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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】エラストマーの硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20240411BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20240411BHJP
   C08K 9/10 20060101ALI20240411BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20240411BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
C09D201/00
C08K5/14
C08K9/10
C08L71/02
C08L101/00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021547913
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2019079303
(87)【国際公開番号】W WO2020089128
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】18306433.6
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デ カンポ, フロリャン
(72)【発明者】
【氏名】ファントーニ, マッテオ
【審査官】宮内 弘剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-504955(JP,A)
【文献】特開平09-290145(JP,A)
【文献】特開2004-307765(JP,A)
【文献】特開2006-009010(JP,A)
【文献】特開2015-131894(JP,A)
【文献】特開平06-304469(JP,A)
【文献】国際公開第2017/046360(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0185809(US,A1)
【文献】特表2018-535829(JP,A)
【文献】特表2005-513257(JP,A)
【文献】特開2002-028848(JP,A)
【文献】特開2001-162515(JP,A)
【文献】特開2002-028872(JP,A)
【文献】特開2006-064059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K
C08L
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエラストマー[エラストマー(A)]と複数のマイクロカプセル[カプセル(M)]とを含む組成物[組成物(C)]であって、前記カプセル(M)が、架橋ポリマーシェルと、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1つの(パー)フルオロポリエーテル化合物[化合物(PFPE)]を含有するコアとを有し、前記鎖(R)が、少なくとも1つのエーテル結合及び少なくとも1つのフルオロカーボン部分を有する繰り返し単位の配列であり、
前記組成物(C)中の前記エラストマー(A)の量が、他の成分の量よりも多く、
前記カプセル(M)の量が、エラストマー(A)の100重量部を基準として、0.1~50phrの範囲である、
組成物(C)。
【請求項2】
前記化合物(PFPE)が、式(I):
-(CFX-O(R)(CFX-Y(I)
(式中:
- 互いに等しいか又は異なる、Y及びYは、F、Cl、及びC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から選択され;
- 互いに等しいか又は異なる、m及びnは、1以上の整数であり;
- 互いに等しいか又は異なる、X及びXは、F及びC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から選択され;
- Rは、前記鎖(R)である)
に従う、請求項1に記載の組成物(C)。
【請求項3】
前記鎖(R)が、
(i)-CFXO-(式中、Xは、F又はCFである);
(ii)-CFXCFXO-(式中、出現ごとに等しいか又は異なる、Xは、F又はCFであり、但し、Xの少なくとも1つは-Fである);
(iii)-CFCFCWO-(式中、互いに等しいか又は異なる、Wのそれぞれは、F、Cl、Hである);
(iv)-CFCFCFCFO-;
(v)-(CF-CFZ-O-(式中、jは、0~3の整数であり、Zは、一般式-O-R(f-a)-Tの基であり、ここで、R(f-a)は、0~10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルキレン鎖であり、前記繰り返し単位は、以下:Xのそれぞれが独立してF又はCFである、-CFXO-、-CFCFXO-、-CFCFCFO-、-CFCFCFCFO-の中から選択され、Tは、C~Cパーフルオロアルキル基である)
からなる群から独立して選択される繰り返し単位を含む、繰り返し単位の配列である、請求項1又は2に記載の組成物(C)。
【請求項4】
前記エラストマー(A)が、少なくとも1つの(パー)フッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含むフルオロエラストマーであり、前記(パー)フッ素化モノマーが、
- C~Cフルオロ-及び/又はパーフルオロオレフィン、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、ペンタフルオロプロピレン、及びヘキサフルオロイソブチレンなど;
- C~C含水素モノフルオロオレフィン、例えばフッ化ビニルなど;
- 1,2-ジフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)及びトリフルオロエチレン(TrFE);
- 式CH=CH-Rf0(式中、Rf0は、C~C(パー)フルオロアルキル又は1つ以上のエーテル基を有するC~C(パー)フルオロオキシアルキルである)に従う(パー)フルオロアルキルエチレン;
- クロロトリフルオロエチレン(CTFE)のような、クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C~Cフルオロオレフィン;
- 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-Cである)に従うフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CH=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-Cである)に従うヒドロフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOX(式中、Xは、1個以上のエーテル基を有するC~C12オキシアルキル、又はC~C12(パー)フルオロオキシアルキルである)に従うフルオロ-オキシアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOY(式中、Yは、C~C12アルキル若しくは(パー)フルオロアルキル、又はC~C12オキシアルキル若しくはC~C12(パー)フルオロオキシアルキルであり、前記Y基は、カルボン酸基又はスルホン酸基を、その酸、酸ハライド若しくは塩形態で含む)に従う官能性フルオロ-アルキルビニルエーテル;
- 式:
(式中、互いに等しいか又は異なる、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1個以上の酸素原子を含んでいてもよい、C~Cフルオロ-又はパー(ハロ)フルオロアルキル、例えば-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFである)
の(パー)フルオロジオキソール
からなる群から一般に選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項5】
前記エラストマー(A)が、
(1)VDFベースのコポリマーであって、VDFが、
(a)C~Cパーフルオロオレフィン、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロン(HFP)など;
(b)水素含有C~Cオレフィン、例えばフッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ヘキサフルオロイソブテン(HFIB)、式CH=CH-R(式中、Rは、C~Cパーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレンなど;
(c)ヨウ素、塩素及び臭素の少なくとも1つを含むC~Cフルオロオレフィン、例えばクロロトリフルオロエチレン(CTFE)など;
(d)式CF=CFOR(式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基である)の(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
(e)式CF=CFOX(式中、Xは、カテナリー酸素原子を含むC~C12((パー)フルオロ)-オキシアルキル、例えばパーフルオロ-2-プロポキシプロピル基である)の(パー)フルオロ-オキシ-アルキルビニルエーテル;
(f)式:
(式中、互いに等しいか又は異なる、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、フッ素原子及び1個又は2個以上の酸素原子を含んでいてもよい、C~C(パー)フルオロアルキル基、例えばとりわけ-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどからなる群から独立して選択される)
を有する(パー)フルオロジオキソール;
(g)式:
CF=CFOCFORf2
(式中、Rf2は、C~C(パー)フルオロアルキル;C~C環状(パー)フルオロアルキル;及び少なくとも1個のカテナリー酸素原子を含む、C~C(パー)フルオロオキシアルキルからなる群から選択される
を有する(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(MOVE);
(h)C-C非フッ素化オレフィン(Ol)、例えば、エチレン及びプロピレン;
(i)場合により(パー)フッ素化された、ニトリル(-CN)基を含むエチレン性不飽和化合物
からなる群から選択される少なくとも1つの追加のコモノマーと共重合させられているコポリマー;並びに
(2)TFEベースのコポリマーであって、TFEが、上で詳述されたような(c)、(d)、(e)、(g)、(h)及び(i)からなる群から選択される少なくとも1つの追加のコモノマーと共重合させられているコポリマー
の中で選択される、請求項に記載の組成物(C)。
【請求項6】
前記エラストマー(A)が、エラストマー中の塩素、ヨウ素及び臭素含量が、エラストマーの総重量に対して、0.001~10重量%であるような量で、塩素、ヨウ素及び臭素硬化部位の少なくとも1つを含む、請求項又はに記載の組成物(C)。
【請求項7】
前記カプセル(M)が、4μm~8μmの範囲の平均径を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項8】
前記カプセル(M)のコアと架橋ポリマーシェルとの間の重量比が、20/80~80/20の範囲である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項9】
前記カプセル(M)の架橋ポリマーシェルが、0.1μm~1.5μmの範囲の平均厚さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項10】
前記架橋ポリマーシェルが、重合させられるときに、少なくとも1つのモノマー若しくはポリマー、又はモノマー若しくはポリマーの混合物を架橋することによって得られ、
前記モノマーが、アクリレート,メタクリレート、ビニルエーテル、N-ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオーレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、及びペルオキシドからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有し、
前記ポリマーが、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリスルフィド、及びポリジメチルシロキサンの中で選択され、前記ポリマーが、アクリレート;メタクリレート;ビニルエーテル;N-ビニルエーテル;メルカプトエステル;チオーレン;シロキサン;エポキシ;オキセタン;ウレタン;イソシアネート、及びペルオキシドからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項11】
架橋系をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの架橋系が、少なくとも1つの有機過酸化物[過酸化物(O)]と少なくとも1つの多価不飽和化合物[化合物(U)]とを含む過酸化物ベースの架橋系であり、及び前記過酸化物(O)が、
- 例えばジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシドを含む、ジ(アルキル/アルリル)ペルオキシド;
- ジベンゾイルペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシドを含む、ジアシルペルオキシド;
- ジ-tert-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1,3,3-テトラメチルエチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンを含む、過カルボン酸及びエステル;
- とりわけジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2-フェノキシエチル)ペルオキシジカーボネート、ビス[1,3-ジメチル-3-(tert-ブチルペルオキシ)ブチル]カーボネート、t-ヘキシルペルオキシイソプロプリルカーボネート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートを含むペルオキシカーボネート、
- ペルケタール、例えば1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン及び2,2-ビス(tertブチルペルオキシ)ブタンなど;
- ケトンペルオキシド、例えばシクロヘキサノンペルオキシド及びアセチルアセトンペルオキシドなど;
- 有機ヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド(別称2-[(2-ヒドロペルオキシブタン-2-イル)ペルオキシ]ブタン-2-ペルオキソールと言われる)及びピナンヒドロペルオキシドなど;
- 油溶性アゾ開始剤、例えば2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2.4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2.4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シアノ-2-ブタン)、ジメチル-2,2’-アゾビスジメチルイソブチレート、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-l-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シアノ-2-ブタン)、ジメチル-2,2’-アゾビスジメチルイソブチレート、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(t-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(1,1)-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-ヒドロキシエチル]-プロプリオンアミド、2,2’-アゾビス(N、N’-ジメチレンイソブチルアミン)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロプリオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-5メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2’-アゾビス(2,2,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)
からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物(C)。
【請求項13】
組成物(C)中の過酸化物(O)の量が、エラストマーの100重量部に対して、0.1~15phrである、請求項12に記載の組成物(C)。
【請求項14】
化合物(U)が、
- 2つの炭素-炭素不飽和を含む化合物(U)であって、一般式:
(式中、互いに等しいか又は異なる、R、R、R、R、R及びRは、H又はC~Cアルキルであり;Zは、少なくとも部分的にフッ素化された、酸素原子を含有していてもよい、線状若しくは分岐のC~C18炭化水素基(アルキレン若しくはシクロアルキレン基を含む)、又は1つ以上のエーテル結合を含む(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基である)
を有するビス-オレフィン[ビス-オレフィン(OF)]からなる群から選択される化合物(U);並びに
- 3つの炭素-炭素不飽和を含む化合物(U)であって、
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Rcyのそれぞれは、H又は基-Rrcy若しくは-ORrcyから独立して選択され、Rrcyは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Jcyのそれぞれは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換シアヌレート化合物;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Risocyのそれぞれは、H又は基-Rrisocy若しくは-ORrisocyから独立して選択され、Rrisocyは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Jisocyのそれぞれは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換イソシアヌレート化合物;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Razのそれぞれは、H又は基-Rraz若しくは-ORrazから独立して選択され、Rrazは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Jazのそれぞれは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換トリアジン化合物;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Rphのそれぞれは、H、又は基-Rrph若しくは-ORrphから独立して選択され、Rrphは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Jphのそれぞれは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換ホスファイト化合物;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Rsiのそれぞれは、H又は基-Rrsi若しくは-ORrsiから独立して選択され、Rrsiは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、R’siのそれぞれは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキル基から独立して選択され、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Jsiのそれぞれは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換アルキルトリシロキサン;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Ranのそれぞれは、H又は基-Rran若しくは-ORranから独立して選択され、Rranは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Janのそれぞれは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
のN,N-二置換アクリルアミド化合
からなる群から選択される、化合物(U);並びに
- 4つ以上の炭素-炭素不飽和を含む化合物(U)であって、式
のトリス(ジアリルアミン)-s-トリアジン、
ヘキサ-アリルホスホルアミド、N,N,N’,N’-テトラ-アリルテレフタルアミド、N,N,N’,N’-テトラ-アリルマロンアミドから選択される、化合物(U)
からなる群から選択される、請求項12又は13に記載の組成物(C)。
【請求項15】
組成物(C)中の化合物(U)の量が、エラストマーの100重量部に対して、0.1~20phrのものである、請求項1214のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項16】
前記架橋系が、少なくとも1つのポリヒドロキシル化化合物と、少なくとも1つの促進剤と、ZnO、MgO、PbO、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの塩基性金属酸化物とを含むイオンベースの架橋系である、請求項11に記載の組成物(C)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのエラストマー(A)を複数の前記カプセル(M)と混合する工程を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物(C)の調製方法。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物(C)中に含有されるエラストマー(A)を硬化させる工程を含む造形品の製作方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法で得られる造形品であって、O(四角形)-リング、パッキン、ガスケット、ダイヤフラム、シャフトシール、バルブステムシール、ピストンリング、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、及びオイルシールを含む、シーリング物品、炭化水素流体及び燃料の送達のための導管を含む、フレキシブルホース又は他の品目からなる群から選択される造形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月31日出願の欧州特許出願第18306433.6号に対する優先権を主張するものであり、この出願の全体内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、低減した摩擦係数を有するエラストマーの硬化性組成物に及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エラストマー、特に(パー)フルオロエラストマーは、優れた耐熱性及び耐化学薬品性特性を持った材料であり、それらは、オイルシール、ガスケット、シャフトシール及びO-リングなどのシーリング物品であって、漏洩気密性、機械的特性、及び鉱油、作動液、溶剤又は様々な性質の化学剤などの物質への耐性が、広範囲の作業温度にわたって確保されなければならないシーリング物品の製造に一般に使用されている。
【0004】
硬い対向面に対するエラストマー滑りの摩擦挙動は、シーリング用途において非常に重要である。低い摩擦係数は、エラストマー製品のより長い持続時間及びランニング段階でのより少ないエネルギーの適用を提供するので望ましい。
【0005】
幾つかの試みが、エラストマーの摩擦係数を低減するという課題に取り組むために既に行われている。
【0006】
一般的なアプローチは、エラストマーへの低摩擦充填材の添加を伴った。そのような充填材の例は、PTFE、PFPE、二硫化モリブデン又は黒鉛である。
【0007】
例えば、米国特許第6,005,054号明細書は、フルオロエラストマーのイオン又はラジカル硬化組成物中の添加物としてモノ-及び/又はジヒドロキシポリフルオロエーテルを組み入れることからなるフルオロエラストマー組成物の摩擦係数の改善方法を記載している。
【0008】
さらに、欧州特許第222 408号明細書は、フッ化ビニリデンをベースとするフルオロエラストマーの加硫性組成物にモノ-及び/又はジヒドロキシポリフルオロエーテルを導入することを記載している。
【0009】
その上このドメインにおいて、米国特許第4,278,776号明細書は、パーフルオロポリアミド及びパーフルオロポリエーテルとポリテトラフルオロエチレンとからなる混合物をフルオロエラストマーと混合することを記載している。
【0010】
しかしながら、より低い摩擦係数を有するエラストマー組成物を提供することは依然として必要であると感じられる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目標は、良好な機械的及び弾性特性を保ちながら、その間維持する、改善された摩擦係数を持ったエラストマーの硬化性組成物を提供することである。
【0012】
第1態様において、本発明は、少なくとも1つのエラストマー[エラストマー(A)]と複数のマイクロカプセル[カプセル(M)]とを含む組成物であって、前記カプセル(M)が、架橋ポリマーシェルと(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1つの(パー)フルオロポリエーテル化合物[化合物(PFPE)]を含有するコアとを有し、前記鎖(R)が、少なくとも1つのカテナリーエーテル結合及び少なくとも1つのフルオロカーボン部分を有する繰り返し単位の配列である組成物に関する。
【0013】
第2態様において、本発明は、上で定義されたような組成物(C)の調製方法であって、前記方法が、前記少なくとも1つのエラストマー(A)を、上で詳述されたような、前記複数のカプセル(M)と混合する工程を含む方法に関する。
【0014】
第3態様において、本発明は、上で定義された組成物(C)を硬化させる工程を含む造形品の製作方法に関する。
【0015】
第4態様において、本発明は、上で特定された方法で得られた造形品であって、前記造形品が、O(四角形)-リング、パッキン、ガスケット、ダイヤフラム、シャフトシール、バルブステムシール、ピストンリング、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、及びオイルシールなどの、シーリング物品、特に、炭化水素流体及び燃料の送達のための導管などの、フレキシブルホース又は他の品目からなる群から選択される造形品に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的のためには、用語「エラストマー」は、真のエラストマーを得るための基礎構成要素として働くポリマー樹脂を示すことが意図される。
【0017】
真のエラストマーは、それらの固有の長さの2倍まで、室温で、引き伸ばすことができる、及び5分間張力下にそれらを保持した後にそれらが解放されるとすぐに、同時にそれらの最初の長さの10%以内に戻る材料と、ASTM,Special Technical Bulletin,No.184標準によって定義されている。
【0018】
用語「(パー)フルオロエラストマー」は、特に、10重量%超、好ましくは30重量%超の、少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(本明細書では以下、(パー)フッ素化モノマー)に由来する繰り返し単位と、任意選択的に、フッ素原子を含まない少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(本明細書では以下、含水素モノマー)に由来する繰り返し単位とを含む、完全に又は部分的にフッ素化されたエラストマーを示すことが意図される。
【0019】
表現「多価不飽和化合物」は、2つ以上の炭素-炭素不飽和を含む化合物を示すことが意図される。
【0020】
「phr」単位で表される任意の量は、エラストマーの100重量部を基準としている。
【0021】
本説明において、例えば、「組成物(C)」及び「エラストマー(A)」のような、式又は式の部分を特定する化合物の名前、記号又は数の前後の括弧「(…)」の使用は、単にそれらの名前、記号又は数を残りの本文からより良く区別するという目的を有するのみであり;したがって、前記括弧はまた省略することができよう。
【0022】
好ましくは、カプセル(M)の量は、エラストマー(A)の100重量部を基準として、0.1~50phr、好ましくは2~10phr、より好ましくは3~5phrの範囲である。
【0023】
エラストマー(A)
エラストマー(A)は、飽和及び不飽和ゴムから選択され得る。不飽和ゴムの中で、エラストマー(A)は、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル/ブタジエンゴム(HNBR)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレン、ポリブタジエン(BR)、ポリクロロプレン(CR)、イソブチレン/イソプレンゴム(IIR)、ポリウレタン(PU)から選択され得る。飽和ゴムの中で、エラストマー(A)は、エチレンプロピレンゴム(EPM)、シリコーン、フルオロシリコーン、ポリアクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリン(ECO)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、クロロポリエチレン(CM)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、(パー)フルオロエラストマーから選択され得る。エラストマー(A)は、また、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性加硫物(TPV)及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)から選択され得る。
【0024】
好ましい実施形態によれば、エラストマー(A)は、(パー)フルオロエラストマーである。上で定義されたように、(パー)フルオロエラストマーは、少なくとも1つの(パー)フッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含む。好ましくは、前記(パー)フッ素化モノマーは、
- C~Cフルオロ-及び/又はパーフルオロオレフィン、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、ペンタフルオロプロピレン、及びヘキサフルオロイソブチレンなど;
- C~C含水素モノフルオロオレフィン、例えばフッ化ビニルなど;
- 1,2-ジフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)及びトリフルオロエチレン(TrFE);
- 式CH=CH-Rf0(式中、Rf0は、C~C(パー)フルオロアルキル又は1個以上のエーテル基を有するC~C(パー)フルオロオキシアルキルである)に従う(パー)フルオロアルキルエチレン;
- クロロトリフルオロエチレン(CTFE)のような、クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C~Cフルオロオレフィン;
- 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-Cである)に従うフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CH=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-Cである)に従うヒドロフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOX(式中、Xは、C~C12オキシアルキル、又は1個以上のエーテル基を有するC~C12(パー)フルオロオキシアルキルである)に従うフルオロ-オキシアルキルビニルエーテル;特に式CF=CFOCFORf2(式中、Rf2は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-Cであるか又は-C-O-CFのような、1個以上のエーテル基を有するC~C(パー)フルオロオキシアルキルである)に従う(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル;
- 式CF=CFOY(式中、Yは、C~C12アルキル若しくは(パー)フルオロアルキル、又はC~C12オキシアルキル若しくはC~C12(パー)フルオロオキシアルキルであり、前記Y基は、カルボン酸基又はスルホン酸基を、その酸、酸ハライド若しくは塩形態で含む)に従う官能性フルオロ-アルキルビニルエーテル;
- 式:
(式中、互いに等しいか又は異なる、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1つ以上の酸素原子を任意選択的に含む、C~Cフルオロ-又はパー(ハロ)フルオロアルキル、例えば-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFである)
の(パー)フルオロジオキソール
からなる群から選択される。
【0025】
(パー)フルオロエラストマーは、また、少なくとも1つの含水素モノマーに由来する繰り返し単位を含み得る。含水素モノマーの例は、とりわけ、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどの、水素化アルファ-オレフィン、ジエンモノマー、スチレンモノマーであり、アルファ-オレフィンが典型的には使用される。
【0026】
(パー)フルオロエラストマーは、一般に、非晶質製品、又は低い結晶化度(20体積%未満の結晶相)及び室温未満のガラス転移温度(T)を有する製品である。ほとんどの場合、(パー)フルオロエラストマーは、有利には、10℃未満、好ましくは5℃未満、より好ましくは0℃未満のTを有する。
【0027】
好ましくは、(パー)フルオロエラストマーは、
(1)VDFベースのコポリマーであって、VDFが、
(a)C~Cパーフルオロレフィン、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)など;
(b)水素含有C~Cオレフィン、例えばフッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ヘキサフルオロイソブテン(HFIB)、式CH=CH-R(式中、Rは、C~Cパーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレンなど;
(c)ヨウ素、塩素及び臭素の少なくとも1つを含むC~Cフルオロオレフィン、例えばクロロトリフルオロエチレン(CTFE)など;
(d)式CF=CFOR(式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基、好ましくはCF、C、Cである)の(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
(e)式CF=CFOX(式中、Xは、カテナリー酸素原子を含むC~C12((パー)フルオロ)-オキシアルキル、例えばパーフルオロ2-プロポキシプロピル基である)の(パー)フルオロ-オキシ-アルキルビニルエーテル;
(f)式:
(式中、互いに等しいか又は異なる、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、フッ素原子、及び1個又は2個以上の酸素原子を任意選択的に含む、C~C(パー)フルオロアルキル基、例えばとりわけ-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFからなる群から独立して選択される)
を有する(パー)フルオロジオキソール;好ましくはパーフルオロジオキソール;
(g)式:
CF=CFOCFORf2
(式中、Rf2は、C~C(パー)フルオロアルキル;C~C環状(パー)フルオロアルキル;及び少なくとも1個のカテナリー酸素原子を含む、C~C(パー)フルオロオキシアルキルからなる群から選択され;Rf2は、好ましくは、-CFCF(MOVE1);-CFCFOCF(MOVE2);又は-CF(MOVE3)である)
を有する(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(本明細書では以下、MOVE);
(h)C~C非フッ素化オレフィン(Ol)、例えば、エチレン及びプロピレン;
(i)場合により(パー)フッ素化された、ニトリル(-CN)基を含むエチレン性不飽和化合物
からなる群から選択される少なくとも1つの追加のコモノマーと共重合させられているVDFベースのコポリマー;並びに
(2)TFEベースのコポリマーであって、TFEが、上で詳述されたような(c)、(d)、(e)、(g)、(h)及び(i)からなる群から選択される少なくとも1つの追加のコモノマーと共重合させられているTFEベースのコポリマー
の中で選択される。
【0028】
任意選択的に、本発明のエラストマーは、一般式:
(式中、互いに等しいか又は異なる、R、R、R、R、R及びRは、H又はC~Cアルキルであり;Zは、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された、酸素原子を任意選択的に含有する、線状若しくは分岐のC~C18炭化水素基(アルキレン又はシクロアルキレン基を含む)、又は1つ以上のカテナリーエーテル結合を含む(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基である)
を有するビス-オレフィン[ビス-オレフィン(OF)]に由来する繰り返し単位を含む。
【0029】
ビス-オレフィン(OF)は、好ましくは、式(OF-1)、(OF-2)及び(OF-3):
(式中、jは、2~10、好ましくは4~8の整数であり、互いに等しいか又は異なる、R1、R2、R3、R4は、H、F、又はC1~5アルキル若しくは(パー)フルオロアルキル基である);
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Aのそれぞれは、F、Cl、及びHから独立して選択され;互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Bのそれぞれは、F、Cl、H及びORから独立して選択され、ここで、Rは、部分的に、実質的に又は完全にフッ素化又は塩素化されることができる分岐又は直鎖アルキル基であり;Eは、エーテル結合が挿入されていてもよい、任意選択的にフッ素化された、2~10個の炭素原子を有する二価基であり;好ましくは、Eは、mが3~5の整数である、-(CF-基であり;(OF-2)タイプの好ましいビス-オレフィンは、FC=CF-O-(CF-O-CF=CFである);
(式中、E、A、及びBは、上で定義されたものと同じ意味を有し;互いに等しいか又は異なる、R5、R6、R7は、H、F又はC1~5アルキル若しくは(パー)フルオロアルキル基である)
に従うものからなる群から選択される。
【0030】
本発明の目的に好適な(パー)フルオロエラストマーの具体的な組成物の中で、以下の組成(モル%単位で):
(i)フッ化ビニリデン(VDF)35~85%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)10~45%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~30%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~15%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(ii)フッ化ビニリデン(VDF)50~80%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)5~50%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~20%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(iii)フッ化ビニリデン(VDF)20~30%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)10~30%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)及び/又はパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)18~27%、テトラフルオロエチレン(TFE)10~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(iv)テトラフルオロエチレン(TFE)50~80%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)20~50%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(v)テトラフルオロエチレン(TFE)45~65%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)20~55%、フッ化ビニリデン0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(vi)テトラフルオロエチレン(TFE)32~60%モル%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)10~40%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)20~40%、フルオロビニルエーテル(MOVE)0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(vii)テトラフルオロエチレン(TFE)33~75%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)15~45%、フッ化ビニリデン(VDF)5~30%、ヘキサフルオロプロペンHFP0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(viii)フッ化ビニリデン(VDF)35~85%、フルオロビニルエーテル(MOVE)5~40%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~30%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~40%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(ix)テトラフルオロエチレン(TFE)20~70%、フルオロビニルエーテル(MOVE)30~80%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~50%、ビス-オレフィン(OF)0~5%
を有する(パー)フルオロエラストマーを挙げることができる。
【0031】
本発明の目的に好適な(パー)フルオロエラストマーは、乳化又はマイクロエマルジョン重合、懸濁又はマイクロサスペンジョン重合、バルク重合及び溶液重合などの、任意の公知の方法によって調製することができる。
【0032】
(パー)フルオロエラストマーは、有利には、硬化部位を含み;硬化部位の選択は、それらが硬化において十分な反応性を確保するという条件で、特に決定的に重要であるわけではない。
【0033】
好ましくは、本発明の(パー)フルオロエラストマーは、塩素、ヨウ素及び臭素硬化部位の少なくとも1つを、それらの含量が、(パー)フルオロエラストマーの総重量に対して、0.001~10重量%の範囲であるような量で含む。ヨウ素及び臭素硬化部位が、それらが硬化速度を最大限にするので好ましい。許容される反応性を確保するために、(パー)フルオロエラストマー中のヨウ素及び/又は臭素の含量は、(パー)フルオロエラストマーの総重量に対して、少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.15重量%のものであるべきである。他方では、(パー)フルオロエラストマーの総重量に対して、好ましくは7重量%を超えない、より特に5重量%を超えない、又は4重量%さえを超えないヨウ素及び/又は臭素の量が、副反応及び/又は熱安定性への悪影響を回避するために一般に選択される。
【0034】
第1実施形態によれば、硬化部位は、(パー)フルオロエラストマー鎖の主鎖の末端基として含まれ、(パー)フルオロエラストマーは、好ましくは、重合媒体に、
- ヨウ素化及び/又は臭素化連鎖移動剤であって、好適な連鎖鎖移動剤が、典型的には、式R(I)(Br)(式中、Rは、1~8個の炭素原子を含有する(パー)フルオロアルキル又は(パー)フルオロクロロアルキルであり、一方、x及びyは、1≦x+y≦2の、0~2の整数である)のものである連鎖移動剤(例えば、米国特許第4243770号明細書(ダイキン工業株式会社)1981年1月6日及び米国特許第4943622号明細書(日本メクトロン株式会社)1990年7月24日を参照されたい);並びに
- とりわけ米国特許第5173553号明細書(AUSIMONT SRL)1992年12月22日に記載されているものなどの、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ヨウ化物及び/又は臭化物
のいずれかを添加することによって得られる。
【0035】
第2実施形態によれば、前記硬化部位は、以下のモノマー:
- 式(CSM-1):
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、AHfのそれぞれは、F、Cl、及びHから独立して選択され;BHfは、F、Cl、H及びORHf のいずれかであり、ここで、RHf は、部分的に、実質的に又は完全にフッ素化又は塩素化されることができる分岐又は直鎖アルキル基であり;互いに及び出現ごとに等しいか又は異なるWHfのそれぞれは、独立して、共有結合又は酸素原子であり;EHfは、任意選択的にフッ素化された、2~10個の炭素原子を有する二価基であり;RHfは、エーテル結合が挿入されていてもよい、部分的に、実質的に又は完全にフッ素化されることができる、分岐又は直鎖アルキル基であり;好ましくは、Eは、mが3~5の整数である、-(CF-基であり;XHfは、塩素、ヨウ素及び臭素からなる群から選択される、好ましくはヨウ素及び臭素からなる群から選択されるハロゲン原子である)
のハロゲン含有モノマー;
- (CSM-2)場合によりフッ素化された、シアニド基を含むエチレン性不飽和化合物
に由来する繰り返し単位の(パー)フルオロエラストマー鎖への組み入れによって(パー)フルオロエラストマー鎖の主鎖に結合したペンダント基として含まれる。
【0036】
タイプ(CSM1)の好ましいモノマーは、以下のもの;
(CSM1-A):
式:
(式中、mは、0~5の整数であり、nは、0~3の整数であり、但し、m及びnの少なくとも1つは0とは異なり、Rfiは、F又はCFである)
のヨウ素含有パーフルオロビニルエーテル;(とりわけ米国特許第4745165号明細書(AUSIMONT SPA)1988年5月17日、米国特許第4564662号明細書(MINNESOTA MINING)1986年1月14日及び欧州特許出願公開第199138A号明細書(ダイキン工業株式会社)1986年10月29日に記載されているような);及び
(CSM-1B):
式:
CX=CX-(CFCF-I
(式中、互いに等しいか又は異なる、X、X及びXのそれぞれは、独立して、H又はFであり;pは、1~5の整数である)
のヨウ素含有エチレン性不飽和化合物であって、これらの化合物の中で、CH=CHCFCFI、I(CFCFCH=CH、ICFCFCF=CH、I(CFCFCF=CHを挙げることができる、ヨウ素含有エチレン性不飽和化合物;
(CSM-1C):
式:
CHR=CH-Z-CHCHR-I
(式中、Rは、H又はCHであり、Zは、1個以上のエーテル酸素原子を任意選択的に含有する、線状若しくは分岐の、C~C18(パー)フルオロアルキレン基、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である)
のヨウ素含有エチレン性不飽和化合物であって、これらの化合物の中で、CH=CH-(CFCHCHI、CH=CH-(CFCHCHI、CH=CH-(CFCHCHI、CH=CH-(CFCHCHIを挙げることができる、ヨウ素含有エチレン性不飽和化合物;
(CSM-1D):
例えば、米国特許第4035565号明細書(DU PONT)1977年7月12日に記載されているブロモトリフルオロエチレン若しくはブロモテトラフルオロブテンなどの2~10個の炭素原子を含有するブロモ及び/若しくはヨードアルファ-オレフィン、又は米国特許第4694045号明細書(DU PONT)1987年9月15日に開示されている他の化合物ブロモ及び/若しくはヨードアルファ-オレフィン
である。
【0037】
タイプ(CSM2)の好ましいモノマーは、以下のもの:
(CSM2-A):
式CF=CF-(OCFCFXCN-O-(CF-CN(式中、XCNは、F又はCFであり、mは、0、1、2、3又は4であり;nは、1~12の整数である)のシアニド基を含有するパーフルオロビニルエーテル;
(CSM2-B):
式CF=CF-(OCFCFXCNm’-O-CF-CF(CF)-CN(式中、XCNは、F又はCFであり、m’は、0、1、2、3又は4である)のシアニド基を含有するパーフルオロビニルエーテル
である。
【0038】
本発明の目的に好適なタイプCSM2-A及びCSM2-Bの硬化部位含有モノマーの具体例は、とりわけ、米国特許第4281092号明細書(DU PONT)1981年7月28日、米国特許第4281092号明細書(DU PONT)1981年7月28日、米国特許第5447993号明細書(DU PONT)1995年9月5日及び米国特許第5789489号明細書(DU PONT)1998年8月4日に記載されているものである。
【0039】
前記第2実施形態による(パー)フルオロエラストマーは、一般に、(パー)フルオロエラストマーの全ての他の繰り返し単位の100モル当たり0.05~5モルの量でヨウ素-又は臭素含有モノマー(CSM-1)に由来する繰り返し単位を、上述のヨウ素及び/又は臭素重量含量を有利に確保するように、含む。
【0040】
化合物(PFPE)
前記のように、組成物(C)は、1つ又は2つ以上の化合物(PFPE)を含み得る。
【0041】
前記のように、化合物(PFPE)は、少なくとも1つのカテナリーエーテル結合及び少なくとも1つのフルオロカーボン部分を有する繰り返し単位の配列である(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]を含む。
【0042】
化合物(PFPE)中の末端基の性質は、特に限定されず;ハロゲンとは異なるヘテロ原子を含む官能基が(パー)フルオロカーボン末端基中に存在し得ることが一般に理解され;そのような官能基には、とりわけヒドロキシル基、アシルハライド基、カルボン酸基、エステル基、アミド基、エチレン性不飽和基、アクリル基、(ヘテロ)芳香族基等が含まれ得る。
【0043】
それにもかかわらず、ある種の好ましい実施形態によれば、化合物(PFPE)は、ハロゲンとは異なるいかなるヘテロ原子をも含まない(パー)フルオロカーボン末端基を有することが理解される。これらの実施形態によれば、化合物(PFPE)は、式(I):
-(CFX-O(R)(CFX*)-Y* (I)
(式中:
- 互いに等しいか又は異なる、Y及びY*は、F、Cl、及びC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から選択され、前記パーフルオロアルキル基は、好ましくは-CFであり;
- 互いに等しいか又は異なる、m及びnは、1以上の整数であり;
- 互いに等しいか又は異なる、X及びX*は、F及びC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から選択され、前記パーフルオロアルキルは、好ましくは-CFであり;
- Rは、上で詳述されたような、フロオロポリオキシアルケン鎖[鎖(R)]である)
に従う。
【0044】
鎖(R)は、好ましくは、
(i)-CFXO-(式中、Xは、F又はCFである);
(ii)-CFXCFXO-(式中、出現ごとに等しいか又は異なる、Xは、F又はCFであり、但し、Xの少なくとも1つは-Fである);
(iii)-CFCFCWO-(式中、互いに等しいか又は異なる、Wのそれぞれは、F、Cl、Hである);
(iv)-CFCFCFCFO-;
(v)-(CF-CFZ-O-(式中、jは、0~3の整数であり、Zは一般式-O-R(f-a)-Tの基であり、ここで、R(f-a)は、0~10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記繰り返し単位は、以下のもの:Xのそれぞれが独立してF又はCFである、-CFXO-、-CFCFXO-、-CFCFCFO-、-CFCFCFCFO-の中から選択され、Tは、C~Cパーフルオロアルキル基である)
からなる基から独立して選択される繰り返し単位を含む、より好ましくは繰り返し単位からなる配列である。
【0045】
好ましくは、鎖(R)は、以下の式:
(R-I)
-[(CFXO)g1(CFXCFXO)g2(CFCFCFO)g3(CFCFCFCFO)g4]-
(式中、
- Xは、-F及び-CFから独立して選択され、
- 互いに及び出現ごとに等しいか又は異なるX、Xは、独立して、-F、-CFであり、但し、Xの少なくとも1つは-Fであり;
- 互いに等しいか又は異なる、g1、g2、g3及びg4は、独立して、g1+g2+g3+g4が2~300、好ましくは2~100の範囲にあるような、0以上の整数であり;g1、g2、g3及びg4の少なくとも2つは、ゼロと異なるべきである)
に従う。
【0046】
より好ましくは、鎖(R)は、式:
(R-IIA) -[(CFCFO)a1(CFO)a2]-
(式中:
- a1及びa2は、独立して、数平均分子量が400~10,000、好ましくは1,000~8,000であるような0以上の整数であり;a1及びa2の両方は、好ましくは、ゼロとは異なり、比a1/a2は、好ましくは、0.1~10に含まれる);
(R-IIB) -[(CFCFCFO)]-
(式中:
- bは、数平均分子量が400~10,000、好ましくは1,000~8,000であるような0超の整数である);
(R-IIC) -[(CFCFCFCFO)]-
(式中:
- cは、数平均分子量が400~10,000、好ましくは1,000~8,000であるような0超の整数である);
(R-IID) -[(CFCFO)d1(CFO)d2(CF(CF)O)d3(CFCF(CF)O)d4]-
(式中:
d1、d2、d3、d4は、独立して、数平均分子量が400~10,000、好ましくは1,000~8,000であるような0以上の整数であり;好ましくは、d1は0であり、d2、d3、d4は、0超であり、比d4/(d2+d3)は、1以上である);
(R-IIE) -[(CFCFO)e1(CFO)e2(CF(CFewCFO)e3]-
(式中:
ew=1又は2であり;
e1、e2、及びe3は、独立して、数平均分子量が400~10,000、好ましくは1,000~8,000であるように選択される0以上の整数であり;好ましくは、e1、e2及びe3は、全て0超であり、比e3/(e1+e2)は、一般に、0.2より小さい);
(R-IIF) -[(CF(CF)CFO)]-
(式中:
fは、数平均分子量が400~10,000、好ましくは1,000~8,000であるような0超の整数である)
の鎖から選択される。
【0047】
鎖(R-IIA)、(R-IIB)、(R-IIC)及び(R-IIE)が特に好ましい。
【0048】
さらにより好ましくは、鎖(R)は、式(R-IIA)(式中:
- a1、及びa2は、数平均分子量が400~10,000、好ましくは1,000~8,000であるような0超の整数であり、比a1/a2は、一般に、0.1~10、より好ましくは0.2~5に含まれる)
に従う。
【0049】
カプセル(M)
前記のように、組成物(C)は、上で詳述されたように、架橋ポリマーシェルと前記少なくとも1つの化合物(PFPE)を含むコアとを有する複数のカプセル(M)を含む。
【0050】
前記カプセル(M)は、好ましくは4μm~8μmの範囲の、より好ましくは4μm~6μmの範囲の平均径を有する。
【0051】
前記カプセル(M)のコアと架橋ポリマーシェルとの重量比は、好ましくは20/80~80/20、より好ましくは30/70~40/60の範囲であり、さらにより好ましくは30/70である。
【0052】
前記カプセル(M)の架橋ポリマーシェルは、好ましくは0.1μm~1.5μmの範囲の、より好ましくは0.7μm~1.3μmの範囲の、さらにより好ましくは0.7μm~1.0μmの範囲の、最も好ましくは0.7μm~0.8μmの範囲の平均厚さを有する。
【0053】
前記カプセル(M)のポリマーシェルは、一般に、重合させられるときに、少なくとも1つのモノマー若しくはポリマー、又はモノマー若しくはポリマーの混合物を架橋することによって得られる。
【0054】
「モノマー又はポリマー」とは、単独で、又は他のモノマー若しくはポリマーと組み合わせて、重合によって固体材料を形成するのに好適な任意の構成単位と理解されるべきである。
【0055】
好ましくは、モノマーは、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N-ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオーレン(thiolen)、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、及びペルオキシドからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有するモノマーから選択される。より好ましくは、モノマーは、第一級、第二級及び第三級アルキルアミン、第四級アミン、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ヒドロキシル、カルボキシレート、及びハロゲンからなる群から選択される少なくとも1つの官能基をまた有するモノマーから選択される。
【0056】
好ましくは、前記ポリマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリスルフィド、及びポリジメチルシロキサンの中で選択され、前記ポリマーは、アクリレート;メタクリレート;ビニルエーテル;N-ビニルエーテル;メルカプトエステル;チオーレン;シロキサン;エポキシ;オキセタン;ウレタン;イソシアネート;及びペルオキシドからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する。そのようなポリマーの例は、国際公開第2017/046360号明細書(CALYXIA)に引用されており、その内容は、参照により本明細書によって援用される。
【0057】
第1実施形態において、前記モノマー又はポリマーの少なくとも1つは、pH感受性基、温度感受性基、UV感受性基又はIR感受性基を有し、その感受性基は、それぞれ、pH、温度、UV又はIR外部引き金によって刺激される場合に、カプセル(M)の破壊及びそれらの内容物のその後の放出を誘発する。それの例は、国際公開第2017/046360号明細書(CALYXIA)に記載されている。
【0058】
第2の代替的な実施形態において、前記ポリマーシェルは、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N-ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオーレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、及びペルオキシドからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基をそれらの表面上に有するナノ粒子を含有する。これらのナノ粒子は、外部電磁場によって刺激される場合に熱を発生させ、マイクロカプセルの破壊及びその内容物のその後の放出を誘発し得る。好適なナノ粒子は、金、銀、及び二酸化チタンナノ粒子(それらはIRフィールドに反応する)並びに酸化鉄ナノ粒子(それらは磁場に反応する)から選択され得る。
【0059】
架橋系
好ましくは、組成物(C)は、エラストマー(A)の硬化を促進することができる、少なくとも1つの架橋系を含む。
【0060】
第1実施形態によれば、前記少なくとも1つの架橋系は、少なくとも1つの有機過酸化物[過酸化物(O)]と少なくとも1つの多価不飽和化合物[化合物(U)]とを含む過酸化物ベースの架橋系である。
【0061】
前記過酸化物(O)の選択は、それが遷移金属触媒の助けを借りてラジカルを発生させることができるという条件で、特に決定的に重要であるわけではない。
【0062】
最も一般的に使用される過酸化物の中で、
- 例えばジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシドなどの、ジ(アルキル/アルリル)ペルオキシド;
- ジベンゾイルペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシドなどの、ジアシルペルオキシド;
- ジ-tert-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1,3,3-テトラメチルエチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンなどの、過カルボン酸及びエステル;
- とりわけジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2-フェノキシエチル)ペルオキシジカーボネート、ビス[1,3-ジメチル-3-(tert-ブチルペルオキシ)ブチル]カーボネート、t-ヘキシルペルオキシイソプロプリルカーボネート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートなどの、ペルオキシカーボネート;
- ペルケタール、例えば1,1.1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン及び2,2-ビス(tertブチルペルオキシ)ブタンなど;
- ケトンペルオキシド、例えばシクロヘキサノンペルオキシド及びアセチルアセトンペルオキシド;
- 有機ヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド(別称2-[(2-ヒドロペルオキシブタン-2-イル)ペルオキシ]ブタン-2-ペルオキソールと言われる)及びピナンヒドロペルオキシドなど;
- 油溶性アゾ開始剤、例えば2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2.4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2.4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シアノ-2-ブタン)、ジメチル-2,2’-アゾビスジメチルイソブチレート、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-l-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シアノ-2-ブタン)、ジメチル-2,2’-アゾビスジメチルイソブチレート、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(t-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(1,1)-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-ヒドロキシエチル]-プロプリオンアミド、2,2’-アゾビス(N、N’-ジメチレンイソブチルアミン)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロプリオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-5メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2’-アゾビス(2,2,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)
を挙げることができる。
【0063】
他の好適な過酸化物系は、欧州特許出願公開第136596A号明細書(MONTEDISON SPA)1985年4月10日及び欧州特許出願公開第410351A号明細書(AUSIMONT SRL)1991年1月30日に記載されているものであり、それらの内容は、参照により本明細書によって援用される。
【0064】
最も適切な過酸化物の選択は、とりわけ過酸化物(O)の10時間半減期温度を考慮して当業者によって行われる。
【0065】
好ましくは、過酸化物(O)の量は、エラストマー(A)の100重量部に対して、0.1~15phr、好ましくは0.2~12phr、より好ましくは1.0~7.0phrの範囲である。
【0066】
化合物(U)は、2つの炭素-炭素不飽和を含む化合物、3つの炭素-炭素不飽和を含む化合物及び4つ又は5つ以上の炭素-炭素不飽和を含む化合物の中で好ましくは選択される。
【0067】
2つの炭素-炭素不飽和を含む化合物(U)の中で、式(OF-1)、(OF-2)及び(OF-3)のいずれかに従うものから好ましくは選択される、上で詳述されたようなビス-オレフィン[ビス-オレフィン(OF)]を挙げることができる。
【0068】
3つの炭素-炭素不飽和を含む化合物(U)の中で、次のもの:
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しく又は異なる、Rcyのそれぞれは、H又は基-Rrcy若しくは-ORrcyから独立して選択され、Rrcyは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しく又は異なる、Jcyのそれぞれは、ヘテロ原子を任意選択的に含む、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換シアヌレート化合物であって、
とりわけ好ましいトリアリルシアヌレート、トリビニルシアヌレートを含む三置換シアヌレート化合物;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しく又は異なる、Risocyのそれぞれは、H又は基-Rrisocy又は-ORrisocyから独立して選択され、Rrisocyは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しく又は異なる、Jisocyのそれぞれは、ヘテロ原子を任意選択的に含む、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換イソシアヌレート化合物であって、
とりわけ好ましいトリアリルイソシアヌレート(別称「TAIC」と言われる)、トリビニルイソシアヌレートを含み、TAICが最も好ましい、三置換イソシアヌレート化合物;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Razのそれぞれは、H又は基-Rraz若しくは-ORrazから独立して選択され、Rrazは、場合によりハロゲンを含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Jazのそれぞれは、ヘテロ原子を任意選択的に含む、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換トリアジン化合物であって、
とりわけ欧州特許出願公開第0860436A号明細書(AUSIMONT SPA)1998年8月26日及び国際公開第97/05122号パンフレット(DU PONT)1997年2月13日に開示される化合物を含む三置換トリアジン化合物;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Rphのそれぞれは、H又は基-Rrph若しくは-ORrphから独立して選択され、Rrphは、場合によりハロゲンを含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Jphのそれぞれは、ヘテロ原子を任意選択的に含む、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換ホスファイト化合物であって、
とりわけ好ましいトリ-アリルホスファイトを含む三置換ホスファイト化合物;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Rsiのそれぞれは、H又は基-Rrsi若しくは-ORrsiから独立して選択され、Rrsiは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、R’siのそれぞれは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキル基から独立して選択され、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Jsiのそれぞれは、任意選択的にヘテロ原子を含む、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
の三置換アルキルトリシロキサンであって、とりわけ好ましい2,4,6-トリビニルメチルトリシロキサン及び2,4,6-トリビニルエチルトリシロキサンを含む三置換アルキルトリシロキサン化合物;
- 一般式:
(式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Ranのそれぞれは、H又は基-Rran若しくは-ORranから独立して選択され、Rranは、ハロゲンを場合により含む、C~Cアルキルであり、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Janのそれぞれは、任意選択的にヘテロ原子を含む、結合又は二価炭化水素基から独立して選択される)
のN,N-二置換アクリルアミド化合物であって、とりわけ好ましいN,N-ジアリルアクリルアミドを含むN,N-二置換アクリルアミド化合物
を挙げることができる。
【0069】
4つ以上の炭素-炭素不飽和を含む化合物(U)の中で、ヘキサ-アリルホスホルアミド、N,N,N’,N’-テトラ-アリルテレフタルアミド、N,N,N’,N’-テトラ-アリルマロンアミド及び式:
のトリス(ジアリルアミン)-s-トリアジンを挙げることができる。
【0070】
好ましくは、化合物(U)は、(i)ビス-オレフィン(OF)、特にタイプ(OF-1)のもの;及び(ii)三置換イソシアヌレート化合物、特にTAICからなる群から選択される。
【0071】
好ましくは、化合物(U)の量は、エラストマー(A)の100重量部に対して、0.1~20phr、好ましくは1~15phr、より好ましくは1~10phrの範囲である。
【0072】
第2実施形態によれば、前記少なくとも1つの架橋系は、少なくとも1つのポリヒドロキシル化化合物と、少なくとも1つの促進剤と、少なくとも1つの塩基性金属酸化物とを含むイオンベースの架橋系である。
【0073】
前記少なくとも1つのポリヒドロキシル化化合物は、芳香族及び脂肪族ポリヒドロキシル化化合物、又はそれらの誘導体の中で選択され得;それらの例は、とりわけ、欧州特許出願公開第335705A号明細書(MINNESOTA MINING)1989年10月4日及び米国特許第4233427号明細書(RHONE POULENC IND)1980年11月11日に記載されている。
【0074】
ポリヒドロキシル化化合物の量は、エラストマー(A)の100重量部に対して、好ましくは少なくとも0.5phr、より好ましくは少なくとも1phr、及び好ましくは最大でも15phr、より好ましくは最大でも10phrである。
【0075】
前記少なくとも1つの促進剤は、好ましくは、有機オニウム化合物、アミノ-ホスホニウム誘導体、ホスホラン、イミン化合物からなる群から選択される。促進剤の例としては、とりわけ欧州特許出願公開第335705A号明細書(MINNESOTA MINING)1989年10月4日及び米国特許第3876654号明細書(DUPONT)1975年4月8日に記載されているような第四アンモニウム又はホスホニウム塩;とりわけ米国特許第4259463号明細書(MONTEDISON SPA)1981年3月31日に記載されているようなアミノホスホニウム塩;とりわけ米国特許第3752787号明細書(DUPONT)1973年8月14日に記載されているようなホスホラン;欧州特許出願公開第0120462A号明細書(MONTEDISON SPA)1984年10月3日に記載されているような又は欧州特許出願公開第0182299A号明細書(ASAHI CHEMICAL)1986年5月28日に記載されているようなイミン化合物が挙げられる。
【0076】
促進剤の量は、エラストマー(A)の100重量部に対して、好ましくは少なくとも0.05phr、より好ましくは少なくとも0.1phr、及び好ましくは最大でも10phr、より好ましくは最大でも5phrである。
【0077】
前記少なくとも1つの塩基性金属酸化物は、例えば、ZnO、MgO、PbO、及びそれらの混合物などの二価金属酸化物からなる群から好ましくは選択され、MgOが好ましい。
【0078】
塩基性金属酸化物の量は、エラストマー(A)の100重量部に対して、好ましくは少なくとも0.5phr、より好ましくは少なくとも1phr、及び好ましくは最大でも25phr、より好ましくは最大でも15phr、さらにより好ましくは最大でも10phrである。
【0079】
この第2実施形態による組成物(C)は、少なくとも1つの金属水酸化物を任意選択的に含み、但し、前記金属水酸化物が存在する場合、その量は、エラストマー(A)の100重量部を基準として、好ましくは6phr未満、より好ましくは3phr未満である。使用することができる水酸化物は、一般に、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)からなる群から選択される。
【0080】
前記第2実施形態による組成物(C)の性能は最適化することができ、ここで、金属水酸化物の量は、エラストマー(A)の100重量部を基準として、金属水酸化物が使用されない場合を含めて、有利には2.5phr未満、好ましくは2phr未満、より好ましくは1phr未満であることが一般的に理解される。
【0081】
第3実施形態によれば、前記少なくとも1つの架橋系は、ニトリルベースの架橋系である。
【0082】
組成物(C)に含まれる架橋系がどれであるとしても、他の従来の添加剤、例えば充填材、増粘剤、顔料、酸化防止剤、安定剤、加工助剤/可塑剤等などが存在し得る。カーボンブラックが、有利な強化系として多くの場合使用される。
【0083】
参照により本明細書に援用される特許、特許出願及び刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0084】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願及び刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【0085】
本発明は、これから、以下の実施例に関連してより詳細に説明されるが、その目的は、例示的であるにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0086】
原材料
Tecnoflon(登録商標)P 457は、Solvay Specialty Polymers Italyから商業的に入手可能なヨウ素含有過酸化物硬化性フルオロエラストマーである。
【0087】
Luperox(登録商標)101XL45は、Arkemaから商業的に入手可能な2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンである。
【0088】
Drimix(登録商標)TAIC75は、Fincoから商業的に入手可能な1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンである。
【0089】
Fomblin(登録商標)YR 1800は、Solvay Specialty Polymers Italyから商業的に入手可能なパーフルオロポリエーテルである。
【0090】
ポリエポキシシェル、Fomblin(登録商標)YR 1800 PFPE含有コア、30/70のコア/シェル重量比、4μmの平均径及び0.7μmの平均シェル厚さを有するカプセルは、国際公開第2017/046360号パンフレット及び仏国特許第3059666号明細書に記載されている方法を用いて製造された。
【0091】
4μmの平均径及び0.7μmの平均シェル厚さを有する、ポリエポキシシェルの及び内部が空のカプセルは、国際公開第2017/046360号パンフレット及び仏国特許第3059666号明細書に記載されている方法を用いて製造された。前記カプセルはまた、「空のカプセル」とも言われる。
【0092】
方法
成形プロセス
Ex.1、Ex.2C、3C及び4Cの機械的に混合された組成物を、160℃で10分間成形プロセスにかけた。
【0093】
後硬化プロセス
成形後に、Ex.1、Ex.2C、3C及び4Cの機械的に混合された組成物を、230℃で4時間後硬化プロセスにかけた。
【0094】
レオロジー測定
レオロジー測定は、MDRを使って170℃で6分間実施した。
【0095】
摩耗試験
摩耗サイクルは、1.5kgの重り及びH-22研磨用材料の消しゴムを使ってリニアテイバー試験機(TABER(登録商標)Linear Abraser (Abrader)-モデル5750)を用いて行った。
【0096】
接触角
接触角は、成形及び後硬化後の無垢の試料に関して及び100サイクルの摩耗後の同じ試料に関してASTM D7334に従って測定した。前記測定は、23℃の温度で行った。
【0097】
SRV摩擦測定
摩擦係数(μ)は、成形及び後硬化後の無垢の試料に関してASTM G99に従って測定した。前記測定は、カウンターパートとしての役割を果たす10mmの直径の鋼100Cr6(AISI L3鋼に近い、独国標準100Cr6)製の球を使って50℃の温度で行った。球を、59±1HRCの硬度を得るために熱処理した。鋼球の表面をRa=0.47μmの算術平均粗さで研磨した。球に20Nの荷重により負荷をかけ、球を、50Hzの周波数及び1mmの振動長さで材料表面に作用させた。試験の全継続時間は120分であった。摩擦係数(μ)は、最初の30分の平均として及び最後の30分(90分から120分まで)の平均として測定した。
【0098】
圧縮永久歪み
圧縮永久歪みは、ASTM D395 Bに従って試験した。前記測定は、200℃の温度で70時間行った。
【0099】
機械的特性測定
前記測定は、ASTM D412 Type Cに従って行った。
【0100】
試料の調製
実施例1(Ex.1)
Fomblin YR 1800 PFPE含有コア(5phr)のカプセルを、Luperox(登録商標)101XL45(3phr)及びDrimix(登録商標)TAIC75(4phr)と一緒に開放形ミルでTecnoflon(登録商標)P 457の断片と機械的に混合した。そのようにして得られた機械的に混合された組成物を成形し、後硬化させた。
【0101】
比較の実施例2(Ex.2C)
Luperox(登録商標)101XL45(3phr)及びDrimix(登録商標)TAIC75(4phr)を、開放形ミルでTecnoflon(登録商標)P 457の断片と機械的に混合した。そのようにして得られた機械的に混合された組成物を成形し、後硬化させた。
【0102】
比較の実施例3(Ex.3C)
空のカプセル(5phr)を、Luperox(登録商標)101XL45(3phr)及びDrimix(登録商標)TAIC75(4phr)と一緒に開放形ミルでTecnoflon(登録商標)P 457の断片と機械的に混合した。そのようにして得られた機械的に混合された組成物を成形し、後硬化させた。
【0103】
比較の実施例4(Ex.4C)
Fomblin(登録商標)YR 1800(1.5phr)を、Luperox(登録商標)101XL45(3phr)及びDrimix(登録商標)TAIC75(4phr)と一緒に開放形ミルでTecnoflon(登録商標)P 457の断片と機械的に混合した。そのようにして得られた機械的に混合された組成物を成形し、後硬化させた。
【0104】
実験結果
表1は、実施例1及び比較の実施例2~4のレオロジー特性及び機械的特性、圧縮永久歪み、接触角並びに摩擦係数を示す。
【0105】
【0106】
上記の結果は、Ex.1の試料が、Ex.2C、3C及び4Cの試料に対して長い期間でより低い摩擦係数μを有することを示す。上記の結果は、また、Ex.1の試料が、硬化反応、機械的特性及び弾性特性への影響なしに摩耗後により高い疎水性(すなわち、より大きい接触角)を有することを示す。