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特許7470781アンテナを備える被試験デバイスを試験するための試験装置、自動試験装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】アンテナを備える被試験デバイスを試験するための試験装置、自動試験装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/10 20060101AFI20240411BHJP
   H01P 3/02 20060101ALI20240411BHJP
   H01P 5/08 20060101ALI20240411BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20240411BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G01R29/10 E
G01R29/10 B
H01P3/02
H01P5/08 B
H01Q7/00
H01Q9/16
【請求項の数】 42
(21)【出願番号】P 2022513351
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2019073023
(87)【国際公開番号】W WO2021037363
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘッセルバート、ジャン
(72)【発明者】
【氏名】モレイラ、ホセ
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0370821(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0149674(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03483615(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0267086(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377942(US,A1)
【文献】特開2014-035268(JP,A)
【文献】特開2020-027092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 29/00-29/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを有するDUT(被試験デバイス)を試験するための試験装置であって、
プローブを備え、
前記プローブは、2つの導体を備え、
前記2つの導体は、前記DUTが配置されるべきDUT位置に対向し、前記DUT位置の近傍に位置決めされるように前記DUT位置に向かって同じ方向に延びており、かつ、前記DUTが前記DUT位置に置かれたときに前記DUTのアンテナ素子の反応性近接場領域にある、試験装置。
【請求項2】
前記プローブが、
前記DUTの前記アンテナを介して前記DUTによって送信された信号を受信するように構成される、または
前記DUTの前記アンテナを使用して前記DUTによって受信される信号を送信するように構成される、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記プローブが、+/-10度の公差内または+/-20度の公差内の2つの平行な導体を備える、請求項1または2のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項4】
前記プローブの前記2つの導体が伝送線路を形成する、請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
前記プローブの前記2つの導体は、前記アンテナの側端部において対称伝送線路を形成する、請求項4に記載の試験装置。
【請求項6】
前記プローブの前記2つの導体がTEM伝送線路または準TEM伝送線路を形成する、請求項3または4に記載の試験装置。
【請求項7】
前記プローブの前記2つの導体は、マイクロストリップ線路の中心導体に移行する第1の導体と、前記マイクロストリップ線路の接地導体に移行する第2の導体と、を含む基本的に対称な伝送線路である、請求項1から6のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項8】
前記プローブの前記2つの導体は、同軸線路の外側シールドに移行する第1ストリップと、前記同軸線路の内側導体に移行する第2ストリップと、を含む平行ストリップ線路である、請求項1から6のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項9】
平衡電流が流れる前記プローブの前記2つの導体が、バラン回路を介して、または180度ハイブリッドを介して、不平衡線と接続される、請求項1から6のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項10】
前記プローブの2つの導体が誘電スペーサによって分離されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項11】
前記試験装置は、前記プローブの前記2つの導体が前記DUTの前記アンテナから電気的に分離されるように前記プローブを位置決めするように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項12】
前記プローブおよび前記DUTの前記アンテナは、誘電スペーサまたは規定のエアギャップによって分離される、請求項1から11のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項13】
測定される信号の自由空間波長をλとするとき、前記プローブと前記DUTの前記アンテナとの間の距離が0.1×λよりも小さい、請求項1から12のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項14】
前記プローブの前記2つの導体は、プリント回路基板上に形成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項15】
前記プローブの前記2つの導体が針状ピンである、請求項1から13のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項16】
前記プローブの前記2つの導体は、別個の開放端非接続導体である、請求項14または15に記載の試験装置。
【請求項17】
前記2つの導体は、前記DUTのパッチアンテナおよび/またはスロットアンテナの電界をプローブするように構成される、請求項16に記載の試験装置。
【請求項18】
前記2つの導体は、第1の開放端から第2の開放端への方向が、前記第1の開放端と前記第2の開放端との間の領域における前記アンテナの電界の平均方向に対して+/-10度または+/-20度の公差で平行になるように配置される、請求項16または17に記載の試験装置。
【請求項19】
前記2つの導体は、第1の導体と第2の導体を含み、
第1の開放端の領域内の前記第1の導体の方向が、前記DUTの前記アンテナの電界の方向に対して、+/-10度の公差内または+/-20度の公差内で垂直であり、
第2の開放端の領域内の前記第2の導体の方向が、前記DUTの前記アンテナの電界の方向に対して、+/-10度の公差内で、または+/-20度の公差内で、垂直であるように、前記2つの導体が配置される、請求項16から18のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項20】
前記試験装置が、前記プローブの前記2つの導体を、前記DUTのパッチアンテナの第1の放射縁部または前記DUTのスロットアンテナの第1の放射スロットまたはスロット部分の近傍に配置するように構成される、請求項16から19のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項21】
前記試験装置が、前記プローブである第1のプローブに加えて、第2のプローブを備え、
前記第2のプローブは、第1の導体および第2の導体を含み、
前記第2のプローブの前記2つの導体は、別々の開放端の非接続導体であり、
前記試験装置は、前記第2のプローブの前記2つの導体を、
前記DUTの前記パッチアンテナの第2の放射縁部の近傍であって、前記DUTの前記パッチアンテナの前記第1の放射縁部とは反対側に、または
前記DUTの前記スロットアンテナの第2の放射スロットまたはスロット部分の近傍であって、前記DUTの前記スロットアンテナの前記第1の放射スロットまたはスロット部分の反対側に、
位置決めするように構成される、請求項16から20のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項22】
前記試験装置が、前記第1のプローブおよび前記第2のプローブの前記信号を合成するように構成されている、請求項21に記載の試験装置。
【請求項23】
第3のプローブと第4のプローブとを備え、
前記第3のプローブは、第1の導体および第2の導体を含み、
前記第3のプローブの前記2つの導体は、別個の開放端非接続導体であり、
前記試験装置は、前記第3のプローブの前記2つの導体を、
前記DUTの前記パッチアンテナの前記第1の放射縁部に対して+/10度または+/-20度の公差内で垂直である、前記DUTの前記パッチアンテナの第3の放射縁部の近傍に、または
前記DUTの前記スロットアンテナの前記第1の放射スロットまたはスロット部分に対して+/10度または+/-20度の公差内で垂直である前記DUTの前記スロットアンテナの第3の放射スロットまたはスロット部分の近傍に、
位置決めするように構成され、
前記第4のプローブは、第1の導体および第2の導体を含み、
前記第4のプローブの前記2つの導体は、別個の開放端非接続導体であり、
前記試験装置は、前記第4のプローブの前記2つの導体を、
前記DUTの前記パッチアンテナの前記第3の放射縁部とは反対側の、前記DUTの前記パッチアンテナの第4の放射縁部の近傍に、または
前記DUTの前記スロットアンテナの前記第3の放射スロットまたはスロット部分とは反対側の、前記DUTの前記スロットアンテナの第4の放射スロットまたはスロット部分の近傍に、
位置決めするように構成される、請求項21または22に記載の試験装置。
【請求項24】
前記試験装置が、前記第1のプローブの前記信号と、前記第2のプローブの前記信号と、前記第3のプローブの前記信号と、前記第4のプローブの前記信号とを合成するように構成されている、請求項23に記載の試験装置。
【請求項25】
前記プローブの前記2つの導体は、それらの端部で導電性ストリップに接続され、閉ループ、すなわち短絡端部を形成する、請求項1から15のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項26】
前記試験装置が、ループを形成するように接続された前記2つの導体を前記DUTのダイポールアンテナの近傍に配置するように構成される、請求項25に記載の試験装置。
【請求項27】
前記試験装置が、ループを形成するように接続された前記2つの導体を前記DUTのダイポールアンテナの中心の近傍に配置するように構成される、請求項25または26に記載の試験装置。
【請求項28】
前記試験装置が、前記DUTのダイポールアンテナの電気対称面内にループを形成するように接続された前記2つの導体を配置するように構成される、請求項25から27のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項29】
前記試験装置が、前記DUTの前記ダイポールアンテナの磁場をプローブするループを形成するように接続された前記2つの導体を位置決めするように構成される、請求項25から28のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項30】
前記プローブの前記閉ループまたは前記2つの導体の前記短絡端の配向が、前記2つの導体およびその短絡端によって画定される平面によって画定され、前記2つの導体の前記短絡端の近傍で前記ダイポールアンテナの前記磁場の方向に対して+/-10度または+/-20度の公差内で垂直である、請求項25から29のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項31】
前記2つの導体の方向は、前記短絡端の近傍で前記ダイポールアンテナの磁場のループによって形成される平面内で、+/-10度の公差内または+/-20度の公差内で、前記2つの導体の前記短絡端から離れる方向である、請求項25から30のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項32】
前記プローブがDUTソケットに組み込まれている、請求項1から31のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項33】
前記プローブが、前記DUTと電気的に接触するための1つまたは複数の接点を備えるプローブヘッドに組み込まれる、請求項1から32のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項34】
吸収体を備える、請求項1から33のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項35】
請求項1から34のいずれか一項に記載の試験装置を使用して、信号周波数における前記DUTのその後の測定のために前記プローブおよびその給電ネットワークを特徴付けて較正するための方法であって、
前記DUTは、前の測定において、前記DUTの前記アンテナの位置で導電性平面によって、または薄い誘電体カバーを有する導電性平面によって置き換えられ、前記プローブおよびその給電ネットワークの給電側に入射する信号の反射の測定を可能にする、方法。
【請求項36】
請求項1から34のいずれか一項に記載の試験装置を備え、
前記試験装置の前記DUT位置にDUTが配置可能である、シングルサイトまたはマルチサイト試験能力を有する自動試験装置。
【請求項37】
前記DUTの前記アンテナが、高周波数および/またはマイクロ波周波数および/またはミリメートル波周波数で平面アンテナおよび/またはパッチアンテナおよび/またはスロットアンテナおよび/またはダイポールアンテナを備える、請求項36に記載の自動試験装置。
【請求項38】
前記DUTが複数のアンテナを備える、請求項36または37に記載の自動試験装置。
【請求項39】
前記試験装置が、アンテナごとに1つ以上のプローブを備える、請求項38に記載の自動試験装置。
【請求項40】
アンテナを備えるDUTを試験するための方法であって、前記DUTは、請求項36から39のいずれか一項に記載の自動試験装置内のDUTであり、
前記方法は、前記DUTのアンテナ素子の反応性近接場の領域内に、2つの導体を備えるプローブを位置決めすることを含む、方法。
【請求項41】
アンテナを備えるDUTを試験するための方法であって、前記DUTは、請求項36から39のいずれか一項に記載の自動試験装置内のDUTであり、
試験結果を得るために、前記DUTの前記アンテナによって送信された信号に基づく、前記プローブによって提供された信号を分析すること、および/または試験結果を得るために、前記プローブに信号を供給し、それによって前記DUTを刺激することを含む、方法。
【請求項42】
請求項1から34のいずれか一項に記載の試験装置を使用して実行される、請求項40または41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを備える被試験デバイスを試験するための試験装置に関する。本発明によるさらなる実施形態は、アンテナを備える被試験デバイスを試験するためのシングルまたはマルチサイトを有する自動試験装置に関する。本発明によるさらなる実施形態は、アンテナを備える被試験デバイスを試験するための方法に関する。本発明による実施形態は、埋め込みアンテナアレイを有する集積回路の無線電子試験のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
統合、小型化、および無線接続のための常時駆動により、通信アンテナを集積回路ダイまたはパッケージに含み、前世代のように別個ではない、無線用途のための新世代のデバイス、例えば5GまたはWiGigが開発されている。これらのアンテナは、通常、複数の素子を有するアレイアンテナとして実装される。
【0003】
ミリメートル波周波数での無線移動通信またはノマディック通信は、毎秒ギガビットのユーザ毎のデータレートを保証する。したがって、WLANベースおよび/またはセルラー5G規格の両方は、例えば、28GHz、39GHz、60GHzまたはそれより高い周波数でのユーザアクセスを想定している。適切なリンク距離を達成するために、ミリメートル波周波数での高い自由空間減衰などにもかかわらず、リンクの両端に基地局側およびユーザデバイス側で、高指向性アンテナを使用することができる。モビリティおよび/または柔軟性などをサポートするために、ユーザデバイスの側で、例えばフェーズドアレイ原理を使用する電子ビームステアリングを使用することができる。
【0004】
ミリ波周波数スペクトルは、例えば、高スループットまたは高データレートの無線伝送のための周波数帯域幅リソースを提供する。結果として、例えば、5G無線通信ならびに例えば、高度なWiFi(登録商標)システムは、ミリ波の使用を想定している。Friisの伝達方程式によると、
【0005】
【数1】
【0006】
式中、
・PrecおよびPは受信電力および送信電力であり、
・GrecおよびGはアンテナ利得であり、
・rは距離であり、
・λは空気中の信号の波長を示す。
【0007】
ミリメートル波周波数における距離当たりの高い自由空間損失または高い減衰は、例えば、無線リンクの一端または両端の高利得アンテナによって補償することができる。高利得アンテナは、狭いビーム幅を有する。例えば、モバイルまたはノマディック用途では、アンテナのビーム方向は適切に調整され、リンクの反対側の端部に向けられてもよい。これは、偏波を適合させることを含む。
【0008】
トランシーバ電子機器とエアインターフェースとの間のコンパクトさ、低コスト、および低損失のために、多層平面アンテナアレイと共に1つまたは複数のマルチトランシーバ集積回路を含むパッケージ集積アンテナアレイモジュールが好まれる。アンテナアレイフォームファクタは重要な役割を果たし、アレイに垂直な、好ましくは二重直線偏波ビームを有する2次元平面アレイが、端部発射、好ましくは側方放射の直線アレイから生じるビームと共に使用され得る。
【0009】
例えば、ほとんどの用途は、電子ビームステアリングおよび/またはビーム切り替えに依存し、ビームの方向を変更するための機械的手段に依存せず、アンテナアレイを使用することによって達成される。厳密には必要とされないが、多くのアンテナアレイは、例えば、アレイの放射器のそれぞれの寄与の望ましくない方向への放射または建設的干渉を回避するために、アレイの放射素子を互いに近接して配置する。平面アレイの場合、アレイの素子間の典型的な距離または中心間距離は、例えば、自由空間波長λである約0.6波長である。
【0010】
したがって、一般的なアンテナアレイは、平面上のいくつかの放射素子からなり、各放射素子は、平面に垂直な方向およびこの垂直軸を中心とする空間セクタにおける2つの直交する孤立偏波の放射を可能にする。アレイ配列は、0.6×λの周期性を有する平面の二方向に周期的である。
【0011】
そのようなアンテナアレイの標準的な動作は、例えば、ある空間的な方向において、アレイの素子からのすべての放射の寄与による、予測可能で建設的な干渉を必要とする。これは、振幅および位相に関して、より好ましくは、送信および/または受信電子機器を含む、両方の偏波に関して、各放射素子の明確に定義された動作を必要とする。
【0012】
かなり複雑な集積回路は、例えば、32個ものトランシーバチャネルおよび/またはチップ上の内蔵自己試験機能を組み合わせることができる。1つまたはいくつかの一体型トランシーバチップと、信号分布およびアンテナアレイを有する多層基板とを組み込んだ完全な放射モジュールは、実装の複雑さが大きく、したがって、製造時に試験する必要が生じる。さらに、例えば、ユーザデバイスは、デバイスの異なる空間的に分離された位置にいくつかの放射モジュールを含むことができ、マルチビームまたはMIMOモードで動作することができる。そのようなユーザデバイスの能力の完全なセットを無線(OTA)試験で試験することは非常に複雑である。
【0013】
従来、アンテナは被試験デバイス(DUT)に含まれておらず、これらのデバイスは、標準的な無線周波数(RF)測定技術を使用して電気的接続を通じて試験される。ダイまたはパッケージ内の一体型アンテナアレイを有する無線DUTは、DUTからの無線信号を測定する可逆アンテナまたはアンテナアレイによってそのミッションモードで試験されてもよく、および/またはDUTに刺激信号を提供してもよい。言い換えれば、統合アンテナアレイを有するDUTは、DUTの送信モードで試験されるだけでなく、DUTの受信モードで試験されることも可能であり、場合によっては必要とされる。これらのタイプのデバイスを試験するための自動試験装置(ATE)またはシステムは、無線(wirelessly)(無線(over-the-air、OTA)試験とも呼ばれる)でDUTを受信および刺激するための方法およびプローブおよび/またはアンテナを必要とする。
【0014】
統合アンテナアレイのDUTを測定するための標準的な手法は、適切に遮蔽された測定エンクロージャ上で、DUTから遠く離れていることを意味する遠距離場測定領域において、ホーンアンテナのような標準的な既製のアンテナを使用することである。
【0015】
アレイの動作は、送信を測定するために、放射強度をマッピングするために、ある明確に定義された距離でプローブを用いて周囲の空間を測定することによって試験されてもよく、一方で受信を測定することは、球面座標θおよびφを使用して、すべての空間方向にわたって同様である。この概念は、通常、球面走査能力を有するアンテナ無響測定チャンバ内で実施される。
【0016】
精密な球面走査の機械的複雑さに加えて、アレイとプローブアンテナとの間の距離は非常に大きくなり得、測定はアレイアンテナの遠距離場領域で行われ得る。遠距離場の最小距離は、いくつかの制約を近似的に用いて、2×D/λとして与えられ、式中、Dはアンテナアレイの最大寸法を表し、多くの場合、アレイ開口を横切る対角長を表す。この遠距離場距離は、中高利得ミリメートル波アレイでは数メートルであり得る。
【0017】
遠距離場測定のために従来の電波暗室の手法を適合させることは、多数のアンテナプローブが電波暗室に取り付けられるように、試験トランシーバが接続されるために、非常に高価な投資となる。このような手法は、各デバイスの測定時間が長いため、生産試験にも実用的ではない。
【0018】
この手法は、実験室タイプの測定の設定にとって理想的であるが、必要とされる寸法のために、集積回路の大容量試験のための標準的な試験セルに統合され得ない。また、単一のアンテナを用いて遠距離場領域で動作することにより、DUTアンテナアレイを単一のビームとして測定し、これは、DUTアンテナアレイ上の各素子を別々に使用する代わりに、すべてのアンテナ素子が放射し、それらの信号が単一のビームに結合することを意味する。DUT上のアンテナアレイの個々のアンテナ素子の各々にプローブアンテナを接近させると、測定またはプローブアンテナ自体がDUTアンテナアレイ素子を乱し、測定を無効にする。
【0019】
あるいは、プローブは、好ましくは球状に、いわゆる放射近接場においてアンテナアレイの周りをより短い距離で走査することができる。振幅および/または位相を含むこれらの測定データは、フーリエ変換を使用することによって、遠距離場に数学的に変換することができる。ある程度まで、これらのデータはまた、放射開口にわたる局所的な場の分布が得られるか、またはほぼ得られるまで、アンテナアレイに向かって変換され得る。次いで、単一の故障したアンテナアレイ放射体素子を位置特定することができる。
【0020】
例えば、すべての空間方向をスキャンする必要があるため、DUTの測定時間はさらに長くなる可能性があり、従来の近接場測定に戻ること、すなわち、電気的に大きな放射構造をその放射近接場でプローブすることによって特性評価することは、数学的変換が続くが、役に立たない。
【0021】
生産試験または完全な放射モジュールの較正のためには、放射モジュールの所与のトランシーバからその接続された放射素子の空気の境界面までの経路を特徴付けることで十分であり得る。放射モジュールの試験モードがすべてのトランシーバの順次試験をサポートすることを条件として、アレイアンテナの前方に、小さい距離から、またはアンテナアレイの放射近接場に配置されるが、アレイの単一の放射素子の遠距離場に依然として配置される単一のプローブアンテナを使用して、そのような試験を行うことができる。
【0022】
言い換えれば、単一のアンテナアレイ放射器の動作は、関連する送信または受信の連鎖と共に、振幅および位相において単一の空間方向にプローブされる。これが必要に応じて機能する場合、他のアレイ素子との/他のアレイ素子への結合を含む他のすべての方向における放射特性も同様に機能すると想定される。後者の仮定は、設計、シミュレーション、または既知の良好なデバイスの以前の測定に基づく。この手法の一例は、プローブアンテナがアレイの前に配置される場合である。アレイの素子は次々に選択される。アンテナアレイとプローブアンテナとの間の距離は、プローブアンテナがアレイアンテナの放射近接場にあるが、単一の放射アレイ素子の遠距離場にあるような距離である。非反射および/または吸収エンクロージャは、コンパクトな設定を可能にする。
【0023】
概念の単純さにもかかわらず、いくつかの欠点がある。第1に、連続的な概念として、より並列化された手法よりも時間がかかる場合がある。第2に、設定の幾何学的形状に応じて、プローブアンテナは、異なる角度の下でコンパクトな設定で大きなアンテナアレイのそれぞれの放射素子を「見る」ので、絶対測定はかなり複雑であり、したがって既知の良好なデバイスとの比較のみが簡単に見える。第3に、「スイッチオン」放射素子から他の放射素子への結合は、自由空間を介するが遠距離場ではない、および/または基板表面波を介する、および/またはトランシーバの不一致を介するなど、測定された応答に対してかなり複雑な方法で重なり合う可能性があり、信頼性をもって定量化されない可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【文献】A.H. Naqvi and S. Lim, “Review of recent phased arrays for millimeter-wave wireless communication,” Sensors, vol. 18, no. 10, Oct. 2018, pp. 3194 / 1-31.
【文献】M.A. Mow, B.H. Noori, M. Pascolini, X. Han, V.C. Lee, M.-J. Tsai, and S. Paulotto, “Electronic device with millimeter wave antenna arrays,” U.S. Patent Application US2018/0090816A1, Mar. 29, 2018.
【文献】X. Gu, D. Liu, C. Baks, O. Tageman, B. Sadhu, J. Hallin, L. Rexberg, and A. Valdes-Garcia, “A multilayer organic package with 64 dual-polarized antennas for 28GHz 5G communication," in IEEE MTT-S International Microwave Symposium (IMS), June 2017, pp. 1899-1901.
【文献】S. Shahramian, M. J. Holyoak, and Y. Baeyens, "A 16-element W-band phased-array transceiver chipset with flip-chip PCB integrated antennas for multi-gigabit wireless data links," IEEE Trans. Microwave Theory Techniques, vol. 66, no. 7, July 2018, pp. 3389-3402.
【文献】M.-C. Huynh, “System and method for testing radio frequency wireless signal transceivers using wireless test signals,” U.S. Patent 9 774 406, Sep. 26, 2017.
【文献】A. Pabst and C. Rowell, “Test system and test method,” U.S. Patent 9 954 279, Apr. 24, 2018.
【文献】J. Kyrolainen and P. Kyosti, “Systems and methods for performing multiple input, multiple output (MIMO) over-the-air testing,” U.S. Patent 10 033 473, Jul. 24, 2018.
【文献】C. Parini, S. Gregson, J. McCormick, and D.J. van Rensburg, Theory and practice of modern antenna range measurements, London, U.K.: IET, 2014.
【文献】J. Peeters, “Production test of cm and mmWave devices,” in Proc. Salland Test Technology Symposium, Zwolle, Netherlands, Sep. 2018, [Online]. Available: https://www.salland.com/wp-content/uploads/2018/09/11-SE-Symposium-Jan-Peeters-Xcerra.pdf.
【文献】N. Dolatsha and J. Hesselbarth, "Millimeter-wave chip-to-chip transmission using an insulated image guide excited by an on-chip dipole antenna at 90 GHz,” IEEE Microwave Wireless Components Lett., vol. 22, no. 5, May 2012, pp. 266-268.
【文献】G. Schuppener and R.F. Payne, “Interface between an integrated circuit and a dielectric waveguide using a dipole antenna, a reflector and a plurality of director elements,” U.S. Patent 9 300 024, Mar. 29, 2016.
【文献】Z. Ahmad and J. Hesselbarth, "Probing concept for an antenna array for 60 GHz band," in 47th European Microwave Conference (EuMC), Nuremberg, Germany, Oct. 2017, pp. 1325-1328.
【文献】M. Wojnowski, C. Wagner, R. Lachner, J. Bock, G. Sommer, and K. Pressel, “A 77-GHz SiGe single-chip four-channel transceiver module with integrated antennas in embedded wafer-level BGA package,” in IEEE 62nd Electronic Components Technology Conf., San Diego, CA, June 2012, pp. 1027-1032.
【文献】M. Wojnowski, C. Wagner, R. Lachner, J. Bock, G. Sommer, K. Pressel, “A 77-GHz SiGe single-chip four-channel transceiver module with integrated antennas in embedded wafer-level BGA package,” IEEE 62nd Electronic Components Technology Conf., June 2012.
【文献】I. Nasr, R. Jungmaier, A. Baheti, D. Noppeney, J.S. Bal, M. Wojnowski, E. Karagozler, H. Raja, J. Lien, I. Poupyrev, S. Trotta, "A highly integrated 60 GHz 6-channel transceiver with antenna in package for smart sensing and short-range communications," IEEE Journal Solid-State Circuits, vol. 51, no. 9, Sep. 2016, pp. 2066-2076.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
この状況を考慮して、アンテナ素子を備えるDUTを試験するための複雑さ、精度、およびコストの間の改善された妥協をもたらす概念が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一態様によれば、いわゆる反応性近接場電磁動作範囲において、DUTに非常に近い範囲でDUTを無線で試験することが有利であることが分かった。これは、測定アンテナがDUTから遠く離れている必要がある遠距離場電磁動作範囲に作用する解決策との統合および/または機械的問題を回避するだけでなく、DUTアンテナアレイ上の各個々のアンテナ素子の測定も可能にする。
【0027】
本発明による実施形態は、アンテナを備えるDUTを試験するための試験装置である。試験装置は、DUT位置と、2つの導体を備えるプローブとを備える。試験装置は、DUTがDUT位置、例えばDUTソケットに配置される、またはDUTがプローブに接触される領域に配置されるときに、プローブがDUTのアンテナ素子の反応性近接場領域にあるように、プローブをDUT位置の近傍に位置決めするように構成される。
【0028】
試験装置または試験装置の測定プローブは、いわゆる反応性近接場動作モードで、非常に近い範囲で統合アンテナアレイを有するDUTを無線および/または無線(OTA)および/または電子的に試験することを可能にする。試験装置および/または試験装置のプローブは、DUTの非常に近くに配置されてもよく、例えば、ATEのDUT位置に配置されてもよい。試験装置は、大量の集積回路を電子的に試験するために使用される現在の自動試験セルに容易に統合することができる。
【0029】
好ましい実施形態では、試験装置のプローブは、DUTのアンテナを介してDUTによって送信された信号を受信するように構成される。試験装置のプローブは、DUTのアンテナを使用してDUTによって受信される信号を送信するようにさらに構成される。例えば、試験装置は、信号を送信および/または受信するために使用され得るアンテナを備えるDUTを試験するように構成される。
【0030】
さらなる実施形態によれば、プローブは、例えば平行ワイヤとして、±10°の公差内、または±20°の公差内の2つの平行導体を含む。
【0031】
例えば、プローブの平行導体は、アンテナの平面に対して同じ傾斜を有し、同じ妨害信号または非妨害信号に曝される。
【0032】
好ましい実施形態では、プローブの2つの導体は伝送線路を形成する。例えば、伝送線路は、それらの波の性質を考慮して、無線周波数信号の交流電流を伝導する構造化設計である。これにより、伝送線路を介して給電点に導波することができ、DUTのアンテナ素子が放射する信号を評価することができる。
【0033】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの導体は、アンテナ側端部、開放端部または短絡端部において単一の伝送線路を形成する。例えば、妨害および/または非妨害電磁干渉は、プローブの両方の導体に同じように影響を及ぼす傾向がある。
【0034】
さらに、伝送線路は、DUTのアンテナによって励起された波を給電点に導くことができ、またはDUTのアンテナを励起するために給電点からDUTに向かって波を導くことができる。
【0035】
好ましい実施形態では、プローブの2つの導体は、例えばアンテナ側端部、例えば開放端部または短絡端部において、横方向電磁(TEM)伝送線路または擬似TEM伝送線路を形成する。
【0036】
例えば、波は横方向電気および磁気モードで伝搬し、これは電場および磁場が両方とも伝搬方向に対して垂直であることを意味する。TEMラインは、過度の悪影響または望ましくない電流なしに曲げられてねじられてもよい。
【0037】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの導体は、アンテナ側端部において対称または基本的に対称な伝送線路、例えば平行または同一平面のストリップ線路を形成し、給電側端部においてマイクロストリップ線路に滑らかに移行する。マイクロストリップ伝送線路は、電流回路構築技術との互換性が高い。
【0038】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの導体は、例えばアンテナ側端部において平行ストリップ線を形成し、例えば給電側端部において同軸線路に滑らかに移行する。同軸線路は、試験装置プローブの2つの導体と給電構造または試験装置の他の部分および/または試験装置を含む自動試験装置(ATE)との間の簡単な接続を保証する。
【0039】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの導体の平衡電流は、1つまたは複数のバラン回路および/または180°ハイブリッドを使用することによって、例えばマイクロストリップ線路またはストリップ線路などの不平衡線路に移行するように組み合わされるかまたは整合される。バラン回路は、平衡信号と不平衡信号との間で変換して、プローブアンテナを例えば同軸線路などの給電線路と連結するのに役立つ。
【0040】
一実施形態によれば、プローブの2つの導体は、誘電スペーサによって分離される。2つの導体間の誘電スペーサは、プローブの2つの導体の寿命および安定性を改善し、プローブとアンテナアレイ素子との物理的接触を防止する。
【0041】
さらなる実施形態によれば、試験装置は、プローブの2つの導体がDUTのアンテナから電気的に分離または絶縁されるようにプローブを位置決めするように構成される。2つの導体とDUTのアンテナとの間の電気的分離は、プローブとアンテナとが非接触であり、試験装置のプローブがDUTのアンテナの送信信号を試験していることを保証する。
【0042】
さらなる実施形態によれば、DUTのプローブおよびアンテナは、誘電スペーサまたは規定のエアギャップによって分離される。誘電スペーサまたはアンテナとプローブとの間の画定されたエアギャップは、プローブの寿命を改善し、アンテナとプローブとの間の固定距離を保証し、プローブとアンテナアレイ素子との物理的接触を防止する。
【0043】
好ましい実施形態では、試験装置が、プローブをDUTのアンテナの近傍および/または反応性近接場に配置するように構成され、プローブとDUTのアンテナとの間の距離が0.1×λよりも小さく、λが測定される信号の自由空間波長である。プローブをDUTのアンテナの近傍および/または反応性近接場に配置することにより、プローブされる放射素子のみがプローブに著しく結合し、その近傍には結合しないように、DUTのアンテナアレイのアンテナ素子をプローブすることが可能になる。
【0044】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの導体は、プリント回路基板上の線路であり、給電回路は、任意選択でプリント回路基板技術を使用することによってプリント回路基板上にあってもよい。2つの導体および/またはプローブおよび/または給電回路を回路基板上に印刷することにより、2つの導体および/またはプローブおよび/または給電回路の迅速かつ/または費用効果の高い製造が可能になる。
【0045】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの導体は針状ピンである。針状ピンは、DUTのアンテナの送信信号への影響が、例えばプローブよりも小さく、2つの導体はプリント回路基板上の線路である。
【0046】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの導体は、別個の開放端非接続導体であり、これは、導体間に小さな物理的分離、間隔があることを意味する。2つの導体間の小さな物理的分離は、DUTのアンテナの電界の測定を可能にし、導体の信号は、バラン回路を使用して、または180°ハイブリッドを使用して結合され得る。
【0047】
さらなる実施形態によれば、2つの開放端導体は、DUTのパッチアンテナおよび/またはスロットアンテナの電界をプローブするように構成される。
【0048】
好ましい実施形態では、プローブの2つの開放端導体は、第1の開放端から第2の開放端への方向が、第1の開放端と第2の開放端との間の領域におけるアンテナ素子の電界の平均方向に対して+/-10度または+/-20度の公差で平行になるように配置される。
【0049】
第1の開放端から第2の開放端への方向が平均電界ベクトルに実質的に平行になるようにプローブを配置することは、DUTのアンテナによって送信される受信信号を最大化すること、および/またはDUTのアンテナによって送信される信号に対するプローブの影響を最小化することである。
【0050】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの開放端導体は、第1の開放端の領域内の主延在部に沿ったことを意味する第一の導体の方向が、DUTのアンテナの電界の平均方向に対して±10°の公差内または±20°の公差内で垂直であるように配置される。さらに、第2の開放端の領域内の主延在部に沿ったことを意味する第2の導体の方向は、DUTのアンテナの電界の平均方向に対して±10°の公差内または±20°の公差内で垂直である。
【0051】
ひとつの主延在部に沿っていることを意味する第1の導体および第2の導体の方向が、DUTのアンテナの電界の平均方向に対して垂直であるようにプローブを配置することは、DUTのアンテナによって送信される受信信号を最大化すること、および/またはDUTのアンテナの送信信号に対する第1および/または第2の導体の影響を最小化することである。
【0052】
好ましい実施形態では、試験装置が、プローブの2つの開放端導体を、DUTのパッチアンテナの第1の放射縁部またはDUTのスロットアンテナの第1の放射スロットまたはスロット部分の近傍に配置するように構成される。
【0053】
パッチアンテナの放射縁部の近傍、またはスロットアンテナの放射スロットもしくはスロット部分の近傍にプローブを配置すると、より強い受信信号が得られる。
【0054】
さらなる実施形態によれば、試験装置は、第1および第2の導体を有する第2のプローブを備える。第2のプローブの2つの導体は、分離された、開放端の非接続導体である。さらに、試験装置は、第2のプローブの2つの導体をパッチアンテナの第2の放射縁部の近傍に、またはDUTのスロットアンテナの第2の放射スロットもしくはスロット部分の近傍に配置するように構成される。パッチアンテナの第2の放射縁部は、同じパッチアンテナの第1の放射縁部と反対側にあり、かつ/またはスロットアンテナの第2の放射スロットまたはスロット部分は、DUTの同じスロットアンテナの第1の放射スロットまたはスロット部分と反対側にある。
【0055】
対向する放射縁部の近傍および/または対向する放射スロットまたはスロット部分の近傍でパッチアンテナおよび/またはスロットアンテナをプローブすることにより、測定精度が改善され、かつ/または測定の不確実性が低減される。さらに、一対のプローブは、DUTのパッチおよび/またはスロットアンテナの一方の偏波を試験する。
【0056】
さらなる実施形態によれば、試験装置は、第1のプローブの信号を第2のプローブの信号と組み合わせるように構成される。プローブ上の平衡電流は、いわゆるバラン、または180度ハイブリッドを使用して不平衡電流と組み合わせることができる。一対のプローブは、DUTのパッチおよび/またはスロットアンテナの一方の偏波を試験する。
【0057】
好ましい実施形態では、装置は、第3のプローブおよび第4のプローブを備える。第3および第4のプローブの両方は、第1および第2の導体を含み、第3のプローブの2つの導体および第4のプローブの2つの導体は、別々の開放端の非接続導体である。
【0058】
第3のプローブの2つの導体は、パッチアンテナの第3の放射縁部の近傍に、またはスロットアンテナの第3の放射スロットもしくはスロット部分の近傍に配置される。第3のプローブは、パッチアンテナの第1の放射縁部またはDUTのスロットアンテナの第1の放射スロットもしくはスロット部分に対して、±10°または±20°の公差内で垂直に配置される。
【0059】
第4のプローブの2つの導体は、パッチアンテナの第4の放射縁部の近傍および/またはDUTのスロットアンテナの第4の放射スロットまたはスロット部分の近傍に配置される。第4のプローブの位置は、パッチアンテナの第3の放射縁部に対向するか、またはDUTのスロットアンテナの第3の放射スロットまたはスロット部分に対向する。
【0060】
第1の対のプローブによって画定される線路が第2の対のプローブによって画定される線路に対して垂直である2対のプローブを使用することにより、2つの垂直方向について、信号の偏波を測定することが可能になる。
【0061】
さらなる実施形態によれば、試験装置が、第1のプローブの信号と、第2のプローブの信号と、第3のプローブの信号と、第4のプローブの信号とを、信号の位相と振幅の適した適合を用いて合成するように構成されている。
【0062】
4つすべてのプローブの信号を組み合わせることにより、例えば偏波に関して、DUTのアンテナによって送信された信号のより完全な再生が提供される。
【0063】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの導体は、それらの端部で導電性ストリップに接続され、短絡端部で閉ループを形成する。
【0064】
プローブの端部を短くすることにより、DUTのアンテナの磁場をプローブすることが可能になる。
【0065】
さらなる実施形態によれば、試験装置が、ループを形成するように接続された2つの導体をDUTのダイポールアンテナの近傍または反応性近接場に配置するように構成される。
【0066】
DUTのダイポールアンテナの反応性近接場に閉ループを有するプローブを配置することにより、DUTのアンテナによって送信される測定される信号の強度が改善される。
【0067】
さらなる実施形態によれば、試験装置が、ループを形成するように接続された2つの導体をDUTのダイポールアンテナの中心の近傍または給電点に配置するように構成される。
【0068】
ダイポールアンテナの中心の近くに閉ループでプローブを配置すると、測定される信号強度がより高くなり、DUTのアンテナによって送信される。
【0069】
さらなる実施形態によれば、試験装置が、DUTのダイポールアンテナの電気対称面内にループを形成するように接続された2つの導体を配置するように構成される。
【0070】
ダイポールアンテナの電気対称面に閉ループを有するプローブを配置すると、測定される信号強度がより高くなり、DUTのアンテナによって送信される。
【0071】
好ましい実施形態では、試験装置が、短絡端を経て、DUTのダイポールアンテナの磁場をプローブするループを形成するように接続された2つの導体を位置決めするように構成される。
【0072】
プローブの2つの導体の端部を短くすることにより、ダイポールアンテナの磁場を測定することが可能になる。
【0073】
さらなる実施形態によれば、プローブの2つの導体の閉ループまたは短絡端の向きは、平面によって画定される。平面は、2つの導体線とその短絡端とによって画定され、2つの導体線の短絡端の近傍でダイポールアンテナの平均磁場の方向に対して±10°または±20°の公差内で垂直である。
【0074】
2つの導体線によってスパンされる領域がDUTのアンテナの磁場の平均方向に対して垂直であるようにプローブを位置決めすることは、DUTのアンテナによって送信される受信信号を最大化すること、および/またはDUTのアンテナに対するプローブの影響を最小化することである。
【0075】
さらなる実施形態によれば、2本の導体線の短絡端の近傍でダイポールアンテナの磁場のループによっておおよそ形成される平面内で、±10度の公差内または±20度の公差内で、2本の導体線の短絡端から離れる方向である。
【0076】
2導体線が、DUTのダイポールアンテナの磁場のループによって形成される平面内に、おおよそあるように、プローブを配置することが有利である。配置は、DUTのアンテナによって送信された受信信号を最大化すること、および/またはDUTのアンテナの送信信号に対するプローブの影響を最小化することである。
【0077】
さらなる実施形態では、プローブはDUTソケットに組み込まれる。
【0078】
プローブをDUTソケットに組み込むことにより、より小さいサイズでよりコンパクトな試験装置が得られる。さらに、DUTの両側のアンテナを測定することができる。
【0079】
好ましい実施形態では、プローブは、DUTと電気的に接触するための1つまたは複数の接点を含むプローブヘッドに組み込まれ、DUTは、例えば、ウェハ、ダイシングされた回路、またはパッケージ化されたデバイスであってもよい。
【0080】
プローブを他のプローブまたは接点を含むプローブヘッドに組み込むことにより、他の試験デバイスおよび/または試験方法と並列にDUTをプローブおよび/または試験することが可能になる。
【0081】
さらなる実施形態によれば、試験装置は、例えば、望ましくない反射および/または結合を回避するために、吸収体を備える。吸収体は、例えば、2つの導体とプローブの給電構造との間、および/またはプローブヘッドおよび/またはDUTソケットの他の金属部品上に配置されてもよい。
【0082】
さらなる実施形態は、試験装置を使用して、信号周波数におけるDUTのその後の測定のためにプローブおよびその給電ネットワークを特徴付けて、および/または較正するための方法であって、DUTは、前の測定において、DUTのアンテナの位置で導電性平面によって、または薄い誘電体カバーを有する導電性平面によって置き換えられる方法を含む。
【0083】
これにより、プローブの給電側およびその給電ネットワークに入射する信号の反射を測定することができる。プローブの給電側およびその給電ネットワークに入射する信号の反射を測定することにより、DUTのアンテナによって送信され、上述の試験装置によって測定された信号を補正することができる。
【0084】
さらなる実施形態は、シングルサイトまたはマルチサイト試験能力を有する自動試験装置(ATE)を含み、上述の試験装置と、試験装置のDUT位置に配置されたDUTとを備える。
【0085】
好ましい実施形態では、DUTのアンテナが、高周波数および/またはマイクロ波周波数および/またはミリメートル波周波数で平面アンテナおよび/またはパッチアンテナおよび/またはスロットアンテナおよび/またはダイポールアンテナを備える。ATEは、DUTのアンテナを試験および/またはプローブするように構成される。
【0086】
さらなる実施形態では、DUTは複数のアンテナを備える。ATEは、例えばアンテナアレイを試験および/またはプローブすることができる。
【0087】
さらなる実施形態では、試験装置が、アンテナごとに1つ以上のプローブを備える。これは、例えば、DUTがアレイアンテナを含む場合、アンテナごとに1つまたは複数のプローブによってすべてのアンテナ素子をプローブおよび/または試験することができることを意味する。
【0088】
本発明によるさらなる実施形態は、それぞれの方法を作り出す。
【0089】
しかしながら、方法は、対応する装置と同じ考慮事項に基づいていることに留意されたい。さらに、本方法は、個々におよび組み合わせて、装置に関して本明細書に記載されている機能および詳細について、特徴のいずれかによって補足されてもよい。
【0090】
本願による実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1】DUT位置および2つの導体を備えるプローブを有する試験装置の一実施形態の概略図を示す。
図2】DUTにおいて使用されるアレイアンテナの市販の例の写真を示す。
図3】DUTにおいて使用されるアンテナアレイの概略例を示す図である。
図4図1に記載の試験装置において試験されるDUTの概略図である。
図5】DUTのアレイアンテナを試験する従来の測定手法の概略図である。
図6】DUTのアレイアンテナを試験する測定手法の概略図である。
図7】DUTのアレイアンテナを試験するもう1つの従来の手法の概略図である。
図8図1に記載の試験装置を備える自動試験装置(ATE)の一実施形態の概略図である。
図9】ATEの初期シミュレーションを示す図である。
図10図9に記載のシミュレートされたATEを用いたシミュレートされた測定の結果を示す。
図11図1に記載の試験装置の概略的なプローブ設計手順を示す。
図12図11に記載の設計手順に適合する、ATEの概略的な設計例を示す。
図13】2つのプローブ対およびアンテナアレイを有する試験装置の概略的な実施形態を示す。
図14】2つのプローブ対およびアンテナアレイを有する複数の試験装置の概略的な実施形態を示す。
図15図15aは、二重偏波パッチアンテナアレイおよび1つの平行ストリップ線路プローブを有する例示的なシミュレーション設定の上面図であり、図15bは、二重偏波パッチアンテナアレイおよび1つの平行ストリップ線路プローブを有する例示的なシミュレーション設定の側面図であり、図15cは、二重偏波パッチアンテナアレイおよび4つの平行ストリップ線路プローブを有する例示的なシミュレーション設定の上面図であり、図15dは、二重偏波パッチアンテナアレイおよび4つの平行ストリップ線路プローブを有する例示的なシミュレーション設定の側面図である。
図16図16aは、周期的な2D二重偏波パッチアンテナアレイおよび平行ストリップ線路プローブを有する例示的なシミュレーション設定の上面図であり、図16bは、周期的な2D二重偏波パッチアンテナアレイおよび平行ストリップ線路プローブを有する例示的なシミュレーション設定の側面図である。
図17】2つの平行ストリッププローブが同軸線路に滑らかに移行している、試験装置およびパッチアンテナアレイの概略的な実施形態を示す。
図18図18aは、二重偏波パッチアンテナアレイ、および同軸線路に移行する1つの平行ストリップ線路プローブを有する例示的なシミュレーション設定の上面図であり、図18bは、二重偏波パッチアンテナアレイ、同軸線路に移行する1つの平行ストリップ線路プローブ、および吸収体層を有する例示的なシミュレーション設定の上面図である。
図19】2つの平行ストリッププローブがマイクロストリップ線路に滑らかに移行している、試験装置およびパッチアンテナアレイの概略的な実施形態を示す。
図20図20aは、マイクロストリップ線路に移行する、二重偏波パッチアンテナアレイおよび平行ストリップ線路プローブを有する例示的なシミュレーション設定の上面図であり、図20bは、マイクロストリップ線路に移行する、二重偏波パッチアンテナアレイおよび平行ストリップ線路プローブを有する例示的なシミュレーション設定の側面図である。
図21】ストリップ線路回路における180度ハイブリッドの概略的な例を示す。
図22】試験装置および誘電体共振器アンテナの概略的な実施形態を示す。
図23】閉ループプローブ端およびダイポールアンテナアレイを有する試験装置の概略的な実施形態を示す。
図24図24aは、短絡された平行ストリップH場プローブを有するダイポール放射器を試験するための例示的なシミュレーション設定の上面図を示し、図24bは、短絡された平行ストリップH場プローブを有するダイポール放射器を試験するための例示的なシミュレーション設定の側面図を示し、図24cは、短絡された平行ストリップH場プローブを有するダイポール放射器を試験するための例示的なシミュレーション設定のE場の振幅のプロットを示す。
図25図25aは、パッチアンテナアレイの全体像を示し、図25bは、図25aに示すパッチアンテナアレイを用いた実験的測定設定の全体像を示す。
図26a図25に記載の実験の結果の図を示す。
図26b図25に記載の実験の結果の拡大図を示す。
図27a】アンテナアレイを用いた概念実証測定設定の全体像を示す。
図27b図27aに記載の実験の結果の図を示す。
図27c】挿入図を示し、図27bの図のポート番号が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0092】
以下では、異なる本発明の実施形態および態様について説明する。また、さらなる実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0093】
特許請求の範囲によって定義される任意の実施形態は、本明細書に記載の詳細、特徴、および機能のいずれかによって補足され得ることに留意されたい。また、本明細書に記載された実施形態は、個別に使用されてもよく、特許請求の範囲に含まれる詳細、特徴および機能のいずれかによって任意選択的に補足されてもよい。
【0094】
また、本明細書に記載された個々の態様は、個別にまたは組み合わせて使用され得ることに留意されたい。したがって、前記態様の別の1つに詳細を追加することなく、詳細が前記個々の態様の各々に追加され得る。本開示は、試験装置または自動試験装置(ATE)で使用可能な機能を明示的または暗黙的に説明することにも留意されたい。したがって、本明細書に記載の特徴のいずれも、試験装置の文脈または自動試験装置の文脈で使用することができる。
【0095】
さらに、方法に関連して本明細書で開示される特徴および機能は、そのような機能を実行するように構成された装置で使用することもできる。さらに、装置に関して本明細書で開示された任意の特徴および機能を、対応する方法で使用することもできる。言い換えれば、本明細書に開示された方法は、装置に関して説明された特徴および機能のいずれかによって補足され得る。
【0096】
本発明は、以下に記載される詳細な説明、および本発明の実施形態の添付の図面からより完全に理解されるが、本発明を記載される特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、単に説明および理解のためのものである。
【0097】
図1に係る実施形態)
図1は、アンテナ120を備える被試験デバイス(DUT)110を試験するための試験装置100の一実施形態の概略図を示す。試験装置100は、DUT位置130およびプローブ140を備える。プローブ140は、2つの導体143および146をさらに備える。試験装置100は、DUT110がDUT位置130に配置されるときにプローブ140がアンテナ120またはDUT110のアンテナ素子の反応性近接場領域にあるように、プローブ140をDUT位置130の近傍に位置決めするように構成される。
【0098】
試験装置100のDUT位置130は、例えば、DUT110を保持および/または供給するように構成され、一方でプローブ140の2つの導体143および146は、DUT110を試験するためにDUT110のアンテナ120の反応性近接場領域に配置される。
【0099】
いわゆる近接場領域、すなわちDUT110の非常に近くで動作するDUT110の非常に近くに測定プローブ140が配置された埋め込みアンテナ120またはアンテナアレイを有するDUT110を無線(wirelessly)で「無線」(OTA)にて電子的に試験することを可能にするアダプタまたはプローブ140が提案される。プローブ140は、DUTアンテナ120またはアンテナアレイ素子に非常に近接して配置されているが、それらを著しく妨害しないように設計されている。
【0100】
プローブ140は、例えば、局所放射点の上、すなわちDUTアンテナ120の上またはDUTアンテナアレイ素子の上に配置された2つの非常に近接した平行な針143および146によって形成された高周波線である。好ましくは、プローブ140とDUTアンテナ120またはDUTアンテナアレイ素子との間にガルバニックまたは電気的接触は存在せず、これは、機械的接触が任意選択的に許容されると考えて、それらの間に何らかの物理的分離が存在することを意味する。場合によっては、プローブ140は、放射点からの信号を、アンテナ素子120からの信号を著しく乱すことなくピックアップする。他の場合には、試験信号がプローブ140に供給され、DUTアンテナ120が放射プローブ140から信号をピックアップする。
【0101】
このプローブ140またはアダプタを実装するための複数の可能な方法があり、被試験デバイス110の特定の要件、ならびに測定機器および試験セルの機械的要件の制限に依存する。
【0102】
図2に係るアンテナアレイ)
図2は、アレイアンテナ220のいくつかの市販の例の写真を示す。アレイアンテナ220は、複数のアンテナ素子250を備える。
【0103】
アンテナアレイ220のアンテナ素子250の配置は、典型的には、平面の二方向に周期的であり、典型的な周期性は、0.5×λから0.6×λの間である。これらのアレイアンテナ220は、DUTに組み込まれ、上述の試験装置によって測定または特性評価することができる。
【0104】
図1の試験装置100は、アレイアンテナ220の単一のアンテナ素子250を個別に測定することができる。
【0105】
図3に係るアンテナアレイ)
図3は、図2の220と同様のアンテナアレイ320の概略例を示す。アンテナアレイは、複数のアンテナ素子350を備える。
【0106】
図3は、アンテナアレイ320と、アンテナアレイに接続するために取り付けられた電子回路(「RFIC」)との、2×2の配置の4つのアンテナ素子350との組合せを示す。
【0107】
図23(または図24)に記載されている4つのダイポールアンテナ放射体素子2320(または2440)を有するダイポールアンテナアレイ2310(または2450)などのダイポールアンテナアレイも示されている。
【0108】
アンテナアレイ320のアンテナ素子350の配置は、典型的には、平面の二方向に周期的であり、典型的な周期性は、0.5×λから0.6×λの間である。アンテナアレイ320は、DUTに組み込まれ、上述の試験装置によって測定または特性評価することができる。
【0109】
図1の試験装置100は、アンテナアレイ320のアンテナ素子350を個別に試験することができる。
【0110】
図4に係るDUT)
図4は、図1の試験装置100で試験されるDUT400を示す。DUTは、パッケージ440に結合されたダイ410を備える。パッケージ440は、図2のアンテナアレイ220または図3のアンテナアレイ320と同様のアンテナアレイ420をさらに備える。アンテナアレイは、ダイ410に結合された複数のアンテナ素子450を備える。
【0111】
図1の試験装置100は、場合によっては、パッケージ440に含まれ、ダイ410によって供給されるアンテナアレイ420のアンテナ素子450によって送信される信号を試験するように構成される。
【0112】
図1の試験装置100は、場合によっては、プローブに試験信号を供給するように構成され、DUTのアンテナは放射プローブから信号をピックアップする。
【0113】
ダイまたはパッケージ内の一体化されたアンテナアレイを有する無線DUTは、被試験デバイスからの無線信号を測定し、DUTに刺激信号も提供する往復アンテナまたはアンテナアレイによって、それらのミッションモードでのみ試験され得る。これらのタイプのデバイスを試験するための自動試験システムは、無線(OTA)試験とも呼ばれる、DUTを無線で受信および刺激するための方法およびプローブまたはアンテナを必要とする。
【0114】
DUTアンテナアレイおよびアンテナをそれらの無線送信モードで試験するために、図1のプローブ140または図24のプローブ2430などのプローブは、無線送信された信号をプローブまたは受信することができる。さらに、DUTは、自動試験システム(ATE)に接続されてもよく、または場合によっては接続されなければならない。DUTのATEへの接続は、通常、図4に示すボールなどのDUT金属接触パッドまたは金属接触ボールへのガルバニックまたは電気的接触によって提供される。このような試験の考え方は、「OTA」と呼ばれる。
【0115】
DUTアンテナアレイおよびアンテナをそれらの無線受信モードで試験するために、図1のプローブ140または図24のプローブ2430などのプローブは、DUTに小振幅信号を無線で送信することができる。さらに、DUTは、自動試験システム(ATE)に接続されてもよく、または場合によっては接続されなければならない。DUTとATEとの接続は、通常、図4に示すボールなどのDUT金属接触パッドまたは金属接触ボールへのガルバニックまたは電気接点によって提供される。このような試験の考え方は、「OTA」と呼ばれる。
【0116】
そのような試験は、本明細書に記載の試験装置および概念によって達成することができる。
【0117】
図5に係る従来の測定手法)
図5は、従来の測定手法500を示す。測定手法500は、ATE510と、ATE510に接続された測定アンテナ530とを備える。ATE510は、測定システム570と、試験固定具550と、DUT540とをさらに備える。DUT540は、試験固定具550内に配置され、測定システム570に電子的に接続される。DUT540は、DUTアンテナアレイ520をさらに備える。
【0118】
ATE510の測定システム570は、DUT540のDUTアンテナアレイ520に電気信号560を送信している。DUTアンテナアレイ520は、測定システム570の電気信号560に従って信号580を送信している。DUTアンテナアレイ520の送信信号580は、測定アンテナ530によって受信される。測定アンテナ530の測定信号は、DUTアンテナアレイ520を試験するために、ATE510の測定システム570に送信され、分析される。
【0119】
これは反対方向にも機能し、DUTの受信機能を試験するために、測定アンテナ530は信号を送信し、これはDUTアンテナアレイ520によって受信される。
【0120】
統合アンテナアレイを用いてDUTを測定するための標準的な手法は、適切に遮蔽された測定エンクロージャ内で、DUTから遠く離れた遠距離場測定領域内のホーンアンテナのような標準的な既製のアンテナを使用することである。この手法は、実験室型の測定設定にとって理想的であるが、必要とされる寸法に対する集積回路の大容量試験のための標準的な試験セルに統合され得ない。
【0121】
また、それは、単一のアンテナを用いて遠距離場領域で動作することにより、DUTアンテナアレイを単一のビームとして測定し、これは、すべてのアンテナ素子が放射して単一のビームに結合され、DUTアンテナアレイ上のすべての素子ではないことを意味する。
【0122】
しかしながら、DUTアンテナアレイを形成する素子は、DUTが、DUTアンテナアレイの一方のアンテナ素子を他方のアンテナ素子の後に順次選択する試験モードをサポートする場合、別々に試験されてもよい。この手法は、試験時間を大幅に増加させ、大量生産試験において実行可能な選択肢ではない可能性がある。
【0123】
測定アンテナをDUT上の個々のアンテナアレイ素子の各々に近づけると、測定アンテナ自体がDUTアンテナアレイ素子を乱し、測定を無効にする。
【0124】
図1の試験装置100は、埋め込みアンテナアレイを用いてDUTを電子的に試験するための改善されたOTA試験ソリューションを提供する。試験装置の測定プローブは、DUTのいわゆる反応性近接場領域で動作することによって、それらの信号を乱すことなくアンテナアレイのアンテナ素子を個別に試験する。
【0125】
図6に係る測定手法)
図6は、アンテナ素子620を備えるアンテナアレイ610を試験するための例示的な測定手法600を示す。測定手法600は、アンテナアレイ610と、アンテナアレイ610のいわゆる放射近接場測定領域内のコネクタ構造630とを備える。コネクタ構造630は、新しいプローブを、図示されている矩形導波路フランジまたは同軸コネクタなどの標準的なRFコネクタと接続する信号分配ネットワークを示すことができる。
【0126】
従来の/商業用アレイ610のアンテナ素子620の放射640は、本発明によって記載されたプローブの新規なアレイであるように、発明的で差別化する手段によって、サンプリング/プローブ/試験される。次いで、これらのプローブは、ライン、ハイブリッド、ディバイダ/コンバイナおよびスイッチなどの周知の高額であるが簡単な技術によって、コネクタ630(同軸または図示のように矩形導波管)に接続/移行され、最終的には標準測定RF装置に接続/移行される。
【0127】
アンテナアレイ610のアンテナ素子620の信号640の干渉は、いわゆる放射近接場でアレイまたはアンテナアレイ610の周りを球状に走査される。これらの測定データ、例えば振幅および位相は、フーリエ変換を使用して、遠距離場に数学的に変換することができる。
【0128】
ある程度まで、これらのデータはまた、放射開口にわたる局所的な磁場分布がほぼ得られるまで、アンテナアレイ610に向かって変換されてもよい。次いで、単相アンテナ放射体素子を局所化することができる。しかしながら、球面走査システムのコスト、サイズ、および走査時間は、アンテナアレイ610の製造試験のためのそのような装置の使用を妨げている。
【0129】
図1の試験装置100は、埋め込みアンテナアレイを用いてDUTを電子的に試験するための改善されたOTA試験ソリューションを提供する。試験装置の測定プローブは、DUTのいわゆる近接場領域で動作することによって、それらの信号を乱すことなくアンテナアレイのアンテナ素子を個別に試験する。
【0130】
図7に係る従来の手法)
図7は、DUTのアレイアンテナ710を試験するための従来の手法700を示す。従来の手法700は、アンテナ素子720と、プローブアンテナ730と、吸収体740とを備えるアレイアンテナ710を備える。プローブアンテナ730は、アレイアンテナ710の放射近接場に位置する。吸収体740は、望ましくない反射および結合を低減するために測定領域の周りに配置される。
【0131】
プローブアンテナ730は、プローブ信号750をアンテナアレイ710のアンテナ素子720に送信している。プローブ信号750は、アンテナ素子720によって受信される。プローブ信号750は、アレイアンテナ素子を個別に試験するために使用され、これは、アンテナ素子720を個別に試験することを意味する。プローブ信号750の反射760は、吸収体740によって吸収される。
【0132】
図7は、遠距離場距離にあるプローブアンテナがアレイ放射器の各々に順次次々に接続する従来の手法700の一実施形態を示す。言い換えれば、単一のアンテナアレイ放射器720の動作は、関連する送信または受信チェーンと共に、単一の空間方向ならびに単一の振幅および位相でプローブ信号750によってプローブされる。アンテナアレイ素子720が必要に応じて動作または機能する場合、他のアレイ素子への結合を含む他のすべての方向の放射特性も同様に動作または機能すると想定される。後者の仮定は、設計および/もしくはシミュレーション、または既知の良好なデバイスの以前の測定値に基づく。この手法の一例は、プローブアンテナがアレイの前に配置される場合である。アレイの素子は次々に選択される。アンテナアレイとプローブとの間の距離は、プローブがアレイの放射近接場にあるが、単一の放射アレイ素子の遠距離場にあるように選択される。非反射および/または吸収エンクロージャは、コンパクトな設定を可能にする。これは反対方向にも機能し、DUTの送信機能を試験するために、プローブアンテナ730は、DUTアンテナ720によって送信される信号を受信する。
【0133】
この手法の欠点は以下の通りである。
・まず、送信モードおよび/または受信モードについて、一度にただ1つの放射素子、または実際にはアレイアンテナの単一素子のただ1つの偏波を試験することができる。
・第2に、放射器素子の測定された「良好」状態が、アレイ内の異なる位置に配置された素子について異なる。これは、プローブアンテナに対するアレイ素子の相対位置が変化するからである。
【0134】
「既知の良好なデバイス」の測定は、各放射素子の「良好な」特性を提供しなければならない。
【0135】
対照的に、図1の試験装置100は、埋め込みアンテナアレイを用いてDUTを電子的に試験するための改善されたOTA試験ソリューションを提供する。試験装置の測定プローブは、DUTのいわゆる反応性近接場領域で動作することによって、それらの信号を妨害することなく(または著しく妨害することなく)、アンテナアレイのアンテナ素子を個別に試験する。
【0136】
図8に係る自動試験装置)
図8は、図1の試験装置100と同様の試験装置850と、DUT860とを備える自動試験装置(ATE)800の実施形態を示す。試験装置850は、測定プローブ810と、試験固定具820またはDUT位置とを備える。DUT860は、試験固定具820内に配置され、試験装置850に電子的に結合される。DUT860は、試験装置850の電気信号880に従って無線信号890を送信することができるDUTアンテナアレイ870を備える。DUTアンテナアレイ870のアンテナ素子は、試験固定具820がDUT860とプローブアンテナ810との間にあるように配置されたプローブアンテナ810によってプローブされる。
【0137】
ATE800内の上述した試験装置と同様の試験装置850は、DUT860のDUTアンテナアレイ870に電気信号880を送信している。DUTアンテナアレイ870は、試験装置850のプローブアンテナ810によって受信される信号890を送信する。受信された信号は、DUT860を試験するために使用される。
【0138】
図1の試験装置100のプローブはDUTの非常に近くに配置することができるので、大量の集積回路を電子的に試験するために使用することができる自動試験セルまたはDUT位置に容易に統合することができる。
【0139】
図9に係る初期シミュレーション)
図9は、図1の試験装置100と同様の試験装置910と、DUT920とを備えるATE900の初期シミュレーション(または簡略化されたシミュレーション構造)を示す。DUT920は、アンテナ素子930a~930cを有するアレイアンテナ970をさらに備える。試験装置910は、給電構造940と、2つの導体対またはプローブアンテナ950a、950bとを備える。
【0140】
図9は、ATE900の概念または初期シミュレーションを示す。DUT920のアンテナアレイ970のDUTアンテナアレイ素子930a~930cは信号960を送信している。試験装置910は、DUTアンテナアレイ素子930aの信号960を測定するように構成される。素子930aの信号960は、プローブアンテナ950a、950bによって受信され、給電構造940に転送される。
【0141】
試験装置910のTEMラインマルチラインプローブ950のシミュレーションのさらなる重要な態様を以下に列挙する。
・パッチアレイは密であり、すなわち、アンテナ素子930間の距離は、例えば、λ/2よりわずかに大きいだけである。
・プローブは、アンテナ素子930aの近接場領域内のいくらかの電界をピックアップするために、TEMライン950a、950b、すなわち2本のワイヤを使用する。
・隣接する素子または隣接するアンテナ素子930b、930cは、結合しない。
・吸収体を追加することによってシミュレーション(または配置)を改善することができる。
・アンテナ素子930aとプローブの導体ワイヤ対950a、950bとの間の距離は、λ/10未満であり、これは、プローブがアンテナ素子930aの反応性近接場領域内にあることを意味する。
・1つの二重偏波パッチアンテナ素子またはスロットリングに対して4つのワイヤ対が(任意選択的に)使用されてもよい。
・ワイヤのピッチは実現可能であるが、コネクタへのバランおよびファンアウトは、より困難または問題があるようであり、依然として合理的な努力で実施することができる。
・第1のショットシミュレーションは小さな離調を示し、次の隣接パッチ930b、930cはプローブ対象パッチ930aよりも約15dB少ない結合をする。
【0142】
動作中の図1の試験装置100の挙動をシミュレートすることは、単一の埋め込みアンテナアレイ素子930aをOTA試験することを意味し、試験装置および/または試験装置の測定プローブに関する有用な洞察および/または態様を提供する。
【0143】
図9による試験装置900は、個々におよび組み合わせて、装置に関して本明細書に記載された特徴、機能、および詳細のいずれかによって任意に補足することができる。
【0144】
図10に係るシミュレーションの結果)
図10は、図9に示すシミュレートされた試験装置を用いたシミュレートされた測定の結果を示す。結果は、DUTアンテナアレイ素子930aからの信号が合理的な強度で針対プローブ950a、950bによって測定され、針対プローブ950a、950bからDUTアンテナアレイ素子930aにほとんど外乱がなく、他のアンテナアレイ素子から針対への結合が最小限であることを示している。
【0145】
動作中の図1の試験装置100の挙動をシミュレートすることは、単一の埋め込みアンテナアレイ素子をOTA試験することを意味し、試験装置および/または試験装置の測定プローブに関する有用な洞察および/または態様を提供する。シミュレーションの結果は、次の隣接パッチの結合がプローブ対象パッチよりも約15dB小さい間に、小さな離調を示す。
【0146】
この例示的なシミュレーションでは、針対プローブ950a、950bの断面の物理的寸法が意図的に大きくかさばるように選択された(図9参照)にもかかわらず、プローブされたパッチの離調は小さいままであり(図10に示す)、次のプローブされていない隣接体への結合は小さいままである(図10に示す)。より高度でより洗練された実用的な実施態様は、針対プローブを形成するより微細な金属針に容易に戻ることができ、それによって離調および次隣接結合をさらに低減することができる。
【0147】
図11に係るプローブ設計手順)
図11は、試験装置、例えば図1の試験装置100と同様の試験装置のプローブ設計手順1100を示す。プローブ設計手順1100は、アンテナアレイ素子1115を備えるアンテナアレイ1110を想定している。アレイアンテナ1110は、プローブ先端部1120から隙間をあけて離間している。アレイアンテナ1110とプローブ先端1120との間のギャップは、例えば、機械的停止部であってもよい。プローブ先端1120は、プローブのアンテナ側にある。プローブ1130は、TEMライン針に基づく。プローブ先端1120とプローブ1130の供給側との間には、放射体または他のアンテナアレイ素子1115への反射を低減するために吸収材料1140が使用される。プローブ1130の供給側では、信号に移行を導波路または回路基板伝送線路に適用するために移行回路が使用される。このとき、ファンアウト回路は、導波路または回路基板伝送線路に基づいている。
【0148】
設計手順によって考慮されるプローブの重要な態様を以下に列挙する。これらは、このプローブ/アダプタ手法の実装に対する要件の高レベルの説明であり、いくつかまたはすべての要件が実施形態によって満たされ得る。
・プローブ(またはプローブ先端)は、放射体またはアンテナアレイ素子1115の反応性近接場に配置される。
・プローブは、機械的に再現可能な方法で配置される。
・プローブは、前記放射体またはアンテナアレイ素子1115の給電インピーダンスに影響を及ぼさない(または、少なくとも顕著ではない)。
・プローブは、他の放射器または他のアンテナ素子1115に影響を与えていない(または、少なくとも顕著ではない)。
・プローブは他のプローブから切り離され(または、少なくとも、顕著に分離される)、他の放射器またはアンテナ素子はプローブ内に結合されない。
・設定は、伝送、位相および振幅、ならびに結合に関して較正されてもよい。設定は、エンドツーエンドで、または大きな平坦な金属プレートからの反射によって、またはプローブ端部からある程度の距離内で物理的材料が除去されたオープンエンドの針対プローブからの伝送線反射によって較正され得る。
【0149】
プローブ設計手順は、有用な洞察および/またはシミュレートされた測定値の態様を使用することによって、図1の試験装置100内のプローブに対して定義される。これらの手順を満たすことにより、例えば、より良好な信号雑音比またはより安価な試験方法が得られる。
【0150】
図12に係る設計例)
図12は、ATE1200の設計例の一実施形態を示す。ATE1200は、図1の試験装置100と同様の試験装置1230を備え、DUT1220に結合される。
【0151】
試験装置1230は、2つのプローブ対1270a、1270bと、DUT位置1210とを備える。第1のプローブ対1270aは第1バラン1275aに結合され、第2のプローブ対1270bは第2バラン1275bに結合されている。第1バラン1275aは第1の給電構造1280aに結合され、第2バラン1275bは第2給電構造1280bに接続されている。試験装置は、アンテナアレイ1260と、バラン1275a、1275bとの間に配置された吸収体材料1290をさらに備える。試験装置1230は、2つの針対プローブ1270a、1270bの端部と、DUT位置1210に配置されるDUT1220との間に、誘電スペーサ1295をさらに備える。DUT1220は、例えば、パッケージ1240とダイ1250とを備える。パッケージ1240は、ダイ1250に接続された2つ(またはそれ以上)のアンテナ素子を備えるアンテナアレイ1260をさらに備える。
【0152】
DUT1220のアンテナアレイ1260内のアンテナ素子は、ダイ1250を通って給電される。アンテナアレイ1260によって送信された信号は、2つのプローブ対1270a、1270bによって受信される。プローブ対1270a、1270bの平衡電流は、それぞれのバラン1275a、1275bを使用して組み合わされ、それぞれの不平衡給電部1280a、1280bに移行する。
【0153】
図12は、2つの素子のアンテナアレイ1260を有するDUT1220を測定または試験するために、2つの針対アンテナまたはプローブ1270a、1270bのみが使用される、ATE1200または測定設定の可能な実装形態または実施形態を示す。
【0154】
個々にまたは組み合わせて実施形態で任意選択的に実施され得るプローブ設計の重要な態様は、以下の通りである。
・DUT1220のアンテナアレイは、例えば57GHzから64GHzの間の周波数を有する積層WiGigパッチアンテナである。
・2本の針対プローブ1270a、1270bは二線伝送線路であり、放射スロットの上方に位置する針状近接場プローブであり、言い換えれば、針対プローブ1270a、1270bの各々は、DUTのアンテナの反応近接場において開放端を有する二線伝送線路を形成する。
・プローブ対は、ラットレースのバラン、または180°ハイブリッドによって供給される。
・すべておよび/またはいくつかのプローブ、および場合によっては回路は、単一のPCB上に配置される。
・誘電スペーサ1295または距離ホルダは、プラスチックおよび/または発泡体で作られ、あるいはプラスチックおよび/または発泡体を使用して作られる。
・場合により、共振および結合を防止するために吸収体1290が追加される。
【0155】
設計例は、DUTによって無線送信された信号がプローブされ、次いで給電部1280a、bでアクセス可能であるように操作することができる(DUT送信モードの試験)。あるいは、給電部1280a、bに注入された信号がプローブによってDUTに無線で送信されるように動作させることができる(DUT受信モードの試験)。
【0156】
DUT1220がパッケージ1240の上面および底面の両方に一体型アンテナアレイ1260を有する場合、上面用と底面用の2組のプローブアダプタまたは対プローブ1270を使用することができる。本手法は、集積回路試験のためのすべての異なるATE試験セル構成にそれ自体を統合することを可能にする。
【0157】
例えば、DUTソケットに組み込まれたプローブおよび/またはアダプタを用いたシングルまたはマルチサイトでのパッケージレベル試験。
【0158】
あるいは、別の例として、例えば、プローブヘッドに一体化されたプローブおよび/またはアダプタを有するシングルまたはマルチサイトを有するウェハプロービングレベル。
【0159】
また、提示された手法は、非ATE用途にも使用され得る。
【0160】
図11で説明した設計手順を満たすことにより、埋め込みアンテナアレイ素子をOTA試験するためのATE設計例が得られる。ATE設計例は、例えば、より良好な信号雑音比またはより安価な試験方法を保証するために構築された、図1の100と同様の試験装置を含む。
【0161】
図13に係る実施形態)
図13は、図1の試験装置100およびパッチアンテナアレイ1310と同様の試験装置1300の一実施形態を示す。パッチアンテナアレイ1310は、パッチアンテナアレイ素子またはパッチ放射器1320を備える。
【0162】
試験装置1300は、パッチ放射器1320bの放射縁部の近傍に配置された2つの針対プローブ1330a、1330bを備える。2つの針対プローブ1330a、1330bは、平行ストリップ線路型のプローブである。2つの針対プローブは、3つのバランおよび/またはディバイダ1350a~1350cを介して給電構造1340に接続される。パッチアンテナアレイ1310とディバイダおよび/またはバラン1350a~1350cとの間には、吸収体1360の層がある。
【0163】
さらに、図13は電界1390の方向を示し、垂直成分はパッチ放射器1320bの両側で実質的に反対であり、電界の水平成分は、第1のプローブ対1330aの2つの導体と第2のプローブ対1330bの2つの導体との間で同じ方向を有する。
【0164】
パッチアンテナアレイ1310のパッチ放射器1320は、試験装置1300の2つのプローブ対1330a、1330bによって受信される信号1380を送信している。プローブ対1330の導体の平衡電流は、不平衡給電線1340に移行するために、ディバイダおよびバラン1350を使用して組み合わされる。
【0165】
図13は、3つのパッチ放射器1320a~1320cで構成されたアンテナアレイ1310の概念図を示し、中心のパッチ1320bは、2つのオープンエンド平衡二線伝送線路1330a、1330bによって放射およびプローブされる。放射されたエネルギーの大部分は吸収体1360に入る。バランおよびディバイダ1350などの信号合成回路は、吸収体1360の上方の基板上に配置することができる。
【0166】
図13は、給電コネクタからの位相補正信号分布(例えば、平行ストリッププローブがDUTアンテナを刺激する場合)または補正信号合成(例えば、平行ストリッププローブがDUTアンテナから放射される信号を受信する場合)のための3つのハイブリッドコンバイナと共に、一対の平行ストリッププローブを有するパッチ放射器1320の少なくとも一方の偏波を試験する概念をスケッチまたは提案する。吸収体1360は、主に、ハイブリッドコンバイナ回路を担持する回路基板からの反射を回避するために必要とされる。
【0167】
言い換えれば、パッチ放射器の線形アレイの概念図が断面図で図13に示されている。センタリングされた放射器1320bは、波面1380を上方向に透過させる。パッチは、スロット放射器のように挙動する2つの放射縁部を有する。ある場合には、パッチの放射縁部における電界は、図中の矢印によって示されるように向けられる。二線平衡伝送線路(例えば、1320aまたは1320b)は、パッチの放射縁部に向いている。線路の開放端部は、電磁場のごく一部をピックアップし、上向きの(給電部に向かう)誘導波の形態で電磁場を誘導する。線路の開放端とパッチ金属との間にはある程度の距離が保たれる。プローブ伝送線路は、少なくともほぼパッチ平面に垂直であるため、放射波の電磁場は、遠距離場において線路に垂直であり、したがって線路によって妨害されない。放射された場は、明確にするためにピラミッド型吸収体として図に示され得る損失性吸収体材料によって吸収される。しかしながら、近接場およびパッチの放射縁部の近くでは、外乱および相互作用が存在するが、定量的調査は、それらの効果が無視できることを示している。パッチ放射器とプローブとの間の結合の強度は、シナリオの幾何学的形状、主に線路の2つのワイヤ間の分離、および線の開放端とパッチ放射縁部との間の距離に依存する。吸収体の上方で、2線平衡線は、必要に応じて、バラン、ディバイダ、およびスイッチなどの追加の回路に接続されてもよい。
【0168】
図13は、図1の試験装置100の一実施形態を示す。試験目的に応じて、複数の針対素子または針対プローブ1330を各DUTアンテナアレイ素子1320に配置するか、またはより少ない数の針対プローブを使用するが重要な測定点に配置することができる。次いで、針対プローブの導体は、高周波回路技術を使用して組み合わされ、例えば高性能同軸コネクタを使用するなどして測定機器に相互接続される。
【0169】
図14に係る実施形態)
図14は、図1の試験装置100と同様の複数の試験装置1410a~1410c、およびアンテナアレイ素子1430を備えるアンテナアレイ1420の一実施形態を示す。試験装置1410a~1410cは、アンテナアレイ1420のアンテナアレイ素子1430の反応性近接場に到達しており、2つの平行な針対プローブ1440を備える。針対プローブ1440は、給電構造1450に結合されている。
【0170】
弱く結合された非接触の対プローブ1440は、アンテナアレイ素子または放射器1430の反応性近接場を貫通する。アンテナアレイ1420のアンテナ素子1430は信号1460を発する。放射エネルギー1460のごく一部は、平衡線から不平衡線に信号を遷移させるために信号合成回路を備えるプローブコネクタまたは給電構造1450に伝送される。
【0171】
放射されたエネルギー(1460)の大部分は、アンテナアレイ1430と給電構造1450との間に配置された吸収体1470によって吸収される。対プローブ1440間の結合は非常に弱いため、アンテナアレイ放射器1430の給電インピーダンスは影響を受けない(または著しく影響されない)。
【0172】
新しい手法では、アンテナアレイの放射素子は、その反応性近接場、すなわちアンテナアレイに非常に近い伝送線路ベースの構造でプローブされ、プローブされた放射素子のみがプローブに結合し、その近傍には結合しない。その結果、隣接する素子は、追加のプローブを用いて第1の素子と並行して試験することができる。プローブは、特徴の一部または全部が実施形態に存在し得る場合、いくつかの特徴を組み合わせるべきである。
・放射素子からプローブへの規定された(反復可能な)および較正可能な結合(振幅および位相)。
・プローブされた放射素子の給電インピーダンスは、プローブによって影響されるべきではない(または著しく影響されるべきではない)。
・隣接する放射素子は、プローブに結合すべきではない(または顕著に結合してはならない)。
・隣接する放射素子の給電インピーダンスは、プローブによって影響されるべきではない。
【0173】
この概念の実装は、放射素子に近い信号強度によって助けられ、放射素子とプローブの入力との間の、顕著であるが再現可能でありかつ較正可能な減衰を可能にする。この手法は、無線リンクの2つの端部間の可能な最大送信が魅力的である任意の無線リンク設計とは反対であり、電波暗室試験システムにおける従来のアンテナ放射試験にも当てはまる。図14は、3つのパッチ放射器の線形アレイの提案された概念の着想を示しており、パッチは、パッチの両端にある2つのスロットから放射し、したがって、2つの結合されたプローブで試験することができる。3つのパッチすべてを同時にプローブすることができる。吸収体は、望ましくない反射および結合を低減するのに役立つ。
【0174】
言い換えれば、図1によって説明される試験装置100の概念は、複数のプローブに拡張され、二重偏波パッチの2つ以上の側面を試験し、および/またはいくつかの放射器素子を同時に試験することができる。試験目的に応じて、各DUTアンテナアレイ素子に複数の針対素子を配置するか、またはより少ない数を使用するが重要な測定点に配置することができる。
【0175】
図15に係る例示的なシミュレーション設定)
図15は、二重偏波アンテナ素子1540および1つまたは複数の平行ストリップ線路プローブ1530を備える二重偏波パッチアンテナアレイ1550を有する例示的なシミュレーション設定1500を示す。
【0176】
図15aは、単一の平行ストリッププローブ1530を有する二重偏波パッチアンテナアレイ1550を上から見た図である。
【0177】
図15bは、断面を切断して見た単一の平行ストリッププローブ1530を有する二重偏波パッチアンテナアレイ1550を示す。
【0178】
図15cは、上から見た2つのアンテナ素子を試験するための4つの平行ストリッププローブ1530を有する二重偏波パッチアンテナアレイ1550を示す。
【0179】
図15dは、断面切断として見た2つのアンテナ素子を試験するための4つの平行ストリッププローブ1530を有する二重偏波パッチアンテナアレイ1550を示す。
【0180】
図1の試験装置100の1つまたは複数のプローブの位置決めは、図15でシミュレートされる。図15は、パッチ放射器1540を1つまたは複数の平行ストリッププローブで試験するための例示的なシミュレーションの設定1500を示す。結果によれば、放射器給電コネクタからプローブポートへの結合は約-19dBであり、任意の他の放射器給電部からの最大結合は約9dB小さい。
【0181】
図16に係る例示的なシミュレーション設定)
図16は、二重偏波アンテナ素子1620および平行ストリップ線路プローブ1630を備える周期的な2D二重偏波パッチアンテナアレイ1610を有する例示的なシミュレーション設定1600を示す。図16は、自由空間波長λに関するすべての寸法データを示す。6GHzプロトタイプで使用されるλは50mmである。
【0182】
図16aは、単一の平行ストリップ線路プローブ1630を有する周期的な2D二重偏波パッチアンテナアレイ1610の上面図を示す。パッチアンテナアレイ1610の周期、すなわち2つのアンテナ素子1620の中心間距離は、0.5×λである。
【0183】
図16bは、単一の平行ストリップ線路プローブ1630を有する周期的な2D二重偏波パッチアンテナアレイ1610の側面図を示す。
【0184】
単一の平行ストリップ線路プローブ1630は、0.02×λのストリップ幅およびそれらの間の0.02×λのギャップ(例えば、±50%の公差で)を有する2つの導体ストリップを含む。単一の平行ストリップ線路プローブ1630は、アンテナアレイ1610から0.01×λの距離に配置される(例えば、±50%の公差で)。
【0185】
プローブ側からの周期的な2D二重偏波パッチアンテナアレイ1610の層を以下に列挙する。
1)0.24λ×0.24λのサイズを有する正方形の銅パッチ
2)0.24×λ(または0.03×λ)の厚さを有するパッチ誘電体層
3)パッチ銅接地層
4)給電回路用誘電体層。
【0186】
図16に示すパッチ銅供給線路は、正方形銅パッチを供給している。
【0187】
図16は、6GHzプロトタイプアンテナアレイについての、図1の100のような試験装置の測定値、寸法データを示す。自由空間波長λに関して寸法が与えられ、したがって、他の周波数を有するアンテナアレイの容易な再スケーリングが可能になる。
【0188】
しかしながら、いくつかの実施形態では、所与のサイズから2倍(またはそれ以上)までの偏差が許容され得る。
【0189】
図17に係る実施形態)
図17は、図1の試験装置100およびパッチアンテナアレイ1710と同様の試験装置1700の一実施形態を示す。パッチアンテナアレイ1710は、パッチアンテナアレイ素子またはパッチ放射器1720a~1720cを備える。
【0190】
試験装置1700は、パッチ放射器1720bの放射縁部の近傍に配置された2つの平行ストリッププローブ1730a、1730bを備える。2つの平行ストリッププローブ1730a、1730bは、同軸線路に滑らかに移行している。2つの平行ストリッププローブ1730a、1730bは、ディバイダ1750を介して給電構造1740に接続される。物理的には、パッチアンテナアレイ1710とディバイダ1750との間に吸収体1760の層があり、吸収体を通って同軸線路が供給される。
【0191】
さらに、図17は、パッチ放射器1720の両側で実質的に反対である電界1790の方向を示し、電界の水平成分は、第1の平行ストリッププローブ1730aの2つの導体と第2の平行ストリッププローブ1730bの2つの導体との間で同じ方向を有する。
【0192】
パッチアンテナアレイ1710のパッチ放射器1720bは、試験装置1700の2つの平行ストリッププローブ1730a、1730bが同軸線路に滑らかに遷移することによって受信される信号1780を送信している。平行ストリッププローブ1730の導体の平衡電流は、不平衡給電線1740に移行するために、ディバイダ1750を使用して合成される。
【0193】
設計例は、DUTによって無線送信された信号がプローブされ、次いで給電部1740でアクセス可能であるように操作することができる(DUT送信モードの試験)。
【0194】
あるいは、給電部1740に注入された信号がプローブによってDUTアンテナ1720bに無線で送信されるように動作させることができる(DUT受信モードの試験)。
【0195】
図17は、信号合成に必要な単一の180度ハイブリッドまたはディバイダ1750を使用して、同軸線路に滑らかに移行する一対の平行ストリッププローブ1730を有するパッチ放射器1720を試験する概念を提案する。例えば、平行ストリップの第1のストリップは、同軸線路の外側シールドに滑らかに伝送し、平行ストリップの第2のストリップは、同軸線路の内側導体を形成する。例えば、同軸線路の外側シールドは、給電構造からプローブの開放端に向かう方向により開いていく。
【0196】
パッチ放射器1720の少なくとも一方の偏波は、一対の平行ストリッププローブ1730を用いて試験され、同軸線路に滑らかに移行する。したがって、バラン特性はプローブ先端の一部である。したがって、ただ1つのハイブリッドコンバイナまたはディバイダ1750が、給電コネクタ1740からの信号分配のために必要とされる。プローブ先端に沿って、可能性のある顕著な同相または不平衡電流が存在するため、場合によっては、プローブ先端からの可能性のあるモノポール状の放射を低減するためにも吸収体1760が必要とされる。さらに、場合によっては、吸収体1760は、ハイブリッド複合回路を担持する回路基板からの反射を回避するためにも必要とされる。
【0197】
図17は、同軸線路に移行する異なるタイプのプローブ、平行ストリッププローブを使用する図1の試験装置100の実施形態を示す。新しいタイプのプローブは、ただ1つのディバイダを使用する同軸線路を介して、給電構造への単純な接続を有する。
【0198】
図18に係る例示的なシミュレーション設定)
図18は、二重偏波アンテナ素子1840と、同軸線路に移行する平行ストリップ線路プローブ1830とを備える二重偏波パッチアンテナアレイ1850を有する例示的なシミュレーション設定1800を示す。
【0199】
図18aは、同軸線路に移行する単一の平行ストリップ線路プローブ1830を有する二重偏波パッチアンテナアレイ1850の斜視図を示す。
【0200】
図18bは、同軸線路および吸収体層1860に移行する単一の平行ストリップ線路プローブ1830を有する二重偏波パッチアンテナアレイ1850の側面図を示す。
【0201】
図18は、同軸線路に滑らかに移行する、二重偏波パッチアンテナアレイおよび平行ストリッププローブを有するパッチ放射器を試験するための例示的なシミュレーション設定を示す図である。吸収体材料は、場合によっては、同軸外側導体上の共振を抑制する必要があり、そうでなければ、モノポール状の放射および隣接する放射素子への強い結合をもたらす。
【0202】
図1の試験装置100における、同軸線路に滑らかに移行する(している)平行ストリッププローブの位置決めは、図18でシミュレートされている。図18は、同軸線路に滑らかに移行している平行ストリッププローブを有するパッチ放射器1840を試験するための例示的なシミュレーション設定1800を示す。結果によれば、放射器給電コネクタからプローブポートへの結合は約-19dBであり、任意の他の放射器給電部からの最大結合は10dB超小さい。
【0203】
図19に係る実施形態)
図19は、図1の試験装置100およびパッチアンテナアレイ1910と同様の試験装置1900の一実施形態を示す。パッチアンテナアレイ1910は、パッチアンテナアレイ素子またはパッチ放射器1920a~1920cを備える。
【0204】
試験装置1900は、パッチ放射器1920bの放射縁部の近傍に配置された2つの平行ストリッププローブ1930a、1930bを備える。2つの平行ストリッププローブ1930a、1930bは、マイクロストリップ線路に滑らかに移行している。2つの平行ストリッププローブ1930a、1930bは、ディバイダ1950を介して給電構造1940に接続される。パッチアンテナアレイ1910とディバイダ1950との間には、吸収体1960の層が存在する。
【0205】
さらに、図19は、パッチ放射器1920の両側で実質的に反対である電界1990の方向を示し、電界の水平成分は、第1の平行ストリッププローブ1930aの2つの導体と第2の平行ストリッププローブ1930bの2つの導体との間で同じ方向を有する。
【0206】
パッチアンテナアレイ1910のパッチ放射器1920は信号1980を送信しており、この信号は、試験装置1900の、マイクロストリップ線路へと滑らかに遷移する、2つの平行ストリッププローブ1930a、1930bによって受信される。平行ストリッププローブ1930a、1930bの導体の平衡電流は、不平衡給電線1940に移行するために、ディバイダ1950を使用して組み合わされる。
【0207】
図19は、信号合成に必要な単一の180度ハイブリッドまたはディバイダ1950を使用して、マイクロストリップ線路に滑らかに遷移する一対の平行ストリッププローブ1930a、1930bを有するパッチ放射器1920bを試験する概念を提案する。
【0208】
パッチ放射器1920bの少なくとも一方の偏波は、一対の平行ストリッププローブ1930を用いて試験され、マイクロストリップ線路に滑らかに移行する。したがって、バラン特性はプローブ先端の一部である。したがって、ただ1つのハイブリッドコンバイナまたはディバイダ1950が、給電コネクタ1940からの信号分配のために必要とされる。プローブ先端に沿って、同相または不平衡電流が存在するため、場合によっては、プローブ先端からの可能性のあるモノポール状の放射を低減するためにも吸収体1960が必要とされる。さらに、場合によっては、吸収体1960は、ハイブリッド複合回路を担持する回路基板からの反射を回避するためにも必要とされる。
【0209】
図19は、マイクロストリップ線路に移行する異なるタイプのプローブ、平行ストリッププローブを使用する図1の試験装置100の実施形態を示す。新しいタイプのプローブは、電流回路構築技術に適合する。
【0210】
図20に係る例示的なシミュレーション設定)
図20は、二重偏波アンテナ素子2040と、マイクロストリップ線路に遷移する平行ストリップ線路プローブ2030とを備える二重偏波パッチアンテナアレイ2050を有する例示的なシミュレーション設定2000を示す。
【0211】
図20aは、マイクロストリップ線路に遷移する単一の平行ストリップ線路プローブ2030を有する二重偏波パッチアンテナアレイ2050の上面図を示す。
【0212】
図20bは、マイクロストリップ線路に移行する単一の平行ストリップ線路プローブ2030を有する二重偏波パッチアンテナアレイ2050の側面図を示す。
【0213】
例えば、マイクロストリッププローブの接地導体は、平行ストリッププローブの先端に向かって連続的に狭くなる。マイクロストリップ線路の中心導体は、接地導体から平行ストリッププローブに向かって横方向に連続的に解ける。
【0214】
このため、中心導体が延在する膨らみが、狭くなっている接地導体が延在する方向から若干(例えば、5度から20度)ずれているため、接地導体と中心導体との重なり(例えば、マイクロストリップ線路を搬送する回路基板の表面に垂直に投影して)が定常的にずれる。
【0215】
平行ストリッププローブの先端に向かって、接地導体および中心導体は、別々の重なり合わない導体に移行している。
【0216】
図20は、マイクロストリップ線路に滑らかに移行する、平行ストリッププローブを有するパッチ放射器を試験するための例示的なシミュレーション設定を示す。
【0217】
図1の試験装置100の、マイクロストリップ線路に滑らかに移行している平行ストリッププローブの位置決めは、図20でシミュレートされる。図20は、マイクロストリップ線路に滑らかに移行している平行ストリッププローブを有するパッチ放射器2040を試験するための例示的なシミュレーション設定2000を示す。結果によれば、放射器給電コネクタからプローブポートへの結合は約-20dBであり、任意の他の放射器供給からの最大結合は約8dB小さい。
【0218】
図21に係るバランまたはハイブリッド)
図21は、交差ダイポールまたは二重偏波パッチの面積よりも小さい面積をカバーするストリップ線路回路における180度ハイブリッドの一例を示す。
【0219】
分配回路は、場合によっては、各アンテナ放射体素子の各偏波に対してディバイダおよび/またはバランを含むことができる。図17または図19のような、プローブに組み込まれたバランを有する概念は、二重偏波放射器アンテナ素子の面積当たり2つのディバイダおよび/またはバランを必要とする。これは、図21に示すように、単一のストリップ線路回路層で達成される。図13に示すようなプローブシステムの二重偏波放射器素子の面積当たりに6つのディバイダおよび/またはバランを取り付けることは、はるかに複雑になる。
【0220】
例えば導波管または同軸コネクタなどの給電コネクタからアンテナ放射器ポートへのスイッチを通るルーティングは、場合によっては、別個のストリップ線路またはマイクロストリップ層上で行われるべきである。したがって、場合によっては、最小で3つの誘電体層(4つの導体層)を有する多層回路を考慮する必要がある。
【0221】
図1の試験装置100のプローブ上の平衡電流は、1つまたは複数のバラン回路および/または180°ハイブリッドを使用することによって、例えばマイクロストリップ線路またはストリップ線路などの不平衡線路に移行するように組み合わされる。バラン回路は、平衡信号と不平衡信号との間で変換し、プローブアンテナを例えば同軸線路などの給電線路と連結するのに役立つ。
【0222】
図22に係る実施形態)
図22は、図1の試験装置100および誘電体共振器アンテナ2210と同様の試験装置2200の一実施形態を示す。
【0223】
誘電体共振器アンテナ2210は、誘電体共振器2213およびマイクロストリップ給電部2216を備える。マイクロストリップ給電部2216は、開口部2224を有する接地面2222と、アンテナ給電線路2226と、基板2228とを備える。接地面2222は、基板2228によってアンテナ給電線路2226から分離されている。誘電体共振器2213は、接地面2222の開口部2224が誘電体共振器2213の中心と基板2228との間、および誘電体共振器2213の中心とアンテナ給電線路2226との間にも位置するように、接地面2222上に配置される。
【0224】
試験装置2200は、誘電体共振器2213の中心線において誘電体共振器2213の近傍に配置された平衡平行ストリッププローブ2230を備える。平行ストリッププローブ2230の2つの導体は、ディバイダまたはバラン2250を介して給電構造2240に接続される。
【0225】
誘電体共振器アンテナ2210とバランまたはディバイダ2250との間には、吸収体2260の層がある。さらに、図22は、電界の方向2290を示す。
【0226】
誘電体共振器アンテナ2210は、試験装置2200の平行ストリッププローブ2230によって受信される信号2280を送信している。平行ストリッププローブ2230の導体の平衡電流は、不平衡給電線路2240に移行するために、ディバイダ2250を使用して合成される。
【0227】
図22は、誘電体共振器アンテナ2213のための、異なるタイプのアンテナのための図1の試験装置100の一実施形態を示す。このタイプのアンテナは、上述した他のタイプのアンテナとして本発明を用いて試験することができる。
【0228】
図23に係る実施形態)
図23は、図1の試験装置100およびダイポールアンテナアレイ2310と同様の試験装置2300の一実施形態を示す。ダイポールアンテナアレイ2310は、ダイポールアンテナアレイ素子2320a~2320cを備える。
【0229】
試験装置2300は、平行ストリッププローブ2330を備え、プローブ2330の2つの導体は、それらの端部で導電性ストリップ2335と接続され、閉ループを形成する。平行ストリッププローブの閉ループは、ダイポールアンテナ素子2320の対称面の近傍内で、ダイポールアンテナ素子2320bの近傍に配置される。閉ループ2330を有する平行ストリッププローブは、バランまたはディバイダ2350を介して給電構造2340に接続される。ダイポールアンテナアレイ2310とディバイダ2350との間には、吸収体2360の層がある。
【0230】
さらに、図23は、接地とダイポールアンテナ素子2320の両端との間の電界2390の方向を示す。
【0231】
ダイポールアンテナアレイ2310のダイポールアンテナ素子2320bは、信号2380を送信している。ダイポールの近接場領域で生成された磁場は、平行ストリッププローブ2330および導電性ストリップ2335によって形成された閉ループを貫通し、供給部2340に向かって案内される信号を誘導する。平行ストリッププローブ2330の導体の電流は、不平衡給電線路2340に移行するためにバランまたはディバイダ2350を使用して合成される。
【0232】
言い換えれば、図23は、主に磁場を感知するための、短絡された平行ストリッププローブ2330を有するダイポールアンテナアレイ素子2320を試験する提案された概念の実施形態を示す。単一の180度ハイブリッド2350が信号を合成するために使用される。
【0233】
図23は、提案された概念の変形形態を示しており、これは、基板平面の方向に向かって(端部発射)放射するために使用される双極子様構造体に適用するために、接地のない平面アンテナに適用することができる。ここで、導電性ショートまたはストリップ2335を有するプローブは、ダイポール状アンテナアレイ素子2330の中心対称面内の磁場を弱くプローブするために使用することができる。
【0234】
図23は、3つの内蔵ダイポール放射器2320a~2320cで構成されたアンテナアレイ2310の概念図を示し、中心のダイポールは、平衡二線伝送線路2330の短絡端部2335によって放射およびプローブされる。放射エネルギー2380の大部分は、吸収体2360に入る。バラン2350などの信号合成回路は、吸収体2360の後方の基板上に配置することができる。
【0235】
図23の概念図に示されているように、内臓の端部発射双極子アンテナ2320a~2320cの線形アレイをプローブすることができる。ここで、プローブの二線平衡伝送線路2330は、ダイポールアンテナの電気対称面内に配置される。したがって、ダイポールは、その反応性近接場領域に入る金属構造によって影響されない。ダイポールアンテナ2320の中心部分を取り囲む強い磁場の一部は、その短絡端2335を介して二線伝送線路2330に結合される。やはり、隣接するダイポール放射器からの結合は非常に小さい。したがって、いくつかのプローブを並列に配置し、各ダイポールを別々にプローブすることができる。
【0236】
図1の試験装置100は、アンテナ素子の磁界をプローブするために、2つの導体の端部を短絡することによって修正することができる。図23は、ダイポールアンテナおよび磁場を検知する短絡された平行ストリップ線路プローブを用いた基本的な考え方を示す。測定および/またはシミュレーションによれば、放射器給電コネクタからプローブポートへの結合は約-19dBであり、隣接するダイポールからの結合は約15dB小さい。
【0237】
図24に係る例示的なシミュレーション設定)
図24は、短絡された平行ストリップHフィールドプローブ2430を有するダイポールアンテナアレイ2450のダイポール放射器2440aを試験するための例示的なシミュレーション設定2400を示す。
【0238】
図24aは、3つのダイポールアンテナ2440a~2440cと、ダイポールアンテナ素子のいわゆる近接場領域に、アンテナアレイ2450の平面に垂直な主延在部に沿って配置された、短絡された平行ストリッププローブ2430とを備えるアンテナアレイ2450の幾何学的図を示す。
【0239】
図24bは、同じシミュレーション設定2400の側面図を示す。アンテナアレイ2450およびプローブ2430の直交方向がここで指摘される。
【0240】
図24cは、最上部のダイポールに給電してプロービングしている間のシミュレーション設定2400のE界振幅プロットを示し、隣接するダイポールへのいくつかの結合、プローブへのいくつかの結合、およびプローブによってほとんど影響されない放射線を示している。
【0241】
図1の試験装置100は、アンテナ素子の磁界をプローブするために、2つの導体の端部を短絡することによって修正することができる。図24は、3つのダイポール放射器2440と、磁場を感知する短絡された平行ストリッププローブ2430とを備えるダイポールアンテナアレイを有する例示的なシミュレーション設定を示す。放射器給電コネクタからプローブポートへの結合は約-19dBであり、隣接するダイポールからの結合は約15dB小さい。
【0242】
図25に係るプローブの実験的検証)
図25は、概念実証実験検証を示す。
【0243】
図25aは、5.85GHz用に設計された、または5.85GHzで動作する、4つの二重偏波放射器2540および8つの給電線路2520を有する二重直線偏波パッチアンテナアレイ2550を示す。
【0244】
図25aは、接地面を通る直接給電部2520を有する4つの二重直線偏波パッチアンテナ2540のアレイを示す。アンテナ設計は、60mil RO 4003誘電体(εrel=3.55)材料を使用する標準的なものであり、アンテナアレイ素子の間隔、すなわち中心間距離は、25mm、すなわち0.49波長である。8つのアンテナ給電部の測定結果は、例えば±0.1%の中心周波数変動など、製造公差によるいくらかの変動を示す。-10dBにおけるパッチインピーダンス帯域幅は約2.1%である。
【0245】
図25bは、アンテナアレイ2550と、マイクロストリップ線路に先細になったデュアルストリッププローブを特徴とする4プローブシステム2580とを有する実験的測定設定を示す。
【0246】
提案された技術の以下の重要な態様または利点を証明するために、周波数スケーリングされた実験設定2500が設計および測定される。
・放射素子からプローブへの所定の結合。結合の強度約-20dB。
・プローブは、プローブされた放射体素子の給電インピーダンスに影響を与えない(または著しく影響を与えない)。高感度(すなわち、狭帯域)パッチアンテナを使用する。
・隣接する放射素子は、プローブに結合しない(または著しく結合しない)。測定された結合は、プローブ対象素子からの結合よりも著しく小さいものとする。
【0247】
8つの給電部を有する4つの二重偏波放射器を有する設計されたパッチアンテナアレイが図25に示されている。また、図には、アンテナアレイと、マイクロストリップに先細になったデュアルストリッププローブを特徴とする4プローブシステムとを備えた例示的な実験室測定設定も示されている。
【0248】
シミュレートされた結果を測定するために、図1の試験装置100の実験的実施形態が図25bに示されている。実験で使用したDUTを図25aに示す。実験の結果を図26に論じる。
【0249】
図26に係るプローブの実験的検証の結果)
図26は、図25に記載の実験の結果を示す。4つのデュアルモードパッチアンテナの8つの給電部の入力給電反射係数の大きさを図に示す。図26aおよび図26bは同じ図を示しているが、プローブされた2つの給電部間の差を強調するために、26bが拡大されている。
【0250】
図1の試験装置100の一実施形態を用いた実験の結果を図26に示し、4つのデュアルモードパッチの8つの給電部の入力給電反射係数の大きさを示す。図25に記載されているように、2つの給電部がプローブされ、約0.3%~0.4%のアンテナ給電インピーダンス共振の離調を引き起こすが、このパッチ放射器の-10dB帯域幅は2%より大きい。
【0251】
4つの二重偏波パッチアンテナを有するアンテナアレイは8つの供給ポート(番号1...8)を提供するが、プローブ対はパッチ供給ポート番号1に取り付けられ、別のプローブ対はパッチ供給ポート番号3に取り付けられる(図25bに示すように)。図26a、bにおいてS11として示される8つの給電ポート入力反射係数の大きさは、約5.85GHzのアンテナ動作周波数で小さい(図26a参照)。この測定値のズームインプロットは、(図26b)プローブされていないパッチの供給ポートおよび偏波に関連する6つのほぼ同一の測定値を示す(製造の不正確さに起因する小さな変動を示す)。また、「プローブ対象要素」としてマークされた2つの測定値を示しており、これらはプローブを取り付けた状態の2つのパッチ/偏波の入力反射係数の大きさである(図25bの実験設定に示す)。グラフの凡例における供給ポート番号付けは、図28に詳述されている。
【0252】
図27に係るプローブの実験的検証)
図27aは、一方のアンテナ素子2940が一対の二重ストリップ線路プローブ2930でプローブされるアンテナアレイ2950を示す。平衡二線伝送線路プローブ2930を使用してパッチアンテナアレイ2950を試験する概念は、5.85GHzの周波数での概念実証のために実施される。狭帯域パッチアンテナは、それらの反応性近接場の外乱に対するそれらの高い感度のために選択される。
【0253】
図27aは、パッチアンテナアレイ素子2940の特定の偏波を試験する一対の二線平衡伝送線路プローブ2930を示す。2つのラットレース用バラン2910および同相コンバイナは、プローブボード2970の一部である。
【0254】
図27aは、一対の二線伝送線路を用いて一方のパッチアンテナ素子を一方の偏波でプローブする測定設定を示す。プローブ構造は、意図的に大きく、特に二線式ラインの金属ストリップの幅および分離ならびにそれらの支持誘電体基板の厚さは、より高い周波数および/または例えば60GHzのようなより小さいサイズへのスケーリングが直接的に実現可能であるように、意図的に大きくされることに留意されたい。プローブをパッチアンテナに適用することによって、インピーダンス帯域幅は、0.3%未満、すなわち、十分に所与のアンテナの帯域幅内で、より低い周波数に向かってシフトする。
【0255】
この実験的検証の結果を図27bの図表2920に示す。
【0256】
測定の結果は、図29bの図表2920に表されている。図表2920は、プローブコネクタへの8つすべてのアンテナ給電部からの測定された送信の大きさを表示する。アンテナ給電からプローブへの測定された結合は約-18dBであり、これは数dBの線路の損失を含む。プローブされていない供給からプローブへの測定された結合は、共線では約9dB小さく、数3を参照されたく、並列では数7を参照されたく、これは偏波隣接パッチであり、他のすべての放射器でははるかに小さい。
【0257】
ポート番号付けは、図27cの挿入図2960に示されている。例えば、|S21|は、アンテナ3ポートからプローブへの送信を示し、プローブはアンテナ1の偏波に取り付けられている。|S21|はプローブ対象送信である。対象の周波数は5.85GHzであり、単一の|S11|曲線で示されている。
【0258】
図27aは、一対の二重ストリップ線路プローブでプローブされた1つの素子を有するアンテナアレイである、図1の試験装置100の実験的構成を示す。写真は説明のためのものであり、給電線路番号7のアンテナ素子の上方のプローブを示している。
【0259】
図27bは、測定された結合を示す。アンテナアレイ素子には、図27cの挿入図に示すように番号が付けられている。
【0260】
図1の試験装置100の実験的実施形態の結果を図27bに示す。図表2920は、8つのアンテナコネクタの各々からプローブコネクタへの測定された送信振幅を示す。ポート番号付けについては、図の挿入図2960を参照されたい。プローブに対するプローブ対象アンテナの送信は-18dBであり、これは、バランおよびコンバイナを備えるプローブ回路のシミュレートされた送信損失の約1.5dBを含む。したがって、結合はかなり強く、より弱い結合、例えばプローブとパッチとの間の距離がわずかに大きいと、アンテナの離調も減少する。他の7つのアンテナ給電部からの「不要な」結合ははるかに小さく、共線および平行偏波の次の隣接部が約-27dBで最も強く結合する。シミュレーションは、吸収体材料の添加によって望ましくない結合が減少することを示している。これは、装置の揺れの問題のために実験では行われなかったかまたは試験されなかった。すべてのプローブラインが所定の位置にある、すなわち、4つの二重偏波パッチアンテナのための16本の二線式ラインを有するシミュレーションは、アレイ素子間の結合の増加を示し、プローブのないアレイにおける最悪の場合の約-17dBから、すべての16本のプローブラインを有するアレイにおける最悪の場合の約-15dBまでであるが、アンテナポートから隣接する素子上のプローブへの望ましくない結合レベルの増加はない。
【0261】
(結論)
技術的労力を少なくして迅速にミリメートル波平面アンテナアレイをプロービングするための手段が開示される。一態様、ならびにさらなる実施形態および態様によれば、主な革新は、その反応性近接場におけるアレイアンテナ放射体の非接触プローブである。プローブによる放射体の非常に小さい、したがって無視できるほどの摂動が達成される。これは、アンテナ給電インピーダンスがプローブによって離調されず、接続されたトランシーバが標準動作条件のために意図されたように動作することができることを意味する。これはまた、遠距離場放射距離の制約に従う必要がないため、試験設定がコンパクトであることを意味する。
【0262】
放射器とプローブとの間の弱いが明確な信号伝送は、振幅と位相の両方の試験シグネチャとして使用することができる。この概念は、平面、ならびに多層のパッチ状またはスロット状の放射器に容易に適用される。同一平面ストリップ、マイクロストリップ、同軸などの異なるプローブ形状について説明する。同様に、主に回路基板の平面内に向けられた放射に必要とされるような双極子状アンテナを磁気プローブで試験することができる。
【0263】
提案された試験手段は並列化することができ、時間およびコストの点ではるかに効率的である可能性が高く、設定はまた、被試験アンテナアレイの遠距離場または放射近接場で動作する任意の他の既知の試験方法よりも物理的にコンパクトである。
【0264】
言い換えれば、本発明は、放射素子の反応性近接場に挿入されたプローブを使用するミリメートル波アンテナおよびアンテナアレイの試験概念を提案する。アンテナの反応性近接場の外乱は、放射特性および給電インピーダンスの両方の点で、アンテナの離調をもたらす。給電ネットワーク内の強い定在波は、完全な放射モジュールの受動部分および能動部分の両方の挙動に予測不可能な影響を引き起こすので、その給電インピーダンスがプローブによって離調されるアンテナの試験は完全に役に立たないことに留意されたい。本発明は、いくつかの典型的なクラスの放射器素子に特有のいくつかの技術を提案し、プローブを反応性近接場に挿入することによって引き起こされるアンテナ放射器給電インピーダンスの外乱は無視できる。結果として、完全な放射モジュールの各放射器、または放射器の各偏波は、別のプローブに並列に振幅および/または位相で別々にプローブすることができ、同時に隣接する素子を試験することができる。後者は、望ましくない結合効果を試験すること、および/または並列性によって試験速度を増加させることを可能にする。
【0265】
新しい手法の変形は、チップ-導波路結合および基板-導波路結合の周知の技術から導き出すことができる。そこで、例えば長方形または誘電体導波路などの導波路が、オンチップまたは内臓の励起構造に接続される。導波路が取り付けられていない場合、この励振構造はアンテナ放射体として機能することができるが、場合によっては不十分で離調したアンテナ放射体として機能し得る。導波路が取り付けられている場合、望ましくない「放射損失」および導波路への最大伝送と考えられる最小放射が存在する。搭載された短い導波管ホーンアンテナの特別なケースでは、自由空間への放射およびプロービング誘電体ロッド導波管への結合の2つのケースの間の放射器の離調を最小限に抑えることができ、したがって、この特定のシナリオでは単一要素プロービングが可能になる。
【0266】
本発明で提案される技術は、プローブによるアンテナ放射器の離調を回避するという問題を解決する。このアプローチは、2つの主要な態様を有し、これらは個別にまたは組み合わせて使用することができる。
・アンテナとその反応性近接場に位置するプローブとの間の結合は小さい。これは、完全な伝送を目的とする上述の導波路結合手法とは異なり、-20dB程度であり、したがって、送信ケースまたはモードにある場合、放射器のエネルギーの大部分は依然として放射される。受信ケースまたはモードは逆である。
・プローブおよびその接続された金属伝送線路は、放射体の電気対称面内に、または電界がその平面に主に垂直なベクトル成分を有する平面の近くに配置される。その場合、プローブの金属伝送線路は、アンテナの放射を妨害しないか、またはあまり妨害しない。
・プローブ端に接続される金属伝送線路は、断面の小さいTEM線路(または、マイクロストリップラインなどの準TEMライン)であることが好ましい。そのような構造は、アンテナアレイの隣接するアンテナ素子の放射からプローブ(すなわち、プローブ伝送線路に沿って搬送される信号に対して)への最小の(不要な)結合をもたらす。また、アンテナアレイの隣接するアンテナ素子の放射電界(したがって、給電インピーダンス)の乱れを最小限に抑える。
【0267】
以下では、2つのクラスのアンテナについて新しいプローブの概念を示す。
・パッチアンテナ、キャビティバックスロットなどを含む平面接地バックスロットアンテナ、および
・搭載式八木アンテナを含む、面内接地を有する平面ダイポールアンテナ。
【0268】
これらの構造の一般的な例は、ラジエータの電磁場に戻って説明される。測定は、5.85GHzで動作し、異なる近接場プローブでプローブされた4つの二重偏波パッチアンテナのアンテナアレイについて提供され、それによって全体的な概念を正当化する。
【0269】
単一の放射素子の反応性近接場に挿入された金属プローブを使用するミリメートル波アンテナおよびアレイの試験概念が提示される。典型的には金属プローブを放射体の反応性近接場に挿入することに起因して遭遇するアンテナ放射体の給電インピーダンスの外乱が無視できるいくつかのプローブ技術が開示されている。
【0270】
ミリメートル波アンテナアレイの無線試験のために提案された試験概念は、アレイ素子およびそれらの偏波の別個の並列プローブを可能にする。パッチまたはダイポールなどの平面アンテナを試験するために、むしろ単純な金属プローブを使用することができる。弱い結合および対称性の使用は、放射体を乱すことなく、放射体の反応性近接場へのプローブの浸透を可能にする。5.85GHzでの概念実証実験は、手法の有効性を示し、周波数および複雑さにおけるアップスケーリングの道を開いている。提案された手法は、高度に集積化された無線ミリメートル波モジュールの生産試験を可能にするための貴重な貢献である。
【0271】
シミュレーションおよび実験は、アンテナ給電部からプローブポートへの約-20dBの安定した給電インピーダンスおよび送信振幅を示す。同じプローブポートにおいて、隣接する放射素子からの望ましくない結合は、少なくとも10dBだけ小さい。この技術は、例えば、パッチアンテナ、平面ダイポールアンテナに適用される。ミリメートル波送受信機一体型アンテナアレイモジュールの生産試験のための提案された概念の利点について論じる。
【0272】
試験システムの主な態様は、吸収体、較正、分配回路およびスイッチである。
【0273】
「実際の」試験システムでは、吸収体が必要とされることがある。ほとんどのシミュレーションおよびこの報告で提示されるすべての測定値は、吸収体を使用しない。吸収体の使用は、望ましくない結合、特にプローブへの次の隣接結合のさらなる低減に関してシステム性能をおそらく改善する。
【0274】
吸収体材料層を機械的機構に加えてもよい。ミリメートル波では、損失性誘電体充填軟質ポリマー層が利用可能である。市販の例は、米国マサチューセッツ州エイムズベリーのARC Technologies,Inc.の「SB1007」および「SB1011」である。一般的に入手可能な層厚は、0.508mmおよび1.016mmである。
【0275】
試験システムを通る較正透過の振幅および位相、ならびにすべての経路の等価性は、場合によっては異なる規定距離で「短絡」、すなわち金属プレートに対して試験設定を取り付け、それぞれの反射係数を測定することによって得ることができる。
【0276】
従来の1:Nスイッチ(「SPNT」)の主な問題は、低い伝送損失または挿入損失である。これは、スイッチリアクタンスおよび完全なインピーダンス整合の補償を必要とする。定在波効果は、周波数帯域幅を減少させ、周波数にわたって送信変動を引き起こすので、回避されなければならない。
【0277】
提案されたプローブ試験概念では、定在波および関連する劣化効果を低減するために、いくつかの明確な減衰をスイッチ分岐の各々に意図的に加えることができる。
【符号の説明】
【0278】
100…試験装置、110…DUT、120…アンテナ、130…DUT位置、140…プローブ、143…導体、220…アレイアンテナ、250…アンテナ素子、320…アンテナアレイ、350…アンテナ素子、400…DUT、410…ダイ、420…アンテナアレイ、440…パッケージ、450…アンテナ素子、500…測定手法、510…ATE、520…DUTアンテナアレイ、530…測定アンテナ、540…DUT、550…試験固定具、560…電子信号、570…測定システム、580…送信信号、600…測定手法、610…アンテナアレイ、620…アンテナ素子、630…コネクタ、640…信号、640…放射、700…手法、710…アレイアンテナ、720…アンテナアレイ放射器、730…プローブアンテナ、740…吸収体、750…プローブ信号、760…反射、800…ATE、810…測定プローブ、820…試験固定具、850…試験装置、860…DUT、870…DUTアンテナアレイ、880…電気信号、890…無線信号、900…試験装置、900…ATE、910…試験装置、920…DUT、930…アンテナ素子、940…給電構造、950…TEMラインマルチラインプローブ、960…信号、970…アレイアンテナ、1100…プローブ設計手順、1110…アレイアンテナ、1115…アンテナアレイ素子、1120…プローブ先端、1130…プローブ、1140…吸収材料、1200…ATE、1210…DUT位置、1220…DUT、1230…試験装置、1240…パッケージ、1250…ダイ、1260…アンテナアレイ、1270…対プローブ、1275a…バラン、1275a…第1バラン、1275b…第2バラン、1280a…不平衡給電部、1280b…第2給電構造、1290…吸収体、1295…誘電スペーサ、1300…試験装置、1310…アンテナアレイ、1320…パッチ放射器、1330…プローブ対、1340…不平衡給電線、1350…ディバイダ、1360…吸収体、1380…信号、1380…波面、1390…電界、1420,1430…アンテナアレイ、1440…対プローブ、1450…給電構造、1460…信号、1470…吸収体、1500…シミュレーション設定、1530…平行ストリッププローブ、1540…パッチ放射器、1550…二重偏波パッチアンテナアレイ、1600…シミュレーション設定、1610…アンテナアレイ、1620…アンテナ素子、1630…平行ストリップ線路プローブ、1700…試験装置、1710…パッチアンテナアレイ、1720…パッチ放射器、1730…平行ストリッププローブ、1740…不平衡給電線、1740…給電コネクタ、1750…ディバイダ、1760…吸収体、1780…信号、1790…電界、1800…シミュレーション設定、1830…平行ストリップ線路プローブ、1840…パッチ放射器、1850…二重偏波パッチアンテナアレイ、1860…吸収体層、1900…試験装置、1910…パッチアンテナアレイ、1920…パッチ放射器、1930…平行ストリッププローブ、1940…不平衡給電線、1950…ディバイダ、1960…吸収体、1980…信号、1990…電界、2000…シミュレーション設定、2030…平行ストリップ線路プローブ、2040…パッチ放射器、2050…二重偏波パッチアンテナアレイ、2200…試験装置、2210…誘電体共振器アンテナ、2213…誘電体共振器、2216…マイクロストリップ給電部、2222…接地面、2224…開口部、2226…アンテナ給電線路、2228…基板、2230…平行ストリッププローブ、2240…不平衡給電線路、2250…ディバイダ、2260…吸収体、2280…信号、2290…方向、2300…試験装置、2310…アンテナアレイ、2320…ダイポールアンテナ、2330…ダイポール状アンテナアレイ素子、2335…ストリップ、2340…不平衡給電線路、2350…ディバイダ、2360…吸収体、2380…信号、2390…電界、2400…シミュレーション設定、2430…プローブ、2440…ダイポール放射器、2450…アンテナアレイ、2500…実験設定、2520…直接給電部、2540…二重偏波放射器、2550…アンテナアレイ、2580…プローブシステム、2910…ラットレース用バラン、2920…図表、2930…二線平衡伝送線路プローブ、2940…アンテナ素子、2950…アンテナアレイ、2970…プローブボード。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図25
図26a
図26b
図27a
図27b
図27c