(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】2,3,3,3-テトラフルオロプロペン生成物中のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 21/18 20060101AFI20240411BHJP
C07C 17/25 20060101ALI20240411BHJP
C07C 17/389 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
C07C21/18
C07C17/25
C07C17/389
(21)【出願番号】P 2022115527
(22)【出願日】2022-07-20
(62)【分割の表示】P 2020164391の分割
【原出願日】2014-03-12
【審査請求日】2022-08-19
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ハイユー
(72)【発明者】
【氏名】トゥン,シュー・スン
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/067980(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/001844(WO,A1)
【文献】特開2009-227675(JP,A)
【文献】特開2012-001495(JP,A)
【文献】特表2006-518363(JP,A)
【文献】特表2013-508265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及び、
HCFO-1131a(CH
2
=CFCl)を含むハロゲン化エチレン不純物を含む組成物であって、前記組成物中に存在する
前記ハロゲン化エチレン不純物の量が0ppmを超え
50ppm以下であり、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンが、少なくとも90重量%で前記組成物中に存在する、組成物。
【請求項2】
前記組成物中に存在する前記ハロゲン化エチレン不純物の量が0ppmを超え20ppm以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物中に存在する前記ハロゲン化エチレン不純物の量が0ppmを超え10ppm以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
CF
3C≡CH、HFO-1243zf(CF
3CH=CH
2)、HFO-1234ze(E/Z-CF
3CH=CHF)、HCFO-1233zd(E/Z-CF
3CH=CHCl)、HCFO-1233xf(CF
3CCl=CH
2)、及びこれらの組み合わせから選ばれる第2のハロゲン化不純物がさらに存在する、請求項1~
3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに記載の組成物を製造する方法であって、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び前記ハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を活性炭及びゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の吸着剤又はCr
2O
3/γ-Al
2O
3から選ばれる少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化不純物の濃度を減少させることを含む、方法。
【請求項6】
前記活性炭が、粉末活性炭、粒状活性炭、又は押出成形活性炭である、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記ゼオライトが、4A、5A、13X、ZSM-5、ゼオライトβ、又はゼオライトUSYである、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
前記接触が、少なくとも1種類の吸着剤を含む床を通して前記混合物の気体流を流すことを含む、請求項
5~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1~
4のいずれかに記載の組成物を製造する方法であって、
(a)2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを脱塩化水素化して、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び
HCFO-1131a(CH
2
=CFCl)を含む少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を形成し;
(b)前記混合物を活性炭及びゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の吸着剤又はCr
2O
3/γ-Al
2O
3から選ばれる少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させ;そして
(c)ハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有する2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含む、方法。
【請求項10】
請求項1~
4のいずれかに記載の組成物を製造する方法であって、
(i)式I、II、又はIII:
CX
2=CCl-CH
2X (I);
CX
3-CCl=CH
2 (II);
CX
3-CHCl-CH
2X (III);
(式中、Xは、独立して、F、Cl、Br、及びIから選択され、但し少なくとも1つのXはフッ素ではない)
の化合物を含む出発組成物を与え;
(ii)2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び第1の塩素含有副生成物を含む第1の中間体組成物を生成させ;
(iii)第1の中間体組成物をフッ素化剤と接触させて、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを含む第2の中間体組成物を生成させ;
(iv)2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを含む第2の中間体組成物の一部を脱塩化水素化して、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び
HCFO-1131a(CH
2
=CFCl)を含む少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の混合物を含む反応生成物を生成させ;
(v)2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び前記少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む前記混合物を活性炭及びゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の吸着剤又はCr
2O
3/γ-Al
2O
3から選ばれる少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、前記少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させ;そして
ハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有する2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、フッ素化有機化合物中に含まれる不純物を除去する方法、特にフッ素化オレフィン中に含まれる不飽和不純物を除去する方法、更により特には、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze)、及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HFO-1233zd)中に含まれるハロゲン化エチレン不純物を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]テトラフルオロプロペン(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)及び1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze)など)のような幾つかのヒドロフルオロオレフィン(HFO)は、現在、有効な冷媒、熱伝達媒体、噴射剤、起泡剤、発泡剤、気体状誘電体、滅菌剤キャリア、重合媒体、粒状物除去流体、キャリア流体、バフ研磨剤、置換乾燥剤、及び動力サイクル作動流体であることが知られている。殆どのクロロフルオロカーボン(CFC)及びヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)とは異なり、殆どのHFOはオゾン層を脅威にさらさない。HFO-1234yfはまた、低い毒性を有する低地球温暖化化合物であることが示されており、したがって可動型空調における冷媒に関する益々厳しくなっている要求を満足することができる。したがって、これらのヒドロフルオロオレフィンを含む組成物は、上述の用途の多くにおいて用いるように開発されている材料の中で先頭を担っている。
【0003】
[0003]フルオロオレフィンの1つのHFO-1234yfを生成させるための製造方法は米国特許8,058,486において開示されており、ここでは出発原材料として1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa)を用いている。このプロセスは次の3つの工程から構成される。(1)フッ素化クロミアのような固体フッ化水素化触媒を充填した蒸気相反応器内において、HCO-1230xa+HF→2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)+HCl;(2)フッ素化SbCl5のような液体フッ化水素化触媒を充填した液相反応器内において、HCFO-1233xf+HF→2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb);及び(3)蒸気相反応器内において、HCFC-244bb→HFO-1234yf。
【0004】
[0004]上記に規定される他のフルオロオレフィンは、異なる出発材料から同じように製造される。これらのそれぞれは、ヒドロフルオロカーボン、例えばフルオロアルカンの脱塩化水素化によって製造される。より具体的には、HFO-1234zeは、Z及びE異性体の両方の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロパン(244fa)の脱塩化水素化によって形成される。HFO-1233zdは、Z及びE異性体の両方の1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(243fa)から脱塩化水素化によって製造される。
【0005】
[0005]残念なことに、フルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfを製造するためのこのプロセスは、除去するのが困難な毒性及び/又は他の形態で望ましくない副生成物の生成をもたらす可能性がある。
【0006】
[0006]例えば、不純物を除去するための1つの通常的な方法は蒸留によるものである。しかしながら、不純物の沸点が最終フルオロオレフィン生成物のものと近接している場合
、或いは物質の相互作用によってそうでなければ異なる沸点の化合物が一緒になって近接したものになる(例えば共沸混合物)場合には、この除去方法は困難になる。更に、蒸留後においても、少量の望ましくない不純物が残留する可能性が更にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0007]その結果、フルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfを製造するプロセスにおいて生成する不純物を確認すること、及びこれらの不純物を除去する方法に対する必要性が存在する。
【0009】
[0008]本発明者らは、予期しなかったことに、それぞれHFO-1234yf、HFO-1234ze、及びHCFO-1233zd粗生成物の蒸留後に得られた最終的なHFO-1234yf、HFO-1234ze、及びHCFO-1233zd生成物は、ハロゲン化エチレン不純物をなお含んでいたことを見出した。例えば、脱塩化水素化工程の後に得られたHFO-1234yfは、HFO-1141(CH2=CHF)、HCFO-1140(CH2=CHCl)、及びHCFO-1131(CH2=CFCl、及び/又はトランス/シス-CHF=CHCl)のようなハロゲン化エチレン不純物を含んでいた。これらのハロゲン化エチレン不純物は、フルオロオレフィン、例えばHFO-1234yf、HFO-1234ze、及びHCFO-1233zdの生成物流中に0.1重量%程度の多い量で存在し、これによりそれぞれのフルオロオレフィンの濃度及び純度が低下する可能性がある。更に、HCFO-1140は発癌物質であることが周知である。他のハロゲン化エチレンの毒性は不明である。少なくともこれらの理由のために、これらのハロゲン化エチレンがHFO-1234yf最終生成物中に存在することは望ましくない。更に、これらのハロゲン化エチレンの存在によって、HFO-1234yf、HFO-1234ze、及びHCFO-1233zdのようなフルオロオレフィンの製造の効率に対する悪影響が引き起こされる可能性がある。したがって、これらの不飽和不純物をHFO-1234yf生成物から除去又は少なくとも減少させることができる手段に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0009]本発明は、フルオロオレフィン、例えばHFO-1234yf生成物中に含まれるハロゲン化エチレン不純物を除去する方法を提供する。ハロゲン化エチレンの非限定的な例は、HFO-1141(CH2=CHF)、HCO-1140(CH2=CHCl)、及びHCFO-1131(CH2=CFCl及び/又はトランス/シス-CHF=CHCl)を含む。かかるフルオロオレフィン中に存在するHFO-1243zf(CF3CH=CH2)及びHCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)などの他の不飽和不純物も、ハロゲン化エチレンと一緒に除去又は少なくとも減少させることができる。
【0011】
[0010]一態様においては、この方法は、フルオロオレフィン生成物及びハロゲン化エチレン不純物を含む生成物流を、高表面積の物理的吸着剤と接触させることを含む。かかる吸着剤の非限定的な例としては、シリカ、活性炭、架橋ポリマー、アモルファス及び半結晶質s-PS(シンジオタクチックポリスチレン)、種々のゼオライトモレキュラーシーブ(例えば、4A、5A、13X、ZSM-5、ゼオライトβ、ゼオライトUSYなど)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0012】
[0011]他の態様においては、この方法は、フルオロオレフィン生成物及びハロゲン化エ
チレン不純物を含む生成物流を、三価金属の酸化物、又はオキシハロゲン化物、又はハロゲン化物、或いはこれらの組み合わせである化学吸着触媒と接触させることを含む。一態様においては、金属は、クロム、鉄、及びアルミニウムである。かかる化学吸着触媒の非限定的な例としては、バルク又は担持型の酸化クロム、オキシ塩化クロム、オキシフッ化クロム、塩化クロム、フッ化クロム、酸化アルミニウム、オキシ塩化アルミニウム、オキシフッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化鉄(III)、オキシ塩化鉄(III)、オキシフッ化鉄(III)、塩化第二鉄、フッ化第二鉄、及びこれらの種々の組み合わせが挙げられる。有用な担体としては、シリカ、アルミナ、及び活性炭が挙げられるが、これらに限定されない。金属酸化物(酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化鉄(III)、又はこれらの任意の組み合わせ)の触媒に関しては、HCl又はHFを用いることによってハロゲン化予備処理を行う。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0012]本明細書において用いる「含む」、「含み」、「包含する」、「包含し」、「有する」、「有し」の用語、又はこれらの任意の他の変形は、非排他的な内包物をカバーするように意図される。例えば、構成要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもこれらの構成要素のみに限定されず、明確にリストされていないか、或いはかかるプロセス、方法、物品、又は装置に特有の他の構成要素を含んでいてもよい。更に、明確に逆に示されていない限りにおいて、「又は」とは、排他的な「又は」ではなく包含的な「又は」を指す。例えば、条件A又はBは次の任意の1つによって満足される:Aは正しく(又は存在し)Bは虚偽(又は存在しない)である;Aは虚偽(又は存在しない)でBは正しい(又は存在する);並びにA及びBの両方とも正しい(又は存在する)。
【0014】
[0013]また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載する構成要素及び成分を記載するために用いる。これは単に便宜的に行うものであり、発明の範囲の一般的な意味を与える。この記載は1つ又は少なくとも1つを含むと読むべきであり、単数形は、それが他に意図されていることが明らかでない限りにおいて複数形も包含する。
【0015】
[0014]他に定義されていない限りにおいて、本明細書において用いる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって通常的に理解されるものと同じ意味を有する。不一致の場合には、定義を含む本明細書が支配する。本明細書に記載するものと同様又は同等の方法及び材料を本発明の幾つかの態様の実施又は試験において用いることができるが、下記においては好適な方法及び材料を記載する。更に、材料、方法、及び実施例は、例示のみであり、限定することは意図しない。
【0016】
[0015]量、濃度、又は他の値若しくはパラメーターを、範囲、好ましい範囲、又はより高い好ましい値及び/又はより低い好ましい値のリストのいずれかとして与える場合には、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意のより高い範囲限界又は好ましい値と、任意のより低い範囲限界又は好ましい値の任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示すると理解すべきである。本明細書において数値の範囲が示されている場合には、他に示されていない限りにおいて、この範囲はその端点及びこの範囲内の全ての整数及び小数を含むと意図される。
【0017】
[0016]本明細書において用いる「フルオロオレフィン」という用語は、水素、炭素、場合によっては塩素、フッ素、及び炭素-炭素二重結合を含む分子を意味する。
[0017]本明細書において用いる「ヒドロフルオロオレフィン」という用語は、水素、炭素、フッ素、及び炭素-炭素二重結合を含む分子を意味する。
【0018】
[0018]本明細書において用いるフルオロアルカンという用語は、水素、炭素、フッ素、塩素を含み、2つの隣接する炭素原子上で塩素原子及び水素原子が置換されている2以上
の炭素原子を有するアルカンを指す。
【0019】
[0019]本明細書において用いる「ハロゲン化エチレン」という用語は、一方又は両方の炭素原子が、フッ素又は塩素のようなハロゲンによって置換されているエチレン分子を指す。本発明の目的のためには、これらのハロゲン化エチレンは、HFO-1234yf、HFO-1234ze、及びHFO-1233zd生成物を製造するプロセス中、特に脱塩化水素化工程中に形成される不純物である。エチレン不純物化合物は、その上に1、2、3、又は4つのハロゲンを有していてよい。幾つかの態様においては、エチレン不純物化合物は、その上に置換されている1つ又は2つのハロゲン原子を有する。例としては、HFO-1141(CH2=CHF)、HCO-1140(CH2=CHCl)、及びHCFO-1131(CH2=CFCl及び/又はトランス/シス-CHF=CHCl)などが挙げられる。
【0020】
[0020]「吸着剤」という用語は、物質を、その特性を変化させることなく材料に吸着させることによって、気体、液体、又は固体から物質を抽出する能力を有する材料を指す。本発明においては、吸着剤は、ハロゲン化エチレン及びHFO-1234yf生成物を含む気体又は液体流からハロゲン化エチレンを除去することができる材料であり、したがって、吸着剤は、ハロゲン化エチレン分子とのその優先的結合を促進する機能性、及び/又はHFO-1234yf、HFO-1234ze、及びHCFO-1233zd分子のようなフルオロオレフィンを排除しながら、ハロゲン化エチレン分子をその内部の中へ侵入させるのに十分に大きい細孔の開口を有する。吸着剤の例としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、アモルファス及び半結晶質シンジオタクチックポリスチレン、架橋ポリマーなどが挙げられる。
【0021】
[0021]HFO-1234zeは、2つの構造異性体のE又はZの1つとして存在することができる。本明細書において用いるHFO-1234zeとは、異性体のE-HFO-1234ze又はZ-HFO-1234ze、並びにかかる異性体の任意の組み合わせ又は混合物を指す。
【0022】
[0022]HCFO-1233zdも、2つの構造異性体のE又はZの1つとして存在することができる。本明細書において用いるHCFO-1233zdとは、異性体のE-HCFO-1233zd又はZ-HCFO-1233zd、並びにかかる異性体の任意の組み合わせ又は混合物を指す。
【0023】
[0023]本明細書において用いる「脱塩化水素化」、「脱塩化水素化する」、又は「脱塩化水素化された」という用語は、分子中の隣接する炭素上の水素及び塩素がその間に除去されるプロセスを意味する。
【0024】
[0024]本明細書において用いる「昇温温度」という用語は、室温よりも高い温度を意味する。
[0025]本発明は、フルオロオレフィン、特にフルオロアルカンの脱塩化水素化から生成するフルオロオレフィンから、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法に関する。小数のフルオロオレフィンに関して示しているが、本明細書に記載する方法は、特に脱塩化水素化の結果としてのフルオロオレフィンからの少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の除去に適用することができる。例えば、本発明の一態様は、その中に存在する可能性があるハロゲン化エチレンの量を減少させることによって、本明細書に記載する方法によって製造されるHFO-1234yf生成物を精製する方法に関する。これらの不純物は、HFO-1234yfの製造、例えばHCFC-244bbの脱塩化水素化から生じる。HFO-1234yfの製造に関連して吸着剤及び化学吸着触媒を用いることを示しているが、本出願はそのように限定はされない。
【0025】
[0026]HFO-1234yfを製造する方法は、米国特許8,084,653(その内容を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。上記に記載したように、HFO-1234yfの製造は、一般に次の少なくとも3つの反応工程を含む。
【0026】
(i)固体触媒を充填した蒸気相反応器内において、(CX2=CCl-CH2X又はCX3-CCl=CH2又はCX3-CHCl-CH2X)+HF→2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)+HCl;
(ii)液体フッ化水素化触媒を充填した液相反応器内において、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)+HF→2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb);及び
(iii)蒸気相反応器内において、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)→2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)。
【0027】
ここで、Xは、独立してF、Cl、Br、及びIから選択され、但し少なくとも1つのXはフッ素ではない。
[0027]一般的に、第1の反応工程の出発材料は、式I、II、及び/又はIII:
CX2=CCl-CH2X (式I);
CX3-CCl=CH2 (式II);
CX3-CHCl-CH2X (式III);
(式中、Xは、独立して、F、Cl、Br、及びIから選択され、但し少なくとも1つのXはフッ素ではない)
による1種類以上の塩素化化合物によって表すことができる。幾つかの態様においては、これらの化合物は少なくとも1つの塩素を含むか、Xの大部分は塩素であるか、又は全てのXは塩素である。
【0028】
[0028]第1工程においては、かかる出発材料(幾つかの態様においては1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa)及び/又は1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)を含む)を、第1の蒸気相反応器(フッ素化反応器)内で無水HFと反応させて、少なくともHCFO-1233xf(2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)及びHClの混合物を生成させる。この反応は、約200~400℃の温度、及び約0~200psigの圧力において行うことができる。蒸気相反応器から排出される流出流は、場合によっては、未反応のHF、重質中間体、HCFC-244bb、HFC-245cb(1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン)などのような更なる成分を含む可能性がある。
【0029】
[0029]この反応は、蒸気相フッ素化反応のために好適な任意の反応器内で行うことができる。反応器は、ハステロイ、インコロイ、モネルのようなフッ化水素及び触媒の腐食作用に対して抵抗性の材料から構成することができる。蒸気相プロセスの場合には、反応器に蒸気相フッ素化触媒を充填する。当該技術において公知の任意のフッ素化触媒を、このプロセスにおいて用いることができる。好適な触媒としては、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガン、ニッケル、及び鉄の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、これらの無機塩、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、これらのいずれも場合によってはハロゲン化されていてよい。本発明のために好適な触媒の組合せとしては、非排他的に、Cr2O3、FeCl3/C、Cr2O3/Al2O3、Cr2O3/AlF3、Cr2O3/炭素、CoCl2/Cr2O3/Al2O3、NiCl2/Cr2O3/Al2O3、CoCl2/AlF3、NiCl2/AlF3、及びこれらの混合物が挙げられる。酸化クロム/酸化アルミニウム触媒は、米国特許5,155,082(その内容を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。結晶質酸
化クロム又はアモルファス酸化クロムのようなクロム(III)酸化物が好ましく、アモルファス酸化クロムが最も好ましい。酸化クロム(Cr2O3)は商業的に入手可能な材料であり、種々の粒径で購入することができる。少なくとも98%の純度を有するフッ素化触媒が好ましい。フッ素化触媒は、過剰であるが、少なくとも反応を触媒するのに十分な量で存在させる。
【0030】
[0030]反応のこの第1工程は必ずしも蒸気相反応に限定されず、米国公開特許出願20070197842(その内容を参照として本明細書中に包含する)において開示されているもののような液相反応又は液相と蒸気相の組み合わせを用いて行うこともできる。また、反応は、バッチ式、連続式、又はこれらの組み合わせで行うことができることも意図される。反応が液相反応を含む態様に関しては、反応は接触反応又は非接触反応であってよい。ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化スズ、ハロゲン化タリウム、ハロゲン化鉄、及びこれらの2以上の組み合わせなどの金属ハロゲン化物触媒のようなルイス酸触媒を用いることができる。幾つかの態様においては、SbCl5、SbCl3、SbF5、SnCl4、TiCl4、FeCl3、及びこれらの2以上の組み合わせなど(しかしながらこれらに限定されない)の金属塩化物及び金属フッ化物を用いる。
【0031】
[0031]反応器からの流出流は、場合によっては処理して所望の分離度及び/又は他の処理度を達成することができる。非限定的な例として、生成物流出流は、HCl、未転化の反応物質、及び/又は他の副生成物のような1種類以上の不純物を含む可能性がある。これらの生成物は、公知の標準的な方法又は本明細書において議論する他の方法を用いて除去することができる。例えば、HClは、通常の蒸留によるか、或いは水又は苛性スクラバーを用いることによって回収することができ、未反応の出発試薬は単離して再循環することができる。
【0032】
[0032]2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを形成するための方法の第2工程においては、HCFO-1233xfをHCFC-244bbに転化させる。一態様においては、この工程は、液相反応器(これはTFE又はPFAライニングしていてよい)内において液相中で行うことができる。かかるプロセスは、約70~120℃の温度範囲及び約50~120psigにおいて行うことができる。
【0033】
[0033]任意の液相フッ素化触媒を本発明において用いることができる。非包括的なリストには、ルイス酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属酸化物、第IVb族金属ハロゲン化物、第Vb族金属ハロゲン化物、又はこれらの組み合わせが含まれる。液相フッ素化触媒の非排他的な例は、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化スズ、ハロゲン化タンタル、ハロゲン化チタン、ハロゲン化ニオブ、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化鉄、フッ素化ハロゲン化クロム、フッ素化酸化クロム、又はこれらの組み合わせである。液相フッ素化触媒の非排他的な具体例は、SbCl5、SbCl3、SbF5、SnCl4、TaCl5、TiCl4、NbCl5、MoCl6、FeCl3、SbCl5のフッ素化種、SbCl3のフッ素化種、SnCl4のフッ素化種、TaCl5のフッ素化種、TiCl4のフッ素化種、NbCl5のフッ素化種、MoCl6のフッ素化種、FeCl3のフッ素化種、又はこれらの組み合わせである。五塩化アンチモンが最も好ましい。
【0034】
[0034]これらの触媒は、失活してきたら、当該技術において公知の任意の手段によって容易に再生することができる。触媒を再生する1つの好適な方法は、触媒を通して塩素流を流すことを含む。例えば、液相フッ素化触媒1ポンドあたり約0.002~約0.2ポンド/時の塩素を液相反応に加えることができる。これは、例えば、約65℃~約100℃の温度において約1~約2時間又は連続的に行うことができる。
【0035】
[0035]反応のこの第2工程は、必ずしも液相反応に限定されず、米国公開特許出願20
070197842(その内容を参照として本明細書中に包含する)において開示されているもののような蒸気相反応又は液相と蒸気相の組み合わせを用いて行うこともできる。この目的のために、HCFO-1233xfを含む供給流を約50℃~約400℃の温度に予め加熱して、触媒及びフッ素化剤と接触させる。触媒にはかかる反応のために用いられる標準的な蒸気相試薬を含ませることができ、フッ素化剤としては、フッ化水素など(しかしながらこれに限定されない)の当該技術において一般的に知られているものを挙げることができる。
【0036】
[0036]HFO-1234yf製造の第3工程においては、HCFC-244bbを第2の蒸気相反応器(脱塩化水素化反応器)に供給して脱塩化水素化して、所望の生成物の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)を生成させる。この反応は、非接触型であってよく、或いはHCFC-244bbを接触脱塩化水素化してHFO-1234yfを生成させることができる触媒を含ませることができる。一態様においては、容器は、触媒、例えば好適な脱ハロゲン化水素化触媒を充填した固定又は流動触媒床を、反応混合物をほぼ所望の反応温度に加熱するのに好適な手段と共に含む。
【0037】
[0037]触媒は、存在する場合、脱塩化水素化反応に関しては、バルク若しくは担持形態の金属ハロゲン化物、ハロゲン化金属酸化物、中性(又は0の酸化状態)の金属又は金属合金、或いは活性炭であってよい。金属ハロゲン化物又は金属酸化物触媒としては、一価、二価、及び三価金属のハロゲン化物、酸化物、並びにこれらの混合物/組み合わせ、より好ましくは一価及び二価金属のハロゲン化物、及びこれらの混合物/組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。構成成分の金属としては、Cr3+、Fe3+、Mg2+、Ca2+、Ni2+、Zn2+、Pd2+、Li+、Na+、K+、及びCs+が挙げられるが、これらに限定されない。構成成分のハロゲンとしては、F-、Cl-、Br-、及びI-が挙げられるが、これらに限定されない。有用な一価又は二価金属のハロゲン化物の例としては、LiF、NaF、KF、CsF、MgF2、CaF2、LiCl、NaCl、KCl、及びCsClが挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン化処理としては、従来技術において公知の任意のもの、特にハロゲン化源としてHF、F2、HCl、Cl2、HBr、Br2、HI、及びI2を用いるものを挙げることができる。
【0038】
[0038]中性、即ち0価の金属、金属合金、及びこれらの混合物を用いる場合には、有用な金属としては、Pd、Pt、Rh、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Cr、Mn、及び合金又は混合物としての上記の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。触媒は担持又は非担持であってよい。金属合金の有用な例としては、SS316、モネル400、インコネル825、アロイ20、ハステロイ、インコネル600、及びインコネル625が挙げられるが、こ
れらに限定されない。この工程において用いることができる触媒としては、活性炭、ステンレススチール(例えばSS316)、オーステナイトニッケルベースの合金(例えばインコ
ネル625)、ニッケル、及び幾つかの態様においてはフッ素化10%CsCl/MgOが
挙げられる。
【0039】
[0039] 用いる触媒及び最も望ましい反応生成物のような関連するファクターに応じて
広範囲の反応温度を用いることができることが意図されるが、脱ハロゲン化水素化工程のための反応温度は、約200℃~約800℃の範囲である。一態様においては、反応は約300℃~約800℃の範囲であるが、他の態様においては、これは約300℃~約500℃、例えば約400℃~約500℃の温度において行う。
【0040】
[0040]一般に、ここでも用いる具体的な触媒及び最も望ましい反応生成物のような関連するファクターに応じて広範囲の反応圧力を用いることができることも意図される。反応圧力は、例えば大気圧以上、大気圧、又は真空下であってよく、幾つかの態様においては
、これは約1~約200psia、例えば約1~約120psiaの範囲である。
【0041】
[0041]幾つかの態様においては、窒素のような不活性希釈ガスを、1種類又は複数の他の反応器供給材料と組み合わせて用いることができる。かかる希釈剤を用いる場合には、HCFC-244bbは、希釈剤及びHCFC-244bbの合計重量を基準として約50重量%乃至99重量%超を構成する。
【0042】
[0042]上記の反応における脱塩化水素化反応器からの流出流は、処理して所望の分離度及び/又は他の処理度を達成することができることを留意すべきである。生成するHFO-1234yfに加えて、流出流は、一般に、HCl、未転化のHCFC-244bb、及びHCFO-1233xf(主としてHCFO-1233xfのフッ化水素化の前段の工程から繰り越される)を含む。場合によっては、次に、脱塩化水素化反応の結果物からHClを回収する。HClの回収は通常の蒸留によって行い、それを留出物から除去する。或いは、HClは、水又は苛性スクラバーを用いることによって回収又は除去することができる。水抽出器を用いる場合には、HClは水溶液として除去される。苛性溶液を用いる場合には、HClは水溶液中の塩化物塩として系から除去される。HClを回収又は除去した後、有機流を分離のために蒸留カラムに送ることができる。カラムの塔頂から回収されるHFO-1234yfは更なる精製のために他のカラムに送ることができ、一方、リボイラー内に蓄積されるHCFO-1233xf及びHCFC-244bbの混合物のフラクションは、HCFC-244bbの再循環のために脱塩化水素化反応器に戻すことができ、残りはHCFO-1233xfの再循環のためにHCFO-1233xfフッ化水素化反応器に戻すことができる。反応器流出流は、HClの副生成物を除去するために苛性スクラバー又は蒸留カラムに供給して酸を含まない有機生成物を生成させることができ、これは場合によっては当該技術において公知の精製技術の1つ又は任意の組合せを用いる更なる精製にかけることができる。
【0043】
[0043]蒸気相HCFC-244bb脱塩化水素化においては、US-20090240090(その内容を参照として本明細書中に包含する)に記載のようにHCFO-1233xfのフッ化水素化から形成することができるHCFC-244bb供給材料を気化器に連続的に供給し、気化した供給材料を反応器に供給する。HCFO-1233xfの不完全な転化、及びその沸点がHCFC-244bbと近接していること、並びに幾つかの条件下においてはHCFC-244bb及びHCFO-1233xfの共沸混合物又は共沸混合物様の組成物が形成されることのために、これらの2つの化合物の分離は困難である。この理由のために、HCFC-244bb供給材料は一般にある程度の量のHCFO-1233xfを含む。脱塩化水素化反応は、約5%以上、約20%以上、又は約30%以上のHCFC-244bb転化率を達成する条件下で行うことができる。
【0044】
[0044]本発明者らは、驚くべきことに、HCFC-244bbの脱塩化水素化によって生成するHFO-1234yf中にハロゲン化エチレン不純物が存在することを見出した。ハロゲン化エチレンの非限定的な例は、HFO-1141(CH2=CHF)、HCO-1140(CH2=CHCl)、及びHCFO-1131(CH2=CFCl及び/又はトランス/シス-CHF=CHCl)などを含む。HCO-1140は発癌物質であることが周知である。他のハロゲン化エチレンの毒性は不明である。更に、これらのハロゲン化エチレンの存在によって、HFO-1234yf製造の効率に対する悪影響が引き起こされる可能性がある。少なくともこれらの理由のために、これらのハロゲン化エチレンがHFO-1234yfの最終生成物中に存在することは望ましくない。本発明は、かかるハロゲン化エチレンをHFO-1234yf生成物から除去する方法を提供する。
【0045】
[0045]更に、本発明者らは、驚くべきことに、他のフルオロアルカンの脱塩化水素化から形成されるフルオロオレフィンからのハロゲン化エチレン不純物の存在を見出した。本
方法はまた、これらのハロゲン化エチレン不純物の少なくとも1つの量を減少させ、及び/又はフルオロオレフィンからこれらのハロゲン化エチレン不純物の少なくとも1つを実質的に除去する。HFO-1234yf中に存在するCF3C≡CH、HFO-1243zf(CF3CH=CH2)、HFO-1234ze(トランス/シス-CF3CH=CHF)、及びHCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)のような他の不飽和不純物も、本明細書に記載する方法によって、ハロゲン化エチレン不純物と一緒に除去又は少なくとも減少させることができる。
【0046】
[0046]生成物流は、フルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfを、ハロゲン化エチレンなどの不純物と共に含む。本発明の幾つかの態様においては、混合物中に存在するフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfの量は、混合物の全重量を基準として少なくとも50重量%である。本発明の幾つかの態様においては、混合物中のフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfの量は、混合物の全重量を基準として少なくとも70重量%である。本発明の幾つかの態様においては、混合物中のフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfの量は、混合物の全重量を基準として少なくとも90重量%である。
【0047】
[0047]一態様においては、本方法は、フルオロオレフィン、例えばHFO-1234yf生成物、及びハロゲン化エチレン不純物を含む生成物流を、ハロゲン化エチレン不純物を除去するのに十分に高い表面積の吸着剤と接触させることを含む。
【0048】
[0048]かかる吸着剤の非限定的な例としては、活性炭、架橋ポリマー、アモルファス及び半結晶質s-PS(シンジオタクチックポリスチレン)、シリカ、ゼオライトモレキュラーシーブ(例えば、4A、5A、AW-500、ZSM-5、13X、ゼオライトβ、ゼオライトUSYなど)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。吸着剤の1つのタイプは活性炭である。粉末状活性炭、粒状活性炭、及び押出成形活性炭のような種々のタイプの活性炭を用いることができる。活性炭の吸着効率及び吸着能力は、動的流れ系中の活性炭の粒径によって定まる。一態様においては、活性炭は約0.005ミリメートル~約10ミリメートルの平均粒径範囲を有する。他の態様においては、活性炭は約0.04ミリメートル~約5ミリメートルの平均粒径範囲を有する。他の態様においては、活性炭は約0.1ミリメートル~約2ミリメートルの平均粒径範囲を有する。与えられた活性炭の吸着能力はまた、炭素の灰分を除去することによって向上させることができる。これは、酸洗浄のような標準的な技術によって行うことができる。
【0049】
[0049]「活性炭」という用語は、約50~約3000m2/g又は約100~約2000m2/g(例えば約200~約1500m2/g又は約300~約1000m2/g)のような比較的高い表面積を有する任意の炭素を包含する。活性炭は、石炭(例えば木炭)、堅果殻(例えばココナッツ)、及び木材のような任意の炭素質材料から誘導することができる。粉末状、粒状、押出成形、及びペレット状活性炭のような任意の形態の活性炭を用いることができる。
【0050】
[0050]本明細書において用いる「活性炭」という用語は、活性炭の機能性を変化させ、除去することが望ましい化合物との化合を促進する添加剤によって変性(例えば含浸)された活性炭を包含する。好適な添加剤の例としては、金属又は金属化合物、及び塩基が挙げられる。
【0051】
[0051]代表的な金属としては、遷移金属、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属、或いはこれらの塩が挙げられる。好適な金属の例としては、Na、K、Cr、Mn、Au、Fe、Cu、Zn、Sn、Ta、Ti、Sb、Al、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pd、及び/又はPt、及び/又はこれらの金属の1以上の化合物(例えば、ハロゲン化物、
水酸化物、炭酸塩)が挙げられる。アルカリ金属塩のハロゲン化物、水酸化物、又は炭酸塩のようなアルカリ金属(例えばNa又はK)の塩が、現在、活性炭のための添加剤の好ましい群である。アルカリ金属塩の水酸化物又は炭酸塩は塩基である。アミド(例えばナトリウムアミド)などの任意の他の好適な塩基を用いることができる。
【0052】
[0052]含浸活性炭は、当該技術において公知の任意の手段によって、例えば1種類又は複数の所望の塩の溶液中に炭素を浸漬させ、溶媒を蒸発させることによって製造することができる。
【0053】
[0053]好適な商業的に入手できる活性炭の例としては、Carbon 207C、Carbon ST1X、Carbon 209M、及びCarbon 207EA、並びにCarbon ST1Xのような、Chemviron Carbonから入手できるものが挙げられる。しかしながら、それらが処理されて本明細書に記載されているように使用されるならば、任意の活性炭を本発明に関して用いることができる。
【0054】
[0054]0.595ミリメートル×1.68ミリメートル(12×30メッシュ)の粒径範囲を有する活性炭は、Calgon CorporationからCalgon PCB(Pittsburghココナッツベース)の炭素として入手できる。0.105ミリメートル×0.595ミリメートル(30×140メッシュ)の粒径範囲を有する他の活性炭は、Calgon CorporationからCalgon PCB(Pittsburghココナッツベース)の炭素として入手できる。0.42ミリメートル×1.68ミリメートル(12×40メッシュ)の粒径範囲を有する他の活性炭は、Calgon CorporationからCalgon CAL(瀝青炭ベース)の炭素として入手できる。
【0055】
[0055]他のタイプの吸着剤は、異なるポリマー鎖を接続して「ネットワーク」にする短い側鎖(架橋)を含む架橋ポリマーである。架橋は、1つのポリマー鎖を他のものに接続する結合である。架橋ポリマーは、通常は、ポリマー鎖が強固な共有結合によって結合されているので溶媒中に不溶である(溶解しない)。他のポリマーは、通常は、共有結合していないポリマー鎖を分離することが可能であるので1種類以上の溶媒中に可溶である(溶解する)。
【0056】
[0056]架橋は、熱によって誘発されるポリマーと架橋剤との間の反応によって行うことができる。ポリマーはまた、電子照射によって架橋させることもできる。架橋させることができるポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。膨潤したクロロメチル化ポリスチレンの架橋に基づく非常に高表面積の材料が、フリーデル・クラフツアルキル化反応によって製造された(J. Chromatogr. A, 2002, 965, 65-73)。1466m2/gのN2/BET比表面積を有する多孔質ポリマー吸着剤が、2%ジビニルベンゼンで架橋した前駆体のポリスチレンビーズから製造された(Chem. Comm., 2006, 2670-72)。かかるポリマーを本方法において用いることができる。
【0057】
[0057]他のタイプの吸着剤はs-PS又はシンジオタクチックポリスチレンである。s-PSは、幾つかのゲスト分子と共に共結晶相(クラスレート及びインターカレートの両方)を形成するポリマーである。好適な溶媒抽出手順によれば、ゲスト分子を容易に除去して、永久的なキャビティーを有するナノ多孔質δ形態を得ることができる(J. Chem. Mater., 2001, 13, 1506)。s-PSのδ-ナノ多孔質結晶質相は、高いエチレン可溶性
及び低いエチレン拡散性を示し(J. Mater. Chem., 2008, 18, 1046-1050)、これによりエチレンなどを除去するために好適である。s-PSは、Dow ChemicalからQuestraの商
標で入手できる。
【0058】
[0058]シリカは、HFO-1234yfを精製し、ハロゲン化エチレンを取り除くために用いることができる他のタイプの吸着剤である。シリカはゲルの形態で存在し、これは
商業的に入手できる。
【0059】
[0059]アルミノシリケートモレキュラーシーブ(ゼオライト)は、本発明において用いることができる吸着剤の更なる群である。通常は、ゼオライトは、望ましくない化合物がゼオライトの内部の中に侵入して、それによって望ましくない化合物が保持されることを可能にし、一方で所望の化合物がゼオライトの内部に侵入するのを排除するのに十分に大きい開口を有する細孔を有する。用いるゼオライトは、上記に示す範囲内のそれらの最も大きい寸法を横切る寸法を有する開口を有する細孔を有するゼオライトである。用いることができるゼオライトの例としては、4A、5A、AW-500、ZSM-5、13X、ゼオライトβ、ゼオライトUSYなどが挙げられる。
【0060】
[0060]この文脈において細孔開口とは、これを通って望ましくない化合物が細孔の本体に進入し、そこで保持することができる細孔の出入口を指す。細孔への開口は、楕円形状、実質的に円形、又は更には不規則形状であってよいが、一般に楕円形状又は実質的に円形である。細孔開口が実質的に円形である場合には、それらは、それらのより小さい寸法を横切って約3~約10Åの範囲の直径を有していなければならない。これらは、それらの最も大きい寸法を横切る開口の寸法が約4~約8Åの範囲であるならば、吸着性化合物においてなお有効である。吸着剤がそれらのより小さい寸法を横切って6Åより小さい楕円形状の開口を有する細孔を有する場合には、それらは、それらの最も大きい寸法を横切る開口の寸法が約4~約8Åの範囲であるならば、吸着性化合物においてなお有効である可能性がある。
【0061】
[0061]本明細書に記載する方法においては、少なくとも1種類のハロゲン化エチレンと混合しているフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfを、本発明において規定する吸着剤又は化学吸着触媒と接触させる。
【0062】
[0062]一態様においては、少なくとも1種類のハロゲン化エチレンを混合しているフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfを吸着剤と接触させる。本発明における接触工程は、連続、半連続、又はバッチ運転を伴う、有機化合物をスクラビングするための周知の化学工学的手順を用いて行うことができる。本発明の幾つかの態様においては、接触工程は、フルオロオレフィン、例えばHFO-1234yf、及びハロゲン化エチレン不純物の気体状又は液体状混合物の流れを、容器内において、本発明において規定する吸着剤を含む固定床に通すことによって行うことができる。床の撹拌及びかき混ぜは、公知の方法を用いることによって行うことができる。幾つかの態様においては、上記のプロセスから形成される、ハロゲン化エチレン不純物を含むフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfを、撹拌器を装備した容器内において、上記に記載の吸着剤の床と混合する。
【0063】
[0063]本発明の幾つかの態様においては、接触工程中の温度は約-20℃~約200℃であり、一方、他の態様においては、接触工程中の温度は約0℃~約100℃である。幾つかの態様においては、接触工程中の温度は約10℃~約60℃であり、一方、本発明の幾つかの態様においては、接触工程中の温度はほぼ室温である。
【0064】
[0064]接触工程中の圧力は重要ではなく、1psi~約400psiの範囲であってよい。
[0065]接触工程中においては、フルオロオレフィン、例えばHFO-1234yf、及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の混合物を、接触容器内において吸着剤を用いてスクラビングして、ハロゲン化不純物を除去する。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化不純物の濃度を50ppm以下に減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチ
レン不純物の濃度を20ppm以下に減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を10ppm以下に減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の量を、元々存在する量に対して少なくとも約20重量%減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の量を、元々存在する量に対して少なくとも約50重量%減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の量を、元々存在する量に対して少なくとも約80重量%減少させる。
【0065】
[0066]接触工程から得られる不純物の減少した濃度を有するフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfは、濃縮又は蒸留のような当該技術において周知の技術を用いて回収することができる。本発明の幾つかの態様においては、接触工程から得られるフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfは、分別蒸留によって更に精製することができる。
【0066】
[0067]本発明のプロセス中において、吸着剤は最終的にハロゲン化エチレンで飽和されるようになり、その時点においては、吸着剤はもはや炭化水素流から汚染物質を有効に除去しない。飽和が起こったら、吸着剤材料は交換又は再生しなければならない。吸着剤がハロゲン化エチレンで飽和されているかどうかを求めるために、吸着剤容器を通過する前及び後のフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfの流れを、ガスクロマトグラフィーのような種々の手段によって、吸着剤上に存在しているハロゲン化エチレンの組成に関して定期的に分析する。ハロゲン化エチレン及び他の不純物のその吸着飽和に達したら、消費された吸収を再生し、次に再使用することができる。一態様においては、吸着剤は、不活性であるキャリアガスを含む加熱された再生流体流を、しばしば対向流で吸着剤床に通すことによって再生する。
【0067】
[0068]より具体的には、再生工程は、加熱して不活性キャリアガスでパージすることによって、吸着剤から複数のハロゲン化エチレンの少なくとも1つを除去することから構成される。好適なキャリアガスとしては、N2、Ar、He、及びこれらのガスの種々の組み合わせのような不活性ガスが挙げられるが、これらに限定されない。吸着剤及び容器の温度を上昇させて、液体を気化させ、吸着剤表面の湿潤熱を相殺するのに十分な熱を加えなければならない。吸着剤の性質に応じて、床温度は約100~約400℃の範囲である。例えば、4A及び5Aモレキュラーシーブは200~315℃の範囲の温度を必要とする。再生の後、吸着剤の温度を、HFO-1234yf流を処理する温度の15℃以内まで低下させるために冷却時間が必要である。これは、最も好都合には、加熱のためのものと同じ気体流を用いるが、入熱を用いないで行う。一態様においては、気体流は熱サイクル中の気体流と対向流であり、その後、冷却中の熱サイクル(プロセス流に対して)中の気体流と同じ方向にする。このようにして、吸着されている汚染物質を吸着剤から脱着させ、次に再生された流体流によって除去し、これにより汚染物質を床から取り除く。
【0068】
[0069]或いは、オーブン加熱を行い、次にデシカントを用いて密閉された乾燥システム内でゆっくりと冷却することによって、少量の吸着剤をパージガスの不存在下で乾燥することができる。
【0069】
[0070]一態様においては、吸着剤の再生はハロゲン化不純物のパージと同時に行う。一態様においては、HFO-12343yf流を、ここで規定した吸着剤の1以上の床に通してハロゲン化エチレンを除去し、一方同時に、使用した床を上記に記載したように高温で再生してハロゲン化エチレンを脱着させる。加熱した床は、次に冷却して他の吸着工程のために準備される。
【0070】
[0071]他の態様においては、本方法は、脱塩化水素化反応を含むここに記載する方法から得られるフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yf生成物、及びハロゲン化エチレン不純物を含む生成物流を、三価金属の酸化物、又はオキシハロゲン化物、又はハロゲン化物、或いはこれらの組み合わせである化学吸着触媒と接触させることを含む。かかる化学吸着触媒の非限定的な例としては、酸化クロム、オキシ塩化クロム、オキシフッ化クロム、塩化クロム、フッ化クロム、酸化アルミニウム、オキシ塩化アルミニウム、オキシフッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化鉄(III)、オキシ塩化鉄(III)、オキシフッ化鉄(III)、塩化第二鉄、フッ化第二鉄、及びこれらの種々の組み合わせ、例えば上記に規定の1種類のクロム化合物とアルミニウム化合物、又は上記に規定のクロム化合物と鉄化合物の混合物、或いは上記のリストからのアルミニウム化合物と鉄化合物の混合物、或いは上記のリストからのクロム化合物、アルミニウム化合物、及び鉄化合物、或いは上記のリストからの1種類以上のクロム化合物と、1種類以上のアルミニウム化合物及び1種類以上の鉄化合物の混合物が挙げられる。これらの化学吸着触媒は担持又は非担持であってよい。有用な担体としては、シリカ、アルミナ、及び活性炭が挙げられるが、これらに限定されない。金属酸化物(酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化鉄(III)、又はこれらの任意の組み合わせ)の触媒に関しては、HCl又はHFを用いることによるハロゲン化予備処理を行う。
【0071】
[0072]一態様においては、本方法は、ハロゲン化エチレンを含むHFO-1234yfの流れを、ハロゲン化エチレンを除去するのに有効な条件下で、化学吸着触媒を充填した触媒床に通すことを含む。用いる化学吸着触媒の性質に応じて、化学吸着温度は室温乃至100℃で変化させることができる。例えば、HClで予備処理した35重量%Cr2O3/γ-Al2O3触媒は、70~75℃の温度範囲を必要とする。
【0072】
[0073]接触工程中の圧力は重要ではなく、1psi~約400psiの範囲であってよい。
[0074]接触工程中においては、フルオロオレフィン、例えば1234yf、及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の混合物を、化学吸着触媒を用いてスクラビングしてハロゲン化不純物を除去する。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化不純物の濃度を50ppm以下に減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を20ppm以下に減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を10ppm以下に減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の量を、元々存在する量に対して少なくとも約20重量%減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の量を、元々存在する量に対して少なくとも約50重量%減少させる。本発明の幾つかの態様においては、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の量を、元々存在する量に対して少なくとも約80重量%減少させる。
【0073】
[0075]接触工程から得られる不純物の減少した濃度を有するフルオロオレフィン、例えば1234yfは、濃縮又は蒸留のような当該技術において周知の技術を用いて回収することができる。本発明の幾つかの態様においては、接触工程から得られるフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfは、分別蒸留によって更に精製することができる。
【0074】
[0076]本発明のプロセス中において、化学吸着触媒は最終的にハロゲン化エチレンで飽和されるようになり、その時点においては、化学吸着触媒はもはや炭化水素流から汚染物質を有効に除去しない。飽和が起こったら、化学吸着触媒は交換又は再生しなければならない。化学吸着触媒がハロゲン化エチレンで飽和されているかどうかを求めるために、触媒反応器の前及び後のフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfの流れを、例え
ばガスクロマトグラフィーなどによる種々の手段によって定期的に分析して、化学吸着触媒上に存在しているハロゲン化エチレンの量を求める。化学吸着触媒がハロゲン化エチレンで飽和されたら、消費された化学吸着触媒を当該技術において公知の技術を用いて再生することができ、その後に再使用することができる。
【0075】
[0077]一態様においては、化学吸着触媒は、不活性であるキャリアガスを含む加熱された再生流体流を、しばしば対向流で吸着剤床に通すことによって再生する。
[0078]より具体的には、再生は、加熱し、窒素、ヘリウム、又はアルゴンのような不活性ガスなどの再生流体でパージすることによって、化学吸着触媒から複数のハロゲン化エチレンの少なくとも1つを除去することから構成される。化学吸着触媒及び容器の温度を上昇させて、液体を気化させ、吸着剤表面の湿潤熱を相殺するのに十分な熱を加えなければならない。床温度は約200~約600℃に上昇させるが、他の態様においては、これは約300~約500℃の範囲であり、一方他の態様においては、これは約350~約400℃の範囲である。再生の後、温度を、HFO-1234yf流を処理する温度の15℃以内まで低下させるために冷却時間が必要である。これは、最も好都合には、加熱のためのものと同じ気体流を用いるが、入熱を用いないで行う。一態様においては、化学吸着触媒の再生は、フルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfの流れを、ハロゲン化エチレンを除去するのに有効な条件下で化学吸着触媒に通し、一方同時に、従前に使用した化学吸着触媒を高温で再生して触媒の活性を回復させることを含む。次に、化学吸着触媒を冷却し、他の化学吸着工程のために準備される。
【0076】
[0079]化学吸着触媒の再生はまた、酸化剤の連続流中で行うこともできる。かかる酸化剤としては、H2O、CO2、O2、空気、O3、Cl2、N2O、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの態様においては、再生は約200℃~約600℃の温度で行い、一方他の態様においては、これは約300℃~約500℃の温度で行う。更に他の態様においては、これは約350℃~約400℃の温度で行う。一態様においては、酸化剤は希釈するか、又は希釈形態で供給する。好適な希釈剤としては、N2、Ar、及びHeのような不活性ガスが挙げられる。この態様の一形態においては、酸化剤は酸素であり、窒素で希釈する。希釈度は、実用的に可能な限り高く、例えば酸化剤の約0.1体積%以下であってよい。一態様においては、希釈後の酸化剤の濃度は約0.5~約21体積%の範囲であり、一方他の態様においては、これは約1~約5体積%の範囲であり、他の態様においては、これは約2~約3体積%の範囲である。
【0077】
[0080]少なくとも1種類のハロゲン化エチレンと混合しているフルオロオレフィン、例えばHFO-1234yfを、ここに記載する吸着剤又は化学吸着触媒と接触させる本方法を用いると、1234yfと混合しているハロゲン化エチレンの量が相当に減少する。更に、流れの中には、ハロゲン化エチレンに加えて、HFO-1243zf(CF3CH=CH2)及びHCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)などの他の不純物が存在している可能性がある。一態様においては、これらの更なる不純物の少なくとも1つを、ハロゲン化エチレンと一緒に除去又は少なくとも減少させることができる。
【0078】
[0081]而して、一態様は、フルオロオレフィン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させることを含む、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペンを含むフルオロオレフィンと混合している少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法に関する。ここに記載する方法を用いた場合、他の態様は、
(a)2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを脱塩化水素化して、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を形成し;
(b)2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させ;そして
(c)ハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有する2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含む方法に関する。
【0079】
[0082]他の態様は、HFO-1243zf(CF3CH=CH2)、HFO-1234ze(E/Z-CF3CH=CHF)、及びHCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)のような他の不飽和不純物を更に除去することに関する。
【0080】
[0083]更なる態様は、フルオロオレフィン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させることを含む、E形態又はZ形態のいずれかの1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペンを含むフルオロオレフィンと混合している少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法に関する。ここに記載する手順を用いた場合、他の態様は、(a)1-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロパンを脱塩化水素化して、E形態又はZ形態のいずれかの1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を形成し;(b)1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させ;そして(c)ハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有する1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;ことを含む方法に関する。この方法はまた、HFO-1243zf(CF3CH=CH2)、HCFO-1233zd(E/Z-CF3CH=CHCl)、及びHCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)のような他の不飽和不純物を減少させることもできる。
【0081】
[0084]他の態様は、フルオロオレフィン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させることを含む、Z又はE形態のいずれかの1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンを含むフルオロオレフィンと混合している少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法に関する。ここに記載する手順を用いた場合、他の態様は、(a)1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロパンを脱塩化水素化して、Z又はE形態のいずれかの1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を形成し;(b)Z又はE形態のいずれかの1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を、少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させ;そして、ハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有する1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンを回収する;ことを含む方法に関する。この方法はまた、HFO-1243zf(CF3CH=CH2)、HFO-1234ze(E/Z-CF3CH=CHF)、及びHCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)のような他の不飽和不純物を減少させることもできる。
【実施例】
【0082】
[0085]以下の非限定的な実施例によって本発明を示す。
実施例1:
[0086]実施例1は、HFO-1234yf生成物中に含まれるハロゲン化エチレン不純物を除去するための物理的吸着剤としての粒状活性炭(GAC)の使用を示す。この実施例はまた、消費されたGACの再生も示す。
【0083】
[0087]約1200m2/gの比表面積を有する20mLの粒状活性炭(GAC)を、直径3/4インチの円筒形インコネル625チューブ反応器中に装填した。反応器を3区域の
電気炉中に沈下させた。高さ約4インチの触媒床を貫通する多点熱電対を用いて、プロセス温度を記録した。精製したHFO-1234yfは、35ppmのトランス-CHCl=CHF及び6ppmのHCO-1140を含んでいた。精製したHFO-1234yf供給材料を、気化させた後に12g/時の速度で反応器に供給した。反応器を室温及び1気圧に維持した。反応器出口において、GCを用いて、流出ガスをトランス-CHCl=CHF及びHCO-1140の濃度に関して定期的に分析した。分析結果は、運転の最初の100時間中において、トランス-CHCl=CHF及びHCO-1140は装置検出限界内では検出されなかったことを示した。
【0084】
[0088]運転3000時間後において、GC分析は、反応器出口におけるトランス-CHCl=CHF及びHCO-1140の濃度が反応器入口とほぼ同等であることを示し、これはGACが吸収飽和に達したことを示す。次に、消費されたGACの再生を行った。まず精製HFO-1234yfの供給を停止し、次に窒素流を100mL/分の速度で開始した。消費されたGAC床を室温において2時間パージした後、床温度を325℃に徐々に上昇させ、次に325℃において10時間維持した。その後、電気炉への電力を停止し、再生したGAC床を同じ窒素流中において室温に冷却した。次に、再生したACを、新しいGACに関して用いたものと同じ条件下で試験した。分析結果は、運転の次の100時間中において、トランス-CHCl=CHF及びHCO-1140は装置検出限界内では検出されなかったことを示した。
【0085】
実施例2:
[0089]実施例2は、HFO-1234yf生成物中に含まれるハロゲン化エチレン不純物を除去するための物理的吸着剤としての5Aモルシーブの使用を示す。この実施例はまた、消費された5Aモルシーブの再生も示す。
【0086】
[0090]直径3/4インチの円筒形インコネル625チューブ反応器中に、20mLの5A
モルシーブペレットを装填した。反応器を3区域の電気炉中に沈下させた。高さ約4インチの触媒床を貫通する多点熱電対を用いて、プロセス温度を記録した。精製したHFO-1234yfは、35ppmのトランス-CHCl=CHF及び6ppmのHCO-1140を含んでいた。精製したHFO-1234yf供給材料を、気化させた後に12g/時の速度で反応器に供給した。反応器を室温及び1気圧に維持した。反応器出口において、GCを用いて、流出ガスをトランス-CHCl=CHF及びHCO-1140の濃度に関して定期的に分析した。分析結果は、運転の最初の100時間中において、トランス-CHCl=CHF及びHCO-1140は装置検出限界内では検出されなかったことを示した。
【0087】
[0091]運転3000時間後において、GC分析は、反応器出口におけるトランス-CHCl=CHF及びHCO-1140の濃度が反応器入口とほぼ同等であることを示し、これは5Aモルシーブが吸収飽和に達したことを示す。次に、消費された5Aモルシーブの再生を行った。まず精製HFO-1234yfの供給を停止し、次に窒素流を100mL/分の速度で開始した。消費された5Aモルシーブ床を室温において2時間パージした後、床温度を275℃に徐々に上昇させ、次に275℃において10時間維持した。その後、電気炉への電力を停止し、再生した5Aモルシーブ床を同じ窒素流中において室温に冷却した。次に、再生した5Aモルシーブを、新しい5Aモルシーブに関して用いたものと
同じ条件下で試験した。分析結果は、運転の次の100時間中において、トランス-CHCl=CHF及びHCO-1140は装置検出限界内では検出されなかったことを示した。
【0088】
実施例3:
[0092]実施例2は、HFO-1234yf生成物中に含まれるハロゲン化エチレン不純物を除去するための物理的吸着剤としてのZSM-5モルシーブの使用を示す。この実施例はまた、消費されたZSM-5モルシーブの再生も示す。
【0089】
[0093]直径3/4インチの円筒形インコネル625チューブ反応器中に、20mLのZS
M-5モルシーブペレットを装填した。反応器を3区域の電気炉中に沈下させた。高さ約4インチの触媒床を貫通する多点熱電対を用いて、プロセス温度を記録した。精製したHFO-1234yfは、35ppmのトランス-CHCl=CHF、15ppmのCH2=CFCl、及び6ppmのHCO-1140を含んでいた。精製したHFO-1234yf供給材料を、気化させた後に12g/時の速度で反応器に供給した。反応器を室温及び1気圧に維持した。反応器出口において、GCを用いて、流出ガスをトランス-CHCl=CHF、CH2=CFCl、及びHCO-1140の濃度に関して定期的に分析した。分析結果は、運転の最初の100時間中において、トランス-CHCl=CHF、CH2=CFCl、及びHCO-1140は、装置検出限界内では検出されなかったことを示した。
【0090】
[0094]運転3000時間後において、GC分析は、反応器出口におけるトランス-CHCl=CHF、CH2=CFCl、及びHCO-1140の濃度が反応器入口とほぼ同等であることを示し、これはZSM-5モルシーブが吸収飽和に達したことを示す。次に、消費されたZSM-5モルシーブの再生を行った。まず精製HFO-1234yfの供給を停止し、次に窒素流を100mL/分の速度で開始した。消費されたZSM-5モルシーブ床を室温において2時間パージした後、床温度を275℃に徐々に上昇させ、次に275℃において10時間維持した。その後、電気炉への電力を停止し、再生したZSM-5モルシーブ床を同じ窒素流中において室温に冷却した。次に、再生したZSM-5モルシーブを、新しいZSM-5モルシーブに関して用いたものと同じ条件下で試験した。分析結果は、運転の次の100時間中において、トランス-CHCl=CHF、CH2=CFCl、及びHCO-1140は装置検出限界内では検出されなかったことを示した。
【0091】
実施例4:
[0095]実施例4は、HFO-1234yf生成物中に含まれるハロゲン化エチレン不純物を除去するための化学吸着触媒としての、0.5体積%のHClで予備処理された35重量%Cr2O3/65重量%γ-Al2O3の使用、及び消費された酸化クロム触媒の再生を示す。
【0092】
[0096]直径3/4インチの円筒形インコネル625チューブ反応器中に20mLの1/8
インチの35重量%Cr2O3/65重量%γ-Al2O3触媒ペレットを装填し、これを3区域の電気炉中に沈下させた。高さ約4インチの酸化クロム触媒床を貫通する多点熱電対を用いて、プロセス温度を記録した。精製したHFO-1234yfは、11ppmのトランス-CHCl=CHF、及び4ppmのHCO-1140を含んでいた。精製したHFO-1234yf供給材料を、気化させた後に12g/時の速度で反応器に供給した。反応器を75℃及び1気圧に維持した。反応器出口において、GCを用いて、流出ガスをトランス-CHCl=CHF及びHCO-1140の濃度に関して定期的に分析した。分析結果は、運転の最初の100時間中において、トランス-CHCl=CHF及びHCO-1140は、装置検出限界内では検出されなかったことを示した。
【0093】
[0097]運転2000時間後において、GC分析は、反応器出口におけるトランス-CHCl=CHF及びHCO-1140の濃度が反応器入口とほぼ同等であることを示し、これは酸化クロム触媒がもはやこれらのハロゲン化エチレンの化学吸着に関して活性でないことを示す。次に、消費された酸化クロム触媒の再生を行った。まず精製HFO-1234yfの供給を停止し、次に窒素流を100mL/分の速度で開始した。消費された触媒床を75℃において2時間パージした後、2%O2/N2流(100mL/分)中において床温度を350℃に徐々に上昇させ、次に350℃において10時間維持した。その後、2%O2/N2流をN2流(100mL/分)に切り替え、触媒床温度を75℃に低下させた。次に、再生した酸化クロム触媒を、新しい酸化クロム触媒に関して用いたものと同じ条件下で試験した。分析結果は、運転の次の100時間中において、トランス-CHCl=CHF及びHCO-1140は装置検出限界内では検出されなかったことを示した。
【0094】
[0098]上記の明細書においては、具体的な態様を参照して概念を記載した。しかしながら、当業者であれば、下記の特許請求の範囲において示す発明の範囲から逸脱することなく種々の修正及び変更を行うことができることを認識する。したがって、明細書は限定的意味ではなく例示とみなすべきであり、全てのかかる修正は発明の範囲内に含まれると意図される。
【0095】
[0099]上記においては、具体的な態様に関して、利益、他の有利性、及び問題の解決法を記載した。しかしながら、かかる利益、有利性、問題の解決法、並びに任意の利益、有利性、又は解決法をもたらすことができるか、又はより顕著にすることができるいかなる特徴も、いずれか又は全ての特許請求の範囲の臨界的、必須、又は本質的な特徴として解釈すべきではない。
【0096】
[0100]別々の態様の関連で明確にするために本明細書に記載した幾つかの特徴を、単一の態様において組み合わせて与えることもできることを認識すべきである。これとは逆に、簡潔にするために単一の態様の関連で記載した種々の特徴を、別々か又は任意のサブコンビネーションで与えることもできる。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
フルオロオレフィン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させることを含む、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンから選択される少なくとも1種類の化合物、並びにハロゲン化エチレン不純物を含むフルオロオレフィン混合物から少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法。
[2]
少なくとも1種類のハロゲン化不純物が、HFO-1141(CH2=CHF)、HCFO-1140(CH2=CHCl)、及びHCFO-1131(CH2=CFCl及び/又はトランス/シス-CHF=CHCl)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[3]
少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有するフルオロオレフィンを回収する、[1]に記載の方法。
[4]
混合物が、HFO-1243zf(CF3CH=CH2)、HFO-1234ze(E/Z-CF3CH=CHF)、HCFO-1233zd(E/Z-CF3CH=CHCl)、HCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)、及びこれらの組み合わせから選択される第2の不純物を更に含み、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化不純物及び第2の不純物の少なくとも1つの濃度を減少させる、[1]に記載の方法。
[5]
混合物を少なくとも1種類の吸着剤と接触させる、[1]に記載の方法。
[6]
吸着剤が、活性炭、ゼオライト、シリカ、アモルファス及び半結晶質シンジオタクチックポリスチレン、又は架橋ポリマーである、[5]に記載の方法。
[7]
活性炭が、粉末活性炭、粒状活性炭、又は押出成形活性炭である、[6]に記載の方法。
[8]
吸着剤が活性炭であり、活性炭の表面積が約50~約3000m2/gの範囲である、[6]に記載の方法。
[9]
吸着剤が、遷移金属、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属、或いはこれらの塩を含侵した活性炭である、[5]に記載の方法。
[10]
吸着剤がゼオライトである、[5]に記載の方法。
[11]
ゼオライトが、4A、5A、13X、ZSM-5、ゼオライトβ、又はゼオライトUSYである、[10]に記載の方法。
[12]
ゼオライトの最も大きい寸法を横切る開口の細孔径が約4~約8Åの範囲である、[11]に記載の方法。
[13]
吸着剤が、シリカ、又はアモルファス及び半結晶質シンジオタクチックポリスチレン、或いは架橋ポリマーである、[5]に記載の方法。
[14]
接触工程を室温において行う、[1]に記載の方法。
[15]
接触が、少なくとも1種類の吸着剤を含む床を通して混合物の気体流を流すことを含む、[5]に記載の方法。
[16]
少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有する少なくとも1種類のフルオロオレフィンを回収することを更に含む、[5]に記載の方法。
[17]
化学吸着触媒が、酸化クロム、オキシ塩化クロム、オキシフッ化クロム、塩化クロム、フッ化クロム、酸化アルミニウム、オキシ塩化アルミニウム、オキシフッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化鉄(III)、オキシ塩化鉄(III)、オキシフッ化鉄(III)、塩化第二鉄、フッ化第二鉄、又はこれらの組み合わせである、[1]に記載の方法。
[18]
化学吸着触媒が担持型である、[17]に記載の方法。
[19]
化学吸着触媒が非担持である、[17]に記載の方法。
[20]
化学吸着触媒が非担持であり、酸化クロム及び酸化アルミニウムの混合物である、[19]に記載の方法。
[21]
化学吸着触媒がCr2O3/γ-Al2O3である、[17]に記載の方法。
[22]
接触工程が、化学吸着触媒を通過させて混合物流を流すことを含む、[17]に記載の方法。
[23]
ハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有する2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収することを更に含む、[16]に記載の方法。
[24]
(a)2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを脱塩化水素化して、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を形成し;
(b)2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させ;そして
(c)ハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有する2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含む方法。
[25]
少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物が、HFO-1141(CH2=CHF)、HCFO-1140(CH2=CHCl)、及びHCFO-1131(CH2=CFCl及び/又はトランス/シス-CHF=CHCl)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、[24]に記載の方法。
[26]
混合物が、HFO-1243zf(CF3CH=CH2)、HFO-1234ze(E/Z-CF3CH=CHF)、HCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)、及びこれらの組み合わせから選択される第2の不純物を更に含み、混合物中の少なくとも1種類のハロゲン化不純物及び第2の不純物の少なくとも1つの濃度を減少させる、[25]に記載の方法。
[27]
(i)式I、II、又はIII:
CX2=CCl-CH2X (I);
CX3-CCl=CH2 (II);
CX3-CHCl-CH2X (III);
(式中、Xは、独立して、F、Cl、Br、及びIから選択され、但し少なくとも1つのXはフッ素ではない)
の化合物を含む出発組成物を与え;
(ii)出発組成物を第1のフッ素化剤と接触させて、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び第1の塩素含有副生成物を含む第1の中間体組成物を生成させ;
(iii)第1の中間体組成物を第2のフッ素化剤と接触させて、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを含む第2の中間体組成物を生成させ;
(iv)2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを含む第2の中間体組成物の一部を脱塩化水素化して、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びハロゲン化エチレンの混合物を含む反応生成物を生成させ;
(v)2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させ;そして
ハロゲン化エチレン不純物の減少した濃度を有する2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含む、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
[28]
フルオロオレフィン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させることを含む、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンから選択される少なくとも1種類の化合物及びハロゲン化エチレン不純物を含むフルオロオレフィン混合物から少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法。
[29]
HFO-1243zf(CF3CH=CH2)、HFO-1234ze(E/Z-CF3CH=CHF)、及びHCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)から選択される少なくとも1種類の他の不飽和不純物を更に除去する、[28]に記載の方法。
[30]
フルオロオレフィン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させることを含む、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及びハロゲン化エチレン不純物を含むフルオロオレフィン混合物から少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法。
[31]
HFO-1243zf(CF3CH=CH2)、HFO-1234ze(E/Z-CF3CH=CHF)、及びHCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)から選択される少なくとも1種類の他の不飽和不純物を更に除去する、[30]に記載の方法。
[32]
フルオロオレフィン及び少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を含む混合物を少なくとも1種類の吸着剤又は少なくとも1種類の化学吸着触媒と接触させて、少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物の濃度を減少させることを含む、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン及びハロゲン化エチレン不純物を含むフルオロオレフィン混合物から少なくとも1種類のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法。
[33]
HFO-1243zf(CF3CH=CH2)、HCFO-1233zd(E/Z-CF3CH=CHCl)、及びHCFO-1233xf(CF3CCl=CH2)から選択される少なくとも1種類の他の不飽和不純物を更に除去する、[32]に記載の方法。