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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240411BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H02J9/06
H02J7/34 G
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022140450
(22)【出願日】2022-09-05
(65)【公開番号】P2023038177
(43)【公開日】2023-03-16
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】202111038537.3
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,チュンタオ
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-027734(JP,A)
【文献】特開2000-102196(JP,A)
【文献】特開2005-354781(JP,A)
【文献】特開2013-230063(JP,A)
【文献】特開2020-039236(JP,A)
【文献】特表2023-501626(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106253465(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106356841(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108134478(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110112711(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112290659(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0214782(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0126788(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0117748(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0269684(US,A1)
【文献】国際公開第2017/122243(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 7/00
H02J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スイッチモジュールと、無停電電源(UPS)と、1つ以上の電力消費ブランチと、を有する電源システムであって、
前記第1スイッチモジュールの入力端が複数の電源装置に接続され、前記第1スイッチモジュールの出力端が前記UPSの入力端に接続され、前記第1スイッチモジュールは、前記UPSに電力を供給するよう、前記複数の電源装置間で切り替えられ、
前記UPSの出力端が前記1つ以上の電力消費ブランチの各々に接続され、前記UPSは、電気エネルギーを受け取って、各電力消費ブランチに第1電圧を入力するように構成され、
各電力消費ブランチが、第1変圧器モジュールと、少なくとも1つの電力消費負荷とを有し、
前記第1変圧器モジュールの入力端が前記UPSの前記出力端に接続され、前記第1変圧器モジュールは、前記第1電圧を第2電圧に変換し、そして、該第2電圧を前記少なくとも1つの電力消費負荷に提供するように構成され、前記第2電圧は前記第1電圧よりも低
前記複数の電源装置は、少なくとも1つのエネルギー変換装置を有し、該エネルギー変換装置に前記UPSが接続され、
前記UPSは更に、前記エネルギー変換装置を動作させるための電気エネルギーを前記エネルギー変換装置に提供するように構成され、
前記UPSは、電力伝送ブランチと、電力変換ブランチと、エネルギー貯蔵装置とを有し、前記電力伝送ブランチは、前記UPSの前記入力端と前記UPSの前記出力端との間に接続され、前記電力変換ブランチは、前記エネルギー貯蔵装置と前記UPSの前記出力端との間に接続され、前記エネルギー貯蔵装置は、前記電力変換ブランチに接続され、
前記エネルギー貯蔵装置は、前記電力変換ブランチに電気エネルギーを出力するように構成され、
前記電力伝送ブランチは、前記UPSの前記入力端によって受け取られた電気エネルギーを前記UPSの前記出力端に伝送するように構成され、
前記電力変換ブランチは、前記エネルギー貯蔵装置によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーを前記エネルギー変換装置に提供する、又は、前記UPSの前記出力端からの電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーを前記エネルギー変換装置に提供する、ように構成され、
前記電力変換ブランチは、第1の双方向インバータモジュールと、第1の双方向コンバータモジュールとを有し、前記第1の双方向コンバータモジュールの第1端が前記エネルギー貯蔵装置に接続され、前記第1の双方向コンバータモジュールの第2端が前記第1の双方向インバータモジュールの第1端に接続され、前記第1の双方向インバータモジュールの第2端が前記UPSの前記出力端に接続され、前記第1の双方向インバータモジュールの第3端が前記エネルギー変換装置に接続され、
前記第1の双方向コンバータモジュールは、前記エネルギー貯蔵装置によって提供された直流に対して電圧変換処理を実行するように構成され、
前記第1の双方向インバータモジュールは、前記第1の双方向コンバータモジュールによって出力された直流を交流に変換し、そして、該交流を前記エネルギー変換装置に出力するように構成される、
電源システム。
【請求項2】
第1スイッチモジュールと、無停電電源(UPS)と、1つ以上の電力消費ブランチと、を有する電源システムであって、
前記第1スイッチモジュールの入力端が複数の電源装置に接続され、前記第1スイッチモジュールの出力端が前記UPSの入力端に接続され、前記第1スイッチモジュールは、前記UPSに電力を供給するよう、前記複数の電源装置間で切り替えられ、
前記UPSの出力端が前記1つ以上の電力消費ブランチの各々に接続され、前記UPSは、電気エネルギーを受け取って、各電力消費ブランチに第1電圧を入力するように構成され、
各電力消費ブランチが、第1変圧器モジュールと、少なくとも1つの電力消費負荷とを有し、
前記第1変圧器モジュールの入力端が前記UPSの前記出力端に接続され、前記第1変圧器モジュールは、前記第1電圧を第2電圧に変換し、そして、該第2電圧を前記少なくとも1つの電力消費負荷に提供するように構成され、前記第2電圧は前記第1電圧よりも低く、
前記複数の電源装置は、少なくとも1つのエネルギー変換装置を有し、該エネルギー変換装置に前記UPSが接続され、
前記UPSは更に、前記エネルギー変換装置を動作させるための電気エネルギーを前記エネルギー変換装置に提供するように構成され、
前記UPSは、電力伝送ブランチと、電力変換ブランチと、エネルギー貯蔵装置とを有し、前記電力伝送ブランチは、前記UPSの前記入力端と前記UPSの前記出力端との間に接続され、前記電力変換ブランチは、前記エネルギー貯蔵装置と前記UPSの前記出力端との間に接続され、前記エネルギー貯蔵装置は、前記電力変換ブランチに接続され、
前記エネルギー貯蔵装置は、前記電力変換ブランチに電気エネルギーを出力するように構成され、
前記電力伝送ブランチは、前記UPSの前記入力端によって受け取られた電気エネルギーを前記UPSの前記出力端に伝送するように構成され、
前記電力変換ブランチは、前記エネルギー貯蔵装置によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーを前記エネルギー変換装置に提供する、又は、前記UPSの前記出力端からの電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーを前記エネルギー変換装置に提供する、ように構成され、
前記電力変換ブランチは、第2の双方向コンバータモジュールと、第2の双方向インバータモジュールと、第2変圧器モジュールとを有し、前記第2の双方向コンバータモジュールの第1端が前記エネルギー貯蔵装置に接続され、前記第2の双方向コンバータモジュールの第2端が前記第2の双方向インバータモジュールの第1端に接続され、前記第2の双方向インバータモジュールの第2端が前記第2変圧器モジュールの第1端に接続され、前記第2の双方向インバータモジュールの第3端が前記エネルギー変換装置に接続され、前記第2変圧器モジュールの第2端が前記UPSの前記出力端に接続され、
前記第2の双方向コンバータモジュールは、前記エネルギー貯蔵装置によって提供された直流に対して電圧変換処理を実行するように構成され、
前記第2の双方向インバータモジュールは、前記第2の双方向コンバータモジュールによって提供された直流を交流に変換し、そして、該交流を前記エネルギー変換装置及び/又は前記第2変圧器モジュールに出力するように構成され、
前記第2変圧器モジュールは、前記第2の双方向インバータモジュールによって提供された電気エネルギーに対して電圧変換処理を実行し、そして、電圧変換処理を通じて得られた電気エネルギーを前記UPSの前記出力端に出力するように構成される、
源システム。
【請求項3】
第1スイッチモジュールと、無停電電源(UPS)と、1つ以上の電力消費ブランチと、を有する電源システムであって、
前記第1スイッチモジュールの入力端が複数の電源装置に接続され、前記第1スイッチモジュールの出力端が前記UPSの入力端に接続され、前記第1スイッチモジュールは、前記UPSに電力を供給するよう、前記複数の電源装置間で切り替えられ、
前記UPSの出力端が前記1つ以上の電力消費ブランチの各々に接続され、前記UPSは、電気エネルギーを受け取って、各電力消費ブランチに第1電圧を入力するように構成され、
各電力消費ブランチが、第1変圧器モジュールと、少なくとも1つの電力消費負荷とを有し、
前記第1変圧器モジュールの入力端が前記UPSの前記出力端に接続され、前記第1変圧器モジュールは、前記第1電圧を第2電圧に変換し、そして、該第2電圧を前記少なくとも1つの電力消費負荷に提供するように構成され、前記第2電圧は前記第1電圧よりも低く、
前記複数の電源装置は、少なくとも1つのエネルギー変換装置を有し、該エネルギー変換装置に前記UPSが接続され、
前記UPSは更に、前記エネルギー変換装置を動作させるための電気エネルギーを前記エネルギー変換装置に提供するように構成され、
前記UPSは、電力伝送ブランチと、電力変換ブランチと、エネルギー貯蔵装置とを有し、前記電力伝送ブランチは、前記UPSの前記入力端と前記UPSの前記出力端との間に接続され、前記電力変換ブランチは、前記エネルギー貯蔵装置と前記UPSの前記出力端との間に接続され、前記エネルギー貯蔵装置は、前記電力変換ブランチに接続され、
前記エネルギー貯蔵装置は、前記電力変換ブランチに電気エネルギーを出力するように構成され、
前記電力伝送ブランチは、前記UPSの前記入力端によって受け取られた電気エネルギーを前記UPSの前記出力端に伝送するように構成され、
前記電力変換ブランチは、前記エネルギー貯蔵装置によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーを前記エネルギー変換装置に提供する、又は、前記UPSの前記出力端からの電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーを前記エネルギー変換装置に提供する、ように構成され、
前記電力変換ブランチは、直流-直流変換モジュールと、直流-交流変換モジュールと、交流-直流変換モジュールと、第3変圧器モジュールとを有し、
前記直流-直流変換モジュールの第1端が前記エネルギー貯蔵装置に接続され、前記直流-直流変換モジュールの第2端が前記直流-交流変換モジュールの第1端と前記交流-直流変換モジュールの第1端とに接続され、前記直流-交流変換モジュールの第2端が前記第3変圧器モジュールの第1端に接続され、前記直流-交流変換モジュールの第3端が前記エネルギー変換装置に接続され、前記交流-直流変換モジュールの第2端が前記第3変圧器モジュールの前記第1端に接続され、前記第3変圧器モジュールの第2端が前記UPSの前記出力端に接続され、
前記直流-直流変換モジュールは、前記エネルギー貯蔵装置によって提供された直流に対して電圧変換処理を実行し、そして、電圧変換処理を通じて得られた直流を前記直流-交流変換モジュールに出力するように構成され、
前記直流-交流変換モジュールは、前記直流-直流変換モジュール及び/又は前記交流-直流変換モジュールからの直流を交流に変換し、そして、該交流を前記エネルギー変換装置に出力するように構成され、
前記交流-直流変換モジュールは、前記第3変圧器モジュールによって提供された交流を直流に変換し、そして、該直流を前記直流-交流変換モジュール又は前記直流-直流変換モジュールに出力するように構成され、
前記第3変圧器モジュールは、前記UPSの前記出力端からの電気エネルギーに対して電圧変換処理を実行し、そして、電圧変換処理を通じて得られた電気エネルギーを前記交流-直流変換モジュールに出力するように構成される、
源システム。
【請求項4】
記エネルギー変換装置は、非電気エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項5】
前記電力伝送ブランチは送電線を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項6】
前記電力伝送ブランチは更に双方向電子スイッチを有し、該双方向電子スイッチは、前記電力伝送ブランチによって出力される電気エネルギーが前記第1スイッチモジュールに逆流することを防止するように構成される、請求項に記載の電源システム。
【請求項7】
当該電源システムは更に再生可能エネルギー変換モジュールを有し、該再生可能エネルギー変換モジュールは前記エネルギー貯蔵装置に接続され、該再生可能エネルギー変換モジュールは、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換し、前記エネルギー貯蔵装置を充電するように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項8】
当該電源システムは更に再生可能エネルギー変換モジュールを有し、該再生可能エネルギー変換モジュールは前記エネルギー貯蔵装置に接続され、該再生可能エネルギー変換モジュールは、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換し、前記エネルギー貯蔵装置を充電するように構成される、請求項4に記載の電源システム。
【請求項9】
当該電源システムは更に再生可能エネルギー変換モジュールを有し、該再生可能エネルギー変換モジュールは前記エネルギー貯蔵装置に接続され、該再生可能エネルギー変換モジュールは、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換し、前記エネルギー貯蔵装置を充電するように構成される、請求項5に記載の電源システム。
【請求項10】
当該電源システムは更に再生可能エネルギー変換モジュールを有し、該再生可能エネルギー変換モジュールは前記エネルギー貯蔵装置に接続され、該再生可能エネルギー変換モジュールは、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換し、前記エネルギー貯蔵装置を充電するように構成される、請求項6に記載の電源システム。
【請求項11】
前記第1電圧は、35kV以下且つ6kV以上であり、前記第2電圧は、600V以下且つ100V以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項12】
少なくとも1つの電力消費ブランチ内の少なくとも1つの電力消費負荷は冷却装置を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電力消費ブランチ以外の電力消費ブランチ内の電力消費負荷の各々がサーバである、請求項12に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、エネルギー技術の分野に関し、特に電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、データセンターにおける電源システムは、中電圧キャビネット及び複数の電力消費ブランチを含む。中電圧キャビネットの入力端は、送電網及び発電機に接続される。中電圧キャビネットは、送電網が電源システムに電力を供給するように切り替えられたり、発電機が電源システムに電力を供給するように切り替えられたりすることができる。中電圧キャビネットの出力端は、複数の電力消費ブランチに接続される。各電力消費ブランチが、直列に接続された、変圧器、入力キャビネット、無停電電源(uninterruptible power supply、UPS)、及び出力キャビネットを含む。UPSは、エネルギー貯蔵バッテリーを含み得る。UPSは、出力キャビネットを介して複数の負荷に接続され得る。送電網が正常であるとき、中電圧キャビネットは、送電網が電源システムに電力を供給するように切り替えられて、送電網によって供給される10kVの電気エネルギーを各電力消費ブランチに出力し得る。電力消費ブランチ内の変圧器が10kVを400Vに変換し、400Vを入力キャビネットに出力する。入力キャビネットは通常、UPSのスイッチとして機能し、UPSに電気エネルギーを入力するための経路の接続又は切断を制御し得る。UPSは、送電網の電気エネルギーを、出力キャビネットを介して各負荷に提供することができ、UPSは更に、送電網によって提供される電気エネルギーをバッテリーに蓄えることができる。
【0003】
送電網に障害があるとき、UPSは、発電機に電気エネルギーを提供して発電機を始動させ得る。中電圧キャビネットは、発電機が電源システムに電力を供給するように切り替えられ得る。しかしながら、送電網が電力を供給する状態から発電機が電力を供給する状態に切り替わる過程で、中電圧キャビネットによって出力される電気エネルギーが一時的に中断される。途切れることなく電力が負荷に供給されることを確保するために、UPSのバッテリーが、負荷に電力を供給するように電気エネルギーを出力し得る。発電機が電源システムに電力を供給するように中電圧キャビネットが切り替えられた後、UPS内のバッテリーは放電状態から充電状態に切り替わる。送電網が正常に復旧した後、送電網が電源システムに電力を供給するように中電圧キャビネットが切り替えられ得る。しかしながら、発電機が電力を供給する状態から送電網が電力を供給する状態に切り替わる過程で、中電圧キャビネットによって出力される電気エネルギーが一時的に中断される。この場合、UPS内のバッテリーが、負荷にエネルギー供給するように電気エネルギーを出力し得る。送電網が電源システムに電力を供給するように中電圧キャビネットが切り替えられた後、UPS内のバッテリーは放電状態から充電状態に切り替わる。
【0004】
送電網が電力を供給する状態から発電機が電力を供給する状態に切り替わる過程、及び発電機が電力を供給する状態から送電網が電力を供給する状態に切り替わる過程において、UPSが一時的に電気エネルギーを供給する。しかしながら、この切り替え過程は短く、短いUPS放電期間をもたらす。そのため、各電力消費ブランチ内のUPSのバックアップ継続時間は、通常で5分から16分であり、このバックアップ継続時間が30分になるのは稀であり、各電力消費ブランチ内のUPSの低い利用率をもたらす。また、通常、全ての電力消費ブランチが異なる機器室に分散され、これは、UPS内のバッテリーの管理に資するものではない。そのため、安全性が低い。また、各電力消費ブランチ内の変圧器が10kVを400Vに変換し、負荷に対する電源ループ内の電圧が低いため、ループ内の電流が大きく、太い伝送ケーブルを使用する必要があり、より高コストで、より大きい体積の電源システムとなる。
[先行技術文献]
[特許文献1]中国特許出願公開第106253465号公報
【発明の概要】
【0005】
この出願は電源システムを提供する。当該電源システムは集中型の構成のものとすることができ、1つのUPSで複数の電力消費ブランチに電力を供給する。斯くして、電源システム内のUPSの数が削減され、UPSの利用率が高く、UPSが容易に管理、監視、及び保守され、電源システムの安全性が向上する。
【0006】
当該電源システムは、第1スイッチモジュールと、無停電電源(UPS)と、1つ以上の電力消費ブランチとを含み得る。第1スイッチモジュールの入力端が複数の電源装置に接続される。第1スイッチモジュールの出力端がUPSの入力端に接続される。UPSの出力端が上記1つ以上の電力消費ブランチの各々に接続される。第1スイッチモジュールは、UPSに電力を供給するよう、上記複数の電源装置間で切り替えられ得る。UPSは、各電力消費ブランチに電力を供給することができ、例えば、第1電圧を提供することができる。分かることには、この出願で提供される電源システムでは、各電力消費ブランチ内にUPSを置くことなく、集中化方式で1つのUPSで複数の電力消費ブランチに電力を供給する。斯くして、UPSが容易に管理、監視、及び保守される。UPSに極度の障害が発生したときに電力消費ブランチに与える影響を回避することができる。分かることには、この出願で提供される電源システムは、少ない数のUPSを含むだけでなく、高い安全性を有する。
【0007】
既存の電源システムにおける各電力消費ブランチ内の、低電圧の処理能力を持つUPSとは異なり、この出願で提供される電源システムにおけるUPSは、中電圧の処理能力を持つことができ、換言すれば、中電圧レンジ内の電圧の電気エネルギーを処理することができる。当該UPSは、6kVから35kVの電圧レンジ内の任意の値の電圧の電気エネルギーを処理し得る。換言すれば、第1電圧は35kV以下且つ6kV以上とし得る。実際の適用シナリオでは、様々な国で中電圧レンジに異なる特定の制限が存在し得る。例えば、中国における中電圧レンジは通常、1kVから20kVである。他の一例では、米国における中電圧レンジは通常、2kVから15kVである。
【0008】
取り得る一シナリオにおいて、各電力消費ブランチが、第1変圧器モジュールと、1つ以上の電力消費負荷とを含み得る。第1変圧器モジュールの入力端がUPSの出力端に接続され、第1変圧器モジュールは、中電圧-低電圧変換能力を持ち得る。中電圧レンジは6kVから35kVまでとすることができ、低電圧レンジは100Vから600Vまでの任意の値とすることができる。例えば、第1変圧器モジュールは、第1電圧を第2電圧に変換し得る。第1電圧は、35kV以下且つ6kV以上の値とすることができ、第2電圧は、600V以下且つ100V以上の値とすることができる。分かることには、第2電圧は第1電圧よりも低い。第2電圧は通常、電力消費負荷に電力を供給するのに使用される。第1変圧器モジュールが第1電圧を第2電圧に変換した後、第2電圧が電力消費ブランチ内の電力消費負荷に提供され得る。
【0009】
取り得る一設計において、電力消費ブランチが複数の電力消費負荷を含む場合、電力消費ブランチは更に第2のスイッチモジュールを含むことができ、第2スイッチモジュールの入力端が第1変圧器モジュールの出力端に接続され、第2のスイッチモジュールの出力端が上記複数の電力消費負荷に接続される。第2スイッチモジュールは、上記複数の電力消費負荷のうちの少なくとも1つに第2電圧を提供し得る。
【0010】
上記複数の電源装置は、少なくとも第1電源装置及び第2電源装置を含む。第1スイッチモジュールは、第1電源装置が電源システムに電気エネルギーを提供するように切り替えられ得る。あるいは、第1スイッチモジュールは、第2電源装置が電源システムに電気エネルギーを提供するように切り替えられ得る。一部の取り得るシナリオにおいて、第1電源装置は送電網とし得る。UPSは、高いエネルギースケジューリング能力を持つ。例えば、電源システム内の電力消費負荷の消費電力が送電網の電力を超えると、UPSと送電網とが一緒に電力消費負荷に電力を供給し得る。他の一例では、電源システム内の電力消費負荷の量が急激に減少すると、送電網及び電力消費負荷に影響を与えることを回避するため、送電網によって入力された電力の一部をUPSが吸収し、それにより、電源システムにおけるUPSの利用率を向上させ得る。
【0011】
各電力消費ブランチに途切れなく電力が供給されることを確保するため、第2電源装置はエネルギー変換装置とし得る。換言すれば、上記複数の電源装置はエネルギー変換装置を含み得る。エネルギー変換装置は、非電気エネルギーを電気エネルギーに変換し得る。UPSをエネルギー変換装置に接続することができ、UPSがエネルギー変換装置に駆動電気エネルギー又は駆動電圧を提供し得る。エネルギー変換装置は、始動後に、電源システムに電気エネルギーを提供し得る。このような設計に基づいてUPSの利用率が向上され得る。
【0012】
取り得る一実装において、UPSは、電力伝送ブランチと、電力変換ブランチと、エネルギー貯蔵装置とを含み得る。電力伝送ブランチは、UPSの入力端とUPSの出力端との間に接続される。電力変換ブランチは、エネルギー貯蔵装置とUPSの出力端との間に接続され、エネルギー貯蔵装置は、電力変換ブランチに接続される。エネルギー貯蔵装置は、電気エネルギーを蓄えることができ、さらに、電力変換ブランチに電気エネルギーを出力し得る。電力伝送ブランチは、UPSの入力端によって受け取られた電気エネルギーをUPSの出力端に伝送し得る。電力変換ブランチは、エネルギー貯蔵装置によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをエネルギー変換装置に提供することで、UPSによって蓄えられた電気エネルギーに基づいてエネルギー変換装置を始動させ得る。電力変換ブランチは更に、UPSの出力端からの電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをエネルギー変換装置に提供することで、エネルギー変換装置によって入力された電気エネルギーに基づいて、エネルギー変換装置に動作電気エネルギーを提供し得る。
【0013】
電力伝送ブランチは送電線を含むことができ、UPSの入力端によって受け取られた電気エネルギーをUPSの出力端に伝送することができる。電力伝送ブランチは更に双方向電子スイッチを含むことができ、該双方向電子スイッチは、電力伝送ブランチによって出力される電気エネルギーが第1スイッチモジュールに逆流することを防止し得る。
【0014】
電力変換ブランチは、複数の構造のものとして、当該電力変換ブランチの機能を実現し得る。取り得る一設計において、電力変換ブランチは、第1の双方向インバータモジュールと、第1の双方向コンバータモジュールとを含み得る。第1の双方向コンバータモジュールの第1端がエネルギー貯蔵装置に接続され、第1の双方向コンバータモジュールの第2端が第1の双方向インバータモジュールの第1端に接続され、第1の双方向インバータモジュールの第2端がUPSの出力端に接続され、第1の双方向インバータモジュールの第3端がエネルギー変換装置に接続される。第1の双方向コンバータモジュールは、エネルギー貯蔵装置によって提供された直流に対して電圧変換処理を実行し得る。第1の双方向インバータモジュールは、第1の双方向コンバータモジュールによって出力された直流を交流に変換し、そして、該交流をエネルギー変換装置に出力し得る。UPSが、エネルギー変換装置に駆動電気エネルギー又は駆動電圧を提供し、UPSの利用率を向上させる。
【0015】
第1の双方向インバータモジュールは、代わりに、第1の双方向コンバータモジュールによって出力された直流を交流に変換し、そして、該交流をUPSの出力端に出力して、UPSが電力消費ブランチに電力を供給するようにしてもよい。第1の双方向インバータモジュールは更に、UPSの出力端からの交流を直流に変換し、そして、該直流を第1の双方向コンバータモジュールに出力してもよい。第1の双方向コンバータモジュールは、受け取った直流に対して電圧変換処理を実行し、そして、電圧変換処理を通じて得られた直流をエネルギー貯蔵装置に出力して、エネルギー貯蔵装置を充電する。
【0016】
他の取り得る一設計において、電力変換ブランチは、第2の双方向コンバータモジュール、第2の双方向インバータモジュール、及び第2変圧器モジュールとし得る。第2の双方向コンバータモジュールの第1端がエネルギー貯蔵装置に接続され、第2の双方向コンバータモジュールの第2端が第2の双方向インバータモジュールの第1端に接続され、第1の双方向インバータモジュールの第2端が第2変圧器モジュールの第1端に接続され、第2の双方向インバータモジュールの第3端がエネルギー変換装置に接続され、第2変圧器モジュールの第2端がUPSの出力端に接続される。
【0017】
第2の双方向コンバータモジュールは、エネルギー貯蔵装置によって提供された直流に対して電圧変換処理を実行し得る。第2の双方向インバータモジュールは、第2の双方向コンバータモジュールによって提供された直流を交流に変換し、そして、UPSがエネルギー変換装置に駆動電気エネルギー又は駆動電圧を提供するように、該交流をエネルギー変換装置に出力して、UPSの利用率を向上させ得る。
【0018】
第2の双方向インバータモジュールは、代わりに、第2の双方向コンバータモジュールによって提供された直流を交流に変換し、そして、該交流を第2変圧器モジュールに出力してもよい。第2変圧器モジュールは、第2の双方向インバータモジュールによって提供された電気エネルギーに対して電圧変換処理を実行し、そして、UPSが電力消費ブランチに電力を供給するように、電圧変換処理を通じて得られた電気エネルギーをUPSの出力端に出力し得る。また、第2変圧器モジュールは更に、UPSの出力端からの電気エネルギーに対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた電気エネルギーを第2の双方向インバータモジュールに提供し得る。第2の双方向インバータモジュールは、第2変圧器モジュールによって提供された交流を直流に変換し、そして、該直流を第2の双方向コンバータモジュールに出力する。第2の双方向コンバータモジュールは、第2の双方向インバータモジュールによって提供された直流に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた直流をエネルギー貯蔵装置に出力して、エネルギー貯蔵装置を充電し得る。
【0019】
更なる他の取り得る一設計において、電力変換ブランチは、直流-直流変換モジュール、直流-交流変換モジュール、交流-直流変換モジュール、又は第3変圧器モジュールとし得る。直流-直流変換モジュールの第1端がエネルギー貯蔵装置に接続され、直流-直流変換モジュールの第2端が直流-交流変換モジュールの第1端と交流-直流変換モジュールの第1端とに接続され、直流-交流変換モジュールの第2端が第3変圧器モジュールの第1端に接続され、直流-交流変換モジュールの第3端がエネルギー変換装置に接続され、交流-直流変換モジュールの第2端が第3変圧器モジュールの第1端に接続され、第3変圧器モジュールの第2端がUPSの出力端に接続される。
【0020】
直流-直流変換モジュールは、エネルギー貯蔵装置によって提供された直流に対して電圧変換処理を実行し、そして、電圧変換処理を通じて得られた直流を直流-交流変換モジュールに出力し得る。第3変圧器モジュールは、UPSの出力端からの電気エネルギーに対して電圧変換処理を実行し、そして、電圧変換処理を通じて得られた電気エネルギーを交流-直流変換モジュールに出力し得る。交流-直流変換モジュールは、第3変圧器モジュールによって提供された交流を直流に変換し、そして、該直流を直流-交流変換モジュールに出力し得る。直流-交流変換モジュールは、直流-直流変換モジュール及び/又は交流-直流変換モジュールからの直流を交流に変換し、そして、UPSがエネルギー変換装置に駆動電気エネルギー又は駆動電圧を提供してUPSの利用率を向上させるように、該交流をエネルギー変換装置に出力し得る。
【0021】
直流-交流変換モジュールは、代わりに、直流-直流変換モジュールによって提供された直流を交流に変換し、そして、該交流を第3変圧器モジュールに出力してもよい。第3変圧器モジュールは、直流-交流変換モジュールによって提供された電気エネルギーに対して電圧変換処理を実行し、そして、UPSが電力消費ブランチに電力を供給するように、電圧変換処理を通じて得られた電気エネルギーをUPSの出力端に出力する。また、直流-直流変換モジュールは、交流-直流変換モジュールによって提供された直流に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた直流をエネルギー貯蔵装置に出力して、エネルギー貯蔵装置を充電し得る。
【0022】
当該電源システムは更に再生可能エネルギー変換モジュールを含み得る。再生可能エネルギー変換モジュールはエネルギー貯蔵装置に接続され、再生可能エネルギー変換モジュールは、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換して、エネルギー貯蔵装置を充電するように構成される。当該電源システムは、このような設計に基づいて高い信頼性を持ち得る。
【0023】
この出願のこの実施形態で提供される電源システムは、データセンターシナリオに適用され得る。上記複数の電力消費ブランチのうちの少なくとも1つ内の複数の電力消費負荷が冷却装置を含む。該少なくとも1つの電力消費ブランチ以外の電力消費ブランチ内の各電力消費負荷はサーバである。各電力消費ブランチ内にUPSを置くことなく、1つのUPSで上記複数の電力消費ブランチに電力を供給する。斯くして、UPSが容易に管理、監視、及び保守される。UPSに極度の障害が発生したときにサーバに与える影響が回避され得る。
【0024】
明らかなことには、当業者は、この出願の範囲から逸脱することなく、この出願に様々な変更及び変形を為すことができる。この出願は、以下の請求項及びそれらに均等な技術によって定められる保護の範囲内にある限り、この出願のそれらの変更及び変形をカバーすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】分散型電源システムの構成の概略図である。
図2】この出願に従った電源システムの構成の概略図である。
図3】この出願に従ったUPSの構成の概略図である。
図4】この出願に従った電源システムの構成の概略図である。
図5】この出願に従ったUPSの具体的構成の概略図である。
図6】この出願に従ったUPSの具体的構成の概略図である。
図7】この出願に従ったUPSの具体的構成の概略図である。
図8】この出願に従ったUPSの具体的構成の概略図である。
図9】この出願に従ったUPSの具体的構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この出願の目的、技術的ソリューション、及び利点をより明確にするため、以下にて更に、添付の図面を参照して、この出願を詳細に説明する。明らかなことには、説明される実施形態は、この出願の実施形態のうちの全てではなく単に一部である。また、理解されるべきことには、この出願の説明において、例えば“第1”及び“第2”などの用語は、単に区別及び説明のために使用され、相対的な重要性を示したり意味したりするものとして理解されるべきでなく、また、順序を示したり意味したりするものとして理解されるべきでない。
【0027】
データセンターにおける電源システムは、送電網(又は幹線と称される)の中電圧を低電圧に変換してデータセンター内の負荷に電力を供給する。例えば、電源システムは10kVを400Vに変換する。通常、負荷に途切れなく電力が供給されることを確保するために、電源システムは更にUPSを含む。送電網に障害があるとき、UPSが負荷に電力を供給する。通常、電源システムは分散型の構成のものである。図1を参照するに、その電源システムは中電圧キャビネットと複数の電力消費ブランチとを含んでいる。
【0028】
各電力消費ブランチが、変圧器と、入力キャビネットと、UPSと、出力キャビネットと、負荷とを含んでいる。変圧器は10kVを400Vに変換することができる。分かることには、各電力消費ブランチ内のUPSは、低電圧(例えば400V)処理能力を持つ。通常、各電力消費ブランチが更に低電圧キャビネットを含み、該低電圧キャビネットを用いることによって変圧器が入力キャビネットに接続される。低電圧キャビネットは、変圧器と入力キャビネットとを接続したり、変圧器を入力キャビネットから切り離したりする機能を持ち、データセンター内の例えば照明機器などの負荷に電力を供給し得るとともに、さらに、電源ループ内で電気エネルギーの電力補償を行う機能を持ち得る。入力キャビネットは、変圧器(又は低電圧キャビネット)とUPSとを接続したり、変圧器(又は低電圧キャビネット)をUPSから切り離したりする機能を持つ。出力キャビネットは、各電力消費ブランチ内の各負荷とUPSとを接続したり、各電力消費ブランチ内の各負荷をUPSから切り離したりする機能を持つ。
【0029】
電源システムは更に発電機を含むことができ、送電網に障害が発生すると、それが送電網に代わって電力を供給し得る。中電圧キャビネットは、送電網によって提供される電気エネルギーを受け取ることができ、また、発電機によって提供される電気エネルギーを受け取ることができる。中電圧キャビネットは、送電網が電力を供給する状態に切り替えられることができる。具体的には、中電圧キャビネットは、送電網から電気エネルギーを受け取って、該電気エネルギーを各電力消費ブランチに出力し得る。中電圧キャビネットは、代わりに、発電機が電力を供給する状態に切り替えられることができる。具体的には、中電圧キャビネットは、発電機から電気エネルギーを受け取って、該電気エネルギーを各電力消費ブランチに出力し得る。
【0030】
送電網が電力を供給する状態と、発電機が電力を供給する状態との間で切り替わる過程において、中電圧キャビネットによって各電力消費ブランチに出力される電気エネルギーが一時的に中断されることがある。この場合、各電力消費ブランチ内のUPSのエネルギー蓄電池が放電して、負荷に電力を供給する。送電網が電力を供給する状態や発電機が電力を供給する状態に切り替えられた後、中電圧キャビネットは電気エネルギーの出力を回復し、そして、UPS内のエネルギー蓄電池は放電を停止して充電を行う。分かることには、分散型電源システムにおけるUPSの利用率は低い。電源システムのコストと体積を考慮すると、殆どのUPSの各々のエネルギー蓄電池のバックアップ期間はたったの5分から15分であり、少ない数のUPSの各々のエネルギー蓄電池のバックアップ期間が30分になることがある。また、エネルギー蓄電池のエネルギースケジューリング能力は低い。
【0031】
さらに、各電力消費ブランチ内で、負荷に電力を供給する際に多数のエレクトロニクス装置が関与する。従って、電力消費ブランチ内の電流が大きく、エネルギー損失が大きく、電力供給効率が低く、電力供給コストが高く、また、電力消費ブランチの体積が大きくなる。また、これら複数の電力消費ブランチは通常、異なる機器室に配置される。様々な機器室に散在した装置、特に、UPSのエネルギー蓄電池、を管理、監視、又は保守するには高いコストがかかる。さらに、例えばエネルギー蓄電池が燃えるといった極度の障害が発生した場合、機器室内の装置が影響を受けることがあり、安全性が乏しい。
【0032】
これに鑑み、この出願の一実施形態は電源システムを提供する。当該電源システムは集中型の構成のものとすることができ、1つのUPSで複数の電力消費ブランチに電力を供給する。斯くして、電源システム内のUPSの数が削減され、UPSの利用率が高く、UPSが容易に管理、監視、及び保守され、電源システムの安全性が向上する。図2を参照するに、この出願で提供される電源システムは、第1スイッチモジュール10と、無停電電源(UPS)11と、1つ以上の電力消費ブランチ12とを含み得る。
【0033】
当該電源システムは、複数の電源装置に接続されて、複数の電源装置によって提供される電気エネルギーを受け取り得る。第1スイッチモジュール10の入力端が複数の電源装置に接続され得る。第1スイッチモジュール10の出力端がUPS11の入力端に接続され得る。各電源装置は、電気エネルギーを提供する機能又は能力を持つ。第1スイッチモジュール10は、複数の電源装置がUPS11に電力を供給するように切り替えられ得る。第1スイッチモジュール10は、複数の電源装置のうちのいずれか1つによって入力された電気エネルギーをUPS11に提供し得る。
【0034】
上記複数の電源装置は、少なくとも電源装置1及び電源装置2を含む。電源システムの説明を容易にするため、図2は電源装置1と電源装置2との2つの電源装置を示しているが、複数の電源装置の数についての具体的な限定として解釈されるものではない。一部の取り得る適用シナリオにおいて、上記複数の電源装置は3つ以上の電源装置とし得る。
【0035】
通常、各電源装置が中電圧の電気エネルギーを電源システムに提供し得る。この出願で提供される電源システムにおいて、UPS11は中電圧を処理する機能を持ち得る。通常、中電圧レンジは6kVから35kVとすることができ、換言すれば、35kV以下且つ6kV以上とし得る。あるいは、UPS11によって各電力消費ブランチ12に提供され得る電圧のレンジは、6kVから35kVまでとし得る。一部の取り得るシナリオにおいて、異なる国では中電圧レンジ及び低電圧レンジに異なる特定の制限が存在し得る。例えば、中国における中電圧レンジは通常、1kVから20kVであり、低電圧レンジは通常、1kVよりも低い電圧である。他の一例では、米国における中電圧レンジは通常、2kVから15kVであり、低電圧レンジは通常、2kVよりも低い電圧である。
【0036】
UPS11の出力端が、1つ以上の電力消費ブランチ12の各々に接続されて、各電力消費ブランチ12に電気エネルギーを提供し得る。UPS11は、第1スイッチモジュール10によって出力された電気エネルギーを受け取って、該電気エネルギーを各電力消費ブランチ12に提供することができ、例えば、各電力消費ブランチ12に第1電圧を提供し得る。オプションで、第1電圧は電圧レンジ[6kV,35kV]内の任意の値とし得る。分散型電源システムと比較して、この出願で提供される電源システムにおける電力消費ブランチ12は少ない数のエレクトロニクス装置を含み得る。各電力消費ブランチ12が、第1スイッチモジュール10と、少なくとも1つの電力消費負荷122とを含み得る。第1変圧器モジュール120の入力端が、UPS11の出力端に接続されて、UPS11によって出力された中電圧の電気エネルギーを受け取り得る。第1変圧器モジュール120は、中電圧-低電圧変換能力を持つ。換言すれば、第1変圧器モジュール120は、中電圧レンジの電圧を低電圧レンジの電圧に変換し得る。通常、第1変圧器モジュール120は第1電圧を第2電圧に変換し得る。第1電圧は、電圧レンジ[6kV,35kV]内の任意の値とし得る。第2電圧は、電圧レンジ[100V,600V]内の任意の値とし得る。一部の例において、第1電圧は10kVとすることができ、第2電圧は400Vとすることができる。第1変圧器モジュール120は、UPS11によって出力された10kVを400Vに変換し得る。第1スイッチモジュール10は、UPS11によって出力された第1電圧を第2電圧に変換し、そして、第2電圧を電力消費ブランチ12内の上記少なくとも1つの電力消費負荷に提供することができる。
【0037】
この出願で提供される電源システムでは、UPS11が各電力消費ブランチ12に電気エネルギーを入力し、その結果、各電力消費ブランチ12内のエレクトロニクス装置の数を削減することができる。分散構成における入力キャビネット及び出力キャビネットを各電力消費ブランチ12に追加する必要がなく、それ故に、各電力消費ブランチ12内の装置の数が減少し、電力消費ブランチ12が占有する空間量が減少し、電源システムが占有する空間量が減少する。電力消費ブランチ12内の装置の数が少ないので、電力消費ブランチ12内の電流が小さく、細い伝送ケーブルを使用することができ、コスト及び占有スペースが減り、電気エネルギー伝送効率が高い。また、電源システム内に、中電圧処理機能を持つ1つのUPS11が使用される場合、このUPS11は、低いコストで管理、監視、及び保守される。UPS11内のエネルギー貯蔵装置103に障害がある場合、電力消費ブランチ12内の装置を損傷するリスクは低く、それ故に当該電源システムは高い安全性を持つ。
【0038】
例えば電力消費ブランチ12が複数の電力消費負荷122を含む場合といった、一部の取り得るシナリオにおいて、図2を参照するに、電力消費ブランチ12は更に第2スイッチモジュール121を含み得る。第1変圧器モジュール120の出力端が、第2スイッチモジュール121の入力端に接続され、UPS11によって出力された電圧に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた電圧を第2スイッチモジュール121に提供し得る。第2スイッチモジュール121の出力端が、上記複数の電力消費負荷122の各々に接続される。第2スイッチモジュール121は、第1変圧器モジュール120によって出力された電気エネルギーを、上記複数の電力消費負荷122のうちの少なくとも1つに提供し得る。例えば、第2スイッチモジュール121は、電力消費ブランチ12内の全ての電力消費負荷122に第2電圧を提供し得る。第2スイッチモジュール121は、代わりに、一部の電力消費負荷122に第2電圧を提供してもよい。換言すれば、第2スイッチモジュール121は、ゲーティング能力を持ち、第1変圧器モジュール120と電力消費ブランチ12内の各電力消費負荷122とを接続したり、第1変圧器モジュール120を電力消費ブランチ12内の各電力消費負荷122から切り離したりすることができる。
【0039】
取り得る一実装において、当該電源システムはデータセンターシナリオに適用され得る。電源システム内の少なくとも1つの電力消費ブランチ12内の複数の電力消費負荷122は、冷却装置及びサーバを含むことができ、冷却装置は、サーバに関する熱を放散したり、電力消費ブランチ12が置かれている空間の温度を下げたりするように構成され得る。一部の例において、電力消費ブランチ12内の全ての電力消費負荷122がサーバであってもよい。一部の例において、各電力消費ブランチ12が、例えば照明機器などのエレクトロニクス装置を含んでもよい。第2スイッチモジュール121は、低電圧キャビネットとすることができ、電力消費ブランチ12内の例えば照明機器などのエレクトロニクス装置に電力を供給し得る。第2スイッチモジュール121は、電力消費ブランチ12内の電気エネルギーの電力補償を行う機能を持つことができる。
【0040】
上述の実施形態において、この出願で提供される電源システムは制御回路を含み得る。該制御回路が、第1スイッチモジュール10、UPS11、及び各電力消費ブランチ12を制御し得る。例えば、第1スイッチモジュール10の動作状態が制御され、UPS11の動作状態が制御され、各電力消費ブランチ12における第1変圧器モジュール120の動作状態及び第2スイッチモジュール121の動作状態が制御される。制御回路は1つ以上のコントローラ(又はプロセッサ)を含むことができ、該1つ以上のコントローラが別々に電源システム内のモジュール又は装置を制御し得る。
【0041】
当該電源システムは更に、少なくとも1つの電源装置に接続された障害検出回路を含んでもよく、接続された電源装置に障害があるかを検出するように構成され得る。対象の電源装置(障害検出回路に接続されたいずれかの電源装置)に障害があることを検出した後に、障害検出回路は、対象の電源装置に障害があることを示すのに使用される情報を制御回路に送信する。制御回路は、障害検出回路によって送られた情報に基づいて第1スイッチモジュール10の動作状態を制御して切り替えを実施すことで、正常な電源装置が電源システムに電気エネルギーを提供するようにする。
【0042】
上記複数の電源装置は送電網を含み得る。例えば、電源装置1が送電網である。障害検出回路が電源装置1に接続されて、電源装置1に障害があるかを検出し得る。この出願で提供される電源システムにおいて、UPS11はエネルギー貯蔵装置103を含むことができ、エネルギー貯蔵装置103は電気エネルギーを蓄えることができる。エネルギー貯蔵装置103は、電力消費ブランチ12に電力を供給するために電気エネルギーを出力し得る。制御回路が、障害検出回路によって送信された情報に基づいてUPS11の動作状態を制御して、エネルギー貯蔵装置103が電力消費ブランチ12に電気エネルギーを提供するようにし得る。
【0043】
送電網に障害がないとき(換言すれば、送電網が正常であるとき)、第1スイッチモジュール10は、送電網が電源システムに電力を供給するように切り替えられる。送電網に障害があるとき、第1スイッチモジュール10は、電源装置2が電源システムに電力を供給するように切り替えられる。一部の例において、第1スイッチモジュール10は中電圧キャビネットであることができ、あるいは中電圧キャビネットの機能を持つことができる。
【0044】
送電網が電源システムに電力を供給するとき、送電網によって入力された電気エネルギーをUPS11が各電力消費ブランチ12に提供する過程において、UPS11はエネルギー貯蔵装置103を充電し得る。各電力消費ブランチ12に途切れなく電力が供給されることを確保するため、中電圧処理能力を持つUPS11内のエネルギー貯蔵装置103は、大きい電気エネルギー容量と、高いエネルギースケジューリング能力とを持つ。例えば、電源システム内の電力消費負荷122の消費電力が送電網の電力を超えると、UPS11と送電網とが一緒に電力消費負荷122に電力を供給し得る。他の一例では、電源システム内の電力消費負荷122の量が急激に減少すると、送電網及び電力消費負荷122に影響を与えることを回避するため、送電網によって入力された電力の一部をUPS11が吸収し得る。換言すれば、UPS11内のエネルギー貯蔵装置103が、電力消費負荷122として機能して、送電網によって入力された電気エネルギーの一部を蓄え、電源システムにおけるUPS11の利用率を向上させ得る。
【0045】
一部の取り得るシナリオにおいて、電源装置2はエネルギー変換装置15とし得る。エネルギー変換装置15は、非電気エネルギーを電気エネルギーに変換し得る。分かることには、電源装置2は電気エネルギーを発生することができる。一部の例において、エネルギー変換装置15は、例えばディーゼル発電機といった発電機とし得る。あるいは、エネルギー変換装置15は、太陽光発電装置、風力発電装置、又はこれらに類するものであってもよい。
【0046】
送電網が正常であるとき、送電網が第1スイッチモジュール10に電気エネルギーを提供する。この動作状態の第1スイッチモジュール10は、送電網によって入力された電気エネルギーを受け取り、送電網によって入力された電気エネルギーをUPS11に提供している。送電網に障害が起こると、各電力消費ブランチ12に途切れなく電力が供給されることを確保するため、UPS11が、エネルギー貯蔵装置103に蓄えられた電気エネルギーを出力し、該電気エネルギーを各電力消費ブランチ12に提供する。
【0047】
送電網に障害があるとき、エネルギー変換装置15が第1スイッチモジュール10に電気エネルギーを提供し得る。一部の例において、バックアップ電源によってエネルギー変換装置15に電力を供給することができ、そして、エネルギー変換装置15が始動される。他の一部の例において、UPS11をエネルギー変換装置15に接続することができ、UPS11は更に、エネルギー変換装置15に電力を供給し、例えば、エネルギー変換装置15の動作電気エネルギー(又は電圧)を提供してエネルギー変換装置15を始動させ得る。このような設計に基づいてUPS11の利用率が向上され得る。
【0048】
送電網に障害があるので、第1スイッチモジュール10は、エネルギー変換装置15が第1スイッチモジュール10に電気エネルギーを提供するように切り替えられる。第1スイッチモジュール10は、エネルギー変換装置15によって入力された電気エネルギーを受け取り、エネルギー変換装置15によって入力された電気エネルギーをUPS11に提供する動作状態に切り替えられることができる。UPS11は、エネルギー変換装置15によって提供された電気エネルギーを各電力消費ブランチ12に出力し得る。この場合、UPS11は、エネルギー貯蔵装置103に蓄えられた電気エネルギーを出力したり、該電気エネルギーを各電力消費ブランチ12に提供したりしなくてもよい。代わりに、UPS11はなおも、エネルギー貯蔵装置103に蓄えられた電気エネルギーを出力して、該電気エネルギーを各電力消費ブランチ12に提供してもよい。あるいは、UPS11は、エネルギー貯蔵装置103に電気エネルギーを蓄える。分かることには、送電網が正常であるとき、又はエネルギー変換装置15が第1スイッチモジュール10の入力端に電気エネルギーを入力するとき、UPS11は、受け取り得る電気エネルギーを各電力消費ブランチ12に伝送するとともに、電気エネルギーをエネルギー貯蔵装置103に蓄える。
【0049】
一部の他の取り得るシナリオにおいて、電源装置2の動作電気エネルギーは再生可能エネルギー発電システムによって提供される。再生可能エネルギー発電システムは、太陽光変換モジュール又は風力エネルギー変換モジュールを含み得る。太陽光変換モジュールが電源装置2に接続され、太陽光変換モジュールは、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して電源装置2に電力を供給するように構成される。例えば、太陽光変換モジュールは、例えば太陽光発電モジュール及びや直流-直流変換器などのコンポーネントを含み得る。太陽光発電モジュールは、最大電力点追跡(maximum power point tracking、MPPT)モードで動作し得る。あるいは、風力エネルギー変換モジュールが電源装置2に接続され、電源装置2が電源システムに電力を供給することができるよう、風力エネルギー変換モジュールは、風力エネルギーを電気エネルギーに変換して電源装置2に電力を供給するように構成される。例えば、送電網に障害があるとき、電源装置2が電源システムに電力を供給する。一部の例において、上記複数の電源装置は複数の電源装置2を含んでもよい。電力を供給するために各電源装置2によって使用される電気エネルギーが、太陽光変換モジュール又は風力エネルギー変換モジュールによって提供され得る。
【0050】
電源装置1が送電網であり、且つ電源装置2がエネルギー変換装置15であることを、中電圧処理能力を持つUPS11の構成を参照して以下にてUPS11の機能又は能力を説明するための例として用いる。この出願で提供される電源システムにおいて、中電圧処理能力を持つUPS11は、エネルギー貯蔵装置103と、電力伝送ブランチ101と、電力変換ブランチ102とを含み得る。図3を参照するに、電力伝送ブランチ101は、UPS11の入力端とUPS11の出力端との間に接続される。電力変換ブランチ102は、エネルギー貯蔵装置103とUPS11の出力端との間に接続される。エネルギー貯蔵装置103は、電力変換ブランチ102に接続される。
【0051】
送電網が正常である場合、第1スイッチモジュール10は、送電網によって入力された電気エネルギーを、UPS11の入力端を通じて電力伝送ブランチ101に伝え得る。送電網に障害がある場合、第1スイッチモジュール10は、エネルギー変換装置15によって入力された電気エネルギーを、UPS11の入力端を通じて電力伝送ブランチ101に伝え得る。電力伝送ブランチ101は、UPS11の入力端から受け取った電気エネルギーをUPS11の出力端に出力し得る。この場合に、電力変換ブランチ102は、UPS11の出力端から電気エネルギーを得て、得た電気エネルギーに対して電力変換を行って、エネルギー貯蔵装置103を充電し得る。電力変換ブランチ102は交流-直流変換能力を持つことができる。電力変換器はまた電圧変換能力も有し得る。
【0052】
エネルギー貯蔵装置103に蓄えられる電気エネルギーは、電力変換ブランチ102によって提供され得るだけでなく、UPS11の外部のモジュールによって提供されることもできる。図4を参照するに、当該電源システムは再生可能エネルギー変換モジュール16を含んでもよい。再生可能エネルギー変換モジュール16は、エネルギー貯蔵装置103に接続されることができ、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換してエネルギー貯蔵装置103を充電し得る。例えば、再生可能エネルギー変換モジュール16は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換することができ、例えば太陽光発電モジュール及び直流-直流変換器などのコンポーネントを含み得る。太陽光変換モジュールの出力電力を高めるために、直流-直流変換器が、太陽光発電モジュールによって出力された直流に対して電圧変換処理を行ったり、太陽光発電モジュールが最大電力点追跡モードで動作したりすることができる。あるいは、再生可能エネルギー変換モジュール16が、風力エネルギーを電気エネルギーに変換してエネルギー貯蔵装置103を充電し得る。
【0053】
送電網に障害がある場合、第1スイッチモジュール10によってUPS11に入力される電気エネルギーが中断され、UPS11内のエネルギー貯蔵装置103が電気エネルギーを出力し得る。電力変換ブランチ102は、エネルギー貯蔵装置103によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをUPS11の出力端に伝えて、各電力消費ブランチ12に途切れなく電力を供給し得る。
【0054】
一部の例において、電力伝送ブランチ101は送電線を含み得る。図5を参照するに、送電線は、第1スイッチモジュール10によって入力された電気エネルギーをUPS11の出力端に直接伝送し得る。電力変換ブランチ102が、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをUPS11の出力端に伝えるとき、電力変換ブランチ102によって出力された電気エネルギーが、送電線を通って第1スイッチモジュール10、送電網、又は電源装置2に逆流することがある。従って、電力伝送ブランチ101に、電力アイソレーション機能を持つコンポーネントを追加してもよい。電力アイソレーションとは、回路の2つのエンドポイント同士が絶縁され、それら2つのエンドポイント間で電力が伝えられないことを意味する。電力アイソレーション機能を持つコンポーネントは、具体的に、スイッチコンポーネントとし得る。例えば、スイッチコンポーネントが開状態にあるとき、当該スイッチコンポーネントの入力端に接続された第1エンドポイントは、当該スイッチコンポーネントの出力端に接続された第2エンドポイントから絶縁されることができ、その結果、第1エンドポイントと第2エンドポイントの間で電力は伝えられない。他の一部の例において、電力伝送ブランチ101は、送電線と双方向電子スイッチとを含み得る。図6を参照するに、双方向電子スイッチは、第1スイッチ101a及び第2スイッチ101bを含み得る。第1スイッチ101a及び第2スイッチ101bは各々、単方向動作スイッチとすることができ、第1スイッチ101aと第2スイッチ101bとの単方向動作方向は逆である。換言すれば、第1スイッチ101aが閉状態にあるときに存在する電流方向は、第2スイッチ101bが閉状態にあるときに存在する電流方向とは逆である。
【0055】
通常、第1スイッチモジュール10によってUPS11の入力端に入力される電気エネルギーは交流である。第1スイッチ101aが開状態にあり、且つ第2スイッチ101bが閉状態にあるとき、交流のうち正の半サイクルの電気エネルギーがUPS11の出力端に伝送され得る。第1スイッチ101aが閉状態にあり、且つ第2スイッチ101bが開状態にあるとき、交流のうち負の半サイクルの電気エネルギーがUPS11の出力端に伝送され得る。電力変換ブランチ102が、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをUPS11の出力端に伝えるとき、第1スイッチ101a及び第2スイッチ101bの両方を開状態にすることができる。このような設計に基づき、電力変換ブランチ102によって出力された電気エネルギーが第1スイッチモジュール10及び電源装置に逆流することを防止し得る。
【0056】
上述の実施形態において、UPS11がエネルギー変換装置15に接続されるとき、UPS11内の電力変換ブランチ102をエネルギー変換装置15に接続し得る。送電網に障害がある場合、UPS11内のエネルギー貯蔵装置103が電気エネルギーを出力し得る。電力変換ブランチ102は、エネルギー貯蔵装置103によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをエネルギー変換装置15に提供し得る。例えば、電力変換ブランチ102は、エネルギー貯蔵装置103によって出力された電圧をエネルギー変換装置15の動作電圧に変換し、該動作電圧をエネルギー変換装置15に出力して、エネルギー変換装置15を駆動し得る。
【0057】
始動された後、エネルギー変換装置15は、障害ある送電網に代わって電源システムに電力を供給し得る。エネルギー変換装置15は、第1スイッチモジュール10にエネルギーを提供し得る。第1スイッチモジュール10は、エネルギー変換装置15によって出力された電気エネルギーをUPS11の入力端に提供するように切り替えられ得る。電力伝送ブランチ101は、UPS11の入力端から受け取った電気エネルギーをUPS11の出力端に伝送し得る。電力変換ブランチ102は、エネルギー貯蔵装置103によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を行わずに、エネルギー変換装置15が独立して各電力消費ブランチ12に電力を供給するようにしてもよい。あるいは、電力変換ブランチ102が、エネルギー貯蔵装置103によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをUPS11の出力端に伝えることで、UPS11内のエネルギー貯蔵装置103とエネルギー変換装置とが一緒になって各電力消費ブランチ12に電力を供給する。
【0058】
中電圧処理能力を持つUPS11内の電力変換ブランチ102は、複数の構成のものとし得る。以下、電力変換ブランチ102の構成例を参照して、電力変換ブランチ102の機能又は能力を説明する。この出願では、電力変換ブランチ102の以下の構造を示すが、これらの構成は、電力変換ブランチ102の構成に対する具体的な限定として解釈されるものではない。電力変換ブランチ102は、代わりに、この出願の実施形態における電力変換ブランチ102と同じ機能を実現する別の構成のものにされてもよい。
【0059】
上述の実施形態に基づき、取り得る一設計において、図7を参照するに、電力変換ブランチ102は、第1の双方向コンバータモジュール102aと、第1の双方向インバータモジュール102bとを含み得る。第1の双方向コンバータモジュール102aの一端がエネルギー貯蔵装置103に接続され、第1の双方向コンバータモジュール102aの他端が第1の双方向インバータモジュール102bの一端に接続され、第1の双方向インバータモジュール102bの他端がUPS11の出力端に接続される。
【0060】
第1の双方向インバータモジュール102bは、直流-交流変換能力及び交流-直流変換能力を持つことができ、具体的に双方向インバータとし得る。一部の例において、第1の双方向インバータモジュール102bは、整流器回路とインバータ回路とを含み得る。第1の双方向コンバータモジュールは更に、直流に対して電圧変換処理を行う能力を持つことができ、例えば、直流に対して電圧ブースト(boost)処理又は電圧バック(buck)処理を行う能力を持ち得る。
【0061】
送電網又はエネルギー変換装置15が電源システムに電力を供給するとき、UPS11内のエネルギー貯蔵装置103は、充電される状態にあることができる。このプロセスにおいて、第1の双方向インバータモジュール102bが、UPS11の出力端の交流を直流に変換し、該直流を第1の双方向コンバータモジュール102aに出力し得る。第1の双方向コンバータモジュール102aが、第1の双方向インバータモジュール102bによって出力された直流をエネルギー貯蔵装置103の充電電圧に変換し、該充電電圧をエネルギー貯蔵装置103に提供し得る。
【0062】
送電網に障害があるとき、UPS11が各電力消費ブランチ12に電力を供給し得る。例えば、電力変換ブランチ102が、エネルギー貯蔵装置103によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをUPS11の出力端に伝え得る。このプロセスにおいて、第1の双方向コンバータモジュール102aが、エネルギー貯蔵装置103によって出力された直流に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた直流を第1の双方向インバータモジュール102bに出力し得る。第1の双方向インバータモジュール102bが、電圧変換処理を通じて得られた直流を交流に変換し、該交流をUPS11の出力端に出力し得る。通常、第1の双方向インバータモジュール102bによってUPS11の出力端に提供される交流の電圧は第1電圧であり、それ故に、各電力消費ブランチ12内の第1変圧器モジュール120が第1電圧を第2電圧に変換する(第1電圧は中電圧レンジ内の任意の値とすることができ、第2電圧は低電圧レンジ内の任意の値とすることができる)。
【0063】
第1の双方向インバータモジュール102bは、エネルギー変換装置15に接続されることができる。送電網に障害があるとき、UPS11は、エネルギー変換装置15を始動させることができ、例えば、エネルギー変換装置15に動作電気エネルギー又は動作電圧を提供し得る。第1の双方向コンバータモジュール102aが、エネルギー貯蔵装置103によって出力された直流の電圧をエネルギー変換装置15の動作電圧に変換し、該動作電圧を第1の双方向インバータモジュール102bに出力し得る。第1の双方向インバータモジュール102bが、第1の双方向コンバータモジュール102aによって出力された直流を交流に変換し、該交流をエネルギー変換装置15に出力し得る。この出願のこの実施形態において、UPS11は、エネルギー変換装置15に電力を供給することができ、例えば、エネルギー変換装置15の動作電気エネルギー(又は電圧)を提供してエネルギー変換装置15を始動させ得る。このような設計に基づいてUPS11の利用率が向上され得る。
【0064】
取り得る他の一設計において、図8を参照するに、電力変換ブランチ102は、第2の双方向コンバータモジュール102cと、第2の双方向インバータモジュール102dと、第2変圧器モジュール102eとを含み得る。第2の双方向コンバータモジュール102cの第1端がエネルギー貯蔵装置103に接続され、第2の双方向コンバータモジュール102cの第2端が第2の双方向インバータモジュール102dの第1端に接続され、第2の双方向インバータモジュール102dの第2端が第2変圧器モジュール102eの第1端に接続され、第2変圧器モジュール102eの第2端がUPS11の出力端に接続される。
【0065】
第2の双方向インバータモジュール102dは、直流-交流変換能力及び交流-直流変換能力を持つことができる。第2の双方向コンバータモジュール102cは、直流-直流変換能力を持つことができる。第2変圧器モジュール102eは、UPS11の出力端から得られた電気エネルギーの電圧に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた電圧を第2の双方向インバータモジュール102dに出力し得る。あるいは、第2変圧器モジュール102eは、第2の双方向インバータモジュール102dによって出力された電気エネルギーに対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた電圧をUPS11の出力端に出力する。第2変圧器モジュール102eは具体的に変圧器とし得る。通常、UPS11の出力端における電気エネルギーの電圧は中電圧である。分かることには、第2変圧器モジュール102eは、例えば中電圧-低電圧変換能力又は低電圧-中電圧変換能力といった中電圧処理能力を持つ。このような設計に基づき、第2の双方向インバータモジュール102d及び第2の双方向コンバータモジュール102cによって処理される電気エネルギーの電圧は低電圧であることができ、第2の双方向インバータモジュール102d及び第2の双方向コンバータモジュール102cのコスト及び設計の難しさが低減される。
【0066】
送電網又はエネルギー変換装置15が電源システムに電力を供給するとき、UPS11内のエネルギー貯蔵装置103は、充電される状態にあることができる。このプロセスにおいて、第2変圧器モジュール102eが、UPS11の出力端から得られた電気エネルギーの電圧に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた電圧を第2の双方向インバータモジュール102dに出力し得る。第2の双方向インバータモジュール102dが、第2変圧器モジュール102eによって出力された交流を直流に変換し、該直流を第2の双方向コンバータモジュール102cに出力し得る。第2の双方向コンバータモジュール102cが、第2の双方向インバータモジュール102dによって出力された直流の電圧をエネルギー貯蔵装置103の充電電圧に変換し、該充電電圧をエネルギー貯蔵装置103に提供してエネルギー貯蔵装置103を充電し得る。
【0067】
送電網に障害があるとき、UPS11が各電力消費ブランチ12に電力を供給し得る。例えば、電力変換ブランチ102が、エネルギー貯蔵装置103によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをUPS11の出力端に伝え得る。このプロセスにおいて、第2の双方向コンバータモジュール102cが、エネルギー貯蔵装置103によって出力された直流に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた直流を第2の双方向インバータモジュール102dに出力し得る。電圧変換処理を通じて得られた直流の電圧は第2電圧である(第2電圧は、低電圧レンジ内の任意の値とし得る)。通常、エネルギー貯蔵装置103によって出力される電気エネルギーの電圧は低電圧レンジ内の値である。分かることには、この例において、第2の双方向コンバータモジュール102cは低電圧処理能力を持つ。
【0068】
第2の双方向インバータモジュール102dが、電圧変換処理を通じて得られた直流を交流に変換し、該交流を第2変圧器モジュール102eに出力し得る。第2変圧器モジュール102eが、第2の双方向インバータモジュール102dによって出力された交流に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた交流をUPS11の出力端に出力し得る。電圧変換処理を通じて得られた交流の電圧は第1電圧である。通常、第2変圧器モジュール102eによってUPS11の出力端に提供される交流の電圧は第1電圧であり、それ故に、各電力消費ブランチ12内の第1変圧器モジュール120が第1電圧を第2電圧に変換する(第1電圧は中電圧レンジ内の任意の値とすることができ、第2電圧は低電圧レンジ内の任意の値とすることができる)。
【0069】
第2の双方向インバータモジュール102dの第3端を、エネルギー変換装置15に接続することができる。送電網に障害があるとき、UPS11は、エネルギー変換装置15を始動させることができ、例えば、エネルギー変換装置15に動作電気エネルギー又は動作電圧を提供し得る。このプロセスにおいて、第2の双方向コンバータモジュール102cが、エネルギー貯蔵装置103によって出力された直流の電圧をエネルギー変換装置15の動作電圧に変換し、該動作電圧を第2の双方向インバータモジュール102dに出力し得る。第2の双方向インバータモジュール102dが、第2の双方向コンバータモジュール102cによって出力された直流を交流に変換し、該交流をエネルギー変換装置15に出力し得る。UPS11は、送電網に障害があるときに電力消費ブランチ12に電力を供給することができ、第2の双方向インバータモジュール102dは更に、第2の双方向コンバータモジュール102cによって出力された直流を交流に変換し、該交流をエネルギー変換装置15に出力し得る。この出願のこの実施形態において、UPS11は、エネルギー変換装置15に電力を供給することができ、例えば、エネルギー変換装置15の動作電気エネルギー(又は電圧)を提供してエネルギー変換装置15を始動させ得る。このような設計に基づいてUPS11の利用率が向上され得る。
【0070】
取り得る更なる他の一設計において、図9を参照するに、電力変換ブランチ102は、直流-直流変換モジュール102fと、交流-直流変換モジュール102gと、直流-交流変換モジュール102hと、第3変圧器モジュール102iとを含み得る。直流-直流変換モジュール102fの第1端がエネルギー貯蔵装置103に接続され、直流-直流変換モジュール102fの第2端が直流-交流変換モジュール102hの第1端と交流-直流変換モジュール102gの第1端とに接続され、直流-交流変換モジュール102hの第2端が第3変圧器モジュール102iの第1端に接続され、直流-交流変換モジュール102hの第3端がエネルギー変換装置15に接続され、交流-直流変換モジュール102gの第2端が第3変圧器モジュール102iの第1端に接続され、第3変圧器モジュール102iの第2端がUPS11の出力端に接続される。
【0071】
直流-交流変換モジュール102hは直流-交流変換能力を持つ。直流-交流変換モジュール102hは、インバータ回路又はインバータを含み得る。交流-直流変換モジュール102gは交流を直流に変換し、交流-直流変換モジュール102gは、整流器回路又は整流器を含み得る。直流-直流変換モジュール102fは、直流を直流に変換することができ、例えば電圧ブースト変換又は電圧バック変換を行い得る。
【0072】
第3変圧器モジュール102iは、UPS11の出力端から得られた電気エネルギーの電圧に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた電圧を交流-直流変換モジュール102gに出力し得る。あるいは、第3変圧器モジュール102iは、直流-交流変換モジュール102hによって出力された電気エネルギーに対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた電圧をUPS11の出力端に出力する。第3変圧器モジュール102iは具体的に変圧器とし得る。通常、UPS11の出力端における電気エネルギーの電圧は中電圧である。分かることには、第3変圧器モジュール102iは、例えば中電圧-低電圧変換能力又は低電圧-中電圧変換能力といった中電圧処理能力を持つ。このような設計において、直流-直流変換モジュール102f、直流-交流変換モジュール102h、及び交流-直流変換モジュール102gの各々の電気エネルギーの電圧を低電圧とすることができ、直流-直流変換モジュール102f、直流-交流変換モジュール102h、及び交流-直流変換モジュール102gのコスト及び設計の難しさが低減される。
【0073】
送電網又はエネルギー変換装置15が電源システムに電力を供給するとき、UPS11内のエネルギー貯蔵装置103は、充電される状態にあることができる。このプロセスにおいて、第3変圧器モジュール102iが、UPS11の出力端から得られた電気エネルギーの電圧に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた電圧を交流-直流変換モジュール102gに出力し得る。交流-直流変換モジュール102gが、第3変圧器モジュール102iによって出力された交流を直流に変換し、該直流を直流-直流変換モジュール102fに出力し得る。直流-直流変換モジュール102fが、交流-直流変換モジュール102gによって出力された直流の電圧をエネルギー貯蔵装置103の充電電圧に変換し、該充電電圧をエネルギー貯蔵装置103に提供してエネルギー貯蔵装置103を充電し得る。
【0074】
送電網に障害があるとき、UPS11が各電力消費ブランチ12に電力を供給し得る。例えば、電力変換ブランチ102が、エネルギー貯蔵装置103によって出力された電気エネルギーに対して電力変換を実行し、電力変換を通じて得られた電気エネルギーをUPS11の出力端に伝え得る。このプロセスにおいて、直流-直流変換モジュール102fが、エネルギー貯蔵装置103によって出力された直流に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた直流を直流-交流変換モジュール102hに出力し得る。電圧変換処理を通じて得られた直流の電圧は第2電圧であるとし得る(第2電圧は、低電圧レンジ内の任意の値とし得る)。通常、エネルギー貯蔵装置103によって出力される電気エネルギーの電圧は低電圧レンジ内の値である。分かることには、この例において、直流-直流変換モジュール102fは低電圧処理能力を持つ。直流-交流変換モジュール102hが、電圧変換処理を通じて得られた直流を交流に変換し、該交流を第3変圧器モジュール102iに出力し得る。第3変圧器モジュール102iが、直流-交流変換モジュール102hによって出力された交流に対して電圧変換処理を実行し、電圧変換処理を通じて得られた交流をUPS11の出力端に出力し得る。通常、第3変圧器モジュール102iによってUPS11の出力端に提供される交流の電圧は第1電圧であり、それ故に、各電力消費ブランチ12内の第1変圧器モジュール120が第1電圧を第2電圧に変換する(第1電圧は中電圧レンジ内の任意の値とすることができ、第2電圧は低電圧レンジ内の任意の値とすることができる)。
【0075】
直流-交流変換モジュール102hがエネルギー変換装置15に接続される。送電網に障害があるとき、UPS11は、エネルギー変換装置15を始動させることができ、例えば、エネルギー変換装置15に動作電気エネルギー又は動作電圧を提供し得る。このプロセスにおいて、直流-直流変換モジュール102fが、エネルギー貯蔵装置103によって出力された直流の電圧をエネルギー変換装置15の動作電圧に変換し、該動作電圧を直流-交流変換モジュール102hに出力し得る。直流-交流変換モジュール102hが、直流-直流変換モジュール102fによって出力された直流を交流に変換し、該交流をエネルギー変換装置15に出力し得る。始動された後、エネルギー変換装置15が電源システムに電力を供給し得る。第3変圧器モジュール102iが、UPS11の出力端からの電気エネルギーに対して電圧変換処理を実行し、そして、電圧変換処理を通じて得られた電気エネルギーを交流-直流変換モジュール102gに出力し得る。交流-直流変換モジュール102gが、第3変圧器モジュール102iによって提供された交流を直流に変換し、そして、該直流を直流-交流変換モジュール102hに出力し得る。直流-交流変換モジュール102hが、直流-直流変換モジュール102f及び交流-直流変換モジュール102gの各々によって出力された直流を受け取り得る。直流-交流変換モジュール102hが、受け取った直流を交流に変換し、該交流をエネルギー変換装置15に出力し得る。この出願のこの実施形態において、UPS11は、エネルギー変換装置15に電力を供給することができ、例えば、エネルギー変換装置15の動作電気エネルギー(又は電圧)を提供してエネルギー変換装置15を始動させ得る。このような設計に基づいてUPS11の利用率が向上され得る。
【0076】
以上の説明は、単にこの出願の特定の実装例であり、この出願の保護範囲を限定する意図ではない。この出願にて開示された技術範囲内で当業者が容易に考え付く如何なる変更又は置換もこの出願の保護範囲に入るものである。従って、この出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9