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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】表示装置およびその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3225 20160101AFI20240411BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240411BHJP
   G09G 3/3266 20160101ALI20240411BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 612K
G09G3/20 641P
G09G3/3266
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022541332
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(86)【国際出願番号】 JP2020029644
(87)【国際公開番号】W WO2022029830
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】内田 誠一
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/162792(WO,A1)
【文献】特開2017-083813(JP,A)
【文献】特開2004-045662(JP,A)
【文献】特開2006-053349(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0012961(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0279274(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G3/00-G09G5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と、
複数のデータ線と、
複数の発光制御線と、
それぞれが発光素子を含む複数の画素回路と、
第1クロック信号に基づき前記走査線を駆動する走査線駆動回路と、
前記データ線を駆動するデータ線駆動回路と、
第2クロック信号に基づき前記発光制御線を駆動する発光制御線駆動回路と、
少なくとも前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを出力する表示制御回路とを備え、
前記表示制御回路は、フレーム期間を走査期間と休止期間とに分類し、前記休止期間では、前記第1クロック信号を停止させると共に、前記第2クロック信号を停止させることなく前記第2クロック信号の周波数を前記走査期間よりも低くすることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
第1全発光モードを有し、
前記表示制御回路は、前記発光制御線駆動回路に対してスタートパルスを出力し、前記第1全発光モードでは、前記スタートパルスをすべての前記発光素子が発光するレベルに固定することを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記データ線駆動回路は、前記第1全発光モードにおける前記走査期間では、通常時よりも前記発光素子の輝度を低下させる電位を用いて前記データ線を駆動することを特徴とする、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
第2全発光モードを有し、
前記表示制御回路は、前記発光制御線駆動回路に対してスタートパルスを出力し、前記第2全発光モードでは、前記第2クロック信号と前記スタートパルスとをすべての前記発光素子が発光するレベルに固定することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記データ線駆動回路は、前記第2全発光モードにおける前記走査期間では、通常時よりも前記発光素子の輝度を低下させる電位を用いて前記データ線を駆動することを特徴とする、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示制御回路は、前記走査期間と前記休止期間とを切り替えるときに、前記第2クロック信号の周波数をフレーム期間単位で段階的に変化させることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示制御回路は、前記休止期間では、前記第2クロック信号の振幅を前記走査期間よりも小さくすることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の発光制御線と、それぞれが発光素子を含む複数の画素回路とを含む表示装置の駆動方法であって、
第1クロック信号に基づき前記走査線を駆動するステップと、
前記データ線を駆動するステップと、
第2クロック信号に基づき前記発光制御線を駆動するステップと、
少なくとも前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを出力する表示制御ステップとを備え、
前記表示制御ステップは、フレーム期間を走査期間と休止期間とに分類し、前記休止期間では、前記第1クロック信号を停止させると共に、前記第2クロック信号を停止させることなく前記第2クロック信号の周波数を前記走査期間よりも低くすることを特徴とする、表示装置の駆動方法。
【請求項10】
前記表示装置は、第1全発光モードを有し、
前記表示制御ステップは、前記発光制御線を駆動するステップに対してスタートパルスを出力し、前記第1全発光モードでは、前記スタートパルスをすべての前記発光素子が発光するレベルに固定することを特徴とする、請求項9に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項11】
前記データ線を駆動するステップは、前記第1全発光モードにおける前記走査期間では、通常時よりも前記発光素子の輝度を低下させる電位を用いて前記データ線を駆動することを特徴とする、請求項10に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項12】
前記表示装置は、第2全発光モードを有し、
前記表示制御ステップは、前記発光制御線を駆動するステップに対してスタートパルスを出力し、前記第2全発光モードでは、前記第2クロック信号と前記スタートパルスとをすべての前記発光素子が発光するレベルに固定することを特徴とする、請求項9~11のいずれかに記載の表示装置の駆動方法。
【請求項13】
前記データ線を駆動するステップは、前記第2全発光モードにおける前記走査期間では、通常時よりも前記発光素子の輝度を低下させる電位を用いて前記データ線を駆動することを特徴とする、請求項12に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項14】
前記表示制御ステップは、前記走査期間と前記休止期間とを切り替えるときに、前記第2クロック信号の周波数をフレーム期間単位で段階的に変化させることを特徴とする、請求項9~13のいずれかに記載の表示装置の駆動方法。
【請求項15】
前記表示制御ステップは、前記休止期間では、前記第2クロック信号の振幅を前記走査期間よりも小さくすることを特徴とする、請求項9~14のいずれかに記載の表示装置の駆動方法。
【請求項16】
前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする、請求項9~15のいずれかに記載の表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、発光素子を含む画素回路を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:以下、ELという)素子を含む画素回路を備えた有機EL表示装置が実用化されている。有機EL表示装置の画素回路は、有機EL素子に加えて、駆動トランジスタや書き込み制御トランジスタなどを含んでいる。これらのトランジスタには、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTという)が使用される。有機EL素子は、流れる電流の量に応じた輝度で発光する発光素子である。駆動トランジスタは、有機EL素子と直列に設けられ、有機EL素子に流れる電流の量を制御する。
【0003】
また、インジウムガリウム亜鉛酸化物(Indium Gallium Zinc Oxide :以下、IGZOという)などの酸化物半導体を用いて、トランジスタを形成する技術が実用化されている。酸化物半導体を用いて形成されたトランジスタは、オフ時のリーク電流が極めて小さいという特徴を有する。このため、駆動トランジスタのゲート端子に接続されるトランジスタを酸化物半導体を用いて形成することにより、駆動トランジスタのゲート端子からの電荷漏れを防止し、駆動トランジスタのゲート電位の変動を防止することができる。また、有機EL表示装置の消費電力を削減する方法として、フレーム期間を走査期間と休止期間に分類し、休止期間では走査線の駆動を停止する低周波駆動が知られている。低周波駆動は、休止駆動とも呼ばれる。
【0004】
低周波駆動を行う表示装置は、例えば、特許文献1~3に記載されている。特許文献1には、時分割駆動を行う表示装置において、休止駆動モードでは、3本のエミッション線のうち1本だけを選択することにより、通常時の1/3の解像度を有する静止画像を表示することが記載されている。特許文献2には、面積階調方式の表示装置に走査期間と休止期間を設け、休止期間では走査を停止し、駆動回路の電源電圧をゼロにすることが記載されている。特許文献3には、画素を水平ライン単位で選択するために第1駆動周波数で走査線を駆動する走査駆動部と、画素の発光を制御するために第1駆動周波数とは異なる第2駆動周波数で発光制御線を駆動するエミッション駆動部とを備えた表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2014/162792号
【文献】日本国特開2001-184015号公報
【文献】日本国特開2012-93693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の低周波駆動を行う表示装置は、走査線の駆動を停止することにより消費電力を削減する。低周波駆動を行う表示装置については、これ以外の方法で消費電力をさらに削減することが好ましい。
【0007】
それ故に、低周波駆動を行う表示装置の消費電力をさらに削減することが課題として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、例えば、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の発光制御線と、それぞれが発光素子を含む複数の画素回路と、第1クロック信号に基づき前記走査線を駆動する走査線駆動回路と、前記データ線を駆動するデータ線駆動回路と、第2クロック信号に基づき前記発光制御線を駆動する発光制御線駆動回路と、少なくとも前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを出力する表示制御回路とを備え、前記表示制御回路は、フレーム期間を走査期間と休止期間とに分類し、前記休止期間では、前記第1クロック信号を停止させると共に、前記第2クロック信号を停止させることなく前記第2クロック信号の周波数を前記走査期間よりも低くする表示装置によって解決することができる。
【0009】
上記の課題は、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の発光制御線と、それぞれが発光素子を含む複数の画素回路とを含む表示装置の駆動方法であって、第1クロック信号に基づき前記走査線を駆動するステップと、前記データ線を駆動するステップと、第2クロック信号に基づき前記発光制御線を駆動するステップと、少なくとも前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを出力する表示制御ステップとを備え、前記表示制御ステップは、フレーム期間を走査期間と休止期間とに分類し、前記休止期間では、前記第1クロック信号を停止させると共に、前記第2クロック信号を停止させることなく前記第2クロック信号の周波数を前記走査期間よりも低くする表示装置の駆動方法によっても解決することができる。

【発明の効果】
【0010】
上記の表示装置および表示装置の駆動方法によれば、休止期間では第2クロック信号の周波数を走査期間よりも低くすることにより、休止期間において第2クロック信号や発光制御線の電位が変化する回数を削減し、休止期間における表示装置の消費電力を削減することができる。したがって、低周波駆動を行う表示装置の消費電力をさらに削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図2図1に示す表示装置の走査期間と休止期間の例を示す図である。
図3図1に示す表示装置のエミッションクロックを示す模式図である。
図4図1に示す表示装置の画素回路の回路図である。
図5図1に示す表示装置の走査期間におけるタイミングチャートである。
図6図1に示す表示装置の走査線駆動回路と発光制御線駆動回路の詳細を示すブロック図である。
図7図6に示す走査線駆動回路の単位回路の回路図である。
図8図7に示す単位回路の走査期間におけるタイミングチャートである。
図9図6に示す発光制御線駆動回路の単位回路の回路図である。
図10図9に示す単位回路の走査期間におけるタイミングチャートである。
図11図1に示す表示装置の休止期間におけるタイミングチャートである。
図12】第2の実施形態に係る表示装置の走査期間におけるタイミングチャートである。
図13】第2の実施形態に係る表示装置の休止期間におけるタイミングチャートである。
図14】第3の実施形態に係る表示装置の走査期間におけるタイミングチャートである。
図15】第3の実施形態に係る表示装置の休止期間におけるタイミングチャートである。
図16】第1変形例に係る表示装置のエミッションクロックを示す模式図である。
図17】第2変形例に係る表示装置のエミッションクロックを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。図1に示す表示装置10は、表示部11、表示制御回路12、走査線駆動回路13、データ線駆動回路14、および、発光制御線駆動回路15を備えた有機EL表示装置である。以下、mおよびnは2以上の整数、iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数であるとする。図面の水平方向を行方向、図面の垂直方向を列方向という。
【0013】
表示部11は、m本の走査線G1~Gm、n本のデータ線S1~Sn、m本の発光制御線E1~Em、および、(m×n)個の画素回路20を含んでいる。走査線G1~Gmと発光制御線E1~Emは、行方向に延伸し、互いに平行に配置される。データ線S1~Snは、列方向に延伸し、走査線G1~Gmと直交するように互いに平行に配置される。走査線G1~Gmとデータ線S1~Snは、(m×n)箇所で交差する。(m×n)個の画素回路20は、走査線G1~Gmとデータ線S1~Snの交点に対応して配置される。画素回路20には、図示しない導電性部材を用いて、ハイレベル電位ELVDDとローレベル電位ELVSSが供給される。
【0014】
表示制御回路12は、走査線駆動回路13に対して制御信号C1を出力し、データ線駆動回路14に対して制御信号C2と映像信号D1を出力し、発光制御線駆動回路15に対して制御信号C3を出力する。走査線駆動回路13は、制御信号C1に基づき、走査線G1~Gmを駆動する。データ線駆動回路14は、制御信号C2と映像信号D1とに基づき、データ線S1~Snを駆動する。発光制御線駆動回路15は、制御信号C3に基づき、発光制御線E1~Emを駆動する。
【0015】
制御信号C1には、2相のゲートクロックGCK1、GCK2とゲートスタートパルスGSPとが含まれる。走査線駆動回路13は、ゲートクロックGCK1、GCK2に基づき、走査線G1~Gmを駆動する。制御信号C3には、2相のエミッションクロックECK1、ECK2とエミッションスタートパルスESPとが含まれる。発光制御線駆動回路15は、エミッションクロックECK1、ECK2に基づき、発光制御線E1~Emを駆動する。
【0016】
表示装置10は、外部から与えられた制御信号(図示せず)に従い、低周波駆動を行う。表示制御回路12は、フレーム期間を走査期間と休止期間に分類する。図2は、表示装置10における走査期間と休止期間の例を示す図である。図2において、時刻t1から時刻t2までの期間と時刻t3から時刻t4までの期間は走査期間であり、時刻t2から時刻t3までの期間は休止期間である。走査期間のフレーム周波数は120Hzであり、休止期間のフレーム周波数は60Hzである。走査期間は、映像信号期間と垂直帰線期間V1を含んでいる。休止期間は、映像保持期間と垂直帰線期間V2を含んでいる。垂直帰線期間V2の長さは、垂直帰線期間V1の長さの2倍である。映像信号期間では、走査線G1~Gnは昇順に選択される(斜め実線を参照)。映像保持期間では、走査線G1~Gnは選択されない(斜め破線を参照)。
【0017】
走査期間における1水平期間の長さをTxとする。表示制御回路12は、走査期間では、周期が2TxのゲートクロックGCK1、GCK2と、フレーム期間の先頭付近で時間TxだけハイレベルになるゲートスタートパルスGSPとを出力する。走査線駆動回路13は、これらの制御信号に基づき、走査線G1~Gmの電位を時間Txずつ順にハイレベルに制御する。データ線駆動回路14は、制御信号C2と映像信号D1に基づき、データ線S1~Snに対して映像信号D1に応じた電位を時間Txずつ順に印加する。走査線Giの電位がハイレベルのときに、i行目に配置されたn個の画素回路20が選択され、選択されたn個の画素回路20にデータ線S1~Snに印加されたn個の電位がそれぞれ書き込まれる。
【0018】
表示制御回路12は、走査期間では、周期が2TxのエミッションクロックECK1、ECK2と、フレーム期間の先頭付近で所定時間(ここでは4Tx)だけハイレベルになるエミッションスタートパルスESPとを出力する。発光制御線駆動回路15は、これらの制御信号に基づき、発光制御線E1~Emの電位を時間Txずつ遅らせながら所定時間(ここでは5Tx)だけ順にハイレベルに制御する。i行目の画素回路20内の有機EL素子は、発光制御線Eiの電位がハイレベルである間、画素回路20に書き込まれた電位に応じた輝度で発光する。
【0019】
図3は、図2に示す走査期間と休止期間におけるエミッションクロックECK1、ECK2を示す模式図である。表示制御回路12は、休止期間では、ゲートクロックGCK1、GCK2を停止させると共に、エミッションクロックECK1、ECK2の周波数を走査期間よりも低くする。具体的には、表示制御回路12は、図2に示す休止期間では、周期が4TxのエミッションクロックECK1、ECK2と、フレーム期間の先頭付近で所定時間(ここでは8Tx)だけハイレベルになるエミッションスタートパルスESPとを出力する。休止期間におけるエミッションクロックECK1、ECK2の周波数をfとしたとき、走査期間におけるエミッションクロックECK1、ECK2の周波数はf/2である。
【0020】
図4は、画素回路20の回路図である。図4には、i行j列目の画素回路20が記載されている。図4に示す画素回路20は、3個のTFT21~23、有機EL素子24、および、コンデンサ25を含み、走査線Gi、データ線Sj、および、発光制御線Eiに接続されている。TFT21~23は、Nチャネル型トランジスタである。TFT21~23は、例えば、IGZOなどの酸化物半導体を用いて形成される。有機EL素子24は、発光素子として機能する。
【0021】
図4に示すように、TFT22のドレイン端子には、ハイレベル電位ELVDDが印加される。TFT22のソース端子は、TFT23のドレイン端子に接続される。TFT23のソース端子は、有機EL素子24のアノード端子に接続される。有機EL素子24のカソード端子には、ローレベル電位ELVSSが印加される。TFT21の一方の導通端子(図4では左側の端子)は、データ線Sjに接続される。TFT21の他方の導通端子は、TFT22のゲート端子に接続される。TFT21のゲート端子は、走査線Giに接続される。TFT23のゲート端子は、発光制御線Eiに接続される。コンデンサ25は、ハイレベル電位ELVDDを有する導電性部材とTFT22のゲート端子との間に設けられる。
【0022】
画素回路20では、走査線Giの電位がハイレベルである間、TFT21はオンし、データ線Sjの電位がTFT22のゲート端子に印加される。走査線Giの電位がローレベルに変化すると、TFT21はオフする。これ以降、TFT22のゲート電位は、コンデンサ25の作用によって保持される。また、発光制御線Eiの電位がハイレベルである間、TFT23はオンし、ハイレベル電位ELVDDを有する導電性部材とローレベル電位ELVSSを有する導電性部材との間にTFT22、23と有機EL素子24とを経由する電流が流れる。このとき有機EL素子24は、TFT22のゲート-ソース間電圧に応じた輝度で発光する。このように有機EL素子24は、データ線Sjに印加された電位に応じた輝度で発光する。
【0023】
図5は、表示装置10の走査期間におけるタイミングチャートである。図5には、図2に示す時刻t1から時刻t2までの走査期間における各種の信号の変化が記載されている。以下、走査線G1~Gm上の信号をそれぞれ走査信号G1~Gmといい、発光制御線E1~Em上の信号をそれぞれ発光制御信号E1~Emという。また、aを1以上の整数としたとき、フレーム期間の先頭から時間(a-1)Txだけ経過した時点から時間aTx経過した時点までの期間をa番目の期間という。
【0024】
走査期間では、ゲートクロックGCK1は、時間Txずつ交互にハイレベルとローレベルになる。ゲートクロックGCK2は、ゲートクロックGCK1の否定信号である。ゲートスタートパルスGSPは、2番目の期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。走査信号G1は、ゲートスタートパルスGSPよりも時間Txだけ遅れて、3番目の期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。走査信号Gi(ただし、iは2以上)は、走査信号Gi-1よりも時間Txだけ遅れて、(i+2)番目の期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。
【0025】
エミッションクロックECK1、ECK2は、時間Txずつ交互にハイレベルとローレベルになる。エミッションクロックECK2は、エミッションクロックECK1の否定信号である。エミッションスタートパルスESPは、2~5番目の期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。発光制御信号E1は、2~6番目の期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。発光制御信号Ei(ただし、iは2以上)は、発光制御信号Ei-1よりも時間Txだけ遅れて、(i+1)~(i+5)番目の期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。
【0026】
図6は、走査線駆動回路13と発光制御線駆動回路15の詳細を示すブロック図である。走査線駆動回路13は、m個の単位回路30を多段接続した構成を有する。単位回路30は、2個のクロック端子CK1、CK2、セット端子S、リセット端子R、および、出力端子Zを有する。表示制御回路12から供給される制御信号C1のうち、ゲートクロックGCK1は、奇数段目の単位回路30のクロック端子CK1と偶数段目の単位回路30のクロック端子CK2とに供給される。ゲートクロックGCK2は、奇数段目の単位回路30のクロック端子CK2と偶数段目の単位回路30のクロック端子CK1とに供給される。ゲートスタートパルスGSPは、1段目の単位回路30のセット端子Sに供給される。i段目の単位回路30の出力端子Zは、走査線Gi、(i+1)段目の単位回路30のセット端子S、および、(i-1)段目の単位回路30のリセット端子Rに接続される。各段の単位回路30には、図示しない手段でローレベル電位VSSが供給される。
【0027】
発光制御線駆動回路15は、m個の単位回路40を多段接続した構成を有する。単位回路40は、2個のクロック端子CK1、CK2、セット端子S、および、2個の出力端子EM、OUTを有する。表示制御回路12から供給される制御信号C3のうち、エミッションクロックECK1は、奇数段目の単位回路40のクロック端子CK1と偶数段目の単位回路40のクロック端子CK2とに供給される。エミッションクロックECK2は、奇数段目の単位回路40のクロック端子CK2と偶数段目の単位回路40のクロック端子CK1とに供給される。エミッションスタートパルスESPは、1段目の単位回路40のセット端子Sに供給される。i段目の単位回路40の出力端子EMは、発光制御線Eiに接続される。i段目の単位回路40の出力端子OUTは、(i+1)段目の単位回路40のセット端子Sに接続される。各段の単位回路40には、図示しない手段でハイレベル電位VDDとローレベル電位VSSが供給される。
【0028】
図7は、単位回路30の回路図である。図7に示すように、単位回路30は、4個のTFT31~34とコンデンサ35を含んでいる。TFT31~34は、Nチャネル型トランジスタである。以下、TFT33のゲート端子が接続されたノードをN1という。TFT31のドレイン端子とゲート端子は、セット端子Sに接続される。TFT31のソース端子は、TFT32のドレイン端子とTFT33のゲート端子に接続される。TFT33のドレイン端子は、クロック端子CK1に接続される。TFT33のソース端子は、TFT34のドレイン端子と出力端子Zに接続される。TFT32のゲート端子は、リセット端子Rに接続される。TFT34のゲート端子は、クロック端子CK2に接続される。TFT32、34のソース端子にはローレベル電位VSSが印加される。コンデンサ35は、TFT33のゲート端子とソース端子の間に設けられる。
【0029】
図8は、単位回路30の走査期間におけるタイミングチャートである。以下、ある端子経由で入力または出力される信号をその端子と同じ名前で呼ぶ。例えば、クロック端子CK1経由で入力される信号をクロック信号CK1という。時刻t11の直前では、クロック信号CK1はハイレベル、クロック信号CK2、セット信号S、および、リセット信号Rはローレベルである。このとき、TFT31、32、34はオフ状態である。また、ノードN1の電位と出力信号Zはローレベルであり、TFT33はオフ状態である。
【0030】
時刻t11において、クロック信号CK1はローレベルに変化し、クロック信号CK2とセット信号Sはハイレベルに変化する。これに伴い、TFT31、34はオンする。TFT31がオンすると、ノードN1の電位はハイレベルに変化し、TFT33はオンする。
【0031】
時刻t12において、クロック信号CK1はハイレベルに変化し、クロック信号CK2とセット信号Sはローレベルに変化する。これに伴い、TFT31、34はオフする。TFT33のゲート端子とソース端子の間にはコンデンサ35が存在する。このため、クロック信号CK1がハイレベルに変化し、出力信号Zがハイレベルに変化すると、ノードN1の電位はコンデンサ35を介して突き上げられ、通常よりも高いハイレベルになる。したがって、出力信号Zは、TFT33の閾値電圧分だけ低下することなく、クロック信号CK1と同じレベルのハイレベルになる。
【0032】
時刻t13において、クロック信号CK1はローレベルに変化し、クロック信号CK2とリセット信号Rはハイレベルに変化する。これに伴い、TFT32、34はオンする。TFT32がオンすると、ノードN1の電位はローレベルに変化し、TFT33はオフする。TFT34がオンすると、出力信号Zはローレベルに変化する。
【0033】
時刻t14において、クロック信号CK1はハイレベルに変化し、クロック信号CK2とリセット信号Rはローレベルに変化する。これに伴い、TFT32、34はオフする。このようにノードN1の電位は、時刻t11から時刻t13までの期間ではハイレベル(時刻t12から時刻t13までの期間では通常よりも高いハイレベル)、それ以外ではローレベルになる。出力信号Zは、時刻t12から時刻t13までの期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。
【0034】
i段目の単位回路30の出力信号Zは、セット信号Sよりも時間Txだけ遅れて時間Txだけハイレベルになる。セット信号Sは、(i-1)段目の単位回路30の出力信号Zである。i段目の単位回路30の出力信号Zは、走査線Giに印加される。したがって、走査線G1~Gmの電位は、時間Txずつ昇順にハイレベルになる(図5を参照)。
【0035】
図9は、単位回路40の回路図である。図9に示すように、単位回路40は、11個のTFT41~51と2個のコンデンサ52、53を含んでいる。TFT41~51は、Nチャネル型トランジスタである。図9において、TFT43のゲート端子が接続されたノードをN2、TFT50のゲート端子が接続されたノードをN3、TFT50のソース端子が接続されたノードをN4という。
【0036】
TFT41のドレイン端子とゲート端子は、セット端子Sに接続される。TFT41のソース端子は、TFT42のドレイン端子とTFT43、45のゲート端子に接続される。TFT43のドレイン端子は、クロック端子CK1に接続される。TFT43のソース端子は、TFT44のドレイン端子と出力端子OUTに接続される。TFT45のドレイン端子には、ハイレベル電位VDDが印加される。TFT45のソース端子は、TFT46のドレイン端子と出力端子EMに接続される。
【0037】
TFT47のドレイン端子とゲート端子は、クロック端子CK2に接続される。TFT47のソース端子は、TFT48、49のドレイン端子とTFT50のゲート端子に接続される。TFT50のドレイン端子は、クロック端子CK1に接続される。TFT50のソース端子は、TFT46のゲート端子とTFT51のドレイン端子に接続される。
【0038】
TFT42、44のゲート端子は、ノードN4に接続される。TFT48のゲート端子は、セット端子Sに接続される。TFT49のゲート端子は、ノードN2に接続される。TFT48、49のソース端子とTFT51のゲート端子は、クロック端子CK2に接続される。TFT42、44、46、51のソース端子には、ローレベル電位VSSが印加される。コンデンサ52は、TFT43のゲート端子とソース端子の間に設けられる。コンデンサ53は、TFT50のゲート端子とソース端子の間に設けられる。
【0039】
図10は、単位回路40の走査期間におけるタイミングチャートである。時刻t21の直前では、クロック信号CK1はハイレベル、クロック信号CK2とセット信号Sはローレベルである。このとき、TFT41、47、48、51はオフ状態である。また、ノードN3の電位は通常よりも高いハイレベル、ノードN4の電位はハイレベル、ノードN2の電位と出力信号EM、OUTはローレベルであり、TFT42、44、46、50はオン状態、TFT43、45、49はオフ状態である。
【0040】
時刻t21において、クロック信号CK1はローレベルに変化し、クロック信号CK2とセット信号Sはハイレベルに変化する。これに伴い、TFT41、47、48、51はオンする。TFT41がオンすると、ノードN2の電位はハイレベルに変化し、TFT43、45、49はオンする。クロック信号CK1がローレベルに変化し、TFT47~49がオンすると、ノードN3の電位は通常のハイレベルに戻る。このとき、TFT50はオン状態を保つ。クロック信号CK1がローレベルに変化し、TFT50はオン状態を保ち、TFT51がオンすると、ノードN4の電位はローレベルに変化し、TFT42、44、46はオフする。TFT45がオンし、TFT46がオフすると、出力信号EMはハイレベルに変化する。
【0041】
時刻t22において、クロック信号CK1はハイレベルに変化し、クロック信号CK2とセット信号Sはローレベルに変化する。これに伴い、TFT41、47、48、51はオフする。TFT43のゲート端子とソース端子の間にはコンデンサ52が存在する。このため、クロック信号CK1がハイレベルに変化し、出力信号OUTがハイレベルに変化すると、ノードN2の電位はコンデンサ52を介して突き上げられ、通常よりも高いハイレベルになる。したがって、出力信号OUTのレベルは、TFT43の閾値電圧分だけ低下することなく、クロック信号CK1のハイレベルと同じレベルになる。また、TFT49がオン状態である間にクロック信号CK2がローレベルに変化すると、ノードN3の電位はローレベルに変化し、TFT50はオフする。
【0042】
時刻t23において、クロック信号CK1はローレベルに変化し、クロック信号CK2とセット信号Sはハイレベルに変化する。これに伴い、TFT41、47、48、51はオンする。クロック信号CK1がローレベルに変化すると、出力信号OUTはローレベルに変化し、ノードN2の電位は通常のハイレベルに戻る。また、TFT47がオンすると、ノードN3の電位はハイレベルに変化し、TFT50はオンする。
【0043】
時刻t24において、クロック信号CK1はハイレベルに変化し、クロック信号CK2とセット信号Sはローレベルに変化する。これに伴い、TFT41、47、48、51はオフする。クロック信号CK1がハイレベルに変化すると、出力信号OUTはハイレベルに変化し、ノードN2の電位は通常よりも高いハイレベルになる。また、TFT49がオン状態である間にクロック信号CK2がローレベルに変化すると、ノードN3の電位はローレベルに変化し、TFT50はオフする。
【0044】
時刻t25において、クロック信号CK1はローレベルに変化し、クロック信号CK2はハイレベルに変化する。これに伴い、TFT47、51はオンする。クロック信号CK1がローレベルに変化すると、出力信号OUTはローレベルに変化し、ノードN2の電位は通常のハイレベルに戻る。また、TFT47がオンすると、ノードN3の電位はハイレベルに変化し、TFT50はオンする。
【0045】
時刻t26において、クロック信号CK1はハイレベルに変化し、クロック信号CK2はローレベルに変化する。これに伴い、TFT47、51はオフする。このときTFT50はオン状態であるので、クロック信号CK1がハイレベルに変化すると、ノードN4の電位はハイレベルに変化し、TFT42、44、46はオンする。TFT42がオンすると、ノードN2の電位はローレベルに変化し、TFT43、45、49はオフする。また、クロック信号CK2がローレベルに変化し、TFT47~49がオフするので、ノードN3の電位は通常よりも高いハイレベルになる。
【0046】
このようにノードN2の電位は、時刻t21から時刻t26までの期間ではハイレベル(時刻t22から時刻t23までの期間、および、時刻t24から時刻t25までの期間では通常よりも高いハイレベル)、それ以外ではローレベルになる。出力信号OUTは、時刻t22から時刻t23までの期間、および、時刻t24から時刻t25までの期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。出力信号EMは、時刻t21から時刻t26までの期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。ノードN3の電位は、時刻t22から時刻t23までの期間と時刻t24から時刻t25までの期間ではローレベル、それ以外ではハイレベル(特に、クロック信号CK1がハイレベルの期間では通常よりも高いハイレベル)になる。ノードN4の電位は、時刻t21から時刻t26までの期間とクロック信号CK2がハイレベルの期間とではローレベル、それ以外ではハイレベルになる。なお、セット信号Sが時刻t21から時刻t24までの期間においてハイレベルのときにも、単位回路40は上記とほぼ同様に動作する。
【0047】
i段目の単位回路40において、セット信号Sがハイレベル、ローレベル、ハイレベルの順に変化したとき、出力信号OUTはセット信号Sより時間Txだけ遅れて同様に変化し、出力信号EMはセット信号Sがハイレベルに変化したときから時間5Txだけハイレベルになる。セット信号Sは、(i-1)段目の単位回路40の出力信号OUTである。i段目の単位回路40の出力信号EMは、発光制御線Eiに印加される。したがって、発光制御線E1~Emの電位は、時間Txだけ順に遅れて時間5Txずつ昇順にハイレベルになる(図5を参照)。
【0048】
図11は、休止期間における表示装置10のタイミングチャートである。図11には、図2に示す休止期間における各種の信号の変化が記載されている。休止期間では、ゲートクロックGCK1、GCK2とゲートスタートパルスGSPは、ローレベルに固定される。このため、走査信号G1~Gmは固定的にローレベルになる。
【0049】
エミッションクロックECK1は、時間2Txずつ交互にハイレベルとローレベルになる。エミッションクロックECK2は、エミッションクロックECK1の否定信号である。エミッションスタートパルスESPは、3~10番目の期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。発光制御信号E1は、3~12番目の期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。発光制御信号Ei(ただし、iは2以上)は、発光制御信号Ei-1よりも時間2Txだけ遅れて、(2i+1)~(2i+10)番目の期間ではハイレベル、それ以外ではローレベルになる。
【0050】
休止期間における単位回路40の動作は、走査期間における単位回路40の動作において、クロック信号CK1、CK2とセット信号Sがハイレベルである期間の長さ、および、これらの信号がローレベルである期間の長さを2倍にしたものと同じである。
【0051】
表示制御回路12は、走査期間では、周期が2TxのゲートクロックGCK1、GCK2と、周期が2TxのエミッションクロックECK1、ECK2とを出力する。走査期間では、走査線駆動回路13はゲートクロックGCK1、GCK2に基づき走査線G1~Gmを駆動し、発光制御線駆動回路15は周期が2TxのエミッションクロックECK1、ECK2に基づき発光制御線E1~Emを駆動する。一方、休止期間では、表示制御回路12は、ゲートクロックGCK1、GCK2をローレベルに固定し、周期が4TxのエミッションクロックECK1、ECK2を出力する。休止期間では、走査線駆動回路13は走査線G1~Gmの駆動を停止し、発光制御線駆動回路15は周期が4TxのエミッションクロックECK1、ECK2に基づき発光制御線E1~Emを駆動する。
【0052】
表示制御回路12は、休止期間では、ゲートクロックGCK1、GCK2を停止させると共に、エミッションクロックECK1、ECK2の周波数を走査期間よりも低くする(1/2にする)。休止期間ではゲートクロックGCK1、GCK2を停止させることにより、走査線G1~Gmの電位をローレベルに固定し、休止期間における表示装置10の消費電力を削減することができる。これに加えて、休止期間ではエミッションクロックECK1、ECK2の周波数を走査期間よりも低くすることにより、休止期間における表示装置10の消費電力をさらに削減することができる。
【0053】
以上に示すように、本実施形態に係る表示装置10は、複数の走査線G1~Gmと、複数のデータ線S1~Snと、複数の発光制御線E1~Emと、それぞれが発光素子(有機EL素子24)を含む複数の画素回路20と、第1クロック信号(ゲートクロックGCK1、GCK2)に基づき走査線G1~Gmを駆動する走査線駆動回路13と、データ線S1~Snを駆動するデータ線駆動回路14と、第2クロック信号(エミッションクロックECK1、ECK2)に基づき発光制御線E1~Emを駆動する発光制御線駆動回路15と、少なくとも第1クロック信号と第2クロック信号とを出力する表示制御回路12とを備えている。表示制御回路12は、フレーム期間を走査期間と休止期間とに分類し、休止期間では、第1クロック信号を停止させると共に、第2クロック信号の周波数を走査期間よりも低くする。
【0054】
本実施形態に係る表示装置10によれば、休止期間では第2クロック信号の周波数を走査期間よりも低くすることにより、休止期間において第2クロック信号や発光制御線E1~Emの電位が変化する回数を削減し、休止期間における表示装置10の消費電力を削減することができる。したがって、低周波駆動を行う表示装置10の消費電力をさらに削減することができる。
【0055】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る表示装置は、第1の実施形態に係る表示装置10と同じ構成を有する(図1図4図6図7、および、図9を参照)。本実施形態に係る表示装置は、第1の実施形態に係る表示装置10と同様に動作する通常モードに加えて、すべての有機EL素子24を発光させる全発光モード(以下、第1全発光モードという)を有する。以下、本実施形態に係る表示装置の第1全発光モードにおける動作を説明する。
【0056】
図12は、本実施形態に係る表示装置の第1全発光モードの走査期間におけるタイミングチャートである。図12には、図2に示す時刻t1から時刻t2までの走査期間における各種の信号の変化が記載されている。図13は、本実施形態に係る表示装置の第1全発光モードの休止期間におけるタイミングチャートである。図13には、図2に示す休止期間における各種の信号の変化が記載されている。
【0057】
本実施形態に係る表示装置は、通常モードでは、第1の実施形態に係る表示装置10と同様に動作する(図5および図11を参照)。第1全発光モードでは、表示制御回路12は、通常モードと同じゲートクロックGCK1、GCK2とゲートスタートパルスGSPとを出力する(図12および図13を参照)。第1全発光モードでは、走査線駆動回路13とデータ線駆動回路14は、通常モードと同様に動作する。
【0058】
第1全発光モードの走査期間および休止期間では、表示制御回路12は、周期が4TxのエミッションクロックECK1、ECK2を出力すると共に、エミッションスタートパルスESPをハイレベルに固定する(図12および図13を参照)。図6に示す発光制御線駆動回路15に対してこのようなエミッションクロックECK1、ECK2とエミッションスタートパルスESPを供給したとき、発光制御線E1~Emの電位はすべてハイレベルになる。このとき、表示部11に含まれるすべての画素回路20において、TFT23はオンし、有機EL素子24は発光する。したがって、第1全発光モードでは、すべての有機EL素子24は常時発光する。
【0059】
第1全発光モードでは、通常モードよりも有機EL素子24の発光期間が長くなる。このため、第1全発光モードにおいて通常モードと同じ電位を用いてデータ線S1~Snを駆動すると、表示画面の輝度は通常モードよりも高くなる。そこで、第1全発光モードの走査期間では、データ線駆動回路14は、通常モードよりも低い電位を用いてデータ線S1~Snを駆動する。通常モードよりも低い電位は、通常モードよりも有機EL素子24の輝度を低下させる電位に該当する。したがって、データ線S1~Snに好適な電位を印加することにより、第1全発光モードと通常モードとの間で表示画面の輝度を等しくすることができる。
【0060】
以上に示すように、本実施形態に係る表示装置は、第1全発光モードを有する。表示制御回路12は、発光制御線駆動回路15に対してスタートパルス(エミッションスタートパルスESP)を出力し、第1全発光モードでは、スタートパルスをすべての発光素子(有機EL素子24)が発光するレベル(ハイレベル)に固定する。データ線駆動回路14は、第1全発光モードの走査期間では、通常時(通常モード)よりも発光素子の輝度を低下させる電位を用いてデータ線S1~Snを駆動する。
【0061】
本実施形態に係る表示装置によれば、第1全発光モードでは、スタートパルスを固定して、発光制御線E1~Emの電位を固定することにより、休止期間における表示装置の消費電力を削減することができる。また、第1全発光モードでは通常時よりも発光素子の輝度を低下させて、第1全発光モードと通常時との間で表示画面の輝度を等しくすることができる。
【0062】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る表示装置は、第1の実施形態に係る表示装置10と同じ構成を有する(図1図4図6図7、および、図9を参照)。本実施形態に係る表示装置は、第1の実施形態に係る表示装置10と同様に動作する通常モードに加えて、すべての有機EL素子24を発光させる全発光モード(以下、第2全発光モードという)を有する。以下、本実施形態に係る表示装置の第2全発光モードにおける動作を説明する。
【0063】
図14は、本実施形態に係る表示装置の第2全発光モードの走査期間におけるタイミングチャートである。図14には、図2に示す時刻t1から時刻t2までの走査期間における各種の信号の変化が記載されている。図15は、本実施形態に係る表示装置の第2全発光モードの休止期間におけるタイミングチャートである。図15には、図2に示す休止期間における各種の信号の変化が記載されている。
【0064】
本実施形態に係る表示装置は、通常モードでは、第1の実施形態に係る表示装置10と同様に動作する(図5および図11を参照)。第2全発光モードでは、表示制御回路12は、通常モードと同じゲートクロックGCK1、GCK2とゲートスタートパルスGSPとを出力する(図14および図15を参照)。第2全発光モードでは、走査線駆動回路13とデータ線駆動回路14は、通常モードと同様に動作する。
【0065】
第2全発光モードの走査期間および休止期間では、表示制御回路12は、エミッションクロックECK1、ECK2とエミッションスタートパルスESPをハイレベルに固定する(図14および図15を参照)。図6に示す発光制御線駆動回路15に対してこのようなエミッションクロックECK1、ECK2とエミッションスタートパルスESPを供給したとき、発光制御線E1~Emの電位はすべてハイレベルになる。このとき、表示部11に含まれるすべての画素回路20において、TFT23はオンし、有機EL素子24は発光する。したがって、第2全発光モードでは、すべての有機EL素子24は常時発光する。
【0066】
また、第1全発光モードの走査期間と同様に、第2全発光モードの走査期間では、データ線駆動回路14は、通常モードよりも低い電位を用いてデータ線S1~Snを駆動する。通常モードよりも低い電位は、通常モードよりも有機EL素子24の輝度を低下させる電位に該当する。したがって、データ線S1~Snに好適な電位を印加することにより、第2全発光モードと通常モードの間で表示画面の輝度を等しくすることができる。
【0067】
以上に示すように、本実施形態に係る表示装置は、第2全発光モードを有する。表示制御回路12は、発光制御線駆動回路15に対してスタートパルス(エミッションスタートパルスESP)を出力し、第2全発光モードでは、第2クロック信号(エミッションクロックECK1、ECK2)とスタートパルスをすべての発光素子(有機EL素子24)が発光するレベル(ハイレベル)に固定する。データ線駆動回路14は、第2全発光モードの走査期間では、通常時(通常モード)よりも発光素子の輝度を低下させる電位を用いてデータ線S1~Snを駆動する。
【0068】
本実施形態に係る表示装置によれば、第2全発光モードでは、第2クロック信号とスタートパルスを固定して、発光制御線E1~Emの電位を固定することにより、休止期間における表示装置の消費電力を削減することができる。また、第2全発光モードでは通常時よりも発光素子の輝度を低下させて、第2全発光モードと通常時との間で表示画面の輝度を等しくすることができる。
【0069】
第1~第3の実施形態に係る表示装置については、各種の変形例を構成することができる。表示制御回路12は、走査期間と休止期間とを切り替えるときに、第2クロック信号(エミッションクロックECK1、ECK2)の周波数をフレーム期間単位で段階的に変化させてもよい(第1変形例)。図16は、第1変形例に係る表示装置のエミッションクロックECK1、ECK2を示す模式図である。図16に示す例では、時刻t1から時刻t2aまでの期間は走査期間であり、時刻t2bから時刻t3までの期間は休止期間である。走査期間と休止期間の間には、遷移期間(時刻t2aから時刻t2bまでの期間)が設けられる。走査期間のフレーム周波数は120Hz、遷移期間のフレーム周波数は90Hz、休止期間のフレーム周波数は60Hzである。走査期間におけるエミッションクロックECK1、ECK2の周波数をfとしたとき、遷移期間におけるエミッションクロックECK1、ECK2の周波数は2f/3、休止期間におけるエミッションクロックECK1、ECK2の周波数はf/2である。
【0070】
第1変形例に係る表示装置によれば、走査期間と休止期間とを切り替えるときに、第2クロック信号の周波数をフレーム期間単位で段階的に変化させることにより、第2クロック信号の周波数の変化に起因する表示画像の画質低下を低減することができる。
【0071】
表示制御回路12は、休止期間では、第2クロック信号(エミッションクロックECK1、ECK2)の振幅を走査期間よりも小さくしてもよい(第2変形例)。図17は、第2変形例に係る表示装置のエミッションクロックECK1、ECK2を示す模式図である。図17に示す例では、時刻t1から時刻t2までの期間と時刻t3から時刻t4までの期間は走査期間であり、時刻t2から時刻t3までの期間は休止期間である。図17に示す例では、走査期間におけるエミッションクロックECK1、ECK2の振幅をAとしたとき、休止期間におけるエミッションクロックECK1、ECK2の振幅はkA(ただし、0<k<1)である。例えば、表示制御回路12は、休止期間では、エミッションクロックECK1、ECK2のハイレベル電位を走査期間よりも低くすればよい。
【0072】
休止期間では、エミッションクロックECK1、ECK2の周波数は、走査期間よりも低い。このため、休止期間においてエミッションクロックECK1、ECK2の振幅を走査期間よりも小さくしても、エミッションクロックECK1、ECK2は所定時間内に画素回路20内のTFT23がオンするレベルに到達する。また、休止期間においてエミッションクロックECK1、ECK2の振幅を走査期間よりも小さくすることにより、休止期間における発光制御線E1~Emの電位の変動を小さくし、休止期間における表示装置の消費電力を削減することができる。
【0073】
第2変形例に係る表示装置によれば、休止期間では、第2クロック信号(エミッションクロックECK1、ECK2)の振幅を走査期間よりも小さくすることにより、休止期間における発光制御線E1~Emの電位の変動を小さくし、休止期間における表示装置の消費電力を削減することができる。
【0074】
変形例に係る表示装置は、発光素子の発光状態を制御できる任意の画素回路を備えていてもよい。変形例に係る表示装置は、駆動トランジスタの特性補償を画素回路の内部で行ってもよく、駆動トランジスタの特性補償を画素回路の外部で行ってもよい。変形例に係る表示装置は、多相のエミッションクロックに基づきエミッションスタートパルスを順に遅延させることにより発光制御線を駆動する任意の発光制御線駆動回路を備えていてもよい。
【0075】
また、図1では、表示部11の1辺(左辺)に沿って走査線駆動回路13と発光制御線駆動回路15を1個ずつ設け、走査線駆動回路13を用いて走査線G1~Gmを左端から駆動し、発光制御線駆動回路15を用いて発光制御線E1~Emを左端から駆動することとした。これに代えて、表示部11の対向する2辺のそれぞれに沿って走査線駆動回路と発光制御線駆動回路を1個ずつ設け、2個の走査線駆動回路を用いて走査線G1~Gmを両端から駆動し、2個の発光制御線駆動回路を用いて発光制御線E1~Emを両端から駆動してもよい。
【0076】
ここまで、発光素子を含む画素回路を備えた表示装置の例として、有機EL素子(有機発光ダイオード)を含む画素回路を備えた有機EL表示装置について説明したが、同様の方法で、無機発光ダイオードを含む画素回路を備えた無機EL表示装置や、量子ドット発光ダイオードを含む画素回路を備えたQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)表示装置や、ミニLEDまたはマイクロLEDを含む画素回路を備えたLED表示装置を構成してもよい。また、以上に述べた表示装置の特徴をその性質に反しない限り任意に組み合せて、上記実施形態および変形例の特徴を併せ持つ表示装置を構成してもよい。
【符号の説明】
【0077】
10…表示装置
11…表示部
12…表示制御回路
13…走査線駆動回路
14…データ線駆動回路
15…発光制御線駆動回路
20…画素回路
21~23、31~34、41~51…TFT
24…有機EL素子
25、35、52、53…コンデンサ
30、40…単位回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17