(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】プローブ操作装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2022541079
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2020030356
(87)【国際公開番号】W WO2022029998
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 重義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直史
(72)【発明者】
【氏名】由村 匡隆
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-148613(JP,A)
【文献】特開2010-217182(JP,A)
【文献】特開2007-024895(JP,A)
【文献】特開2006-025960(JP,A)
【文献】実開昭55-059606(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
検査または作業を担当するプローブを少なくとも上下方向に駆動するプローブ駆動部と、
前記基台に対する前記プローブ駆動部の高さを調整する高さ調整部と、
前記プローブ駆動部に設けられて前記高さを表す光を射出する光射出マーカーであって、前記検査または前記作業の対象となる被検者が乗る支持台に向けて前記光を射出する前記光射出マーカーと、
を備えるプローブ操作装置。
【請求項2】
前記プローブ駆動部は、前記プローブを鉛直方向に昇降駆動する昇降駆動機構を有する、請求項1に記載のプローブ操作装置。
【請求項3】
前記プローブ駆動部は、前記プローブの姿勢および水平方向の位置の少なくとも一方を調整する多関節アーム機構を有する、請求項1または2に記載のプローブ操作装置。
【請求項4】
前記高さ調整部は、前記基台および前記プローブ駆動部にそれぞれ設けられた台形ねじが螺合するとともに、螺合位置の変化により前記プローブ駆動部の前記高さを調整する台形ねじ調整部である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプローブ操作装置。
【請求項5】
前記高さ調整部によって調整された前記プローブ駆動部の前記高さを解除可能に固定する高さ固定部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のプローブ操作装置。
【請求項6】
前記高さ調整部を手動で操作する手動操作部をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のプローブ操作装置。
【請求項7】
前記プローブは、医療用プローブであり、
前記光射出マーカーは、前
記被検者が乗るベッドに向けて前記光を射出し、前記ベッドに輝点を投射する、
請求項
1~6のいずれか一項に記載のプローブ操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、プローブの操作を行うプローブ操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査や作業などの自動化、省力化を推進するために、産業用ロボットが広く用いられている。一般的に、産業用ロボットは、対象物にアプローチするエンドエフェクタを備える。産業用ロボットの一例として、エンドエフェクタにプローブを用いた医療用のプローブ駆動装置が実用化されている。医療用のプローブ駆動装置は、医師や臨床検査技師によって操作される。また、プローブは、被検者の体内状態を検査したり、治療作業を行ったりする。この種のプローブ駆動装置の技術例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の超音波スキャンシステムは、超音波トランスジューサ(プローブ)と、超音波トランスジューサに連結されて上下方向に動作可能な支持アームと、支持アームに加わる重力を相殺する抵抗装置とを備え、超音波トランスジューサを小さな圧力で被検者に押し当てられるようにしている。これによれば、超音波トランスジューサを容易に位置決めすることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1を始めとするプローブ駆動装置の使用時に、操作を行う医師等の体格に合わせて、被検者が乗るベッドの高さが調整される。換言すると、プローブ駆動装置を基準としたベッドの高さが、医師等の交代によって変化する。このため、プローブの昇降ストローク長は、検査や作業に必要な昇降量だけでは足りず、ベッドの高さの変化に対応する必要があった。したがって、プローブ駆動装置の高さが大きくなり、加えて、昇降機構等の構成部品が大型化して装置コストが増加していた。
【0006】
なお、プローブは、医療用プローブに限定されない。例えば、超音波プローブやX線プローブを用いて検査対象物の内部状態を検査する非破壊検査装置においても、検査対象物を載せる検査台の高さを調整する構成の場合に、同様の問題点が生じる。
【0007】
それゆえ、本明細書では、プローブの昇降ストローク長を小さくして、装置の低背化を実現したプローブ駆動装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、基台と、検査または作業を担当するプローブを少なくとも上下方向に駆動するプローブ駆動部と、前記基台に対する前記プローブ駆動部の高さを調整する高さ調整部と、を備えるプローブ操作装置を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示するプローブ操作装置では、装置の低背化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態のプローブ操作装置の斜視図である。
【
図4】プローブ操作装置の使用方法を説明する側面図である。
【
図5】第2実施形態のプローブ操作装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態のプローブ操作装置1の構成
第1実施形態のプローブ操作装置1の構成について、
図1~
図3を参考にして説明する。図中の右上の矢印に示されるように、便宜的にプローブ操作装置1の前後左右を定める。プローブ操作装置1は、プローブ68を操作して検査や作業を行うものであり、以降では医療用を想定して説明を進める。プローブ操作装置1は、基台2、高さ調整機構3、プローブ駆動部4、および光射出マーカー71によって本体が構成され、制御部8が付属される。プローブ駆動部4は、昇降駆動機構5および多関節アーム機構6を有する。多関節アーム機構6の先端に、プローブ68が設けられる。
【0012】
基台2は、
図1に示されるように、4本の角棒材21が長方形の枠形状に組まれて形成される。なお、基台2は、長方形の板材であってもよい。基台2の底面の前部および後部に、帯状で堅牢な底板22が左右に架け渡される。前後の底板22の左右それぞれに、移動用のキャスタ23が合計で4個設けられる。基台2の上面の前寄りに、長方形で堅牢な支持板24が左右に架け渡される。支持板24の上面に、高さ調整機構3が設けられる。
【0013】
高さ調整機構3は、フレーム31、ガイド機構33、台形ねじ調整部34、調整ハンドル36、およびストッパ37などで構成されている。フレーム31は、支持板24に固定されて上方に延在する。フレーム31は、水平断面が矩形溝形状であって、後方に開口する。フレーム31の上部に、上部板32が水平に架け渡される。
【0014】
ガイド機構33は、
図1および
図3に示されるように、ガイドレール331およびガイド部材332からなる。ガイドレール331は、フレーム31の左右両側の後面にそれぞれ設けられ、上下方向に延在する。ガイド部材332は、プローブ駆動部4の基体51(詳細後述)の前面の左右両側に、上下2個設けられる。ガイド機構33の左右それぞれで、上下2個のガイド部材332は、ガイドレール331に昇降可能に、かつ離脱不能に係合する。これにより、ガイド機構33は、フレーム31に対するプローブ駆動部4の全体の昇降動作を案内する。
【0015】
台形ねじ調整部34は、
図3に示されるように、ねじ軸341および昇降ナット345からなる。ねじ軸341は、フレーム31の矩形溝形状の内部位置であって、左右方向の中央の位置に配置される。ねじ軸341は、上下方向に延在しており、回転可能に支持されている。ねじ軸341の外周に、台形雄ねじ342が刻まれる。ねじ軸341の上部板32を突き抜けた上端に、従動ギヤ343が一体的に回転するように設けられる。昇降ナット345は、プローブ駆動部4の基体51の前面の左右方向の中央に設けられる。昇降ナット345に刻まれた台形雌ねじ346は、ねじ軸341の台形雄ねじ342に螺合する。
【0016】
上部板32の前寄りに、側面視でクランク形状のハンドル座35が設けられている。ハンドル座35は、調整ハンドル36の回転中心軸を回転可能に支持する。調整ハンドル36は、回転中心軸の上部から水平方向に延在しており、手動操作されると正回転および逆回転する。調整ハンドル36の回転中心軸の下部に、駆動ギヤ361が一体回転するように設けられている。
【0017】
駆動ギヤ361と、ねじ軸341の上端の従動ギヤ343との間は、チェーン362を用いて回転連結される。駆動ギヤ361、従動ギヤ343、およびチェーン362は、図略の保護カバーで覆われており、防塵性および安全性が確保される。なお、ハンドル座35の位置を変更して、駆動ギヤ361と従動ギヤ343とが直接的に噛合する構成としてもよい。さらに、ギヤの歯数差による加減速機能や、中間ギヤ等が設けられてもよい。
【0018】
調整ハンドル36が手動操作されたとき、その正回転または逆回転は、駆動ギヤ361からチェーン362を介して従動ギヤ343に伝達される。すると、従動ギヤ343およびねじ軸341は一体的に回転し、昇降ナット345の螺合位置は上昇または下降する。これにより、プローブ駆動部4の全体は、ガイド機構33に案内されつつ昇降して、その高さが調整される。
【0019】
ストッパ37は、調整ハンドル36とハンドル座35の間に設けられる。プローブ駆動部4の高さを調整するときに、ストッパ37は、手動で解除状態に切り換えられる。これにより、調整ハンドル36の回転動作が許容される。プローブ駆動部4の高さが調整された後に、ストッパ37は、手動でロック状態に切り換えられる。これにより、調整ハンドル36の回転動作が禁止される。このようにしてプローブ駆動部4の高さが固定された後に、プローブ68の操作が行われる。プローブ駆動部4の高さを再調整するときに、ストッパ37は、再び解除状態に切り換えられて、高さの固定が解除される。
【0020】
台形ねじ調整部34は、基台2に対するプローブ駆動部4の高さを調整する高さ調整部に相当する。基台2に対するプローブ駆動部4の高さ調整範囲は、ガイドレール331およびねじ軸341の長さによって定まる。また、調整ハンドル36は、台形ねじ調整部34(高さ調整部)を手動で操作する手動操作部に相当する。ストッパ37は、台形ねじ調整部34(高さ調整部)によって調整されたプローブ駆動部4の高さを解除可能に固定する高さ固定部に相当する。
【0021】
なお、台形雄ねじ342および台形雌ねじ346に代えて、一般的な三角ねじを用いることができる。さらに、台形ねじ調整部34に代えて、ボールねじ送り機構やその他の調整機構を用いることができる。本第1実施形態において、台形雄ねじ342および台形雌ねじ346を含む台形ねじ調整部34を採用したことにより、三角ねじを用いる構成と比較して螺合の摩擦力が増加するとともに遊び寸法が低減される。したがって、プローブ駆動部4の高さを保持する精度が向上する。換言すると、プローブ駆動部4が動作する際に、振動やがたつき等が抑制される。
【0022】
プローブ駆動部4を構成する昇降駆動機構5は、プローブ68とともに多関節アーム機構6の全体を鉛直方向に昇降駆動する。昇降駆動機構5は、基体51、昇降体53、ガイド機構54、およびボールねじ送り機構55で構成される。基体51は、前述した高さ調整機構3の後側に配置され、高さ調整機構3によってその高さが調整される。
【0023】
基体51は、上下方向に延在しており、水平断面が矩形溝形状であって、後方に開口する。基体51の高さ方向の中間辺りは、左右方向に拡がる拡幅部52となっている。拡幅部52の前面に、前記したガイド部材332および昇降ナット345が設けられている。昇降体53は、基体51よりも低背の概ね矩形板状の部材であり、基体51の後側に配置される。
【0024】
ガイド機構54は、
図1および
図3に示されるように、ガイドレール541およびガイド部材542からなる。ガイドレール541は、基体51の左右両側の後面にそれぞれ設けられ、上下方向に延在する。ガイド部材542は、昇降体53の前面の左右両側に、上下2個設けられる。ガイド機構54の左右それぞれにおいて、上下2個のガイド部材542は、ガイドレール541に昇降可能に昇降可能に、かつ離脱不能に係合する。これにより、ガイド機構54は、基体51に対する昇降体53の昇降動作を案内する。さらに、補助的に右ガイド部材543が設けられる。右ガイド部材543は、昇降体53の右側面から前方に張り出しており、基体51の右側面を摺動する。
【0025】
ボールねじ送り機構55は、ねじ軸551、駆動モータ552、および昇降ナット553からなる。ねじ軸551は、基体51の矩形溝形状の内部位置であって、左右方向の中央の位置に配置される。ねじ軸551は、上下方向に延在しており、回転可能に支持されている。ねじ軸551の外周に、雄ねじが刻まれる。ねじ軸551の下側に、駆動モータ552が設けられる。駆動モータ552は、制御部8からの指令にしたがい、ねじ軸551を回転駆動する。駆動モータ552は、正転および逆転の切り換えが可能とされており、これに対応して、ねじ軸551は正回転または逆回転する。
【0026】
昇降ナット553は、昇降体53の前面の左右方向の中央に設けられる。昇降ナット553に刻まれた雌ねじは、ボールを介してねじ軸551の雄ねじに螺合する。駆動モータ552に駆動されてねじ軸551が正回転または逆回転すると、昇降ナット553の螺合位置が上昇または下降する。これにより、昇降体53および多関節アーム機構6の全体は、ガイド機構54に案内されつつ昇降する。基体51に対する昇降体53の昇降ストローク長、換言するとプローブ68の昇降ストローク長は、ガイドレール541およびねじ軸551の長さによって定まる。以上説明したように、本第1実施形態では、昇降駆動機構5を用いて、プローブ68を上下方向に駆動する。
【0027】
プローブ駆動部4を構成する多関節アーム機構6は、プローブ68の姿勢および水平方向の位置を調整する。多関節アーム機構6は、ベース61、第1関節軸62、第1アーム63、第2関節軸64、第2アーム65、姿勢保持軸66、回転三軸機構67、およびプローブ68が記載順に連結されて構成される。ベース61は、起立した円筒形状の部材であり、昇降体53の後面に固定されている。
【0028】
ケーブルをベース61まで配線するために、複数のケーブルを収容可能な可撓ケーブル保護部69が設けられる。可撓ケーブル保護部69は、前方から基体51の左上方を通り、ベース61の前面まで達している。可撓ケーブル保護部69は、昇降体53の昇降に伴って自在に撓み、ケーブルの断線を防止する。
【0029】
第1関節軸62は、ベース61よりも細い円筒形状の部材であり、ベース61の上部に自転可能に設けられる。第1アーム63は、水平方向に延びる四角筒状の部材であり、その基端が第1関節軸62の上端に固定されている。第1関節軸62および第1アーム63は、ベース61を回転中心にして一体的に回転動作する。第1関節軸62および第1アーム63は、制御部8から指令を受けた図略の第1モータによって駆動される。第1アーム63の先端の上面に、第2関節軸64が設けられる。
【0030】
第2関節軸64は、起立した円筒形状の部材であり、第1アーム63に自転可能に支持されている。第2アーム65は、水平方向に延びる円筒形状の部材であり、その基端が第2関節軸64の円筒面に固定されている。第2関節軸64および第2アームは、第1アーム63の先端を回転中心にして一体的に回転動作する。第2関節軸64および第2アームは、制御部8から指令を受けた図略の第2モータによって駆動される。第2アーム65の先端に、姿勢保持軸66が設けられる。第1アーム63および第2アーム65の回転動作により、姿勢保持軸66およびプローブ68の水平方向の位置が調整される。
【0031】
姿勢保持軸66は、起立した円筒形状の部材であり、その円筒面が第2アーム65に固定されている。姿勢保持軸66の下側に回転三軸機構67が設けられる。回転三軸機構67は、直交する三方向の回転軸、および回転軸ごとに設けられた合計で3個のアクチュエータを備える。回転三軸機構67は、三方向への回転が可能な先端にプローブ68を交換可能に備える。制御部8からの指令でアクチュエータが動作すると、プローブ68の姿勢が調整される。
【0032】
プローブ68は、所定の検査または作業を担当するものである。プローブ68として、医療分野の超音波検査に用いる超音波プローブを例示でき、これに限定されない。プローブ68への電源供給および検出信号の伝送を行うケーブルは、前述した可撓ケーブル保護部69、および多関節アーム機構6の構成部材の内部空間を利用して配線される。また、第1モータ、第2モータ、および回転三軸機構67へ電源供給するケーブルも、プローブ68と同様、可撓ケーブル保護部69および構成部材の内部空間を利用して配線される。
【0033】
光射出マーカー71は、基体51の右上端に設けられる。光射出マーカー71は、後方に向けて水平方向に光を射出する。射出する光にレーザー光を用いることができ、これに限定されない。光の高さを確認することによりプローブ駆動部4の高さを認識できるので、光射出マーカー71は高さの調整に好適である。光射出マーカー71は、プローブ駆動部4の高さを表す高さマーカーの一形態である。
【0034】
制御部8は、プローブ操作装置1の本体と別体に構成され、ケーブルまたは無線通信を用いて本体に接続される。制御部8は、コンピュータ装置を用いて構成され、入力部81および表示部82を有する。入力部81は、医師等の入力操作を受け付ける。表示部82は、プローブ68の検出信号を図化して表示したり、図略のセンサにより検出されたプローブ操作装置1の現在状態を表示したりする。制御部8は、入力部81への入力操作にしたがって、プローブ操作装置1の駆動モータ552、第1モータ、第2モータ、回転三軸機構67、およびプローブ68に指令を発し、それらの動作を制御する。
【0035】
2.プローブ操作装置1の使用方法
次に、プローブ操作装置1の使用方法について、
図4を参考にして説明する。図示されるように、プローブ操作装置1は、マットレス駆動部91によりマットレス92の高さを調整するベッド9と組み合わせて使用される。被検者(患者)が乗るマットレス92の高さは、検査や診察等を行う医師等の体格に合わせて調整される。「ベッド9の高さを調整する」とは、ベッド9全体を昇降することでなく、マットレス92の高さを調整することを意味する。ベッド9の高さが調整された後に、プローブ操作装置1のプローブ駆動部4の高さの調整が行われる。
【0036】
この高さ調整において、まず、プローブ操作装置1の後部がベッド9に向かうように配置される。次に、光射出マーカー71のスイッチがオン操作される。光射出マーカー71は、ベッド9に向けて水平方向に光93を射出し、マットレス92の表面に輝点94を投射する。医師等は、輝点94の位置に基づいて、プローブ駆動部4の高さの良否を判定することができる。
【0037】
プローブ駆動部4の高さが不適正である場合、医師等は、ストッパ37を解除状態に切り換えて、調整ハンドル36を操作する。このとき、輝点94を視認しながら操作できるので、高さ調整の操作は容易である。プローブ駆動部4の高さが適正になると、医師等は、ストッパ37をロック状態に切り換えて、プローブ駆動部4の高さを固定する。この後、医師等は、入力部81への入力操作によりプローブ68を操作して、検査または作業を行う。
【0038】
検査または作業が終了した後、プローブ操作装置1は、そのままの状態で保管されてもよいし、プローブ駆動部4が最も低い位置に再調整されてから保管されてもよい。後者の場合、プローブ操作装置1は低背化される。
【0039】
第1実施形態のプローブ操作装置1では、プローブ駆動部4内でのプローブ68の昇降ストローク長は、昇降駆動機構5によって定まり、検査や作業に必要な最小限の昇降量とすることができる。そして、検査や作業以外の要因、例えばベッド9の高さの変化に対応するために必要となる高さの調整は、高さ調整機構3によって行われる。さらに、高さ調整機構3によりプローブ駆動部4を低く調整した状態で、プローブ操作装置1を保管することができる。したがって、プローブ68の昇降ストローク長を小さくして、プローブ操作装置1の低背化を実現することができる。加えて、ベッド9の高さの変化に対応するために昇降駆動機構5を大型化する必要が無いので、装置コストの増加が抑制される。
【0040】
3.第2実施形態のプローブ操作装置1A
次に、第2実施形態のプローブ操作装置1Aの構成について、
図5を参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。プローブ操作装置1Aは、高さマーカーとしての光射出マーカー71を備えず、代わりに目盛り板72および高さ指示部材73を備える。プローブ操作装置1Aの高さマーカー以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0041】
図5に示されるように、目盛り板72は、高さ調整機構3のフレーム31の右側面に設けられる。目盛り板72は、上下方向に延在しており、プローブ駆動部4の高さを表す複数の目盛りをもつ。一方、高さ指示部材73は、プローブ駆動部4の基体51の右側面に設けられており、基体51と一体的に昇降する。高さ指示部材73は、横向きの矢印形状に形成されており、目盛り板72の目盛りを指し示すことにより、プローブ駆動部4の高さを指し示す。
【0042】
第2実施形態において、医師等は、目盛り板72および高さ指示部材73を視認しながら調整ハンドル36を操作することができ、高さ調整の操作は容易である。また、プローブ68の昇降ストローク長を小さくして、装置の低背化を実現するという効果も、第1実施形態と同様である。
【0043】
4.実施形態の応用および変形
なお、高さマーカーとして、第1および第2実施形態と異なる構成、例えばリニアスケールセンサを用いることができる。リニアスケールセンサは、高さ調整機構3のフレーム31に設けられてプローブ駆動部4の高さを検出するものであり、検出結果が表示部82に表示される。また、プローブ駆動部4の構成は、第1実施形態で説明した昇降駆動機構5と多関節アーム機構6の組み合わせに限定されず、公知の様々な機構を適用することが可能である。例えば、プローブ駆動部4は、プローブ68を斜め方向に昇降駆動するものであってもよい。その他にも、第1および第2実施形態は、様々な応用や変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
第1および第2実施形態のプローブ操作装置(1、1A)は、医療用に限定されず、検査用プローブを備える非破壊検査装置に利用することが可能であり、さらに、プローブ68をエンドエフェクタに置き換えて各種の産業用ロボットに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1、1A:プローブ操作装置 2:基台 3:高さ調整機構 31:フレーム 33:ガイド機構 34:台形ねじ調整部 341:ねじ軸 342:台形雄ねじ 345:昇降ナット 346:台形雌ねじ 36:調整ハンドル 37:ストッパ 4:プローブ駆動部 5:昇降駆動機構 51:基体 53:昇降体 54:ガイド機構 55:ボールねじ送り機構 6:多関節アーム機構 68:プローブ 71:光射出マーカー 72:目盛り板 73:高さ指示部材 8:制御部 81:入力部 82:表示部 9:ベッド 92:マットレス 93:光 94:輝点