IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ 晶科能源股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図1
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図2
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図3
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図4
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図5
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図6
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図7
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図8
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図9
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図10
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図11
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図12
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図13
  • 特許-太陽電池および光起電力モジュール 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】太陽電池および光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0352 20060101AFI20240411BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20240411BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01L31/04 340
H01L31/04 262
H01L31/04 440
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022159384
(22)【出願日】2022-10-03
(65)【公開番号】P2024022417
(43)【公開日】2024-02-16
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】202210940296.X
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202222078085.8
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】張彼克
(72)【発明者】
【氏名】廖光明
(72)【発明者】
【氏名】張臨安
(72)【発明者】
【氏名】金井昇
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-081366(JP,A)
【文献】特開2016-103642(JP,A)
【文献】特開2016-111357(JP,A)
【文献】国際公開第2013/125036(WO,A1)
【文献】特表2015-525961(JP,A)
【文献】特表2021-521631(JP,A)
【文献】中国実用新案第208422924(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108110065(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の第1表面に位置するトンネル誘電体層と、複数のドーピング導電層と、離隔して配置された複数の第1電極と、少なくとも1つの導電性輸送層と、を含み、
前記ドーピング導電層は前記トンネル誘電体層の前記基板から離れた表面に位置し、かつ、複数の前記ドーピング導電層は離隔して配置され、
前記第1電極は第1方向に沿って延びており、前記第1電極は、前記ドーピング導電層の前記基板から離れた側に配置されかつ前記ドーピング導電層と電気的に接続され、
前記導電性輸送層は隣接する前記ドーピング導電層の間に位置しかつ前記ドーピング導電層の側面と接触し、
前記導電性輸送層の上面は光トラッピング構造を備える
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記導電性輸送層は複数があり、複数の前記導電性輸送層は前記第1方向に沿って離隔して配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
複数の前記導電性輸送層がアレイとして配置され、前記アレイは、第2方向に沿って離隔して配置された複数列の前記導電性輸送層を含み、ここで、各列の前記導電性輸送層のうちの複数の前記導電性輸送層は第1方向に沿って離隔して配置され、かつ第2方向に沿って隣接する2列の前記導電性輸送層の間に少なくとも1本の前記第1電極があり、前記第2方向は前記第1方向に対して垂直である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
すべての隣接する前記第1電極の間はいずれも前記導電性輸送層がある、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
1列の前記導電性輸送層と隣接する1列の前記導電性輸送層とは前記第1方向に沿ってずらして配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項6】
1列の前記導電性輸送層における各前記導電性輸送層は、隣接する1列の前記導電性輸送層における各前記導電性輸送層と1対1対応しており、かつ対応する2つの前記導電性輸送層は、前記第2方向に沿って離隔して配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項7】
離隔して配置される複数の第2電極をさらに含み、前記第2電極は前記第2方向に沿って延び、かつ前記第2方向に沿って離隔して配置された複数の前記第1電極と電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項8】
1列の前記導電性輸送層において、隣接する2つの前記導電性輸送層間には、少なくとも1本の前記第2電極がある、
ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
1列の前記導電性輸送層において、隣接する2つの前記導電性輸送層間には、2本の前記第2電極がある、
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
1列の前記導電性輸送層と隣接する1列の前記導電性輸送層とは前記第1方向に沿ってずらして配置され、異なる列に属しかつずらして配置された2つの前記導電性輸送層はそれぞれ前記第2電極の対向する両側に位置する、
ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記基板は周辺領域と中心領域を含み、最も外側に位置する前記第2電極の外側は前記周辺領域であり、前記基板のうち前記周辺領域を除く領域は前記中心領域であり、ここで、前記周辺領域に位置する前記導電性輸送層の前記第1方向におけるピッチは、前記中心領域に位置する前記導電性輸送層の前記第1方向におけるピッチより小さい、
ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記中心領域に位置する各列の前記導電性輸送層において、各前記導電性輸送層の前記第1方向におけるピッチは等しい、
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記中心領域における各列の前記導電性輸送層において、各前記導電性輸送層間のピッチは0.01mm~20mmであり、前記周辺領域における各列の前記導電性輸送層において、各前記導電性輸送層間のピッチは0.005mm~18mmである、
ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池。
【請求項14】
接続部をさらに含み、前記接続部は、前記第1方向に沿って離隔して配置されて隣接する前記導電性輸送層間に位置し、隣接する2つの前記導電性輸送層の側面と電気的に接触する、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記導電性輸送層の上面は前記ドーピング導電層の上面より低いか、または面一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記導電性輸送層の材料は前記ドーピング導電層の材料と同じである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記ドーピング導電層の材料は、ドープしたアモルファスシリコン、ドープした多結晶シリコンまたはドープした微結晶シリコン材料の少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項16に記載の太陽電池。
【請求項18】
第1パッシベーション層をさらに含み、一部の前記第1パッシベーション層は前記基板の第1表面を覆い、残りの前記第1パッシベーション層は前記ドーピング導電層および前記導電性輸送層の上面を覆う、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の太陽電池を複数連結したセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆うための封止層と、
前記封止層の前記セルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、太陽電池の分野に関し、特に太陽電池および光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は良好な光電変換能力を有しており、太陽電池中の基板表面のキャリア再結合を抑制しかつ基板に対するパッシベーション性能を高めるために、通常、基板表面にトンネル誘電体層とドーピング導電層を作製する。そのうち、トンネル誘電体層は良好な化学的パッシベーション効果を有し、ドーピング導電層は良好なフィールドパッシベーション効果を有する。また、太陽電池で生成した光生成キャリアを輸送・収集するために、一部の基板表面に電極を作製することもある。
【0003】
しかしながら、従来の太陽電池には光電変換効率が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例には、少なくとも太陽電池の光電変換効率を向上させることに有利である太陽電池および光起電力モジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例には、太陽電池が提供され、当該太陽電池は、基板と、前記基板の第1表面に位置するトンネル誘電体層と、複数のドーピング導電層と、離隔して配置された複数の第1電極と、少なくとも1つの導電性輸送層と、を含み、前記ドーピング導電層は前記トンネル誘電体層の前記基板から離れた表面に位置し、かつ、複数の前記ドーピング導電層は離隔して配置され、前記第1電極は第1方向に沿って延びており、前記第1電極は、前記ドーピング導電層の前記基板から離れた側に配置されかつ前記ドーピング導電層と電気的に接続され、前記導電性輸送層は隣接する前記ドーピング導電層の間に位置しかつ前記ドーピング導電層の側面と接触する。
【0006】
また、導電性輸送層は複数があり、複数の前記導電性輸送層は前記第1方向に沿って離隔して配置される。
【0007】
また、複数の前記導電性輸送層がアレイとして配置され、前記アレイは、第2方向に沿って離隔して配置された複数列の導電性輸送層を含み、ここで、各列の導電性輸送層のうちの複数の導電性輸送層は第1方向に沿って離隔して配置され、かつ第2方向に沿って隣接する2列の導電性輸送層の間に少なくとも1本の前記第1電極があり、前記第2方向は前記第1方向に対して垂直である。
【0008】
また、すべての隣接する前記第1電極の間はいずれも前記導電性輸送層がある。
【0009】
また、1列の前記導電性輸送層と隣接する1列の前記導電性輸送層とは前記第1方向に沿ってずらして配置される。
【0010】
また、1列の前記導電性輸送層における各前記導電性輸送層は、隣接する1列の前記導電性輸送層における各前記導電性輸送層と1対1対応しており、かつ対応する2つの前記導電性輸送層は、前記第2方向に沿って離隔して配置されている。
【0011】
また、離隔して配置される複数の第2電極をさらに含み、前記第2電極は前記第2方向に沿って延び、かつ前記第2方向に沿って離隔して配置された複数の前記第1電極と電気的に接続される。
【0012】
また、1列の前記導電性輸送層において、隣接する2つの前記導電性輸送層間には、少なくとも1本の前記第2電極がある。
【0013】
また、1列の前記導電性輸送層において、隣接する2つの前記導電性輸送層間には、2本の前記第2電極がある。
【0014】
また、1列の前記導電性輸送層と隣接する1列の前記導電性輸送層とは前記第1方向に沿ってずらして配置され、異なる列に属しかつずらして配置された2つの前記導電性輸送層はそれぞれ前記第2電極の対向する両側に位置する。
【0015】
また、前記基板は周辺領域と中心領域を含み、最も外側に位置する前記第2電極の外側は前記周辺領域であり、前記基板のうち前記周辺領域を除く領域は前記中心領域であり、ここで、前記周辺領域に位置する前記導電性輸送層の前記第1方向におけるピッチは、前記中心領域に位置する前記導電性輸送層の前記第1方向におけるピッチより小さい。
【0016】
また、前記中心領域に位置する各列の前記導電性輸送層において、各前記導電性輸送層の前記第1方向におけるピッチは等しい。
【0017】
また、前記中心領域における各列の前記導電性輸送層において、各前記導電性輸送層間のピッチは0.01mm~20mmであり、前記周辺領域における各列の前記導電性輸送層において、各前記導電性輸送層間のピッチは0.005mm~18mmである。
【0018】
また、接続部をさらに含み、前記接続部は、前記第1方向に沿って離隔して配置されて隣接する前記導電性輸送層間に位置し、隣接する2つの前記導電性輸送層の側面と電気的に接触する。
【0019】
また、前記導電性輸送層の上面は前記ドーピング導電層の上面より低いか、または面一である。
【0020】
また、前記導電性輸送層の上面は光トラッピング構造を備える。
【0021】
また、前記導電性輸送層の材料は前記ドーピング導電層の材料と同じである。
【0022】
また、前記ドーピング導電層の材料は、ドープしたアモルファスシリコン、ドープした多結晶シリコンまたはドープした微結晶シリコン材料の少なくとも1つである。
【0023】
また、第1パッシベーション層をさらに含み、一部の前記第1パッシベーション層は前記基板の第1表面を覆い、残りの前記第1パッシベーション層は前記ドーピング導電層および前記導電性輸送層の上面を覆う。
【0024】
相応的に、本願の実施例には、光起電力モジュールが提供され、上記のいずれか1項に記載の太陽電池を複数連結したセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止層と、封止層のセルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートと、を含む。
【発明の効果】
【0025】
本願の実施例に係る技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0026】
本願の実施例に係る太陽電池の技術案では、複数のドーピング導電層を離隔して配置するように設置し、このように、入射光が隣接する2つのドーピング導電層間の領域に照射するときに、この領域にドーピング導電層が設けられていないため、この部分の領域における入射光がドーピング導電層によって吸収されないようになり、ドーピング導電層の入射光に対する寄生吸収を低減し、基板の入射光に対する吸収利用率を高めることができる。また、導電性輸送層を隣接する2つのドーピング導電層の間に設け、かつドーピング導電層と接触させることにより、基板中の多数キャリアを導電性輸送層を介してドーピング導電層に輸送し、多数キャリアの基板中における横方向輸送を改善し、太陽電池のバッキングファクターを向上させ、入射光に対する利用率を向上させると同時に、基板中の多数キャリアの輸送能力を改善し、太陽電池の光電変換効率を全体的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。
図1図1は、本願の一実施例によって提供される太陽電池の上面視構成を示す図である。
図2図2は、図1における1の部分拡大図である。
図3図3は、図1における1の別の部分拡大図である。
図4図4は、本願の一実施例によって提供される太陽電池におけるキャリアの輸送を示す図である。
図5図5は、本願の一実施例によって提供される別の太陽電池の上面視構成を示す図である。
図6図6は、本願の一実施例によって提供される別の太陽電池の上面視構成を示す図である。
図7図7は、本願の一実施例によって提供される別の太陽電池の上面視構成を示す図である。
図8図8は、本願の一実施例によって提供される別の太陽電池の上面視構成を示す図である。
図9図9は、図8における2の部分拡大図である。
図10図10は、本願の一実施例によって提供される別の太陽電池の上面視構成を示す図である。
図11図11は、本願の一実施例によって提供される別の太陽電池の上面視構成を示す図である。
図12図12は、図1における1の更に別の部分拡大図である。
図13図13は、図1における1の更に別の部分拡大図である。
図14図14は、本願の一実施例によって提供される光起電力モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
背景技術から分かるように、従来の太陽電池には光電変換効率が低いという問題がある。
【0029】
分析によると、従来の太陽電池の光電変換効率が低くなる原因の一つとしては、従来、ドーピング導電層の光線に対する吸収を低減するために、ドーピング導電層が通常金属化領域に設けられており、非金属化領域のドーピング導電層が薄くされたり、除去されたりすることにあることがわかった。ただし、こうすると、基板中のキャリアは横方向輸送経路が不足になり、即ち、基板中のキャリアはドーピング導電層で覆われた領域に多く輸送され、ドーピング導電層が設けられていない領域ではキャリアの輸送が少なくなるため、太陽電池のバッキングファクターが大幅に低下し、太陽電池全体の発電効率が低くなるという問題をもたらしている。
【0030】
本願の実施例では、複数のドーピング導電層を離隔して配置するように設置し、即ち、ドーピング導電層を基板表面の一部の領域に設け、ドーピング導電層の入射光に対する寄生吸収を低減し、基板の入射光に対する利用率を高める太陽電池を提供する。基板におけるキャリアの横方向輸送能力を高めるために、導電性輸送層を隣接する2つのドーピング導電層の間に設け、かつドーピング導電層と接触させることにより、基板中の多数キャリアを導電性輸送層を介してドーピング導電層に輸送し、多数キャリアの基板中における横方向輸送を改善し、太陽電池のバッキングファクターを向上させ、入射光に対する利用率を向上させると同時に、基板中の多数キャリアの輸送能力を改善し、太陽電池の光電変換効率を全体的に高めることができる。
【0031】
以下、本願の各実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0032】
図1は、本願の一実施例によって提供される太陽電池の上面視構成を示す図であり、図2は、図1における1の部分拡大図であり、図3は、図1における1の別の部分拡大図であり、図4は、本願の一実施例によって提供される太陽電池におけるキャリアの輸送を示す図である。
【0033】
図1、2、4に示すように、太陽電池は、基板100と、基板100の第1表面に位置するトンネル誘電体層101と、複数のドーピング導電層102と、離隔して配置された複数の第1電極103と、少なくとも1つの導電性輸送層104と、を含み、ドーピング導電層102はトンネル誘電体層101の基板100から離れた表面に位置し、かつ、複数のドーピング導電層102は離隔して配置され、第1電極103は第1方向Xに沿って延びており、第1電極103は、ドーピング導電層102の基板100から離れた側に配置されかつドーピング導電層102と電気的に接続され、導電性輸送層104は隣接するドーピング導電層102の間に位置しかつドーピング導電層102の側面と接触する。
【0034】
隣接する2つのドーピング導電層102の間に導電性輸送層104を設け、かつドーピング導電層102と接触させることによって、基板100中の多数キャリアが導電性輸送層104を介してドーピング導電層102に輸送され、多数キャリアの基板100中における横方向輸送を改善し、太陽電池のバッキングファクターを向上させ、入射光の利用率を高めると同時に、多数キャリアの基板100における輸送能力を改善し、太陽電池の光電変換効率を全体的に高めることができる。詳細は図4に示す。図4は本願の一実施例で提供される太陽電池におけるキャリアの輸送概略図であり、導電性輸送層104を設けているため、基板100中のキャリアは横方向に横方向輸送層まで移動でき、そして、横方向輸送層を通じてドーピング導電層102中に輸送され、基板100中のキャリアの輸送能力を増やし、ドーピング導電層102中のキャリア濃度を高めることができる。
【0035】
他のいくつかの実施例では、ドーピング導電層102に、離隔して配置された複数の本体部10が設けられ、かつ本体部10は第1電極103と電気的に接続され、即ち、金属化領域にてドーピング導電層102の厚さを厚く設定することによって、本体部10は金属接触再結合を低減する役割を果たすことができる。また、入射光は隣接する本体部10間の領域に照射するときに、入射光が厚さの大きい本体部10に吸収されないようになり、基板100の入射光に対する吸収利用率を高めることができる。
【0036】
また、ドーピング導電層102は第1接続部11をさらに含み、第1接続部11は隣接する2つの本体部10間に位置し、横方向輸送経路を形成することに相当し、これにより、基板100中の多数キャリアが第1接続部11を通じて本体部10に輸送されるようにし、基板100中のキャリアのドーピング導電層102における横方向輸送能力を高めることができる。また、本体部10と第1接続部11は一体化構造であるため、本体部10と第1接続部11の接触界面部のキャリア輸送損失を低減し、キャリア輸送効率をさらに向上させるのに有利である。
【0037】
基板100は入射光を受光して光生成キャリアを生成するために用いられ、いくつかの実施例では、基板100はシリコン基板であってもよく、シリコン基板の材料は単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンの少なくとも1種を含んでもよい。他のいくつかの実施例では、基板100の材料は炭化珪素、有機材料または多成分化合物であってもよい。多成分化合物は、ペロブスカイト、ガリウム砒素、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムなどを含むが、これらに限定されない。
【0038】
いくつかの実施例では、基板100内にドーピング元素を備え、ドーピング元素のタイプはN型またはP型であり、N型元素はリン(P)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)またはヒ素(As)などのV族元素であってもよく、P型元素はホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)またはインジウム(In)などのIII族元素であってもよい。例えば、基板100がP型基板100である場合、その内部のドーピング元素のタイプはP型である。あるいは、基板100がN型基板100である場合、その内部のドーピング元素のタイプはN型である。具体的には、いくつかの実施例では、基板100はN型基板100であってもよく、基板100にはN型ドーパントイオン、例えば、リンイオン、ビスマスイオン、アンチモンイオンまたはヒ素イオンのいずれかをドーピングしてもよい。
【0039】
いくつかの実施例では、太陽電池はTOPCON(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル誘電体層不動態化接触)電池であり、基板100はさらに第1表面に対向して設けられる第2表面を含み、基板100の第1表面と第2表面はいずれも入射光を受光したり光を反射させたりするために用いられる。いくつかの実施例では、第1表面は基板100の裏面であり、第2表面は基板100の前面であってもよい。他のいくつかの実施例では、第1表面が基板100の前面であり、第2表面は基板100の裏面であってもよい。
【0040】
いくつかの実施例では、基板100の第1表面は、非ピラミッド状テクスチャ、例えば積層された段差形態として設けられてもよく、これにより、基板100の第1表面に位置するトンネル誘電体層101に高い致密性と均一性を持たせ、トンネル誘電体層101が基板100の第1表面に対して良好なパッシベーション効果を有するようになる。基板100の第2表面はピラミッド状テクスチャとして設けられてもよく、これにより、基板100の第2表面の入射光に対する反射率を小さくし、光に対する吸収利用率を高める。
【0041】
いくつかの実施例では、トンネル誘電体層101とドーピング導電層102は基板100表面のパッシベーションコンタクト構造を構成するために用いられることができ、トンネル誘電体層101とドーピング導電層102を形成することでキャリアの基板100表面での再結合を低減し、太陽電池の開放電圧を増やし、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。具体的には、トンネル誘電体層101は、基板100の第1表面の欠陥準位濃度を低減できるため、基板100の第1表面の再結合中心を減らし、キャリアの再結合速度を下げることができる。
【0042】
ドーピング導電層102はフィールドパッシベーション層を形成するために用いられ、少数キャリアを界面から脱出させ、少数キャリアの濃度を下げ、基板100の界面におけるキャリア再結合の速度を低くし、それによって太陽電池の開放電圧、短絡電流及びバッキングファクターを大きくし、太陽電池の光電変換性能を改善する。いくつかの実施例では、ドーピング導電層102は基板100と同じ導電型のドーピング元素を有する。
【0043】
いくつかの実施例では、複数のドーピング導電層102は第1方向Xに沿って延び、かつ複数のドーピング導電層102は第1方向Xに沿って離隔して配置され、第2方向Yは第1方向に対して垂直である。いくつかの実施例では、第1電極103とドーピング導電層102は1対1対応しており、即ち、1本の第1電極103と1本のドーピング導電層102は電気的に接続されている。つまり、第1電極103の対応する領域にのみドーピング導電層102を設けるため、第1電極103が設けられていない領域の寄生吸収作用を低減し、基板100の光に対する利用率を高めることができる。いくつかの実施例では、第1電極103の材料は銀、アルミニウム、銅、錫、金、鉛またはニッケルのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0044】
他のいくつかの実施例では、複数の本体部10は第1方向Xに沿って延び、かつ複数の本体部10は第2方向Yに沿って離隔して配置され、第2方向は第1方向Xに対して垂直である。いくつかの実施例では、第1電極103と本体部10は1対1対応しており、即ち、1本の第1電極103は1つの本体部10と電気的に接続されている。第1電極103の対応する領域にのみ本体部10を設けるため、第1電極103への接触再結合を改善すると同時に、ドーピング導電層102の入射光に対する寄生吸収を低減することができる。いくつかの実施例では、第1電極103の材料は銀、アルミニウム、銅、錫、金、鉛またはニッケルのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0045】
トンネル誘電体層101とドーピング導電層102とは積層配置されており、具体的には、いくつかの実施例では、トンネル誘電体層101は全体的に基板100の第1表面に覆われ、複数のドーピング導電層102はトンネル誘電体層101の上面に離隔して設置されてもよい。他のいくつかの実施例では、トンネル誘電体層101はドーピング導電層102と対応して配置され、即ち、トンネル誘電体層101はドーピング導電層102と基板100の間に配置され、かつトンネル誘電体層101は導電性輸送層104と基板100の間にも位置し、これにより、この部分のトンネル誘電体層101は基板100の第1表面のキャリア再結合を低減する役割を果たし、導電性輸送層104に輸送されるキャリア濃度を高めることができる。
【0046】
いくつかの実施例では、トンネル誘電体層101の材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化シリコン、酸窒化ケイ素、真性アモルファスシリコン、真性多結晶などのトンネル作用を有する誘電体材料を含むことができるが、これらに限定されない。具体的には、トンネル誘電体層101は、シリコン酸化物(SiO)を含むシリコン酸化物層で形成されてもよく、シリコン酸化物は優れたパッシベーション特性を持ち、キャリアは簡単にシリコン酸化物層をトンネルすることができる。
【0047】
いくつかの実施例では、導電性輸送層104の材料はドーピング導電層102の材料と同じである。導電性輸送層104とドーピング導電層102との材料を同じように設定することによって、生産過程にわたる材料種類を減らすことができ、管理に便利である。一方、導電性輸送層104とドーピング導電層102との材料を同じようじに設定することによって、導電性輸送層104とドーピング導電層102との接触がよくなり、キャリアはドーピング導電層102と導電性輸送層104の接触界面で比較的良い輸送効果を有し、輸送損失を減らすことができる。また、キャリアの導電性輸送層104およびドーピング導電層102における輸送レートを近似または同一にすることができ、キャリアの導電性輸送層104からドーピング導電層102への輸送効率を高めることができる。なお、ここでの材料が同じであるということは、導電性輸送層104にはドーピング導電層102と同じドーパントイオンのタイプとドーパントイオンの濃度があることを指す。
【0048】
他のいくつかの実施例では、本体部10と第1接続部11が一体化構造であるように設定することによって、生産過程にわたる材料種類を減らし、管理を容易にする一方、第1接続部11と本体部10に同じキャリアタイプとキャリア濃度を持たせ、キャリアは本体部10と第1接続部11の接触界面で高い輸送効果を有し、輸送損失を低減できる。また、キャリアの本体部10および第1接続部11における輸送レートを同じようにして、キャリアの第1接続部11から本体部10への輸送効率を高めることもできる。
【0049】
具体的には、いくつかの実施例では、ドーピング導電層102の材料は、ドープしたアモルファスシリコン、ドープした多結晶シリコンまたはドープした微結晶シリコン材料の少なくとも1つである。これに応じて、導電性輸送層104の材料は、ドープしたアモルファスシリコン、ドープした多結晶シリコンまたはドープした微結晶シリコン材料のいずれかであってもよい。
【0050】
理解できるように、他のいくつかの実施例では、導電性輸送層104の材料はドーピング導電層102の材料と異なってもよく、例えば導電性輸送層104の材料はドープしたアモルファスシリコン、ドープした多結晶シリコンまたはドープした微結晶シリコンのいずれかであってもよく、ドーピング導電層102の材料はドープしたアモルファスシリコン、ドープした多結晶シリコンまたはドープした微結晶シリコンのいずれかであってもよい。
【0051】
いくつかの実施例では、導電性輸送層104の材料はドーピング導電層102の材料と異なる場合、導電性輸送層104の材料の入射光に対する吸収係数をドーピング導電層102の材料に対する入射光の吸収係数より小さく設定することができ、これによって、キャリアの横方向輸送能力を向上させると同時に、導電性輸送層104の入射光に対する吸収能力を低減し、太陽電池の入射光に対する利用率を高めることができる。
【0052】
いくつかの実施例では、導電性輸送層104の材料はドーピング導電層102の材料と同じであることに基づいて、実際にドーピング導電層102および導電性輸送層104を製造するプロセスは、
成長プロセスを採用して基板100の第1表面に初期トンネル誘電体層101と初期ドーピング導電層102を形成し、その中で、初期トンネル誘電体層101は基板100の第1表面全体を覆い、初期ドーピング導電層102はトンネル誘電体層101の第1表面全体を覆うことと、
離隔して分布するドーピング導電層102の形状及び導電性輸送層104の形状を定義するように、初期ドーピング導電層102の上面をパターン化することと、
パターン化された初期ドーピング導電層102に対してエッチングを行い、初期ドーピング導電層102の一部を除去し、離隔して分布するドーピング導電層102と隣接するドーピング導電層102間に位置する導電性輸送層104を形成することと、を含む。
【0053】
いくつかの実施例では、レーザープロセスを採用して初期ドーピング導電層102をレーザーエッチングすることができるため、エッチングプロセスが簡単になり、初期ドーピング導電層102に対するパターン化プロセスを省略することができ、製造プロセスの簡略化に有利である。
【0054】
いくつかの実施例では、基板100の第1表面を一面に覆うことができるトンネル誘電体層101を設け、トンネル誘電体層101の上面にドーピング導電層102を複数離隔して配置した場合、エッチングプロセスでは、初期ドーピング導電層102のみをエッチングし、初期トンネル誘電体層101をトンネル誘電体層101とする。
【0055】
他のいくつかの実施例では、トンネル誘電体層101はドーピング導電層102に対応して配置され、即ち、トンネル誘電体層101はドーピング導電層102と基板100の間に配置され、かつトンネル誘電体層101は導電性輸送層104と基板100の間にも位置する場合、ドーピング導電層102と導電性輸送層104に対応するトンネル誘電体層101を形成するように、初期ドーピング導電層102をエッチングすると同時に、初期トンネル誘電体層101をエッチングすることができる。
【0056】
いくつかの実施例では、導電性輸送層104は複数があり、複数の導電性輸送層104は第1方向Xに沿って離隔して配置される。隣接する2つのドーピング導電層102間に複数の導電性輸送層104を設けることによって、基板100中の多数キャリアは複数の導電性輸送層104を通じてドーピング導電層102に輸送され、基板100中の多数キャリアの横方向輸送能力を強めることができる。また、複数の導電性輸送層104を離隔して配置するように設置し、即ち、導電性輸送層104は隣接する2つのドーピング導電層102間のあらゆる領域を覆うのではなく、隣接する2つのドーピング導電層102間の局所領域に設けられる。これによって、導電性輸送層104の材料をドーピング導電層102の材料と同じように設定する場合、導電性輸送層104の全体面積が大きすぎなく、導電性輸送層104の入射光に対する吸収能力が強すぎて基板100の入射光に対する利用率が低いという問題の発生を防ぐことができる。
【0057】
いくつかの実施例では、複数の導電性輸送層104がアレイとして配置され、上記アレイは、第2方向Yに沿って離隔して配置された複数列の導電性輸送層104を含み、ここで、各列の導電性輸送層104のうちの複数の導電性輸送層104は第1方向Xに沿って離隔して配置され、かつ第2方向Yに沿って隣接する2列の導電性輸送層104の間に少なくとも1本の第1電極103があり、第2方向Yは第1方向Xに対して垂直である。つまり、いくつかの実施例では、隣接する導電性輸送層104間に第1電極103が1本しかない場合、2つの隣接する第1電極103間ごとに導電性輸送層104がある。他のいくつかの実施例では、隣接する2列の導電性輸送層104の間に複数本の第1電極103があり、これにより、一部の隣接する2本の第1電極103の間に導電性輸送層104があり、一部の隣接する第1電極103の間に導電性輸送層104がない。たとえば、第1方向Xにおいて、第1本の第1電極103と第2本の第1電極103との間には導電性輸送層104があり、第2本の第1電極103と第3本の第1電極103との間には導電性輸送層104がない。理解できるように、導電性輸送層104の材料とドーピング導電層102の材料が同じである場合、導電性輸送層104の数が多いほど、キャリアの横方向能力を強めると同時に、入射光に対する吸収能力が強くなる。このゆえに、第1電極103の総数と第1電極103の電流集約能力に対するニーズに基づいて、導電性輸送層104とドーピング導電層102との接続関係を柔軟に設定することができ、キャリア輸送能力を高めると同時に、導電性輸送層104は入射光に強い吸収作用を与えない。
【0058】
図1に示すように、いくつかの実施例では、すべての隣接する第1電極103の間はいずれも導電性輸送層104がある。2本の第1電極103ごとに導電性輸送層104を設けることによって、隣接する第1電極103間の横方向輸送能力を向上させ、各第1電極103の電流に対する収集能力を高めることができる。
【0059】
図2に示すように、いくつかの実施例では、導電性輸送層104の上面はドーピング導電層102の上面より低いか、または面一である。導電性輸送層104の上面をドーピング導電層102の上面以下に設定することによって、導電性輸送層104の上面がドーピング導電層102の上面より突出して、導電性輸送層104の側面の入射光に対する吸収の問題を防ぎ、導電性輸送層104の入射光に対する寄生吸収能力を下げることができる。理解できるように、導電性輸送層104の上面がドーピング導電層102の上面より低い場合、ドーピング導電層102の上面は導電性輸送層104の上面に斜めに入射する入射光をある程度で遮断し、導電性輸送層104の入射光に対する輸送能力をさらに低減できる。導電性輸送層104の上面がドーピング導電層102の上面と面一である場合、太陽電池の生産過程を簡略化し、レーザーアブレーション方式で同一工程で導電性輸送層104とドーピング導電層102を形成することができる。
【0060】
いくつかの実施例では、基板100の表面に垂直な方向において、導電性輸送層104の高さはドーピング導電層102の高さの0.5~1.2倍であってもよく、具体的な数値は0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1または1.2であってもよい。この範囲内において、導電性輸送層104の厚さは薄すぎず、導電性輸送層104のキャリアに対する横方向輸送能力が悪すぎない。一方、この範囲内において、導電性輸送層104の厚さも大きすぎないため、導電性輸送層104の厚さが大きすぎて入射光に対する吸収能力が強すぎるという問題を防ぐことができる。図3に示すように、他のいくつかの実施例では、第1接続部11の上面はドーピング導電層102の上面より低いか、または面一である。第1接続部11の上面がドーピング導電層102の上面より低い場合、ドーピング導電層102の上面は第1接続部11の上面に斜めに入射する入射光をある程度で遮断し、第1接続部11の入射光に対する輸送能力をさらに下げることができる。第1接続部11の上面がドーピング導電層102の上面と面一である場合、太陽電池の生産過程を簡略化し、レーザーアブレーション方式によって同一工程で第1接続部11とドーピング導電層102を形成することができる。いくつかの実施例では、基板100の表面に垂直な方向において、第1接続部11の高さは、ドーピング導電層102の高さの0.5~1.2倍であってもよく、具体的な数値は、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1または1.2であってもよい。
【0061】
図5および図6に示すように、図5は本願の一実施例で提供される他の太陽電池の上面視構を示す図であり、図6は本願の一実施例で提供される別の太陽電池の上面視構造を示す図であり、いくつかの実施例では、1列の導電性輸送層104と隣接する1列の導電性輸送層104とは第1方向Xに沿ってずらして配置される。
【0062】
具体的には、いくつかの実施例では、第1列の導電性輸送層104における各導電性輸送層104と第2列の導電性輸送層104における各導電性輸送層104とは、第2方向Yにおいて正対しておらず、即ち、第1列の導電性輸送層104における各導電性輸送層104と第2列の導電性輸送層104における各導電性輸送層104とは、第1方向Xにおいてずらしている。複数の導電性輸送層104をずらして設置することによって、導電性輸送層104の数が多すぎないようにし、導電性輸送層104の入射光に対する吸収は多くなることを避けることができる。一方、導電性輸送層104の設置数を少なくしながら、導電性輸送層104を基板100の第1表面に均一に分布させ、基板100中の異なる位置におけるキャリアの横方向輸送能力を高めることができる。
【0063】
図1に示すように、他のいくつかの実施例では、1列の導電性輸送層104における各導電性輸送層104は、隣接する1列の導電性輸送層104における各導電性輸送層104と1対1対応しており、かつ対応する2つの導電性輸送層104は、第2方向Yに沿って離隔して配置されている。例えば、第1列の導電性輸送層104における各導電性輸送層104と第2列の導電性輸送層104の対応する導電性輸送層104は、第2方向Yにおいて整列分布し、各列導電性輸送層104は規則的に配置される。これにより、導電性輸送層104の数が多くなり、基板100中のキャリアを横方向に輸送するための横方向輸送経路を多く形成する。また、各列導電性輸送層104は規則的に配置されるため、実際に導電性輸送層104を製造する工程において、導電性輸送層104を形成する工程を簡略化することができる。
【0064】
図1図5及び図6に示すように、いくつかの実施例では、離隔して配置される複数の第2電極106をさらに含み、第2電極106は第2方向Yに沿って延び、かつ第2方向Yに沿って離隔して配置された複数の第1電極103と電気的に接続される。複数の第2電極106は第1方向Xに沿って離隔して配置され、第2電極106は第1電極103と電気的に接続され、第1電極103中の電流を集めて集約させ、太陽電池から取り出すために使われる。理解できるように、第2電極106は第1電極103だけでなく、一部のドーピング導電層102とも電気的に接触している。これにより、ドーピング導電層102中のキャリアは第1電極103を介さずに、直接第2電極106に輸送されることができ、第2電極106の電流に対する集約能力を高めることができる。
【0065】
いくつかの実施例では、1列の導電性輸送層104において、隣接する2つの導電性輸送層104間には、少なくとも1本の第2電極106がある。つまり、第2電極106と導電性輸送層104とは間隔をおいて配置され、このように、導電性輸送層104を通じて第2電極106を位置制限することができ、第2電極106の製造工程において、余分な位置決め処理を行うことなく、第2電極106の位置を決めることができ、第2電極106の印刷が容易になり、プロセスフローが簡素化される。
【0066】
図5~6に示すように、具体的に、いくつかの実施例では、1列の導電性輸送層104において、隣接する2つの導電性輸送層104間には、2本の第2電極106がある。つまり、導電性輸送層104の分布がまばらであるため、導電性輸送層104の数が多すぎて入射光を吸収しすぎるという問題を防ぐことができる。
【0067】
理解できるように、導電性輸送層104はキャリアの横方向輸送経路であるため、導電性輸送層104に近接するドーピング導電層102におけるキャリアの濃度が高く、第1電極103において、導電性輸送層104に近接するドーピング導電層102と電気的に接続される部分のキャリア濃度が高い。これに基づいて、いくつかの実施例では、1列の導電性輸送層104と隣接する1列の導電性輸送層104とは第1方向Xに沿ってずらして配置され、異なる列に属しかつずらして配置された2つの導電性輸送層104はそれぞれ第2電極106の対向する両側に位置し、かつ第2電極106の両側に位置する導電性輸送層104は第1方向Xに正対していない。これによって、導電性輸送層104の数が限られている場合、導電性輸送層104を第2電極106の両側に均一に分布させる。導電性輸送層104を第2電極106の両側に設けることは、第2電極106が第1電極103におけるキャリア濃度の高い部分と電気的に接続されることを意味するため、第2電極106全体の第1電極103の電流に対する集約能力を高めることができる。同時に、導電性輸送層104の数が少ないため、導電性輸送層104が入射光を吸収しすぎるという問題を避け、太陽電池全体の光電変換性能を高めることができる。
【0068】
理解できるように、他のいくつかの実施例では、基板100の第1表面における一部の第2電極106の投影は一部の導電性輸送層104と重なってもよい。これにより、第2電極106は一部の導電性輸送層104の上面を覆い、導電性輸送層104を部分的に遮蔽することができ、導電性輸送層104の入射光に対する寄生吸光能力を下げ、太陽電池の光電変換効率をさらに向上させる。いくつかの実施例では、第2電極106は覆われた第2接続部105に直接電気的に接触し、第2接続部105は隣接する第2電極間の横方向輸送経路として機能し、第2接続部105および導電性輸送層104におけるキャリアが直接第2電極106に輸送され、第2電極106の電流集約能力をさらに高めることができる。
【0069】
理解できるように、太陽電池を積層する工程では、セルの破壊を防ぐために、通常、第2電極106をセルの周縁部から遠く離れたところに設け、即ち基板100の周縁部と第2電極106の間に大きいスペースがある。こうして、基板100の周縁部における第2電極106の数が少なくなり、周縁部の最も外側に位置する第2電極106は基板100の周縁部のキャリアに対する収集能力が弱くなる。これに基づいて、いくつかの実施例では、基板100は周辺領域と中心領域を含み、最も外側に位置する第2電極106の外側は周辺領域であり、基板100のうち周辺領域を除く領域は中心領域であり、ここで、周辺領域に位置する導電性輸送層104の第1方向Xにおけるピッチは、中心領域に位置する導電性輸送層104の第1方向Xにおけるピッチより小さい。これにより、周辺領域に位置する基板100の第1表面の導電性輸送層104の密度は中心領域の密度よりも大きくなり、即ち周辺領域の対応する基板100におけるキャリアの横方向輸送能力がより高くなり、周辺領域に位置する第1電極103におけるキャリア濃度が大きくなるため、最も外側の第2電極106のキャリア収集数を補償し、最も外側の第2電極106の電流集約能力を高めることができる。
【0070】
いくつかの実施例では、各列の導電性輸送層104において、周辺領域に位置する導電性輸送層104の数は複数であり、中心領域に位置し、隣接する2つの第2電極106間の導電性輸送層104の数は1つまたは0である。つまり、導電性輸送層104は中心領域においてまばらに分布しており、導電性輸送層104の入射光に対する寄生吸収能力を下げ、導電性輸送層104は周辺領域において密に分布しており、最も外側の第2電極106の電流集約能力を向上させ、太陽電池の光電変換性能をさらに全体的に高めることができる。
【0071】
具体的には、図5に示すように、いくつかの実施例では、周辺領域の第1列の導電性輸送層104のうち、最も外側に位置する第2電極106側の導電性輸送層104の数は2つであってもよく、周辺領域の第2列の導電性輸送層104のうち、最も外側に位置する第2電極106側の導電性輸送層104の数は1つであってもよく、かつ第1列の導電性輸送層104と第2列の導電性輸送層104はずらして配置される。ここでは、第1列と第2列の導電性輸送層104の配置方式のみを示し、残りの第3列、第4列および第5列、第6列などの導電性輸送層104の配置方式は第1列と第2列を参考することができる。
【0072】
図7に示すように、他のいくつかの実施例では、周辺領域の第1列の導電性輸送層104のうち、最も外側に位置する第2電極106側の導電性輸送層104の数は1つであってもよく、周辺領域の第2列の導電性輸送層104のうち、最も外側に位置する第2電極106側の導電性輸送層104の数は1つであってもよく、周辺領域の第3列の導電性輸送層104のうち、最も外側に位置する第2電極106側の導電性輸送層104の数は1つであってもよく、かつ、隣接する3列の導電性輸送層104は第1方向に沿ってずらして配置されている。ここでは、第1列、第2列と第3列の導電性輸送層104の配置方式のみを示し、残りの導電性輸送層104の配置方式は第1列、第2列と第3列を参考することができる。
【0073】
いくつかの実施例では、中心領域に位置する各列の導電性輸送層104において、各導電性輸送層104の第1方向Xにおけるピッチは等しい。各列の導電性輸送層104のうち、隣接する導電性輸送層104間のピッチが等しくなるように設定することによって、形成過程中にレーザーアブレーションが操作しやすくなり、即ち、隣接する導電性輸送層104間のピッチを調整する必要がなくなり、生産が容易になる。また、中心領域における隣接する導電性輸送層104間のピッチが等しくなるように設定することによって、中心領域に位置する導電性輸送層104を均一に分布させ、第2電極106の異なる位置におけるキャリア収集能力を均一に高めることができる。
【0074】
いくつかの実施例では、中心領域における各列の導電性輸送層104において、各導電性輸送層104間のピッチは0.01mm~20mmであり、例えば、0.01mm~0.1mm、0.1mm~0.5mm、0.5mm~2mm、2mm~5mm、5mm~10mm、10mm~15mmまたは15mm~20mmであってもよく、周辺領域における各列の導電性輸送層104において、各導電性輸送層104間のピッチは0.005mm~18mmであり、例えば、0.005mm~0.01mm、0.01mm~0.1mm、0.1mm~0.5mm、0.5mm~2mm、2mm~5mm、5mm~10mm、10mm~15mmまたは15mm~18mmであってもよい。この範囲内において、隣接する導電性輸送層104間のピッチが小さすぎないようにするため、導電性輸送層104が過密に設置されて、導電性輸送層104の入射光に対する吸収効果が強すぎるという問題を防ぐことができる。一方、この範囲内において、隣接する導電性輸送層104間のピッチも小さすぎないため、形成される横方向輸送経路が多くなり、基板100中のキャリアの横方向輸送能力を大きく改善することができる。
【0075】
図6に示すように、図6は本願の一実施例で提供される別の太陽電池の上面視構造を示す図である。いくつかの実施例では、第2接続部105をさらに含み、第2接続部105は、第1方向Xに沿って離隔して配置されて隣接する導電性輸送層104間に位置し、かつ隣接する2つの導電性輸送層104の側面と電気的に接触する。理解できるように、第2方向Yにおける第2接続部105の幅は、隣接する2つのドーピング導電層102の第2方向Yにおけるピッチより小さく、即ち、第2接続部105の側面は隣接する2つのドーピング導電層102の側面に接触しておらず、これにより、入射光がドーピング導電層102と第2接続部105の間の隙間に照射するときに、第2接続部105またはドーピング導電層102に吸収されない。いくつかの実施例では、第2接続部105の材料は導電性輸送層104の材料と同じであってもよく、これにより、第2接続部105は基板100のキャリアに横方向輸送経路を提供する役割を果たすことができる。具体的には、第2接続部105に対応する基板100中のキャリアは第2接続部105に輸送され、それから第2接続部105中のキャリアは導電性輸送層104に輸送され、さらに導電性輸送層104を介してドーピング導電層102に到着する。なお、第2接続部105の増加により、基板100中のより多くのキャリアが導電性輸送層104に輸送され、最終的にドーピング導電層102に到着し、さらに基板100中のキャリアの横方向輸送能力を強め、ドーピング導電層102中のキャリア濃度を増やし、第1電極103の電流収集能力を高めることができる。
【0076】
図9に示すように、他のいくつかの実施例では、ドーピング導電層102はさらに、底接続部20を備え、底接続部20は隣接する2つの本体部10間に位置し、隣接する2つの本体部10の側面に接触し、前記底接続部20の上面は本体部10の上面より低く、かつ第1接続部11は一部の底接続部20の上面に位置する。つまり、非金属化領域が対応する基板100の表面のドーピング導電層102の厚さは、金属化領域が対応する基板100の表面のドーピング導電層102の厚さより薄く、非金属化領域が対応するドーピング導電層102の入射光に対する寄生吸収を低減することができる。同時に、非金属化領域に位置する底接続部20は、多数キャリアに対して隣接する本体部10間で輸送経路を提供する役割も果たすことができる。
【0077】
上記の分析から、ドーピング導電層102が本体部10のみを含む場合、非金属化領域が対応するドーピング導電層102は除去され、ドーピング導電層102がさらに底接続部20も含む場合、非金属化領域が対応するドーピング導電層102が薄化され、非金属化領域が対応する基板100のキャリアの輸送能力が弱くなることがわかる。これに基づいて、第1接続部11を隣接する2つの本体部10間に設け、多数キャリアに対して隣接する2つの本体部10間での横方向輸送経路を提供し、基板100中のキャリアとドーピング導電層102の間の輸送効率を向上させ、さらに太陽電池のバッキングファクター及び太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0078】
トンネル誘電体層101と本体部10は積層配置され、具体的には、いくつかの実施例では、トンネル誘電体層101は基板100の第1表面を一面に覆ってもよく、複数の本体部10はトンネル誘電体層101の上面に離隔して配置される。他のいくつかの実施例では、トンネル誘電体層101は本体部10と対応して配置され、即ちトンネル誘電体層101は本体部10と基板100との間に配置され、かつ、トンネル誘電体層101は第1接続部11と基板100との間にも位置し、これにより、この部分のトンネル誘電体層101は基板100の第1表面のキャリア再結合を低減する役割を果たし、第1接続部11に輸送されるキャリア濃度を高めることができる。
【0079】
本体部10と第1接続部11とを一体化構造にすることによって、生産過程にわたる材料の種類を減らし、管理を便利にすることができる。一方、第1接続部11と本体部10に同じキャリアタイプとキャリア濃度を持たせ、キャリアは本体部10と第1接続部11の接触界面で高い輸送効果を持ち、輸送損失を少なくすることができる。また、キャリアの本体部10および第1接続部11における輸送レートが同じようにし、キャリアの第1接続部11から本体部10への輸送効率を高めることもできる。
【0080】
図5および図7に示すように、いくつかの実施例では、1列の第1接続部11と隣接する1列の第1接続部11とは第1方向Xに沿ってずらして配置される。具体的には、いくつかの実施例では、第1列の第1接続部11における各第1接続部11と第2列の第1接続部11における各第1接続部11は、第2方向Yにおいて正対していない。即ち、第1列の第1接続部11における各第1接続部11と第2列の第1接続部11における各第1接続部11とは、第1方向Xにおいてずらしている。複数の第1接続部11をずらして配置するようにすることによって、第1接続部11の数は多すぎなく、第1接続部11が入射光を多く吸収することを避けることができる。一方、第1接続部11の数を少なく設定すると同時に、第1接続部11を基板100の第1表面に均一に分布させ、基板100中の異なる位置におけるキャリアの横方向輸送能力を高めることができる。
【0081】
いくつかの実施例では、1列の第1接続部11における各第1接続部11は、隣接する1列の第1接続部11における各第1接続部11と1対1対応し、かつ対応する2つの第1接続部11は第2方向Yに沿って離隔して配置される。つまり、第1列の第1接続部11における各第1接続部11と第2列の第1接続部11の対応する第1接続部11とは第2方向Yにおいて整列分布し、各列の第1接続部11は規則的に配置される。これにより、第1接続部11の数を多くすることで、基板100中のキャリアを横方向輸送するための横方向輸送経路を多く形成する。また、各列の第1接続部11は規則的に配置されるため、実際に第1接続部11を製造する工程において、第1接続部11を形成する工程を簡略化することができる。
【0082】
図1図5及び図6に示すように、いくつかの実施例では、さらに離隔して配置される複数の第2電極106を含み、第2電極106は第2方向Yに沿って延び、第2方向Yに沿って離隔して配置される複数の第1電極103と電気的に接続される。複数の第2電極106は第1方向Xに沿って離隔して配置され、第2電極106は第1電極103に電気的に接続され、第1電極103の電流を集めて集約させ、太陽電池から取り出すために使われる。理解できるように、第2電極106は第1電極103だけでなく、本体部10の一部とも電気的に接触するため、本体部10中のキャリアは、第1電極103を経由することなく、第2電極106に直接輸送され、第2電極106の電流集約能力を高めることができる。
【0083】
いくつかの実施例では、第2電極106と第1接続部11とは離隔して配置されるか、または、第1接続部11の基板100での投影と第2電極106の基板100での投影は少なくとも部分的に重なっている。第2電極106と第1接続部11は離隔して配置されるように設置することによって、第1接続部11を通じて第2電極106を位置制限することができ、第2電極106の製造工程中に余分な位置決め処理を行うことなく、第2電極106の位置を決めることができ、第2電極106の印刷が容易になり、プロセスフローが簡素化される。
【0084】
第2電極106の基板100での投影が少なくとも部分的に重なるように設けられ、つまり、一部の第2電極106は一部の第1接続部11の上面を覆い、一部の第1接続部11を遮蔽することができるため、第1接続部11の入射光に対する寄生吸収能力を下げ、太陽電池の光電変換効率をさらに高めることができる。いくつかの実施例では、第2電極106はさらに覆われた第1接続部11と直接電気的に接触し、第1接続部11と本体部10は一体構造であり、第1接続部11と本体部10はいずれも第2電極106と電気的に接触するため、隣接する第2電極106間にも横方向輸送経路を形成し、第1接続部11中のキャリアを直接第2電極106に輸送し、第2電極106の電流集約能力をさらに高めることができる。
【0085】
理解できるように、第1接続部11はキャリアの横方向輸送経路であるため、第1接続部11に近接する本体部10のキャリア濃度が高く、第1電極103のうち、第1接続部11に近接する本体部10と電気的に接続される部分は高いキャリア濃度を有する。これに基づいて、いくつかの実施例では、1列の第1接続部11と隣接する1列の第1接続部11とは第1方向Xに沿ってずらして配置され、かつ異なる列に属しかつずらして配置される2つの第1接続部11はそれぞれ第2電極106の対向する両側に位置し、第2電極106の両側に位置する第1接続部11は第1方向Xにおいて正対していない。このように、第1接続部11の数が限られている場合、第1接続部11を第2電極106の両側に均一に分布させる。第1接続部11を第2電極106の両側に設けることは第2電極106は第1電極103のうちキャリア濃度の高い部分と電気的に接続されることを意味するため、第2電極106全体の第1電極103に対する電流集約能力を高めることができる。同時に、第1接続部11の数が少ないため、第1接続部11は入射光を多く吸収する問題を避け、太陽電池全体の光電変換性能を向上させることができる。
【0086】
いくつかの実施例では、太陽電池を積層する過程で破壊の問題が発生しないように、最も外側の第2電極106を基板100の周縁部から遠く離れる部位に設ける必要があり、このようにすると、最も外側に位置する第2電極106は基板100の周縁部にあるキャリアを収集する能力が弱くなる。これに基づいて、いくつかの実施例では、基板100は、周辺領域と中心領域を含み、最も外側に位置する第2電極106の外側は周辺領域であり、基板100のうち周辺領域を除く領域は中心領域であり、この中で、周辺領域に位置する第1接続部11の第1方向Xにおけるピッチは、中心領域に位置する第1接続部11の第1方向Xにおけるピッチより小さい。これにより、周辺領域に位置する基板100の第1表面の第1接続部11の密度は中心領域より大きく、即ち周辺領域の対応する基板100中のキャリアの横方向輸送能力はより強くなり、周辺領域に位置する第1電極103中のキャリア濃度は大きくなり、これにより、最も外側の第2電極106のキャリア収集数量を補償し、最も外側の第2電極106の電流集約能力を高めることができる。
【0087】
いくつかの実施例では、各列の第1接続部11のうち、周辺領域に位置する第1接続部11の数は複数であり、中心領域において、隣接する2つの第2電極106間の第1接続部11の数は1つまたは0である。
【0088】
具体的には、図10に示すように、いくつかの実施例では、周辺領域の第1列の第1接続部11のうち、最も外側に位置する第2電極106側の第1接続部11の数は2つであってもよく、周辺領域の第2列の第1接続部11のうち、最も外側に位置する第2電極106側の第1接続部11の数は1つであってもよく、かつ第1列の第1接続部11と第2列の第1接続部11とはずらして配置される。ここでは、第1列と第2列の第1接続部11の配置方式のみを示し、残りの第3列、第4列および第5列、第6列などの第1接続部11の配置方式は第1列と第2列を参考することができる。
【0089】
図11に示すように、他のいくつかの実施例では、周辺領域の第1列の第1接続部11のうち、最も外側に位置する第2電極106側の第1接続部11の数は1つであってもよく、周辺領域の第2列の第1接続部11のうち、最も外側に位置する第2電極106側の第1接続部11の数は1つであってもよく、周辺領域の第3列の第1接続部11のうち、最も外側に位置する第2電極106側の第1接続部11の数は1つであってもよく、かつ、隣接する3列の第1接続部11は第1方向に沿って互いにずらして配置される。ここでは、第1列、第2列と第3列の第1接続部11の配置方法のみを示し、残りの列の第1接続部11の配置方式は第1列、第2列と第3列を参考することができる。
【0090】
いくつかの実施例では、中心領域の各列の第1接続部11において、各第1接続部11間のピッチは0.01mm~20mmであり、例えば、0.01mm~0.1mm、0.1mm~0.5mm、0.5mm~2mm、2mm~5mm、5mm~10mm、10mm~15mmまたは15mm~20mmであってもよく、周辺領域の各列の第1接続部11において、各第1接続部11間のピッチは0.005mm~18mmであり、例えば、0.005mm~0.01mm、0.01mm~0.1mm、0.1mm~0.5mm、0.5mm~2mm、2mm~5mm、5mm~10mm、10mm~15mmまたは15mm~18mmであってもよい。この範囲内において、隣接する第1接続部11間のパッチが小さすぎないようにし、第1接続部11が過密に設置されることによって第1接続部11の入射光に対する吸収効果が強すぎるという問題を防ぐことができる。一方、この範囲内において、隣接する第1接続部11間のピッチも小さすぎないため、形成される横方向輸送経路が多くなり、基板100中のキャリアの横方向輸送能力を大きく改善することができる。
【0091】
図11~13に示すように、いくつかの実施例では、導電性輸送層104の上面は光トラッピング構造108を備える。光トラッピング構造108は、導電性輸送層104の上面の入射光に対する反射能力を強め、導電性輸送層104の上面に照射する入射光を反射させることができ、導電性輸送層104に吸収されることを防ぐことができる。この反射された一部の入射光は引き続き反射され、例えば、ドーピング導電層102及び導電性輸送層104で覆われていない領域に反射され、基板100に吸収・利用され、これにより、基板100の入射光に対する吸収利用率を高めることができる。
【0092】
具体的には、図12に示すように、いくつかの実施例では、光トラッピング構造108は複数のピラミッド構造を含んでもよく、ピラミッド構造は底面と、底面に接する側面とを備え、入射光は隣接する2つのピラミッド構造の側面間で複数回反射され、導電性輸送層104の上面に照射する入射光を反射させて、導電性輸送層104の入射光に対する吸収を減らすことができる。さらに、ピラミッド構造は複数の側面を持っているため、入射光の反射確率をさらに増やし、導電性輸送層104の入射光に対する吸収をさらに減らし、反射された入射光はドーピング導電層102および導電性輸送層104によって覆われていない基板100の第1表面に再反射され、基板100の入射光に対する利用率を向上させ、開放電圧および短絡電流を増やし、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0093】
他のいくつかの実施例では、光トラッピング構造108は基板100に向かって凹んだ凹構造を含んでいてもよく、凹構造を設けることによって、導電性輸送層104の上面はドーピング導電層102の上面より低くなるだけでなく、ドーピング導電層102は導電性輸送層104の上面に照射した入射光に対して一定の遮蔽作用を果たすことができる。一方、入射光は凹構造の側壁で複数回反射されるため、ドーピング導電層上面の入射光に対する寄生吸収を減らすことができる。
【0094】
具体的には、いくつかの実施例では、ドーピング導電層102が凹構造の中心に向かう方向に、凹構造の高さが徐々に低くなる。具体的には、図12に示すように、凹構造は、互いに対向する2つの側壁を備え、対向する2つの側壁のトップが互いに離隔され、ボトムが接し、即ち、凹構造の2つの側壁が基板100の第1表面に対して斜めに配置され、このように、一方の側壁表面に入射光が照射すると、入射光の一部は、その側壁表面から他方の側壁表面に反射され、それから、他方の側壁面に反射される入射光のうち、一部が反射され、一部が当該側壁の表面から元の側壁の表面に再反射される。これによって、入射光は複数回反射された後、外部に出射され、外部に出射された入射光は、ドーピング導電層102及び導電性輸送層104によって覆われていない基板100の第1表面に再反射される確率が高くなる。
【0095】
他のいくつかの実施例では、図13に示すように、ドーピング導電層102が基板100に向かう方向において、凹構造の断面形状も矩形であってもよい。つまり、凹構造は対向する2つの側壁と底壁を備え、対向する2つの側壁は基板100の第1表面に対して垂直であり、底壁は基板100の表面に対して平行に設置してもよい。
【0096】
理解できるように、他のいくつかの実施例では、凹構造は他の形状であってもよく、凹構造が基板100に向かって凹むという特徴を満たせばよい。
【0097】
図2に示すように、いくつかの実施例では、さらに、第1パッシベーション層107を含み、一部の第1パッシベーション層107は基板100の第1表面を覆い、残りの第1パッシベーション層107はドーピング導電層102および導電性輸送層104の上面を覆う。つまり、トンネル誘電体層101はドーピング導電層102に対応して配置され、トンネル誘電体層101はドーピング導電層102と基板100の間および導電性輸送層104と基板100の間に配置され、これにより、トンネル誘電体層101は基板100の一部の表面だけを覆うことができ、一部の第1パッシベーション層107は基板100の第1表面と直接接触することができる。隣接するドーピング導電層102の間に導電性輸送層104が設けられているため、第1パッシベーション層107と直接接触する基板100に複数の横方向輸送経路が形成され、基板100中のキャリアは横方向に沿ってドーピング導電層102に移動し、輸送中のキャリアの消耗を低減し、輸送レートを高めることができる。同時に、ドーピング導電層102が離隔して配置され、かつ金属化領域(第1電極103の対応する領域)にのみ配置されているため、入射光がドーピング導電層102間の領域に照射するときに、吸収される確率が大幅に低下し、ドーピング導電層102の入射光に対する寄生吸収を全体的に減らすことができる。このことから、本願の実施例で提供される太陽電池は、入射光に対する太陽電池の利用率を高めるだけでなく、太陽電池中のキャリアの高い輸送効率を保っていることがわかる。
【0098】
いくつかの実施例では、第1パッシベーション層107は単層または多層構造であってもよく、第1パッシベーション層107の材料はフッ化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタンの少なくとも1つであってもよい。
【0099】
他のいくつかの実施例では、トンネル誘電体層101は前面にて基板100の第1表面に設置してもよく、これに基づいて、第1パッシベーション層107はドーピング導電層102及び導電性輸送層104の上面を部分的に覆うように設置してもよく、残りの一部の第1パッシベーション層107は基板の第1表面およびトンネル誘電体層の側面を覆うように設置してもよい。
【0100】
いくつかの実施例では、ドーピング導電層102及び導電性輸送層104を形成した後、PECVD(PlasmaEnhancedChemicalVaporDeposition、プラズマ化学気相成長法)を用いて第1パッシベーション層107を形成することができる。
【0101】
第1電極103は第1パッシベーション層107を貫通してドーピング導電層102と電気的に接続される。第1パッシベーション層107は基板100の入射光に対する反射を低減するために使われる。いくつかの実施例では、第1パッシベーション層107を形成した後、ドーピング導電層102の基板100から離れた側に複数の離隔して配置された第1電極103を形成し、第1電極103は第1方向Xに沿って延び、ドーピング導電層102と電気的に接続されてもよい。
【0102】
いくつかの実施例では、基板100の第2表面にはエミッタがあってもよく、エミッタにおけるドーピングイオンのタイプはドーピング導電層102のドーピングイオンのタイプと異なる。いくつかの実施例では、エミッタの基板100から離れた表面には、反射防止層があり、反射防止層は入射光の反射を防止する役割を果たすことができる。いくつかの実施例では、反射防止層は窒化ケイ素層であってもよく、窒化ケイ素層は窒化ケイ素材料を含んでもよい。他のいくつかの実施例では、反射防止層は多層構造に設置されでもよく、例えば窒化ケイ素、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素の1種または複数種の材料からなる積層構造であってもよい。
【0103】
他のいくつかの実施例では、基板100の第2表面は、基板100の第1表面と類似した構造を備えてもよく、例えば、基板100の第2表面は、基板100から離れた第2表面に沿って順次積層設置された第2トンネル誘電体層と第2ドーピング導電層を備えてもよく、その中で、第2ドーピング導電層におけるドーピングイオンのタイプはドーピング導電層102におけるドープイオンのタイプと異なる。
【0104】
いくつかの実施例では、さらに第3電極(図示されていない)を含み、第3電極は基板100の第2表面に位置し、基板100の第2表面にエミッタがある場合、第3電極は反射防止層を貫通してエミッタと電気的に接続される。基板100の第2表面が基板100の第1表面と類似した構造を備えた場合、第3電極は第2ドーピング導電層と電気的に接続される。
【0105】
上記実施例で提供された太陽電池では、導電性輸送層104が隣接する2つのドーピング導電層102間に位置し、ドーピング導電層102と接触するように設置され、基板100中の多数キャリアは導電性輸送層104を介してドーピング導電層102に輸送され、多数キャリアの基板100における横方向輸送を改善し、太陽電池のバッキングファクターを高め、入射光に対する利用率を向上させると同時に、基板100における多数キャリアの輸送能力を改善し、太陽電池の光電変換効率を全体的に高めることができる。
【0106】
相応的に、図14に示すように、本願の実施例では、上記実施例で提供された太陽電池110を複数連結したセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止層120と、封止層120のセルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレート130と、を含む光起電力モジュールを提供する。太陽電池110は、全体または複数の分割の形で電気的に接続されることで複数のセルストリングを形成し、複数のセルストリングは直列および/または並列の形で電気的に接続される。
【0107】
具体的には、いくつかの実施例では、複数のセルストリング間は導電テープ140を通じて電気的に接続されてもよい。封止層120は、太陽電池110の前面および裏面を覆い、具体的には、封止層120は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム、ポリオレフィンエラストマー(POE)フィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの有機封止フィルムであってもよい。いくつかの実施例では、カバープレート130は、ガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレート130であってもよい。具体的には、カバープレート130の封止層120に向かう表面は凹凸面であってもよく、入射光の利用率を高めることができる。
【0108】
本願は、好ましい実施例で上記のように開示されているが、特許請求の範囲を限定するものではなく、当業者であれば、本願の構想から逸脱することなく、若干の可能な変動および修正を加えることができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項によって規定される範囲に従うべきである。
【0109】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14