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特許7470722硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240411BHJP
   C03C 27/10 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G02B5/30
C03C27/10 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022017739
(22)【出願日】2022-02-08
(65)【公開番号】P2022122281
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0018195
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516189017
【氏名又は名称】キム、チュン ドク
【氏名又は名称原語表記】KIM,Choong Deuk
【住所又は居所原語表記】(Byeoksan Apt.,Jowon-dong)107-102,16,Jowon-ro,Jangan-gu Suwon-si,Gyeonggi-do 440-708,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュン ドク
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-514817(JP,A)
【文献】特開2017-211547(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244819(WO,A1)
【文献】特表2012-518699(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175585(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107533181(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103885113(CN,A)
【文献】米国特許第05751481(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0134468(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
C03C 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 段階であって、
(a-1)ロール形態で提供されるPVAフィルムの表面を20~40℃の脱イオン水で1~3分間水洗いする段階と、
(a-2)前記水洗いしたPVAフィルムの分子結合された部分に染料が染みこむように20~40℃の脱イオン水で1~3分間膨潤させる段階と、
(a-3)前記膨潤されたPVAフィルムを偏光機能と色相を付与するために染料、ヨードまたは染料とヨード混合物を30~50℃の脱イオン水と混合した水溶液に浸して3~6分間染着する段階と、
(a-4)前記染着されたPVAフィルムの表面に付着されている染料残物や異物を脱イオン水に洗浄して除去する段階と、
(a-5)ロールツーロール設備を利用してホウ酸水溶液で架橋して前記洗浄されたPVAフィルムを巻かれるロールの張力と解けるロールの張力を異にして3~6倍に延伸する段階と、
(a-6)前記延伸されたPVAフィルムを乾燥する段階と、
(a-7)前記延伸されたPVAフィルムに接着剤を利用して支持フィルムを合紙する段階と、
(a-8)前記合紙されたPVAフィルムと支持フィルムを乾燥して偏光フィルム母材を形成する段階と、及び
(a-9)前記偏光フィルム母材の表面に保護フィルムを付着する段階と、でなされるPVAフィルムと支持フィルムを利用して偏光フィルム母材を製造する段階と、
(b)前記偏光フィルム母材で偏光フィルム製造収率を高めるために、レンズの曲率半径に好適な一定大きさの偏光フィルムの各列がジグザグで切断される段階と、
(c) 段階であって、
(c-1)前記一定大きさで切断された偏光フィルムを70~90℃の温度で12時間予熱する段階と、
(c-2)予熱された前記偏光フィルムを決められた一定曲率に合わせて90~120℃で3~5分成形する段階と、
(c-3)一定曲率で成形された前記偏光フィルムをガラスモールドの間に挟みこんで冷却させながら形態を固定させる段階と、及び
(c-4)一定曲率で形態が固定された前記偏光フィルムの縁で内側にレンズ使用可能部分を表示する一定長さの表示部を放射状に印刷する段階と、でなされる切断された偏光フィルムを硝子レンズの曲率に沿って一定な曲率を有するように成形する段階と、
(d)段階であって、
(d-1)第1硝子レンズを同一な曲率を有したモールドの上に載せる段階と、
(d-2)前記第1硝子レンズ上に接着剤を塗布する段階と、
(d-3)接着剤が塗布された前記第1硝子レンズ上に前記偏光フィルムを付着する段階と、
(d-4)前記偏光フィルム上に接着剤を塗布する段階と、
(d-5)接着剤が塗布された前記偏光フィルム上に第2硝子レンズを付着する段階と、及び
(d-6)お互いに接着された前記第1硝子レンズと前記偏光フィルム及び前記第2硝子レンズをUV硬化または熱乾燥して偏光レンズを形成する段階と、でなされる前後の硝子レンズの間に前記一定な曲率を有した偏光フィルムを付着する段階と、でなされ、
前記支持フィルムは、PCフィルム、TACフィルムまたはPAフィルムのうちで選択される何れか一つであり、
前記接着剤には、PVA粉末に水と硬化剤及びUV遮断剤または水溶性変色染料が混合され形成され、
前記表示部を放射状に印刷する段階は、切断された偏光フィルムに微細割れ目がどこまで発生するか検査し、
前記検査した値を基準で微細割れ目が発生されない部分まで表示部を印刷する
ことを特徴とする偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法。
【請求項2】
前記(d)段階の接着剤はUVまたは熱硬化性接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法に関するものであり、より詳細には、一定な幅を有した偏光フィルムを製造し、製造された偏光フィルムで硝子レンズに付着することができる一定な形態で切断して成形することで、製造原価を減らして偏光フィルムの製造効率を増加させることができる硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自然物に反射されて難解に反射と屈折を繰り返えす自然光をそのまま目に受け入れるようになれば、眩しさ現象を起こすようになる。この時、偏光の原理を応用した偏光レンズを着用すれば、眩しさを減らすことができる。
【0003】
偏光とは、難解に反射と屈折を繰り返えす自然光が偏光フィルム(偏光子)を通じて一方向だけに透過されて特定の方向だけに震動する光の波動を言う。
【0004】
このような偏光レンズは日がのぼる頃や日が暮れる頃に反射光と屈折光を遮断して眩しさを減少させることができるし、事物を見られる可視距離が長くなるようにする。
【0005】
また、自動車運転時偏光レンズを着用するようになれば、不必要な光が遮られて広い視野を確保することができて安全運転にもお手助けになるようになる。
【0006】
一般な偏光レンズは、プラスチックまたは硝子レンズの表面に偏光フィルム(偏光子)を加熱付着するか、または偏光フィルムをあらかじめレンズ形態に成形した後偏光フィルムの両方にCR-39(allyl diglycol carbonate)またはウレタンのような液状のモノマー、オリゴマーを注いで硬化させるキャスティング方法を使用するか、または偏光フィルムの間または偏光フィルムの両面にTAC(Triacetyl Cellulose)フィルムやPC(Polycarbonate)フィルムなどの保護フィルムを合紙(laminating)した偏光シートをレンズ形態で成形した後、成形した偏光シートを射出機に入れてインサート射出を通じて厚さを補強する方法を使用して製造する。
【0007】
硝子レンズに偏光フィルムを合紙する場合、従来PVA(Polyvinylalcohol)フィルムを切断する場合脆性(brittleness)が大きいため、実際レンズに必要な大きさより大きく切断しなければならないという問題点があった。また、脆性が大きいために曲面成形のためにはジグが必要で実際レンズに必要な大きさより大きく切断しなければならないという問題点があった。
【0008】
また、剛性を大きくするためにTACフィルムやPCフィルムで支持フィルムを使用する場合でも、フィルムの使用部分に対してはどの範囲まで使用が可能であるかに対する表示がなくて偏光レンズ製造後不良が発生することがある問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1121276号2012.02.21.登録)
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1142382号2012.04.26.登録)
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1953411号2019.02.22.登録)
【文献】大韓民国登録特許公報第10-2052168号2019.11.28.登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述したような問題点を解決するために案出されたものであり、硝子レンズを使用して偏光レンズを生産するにおいて、硝子レンズに好適な形態で偏光フィルムを切断して経済性を高めることができる硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法を提供することにその目的がある。
【0011】
また、本発明は硝子偏光レンズの加工に好適なように偏光フィルムに使用適合性標識をして硝子偏光レンズの加工時製品の不良率を減らすことができる硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために本発明は、(a)PVAフィルムと支持フィルムを利用して偏光フィルム母材を製造する段階と、(b)前記偏光フィルム母材をレンズの曲率半径に好適な一定大きさで切断する段階と、(C)前記一定大きさで切断された偏光フィルムを硝子レンズの曲率に沿って一定な曲率を有するように成形する段階と、(d)前後の硝子レンズの間に前記一定な曲率を有した偏光フィルムを付着する段階と、でなされることを特徴とする偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法を提供する。
【0013】
本発明で(a)段階は、(a-1)PVAフィルムの表面を20~40℃の脱イオン水で1~3分間水洗いする段階と、(a-2)前記水洗いしたPVAフィルムの分子結合された部分で染料が染みこむように20~40℃の脱イオン水で1~3分間膨潤させる段階と、(a-3)前記膨潤されたPVAフィルムを偏光機能と色相を付与するために染料、ヨードまたは染料とヨード混合物を30~50℃の脱イオン水と混合した水溶液に浸して3~6分間染着する段階と、(a-4)前記染着されたPVAフィルムの表面に付着されている染料残物や異物を脱イオン水で洗浄して除去する段階と、(a-5)ロールツーロール設備を利用してホウ酸水溶液に架橋して前記洗浄されたPVAフィルムを3~6倍で延伸する段階と、(a-6)前記延伸されたPVAフィルムを乾燥する段階と、(a-7)前記延伸されたPVAフィルムに接着剤を利用して支持フィルムを合紙する段階と、(a-8)前記合紙されたPVAフィルムと支持フィルムを乾燥して偏光フィルム母材を形成する段階と、及び(a-9)前記偏光フィルム母材の表面に保護フィルムを付着する段階と、でなされることを特徴とする。
【0014】
本発明で支持フィルムは、PCフィルム、TACフィルムまたはPAフィルムのうちで選択される何れか一つであることを特徴とする。
【0015】
本発明で接着剤は、PVA粉末に水と硬化剤を混合して形成された水系接着剤でなされることを特徴とする。
【0016】
本発明で水系接着剤には、UV遮断剤または水溶性変色染料とさらに混合されることを特徴とする。
【0017】
本発明で(b)段階は、偏光フィルムで収率を高めるために、切開される偏光フィルムの各列がジグザグで切断されることを特徴とする。
【0018】
本発明で(C)段階は、(c-1)前記一定大きさで切断された偏光フィルムを70~90℃の温度で12時間予熱する段階と、(c-2)予熱された前記偏光フィルムを決められた一定曲率に合わせて80~140℃で3~5分成形する段階と、(c-3)一定曲率で成形された前記偏光フィルムをガラスモールドの間に挟みこんで冷却させながら形態を固定させる段階と、及び(c-4)一定曲率で形態が固定された前記偏光フィルムの縁で内側にレンズ使用可能部分を表示する一定長さの表示部を放射状で印刷する段階と、でなされることを特徴とする。
【0019】
本発明で(d)段階は、(d-1)第1硝子レンズを同一な曲率を有したモールドの上に乗せる段階と、(d-2)前記第1硝子レンズ上に接着剤を塗布する段階と、(d-3)接着剤が塗布された前記第1硝子レンズ上に前記偏光フィルムを付着する段階と、(d-4)前記偏光フィルム上に接着剤を塗布する段階と、(d-5)接着剤が塗布された前記偏光フィルム上に第2硝子レンズを付着する段階と、及び、(d-6)お互いに接着された前記第1硝子レンズと前記偏光フィルム及び前記第2硝子レンズをUV硬化または熱乾燥して偏光レンズを形成する段階と、でなされることを特徴とする。
【0020】
本発明で、硝子レンズと偏光フィルムを接着するための接着剤はUVまたは熱硬化性接着剤であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
前述したように本発明の硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法は、偏光フィルムを硝子レンズに好適に切断することができて偏光フィルムの収率増加によって硝子偏光レンズの製造費用を減らすことができるという長所を有する。
また、本発明は硝子偏光レンズで一番重要な偏光フィルムの使用可能性如何に対する表示部が具備されるために、製品の不良率を画期的に減らすことができるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの全体製造方法の順序図である。
図2】本発明による硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法において偏光フィルム製造段階の順序図である。
図3】本発明による硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法において偏光フィルム成形段階の順序図である。
図4】本発明による硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法において、硝子レンズに偏光フィルムを付着する偏光フィルム付着段階の順序図である。
図5】本発明による偏光フィルム切断段階で偏光フィルムの切断形態を示した平面図である。
図6】本発明による切断された偏光フィルムの成形段階で偏光フィルムに表示部を印刷したことを示した平面図である。
図7】従来の偏光フィルムの使用形態を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の一実施例による高屈折偏光レンズの製造方法を詳しく説明する。
【0024】
図1は、本発明による硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの全体製造方法の流れ図であり、図2は本発明による硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法において、偏光フィルム製造段階の流れ図であり、図3は本発明による硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法において偏光フィルム成形段階の流れ図であり、図4は本発明による硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法において硝子レンズに偏光フィルムを付着する偏光フィルム付着段階の流れ図であり、図5は本発明による偏光フィルム切断段階で偏光フィルムの切断形態を示した平面図であり、図6は本発明による切断された偏光フィルムの成形段階で偏光フィルムに表示部を印刷したことを示した平面図であり、図7は従来の偏光フィルムの使用形態を示した平面図である。
【0025】
図1は、本発明による硝子レンズに好適な偏光フィルムを利用した硝子偏光レンズの製造方法の流れ図である。図面に示されたように、硝子偏光レンズ製造方法は、(a)PVAフィルムと支持フィルムを利用して偏光フィルム母材を製造する偏光フィルム母材製造段階(S1)と、(b)偏光フィルム母材をレンズの曲率半径に好適な一定大きさで切断する偏光フィルム切断段階(S2)と、(C)一定大きさで切断された偏光フィルムを硝子レンズの曲率に沿って一定な曲率を有するように成形する偏光フィルム成形段階(S3)と、(d)前後の硝子レンズの間に一定な曲率を有した偏光フィルムを付着する偏光フィルム付着段階(S4)でなされる。
【0026】
先ず、(a)PVAフィルムと支持フィルムを利用して偏光フィルム母材を製造する偏光フィルム製造段階(S1)を説明する。図2に示されたように、偏光フィルム製造段階(S1)は、(a-1)PVAフィルムの表面を20~40℃の脱イオン水で1~3分間水洗いするPVAフィルム水洗い段階(S11)と、(a-2)水洗いしたPVAフィルムの分子結合された部分で染料が染みこむように20~40℃の脱イオン水で1~3分間膨潤させるPVAフィルム膨潤段階(S12)と、(a-3)膨潤されたPVAフィルムを偏光機能と色相を付与するために染料、ヨードまたは染料とヨード混合物を30~50℃の脱イオン水と混合した水溶液に浸して3~6分間染着するPVAフィルム染着段階(S13)と、(a-4)染着されたPVAフィルムの表面に付着されている染料残物や異物を脱イオン水で洗浄して除去するPVAフィルム洗浄段階(S14)と、(a-5)ロールツーロール(roll-to-roll)設備を利用してホウ酸水溶液で架橋して洗浄されたPVAフィルムを3~6倍に延伸するPVAフィルム延伸段階(S15)と、(a-6)延伸されたPVAフィルムを乾燥するPVAフィルム乾燥段階(S16)と、(a-7)延伸されたPVAフィルムに接着剤を利用して支持フィルムを合紙するPVAフィルムと支持フィルム合紙段階(S17)と、(a-8)合紙されたPVAフィルムと支持フィルムを乾燥して偏光フィルム母材を形成する偏光フィルム形成段階(S18)と、(a-9)偏光フィルム母材の表面に保護フィルムを付着する保護フィルム付着段階(S19)でなされる。
【0027】
先ず、(a-1)PVAフィルムの表面を20~40℃の脱イオン水(deionized water)で1~3分間水洗いするPVAフィルム水洗い段階(S11)を説明する。偏光フィルムを製造するために提供されるフィルムは普通ロール形態で提供される。ロール形態で提供されるためにPVAフィルムをロールで解けば、表面に異物やほこりなどがついていることがある。このような異物らを除去するために20~40℃の脱イオン水を利用して1~3分間水洗いする。
【0028】
次に、(a-2)水洗いしたPVAフィルムの分子結合された部分に染料が染みこむように20~40℃の脱イオン水で1~3分間膨潤させるPVAフィルム膨潤段階(S12)を経る。PVAフィルムの分子結合部分に染料が投入されることができるように分子間の結合距離をふやすことで、脱イオン水で可能な最大でPVAフィルムを膨潤させる。
【0029】
次に、(a-3)膨潤されたPVAフィルムを偏光機能と色相を付与するために染料、ヨードまたは染料とヨード混合物を30~50℃の脱イオン水と混合した水溶液に浸して3~6分間染着するPVAフィルム染着段階(S13)を経る。PVAフィルムに偏光機能を付与するためには異色性物質が必要である。異色性物質としてはヨードと染料が使用される。偏光フィルムは主にヨード系を利用して偏光機能が付与されるが、PVAフィルムをヨードとヨード-カリウム錯体系の水溶液に沈積させて染着させて偏光機能を付与する。ヨード系偏光フィルムは偏光フィルムが取り揃えなければならない透過度と偏光効率などの光学特性は優秀であるが、ヨードの昇華性によって温度、湿度、光に対する耐久性に問題があるので苛酷な環境では使用することができない。染料系偏光フィルムの場合はヨードの短所である耐久性の問題を解決したが、染料の異色性が低くてヨード系偏光フィルムより偏光性能が落ちる。それにしたがって、染料とヨードを混合した溶液で染着をして偏光機能を付与することもできる。
【0030】
次に、(a-4)染着されたPVAフィルムの表面に付着されている染料残物や異物を脱イオン水に洗浄して除去するPVAフィルム洗浄段階(S14)を経る。染着されたPVAフィルムを脱イオン水に洗浄して表面の異物を除去する。
【0031】
次に、(a-5)ロールツーロール(roll-to-roll)設備を利用してホウ酸水溶液で架橋して洗浄されたPVAフィルムを3~6倍に延伸するPVAフィルム延伸段階(S15)を経る。ロールツーロール装備で巻かれるロールの張力と解けるロールの張力を異にしてPVAフィルムを3~6倍で一軸延伸する。延伸フィルムはホウ酸水溶液で架橋して延伸された状態で固定させる。延伸一軸延伸でポリマーチェーンの配向方向に異色性分子を並んでいるように配列させ、ホウ酸に架橋する。
【0032】
次に、(a-6)延伸されたPVAフィルムを乾燥するPVAフィルム乾燥段階(S16)を経る。延伸されたPVAフィルムは水溶液でホウ酸に架橋されるために水溶液成分が残っているので、乾燥させて偏光フィルムに作る。
【0033】
次に、(a-7)延伸されたPVAフィルムに接着剤を利用して支持フィルムを合紙するPVAフィルムと支持フィルム合紙段階(S17)を経る。支持フィルムとPVAフィルムはお互いに付着するか、または支持フィルムとPVAフィルムは、支持フィルム両側にPVAフィルムを付着するか、またはPVAフィルム両側に支持フィルムを付着することもできる。支持フィルムはTACフィルム、PCフィルムまたはPAフィルムが使用されることができる。すなわち、構造的にPVA/TAC/PVA、TAC/PVA/TAC、PVA/PC/PVA、PC/PVA/PC、PVA/PA/PVAまたはPA/PVA/PAでなされることができる。TACフィルムは必要によっては表面前処理作業が進行されることができる。TACフィルムの前処理はNaOH水溶液にTACフィルムを浸漬させてTACフィルム110の表面を改質する。表面改質反応が進行された後にTACフィルムの表面はヒドロキシ基(OH-)が表面に形成される。TACフィルムの表面に形成されたヒドロキシ基(OH-)が水系接着剤と結合するようになって、表面結合力が強化されることができる。接着剤としては、水系性接着剤が使用される。水系性接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤、ポリカルボン酸基接着剤、エポキシ系接着剤、アルデヒド系接着剤、及び水分散ポリウレタン系などを挙げることができる。水系性接着剤の例としてポリビニルアルコール系接着剤はPVA粉末を接着剤で利用する。PVA粉末を脱塩水に解いてのりを作って、作られたのりを利用してPVAフィルムと支持フィルムをお互いに付着する。必要によっては硬化剤を投入することができる。また、水系接着剤にはUV遮断剤または、水溶性変色染料とさらに混合して機能性を付与することができる。
【0034】
次に、(a-8)合紙されたPVAフィルムと支持フィルムを乾燥して偏光フィルム母材を形成する偏光フィルム形成段階(S18)を経る。PVAフィルムと支持フィルムに使用される水系接着剤は水分が含まれているので、一定時間乾燥して強度が強化された偏光フィルムを得ることができる。
【0035】
次に、(a-9)偏光フィルム母材の表面に保護フィルムを付着する保護フィルム付着段階(S19)を経る。PVAフィルムと支持フィルムに形成された偏光フィルムの表面を保護するために表面に保護フィルムを付着する。偏光フィルムの表面に保護フィルムを付着することで、偏光フィルムの製造は完成される。
【0036】
次に、(b)偏光フィルム母材をレンズの曲率半径に好適な一定大きさで切断する偏光フィルム切断段階(S2)を経る。偏光フィルム母材が完成されれば、偏光フィルム母材でレンズの曲率半径に合わせて一定大きさで切断して偏光フィルムを形成する。偏光フィルムは一軸に延伸されているために通常的に成形をするために熱を加える場合原状回復力によって変形されることがある。それによって偏光フィルムは原状回復力による縮小変形を考慮して楕円形態で製作される。図5は、本発明による偏光フィルムを切断することを示している。保護フィルムが付着された偏光フィルム100で一定な大きさで切断することを示している。切断された偏光フィルム200は成形のために微細な卵円形で形成されることができる。また、図面に示されたように、偏光フィルムの切断は横と縦が250mmの状態で12個の偏光フィルムを切断することができることが表示され、図7は従来の偏光フィルムの切断形態を示しているが、ジグの使用のために同一な大きさで4個の偏光フィルムを切断することができる。図面に示されたように偏光フィルム10は4部分が切断11され、切断された部分で円形でなされた偏光フィルム20部分のみを利用して硝子レンズと付着するようになる。よって、本願発明による偏光フィルムは従来の偏光フィルムに比べて3倍の収率を得ることができる。収率を高めるために偏光フィルムは切断される各列がジグザグでなされる。
【0037】
次に、図3を参照して(C)一定大きさで切断された偏光フィルムを硝子レンズの曲率に沿って一定な曲率を有するように成形する偏光フィルム成形段階(S3)を説明する。偏光フィルム成形段階(S3)は、(c-1)一定大きさで切断された偏光フィルムを70~90℃の温度で12時間予熱する偏光フィルム予熱段階(S31)と、(c-2)予熱された偏光フィルムを決められた一定曲率に合わせて80~140℃で3~5分成形する偏光フィルム成形段階(S32)と、(c-3)一定曲率で成形された偏光フィルムをガラスモールドの間に挟みこんで冷却させながら形態を固定させる偏光フィルム形態固定段階(S33)と、(c-4)一定曲率で形態が固定された偏光フィルムの縁で内側にレンズ使用可能部分を表示する一定長さの表示部を放射状で印刷する偏光フィルム表示部印刷段階(S34)でなされる。
【0038】
先ず、(c-1)一定大きさで切断された偏光フィルムを70~90℃の温度で12時間予熱する偏光フィルム予熱段階(S31)を経る。一定大きさで切断された偏光フィルムを適正温度で12時間予熱する。12時間偏光フィルムを予熱することで、偏光フィルムを一定な曲率を有した偏光フィルムでの成形が可能にさせる。すなわち、分子間の結合の緩い状態になって偏光フィルムを一定な曲率を有するように撓めることができるようになる。また、予熱は偏光フィルムの関数率によって成形後フィルムの物理的変化を防止するためのことである。また、追加的に成形過程で色変化率を一定に維持するために予熱をする。
【0039】
次に、(c-2)予熱された偏光フィルムを決められた一定曲率に合わせて80~140℃で3~5分間成形する偏光フィルム成形段階(S32)を経る。形態の変形が可能な程度に予熱した後一定な曲率に合わせて製造されたモールドに予熱された偏光フィルムを入れて一定な曲率を形成する。
【0040】
次に、(c-3)一定曲率で成形された偏光フィルムをガラスモールドの間に挟みこんで冷却させながら形態を固定させる偏光フィルム形態固定段階(S33)を経る。一定な曲率を維持できるように成形された偏光フィルムをガラスモールドの間に挟みこんで冷却させて形態を固定する。冷却は徐徐になされることが望ましくて急激な冷却は偏光フィルムの組織に影響を与えることができるために徐徐に冷却する。
【0041】
次に、(c-4)一定曲率で形態が固定された偏光フィルムの縁で内側にレンズ使用可能部分を表示する一定長さの表示部を放射状で印刷する偏光フィルム表示部印刷段階(S34)を経る。偏光フィルムはパンチングなどの装備でパンチングして一定形態で切断するために切断する部分は微細な割れ目が発生される。それによって偏光フィルムの一定内側部分のみを使用できるように表示部印刷する。表示部は切断された偏光フィルムの縁側を顕微鏡などの装備で検査をして、検査偏光フィルムの全体値を基準で微細割れ目がどこまで発生するかの如何を判断する。それによって微細割れ目が発生されない部分まで表示部を印刷して硝子レンズと接合して硝子偏光レンズの加工時表示部を利用して便利に一定形態で加工することができる。それによって硝子レンズを製作するめがね業者は硝子偏光レンズ加工時製品の不良率を減らすことができるし、また偏光フィルムの供給者の立場でも不良が出ることがある一定部分を表示してくれることで、製品自体に対する不良率を減らすことができて経済的な利点が生ずる。図6は、表示部202を形成したことを示している。切断された偏光フィルム200は偏光フィルム本体201と、一定な長さまで印刷される表示部202を有して、必要によっては表示部203を内側の点線形態で印刷して表示することもできる。表示部202が印刷されると、偏光フィルムの成形は完了される。
【0042】
最後に図4を参照して(d)前後の硝子レンズの間に一定な曲率を有した偏光フィルムを付着する偏光フィルム付着段階(S4)を説明する。硝子レンズの間に偏光フィルムを付着する段階は、(d-1)第1硝子レンズを同一な曲率を有したモールドの上に乗せる第1硝子レンズ準備段階(S41)と、(d-2)前記第1硝子レンズ上に接着剤を塗布する段階(S42)と、(d-3)接着剤が塗布された前記第1硝子レンズ上に前記偏光フィルムを付着する段階(S43)と、(d-4)前記偏光フィルム上に接着剤を塗布する段階(S44)と、(d-5)接着剤が塗布された前記偏光フィルム上に第2硝子レンズを付着する段階(S45)と、(d-6)お互いに接着された前記第1硝子レンズと前記偏光フィルム及び前記第2硝子レンズをUV硬化または熱乾燥して偏光レンズを形成する段階(S46)でなされる。
【0043】
先ず、(d-1)第1硝子レンズを同一な曲率を有したモールドの上に乗せる第1硝子レンズ準備段階(S41)を経る。第1硝子レンズをレンズの曲率に合わせて製作されたモールドに乗せる。モールドは凸面が上に向けるようにふくらんでいるように形成される。モールドは硝子レンズの曲率に沿って硝子レンズと同一な曲率を有するように作られ、モールドが設けられるとふくらんでいるように形成されるモールド面上に硝子レンズを乗せる。
【0044】
次に、(d-2)第1硝子レンズのふくらんでいる表面上に接着剤を塗布する接着剤塗布段階(S42)を経る。硝子レンズの表面に接着剤を塗布するが、必要によってはプライマーを先に硝子レンズの表面に塗布した後に接着剤を塗布することができる。接着剤はUV接着剤や熱硬化性接着剤が使用される。
【0045】
次に、(d-3)第1硝子レンズの接着剤塗布面上に偏光フィルムを付着する偏光フィルム付着段階(S43)を経る。接着剤が塗布された硝子レンズ上に偏光フィルムを付着する。
【0046】
次に、(d-4)第1硝子レンズに付着された偏光フィルム上に接着剤を塗布する接着剤塗布段階(S44)を経る。同一な過程で偏光フィルムの接触面に接着剤を塗布する。接着剤はUV硬化または熱硬化性接着剤が使用されることができる。
【0047】
次に、(d-5)接着剤が塗布された偏光フィルム上に第2硝子レンズを付着する第2硝子レンズ付着段階(S45)を経る。
【0048】
次に、(d-6)お互いに接着された第1硝子レンズと偏光フィルム及び第2硝子レンズをUV硬化または熱乾燥して硝子偏光レンズを形成する硝子偏光レンズ形成段階(S46)を経る。硝子レンズと偏光フィルムの付着に使用されるUVまたは熱硬化性接着剤を完全に乾燥させて硝子偏光レンズを完成する。
【0049】
以上で本発明の望ましい一実施例を説明したが、本発明は多様な変化と変更及び均等物を使用することができるし、前記実施例を適切に変形して同一に応用することができることが明確である。したがって、前記記載内容は下記特許請求範囲の限界によって決められる本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0050】
100 偏光フィルム母材
200 偏光フィルム
201 偏光フィルム本体
202 表示部
203 表示部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7