繰り返されてもよい。
【0048】
乗り物制御デバイス100はまた、接合材料126、例えば、接着テープ又は化学的付着材料を介して透明カバー110の後面に取り付けられた、フレーム124を備える。フレーム124は、さらに、例えば、接着テープ、化学的付着、及び/又は例えば、ラッチ若しくはフック、クリップ、又は同様のものを用いた、機械的付着を通じて、乗り物のドアのアームレスト102に取り付けられている。別の例では、ディスプレイモジュール104はまた、アームレスト102及び/又はフレーム124に取り付けられ得る。代替的に、又は追加的に、アームレスト102及び/又はフレーム124はディスプレイモジュール104のための機械的支持を与え得る。
【0049】
図1bは、本発明の一実施形態に係る乗り物制御デバイス、例えば、乗り物制御デバイス100の組み立てのための一例の分解図を示す。透明カバー110は接合材料126を介してフレーム124に取り付けられている。接合材料126は、例えば、透明カバー110の後面の縁部に隣接した外部接触ゾーンと、フレーム124上の合わせ面との間に与えられ得る。接合材料126は、外部接触ゾーン全体にわたって、又は外部接触ゾーン内の孤立した場所において与えられ得る。
【0050】
アームレスト102は、乗り物制御デバイス100が装着されることになる、開口部130を有する凹部128を含む保持部分を含む。凹部128は、フレーム124及び透明カバー110を収容するように構成され得、フレームはアームレスト102に取り付けられている。別の例では、乗り物制御デバイスはフレーム124を備えなくてもよく、透明カバー110はアームレスト102に直接取り付けられ得る。好ましくは、凹部128は、透明カバー110がアームレスト102の隣接した表面と滑らかな表面を形成するように形状設定されている。開口部130は、ディスプレイモジュール104を収容するように構成され得る。
【0051】
ディスプレイモジュール104は、例えば、ディスプレイモジュール104のディスプレイ接触ゾーンと透明カバー110の内部接触ゾーンとの間に適用され得る、接合材料120を用いて透明カバー110に取り付けられている。接合材料126と同様に、接合材料120は2つの接触ゾーン全体にわたって適用され得るか、又は2つの接触ゾーンの間の孤立した場所において与えられ得る。ディスプレイモジュール104は、透明カバー110をフレーム124に取り付け、及び/又はフレーム124をアームレスト102に取り付ける前、又はその後に、透明カバー110に取り付けられ得る。
【0052】
一例では、フレーム124は、まず、透明カバー110に取り付けられ、その後、フレーム124は、透明カバー110及びフレーム124を凹部128内に配置することによってアームレスト102に取り付けられる。最後に、ディスプレイモジュール104が、凹部128内に装着された透明カバー110を通して見たときに後方から孔130を通して挿入され、透明カバー110に取り付けられる。
【0053】
図2は、アームレスト102、及び例えば、図1bを参照して上述されたとおりの、アームレスト102に取り付けられた、本発明の一実施形態に係る乗り物制御デバイス、例えば、乗り物制御デバイス100を備える乗り物のドア200の一例を示す。他の例では、乗り物制御デバイス100はまた、乗り物のドア200の他の部分、例えば、アームレスト102の上方又は下方のドアトリム部分に取り付けられ得る。
【0054】
図3a~図3dは、各々がアームレスト102に取り付けられた、本発明の様々な実施形態に係る乗り物制御デバイスの異なる例を示す。図3aには、上述された乗り物制御デバイス100と同様である、乗り物制御デバイス300が示されている。加えて、乗り物制御デバイス300は、透明カバー110の下に配置されており、例えば、透明カバー又はアームレスト102の後面上の表面に取り付けられ得る、近距離無線通信チップ302を備える。乗り物制御デバイス300の透明カバー110は、2つの平坦面306及び308を接続する、屈曲又は湾曲面部分304を含む。ディスプレイモジュール104(図示されていない)は、例えば、平坦面306の下に配置され得る。別の例では、ディスプレイモジュール104の前面もまた、例えば、フレキシブルOLEDディスプレイを用いて、平坦面及び屈曲面部分を含み得、平坦面306及び屈曲面部分304の下に配置され得る。近距離無線通信チップ302は、例えば、ディスプレイの視界を妨げることなく近距離無線通信デバイスへの接続を促進するために、例えば、第2の平坦面308の下に配置され得る。加えて、表面110は、図3aにおける表面110上の破線によって示されるとおりの追加の屈曲及び/又は平坦面部分を包含することができる。
【0055】
図3bは、図3aの乗り物制御デバイス300と同様である、乗り物制御デバイス320を示す。加えて、乗り物制御デバイス320の透明カバー110の前面は、別の屈曲面部分を通じて表面304、306及び/又は308に接続され得る側面322を含む。側面322は、例えば、隣接した内装トリム部分、例えば、アームレスト102の上方のドアトリム部分324に接続され得る。
【0056】
図3cは、透明カバー110の前面上の触覚フィードバック区域が乗り物制御デバイス300とは異なる、乗り物制御デバイス330を示す。乗り物制御デバイス300の触覚フィードバック区域が長方形形状を有し、例えば、粗面化された表面を有し得るのに対して、乗り物制御デバイス330の触覚フィードバック区域は丸い形状を有し、乗り物制御デバイス330の透明カバー110の前面は触覚フィードバック区域の各々において凹部又はくぼみのような3D形状を呈する。さらに、触覚フィードバック区域の数は異なってもよく、例えば、乗り物制御デバイス330は、近距離無線通信チップ302の代わりに第5の触覚フィードバック区域を表面308上に備え得る。対応して、ディスプレイもまた、平坦面306から屈曲面部分304を経由して平坦面308へ延び得る。
【0057】
図3dには、本発明の別の実施形態に係る乗り物制御デバイス340が示されている。乗り物制御デバイス300と同様に、乗り物制御デバイス340の透明カバー110は4つの長方形触覚フィードバック区域を含む。これは、例えば、例として、触覚フィードバック区域の下に表示され得る、4つの乗り物のドアのための側窓制御手段を表すことができる。他の例では、透明カバーは異なる数の触覚フィードバック区域を含み得る。本例では、触覚フィードバック区域内の透明カバー110の前面は、例えば、前面内の溝、又は突起線であり得る、平行線から成る規則的な表面パターンを呈する。さらに、線の向きは異なる触覚区域内で異なってもよく、これにより、ユーザが、目を向けなくとも触覚区域を区別することを可能にする。図3dに示される例では、線は、それぞれの触覚区域から見たときに透明カバー110の前面の中心に向かう方向と垂直である。
【0058】
図4は、本発明の一実施形態に係るグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。グラフィカルユーザインターフェースは、層構造、例えば、乗り物機能の異なるセットを制御するために各々用いられ得る、4つの異なる層402、404、406、及び408を有するメニューを含む。グラフィカルユーザインターフェースは、2つの区分、メニューのそれぞれの層を表示する、及びそれぞれの乗り物機能を制御するための第1の区分、並びに例えば、前面の対応する部分上のスワイプによる、メニューの異なる層の間のナビゲーションのための第2の区分に分割されている。透明カバー110の前面は、例えば、ユーザが、乗り物制御デバイスに目を向けることなく2つの区分の位置を特定することができるよう、2つの区分の間に配置された触覚フィードバック区域を含み得る。
【0059】
乗り物制御デバイスの操作を促進するために、各層は、関連する乗り物機能のセット、例えば、層404にあるような、モータフード解除及びトランク解除のような類似した機能、或いはシート調整及びシートヒータを制御する、同じデバイス、例えば、層406にあるような乗り物のシートに関連付けられた機能を含み得る。さらに、メニューは、乗り物制御デバイスの場所、例えば、ドアに関連付けられた機能が、乗り物制御デバイスの起動及び/又は活動化時に表示されるデフォルト層であり得、それゆえ、通常、アクセス可能である、1次層内に包含されるように構造化され得る。例えば、層402は、サイドミラー制御手段、ドアロック及びロック解除ボタン、給油口解除ボタン、及び窓制御手段を包含し得る。他の機能は、例えば、ナビゲーション区分上のスワイプによってのみアクセス可能である2次層内にあってもよい。層の各々における項目は、特定の乗り物機能、例えば、ドアロック及びロック解除を活動化するボタンであってもよく、或いはそれぞれの乗り物機能を制御するための制御手段、例えば、サイドミラー制御手段を有するメニューの追加の副層へつながっていてもよい。
【0060】
図5aは、本発明の例示的な実施形態に係る、透明カバー基板の屈曲を含む、乗り物制御デバイス、例えば、乗り物制御デバイス100の、その製造を示すための、組み立ての分解図を概略的に示す。図5bに、組み立てられた乗り物制御デバイスが示されている。アームレスト102は、図1bに示されたものと同様であり、開口部130を有する凹部128を含む保持部分を含む。例えば、ガラス及び/又は透明ポリマーを含み得、1つ以上の触覚フィードバック区域をもとから呈し得る、透明カバー基板500が凹部128上に配置される。加えて、透明カバー基板500をアームレスト102に取り付けるために、接合材料126が凹部128と透明カバー基板500との間に配置され得る。本例では、フレームが用いられないが、他の例では、透明カバー基板500は、図1bに示されるものと同様のフレームに取り付けられてもよい。
【0061】
透明カバー基板500を屈曲させ、透明カバー110を形成し、透明カバー110を、組み立てられた乗り物制御デバイス内に固定するために、トリムベゼル502が用いられる。トリムベゼル502は、例えば、成形、鋳造、又は3D印刷によって、例えば、アルミニウムのような金属、或いはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、又はポリオキシメチレン(POM)のようなポリマーで作製され得る。トリムベゼル502は、例えば、留め具504を用いて機械的にアームレスト102に結合され得る。トリムベゼル502を凹部128に向かって、凹部128上に配置された透明カバー基板500に押し付けることによって、透明カバー基板500を屈曲させることができ、これにより、透明カバー110を形成する。図3aを参照して上述されたように、透明カバー110は、例えば、図5bに示される例ではトリムベゼル502の下に隠されており、表面306及び308の間の破線によって示されている、屈曲面部分によって接続された2つの平坦面306及び308を有することができる。
【0062】
本明細書において開示される本発明の実施形態は単に例示目的のための特定の例を構成するにすぎない。本発明は、様々な仕方で、及び基礎をなす基本特性を変えることなく多くの変更を伴って実施することができる。したがって、本発明は後述のとおりの請求項によってのみ定義される。
図1a
図1b
図2
図3a-3d】
図4
図5a
図5b