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特許7470719通信ネットワークにおける無線通信に関連した方法、装置、および機械可読媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】通信ネットワークにおける無線通信に関連した方法、装置、および機械可読媒体
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20240411BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20240411BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20240411BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240411BHJP
【FI】
H04B7/0413 400
H04B7/06 950
H04B7/08 802
H04W16/28
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021576348
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2019066721
(87)【国際公開番号】W WO2020259798
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(72)【発明者】
【氏名】スタブリディス, アタナシオス
(72)【発明者】
【氏名】ロペス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ウィルヘルムソン, レイフ
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0149302(US,A1)
【文献】特表2018-506218(JP,A)
【文献】特開2012-204955(JP,A)
【文献】特表2017-528962(JP,A)
【文献】特開2017-005579(JP,A)
【文献】特開2017-092676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0413
H04B 7/06
H04B 7/08
H04W 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークに関連するノードによって実施される方法であって、前記無線通信ネットワークが、無線デバイス、無線アクセスネットワークノード、および1つまたは複数の無線光通信(LC)ネットワークノードを備えており、前記ノードが、前記無線デバイス、前記無線アクセスネットワークノード、および、前記無線アクセスネットワークノードに通信可能に結合された通信ネットワークノードのうちの1つであり、前記無線アクセスネットワークノードと前記無線LCネットワークノードの位置は関連付けられており、前記無線デバイスおよび前記無線アクセスネットワークノードのうちの少なくとも1つが、前記無線デバイスおよび前記無線アクセスネットワークノードのうちのもう一方と通信するための送信無線ビームまたは受信無線ビームを提供するように設定可能な複数のアンテナ要素を備え、前記複数のアンテナ要素が、複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームを提供するように設定可能であり、前記方法が、
前記無線デバイスが無線LC接続を確立した無線LCネットワークノードの標示を取得することと、
前記複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームの部分集合の信号尺度を取得することであって、前記複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームの部分集合が、標示された前記無線LCネットワークノードのカバレッジエリアに向けられた送信無線ビーム、あるいは標示された前記無線LCネットワークノードの前記カバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた受信無線ビームに対応する、ことと、
前記複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームの部分集合のうちの送信無線ビームまたは受信無線ビームが、前記無線アクセスネットワークノードと前記無線デバイスとの間の見通し線LoSに対応するか否かを、前記送信無線ビームまたは受信無線ビームの前記信号尺度と第1の閾値との間の比較に基づいて判定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の閾値が、前記無線デバイスと前記無線アクセスネットワークノードとの間の推定距離に基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の送信無線ビームまたは受信無線ビームが、複数のアナログビーム形成器と、複数のアナログ結合器と、ビーム形成器のデジタルコードブックと、結合器のデジタルコードブックと、のうちの1つまたは複数によって規定される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
標示された前記無線LCネットワークノードの前記カバレッジエリアに向けられていない、あるいは標示された前記無線LCネットワークノードの前記カバレッジエリアからの送信を受信するように向けられていない、1つまたは複数の送信無線ビームまたは受信無線ビームの1つまたは複数の信号尺度を取得することを更に含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
取得された前記1つまたは複数の信号尺度を、第2の閾値と比較して、RF通信が、標示された前記無線LCネットワークノードの前記カバレッジエリアに向けられていない、あるいは標示された前記無線LCネットワークノードの前記カバレッジエリアからの送信を受信するように向けられていない、前記1つまたは複数の送信無線ビームまたは受信無線ビームを使用可能であるか否かを判定することを更に含む、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
標示された前記無線LCネットワークノードの前記カバレッジエリアに向けられていない、あるいは標示された前記無線LCネットワークノードの前記カバレッジエリアからの送信を受信するように向けられていない、1つまたは複数の送信無線ビームまたは受信無線ビームの信号尺度を取得するステップが、前記無線アクセスネットワークノードと前記無線デバイスとの間にLoSが存在しないという判定に応答して実施される、
請求項またはに記載の方法。
【請求項7】
前記ノードが、前記無線アクセスネットワークノード、または、前記通信ネットワークノードである場合、無線LCネットワークノードの標示を取得するステップが、前記無線アクセスネットワークノードまたは前記通信ネットワークノードにおいて、前記無線LCネットワークノードの前記標示を含む前記無線デバイスからのメッセージを受信することを含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
信号尺度を取得するステップが、
前記1つまたは複数の送信無線ビームまたは受信無線ビームを使用して送信または受信された信号に対する測定を実施して、前記1つまたは複数の送信無線ビームまたは受信無線ビームごとの前記信号尺度のそれぞれの値を取得することを含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記信号尺度が、受信信号強度、受信信号出力、受信信号品質、信号対ノイズ比、ならびに信号対ノイズおよび干渉比のうちの1つまたは複数を含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
LoS送信無線ビームまたは受信無線ビームを利用して、前記無線デバイスと前記無線アクセスネットワークノードとの間のフライト時間の測定を実施することを更に含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
無線通信ネットワークに関係するノードの処理回路によって実行される命令を記憶する非一時的な機械可読記憶媒体であって、前記無線通信ネットワークが、無線デバイス、無線アクセスネットワークノード、および1つまたは複数の無線光通信(LC)ネットワークノードを備えており、前記ノードが、前記無線デバイス、前記無線アクセスネットワークノード、および、前記無線アクセスネットワークノードに通信可能に結合された通信ネットワークノードのうちの1つであり、前記無線アクセスネットワークノードと前記無線LCネットワークノードの位置は関連付けられており、前記無線デバイスおよび前記無線アクセスネットワークノードのうちの少なくとも1つが、前記無線デバイスおよび前記無線アクセスネットワークノードのうちのもう一方と通信するための送信ビームまたは受信無線ビームを提供するように設定可能な複数のアンテナ要素を備え、前記複数のアンテナ要素が、複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームを提供するように設定可能であり、前記処理回路による前記命令の実行が、前記ノードに、
前記無線デバイスが無線LC接続を確立した無線LCネットワークノードの標示を取得することと、
前記複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームの部分集合のために信号尺度を取得することであって、前記複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームの部分集合が、標示された前記無線LCネットワークノードのカバレッジエリアに向けられた送信無線ビーム、あるいは標示された前記無線LCネットワークノードの前記カバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた受信無線ビームに対応する、こと
前記複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームの部分集合のうちの送信無線ビームまたは受信無線ビームが、前記無線アクセスネットワークノードと前記無線デバイスとの間の見通し線LoSに対応するか否かを、前記送信無線ビームまたは受信無線ビームの前記信号尺度と第1の閾値との間の比較に基づいて判定することと、
を行わせる、
非一時的な機械可読記憶媒体。
【請求項12】
無線通信ネットワークに関係するノードであって、前記無線通信ネットワークが、無線デバイス、無線アクセスネットワークノード、および1つまたは複数の無線光通信(LC)ネットワークノードを備えており、前記ノードが、前記無線デバイス、前記無線アクセスネットワークノード、および、前記無線アクセスネットワークノードに通信可能に結合された通信ネットワークノードのうちの1つであり、前記無線アクセスネットワークノードと前記無線LCネットワークノードの位置は関連付けられており、前記無線デバイスおよび前記無線アクセスネットワークノードのうちの少なくとも1つが、前記無線デバイスおよび前記無線アクセスネットワークノードのうちのもう一方と通信するための送信無線ビームまたは受信無線ビームを提供するように設定可能な複数のアンテナ要素を備え、前記複数のアンテナ要素が、複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームを提供するように設定可能であり、前記ノードが、処理回路およびメモリを備え、前記メモリが命令を記憶し、前記命令が前記処理回路によって実行されたとき、前記ノードに、
前記無線デバイスが無線LC接続を確立した無線LCネットワークノードの標示を取得することと、
前記複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームの部分集合のために信号尺度を取得することであって、前記複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームの部分集合が、標示された前記無線LCネットワークノードのカバレッジエリアに向けられた送信無線ビーム、あるいは標示された前記無線LCネットワークノードの前記カバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた受信無線ビームに対応する、こと
前記複数の所定の送信無線ビームまたは受信無線ビームの部分集合のうちの送信無線ビームまたは受信無線ビームが、前記無線アクセスネットワークノードと前記無線デバイスとの間の見通し線LoSに対応するか否かを、前記送信無線ビームまたは受信無線ビームの前記信号尺度と第1の閾値との間の比較に基づいて判定することと、
を行わせる、
ノード。
【請求項13】
前記命令が前記処理回路によって実行されたとき、前記ノードに、請求項2から10のいずれか一項に記載の方法を構成するステップを行わせる、請求項12に記載のノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、通信ネットワークにおける無線通信に関し、特に、無線デバイス、無線アクセスネットワークノードおよび無線光通信ネットワークノードを含む通信ネットワークにおける無線通信のための方法、装置、および機械可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス無線通信ネットワークのための送信点は益々、高度なアンテナシステムを備えるようになっている。これらのアンテナシステムは、アンテナアレイの追加により既存の無線システムの能力および/またはカバレッジを大きくする。これは、ビーム形成技術の使用が、特定の方向に送信された、および特定の方向から受信された信号に対する受信信号強度を高めることを可能にする。無線デバイスは、同様に、マルチアンテナトランシーバを備える。したがって、無線デバイスは、更に、ビーム形成技術を適用して、送信された信号と受信された信号との両方に対する特定の方向におけるビーム形成ゲインの恩恵を受けることができる。
【0003】
したがって、ビーム形成ゲインの恩恵を受けるために、送信デバイスは、アクセスポイント(AP)であるか無線デバイスであるかによらず、受信デバイスの方向に、より高いゲインを伴ってビームを送信するために適切な送信ビーム(例えば、形状および/または方向)を特定しなければならない。同様に、受信デバイスは、APであるか無線デバイスであるかによらず、送信デバイスの方向において、より高いゲインを伴ってビームを受信するために適切な受信ビーム(例えば、形状および/または方向)を特定しなければならない。
【0004】
この結果は、通常、送信デバイスが例えばバーストにより、および/または、規則的なインターバルにおいて、すべての既定の方向にビームを送信するビーム掃引として知られる処理を通して実現される。適切な送信受信ビームペアが特定され得るように、受信デバイスは、受信デバイスの受信ビームのすべてを使用して送信されたビームに対して測定を実施し、送信デバイスに測定結果を報告する。最適なビームペアが選択されることを確実なものとするために、送信、および対応する測定が、すべての可能な送信受信ビームペアに対して実施される。
【0005】
範囲および角度(到来の)の測定が、先行の選択処理の一部でもあり得る。範囲および角度の測定値は、見通し線(LoS)が送信デバイスと受信デバイスとの間に存在するか否かに依存することに留意されたい。LoSが存在する場合、範囲および角度を判定するための処理は、LoSの場合の範囲および角度測定の比較的高い正確さにより、比較的簡単であると見なされ得る。しかし、例えば送信デバイスと受信デバイスとの間のLoS内の障害物により、LoSが存在しない場合、比較的複雑だが正確さに劣る処理が、範囲および角度の測定に使用され得る。それゆえ、LoSが存在するか否かを判定することが、どの処理が実施されるべきかの指示を提供する。更に、潜在的興味の新興の概念は、受信デバイスが送信ビームからエネルギーを獲得し得るということにある。そのようなエネルギー獲得は、LoSの存在下のシナリオで、より効率的であり得る。
【0006】
LoSが存在するか否かの判定は、大きな課題であると見なされている。
【0007】
LoSが存在するか否かを判定する1つの手法は、仮説の二項検定の実施を伴う。そのような検定において、一方の仮説が、LoSは存在するシナリオに対応し、もう一方の仮説が、LoSは存在しないシナリオに対応する。そのような仮説検定において、貴重な時間および周波数リソースを必要とし、追加のハードウェア回路を必要とする個別チャネルサウンダを使用することを伴う、広範なチャンネル測定が実施される。更に、送信デバイスおよび受信デバイスの相対位置に関して移動があるシナリオにおいて、仮説検定の正確さは、移動がないシナリオに比べて低下し得る。
【0008】
LoSが存在するか否かを判定する代替の手法は、超広帯域信号を使用して受信信号の遅延スプレッドまたは別の範囲量を測定することを伴う。しかし、超広帯域信号の使用は、送信デバイスおよび受信デバイスが超広帯域信号を扱うための適切な回路を有しているか否かに依存する。コスト制約条件および/または通信標準の設定が、そのような能力を備える通信インフラストラクチャーの配備の制限を課す場合もある。
【0009】
IEEE 802.11ay標準化タスクグループで議論されてきた代替の手法は、伝播するRF信号の物理的特性に依拠する。例えば、60GHz付近の周波数帯域のミリメートル波通信において、伝播するRF信号は、反射の発生ごとに偏光変化を受ける。したがって、LoS伝搬路において、偏光変化は発生しない。このRF信号の反射依存偏光特性は、複数の冗長参照信号が既知の種々の偏光状態で送信される場合、LoSが存在するか否かを判定するために利用され得る。しかし、この手法は、種々の偏光状態を有するRF信号の送信およびRF受信信号の分析のための、追加の回路および時間リソースの使用を伴う。
【0010】
したがって、LoSが存在するか否かを判定するための既存の手法は、追加の回路の使用を伴い、かつ/または無線リソースを占め得る。LoSが存在するか否かを判定するための処理が、簡易化されれば、貴重なリソースが、他のタスクのために役立てられ得、かつ/またはインフラストラクチャー配備のコストが低減され得る。
【発明の概要】
【0011】
本開示の実施形態は、これらの課題および他の課題を解決することを目的とする。
【0012】
一態様において、無線通信ネットワークのノードにより実施される方法が提供され、無線通信ネットワークは、無線デバイス、無線アクセスネットワークノード、および1つまたは複数の無線光通信、LC、ネットワークノードを備える。無線デバイスおよび無線アクセスネットワークノードのうちの少なくとも1つは、無線デバイスおよび無線アクセスネットワークノードのうちのもう一方と通信するための送信ビームまたは受信ビームを提供するように設定可能な複数のアンテナ要素を備える。本方法は、無線デバイスが無線LC接続を確立した無線LCネットワークノードの標示を取得することを含む。本方法は、表示された無線LCネットワークノードのカバレッジエリアに向けられた、または表示された無線LCネットワークノードのカバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビームの1つまたは複数の信号尺度(メトリック)を取得することを更に含む。本方法は、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビームの送信ビームまたは受信ビームが、送信ビームまたは受信ビームの信号尺度と第1の閾値との間の比較に基づいて、無線アクセスネットワークノードと無線デバイスとの間の見通し線LoSに対応するか否かを判定することを更に含む。
【0013】
上述の本方法を実施するための装置および非一時的な機械可読媒体が更に提供される。例えば、一態様において、本方法(および本明細書に記載された他の方法)を実施するように設定された無線アクセスネットワークノードが提供される。別の一態様において、無線通信ネットワークのノードが提供される。無線通信ネットワークは、無線デバイス、無線アクセスネットワークノード、および1つまたは複数の無線光通信(LC)ネットワークノードを備える。無線デバイスおよび無線アクセスネットワークノードのうちの少なくとも1つは、無線デバイスおよび無線アクセスネットワークノードのうちのもう一方と通信するための送信ビームまたは受信ビームを提供するように設定可能な複数のアンテナ要素を備え得る。ノードは、処理回路、非一時的な機械可読媒体、および複数の送信ビームまたは受信ビームを提供するために設定可能な複数のアンテナ要素を備える。非一時的な機械可読媒体は、処理回路により実行されたときに、ノードに、無線デバイスが無線LC接続を確立した無線LCネットワークノードの標示を取得することと、表示された無線LCネットワークノードのカバレッジエリアに向けられた、または表示された無線LCネットワークノードのカバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビームの1つまたは複数の信号尺度を取得することと、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビームの送信ビームまたは受信ビームが、送信ビームまたは受信ビームの信号尺度と第1の閾値との間の比較に基づいて、無線アクセスネットワークノードと無線デバイスとの間の見通し線LoSに対応するか否かを判定することとを行わせる命令を記憶している。
【0014】
本開示の例のより良い理解のために、および、例がどのように実現され得るかをより明確に示すために、以下で単なる例示として以下の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1a】本開示の実施形態による、通信ネットワークにおけるビーム形成を示す概略図である。
図1b】本開示の実施形態による、通信ネットワークにおけるビーム形成を示す概略図である。
図2】本開示の実施形態による、ノードにより実施される方法のフローチャートである。
図3】本開示の実施形態による、無線アクセスネットワークノードの概略図である。
図4】本開示の実施形態による、無線アクセスネットワークノードの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態は、通信ネットワーク内の高周波、RF、送信デバイスと受信デバイスとの間に見通し線LoSが存在するか否かの判定を簡易化するために、通信ネットワーク内部で無線光通信(LC)接続に関する取得された情報を活用する、方法、装置、および機械可読媒体を説明する。そのような通信ネットワークの例が、図1a~1bに示され、以下でより詳細に説明されている。
【0017】
図1aは、本開示の実施形態による通信ネットワーク100を示す概略図である。図は、ネットワーク100が(ページの下部における床と上部における天井とを含む)屋内に配備された例を示すが、当業者は、本明細書において開示されている概念が屋内および屋外環境に適用可能であることを理解する。
【0018】
ネットワーク100は、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104とを備える。
【0019】
無線アクセスネットワークノード102は、任意の適切な無線通信規格を実装した無線デバイス104へのワイヤレス無線アクセスを提供するように設定されている。例えば、無線アクセスネットワークノード102は、セルラーネットワークの一部を形成し、および、例えば、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、エンハンストデータレートフォーGSMエボリューション(EDGE)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、ロングタームエボリューション(LTE)、LTE-Advanced、および新無線(New Radio)(NR)と呼ばれる5G規格といった、セルラーネットワーク無線規格、例えば第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)により生成されたものに適合した無線アクセスを提供し得る。代替的に、無線アクセスネットワークノード102は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の一部を形成し得、および、例えば、IEEE 802.11規格に適合した無線アクセスを提供し得る。この後者の例において、無線アクセスノードは、アクセスポイント(AP)と呼ばれ得る。本明細書における「無線アクセスネットワークノード」に対する参照は、少なくともセルラー無線アクセスネットワークノードおよびWLANアクセスポイントを含む。示される実施形態において、無線アクセスネットワークノード102は天井に位置するが、無線アクセスネットワークノード102は、任意の位置に位置し得ることが理解される。
【0020】
無線デバイス104は、無線アクセスネットワークノード102と無線通信するように設定されており、したがって、更に、無線アクセスネットワークノード102と同じ規格を実装している。例えば、無線デバイス102は、代替的にユーザ機器(UE)またはモバイルステーション(STA)と呼ばれ得る。
【0021】
示される実施形態において、無線アクセスネットワークノード102および無線デバイス104の各々が、無線信号の送信および/または受信のための複数のアンテナまたはアンテナ要素(例えば、アンテナアレイまたは同様の構成体)を備える。したがって、ビーム形成技術の適用を通して、無線アクセスネットワークノード102および無線デバイス104は、より大きい強度をもつ無線信号を送信すること、および/または、特定の方向において、より高い感度により無線信号を受信することとの両方を行うことができる。例えば、1つまたは複数のそれぞれの重み付けまたは位相シフトが、各アンテナ要素に提供される、または各アンテナ要素から受信された信号に適用され得、したがって、特定の方向からの、または特定の方向への信号が強め合う干渉を体感するのに対し、他の方向からの信号は弱め合う干渉を体感する。当業者はビーム形成技術の原理をよく理解することができる。
【0022】
示される例において、様々なビームが示されている。無線アクセスネットワークノード102により使用されるビームには参照符号110が付されており、無線デバイス104により使用されるビームには参照符号112が付されている。アンテナ要素は、複数の所定のビーム110、112を提供するように設定可能であり得る。ビーム110、112が、ワイヤレス無線信号の送信または受信のためのものであり得ることが理解される。例えば、一実施形態において、無線アクセスネットワークノード102は送信デバイスであり、無線デバイス104は受信デバイスであり、したがって、この例では、ビーム110が送信ビームであり、ビーム112が受信ビームである。別の例において、無線デバイス104が送信デバイスであり、無線アクセスネットワークノード102が受信デバイスであり、したがって、この例では、ビーム112が送信ビームであり、ビーム110が受信ビームである。ここでワイヤレス無線信号の送信を参照すると、送信デバイスは、RF送信デバイスであってもよく、受信デバイスは、RF受信デバイスであってもよい。
【0023】
更なる例において、送信ビームまたは受信ビームは、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104とのうちの1つのみにより使用され得、他の送信無線信号または受信無線信号は全方向性である。したがって、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104とのうちの一方が、方向性ビームを使用して無線信号を送信し得るのに対し、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104とのうちの他方が、ビーム形成を使用せずに無線信号を受信する。同様に、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104とのうちの一方が、ビーム形成を使用せずに無線信号を送信し得るのに対し、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104とのうちの他方が、受信ビームを使用して無線信号を受信する。以下の説明は、送信受信ビームペアが無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104とに対して特定されることを前提とする。しかし、本開示の実施形態は、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104とのうちの一方のみに対する送信ビームまたは受信ビームの特定にも関連することが理解される。
【0024】
上述のように、ビーム形成ゲインの恩恵を受けるために、送信デバイスは、受信デバイスの方向に、より高いゲインを伴ってビームを送信するために、適切な送信ビーム(例えば、形状および/または方向)を特定しなければならない。同様に、受信デバイスは(アクセスポイントであるか無線デバイスであるかによらず)、送信デバイスの方向において、より高いゲインを伴ってビームを受信するために、適切な受信ビーム(例えば、形状および/または方向)を特定しなければならない。このようなデバイスは、典型的には、例えば、送信デバイスがバーストにより、および/または規則的なインターバルにおいて、すべての既定の方向にビームを送信するビーム掃引として知られる処理を使用する。適切な送信受信ビームペアが特定され得るように、受信デバイスは、受信デバイスの受信ビームのすべてを使用して、送信されたビームに対して測定を実施し、送信デバイスに測定結果を報告する。最適なビームペアが選択されることを確実なものとするために、送信、および対応する測定が、すべての可能な送信受信ビームペアに対して実施される。この処理は時間がかかり、および大幅な電力および無線リソースを使用する。
【0025】
本開示の実施形態は、代替的な無線通信技術を使用して、相応の程度の正確さで(無線アクセスネットワークノード102であるか無線デバイス104であるかにかかわらず)受信デバイスの位置を特定する。したがって、受信デバイスの知られたまたは近似的位置をターゲットにするために、ビーム掃引工程の一部として試験される送信ビームおよび/または受信ビームの数が減らされ得る。
【0026】
特に、本開示の実施形態は、(「LiFi」と呼ばれることもある)無線光通信を使用し、したがって、ネットワーク100は、複数の無線光通信ネットワークノード106a、106b、106c、106d(まとめて、106)を更に備える。
【0027】
学界における最近の研究、および産業界からの早期のプロトタイプは、可視光通信(VLC)が無線通信の新しい手段になる可能性があることを示している。これは、例えば赤外光といった、可視光スペクトルに属しない周波数を使用する一般的な光通信(LC)に対しても当てはまる。特に、通信目的のために光スペクトルを使用する無線通信システムから、1秒当たり数ギガビット(Gb/s)が予想される。
【0028】
LCの背景にある主な概念は、急速に変化する光強度レベルを使用して二進データを通信することである。より詳細には、二進データを異なる出射光強度レベルに変調するために、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)が送信源に配備される。配備されたLEDは、人の目により知覚できない速度において出射光強度のレベルを変える。したがって、照明システムへのLCの組み込みは、照明の品質に影響を与えない。受信デバイスは、例えば光ディテクター(PD)を使用して出射光強度の変化を検出する。この手法により、受信デバイスは送信されたデータを検出することができる。
【0029】
したがって、無線LCネットワークノード106の各々は、光の送信のための1つまたは複数の光源(LEDなど)を備える。光は、スペクトルの可視光部分に、または可視光部分の近く(例えば、赤外線または紫外線)に波長をもち得る。受信デバイスにより検出され、および復号され得る手法により光の強度が経時的に変動するように、光が1つまたは複数のデータ源を使用して変調される。この光(例えば、カバレッジエリア)によりカバーされた見通し線エリアが破線107により示される。したがって、無線デバイス104は、無線LCネットワークノード106により送信された変調された光の検出のための1つまたは複数の光ディテクターを備え、この手法により、無線LCネットワークノード106から無線デバイス104までのダウンリンクにおいて通信が行われ得る。無線デバイス104が1つまたは複数の光源(LEDなど)を更に備え得、無線LCネットワークノード106が1つまたは複数の光ディテクターを備え得、したがって、無線デバイス104からLCネットワークノード106までのアップリンクにおいても通信が行われ得る。
【0030】
下記の付録AはLCチャンネルが送信機(例えば、LCノード106)と受信部(例えば、無線デバイス104)との間の見通し線成分によりどのように支配されるかについて説明している。見通し線が送信機と受信機との間にもはや存在しない場合、ほぼ必ず送信機と受信機との間の接続がもはや実行可能でないように、LC通信リンクのSINRが大幅に低下する。したがって、LC送信機とLC受信部との間において接続が使用可能である場合、LC受信部の位置は非常に高い確度で知られており、LC受信部はLC送信機の見通し線内に存在しなければならない。図1の場合において、LC接続が無線LCノード106と無線デバイス104との間に存在する場合、無線デバイス104は透過光107の境界内に存在しなければならない。このエリアは、本明細書において「LCセル」107と呼ばれる。
【0031】
無線LCネットワークノード106は互いに独立したものであり得、独立した無線基地局に類似した手法により、無線デバイスに独立したサービスを提供する。例えば、各無線LCネットワークノード106は、無線LCネットワークノード106自体のそれぞれのソフトウェアプロトコルスタックを実装し得る。代替的に、無線LCネットワークノード106は、無線基地局の異なる送受信点に類似した手法により、より大きいエンティティの一部を形成し得る。例えば、各無線LCネットワークノード106がプロトコルスタックの1つまたは複数のより低いレイヤーを実装し得、独立したネットワークエンティティが、複数の無線LCネットワークノード106に対する、より高いレイヤーを実装する。
【0032】
無線LCノード106がバックホール接続108を介して無線アクセスネットワークノード102に通信可能に結合されることにも留意されたい。バックホール接続108は、典型的には、例えば、Ethernet接続(例えば、パワーオーバーイーサネット)、または他のパケットデータ接続といった有線接続であるが、特定の実施形態において、接続108は代替的に無線であり得る。
【0033】
通信ネットワーク100は、通信ネットワーク100内でバックホール接続108を介して、一方のノード102、106に通信可能に結合された通信ネットワークノード120を更に備える。通信ネットワークノード120は、独立型サーバー、クラウド実装型サーバー、または分散型サーバーのハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて、またはサーバーファームにおける処理リソースとして具現化され得る。通信ネットワークノード120は、サービスプロバイダーの所有下にあり、または制御下にあり得、または、サービスプロバイダーにより、または、サービスプロバイダーの代わりに運用され得る。
【0034】
無線アクセスネットワークノード102は、無線デバイス104が接続された対象のLCセル107または無線LCネットワークノード106を識別する情報を取得する。その情報に基づいて、無線アクセスネットワークノード102は、無線アクセスネットワークノード102が生成することが可能なビーム110の部分集合を選択すること、および、無線デバイス104と通信するための送信ビームまたは受信ビームを選択するために、ビームのその部分集合のみを使用してビーム掃引工程を開始することができる。同様に、無線デバイス104は、LCセル107または無線LCネットワークノード106に接続し、および、LCセルまたは無線LCネットワークノード106に基づいて、無線デバイス104が生成することが可能な送信ビームまたは受信ビームの部分集合を識別し、無線アクセスネットワークノード102と通信するための送信ビームまたは受信ビームを選択するために、ビームの部分集合を使用して、ビーム掃引工程を実施する。
【0035】
図1bは、送信ビームまたは受信ビームの部分集合の選択が行われた後の、上述のネットワーク100を示す。この例では、無線デバイス104は無線LCノード106cとの接続を確立している。無線LCネットワークノード106cまたはLCセル107により形成された無線LCネットワークノード106cまたはLCセル107を識別する情報は、(例えば、バックホール接続108を介して、または無線デバイス104自体による通信から)無線アクセスネットワークノード102に提供され、結果として無線アクセスネットワークノードがまさにセル107をターゲットにしたビーム114(ビーム110の部分集合)を識別する。同様に、無線デバイス104は、識別されたセル107から無線アクセスネットワークノード102をターゲットにしたビーム116(ビーム112の部分集合)を識別する。ビーム114、116のこれらの部分集合のみを使用したビーム掃引工程は、完了するために、より少ない時間およびリソースを伴い得る。
【0036】
上で参照したように、図1bのという状況において、無線LC接続が無線LCノード106と無線デバイス104との間に確立されている場合、無線デバイス104はLCセル107の境界内にあると判定される。したがって、無線デバイス104の無線アクセスネットワークノード102に対する近似位置を決定することが可能である。この近似位置に関する知識情報に基づいて、RF送信デバイス(例えば、無線アクセスネットワークノード102および無線デバイス104のうちの一方)とRF受信デバイス(例えば、無線アクセスネットワークノード102および無線デバイス104のうちのもう一方)との間にLoSが存在するか否かの判定を簡易化することが可能であり得る。
【0037】
無線LCネットワークノード106の移動が予測可能である、または非常に少ないもしくは移動しない場合、その位置は、無線デバイス104の近似位置が、無線デバイス104が接続されるそれぞれの無線LCネットワークノード106の既知のまたは確立された位置に基づいて、決定され得る。
【0038】
送信ビームまたは受信ビーム110、112の部分集合を識別する処理は、セル107内の無線デバイス104の決定された近似位置をターゲットにする、ビーム114(例えば、ビーム110の部分集合)を選択することによって、簡易化され得る。同様に、無線デバイス104は、識別されたセル107から無線アクセスネットワークノード102をターゲットにしたビーム116(例えば、ビーム112の部分集合)を識別し得る。
【0039】
送信デバイスと受信デバイスとの間のLoSに対応する識別されたビーム部分集合114、116から選択された、1つまたは複数の候補の送信ビームまたは受信ビーム110、112が、識別され得る。測定が、識別された候補の送信ビームまたは受信ビーム110、112の信号尺度を決定するために、実施され得る。この信号尺度は次に、LoSが存在するか否かを判定するために、閾値と比較され得る。
【0040】
LoSが存在するとの判定がなされた場合、RF通信を確立するための工程の一部として、送信デバイスと受信デバイスとの間の範囲および角度(到来の)測定が実施され得る。一方で、LoSが存在しない、または無LoS、NLoSの送信ビームまたは受信ビーム110、112が支配的であるとの判定がなされた場合、RF通信がNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112を介して確立可能であるか否かを判定する前に、さらなる分析が着手され得る。LoSが存在しないまたは支配的なNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112は、送信デバイスと受信デバイスとの間のLoSパスに障害物がある、または無線デバイス104の配向が送信ビームまたは受信ビーム110、112を支援するのに最適でないことを示し得る。LoSが存在するか否か、または少なくともLoSまたはNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112のいずれかが支配的かが確立されると、RF通信を確立するための最も適切な工程が、識別され得る。これらの工程が、ここで、以下により詳細に説明される。
【0041】
図2は、本開示の実施形態による方法のフローチャートである。本方法は、図1aおよび1bによって示されているような、無線通信ネットワーク(100)のノードによって実施され得る。ノードは、図1aおよび1bに関して上で説明された無線アクセスネットワークノード102、無線デバイス104、および/または通信ネットワークノード120を備え得る。したがって、あるノードによって実施される方法への任意の参照は、ノード102、104、120の任意のものによって実施される方法を参照し得る。
【0042】
本方法は、ブロック200において、無線デバイス104が無線LC接続を確立した無線LCネットワークノード106の標示を取得することを含む。そのような標示は、無線LC接続が無線デバイス104と無線LCネットワークノード106との間で目下確立されているまたは先に確立されたことを判定する場合、取得され得る。無線LC接続が確立したこの判定は、無線LC接続を提供する任意のノード(すなわち、無線デバイス104または無線アクセスネットワークノード102)またはそれに通信可能に結合された任意のノード(例えば、通信ネットワークノード120)によってなされ得る。
【0043】
取得され得る標示は、多様な方法で取得され得る。例えば、表示は、無線LCネットワークノード106の標示を含む無線デバイス104からのメッセージを受信することによって、および/または無線デバイス104の識別情報の標示を含む無線LCネットワークノードからのメッセージを受信するによって、取得され得る。無線デバイス104および無線アクセスネットワークノード102のうちの一方によって提供された標示が、無線デバイス104および無線アクセスネットワークノード102のうちのもう一方に関する、識別情報または他の任意の情報を含む場合、このことは、これらのノードが無線LC接続を使用して互いに通信可能に結合されているまたは結合されてきたことを示し得る。
【0044】
本方法は、ブロック202において、表示された無線LCネットワークノード106のカバレッジエリアに向けられた、または表示された無線LCネットワークノード106のカバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた、1つまたは複数の候補の送信ビームまたは受信ビーム110、112(「送信または受信」は、図中では「Tx/Rx」と示されている)の1つまたは複数の信号尺度を取得することを更に含む。表示された無線LCネットワークノード106の、カバレッジエリアの方向へ向けられた、またはカバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた、送信ビームまたは受信ビーム110、112は、送信デバイスと受信デバイスとの間のLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の潜在的な候補ビームであると見なされ得る。
【0045】
1つまたは複数の信号尺度を取得することは、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビーム110、112ごとの信号尺度のそれぞれの値を取得するために、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビーム110、112を使用して送信または受信された信号に対する測定を実施することを含み得る。信号尺度は、受信信号強度、受信信号出力、受信信号品質、信号対ノイズ比、ならびに信号対ノイズおよび干渉比のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0046】
上述のように、複数の送信ビームまたは受信ビーム110、112の部分集合は、セル107内の無線デバイス104の決定された近似位置を潜在的にターゲットにするものとして、または識別されたセル107から無線アクセスネットワークノード102をターゲットにするものとして識別され得る。例えば、1つまたは複数の信号尺度は、複数の所定の送信ビームまたは受信ビーム110、112の部分集合のために取得され得る。例えば、所定の送信ビームまたは受信ビームの部分集合は、標示された無線LCネットワークノードのカバレッジエリアに向けられた送信ビーム、または、標示された無線LCネットワークノード106のカバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた受信ビームに対応し得る。
【0047】
複数の送信ビームまたは受信ビーム110、112は、複数のアナログビーム形成器と、複数のアナログ結合器と、ビーム形成器のデジタルコードブックと、結合器のデジタルコードブックとのうちの1つまたは複数によって規定され得る。これらの概念は、以下の付録Aで更に詳細に論じられる。
【0048】
本方法は、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビーム110、112の送信ビームまたは受信ビームが、ブロック204での送信ビームまたは受信ビーム110、112の信号尺度と第1の閾値との間の比較に基づいて、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104との間のLoSに対応するか否かを判定することを更に含む。候補のLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の取得された1つまたは複数の信号尺度が、どのように第1の閾値と比較するかにより、LoSが存在するか否かに関する判定は、なされ得る。例えば、信号尺度が信号の強度または品質(例えば、受信信号または出力を受けた信号対ノイズ比など)によって変化し、信号尺度が第1の閾値よりも大きいと判定されるとき、このことは、LoSの存在を示し得る。
【0049】
第1の閾値を確立する際、様々な因子が、考慮され得る。例えば、無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間の距離(例えば、無線デバイス104の近似位置に基づいた)は、送信デバイスから受信されるRF出力に影響を及ぼし得る。第1の閾値は、無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間の範囲(例えば、推定距離)の決定に基づいて、決定され得る。例えば、閾値は、無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間の距離および自由空間でのRF伝播の方程式(すなわち、フリースの方程式)に基づいて、計算され得る。第1の閾値は、LoSが無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間に存在する場合、期待値の直下の値に設定され得る(例えば、その期待値の80%または90%)。
【0050】
第1の閾値は、無線デバイス104および無線アクセスネットワークノード102の能力により、更に決定され得る。例えば、無線デバイス104は、一定のRF出力送信能力(最大送信出力など)を有し得、これが、無線アクセスネットワークノード102によって受信されるであろうRF信号出力に影響を及ぼす可能性があり、逆もまた同様である。
【0051】
第1の閾値は、動的に計算される(例えば、フリースの方程式に基づいて)、または1つまたは複数の所定の値(例えば、ルックアップテーブルまたは同様のものにおける)を使用することになり得る。後者の場合、具体的な閾値は、例えば、無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間の特定の距離(または範囲もしくは距離)に予め決定され得る。
【0052】
ブロック206において、LoSが存在することが確立された場合、一定の工程が、LoS送信ビームまたは受信ビームを使用して実行され得る。例えば、本方法は、ブロック208において、LoS送信ビームまたは受信ビーム110、112を利用して、無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間のフライト時間、ToF、測定を実施することを更に含み得る。これらのToF測定は、無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間の距離の正確な決定を提供するために使用され得る。
【0053】
しかし、LoSが存在しないことが確立されている場合(例えば、第1の閾値と好ましく比較する信号尺度を有する候補ビームがない)、本方法は、ブロック210に進み、ノードが、標示された無線LCネットワークノード106のカバレッジエリアに向けられていない、つまり、そこからの送信を受信しない、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビーム110、112の1つまたは複数の信号尺度を取得する。これらのビームは、本明細書では非LoS(NLoS)と呼ぶことがある。本方法のブロック210は、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104との間にLoSが存在しないとの判定に応答して実施され得る。
【0054】
ブロック212においては、取得された信号尺度(候補LoSおよびNLoSビームの)は、ビーム110、112を使用して、RF通信が送信デバイスと受信デバイスとの間に確立され得るか否かを判定するために、第2の閾値と比較され得る。取得された信号尺度がどのように第2の閾値と比較されるのかにより、RF通信にそれぞれのビーム(例えば、候補LoSおよびNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112)が使用可能であるか否かに関する判定がなされ得る。例えば、信号尺度が第2の閾値よりも大きい場合、ブロック214において、判定がなされ、RF通信にそれぞれのビーム110、112が使用され得る。一方、信号尺度が第2の閾値よりも大きくない場合、ブロック216において、それぞれのビーム110、112を使用してRF通信が可能でないという判定がなされ得る。
【0055】
このようにして、1つまたは複数のビームが、無線デバイス104と無線アクセスノード102との間の通信のために選択され得る。本方法は、どのビームが支配的か(例えば、どのビームが最強か)を判定するために、ビームごと(候補LoSおよびNLoS)の信号尺度を互いに比較することを更に含み得る。この支配的なビーム、または最強のビームの具体的な番号が、無線デバイス104と無線アクセスノード102との間の通信のために選択され得る。
【0056】
第2の閾値は、RF通信が可能であるまたは信頼できる最小値として決定され得る。
【0057】
したがって、本開示の実施形態は、送信デバイスと受信デバイスとの間に障害物があるか否か、および/または候補の送信ビームまたは受信ビーム110、112がRF通信の確立に使用可能であるか、を判定するための簡易化された方法を提供する。本方法は、LoSが存在するか否かに関する判定がなされることを可能にし得る。
【0058】
本明細書で説明される実施形態は、どの送信ビームまたは受信ビーム110、112をRF通信に使用するかを決定するために、より少ないコンピューティングリソースおよび/または時間が占有されることが必要とされ得るように、LoSが存在するか否かを確立するための工程を簡易化し得る。例えば、実施形態は、無線デバイス104の近似位置に関する情報が、LCネットワークベースの測位サービスを介して容易に確立され得るので、LoSが存在するか否かを判定するための高い正確さの統計モデルの必要性を回避または低減し得る。LoSが存在するか否かを判定することによって、支配的な送信ビームまたは受信ビーム(例えば、LoSまたはNLoSのいずれか)の識別情報を決定することが、更に可能であり得る。1つまたは複数の信号尺度を決定するための測定を実施するために必要とされるハードウェアおよび/またはソフトウェアは、LoSが存在するか否かを判定するためのいくつかの技術と比較して、削減され得る。
【0059】
以下により詳しく説明されるように、本開示の実施形態は、コードブックベースの送信または非コードブックベースの送信のいずれかに適用可能であり得る。
【0060】
コードブックベース送信
コードブックベース送信の場合、支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の存在は、加速されたビーム掃引処理を支援し得る。この加速されたビーム掃引処理は、無線デバイス104の無線アクセスネットワークノード102に対する近似位置および配向の知識情報を使用することによって、着手される。
【0061】
上述ように、および付録Aでより詳細に議論するように、無線アクセスネットワークノード102と無線デバイス104との間でのビーム掃引処理は、送信ビーム形成器(例えば、送信ビーム)のコードブック(例えば、デジタルコードブック)B={B,…,B|B|}、および受信結合器(例えば、受信ビーム)のコードブック(例えば、デジタルコードブック)R={R,…,R|R|}の使用を伴い得る。無線アクセスネットワークノード102が、無線デバイス104の近似位置について知らされ得(例えば、無線LCアクセスネットワークノード106によって提供される測位サービスにより)、無線デバイス104が、それ自体の配向(例えば、ジャイロスコープ、加速度計などのような搭載型センサー)を認識し得、無線アクセスネットワークノード102の位置について知らされ得るので、無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間で可能性のあるLoSの方向へ向く、送信ビームまたは受信ビーム110、112にそれぞれ対応する、送信ビームまたは受信ビームの部分集合114、116、BLoS⊂BおよびRLoS⊂Rを定義することが可能である。言い換えると、部分集合114、116は、候補のLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112に対応し得る。
【0062】
同様にNLoS送信ビーム部分集合、BNLoS=B\BLoS(すなわち、部分集合BLoSにない送信ビーム)およびNLoS受信ビーム部分集合、RNLoS=R\RLoS(すなわち、部分集合RLoSにない受信ビーム)が、定義され得る。それらの部分集合は、NLoSの方向を表す送信ビームまたは受信ビーム110、112に対応する。無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間に障害物がない場合、BLoSから選択された1つ送信ビームおよびRLoSから選択された1つ受信ビームが、支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112に対応するとして識別され得る。LoSが存在するか否か判定するための処理の一部として、ビーム掃引処理が、より小さいコードブックBLoSおよびRLoSを使用して開始され得る。|BLoS||RLoS|タイムスロットを指定するこの処理の間、対象の尺度(例えば、1つまたは複数の信号尺度)は、部分集合BLoSから選択された送信ビームおよび部分集合RLoSから選択された受信ビームの全ての可能なペアのために決定される。一例の信号尺度は、SNRであり得、その場合、第1の閾値は、よく知られたフリースの方程式および無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間のおよそのRF送信距離により定義され得る。
【0063】
送信ビームまたは受信ビーム110、112の最適なペアから決定された最適な信号尺度(例えば、SNRの最大値)が、第1の閾値よりも大きい場合、LoSにいずれの障害物がない支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112が存在すると結論づけられ得る。更に、支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の方向は、送信ビームおよび受信ビーム110、112の最適なペアの方向から直接取得され得る。対照的に、無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間に障害物がある場合、部分集合BLoSおよびRLoSから選択された送信ビームまたは受信ビームの全てのペア間の信号尺度(例えば、SNR)は、第1の閾値よりも小さいことがある。この場合、支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112がない、またはLoSが存在しない、と結論づけられ得る。
【0064】
支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112がないこと、またはLoSが存在しないことが判定された場合、支配的なNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112があるか否かを判定する工程が実施され得る。この点に関連して、部分集合BNLoSおよびRNLoSを伴う追加のビーム掃引処理が、RF通信がNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112を使用して確立可能であるか否かを判定するために実施され得る。LoSの場合に関しての説明と同様に、|BNLoS||RNLoS|タイムスロットにおいて、可能性のあるペアごとに信号尺度(例えば、SNR)を決定するために、送信ビームまたは受信ビーム110、112の全ての可能性のあるペアに対して、測定が実施される。送信ビームまたは受信ビーム110、112の最適なペア(例えば、支配的なNLoSペア)の信号尺度が、第2の閾値よりも大きい場合、NLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の識別されたペアを使用して、RF通信を確立することが、可能であり得る。したがって、この処理は、NLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の方向の推定を提供し得る。この推定の正確さは、部分集合BNLoSおよびRNLoSの粒度に依存し得る。言い換えると、部分集合BNLoSおよびRNLoSの大きさが、比較的大きい場合、支配的なNLoSペアを決定するための処理は、方向の推定に比較的正確な結果をもたらし得るが、処理時間に関するコストが犠牲となり得る。逆に、部分集合BNLoSおよびRNLoSの大きさ比較的小さい場合、比較的低い正確さが取得され得るが、より高速である。第2の閾値よりも小さい信号尺度を有する、BNLoSおよびRNLoSからの最適なペアが決定されている場合は、支配的なNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112がないと結論づけることができ、それゆえ、これまで解析された送信ビームまたは受信ビーム110、112を使用してRF通信を確立することが可能でない可能性がある。
【0065】
NLoSペアがLoSペアよりも支配的である、LoS送信ビームまたは受信ビーム110、112およびNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の最適なペアがある、いくつかのシナリオがあり得る。そのようなシナリオは、無線デバイス104の配向がその利用可能受信結合器の全てをLoSに向けられることを禁じる場合に発生し得る。このシナリオにおいて、完全なコードブックBおよびRの信号尺度が決定され得る。送信ビームまたは受信ビーム110、112の最適なペアの識別は、BLoSおよびRLoSならびにBNLoSおよびRNLoSからの送信ビームまたは受信ビームのペアの信号尺度を比較することによって取得され得る。検定される送信ビームまたは受信ビーム110、112の全てから取得される最適な信号尺度値(例えば、最高SNR)は、特定の送信ビームまたは受信ビーム110、112が支配的であることを示し得る。RF通信は、その時、信号尺度が閾値(例えば、第1の閾値または第2の閾値のいずれか)より大きいという条件で、確立され得る。
【0066】
非コードブックベース送信
非コードブックベース送信の場合、コードブックベース送信に関して上述したものと同様の原理が適用され得る。しかし、1つの違いは、送信または受信デバイス(例えば、無線デバイス104または無線アクセスネットワークノード102)は、行列を所定のコードブックから選択するのではなく、非コードブックベース手法に基づいて、送信ビーム形成行列Pを、付録Aの式(13)で定義されているように、受信結合行列Wを、付録Aの式(14)で、設計する。この処理は、チャンネル知識情報の形態を使用して、2つの通信ノード(すなわち、無線デバイス104および無線アクセスネットワークノード102)で個別または一緒のいずれかで実装され得る。以下の説明は、別々に実装されている送信ビーム形成器および受信結合器の設計を示している。しかし、一緒の行列設計に関して、設計処理は、無線デバイス104または無線アクセスネットワークノード102の間の協調が、個別に設計された実装におけるよりも多く伴われること以外は、同じであり得る。
【0067】
無線デバイス104の取得された位置を上述のように使用して、無線アクセスネットワークノード102は、候補のLoS方向に対応する非コードブックベースビーム形成器(例えば、送信ビーム)を設計し得る。無線アクセスネットワークノード102の、それ自体の近似位置およびそれ自体の配向(例えば、搭載センサーを介して取得された)のその知識情報に関する、既知の位置を使用して、無線デバイス104は、候補のLoS方向に対応する受信結合器(例えば、受信ビーム)を設計し得る。
【0068】
指定されたタイムスロットの間、信号尺度(例えば、SNR)を測定し第1の閾値と比較することによって、無線デバイス104または無線アクセスネットワークノード102は、LoS内に障害物があるか否かおよび/またはRF通信が確立可能か否かを、候補のLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112が標示しているか否かを判定し得る。支配的なLoS構成要素の方向のより正確な推定を取得することが所望される場合、候補のLoS方向に対応する非コードブックベースで設計された送信ビームまたは受信ビーム110、112の異なるペアの数だけ、上記の処理が反復され得る。この場合、最適な信号尺度値(例えば、最高SNR)を取得する送信ビームまたは受信ビーム110、112のペアは、支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の方向を定義する。
【0069】
送信ビームまたは受信ビーム110、112の最初に識別されたペアが、第1の閾値より大きい信号尺度をもたらさない場合(例えば、不十分なSNR)、無線デバイス104と無線アクセスネットワークノード102との間に障害物があると結論づけられ得る。上記の処置は、全ての候補LoS方向の信号尺度がチェックされるまで反復され得る。第1の閾値より大きい送信ビームまたは受信ビーム110、112の少なくとも1つのペアがある場合、このペアが、支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112であると結論づけられ得る。ペアは、信号尺度(例えば、十分に高いSNR)を満足する第1のペアとして識別され得る。あるいは、潜在的により良好な正確度に関して、支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の方向は、送信ビームまたは受信ビーム110、112の複数の異なるペアから識別された、最適な信号尺度(例えば、最高SNR)を有する、送信ビームまたは受信ビーム110、112から取得され得る。
【0070】
全ての候補のLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112が第1の閾値より小さい信号尺度を有する場合、支配的なLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112がない、またはLoSが存在しない、と結論づけられ得る。このシナリオにおいて、NLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112に関する情報を取得することが、適切であり得る。上述と同様の処理は、NLoSの方向に対応する非コードブックベース送信ビームまたは受信ビーム110、112を設計するために利用され得る。NLoSの方向に対応する送信ビームまたは受信ビーム110、112の全てのペアが、第2の閾値より小さい信号尺度値を有すると判定されている場合、RF通信は、これまで検定された送信ビームまたは受信ビーム110、112を使用して確立されることができないと結論づけられ得る。しかし、少なくとも1つのペアの信号尺度が、第2の閾値よりも大きい場合、RF通信は、確立され得る。
【0071】
LoS送信ビームまたは受信ビーム110、112およびNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の両方が利用可能だが、NLoS送信ビームまたは受信ビームが支配的であるシナリオがあり得る。そのようなシナリオは、無線デバイス104のコードブックまたはその非コードブックベースで設計された送信ビームまたは受信ビーム110、112が、その配向により、LoSの方向に向けることができない場合に、発生し得る。そのような場合において、NLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の信号尺度は、LoS送信ビームまたは受信ビーム110、112から取得された対応する信号尺度にわたって最適であると見なされ得る(例えば、NLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112のSNRがより高い可能性がある)。どのペアが最適であるかを確立するために、コードブックベースおよび非コードブックベース送信の両方のために、ノードは、LoSおよびNLoSの両方の方向に対応する送信ビームまたは受信ビーム110、112の全ての可能性のある組み合わせの信号尺度を決定し得る。この処理は、LoSまたはNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112が支配的であるかを確立し、支配的な送信ビームまたは受信ビーム110、112の方向の推定を提供し得る。
【0072】
候補のLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の識別および評価は、任意のNLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の識別および評価に先立って実施されると説明されている。しかし、代替的な実装においては、このシーケンスは、反転され得、その結果、NLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112が、LoS送信ビームまたは受信ビーム110、112の識別および評価に先立って、識別され評価される。この代替のシーケンスは、LoSの不在の予備知識がある、または少なくともLoS送信ビームまたは受信ビーム110、112が支配的でないというシナリオにおいて、有用なであり得る。
【0073】
図3は、本開示の実施形態によるノード300の概略図である。ノード300は、図2に関して上で説明された方法を実施するように設定され得る。ノード300は、無線デバイス、無線アクセスネットワークノード、または通信ネットワークノードであり得る。
【0074】
ノード300は、処理回路302(例えば、1つまたは複数のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、汎用処理ユニットなど)、機械可読媒体304(例えば、メモリ、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ、キャッシュメモリ、フラッシュメモリデバイス、光ストレージデバイスなど)、および1つまたは複数のインターフェース306を備える。1つまたは複数のインターフェース306は、複数の送信ビームまたは受信ビームを提供するために設定可能な複数のアンテナ要素を備え得る。インターフェース306は、バックホール通信のためのインターフェース、例えば、無線、有線(例えば、パワーオーバーイーサネット)、または光インターフェースを更に備え得る。一緒に直列に結合されたコンポーネントが示されているが、当業者は、コンポーネントが(例えば、システムバスまたはそのような種類のものを介して)任意の適切な手法により一緒に結合され得ることを理解する。
【0075】
ノード300は、無線デバイス、無線アクセスネットワークノード、および1つまたは複数の無線光通信(LC)ネットワークノードを備える無線通信ネットワークで動作可能である。本開示の実施形態によれば、機械可読媒体304は、処理回路302により実行されたときに、ノード300に、無線デバイスが無線LC接続を確立した無線LCネットワークノードの標示を取得することと、表示された無線LCネットワークノードのカバレッジエリアに向けられた、または表示された無線LCネットワークノードのカバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビームの1つまたは複数の信号尺度を取得することと、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビームの送信ビームまたは受信ビームが、送信ビームまたは受信ビームの信号尺度と第1の閾値との間の比較に基づいて、無線アクセスネットワークノードと無線デバイスとの間の見通し線LoSに対応するか否かを判定することとを行わせる命令を記憶している。
【0076】
本開示の更なる実施形態において、ノード300は、電力回路(図示されていない)を備え得る。電力回路は、電力管理回路を備え、または電力管理回路に結合され得、および、本明細書において説明されている機能を実施するためにノード300のコンポーネントに電力を供給するように設定されている。電力回路は、電源から電力を受信し得る。電源および/または電力回路は、(例えば、それぞれのコンポーネントの各々に必要な電圧レベルおよび電流レベルにおいて)それぞれのコンポーネントに適した形態でノード300の様々なコンポーネントに電力を提供するように設定され得る。電源は、電力回路および/またはノード300に含まれ、または、電力回路および/またはノード300の外部に存在し得る。例えば、ノード300は、入力回路またはインターフェース、例えば電気ケーブルを介して外部電源(例えば、電力コンセント)に接続可能であり得、結果として、外部電源が電力回路に給電する。更なる例として、電源は、電力回路に接続された、または統合された電池または電池パックの形態をとる電源を備え得る。電池は、外部電源が故障した場合に予備電力を提供し得る。他のタイプの電源、例えば太陽電池デバイスも使用され得る。
【0077】
図4は、本開示の実施形態によるノード400の概略図である。ノード400は、図2に関して上で説明された方法を実施するように設定され得る。ノード400は、無線デバイス、無線アクセスネットワークノード、または通信ネットワークノードであり得る。
【0078】
ノード400は、取得モジュール402および判定モジュール404を含み得る。ノード400は、1つまたは複数のインターフェース(図示されていない)を更に備え得る。1つまたは複数のインターフェースは、複数の送信ビームまたは受信ビームを提供するために設定可能な複数のアンテナ要素を備え得る。インターフェースは、バックホール通信のためのインターフェース、例えば、無線、有線(例えば、パワーオーバーイーサネット)または光インターフェースを更に備え得る。
【0079】
ノード400は、無線デバイス、無線アクセスネットワークノード、および1つまたは複数の無線光通信(LC)ネットワークノードを備える無線通信ネットワークで動作可能である。本開示の実施形態によれば、取得モジュール402は、無線デバイスが無線LC接続を確立した無線LCネットワークノードの標示を取得するように設定されている。取得モジュール402は、表示された無線LCネットワークノードのカバレッジエリアに向けられた、または表示された無線LCネットワークノードのカバレッジエリアからの送信を受信するように向けられた、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビームの1つまたは複数の信号尺度を取得するように更に設定されている。判定モジュール404は、1つまたは複数の送信ビームまたは受信ビームの送信ビームまたは受信ビームが、送信ビームまたは受信ビームの信号尺度と第1の閾値との間の比較に基づいて、無線アクセスネットワークノードと無線デバイスとの間の見通し線LoSに対応するか否かを判定するように設定されている。
【0080】
上述の実施形態は本明細書において開示されている概念を限定することを示すのではなく、当業者が添付の以下の記載内容の範囲から逸脱することなく多くの代替的な実施形態を設計することができることを示すことに留意されなければならない。「備える(含む、有する、もつ)」という表現は、記載内容に列記された要素およびステップ以外の要素およびステップの存在を否定するわけではなく、英語の「a(不定冠詞)」または「an(不定冠詞)」に対応した表現は複数を排除せず、1つのプロセッサまたは他のユニットは、記載内容に記載された幾つかのユニットの機能を満たし得る。記載内容における任意の参照符号は、記載内容の範囲を限定するために解釈されてはならない。
【0081】
付録A
ポイントツーポイント光通信
学界における最近の研究、および産業界からの早期のプロトタイプは、可視光通信(VLC)が屋内無線通信の新しい手段になる可能性があることを示している。これは、例えば赤外光といった可視光スペクトルに属さない周波数を使用する一般的な光通信(LC)に対しても当てはまる。特に、通信目的のために光スペクトルを使用する無線通信システムから、1秒当たり数ギガビット(Gb/s)が予想される。
【0082】
LCの背景にある主な概念は、急速に変化する光強度レベルを使用して二進データを通信することである。より詳細には、二進データを異なる出射光強度レベルに変調するために、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)が送信源により配備される。配備されたLEDは、人の目により知覚できない速度において出射光強度のレベルを変える。したがって、照明システムへのLCの組み込みは照明の品質に影響を与えない。受信デバイスは、例えば光ディテクター(PD)を使用して出射光強度の変化を検出し、この手法により、受信デバイスは送信された二進データを検出することができる。ここまでに暗示されているように、光チャンネルの性質に起因して、直接的な検出(DD)を伴う強度変調(IM)の使用が使用される(例えば、KahnおよびBarryによる論文、「Wireless Infrared Communications」、Proceedings of the IEEE、vol 85、265~298頁を参照されたい)。これは、送信/受信された信号が実数であり、および厳密に正である必要があることを意味する。これは、シングルキャリア送信とマルチキャリア送信との両方において、使用される通信技術に特定の制約を課す。しかし、キャリア波長に比べて比較的大きいPDの物理的面積に起因して、マルチパスフェーディングがない。したがって、LCは、より複雑でない信号処理技術を使用し得る。
【0083】
個の送信LEDおよびN個の受信PDを含むポイントツーポイントLCシステムを仮定すると、i番目の
とj番目の
との間の時間領域における光チャンネルは、
と表され、ここで、
は見通し線(LoS)成分を表し、
は拡散成分を表す。学界の文献によると、
は直流(DC)成分とも呼ばれる。
、周辺の表面からの複数の光反射のアグリゲート結果である。(1)において、
は、
と表されるLOS光ゲインを表し、ここで、Aは各PDの面積を表し、kは方向性オーダーを表すランベルトファクターである。ランベルトファクターkは、
と表され、ここで、
は送信機半角である。更に、dはi番目のPDとj番目のLEDとの間の距離である。角度φi,jおよびψi,jは、それぞれ、送信機平面に対するi番目のPDへのj番目のLEDの出射角、および、i番目のPDの受信部平面の正規直交ベクトルに対するj番目のLEDからのi番目のPDにおける光の入射角を表す。各PDの視野(FOV)半角は、
と表記される。LEDおよびPDが三次元空間に位置している場合に、LEDおよびPDの空間位置は、LEDおよびPDのデカルト座標により記述され得る。したがって、角度φi,jおよびψi,jは、
および、
と演算され得る。
【0084】
(5)および(4)において、dot(x,y)=xyはベクトルxとyとの間の内積を表す。更に、
は、それぞれ、j番目の
およびi番目の
のデカルト座標を表す3×1ベクトルである。j番目のLED(j=1,…,N)の配向は、LEDの平面に垂直な3×1正規直交ベクトル
により表される。同様に、i番目のPDの平面に垂直な正規直交ベクトル
は、i番目のPDの配向を表す。最後に、i番目のPDとj番目のLEDとの間の距離di,jは、
と演算され得る。
【0085】
典型的な屋内LCシナリオでは、光信号エネルギーの大部分はLOS成分に含まれる。より詳細には、LOS成分は、PDにより収集されたエネルギーの95%を含む。したがって、実験による測定結果および学界の研究に基づくと、
は無視され得る。したがって、
と仮定することが非常に合理的である。
【0086】
光帯域幅が広い場合であっても、容易に入手可能なLEDの周波数選択性の性質に起因して、LC通信は帯域幅が限られる。より詳細には、容易に入手可能なLEDは、周波数応答HLED(f)を伴う低域通過フィルタのように振る舞う。LEDの特定の形態の周波数応答HLED(f)は、特定のタイプのLED(青色または白色)に依存する。したがって、周波数応答は、LEDの製造業者からの仕様の形態により与えられること、または、実験による測定結果を介して取得されることが想定される。HLED(f)は、配備されたLEDおよびPDの特定の位置に依存しないことに留意されたい。(7)における光チャンネルの近似、およびLEDの周波数応答HLED(f)を考慮すると、LEDと実際の物理的な光チャンネルとの両方を含む複合LCチャンネルは、
と表される(近似される)。
【0087】
本例において、普遍性を失わずに、すべてのLEDが同じファミリーに属し、同じ周波数応答をもつことが間接的に仮定されることに留意されたい。これが当てはまらない場合、(8)における追加的な添字が、使用されるLEDファミリーの各々の異なる周波数応答を示すために使用され得る。
【0088】
シンボル間干渉(ISI)を避けるために送信レートが適切にセットされること、またはISIが無視され得ることを条件として、シングルキャリアMIMO LCシステムのシステム方程式は、
y=rHLED(f)HLCx+wLC (9)
と表記される。
【0089】
(9)において、
受信信号ベクトルはyと表記され、A/Wを単位としたPDの応答度はrと表記され、HLCは光学的な物理的なMIMOチャンネルを表す
行列であり、HLCの(i,j)
、および、
は(2)により与えられ、xは
送信光信号ベクトルであり、xの要素は、使用されるMIMO送信スキーム、および二進データを光学的に変調するために使用されるコンスタレーションに依存し、最後に、wLCは、環境ショットおよび熱雑音の複合効果を表す
ベクトルである。
【0090】
光チャンネルの性質に起因して、直交周波数分割多重(OFDM)ベースの通信の形成は、無線周波数(RF)通信に比べてより困難である。より詳細には、前述のように、光チャンネルは、実数の、および非負の信号の送信をサポートする。したがって、マルチキャリアLCの設計は、前述の制限の処置を伴う。複素数信号から実数信号を生成するための技術は、周波数領域におけるそのエルミート対称性と組み合わされた、逆高速フーリエ変換(IFFT)の使用である。この技術は、利用可能なサブキャリアの半分を犠牲にすることにより、負または正であり得る実数信号を生成する。結果として得られる信号は、依然として負または正(バイポーラ)であるので、結果として得られる信号は、正の形態(ユニポーラ)により表され/近似され得る。文献によると、これは異なるアプローチを使用して実現されている。これは、(例えば、Tsonev、Sinanovic、およびHaasによる論文、「Complete Modeling of Nonlinear Distortion in OFDM-Based Optical Wireless Communications」、Journal of Lightwave Technology、vol 31、3064~3076頁において説明されているような)おびただしい数の光OFDMベースの変調スキームをもたらした。1つの例は、(大きい値を除去するための)クリッピングと組み合わされて、結果として得られるバイポーラ信号にDCバイアスを単に導入するDCO-OFDMである。おびただしい数の異なるOFDMベースのスキームにもかかわらず、すべてのスキームが、平らな送信スペクトルを形成する多くの直交サブキャリアを生成することを目的としている。考慮された光OFDMベースの変調スキームにかかわらず、k番目のサブキャリアは、IFFTおよび適切な表現処理を適用した後、
と数学的に記述される
。最後の処理は、特定の光OFDMベースのスキームに依存する。ここで、
は生成されたサブキャリアの数である。任意の形態の線形および非線形ひずみ、例えばDC-OFDMに対するクリッピングが無視される限り、前述の式が有効であることに留意されたい。
【0091】
LCネットワークにおけるセルラー配備
RF通信と同様に、複数のアクセスポイント(AP)が屋内空間における無線カバレッジを提供するために割り当てられるセルラー配備において、LCが使用され得る。例えば、LC APとして機能する複数の発光体が、照明および光無線通信を目的として、部屋の天井に適切に位置し得る。ここで、考慮されるLC APが、例えばパワーオーバーイーサネットといったバックホール接続を使用して相互接続されていると仮定される。セルラー通信の主目的は、考慮される(屋内)空間を複数のセルに空間的に区切ることにより、サーブされるステーション(STA)の数を増やすことである。各セルには、利用可能な光スペクトルの特定の部分においてサーブされる特定の数のSTAが割り当てられる。各セルにおけるスペクトルの割り当ては、考慮されるポリシーおよび周波数再使用因子に依存する。周波数再使用因子の値が、各セルにより観測される干渉のレベルを決定する。制限の中で、スペクトル全体がセルラーネットワークにわたって使用され、最高レベルの干渉が観測される。更に、各STAは、特定の目的の機能に基づいて特定のAP(セル)に関連している。例えば、1つの方法は、信号対干渉プラスノイズ比(SINR)の最高値を提供するAPに各STAを関連付けることである。代替的な方法は、空間的近さが最も近いAPに各STAを関連付けることである。LCでは、光無線チャンネルの方向性の性質に起因して、LCセルラーシステムの形成は、APの幾何学的構成、および、STAの空間位置および配向により大きく影響されることに留意されたい。これは、(2)および(8)を確認することにより明確になる。(2)および(8)から、トランシーバの空間的構成のパラメータおよびその光学的仕様が、その光チャンネルと、結果としてその観測された受信SINRの厳密な値とを決定することが確認され得る。
【0092】
LCセルラーネットワークにおける近似的配置
LCの主な特徴は、特にレンズの使用時における、その光チャンネルの非常に方向性のある性質である。特に、これは、光無線チャンネルが利便性の高い形態により近似される(2)および(8)から明確に確認され得る。より詳細には、(2)および(8)は、LCチャンネルが、考慮されるトランシーバの幾何学的構成、および配備されたLEDおよびPDの仕様により決定されることを示している。
【0093】
k番目のサブキャリアにおけるLCトランシーバの実現された受信SINRは、
と表され、ここで、Pは、k番目のサブキャリアにおける送信光パワーであり、Nは、k番目のサブキャリアにおけるガウシアンおよびシュートノイズの分散であり、Iは、k番目のサブキャリアにおける干渉パワーである。ここで、|| ||はフロベニウスノルムである。
【0094】
将来的なセルラーLCネットワークでは、干渉が、送信LEDの注意深い配備計画に起因して適切に制御されることが想定され得る。したがって、干渉の効果は、無視できる程度である(I≒0)か、または、干渉の値Iが空間における任意の所与の位置に対して正確に推定され、または制限され得ることが想定され得る。特に、考慮されるLCセルの各々に対して、干渉の最大レベルImaxが、各セルのカバレッジ領域に対してオフラインで演算され得る。したがって、各LCセルに対して、(11)における干渉Iは、知られた決定論的量として取り扱われ得る。この理由により、(2)~(8)、および(11)の同時観測は、SINRの値が、三次元空間における各位置に対して(11)から正確に推定され/制限され得ることを示す。したがって、LCセルラーネットワークにより使用されるセル関連付け方法が、1つの、一部の、またはすべての利用可能なサブキャリアに対する(11)におけるSINRの値に基づいている場合、各セルのカバレッジエリアが正確に規定され、および推定され得る。この結論の直接的な結果は、LC受信部が特定のセルに関連している場合、ネットワークがこの受信部の近似的位置を正確に知り得ることである。当然に、セルの関連性がLC受信部の空間位置に基づいている場合、これが直接的に有効である。
【0095】
概して、LCチャンネルの方向性の性質に起因して、LCセルのカバレッジ空間は、ネットワークから正確に推定され得ると結論づけられ得る。したがって、LC受信部が特定のLCセルに関連している場合、その近似的位置はネットワークにより直接的に知られている。
【0096】
ポイントツーポイントRF MIMOビーム形成
RF OFDMベースの通信システムにおけるマルチアンテナトランシーバを仮定すると、k番目のサブキャリアの受信信号は、
として表現される。
ここで、
は、RFサブキャリアの数である。(12)において、k番目のサブキャリアに関して、yは、
受信信号ベクトルを表し、Wは、送信機から受信機に送信されたシンボルストリームの数であるsを伴う
結合器を表し、
は、
RF無線チャンネルであり、Pは、
送信機内のビーム形成器を示し、
は、s×1情報運搬ベクトルを表し、
は、
受信機内の相加性雑音である。ここで、nは、複素ガウス雑音を表す
ベクトルである。更に、(・)は、エルミート行列を示す。
【0097】
RFマルチアンテナトランシーバは、ハイブリッド構造を有すると過程される。具体的には、アナログおよびデジタルビーム形成の両方ならびに受信結合行列が使用される。この場合、送信ビーム形成行列は、
として表現される。
ここで、Bおよび
は、それぞれ
アナログビーム形成器(例えば、送信ビームに対応する)およびk番目のサブキャリアのt×sデジタルプリコーダである。ここで、tは、送信機内のRFチェーンの数である。同様に、ハイブリッド結合器Wは、
として表現される。
ここで、Rは、
アナログ結合器(例えば、受信ビームに対応する)、
は、k番目のサブキャリアのs×rデジタル結合器である。考慮されるシステムにおいて、送信機から受信機に送信される並列シンボルストリームの数、sは、s=min(t,r)で与えられる。(13)および(14)において、BおよびRは、アナログ処理、すなわち、位相処理を適用する行列であり、全てのサブキャリアに関して同一である。先行のアナログ処理は、RF移相器または有限状態を有する遅延素子で実施され得る。対照的に、
は、位相および振幅の両方を処理するデジタル処理を適用する行列である。異なるデジタルビーム形成および結合行列は、異なるサブキャリアにおいて適用され得ることに留意されたい。
【0098】
通常、複雑性制約条件により、
であることが期待される。このことは、送信機におけるアンテナの数が、そのRFチェーンの数よりも大幅に大きいことを意味する。同様に、受信機におけるアンテナの数は、そのRFチェーンの数よりも大幅に大きい。RFチェーンは、効果で多くの回路を伴うので、このことは適切である。更に、それらの技術的改善は、トランシーバの残る回路と比較して遅いと考えられている。送信機において、各々のRFチェーンは、パワーアンプ(PA)で給電される。送信機内の電力増幅器は、総電力消費量の大きな部分の原因である。したがって、エネルギー消費量観点から、送信機内に配備されるRFチェーンの数を削減することに関心が置かれる。更に、以下で示されるように、トランシーバ内で複合処理を使用することは、それぞれプリコーディングおよびコーミング行列、PおよびWの高速設計を可能にする。このことは、大きなMIMO用途シナリオにおいて、ならびに
の値が大きくなることが予想されるミリ波帯域において、特に有用である。
【0099】
送信プリコーダ、P、および受信結合器、W、を設計するための効果的な手法は、設計処理を2つの段階に分割することであり得る。第1の段階において、コードブックベース手法が先行する。したがって、アナログビーム形成行列Bが可能性のあるビーム形成行列B={B,…,B|B|}の集合から選択され、一方、アナログ結合行列Rは、可能性のある結合行列R={R,…,R|R|}の集合から選択される。通常、実際の情報送信の前に、トレーニング処理を介して、BoptおよびRoptとして示される送信ビームおよび受信ビームの最良のペアが、それぞれ、BおよびRから選択される。具体的には、この処理中、送信機および受信機は、送信ビームおよび受信ビームの最良のペアBoptおよびRoptを決定するために、B∈B、i=1,…,|B|および、R∈B、i=1,…,|R|の全ての可能な組み合わせを試みる(例えば、掃引する)。最良のペアの選択は、一定の選択尺度に基づいて実施され得る。例えば、BoptおよびRoptは、最高のSINRをもたらす送信ビームおよび受信ビームに対応し得る。この処理はビーム掃引と呼ばれる。ビーム掃引処理は、BおよびRからのビームおよび結合器の全ての可能な組み合わせを試みるために、|B||R|タイムスロットを指定する。周波数分割双方向(FDD)ベース通信において、ビーム掃引は、アップリンク(UL)およびダウンリンク(DL)の両方で反復される。一方、時間分割双方向(TDD)ベース通信において、チャンネル相互関係が、DLまたはULのどちらかでビーム掃引を実行するために利用され得る。どちらの場合も、ビーム掃引処理は、フィードバックが送信されると完結されることに留意されたい。どちらの場合も、BおよびRの大きさ、それぞれ|B|および|R|が、トレーニング処理の長さを決定する。|B|および|R|のより大きい値(BおよびRにおけるより多量のビーム)は、より長いビーム掃引トレーニング処理をもたらす。
【0100】
第2の段階において、先行の段階からのアナログ処理行列BおよびRが利用可能であるという条件で、
を伴う、デジタルプリコーディング行列
およびデジタル結合行列
が、任意の所与の方法に関して、もたらされた仮想チャンネル、
に基づいて設計される。そのような方法の例が、ゼロフォーシング(ZF)および線形最小平均二乗誤差(LMMSE)手法である。更に、これは、コードブックまたは非コードブックベース手法において、なされ得る。(15)の
の大きさは、r×tであり、通常、
である
の大きさよりも大幅に小さい。これは、
であり、
である仮定による。したがって、
の推定は、
の推定よりも単純で高速である。そのうえ、所与の設計方法に関して、デジタル処理行列
の計算は、
ではなく
を考慮することによって、更に単純化される。
【0101】
実際のシステム実装においては、BおよびRのセットが有限であることに留意されたい。これは、配備された移相器または遅延素子が有限状態を有するという事実による。Bの要素は、一定の方向および形状のアナログ送信ビームに対応する。同様に、Rの要素は、一定の方向および形状を有する結合/受信アナログビームを表す。それぞれ、BおよびRにおける送信ビームおよび受信ビームの形状は、送信アンテナパネルおよび受信アンテナパネルの形状に依存する。通常、アンテナパネルは、アンテナ要素の異なる群が異なる偏光を有し得る、一定の1次元、2次元、または3次元構造に配置された複数のアンテナ要素を収容する。例えば、最近、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において、交差偏光要素を有する、2次元長方形パネルが、使用されてきている。そのようなアンテナの配備は、3次元空間において種々の方向に焦点を合わせ得るビームを生成することができる。このことは、生成されたビームが、仰角および方位の範囲で種々の配向を有することを意味する。通常、Bにおけるビームは、送信アンテナの数、
、が増えるほど、よりシャープになり、より指向性が高くなる。それゆえ、送信アンテナの数が増えると、B、|B|の大きさも、一定の3次元空間をカバーするために増大する。同じことが、Rにおける受信ビームに当てはまる。受信アンテナの数が増えほど、受信ビームは、よりシャープになり、より指向性が高くなる。更に、R、|R|における利用可能なビームの数も、増える。そのような配備シナリオは、
が大きい必要があるミリ波帯域において動作する通信システムの必要性に合わせられることに留意されたい。
【0102】
(12)のシステムをモデルは、i)アナログトランシーバ、ii)アナログ送信機とハイブリッド受信機とを有するトランシーバ、iii)ハイブリッド送信機とアナログ受信機とを有するトランシーバにも相当し得ることに留意されたい。これは、
、t、
、およびrの値を適切に選択することによって実施される。同様に、(12)は、s=1の場合、シングルストリームトランシーバ、s>1の場合、マルチストリームトランシーバに相当する。したがって、上の説明は、ハイブリッドRFトランシーバを指すものの、その提案および結論は、先行の3つのタイプのトランシーバに直接適用される。更に、(12)は、コードブックベースおよび非コードブックベースの送信の両方を表現可能であり、これは、(13)におけるPおよび(14)におけるWを選択/設計するために使用される手法に依存する。
【0103】
ポイントツーポイントRFデジタルMIMOビーム形成
純粋なデジタルビーム形成および結合のシナリオにおいて、送信機は、
RFチェーンを供給され、一方、受信機は、
RFチェーンを供給される。このシナリオにおいて、上述の表現に合わせるために、
であることが仮定される。この場合、先行の仮定(13)および(14)を考慮することで、(12)は、
として表現される。
ここで、
は、
行列であり、一方、
は、
行列である。コードブックベースデジタルビーム形成および結合システムにおいて、
は、可能性のあるビーム形成行列の集合P={P,…,P|P|}、および可能性のある結合行列の集合W={W,…,W|W|}から選択される。最適なデジタルビーム形成器および結合器を、それぞれPおよびWから選択する処理は、上述した最適なアナログビーム形成および結合行列の選択処理と同じである。詳細には、トランシーバは、最適なペアを選択するために、Pからのデジタルビーム形成行列と、Wからのデジタル結合行列との、全ての可能な組み合わせを掃引する必要がある。したがって、上で提示された、デジタル処理行列の最適なペアを選択するために特化されたタイムスロットの数に関する分析、およびこの数が、PおよびWの大きさによって影響を及ぼされる方法は、(16)によって表現されるコードブックベースのトランシーバに直接適用可能である。
【0104】
あるいは、(16)の
は、非コードブック手法に基づいて設計され得る。通常、これは、利用可能なチャンネル知識情報に基づいて実施される。
が、互いに別個に、または通信端末のうちの1つにおいて一緒に計算される設計があり得る。
図1a
図1b
図2
図3
図4