(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240411BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240411BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01L23/12 N
H01L21/92 604H
H01L21/92 604M
H01L23/12 501Z
H05K3/46 B
(21)【出願番号】P 2022132672
(22)【出願日】2022-08-23
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】311005208
【氏名又は名称】▲き▼邦科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 湘寧
(72)【発明者】
【氏名】許 文政
(72)【発明者】
【氏名】王 晨聿
(72)【発明者】
【氏名】郭 志明
(72)【発明者】
【氏名】陳 傳迢
(72)【発明者】
【氏名】何 榮華
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09425178(US,B2)
【文献】特開2017-076790(JP,A)
【文献】特開2014-027097(JP,A)
【文献】特開2015-216344(JP,A)
【文献】特開2011-134960(JP,A)
【文献】特開2003-158239(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0119358(US,A1)
【文献】米国特許第10833002(US,B2)
【文献】国際公開第2011/027884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 21/60
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一載置板と、シード層と、複数の回路と、ダイと、成形材料と、を含んで構成されるパッケージ構造であって、前記シード層は前記第一載置板に形成され、前記回路は前記シード層に形成され、前記ダイは前記回路に接合され、前記成形材料は前記ダイ及び前記回路を被覆している前記パッケージ構造を提供するステップと、
第二載置板を前記成形材料に設置するステップと、
前記第一載置板を除去し、前記シード層を露出するステップと、
前記シード層を除去し、前記回路を露出するステップと、
浸漬金メッキ方式で各前記回路にゴールドレイヤーを蓄積するステップと、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
各前記回路はニッケル層及び銅層を含み、前記ニッケル層は純ニッケル電気めっき方式で前記シード層に形成され、前記銅層は前記ニッケル層に形成され、前記シード層を除去した後、前記ニッケル層を露出し、浸漬金メッキ方式で前記ニッケル層に前記ゴールドレイヤーを蓄積することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
各前記回路は前記シード層に形成されている銅層を含み、前記シード層を除去した後、前記銅層を露出し、浸漬金メッキ方式で前記銅層に前記ゴールドレイヤーを蓄積することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
プラズマエッチング方式で前記シード層を除去することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記回路はパターン化された誘電体層により前記シード層に形成され、プラズマエッチング方式で前記シード層及び部分的な前記パターン化された誘電体層を除去した後、各前記回路の上面及び側面を露出することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ゴールドレイヤーは各前記回路の前記上面及び前記側面に蓄積していることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記回路はパターン化された誘電体層により前記シード層に形成され、各前記回路はニッケル層及び銅層を含み、前記ニッケル層は純ニッケル電気めっき方式で前記シード層に形成され、前記銅層は前記ニッケル層に形成され、プラズマエッチング方式で前記シード層及び部分的な前記パターン化された誘電体層を除去した後、前記ニッケル層の上面及び側面を露出することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ゴールドレイヤーは前記ニッケル層の前記上面及び前記側面に蓄積していることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記回路はパターン化された誘電体層により前記シード層に形成され、各前記回路は前記シード層に形成されている銅層を含み、プラズマエッチング方式で前記シード層及び部分的な前記パターン化された誘電体層を除去した後、前記銅層の上面及び側面を露出することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記ゴールドレイヤーは前記銅層の前記上面及び前記側面に蓄積していることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記パターン化された誘電体層のエッチング厚さは1.5μm以上ではないことを特徴とする請求項5、7、または9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第一載置板は基板及び剥離層を含み、前記剥離層は前記基板の表面に形成され、前記シード層は前記剥離層に形成され、前記基板及び前記剥離層を除去した後、前記シード層を露出することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記シード層はチタン・タングステン/銅層またはチタン/銅層であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記銅層は再分布回路構造であることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記ゴールドレイヤーが蓄積した後、前記ゴールドレイヤーにはんだボールが形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、より詳しくは、半導体装置の溶接の信頼性を高める製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路が空気に接触して酸化するのを回避するため、回路に表面処理層を形成し、空気が回路に接触しないように隔離している。表面処理層は一般的に無電解ニッケル浸漬金メッキ(ENIG、Electroless Nickel Immersion Gold)または無電解ニッケル無電解パラジウム浸漬金メッキ(ENEPIG、Electroless Nickel Electroless Palladium Immersion Gold)である。無電解ニッケル浸漬金メッキは還元剤によりニッケルイオンをニッケル金属に還元し、銅回路にニッケルを蓄積してニッケル層を形成し、置換反応によりニッケル層に金メッキを施すが、ニッケルの蓄積過程で発生する水素の気泡が気孔問題を引き起こす。無電解ニッケル無電解パラジウム浸漬金メッキは、化学反応により銅表面をパラジウムに置換した後、パラジウム核の基礎に化学メッキ方式によりニッケルリン合金層を形成し、置換反応によりニッケルリン合金層に金メッキを施すが、気孔問題以外に、ニッケルリン合金層の浸漬金メッキ過程で過度にエッチングを行い過ぎ、溶接の信頼性に影響が及ぶことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その目的は、浸漬金メッキ方式(immersion-gold-plating)でパッケージ構造の回路にゴールドレイヤーを形成し、回路の酸化を回避すると共に、溶接の信頼性を高める半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための主たる発明の半導体装置の製造方法は、まず、第一載置板と、シード層と、複数の回路と、ダイと、成形材料と、を含んで構成されるパッケージ構造を提供する。前記シード層は前記第一載置板に形成され、これら前記回路は前記シード層に形成され、前記ダイは前記回路に接合され、前記成形材料は前記ダイ及び前記回路を被覆している。前記成形材料に第二載置板を設置し、次いで、前記第一載置板を除去して前記シード層を露出し、且つ前記シード層を除去して前記回路を露出し、浸漬金メッキ方式で各前記回路にゴールドレイヤーを蓄積する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、上記説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0006】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施例に係るパッケージ構造を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図3】本発明の第1実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図5】本発明の第1実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図6】本発明の第1実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図7】本発明の第1実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図8】本発明の第2実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図9】本発明の第2実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図10】本発明の第3実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図11】本発明の第3実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図12】本発明の第4実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図13】本発明の第4実施例に係る半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
<第1実施例>
図1に示す如く、半導体装置の製造方法において、まず、第一載置板110及びシード層120を含んで構成されるパッケージ構造100を提供する。シード層120は第一載置板110に形成され、好ましくは、第一載置板110は第一基板111及び第一剥離層112を含む。第一剥離層112は第一基板111の表面に形成され、シード層120は第一剥離層112に形成されている。第一基板111の材質はガラス、シリコンウェハー、またはセラミックであり、第一剥離層112の材質はポリイミド(PI)または無機離型剤(ハロゲン-金属化合物)であり、シード層120はチタン・タングステン/銅(TiW/Cu)層またはチタン/銅(Ti/Cu)層である。好ましくは、スパッタリング(sputtering)方式で第一剥離層112にシード層120をメッキする。
【0010】
図1を参照すると、パッケージ構造100は複数の回路130と、少なくとも1つのダイ150と、成形材料160と、を更に含んで構成される。これら回路130はシード層120に形成され、ダイ150は回路130に接合され、成形材料160はダイ150及び回路130を被覆する。好ましくは、ダイ150がフリップチップバンプにより回路130に接合され、回路130がパターン化された誘電体層140によりシード層120に形成される。シード層120に誘電体層を形成した後、誘電体層をパターン化することで複数の開口部を形成し、開口部はシード層120を露出し、回路130はこれら開口部中にそれぞれ形成する。誘電体層材料はポリイミド(PI、polyimide)、ベンゾシクロブテン(BCB、benzocyclobutene)、またはエポキシ樹脂(epoxy)であり、本実施例では、誘電体層の材質はポリイミドである。
【0011】
第1実施例において、各回路130はニッケル層131及び銅層132を含み、ニッケル層131は純ニッケル電気メッキ方式によりシード層120に形成している。ニッケル層131の材料はリン非含有純ニッケル金属であり、気孔及びリンの蓄積問題を発生させない。このため、ニッケル層131の多孔率(porosity)は化学メッキにより形成されるニッケル層より低く、且つニッケル層131の密度(density)は化学メッキにより形成されるニッケル層より高い。銅層132はニッケル層131に形成される再分布回路構造(RDL、redistribution layer)である。
【0012】
図2に示す如く、次いで、成形材料160に第二載置板200を設置する。好ましくは、第二載置板200が第二基板210及び第二剥離層220を含み、第二基板210の材質はガラス、シリコンウェハー、セラミック、ステンレス、またはシリカゲル/グラスファイバーであり、第二剥離層220の材質は感圧接着剤(PSA、pressure sensitive adhesive)、エポキシ樹脂(epoxy)、またはシリカゲル(silicon glue)である。第二基板210及び第一基板111を同じ材質或いは異なる材質とするが、本発明はこの限りではない。
【0013】
図3に示す如く、成形材料160に第二載置板200を設置した後、半導体装置を裏返し、第一載置板110を上方に位置させ、第二載置板200を下方に位置させる(
図4参照)。次いで、第一載置板110を除去し、第一載置板110の下方にあるシード層120を露出する。本実施例では、機械的剥離(mechanical debonding)方式で第一剥離層112をシード層120から剥離し、第一基板111及び第一剥離層112を除去している。
【0014】
図5に示す如く、第一載置板110を除去した後、続いてシード層120を除去し、これら回路130を露出する。好ましくは、エッチング方式でシード層120を除去し、各回路130の上面130aを露出する。第1実施例において、プラズマエッチング(plasma etching)方式でシード層120を除去し、各回路130のニッケル層131を露出する。
【0015】
図6に示す如く、シード層120を除去した後、続いて浸漬金メッキ(immersion gold plating)方式により露出した各回路130にゴールドレイヤー300を蓄積させる。ゴールドレイヤー300は表面処理層またはパッシベーション層であり、これら回路130が酸化するのを回避するように保護するために用いられている。電気メッキゴールドレイヤーと比べると、浸漬金メッキ方式で形成されたゴールドレイヤー300は、厚さの均一性及び被覆程度が高く、よって、厚さが薄いゴールドレイヤー300でも、抗酸化防護効果が厚さが厚い電気メッキゴールドレイヤーに近く、コスト削減効果を達成している。
【0016】
第1実施例において、シード層120を除去した後、各回路130のニッケル層131を露出する。次いで、浸漬金メッキ方式によりニッケル層131にゴールドレイヤー300を蓄積する。純ニッケル電気メッキ方式で形成したニッケル層131がリンを非含有であり、且つ密度が高い。ゴールドレイヤー300を蓄積する際に、ニッケル層131の表面を過度にエッチングせず、ブラックパッド(black pad)も発生しにくい。ゴールドレイヤー300は好ましい抗酸化防護効果を有し、溶接の信頼性を有効的に高めている。
【0017】
図7に示す如く、半導体装置がボールグリッドアレイパッケージ(BGA、ball grid array)である場合、ゴールドレイヤー300を蓄積した後、ゴールドレイヤー300にはんだボール400を形成し、後続のプロセスが完了した後にBGAを取得する。後続のプロセスは第二載置板200の除去、電磁干渉シールドレイヤー(EMI shielding layer)の切断及び形成等の従来のプロセスを含み、その説明は省略する。翻って、半導体装置がランドグリッドアレイパッケージ(LGA、land grid array)である場合、ゴールドレイヤー300にはんだボールを形成する必要がなく、後続のプロセスを直接実行し、半導体装置を取得する。
【0018】
<第2実施例>
本発明の第2実施例の構成を
図8及び
図9に示す。好ましくは、プラズマエッチング方式を使用してシード層120を除去する際に、プラズマエッチングパラメーターを調整することで、シード層120及び部分的なパターン化された誘電体層140を同時に除去し、各回路130の上面130a及び側面130bを露出する。これにより、浸漬金メッキ方式でゴールドレイヤー300を蓄積する際に、ゴールドレイヤー300が各回路130の上面130a及び側面130bに蓄積され、ゴールドレイヤー300面積が増加し、溶接の信頼性が高まる。第2実施例において、プラズマエッチング方式によりシード層120及び部分的なパターン化された誘電体層140を除去した後、各回路130の露出する上面130a及び側面130bがニッケル層131の上面及び側面となり、これにより、ゴールドレイヤー300がニッケル層131の上面及び側面に蓄積する。
【0019】
好ましくは、シード層120及び部分的なパターン化された誘電体層140にプラズマエッチングを行う際に、プラズマエッチングパラメーターを調整することで、パターン化された誘電体層140のエッチングの厚さを1.5μm以上にせず、ニッケル層131の上面及び側面を露出する。十分な厚さの誘電体層を有すると同時に、誘電体層の効果を失効することも回避している。
【0020】
<第3実施例>
本発明の第3実施例の構成を
図10及び
図11に示す。第3実施例の第1実施例との相違点は、各回路130がニッケル層を含まず、銅層132のみを含み、銅層132はシード層120の再分布回路構造に形成し、シード層120を除去した後、銅層132を露出し、浸漬金メッキ方式で銅層132にゴールドレイヤー300を蓄積する点である。
【0021】
<第4実施例>
本発明の第4実施例の構成を
図12及び
図13に示す。第4実施例において、プラズマエッチング方式でシード層120及び部分的なパターン化された誘電体層140を除去した後、各回路130の露出する上面130a及び側面130bを銅層132の上面及び側面とする。これにより、銅層132の上面及び側面にゴールドレイヤー300を蓄積する。
【0022】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0023】
100 パッケージ構造
110 第一載置板
111 第一基板
112 第一剥離層
120 シード層
130 回路
130a 上面
130b 側面
131 ニッケル層
132 銅層
140 パターン化された誘電体層
150 ダイ
160 成形材料
200 第二載置板
210 第二基板
220 第二剥離層
300 ゴールドレイヤー
400 はんだボール