(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】可変抵抗器
(51)【国際特許分類】
H01C 10/44 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
H01C10/44 Z
(21)【出願番号】P 2022514403
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2021012693
(87)【国際公開番号】W WO2021205899
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2020071142
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 政巳
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-054303(JP,U)
【文献】特開2010-146802(JP,A)
【文献】特開2007-035930(JP,A)
【文献】特開昭58-064720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 8/00-10/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面を有する第1の基材と、
前記第1の主面に設けられた抵抗体と、
前記第1の主面上に設けられ、前記抵抗体に接続された第1の配線パターンと、
開口を有するスペーサと、
第2及び第3の主面を有し、前記第2の主面が前記第1の主面に対向するように、前記スペーサを介して前記第1の基材に積層された第2の基材と、
前記開口内に位置するように前記第2の主面に設けられ、前記第3の主面からの押圧子の押圧によって前記抵抗体と電気的に接続される接続体と、
前記第1の主面上に設けられ、前記押圧子の押圧によって前記接続体と電気的に接続され、又は、前記第2の主面に設けられ、前記接続体に接続された第2の配線パターンと、を備え、
平面視において、前記接続体は、前記抵抗体と非重複である非重複領域を有し、
平面視において、前記押圧子が押圧可能な押圧領域は、前記非重複領域に含まれており、
前記押圧子の押圧位置に応じて、前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとの間の抵抗値が変化
し、
前記第2の配線パターンは、前記抵抗体と間隔を空けて配置され、
平面視において、前記接続体は、前記抵抗体と部分的に重複していると共に、前記第2の配線パターンとも部分的に重複し、
平面視において、前記押圧領域は、前記抵抗体と前記第2の配線パターンとの間に設定されており、
前記接続体は、前記第3の主面からの前記押圧子の押圧によって、前記抵抗体及び前記第2の配線パターンと接触する可変抵抗器。
【請求項2】
第1の主面を有する第1の基材と、
前記第1の主面に設けられた抵抗体と、
前記第1の主面上に設けられ、前記抵抗体に接続された第1の配線パターンと、
開口を有するスペーサと、
第2及び第3の主面を有し、前記第2の主面が前記第1の主面に対向するように、前記スペーサを介して前記第1の基材に積層された第2の基材と、
前記開口内に位置するように前記第2の主面に設けられ、前記第3の主面からの押圧子の押圧によって前記抵抗体と電気的に接続される接続体と、
前記第1の主面上に設けられ、前記押圧子の押圧によって前記接続体と電気的に接続され、又は、前記第2の主面に設けられ、前記接続体に接続された第2の配線パターンと、
前記第1の主面に設けられ、前記抵抗体に接続された複数の第1の櫛歯パターンと、を備え、
平面視において、前記接続体は、前記抵抗体と非重複である非重複領域を有し、
平面視において、前記押圧子が押圧可能な押圧領域は、前記非重複領域に含まれており、
前記押圧子の押圧位置に応じて、前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとの間の抵抗値が変化し
、
平面視において、前記複数の第1の櫛歯パターンは、前記押圧領域と重複しており、
前記抵抗体を構成する材料は、前記第1の櫛歯パターンを構成する材料の電気抵抗率よりも高い電気抵抗率を有し、
前記第2の配線パターンは、前記第2の主面上に設けられ、前記接続体に接続されており、
前記接続体は、前記第3の主面からの前記押圧子の押圧によって、前記第1の櫛歯パターンと接触する可変抵抗器。
【請求項3】
請求項
2に記載の可変抵抗器であって、
前記可変抵抗器は、前記押圧子をさらに備え、
前記第1の櫛歯パターンは、前記押圧領域において、前記接続体の延在方向に沿って実質的に等間隔に並べられており、
前記第3の
主面に接触する前記押圧子の押圧部は、前記第1の櫛歯パターンが並んでいる方向において、相互に隣り合う前記第1の櫛歯パターン同士のピッチよりも大きな寸法を有する可変抵抗器。
【請求項4】
請求項
2又は3に記載の可変抵抗器であって、
前記可変抵抗器は、
前記抵抗体に接続された第3の配線パターンと、
前記第1の配線パターンに接続された第3の櫛歯パターンと、
前記第3の配線パターンに接続された第4の櫛歯パターンと、をさらに備え、
平面視において、前記第3及び前記第4の櫛歯パターンは、前記押圧領域と重複している可変抵抗器。
【請求項5】
請求項
2~4のいずれか一項に記載の可変抵抗器であって、
前記スペーサは、前記抵抗体の全体を覆っている可変抵抗器。
【請求項6】
請求項
2~4のいずれか一項に記載の可変抵抗器であって、
前記可変抵抗器は、前記抵抗体の少なくとも一部を覆う樹脂層をさらに備えており、
前記樹脂層及び前記スペーサの少なくとも一方は、前記抵抗体の全体を覆っている可変抵抗器。
【請求項7】
請求項
1~6のいずれ一項に記載の可変抵抗器であって、
前記可変抵抗器は、前記押圧子をさらに備え、
前記抵抗体は、前記第3の
主面に接触する前記押圧子の押圧部の幅よりも狭い幅を有する可変抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変抵抗器に関するものである。
文献の参照による組み込みが認められる指定国については、2020年4月10日に日本国に出願された特願2020-071142に記載された内容を参照により本明細書に組み込み、本明細書の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
従来の可変抵抗器は、第1抵抗層が配置された第1配線基板と、第1抵抗層に対面配置された通電路層が形成された第2配線基板と、第1及び第2配線基板を所定の間隔で離間させて平行に支持するスペーサと、を備えており、第1抵抗層の長手方向に沿う任意の位置において第2配線基板の外面から押圧子により押圧操作を加えて、第1抵抗層と通電路層とを部分的に接触させて回路抵抗長を任意に設定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の可変抵抗器では、第1抵抗層と通電路層とを直接接触させた状態で押圧子を摺動させるため、第1抵抗層が摩耗して導通不良が生じてしまう場合がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、導通不良の発生の抑制を図ることが可能な可変抵抗器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係る可変抵抗器は、第1の主面を有する第1の基材と、前記第1の主面に設けられた抵抗体と、前記第1の主面上に設けられ、前記抵抗体に接続された第1の配線パターンと、開口を有するスペーサと、第2及び第3の主面を有し、前記第2の主面が前記第1の主面に対向するように、前記スペーサを介して前記第1の基材に積層された第2の基材と、前記開口内に位置するように前記第2の主面に設けられ、前記第3の主面からの押圧子の押圧によって前記抵抗体と電気的に接続される接続体と、前記第1の主面上に設けられ、前記押圧子の押圧によって前記接続体と電気的に接続され、又は、前記第2の主面に設けられ、前記接続体に接続された第2の配線パターンと、を備え、平面視において、前記接続体は、前記抵抗体と非重複である非重複領域を有し、平面視において、前記押圧子が押圧可能な押圧領域は、前記非重複領域に含まれており、前記押圧子の押圧位置に応じて、前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとの間の抵抗値が変化する可変抵抗器である。
【0007】
[2]上記発明において、前記第2の配線パターンは、前記第1の主面上に設けられ、前記抵抗体と間隔を空けて配置され、平面視において、前記接続体は、前記抵抗体と部分的に重複していると共に、前記第2の配線パターンとも部分的に重複し、平面視において、前記押圧領域は、前記抵抗体と前記第2の配線パターンとの間に設定されており、前記接続体は、前記第3の主面からの前記押圧子の押圧によって、前記抵抗体及び前記第2の配線パターンと接触してもよい。
【0008】
[3]上記発明において、平面視において、前記接続体の一方の縁部は、前記抵抗体の延在方向に沿った前記接続体の全域に亘って、前記抵抗体と重複しており、平面視において、前記接続体の他方の縁部も、前記抵抗体の延在方向に沿った前記接続体の全域に亘って、前記第2の配線パターンと重複していてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記可変抵抗器は、前記第1の主面に設けられ、前記抵抗体に接続された複数の第1の櫛歯パターンをさらに備え、平面視において、前記複数の第1の櫛歯パターンは、前記押圧領域と重複しており、前記抵抗体を構成する材料は、前記第1の櫛歯パターンを構成する材料の電気抵抗率よりも高い電気抵抗率を有していてもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記第2の配線パターンは、前記第1の主面上に設けられ、前記可変抵抗器は、前記第1の主面に設けられ、前記第2の配線パターンに接続された複数の第2の櫛歯パターンをさらに備えており、平面視において、前記複数の第2の櫛歯パターンは、前記押圧領域と重複しており、前記抵抗体を構成する材料は、前記第2の櫛歯パターンを構成する材料の電気抵抗率よりも高い電気抵抗率を有しており、前記接続体は、前記第3の主面からの前記押圧子の押圧によって、前記第1及び前記第2の櫛歯パターンと接触してもよい。
【0011】
[6]上記発明において、前記可変抵抗器は、前記押圧子をさらに備え、前記第1の櫛歯パターンと前記第2の櫛歯パターンは、前記押圧領域において、前記接続体の延在方向に沿って、交互に且つ実質的に等間隔に並べられており、前記第3の面に接触する前記押圧子の押圧部は、前記第1及び前記第2の櫛歯パターンが並んでいる方向において、前記第2の櫛歯パターンを介して相互に隣り合う前記第1の櫛歯パターン同士のピッチよりも大きな寸法を有していてもよい。
【0012】
[7]上記発明において、前記第2の配線パターンは、前記第1の主面上に設けられ、平面視において、前記接続体は、前記第2の配線パターンと部分的に重複しており、前記接続体は、前記第3の主面からの前記押圧子の押圧によって、前記第1の櫛歯パターン及び前記第2の配線パターンと接触してもよい。
【0013】
[8]上記発明において、平面視において、前記接続体の縁部は、前記抵抗体の延在方向に沿った前記接続体の全域に亘って、前記第2の配線パターンと重複していてもよい。
【0014】
[9]上記発明において、前記第2の配線パターンは、前記第2の主面上に設けられ、前記接続体に接続されており、前記接続体は、前記第3の主面からの前記押圧子の押圧によって、前記第1の櫛歯パターンと接触してもよい。
【0015】
[10]上記発明において、前記可変抵抗器は、前記押圧子をさらに備え、前記第1の櫛歯パターンは、前記押圧領域において、前記接続体の延在方向に沿って実質的に等間隔に並べられており、前記第3の面に接触する前記押圧子の押圧部は、前記第1の櫛歯パターンが並んでいる方向において、相互に隣り合う前記第1の櫛歯パターン同士のピッチよりも大きな寸法を有していてもよい。
【0016】
[11]上記発明において、前記可変抵抗器は、前記抵抗体に接続された第3の配線パターンと、前記第1の配線パターンに接続された第3の櫛歯パターンと、前記第3の配線パターンに接続された第4の櫛歯パターンと、をさらに備え、平面視において、前記第3及び前記第4の櫛歯パターンは、前記押圧領域と重複していてもよい。
【0017】
[12]上記発明において、前記スペーサは、前記抵抗体の全体を覆っていてもよい。
【0018】
[13]上記発明において、前記可変抵抗器は、前記抵抗体の少なくとも一部を覆う樹脂層をさらに備えており、前記樹脂層及び前記スペーサの少なくとも一方は、前記抵抗体の全体を覆っていてもよい。
【0019】
[14]上記発明において、前記可変抵抗器は、前記押圧子をさらに備え、前記抵抗体は、前記第3の面に接触する前記押圧子の押圧部の幅よりも狭い幅を有していてもよい。
【0020】
[15]上記発明において、前記抵抗体は、カーボンペーストを印刷して硬化させることで形成されていてもよい。
【0021】
[16]上記発明において、前記第2の配線パターンは、前記第1又は前記第2の主面上に設けられた第1の本体部と、前記第1の本体部において前記抵抗体に対応する領域を覆う第1の保護層と、を備え、前記抵抗体を構成する材料は、前記第1の本体部を構成する材料の電気抵抗率よりも高い電気抵抗率を有していてもよい。
【0022】
[17]上記発明において、前記接続体は、前記第2の主面上に設けられた第2の本体部と、前記第2の本体部を覆う第2の保護層と、を備え、前記抵抗体を構成する材料は、前記第2の本体部を構成する材料の電気抵抗率よりも高い電気抵抗率を有していてもよい。
【0023】
[18]上記発明において、前記可変抵抗器は、前記第1の主面上に設けられた第3の配線パターンをさらに備えており、前記抵抗体の一方の端部は、前記第1の配線パターンの端部を覆い、前記抵抗体の他方の端部は、前記第3の配線パターンの端部を覆っており、前記抵抗体を構成する材料は、前記第3の配線パターンを構成する材料の電気抵抗率よりも高い電気抵抗率を有していてもよい。
【0024】
[19]上記発明において、前記第1及び第3の配線パターンは、前記抵抗体に所定の電圧を印加し、前記第2の配線パターンは、前記押圧子の押圧位置に応じた電圧を出力してもよい。
【0025】
[20]上記発明において、前記可変抵抗器は、前記押圧子をさらに備えており、前記押圧子は、前記接続体の延在方向に沿った任意の位置で前記第3の主面を押圧することが可能であってもよい。
【0026】
[21]上記発明において、前記可変抵抗器は、前記押圧子をさらに備えており、前記押圧子は、前記第3の主面を押圧しながら前記抵抗体の延在方向に沿って摺動可能な摺動子であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、平面視において、接続体が抵抗体と非重複である非重複領域を有しており、押圧子が押圧可能な押圧領域がこの非重複領域に含まれている。このため、押圧子の摺動により抵抗体が摩耗してしまうのを抑制することができるので、可変抵抗器の導通不良の発生の抑制を図ることできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態における可変抵抗器を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態における下側メンブレン基板を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態におけるスペーサ及び上側メンブレン基板を示す底面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態における可変抵抗器を示す平面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態における下側メンブレン基板を示す平面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施形態におけるスペーサ及び上側メンブレン基板を示す底面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態における可変抵抗器を示す平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第4実施形態における可変抵抗器を示す平面図である。
【
図16】
図16は、本発明の第4実施形態におけるスペーサ及び上側メンブレン基板を示す底面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第5実施形態における可変抵抗器を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
<<第1実施形態>>
図1は本発明の第1実施形態における可変抵抗器を示す平面図、
図2は
図1のII-II線に沿った断面図、
図3は
図1のIII-III線に沿った断面図、
図4は
図1のIV-IV線に沿った断面図、
図5は
図1のV-V線に沿った断面図である。また、
図6は本発明の第1実施形態における下側メンブレン基板を示す平面図であり、
図7は本発明の第1実施形態におけるスペーサ及び上側メンブレン基板を示す底面図である。
【0031】
本実施形態における可変抵抗器1Aは、
図1~
図5に示すように、下側メンブレン基板10と、上側メンブレン基板60と、スペーサ90と、摺動子100と、を備えている。本実施形態における可変抵抗器1Aが本発明における「可変抵抗器」の一例に相当し、本実施形態におけるスペーサ90が本発明における「スペーサ」の一例に相当し、本実施形態における摺動子100が本発明における「押圧子」の一例に相当する。
【0032】
下側メンブレン基板10は、抵抗体40と配線パターン50を有している。一方、上側メンブレン基板60は、抵抗体40と配線パターン50を電気的に接続する接続体80を有している。これらのメンブレン基板10,60は、スペーサ90を介して積層されており、このスペーサ90によって、メンブレン基板10,60の間に間隔が確保されている。摺動子100は、上側メンブレン基板60上を押圧しながら摺動するように構成されている。この摺動子100の押圧によって、接続体80を介して抵抗体40と配線パターン50を電気的に接続されている。
【0033】
また、この可変抵抗器1Aでは、摺動子100が上側メンブレン基板60を押圧しながら摺動することで、接続体80と抵抗体40との接続位置を変化させ、抵抗体40の抵抗長(抵抗値)を可変させることが可能となっている。こうした可変抵抗器1Aの用途としては、例えば、可変抵抗素子、ポジションセンサ、スイッチ、エンコーダ等を例示することができる。なお、本実施形態の可変抵抗器1の用途は特に上記に限定されない。
【0034】
以下に、本実施形態の可変抵抗器1Aの構成について詳細に説明する。
【0035】
下側メンブレン基板10は、
図6に示すように、基材20と、配線パターン31,35と、抵抗体40と、配線パターン50と、を備えた配線板である。
【0036】
なお、本実施形態における基材20が本発明における「第1の基材」の一例に相当し、本実施形態における抵抗体40が本発明における「抵抗体」の一例に相当し、本実施形態における配線パターン50が本発明における「第2の配線パターン」の一例に相当する。また、本実施形態における配線パターン31が本発明における「第1の配線パターン」の一例に相当し、本実施形態における配線パターン35が本発明における「第3の配線パターン」の一例に相当する。
【0037】
基材20は、可撓性と電気絶縁性を有する材料から構成されたフィルム状の部材である。この基材20を構成する材料としては、例えば、樹脂材料等を例示することができ、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)を例示することができる。なお、この基材20が可撓性を有していなくてもよい。
【0038】
配線パターン31,35は、導電性ペーストを基材20の上面21上に印刷して固化(硬化)させることにより形成されている。導電性ペーストは、導電性粒子とバインダ樹脂を、水若しくは溶剤、及び各種添加剤に混合して構成されている。この配線パターン31,35を構成する導電性ペーストは、比較的小さな電気的抵抗値を有する低抵抗の導電性ペーストである。なお、配線パターン31,35の形成方法は、特に上記に限定されない。例えば、導電性ペーストに代えて、金属箔をエッチングすることで配線パターン31,35を形成してもよい。
【0039】
導電性粒子の具体例としては、銀、銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム、及び、これらの合金等を例示することができる。また、バインダ樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を例示することができる。さらに、導電性ペーストに含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1-デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる。
【0040】
特に限定されないが、本実施形態では、低抵抗の導電性ペーストとして、銀を導電性粒子の主成分とする銀ペースト、或いは、銅を導電性粒子の主成分とする銅ペーストを用いる。なお、導電性ペーストに含有された導電性粒子として、金属塩を用いてもよい。金属塩としては、上述の金属の塩を挙げることができる。また、上記の導電性ペーストからバインダ樹脂を省略してもよい。また、上記の導電性ペーストに代えて、導電性インクを用いてもよい。
【0041】
導電性ペーストの塗布方法としては、特に限定されないが、接触塗布法又は非接触塗布法のいずれを用いてもよい。接触塗布法の具体例としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷等を例示することができる。一方、非接触塗布法の具体例としては、インクジェット印刷、スプレー塗布法、ディスペンス塗布法、ジェットディスペンス法等を例示することができる。また、導電性ペーストを硬化させるための熱源としては、特に限定されないが、電熱オーブン、赤外線オーブン、遠赤外炉(IR)、近赤外炉(NIR)、レーザ照射装置等を例示することができ、これらを組み合わせた熱処理であってもよい。
【0042】
一方の配線パターン31は、図中-X方向に沿って延在する延在部32と、当該延在部32の端部に設けられた幅広部33と、を備えている。延在部32と幅広部33は、上述の導電性ペーストを基材20の上面21上に印刷して硬化させることで一体的に形成されている。幅広部33は、延在部32の幅よりも広い幅を有している。後述するように、この幅広部33は抵抗体40によって覆われている。
【0043】
同様に、他方の配線パターン35も、図中+X方向に沿って延在する延在部36と、当該延在部36の端部に設けられた幅広部37と、を備えている。延在部36と幅広部37は、上述の導電性ペーストを基材20の上面21上に印刷して硬化させることで一体的に形成されている。幅広部37は、延在部36の幅よりも広い幅を有している。後述するように、この幅広部37は抵抗体40によって覆われている。なお、配線パターン31,35の延在部32,36の平面形状は、線状であれば、上記のような直線状に限定されない。
【0044】
一方の配線パターン31の幅広部33と他方の配線パターン35の幅広部37とは、図中X方向に沿って離れて配置されている。抵抗体40は、この幅広部33,37の間に設けられており、図中X方向に沿って延在している。この抵抗体40も、上述の配線パターン31,35と同様に、導電性ペーストを基材20の上面21上に印刷して硬化させることにより形成されている。
【0045】
この抵抗体40を構成する導電性ペーストは、上述の低抵抗の導電性ペーストと比較して高い電気的抵抗値を有する高抵抗の導電性ペーストである。この抵抗体40を構成する導電性ペーストは、上述の配線パターン31,35を構成する導電性ペーストの導電性粒子の電気的抵抗率よりも高い電気的抵抗率を有する導電性粒子を含有している。すなわち、抵抗体40は、配線パターン31,35を構成する材料の電気抵抗率よりも高い電気抵抗率を有する材料で構成されており、抵抗体40の抵抗値は、配線パターン31,35の抵抗値を無視できる程度に、配線パターン31,35の抵抗値よりも十分に高くなっている。具体的には、抵抗体40の抵抗値は、配線パターン31,35の抵抗値の10倍以上であり、好ましくは、配線パターン31,35の抵抗値の100倍以上である。また、抵抗体40を構成する材料の電気抵抗率は、配線パターン31,35を構成する材料の電気抵抗率の10倍以上であり、好ましくは100倍以上である。
【0046】
こうした高抵抗の導電性ペーストの具体例としては、カーボンペーストを例示することができる。抵抗体40を構成する導電性ペーストが含有する導電性粒子の具体例としては、グラファイト、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等のカーボン系材料を例示することができる。
【0047】
上述のように、この抵抗体40は、一方の配線パターン31の幅広部33を覆っていると共に、他方の配線パターン35の幅広部33を覆っている。この抵抗体40によって、配線パターン31,35同士が接続されている。特に図示しないが、一方の配線パターン31は電源に接続されているのに対し、他方の配線パターン35はグランドに接続されている。
【0048】
配線パターン50は、第1の本体部51と、第1の保護層52と、を備えている。
【0049】
第1の本体部51は、基材20の上面21上に設けられている。この第1の本体部51は、上述の配線パターン31,35と同様に、低抵抗の導電性ペーストを印刷して硬化させることで形成されている。すなわち、第1の本体部51は、抵抗体40を構成する材料の電気抵抗率よりも低い電気抵抗率を有する材料で構成されており、抵抗体40の抵抗値は、この第1の本体部51の抵抗値を無視できる程度に、当該第1の本体部51の抵抗値よりも十分に高くなっている。具体的には、抵抗体40の抵抗値は、第1の本体部51の抵抗値の10倍以上であり、好ましくは、第1の本体部51の抵抗値の100倍以上である。また、抵抗体40を構成する材料の電気抵抗率が、第1の本体部51を構成する材料の電気抵抗率の10倍以上であり、好ましくは100倍以上である。なお、第1の本体部51の形成方法は、特に上記に限定されない。例えば、導電性ペーストに代えて、金属箔をエッチングすることで第1の本体部51を形成してもよい。
【0050】
この第1の本体部51は、図中X方向に沿って延在している。この第1の本体部51は、抵抗体40と実質的に平行に延在する平行部511をその端部に有している。なお、この第1の本体部51の平面形状は、特に上記に限定されない。
【0051】
配線パターン50の第1の保護層52は、第1の本体部51の平行部511を覆うように、基材20の上面21に設けられている。この第1の保護層52は、第1の本体部511の平行部511を保護する層であり、上述の低抵抗の導電性ペーストと比較して高い電気的抵抗値を有する高抵抗の導電性ペーストを印刷して硬化させることで形成されている。こうした高抵抗の導電性ペーストの具体例としては、特に限定されないが、例えば、カーボンペーストを例示することができる。この第1の保護層52は、抵抗体40の図中X方向に沿った長さと同程度の長さを有しており、抵抗体40と所定の間隔D(
図6参照)を空けて配置されている。すなわち、この配線パターン50の第1の保護層52は、抵抗体40と実質的に平行に配置されている。なお、配線パターン50が第1の保護層52を備えていなくてもよい。
【0052】
第2のメンブレン基板60は、
図7に示すように、基材70と、接続体80と、を備えた配線板である。本実施形態における基材70が本発明における「第2の基材」の一例に相当し、本実施形態における接続体80が本発明における「接続体」の一例に相当する。
【0053】
基材70は、上述の基材20と同様に、可撓性と電気絶縁性を有する材料から構成されたフィルム状の部材である。この基材20を構成する材料としては、例えば、樹脂材料等を例示することができ、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)を例示することができる。なお、基材70を構成する材料は、上記に特に限定されない。基材70を、金属材料等の導電性を有する材料からなる板材で構成してもよい。この場合には、当該基材70が接続体80の機能を兼ねてもよい。また、後述の第4実施形態のように、基材70に配線パターン50を形成する場合には、当該基材70が配線パターン50の機能を兼ねてもよい。なお、基材70を、導電性を有する板材から構成する場合であっても、基材70とは別に、当該基材70上に接続体80と配線パターン50を形成してもよい。
【0054】
接続体80は、上述の配線パターン50と同様に、第2の本体部81と、第2の保護層82と、を備えている。なお、接続体80が第2の保護層82を備えていなくてもよい。
【0055】
第2の本体部81は、基材70の下面71に設けられている。この第2の本体部81は、上述の配線パターン50の第1の本体部51と同様に、低抵抗の導電性ペーストを印刷して硬化させることで形成されている。すなわち、第2の本体部81は、抵抗体40を構成する材料の電気抵抗率よりも低い電気抵抗率を有する材料で構成されており、抵抗体40の抵抗値は、この第2の本体部81の抵抗値を無視できる程度に、当該第2の本体部81の抵抗値よりも十分に高くなっている。具体的には、抵抗体40の抵抗値は、第2の本体部81の抵抗値の10倍以上であり、好ましくは、第2の本体部81の抵抗値の100倍以上である。また、抵抗体40を構成する材料の電気抵抗率が、第2の本体部81を構成する材料の電気抵抗率の10倍以上であり、好ましくは100倍以上である。
【0056】
一方、第2の保護層82は、第2の本体部81を保護する層であり、上述の配線パターン50の第1の保護層52と同様に、高抵抗の導電性ペーストを印刷して硬化させることで形成されている。この第2の保護層82は、第2の本体部81の全体を覆うように、基材70の下面71上に設けられている。
【0057】
この接続体80は、
図1に示すように、平面視において、下側メンブレン基板10の抵抗体40と部分的に重複していると共に、当該下側メンブレン基板10の配線パターン50とも部分的に重複するように、基材70の下面71に設けられている。より具体的には、本実施形態では、接続体80は、間隔Dよりも広い幅を持つ矩形状の平面形状を有している。そして、平面視において、この接続体80は、当該接続体80の一方の縁部(図中X方向に沿った-Y側の縁部)80aが抵抗体40と重複すると共に、当該接続体80の他方の縁部(図中X方向に沿った+Y側の縁部)80bが配線パターン50と重複するように、基材70の下面71に設けられている。
【0058】
スペーサ90は、上述の基材20,70と同様に、可撓性と電気絶縁性を有する材料から構成されたフィルム状の部材である。この基材20を構成する材料としては、例えば、樹脂材料等を例示することができ、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)を例示することができる。
【0059】
図1~
図5及び
図7に示すように、このスペーサ90は、矩形状の平面形状を持つ開口91を有している。この開口91は、接続体80よりも大きく且つ当該接続体80を包含可能な大きさを有している。本実施形態では、開口91は、接続体80のみならず、抵抗体40及び配線パターン50も包含可能な大きさを有している。この開口91は、スペーサ90を介してメンブレン基板10,60を積層した際に、接続体80、抵抗体40及び配線パターン50を包含するように、スペーサ90に形成されている。なお、接続体80の少なくとも一部がスペーサ90の開口91内に位置していればよく、接続体80の一部が開口91の外まで広がり、スペーサ90と基材70との間に介在していてもよい。
【0060】
上述のように、メンブレン基板10,60はスペーサ90を介して積層されている。この際、
図2~
図5に示すように、メンブレン基板10,60は、上側メンブレン基板60の基材70の下面71が下側メンブレン基板10の基材20の上面21と対向するように積層されている。また、下側メンブレン基板10の基材20とスペーサ90は接着層(不図示)を介して相互に張り付けられていると共に、スペーサ90と上側メンブレン基板60の基材70も接着層(不図示)を介して相互に張り付けられている。
【0061】
そして、
図1に示すように、平面視において、接続体80、抵抗体40及び配線パターン50が開口91内に包含されている。また、
図1に示すように、平面視において、接続体80の一方の縁部80aが、図中X方向に沿った接続体80の全域に亘って抵抗体40と重複しており、
図5に示すように、断面視において、接続体80と抵抗体40とが部分的に対向している。同様に、
図1に示すように、平面視において、接続体80の他方の縁部80bが、図中X方向に沿った接続体80の全域に亘って配線パターン50と重複しており、
図5に示すように、断面視において、接続体80と配線パターン50とが部分的に対向している。本実施形態では、上述のように、抵抗体40と配線パターン50との間には所定の間隔Dが確保されているので、
図1に示すように、平面視において、接続体80は、抵抗体40及び配線パターン50と重複していない非重複領域NAを有している。
【0062】
図2~
図5に示すように、このスペーサ90によって、接続体80と抵抗体40との間に間隔が確保されていると共に、当該接続体80と配線パターン50との間にも間隔が確保されている。後述するように、摺動子100の押圧によって上側メンブレン基板10の基材20が変形し、この変形によって、接続体80と抵抗体40とが接触して電気的に接続されていると共に、当該接続体80と配線パターン50とが接触して電気的に接続されている。
【0063】
なお、本実施形態では、スペーサ90の厚さが、非押圧時に接続体80が抵抗体40や配線パターン50と接触しないように設定されているが、特にこれに限定されない。接続体80が抵抗体40や配線パターン50と常時接触するように、スペーサ90の厚さを設定してもよい。
【0064】
なお、本発明における接続体と抵抗体とを「電気的に接続」とは、当該接続体と抵抗体との間の抵抗値が所定の閾値以下の状態であり、上記のような非押圧時に接続体と抵抗体とが単に接触している状態だけは含まない。同様に、本発明における接続体と配線パターンとを「電気的に接続」とは、当該接続体と配線パターンとの間の抵抗値が所定の閾値以下の状態であり、上記のような非押圧時に接続体と配線パターンとが単に接触しているだけの状態は含まない。
【0065】
摺動子100は、半筒形状の押圧部110を先端に有する部材であり、例えば金属材料から構成されている。なお、摺動子100の構成は、上側メンブレン基板60の基材70の上面72を押圧しながら摺動可能な構成であれば、特に上記に限定されない。また、本実施形態では、摺動子100の押圧対象は、抵抗体40ではなく、上側メンブレン基板60の基材70の上面72であるので、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料で摺動子100を構成してもよい。また、後述するように、摺動子100に代えて、操作者の指を用いてもよい。
【0066】
この摺動子100は、可変抵抗器1Aが収容された筐体(不図示)等に移動可能に保持されている。そして、この摺動子100は、押圧部110を所定の押圧力で上側メンブレン基板60の基材70の上面72に押し当てた状態で、当該押圧力を一定に維持しながら図中X方向(接続体80の延在方向(長手方向))に沿って往復移動することが可能となっている。本実施形態では、
図1に示すように、この摺動子100が摺動することが可能な摺動領域SAは、平面視において、抵抗体40と配線パターン50との間に設定され、上述の接続体80の非重複領域NAに含まれており、抵抗体40及び配線パターン50と重複していない。摺動子100は、この摺動領域SAの中で図中X方向に沿って往復移動することが可能となっている。本実施形態における摺動領域SAが、本発明における「押圧領域」の一例に相当する。
【0067】
図5に示すように、この摺動子100の押圧によって、上側メンブレン基板60の基材70が下方に撓み、接続体80が抵抗体40と配線パターン50にそれぞれ接触することで、接続体80を介して抵抗体40と配線パターン50を電気的に接続されている。そして、摺動子100が上側メンブレン基板60を押圧しながら摺動することで、接続体80と抵抗体40との接続位置が変化して、抵抗体40の抵抗長(抵抗値)が可変する。
【0068】
具体的には、上述のように、抵抗体40に接続された一方の配線パターン31に電源電圧(例えば、5[V])が印加されているのに対し、当該抵抗体40に接続された他方の配線パターン35は接地されている。また、摺動子100の押圧によって配線パターン50は接続体80を介して抵抗体40と電気的に常時接続されており、当該配線パターン50は、抵抗体40と図中X方向における任意の位置で電気的に接続されている。このため、この配線パターン50は、摺動子100の押圧位置に応じた電圧(検出電圧)を検出する。すなわち、本実施形態では、摺動子100の押圧位置に応じて、配線パターン31,50間の抵抗値が変化する。そして、この可変抵抗器1Aの配線パターン31,50にはマルチメーター(不図示)等が接続されており、電源電圧と配線パターン50の検出電圧との電位差を出力する。
【0069】
例えば、摺動領域SA内において摺動子100が
図2中の左端に位置している場合には、抵抗体40における接続体80の接続位置も左端に位置しているため、配線パターン50は、電源電圧とほぼ同電位の電圧を検出し、マルチメーター等により、電源電圧と配線パターン50の検出電圧との電位差(例えば、0[V])を出力する。
【0070】
これに対し、
図2に示すように、摺動領域SA内において摺動子100が略中央に位置している場合には、抵抗体40における接続体80の接続位置も略中央であるため、配線パターン50は、電源電圧の略半分の電位の電圧を検出し、マルチメーター等により、電源電圧と配線パターン50の検出電圧との電位差(例えば、2.5[V])を出力する。
【0071】
また、摺動領域SA内において摺動子100が
図2中の右端に位置している場合には、抵抗体40における接続体80の接続位置も右端に位置しているため、配線パターン50は、グランドとほぼ同電位の電圧を検出し、マルチメーター等により、電源電圧と配線パターン50の検出電圧との電位差(例えば、5[V])を出力する。
【0072】
以上のように、本実施形態では、上側メンブレン基板60の基材70の下面71に接続体80が設けられ、摺動子100が当該基材70の上面72を押圧し、下側メンブレン基板10の基材20の上面21に設けられた抵抗体40と配線パターン50は、摺動子100の押圧により接続体80を介して電気的に接続されている。すなわち、摺動子100と抵抗体40との間には、上側メンブレン基板60の基材70が介在しており、摺動子100は抵抗体40と直接接触していない。
【0073】
また、本実施形態では、平面視において、摺動子100が摺動する摺動領域SAが、抵抗体40と配線パターン50との間に設定されている。すなわち、摺動子100の摺動領域SAの直下に抵抗体40が存在していない。
【0074】
このため、本実施形態では、摺動子100の摺動による抵抗体40の摩耗を抑制することができるので、可変抵抗器1Aの導通不良の発生の抑制を図ることができる。
【0075】
また、本実施形態では、外部に接続される全ての配線パターン31,35,50が同一の基材20の上面21に設けられているので、当該上面21のみにコネクタを実装すればよく、可変抵抗器1Aの構成の簡素化を図ることができる。
【0076】
<<第2実施形態>>
図8は本発明の第2実施形態における可変抵抗器を示す平面図、
図9は
図8のIX-IX線を示す断面図、
図10は
図8のX-X線に沿った断面図である。また、
図11は本発明の第2実施形態における下側メンブレン基板を示す平面図、
図12は本発明の第2実施形態におけるスペーサ及び上側メンブレン基板を示す底面図である。
【0077】
本実施形態の可変抵抗器1Bは、
図8~
図12に示すように、第1実施形態の可変抵抗器1Aと比較して、(1)スペーサ90が抵抗体40及び配線パターン50を覆っている点、(2)接続体80が抵抗体40及び配線パターン50と重複していない点、及び、(3)櫛歯パターン45,55を備えている点で、第1実施形態と相違しているが、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。以下に、第2実施形態における可変抵抗器1Bについて第1実施形態との相違点についてのみ説明し、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
本実施形態では、第1実施形態と比較して、抵抗体40の幅が狭くなっている。また、接続体80の幅も狭くなっており、接続体80の全体が抵抗体40と配線パターン50との間に位置しており、接続体80の全域が非重複領域NAとなっている。また、スペーサ90の開口91の幅が、抵抗体40と配線パターン50との間の間隔D(
図11参照)よりも狭くなっている。このため、抵抗体40の全体がスペーサ90に覆われていると共に、配線パターン50の第1の保護層52の全体もスペーサ90に覆われている。また、平面視において、接続体80が、抵抗体40と重複していないと共に、配線パターン50とも重複していない。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、摺動子100の摺動領域SAは、平面視において、抵抗体40と配線パターン50との間に設定され、上述の接続体80の非重複領域NAに含まれており、抵抗体40及び配線パターン50と重複していない。
【0079】
このため、本実施形態では、
図11に示すように、下側メンブレン基板10の基材20の上面21に、配線パターン31,35、抵抗体40、及び、配線パターン50に加えて、複数(本例では10本)の櫛歯パターン45a~45jと、複数(本例では9本)の櫛歯パターン55a~55iとが設けられている。本実施形態において、複数の櫛歯パターン45a~45jを「櫛歯パターン45」と総称し、複数の櫛歯パターン55a~55iを「櫛歯パターン55」と総称する。
【0080】
それぞれの櫛歯パターン45a~45j,55a~55iは、配線パターン31,35と同様に、低抵抗の導電性ペーストを印刷して硬化させることで形成されている。すなわち、それぞれの櫛歯パターン45a~45j,55a~55iは、抵抗体40を構成する材料の電気抵抗率よりも低い電気抵抗率を有する材料で構成されており、抵抗体40の抵抗値は、それぞれの櫛歯パターン45a~45j,55a~55iの抵抗値を無視できる程度に、当該櫛歯パターン45a~45j,55a~55iの抵抗値よりも十分に高くなっている。具体的には、抵抗体40の抵抗値は、櫛歯パターン45a~45j,55a~55iの抵抗値の10倍以上であり、好ましくは、櫛歯パターン45a~45j,55a~55iの抵抗値の100倍以上である。また、抵抗体40を構成する材料の電気抵抗率が、櫛歯パターン45a~45j,55a~55iを構成する材料の電気抵抗率の10倍以上であり、好ましくは100倍以上である。
【0081】
なお、本実施形態における櫛歯パターン45b~45iが本発明における「第1の櫛歯パターン」の一例に相当し、本実施形態における櫛歯パターン55a~55iが本発明における「第2の櫛歯パターン」の一例に相当し、本実施形態における櫛歯パターン45aが本発明における「第3の櫛歯パターン」の一例に相当し、本実施形態における櫛歯パターン45jが本発明における「第4の櫛歯パターン」の一例に相当する。
【0082】
図11に示すように、図中左端の櫛歯パターン45aは、配線パターン31から分岐しており、図中Y方向に沿って突出している。すなわち、この櫛歯パターン45aは、配線パターン31に接続されていると共に、摺動領域SAの下方まで延在している。同様に、図中右端の櫛歯パターン45jは、配線パターン35から分岐しており、図中Y方向に沿って突出している。すなわち、この櫛歯パターン45jは、配線パターン35に接続されていると共に、摺動領域SAの下方まで延在している。
【0083】
これに対し、両端の櫛歯パターン45a,45jの間に位置している8本の櫛歯パターン45b~45iは、当該櫛歯パターン45b~45iの端部が抵抗体40に埋設されることで、当該抵抗体40と電気的に接続されている。そして、これらの櫛歯パターン45b~45iは、抵抗体40から配線パターン50に向かって突出している。すなわち、この櫛歯パターン45b~45iは、抵抗体40に接続されていると共に、摺動領域SAの下方まで延在している。なお、両端の櫛歯パターン45a,45jが、配線パターン31,35から分岐するのではなく、櫛歯パターン45b~45iと同様に、抵抗体40に埋設されていてもよい。
【0084】
いずれの櫛歯パターン45a~45jも、図中Y方向に沿って延在している。この複数の櫛歯パターン45a~45jは、実質的に平行に並べられている。また、この複数の櫛歯パターン45a~45jは、実質的に等間隔に配置されている。
【0085】
また、それぞれの櫛歯パターン55a~55iは、配線パターン50の第1の本体部51から分岐して図中Y方向に沿って延在しており、配線パターン50から抵抗体40に向かって突出している。すなわち、この櫛歯パターン55a~55iは、配線パターン50に接続されていると共に、摺動領域SAの下方まで延在している。そして、この複数の櫛歯パターン55a~55iは、実質的に等間隔で平行に並べられている。
【0086】
図8に示すように、全ての櫛歯パターン45a~45j,55a~55iが、スペーサ90の開口91を介して接続体80と対向しており、平面視において摺動子100の摺動領域SAと重複している。また、
図8~
図10に示すように、櫛歯パターン45a~45jと櫛歯パターン55a~55iとは、平面視において、図中X方向に沿って交互に並ぶと共に実質的に等間隔に配置されている。
【0087】
なお、櫛歯パターン45の本数は特に上記に限定されない。同様に、櫛歯パターン55の本数も特に上記に限定されない。また、櫛歯パターン45,55の配置も特に上記に限定されない。因みに、後述するように、櫛歯パターン45,55の本数が多い程、可変抵抗器1Bの出力の分解能(解像度)を高めることができる。
【0088】
本実施形態では、上述のように抵抗体40の幅が狭くなっているため、
図8に示すように、抵抗体40は、摺動子100の押圧部110の幅W
2よりも狭い幅W
1を有している(W
1<W
2)。ここで、上述の従来技術のように摺動体を抵抗体の真上で摺動させる場合には、摺動体の軌道のズレ等を考慮して、抵抗体を摺動子の押圧部よりも広くする必要があり、高抵抗化が難しい。これに対し、本実施形態では、抵抗体40の幅を狭くすることができるので、抵抗体40の高抵抗化が容易に可能である。なお、上述の第1実施形態において、抵抗体40の幅を、摺動子100の押圧部110の幅よりも狭くしてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、
図9に示すように、摺動子100の押圧部110が、第1及び第2の櫛歯パターン45,55が並んでいる方向(図中のX方向)において、第2の櫛歯パターン45を介して相互に隣り合う第1の櫛歯パターン45同士のピッチP
1よりも大きな寸法S
1を有している(S
1>P
1)。なお、特に限定されないが、押圧部110の寸法S
1は、第1の櫛歯パターン45のピッチP
1の50倍以下であることが好ましい(S
1≦10×P
1)。
【0090】
図9及び
図10に示すように、摺動子100の押圧により、上側メンブレン基板60の基材70が下方に撓み、相互に隣り合う櫛歯パターン45,55に接続体80がそれぞれ接触している。これにより、接続体80を介して抵抗体40と配線パターン50を電気的に接続されている。具体的には、
図9に示す状態では、櫛歯パターン45a~45jの中の櫛歯パターン45fと、櫛歯パターン55a~55iの中の櫛歯パターン55eとが、接続体80を介して電気的に接続されている。
【0091】
なお、摺動子100の押圧によって接続体80に同時に接続される櫛歯パターン45a~45jの数は複数であってもよい。同様に、摺動子100の押圧によって接続体80に同時に接続される櫛歯パターン55a~55jの数は複数であってもよい。
【0092】
そして、本実施形態では、摺動子100が上側メンブレン基板60を押圧しながら摺動することで、接続体80によって接続される櫛歯パターン45,55の組み合わせが順次変化して、抵抗体40の抵抗長(抵抗値)が可変する。
【0093】
例えば、
図9に示す状態では、上述のように、櫛歯パターン55e,45fが接続体80を介して接続されている。この状態から摺動子100が図中+X方向に摺動するに従って、接続体80を介して接続される櫛歯パターンの組み合わせが、櫛歯パターン55e,45f→櫛歯パターン45f,55f→櫛歯パターン55f,45g→櫛歯パターン45g,55g→櫛歯パターン55g,45h→・・・→櫛歯パターン45i,55i→櫛歯パターン55i,45jと変化する。
【0094】
これに伴って、櫛歯パターン55a~55iに接続された配線パターン50は、接続体80を介して接続されている櫛歯パターン45,55の組み合わせに応じた電圧(検出電圧)を検出する。すなわち、本実施形態でも、摺動子100の押圧位置に応じて、配線パターン31,50間の抵抗値が変化する。摺動子100が図中+X方向に摺動する場合には、配線パターン31,50間の抵抗値は、摺動子100の摺動に伴って徐々に上昇する。この可変抵抗器1Bの配線パターン31,50にはマルチメーター等が接続されており、当該マルチメーター等は、電源電圧と配線パターン50の検出電圧との電位差を出力する。
【0095】
一方、
図9に示す状態から摺動子100が図中―X方向に摺動する場合には、当該摺動子100の摺動に従って、接続体80を介して接続される櫛歯パターンの組み合わせが、櫛歯パターン45f,55e→櫛歯パターン55e,45e→櫛歯パターン45e,55d→櫛歯パターン55d,45d→櫛歯パターン45d,55c→・・・→櫛歯パターン45b,55a,→櫛歯パターン55a,45aと変化する。この場合には、配線パターン31,50間の抵抗値は、摺動子100の摺動に伴って徐々に低下する。
【0096】
例えば、
図9中の左端の組み合わせである櫛歯パターン45a,55aが接続体80を介して接続されている場合には、配線パターン50は電源電圧とほぼ同電位の電圧を検出し、マルチメーター等は、電源電圧と配線パターン50の検出電圧との電位差(例えば、0[V])を出力する。
【0097】
これに対し、
図9に示すように、略中間の組み合わせである櫛歯パターン55e,45fが接続体80を介して接続されている場合には、配線パターン50は電源電圧の略半分の電位の電圧を検出し、マルチメーター等は、電源電圧と配線パターン50の検出電圧との電位差(例えば、2.5[V])を出力する。
【0098】
また、
図9中の右端の組み合わせである櫛歯パターン55i,45jが接続体80を介して接続されている場合には、配線パターン50はグランドとほぼ同電位の電圧を検出し、マルチメーター等は、電源電圧と配線パターン50の検出電圧との電位差(例えば、5[V])を出力する。
【0099】
このように、本実施形態では、配線パターン31,50間の抵抗値が、接続体80を介して接続される櫛歯パターン45,5の組み合わせに応じて変化するため、可変抵抗器1Bの出力は階段状となる。このため、櫛歯パターン45,55の本数を多くして当該櫛歯パターン45,55のピッチを狭くする程、可変抵抗器1Bの出力の分解能(解像度)を高めることができる。
【0100】
以上のように、本実施形態では、上側メンブレン基板60の基材70の下面71に接続体80が設けられ、摺動子100が当該基材70の上面72を押圧し、当該接続体80を介して櫛歯パターン45,55が接続されることで、当該櫛歯パターン45,55にそれぞれ接続された抵抗体40と配線パターン50が電気的に接続されている。すなわち、摺動子100と抵抗体40との間には、上側メンブレン基板60の基材70が介在しており、摺動子100は抵抗体40と直接接触していない。
【0101】
また、本実施形態では、平面視において、摺動子100が摺動する摺動領域SAが、抵抗体40と配線パターン50との間に設定されている。すなわち、摺動子100の摺動領域SAの直下に抵抗体40が存在していない。
【0102】
このため、本実施形態では、摺動子100の摺動による抵抗体40の摩耗を抑制することができるので、可変抵抗器1Aの導通不良の発生の抑制を図ることができる。
【0103】
また、本実施形態では、抵抗体40から突出する櫛歯パターン45b~45iが接続体80と接触しており、抵抗体40自体は接続体80と直接接触していない。また、本実施形態では、抵抗体40の全域がスペーサ90によって覆われており保護されている。このため、本実施形態では、そもそも抵抗体40の摩耗が発生することがない。
【0104】
また、本実施形態では、摺動子100の摺動領域SAは、抵抗体40から突出する櫛歯パターン45b~45iと重複しており、抵抗体40自体とは重複していない。このため、抵抗体40において配線パターン31,35との重複による肉厚な端部によって摺動子100の摺動領域SAが制限されることはないので、抵抗体40の全域を可変抵抗器1Bの検出可能範囲として使用することができる。
【0105】
また、本実施形態では、
図9中の左端の櫛歯パターン45aが一方の配線パターン31に接続されていると共に、
図9中の右端の櫛歯パターン45jが他方の配線パターン35に接続されている。このため、可変抵抗器1Bの出力の最大値を電源電圧と同等にすると共に、当該出力の最小値をグランドと同等とすることができる。
【0106】
さらに、本実施形態では、第1実施形態と同様に、外部に接続される全ての配線パターン31,35,50が同一の基材20の上面21に設けられているので、当該上面21のみにコネクタを実装すればよく、可変抵抗器1Bの構成の簡素化を図ることができる。
【0107】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0108】
例えば、上述の第1実施形態の構成と第2実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【0109】
具体的には、
図13に示す可変抵抗器1Cのように、第2実施形態と同様に、抵抗体40から複数の櫛歯パターン45を突出させて接続体80をこの櫛歯パターン45と重複させつつ、第1実施形態と同様に、当該接続体80の他方の縁部80bを配線パターン50と重複させてもよい。なお、
図13は本発明の第3実施形態における可変抵抗器を示す平面図である。
【0110】
この場合にも、第2実施形態と同様に、抵抗体40自体は接続体80と接触しておらず、しかも抵抗体40の全域がスペーサ90によって保護されている。このため、そもそも摺動子100の摺動による抵抗体40の摩耗が発生することがないので、可変抵抗器1Cの導通不良の発生の抑制を図ることができる。
【0111】
或いは、
図14~
図16に示す可変抵抗器1Dのように、配線パターン50を上側の基材70に設けて、接続体80と直接接続してもよい。
図14は本発明の第4実施形態における可変抵抗器を示す平面図、
図15は
図14のXV-XV線に沿った断面図、
図16は本発明の第4実施形態におけるスペーサ及び上側メンブレン基板の底面図である。
【0112】
具体的には、
図14~
図16に示す可変抵抗器1Dは、上述した
図13に示す可変抵抗器1Cと比較して、下側の基材20の上面21に配線パターン50を形成することに代えて、配線パターン50を上側の基材70の下面72に形成し、当該配線パターン50を接続体80に直接接続した点で相違している。この場合には、
図16に示すように、配線パターン50は第1の本体部51のみから構成されており、当該第1の本体部51が接続体80の第2の本体部81に接続されている。
【0113】
本実施形態では、
図14に示すように、摺動子100の押圧部110が、第1の櫛歯パターン45,55が並んでいる方向(図中のX方向)において、相互に隣り合う第1の櫛歯パターン45同士のピッチP
1よりも大きな寸法S
1を有している(S
1>P
1)。なお、特に限定されないが、押圧部110の寸法S
1は、第1の櫛歯パターン45のピッチP
1の50倍以下であることが好ましい(S
1≦10×P
1)。
【0114】
或いは、
図17に示す可変抵抗器1Eのように、スペーサ90とは別の樹脂層95で抵抗体40を覆ってもよい。
図17は本発明の第5実施形態における可変抵抗器を示す平面図である。
【0115】
具体的には、
図17に示す可変抵抗器1Eは、上述した
図13に示す可変抵抗器1Cと比較して、スペーサ90が抵抗体40を覆っていることに代えて、スペーサ90の開口91が抵抗体40を包含しない大きさを有しており、抵抗体40を保護するためにレジスト等の樹脂層95で抵抗体40を覆っている点で相違している。なお、スペーサ90が抵抗体40を部分的に覆うと共に、樹脂層93が当該抵抗体40を部分的に覆うことで、スペーサ90及び樹脂層95によって抵抗体40の全体を覆っていてもよい。
【0116】
また、上述の第2実施形態では、櫛歯パターン45,55が抵抗体40と配線パターン50との間に配置されているが、特にこれに限定されない。例えば、接続体80を、抵抗体40と配線パターン50との間に配置せずに、抵抗体40や配線パターン50から離れた位置に配置し、櫛歯パターン45,55をこの接続体80の下方まで引き出してもよい。
【0117】
また、上述の実施形態では、摺動子100の動作に関して、上側メンブレン60の上面72に接触して押圧している摺動子100が、図中のX方向に沿って摺動(往復移動)するように説明したが、摺動子100の動作は特にこれに限定されない。
【0118】
例えば、摺動子100が、押圧→上昇→水平移動→押圧→上昇→水平移動の動作を繰り返してもよい。具体的には、摺動子100が、上側メンブレン60の上面72における一点に接触して押圧した後、当該摺動子100が上面72上をスライドすることなく上昇し、次いで、図中のX方向(接続体80の延在方向(長手方向))に水平移動し、上側メンブレン60の上面72における他点に接触して押圧する動作を繰り返してもよい。この場合にも、摺動子100の異なる点での押圧に応じて、抵抗体40の抵抗長(抵抗値)が可変し、配線パターン50から異なる電圧が出力される。
【0119】
また、上述の実施形態では、可変抵抗器1A~1Eの操作を、当該可変抵抗器1A~1E自体が備える摺動子110により行ったが、特にこれに限定されない。例えば、摺動子100に代えて、操作者が指により可変抵抗器を操作してもよい。
【0120】
また、上述の実施形態では、配線パターン31を電源に接続すると共に、配線パターン35をグランドに接続し、配線パターン50の検出電圧を取得することで、可変抵抗器1A~1Eの抵抗値を検出したが、可変抵抗器の抵抗値を検出するための回路構成は、特にこれに限定されない。
【0121】
例えば、配線パターン35を設けずに、配線パターン31,50に電源を接続してもよい。この場合にも、摺動子100の押圧位置に応じて、配線パターン31,50間の抵抗値が変化する。
【符号の説明】
【0122】
1A~1E…可変抵抗器
10…下側メンブレン基板
20…基材
21…上面
31…配線パターン
32…延在部
33…幅広部
35…配線パターン
36…延在部
37…幅広部
40…抵抗体
45,45a~45j…櫛歯パターン
50…配線パターン
51…第1の本体部
511…平行部
52…第1の保護層
55,55a~55i…櫛歯パターン
60…上側メンブレン基板
70…基材
71…下面
72…上面
80…接続体
80a,80b…縁部
81…第2の本体部
82…第2の保護層
90…スペーサ
91…開口
95…樹脂層
100…摺動子
110…押圧部
NA…非重複領域
SA…摺動領域