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特許7470729移動端末試験装置とその移動端末の位置補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】移動端末試験装置とその移動端末の位置補正方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/17 20150101AFI20240411BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20240411BHJP
【FI】
H04B17/17
H04B17/29 200
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022051465
(22)【出願日】2022-03-28
(65)【公開番号】P2023144478
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大曽根 暖
(72)【発明者】
【氏名】珍部 涼太
(72)【発明者】
【氏名】笠井 隆壮
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-197705(JP,A)
【文献】特表2010-502997(JP,A)
【文献】特開2004-093317(JP,A)
【文献】特開平11-108628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/17
H04B 17/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末(10)のコンフォーマンステストを行なう移動端末試験装置(1)であって、
前記移動端末から送信された電波を受信する受信アンテナ(2)と、
前記移動端末の位置を調整するポジショナ(3)と、
前記移動端末を撮像するカメラ(4)と、
前記移動端末ごとに送信電波のPeak点データとして、少なくともPeak点での前記移動端末の位置の情報と、前記カメラで撮像されたPeak点での前記移動端末の画像データとをデータベースに記憶し、測定対象の前記移動端末のPeak点データが前記データベースに保存されている場合、前記Peak点データの前記移動端末の位置の情報に基づいて前記ポジショナにより前記移動端末の位置を調整し、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとを比較し、前記カメラにより撮像された現在の画像データの前記移動端末の位置と、前記Peak点データの画像データの前記移動端末の位置との誤差が所定の閾値を超えている場合、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとを表示する制御部(7)と、を備える移動端末試験装置。
【請求項2】
前記制御部は、測定対象の前記移動端末の前記Peak点データが前記データベースに記憶されていない場合、前記ポジショナを調整しながら前記Peak点データを取得する請求項1に記載の移動端末試験装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとの前記移動端末の重なり部分に基づいて前記誤差を算出する請求項1または請求項2に記載の移動端末試験装置。
【請求項4】
移動端末から送信された電波を受信する受信アンテナ(2)と、前記移動端末の位置を調整するポジショナ(3)と、前記移動端末を撮像するカメラ(4)と、を備え、前記移動端末のコンフォーマンステストを行なう移動端末試験装置(1)の移動端末の位置補正方法であって、
前記移動端末ごとに送信電波のPeak点データとして、少なくともPeak点での前記移動端末の位置の情報と、前記カメラで撮像されたPeak点での前記移動端末の画像データとをデータベースに記憶するステップと、
測定対象の前記移動端末のPeak点データが前記データベースに保存されている場合、前記Peak点データの前記移動端末の位置の情報に基づいて前記ポジショナにより前記移動端末の位置を調整し、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとを比較するステップと、
前記カメラにより撮像された現在の画像データの前記移動端末の位置と、前記Peak点データの画像データの前記移動端末の位置との誤差が所定の閾値を超えている場合、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとを表示するステップと、を備える移動端末の位置補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の試験を行なう移動端末試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデータ通信端末等の移動端末(User Equipment:以下、「UE」ともいう)を開発した場合、この開発した移動端末が正常に通信を行なえるか否かを試験する必要がある。このため、実際の基地局の機能を擬似する擬似基地局として動作する試験装置に試験対象の移動端末を接続し、試験装置と移動端末との間で通信を行ない、この通信の内容を確認する試験を行なっている。
【0003】
このような試験の中には、移動端末が3GPP(3rd Generation Partnership Project)の規格に準じているかを確認するコンフォーマンステストなどがある。
【0004】
また、移動通信システムにおいては、5G(5th Generation)無線方式である5G NR(New Radio)のサービスが開始されており、5G NRにおいて使用する周波数帯域は、FR1(Frequency Range 1):450~6,000MHzとFR2(Frequency Range 2):24,250~52,600MHzの大きく2つの周波数レンジに分類される。
【0005】
FR2のような高周波数帯では、伝搬ロスが増大することから、伝搬ロスを補うために、電波を特定の方向へ集めてビームを形成するビームフォーミングを適用する。
【0006】
5G NRのFR2におけるコンフォーマンステストのテストケース(以下、「FR2TC」ともいう)では、テストケースの測定前に、移動端末を中心として球面全体にビーム方向を操作した際に得られるEIRP(Equivalent Iso-tropic Radiated Power)値より、意図した方向に正しくビームを向けられることを統計的に担保する必要がある。
【0007】
また、FR2TCの測定前にEIRP値が最大となるPeak点をサーチすると、膨大な時間が掛かってしまうため、全球面のEIRP値のPeak点サーチ結果をデータベースに記憶しておき、測定条件が同じFR2TCを測定する場合には、データベースから測定条件が同じPeak点サーチ結果を読み出し、ポジショナにより移動端末の位置を調整し、Peak点を決められた方向に向けることで測定時間の短縮を図っている。
【0008】
特許文献1には、ビームフォーミングが適用された送信に対応するユーザ装置の、ユーザ装置を中心とする球の全方位を測定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2019/225617号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、過去の結果から移動端末の位置情報を求め、移動端末の位置を調節する際に、ポジショナの経年劣化や、移動端末の取り付けミスなどで、求めた位置情報による位置とはずれてしまうことがある。
【0011】
このようなずれを補正する場合、角度などの位置情報のみでは、人の手で補正することは難しく、作業効率が悪化し、測定精度も低下してしまう。
【0012】
そこで、本発明は、移動端末の位置の補正を容易にして、作業効率を向上させるとともに、測定精度を向上させることができる移動端末試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の移動端末試験装置は、移動端末のコンフォーマンステストを行なう移動端末試験装置であって、前記移動端末から送信された電波を受信する受信アンテナと、前記移動端末の位置を調整するポジショナと、前記移動端末を撮像するカメラと、前記移動端末ごとに送信電波のPeak点データとして、少なくともPeak点での前記移動端末の位置の情報と、前記カメラで撮像されたPeak点での前記移動端末の画像データとをデータベースに記憶し、測定対象の前記移動端末のPeak点データが前記データベースに保存されている場合、前記Peak点データの前記移動端末の位置の情報に基づいて前記ポジショナにより前記移動端末の位置を調整し、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとを比較し、前記カメラにより撮像された現在の画像データの前記移動端末の位置と、前記Peak点データの画像データの前記移動端末の位置との誤差が所定の閾値を超えている場合、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとを表示する制御部と、を備えるものである。
【0014】
この構成により、カメラにより撮像された現在の画像データの移動端末の位置と、Peak点データの画像データの移動端末の位置との誤差が所定の閾値を超えている場合、カメラにより撮像された現在の画像データと、Peak点データの画像データとが表示される。このため、ユーザによる移動端末の位置の補正を容易にして、作業効率を向上させるとともに、測定精度を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記制御部は、測定対象の前記移動端末の前記Peak点データが前記データベースに記憶されていない場合、前記ポジショナを調整しながら前記Peak点データを取得するものである。
【0016】
この構成により、測定対象の前記移動端末のPeak点データが記憶されていない場合、Peak点データが取得される。このため、測定条件が同じ測定を行なう場合に利用することができ、作業効率を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記制御部は、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとの前記移動端末の重なり部分に基づいて前記誤差を算出するものである。
【0018】
この構成により、カメラにより撮像された現在の画像データと、Peak点データの画像データとの移動端末の重なり部分に基づいて誤差が算出される。このため、容易に誤差を算出することができ、処理負荷を軽減して、作業効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の移動端末の位置補正方法は、移動端末から送信された電波を受信する受信アンテナと、前記移動端末の位置を調整するポジショナと、前記移動端末を撮像するカメラと、を備え、前記移動端末のコンフォーマンステストを行なう移動端末試験装置の移動端末の位置補正方法であって、前記移動端末ごとに送信電波のPeak点データとして、少なくともPeak点での前記移動端末の位置の情報と、前記カメラで撮像されたPeak点での前記移動端末の画像データとをデータベースに記憶するステップと、測定対象の前記移動端末のPeak点データが前記データベースに保存されている場合、前記Peak点データの前記移動端末の位置の情報に基づいて前記ポジショナにより前記移動端末の位置を調整し、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとを比較するステップと、前記カメラにより撮像された現在の画像データの前記移動端末の位置と、前記Peak点データの画像データの前記移動端末の位置との誤差が所定の閾値を超えている場合、前記カメラにより撮像された現在の画像データと、前記Peak点データの画像データとを表示するステップと、を備えるものである。
【0020】
この構成により、カメラにより撮像された現在の画像データの移動端末の位置と、Peak点データの画像データの移動端末の位置との誤差が所定の閾値を超えている場合、カメラにより撮像された現在の画像データと、Peak点データの画像データとが表示される。このため、ユーザによる移動端末の位置の補正を容易にして、作業効率を向上させるとともに、測定精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、移動端末の位置の補正を容易にして、作業効率を向上させるとともに、測定精度を向上させることができる移動端末試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のPeak点データのデータベースの例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の誤差が大きい場合の画像データの状態の例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の誤差が小さい場合の画像データの状態の例を示す図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のコンフォーマンステスト実施処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置ついて詳細に説明する。
【0024】
図1において、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置1は、受信アンテナ2と、ポジショナ3と、カメラ4と、擬似基地局部5と、操作表示部6と、制御部7とを含んで構成されている。
【0025】
受信アンテナ2は、UE10の送信する電波を受信して、擬似基地局部5に出力する。
ポジショナ3は、UE10を水平方向及び鉛直方向に回転させ、UE10の位置を、調整する。
【0026】
カメラ4は、ポジショナ3により制御されたUE10の位置の状態を撮像する。カメラ4は可視光を撮像するカメラに限られず、赤外線やX線で撮像するカメラでもよい。
【0027】
擬似基地局部5は、制御部7の制御により、UE10との間でRF(無線周波数)信号を送受信する。擬似基地局部5は、UE10から受信したRF信号の送信電力や受信電力などを測定し、測定結果を制御部7に出力する。
【0028】
操作表示部6は、ユーザからの操作入力を受け付ける操作部と、試験用パラメータの設定画面や擬似基地局部5の測定結果などを表示する表示部とを備えている。操作部は、タッチパッドやキーボードやプッシュボタンなどによって構成される。表示部は、液晶表示装置などによって構成される。
【0029】
制御部7は、操作表示部6に入力された指示に従って、試験シナリオの作成画面を操作表示部6に表示させて試験シナリオの生成に必要な情報を入力させたり、試験シナリオの作成画面において操作表示部6に入力された情報に基づいて試験シナリオを生成したりする。また、制御部7は、操作表示部6に入力された指示に従って、擬似基地局部5に指示を送信して、記憶装置に記憶された試験シナリオに基づいて試験を実行させたり、擬似基地局部5から送信される各レイヤの状態やUE10との通信の状態などの情報に基づいて操作表示部6に試験中の状態などを表示させたりする。
【0030】
ここで、移動端末試験装置1は、UE10と通信を行なうための通信モジュールが設けられた図示しないコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置などの記憶装置と、入出力ポートと、タッチパネルとを有する。
【0031】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を移動端末試験装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、移動端末試験装置1として機能する。
【0032】
このように、本実施形態において、制御部7は、CPUによって構成され、擬似基地局部5は、通信モジュールによって構成される。
【0033】
本実施形態においては、受信アンテナ2、ポジショナ3、カメラ4は、UE10とともに、電波的に外部から隔離されたチャンバ8内に設置され、測定が行なわれる。
【0034】
本実施形態において、制御部7は、FR2TCの測定前にEIRP値が最大となるPeak点をサーチし、全球面のEIRP値のPeak点サーチ結果をデータベースに記憶する。測定するのは、EIRPだけでなく、EIS(Equivalent Iso-tropic Sensitivity)やRSRPB(Reference Signal Received Power per Branch)などでもよい。
【0035】
このため、制御部7は、ポジショナ制御部71と、測定部72と、画像データ処理部73と、位置判定部74と、を備えている。
【0036】
ポジショナ制御部71は、ポジショナ3の水平方向及び鉛直方向の回転角度を制御し、ポジショナ3に取り付けられたUE10の位置を制御する。
【0037】
測定部72は、受信アンテナ2で受信したRF信号のEIRPやEISやRSRPBを測定する。
【0038】
画像データ処理部73は、カメラ4の撮像した画像データを処理してUE10の位置を認識したり、二つの画像データを重ね合わせる処理をしたりする。
【0039】
位置判定部74は、画像データ処理部73により処理された画像データに基づいてUE10の位置を判定する。
【0040】
制御部7は、例えば、ポジショナ3の鉛直方向の回転角度φと、ポジショナ3の水平方向の回転角度θと、を所定の刻み幅で変えながら、受信アンテナ2で受信したRF信号の測定値とカメラ4で撮像した画像データを記憶装置のデータベースに保存する。
【0041】
制御部7は、例えば、図2に示すようなデータベースを構成する。「Peak Search ID」にはUE10を識別する情報が設定され、鉛直方向の回転角度φと、水平方向の回転角度θと、測定値と、画像データが保存される。なお、全ての測定データではなく、測定値が最大となるPeak点のデータのみ保存するようにしてもよい。
【0042】
制御部7は、FR2TCの測定時に、測定対象のUE10のPeak点データがデータベースに保存されている場合、データベースからデータを読み出して、UE10の位置を設定する。
【0043】
制御部7は、例えば、データベースからポジショナ3の鉛直方向の回転角度φと、ポジショナ3の水平方向の回転角度θと、を読み出し、ポジショナ3の鉛直方向の回転角度と水平方向の回転角度がφ、θになるようにポジショナ3を制御する。
【0044】
制御部7は、ポジショナ3の位置をPeak点のデータベースのデータにより設定した後、カメラ4で撮像された現在のUE10の画像データと、Peak点のデータベースの画像データを比較し、誤差が所定の閾値を超えている場合、カメラ4で撮像された現在のUE10の画像データと、Peak点のデータベースの画像データを表示し、ユーザにUE10の位置を補正させる。
【0045】
制御部7は、例えば、図3に示すように、カメラ4で撮像された現在のUE10の画像データと、Peak点のデータベースの画像データを重ね、Bで示した現在のUE10の画像と、Aで示したPeak点のデータベースのUE10の画像と、の重なっていない部分を誤差とする。
【0046】
制御部7は、例えば、現在のUE10の画像と、Peak点のデータベースのUE10の画像と、の重なっていない部分の面積のUE10の面積に対する割合が閾値以下であれば、補正の必要はなく、コンフォーマンステストの実施が可能であると判定する。
【0047】
制御部7は、例えば、図3に示すような状態から、ユーザの補正により図4に示すような状態になり、現在のUE10の画像と、Peak点のデータベースのUE10の画像と、の重なっていない部分の面積のUE10の面積に対する割合が閾値以下になると、コンフォーマンステストの測定を実施する。
【0048】
以上のように構成された本実施形態に係る移動端末試験装置1によるコンフォーマンステスト実施処理について、図5を参照して説明する。なお、以下に説明するコンフォーマンステスト実施処理は、操作表示部6への操作によりコンフォーマンステストの実行が選択され、FR2TCのテストケースが選択されると実行される。
【0049】
ステップS1において、制御部7は、Peak点サーチが必要か否かを判定する。制御部7は、例えば、試験対象となるUE10のPeak点サーチの結果がデータベースに登録されていればPeak点サーチは必要無いと判定する。
【0050】
Peak点サーチが必要であると判定した場合には、制御部7は、ステップS2の処理を実行する。Peak点サーチが必要無いと判定した場合には、制御部7は、ステップS5の処理を実行する。
【0051】
ステップS2において、制御部7は、ユーザにφ方向の刻み幅とθ方向の刻み幅を設定させる。ステップS2の処理を実行した後、制御部7は、ステップS3の処理を実行する。
【0052】
ステップS3において、制御部7は、φ方向にUE10の向きを刻み幅で変えながら測定値と画像データをデータベースに保存する。ステップS3の処理を実行した後、制御部7は、ステップS4の処理を実行する。
【0053】
ステップS4において、制御部7は、θ方向にUE10の向きを刻み幅で変えながら測定値と画像データをデータベースに保存する。ステップS4の処理を実行した後、制御部7は、ステップS5の処理を実行する。
【0054】
ステップS5において、制御部7は、データベースからPeak点のφ、θ、画像データを読み出し、φ、θにポジショナ3を調整する。ステップS5の処理を実行した後、制御部7は、ステップS6の処理を実行する。
【0055】
ステップS6において、制御部7は、Peak点の画像データのUE10の位置と現在のUE10の位置の誤差は5%以下であるか否かを判定する。
【0056】
誤差は5%以下であると判定した場合には、制御部7は、ステップS8の処理を実行する。誤差は5%以下でないと判定した場合には、制御部7は、ステップS7の処理を実行する。
【0057】
ステップS7において、制御部7は、Peak点の画像データと現在のUE10の画像データを表示し、ユーザにUE10の位置を補正させる。ステップS7の処理を実行した後、制御部7は、ステップS6の処理を実行する。
【0058】
ステップS8において、制御部7は、コンフォーマンステストの測定を実施する。ステップS8の処理を実行した後、制御部7は、コンフォーマンステスト実施処理を終了する。
【0059】
このように、上述の実施形態では、制御部7は、ポジショナ3の位置をPeak点のデータベースのデータにより設定した後、カメラ4で撮像された現在のUE10の画像データと、Peak点のデータベースの画像データを比較し、誤差が所定の閾値を超えている場合、カメラ4で撮像された現在のUE10の画像データと、Peak点のデータベースの画像データを表示する。
【0060】
これにより、カメラ4で撮像された現在のUE10の画像データと、Peak点のデータベースの画像データが表示される。このため、ユーザによるUE10の位置の補正を容易にして、作業効率を向上させるとともに、測定精度を向上させることができる。
【0061】
また、制御部7は、測定対象のUE10のPeak点データが無い場合、EIRP値が最大となるPeak点をサーチし、全球面のEIRP値のPeak点サーチ結果をデータベースに記憶する。
【0062】
これにより、測定対象のUE10のPeak点データが無い場合、Peak点がサーチされる。測定対象のUE10のPeak点データが収集され、測定条件が同じFR2TCを測定する場合に利用することができ、作業効率を向上させることができる。
【0063】
また、制御部7は、カメラ4で撮像された現在のUE10の画像データと、Peak点のデータベースの画像データとの、UE10の部分を重ね、現在のUE10の画像と、Peak点のデータベースのUE10の画像と、の重なっていない部分を誤差とする。
【0064】
これにより、容易に誤差を算出することができ、処理負荷を軽減して、作業効率を向上させることができる。
【0065】
なお、本実施形態においては、カメラ4が一つの場合を示したが、複数のカメラで撮像した画像データによりUE10の位置の誤差を求めるようにしてもよい。
【0066】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0067】
1 移動端末試験装置
2 受信アンテナ
3 ポジショナ
4 カメラ
7 制御部
10 UE(移動端末)
71 ポジショナ制御部
72 測定部
73 画像データ処理部
74 位置判定部
図1
図2
図3
図4
図5